液体噴射装置及び液体噴射装置の吸引機構
【課題】 部品点数を低減することができる吸引機構及び同吸引機構を備えた液体噴射装置を提供する。
【解決手段】 ホルダが準備位置から払拭位置に移動すると、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダとともに移動する。このとき、第1押圧部材51は、第1外周面51aを第1チューブT1に押し付けながら回転し、第1チューブT1を閉塞した状態を維持する。第2押圧部材52は、第2外周面を第2チューブT2に押し付けながら回転した後、第2平面部52bを第2チューブT2及び第2凸部65に対向させ第2チューブT2を開放する。これによって、吸引ポンプにて生成される負圧は、第2チューブT2を介してインク受け部に供給される。そして、インク受け部からは、ワイパ部材によって記録ヘッドから払拭されたインクが吸引され廃インクタンクに排出される。
【解決手段】 ホルダが準備位置から払拭位置に移動すると、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダとともに移動する。このとき、第1押圧部材51は、第1外周面51aを第1チューブT1に押し付けながら回転し、第1チューブT1を閉塞した状態を維持する。第2押圧部材52は、第2外周面を第2チューブT2に押し付けながら回転した後、第2平面部52bを第2チューブT2及び第2凸部65に対向させ第2チューブT2を開放する。これによって、吸引ポンプにて生成される負圧は、第2チューブT2を介してインク受け部に供給される。そして、インク受け部からは、ワイパ部材によって記録ヘッドから払拭されたインクが吸引され廃インクタンクに排出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置及び液体噴射装置の吸引機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体噴射装置の1つとして、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドのノズル形成面に形成されたノズルから、記録媒体に向けてインクを吐出し、ドットを形成することで記録を行うインクジェット式記録装置が広く知られている。
【0003】
一般に、インクジェット式記録装置は、ノズル形成面に付着したインクを払拭するワイパ部材、ノズル形成面のノズルを適宜封止し吐出されるインクを受け止めるキャップ部材等を備えている。さらに、インクジェットッ式記録装置には、ワイパ部材にて払拭されたインクや、キャップ部材にて受け止められたインクを、負圧を生成することで吸引し廃インクタンク等に排出する吸引機構を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載のインクジェット式記録装置では、ワイパ部材及びキャップ部材を備えている。このワイパ部材及びキャップ部材は、それぞれチューブを介して1つの切り替え弁に接続されている。さらに、切り替え弁には、吸引ポンプが接続され、吸引ポンプには廃インクタンクが接続されている。これによって、ワイパ部材及びキャップ部材は、切り替え弁及び吸引ポンプを介して廃インクタンクに接続されている。
【0005】
そして、インクジェット式記録装置では、吸引ポンプにて生成された負圧を、切り替え弁によって選択されたチューブを介して、ワイパ部材又はキャップ部材のいずれか一方に供給していた。そして、負圧が選択供給されたワイパ部材又はキャップ部材からは、インクが吸引され、吸引されたインクは、廃インクタンクに排出されていた。
【特許文献1】特開平7−137271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、インクジェット式記録装置では、ワイパ部材又はキャップ部材を、ノズル形成面に当接又は離間するように移動させる移動機構を備えている。そして、ワイパ部材によるノズル形成面の払拭、又はキャップ部材によるノズル形成面の封止を行う際には、この移動機構によって、ワイパ部材又はキャップ部材を移動させ当接させることで行っていた。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1のインクジェット式記録装置では、この昇降機構の他に切り替え弁を設けなければならず、その部品点数が増加しインクジェット式記録装置の製造コストが増大する虞があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、部品点数を低減することができる吸引機構及び同吸引機構を備えた液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体噴射装置の吸引機構は、液体噴射ヘッドのノズルから噴射される液体を受け止めるキャップ部材から同液体を誘導する第1の誘導チューブと、前記液体噴射ヘッドを払拭するワイパ部材によって払拭された前記液体を誘導する第2の誘導チューブと、前記第1及び第2の誘導チューブを介して前記それぞれの液体を吸引する吸引手段とを備え
た液体噴射装置の吸引機構において、前記キャップ部材又は前記ワイパ部材の少なくともいずれか一方の前記液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する閉塞手段を設けた。
【0010】
これによれば、閉塞手段は、キャップ部材又はワイパ部材の少なくともいずれか一方の液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、第1の誘導チューブ又は第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する。そして、吸引手段は、第1及び第2の誘導チューブのうち閉塞手段によって閉塞されずにいる一方の誘導チューブを選択して液体を吸引する。このように、吸引手段に一方の誘導チューブから液体を吸引させることで、吸引手段の吸引能力が低い場合であっても、十分に吸引させることができる。従って、安価な吸引手段を容易に採用することができる。さらに、吸引手段に、第1及び第2の誘導チューブから選択して吸引させることで、第1及び第2の誘導チューブに対してそれぞれ吸引手段を設ける必要がなく、吸引機構の部品点数を低減することができる。この結果、本発明の吸引機構を備えた液体噴射装置の製造コストを低減することができる。
【0011】
この液体噴射装置の吸引機構の前記相対位置は、前記キャップ部材が前記液体噴射ヘッドの前記ノズルを封止する封止位置であって、前記閉塞手段は、前記キャップ部材が前記封止位置に位置すると、前記第1の誘導チューブを開放するとともに、前記第2の誘導チューブを閉塞する。
【0012】
これによれば、閉塞手段は、キャップ部材が封止位置に位置すると、第1の誘導チューブを開放するとともに、第2の誘導チューブを閉塞する。そして、吸引手段は、開放された第1の誘導チューブを介して液体を吸引する。この結果、吸引手段は、キャップ部材によって受け止められた液体を確実に吸引することができる。
【0013】
この液体噴射装置の吸引機構の前記相対位置は、前記ワイパ部材が前記液体噴射ヘッドを払拭する払拭位置であって、前記閉塞手段は、前記ワイパ部材が前記払拭位置に位置すると、前記第1の誘導チューブを閉塞するとともに、前記第2の誘導チューブを開放する。
【0014】
これによれば、閉塞手段は、ワイパ部材が払拭位置に位置すると、第1の誘導チューブを閉塞するとともに、第2の誘導チューブを開放する。そして、吸引手段は、開放された第2の誘導チューブを介して液体を吸引する。この結果、吸引手段は、ワイパ部材によって払拭された液体を確実に吸引することができる。
【0015】
この液体噴射装置の吸引機構は、前記キャップ部材及び前記ワイパ部材を支持するラックと、前記ラックに形成されたラックギヤと噛合し、回転することで、同ラックとともに前記キャップ部材及び前記ワイパ部材を移動させるピニオンギヤとを備え、前記閉塞手段は、前記ピニオンギヤと一体に回転して、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくとも一方を押し潰して閉塞する押圧部材である。
【0016】
これによれば、閉塞手段は、ラックを移動させるピニオンギヤと一体に回転して、第1の誘導チューブ又は第2の誘導チューブの少なくとも一方を押し潰し閉塞する。従って、本発明の吸引機構は、従来のインクジェット式記録装置のように切り替え弁等を別途設ける必要がなく、さらに第1及び第2の誘導チューブを閉塞するために駆動源を設ける必要がないので、部品点数を低減することができる。この結果、吸引機構を備えた液体噴射装置の製造コストを低減することができる。さらに、閉塞手段は、第1及び第2の誘導チューブを電磁ソレノイドバルブ等によって閉塞する場合に比べて、第1及び第2の誘導チューブの閉塞箇所について電気的な影響を受けることがない。この結果、閉塞手段は、第1及び第2の誘導チューブを正確に閉塞させることができる。
【0017】
本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドから噴射される液体を受け止めるキャップ部材と、前記キャップ部材にて受け止められた前記液体を誘導する第1の誘導チューブと、前記液体噴射ヘッドを払拭するワイパ部材と、前記ワイパ部材によって払拭された前記液体を誘導する第2の誘導チューブと、前記第1及び第2の誘導チューブを介して前記液体を吸引し、同液体を廃液貯留部に排出する吸引手段とを備えた液体噴射装置において、前記キャップ部材又は前記ワイパ部材の少なくともいずれか一方の前記液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する閉塞手段を設けた。
【0018】
これによれば、閉塞手段は、キャップ部材又はワイパ部材の少なくともいずれか一方の液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、第1の誘導チューブ又は第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する。そして、吸引手段は、第1及び第2の誘導チューブのうち閉塞手段によって閉塞されずにいる一方の誘導チューブを選択して液体を吸引し廃液貯留部に貯留する。液体噴射装置は、吸引手段に一方の誘導チューブから液体を吸引させることで、吸引手段の吸引能力が低い場合であっても、十分に吸引させることができる。従って、液体噴射装置は、安価な吸引手段を容易に採用することができる。さらに、吸引手段に、第1及び第2の誘導チューブから選択して吸引させることで、第1及び第2の誘導チューブに対してそれぞれ吸引手段を設ける必要がなく、吸引機構の部品点数を低減することができる。この結果、液体噴射装置の製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1は、本実施形態のプリンタの概略を説明する斜視図である。図2は、プリンタのメンテナンスユニットの概略を説明するブロック図である。
【0020】
図1に示すように、液体噴射装置としてのプリンタ1は、本体フレームとして略直方体形状のフレーム2を備えている。フレーム2内には、その長手方向にプラテン3が配設されている。プラテン3は、記録用紙Pを支持する支持台であって、プラテン3上には、図示しない紙送り機構によって記録用紙Pが給送されるようになっている。プラテン3の下方には、使用したインクを貯留する廃液貯留部としての廃インクタンク4が接続されている。
【0021】
フレーム2内には、プラテン3と平行となるようにガイド部材5が架設されている。このガイド部材5には、ガイド部材5に沿って移動可能なキャリッジ6が挿通支持されている。また、フレーム2には、駆動プーリ7a及び従動プーリ7bが設けられていて、駆動プーリ7aには、正逆回転可能なキャリッジモータ8が接続されている。駆動プーリ7a及び従動プーリ7bには、タイミングベルト9が掛け装されていて、キャリッジ6は、タイミングベルト9を介してキャリッジモータ8と駆動連結されている。そして、キャリッジ6は、キャリッジモータ8によってタイミングベルト9を介して駆動されることで、ガイド部材5に案内されてプラテン3と平行(主走査方向)に往復移動するようになっている。
【0022】
図2に示すように、キャリッジ6には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド10が設けられている。この記録ヘッド10は、プラテン3と対向するノズル形成面10aを有していて、同ノズル形成面10aには、吐出するインクの種類に対応して設けられた複数のノズルNからなる6つのノズル列が設けられている。
【0023】
キャリッジ6には、第1〜第6インクカートリッジ11〜16が着脱可能に装填されている。第1〜第6インクカートリッジ11〜16には、図示しない貯留室内に、それぞれ
液体としてのインク(本実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ)がそれぞれ貯留されている。各インクは、記録ヘッド10内に設けられた図示しない圧電素子によって加圧されて、対応するノズルNからそれぞれ吐出される。
【0024】
このように構成されたプリンタ1では、印刷の際に、キャリッジ6をガイド部材5に沿って往復移動させるとともに、記録ヘッド10の各ノズルNからインク滴を吐出することで、記録用紙Pにドットを形成して画像等を印刷するようになっている。
【0025】
そして、プリンタ1では、フレーム2内のキャリッジ6を移動させ印刷するための領域を印刷領域としている。さらに、プリンタ1では、フレーム2内の図1に示す右側に、クリーニング操作時にキャリッジ6を退避させるための領域を非印刷領域としている。
【0026】
非印刷領域には、非印刷領域に退避してくるキャリッジ6の記録ヘッド10を、クリーニング等のメンテナンスをするメンテナンスユニット17が設けられている。
図1に示すように、メンテナンスユニット17は、略直方体形状の筐体に形成されたハウジング18を備えている。ハウジング18内には、非印刷領域に移動してくるキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aを払拭するワイパ部材21、ノズル形成面10aを封止するキャップ部材22が、ハウジング18の上面から露出するように収容されている。
【0027】
詳しくは、図2〜4に示すように、ハウジング18内には、ワイパ部材21及びキャップ部材22を載置するホルダ23が設けられている。ホルダ23は、薄型の略直方体形状に形成され、その上面23aに略直方体形状の第1収容部24が凹設されている。この第1収容部24は、キャップ部材22を収容するためのものである。第1収容部24の底面25には、コイルバネ等の2つのバネ部材26が配設されて第1収容部24内に収容されるキャップ部材22を上下方向に弾性支持する。そして、尚、バネ部材26によって支持されたキャップ部材22は、図示しない規制部材によって、第1収容部24内から脱落しないように規制されている。また、第1収容部24の底面25の中央位置には、ホルダ23の下面23bに貫通する案内孔27が貫通形成されている。
【0028】
また、第1収容部24に収容されるキャップ部材22は、薄型の箱状に形成されたキャップケース28を備えている。キャップケース28は、上面28aが開口されていて、その開口縁部に、記録ヘッド10のノズル形成面10aに当接するゴム等のシール部材29が立設されている。また、キャップケース28内の底面30には、記録ヘッド10から吐出されたインクを受け止めるための吸収体31が配設されている。さらに、キャップケース28の下面28bの中央位置には、円筒状の第1導出ポート32が設けられている。第1導出ポート32は、キャップケース28内の底面30に連通する第1連通孔32aが形成されている。そして、このように構成されたキャップ部材22は、第1収容部24内に収容される際に、第1導出ポート32が、ホルダ23の案内孔27に一致するように位置決めされるようになっている。
【0029】
一方、ホルダ23の図2及び図4に示す左側には、平板状の支持台33が延出形成されている。支持台33の左端部には、支持板34が上方向に延出形成されている。そして、この支持板34には、支持板34に沿って平板状に形成されたワイパ部材21が立設されている。
【0030】
また、支持台33には、ワイパ部材21の下部に位置するように、略直方体形状のインク受け部35が凹設されている。インク受け部35は、ワイパ部材21によって払拭され、同ワイパ部材21を伝わって落ちるインクを受け止めるためのものである。さらに、支
持台33の下面33bには、円筒状の第2導出ポート36が設けられている。第2導出ポート36は、前記第1導出ポート32と横方向(主走査方向)に一直線上となるように並設されていて、インク受け部35内の底面37に連通する第2連通孔36aが形成されている。
【0031】
このように構成されたホルダ23の第1及び第2導出ポート32,36には、それぞれ第1及び第2の誘導チューブとして第1及び第2チューブT1,T2の一端部が接続されている。第1チューブT1の他端部は、ホルダ23の案内孔27を通って下面23bから垂下され、二股ソケット38の右側ポート部38a接続されている。第2チューブT2の他端部は、支持台33の下面33bから垂下され、二股ソケット38の左側ポート部38bに接続されている。二股ソケット38は、右及び左側ポート部38a,38bにそれぞれ連通するニ叉路の流路39を備えていて、流路39は、共通ポート部38cに連通している。そして、二股ソケット38の共通ポート部38cは、第3チューブT3を介して廃インクタンク4に接続されている。これによって、第1及び第2導出ポート32,36は、それぞれ第1及び第2チューブT1,T2と、二股ソケット38及び第3チューブT3を介して廃インクタンク4に接続されている。
【0032】
図2に示すように、第3チューブT3の途中には、チューブポンプ又はギヤポンプ等の吸引手段としての吸引ポンプ40が接続されている。吸引ポンプ40は第1駆動モータM1に接続されていて、吸引ポンプ40は、第1駆動モータM1から駆動力が伝達されると、伝達された駆動力に応じて第3チューブT3内に負圧を生成するようになっている。そして、第3チューブT3内にて生成された負圧は、二股ソケット38を介して、それぞれ第1及び第2チューブT1,T2に分岐して供給される。
【0033】
このように構成することによって、吸引ポンプ40にて生成された負圧が、第1チューブT1を介してキャップ部材22内に供給されると、キャップ部材22によって記録ヘッド10から受け止められたインクは、チューブT1から二股ソケット38及びチューブT3を介して廃インクタンク4に排出される。また、吸引ポンプ40にて生成された負圧が、第2チューブT2を介してインク受け部35に供給されると、ワイパ部材21の払拭によってインク受け部35に受け止められたインクは、チューブT2から二股ソケット38及びチューブT3を介して廃インクタンク4に排出される。
【0034】
そして、このように構成されたホルダ23は、メンテナンスユニット17のハウジング18内に設けられた吸引機構を構成する昇降機構41によって、非印刷領域に位置するキャリッジ6の記録ヘッド10に対して、上下方向に昇降し、準備位置P1、払拭位置P2及び封止位置P3の3位置に位置決めされるようになっている。
【0035】
図7は、ホルダ23が、非印刷領域から印刷領域に移動するキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aに対して、ワイパ部材21及びキャップ部材22が最も離間する相対位置として準備位置P1に位置決めされている状態を示す。従って、キャリッジ6が印刷領域にて印刷動作を実行している際には、ホルダ23は、準備位置P1に位置するようになっている。また、図9は、ホルダ23が、非印刷領域から印刷領域に移動するキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aに、ワイパ部材21が当接し、ワイパ部材21によってノズル形成面10aが払拭される相対位置として払拭位置P2に位置決めされている状態を示す。払拭位置P2は、準備位置P1に比べてホルダ23がノズル形成面10aに対して接近している。さらに、図11は、ホルダ23が、非印刷領域に退避し停止しているキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aに、キャップ部材22が当接し、キャップ部材22によってノズル形成面10aの各ノズルNが封止される相対位置として封止位置P3に位置決めされている状態を示す。封止位置P3は、準備位置P1及び払拭位置P2に比べて、ホルダ23がノズル形成面10aに対して最も接近して
いる。
【0036】
次に、昇降機構41の構成について図2及び図3、図5〜図10に従って説明する。
図3に示すように、昇降機構41は、メンテナンスユニット17のハウジング18内に固定支持された筐体42を備えている。筐体42は、平板状の背板43と、背板43の両端部から、図3に示す手前方向に延出形成された平板状の右及び左側板44,45から構成されている。右側板44の内側面44aには、軸部46が固着されている。軸部46には、駆動ギヤ47が回転可能に取着されている。駆動ギヤ47は、メンテナンスユニット17のハウジング18内に設けられた第2駆動モータM2(図2参照)の出力軸に固着されたギア(図示しない)と噛合されていて、第2駆動モータM2からの駆動力によって回転するようになっている。
【0037】
一方、図8、図10、図12に示すように、右及び左側板44,45間には、第1軸部材50が回転可能に支持されている。
右及び左側板44,45に支持される第1軸部材50には、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、閉塞手段及び押圧部材としての第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55が設けられている。第1ピニオンギヤG1は、第1軸部材50の右側板44側に固着され、前記駆動ギヤ47と噛合している。第1ピニオンギヤG1の左側には、円板状に形成された第1区画板53が第1軸部材50に対して固着されている。第1区画板53の直径は、第1ピニオンギヤG1の直径よりも大きく形成されている。第1区画板53の左側には、略円柱状に形成された第1押圧部材51が第1軸部材50に対して固着されている。第1押圧部材51の直径は、第1ピニオンギヤG1のピッチ円直径と同じ大きさであり、第1区画板53の直径よりも小さく形成されている。第1押圧部材51の左側には、円板状に形成された第2区画板54が第1軸部材50に対して固着されている。第2区画板54の直径は、第1区画板53の直径と同じ大きさに形成されている。
【0038】
第2区画板54の左側には、略円柱状に形成された第2押圧部材52が第1軸部材50に対して固着されている。第2押圧部材52の直径は、第1押圧部材51の直径と同じ大きさであって、第1押圧部材と同様に第1ピニオンギヤG1のピッチ円直径と同じ大きさに形成されている。第2押圧部材52の左側には、円板状に形成された第3区画板55が第1軸部材50に対して固着されている。第3区画板55は、第1及び第2区画板53,54の直径と同じ大きさに形成されている。第3区画板55の左側には、第2ピニオンギヤG2が第1軸部材50に対して固着されている。第2ピニオンギヤG2は、上述したように第1ピニオンギヤG1と同じ大きさのピッチ円直径に形成されている。即ち、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55は、第1軸部材50と一体となって回転する。従って、第2駆動モータM2が回転して駆動ギヤ47を介して第1ピニオンギヤG1が回転されると、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55は、第1軸部材50と一体に回転する。このとき、第2駆動モータM2が正回転すると、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55は、図3において矢印56方向に回転する。反対に、第2駆動モータM2が逆回転すると、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55は、矢印56方向と反対方向に回転するようになっている。
【0039】
また、第1軸部材50に固着される第1押圧部材51には、図6(b)に示すように、その第1外周面51aに第1平面部51bが設けられている。第1平面部51bは、第1軸部材50の軸心に対して垂直をなすように、第1外周面51aの図6(b)に示す右斜め上方向の一部を切欠いて形成されている。さらに、第1軸部材50に固着される第2押圧部材52には、図6(a)に示すように、その第2外周面52aに第2平面部52bが設けられている。第2平面部52bは、第1軸部材50の軸心に対して垂直をなすように
、第2外周面52aの図6(a)に示す上方向の一部を切欠いて形成されている。
【0040】
そして、このように構成された第1及び第2押圧部材51,52は、第2駆動モータM2が正回転して回転すると、この回転に伴って、それぞれ第1及び第2外周面51a,52a又は第1及び第2平面部51b,52bが背板43に対して相対向するようになっている。詳しくは、図8に示すように、第1押圧部材51が第1外周面51aを背板43に相対向しているときには、第2押圧部材52は、その第2外周面52aが背板43に相対向する。図8に示す状態から、図10に示すように、第1及び第2押圧部材51,52が矢印56方向に回転すると、第1押圧部材51は第1外周面51aがいまだ背板43に相対向した状態で、第2押圧部材52の第2平面部52bが背板43に相対向するようになっている。さらに、図10に示す状態から、図12に示すように、第1及び第2押圧部材51,52が矢印56方向に回転すると、第1押圧部材51の第1平面部51bが背板43に相対向した状態となり、第2押圧部材52は、その第2外周面52aが背板43に相対向した状態となる。
【0041】
他方、図7〜図12に示すように、右及び左側板44,45の内側面44a,45aであって背板43側には、左右一対の第1及び第2レール部57,58が上下方向に相対向して延設されている。第1及び第2レール部57,58は、断面凹状に形成されていて、互いに相対向している。そして、第1及び第2レール部57,58間には、ラック59が取着されている。
【0042】
詳しくは、ラック59は、平板状に形成され、その両端部は、第1及び第2レール部57,58に嵌合し、第1及び第2レール部57,58にガイドされて上下方向に摺動可能となっている。そして、ラック59は、第1及び第2レール部57,58に取着されることで、前記第1軸部材50に固着した第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55に相対向するようになっている。
【0043】
ラック59の正面60には、その上下方向に断面凹状第1〜第3溝部61〜63が延設されている。第1〜第3溝部61〜63には、第1〜第3区画板53〜55が嵌合される。第1〜第3溝部61〜63を形成したことで、ラック59の正面60に形成される第1及び第2凸部64,65は、第1及び第2押圧部材51,52とそれぞれ相対向するようになっている。そして、ラック59は、第1及び第2レール部57,58に案内されるとともに、第1〜第3溝部61〜63に嵌合する第1〜第3区画板53〜55によって正面60側を位置決めされる。これによって、ラック59は、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55に相対向した状態で、筐体42に対して上下方向に移動することができるようになっている。
【0044】
また、ラック59の正面60には、第1及び第2ラックギヤ66,67が上下方向に延設されている。第1ラックギヤ66は、ラック59の右端部と第1溝部61の間に設けられ、第1ピニオンギヤG1と同じピッチで歯が形成されている。第2ラックギヤ67は、ラック59の左端部と第3溝部63の間に形成されていて、第2ピニオンギヤG2と同じピッチで形成されている。即ち、第1及び第2ラックギヤ66,67と、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2とは互いに同じピッチで歯が形成されている。このように構成された第1及び第2ラックギヤ66,67は、それぞれ第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と噛合されている。
【0045】
そして、ラック59は、第2駆動モータM2が正回転して第1及び第2ピニオンギヤG1,G2が矢印56方向に回転すると、上方向に摺動する。反対に、ラック59は、第2駆動モータM2が逆回転して第1及び第2ピニオンギヤG1,G2が、矢印56方向と反対方向に回転すると下方向に摺動する。このとき、ラック59の上下移動に伴って、第1
及び第2押圧部材51,52は回転し、それぞれラック59の第1及び第2凸部64,65に対して第1及び第2外周面51a,52a又は第1及び第2平面部51b,52bを相対向させるようになっている。
【0046】
そして、ラック59の第1凸部64と第1押圧部材51は、第1凸部64と第1外周面51aが相対向しているときに最も接近し、第1凸部64と第1平面部51bが相対向しているときに最も離間する。さらに、ラック59の第2凸部65と第2押圧部材52は、第2凸部65と第2外周面52aが相対向しているときに最も接近し、第2凸部65と第2平面部52bが相対向しているときに最も離間するようになっている。
【0047】
このラック59の上端部には、前記ホルダ23の下面23bが固着されている。従って、ラック59が上下方向に移動すると、ホルダ23も上下方向に移動することになる。つまり、ホルダ23は、第2駆動モータM2の正逆回転によって、前記準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3のいずれかの位置に位置決めされる。そして、ホルダ23の下面23bから垂下された第1チューブT1は、第1押圧部材51と第1凸部64の間に挿入され、第1及び第2区画板53,54によって左右方向の移動が規制されて位置決めされている。また、ホルダ23の支持台33の下面33bから垂下された第2チューブT2は、第2押圧部材52と第2凸部65の間に挿入され、第2及び第3区画板54,55によって左右方向の移動が規制されて位置決めされている。従って、第1及び第2押圧部材51,52とラック59の第1及び第2凸部64,65は、ホルダ23の準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3への移動に伴って、互いの離間距離を変化させることで、第1及び第2チューブT1,T2を押し潰すようになっている。
【0048】
つまり、図7及び図8に示すように、ホルダ23が準備位置P1にあるとき、第1及び第2押圧部材51,52は、第1及び第2外周面51a,52aを、それぞれラック59の第1及び第2凸部64,65と相対向させ第1及び第2チューブT1,T2を押し潰し閉塞させている。この状態から、図9及び図10に示すように、ホルダ23が払拭位置P2に移動すると、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23とともに上方向に移動する。このとき、第1押圧部材51は、第1外周面51aを第1チューブT1に押し付けながら回転し、第1チューブT1を閉塞した状態を維持する。一方、第2押圧部材52は、第2外周面52aを第2チューブT2に押し付けながら回転した後、第2平面部52bを第2チューブT2及び第2凸部65に相対向させ第2チューブT2を開放する。
【0049】
この状態から、図11及び図12に示すように、ホルダ23が封止位置P3に移動すると、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23とともに上方向に移動する。このとき、第1押圧部材51は、第1外周面51aを第1チューブT1に押し付けながら回転した後、第1平面部51bを第1チューブT1及び第1凸部64に相対向させ第1チューブT1を開放する。一方、第2押圧部材52は、第2平面部52bを第2チューブT2に相対向させながら回転した後、第2外周面52aを第2チューブT2及び第2凸部65に相対向させて第2チューブT2を押し潰し閉塞する。
【0050】
これによって、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23が準備位置P1に位置したときには閉塞され非連通状態となっている。また、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23が払拭位置P2に位置しているときには、第1チューブT1は閉塞され非連通状態となり、第2チューブT2は開放され連通状態となる。さらに、ホルダ23が封止位置P3に位置しているときには、第1チューブT1は開放され連通状態となり、第2チューブT2は閉塞され非連通状態となる。即ち、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23の準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3への移動に伴って、選択されて連通状態又は非連通状態にされる。
【0051】
そして、このように構成された昇降機構41は、プリンタ1のフレーム2内に設けられた制御部70によって、駆動制御されるようになっている。
図2に示すように、制御部70はCPU71、メモリ72、出力回路73等を備えている。制御部70のCPU71は、メモリ72に予め記憶された制御プログラムに基づいて、出力回路73から第1及び第2駆動モータM1,M2に、第1及び第2駆動電流Ia,Ibをそれぞれ出力させ第1及び第2駆動モータM1,M2を駆動制御するようになっている。そして、昇降機構41は、駆動制御された第2駆動モータM2の回動量に応じて、ホルダ23を準備位置P1、払拭位置P2又は封止位置P3に移動させるようになっている。また、制御部70のCPU71は、出力回路73からキャリッジモータ8に図示しない駆動電流を出力させてキャリッジモータ8を駆動制御し、キャリッジ6を移動させるようになっている。さらに、制御部70のCPU71は、出力回路73から記録ヘッド10の各ノズルN内の圧電素子に駆動電圧を供給させて記録ヘッド10を駆動制御し、各ノズルNからインクを吐出させるようになっている。
【0052】
次に、上述したプリンタ1のクリーニング操作について図7〜図12に従って説明する。
CPU71は、プリンタ1の起動時に、キャリッジ6の記録ヘッド10の各ノズルNをクリーニングするクリーニング操作を実行するようになっている。そして、ホルダ23は、プリンタ1の起動時に封止位置P3に位置し、キャップ部材22にて記録ヘッド10の各ノズルNを封止している。
【0053】
CPU71は、図示しない電源スイッチがオン操作されてプリンタ1が起動されると、出力回路73から第1駆動モータM1に第1駆動電流Iaを出力させ、吸引ポンプ40を駆動し第3チューブT3内に負圧を生成させる。このとき、キャップ部材22に接続される第1チューブT1は連通状態、インク受け部35に接続される第2チューブT2は非連通状態となっている。従って、吸引ポンプ40にて生成される負圧は、第3チューブT3、二股ソケット38及び第1チューブT1を介してキャップ部材22に供給される。これによって、キャップ部材22内には負圧が供給され、キャップ部材22によって封止される記録ヘッド10の各ノズルNからは、増粘したインク等が吸引される。そして、吸引されたインクは、キャップ部材22から第1チューブT1、二股ソケット38及び第3チューブT3を介して廃インクタンク4に排出される。
【0054】
次に、CPU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、封止位置P3に位置するホルダ23を払拭位置P2に移動させる。ホルダ23が、払拭位置P2に位置すると、キャップ部材22に接続される第1チューブT1は非連通状態、インク受け部35に接続される第2チューブT2は連通状態となる。従って、吸引ポンプ40にて生成される負圧は、第3チューブT3、二股ソケット38及び第2チューブT2を介してインク受け部35に供給される。
【0055】
CPU71は、ホルダ23が払拭位置P2に位置すると、出力回路73からキャリッジモータ8に駆動電流を供給させ、非印刷領域にいるキャリッジ6を印刷領域に移動させる。このとき、印刷領域に移動するキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aは、ワイパ部材21によって払拭される。そして、払拭されたインクは、インク受け部35によって受け止められた後、第2チューブT2、二股ソケット38及び第3チューブT3を介して廃インクタンク4に排出される。
【0056】
そして、CPU71は、キャリッジ6を印刷領域にて移動させ続けるとともに、出力回路73から記録ヘッド10の圧電素子に駆動電圧を供給し各ノズルNからインクを吐出させて印刷動作を実行する。このとき、CPU71は、出力回路73から第1駆動モータM1への第1駆動電流Iaの供給を遮断し吸引ポンプ40の駆動を停止させる。さらに、C
PU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、払拭位置P2に位置するホルダ23を準備位置P1に移動させクリーニング操作を停止する。
【0057】
また、CPU71は、上述した印刷動作の実行中に定期的にクリーニング操作をするようになっている。
この場合、CPU71は、出力回路73から記録ヘッド10の圧電素子への駆動電圧の供給を遮断し、各ノズルNからのインクの吐出を停止させる。CPU71は、出力回路73からキャリッジモータ8に駆動電流を供給させ、印刷領域にいるキャリッジ6を非印刷領域に移動させる。そして、キャリッジ6の記録ヘッド10と、キャップ部材22を相対向させる。次に、CPU71は、出力回路73から第1駆動モータM1に第1駆動電流Iaを供給し吸引ポンプ40を駆動する。CPU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、準備位置P1に位置するホルダ23を封止位置P3に移動させ、記録ヘッド10をキャップ部材22にて封止する。そして、記録ヘッド10の各ノズルNから増粘したインク等を吸引させ廃インクタンク4に排出させる。CPU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、封止位置P3に位置するホルダ23を払拭位置P2に移動させた後、出力回路73からキャリッジモータ8に駆動電流を供給させ、非印刷領域にいるキャリッジ6を印刷領域に移動させる。これによって、記録ヘッド10のノズル形成面10aは、ワイパ部材21にて払拭される。そして、CPU71は、キャリッジ6を印刷領域にて移動させ続けるとともに、出力回路73から記録ヘッド10の圧電素子に駆動電圧を供給し各ノズルNからインクを吐出させて印刷動作を再開する。このとき、CPU71は、出力回路73から第1駆動モータM1への第1駆動電流Iaの供給を遮断し吸引ポンプ40の駆動を停止させ、さらに、払拭位置P2に位置するホルダ23を準備位置P1に移動させクリーニング操作を停止する。
【0058】
さらに、CPU71は、図示しない電源スイッチがオフ操作されると、出力回路73から記録ヘッド10の圧電素子への駆動電圧の供給を遮断し、各ノズルNからのインクの吐出を停止させる。CPU71は、出力回路73からキャリッジモータ8に駆動電流を供給させ、印刷領域にいるキャリッジ6を非印刷領域に移動させ、キャリッジ6の記録ヘッド10とキャップ部材22を相対向させる。そして、CPU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、準備位置P1に位置するホルダ23を封止位置P3に移動させ記録ヘッド10をキャップ部材22にて封止した後、プリンタ1を停止する。
【0059】
以上、上記した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態の昇降機構41では、ワイパ部材21及びキャップ部材22を備えたホルダ23を上下動可能なラック59に、固着させた。そして、第2駆動モータM2の回転によって、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2を回転させることで、ラック59を上下方向に移動させてホルダ23を準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3に位置させるように構成した。
【0060】
また、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と一体に第1及び第2押圧部材51,52を回転させて、ホルダ23が準備位置P1に位置したときには、第1及び第2チューブT1,T2を第1及び第2押圧部材51,52にて押し潰して共に非連通状態とするようにした。また、ホルダ23が払拭位置P2に位置しているときには、第1チューブT1を第1押圧部材51にて押し潰して非連通状態とし、第2チューブT2を開放し連通状態とするようにした。さらに、ホルダ23が封止位置P3に位置したときには、第1チューブT1を開放し連通状態とし、第2チューブT2を第2押圧部材52にて押し潰して非連通状態とするようにした。そして、吸引ポンプ40によって第3チューブT3内に生成される
負圧を、ホルダ23が払拭位置P2に位置しているときには、第2チューブT2を介してインク受け部35に供給させ、ホルダ23が封止位置P3に位置しているときには、第2チューブT2を介してキャップ部材22内に供給させるようにした。
【0061】
従って、昇降機構41は、ホルダ23の各位置P1,P2,P3に応じて、吸引ポンプ40からの負圧をインク受け部35又はキャップ部材22に選択して供給することができる。さらに、昇降機構41は、第1及び第2チューブT1,T2を閉塞するために、別途、駆動源を設ける必要がない。しかも、このように構成された昇降機構41を備えることで、従来のインクジェット式記録装置のように切り替え弁を設ける必要がなく部材点数を低減することができる。さらに、昇降機構41は、吸引ポンプ40から生成される負圧を、インク受け部35又はキャップ部材22に選択して供給することで、それぞれに対して吸引ポンプを設ける場合に比べて、部材点数を低減することができる。
さらに、このように吸引ポンプ40からの負圧を選択して供給することで、吸引ポンプ40が安価で吸引能力が低い場合であっても、インク受け部35又はキャップ部材22に十分に負圧を供給させインクを吸引させことができる。この結果、安価な吸引ポンプ40を容易に採用することができるので、プリンタ1の製造コストを低減することができる。
【0062】
(2)本実施形態の昇降機構41では、第1及び第2押圧部材51,52、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2を第1軸部材50に固着して、第1軸部材50と一体に回転するように構成した。そして、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と、ラック59の第1及び第2ラックギヤ66,67とを噛合させ、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2の回転によってラック59を上下方向に移動させるようにした。さらに、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と一体に回転する第1及び第2押圧部材51,52によって、ラック59の移動に応じて、第1及び第2チューブT1,T2を、それぞれ閉塞又は開放し、非連通状態又は連通状態とさせるようにした。
このように構成することによって、昇降機構41は、第1及び第2チューブT1,T2を、例えば、電磁ソレノイドバルブ等によって閉塞又は開放する場合に比べて、その閉塞箇所について電気的な影響を受けることがない。従って、昇降機構41は、第1及び第2チューブT1,T2を正確に閉塞又は開放することができる。そして、昇降機構41は、吸引ポンプ40にて生成された負圧を、インク受け部35又はキャップ部材22に正確に供給することができる。これによって、昇降機構41は、ワイパ部材21によってノズル形成面10aから払拭されたインクや、キャップ部材22によって受け止められた各ノズルNからのインクを、正確に吸引し廃インクタンク4に排出させることができる。この結果、クリーニング操作時のインクの漏洩等によるフレーム2内の汚染を、効果的に抑制することができる。
【0063】
(3)本実施形態の昇降機構41では、第1及び第2押圧部材51,52の直径を、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2のピッチ円直径と同じ大きさに構成した。そして、第1及び第2押圧部材51,52を、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と一体に回転させ、第1及び第2外周面51a,52aにて第1及び第2チューブT1,T2を押し潰させて閉塞させるようにした。
【0064】
このように構成したことによって、第1及び第2押圧部材51,52の第1及び第2外周面51a,52aが第1及び第2チューブT1,T2をそれぞれ押し潰しながら回転する回転速度と、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2がラック59の第1及び第2ラックギヤ66,67と噛合しながら回転する回転速度とを等しくすることができる。これによって、第1及び第2押圧部材51,52の第1及び第2外周面51a,52aは、第1及び第2チューブT1,T2に滑ることなく正確に当接し、第1及び第2チューブT1,T2を正確に押し潰すことができる。この結果、吸引ポンプ40にて生成された負圧を、第1又は第2チューブT1,T2を介してインク受け部35又はキャップ部材22に正確に
供給することができる。さらに、このように正確に押し潰すことで、第1及び第2チューブT1,T2にかかる偏荷重を低減することができるので、第1及び第2チューブT1,T2の寿命を延ばすことができる。この結果、プリンタ1の低コスト化を実現することができる。
(4)本実施形態の昇降機構41では、第1及び第2押圧部材51,52によって、第1及び第2チューブT1,T2の途中を押圧し閉塞させるように構成した。これによって、従来のインクジェット式記録装置のように各チューブの分岐位置に切り替え弁を設け場合に比べて、第1チューブT1又は第2チューブT2を確実に閉塞することができる。この結果、吸引ポンプ40にて生成された負圧を、第1又は第2チューブT1,T2を介してインク受け部35又はキャップ部材22に正確に供給することができる。
【0065】
尚、発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23が準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3に位置すると、少なくともいずれか一方が、第1及び第2押圧部材51,52にて閉塞されように構成したが、この限りではなく、これに加えて第1及び第2チューブT1,T2の両方が開放されるように構成してもよい。このとき、第1及び第2押圧部材51,52の構成を適宜変更することが望ましい。
・上記実施形態では、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2ラックギヤ66,67を設けたが、この限りではなく、ラック59を上下方向に移動させることができれば、ピニオンギヤ及びラックギヤの数を適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55をそれぞれ第1軸部材50に固着し一体に回転できるように構成したが、この限りではなく、これら各部材を樹脂又は金属等によって一体成形してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2押圧部材51,52に、それぞれ1つずつ第1及び第2平面部51b,52bを形成したが、この限りではなく、第1及び第2平面部51b,52bの数を適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2チューブT1,T2を設け、吸引ポンプ40にて生成される負圧が選択して供給されるように構成したが、この限りではなく、チューブの数を適宜変更してもよい。このとき、押圧部材の数も適宜変更することが望ましい。従って、例えば、第1及び第2チューブT1,T2に加えて第4チューブを設けてもよい。このとき、二股ソケット38を三叉路の流路を備えたソケットに変更し第4チューブと接続させるとよい。さらに、第3押圧部材を設け、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と一体に回転させ、適宜、第4チューブを閉塞又は開放させるとよい。
・上記実施形態では、第1〜第3チューブT1〜T3を、二股ソケット38を介して接続したが、この限りではなく、第1〜第3チューブT1〜T3を1つの二股に形成されたチューブに変更してもよい。
・上記実施形態では、液体噴射装置をプリンタ1に具体化したが、この限りではなく、他の液体を噴射する液体噴射装置に具体化するようにしてもよい。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。このとき、昇降機構41の構成を適宜変更することが望ましい
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態のプリンタの概略を説明する斜視図。
【図2】同プリンタのメンテナンスユニットの概略を説明するブロック図。
【図3】同メンテナンスユニットの昇降機構の構成を説明する斜視図。
【図4】図3におけるホルダのA−A線方向の要部部分断面図。
【図5】第1及び第2押圧部材と第1及び第2ピニオンギヤの正面図。
【図6】(a)図5における第2押圧部材のB−B線方向の断面図、(b)図5における第1押圧部材のC−C線方向の断面図。
【図7】昇降機構の構成及び作用を説明する正面図。
【図8】図7における昇降機構のD−D線方向の断面図。
【図9】昇降機構の構成及び作用を説明する正面図。
【図10】図9における昇降機構のE−E線方向の断面図。
【図11】昇降機構の構成及び作用を説明する正面図。
【図12】図11における昇降機構のF−F線方向の断面図。
【符号の説明】
【0067】
1…液体噴射装置としてのプリンタ、4…廃液貯留部としての廃インクタンク、10…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、21…ワイパ部材、22…キャップ部材、40…吸引手段としての吸引ポンプ、41…吸引機構を構成する昇降機構、51,52…閉塞手段及び押圧部材としての第1及び第2押圧部材、59…ラック、66,67…ラックギヤとしての第1及び第2ラックギヤ、G1,G2…ピニオンギヤとしての第1及び第2ピニオンギヤ、N…ノズル、P1…相対位置としての準備位置、P2…相対位置としての払拭位置、P3…相対位置としての封止位置、T1…第1の誘導チューブとしての第1チューブ、T2…第2の誘導チューブとしての第2チューブ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置及び液体噴射装置の吸引機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体噴射装置の1つとして、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドのノズル形成面に形成されたノズルから、記録媒体に向けてインクを吐出し、ドットを形成することで記録を行うインクジェット式記録装置が広く知られている。
【0003】
一般に、インクジェット式記録装置は、ノズル形成面に付着したインクを払拭するワイパ部材、ノズル形成面のノズルを適宜封止し吐出されるインクを受け止めるキャップ部材等を備えている。さらに、インクジェットッ式記録装置には、ワイパ部材にて払拭されたインクや、キャップ部材にて受け止められたインクを、負圧を生成することで吸引し廃インクタンク等に排出する吸引機構を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載のインクジェット式記録装置では、ワイパ部材及びキャップ部材を備えている。このワイパ部材及びキャップ部材は、それぞれチューブを介して1つの切り替え弁に接続されている。さらに、切り替え弁には、吸引ポンプが接続され、吸引ポンプには廃インクタンクが接続されている。これによって、ワイパ部材及びキャップ部材は、切り替え弁及び吸引ポンプを介して廃インクタンクに接続されている。
【0005】
そして、インクジェット式記録装置では、吸引ポンプにて生成された負圧を、切り替え弁によって選択されたチューブを介して、ワイパ部材又はキャップ部材のいずれか一方に供給していた。そして、負圧が選択供給されたワイパ部材又はキャップ部材からは、インクが吸引され、吸引されたインクは、廃インクタンクに排出されていた。
【特許文献1】特開平7−137271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、インクジェット式記録装置では、ワイパ部材又はキャップ部材を、ノズル形成面に当接又は離間するように移動させる移動機構を備えている。そして、ワイパ部材によるノズル形成面の払拭、又はキャップ部材によるノズル形成面の封止を行う際には、この移動機構によって、ワイパ部材又はキャップ部材を移動させ当接させることで行っていた。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1のインクジェット式記録装置では、この昇降機構の他に切り替え弁を設けなければならず、その部品点数が増加しインクジェット式記録装置の製造コストが増大する虞があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、部品点数を低減することができる吸引機構及び同吸引機構を備えた液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体噴射装置の吸引機構は、液体噴射ヘッドのノズルから噴射される液体を受け止めるキャップ部材から同液体を誘導する第1の誘導チューブと、前記液体噴射ヘッドを払拭するワイパ部材によって払拭された前記液体を誘導する第2の誘導チューブと、前記第1及び第2の誘導チューブを介して前記それぞれの液体を吸引する吸引手段とを備え
た液体噴射装置の吸引機構において、前記キャップ部材又は前記ワイパ部材の少なくともいずれか一方の前記液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する閉塞手段を設けた。
【0010】
これによれば、閉塞手段は、キャップ部材又はワイパ部材の少なくともいずれか一方の液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、第1の誘導チューブ又は第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する。そして、吸引手段は、第1及び第2の誘導チューブのうち閉塞手段によって閉塞されずにいる一方の誘導チューブを選択して液体を吸引する。このように、吸引手段に一方の誘導チューブから液体を吸引させることで、吸引手段の吸引能力が低い場合であっても、十分に吸引させることができる。従って、安価な吸引手段を容易に採用することができる。さらに、吸引手段に、第1及び第2の誘導チューブから選択して吸引させることで、第1及び第2の誘導チューブに対してそれぞれ吸引手段を設ける必要がなく、吸引機構の部品点数を低減することができる。この結果、本発明の吸引機構を備えた液体噴射装置の製造コストを低減することができる。
【0011】
この液体噴射装置の吸引機構の前記相対位置は、前記キャップ部材が前記液体噴射ヘッドの前記ノズルを封止する封止位置であって、前記閉塞手段は、前記キャップ部材が前記封止位置に位置すると、前記第1の誘導チューブを開放するとともに、前記第2の誘導チューブを閉塞する。
【0012】
これによれば、閉塞手段は、キャップ部材が封止位置に位置すると、第1の誘導チューブを開放するとともに、第2の誘導チューブを閉塞する。そして、吸引手段は、開放された第1の誘導チューブを介して液体を吸引する。この結果、吸引手段は、キャップ部材によって受け止められた液体を確実に吸引することができる。
【0013】
この液体噴射装置の吸引機構の前記相対位置は、前記ワイパ部材が前記液体噴射ヘッドを払拭する払拭位置であって、前記閉塞手段は、前記ワイパ部材が前記払拭位置に位置すると、前記第1の誘導チューブを閉塞するとともに、前記第2の誘導チューブを開放する。
【0014】
これによれば、閉塞手段は、ワイパ部材が払拭位置に位置すると、第1の誘導チューブを閉塞するとともに、第2の誘導チューブを開放する。そして、吸引手段は、開放された第2の誘導チューブを介して液体を吸引する。この結果、吸引手段は、ワイパ部材によって払拭された液体を確実に吸引することができる。
【0015】
この液体噴射装置の吸引機構は、前記キャップ部材及び前記ワイパ部材を支持するラックと、前記ラックに形成されたラックギヤと噛合し、回転することで、同ラックとともに前記キャップ部材及び前記ワイパ部材を移動させるピニオンギヤとを備え、前記閉塞手段は、前記ピニオンギヤと一体に回転して、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくとも一方を押し潰して閉塞する押圧部材である。
【0016】
これによれば、閉塞手段は、ラックを移動させるピニオンギヤと一体に回転して、第1の誘導チューブ又は第2の誘導チューブの少なくとも一方を押し潰し閉塞する。従って、本発明の吸引機構は、従来のインクジェット式記録装置のように切り替え弁等を別途設ける必要がなく、さらに第1及び第2の誘導チューブを閉塞するために駆動源を設ける必要がないので、部品点数を低減することができる。この結果、吸引機構を備えた液体噴射装置の製造コストを低減することができる。さらに、閉塞手段は、第1及び第2の誘導チューブを電磁ソレノイドバルブ等によって閉塞する場合に比べて、第1及び第2の誘導チューブの閉塞箇所について電気的な影響を受けることがない。この結果、閉塞手段は、第1及び第2の誘導チューブを正確に閉塞させることができる。
【0017】
本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドから噴射される液体を受け止めるキャップ部材と、前記キャップ部材にて受け止められた前記液体を誘導する第1の誘導チューブと、前記液体噴射ヘッドを払拭するワイパ部材と、前記ワイパ部材によって払拭された前記液体を誘導する第2の誘導チューブと、前記第1及び第2の誘導チューブを介して前記液体を吸引し、同液体を廃液貯留部に排出する吸引手段とを備えた液体噴射装置において、前記キャップ部材又は前記ワイパ部材の少なくともいずれか一方の前記液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する閉塞手段を設けた。
【0018】
これによれば、閉塞手段は、キャップ部材又はワイパ部材の少なくともいずれか一方の液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、第1の誘導チューブ又は第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する。そして、吸引手段は、第1及び第2の誘導チューブのうち閉塞手段によって閉塞されずにいる一方の誘導チューブを選択して液体を吸引し廃液貯留部に貯留する。液体噴射装置は、吸引手段に一方の誘導チューブから液体を吸引させることで、吸引手段の吸引能力が低い場合であっても、十分に吸引させることができる。従って、液体噴射装置は、安価な吸引手段を容易に採用することができる。さらに、吸引手段に、第1及び第2の誘導チューブから選択して吸引させることで、第1及び第2の誘導チューブに対してそれぞれ吸引手段を設ける必要がなく、吸引機構の部品点数を低減することができる。この結果、液体噴射装置の製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1は、本実施形態のプリンタの概略を説明する斜視図である。図2は、プリンタのメンテナンスユニットの概略を説明するブロック図である。
【0020】
図1に示すように、液体噴射装置としてのプリンタ1は、本体フレームとして略直方体形状のフレーム2を備えている。フレーム2内には、その長手方向にプラテン3が配設されている。プラテン3は、記録用紙Pを支持する支持台であって、プラテン3上には、図示しない紙送り機構によって記録用紙Pが給送されるようになっている。プラテン3の下方には、使用したインクを貯留する廃液貯留部としての廃インクタンク4が接続されている。
【0021】
フレーム2内には、プラテン3と平行となるようにガイド部材5が架設されている。このガイド部材5には、ガイド部材5に沿って移動可能なキャリッジ6が挿通支持されている。また、フレーム2には、駆動プーリ7a及び従動プーリ7bが設けられていて、駆動プーリ7aには、正逆回転可能なキャリッジモータ8が接続されている。駆動プーリ7a及び従動プーリ7bには、タイミングベルト9が掛け装されていて、キャリッジ6は、タイミングベルト9を介してキャリッジモータ8と駆動連結されている。そして、キャリッジ6は、キャリッジモータ8によってタイミングベルト9を介して駆動されることで、ガイド部材5に案内されてプラテン3と平行(主走査方向)に往復移動するようになっている。
【0022】
図2に示すように、キャリッジ6には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド10が設けられている。この記録ヘッド10は、プラテン3と対向するノズル形成面10aを有していて、同ノズル形成面10aには、吐出するインクの種類に対応して設けられた複数のノズルNからなる6つのノズル列が設けられている。
【0023】
キャリッジ6には、第1〜第6インクカートリッジ11〜16が着脱可能に装填されている。第1〜第6インクカートリッジ11〜16には、図示しない貯留室内に、それぞれ
液体としてのインク(本実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ)がそれぞれ貯留されている。各インクは、記録ヘッド10内に設けられた図示しない圧電素子によって加圧されて、対応するノズルNからそれぞれ吐出される。
【0024】
このように構成されたプリンタ1では、印刷の際に、キャリッジ6をガイド部材5に沿って往復移動させるとともに、記録ヘッド10の各ノズルNからインク滴を吐出することで、記録用紙Pにドットを形成して画像等を印刷するようになっている。
【0025】
そして、プリンタ1では、フレーム2内のキャリッジ6を移動させ印刷するための領域を印刷領域としている。さらに、プリンタ1では、フレーム2内の図1に示す右側に、クリーニング操作時にキャリッジ6を退避させるための領域を非印刷領域としている。
【0026】
非印刷領域には、非印刷領域に退避してくるキャリッジ6の記録ヘッド10を、クリーニング等のメンテナンスをするメンテナンスユニット17が設けられている。
図1に示すように、メンテナンスユニット17は、略直方体形状の筐体に形成されたハウジング18を備えている。ハウジング18内には、非印刷領域に移動してくるキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aを払拭するワイパ部材21、ノズル形成面10aを封止するキャップ部材22が、ハウジング18の上面から露出するように収容されている。
【0027】
詳しくは、図2〜4に示すように、ハウジング18内には、ワイパ部材21及びキャップ部材22を載置するホルダ23が設けられている。ホルダ23は、薄型の略直方体形状に形成され、その上面23aに略直方体形状の第1収容部24が凹設されている。この第1収容部24は、キャップ部材22を収容するためのものである。第1収容部24の底面25には、コイルバネ等の2つのバネ部材26が配設されて第1収容部24内に収容されるキャップ部材22を上下方向に弾性支持する。そして、尚、バネ部材26によって支持されたキャップ部材22は、図示しない規制部材によって、第1収容部24内から脱落しないように規制されている。また、第1収容部24の底面25の中央位置には、ホルダ23の下面23bに貫通する案内孔27が貫通形成されている。
【0028】
また、第1収容部24に収容されるキャップ部材22は、薄型の箱状に形成されたキャップケース28を備えている。キャップケース28は、上面28aが開口されていて、その開口縁部に、記録ヘッド10のノズル形成面10aに当接するゴム等のシール部材29が立設されている。また、キャップケース28内の底面30には、記録ヘッド10から吐出されたインクを受け止めるための吸収体31が配設されている。さらに、キャップケース28の下面28bの中央位置には、円筒状の第1導出ポート32が設けられている。第1導出ポート32は、キャップケース28内の底面30に連通する第1連通孔32aが形成されている。そして、このように構成されたキャップ部材22は、第1収容部24内に収容される際に、第1導出ポート32が、ホルダ23の案内孔27に一致するように位置決めされるようになっている。
【0029】
一方、ホルダ23の図2及び図4に示す左側には、平板状の支持台33が延出形成されている。支持台33の左端部には、支持板34が上方向に延出形成されている。そして、この支持板34には、支持板34に沿って平板状に形成されたワイパ部材21が立設されている。
【0030】
また、支持台33には、ワイパ部材21の下部に位置するように、略直方体形状のインク受け部35が凹設されている。インク受け部35は、ワイパ部材21によって払拭され、同ワイパ部材21を伝わって落ちるインクを受け止めるためのものである。さらに、支
持台33の下面33bには、円筒状の第2導出ポート36が設けられている。第2導出ポート36は、前記第1導出ポート32と横方向(主走査方向)に一直線上となるように並設されていて、インク受け部35内の底面37に連通する第2連通孔36aが形成されている。
【0031】
このように構成されたホルダ23の第1及び第2導出ポート32,36には、それぞれ第1及び第2の誘導チューブとして第1及び第2チューブT1,T2の一端部が接続されている。第1チューブT1の他端部は、ホルダ23の案内孔27を通って下面23bから垂下され、二股ソケット38の右側ポート部38a接続されている。第2チューブT2の他端部は、支持台33の下面33bから垂下され、二股ソケット38の左側ポート部38bに接続されている。二股ソケット38は、右及び左側ポート部38a,38bにそれぞれ連通するニ叉路の流路39を備えていて、流路39は、共通ポート部38cに連通している。そして、二股ソケット38の共通ポート部38cは、第3チューブT3を介して廃インクタンク4に接続されている。これによって、第1及び第2導出ポート32,36は、それぞれ第1及び第2チューブT1,T2と、二股ソケット38及び第3チューブT3を介して廃インクタンク4に接続されている。
【0032】
図2に示すように、第3チューブT3の途中には、チューブポンプ又はギヤポンプ等の吸引手段としての吸引ポンプ40が接続されている。吸引ポンプ40は第1駆動モータM1に接続されていて、吸引ポンプ40は、第1駆動モータM1から駆動力が伝達されると、伝達された駆動力に応じて第3チューブT3内に負圧を生成するようになっている。そして、第3チューブT3内にて生成された負圧は、二股ソケット38を介して、それぞれ第1及び第2チューブT1,T2に分岐して供給される。
【0033】
このように構成することによって、吸引ポンプ40にて生成された負圧が、第1チューブT1を介してキャップ部材22内に供給されると、キャップ部材22によって記録ヘッド10から受け止められたインクは、チューブT1から二股ソケット38及びチューブT3を介して廃インクタンク4に排出される。また、吸引ポンプ40にて生成された負圧が、第2チューブT2を介してインク受け部35に供給されると、ワイパ部材21の払拭によってインク受け部35に受け止められたインクは、チューブT2から二股ソケット38及びチューブT3を介して廃インクタンク4に排出される。
【0034】
そして、このように構成されたホルダ23は、メンテナンスユニット17のハウジング18内に設けられた吸引機構を構成する昇降機構41によって、非印刷領域に位置するキャリッジ6の記録ヘッド10に対して、上下方向に昇降し、準備位置P1、払拭位置P2及び封止位置P3の3位置に位置決めされるようになっている。
【0035】
図7は、ホルダ23が、非印刷領域から印刷領域に移動するキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aに対して、ワイパ部材21及びキャップ部材22が最も離間する相対位置として準備位置P1に位置決めされている状態を示す。従って、キャリッジ6が印刷領域にて印刷動作を実行している際には、ホルダ23は、準備位置P1に位置するようになっている。また、図9は、ホルダ23が、非印刷領域から印刷領域に移動するキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aに、ワイパ部材21が当接し、ワイパ部材21によってノズル形成面10aが払拭される相対位置として払拭位置P2に位置決めされている状態を示す。払拭位置P2は、準備位置P1に比べてホルダ23がノズル形成面10aに対して接近している。さらに、図11は、ホルダ23が、非印刷領域に退避し停止しているキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aに、キャップ部材22が当接し、キャップ部材22によってノズル形成面10aの各ノズルNが封止される相対位置として封止位置P3に位置決めされている状態を示す。封止位置P3は、準備位置P1及び払拭位置P2に比べて、ホルダ23がノズル形成面10aに対して最も接近して
いる。
【0036】
次に、昇降機構41の構成について図2及び図3、図5〜図10に従って説明する。
図3に示すように、昇降機構41は、メンテナンスユニット17のハウジング18内に固定支持された筐体42を備えている。筐体42は、平板状の背板43と、背板43の両端部から、図3に示す手前方向に延出形成された平板状の右及び左側板44,45から構成されている。右側板44の内側面44aには、軸部46が固着されている。軸部46には、駆動ギヤ47が回転可能に取着されている。駆動ギヤ47は、メンテナンスユニット17のハウジング18内に設けられた第2駆動モータM2(図2参照)の出力軸に固着されたギア(図示しない)と噛合されていて、第2駆動モータM2からの駆動力によって回転するようになっている。
【0037】
一方、図8、図10、図12に示すように、右及び左側板44,45間には、第1軸部材50が回転可能に支持されている。
右及び左側板44,45に支持される第1軸部材50には、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、閉塞手段及び押圧部材としての第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55が設けられている。第1ピニオンギヤG1は、第1軸部材50の右側板44側に固着され、前記駆動ギヤ47と噛合している。第1ピニオンギヤG1の左側には、円板状に形成された第1区画板53が第1軸部材50に対して固着されている。第1区画板53の直径は、第1ピニオンギヤG1の直径よりも大きく形成されている。第1区画板53の左側には、略円柱状に形成された第1押圧部材51が第1軸部材50に対して固着されている。第1押圧部材51の直径は、第1ピニオンギヤG1のピッチ円直径と同じ大きさであり、第1区画板53の直径よりも小さく形成されている。第1押圧部材51の左側には、円板状に形成された第2区画板54が第1軸部材50に対して固着されている。第2区画板54の直径は、第1区画板53の直径と同じ大きさに形成されている。
【0038】
第2区画板54の左側には、略円柱状に形成された第2押圧部材52が第1軸部材50に対して固着されている。第2押圧部材52の直径は、第1押圧部材51の直径と同じ大きさであって、第1押圧部材と同様に第1ピニオンギヤG1のピッチ円直径と同じ大きさに形成されている。第2押圧部材52の左側には、円板状に形成された第3区画板55が第1軸部材50に対して固着されている。第3区画板55は、第1及び第2区画板53,54の直径と同じ大きさに形成されている。第3区画板55の左側には、第2ピニオンギヤG2が第1軸部材50に対して固着されている。第2ピニオンギヤG2は、上述したように第1ピニオンギヤG1と同じ大きさのピッチ円直径に形成されている。即ち、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55は、第1軸部材50と一体となって回転する。従って、第2駆動モータM2が回転して駆動ギヤ47を介して第1ピニオンギヤG1が回転されると、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55は、第1軸部材50と一体に回転する。このとき、第2駆動モータM2が正回転すると、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55は、図3において矢印56方向に回転する。反対に、第2駆動モータM2が逆回転すると、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55は、矢印56方向と反対方向に回転するようになっている。
【0039】
また、第1軸部材50に固着される第1押圧部材51には、図6(b)に示すように、その第1外周面51aに第1平面部51bが設けられている。第1平面部51bは、第1軸部材50の軸心に対して垂直をなすように、第1外周面51aの図6(b)に示す右斜め上方向の一部を切欠いて形成されている。さらに、第1軸部材50に固着される第2押圧部材52には、図6(a)に示すように、その第2外周面52aに第2平面部52bが設けられている。第2平面部52bは、第1軸部材50の軸心に対して垂直をなすように
、第2外周面52aの図6(a)に示す上方向の一部を切欠いて形成されている。
【0040】
そして、このように構成された第1及び第2押圧部材51,52は、第2駆動モータM2が正回転して回転すると、この回転に伴って、それぞれ第1及び第2外周面51a,52a又は第1及び第2平面部51b,52bが背板43に対して相対向するようになっている。詳しくは、図8に示すように、第1押圧部材51が第1外周面51aを背板43に相対向しているときには、第2押圧部材52は、その第2外周面52aが背板43に相対向する。図8に示す状態から、図10に示すように、第1及び第2押圧部材51,52が矢印56方向に回転すると、第1押圧部材51は第1外周面51aがいまだ背板43に相対向した状態で、第2押圧部材52の第2平面部52bが背板43に相対向するようになっている。さらに、図10に示す状態から、図12に示すように、第1及び第2押圧部材51,52が矢印56方向に回転すると、第1押圧部材51の第1平面部51bが背板43に相対向した状態となり、第2押圧部材52は、その第2外周面52aが背板43に相対向した状態となる。
【0041】
他方、図7〜図12に示すように、右及び左側板44,45の内側面44a,45aであって背板43側には、左右一対の第1及び第2レール部57,58が上下方向に相対向して延設されている。第1及び第2レール部57,58は、断面凹状に形成されていて、互いに相対向している。そして、第1及び第2レール部57,58間には、ラック59が取着されている。
【0042】
詳しくは、ラック59は、平板状に形成され、その両端部は、第1及び第2レール部57,58に嵌合し、第1及び第2レール部57,58にガイドされて上下方向に摺動可能となっている。そして、ラック59は、第1及び第2レール部57,58に取着されることで、前記第1軸部材50に固着した第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55に相対向するようになっている。
【0043】
ラック59の正面60には、その上下方向に断面凹状第1〜第3溝部61〜63が延設されている。第1〜第3溝部61〜63には、第1〜第3区画板53〜55が嵌合される。第1〜第3溝部61〜63を形成したことで、ラック59の正面60に形成される第1及び第2凸部64,65は、第1及び第2押圧部材51,52とそれぞれ相対向するようになっている。そして、ラック59は、第1及び第2レール部57,58に案内されるとともに、第1〜第3溝部61〜63に嵌合する第1〜第3区画板53〜55によって正面60側を位置決めされる。これによって、ラック59は、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55に相対向した状態で、筐体42に対して上下方向に移動することができるようになっている。
【0044】
また、ラック59の正面60には、第1及び第2ラックギヤ66,67が上下方向に延設されている。第1ラックギヤ66は、ラック59の右端部と第1溝部61の間に設けられ、第1ピニオンギヤG1と同じピッチで歯が形成されている。第2ラックギヤ67は、ラック59の左端部と第3溝部63の間に形成されていて、第2ピニオンギヤG2と同じピッチで形成されている。即ち、第1及び第2ラックギヤ66,67と、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2とは互いに同じピッチで歯が形成されている。このように構成された第1及び第2ラックギヤ66,67は、それぞれ第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と噛合されている。
【0045】
そして、ラック59は、第2駆動モータM2が正回転して第1及び第2ピニオンギヤG1,G2が矢印56方向に回転すると、上方向に摺動する。反対に、ラック59は、第2駆動モータM2が逆回転して第1及び第2ピニオンギヤG1,G2が、矢印56方向と反対方向に回転すると下方向に摺動する。このとき、ラック59の上下移動に伴って、第1
及び第2押圧部材51,52は回転し、それぞれラック59の第1及び第2凸部64,65に対して第1及び第2外周面51a,52a又は第1及び第2平面部51b,52bを相対向させるようになっている。
【0046】
そして、ラック59の第1凸部64と第1押圧部材51は、第1凸部64と第1外周面51aが相対向しているときに最も接近し、第1凸部64と第1平面部51bが相対向しているときに最も離間する。さらに、ラック59の第2凸部65と第2押圧部材52は、第2凸部65と第2外周面52aが相対向しているときに最も接近し、第2凸部65と第2平面部52bが相対向しているときに最も離間するようになっている。
【0047】
このラック59の上端部には、前記ホルダ23の下面23bが固着されている。従って、ラック59が上下方向に移動すると、ホルダ23も上下方向に移動することになる。つまり、ホルダ23は、第2駆動モータM2の正逆回転によって、前記準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3のいずれかの位置に位置決めされる。そして、ホルダ23の下面23bから垂下された第1チューブT1は、第1押圧部材51と第1凸部64の間に挿入され、第1及び第2区画板53,54によって左右方向の移動が規制されて位置決めされている。また、ホルダ23の支持台33の下面33bから垂下された第2チューブT2は、第2押圧部材52と第2凸部65の間に挿入され、第2及び第3区画板54,55によって左右方向の移動が規制されて位置決めされている。従って、第1及び第2押圧部材51,52とラック59の第1及び第2凸部64,65は、ホルダ23の準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3への移動に伴って、互いの離間距離を変化させることで、第1及び第2チューブT1,T2を押し潰すようになっている。
【0048】
つまり、図7及び図8に示すように、ホルダ23が準備位置P1にあるとき、第1及び第2押圧部材51,52は、第1及び第2外周面51a,52aを、それぞれラック59の第1及び第2凸部64,65と相対向させ第1及び第2チューブT1,T2を押し潰し閉塞させている。この状態から、図9及び図10に示すように、ホルダ23が払拭位置P2に移動すると、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23とともに上方向に移動する。このとき、第1押圧部材51は、第1外周面51aを第1チューブT1に押し付けながら回転し、第1チューブT1を閉塞した状態を維持する。一方、第2押圧部材52は、第2外周面52aを第2チューブT2に押し付けながら回転した後、第2平面部52bを第2チューブT2及び第2凸部65に相対向させ第2チューブT2を開放する。
【0049】
この状態から、図11及び図12に示すように、ホルダ23が封止位置P3に移動すると、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23とともに上方向に移動する。このとき、第1押圧部材51は、第1外周面51aを第1チューブT1に押し付けながら回転した後、第1平面部51bを第1チューブT1及び第1凸部64に相対向させ第1チューブT1を開放する。一方、第2押圧部材52は、第2平面部52bを第2チューブT2に相対向させながら回転した後、第2外周面52aを第2チューブT2及び第2凸部65に相対向させて第2チューブT2を押し潰し閉塞する。
【0050】
これによって、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23が準備位置P1に位置したときには閉塞され非連通状態となっている。また、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23が払拭位置P2に位置しているときには、第1チューブT1は閉塞され非連通状態となり、第2チューブT2は開放され連通状態となる。さらに、ホルダ23が封止位置P3に位置しているときには、第1チューブT1は開放され連通状態となり、第2チューブT2は閉塞され非連通状態となる。即ち、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23の準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3への移動に伴って、選択されて連通状態又は非連通状態にされる。
【0051】
そして、このように構成された昇降機構41は、プリンタ1のフレーム2内に設けられた制御部70によって、駆動制御されるようになっている。
図2に示すように、制御部70はCPU71、メモリ72、出力回路73等を備えている。制御部70のCPU71は、メモリ72に予め記憶された制御プログラムに基づいて、出力回路73から第1及び第2駆動モータM1,M2に、第1及び第2駆動電流Ia,Ibをそれぞれ出力させ第1及び第2駆動モータM1,M2を駆動制御するようになっている。そして、昇降機構41は、駆動制御された第2駆動モータM2の回動量に応じて、ホルダ23を準備位置P1、払拭位置P2又は封止位置P3に移動させるようになっている。また、制御部70のCPU71は、出力回路73からキャリッジモータ8に図示しない駆動電流を出力させてキャリッジモータ8を駆動制御し、キャリッジ6を移動させるようになっている。さらに、制御部70のCPU71は、出力回路73から記録ヘッド10の各ノズルN内の圧電素子に駆動電圧を供給させて記録ヘッド10を駆動制御し、各ノズルNからインクを吐出させるようになっている。
【0052】
次に、上述したプリンタ1のクリーニング操作について図7〜図12に従って説明する。
CPU71は、プリンタ1の起動時に、キャリッジ6の記録ヘッド10の各ノズルNをクリーニングするクリーニング操作を実行するようになっている。そして、ホルダ23は、プリンタ1の起動時に封止位置P3に位置し、キャップ部材22にて記録ヘッド10の各ノズルNを封止している。
【0053】
CPU71は、図示しない電源スイッチがオン操作されてプリンタ1が起動されると、出力回路73から第1駆動モータM1に第1駆動電流Iaを出力させ、吸引ポンプ40を駆動し第3チューブT3内に負圧を生成させる。このとき、キャップ部材22に接続される第1チューブT1は連通状態、インク受け部35に接続される第2チューブT2は非連通状態となっている。従って、吸引ポンプ40にて生成される負圧は、第3チューブT3、二股ソケット38及び第1チューブT1を介してキャップ部材22に供給される。これによって、キャップ部材22内には負圧が供給され、キャップ部材22によって封止される記録ヘッド10の各ノズルNからは、増粘したインク等が吸引される。そして、吸引されたインクは、キャップ部材22から第1チューブT1、二股ソケット38及び第3チューブT3を介して廃インクタンク4に排出される。
【0054】
次に、CPU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、封止位置P3に位置するホルダ23を払拭位置P2に移動させる。ホルダ23が、払拭位置P2に位置すると、キャップ部材22に接続される第1チューブT1は非連通状態、インク受け部35に接続される第2チューブT2は連通状態となる。従って、吸引ポンプ40にて生成される負圧は、第3チューブT3、二股ソケット38及び第2チューブT2を介してインク受け部35に供給される。
【0055】
CPU71は、ホルダ23が払拭位置P2に位置すると、出力回路73からキャリッジモータ8に駆動電流を供給させ、非印刷領域にいるキャリッジ6を印刷領域に移動させる。このとき、印刷領域に移動するキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aは、ワイパ部材21によって払拭される。そして、払拭されたインクは、インク受け部35によって受け止められた後、第2チューブT2、二股ソケット38及び第3チューブT3を介して廃インクタンク4に排出される。
【0056】
そして、CPU71は、キャリッジ6を印刷領域にて移動させ続けるとともに、出力回路73から記録ヘッド10の圧電素子に駆動電圧を供給し各ノズルNからインクを吐出させて印刷動作を実行する。このとき、CPU71は、出力回路73から第1駆動モータM1への第1駆動電流Iaの供給を遮断し吸引ポンプ40の駆動を停止させる。さらに、C
PU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、払拭位置P2に位置するホルダ23を準備位置P1に移動させクリーニング操作を停止する。
【0057】
また、CPU71は、上述した印刷動作の実行中に定期的にクリーニング操作をするようになっている。
この場合、CPU71は、出力回路73から記録ヘッド10の圧電素子への駆動電圧の供給を遮断し、各ノズルNからのインクの吐出を停止させる。CPU71は、出力回路73からキャリッジモータ8に駆動電流を供給させ、印刷領域にいるキャリッジ6を非印刷領域に移動させる。そして、キャリッジ6の記録ヘッド10と、キャップ部材22を相対向させる。次に、CPU71は、出力回路73から第1駆動モータM1に第1駆動電流Iaを供給し吸引ポンプ40を駆動する。CPU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、準備位置P1に位置するホルダ23を封止位置P3に移動させ、記録ヘッド10をキャップ部材22にて封止する。そして、記録ヘッド10の各ノズルNから増粘したインク等を吸引させ廃インクタンク4に排出させる。CPU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、封止位置P3に位置するホルダ23を払拭位置P2に移動させた後、出力回路73からキャリッジモータ8に駆動電流を供給させ、非印刷領域にいるキャリッジ6を印刷領域に移動させる。これによって、記録ヘッド10のノズル形成面10aは、ワイパ部材21にて払拭される。そして、CPU71は、キャリッジ6を印刷領域にて移動させ続けるとともに、出力回路73から記録ヘッド10の圧電素子に駆動電圧を供給し各ノズルNからインクを吐出させて印刷動作を再開する。このとき、CPU71は、出力回路73から第1駆動モータM1への第1駆動電流Iaの供給を遮断し吸引ポンプ40の駆動を停止させ、さらに、払拭位置P2に位置するホルダ23を準備位置P1に移動させクリーニング操作を停止する。
【0058】
さらに、CPU71は、図示しない電源スイッチがオフ操作されると、出力回路73から記録ヘッド10の圧電素子への駆動電圧の供給を遮断し、各ノズルNからのインクの吐出を停止させる。CPU71は、出力回路73からキャリッジモータ8に駆動電流を供給させ、印刷領域にいるキャリッジ6を非印刷領域に移動させ、キャリッジ6の記録ヘッド10とキャップ部材22を相対向させる。そして、CPU71は、出力回路73から第2駆動モータM2に第2駆動電流Ibを出力させ昇降機構41を駆動し、準備位置P1に位置するホルダ23を封止位置P3に移動させ記録ヘッド10をキャップ部材22にて封止した後、プリンタ1を停止する。
【0059】
以上、上記した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態の昇降機構41では、ワイパ部材21及びキャップ部材22を備えたホルダ23を上下動可能なラック59に、固着させた。そして、第2駆動モータM2の回転によって、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2を回転させることで、ラック59を上下方向に移動させてホルダ23を準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3に位置させるように構成した。
【0060】
また、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と一体に第1及び第2押圧部材51,52を回転させて、ホルダ23が準備位置P1に位置したときには、第1及び第2チューブT1,T2を第1及び第2押圧部材51,52にて押し潰して共に非連通状態とするようにした。また、ホルダ23が払拭位置P2に位置しているときには、第1チューブT1を第1押圧部材51にて押し潰して非連通状態とし、第2チューブT2を開放し連通状態とするようにした。さらに、ホルダ23が封止位置P3に位置したときには、第1チューブT1を開放し連通状態とし、第2チューブT2を第2押圧部材52にて押し潰して非連通状態とするようにした。そして、吸引ポンプ40によって第3チューブT3内に生成される
負圧を、ホルダ23が払拭位置P2に位置しているときには、第2チューブT2を介してインク受け部35に供給させ、ホルダ23が封止位置P3に位置しているときには、第2チューブT2を介してキャップ部材22内に供給させるようにした。
【0061】
従って、昇降機構41は、ホルダ23の各位置P1,P2,P3に応じて、吸引ポンプ40からの負圧をインク受け部35又はキャップ部材22に選択して供給することができる。さらに、昇降機構41は、第1及び第2チューブT1,T2を閉塞するために、別途、駆動源を設ける必要がない。しかも、このように構成された昇降機構41を備えることで、従来のインクジェット式記録装置のように切り替え弁を設ける必要がなく部材点数を低減することができる。さらに、昇降機構41は、吸引ポンプ40から生成される負圧を、インク受け部35又はキャップ部材22に選択して供給することで、それぞれに対して吸引ポンプを設ける場合に比べて、部材点数を低減することができる。
さらに、このように吸引ポンプ40からの負圧を選択して供給することで、吸引ポンプ40が安価で吸引能力が低い場合であっても、インク受け部35又はキャップ部材22に十分に負圧を供給させインクを吸引させことができる。この結果、安価な吸引ポンプ40を容易に採用することができるので、プリンタ1の製造コストを低減することができる。
【0062】
(2)本実施形態の昇降機構41では、第1及び第2押圧部材51,52、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2を第1軸部材50に固着して、第1軸部材50と一体に回転するように構成した。そして、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と、ラック59の第1及び第2ラックギヤ66,67とを噛合させ、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2の回転によってラック59を上下方向に移動させるようにした。さらに、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と一体に回転する第1及び第2押圧部材51,52によって、ラック59の移動に応じて、第1及び第2チューブT1,T2を、それぞれ閉塞又は開放し、非連通状態又は連通状態とさせるようにした。
このように構成することによって、昇降機構41は、第1及び第2チューブT1,T2を、例えば、電磁ソレノイドバルブ等によって閉塞又は開放する場合に比べて、その閉塞箇所について電気的な影響を受けることがない。従って、昇降機構41は、第1及び第2チューブT1,T2を正確に閉塞又は開放することができる。そして、昇降機構41は、吸引ポンプ40にて生成された負圧を、インク受け部35又はキャップ部材22に正確に供給することができる。これによって、昇降機構41は、ワイパ部材21によってノズル形成面10aから払拭されたインクや、キャップ部材22によって受け止められた各ノズルNからのインクを、正確に吸引し廃インクタンク4に排出させることができる。この結果、クリーニング操作時のインクの漏洩等によるフレーム2内の汚染を、効果的に抑制することができる。
【0063】
(3)本実施形態の昇降機構41では、第1及び第2押圧部材51,52の直径を、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2のピッチ円直径と同じ大きさに構成した。そして、第1及び第2押圧部材51,52を、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と一体に回転させ、第1及び第2外周面51a,52aにて第1及び第2チューブT1,T2を押し潰させて閉塞させるようにした。
【0064】
このように構成したことによって、第1及び第2押圧部材51,52の第1及び第2外周面51a,52aが第1及び第2チューブT1,T2をそれぞれ押し潰しながら回転する回転速度と、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2がラック59の第1及び第2ラックギヤ66,67と噛合しながら回転する回転速度とを等しくすることができる。これによって、第1及び第2押圧部材51,52の第1及び第2外周面51a,52aは、第1及び第2チューブT1,T2に滑ることなく正確に当接し、第1及び第2チューブT1,T2を正確に押し潰すことができる。この結果、吸引ポンプ40にて生成された負圧を、第1又は第2チューブT1,T2を介してインク受け部35又はキャップ部材22に正確に
供給することができる。さらに、このように正確に押し潰すことで、第1及び第2チューブT1,T2にかかる偏荷重を低減することができるので、第1及び第2チューブT1,T2の寿命を延ばすことができる。この結果、プリンタ1の低コスト化を実現することができる。
(4)本実施形態の昇降機構41では、第1及び第2押圧部材51,52によって、第1及び第2チューブT1,T2の途中を押圧し閉塞させるように構成した。これによって、従来のインクジェット式記録装置のように各チューブの分岐位置に切り替え弁を設け場合に比べて、第1チューブT1又は第2チューブT2を確実に閉塞することができる。この結果、吸引ポンプ40にて生成された負圧を、第1又は第2チューブT1,T2を介してインク受け部35又はキャップ部材22に正確に供給することができる。
【0065】
尚、発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2チューブT1,T2は、ホルダ23が準備位置P1、払拭位置P2、封止位置P3に位置すると、少なくともいずれか一方が、第1及び第2押圧部材51,52にて閉塞されように構成したが、この限りではなく、これに加えて第1及び第2チューブT1,T2の両方が開放されるように構成してもよい。このとき、第1及び第2押圧部材51,52の構成を適宜変更することが望ましい。
・上記実施形態では、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2ラックギヤ66,67を設けたが、この限りではなく、ラック59を上下方向に移動させることができれば、ピニオンギヤ及びラックギヤの数を適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2、第1及び第2押圧部材51,52、第1〜第3区画板53〜55をそれぞれ第1軸部材50に固着し一体に回転できるように構成したが、この限りではなく、これら各部材を樹脂又は金属等によって一体成形してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2押圧部材51,52に、それぞれ1つずつ第1及び第2平面部51b,52bを形成したが、この限りではなく、第1及び第2平面部51b,52bの数を適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2チューブT1,T2を設け、吸引ポンプ40にて生成される負圧が選択して供給されるように構成したが、この限りではなく、チューブの数を適宜変更してもよい。このとき、押圧部材の数も適宜変更することが望ましい。従って、例えば、第1及び第2チューブT1,T2に加えて第4チューブを設けてもよい。このとき、二股ソケット38を三叉路の流路を備えたソケットに変更し第4チューブと接続させるとよい。さらに、第3押圧部材を設け、第1及び第2ピニオンギヤG1,G2と一体に回転させ、適宜、第4チューブを閉塞又は開放させるとよい。
・上記実施形態では、第1〜第3チューブT1〜T3を、二股ソケット38を介して接続したが、この限りではなく、第1〜第3チューブT1〜T3を1つの二股に形成されたチューブに変更してもよい。
・上記実施形態では、液体噴射装置をプリンタ1に具体化したが、この限りではなく、他の液体を噴射する液体噴射装置に具体化するようにしてもよい。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。このとき、昇降機構41の構成を適宜変更することが望ましい
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態のプリンタの概略を説明する斜視図。
【図2】同プリンタのメンテナンスユニットの概略を説明するブロック図。
【図3】同メンテナンスユニットの昇降機構の構成を説明する斜視図。
【図4】図3におけるホルダのA−A線方向の要部部分断面図。
【図5】第1及び第2押圧部材と第1及び第2ピニオンギヤの正面図。
【図6】(a)図5における第2押圧部材のB−B線方向の断面図、(b)図5における第1押圧部材のC−C線方向の断面図。
【図7】昇降機構の構成及び作用を説明する正面図。
【図8】図7における昇降機構のD−D線方向の断面図。
【図9】昇降機構の構成及び作用を説明する正面図。
【図10】図9における昇降機構のE−E線方向の断面図。
【図11】昇降機構の構成及び作用を説明する正面図。
【図12】図11における昇降機構のF−F線方向の断面図。
【符号の説明】
【0067】
1…液体噴射装置としてのプリンタ、4…廃液貯留部としての廃インクタンク、10…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、21…ワイパ部材、22…キャップ部材、40…吸引手段としての吸引ポンプ、41…吸引機構を構成する昇降機構、51,52…閉塞手段及び押圧部材としての第1及び第2押圧部材、59…ラック、66,67…ラックギヤとしての第1及び第2ラックギヤ、G1,G2…ピニオンギヤとしての第1及び第2ピニオンギヤ、N…ノズル、P1…相対位置としての準備位置、P2…相対位置としての払拭位置、P3…相対位置としての封止位置、T1…第1の誘導チューブとしての第1チューブ、T2…第2の誘導チューブとしての第2チューブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射ヘッドのノズルから噴射される液体を受け止めるキャップ部材から同液体を誘導する第1の誘導チューブと、
前記液体噴射ヘッドを払拭するワイパ部材によって払拭された前記液体を誘導する第2の誘導チューブと、
前記第1及び第2の誘導チューブを介して前記それぞれの液体を吸引する吸引手段とを備えた液体噴射装置の吸引機構において、
前記キャップ部材又は前記ワイパ部材の少なくともいずれか一方の前記液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する閉塞手段を設けたことを特徴とする液体噴射装置の吸引機構。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置の吸引機構において、
前記相対位置は、前記キャップ部材が前記液体噴射ヘッドの前記ノズルを封止する封止位置であって、
前記閉塞手段は、前記キャップ部材が前記封止位置に位置すると、前記第1の誘導チューブを開放するとともに、前記第2の誘導チューブを閉塞することを特徴とする液体噴射装置の吸引機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体噴射装置の吸引機構において、
前記相対位置は、前記ワイパ部材が前記液体噴射ヘッドを払拭する払拭位置であって、
前記閉塞手段は、前記ワイパ部材が前記払拭位置に位置すると、前記第1の誘導チューブを閉塞するとともに、前記第2の誘導チューブを開放することを特徴とする液体噴射装置の吸引機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の液体噴射装置の吸引機構において、
前記キャップ部材及び前記ワイパ部材を支持するラックと、
前記ラックに形成されたラックギヤと噛合し、回転することで、同ラックとともに前記キャップ部材及び前記ワイパ部材を移動させるピニオンギヤとを備え、
前記閉塞手段は、前記ピニオンギヤと一体に回転して、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくとも一方を押し潰して閉塞する押圧部材であることを特徴とする液体噴射装置の吸引機構。
【請求項5】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドから噴射される液体を受け止めるキャップ部材と、
前記キャップ部材にて受け止められた前記液体を誘導する第1の誘導チューブと、
前記液体噴射ヘッドを払拭するワイパ部材と、
前記ワイパ部材によって払拭された前記液体を誘導する第2の誘導チューブと、
前記第1及び第2の誘導チューブを介して前記液体を吸引し、同液体を廃液貯留部に排出する吸引手段とを備えた液体噴射装置において、
前記キャップ部材又は前記ワイパ部材の少なくともいずれか一方の前記液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する閉塞手段を設けたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項1】
液体噴射ヘッドのノズルから噴射される液体を受け止めるキャップ部材から同液体を誘導する第1の誘導チューブと、
前記液体噴射ヘッドを払拭するワイパ部材によって払拭された前記液体を誘導する第2の誘導チューブと、
前記第1及び第2の誘導チューブを介して前記それぞれの液体を吸引する吸引手段とを備えた液体噴射装置の吸引機構において、
前記キャップ部材又は前記ワイパ部材の少なくともいずれか一方の前記液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する閉塞手段を設けたことを特徴とする液体噴射装置の吸引機構。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置の吸引機構において、
前記相対位置は、前記キャップ部材が前記液体噴射ヘッドの前記ノズルを封止する封止位置であって、
前記閉塞手段は、前記キャップ部材が前記封止位置に位置すると、前記第1の誘導チューブを開放するとともに、前記第2の誘導チューブを閉塞することを特徴とする液体噴射装置の吸引機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体噴射装置の吸引機構において、
前記相対位置は、前記ワイパ部材が前記液体噴射ヘッドを払拭する払拭位置であって、
前記閉塞手段は、前記ワイパ部材が前記払拭位置に位置すると、前記第1の誘導チューブを閉塞するとともに、前記第2の誘導チューブを開放することを特徴とする液体噴射装置の吸引機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の液体噴射装置の吸引機構において、
前記キャップ部材及び前記ワイパ部材を支持するラックと、
前記ラックに形成されたラックギヤと噛合し、回転することで、同ラックとともに前記キャップ部材及び前記ワイパ部材を移動させるピニオンギヤとを備え、
前記閉塞手段は、前記ピニオンギヤと一体に回転して、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくとも一方を押し潰して閉塞する押圧部材であることを特徴とする液体噴射装置の吸引機構。
【請求項5】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドから噴射される液体を受け止めるキャップ部材と、
前記キャップ部材にて受け止められた前記液体を誘導する第1の誘導チューブと、
前記液体噴射ヘッドを払拭するワイパ部材と、
前記ワイパ部材によって払拭された前記液体を誘導する第2の誘導チューブと、
前記第1及び第2の誘導チューブを介して前記液体を吸引し、同液体を廃液貯留部に排出する吸引手段とを備えた液体噴射装置において、
前記キャップ部材又は前記ワイパ部材の少なくともいずれか一方の前記液体噴射ヘッドに対する相対位置に応じて、前記第1の誘導チューブ又は前記第2の誘導チューブの少なくともいずれか一方を閉塞する閉塞手段を設けたことを特徴とする液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−44175(P2006−44175A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231640(P2004−231640)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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