液体噴射装置
【課題】インクカートリッジの交換回数を減らす。
【解決手段】プリンターは、ノズルの位置が副走査方向Xにおいて互いに異なる第1及び第2の吐出部44,45並びに吐出部群46を備え、吐出部群46はノズルの位置が副走査方向Xにおいて互いに同じである第1及び第2の個別吐出部46a,46bを備える。また、インク残量に応じて、第1及び第2の吐出部44,45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a,46bを使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0とする第1モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1とする第2モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5とする第3モードを、インク残量に応じて選択する。
【解決手段】プリンターは、ノズルの位置が副走査方向Xにおいて互いに異なる第1及び第2の吐出部44,45並びに吐出部群46を備え、吐出部群46はノズルの位置が副走査方向Xにおいて互いに同じである第1及び第2の個別吐出部46a,46bを備える。また、インク残量に応じて、第1及び第2の吐出部44,45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a,46bを使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0とする第1モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1とする第2モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5とする第3モードを、インク残量に応じて選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液滴をターゲットに噴射する液体噴射装置として、インク滴を紙に噴射させて画像等を印刷するインクジェット式プリンターがある。この種のプリンターでは、記録ヘッドを主走査方向に移動させ、紙を副走査方向に移動させる。記録ヘッドとインクカートリッジがキャリッジに搭載され移動する。記録ヘッドの底面にはノズル列が形成されており、インクカートリッジとノズル列とは流路によって連通されている。インクはインクカートリッジから流路を流れてノズル列に至る。
特許文献1には、同一色のインクを収容する第1及び第2のインクカートリッジと、第1のインクカートリッジと第1のノズル列を連通する第1の流路と、第2のインクカートリッジと第2のノズル列を連通する第2の流路とを備えるプリンターが開示されている。また、第1のノズル列のノズルと第2のノズル列のノズルとは、副走査方向(紙送り方向)にずれた位置に配置されている。このため、第1及び第2のノズル列から同時にインクを吐出することにより、2行のドットを同時に印刷することが可能となる。くわえて、このプリンターは、第1及び第2のインクカートリッジとのインク残量を検出するインク残量検出部と、インク残量に応じてドット形成に使用するインクカートリッジを選択する選択部とを備える。
そして、第1及び第2のインクカートリッジのインク残量に差がある場合、インク残量の多い方のインクカートリッジに対応するノズル列からインクを吐出させる一方、インク残量の少ない方のインクカートリッジに対応するノズル列からはインクを吐出させないように制御を行う。これにより、インク残量差を減少させることができ、インクカートリッジの交換時期を揃えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−1842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のプリンターでは、インク残量差を調整するためには、第1及び第2のノズル列のうち、一方のノズル列からインクを吐出し、他方のノズル列からはインクを吐出させないように制御していた。このため、通常では1回の主走査で2行のドットを形成するのに対し、インク残量の調整時には1回の主走査で1行のドットしか形成できないため、印刷速度が遅くなるといった問題があった。また、仮に、印刷速度を維持した場合には、解像度が低下するといった問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、印刷速度や解像度を維持しつつ、インクカートリッジの残量差を減少させて、複数のインクカートリッジを同時期に交換可能とすることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明に係る液体噴射装置は、同じ液体を貯留する第1及び第2の液体貯留材から前記液体の供給を受けて前記液体を噴射する液体噴射装置であって、複数のノズルが第1方向と平行に形成され、前記ノズルの位置が前記第1方向において互いに異なる第1及び第2の吐出部と、前記ノズルの位置が前記第1方向において前記第1及び第2の吐出部と異なり、前記ノズルの位置が前記第1方向において同じである第1及び第2の個別吐出部を備えた吐出部群と、前記第1の液体貯留材から分岐して前記第1の吐出部と前記第1の個別吐出部とを連通する第1の流路と、前記第2の液体貯留材から分岐して前記第2の吐出部と前記第2の個別吐出部とを連通する第2の流路と、前記第1及び第2の液体貯留材に各々に収容される液体の残りの量である第1及び第2の残量を検出する液体残量検出部と、前記第1及び第2の吐出部、並びに前記第1及び第2の個別吐出部を使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように制御する第1モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように制御する第2モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5となるように制御する第3モードを、選択可能である制御部とを備え、前記制御部は、前記第1及び第2の液体貯留材に収容される前記液体が同時期に無くなるように、前記第1及び第2の残量に基づいて前記第1モード、前記第2モード、及び前記第3モードのいずれかを選択する、ことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、第1及び第2の残量に応じて、第1乃至第3モードを選択するので、残量に差があっても、残量差を減少させて、第1及び第2の液体貯留材の交換時期を揃えることができる。この結果、2個の液体貯留材を同じ時期に交換することができ、ユーザーの負担を減らすことができる。また、液体貯留材を交換すると、一定量の液体を吸引するクリーニング処理、一定量の液体を吐出するフラッシング処理を行う必要があるが、交換回数を減らすことにより、クリーニング処理及びフラッシング処理で吐出する液体の量を減らすことが可能となる。
くわえて、第1の吐出部、第2の吐出部、第1及び第2の個別吐出部のノズルは第1方向の異なる位置に配置される。そして、第1モードでは、第1の吐出部、第2の吐出部、及び第1の個別吐出部から液滴が吐出され、第2モードでは、第1の吐出部、第2の吐出部、及び第2の個別吐出部から液滴が吐出され、第3モードでは、第1の吐出部、第2の吐出部、並びに第1及び第2の個別吐出部から液滴が吐出される。すなわち、全てのモードにおいて、3種類のノズル位置から液滴が吐出される。よって、第1モード又は第2モードを選択して液体の残量を調整する期間においても、第3モードと比較して印刷速度や解像度が低下することがない。
【0008】
ここで、前記制御部は、前記第1及び第2の残量の差分を算出し、前記差分が所定範囲内である場合には前記第3モードを選択し、前記差分が前記所定範囲外であり前記第1の残量が前記第2の残量より大きい場合には前記第1モードを選択し、前記差分が前記所定範囲外であり前記第1の残量が前記第2の残量より小さい場合には前記第2モードを選択することが好ましい。
このようにモードを選択することによって、第1及び第2の残量の差分が所定範囲内である場合には、第3モードを選択して第1及び第2の液体貯留材の液体を均等に消費し、第1の残量が第2の残量よりも大きい場合には、第1の液体貯留材の液体を第2の液体貯留材の液体よりも多く消費し、第2の残量が第1の残量よりも大きい場合には、第2の液体貯留材の液体を第1の液体貯留材の液体よりも多く消費する。これによって、第1の液体貯留材と第2の液体貯留材の交換時期を揃えることが可能となる。
【0009】
また、前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記第1の個別吐出部と前記第2の個別吐出部とを単位期間ごとに切り替えて順次使用することが好ましい。
より具体的には、前記液体はインクであり、前記第1及び第2の吐出部及び前記第1及び第2の個別吐出部は、紙に前記インクを吐出し、前記単位期間は、所定枚数の紙を印刷する期間であり、前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定枚数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用することが好ましい。
また、前記単位期間は、所定列数の紙を印刷する期間であり、前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定列数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用することが好ましい。
また、前記単位期間は、所定行数の紙を印刷する期間であり、前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定行数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用することが好ましい。
このようにシーケンシャルに個別吐出部を切り替えることができるから、使用頻度を調整する制御を簡素化できる。
【0010】
本発明に係る別の液体噴射装置は、同じ液体を貯留する第1及び第2の液体貯留材から前記液体の供給を受けて前記液体を噴射する液体噴射装置であって、複数のノズルが第1方向と平行に形成され、前記ノズルの位置が前記第1方向において互いに異なる第1及び第2の吐出部と、前記ノズルの位置が前記第1方向において前記第1及び第2の吐出部と異なり、前記ノズルの位置が前記第1方向において同じである第1及び第2の個別吐出部を備えた吐出部群と、前記第1の液体貯留材から分岐して前記第1の吐出部と前記第1の個別吐出部とを連通する第1の流路と、前記第2の液体貯留材から分岐して前記第2の吐出部と前記第2の個別吐出部とを連通する第2の流路と、前記第1及び第2の液体貯留材に各々に収容される液体の残りの量である第1及び第2の残量を検出する液体残量検出部と、前記第1及び第2の吐出部、並びに前記第1及び第2の個別吐出部を使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように制御する第1モードと、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように制御する第2モードとを、選択可能である制御部とを備え、前記制御部は前記第1及び第2の残量を比較し、前記第1の残量が前記第2の残量より大きい場合には前記第1モードを選択し、前記第1の残量が前記第2の残量より小さい場合には前記第2モードを選択することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、第1及び第2の残量の差分が所定範囲であるかを判定する必要がなく、しかもモードの選択は第1モードと第2モードのみであり、処理を大幅に簡素化できる。そして、常時、第1及び第2の残量の比較を実行し、モードを選択するから、第1及び第2の残量が等しくなるように制御される。よって、第1及び第2の液体貯留材の交換時期を揃えることができ、ユーザーの負担を減らすことができる。また、交換回数を減らすことにより、クリーニング処理やフラッシング処理で消費する液体の量を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】記録ヘッドの下面図である。
【図3】ブラックのインクカートリッジと吐出部及び個別吐出部との関係を示す説明図である。
【図4】印刷システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】各モードにおける使用頻度とインク消費量の関係を示す表である。
【図6】モード選択処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】インク残量と選択したモードとの関係の具体例を示すグラフである。
【図8】第3モード選択処理の第1態様を示すフローチャートである。
【図9】第3モード選択処理の第2態様を示すフローチャートである。
【図10】第3モード選択処理の第3態様を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係るモード選択処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<1.第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態の液体噴射システムとしての印刷システムは、ユーザーが使用するコンピューター100と、これに接続されている液体噴射装置としてのインクジェット式カラープリンター(以下、プリンターという。)200とから構成されている。同コンピューター100は、キーボード102及びマウス103を備え、これらが操作されることにより文字入力や設定変更などが行われる。また、コンピューター100はモニター101と接続されている。ユーザーはこのモニター101を用いて、印刷したい文書画像の指定や印刷実行を指示する。
【0014】
一方、プリンター200は、本体の外に給紙トレイ17及び排紙トレイ18を備えるとともに、内部に複数の紙送りローラー19を備えている。紙送りローラー19は紙送りモーター241によって適宜駆動される。このため、プリンター200は、ターゲットであるメディア50を給紙トレイ17から導入し、このメディア50を副走査方向Xに搬送させた後、排紙トレイ18に排出する。メディア50の典型例は普通紙であるが、印刷の対象となるのであればどのようなものであってもよく、例えば、光沢系専用紙、非光沢系専用紙、クロス生地、マット紙、塩化ビニルなどであってもよい。
【0015】
また、プリンター200は、内部に、キャリッジ20及びこれに対向するプラテン21を備えている。プラテン21は、印刷時にメディア50を支持する支持台であって、印刷時にはその上方に、紙送りローラー19によりメディア50が搬送される。キャリッジ20は、ガイド軸22に嵌合され、かつタイミングベルト23に固着されている。タイミングベルト23はキャリッジモーター251により駆動される。これによって、キャリッジ20は主走査方向Y(図1の紙面に直交する方向)に往復移動可能とされている。
【0016】
キャリッジ20は、図1に示すように、その下面に液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド30を有している。この記録ヘッド30の下面には、図2に示すように、複数のノズルNからなるノズル列が形成された吐出部41、42,43、44及び45、並びに吐出部群46を備える。この記録ヘッド30は、図4に示す圧電素子261の伸縮によってノズル列からインクをメディア50上に噴射させる。従って、キャリッジ20は、主走査方向Yに移動しながら記録ヘッド30から各色のインクを噴射して、メディア50に印刷を行う。
【0017】
また、キャリッジ20には、図2に示すように、同一形状の5つのインクカートリッジ31、32、33、34、及び35が搭載されている。各インクカートリッジ31〜35は、それぞれ下方に位置する各2列のノズルNに接続されている。そのため、各インクカートリッジ31〜35のインクは、それらの下方に位置する吐出部41〜45及び吐出部群46に形成されたノズル列から外部に噴射される。
【0018】
インクカートリッジ31にはイエロー(Y)のインクが、インクカートリッジ32にはマゼンタ(M)のインクが、インクカートリッジ33にはシアン(C)のインクが、インクカートリッジ34及び35にはブラック(K)のインクがそれぞれ収容されている。すなわち、キャリッジ20には、シアン、マゼンタ及びイエローのインクカートリッジが各1個ずつ、ブラックのインクカートリッジが2個搭載されている。なお、ブラックのインクカートリッジ34及び35には、未使用時においてそれぞれ同量のインクが収容されている。なお、以下の説明では、インクカートリッジ34を第1のインクカートリッジ34と称し、インクカートリッジ35を第2のインクカートリッジ35と称する。
【0019】
図3は、ブラック(K)の第1及び第2のインクカートリッジ34及び35と吐出部及び個別吐出部の関係を示す説明図である。第1及び第2のインクカートリッジ34及び35の底面の一部はフィルムで覆われている。一方、キャリッジ20には針34a及び35aが設けられていて、キャリッジ20に第1及び第2のインクカートリッジ34及び35を装着すると、針34a及び35aがフィルムを突き破り第1及び第2のインクカートリッジ34及び35の内部に刺さる。針34a及び35aの先端には穴が開いていてインクが穴を通って流れ出るようになっている。なお、他のインクカートリッジ31〜35も同様の構成によってインクが流れ出すようになっている。そして、針34a及び35aの根本部分は異物などや気泡の混入を防止するフィルターFで仕切られており、インク室Hにおいて、分岐する第1及び第2の流路34b及び35bが設けられている。なお、以下の説明では吐出部44及び45を第1及び第2の吐出部44及び45と称し、個別吐出部46a及び46bを第1及び第2の個別吐出部46a及び46bと称する。
【0020】
第1及び第2の吐出部44及び45、並びに吐出部群46には複数のノズルNが形成されている。第1の吐出部44のノズル列は3L行目にノズルNが位置し、第2の吐出部45のノズル列は3L−1行目にノズルNが位置し、吐出部群46のノズル列は3L−2行目にノズルNが位置する。但し、Lは自然数である。このように、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに吐出部群46のノズルNは、副走査方向Xに異なる位置に配置されている。ここで、吐出部群46は、ノズルNが副走査方向Xの同じ位置に配置された第1及び第2の個別吐出部46a及び46bを備える。
そして、第1の流路34bは第1のインクカートリッジ34と第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aとを連通し、第2の流路35bは第2のインクカートリッジ35と第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bとを連通する。
すなわち、本実施形態では、2個の第1及び第2のインクカートリッジ34及び35と、ノズルNの位置が副走査方向Xに互いに異なる3種類の第1及び第2の吐出部44及び45、並びに吐出部群46とを、第1及び第2の流路34b及び35bを用いて連通している。
また、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bにおいて、複数のノズルNに各々に対応して圧力室が設けられており、そこには圧電素子261(図4参照)が配置されている。この圧電素子261が伸縮することによって圧力室の圧力が変化し、ノズルNからインク滴がメディア50に吐出される。
【0021】
次に、この印刷システムの電気的構成について図4を参照して説明する。コンピューター100は、キーボード102、マウス103及びモニター101とバス線160を介して接続され、制御中枢として機能するCPU110を備える。
また、CPU110は、RAM120及びROM130に接続されている。RAM120はCPU110の作業領域として機能し、ROM130にはブートプログラムなどが記憶されている。更に、CPU110は、バス線160を介してハードディスク140にアクセス可能である。ハードディスク140には、データとプログラムが記録されている。データとしては、印刷の対象となる文書データ、図面データ、あるいは画像データなどが該当する。またプログラムとしては、図示しない情報記録媒体から読み取られてインストールされたプリンタードライバー用プログラムと印刷用アプリケーションプログラムとが組み込まれている。
【0022】
プリンタードライバー用プログラムは、文書データや画像データなどに基づいて作成される液体噴射データとしての印刷データを、プリンター200で処理可能な中間画像データに変換するプログラムである。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色について多値化された信号からなるものが挙げられる。また、印刷用アプリケーションプログラムは、ユーザーの操作に応じて、印刷に必要な情報の取得や演算などを行うために、所定の動作をCPU110に行わせるプログラムである。すなわち、CPU110は、この印刷用アプリケーションプログラムに従って、各ノズルNから所定の色のインクをメディア50に噴射させるような印刷データの生成などを行う。
さらに、CPU110は、インターフェース部150を介してプリンター200との間で通信を行う。
【0023】
一方、プリンター200は、制御中枢として機能するCPU210を備えており、このCPU210はインターフェース部270を介してコンピューター100と通信を実行する。CPU210はバス線290を介してRAM220、ROM230に接続されている。RAM220は、作業領域として機能しコンピューター100から受信した印刷データを一時的に保存する。ROM230には所定のプログラムが記憶されており、このプログラムに基づいてCPU210が所定の動作を行い、印刷が実行される。
【0024】
また、プリンター200のCPU210は、送りモーター駆動部240、移動モーター駆動部250、ヘッド駆動部260の各駆動部に接続されている。送りモーター駆動部240は紙送りモーター241を、移動モーター駆動部250はキャリッジモーター251を、ヘッド駆動部260は圧電素子261をCPU210の制御の下それぞれ駆動する。また、CPU210は、インク残量検出部280に接続されている。インク残量検出部280は、各インクカートリッジ31〜35のインク残量を検出してこれを出力する。
【0025】
ここで、ヘッド駆動部260は、キャリッジモーター251及び紙送りモーター241の駆動と同期して、圧電素子261を駆動する。白黒印刷及びカラー印刷において、ブラックのインクは、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35と連通する第1及び第2の吐出部44及び45、並びに吐出部群46(第1及び第2の個別吐出部46a及び46b)から吐出される。
第1及び第2のインクカートリッジ34及び35を交換する際には、いわゆるクリーニング処理及びフラッシング処理が実行される。クリーニング処理では、キャリッジ20をメディア50から離れた領域に移動させ、記録ヘッドのノズル面にキャップ部材を密着させて吸引動作を行う。フラッシング処理では、キャリッジ20をメディア50から離れた領域に移動させて、インクを吐出させる。これによって、第1及び第2の流路34b及び35bにインクを万遍なく行き渡らせることができる。クリーニング処理及びフラッシング処理で消費されるインクは印刷に寄与しないので、インクの使用効率を高めるためには、インクカートリッジ34及び35を同時に交換することが好ましい。
このため、仮に、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35のインクの残量が等しい場合には、同じ速度でインクを減少させる必要がある。また、インク残量に偏りがある場合には、インク残量が多い方のインクカートリッジのインクの消費を、インク残量が少ない方のインクカートリッジよりも大きくする必要がある。
【0026】
そこで、ヘッド駆動部260は、CPU210の制御の下、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度を第1及び第2のインクカートリッジ34及び35の残量に応じて変更する。
使用頻度の態様には図5に示す第1モードM1、第2モードM2、及び第3モードM3がある。第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度をRa、Rb、Rc、Rdとしたとき、第1モードM1では、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0である。第2モードM2では、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1である。さらに、第3モードM3では、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5である。そして、第1モードM1では、第1のインクカートリッジ34は1枚の印字で12mgのインクを消費すると共に第2のインクカートリッジ35は1枚の印字で7mgのインクを消費する。第2モードM2では、第1のインクカートリッジ34は1枚の印字で7mgのインクを消費すると共に第2のインクカートリッジ35は1枚の印字で12mgのインクを消費する。さらに第3モードM3では、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35は1枚の印字で9.5mgのインクを消費する。
【0027】
次に、CPU210が実行するモード選択処理について説明する。図6は、モード選択処理の処理内容を示すフローチャートである。まず、CPU210は、インク残量検出部280を用いて第1のインクカートリッジ34のインク残量V1と第2のインクカートリッジ35のインク残量V2とを検出する(ステップS10)。
次に、CPU210は、インク残量の差分ΔVを算出する(ステップS20)。差分ΔVは、ΔV=V1−V2の式で与えられる。
【0028】
次に、CPU210は差分ΔVが閾値Vrを上回るか否かを判定する(ステップS30)。差分ΔVが閾値Vrを上回る場合は、インク残量V1がインク残量V2よりも閾値Vrを超えて大きい。この場合、CPU210は第1モードM1を選択し(ステップS40)、使用頻度がRa:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように圧電素子261を駆動する。すなわち、第1モードM1では、より多くのインクが収容されている第1のインクカートリッジ34に連通する第1の個別吐出部46aを、より少ないインクが収容されている第2のインクカートリッジ35に連通する第2の個別吐出部46bよりも優先して使用する。これにより、第1のインクカートリッジ35のインク残量V1をインク残量V2に近づけることができる。
【0029】
差分ΔVが閾値Vrを超えない場合は、CPU210は処理をステップS50に進め、差分ΔVが閾値−Vrを下回るか否かを判定する(ステップS50)。差分ΔVが閾値−Vrを下回る場合は、インク残量V2がインク残量V1よりも閾値Vrを超えて大きい。この場合、CPU210は第2モードM2を選択し(ステップS60)、使用頻度がRa:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように圧電素子261を駆動する。すなわち、第2モードでは、より多くのインクが収容されている第2のインクカートリッジ35に連通する第2の個別吐出部46bを、より少ないインクが収容されている第1のインクカートリッジ34に連通する第1の個別吐出部46aよりも優先して使用する。これにより、第2のインクカートリッジ35のインク残量V2をインク残量V1に近づけることができる。
【0030】
次に、ステップ50の判定条件が否定される場合、すなわち、−Vr≦ΔV≦Vrであって、差分ΔVが閾値−Vrから閾値Vrまでの所定の範囲内にある場合、CPU210は第3モードM3を選択し(ステップS70)、使用頻度がRa:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5となるように圧電素子261を駆動する。
この場合には、第1のインクカートリッジ34のインクと第2のインクカートリッジ35のインクとが均等に消費される。
【0031】
例えば、初期値として第1のインクカートリッジ34に27.5gのインクが収容されており、第2のインクカートリッジに22.5gのインクが収容されている場合を想定する。図7にモードの選択とインク残量との関係を示す。なお、閾値Vr=0.2mgであるとする。初期値におけるインク残量V1は27.5gであって、インク残量V2(=22.5g)よりも大きいので、第1モードM1が選択される。これにより、第1のインクカートリッジ34におけるインク消費量を第2のインクカートリッジ35におけるインク消費量よりも多くできるので、両者のインク残量は次第に近づき、約750枚を印刷した時点で、インク残量V1と、インク残量V2とがほぼ等しくなり、第3モードM3に移行する。
第3モードM3はインク消費量が2つのインクカートリッジで等しいので、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35の交換時期を揃えることが可能となる。吐出部群46においては、第1及び第2の個別吐出部46a及び46bにおけるノズルNの位置が副走査方向Xに等しく、ノズルNが図3に示す3L−2行に位置する。
このように、第1乃至第3モードM1乃至M3の各々では、ドットが3行同時に形成される。したがって、第1モードM1又は第2モードM2を選択したとしても、第3モードM3と比較して、印刷速度が遅くなったり、印刷画質が劣化するといったことがない。
【0032】
第3モードM3は、使用頻度Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5となるように圧電素子261を駆動している。
より具体的には、使用する吐出部の選択について、以下に述べる3つの態様がある。図8はCPU210が実行する第3モード選択処理の第1態様を示すフローチャートである。まず、CPU210は、電源投入からの累積した印刷枚数が奇数であるか否かを判定する(ステップS110)。
【0033】
印刷枚数が奇数である場合には、ステップS120に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1の個別吐出部46aを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。この場合、第1のインクカートリッジ34は第1の流路34bによって第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aに連通されているので、一つの吐出部で1枚の紙を印刷するのに要するインク量の平均値をQとすれば、印刷枚数が奇数の場合、第1のインクカートリッジ34のインク量は「2Q」だけ減少する。一方、印刷枚数が奇数の場合、第2のインクカートリッジ35のインク量は「Q」だけ減少する。印刷枚数が奇数の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比は、1:1:1:0となる。
【0034】
次に、印刷枚数が偶数である場合には、ステップS130に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第2の個別吐出部46bを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。この場合、第2のインクカートリッジ35は第2の流路35bによって第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bに連通されているので、印刷枚数が偶数の場合、第2のインクカートリッジ35のインク量は「2Q」だけ減少し、第1のインクカートリッジ34のインク量は「Q」だけ減少する。また、印刷枚数が偶数の場合、使用頻度の比は、1:1:0:1となる。
【0035】
これらを平均すれば、1枚の印刷当たり、第1のインクカートリッジ34のインク量は「1.5Q」減少し、第2のインクカートリッジ35のインク量は「1.5Q」減少する。したがって、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35のインクは均等に消費され、同時に交換時期を迎える。また、奇数と偶数との使用頻度の比の平均は、1:1:0.5:0.5となる。なお、この例では、1枚ごとに第1の個別吐出部46aと第2の個別吐出部46bとを切り替えたが、所定枚数ごとに使用する個別吐出部を切り替えてもよい。
【0036】
図9はCPU210が実行する第3モード選択処理の第2態様を示すフローチャートである。まず、CPU210は、印刷対象となるドットが奇数列であるか否かを判定する(ステップS210)。
印刷対象のドットが奇数列である場合には、ステップS220に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1の個別吐出部46aを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。印刷対象のドットが奇数列の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比は、1:1:1:0となる。
一方、印刷対象のドットが偶数列である場合には、ステップS230に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第2の個別吐出部46bを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。印刷対象のドットが偶数列の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比は、1:1:0:1となる。
奇数列と偶数列の使用頻度の比の平均は、R1:R2:R3:R4=1:1:0.5:0.5となる。ここで、第1のインクカートリッジ34は第1の流路34bによって第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aに連通されているので、単位時間当たりに消費されるインク量は、第1の吐出部44及び第2の個別吐出部46bの使用頻度の合計である「1.5」に比例する。一方、第2のインクカートリッジ35は第2の流路35bによって第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bに連通されているので、単位時間当たりに消費されるインク量は、第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bの使用頻度の合計である「1.5」に比例する。
よって、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35のインクは均等に消費され、同時に交換時期を迎える。なお、この例では、1列ごとに第1の個別吐出部46aと第2の個別吐出部46bとを切り替えたが、所定列数ごとに使用する個別吐出部を切り替えてもよい。
【0037】
図10はCPU210が実行する第3モード選択処理の第3態様を示すフローチャートである。まず、CPU310は、印刷対象となるドットが奇数行であるか否かを判定する(ステップS310)。
印刷対象のドットが奇数行である場合には、ステップS320に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1の個別吐出部46aを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。印刷対象のドットが奇数行の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比は、1:1:1:0となる。
一方、印刷対象のドットが偶数行である場合には、ステップS330に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第2の個別吐出部46bを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。印刷対象のドットが偶数行の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比の平均は、1:1:0.5:0.5となる。ここで、インクカートリッジ34は第1の流路34bによって第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aに連通されているので、単位時間当たりに消費されるインク量は、第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aの使用頻度の合計である「1.5」に比例する。一方、インクカートリッジ35は流路35bによって第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bに連通されているので、単位時間当たりに消費されるインク量は、第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bの使用頻度の合計である「1.5」に比例する。
よって、インクカートリッジ34及び35のインクは均等に消費され、同時に交換時期を迎える。なお、この例では、1行ごとに第1の個別吐出部46aと第2の個別吐出部46bとを切り替えたが、所定行数ごとに使用する個別吐出部を切り替えてもよい。
このように第1の個別吐出部46aと第2の個別吐出部46bとを、所定枚数、所定列数、あるいは所定行数といった単位期間ごとに切り替えて使用すればよい。
【0038】
以上説明したように本実施形態によれば、同一色の複数のインクカートリッジを使用する場合、インク残量が相違していても、印刷速度や解像度を低下させることなく、これらのインクカートリッジのインクがすべて消費される時期を揃えることができる。よって、ユーザーは、まとめてインクカートリッジの交換を行うことが可能となり、交換回数を減少させて、ユーザーの手間を省くことができる。
また、交換回数が減少することにより、交換対象のインクカートリッジの交換が終了した後に行うクリーニング及びフラッシング動作の回数が減少するので、各インクカートリッジ31〜35がクリーニング及びフラッシング動作にて消費するインクの総量を減少することができ、インクの消費量を減らすことができる。
【0039】
<2.第2実施形態>
第2実施形態に係るプリンター200は、CPU210のモード選択処理の動作を除いて、第1実施形態と同様である。
図11に第2実施形態におけるモード選択処理の処理内容を示す。まず、CPU210は、インク残量検出部280を用いてインク残量V1及びV2を取得する。次に、CPU210は、インク残量V1をインク残量V2と比較して多いか否かを判定する(ステップS80)。
【0040】
インク残量V1がインク残量V2より多い場合には、CPU210は第1モードM1を選択し(ステップS81)、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1の個別吐出部46aを用いて印刷を実行し、第2の個別吐出部46bについては使用しない。このため、インクの消費量が第2のインクカートリッジ35より第1のインクカートリッジ34の方が大きくなる。
【0041】
インク残量V2がインク残量V1より多い場合には、CPU210は第2モードM2を選択し(ステップS82)、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第2の個別吐出部46bを用いて印刷を実行し、第1の個別吐出部46bについては使用しない。このため、インクの消費量が第1のインクカートリッジ34より第2のインクカートリッジ35の方が大きくなる。
この例では、第3モードM3が存在しないので、インク残量V1及びV2の差分を算出する必要がない。よって、処理を簡素化できるといった利点がある。
【0042】
<3.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。
(1)上述した実施形態では、インクジェットプリンター200のCPU210が第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度を制御したが、コンピューター100のCPU110がプリンタードライバープログラムを実行することによって、これを制御してもよい。
【0043】
(2)上述した実施形態では、シアン、マゼンタ、及びイエローについては1個ずつ、ブラックについては2個のインクカートリッジを使用する態様を一例として説明したが、各色のインクカートリッジの個数はこれに限定されない。例えば、シアン、マゼンタ、及びイエローについて複数個のインクカートリッジを備えるようにしてもよい。この場合にも、インクカートリッジの使用頻度を調整して、平均的にインクを噴射させることにより、インクカートリッジの交換回数を減らすことが可能である。
【0044】
(3)上述した実施形態では、液体噴射装置として、インクを噴射するプリンター200について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、液体を液滴として吐出する各種の液体噴射装置であってもよい。例えば、ファックス、コピア等を含む印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。また、液体噴射装置以外の装置に使用する弁装置に応用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
31,32,33,34,35……インクカートリッジ(液体貯留材)、34a,35a……針、34b,35b……第1及び第2の流路、44,45……第1及び第2の吐出部、46……吐出部群、46a,46b……第1及び第2の個別吐出部、100……コンピューター、200……プリンター、210……CPU(制御部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液滴をターゲットに噴射する液体噴射装置として、インク滴を紙に噴射させて画像等を印刷するインクジェット式プリンターがある。この種のプリンターでは、記録ヘッドを主走査方向に移動させ、紙を副走査方向に移動させる。記録ヘッドとインクカートリッジがキャリッジに搭載され移動する。記録ヘッドの底面にはノズル列が形成されており、インクカートリッジとノズル列とは流路によって連通されている。インクはインクカートリッジから流路を流れてノズル列に至る。
特許文献1には、同一色のインクを収容する第1及び第2のインクカートリッジと、第1のインクカートリッジと第1のノズル列を連通する第1の流路と、第2のインクカートリッジと第2のノズル列を連通する第2の流路とを備えるプリンターが開示されている。また、第1のノズル列のノズルと第2のノズル列のノズルとは、副走査方向(紙送り方向)にずれた位置に配置されている。このため、第1及び第2のノズル列から同時にインクを吐出することにより、2行のドットを同時に印刷することが可能となる。くわえて、このプリンターは、第1及び第2のインクカートリッジとのインク残量を検出するインク残量検出部と、インク残量に応じてドット形成に使用するインクカートリッジを選択する選択部とを備える。
そして、第1及び第2のインクカートリッジのインク残量に差がある場合、インク残量の多い方のインクカートリッジに対応するノズル列からインクを吐出させる一方、インク残量の少ない方のインクカートリッジに対応するノズル列からはインクを吐出させないように制御を行う。これにより、インク残量差を減少させることができ、インクカートリッジの交換時期を揃えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−1842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のプリンターでは、インク残量差を調整するためには、第1及び第2のノズル列のうち、一方のノズル列からインクを吐出し、他方のノズル列からはインクを吐出させないように制御していた。このため、通常では1回の主走査で2行のドットを形成するのに対し、インク残量の調整時には1回の主走査で1行のドットしか形成できないため、印刷速度が遅くなるといった問題があった。また、仮に、印刷速度を維持した場合には、解像度が低下するといった問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、印刷速度や解像度を維持しつつ、インクカートリッジの残量差を減少させて、複数のインクカートリッジを同時期に交換可能とすることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明に係る液体噴射装置は、同じ液体を貯留する第1及び第2の液体貯留材から前記液体の供給を受けて前記液体を噴射する液体噴射装置であって、複数のノズルが第1方向と平行に形成され、前記ノズルの位置が前記第1方向において互いに異なる第1及び第2の吐出部と、前記ノズルの位置が前記第1方向において前記第1及び第2の吐出部と異なり、前記ノズルの位置が前記第1方向において同じである第1及び第2の個別吐出部を備えた吐出部群と、前記第1の液体貯留材から分岐して前記第1の吐出部と前記第1の個別吐出部とを連通する第1の流路と、前記第2の液体貯留材から分岐して前記第2の吐出部と前記第2の個別吐出部とを連通する第2の流路と、前記第1及び第2の液体貯留材に各々に収容される液体の残りの量である第1及び第2の残量を検出する液体残量検出部と、前記第1及び第2の吐出部、並びに前記第1及び第2の個別吐出部を使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように制御する第1モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように制御する第2モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5となるように制御する第3モードを、選択可能である制御部とを備え、前記制御部は、前記第1及び第2の液体貯留材に収容される前記液体が同時期に無くなるように、前記第1及び第2の残量に基づいて前記第1モード、前記第2モード、及び前記第3モードのいずれかを選択する、ことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、第1及び第2の残量に応じて、第1乃至第3モードを選択するので、残量に差があっても、残量差を減少させて、第1及び第2の液体貯留材の交換時期を揃えることができる。この結果、2個の液体貯留材を同じ時期に交換することができ、ユーザーの負担を減らすことができる。また、液体貯留材を交換すると、一定量の液体を吸引するクリーニング処理、一定量の液体を吐出するフラッシング処理を行う必要があるが、交換回数を減らすことにより、クリーニング処理及びフラッシング処理で吐出する液体の量を減らすことが可能となる。
くわえて、第1の吐出部、第2の吐出部、第1及び第2の個別吐出部のノズルは第1方向の異なる位置に配置される。そして、第1モードでは、第1の吐出部、第2の吐出部、及び第1の個別吐出部から液滴が吐出され、第2モードでは、第1の吐出部、第2の吐出部、及び第2の個別吐出部から液滴が吐出され、第3モードでは、第1の吐出部、第2の吐出部、並びに第1及び第2の個別吐出部から液滴が吐出される。すなわち、全てのモードにおいて、3種類のノズル位置から液滴が吐出される。よって、第1モード又は第2モードを選択して液体の残量を調整する期間においても、第3モードと比較して印刷速度や解像度が低下することがない。
【0008】
ここで、前記制御部は、前記第1及び第2の残量の差分を算出し、前記差分が所定範囲内である場合には前記第3モードを選択し、前記差分が前記所定範囲外であり前記第1の残量が前記第2の残量より大きい場合には前記第1モードを選択し、前記差分が前記所定範囲外であり前記第1の残量が前記第2の残量より小さい場合には前記第2モードを選択することが好ましい。
このようにモードを選択することによって、第1及び第2の残量の差分が所定範囲内である場合には、第3モードを選択して第1及び第2の液体貯留材の液体を均等に消費し、第1の残量が第2の残量よりも大きい場合には、第1の液体貯留材の液体を第2の液体貯留材の液体よりも多く消費し、第2の残量が第1の残量よりも大きい場合には、第2の液体貯留材の液体を第1の液体貯留材の液体よりも多く消費する。これによって、第1の液体貯留材と第2の液体貯留材の交換時期を揃えることが可能となる。
【0009】
また、前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記第1の個別吐出部と前記第2の個別吐出部とを単位期間ごとに切り替えて順次使用することが好ましい。
より具体的には、前記液体はインクであり、前記第1及び第2の吐出部及び前記第1及び第2の個別吐出部は、紙に前記インクを吐出し、前記単位期間は、所定枚数の紙を印刷する期間であり、前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定枚数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用することが好ましい。
また、前記単位期間は、所定列数の紙を印刷する期間であり、前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定列数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用することが好ましい。
また、前記単位期間は、所定行数の紙を印刷する期間であり、前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定行数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用することが好ましい。
このようにシーケンシャルに個別吐出部を切り替えることができるから、使用頻度を調整する制御を簡素化できる。
【0010】
本発明に係る別の液体噴射装置は、同じ液体を貯留する第1及び第2の液体貯留材から前記液体の供給を受けて前記液体を噴射する液体噴射装置であって、複数のノズルが第1方向と平行に形成され、前記ノズルの位置が前記第1方向において互いに異なる第1及び第2の吐出部と、前記ノズルの位置が前記第1方向において前記第1及び第2の吐出部と異なり、前記ノズルの位置が前記第1方向において同じである第1及び第2の個別吐出部を備えた吐出部群と、前記第1の液体貯留材から分岐して前記第1の吐出部と前記第1の個別吐出部とを連通する第1の流路と、前記第2の液体貯留材から分岐して前記第2の吐出部と前記第2の個別吐出部とを連通する第2の流路と、前記第1及び第2の液体貯留材に各々に収容される液体の残りの量である第1及び第2の残量を検出する液体残量検出部と、前記第1及び第2の吐出部、並びに前記第1及び第2の個別吐出部を使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように制御する第1モードと、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように制御する第2モードとを、選択可能である制御部とを備え、前記制御部は前記第1及び第2の残量を比較し、前記第1の残量が前記第2の残量より大きい場合には前記第1モードを選択し、前記第1の残量が前記第2の残量より小さい場合には前記第2モードを選択することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、第1及び第2の残量の差分が所定範囲であるかを判定する必要がなく、しかもモードの選択は第1モードと第2モードのみであり、処理を大幅に簡素化できる。そして、常時、第1及び第2の残量の比較を実行し、モードを選択するから、第1及び第2の残量が等しくなるように制御される。よって、第1及び第2の液体貯留材の交換時期を揃えることができ、ユーザーの負担を減らすことができる。また、交換回数を減らすことにより、クリーニング処理やフラッシング処理で消費する液体の量を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】記録ヘッドの下面図である。
【図3】ブラックのインクカートリッジと吐出部及び個別吐出部との関係を示す説明図である。
【図4】印刷システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】各モードにおける使用頻度とインク消費量の関係を示す表である。
【図6】モード選択処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】インク残量と選択したモードとの関係の具体例を示すグラフである。
【図8】第3モード選択処理の第1態様を示すフローチャートである。
【図9】第3モード選択処理の第2態様を示すフローチャートである。
【図10】第3モード選択処理の第3態様を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係るモード選択処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<1.第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態の液体噴射システムとしての印刷システムは、ユーザーが使用するコンピューター100と、これに接続されている液体噴射装置としてのインクジェット式カラープリンター(以下、プリンターという。)200とから構成されている。同コンピューター100は、キーボード102及びマウス103を備え、これらが操作されることにより文字入力や設定変更などが行われる。また、コンピューター100はモニター101と接続されている。ユーザーはこのモニター101を用いて、印刷したい文書画像の指定や印刷実行を指示する。
【0014】
一方、プリンター200は、本体の外に給紙トレイ17及び排紙トレイ18を備えるとともに、内部に複数の紙送りローラー19を備えている。紙送りローラー19は紙送りモーター241によって適宜駆動される。このため、プリンター200は、ターゲットであるメディア50を給紙トレイ17から導入し、このメディア50を副走査方向Xに搬送させた後、排紙トレイ18に排出する。メディア50の典型例は普通紙であるが、印刷の対象となるのであればどのようなものであってもよく、例えば、光沢系専用紙、非光沢系専用紙、クロス生地、マット紙、塩化ビニルなどであってもよい。
【0015】
また、プリンター200は、内部に、キャリッジ20及びこれに対向するプラテン21を備えている。プラテン21は、印刷時にメディア50を支持する支持台であって、印刷時にはその上方に、紙送りローラー19によりメディア50が搬送される。キャリッジ20は、ガイド軸22に嵌合され、かつタイミングベルト23に固着されている。タイミングベルト23はキャリッジモーター251により駆動される。これによって、キャリッジ20は主走査方向Y(図1の紙面に直交する方向)に往復移動可能とされている。
【0016】
キャリッジ20は、図1に示すように、その下面に液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド30を有している。この記録ヘッド30の下面には、図2に示すように、複数のノズルNからなるノズル列が形成された吐出部41、42,43、44及び45、並びに吐出部群46を備える。この記録ヘッド30は、図4に示す圧電素子261の伸縮によってノズル列からインクをメディア50上に噴射させる。従って、キャリッジ20は、主走査方向Yに移動しながら記録ヘッド30から各色のインクを噴射して、メディア50に印刷を行う。
【0017】
また、キャリッジ20には、図2に示すように、同一形状の5つのインクカートリッジ31、32、33、34、及び35が搭載されている。各インクカートリッジ31〜35は、それぞれ下方に位置する各2列のノズルNに接続されている。そのため、各インクカートリッジ31〜35のインクは、それらの下方に位置する吐出部41〜45及び吐出部群46に形成されたノズル列から外部に噴射される。
【0018】
インクカートリッジ31にはイエロー(Y)のインクが、インクカートリッジ32にはマゼンタ(M)のインクが、インクカートリッジ33にはシアン(C)のインクが、インクカートリッジ34及び35にはブラック(K)のインクがそれぞれ収容されている。すなわち、キャリッジ20には、シアン、マゼンタ及びイエローのインクカートリッジが各1個ずつ、ブラックのインクカートリッジが2個搭載されている。なお、ブラックのインクカートリッジ34及び35には、未使用時においてそれぞれ同量のインクが収容されている。なお、以下の説明では、インクカートリッジ34を第1のインクカートリッジ34と称し、インクカートリッジ35を第2のインクカートリッジ35と称する。
【0019】
図3は、ブラック(K)の第1及び第2のインクカートリッジ34及び35と吐出部及び個別吐出部の関係を示す説明図である。第1及び第2のインクカートリッジ34及び35の底面の一部はフィルムで覆われている。一方、キャリッジ20には針34a及び35aが設けられていて、キャリッジ20に第1及び第2のインクカートリッジ34及び35を装着すると、針34a及び35aがフィルムを突き破り第1及び第2のインクカートリッジ34及び35の内部に刺さる。針34a及び35aの先端には穴が開いていてインクが穴を通って流れ出るようになっている。なお、他のインクカートリッジ31〜35も同様の構成によってインクが流れ出すようになっている。そして、針34a及び35aの根本部分は異物などや気泡の混入を防止するフィルターFで仕切られており、インク室Hにおいて、分岐する第1及び第2の流路34b及び35bが設けられている。なお、以下の説明では吐出部44及び45を第1及び第2の吐出部44及び45と称し、個別吐出部46a及び46bを第1及び第2の個別吐出部46a及び46bと称する。
【0020】
第1及び第2の吐出部44及び45、並びに吐出部群46には複数のノズルNが形成されている。第1の吐出部44のノズル列は3L行目にノズルNが位置し、第2の吐出部45のノズル列は3L−1行目にノズルNが位置し、吐出部群46のノズル列は3L−2行目にノズルNが位置する。但し、Lは自然数である。このように、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに吐出部群46のノズルNは、副走査方向Xに異なる位置に配置されている。ここで、吐出部群46は、ノズルNが副走査方向Xの同じ位置に配置された第1及び第2の個別吐出部46a及び46bを備える。
そして、第1の流路34bは第1のインクカートリッジ34と第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aとを連通し、第2の流路35bは第2のインクカートリッジ35と第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bとを連通する。
すなわち、本実施形態では、2個の第1及び第2のインクカートリッジ34及び35と、ノズルNの位置が副走査方向Xに互いに異なる3種類の第1及び第2の吐出部44及び45、並びに吐出部群46とを、第1及び第2の流路34b及び35bを用いて連通している。
また、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bにおいて、複数のノズルNに各々に対応して圧力室が設けられており、そこには圧電素子261(図4参照)が配置されている。この圧電素子261が伸縮することによって圧力室の圧力が変化し、ノズルNからインク滴がメディア50に吐出される。
【0021】
次に、この印刷システムの電気的構成について図4を参照して説明する。コンピューター100は、キーボード102、マウス103及びモニター101とバス線160を介して接続され、制御中枢として機能するCPU110を備える。
また、CPU110は、RAM120及びROM130に接続されている。RAM120はCPU110の作業領域として機能し、ROM130にはブートプログラムなどが記憶されている。更に、CPU110は、バス線160を介してハードディスク140にアクセス可能である。ハードディスク140には、データとプログラムが記録されている。データとしては、印刷の対象となる文書データ、図面データ、あるいは画像データなどが該当する。またプログラムとしては、図示しない情報記録媒体から読み取られてインストールされたプリンタードライバー用プログラムと印刷用アプリケーションプログラムとが組み込まれている。
【0022】
プリンタードライバー用プログラムは、文書データや画像データなどに基づいて作成される液体噴射データとしての印刷データを、プリンター200で処理可能な中間画像データに変換するプログラムである。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色について多値化された信号からなるものが挙げられる。また、印刷用アプリケーションプログラムは、ユーザーの操作に応じて、印刷に必要な情報の取得や演算などを行うために、所定の動作をCPU110に行わせるプログラムである。すなわち、CPU110は、この印刷用アプリケーションプログラムに従って、各ノズルNから所定の色のインクをメディア50に噴射させるような印刷データの生成などを行う。
さらに、CPU110は、インターフェース部150を介してプリンター200との間で通信を行う。
【0023】
一方、プリンター200は、制御中枢として機能するCPU210を備えており、このCPU210はインターフェース部270を介してコンピューター100と通信を実行する。CPU210はバス線290を介してRAM220、ROM230に接続されている。RAM220は、作業領域として機能しコンピューター100から受信した印刷データを一時的に保存する。ROM230には所定のプログラムが記憶されており、このプログラムに基づいてCPU210が所定の動作を行い、印刷が実行される。
【0024】
また、プリンター200のCPU210は、送りモーター駆動部240、移動モーター駆動部250、ヘッド駆動部260の各駆動部に接続されている。送りモーター駆動部240は紙送りモーター241を、移動モーター駆動部250はキャリッジモーター251を、ヘッド駆動部260は圧電素子261をCPU210の制御の下それぞれ駆動する。また、CPU210は、インク残量検出部280に接続されている。インク残量検出部280は、各インクカートリッジ31〜35のインク残量を検出してこれを出力する。
【0025】
ここで、ヘッド駆動部260は、キャリッジモーター251及び紙送りモーター241の駆動と同期して、圧電素子261を駆動する。白黒印刷及びカラー印刷において、ブラックのインクは、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35と連通する第1及び第2の吐出部44及び45、並びに吐出部群46(第1及び第2の個別吐出部46a及び46b)から吐出される。
第1及び第2のインクカートリッジ34及び35を交換する際には、いわゆるクリーニング処理及びフラッシング処理が実行される。クリーニング処理では、キャリッジ20をメディア50から離れた領域に移動させ、記録ヘッドのノズル面にキャップ部材を密着させて吸引動作を行う。フラッシング処理では、キャリッジ20をメディア50から離れた領域に移動させて、インクを吐出させる。これによって、第1及び第2の流路34b及び35bにインクを万遍なく行き渡らせることができる。クリーニング処理及びフラッシング処理で消費されるインクは印刷に寄与しないので、インクの使用効率を高めるためには、インクカートリッジ34及び35を同時に交換することが好ましい。
このため、仮に、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35のインクの残量が等しい場合には、同じ速度でインクを減少させる必要がある。また、インク残量に偏りがある場合には、インク残量が多い方のインクカートリッジのインクの消費を、インク残量が少ない方のインクカートリッジよりも大きくする必要がある。
【0026】
そこで、ヘッド駆動部260は、CPU210の制御の下、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度を第1及び第2のインクカートリッジ34及び35の残量に応じて変更する。
使用頻度の態様には図5に示す第1モードM1、第2モードM2、及び第3モードM3がある。第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度をRa、Rb、Rc、Rdとしたとき、第1モードM1では、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0である。第2モードM2では、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1である。さらに、第3モードM3では、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5である。そして、第1モードM1では、第1のインクカートリッジ34は1枚の印字で12mgのインクを消費すると共に第2のインクカートリッジ35は1枚の印字で7mgのインクを消費する。第2モードM2では、第1のインクカートリッジ34は1枚の印字で7mgのインクを消費すると共に第2のインクカートリッジ35は1枚の印字で12mgのインクを消費する。さらに第3モードM3では、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35は1枚の印字で9.5mgのインクを消費する。
【0027】
次に、CPU210が実行するモード選択処理について説明する。図6は、モード選択処理の処理内容を示すフローチャートである。まず、CPU210は、インク残量検出部280を用いて第1のインクカートリッジ34のインク残量V1と第2のインクカートリッジ35のインク残量V2とを検出する(ステップS10)。
次に、CPU210は、インク残量の差分ΔVを算出する(ステップS20)。差分ΔVは、ΔV=V1−V2の式で与えられる。
【0028】
次に、CPU210は差分ΔVが閾値Vrを上回るか否かを判定する(ステップS30)。差分ΔVが閾値Vrを上回る場合は、インク残量V1がインク残量V2よりも閾値Vrを超えて大きい。この場合、CPU210は第1モードM1を選択し(ステップS40)、使用頻度がRa:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように圧電素子261を駆動する。すなわち、第1モードM1では、より多くのインクが収容されている第1のインクカートリッジ34に連通する第1の個別吐出部46aを、より少ないインクが収容されている第2のインクカートリッジ35に連通する第2の個別吐出部46bよりも優先して使用する。これにより、第1のインクカートリッジ35のインク残量V1をインク残量V2に近づけることができる。
【0029】
差分ΔVが閾値Vrを超えない場合は、CPU210は処理をステップS50に進め、差分ΔVが閾値−Vrを下回るか否かを判定する(ステップS50)。差分ΔVが閾値−Vrを下回る場合は、インク残量V2がインク残量V1よりも閾値Vrを超えて大きい。この場合、CPU210は第2モードM2を選択し(ステップS60)、使用頻度がRa:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように圧電素子261を駆動する。すなわち、第2モードでは、より多くのインクが収容されている第2のインクカートリッジ35に連通する第2の個別吐出部46bを、より少ないインクが収容されている第1のインクカートリッジ34に連通する第1の個別吐出部46aよりも優先して使用する。これにより、第2のインクカートリッジ35のインク残量V2をインク残量V1に近づけることができる。
【0030】
次に、ステップ50の判定条件が否定される場合、すなわち、−Vr≦ΔV≦Vrであって、差分ΔVが閾値−Vrから閾値Vrまでの所定の範囲内にある場合、CPU210は第3モードM3を選択し(ステップS70)、使用頻度がRa:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5となるように圧電素子261を駆動する。
この場合には、第1のインクカートリッジ34のインクと第2のインクカートリッジ35のインクとが均等に消費される。
【0031】
例えば、初期値として第1のインクカートリッジ34に27.5gのインクが収容されており、第2のインクカートリッジに22.5gのインクが収容されている場合を想定する。図7にモードの選択とインク残量との関係を示す。なお、閾値Vr=0.2mgであるとする。初期値におけるインク残量V1は27.5gであって、インク残量V2(=22.5g)よりも大きいので、第1モードM1が選択される。これにより、第1のインクカートリッジ34におけるインク消費量を第2のインクカートリッジ35におけるインク消費量よりも多くできるので、両者のインク残量は次第に近づき、約750枚を印刷した時点で、インク残量V1と、インク残量V2とがほぼ等しくなり、第3モードM3に移行する。
第3モードM3はインク消費量が2つのインクカートリッジで等しいので、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35の交換時期を揃えることが可能となる。吐出部群46においては、第1及び第2の個別吐出部46a及び46bにおけるノズルNの位置が副走査方向Xに等しく、ノズルNが図3に示す3L−2行に位置する。
このように、第1乃至第3モードM1乃至M3の各々では、ドットが3行同時に形成される。したがって、第1モードM1又は第2モードM2を選択したとしても、第3モードM3と比較して、印刷速度が遅くなったり、印刷画質が劣化するといったことがない。
【0032】
第3モードM3は、使用頻度Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5となるように圧電素子261を駆動している。
より具体的には、使用する吐出部の選択について、以下に述べる3つの態様がある。図8はCPU210が実行する第3モード選択処理の第1態様を示すフローチャートである。まず、CPU210は、電源投入からの累積した印刷枚数が奇数であるか否かを判定する(ステップS110)。
【0033】
印刷枚数が奇数である場合には、ステップS120に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1の個別吐出部46aを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。この場合、第1のインクカートリッジ34は第1の流路34bによって第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aに連通されているので、一つの吐出部で1枚の紙を印刷するのに要するインク量の平均値をQとすれば、印刷枚数が奇数の場合、第1のインクカートリッジ34のインク量は「2Q」だけ減少する。一方、印刷枚数が奇数の場合、第2のインクカートリッジ35のインク量は「Q」だけ減少する。印刷枚数が奇数の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比は、1:1:1:0となる。
【0034】
次に、印刷枚数が偶数である場合には、ステップS130に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第2の個別吐出部46bを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。この場合、第2のインクカートリッジ35は第2の流路35bによって第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bに連通されているので、印刷枚数が偶数の場合、第2のインクカートリッジ35のインク量は「2Q」だけ減少し、第1のインクカートリッジ34のインク量は「Q」だけ減少する。また、印刷枚数が偶数の場合、使用頻度の比は、1:1:0:1となる。
【0035】
これらを平均すれば、1枚の印刷当たり、第1のインクカートリッジ34のインク量は「1.5Q」減少し、第2のインクカートリッジ35のインク量は「1.5Q」減少する。したがって、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35のインクは均等に消費され、同時に交換時期を迎える。また、奇数と偶数との使用頻度の比の平均は、1:1:0.5:0.5となる。なお、この例では、1枚ごとに第1の個別吐出部46aと第2の個別吐出部46bとを切り替えたが、所定枚数ごとに使用する個別吐出部を切り替えてもよい。
【0036】
図9はCPU210が実行する第3モード選択処理の第2態様を示すフローチャートである。まず、CPU210は、印刷対象となるドットが奇数列であるか否かを判定する(ステップS210)。
印刷対象のドットが奇数列である場合には、ステップS220に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1の個別吐出部46aを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。印刷対象のドットが奇数列の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比は、1:1:1:0となる。
一方、印刷対象のドットが偶数列である場合には、ステップS230に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第2の個別吐出部46bを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。印刷対象のドットが偶数列の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比は、1:1:0:1となる。
奇数列と偶数列の使用頻度の比の平均は、R1:R2:R3:R4=1:1:0.5:0.5となる。ここで、第1のインクカートリッジ34は第1の流路34bによって第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aに連通されているので、単位時間当たりに消費されるインク量は、第1の吐出部44及び第2の個別吐出部46bの使用頻度の合計である「1.5」に比例する。一方、第2のインクカートリッジ35は第2の流路35bによって第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bに連通されているので、単位時間当たりに消費されるインク量は、第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bの使用頻度の合計である「1.5」に比例する。
よって、第1及び第2のインクカートリッジ34及び35のインクは均等に消費され、同時に交換時期を迎える。なお、この例では、1列ごとに第1の個別吐出部46aと第2の個別吐出部46bとを切り替えたが、所定列数ごとに使用する個別吐出部を切り替えてもよい。
【0037】
図10はCPU210が実行する第3モード選択処理の第3態様を示すフローチャートである。まず、CPU310は、印刷対象となるドットが奇数行であるか否かを判定する(ステップS310)。
印刷対象のドットが奇数行である場合には、ステップS320に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1の個別吐出部46aを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。印刷対象のドットが奇数行の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比は、1:1:1:0となる。
一方、印刷対象のドットが偶数行である場合には、ステップS330に進み、CPU210は、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第2の個別吐出部46bを選択して、これらのノズル列に対応する圧電素子261を駆動する。印刷対象のドットが偶数行の場合、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度の比の平均は、1:1:0.5:0.5となる。ここで、インクカートリッジ34は第1の流路34bによって第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aに連通されているので、単位時間当たりに消費されるインク量は、第1の吐出部44及び第1の個別吐出部46aの使用頻度の合計である「1.5」に比例する。一方、インクカートリッジ35は流路35bによって第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bに連通されているので、単位時間当たりに消費されるインク量は、第2の吐出部45及び第2の個別吐出部46bの使用頻度の合計である「1.5」に比例する。
よって、インクカートリッジ34及び35のインクは均等に消費され、同時に交換時期を迎える。なお、この例では、1行ごとに第1の個別吐出部46aと第2の個別吐出部46bとを切り替えたが、所定行数ごとに使用する個別吐出部を切り替えてもよい。
このように第1の個別吐出部46aと第2の個別吐出部46bとを、所定枚数、所定列数、あるいは所定行数といった単位期間ごとに切り替えて使用すればよい。
【0038】
以上説明したように本実施形態によれば、同一色の複数のインクカートリッジを使用する場合、インク残量が相違していても、印刷速度や解像度を低下させることなく、これらのインクカートリッジのインクがすべて消費される時期を揃えることができる。よって、ユーザーは、まとめてインクカートリッジの交換を行うことが可能となり、交換回数を減少させて、ユーザーの手間を省くことができる。
また、交換回数が減少することにより、交換対象のインクカートリッジの交換が終了した後に行うクリーニング及びフラッシング動作の回数が減少するので、各インクカートリッジ31〜35がクリーニング及びフラッシング動作にて消費するインクの総量を減少することができ、インクの消費量を減らすことができる。
【0039】
<2.第2実施形態>
第2実施形態に係るプリンター200は、CPU210のモード選択処理の動作を除いて、第1実施形態と同様である。
図11に第2実施形態におけるモード選択処理の処理内容を示す。まず、CPU210は、インク残量検出部280を用いてインク残量V1及びV2を取得する。次に、CPU210は、インク残量V1をインク残量V2と比較して多いか否かを判定する(ステップS80)。
【0040】
インク残量V1がインク残量V2より多い場合には、CPU210は第1モードM1を選択し(ステップS81)、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1の個別吐出部46aを用いて印刷を実行し、第2の個別吐出部46bについては使用しない。このため、インクの消費量が第2のインクカートリッジ35より第1のインクカートリッジ34の方が大きくなる。
【0041】
インク残量V2がインク残量V1より多い場合には、CPU210は第2モードM2を選択し(ステップS82)、第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第2の個別吐出部46bを用いて印刷を実行し、第1の個別吐出部46bについては使用しない。このため、インクの消費量が第1のインクカートリッジ34より第2のインクカートリッジ35の方が大きくなる。
この例では、第3モードM3が存在しないので、インク残量V1及びV2の差分を算出する必要がない。よって、処理を簡素化できるといった利点がある。
【0042】
<3.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。
(1)上述した実施形態では、インクジェットプリンター200のCPU210が第1及び第2の吐出部44及び45、並びに第1及び第2の個別吐出部46a及び46bの使用頻度を制御したが、コンピューター100のCPU110がプリンタードライバープログラムを実行することによって、これを制御してもよい。
【0043】
(2)上述した実施形態では、シアン、マゼンタ、及びイエローについては1個ずつ、ブラックについては2個のインクカートリッジを使用する態様を一例として説明したが、各色のインクカートリッジの個数はこれに限定されない。例えば、シアン、マゼンタ、及びイエローについて複数個のインクカートリッジを備えるようにしてもよい。この場合にも、インクカートリッジの使用頻度を調整して、平均的にインクを噴射させることにより、インクカートリッジの交換回数を減らすことが可能である。
【0044】
(3)上述した実施形態では、液体噴射装置として、インクを噴射するプリンター200について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、液体を液滴として吐出する各種の液体噴射装置であってもよい。例えば、ファックス、コピア等を含む印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。また、液体噴射装置以外の装置に使用する弁装置に応用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
31,32,33,34,35……インクカートリッジ(液体貯留材)、34a,35a……針、34b,35b……第1及び第2の流路、44,45……第1及び第2の吐出部、46……吐出部群、46a,46b……第1及び第2の個別吐出部、100……コンピューター、200……プリンター、210……CPU(制御部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ液体を貯留する第1及び第2の液体貯留材から前記液体の供給を受けて前記液体を噴射する液体噴射装置であって、
複数のノズルが第1方向と平行に形成され、前記ノズルの位置が前記第1方向において互いに異なる第1及び第2の吐出部と、
前記ノズルの位置が前記第1方向において前記第1及び第2の吐出部と異なり、前記ノズルの位置が前記第1方向において同じである第1及び第2の個別吐出部を備えた吐出部群と、
前記第1の液体貯留材から分岐して前記第1の吐出部と前記第1の個別吐出部とを連通する第1の流路と、
前記第2の液体貯留材から分岐して前記第2の吐出部と前記第2の個別吐出部とを連通する第2の流路と、
前記第1及び第2の液体貯留材に各々に収容される液体の残りの量である第1及び第2の残量を検出する液体残量検出部と、
前記第1及び第2の吐出部、並びに前記第1及び第2の個別吐出部を使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように制御する第1モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように制御する第2モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5となるように制御する第3モードを、選択可能である制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1及び第2の液体貯留材に収容される前記液体が同時期に無くなるように、前記第1及び第2の残量に基づいて前記第1モード、前記第2モード、及び前記第3モードのいずれかを選択する、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1及び第2の残量の差分を算出し、前記差分が所定範囲内である場合には前記第3モードを選択し、前記差分が前記所定範囲外であり前記第1の残量が前記第2の残量より大きい場合には前記第1モードを選択し、前記差分が前記所定範囲外であり前記第1の残量が前記第2の残量より小さい場合には前記第2モードを選択することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記第1の個別吐出部と前記第2の個別吐出部とを単位期間ごとに切り替えて順次使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記液体はインクであり、
前記第1及び第2の吐出部及び前記第1及び第2の個別吐出部は、紙に前記インクを吐出し、
前記単位期間は、所定枚数の紙を印刷する期間であり、
前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定枚数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記液体はインクであり、
前記第1及び第2の吐出部及び前記第1及び第2の個別吐出部は、紙に前記インクを吐出し、
前記単位期間は、所定列数の紙を印刷する期間であり、
前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定列数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記液体はインクであり、
前記第1及び第2の吐出部及び前記第1及び第2の個別吐出部は、紙に前記インクを吐出し、
前記単位期間は、所定行数の紙を印刷する期間であり、
前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定行数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
同じ液体を貯留する第1及び第2の液体貯留材から前記液体の供給を受けて前記液体を噴射する液体噴射装置であって、
複数のノズルが第1方向と平行に形成され、前記ノズルの位置が前記第1方向において互いに異なる第1及び第2の吐出部と、
前記ノズルの位置が前記第1方向において前記第1及び第2の吐出部と異なり、前記ノズルの位置が前記第1方向において同じである第1及び第2の個別吐出部を備えた吐出部群と、
前記第1の液体貯留材から分岐して前記第1の吐出部と前記第1の個別吐出部とを連通する第1の流路と、
前記第2の液体貯留材から分岐して前記第2の吐出部と前記第2の個別吐出部とを連通する第2の流路と、
前記第1及び第2の液体貯留材に各々に収容される液体の残りの量である第1及び第2の残量を検出する液体残量検出部と、
前記第1及び第2の吐出部、並びに前記第1及び第2の個別吐出部を使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように制御する第1モードと、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように制御する第2モードとを、選択可能である制御部とを備え、
前記制御部は前記第1及び第2の残量を比較し、前記第1の残量が前記第2の残量より大きい場合には前記第1モードを選択し、前記第1の残量が前記第2の残量より小さい場合には前記第2モードを選択することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項1】
同じ液体を貯留する第1及び第2の液体貯留材から前記液体の供給を受けて前記液体を噴射する液体噴射装置であって、
複数のノズルが第1方向と平行に形成され、前記ノズルの位置が前記第1方向において互いに異なる第1及び第2の吐出部と、
前記ノズルの位置が前記第1方向において前記第1及び第2の吐出部と異なり、前記ノズルの位置が前記第1方向において同じである第1及び第2の個別吐出部を備えた吐出部群と、
前記第1の液体貯留材から分岐して前記第1の吐出部と前記第1の個別吐出部とを連通する第1の流路と、
前記第2の液体貯留材から分岐して前記第2の吐出部と前記第2の個別吐出部とを連通する第2の流路と、
前記第1及び第2の液体貯留材に各々に収容される液体の残りの量である第1及び第2の残量を検出する液体残量検出部と、
前記第1及び第2の吐出部、並びに前記第1及び第2の個別吐出部を使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように制御する第1モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように制御する第2モード、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0.5:0.5となるように制御する第3モードを、選択可能である制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1及び第2の液体貯留材に収容される前記液体が同時期に無くなるように、前記第1及び第2の残量に基づいて前記第1モード、前記第2モード、及び前記第3モードのいずれかを選択する、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1及び第2の残量の差分を算出し、前記差分が所定範囲内である場合には前記第3モードを選択し、前記差分が前記所定範囲外であり前記第1の残量が前記第2の残量より大きい場合には前記第1モードを選択し、前記差分が前記所定範囲外であり前記第1の残量が前記第2の残量より小さい場合には前記第2モードを選択することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記第1の個別吐出部と前記第2の個別吐出部とを単位期間ごとに切り替えて順次使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記液体はインクであり、
前記第1及び第2の吐出部及び前記第1及び第2の個別吐出部は、紙に前記インクを吐出し、
前記単位期間は、所定枚数の紙を印刷する期間であり、
前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定枚数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記液体はインクであり、
前記第1及び第2の吐出部及び前記第1及び第2の個別吐出部は、紙に前記インクを吐出し、
前記単位期間は、所定列数の紙を印刷する期間であり、
前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定列数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記液体はインクであり、
前記第1及び第2の吐出部及び前記第1及び第2の個別吐出部は、紙に前記インクを吐出し、
前記単位期間は、所定行数の紙を印刷する期間であり、
前記制御部は、前記第3モードにおいて、前記所定行数ごとに前記第1及び第2の個別吐出部を切り替えて順次使用する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
同じ液体を貯留する第1及び第2の液体貯留材から前記液体の供給を受けて前記液体を噴射する液体噴射装置であって、
複数のノズルが第1方向と平行に形成され、前記ノズルの位置が前記第1方向において互いに異なる第1及び第2の吐出部と、
前記ノズルの位置が前記第1方向において前記第1及び第2の吐出部と異なり、前記ノズルの位置が前記第1方向において同じである第1及び第2の個別吐出部を備えた吐出部群と、
前記第1の液体貯留材から分岐して前記第1の吐出部と前記第1の個別吐出部とを連通する第1の流路と、
前記第2の液体貯留材から分岐して前記第2の吐出部と前記第2の個別吐出部とを連通する第2の流路と、
前記第1及び第2の液体貯留材に各々に収容される液体の残りの量である第1及び第2の残量を検出する液体残量検出部と、
前記第1及び第2の吐出部、並びに前記第1及び第2の個別吐出部を使用して前記液体を吐出させる頻度を、Ra、Rb、Rc、及びRdとしたとき、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:1:0となるように制御する第1モードと、Ra:Rb:Rc:Rd=1:1:0:1となるように制御する第2モードとを、選択可能である制御部とを備え、
前記制御部は前記第1及び第2の残量を比較し、前記第1の残量が前記第2の残量より大きい場合には前記第1モードを選択し、前記第1の残量が前記第2の残量より小さい場合には前記第2モードを選択することを特徴とする液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−178011(P2011−178011A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43853(P2010−43853)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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