説明

液体噴射装置

【課題】チョーククリーニングを簡便に実行する。
【解決手段】液体収容部内の液体を噴射ヘッドに導く液体通路上に開閉弁を設けておく。
そして、噴射ヘッドにキャップ部を当接させて噴射ノズルの周囲に閉空間を形成するとと
もに、開閉弁を閉じた状態で吸引ポンプを動作させることにより閉空間に負圧を蓄積し、
閉空間の負圧が所定負圧に達したら、その蓄積された負圧を用いて開閉弁を開放させる。
こうすれば、閉空間に所定負圧が蓄積されることで自動的に開閉弁が開放されることから
、開閉弁を開放するタイミングを時間で管理するといった複雑な制御処理を行う必要がな
く、チョーククリーニングを簡便に実行することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ヘッドから液体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置の一つである、いわゆるインクジェットプリンターでは、噴射ヘッドに設
けられた微細な噴射ノズルから、正確な分量のインクを紙などの噴射対象の正確な位置に
噴射することによって、高画質の画像を印刷することが可能である。また、この技術を利
用して、インクの代わりに各種の液体(例えば、機能材料の微粒子が分散された液体)を
基板に向けて噴射すれば、電極や、センサ、バイオチップなどを製造することも可能であ
る。
【0003】
このような技術では、噴射ヘッド内に供給されたインクなどの液体は、噴射ノズルから
時間とともに水分が蒸発、あるいは成分が揮発して粘度が増加する。そして、こうした粘
度の増加により、正確な分量の液体を噴射することができなくなってしまう。そこで、液
体の増粘が進んだ場合には、キャップを噴射ヘッドに当接させて噴射ノズルの周囲に閉空
間を形成した状態で、キャップ内を吸引ポンプで負圧にすることにより、噴射ヘッド内の
増粘した液体を噴射ノズルから吸い出して排出する動作(クリーニング動作)が行われる

【0004】
また、こうしたクリーニング動作は、インクなどの液体を収容した液体容器(たとえば
インクカートリッジ)を装着(交換)して、噴射ヘッド内を新たな液体で満たす際(初期
充填時)にも行われる。このとき、噴射ヘッド内に気泡(空気)が混入し易く、気泡が混
入したままだと、気泡の伸縮により正確な分量の液体を噴射することができないため、ク
リーニング動作によって噴射ヘッド内から気泡をできるだけ取り除く必要がある。そこで
、液体容器と噴射ヘッドとの間にチョーク弁を設けておく技術が提案されている(例えば
、特許文献1)。チョーク弁を閉じた状態で吸引ポンプを作動させることによりキャップ
内には大きな負圧が蓄積される。この状態でチョーク弁を開くと、液体容器内の液体が一
気に噴射ヘッドに流入するので、その勢いで噴射ヘッド内の気泡を追い出すことができる
(いわゆるチョーククリーニング)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−201094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このようなチョーククリーニングを行う従来の液体噴射装置では、チョーク弁
を開くタイミングを時間によって管理していることから、チョーククリーニング動作の制
御処理が複雑になってしまうという問題があった。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、
制御処理を複雑化することなく、チョーククリーニングを簡便に実行することが可能な技
術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体噴射装置は次の構成を
採用した。すなわち、噴射ヘッドに設けられた噴射ノズルから液体を噴射する液体噴射装
置であって、前記液体を収容した液体収容部と、前記液体収容部内の液体を前記噴射ヘッ
ドまで導く液体通路と、前記液体通路を開閉する開閉弁と、前記噴射ヘッドに当接される
ことで、前記噴射ノズルの周囲に閉空間を形成するキャップ部と、前記キャップ部に接続
され、前記閉空間に負圧を導入する吸引ポンプと、前記開閉弁が閉じた状態で前記吸引ポ
ンプを動作させることで前記閉空間に蓄積された負圧が所定負圧に達すると、該蓄積され
た負圧を用いて該開閉弁を開放させる開放手段とを備えることを要旨とする。
【0009】
このような本発明の液体噴射装置においては、液体収容部内の液体を噴射ヘッドまで導
く液体通路上に開閉弁が設けられており、液体通路を開閉可能となっている。また、噴射
ヘッドにキャップ部を当接させて噴射ノズルの周囲に閉空間を形成した後、キャップ部に
接続された吸引ポンプを動作させることで閉空間に負圧を導入することができ、開閉弁が
閉じた状態では、閉空間に負圧が蓄積される。そして、閉空間に蓄積された負圧が所定負
圧に達すると、その蓄積された負圧を用いて開閉弁を開放するようになっている。
【0010】
閉空間に所定負圧が蓄積された状態で開閉弁を開放することにより、液体収容部内の液
体が噴射ヘッドへと一気に流入するので、その勢いで噴射ヘッド内の気泡(空気)などを
噴射ノズルから排出すること(いわゆるチョーククリーニング)が可能となる。そして、
本発明の液体噴射装置では、この開閉弁の開放を、閉空間に所定負圧が蓄積されると、そ
の蓄積された負圧を用いて行うようになっており、これにより、開閉弁を開放するタイミ
ングを時間で管理するといった複雑な制御処理を行う必要がないので、チョーククリーニ
ングを簡便に実行することが可能となる。
【0011】
また、閉空間に実際に蓄積された所定負圧を利用して開閉弁を開放させるので、単に時
間で管理して開閉弁を開放する場合とは異なり、何らかの理由で通常よりも負圧の蓄積に
時間がかかったとしても、閉空間に所定負圧が蓄積されないまま開閉弁が開放されること
はなく、所定負圧に達するまで閉空間に負圧を蓄積させてチョーククリーニングを確実に
実行することが可能となる。
【0012】
こうした本発明の液体噴射装置では、次のようにしてもよい。先ず、閉空間に蓄積され
た負圧を開閉弁まで導く負圧通路を設ける。また、負圧通路を開閉する負圧導入弁を設け
ておき、この負圧導入弁は、閉空間の負圧が所定負圧に達していない場合は閉じ、閉空間
の負圧が所定負圧に達した場合は開いて、所定負圧を開閉弁に作用させる。
【0013】
このような構成によれば、閉空間の負圧が所定負圧に達するまでは、負圧導入弁が閉じ
ているので、開閉弁に負圧が作用することはなく、吸引ポンプの動作により閉空間に負圧
が蓄積されていく。一方、閉空間の負圧が所定負圧に達すると、負圧導入弁が開いて、閉
空間に蓄積された所定負圧が開閉弁に導入されることから、この所定負圧の作用により開
閉弁が開放される。このように、吸引ポンプを動作させ続けるだけで、閉空間に所定負圧
が蓄積されることにより自動的に開閉弁が開放されるので、チョーククリーニングを簡便
に実行することができる。
【0014】
また、こうした本発明の液体噴射装置では、吸引ポンプの負圧が閉空間から噴射ノズル
を介して開閉弁に導入されることで、開閉弁が閉じた状態になるようにしてもよい。
【0015】
このように、吸引ポンプの負圧で開閉弁が閉じるようにすれば、吸引ポンプを動作させ
るだけで、開閉弁を閉じ、所定負圧に達するまで閉空間に負圧を蓄積し、そして、蓄積さ
れた負圧を用いて開閉弁を開放させるまでを一連に行うことができるので、チョーククリ
ーニングの実行に伴う制御を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】インクジェットプリンターを例に用いて本実施例の液体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。
【図2】本実施例のインクジェットプリンターに搭載されたキャリッジの構成を示した説明図である。
【図3】本実施例のインクジェットプリンターに搭載されたメンテナンス機構の構成を示した説明図である。
【図4】本実施例のインクジェットプリンターに設けられた圧力バルブの構造を示した断面図である。
【図5】本実施例のチョーククリーニングに用いられるチョーク弁の構造を示した断面図である。
【図6】チョーク弁を用いてチョーククリーニングが行われる前半の様子を示した説明図である。
【図7】チョーク弁を用いてチョーククリーニングが行われる後半の様子を示した説明図である。
【図8】変形例のインクジェットプリンターに設けられたチョーク弁の構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施
例を説明する。
A.装置構成:
A−1.液体噴射装置の構成:
A−2.キャリッジの構成:
A−3.メンテナンス機構の構成:
B.本実施例のチョーククリーニング動作:
C.変形例:
【0018】
A.装置構成 :
A−1.液体噴射装置の構成 :
図1は、いわゆるインクジェットプリンターを例に用いて本実施例の液体噴射装置の大
まかな構成を示した説明図である。図示されているように、インクジェットプリンター1
0は、主走査方向に往復動しながら印刷用紙などの印刷媒体2上にインクドットを形成す
るキャリッジ20と、キャリッジ20を往復動させる駆動機構30と、印刷媒体2の紙送
りを行うためのプラテンローラー40と、正常に印刷可能なようにメンテナンスを行うメ
ンテナンス機構100などから構成されている。キャリッジ20には、インクを収容した
インクカートリッジ26や、インクカートリッジ26が装着されるキャリッジケース22
、キャリッジケース22の底面側(印刷媒体2に向いた側)に搭載された噴射ヘッド24
などが設けられている。この噴射ヘッド24にはインクを噴射する複数の噴射ノズルが形
成されており、インクカートリッジ26内のインクを噴射ヘッド24に導いて、噴射ノズ
ルから印刷媒体2に向かって正確な分量だけインクを噴射することによって、画像が印刷
されるようになっている。尚、キャリッジ20の詳細な構成については、後ほど別図を用
いて説明する。
【0019】
キャリッジ20を往復動させる駆動機構30は、主走査方向に延設されたガイドレール
38と、内側に複数の歯形が形成されたタイミングベルト32と、タイミングベルト32
の歯形と噛み合う駆動プーリ34と、駆動プーリ34を駆動するためのステップモーター
36などから構成されている。タイミングベルト32の一部はキャリッジケース22に固
定されており、タイミングベルト32を駆動することによって、ガイドレール38に沿っ
てキャリッジケース22を移動させることができる。また、タイミングベルト32と駆動
プーリ34とは歯形によって互いに噛み合っているので、ステップモーター36で駆動プ
ーリ34を駆動すると、駆動量に応じて精度良くキャリッジケース22を移動させること
が可能となっている。
【0020】
印刷媒体2の紙送りを行うプラテンローラー40は、図示しない駆動モーターやギア機
構によって駆動されて、印刷媒体2を副走査方向に所定量ずつ紙送りすることが可能であ
る。
【0021】
また、メンテナンス機構100は、印刷領域外のホームポジションと呼ばれる領域に設
けられており、噴射ヘッド24の底面側で噴射ノズルが形成されている面(ノズル面)に
押しつけられて噴射ノズルの周囲に閉空間を形成するキャップ120、キャップ120の
下方の位置に設けられた吸引ポンプ130、更に吸引ポンプ130の下方に設けられた廃
液タンク140などから構成されている。尚、メンテナンス機構100の詳細な構成につ
いては、後述する。
【0022】
A−2.キャリッジの構成 :
図2は、本実施例のインクジェットプリンター10に搭載されたキャリッジ20の構成
を示した説明図である。前述したように、キャリッジ20には、インクカートリッジ26
、キャリッジケース22、噴射ヘッド24などが設けられている。インクカートリッジ2
6は、キャリッジケース22に対して着脱可能に構成されており、インクカートリッジ2
6内のインクが尽きた場合には、新しいインクカートリッジ26と交換することによって
簡単にインクを補充することができる。
【0023】
また、インクカートリッジ26は、キャリッジケース22に装着された状態で、インク
通路154によって噴射ヘッド24と接続されており、インクカートリッジ26内に収容
されているインクは、インク通路154を通って噴射ヘッド24に供給される。尚、本実
施例のインクジェットプリンター10では、インク通路154の途中にチョーク弁と呼ば
れる特殊な弁160が設けられており、インク通路154を開閉することが可能となって
いる。このチョーク弁160の構成、およびチョーク弁160によるインク通路154の
開閉動作の詳細については、後述する。また、本明細書中では、インク通路154のうち
、チョーク弁160よりも上流側(インクカートリッジ26側)を「上流インク通路15
4a」と呼び、チョーク弁160よりも下流側(噴射ヘッド24側)を「下流インク通路
154b」と呼ぶことがあるものとする。
【0024】
噴射ヘッド24の内部には、図2に示されているように、インク室150が設けられて
おり、このインク室150は、インクカートリッジ26から供給されるインクで満たされ
ている。インク室150の上方には、ピエゾ素子152が設けられており、ピエゾ素子1
52に電圧を印加すると、ピエゾ素子152が変形(伸長)してインク室150を加圧す
ることから、インク室150の底面に形成された噴射ノズル25からインクを噴射するこ
とが可能となっている。
【0025】
A−3.メンテナンス機構の構成 :
図3は、本実施例のインクジェットプリンター10に搭載されたメンテナンス機構10
0の構成を示した説明図である。前述したように、メンテナンス機構100は、キャップ
120、吸引ポンプ130、廃液タンク140などから構成されている。
【0026】
図3に示されているように、キャップ120は、ゴムなどの弾性材料を用いて凹状に形
成されている。このキャップ120は、図示しないアクチュエーターによって上下動させ
ることが可能となっている。印刷を行っていないときには、キャリッジ20をホームポジ
ションまで移動させた後、キャップ120を上昇させて、キャップ120を噴射ヘッド2
4のノズル面に押し付けることによって、噴射ノズル25の周囲に閉空間を形成すること
ができる。尚、本明細書中では、キャップ120によって噴射ノズル25の周囲に閉空間
を形成することを「キャッピング」と呼ぶことにする。こうしてキャッピングしておくこ
とによって、噴射ノズル25からインクの水分が蒸発、あるいは成分が揮発することを防
ぐことが可能となる。
【0027】
また、凹状に形成されたキャップ120の底面には、吸引口が設けられており、この吸
引口は、弾性材料で形成された接続チューブ122によって、吸引ポンプ130と接続さ
れている。
【0028】
前述したように、インクジェットプリンター10が印刷を行っていない間は、キャップ
120を噴射ヘッド24のノズル面に押し付けてキャッピングしているものの、噴射ヘッ
ド24内では少しずつインクの水分や揮発成分が減少して増粘が進んでいくので、印刷を
行わないまま長期間が経過すると、適切にインクを噴射することができなくなってしまう
。このような場合には、キャップ120を噴射ヘッド24のノズル面に押し付けた状態で
吸引ポンプ130を作動させて、キャップ120の内側(噴射ノズルの周辺の閉空間)を
負圧にすることにより、噴射ヘッド24内の増粘したインクを噴射ノズル25から吸い出
すクリーニング動作を行う。こうしてクリーニングによって噴射ノズル25からキャップ
120内に吸い出されたインクは、キャップ120の底面に設けられた吸引口から接続チ
ューブ122へと吸い込まれ、吸引ポンプ130および廃液チューブ132を介して、廃
液タンク140へと排出される。
【0029】
このようなクリーニング動作は、噴射ヘッド24内でインクの増粘が進んだとき以外に
も、インクカートリッジ26を交換して、新たなインクカートリッジ26のインクを噴射
ヘッド24のインク室150まで充填するとき(初期充填時)にも行われる。インクカー
トリッジ26の交換の際には、インク通路154や噴射ヘッド24内に気泡が混入し易く
、特に噴射ヘッド24内に気泡が混入したままだと、気泡の伸縮によって正確な分量のイ
ンクを噴射することができないため、クリーニング動作によって気泡をできるだけ排除す
る必要がある。本実施例のインクジェットプリンター10では、前述したように、インク
カートリッジ26と噴射ヘッド24とを接続するインク通路154にチョーク弁160が
設けられており、先ずチョーク弁160を閉じた状態でクリーニング動作を行ってキャッ
プ120内に大きな負圧を蓄積し、それからチョーク弁160を開くことによって、イン
クカートリッジ26から噴射ヘッド24にインクが一気に流入するので、その勢いで噴射
ヘッド24内の気泡や増粘インクを排出すること(いわゆるチョーククリーニング)が可
能となっている。尚、本実施例のチョーククリーニング動作の詳細については、後述する

【0030】
また、図3に示されているように、キャップ120と吸引ポンプ130とを接続する接
続チューブ122の途中には、分岐ユニット124が設けられている。キャップ120か
らの接続チューブ122は、分岐ユニット124の内部で2つの通路に分岐されており、
一方は吸引ポンプ130に接続され、他方は負圧通路170を介して、前述したチョーク
弁160に接続されている。そのため、吸引ポンプ130で発生する負圧を、負圧通路1
70によってチョーク弁160に導くことが可能であり、詳しくは後述するが、本実施例
のインクジェットプリンター10では、前述したチョーククリーニングにおいて、吸引ポ
ンプ130により蓄積した負圧を用いてチョーク弁160を開くようになっている。この
ような負圧通路170の途中には圧力バルブ180が設けられており、負圧通路170を
開閉可能となっている。尚、本明細書中では、負圧通路170のうち、圧力バルブ180
よりも上流側(分岐ユニット124側)を「上流負圧通路170a」と呼び、圧力バルブ
180よりも下流側(チョーク弁160側)を「下流負圧通路170b」と呼ぶことがあ
るものとする。
【0031】
図4は、本実施例のインクジェットプリンター10に設けられた圧力バルブ180の構
造を示した断面図である。図示されているように、圧力バルブ180の内部には、圧力ピ
ン182と、圧力ピン182を下流負圧通路170bに向けて押えるバネ184とが設け
られている。通常時には、図4(a)に示すように、バネ184の力によって圧力ピン1
82が下流負圧通路170bに押し付けられており、圧力ピン182の先端が下流負圧通
路170bに挿入されることで下流負圧通路170bを塞いでいることから、圧力バルブ
180は閉じた状態となっている。
【0032】
一方、吸引ポンプ130の負圧が上流負圧通路170aを介して圧力バルブ180内に
導入され、圧力バルブ180内の負圧が規定負圧(本実施例では、−60kPa)に達す
ると、図4(b)に示すように、バネ184の力に抗して圧力ピン182が上流負圧通路
170aに向けて移動し、下流負圧通路170bを塞いでいた圧力ピン182の先端が下
流負圧通路170bから離れるため、圧力バルブ180は開いた状態となる。こうして圧
力バルブ180が開くと、吸引ポンプ130の負圧がチョーク弁160にも及ぶこととな
る。
【0033】
また、圧力バルブ180にかかる負圧が低下すると、バネ184の力によって再び圧力
ピン182は下流負圧通路170bに押し付けられ、圧力バルブ180は閉じた状態に戻
る。このように圧力バルブ180は、内部の負圧が規定負圧に達するまでは閉じており、
規定負圧に達すると開くようになっている。この規定負圧の設定は、バネ184の強さを
変えることにより可能である。
【0034】
本実施例のインクジェットプリンター10では、以上のようなメンテナンス機構100
によって、正常に印刷可能な状態を維持するための各種のメンテナンスを行っている。以
下では、本実施例のインクジェットプリンター10において、チョーク弁160を用いて
行われるチョーククリーニングについて詳しく説明する。
【0035】
B.本実施例のチョーククリーニング動作 :
図5は、本実施例のチョーククリーニングに用いられるチョーク弁160の構造を示し
た断面図である。図示されているように、チョーク弁160は、空気などの気体やインク
などの液体を通さない可撓性の材料によって形成された仕切板162や、仕切板162に
よって上下に仕切られた空気室164および弁室166などによって構成されている。
【0036】
仕切板162の下方に形成された弁室166には、底面に流入口が開口しており、この
流入口は、インクカートリッジ26に連通する上流インク通路154aと接続されている
。また、弁室166の底面の略中央には、突部168が形成されており、突部168の先
端面には流出口が開口している。この流出口は、噴射ヘッド24に連通する下流インク通
路154bと接続されている。したがって、インクカートリッジ26に収容されているイ
ンクは、チョーク弁160内の弁室166を通って噴射ヘッド24に供給される。
【0037】
仕切板162の上方に形成された空気室164には、天井に導入口が開口しており、こ
の導入口は、負圧通路170と接続されている。したがって、吸引ポンプ130の負圧は
、負圧通路170によってチョーク弁160内の空気室164に導かれる。
【0038】
図6および図7は、上述したチョーク弁160を用いてチョーククリーニングが行われ
る様子を示した説明図である。先ず、図6(a)では、キャリッジ20をホームポジショ
ンまで移動させ、キャップ120を噴射ヘッド24のノズル面に押し付けてキャッピング
した状態になっているが、吸引ポンプ130は未だ作動しておらず、キャップ120内に
負圧は導入されていない。このとき、チョーク弁160内の仕切板162は、弁室166
の底面に設けられた突部168の先端面から離間しており、チョーク弁160は開いた状
態となっている。
【0039】
ここで、図6(a)に示されているように、チョーク弁160と圧力バルブ180とを
接続する下流負圧通路170bには、大気開放弁172が接続されている。この大気開放
弁172は、キャリッジ20をホームポジションに移動させることで閉じ、印刷領域に移
動させることで開くようになっている。このような大気開放弁172の構成としては、例
えば、大気流入口を有する大気開放弁172をキャリッジ20に取り付けておくとともに
、大気流入口に挿入される挿入ピンをホームポジションに設置しておくこととしてもよい
。こうすれば、キャリッジ20がホームポジションに移動すると、挿入ピンが大気流入口
に挿入されて大気流入口を塞ぐことにより大気開放弁172は閉じた状態となる。一方、
キャリッジ20が印刷領域に移動すると、挿入ピンが大気流入口から抜かれて大気開放弁
172は開いた状態となる。また、大気開放弁172は、チョーク弁160の空気室16
4に接続しておくこととしてもよい。
【0040】
図6(a)に示した状態から、吸引ポンプ130を作動させると、吸引ポンプ130で
発生した負圧が接続チューブ122を介してキャップ120へと導かれる。尚、吸引ポン
プ130の負圧は、分岐ユニット124によって負圧通路170にも導かれるが、前述し
たように、負圧通路170に設けられた圧力バルブ180は、規定負圧(本実施例では、
−60kPa)に達するまでは閉じた状態となっていることから、吸引ポンプ130の負
圧は、専らキャップ120へと導入される。そして、キャップ120内に導入された負圧
は、噴射ヘッド24の噴射ノズル25から、噴射ヘッド24内(インク室150)を介し
て下流インク通路154bにも及ぶ。すると、チョーク弁160内では、仕切板162が
負圧に吸い寄せられて凹状に変形し、図6(b)に示すように、仕切板162が突部16
8の先端面に当接することによって、チョーク弁160は閉じた状態となる。このように
、本実施例のインクジェットプリンター10では、吸引ポンプ130を作動させることに
よって、チョーク弁160が閉じるようになっている。
【0041】
こうしてチョーク弁160が閉じると、インクカートリッジ26からインクが噴射ヘッ
ド24に供給されなくなり、その結果、噴射ヘッド24内のインクが噴射ノズル25から
吸い出されることもないので、キャップ120内には、吸引ポンプ130で発生する負圧
が蓄積される。チョーククリーニングを行う従来のインクジェットプリンター10では、
このようにチョーク弁160を閉じた状態でキャップ120内に負圧を蓄積し、その後、
チョーク弁160を開くタイミングを時間で管理するようになっていたため、制御処理が
複雑化してしまうという問題があった。これに対して、本実施例のインクジェットプリン
ター10では、以下に説明するように、キャップ120内に蓄積された負圧を利用してチ
ョーク弁160を開くようになっていることから、チョーク弁160を開くタイミングを
時間で管理するといった複雑な制御処理を行う必要はない。
【0042】
すなわち、キャップ120内に蓄積された負圧が規定負圧(−60kPa)に達すると
、同じ負圧が負圧通路170の圧力バルブ180にもかかるので、圧力バルブ180が開
くことになる(図4(b)参照)。図7(a)には、圧力バルブ180が開いた状態が示
されている。こうして圧力バルブ180が開くと、キャップ120内に蓄積された負圧が
、下流負圧通路170bを介してチョーク弁160の空気室164に導入される。その結
果、チョーク弁160の空気室164にも、負圧がかかるようになる。尚、圧力バルブ1
80が開いて下流負圧通路170b内の空気が上流負圧通路170aに流入すると、キャ
ップ120内の負圧は低下する。そのため、圧力バルブ180内のバネ184の力によっ
て圧力バルブ180が閉じた状態に戻ることがある。しかし、キャップ120内に吸引ポ
ンプ130の負圧がさらに蓄積されることによって、圧力バルブ180は再び開くことに
なる。
【0043】
こうしてチョーク弁160の空気室164にも、キャップ120内と同じ負圧がかかる
ようになると、チョーク弁160内では、仕切板162の空気室164側と弁室166側
とで負圧が釣り合うことになるので、下流インク通路154bに吸い寄せられていた仕切
板162は、突部168の先端面から離間し、チョーク弁160は開いた状態となる。
【0044】
図7(b)は、チョーク弁160が開いた状態を示している。チョーク弁160が開く
と、キャップ120内に蓄積された大きな負圧によって、インクカートリッジ26からチ
ョーク弁160の弁室166を介して噴射ヘッド24にインクが一気に流入するので、そ
の勢いで噴射ヘッド24内の気泡や増粘インクを噴射ノズル25からキャップ120内に
排出することができる。
【0045】
このとき、キャップ120内に噴射ノズル25から気泡や増粘インクが急激に流れ込む
ことで、キャップ120内の負圧は低下する。すると、負圧通路170に設けられた圧力
バルブ180にかかる負圧も低下し、バネ184の力で圧力バルブ180が閉じるので、
チョーク弁160の空気室164にかかる負圧は維持される。その結果、チョーク弁16
0内では、仕切板162の空気室164側にかかる負圧が弁室166側にかかる負圧より
も大きくなることから、図7(b)に示したように、仕切板162が凸状に変形し、チョ
ーク弁160は開いた状態が維持される。
【0046】
こうして噴射ヘッド24内の気泡や増粘インクを噴射ノズル25から吸引して排出する
と、キャップ120に接続された図示しない大気導入弁を開いてキャップ120内の負圧
を解除した後、吸引ポンプ130を停止してチョーククリーニングを終了する。そして、
印刷を開始するために、キャリッジ20をホームポジションから印刷領域に移動させると
、前述したように、その移動に伴って下流負圧通路170bに接続された大気開放弁17
2が開いて、チョーク弁160の空気室164にかかっていた負圧が解除される。
【0047】
以上に説明したように、本実施例のインクジェットプリンター10では、チョーク弁1
60を閉じた状態で吸引ポンプ130の駆動により発生する負圧をキャップ120内に蓄
積し、キャップ120内の負圧が規定負圧に達すると、その負圧がチョーク弁160に作
用してチョーク弁160が開くようになっている。このように、キャップ120内に規定
負圧が蓄積されることでチョーク弁160が自動的に開くので、チョーク弁160を開く
タイミングを時間で管理するといった複雑な制御処理を行う必要がなく、チョーククリー
ニングを簡便に実行することができる。
【0048】
また、キャップ120内に実際に蓄積された規定負圧を利用してチョーク弁160を開
くので、単に時間で管理してチョーク弁160を開く場合とは異なり、何らかの理由で負
圧の蓄積に時間がかかったとしても、キャップ120内に規定負圧が蓄積されないままチ
ョーク弁160が開くことはなく、規定負圧に達するまでキャップ120内に負圧を蓄積
させてチョーククリーニングを確実に実行することができる。
【0049】
加えて、前述したように、本実施例のインクジェットプリンター10では、吸引ポンプ
130が作動することによってキャップ120内に負圧がかかると、噴射ノズル25を介
してチョーク弁160内の弁室166にも負圧がかかり、チョーク弁160が閉じるよう
になっている。このように、吸引ポンプ130を作動させるだけで、チョーク弁160を
閉じ、キャップ120内に規定負圧を蓄積し、そして、チョーク弁160を開くまでの一
連の動作が行われるので、チョーククリーニングの実行に伴う制御をより簡素化すること
ができる。
【0050】
さらに、本実施例のインクジェットプリンター10では、チョーク弁160の空気室1
64にかかる負圧を解除する大気開放弁172が、印刷のためにキャリッジ20が印刷領
域に移動するのに伴って開くようになっている。したがって、チョーク弁160の空気室
164にかかる負圧を解除するために新たな制御処理を追加する必要はなく、チョークク
リーニングの実行に伴う制御の簡素化を図ることができる。
【0051】
C.変形例 :
以上に説明した実施例では、チョーク弁160の内部に仕切板162が設けられており
、この仕切板162によってチョーク弁160の内部が空気室164と弁室166とに仕
切られた構造となっていた(図5参照)。しかし、チョーク弁の構造は、これに限られる
わけではない。以下では、前述した実施例とは異なる構造を有するチョーク弁を採用した
変形例について説明する。
【0052】
図8は、変形例のインクジェットプリンター10に搭載されたチョーク弁200の構造
を示した断面図である。先ず、図示されているように、変形例のチョーク弁200の内部
にも、前述した実施例(図5参照)と同様に、底面に流入口が開口しており、この流入口
は、インクカートリッジ26に連通する上流インク通路154aと接続されている。また
、底面に形成された突部202の先端面には流出口が開口しており、この流出口は、噴射
ヘッド24に連通する下流インク通路154bと接続されている。しかし、変形例のチョ
ーク弁200の内部には、前述した実施例のような仕切板162は設けられておらず、代
わりに開閉板204が設けられている。この開閉板204は、一端が軸受206によって
回動可能に軸支されており、他端がバネ208によって上方に付勢されている。また、開
閉板204の下面側(突部202に向いた側)には、ゴムなどの弾性材料を用いて形成さ
れた半球体状の蓋部210が設けられている。さらに、開閉板204は、連結竿212を
介して、チョーク弁200の外部に設けられたシリンダー214内のピストン216と接
続されている。シリンダー214の一端には、導入口が開口しており、この導入口は、負
圧通路170と接続されている。
【0053】
このような構造を有する変形例のチョーク弁200では、通常時は、図8(a)に示す
ように、バネ208の力によって開閉板204が上方に押し上げられているので、蓋部2
10が突部202の先端面から離間しており、チョーク弁200は開いた状態となってい
る。
【0054】
図8(a)に示した状態から、吸引ポンプ130の作動によって下流インク通路154
bに負圧が及ぶと、チョーク弁200内では、開閉板204の蓋部210が負圧に吸い寄
せられ、バネ208の力に抗して開閉板204が下方に向けて回転するので、図8(b)
に示すように、蓋部210が突部202の先端面に当接することで、チョーク弁200は
閉じた状態となる。このとき、連結竿212によって開閉板204と接続されたピストン
216は、チョーク弁200側(図中の左側)に移動する。
【0055】
こうしてチョーク弁200が閉じると、キャップ120内に吸引ポンプ130の負圧が
蓄積され、前述した実施例と同様に、キャップ120内の負圧が規定負圧に達すると、圧
力バルブ180が開き、負圧通路170を介してシリンダー214内に負圧が導入される
。そして、シリンダー214内にキャップ120内と同じ負圧がかかると、その負圧によ
ってピストン216が導入口側(図中の右側)に吸い寄せられる力と、バネ208の力と
によって開閉板204が上方に向けて回転するので、図8(a)に示すように、蓋部21
0が突部202の先端面から離間して、チョーク弁200は開いた状態となる。
【0056】
以上のように、変形例のインクジェットプリンター10においても、前述した実施例と
同様に、吸引ポンプ130の作動によってチョーク弁200を閉じるとともに、キャップ
120内に蓄積された規定負圧を利用してチョーク弁200を開くことができるので、チ
ョーククリーニングを簡便に実行することが可能となる。
【0057】
以上、本発明の液体噴射装置について各種の実施形態を説明したが、本発明は上記すべ
ての実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で
実施することが可能である。
【0058】
例えば、前述した実施例のインクジェットプリンター10において、負圧通路170の
圧力バルブ180とチョーク弁160との間(すなわち下流負圧通路170b上)に、空
気を溜めておくための空気溜め部を設けておいてもよく、例えば、下流負圧通路170b
の一部の径を他より太くしてもよい。前述したように、キャップ120内の負圧が規定負
圧に達すると、圧力バルブ180が開いてチョーク弁160の空気室164にも負力がか
かるようになる。そして、チョーク弁160の空気室164に、キャップ120内と同じ
負圧がかかることによってチョーク弁160が開くことから、下流負圧通路170b上に
空気溜め部を設けておけば、空気溜め部内の空気が圧力バルブ180を介してキャップ1
20側に流れ込む分だけ、チョーク弁160が開くタイミングを遅らせることができる。
【0059】
一方、下流負圧通路170b上に、他よりも通路の径を細くした絞り部を設けておけば
、空気溜め部を設ける場合とは逆に、下流負圧通路170bから圧力バルブ180を介し
てキャップ120側に流れ込む空気の量は少なくなることから、チョーク弁160が開く
タイミングを早めることができる。このように下流負圧通路170b上に、空気溜め部あ
るいは絞り部を設けておくことによって、キャップ120内の負圧が規定負圧に達してか
ら実際にチョーク弁160が開くまでの時間を微調整することが可能となる。
【0060】
また、前述した実施例および変形例では、吸引ポンプ130が作動することにより、下
流インク通路154bに負圧が及んで、チョーク弁160が自動的に閉じるようになって
いた。しかし、チョーク弁160を閉じる場合と、閉じない場合とを切り換える切換手段
を設けておき、チョーク弁160を閉じてチョーククリーニングを行うか、あるいはチョ
ーク弁160を閉じることなく通常のクリーニングを行うかを選択可能にしてもよい。こ
のような切換手段の構成としては、例えば、インク通路154のチョーク弁160よりも
上流側(インクカートリッジ26側)に三方弁を設けておき(図2参照)、チョーク弁1
60を介して噴射ヘッド24に接続される通路と、チョーク弁160を介すことなく噴射
ヘッド24に接続される通路とを切換可能にしてもよい。また、前述した実施例でチョー
ク弁160内の仕切板162の変形を妨げるストッパー(あるいは、前述した変形例でチ
ョーク弁200内の開閉板204の回転を妨げるストッパー)を設けておき、通常のクリ
ーニングを行うときにはストッパーを作動させ、チョーククリーニングを行うときにはス
トッパーを作動させないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…インクジェットプリンター、 20…キャリッジ、
22…キャリッジケース、 24…噴射ヘッド、 25…噴射ノズル、
26…インクカートリッジ、 100…メンテナンス機構、
120…キャップ、 122…接続チューブ、 130…吸引ポンプ、
154…インク通路、 160…チョーク弁、 162…仕切板、
164…空気室、 166…弁室、 170…負圧通路、
180…圧力バルブ、 182…圧力ピン、 184…バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射ヘッドに設けられた噴射ノズルから液体を噴射する液体噴射装置であって、
前記液体を収容した液体収容部と、
前記液体収容部内の液体を前記噴射ヘッドまで導く液体通路と、
前記液体通路を開閉する開閉弁と、
前記噴射ヘッドに当接されることで、前記噴射ノズルの周囲に閉空間を形成するキャッ
プ部と、
前記キャップ部に接続され、前記閉空間に負圧を導入する吸引ポンプと、
前記開閉弁が閉じた状態で前記吸引ポンプを動作させることで前記閉空間に蓄積された
負圧が所定負圧に達すると、該蓄積された負圧を用いて該開閉弁を開放させる開放手段と
を備える液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置であって、
前記開放手段は、
前記閉空間に蓄積された負圧を前記開閉弁まで導く負圧通路と、
前記負圧通路を開閉可能であり、前記閉空間の負圧が前記所定負圧に達していない場
合は閉じ、該閉空間の負圧が該所定負圧に達した場合は開いて、前記開閉弁に該所定負圧
を作用させる負圧導入弁と
を備えている液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の何れかに記載の液体噴射装置であって、
前記開閉弁は、前記吸引ポンプの負圧が前記閉空間から前記噴射ノズルを介して該開閉
弁に導入されることで閉じた状態となる弁である液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−178016(P2011−178016A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43860(P2010−43860)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】