液体噴射装置
【課題】相異なるノズル列のノズルから噴射された液体の着弾位置の距離を簡易な構成で低減する。
【解決手段】記録ヘッド24は記録紙200に対してX方向に相対移動する。Y方向に配列する複数のノズルNを含む第1ノズル列L1と、Y方向の位置が第1ノズル列L1の各ノズルNとは相違する複数のノズルNをY方向に配列した第2ノズル列L2とが、X方向の距離dをあけて記録ヘッド24の吐出面26に並列に形成される。第1ノズル列L1の第1ノズルN1から噴射されたインクで記録紙200に形成されるドットD1と、第2ノズル列L2の第2ノズルN2から噴射されたインクで記録紙200に形成されるドットD2とのX方向における中心間の距離が距離dを下回るように、第1ノズルN1と第2ノズルN2とは相異なる寸法に形成される。
【解決手段】記録ヘッド24は記録紙200に対してX方向に相対移動する。Y方向に配列する複数のノズルNを含む第1ノズル列L1と、Y方向の位置が第1ノズル列L1の各ノズルNとは相違する複数のノズルNをY方向に配列した第2ノズル列L2とが、X方向の距離dをあけて記録ヘッド24の吐出面26に並列に形成される。第1ノズル列L1の第1ノズルN1から噴射されたインクで記録紙200に形成されるドットD1と、第2ノズル列L2の第2ノズルN2から噴射されたインクで記録紙200に形成されるドットD2とのX方向における中心間の距離が距離dを下回るように、第1ノズルN1と第2ノズルN2とは相異なる寸法に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に示すように、第1ノズル列91と第2ノズル列92とをX方向(主走査方向)に間隔をあけて並列した液体噴射装置(例えばインクジェット方式の印刷装置)が従来から提案されている。第1ノズル列91および第2ノズル列92の各々は、X方向に交差するY方向(副走査方向)に沿って配列する複数のノズル94を含む。第1ノズル列91と第2ノズル列92とでは各ノズル94のY方向の位置が相違する。
【0003】
特許文献1には、各ノズル94から噴射された液体で着弾対象(例えば記録紙)に形成されるドットのX方向における位置を第1ノズル列91と第2ノズル列92とで合致させる技術が開示されている。具体的には、駆動信号の複数の噴射パルスのうち実際に液体の噴射に適用する噴射パルスを第1ノズル列91と第2ノズル列92とで個別に選択し、液体の噴射の時点を第1ノズル列91と第2ノズル列92とで相違させることで、各ノズル94が形成するドットのX方向の位置を合致させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−343729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、駆動信号の複数の噴射パルスの時点と各噴射パルスを選択する時点(噴射パルスを選択するデータをラッチする時点)とを時間軸上で高精度に合致させる必要があり、両者間に誤差が発生した場合に、第1ノズル列91や第2ノズル列92の各ノズルによる液体の噴射の時点が目標の時点から変化して各ドットの位置に誤差が発生するという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、複数のノズル列の各々のノズルから噴射された液体の着弾位置間の距離を簡易な構成で低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、本発明の要素と後述の実施形態の要素との対応を括弧書で付記するが、本発明の範囲を実施形態の例示に限定する趣旨ではない。
【0007】
本発明の液体噴射装置は、第1方向に配列する複数のノズルを含む第1ノズル列(例えば第1ノズル列L1)と、第1方向における各々の位置が第1ノズル列の各ノズルとは相違するように第1方向に配列する複数のノズルを含む第2ノズル列(例えば第2ノズル列L2)とが、第1方向に交差する第2方向に所定距離(例えば距離d)をあけて形成され、各ノズルから噴射された液体が着弾する着弾対象(例えば記録紙200)に対して第2方向に相対移動する液体噴射部(例えば記録ヘッド24)を具備し、第1ノズル列の第1ノズルから噴射された液体で着弾対象に形成される第1ドット(例えばドットD1)と、第2ノズルの第2ノズルから噴射された液体で着弾対象に形成される第2ドット(例えばドットD2)との第2方向における中心間の距離が、所定距離を下回るように、第1ノズルと第2ノズルとが相異なる寸法に形成されている。
【0008】
以上の構成では、第1ドットと第2ドットとの第2方向における中心間の距離が第1ノズルと第2ノズルとの第2方向における中心間の距離を下回るように、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法が選定される。例えば、第1ノズル列が、着弾対象に対する液体噴射部の進行方向において第2ノズル列の前方に位置する構成では、第1ノズルから噴射される液体の速度が、第2ノズルから噴射される液体の速度を上回るように、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法が選定される。したがって、第1ノズルから噴射された液体の着弾位置(第1ドット)と第2ノズルから噴射された液体の着弾位置(第2ドット)との第2方向の位置の相違を簡易な構成で低減することが可能である。
【0009】
なお、以上の説明では第1ノズル列および第2ノズル列のみに言及したが、液体噴射部に形成されるノズル列の総数は本発明において任意である。すなわち、3列以上のノズル列が液体噴射部に形成された構成でも、3列のうちの2列を第1ノズル列および第2ノズル列として把握した場合に前述の要件を充足する構成は、当然に本発明の範囲に包含される。
【0010】
本発明の好適な態様においては、第1ノズルと第2ノズルとで管内断面積が相違する。例えば、第1ノズル列が、着弾対象に対する液体噴射部の進行方向において第2ノズル列の前方に位置する構成では、第1ノズルの管内断面積が第2ノズルの管内断面積を下回るように各ノズルの寸法が選定される。以上の構成においては、各ノズルの管内断面積に応じて第1ドットと第2ドットとの第2方向における中心間の距離を低減することが可能である。
【0011】
本発明の好適な態様において、第1ノズルから噴射された液体で形成される第1ドットと、当該第1ノズルに最も近い第2ノズルから噴射された液体で形成される第2ドットとが相互に重複または接触するように、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法が選定されている。以上の態様においては、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法を適宜に選定するという簡易な方法で第1ドットと第2ドットとを相互に連続させることが可能である。
【0012】
本発明の好適な態様において、第1ドットと第2ドットとで中心の第2方向における位置が合致するように、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法が選定される。以上の態様では、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法を適宜に選定するという簡易な方法で、第1ドットと第2ドットとを第1方向に配列することが可能である。
【0013】
本発明の好適な態様において、第1ノズルのイナータンスと第2ノズルのイナータンスとは相等しい。以上の態様においては、第1ノズルと第2ノズルとで相等しいイナータンスに設定されるから、第1ノズルからの液体の吐出量と第2ノズルからの液体の吐出量との差異を有効に低減できるという利点がある。なお、以上の態様の具体例は例えば第2実施形態として後述される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の部分的な模式図である。
【図2】記録ヘッドの吐出面の平面図である。
【図3】記録ヘッドの断面図である。
【図4】印刷装置の電気的な構成のブロック図である。
【図5】駆動信号の波形図である。
【図6】記録ヘッドの電気的な構成のブロック図である。
【図7】各ノズルから噴射されたインクの飛翔経路の説明図である。
【図8】各ノズルから噴射されたインクが着弾する位置(ドットの位置)の説明図である。
【図9】第2実施形態における各ノズルを近似する直管路の模式図である。
【図10】変形例における記録ヘッドの吐出面の模式図である。
【図11】変形例における記録ヘッドの模式図である。
【図12】従来のノズルの配列を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット方式の印刷装置100の部分的な模式図である。印刷装置100は、微細な液滴状のインクを記録紙200に噴射する液体噴射装置であり、キャリッジ12と移動機構14と用紙搬送機構16とを具備する。
【0016】
キャリッジ12には、インクカートリッジ22と記録ヘッド24とが搭載される。インクカートリッジ22は、記録紙200に噴射されるインク(液体)を貯留する容器である。記録ヘッド24は、インクカートリッジ22に貯留されたインクを記録紙200に噴射する液体噴射部として機能する。なお、印刷装置100の筐体(図示略)にインクカートリッジ22を固定して記録ヘッド24にインクを供給する構成も採用され得る。
【0017】
移動機構14は、案内軸122に沿ってキャリッジ12をX方向(記録紙200の幅方向に相当する主走査方向)に往復させる。キャリッジ12の位置は、リニアエンコーダー等の検出器(図示略)で検出されて移動機構14の制御に利用される。用紙搬送機構16は、キャリッジ12の往復に並行して記録紙200をY方向(副走査方向)に移動させる。キャリッジ12の往復時に記録ヘッド24が記録紙200にインクを噴射することで所望の画像が記録紙200に記録(印刷)される。
【0018】
図2は、記録ヘッド24のうち記録紙200に対向する吐出面26の平面図である。図2に示すように、記録ヘッド24の吐出面26には、相異なるインク色(ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C))に対応する複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)が形成される。
【0019】
複数のノズル群28の各々は、第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とを含む。第1ノズル列L1および第2ノズル列L2の各々は、相互に間隔をあけてY方向に配列する複数のノズルNの集合である。各ノズルNは、平面視で円形状に形成される。ノズル群28Kの各ノズルNからはブラック(K)のインクが吐出される。同様に、ノズル群28Yの各ノズルNからはイエロー(Y)のインクが吐出され、ノズル群28Mの各ノズルNからはマゼンタ(M)のインクが吐出され、ノズル群28Cの各ノズルNからはシアン(C)のインクが吐出される。
【0020】
第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とは、X方向に距離dをあけて並列する。具体的には、第1ノズル列L1の各ノズルNの中心を連結したY方向の直線(第1ノズル列L1の中心線)a1と、第2ノズル列L2の各ノズルNの中心を連結したY方向の直線(第2ノズル列L2の中心線)a2とが、相互に間隔dをあけて平行に延在する。また、第1ノズル列L1の各ノズルNと第2ノズル列L2の各ノズルNとのY方向の位置は相違する。具体的には、第1ノズル列L1の各ノズルNのY方向の位置と第2ノズル列L2の各ノズルNのY方向の位置とは、Y方向に隣合う各ノズルNの中心間の距離pの半分(p/2)だけY方向に相互にずれた関係にある。すなわち、各ノズル群28の複数のノズルNは2列の千鳥状に配列する。
【0021】
図3は、記録ヘッド24の断面図(X方向に垂直な断面)である。図3に示すように、記録ヘッド24は、振動ユニット42と収容体44と流路ユニット46とを具備する。振動ユニット42は、圧電振動子422とケーブル424と固定板426と含む。圧電振動子422は、圧電材料と電極とが交互に積層された縦振動型の圧電素子であり、ケーブル424を介して供給される駆動信号に応じて振動する。圧電振動子422を固定した固定板426が収容体44の内壁面に接合された状態で振動ユニット42は収容体44に収容される。
【0022】
流路ユニット46は、相互に対向する基板462と基板464との間隙に流路形成板466を介挿した構造体である。基板462のうち基板464とは反対側の表面が図2の吐出面26に相当する。流路形成板466は、圧力室50と供給路52と貯留室54とを含む空間を基板462と基板464との間隙に形成する。圧力室50は、振動ユニット42毎に隔壁で個別に区画されるとともに供給路52を介して貯留室54に連通する。インクカートリッジ22から供給されるインクは貯留室54に貯留される。図2の各ノズルNは、各圧力室50に対応するように基板462に形成される。各ノズルNは、圧力室50に連通する貫通孔である。以上の説明から理解されるように、貯留室54から供給路52と圧力室50とノズルNとを経由して外部に至るインクの流路が形成される。
【0023】
基板464は、弾性材料で形成された平板材である。基板464のうち圧力室50の反対側の領域には島部48を有する振動板が形成される。島部48には圧電振動子422の先端面(自由端)が接合される。したがって、駆動信号の供給により圧電振動子422が振動すると、島部48を介して基板464が変位することで圧力室50の容積が変化して圧力室50内のインクの圧力が変動する。すなわち、圧電振動子422は、圧力室50内の圧力を変動させる圧力発生素子として機能する。以上に説明した圧力室50内の圧力の変動に応じてノズルNからインクを噴射することが可能である。
【0024】
図4は、印刷装置100の電気的な構成のブロック図である。図4に示すように、印刷装置100は、制御装置102と印刷処理部(プリントエンジン)104とを具備する。制御装置102は、印刷装置100の全体を制御する要素であり、制御部60と記憶部62と駆動信号発生部64と外部I/F(interface)66と内部I/F68とを含む。記録紙200に印刷される画像を示す印刷データDPが外部装置(例えばホストコンピューター)300から外部I/F66に供給され、内部I/F68には印刷処理部104が接続される。印刷処理部104は、制御装置102による制御のもとで記録紙200に画像を記録する要素であり、前述の記録ヘッド24と移動機構14と用紙搬送機構16とを含む。
【0025】
図4の記憶部62は、制御プログラム等を記憶するROMと、画像の印刷に必要な各種のデータを一時的に記憶するRAMとを含む。制御部60は、記憶部62に記憶された制御プログラムの実行で印刷装置100の各要素(例えば印刷処理部104)を統括的に制御する。例えば制御部60は、記録紙200に対するインクの噴射で印刷データDPに応じた画像を記録紙200に記録する動作を記録ヘッド24に実行させる。具体的には、制御部60は、外部装置300から外部I/F66に供給される印刷データDPを利用して、圧力室50内のインクの噴射/非噴射(微振動)を指示する制御データDCを生成する。
【0026】
駆動信号発生部64は、駆動信号COMを生成する。駆動信号COMは、各圧電振動子422を駆動する周期信号である。図5に示すように、駆動信号COMの1周期(記録周期)内には、圧力室50内のインクをノズルNから噴射させる噴射パルスPDと、圧力室50内のインクがノズルNから噴射されない程度の微振動を圧力室50内に付与する微振動パルスPSとが配置される。
【0027】
図6は、記録ヘッド24の電気的な構成の模式図である。図6に示すように、記録ヘッド24は、相異なる圧力室50に対応する複数の駆動回路32を含む。駆動信号発生部64が生成した駆動信号COMは、内部I/F68を介して複数の駆動回路32に共通に供給される。また、制御部60が生成した制御データDCは内部I/F68を介して各駆動回路32に供給される。
【0028】
各駆動回路32は、制御部60から供給される制御データDCに応じた区間(噴射パルスPD/微振動パルスPS)を駆動信号COMから選択して圧電振動子422に供給する。具体的には、制御データDCがインクの噴射を指示する場合、駆動回路32は、駆動信号COMの噴射パルスPDを選択して圧電振動子422に供給する。したがって、圧力室50内のインクがノズルNから噴射される。他方、制御データDCがインクの非噴射を指示する場合、駆動回路32は、駆動信号COMの微振動パルスPSを選択して圧電振動子422に供給する。したがって、圧力室50内に微振動が付与され、圧力室50内のインクは噴射されずに適度に撹拌される。
【0029】
図7は、圧電振動子422に対する噴射パルスPDの供給で記録ヘッド24の各ノズルNから噴射されたインクが記録紙200の表面に着弾する様子の模式図である。以下の説明では、図7に示すように、1個のノズル群28の第1ノズル列L1のうち任意の1個のノズルN(以下では特に「第1ノズルN1」と表記する)と、そのノズル群28の第2ノズル列L2のうち第1ノズルN1に最も近い1個のノズルN(以下では特に「第2ノズルN2」と表記する)とに着目する。ただし、複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)の各々における各ノズルNについて同様の関係が成立する。
【0030】
図7に示すように、記録ヘッド24の吐出面26と記録紙200の表面とは間隔Gをあけて相互に対向する。制御部60は、記録ヘッド24が固定されたキャリッジ12を記録紙200に対して速度VCRでX方向に相対的に移動させながら、各圧電振動子422を振動させることで各ノズル群28の複数のノズルN(N1,N2)から同時にインクを噴射させる。各ノズルNから噴射されたインクは吐出面26と記録紙200との間隙を飛翔し、記録紙200の表面に着弾してドット(画素)を形成する。
【0031】
図8は、第1ノズルN1から噴射されたインクで形成されるドットD1と第2ノズルN2から噴射されたインクで形成されるドットD2との平面的な位置関係を示す模式図である。第1ノズルN1と第2ノズルN2とはX方向に間隔dだけ離間するから、各ノズルNから噴射されたインクが記録紙200に向けて飛翔する速度(以下では「飛翔速度」という)が第1ノズルN1と第2ノズルN2とで仮に同等であれば、第1ノズルN1から噴射したインクで形成されるドットD1と第2ノズルN2から噴射したインクで形成されるドットD2(図8の破線で図示された円形)とは、X方向に中心間の距離dをあけて相互に離間する。しかし、以上のようにドットD1とドットD2とが記録紙200上で離間すると、記録紙200に形成される画像の品質を低下させる原因となる。
【0032】
そこで、第1実施形態では、記録紙200の表面のドットD1およびドットD2のX方向の距離が第1ノズルN1と第2ノズルN2との距離dを下回るように、第1ノズルN1から噴射されたインクの飛翔速度V1と第2ノズルN2から噴射されたインクの飛翔速度V2とが相異なる速度に設定される。すなわち、図7における記録ヘッド24(キャリッジ12)の進行方向の前方に位置する第1ノズルN1から噴射されたインクの飛翔速度V1は、進行方向の後方に位置する第2ノズルN2から噴射されたインクの飛翔速度V2を上回る(V1>V2)。なお、飛翔速度V1および飛翔速度V2は、各ノズルN(N1,N2)での噴射から記録紙200に着弾するまでの平均速度である。
【0033】
具体的には、図8に示すように、X方向におけるドットD2の中心の位置x2が、ドットD1の中心の位置x1を含む所定の範囲A内に制限されるように、飛翔速度V1と飛翔速度V2との関係が選定される。範囲Aは、ドットD1のX方向の位置x1からX方向の一方側に距離δだけ離間した位置xLと、位置x1からX方向の他方側に距離δだけ離間した位置xRとの間の領域である。範囲Aを規定する距離δは、平面視でドットD1とドットD2とが相互に重複または接触するように選定される。なお、以下ではドットD1とドットD2とが相等しい直径φの円形状である場合を想定する。
【0034】
図8に鎖線で示すように直径φのドットD1とドットD2とが接触(外接)する場合、ドットD1とドットD2との中心間の距離は直径φに合致する。いま、Y方向におけるドットD1とドットD2との中心間の距離(Y方向における第1ノズルN1と第2ノズルN2との中心間の距離(p/2))を直径φに応じた距離φ/√2とすると、X方向におけるドットD1とドットD2との中心間の距離が距離φ/√2である場合にドットD1とドットD2とが接触する。したがって、範囲Aを規定する距離δは、ドットD1およびドットD2の直径φに応じた距離φ/√2に設定される。すなわち、ドットD1のX方向の位置x1からX方向の両側に距離φ/√2にわたる範囲A内にドットD2の中心の位置x2が含まれるように、飛翔速度V1および飛翔速度V2が設定される。
【0035】
飛翔速度V1と飛翔速度V2との具体的な関係を特定するために、第1ノズルN1が形成するドットD1の中心の位置(インクの着弾位置)x1と第2ノズルN2が形成するドットD2の中心の位置x2とを検討する。位置x1および位置x2は、図7に示すように、各ノズルNからインクが噴射される時点における第2ノズルN2のX方向の位置を基準(x=0)とした位置である。
【0036】
第1ノズルN1から噴射されたインクが飛翔速度V1で飛翔して記録紙200に着弾するまでに時間(G/V1)が経過するから、噴射後のインクの飛翔中(時間(G/V1)内)に、記録紙200は記録ヘッド24に対してX方向に距離(G/V1)・VCRだけ相対的に移動する。したがって、ドットD1の位置x1は以下の数式(1)で表現される。
x1=(G/V1)・VCR+d ……(1)
【0037】
同様に、第2ノズルN2から噴射されて飛翔速度V2で飛翔するインク(飛翔速度V2)が着弾するまでに記録紙200は記録ヘッド24に対して距離(G/V2)・VCRだけ相対的に移動するから、ドットD2の位置x2は以下の数式(2)で表現される。
x2=(G/V2)・VCR ……(2)
【0038】
X方向におけるドットD2の中心の位置x2が図8の位置xLに位置する場合(x2=x1−δ)、飛翔速度V2は以下の数式(3)で表現される。
V2=G・VCR/(x1−δ)
=G・VCR/{(G/V1)・VCR+d−δ} ……(3)
【0039】
同様に、X方向におけるドットD2の中心の位置x2が図8の位置xRに位置する場合(x2=x1+δ)、飛翔速度V2は以下の数式(4)で表現される。
V2=G・VCR/(x1+δ)
=G・VCR/{(G/V1)・VCR+d+δ} ……(4)
【0040】
数式(3)および数式(4)から、飛翔速度V2の範囲は以下の数式(5)で表現される。
G・VCR/{(G/V1)・VCR+d+δ}≦V2≦G・VCR/{(G/V1)・VCR+d−δ} ……(5)
【0041】
更に好適な態様では、図8に実線で示すように、X方向におけるドットD1の中心の位置x1とドットD2の中心の位置x2とが合致する。したがって、飛翔速度V2は以下の数式(6)で表現される。
V2=G・VCR/{(G/V1)・VCR+d} ……(6)
【0042】
飛翔速度V1と飛翔速度V2との理論的な関係は以上の通りである。飛翔速度V1は第1ノズルN1の寸法(直径)に依存し、飛翔速度V2は第2ノズルN2の寸法に依存する。そこで、第1実施形態では、飛翔速度V1および飛翔速度V2が数式(5)の条件(更に好適には数式(6)の条件)を満たすように、第1ノズルN1および第2ノズルN2が相異なる寸法に形成される。具体的には、記録ヘッド24の速度VCRや吐出面26と記録紙200との距離Gや第1ノズルN1と第2ノズルN2とのX方向の距離dとに応じて、数式(5)や数式(6)の関係を満たすように飛翔速度V1および飛翔速度V2の設計値が算定され、実際の飛翔速度V1および飛翔速度V2が設計値となるように第1ノズルN1および第2ノズルN2の直径が選定される。第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々の寸法について以下に詳述する。
【0043】
数式(5)または数式(6)を満たすように設定された飛翔速度V1および飛翔速度V2(設計値)の関係を、定数α(α>0)を含む以下の数式(7)のように表現する。定数αは、飛翔速度V1に対する飛翔速度V2の相対比を意味する。飛翔速度V2は飛翔速度V1を下回るから、定数αは1未満の正数に設定される。
V2=α・V1 ……(7)
【0044】
他方、飛翔速度V1および飛翔速度V2の各々は、第1ノズルN1の管内断面積S1(m2)と第2ノズルN2の管内断面積S2(m2)と各ノズルNを通過するインクの流量Q(m3/s)とを含む以下の数式(8)で表現される。流量Qは、第1ノズルN1と第2ノズルN2とで共通する。
V1=Q/S1,V2=Q/S2 ……(8)
数式(8)を数式(7)に代入すると、以下の数式(9)が導出される。数式(9)から理解されるように、第1ノズルN1の管内断面積S1は、第2ノズルN2の管内断面積S2を下回る。
S1=α・S2 ……(9)
【0045】
そして、管内断面積S1を第1ノズルN1の半径r1で規定し(S1=π・r12)、管内断面積S2を第2ノズルN2の半径r2で規定すると(S2=π・r22)、以下の数式(10)が導出される。
r1=α1/2・r2 ……(10)
第1ノズルN1の半径r1および第2ノズルN2の半径r2は、数式(10)の条件を満たすように選定される。数式(10)から理解されるように、第1ノズルN1の半径r1は、第2ノズルN2の半径r2を下回る。
【0046】
数式(5)を満たす飛翔速度V1および飛翔速度V2に対応する定数αについて数式(10)が成立するように半径r1および半径r2を選定した構成では、X方向におけるドットD1の中心の位置x1を含む範囲A内にドットD2の中心(x2)が位置する。また、数式(6)を満たす飛翔速度V1および飛翔速度V2に対応する定数αについて数式(10)が成立するように半径r1および半径r2を選定した構成では、X方向におけるドットD1の中心の位置x1とドットD2の中心の位置x2とが合致する。すなわち、ノズル群28内の各ノズルNから噴射されたインクで形成されるドットがY方向に直線状に配列する。
【0047】
以上に説明したように、第1実施形態では、X方向におけるドットD1とドットD2との中心間の距離が第1ノズルN1と第2ノズルN2とのX方向の距離dを下回るように、第1ノズルN1および第2ノズルN2の寸法(半径r1および半径r2)に応じて飛翔速度V1および飛翔速度V2が選定される。具体的には、平面視でドットD1とドットD2とが接触または重複し(数式(5))、更に好適にはX方向におけるドットD1とドットD2との中心の位置が合致する(数式(6))ように、第1ノズルN1と第2ノズルN2とが相異なる寸法に形成される。したがって、各ノズル群28内の複数のノズルNから噴射されたインクのX方向の着弾位置(ドット)の差異を簡易な構成で低減できるという利点がある。
【0048】
ところで、各ノズルNから記録紙200に向けて飛翔する複数滴のインクが過度に接近すると、相互に接近した各インク間の気流やクーロン力等の影響で、インクの進行方向が直進方向から相互に離間する方向に傾斜し、結果的に各インクの着弾位置に誤差が発生するという問題がある。印刷画像の解像度が高いほど(例えば解像度が600dpiを上回る場合)、インクの進行方向の傾斜は顕在化する。第1実施形態によれば、第1ノズルN1から噴射したインクの飛翔速度V1と第2ノズルN2から噴射したインクの飛翔速度V2とが相違するから、記録紙200の表面に近付くほど、第1ノズルN1からのインクと第2ノズルN2からのインクとの距離が拡大する。したがって、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々から噴射されたインクの過度な接近に起因した着弾位置の誤差を低減できるという利点もある。
【0049】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各態様において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0050】
第1ノズルN1の管内断面積S1と第2ノズルN2の管内断面積S2とが前掲の数式(9)を満たす第1実施形態によれば、X方向におけるドットD1およびドットD2の位置を接近させることが可能である。ただし、数式(9)の条件のみでは、インクの吐出効率が第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違し、結果的に、圧力室50から噴射されるインクの重量が第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違する可能性がある。以上の事情を考慮して、第2実施形態では、第1実施形態の条件(数式(10))に加えて、第1ノズルN1のイナータンスと第2ノズルN2のイナータンスとが相等しい数値となるように、第1ノズルN1および第2ノズルN2の寸法が選定される。
【0051】
図9に示すように、記録ヘッド24の各ノズルNを近似する直管路(円筒)を想定する。第1ノズルN1は、管内断面積S1および全長L1の直管路で近似され、第2ノズルN2は、管内断面積S2および全長L2の直管路で近似される。したがって、第1ノズルN1のイナータンスM1および第2ノズルN2のイナータンスM2は、以下の数式(11)で表現される。数式(11)の記号ρはインクの密度を意味する。
M1=ρ・L1/S1,M2=ρ・L2/S2 ……(11)
【0052】
第1ノズルN1のイナータンスM1と第2ノズルN2のイナータンスM2とが相等しいという条件から、以下の数式(12)が導出される。
ρ・L1/S1=ρ・L2/S2 ……(12)
前掲の数式(9)の関係を数式(12)に適用すると、以下の数式(13)が導出される。
L1=α・L2 ……(13)
【0053】
数式(13)の関係が成立するように第1ノズルN1および第2ノズルN2の寸法(全長L1および全長L2)が選定される。なお、圧力室50内の形状(更にはイナータンス)が第1ノズルN1と第2ノズルN2とで共通することを考慮すると、数式(13)の全長L1は、実質的には基板462のうち第1ノズルN1が形成される部位の板厚と同視され、数式(13)の全長L2は、基板462のうち第2ノズルN2の部位の板厚と同視される。すなわち、基板462のうち第1ノズルN1が形成される部位の板厚L1と第2ノズルN2が形成される部位の板厚L2とが、数式(13)の関係を満たすように相異なる寸法に設定される。
【0054】
なお、基板462の板厚を第1ノズルN1の部位(板厚L1)と第2ノズルN2の部位(板厚L2)とで相違させる方法は任意であるが、例えば、各ノズルNを形成するパンチの形状を第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違させる方法や、基板462を板厚方向に部分的に除去するエッチングの度合を第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違させる方法が好適である。
【0055】
以上に説明した第2実施形態でも第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、第1ノズルN1のイナータンスM1と第2ノズルN2のイナータンスM2とが相等しい数値となるように第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々の寸法(L1,L2)が選定されるから、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々から噴射されるインクの重量の差異を低減する(理想的には一致させる)ことが可能である。
【0056】
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0057】
(1)変形例1
以上の各形態では、第1ノズルN1および第2ノズルN2とから同時にインクを噴射したが、圧力室50内のインクを噴射する時点を第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違させた構成も採用され得る。例えば、第1ノズルN1によるインクの噴射から所定の時間が経過した時点で第2ノズルN2からインクを噴射する構成が好適である。なお、各ノズルNによるインクの噴射の時点を相違させるための構成は任意である。以上のように第2ノズルN2からのインクの噴射を第1ノズルN1からの噴射に対して遅延させることでドットD1とドットD2とのX方向の中心間の距離は第1ノズルN1と第2ノズルN2との中心間の距離dを下回る。したがって、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各寸法を相違させる構成のみでドットD1とドットD2とのX方向の位置を接近させる構成と比較して、第1ノズルN1と第2ノズルN2との寸法の相違を低減することが可能である。
【0058】
(2)変形例2
以上の各形態では、第1ノズル列L1および第2ノズル列L2の2列でノズル群28を構成したが、各ノズル群28を構成するノズル列Lの総数は任意である。図10に例示するように各ノズル群28がK個(Kは2以上の自然数)のノズル列L1〜LKを含む構成では、相互に隣合う2個のノズル列Lの間で各ノズルNの中心のY方向の位置が距離(p/K)だけY方向にずれた関係となる。図10の構成では、K個のノズル列L1〜LKのうち記録ヘッド24の進行方向の前方に位置するノズル列Lk(k=1〜K)ほど各ノズルNから噴射されるインクの飛翔速度Vkが高くなるように(V1>V2>……>VK)、各ノズルNの寸法(半径や全長)がノズル列Lk毎に個別に選定される。
【0059】
(3)変形例3
以上の各形態では、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ12がX方向(主走査方向)に移動するシリアル型の印刷装置100を例示したが、図11に示すように、記録紙200の幅方向の全域に対向するようにノズル群28が形成されたライン型の記録ヘッド24を利用した印刷装置にも本発明を適用することが可能である。なお、図11では便宜的に1個のノズル群28のみを図示したが、相異なるインク色に対応する複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)が実際には形成される。
【0060】
図11の記録ヘッド24のノズル群28は、X方向(記録紙200の幅方向)に配列する複数のノズルNで構成される第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とがY方向(記録紙200の搬送方向)に間隔dをあけて形成される。各ノズルNのX方向の位置は第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とで相違する。記録ヘッド24は固定され、記録紙200をY方向に搬送させながら各ノズルNからインクを噴射することで記録紙200に画像が記録される。
【0061】
図11の構成においても、第1実施形態や第2実施形態と同様に、記録紙200の搬送方向の上流側(すなわち、記録紙200に対する記録ヘッド24の相対的な移動方向における前方)に位置する第1ノズル列L1の各ノズルNから噴射されるインクの飛翔速度V1が、記録紙200の搬送方向の下流側に位置する第2ノズル列L2の各ノズルからのインクの飛翔速度V2を上回るように、第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とで各ノズルNが相異なる寸法(半径や全長)に形成される。
【0062】
以上の説明から理解されるように、記録紙200(着弾対象)に対して記録ヘッド24が相対的に移動する構成に本発明は好適に適用され、記録ヘッド24自体の可動/固定は本発明において不問である。なお、第1実施形態や第2実施形態ではY方向が本発明の第1方向に相当するとともにX方向が第2方向に相当するが、図11の構成ではX方向が本発明の第1方向に相当するとともにY方向が第2方向に相当する。
【0063】
(4)変形例4
以上の各形態ではドット(D1,D2)の直径φを利用して飛翔速度V1と飛翔速度V2との関係(数式(5),数式(6))を規定したが、直径φを印刷の解像度R(dpi:dot per inch)に置換することも可能である。直径φは、解像度Rを含む以下の数式(14)で表現される。
φ=(2.54×102/R)×√2 ……(14)
【0064】
数式(5)の距離δを前述のように距離φ/√2とすれば、数式(14)を数式(5)に代入することで以下の数式(15)が導出される。
G・VCR/{(G/V1)・VCR+d+(2.54×102/R)}≦V2≦G・VCR/{(G/V1)・VCR+d−(2.54×102/R)} ……(15)
数式(15)の関係が成立するように飛翔速度V1および飛翔速度V2が解像度Rに応じて決定される。
【0065】
(5)変形例5
以上の各形態では、1系統の駆動信号COMを記録ヘッド24に供給したが、複数系統の駆動信号を各圧電振動子422の駆動に使用する構成も採用され得る。また、駆動信号の各パルス(PD,PS)の波形は任意である、微振動パルスPSは図5に例示した台形状のパルスに限定されず、例えば矩形状のパルスを採用することも可能である。
【0066】
(6)変形例6
以上の各形態では縦振動型の圧電振動子422を例示したが、圧力室50内の圧力を変化させる要素(圧力発生素子)の構成は以上の例示に限定されない。例えば、撓み振動型の圧電振動子や静電アクチュエーター等の振動体を利用することも可能である。また、圧力発生素子は、圧力室50に機械的な振動を付与する要素に限定されない。例えば、圧力室50の加熱で気泡を発生させて圧力室50内の圧力を変化させる発熱素子(ヒーター)を圧力発生素子として利用することも可能である。すなわち、圧力発生素子は、圧力室50内の圧力を変化させる要素として包括され、圧力を変化させる方法(ピエゾ方式/サーマル方式)や構成の如何は不問である。
【0067】
(7)変形例7
以上の各形態の印刷装置100は、プロッターやファクシミリ装置,コピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は画像の印刷に限定されない。例えば、各色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、液体状の導電材料を噴射する液体噴射装置は、例えば有機EL(Electroluminescence)表示装置や電界放出表示装置(FED:Field Emission Display)等の表示装置の電極を形成する電極製造装置として利用される。また、生体有機物の溶液を噴射する液体噴射装置は、生物科学素子(バイオチップ)を製造するチップ製造装置として利用される。そして、液体の噴射の目標となる物体(着弾対象)は液体噴射装置の用途に応じて相違する。具体的には、前述の印刷装置100の着弾対象は記録紙200であるが、液体噴射装置を表示装置の製造に使用する場合には、例えば表示装置を構成する基板が着弾対象に相当する。
【符号の説明】
【0068】
100……印刷装置、12……キャリッジ、14……移動機構、16……用紙搬送機構、22……インクカートリッジ、24……記録ヘッド、26……吐出面、28(28K,28Y,28M,28C)……ノズル群、L1……第1ノズル列、L2……第2ノズル列、N(N1,N2)……ノズル、32……駆動回路、50……圧力室、52……供給路、54……貯留室、102……制御装置、104……印刷処理部、60……制御部、62……記憶部、64……駆動信号発生部、66……外部I/F、68……内部I/F、200……記録紙、300……外部装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に示すように、第1ノズル列91と第2ノズル列92とをX方向(主走査方向)に間隔をあけて並列した液体噴射装置(例えばインクジェット方式の印刷装置)が従来から提案されている。第1ノズル列91および第2ノズル列92の各々は、X方向に交差するY方向(副走査方向)に沿って配列する複数のノズル94を含む。第1ノズル列91と第2ノズル列92とでは各ノズル94のY方向の位置が相違する。
【0003】
特許文献1には、各ノズル94から噴射された液体で着弾対象(例えば記録紙)に形成されるドットのX方向における位置を第1ノズル列91と第2ノズル列92とで合致させる技術が開示されている。具体的には、駆動信号の複数の噴射パルスのうち実際に液体の噴射に適用する噴射パルスを第1ノズル列91と第2ノズル列92とで個別に選択し、液体の噴射の時点を第1ノズル列91と第2ノズル列92とで相違させることで、各ノズル94が形成するドットのX方向の位置を合致させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−343729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、駆動信号の複数の噴射パルスの時点と各噴射パルスを選択する時点(噴射パルスを選択するデータをラッチする時点)とを時間軸上で高精度に合致させる必要があり、両者間に誤差が発生した場合に、第1ノズル列91や第2ノズル列92の各ノズルによる液体の噴射の時点が目標の時点から変化して各ドットの位置に誤差が発生するという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、複数のノズル列の各々のノズルから噴射された液体の着弾位置間の距離を簡易な構成で低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、本発明の要素と後述の実施形態の要素との対応を括弧書で付記するが、本発明の範囲を実施形態の例示に限定する趣旨ではない。
【0007】
本発明の液体噴射装置は、第1方向に配列する複数のノズルを含む第1ノズル列(例えば第1ノズル列L1)と、第1方向における各々の位置が第1ノズル列の各ノズルとは相違するように第1方向に配列する複数のノズルを含む第2ノズル列(例えば第2ノズル列L2)とが、第1方向に交差する第2方向に所定距離(例えば距離d)をあけて形成され、各ノズルから噴射された液体が着弾する着弾対象(例えば記録紙200)に対して第2方向に相対移動する液体噴射部(例えば記録ヘッド24)を具備し、第1ノズル列の第1ノズルから噴射された液体で着弾対象に形成される第1ドット(例えばドットD1)と、第2ノズルの第2ノズルから噴射された液体で着弾対象に形成される第2ドット(例えばドットD2)との第2方向における中心間の距離が、所定距離を下回るように、第1ノズルと第2ノズルとが相異なる寸法に形成されている。
【0008】
以上の構成では、第1ドットと第2ドットとの第2方向における中心間の距離が第1ノズルと第2ノズルとの第2方向における中心間の距離を下回るように、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法が選定される。例えば、第1ノズル列が、着弾対象に対する液体噴射部の進行方向において第2ノズル列の前方に位置する構成では、第1ノズルから噴射される液体の速度が、第2ノズルから噴射される液体の速度を上回るように、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法が選定される。したがって、第1ノズルから噴射された液体の着弾位置(第1ドット)と第2ノズルから噴射された液体の着弾位置(第2ドット)との第2方向の位置の相違を簡易な構成で低減することが可能である。
【0009】
なお、以上の説明では第1ノズル列および第2ノズル列のみに言及したが、液体噴射部に形成されるノズル列の総数は本発明において任意である。すなわち、3列以上のノズル列が液体噴射部に形成された構成でも、3列のうちの2列を第1ノズル列および第2ノズル列として把握した場合に前述の要件を充足する構成は、当然に本発明の範囲に包含される。
【0010】
本発明の好適な態様においては、第1ノズルと第2ノズルとで管内断面積が相違する。例えば、第1ノズル列が、着弾対象に対する液体噴射部の進行方向において第2ノズル列の前方に位置する構成では、第1ノズルの管内断面積が第2ノズルの管内断面積を下回るように各ノズルの寸法が選定される。以上の構成においては、各ノズルの管内断面積に応じて第1ドットと第2ドットとの第2方向における中心間の距離を低減することが可能である。
【0011】
本発明の好適な態様において、第1ノズルから噴射された液体で形成される第1ドットと、当該第1ノズルに最も近い第2ノズルから噴射された液体で形成される第2ドットとが相互に重複または接触するように、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法が選定されている。以上の態様においては、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法を適宜に選定するという簡易な方法で第1ドットと第2ドットとを相互に連続させることが可能である。
【0012】
本発明の好適な態様において、第1ドットと第2ドットとで中心の第2方向における位置が合致するように、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法が選定される。以上の態様では、第1ノズルおよび第2ノズルの各々の寸法を適宜に選定するという簡易な方法で、第1ドットと第2ドットとを第1方向に配列することが可能である。
【0013】
本発明の好適な態様において、第1ノズルのイナータンスと第2ノズルのイナータンスとは相等しい。以上の態様においては、第1ノズルと第2ノズルとで相等しいイナータンスに設定されるから、第1ノズルからの液体の吐出量と第2ノズルからの液体の吐出量との差異を有効に低減できるという利点がある。なお、以上の態様の具体例は例えば第2実施形態として後述される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の部分的な模式図である。
【図2】記録ヘッドの吐出面の平面図である。
【図3】記録ヘッドの断面図である。
【図4】印刷装置の電気的な構成のブロック図である。
【図5】駆動信号の波形図である。
【図6】記録ヘッドの電気的な構成のブロック図である。
【図7】各ノズルから噴射されたインクの飛翔経路の説明図である。
【図8】各ノズルから噴射されたインクが着弾する位置(ドットの位置)の説明図である。
【図9】第2実施形態における各ノズルを近似する直管路の模式図である。
【図10】変形例における記録ヘッドの吐出面の模式図である。
【図11】変形例における記録ヘッドの模式図である。
【図12】従来のノズルの配列を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット方式の印刷装置100の部分的な模式図である。印刷装置100は、微細な液滴状のインクを記録紙200に噴射する液体噴射装置であり、キャリッジ12と移動機構14と用紙搬送機構16とを具備する。
【0016】
キャリッジ12には、インクカートリッジ22と記録ヘッド24とが搭載される。インクカートリッジ22は、記録紙200に噴射されるインク(液体)を貯留する容器である。記録ヘッド24は、インクカートリッジ22に貯留されたインクを記録紙200に噴射する液体噴射部として機能する。なお、印刷装置100の筐体(図示略)にインクカートリッジ22を固定して記録ヘッド24にインクを供給する構成も採用され得る。
【0017】
移動機構14は、案内軸122に沿ってキャリッジ12をX方向(記録紙200の幅方向に相当する主走査方向)に往復させる。キャリッジ12の位置は、リニアエンコーダー等の検出器(図示略)で検出されて移動機構14の制御に利用される。用紙搬送機構16は、キャリッジ12の往復に並行して記録紙200をY方向(副走査方向)に移動させる。キャリッジ12の往復時に記録ヘッド24が記録紙200にインクを噴射することで所望の画像が記録紙200に記録(印刷)される。
【0018】
図2は、記録ヘッド24のうち記録紙200に対向する吐出面26の平面図である。図2に示すように、記録ヘッド24の吐出面26には、相異なるインク色(ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C))に対応する複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)が形成される。
【0019】
複数のノズル群28の各々は、第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とを含む。第1ノズル列L1および第2ノズル列L2の各々は、相互に間隔をあけてY方向に配列する複数のノズルNの集合である。各ノズルNは、平面視で円形状に形成される。ノズル群28Kの各ノズルNからはブラック(K)のインクが吐出される。同様に、ノズル群28Yの各ノズルNからはイエロー(Y)のインクが吐出され、ノズル群28Mの各ノズルNからはマゼンタ(M)のインクが吐出され、ノズル群28Cの各ノズルNからはシアン(C)のインクが吐出される。
【0020】
第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とは、X方向に距離dをあけて並列する。具体的には、第1ノズル列L1の各ノズルNの中心を連結したY方向の直線(第1ノズル列L1の中心線)a1と、第2ノズル列L2の各ノズルNの中心を連結したY方向の直線(第2ノズル列L2の中心線)a2とが、相互に間隔dをあけて平行に延在する。また、第1ノズル列L1の各ノズルNと第2ノズル列L2の各ノズルNとのY方向の位置は相違する。具体的には、第1ノズル列L1の各ノズルNのY方向の位置と第2ノズル列L2の各ノズルNのY方向の位置とは、Y方向に隣合う各ノズルNの中心間の距離pの半分(p/2)だけY方向に相互にずれた関係にある。すなわち、各ノズル群28の複数のノズルNは2列の千鳥状に配列する。
【0021】
図3は、記録ヘッド24の断面図(X方向に垂直な断面)である。図3に示すように、記録ヘッド24は、振動ユニット42と収容体44と流路ユニット46とを具備する。振動ユニット42は、圧電振動子422とケーブル424と固定板426と含む。圧電振動子422は、圧電材料と電極とが交互に積層された縦振動型の圧電素子であり、ケーブル424を介して供給される駆動信号に応じて振動する。圧電振動子422を固定した固定板426が収容体44の内壁面に接合された状態で振動ユニット42は収容体44に収容される。
【0022】
流路ユニット46は、相互に対向する基板462と基板464との間隙に流路形成板466を介挿した構造体である。基板462のうち基板464とは反対側の表面が図2の吐出面26に相当する。流路形成板466は、圧力室50と供給路52と貯留室54とを含む空間を基板462と基板464との間隙に形成する。圧力室50は、振動ユニット42毎に隔壁で個別に区画されるとともに供給路52を介して貯留室54に連通する。インクカートリッジ22から供給されるインクは貯留室54に貯留される。図2の各ノズルNは、各圧力室50に対応するように基板462に形成される。各ノズルNは、圧力室50に連通する貫通孔である。以上の説明から理解されるように、貯留室54から供給路52と圧力室50とノズルNとを経由して外部に至るインクの流路が形成される。
【0023】
基板464は、弾性材料で形成された平板材である。基板464のうち圧力室50の反対側の領域には島部48を有する振動板が形成される。島部48には圧電振動子422の先端面(自由端)が接合される。したがって、駆動信号の供給により圧電振動子422が振動すると、島部48を介して基板464が変位することで圧力室50の容積が変化して圧力室50内のインクの圧力が変動する。すなわち、圧電振動子422は、圧力室50内の圧力を変動させる圧力発生素子として機能する。以上に説明した圧力室50内の圧力の変動に応じてノズルNからインクを噴射することが可能である。
【0024】
図4は、印刷装置100の電気的な構成のブロック図である。図4に示すように、印刷装置100は、制御装置102と印刷処理部(プリントエンジン)104とを具備する。制御装置102は、印刷装置100の全体を制御する要素であり、制御部60と記憶部62と駆動信号発生部64と外部I/F(interface)66と内部I/F68とを含む。記録紙200に印刷される画像を示す印刷データDPが外部装置(例えばホストコンピューター)300から外部I/F66に供給され、内部I/F68には印刷処理部104が接続される。印刷処理部104は、制御装置102による制御のもとで記録紙200に画像を記録する要素であり、前述の記録ヘッド24と移動機構14と用紙搬送機構16とを含む。
【0025】
図4の記憶部62は、制御プログラム等を記憶するROMと、画像の印刷に必要な各種のデータを一時的に記憶するRAMとを含む。制御部60は、記憶部62に記憶された制御プログラムの実行で印刷装置100の各要素(例えば印刷処理部104)を統括的に制御する。例えば制御部60は、記録紙200に対するインクの噴射で印刷データDPに応じた画像を記録紙200に記録する動作を記録ヘッド24に実行させる。具体的には、制御部60は、外部装置300から外部I/F66に供給される印刷データDPを利用して、圧力室50内のインクの噴射/非噴射(微振動)を指示する制御データDCを生成する。
【0026】
駆動信号発生部64は、駆動信号COMを生成する。駆動信号COMは、各圧電振動子422を駆動する周期信号である。図5に示すように、駆動信号COMの1周期(記録周期)内には、圧力室50内のインクをノズルNから噴射させる噴射パルスPDと、圧力室50内のインクがノズルNから噴射されない程度の微振動を圧力室50内に付与する微振動パルスPSとが配置される。
【0027】
図6は、記録ヘッド24の電気的な構成の模式図である。図6に示すように、記録ヘッド24は、相異なる圧力室50に対応する複数の駆動回路32を含む。駆動信号発生部64が生成した駆動信号COMは、内部I/F68を介して複数の駆動回路32に共通に供給される。また、制御部60が生成した制御データDCは内部I/F68を介して各駆動回路32に供給される。
【0028】
各駆動回路32は、制御部60から供給される制御データDCに応じた区間(噴射パルスPD/微振動パルスPS)を駆動信号COMから選択して圧電振動子422に供給する。具体的には、制御データDCがインクの噴射を指示する場合、駆動回路32は、駆動信号COMの噴射パルスPDを選択して圧電振動子422に供給する。したがって、圧力室50内のインクがノズルNから噴射される。他方、制御データDCがインクの非噴射を指示する場合、駆動回路32は、駆動信号COMの微振動パルスPSを選択して圧電振動子422に供給する。したがって、圧力室50内に微振動が付与され、圧力室50内のインクは噴射されずに適度に撹拌される。
【0029】
図7は、圧電振動子422に対する噴射パルスPDの供給で記録ヘッド24の各ノズルNから噴射されたインクが記録紙200の表面に着弾する様子の模式図である。以下の説明では、図7に示すように、1個のノズル群28の第1ノズル列L1のうち任意の1個のノズルN(以下では特に「第1ノズルN1」と表記する)と、そのノズル群28の第2ノズル列L2のうち第1ノズルN1に最も近い1個のノズルN(以下では特に「第2ノズルN2」と表記する)とに着目する。ただし、複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)の各々における各ノズルNについて同様の関係が成立する。
【0030】
図7に示すように、記録ヘッド24の吐出面26と記録紙200の表面とは間隔Gをあけて相互に対向する。制御部60は、記録ヘッド24が固定されたキャリッジ12を記録紙200に対して速度VCRでX方向に相対的に移動させながら、各圧電振動子422を振動させることで各ノズル群28の複数のノズルN(N1,N2)から同時にインクを噴射させる。各ノズルNから噴射されたインクは吐出面26と記録紙200との間隙を飛翔し、記録紙200の表面に着弾してドット(画素)を形成する。
【0031】
図8は、第1ノズルN1から噴射されたインクで形成されるドットD1と第2ノズルN2から噴射されたインクで形成されるドットD2との平面的な位置関係を示す模式図である。第1ノズルN1と第2ノズルN2とはX方向に間隔dだけ離間するから、各ノズルNから噴射されたインクが記録紙200に向けて飛翔する速度(以下では「飛翔速度」という)が第1ノズルN1と第2ノズルN2とで仮に同等であれば、第1ノズルN1から噴射したインクで形成されるドットD1と第2ノズルN2から噴射したインクで形成されるドットD2(図8の破線で図示された円形)とは、X方向に中心間の距離dをあけて相互に離間する。しかし、以上のようにドットD1とドットD2とが記録紙200上で離間すると、記録紙200に形成される画像の品質を低下させる原因となる。
【0032】
そこで、第1実施形態では、記録紙200の表面のドットD1およびドットD2のX方向の距離が第1ノズルN1と第2ノズルN2との距離dを下回るように、第1ノズルN1から噴射されたインクの飛翔速度V1と第2ノズルN2から噴射されたインクの飛翔速度V2とが相異なる速度に設定される。すなわち、図7における記録ヘッド24(キャリッジ12)の進行方向の前方に位置する第1ノズルN1から噴射されたインクの飛翔速度V1は、進行方向の後方に位置する第2ノズルN2から噴射されたインクの飛翔速度V2を上回る(V1>V2)。なお、飛翔速度V1および飛翔速度V2は、各ノズルN(N1,N2)での噴射から記録紙200に着弾するまでの平均速度である。
【0033】
具体的には、図8に示すように、X方向におけるドットD2の中心の位置x2が、ドットD1の中心の位置x1を含む所定の範囲A内に制限されるように、飛翔速度V1と飛翔速度V2との関係が選定される。範囲Aは、ドットD1のX方向の位置x1からX方向の一方側に距離δだけ離間した位置xLと、位置x1からX方向の他方側に距離δだけ離間した位置xRとの間の領域である。範囲Aを規定する距離δは、平面視でドットD1とドットD2とが相互に重複または接触するように選定される。なお、以下ではドットD1とドットD2とが相等しい直径φの円形状である場合を想定する。
【0034】
図8に鎖線で示すように直径φのドットD1とドットD2とが接触(外接)する場合、ドットD1とドットD2との中心間の距離は直径φに合致する。いま、Y方向におけるドットD1とドットD2との中心間の距離(Y方向における第1ノズルN1と第2ノズルN2との中心間の距離(p/2))を直径φに応じた距離φ/√2とすると、X方向におけるドットD1とドットD2との中心間の距離が距離φ/√2である場合にドットD1とドットD2とが接触する。したがって、範囲Aを規定する距離δは、ドットD1およびドットD2の直径φに応じた距離φ/√2に設定される。すなわち、ドットD1のX方向の位置x1からX方向の両側に距離φ/√2にわたる範囲A内にドットD2の中心の位置x2が含まれるように、飛翔速度V1および飛翔速度V2が設定される。
【0035】
飛翔速度V1と飛翔速度V2との具体的な関係を特定するために、第1ノズルN1が形成するドットD1の中心の位置(インクの着弾位置)x1と第2ノズルN2が形成するドットD2の中心の位置x2とを検討する。位置x1および位置x2は、図7に示すように、各ノズルNからインクが噴射される時点における第2ノズルN2のX方向の位置を基準(x=0)とした位置である。
【0036】
第1ノズルN1から噴射されたインクが飛翔速度V1で飛翔して記録紙200に着弾するまでに時間(G/V1)が経過するから、噴射後のインクの飛翔中(時間(G/V1)内)に、記録紙200は記録ヘッド24に対してX方向に距離(G/V1)・VCRだけ相対的に移動する。したがって、ドットD1の位置x1は以下の数式(1)で表現される。
x1=(G/V1)・VCR+d ……(1)
【0037】
同様に、第2ノズルN2から噴射されて飛翔速度V2で飛翔するインク(飛翔速度V2)が着弾するまでに記録紙200は記録ヘッド24に対して距離(G/V2)・VCRだけ相対的に移動するから、ドットD2の位置x2は以下の数式(2)で表現される。
x2=(G/V2)・VCR ……(2)
【0038】
X方向におけるドットD2の中心の位置x2が図8の位置xLに位置する場合(x2=x1−δ)、飛翔速度V2は以下の数式(3)で表現される。
V2=G・VCR/(x1−δ)
=G・VCR/{(G/V1)・VCR+d−δ} ……(3)
【0039】
同様に、X方向におけるドットD2の中心の位置x2が図8の位置xRに位置する場合(x2=x1+δ)、飛翔速度V2は以下の数式(4)で表現される。
V2=G・VCR/(x1+δ)
=G・VCR/{(G/V1)・VCR+d+δ} ……(4)
【0040】
数式(3)および数式(4)から、飛翔速度V2の範囲は以下の数式(5)で表現される。
G・VCR/{(G/V1)・VCR+d+δ}≦V2≦G・VCR/{(G/V1)・VCR+d−δ} ……(5)
【0041】
更に好適な態様では、図8に実線で示すように、X方向におけるドットD1の中心の位置x1とドットD2の中心の位置x2とが合致する。したがって、飛翔速度V2は以下の数式(6)で表現される。
V2=G・VCR/{(G/V1)・VCR+d} ……(6)
【0042】
飛翔速度V1と飛翔速度V2との理論的な関係は以上の通りである。飛翔速度V1は第1ノズルN1の寸法(直径)に依存し、飛翔速度V2は第2ノズルN2の寸法に依存する。そこで、第1実施形態では、飛翔速度V1および飛翔速度V2が数式(5)の条件(更に好適には数式(6)の条件)を満たすように、第1ノズルN1および第2ノズルN2が相異なる寸法に形成される。具体的には、記録ヘッド24の速度VCRや吐出面26と記録紙200との距離Gや第1ノズルN1と第2ノズルN2とのX方向の距離dとに応じて、数式(5)や数式(6)の関係を満たすように飛翔速度V1および飛翔速度V2の設計値が算定され、実際の飛翔速度V1および飛翔速度V2が設計値となるように第1ノズルN1および第2ノズルN2の直径が選定される。第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々の寸法について以下に詳述する。
【0043】
数式(5)または数式(6)を満たすように設定された飛翔速度V1および飛翔速度V2(設計値)の関係を、定数α(α>0)を含む以下の数式(7)のように表現する。定数αは、飛翔速度V1に対する飛翔速度V2の相対比を意味する。飛翔速度V2は飛翔速度V1を下回るから、定数αは1未満の正数に設定される。
V2=α・V1 ……(7)
【0044】
他方、飛翔速度V1および飛翔速度V2の各々は、第1ノズルN1の管内断面積S1(m2)と第2ノズルN2の管内断面積S2(m2)と各ノズルNを通過するインクの流量Q(m3/s)とを含む以下の数式(8)で表現される。流量Qは、第1ノズルN1と第2ノズルN2とで共通する。
V1=Q/S1,V2=Q/S2 ……(8)
数式(8)を数式(7)に代入すると、以下の数式(9)が導出される。数式(9)から理解されるように、第1ノズルN1の管内断面積S1は、第2ノズルN2の管内断面積S2を下回る。
S1=α・S2 ……(9)
【0045】
そして、管内断面積S1を第1ノズルN1の半径r1で規定し(S1=π・r12)、管内断面積S2を第2ノズルN2の半径r2で規定すると(S2=π・r22)、以下の数式(10)が導出される。
r1=α1/2・r2 ……(10)
第1ノズルN1の半径r1および第2ノズルN2の半径r2は、数式(10)の条件を満たすように選定される。数式(10)から理解されるように、第1ノズルN1の半径r1は、第2ノズルN2の半径r2を下回る。
【0046】
数式(5)を満たす飛翔速度V1および飛翔速度V2に対応する定数αについて数式(10)が成立するように半径r1および半径r2を選定した構成では、X方向におけるドットD1の中心の位置x1を含む範囲A内にドットD2の中心(x2)が位置する。また、数式(6)を満たす飛翔速度V1および飛翔速度V2に対応する定数αについて数式(10)が成立するように半径r1および半径r2を選定した構成では、X方向におけるドットD1の中心の位置x1とドットD2の中心の位置x2とが合致する。すなわち、ノズル群28内の各ノズルNから噴射されたインクで形成されるドットがY方向に直線状に配列する。
【0047】
以上に説明したように、第1実施形態では、X方向におけるドットD1とドットD2との中心間の距離が第1ノズルN1と第2ノズルN2とのX方向の距離dを下回るように、第1ノズルN1および第2ノズルN2の寸法(半径r1および半径r2)に応じて飛翔速度V1および飛翔速度V2が選定される。具体的には、平面視でドットD1とドットD2とが接触または重複し(数式(5))、更に好適にはX方向におけるドットD1とドットD2との中心の位置が合致する(数式(6))ように、第1ノズルN1と第2ノズルN2とが相異なる寸法に形成される。したがって、各ノズル群28内の複数のノズルNから噴射されたインクのX方向の着弾位置(ドット)の差異を簡易な構成で低減できるという利点がある。
【0048】
ところで、各ノズルNから記録紙200に向けて飛翔する複数滴のインクが過度に接近すると、相互に接近した各インク間の気流やクーロン力等の影響で、インクの進行方向が直進方向から相互に離間する方向に傾斜し、結果的に各インクの着弾位置に誤差が発生するという問題がある。印刷画像の解像度が高いほど(例えば解像度が600dpiを上回る場合)、インクの進行方向の傾斜は顕在化する。第1実施形態によれば、第1ノズルN1から噴射したインクの飛翔速度V1と第2ノズルN2から噴射したインクの飛翔速度V2とが相違するから、記録紙200の表面に近付くほど、第1ノズルN1からのインクと第2ノズルN2からのインクとの距離が拡大する。したがって、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々から噴射されたインクの過度な接近に起因した着弾位置の誤差を低減できるという利点もある。
【0049】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各態様において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0050】
第1ノズルN1の管内断面積S1と第2ノズルN2の管内断面積S2とが前掲の数式(9)を満たす第1実施形態によれば、X方向におけるドットD1およびドットD2の位置を接近させることが可能である。ただし、数式(9)の条件のみでは、インクの吐出効率が第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違し、結果的に、圧力室50から噴射されるインクの重量が第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違する可能性がある。以上の事情を考慮して、第2実施形態では、第1実施形態の条件(数式(10))に加えて、第1ノズルN1のイナータンスと第2ノズルN2のイナータンスとが相等しい数値となるように、第1ノズルN1および第2ノズルN2の寸法が選定される。
【0051】
図9に示すように、記録ヘッド24の各ノズルNを近似する直管路(円筒)を想定する。第1ノズルN1は、管内断面積S1および全長L1の直管路で近似され、第2ノズルN2は、管内断面積S2および全長L2の直管路で近似される。したがって、第1ノズルN1のイナータンスM1および第2ノズルN2のイナータンスM2は、以下の数式(11)で表現される。数式(11)の記号ρはインクの密度を意味する。
M1=ρ・L1/S1,M2=ρ・L2/S2 ……(11)
【0052】
第1ノズルN1のイナータンスM1と第2ノズルN2のイナータンスM2とが相等しいという条件から、以下の数式(12)が導出される。
ρ・L1/S1=ρ・L2/S2 ……(12)
前掲の数式(9)の関係を数式(12)に適用すると、以下の数式(13)が導出される。
L1=α・L2 ……(13)
【0053】
数式(13)の関係が成立するように第1ノズルN1および第2ノズルN2の寸法(全長L1および全長L2)が選定される。なお、圧力室50内の形状(更にはイナータンス)が第1ノズルN1と第2ノズルN2とで共通することを考慮すると、数式(13)の全長L1は、実質的には基板462のうち第1ノズルN1が形成される部位の板厚と同視され、数式(13)の全長L2は、基板462のうち第2ノズルN2の部位の板厚と同視される。すなわち、基板462のうち第1ノズルN1が形成される部位の板厚L1と第2ノズルN2が形成される部位の板厚L2とが、数式(13)の関係を満たすように相異なる寸法に設定される。
【0054】
なお、基板462の板厚を第1ノズルN1の部位(板厚L1)と第2ノズルN2の部位(板厚L2)とで相違させる方法は任意であるが、例えば、各ノズルNを形成するパンチの形状を第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違させる方法や、基板462を板厚方向に部分的に除去するエッチングの度合を第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違させる方法が好適である。
【0055】
以上に説明した第2実施形態でも第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、第1ノズルN1のイナータンスM1と第2ノズルN2のイナータンスM2とが相等しい数値となるように第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々の寸法(L1,L2)が選定されるから、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々から噴射されるインクの重量の差異を低減する(理想的には一致させる)ことが可能である。
【0056】
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0057】
(1)変形例1
以上の各形態では、第1ノズルN1および第2ノズルN2とから同時にインクを噴射したが、圧力室50内のインクを噴射する時点を第1ノズルN1と第2ノズルN2とで相違させた構成も採用され得る。例えば、第1ノズルN1によるインクの噴射から所定の時間が経過した時点で第2ノズルN2からインクを噴射する構成が好適である。なお、各ノズルNによるインクの噴射の時点を相違させるための構成は任意である。以上のように第2ノズルN2からのインクの噴射を第1ノズルN1からの噴射に対して遅延させることでドットD1とドットD2とのX方向の中心間の距離は第1ノズルN1と第2ノズルN2との中心間の距離dを下回る。したがって、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各寸法を相違させる構成のみでドットD1とドットD2とのX方向の位置を接近させる構成と比較して、第1ノズルN1と第2ノズルN2との寸法の相違を低減することが可能である。
【0058】
(2)変形例2
以上の各形態では、第1ノズル列L1および第2ノズル列L2の2列でノズル群28を構成したが、各ノズル群28を構成するノズル列Lの総数は任意である。図10に例示するように各ノズル群28がK個(Kは2以上の自然数)のノズル列L1〜LKを含む構成では、相互に隣合う2個のノズル列Lの間で各ノズルNの中心のY方向の位置が距離(p/K)だけY方向にずれた関係となる。図10の構成では、K個のノズル列L1〜LKのうち記録ヘッド24の進行方向の前方に位置するノズル列Lk(k=1〜K)ほど各ノズルNから噴射されるインクの飛翔速度Vkが高くなるように(V1>V2>……>VK)、各ノズルNの寸法(半径や全長)がノズル列Lk毎に個別に選定される。
【0059】
(3)変形例3
以上の各形態では、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ12がX方向(主走査方向)に移動するシリアル型の印刷装置100を例示したが、図11に示すように、記録紙200の幅方向の全域に対向するようにノズル群28が形成されたライン型の記録ヘッド24を利用した印刷装置にも本発明を適用することが可能である。なお、図11では便宜的に1個のノズル群28のみを図示したが、相異なるインク色に対応する複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)が実際には形成される。
【0060】
図11の記録ヘッド24のノズル群28は、X方向(記録紙200の幅方向)に配列する複数のノズルNで構成される第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とがY方向(記録紙200の搬送方向)に間隔dをあけて形成される。各ノズルNのX方向の位置は第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とで相違する。記録ヘッド24は固定され、記録紙200をY方向に搬送させながら各ノズルNからインクを噴射することで記録紙200に画像が記録される。
【0061】
図11の構成においても、第1実施形態や第2実施形態と同様に、記録紙200の搬送方向の上流側(すなわち、記録紙200に対する記録ヘッド24の相対的な移動方向における前方)に位置する第1ノズル列L1の各ノズルNから噴射されるインクの飛翔速度V1が、記録紙200の搬送方向の下流側に位置する第2ノズル列L2の各ノズルからのインクの飛翔速度V2を上回るように、第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とで各ノズルNが相異なる寸法(半径や全長)に形成される。
【0062】
以上の説明から理解されるように、記録紙200(着弾対象)に対して記録ヘッド24が相対的に移動する構成に本発明は好適に適用され、記録ヘッド24自体の可動/固定は本発明において不問である。なお、第1実施形態や第2実施形態ではY方向が本発明の第1方向に相当するとともにX方向が第2方向に相当するが、図11の構成ではX方向が本発明の第1方向に相当するとともにY方向が第2方向に相当する。
【0063】
(4)変形例4
以上の各形態ではドット(D1,D2)の直径φを利用して飛翔速度V1と飛翔速度V2との関係(数式(5),数式(6))を規定したが、直径φを印刷の解像度R(dpi:dot per inch)に置換することも可能である。直径φは、解像度Rを含む以下の数式(14)で表現される。
φ=(2.54×102/R)×√2 ……(14)
【0064】
数式(5)の距離δを前述のように距離φ/√2とすれば、数式(14)を数式(5)に代入することで以下の数式(15)が導出される。
G・VCR/{(G/V1)・VCR+d+(2.54×102/R)}≦V2≦G・VCR/{(G/V1)・VCR+d−(2.54×102/R)} ……(15)
数式(15)の関係が成立するように飛翔速度V1および飛翔速度V2が解像度Rに応じて決定される。
【0065】
(5)変形例5
以上の各形態では、1系統の駆動信号COMを記録ヘッド24に供給したが、複数系統の駆動信号を各圧電振動子422の駆動に使用する構成も採用され得る。また、駆動信号の各パルス(PD,PS)の波形は任意である、微振動パルスPSは図5に例示した台形状のパルスに限定されず、例えば矩形状のパルスを採用することも可能である。
【0066】
(6)変形例6
以上の各形態では縦振動型の圧電振動子422を例示したが、圧力室50内の圧力を変化させる要素(圧力発生素子)の構成は以上の例示に限定されない。例えば、撓み振動型の圧電振動子や静電アクチュエーター等の振動体を利用することも可能である。また、圧力発生素子は、圧力室50に機械的な振動を付与する要素に限定されない。例えば、圧力室50の加熱で気泡を発生させて圧力室50内の圧力を変化させる発熱素子(ヒーター)を圧力発生素子として利用することも可能である。すなわち、圧力発生素子は、圧力室50内の圧力を変化させる要素として包括され、圧力を変化させる方法(ピエゾ方式/サーマル方式)や構成の如何は不問である。
【0067】
(7)変形例7
以上の各形態の印刷装置100は、プロッターやファクシミリ装置,コピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は画像の印刷に限定されない。例えば、各色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、液体状の導電材料を噴射する液体噴射装置は、例えば有機EL(Electroluminescence)表示装置や電界放出表示装置(FED:Field Emission Display)等の表示装置の電極を形成する電極製造装置として利用される。また、生体有機物の溶液を噴射する液体噴射装置は、生物科学素子(バイオチップ)を製造するチップ製造装置として利用される。そして、液体の噴射の目標となる物体(着弾対象)は液体噴射装置の用途に応じて相違する。具体的には、前述の印刷装置100の着弾対象は記録紙200であるが、液体噴射装置を表示装置の製造に使用する場合には、例えば表示装置を構成する基板が着弾対象に相当する。
【符号の説明】
【0068】
100……印刷装置、12……キャリッジ、14……移動機構、16……用紙搬送機構、22……インクカートリッジ、24……記録ヘッド、26……吐出面、28(28K,28Y,28M,28C)……ノズル群、L1……第1ノズル列、L2……第2ノズル列、N(N1,N2)……ノズル、32……駆動回路、50……圧力室、52……供給路、54……貯留室、102……制御装置、104……印刷処理部、60……制御部、62……記憶部、64……駆動信号発生部、66……外部I/F、68……内部I/F、200……記録紙、300……外部装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配列する複数のノズルを含む第1ノズル列と、前記第1方向における各々の位置が前記第1ノズル列の前記各ノズルとは相違するように前記第1方向に配列する複数のノズルを含む第2ノズル列とが、前記第1方向に交差する第2方向に所定距離をあけて形成され、前記各ノズルから噴射された液体が着弾する着弾対象に対して前記第2方向に相対移動する液体噴射部を具備し、
前記第1ノズル列の第1ノズルから噴射された液体で前記着弾対象に形成される第1ドットと、前記第2ノズルの第2ノズルから噴射された液体で前記着弾対象に形成される第2ドットとの前記第2方向における中心間の距離が、前記所定距離を下回るように、前記第1ノズルと前記第2ノズルとが相異なる寸法に形成されている
液体噴射装置。
【請求項2】
前記第1ノズル列は、前記着弾対象に対する前記液体噴射部の進行方向において前記第2ノズル列の前方に位置し、前記第1ノズルから噴射される液体の速度が、前記第2ノズルから噴射される液体の速度を上回るように、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの各々の寸法が選定されている
請求項1の液体噴射装置。
【請求項3】
前記第1ノズルの管内断面積は前記第2ノズルの管内断面積を下回る
請求項2の液体噴射装置。
【請求項4】
前記第1ノズルから噴射された液体で形成される前記第1ドットと、当該第1ノズルに最も近い前記第2ノズルから噴射された液体で形成される前記第2ドットとが相互に重複または接触するように、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの各々の寸法が選定されている
請求項1から請求項3の何れかの液体噴射装置。
【請求項5】
前記第1ドットと前記第2ドットとで中心の第2方向における位置が合致するように、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの各々の寸法が選定されている
請求項1から請求項3の何れかの液体噴射装置。
【請求項6】
前記第1ノズルのイナータンスと前記第2ノズルのイナータンスとは相等しい
請求項1から請求項5の何れかの液体噴射装置。
【請求項1】
第1方向に配列する複数のノズルを含む第1ノズル列と、前記第1方向における各々の位置が前記第1ノズル列の前記各ノズルとは相違するように前記第1方向に配列する複数のノズルを含む第2ノズル列とが、前記第1方向に交差する第2方向に所定距離をあけて形成され、前記各ノズルから噴射された液体が着弾する着弾対象に対して前記第2方向に相対移動する液体噴射部を具備し、
前記第1ノズル列の第1ノズルから噴射された液体で前記着弾対象に形成される第1ドットと、前記第2ノズルの第2ノズルから噴射された液体で前記着弾対象に形成される第2ドットとの前記第2方向における中心間の距離が、前記所定距離を下回るように、前記第1ノズルと前記第2ノズルとが相異なる寸法に形成されている
液体噴射装置。
【請求項2】
前記第1ノズル列は、前記着弾対象に対する前記液体噴射部の進行方向において前記第2ノズル列の前方に位置し、前記第1ノズルから噴射される液体の速度が、前記第2ノズルから噴射される液体の速度を上回るように、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの各々の寸法が選定されている
請求項1の液体噴射装置。
【請求項3】
前記第1ノズルの管内断面積は前記第2ノズルの管内断面積を下回る
請求項2の液体噴射装置。
【請求項4】
前記第1ノズルから噴射された液体で形成される前記第1ドットと、当該第1ノズルに最も近い前記第2ノズルから噴射された液体で形成される前記第2ドットとが相互に重複または接触するように、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの各々の寸法が選定されている
請求項1から請求項3の何れかの液体噴射装置。
【請求項5】
前記第1ドットと前記第2ドットとで中心の第2方向における位置が合致するように、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルの各々の寸法が選定されている
請求項1から請求項3の何れかの液体噴射装置。
【請求項6】
前記第1ノズルのイナータンスと前記第2ノズルのイナータンスとは相等しい
請求項1から請求項5の何れかの液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−101379(P2012−101379A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249457(P2010−249457)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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