説明

液体噴射装置

【課題】液体噴射ヘッドとヘッドホルダとの隙間を封止する封止材の表面凹みの形成を抑制する。
【解決手段】プリンタは、ノズル10が開口するインク噴射面4aが設けられたインクジェットヘッド4を有している。そして、インクジェットヘッド4は、インク噴射面4aを露出させた状態でインクジェットヘッド4を取り囲むように配置されたヘッドホルダ43に保持されている。そして、インクジェットヘッド4のインク噴射面4aの外周縁とヘッドホルダ43の内周面との隙間には液状の封止材30が注入されて硬化しており、さらに、この隙間には、注入された液状の封止材30に抵抗を付与して、隙間の奥側への流動を抑制するワイヤ31〜33が挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置には、液体噴射ヘッドを保持するヘッドホルダが設けられているものがある。このようなヘッドホルダを備えた液体噴射装置として、例えば、特許文献1にはインクジェットプリンタについて開示されている。
【0003】
この特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、ノズルを含むインク流路が形成された流路ユニットの上面に、圧電式のアクチュエータが貼り合わされて液体噴射ヘッドを構成している。そして、このインクジェップリンタのヘッドホルダ(ハウジング)は、流路ユニットの下面のノズルが開口する液体噴射面を露出させた状態で液体噴射ヘッドを取り囲むように配置されて、液体噴射ヘッドを保持している。
【0004】
さらに、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、ヘッドホルダと液体噴射ヘッドとの隙間からインクや粉塵が侵入するのを防止するために、この隙間をシリコーン系の充填材からなるポッティング材(封止材)で封止している。そして、隙間よりも上方に位置するアクチュエータやアクチュエータへ電源供給する配線基板などの配線や電極間が、この隙間から侵入したインクや粉塵で導通して短絡することでアクチュエータが誤動作するのを防止している。
【0005】
【特許文献1】特開2009−208223号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようにヘッドホルダと液体噴射ヘッドとの隙間を封止材で封止する際には、例えば、ディスペンサーでこの隙間に液状の封止材を注入して硬化させていくのが一般的である。このとき、ヘッドホルダと液体噴射ヘッドとの隙間に注入された液状の封止材は、完全に硬化するまでの間に隙間の奥側へ流動してしまう。すると、封止材の表面に凹みが形成されてしまい、この表面凹みに液体噴射面に付着した液体が溜まりやすくなる。そして、表面凹みに溜まった液体が装置内を汚してしまうことがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、液体噴射ヘッドとヘッドホルダとの隙間を封止する封止材の表面凹みの形成を抑制した液体噴射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体噴射装置は、ノズルが開口する液体噴射面を備えた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射面を露出させた状態で前記液体噴射ヘッドを取り囲むように配置され、この液体噴射ヘッドを保持するヘッドホルダを備え、前記液体噴射ヘッドと前記ヘッドホルダとの隙間には液状の封止材が注入されて硬化しており、さらに、前記隙間には、この隙間に注入された前記液状の封止材に抵抗を付与して、前記隙間の奥側への流動を抑制する、流動抑制部材が挿入されている。
【0009】
本発明の液体噴射装置によると、液体噴射ヘッドとヘッドホルダとの隙間に流動抑制部材が挿入されることで、液状の封止材が隙間の奥側へ流動しようとする際に流動抑制部材が抵抗となり、液状の封止材が隙間の奥側に流動しにくくなるため、この隙間を封止する封止材の表面凹みの形成を抑制することができる。
【0010】
また、前記流動抑制部材は、その表面におけるぬれ性が、前記隙間を形成する前記ヘッドホルダの内周面及び前記液体噴射ヘッドの側端面のぬれ性と比べて、同等かそれ以上である材料で形成されていることが好ましい。
【0011】
これによると、封止材が流動抑制部材の表面に付着して保持されるため、流動抑制部材による流動抑制効果を高めることができる。
【0012】
さらに、前記液体噴射ヘッドの前記液体噴射面に一部が接触した状態で、前記液体噴射面に対してそれと平行な所定の払拭方向に相対移動することで、前記液体噴射面に付着した液体を拭き取るワイパを備え、前記液体噴射面を取り囲んで存在する前記隙間のうち、少なくとも、前記液体噴射面に対して前記払拭方向の下流側に位置する隙間部分に、前記流動抑制部材が挿入されていることが好ましい。
【0013】
ワイパの拭き終わりの位置において、隙間を封止する封止材に表面凹みが生じていると、ワイパによって拭き取られた液体が表面凹みに溜まり、さらに、拭き終わったときのワイパの変形が元に戻るときの復元力によって周囲にはじき飛ばされて飛散する。そのため、ワイパの拭き終わりの位置において、隙間を封止する封止材の表面凹みの形成を抑制することには大きな意義がある。
【0014】
加えて、前記流動抑制部材は、前記隙間の幅よりも径の小さいワイヤであることが好ましい。
【0015】
そもそも、液体が入り込まないように、液体噴射ヘッドとヘッドホルダとの隙間はできるだけ小さくすることが望ましい。しかしながら、隙間が小さすぎると封止材の塗布性が悪化し、封止材を途切れなく連続して塗布することが難しくなる。そのため、ある程度の大きさは必要となるため、このような隙間に挿入する流動抑制部材として、細くても、一定以上の強度を発現できるワイヤは好適である。
【0016】
このとき、前記液体噴射ヘッドと前記ヘッドホルダの間には、所定幅の第1の隙間部分と、前記第1の隙間部分よりも幅の大きな第2の隙間部分が存在し、前記第2の隙間部分に挿入される前記ワイヤの数が、前記第1の隙間部分と比べて多いことが好ましい。
【0017】
これによると、隙間の幅の大きな第2の隙間部分に挿入されるワイヤの本数を多くして、第2の隙間部分において封止材が隙間の奥側へ流動するのを確実に防止することができる。また、隙間の幅の狭い第1隙間部分に合わせて形成された径の小さいワイヤを、第2の隙間部分において本数を変えるだけで流用することが可能となり、製品コストを低減することができる。
【0018】
また、前記液体噴射ヘッドと前記ヘッドホルダの間には、所定幅の第1の隙間部分と、前記第1の隙間部分よりも幅の大きな第2の隙間部分が存在し、前記第1の隙間部分には円形断面の第1ワイヤが挿入されるとともに、前記第2の隙間部分には扁平断面の第2ワイヤが挿入され、前記第2ワイヤの扁平断面の長軸の長さは前記第1ワイヤの円形断面の径よりも大きく、前記第2ワイヤは、前記第2の隙間部分に、その扁平断面の長軸が前記第2の隙間部分の幅方向とほぼ平行となる姿勢で挿入されていてもよい。
【0019】
これによると、隙間の幅の大きな第2の隙間部分には、仮に、第1ワイヤよりも径の大きな円形断面のワイヤを1本挿入することもできるが、第1ワイヤの円形断面の径よりも長軸の長さが長い、扁平断面の第2ワイヤを、この扁平断面の長軸が第2の隙間部分の幅方向とほぼ平行となる姿勢で挿入するため、扁平断面の長軸が幅方向と直交する姿勢で挿入する場合に比べると、第2ワイヤが隙間を効果的に埋めるように配置される。これにより、封止材により大きな抵抗を付与することができ、流動抑制部材による流動抑制効果をさらに高めることができる。
【0020】
また、前記ワイヤは、前記隙間に挿入されたときに前記隙間の長さ方向と平行に配置されて、前記封止材の流動を抑制する流動抑制部と、前記流動抑制部に対して直交する方向に延び、前記隙間の深さ方向に挿入される脚部と、を有することが好ましい。
【0021】
これによると、ワイヤが隙間の奥側に入り込みすぎると、表面凹みの抑制効果が少ないが、脚部が隙間の深さ方向に挿入されることで、流動抑制部が深さ方向に移動し続けることなく、流動抑制部を隙間の入口近くに存在させることができる。また、封止材に対するワイヤの接触面積が大きくなり、封止材からワイヤが抜け落ちるのを防止することができる。
【0022】
本発明の液体噴射装置の隙間封止方法は、ノズルが開口する液体噴射面を備えた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射面を露出させた状態で前記液体噴射ヘッドを取り囲むように配置され、この液体噴射ヘッドを保持するヘッドホルダを備えた液体噴射装置において、前記液体噴射ヘッドと前記ヘッドホルダとの隙間を液状の封止材を硬化させて封止する方法であって、前記隙間に、この隙間に注入される前記液状の封止材に抵抗を付与して前記隙間の奥側への流動を抑制する、流動抑制部材を挿入する。
【0023】
本発明の液体噴射装置の隙間封止方法によると、液体噴射ヘッドとヘッドホルダとの隙間に流動抑制部材が挿入されることで、流動抑制部材が隙間の奥側へ流動しようとする際の抵抗となり、液状の封止材が隙間の奥側に流動しにくくなり、この隙間を封止する封止材の表面凹みの形成を抑制することができる。
【0024】
ここで、前記隙間に前記流動抑制部材を挿入した後に、この隙間に前記液状の封止材を注入してもよい。
【0025】
これによると、先に流動抑制部材を入れておくことで、流動抑制部材を封止材内に埋め込むのが容易となり、封止材に対する流動抑制部材の接触面積が大きくなり、封止材から流動抑制部材が抜け落ちるのを防止することができる。また、例えば、封止材を注入した後に、封止材内に流動抑制部材を挿入することで、流動抑制部材を挿入した際の影響で封止材に孔があいてリークするようなことを抑制することができる。
【0026】
あるいは、前記隙間に前記液状の封止材を注入した後に、この隙間に前記流動抑制部材を挿入してもよい。
【0027】
これによると、先に封止材を注入しておくことで、隙間の奥側へ流動しにくい部分に塗布された封止材が、隙間の奥側への流動が生じやすい部分に流れるまで、流動抑制部材の挿入を待つことができる。そのため、隙間の奥側への流動が生じやすい部分に封止材が到達した後に流動抑制部材を挿入することができ、封止材が溢れ出るのを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
液体噴射ヘッドとヘッドホルダとの隙間に流動抑制部材が挿入されることで、液状の封止材が隙間の奥側へ流動しようとする際に流動抑制部材が抵抗となり、液状の封止材が隙間の奥側に流動しにくくなるため、この隙間を封止する封止材の表面凹みの形成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態に係るプリンタの概略構成を示す平面図である。
【図2】ヘッドユニットを下方から見た平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図3の部分拡大図であり、(a)はB部の部分拡大図であり、(b)はC部の部分拡大図である。
【図5】ワイヤの斜視図であり、(a)はB部で図示されたワイヤであり、(b)はC部で図示されたワイヤである。
【図6】接触角について説明する図である。
【図7】隙間を封止する工程について説明する工程図であり、(a)は挿入工程であり、(b)は注入工程である。
【図8】変形例における図7相当の図であり、(a)は注入工程であり、(b)は挿入工程である。
【図9】変形例における図4(b)相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、記録用紙に対してインクを噴射するインクジェットヘッドを保持するヘッドホルダを有するプリンタに本発明を適用した一例である。
【0031】
まず、本実施形態のプリンタの概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの概略構成を示す平面図である。図1に示すように、プリンタ1(液体噴射装置)は、所定の走査方向(図1の左右方向)に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたヘッドユニット3と、記録用紙Pを走査方向と直交する紙送り方向に搬送する搬送機構5と、ヘッドユニット3の後述するインクジェットヘッド4(液体噴射ヘッド)の下面(図1の紙面奥側の面)に密着可能な吸引キャップ12と、インクジェットヘッド4の下面を払拭可能なワイパ13などを備えている。
【0032】
キャリッジ2は、走査方向(図1の左右方向)に平行に延びる2本のガイド軸17に沿って往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ2には、無端ベルト18が連結されており、キャリッジ駆動モータ19によって無端ベルト18が走行駆動されたときに、キャリッジ2は、無端ベルト18の走行にともなって走査方向に移動するようになっている。
【0033】
このキャリッジ2には、ヘッドユニット3が搭載されており、キャリッジ2の走行にともなって走査方向に移動する。ヘッドユニット3について詳しくは後述するが、ヘッドユニット3はインクジェットヘッド4を有しており、このインクジェットヘッド4の複数のノズル10から、搬送機構5により図1の下方(紙送り方向)に搬送される記録用紙Pに対してインクを噴射することで、記録用紙Pに所望の文字や画像などが記録される。
【0034】
搬送機構5は、ヘッドユニット3よりも紙送り方向上流側に配置された給紙ローラ25と、ヘッドユニット3よりも紙送り方向下流側に配置された排紙ローラ26とを有している。給紙ローラ25と排紙ローラ26は、それぞれ、給紙モータ27と排紙モータ28により回転駆動される。そして、この搬送機構5は、給紙ローラ25により、記録用紙Pを図1の上方からヘッドユニット3へ搬送するとともに、排紙ローラ26により、ヘッドユニット3のインクジェットヘッド4によって文字や画像などが記録された記録用紙Pを図1の下方へ排出する。
【0035】
吸引キャップ12は、走査方向に関するキャリッジ2の移動範囲のうち、搬送機構5により搬送される記録用紙Pと対向する印刷領域よりも外側(図1における右側)の領域(メンテナンス領域)に配置されており、吸引ポンプ14と接続されている。また、吸引キャップ12は、ゴムや合成樹脂などの可撓性を有する材料で形成されている。
【0036】
そして、キャリッジ2(インクジェットヘッド4)がメンテナンス領域に移動してきたときに、この吸引キャップ12は、インクジェットヘッド4の複数のノズル10が開口する後述するインク噴射面4a(図2参照)と対向する。この状態で、吸引キャップ12は、駆動機構(図示省略)によって上方に駆動されて、インクジェットヘッド4のインク噴射面4aに密着し、複数のノズル10を覆う。
【0037】
そして、吸引キャップ12がインクジェットヘッド4のインク噴射面4aに密着してノズル10を覆っている状態で、吸引ポンプ14の吸引動作が行われたときには、吸引キャップ12とインク噴射面4aによって画定される密閉空間内の空気が吸引されて圧力が低下し、ノズル10からインクが吸引キャップ12へ排出される(液体パージ)。これにより、ノズル10内の増粘インクやインクジェットヘッド4内のインク流路に混入している気泡を、インクとともにノズル10から排出することが可能となっている。なお、この液体パージは、インクジェットヘッド4内のインク流路に気泡が混入しやすいカートリッジ交換後などに行われる。
【0038】
ワイパ13は、メンテナンス領域において吸引キャップ12よりも走査方向に関する印刷領域側に吸引キャップ12と隣接して配置されている。また、ワイパ13は、ゴムなどの弾性を有する材料で形成されており、上方に延在しており、インク噴射面4aの紙送り方向の長さよりも長い幅となっている。そして、ワイパ13は、昇降機構(図示せず)によってインク噴射面4aに接触可能な払拭位置と接触しない退避位置とにわたって、走査方向及び紙送り方向と直交する上下方向に移動可能となっている。
【0039】
上述した液体パージ後、吸引キャップ12がインクジェットヘッド4のインク噴射面4aから離間したときには、インク噴射面4aにはノズル10から排出されたインクの一部が付着する。そこで、ワイパを払拭位置に移動させた上で、インクジェットヘッド4をキャリッジ2とともにメンテナンス領域から印刷領域に向かってワイパ13に対して走査方向と平行な払拭方向(図2参照:図1の右方から左方に向かう方向)に移動させることで、払拭位置にあるワイパ13が、インク噴射面4aに付着したインクを拭き取るようになっている。また、インクジェットヘッド4のインク噴射面4aを払拭しないときには、ワイパ13は、下方の退避位置に退避している。
【0040】
次に、ヘッドユニット3について説明する。図2は、ヘッドユニットを下方から見た平面図である。図3は、図2のA−A線断面図である。なお、図2においては、封止材30中に挿入され、この平面図では見えないワイヤ31〜33をハッチングを付して図示している。
【0041】
図2、図3に示すように、ヘッドユニット3は、ノズル10を含むインク流路が形成された流路ユニット40及び流路ユニット40のインク流路内のインクをノズル10から噴射させるための圧電式のアクチュエータ41を有するインクジェットヘッド4と、流路ユニット40を補強する補強フレーム42と、インクジェットヘッド4を保持するヘッドホルダ43と、を有している。
【0042】
流路ユニット40は、複数枚の積層されたステンレス鋼などの金属プレート(本実施形態では、SUS430)からなり、その下面に複数のノズル10が形成されて、これら複数のノズル10は、紙送り方向に複数並べて配置されてノズル列を形成しているとともに、このノズル列が走査方向に4列配列されている。このインクジェットヘッド4の下面が、複数のノズル10がそれぞれ開口するインク噴射面4a(液体噴射面)となっており、ノズル列ごとに、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクが噴射される。圧電式のアクチュエータ41は、その上面に配置されたフレキシブル配線基板44(FPC)から、駆動電位やグランド電位などの駆動信号を供給されて、流路ユニット40のインク流路内のインクに圧力を付与する。
【0043】
補強フレーム42は、ステンレス鋼などの金属材料で形成されており、流路ユニット40よりも十分に厚く剛性が高くなっている。また、補強フレーム42は、平面視で、流路ユニット40の外形よりも若干大きな枠状のフレームであり、アクチュエータ41を収容する矩形状の開口42aが形成されている。この補強フレーム42は、開口42aにアクチュエータ41を収容した状態で、流路ユニット40の上面に接合されている。この補強フレーム42は、流路ユニット40が撓んだりして、ノズル10からのインクの噴射方向がずれたりしないように、流路ユニット40を補強する役割を持つ。
【0044】
ヘッドホルダ43は、合成樹脂材料(本実施形態では、ガラス繊維を含むABS/PBT樹脂)からなり、平面視で、補強フレーム42の外形よりも大きな矩形状をしている。そして、ヘッドホルダ43には、補強フレーム42、流路ユニット40及びアクチュエータ41を収容する矩形状の開口43aが形成されている。このような構成で、ヘッドホルダ43は、流路ユニット40(インクジェットヘッド4)のインク噴射面4aをヘッドホルダ43の開口43aから露出させた状態で、インクジェットヘッド4を取り囲むように配置されており、ヘッドホルダ43と補強フレーム42はUV接着剤(図示せず)で接着されている。これにより、流路ユニット40及びアクチュエータ41は、補強フレーム42を介してヘッドホルダ43に保持されている。
【0045】
ところで、ヘッドホルダ43の開口43aの内周面と流路ユニット40の外周縁(側端面)との間は、本来は、インクの侵入を防ぐために、隙間をなくしたいが、少なくとも組み付け可能な公差分だけは隙間が生じてしまう。
【0046】
また、上述したように、ワイパ13によるインク噴射面4aの払拭動作時には、ワイパ13はメンテンナンス領域から印刷領域に払拭方向に移動する。このとき、インク噴射面4aに対して払拭方向の下流側に位置する隙間部分45a(第1の隙間部分)には、インク噴射面4aを拭き取ったワイパ13に付着したインクが溜まらないように、上流側に位置する隙間部分45b(第2の隙間部分)に比べて、隙間の幅が狭くなっている。
【0047】
そして、ヘッドホルダ43と流路ユニット40との隙間には、空気中の水分を吸って硬化する温度硬化性樹脂(本実施形態では、エポキシ接着剤)が液状で注入されて硬化されている。さらに、払拭方向の下流側に位置する隙間部分45aにはワイヤ31、また、払拭方向の上流側に位置する幅の大きな隙間部分45bには2本のワイヤ32、33が挿入されている。なお、本実施形態におけるワイヤ31〜33が、本発明における流動抑制部材に相当する。
【0048】
図4は、図3の部分拡大図であり、(a)はB部の部分拡大図であり、(b)はC部の部分拡大図である。図5は、ワイヤの斜視図であり、(a)はB部で図示されたワイヤであり、(b)はC部で図示されたワイヤである。なお、本実施形態では、図4(a)の流路ユニット40の外周縁と補強フレーム42の外周縁との間の幅X1は、0.25mmであり、補強フレーム42の外周縁とヘッドホルダ43の内周面との間の、払拭方向の下流側の隙間X2は、0.5mmである。また、図4(b)の流路ユニット40の外周縁と補強フレーム42の外周縁との間の幅X1は、0.25mmであり、補強フレーム42の外周縁とヘッドホルダ43の内周面との間の、払拭方向の上流側の隙間X3は、0.75mmである。すなわち、上述したように、払拭方向の上流側に比べて下流側の隙間が狭くなっている。
【0049】
まず、払拭方向の下流側の隙間部分45aについて説明する。図4(a)、図5(a)に示すように、ワイヤ31は、隙間部分45aの幅よりも径の小さな円形断面(本実施形態では、φ0.4mm)であり、一方向に隙間部分45aの長さ分だけ延在した流動抑制部31aと、流動抑制部31aの両端から流動抑制部31aに対して直交する方向に延びた後、L字状に互いに平行に屈曲した2つの脚部31bとを有している。
【0050】
そして、ワイヤ31の流動抑制部31aは、流動抑制部31aの延在方向と隙間部分45aの長さ方向が平行になるように、紙送り方向に沿って隙間部分45aに挿入されている。また、2つの脚部31bは隙間部分45aに挿入された後、L字状に屈曲してインク噴射面4aを紙送り方向に挟む2つの隙間部分(図3の上下に並んだ隙間部分)に配置されている。また、脚部31bの長さは隙間部分45aの深さよりも若干短くなっており、これにより、隙間部分45aの入口側の流動抑制部31aの先端がインク噴射面4aよりも突出しないように配置されている。そして、隙間部分45aには液状の封止材30が注入されて硬化しており、流動抑制部31aが隙間の入口側に配置されていることで、封止材30の表面は、流動抑制部31aにより盛り上がった部分を含む平坦に近い形状となっている。
【0051】
次に、払拭方向の上流側の隙間部分45bについて説明する。図4(b)、図5(b)に示すように、ワイヤ32は、ワイヤ31と同じ径の円形断面である。また、ワイヤ33は、ワイヤ31よりも若干小さな円形断面(本実施形態では、φ0.35mm)である。そして、ワイヤ32は、ワイヤ31と同じ形状の流動抑制部32aと脚部32bとを有している。ワイヤ33は、流動抑制部33aについてはワイヤ31の流動抑制部31aと同じ形状で、脚部33bについては流動抑制部33aの両端から流動抑制部33aに対して直交する方向に延びた後、互いに近づくようにコの字状に内側に屈曲している。
【0052】
そして、ワイヤ32の流動抑制部32aは、流動抑制部32aの延在方向と隙間部分45bの長さ方向が平行になるように、紙送り方向に沿って隙間部分45bの補強フレーム42寄りに挿入されている。また、2つの脚部32bは隙間部分45bに挿入された後、L字状に屈曲してインク噴射面4aを紙送り方向に挟む2つの隙間部分(図3の上下に並んだ隙間部分)に配置されている。また、脚部32bの長さは隙間部分45bの深さよりも若干短くなっており、これにより、隙間部分45bの入口側の流動抑制部32aの先端がインク噴射面4aよりも突出しないように配置されている。
【0053】
また、ワイヤ33の流動抑制部33aは、流動抑制部33aの延在方向と隙間部分45bの長さ方向が平行になるように、紙送り方向に沿って隙間部分45bのヘッドホルダ43寄りにワイヤ32と並んで挿入されている。また、2つの脚部33bが隙間部分45bに挿入されている。また、脚部33bの長さは隙間部分45bの深さよりも若干短くなっており、これにより、隙間部分45bの入口側の流動抑制部33aの先端がインク噴射面4aよりも突出しないように配置されている。そして、隙間部分45bには液状の封止材30が注入されて硬化しており、流動抑制部32a、33aが隙間の入口側に配置されていることで、封止材30の表面は、流動抑制部32a、33aにより盛り上がった部分を含む平坦に近い形状となっている。
【0054】
なお、ワイヤ31〜33は、その表面におけるぬれ性が、隙間部分45a、45bを形成する流路ユニット40の外周縁、補強フレーム42の外周縁及びヘッドホルダ43の内周面のぬれ性と比べて、同等かそれ以上である材料で形成されており、本実施形態では、ステンレス鋼(一例として、SUS304)からなる。なお、ぬれ性とは、図6に示すように、部材の表面に液体が付着したときの接触角θ(ぬれ角)の大きさから決まるものであり、この接触角θが小さいほど、ぬれ性がよく、液体が部材の表面にぬれ広がりやすい。また、このワイヤ31〜33は、封止材30よりも比重が軽いものからなる。
【0055】
次に、上述した隙間を封止材30で封止する工程について説明する。図7は、隙間を封止する工程について説明する工程図であり、(a)は挿入工程であり、(b)は注入工程である。なお、以下においては、隙間部分45aを封止材で封止する工程について説明し、隙間部分45bについては同様であるので、その説明を省略する。隙間部分45aを封止する前に、流路ユニット40、アクチュエータ41、補強フレーム42、ヘッドホルダ43は接合されている。そして、図7(a)に示すように、屈曲して流動抑制部31a及び脚部31bが形成されたワイヤ31を隙間部分45aに挿入する(挿入工程)。
【0056】
その後、図7(b)に示すように、隙間部分45aにディスペンサーで上述した液状の温度硬化性樹脂(本実施形態では、エポキシ接着剤)からなる封止材30を注入する(注入工程)。そして、高温下で4時間放置して硬化させた後、隙間部分45aを封止材30で封止する。すると、封止材30は液状から完全に硬化するまでの間、隙間部分45aを奥側へ流動しようとするが、ワイヤ31が封止材30が隙間の奥側へ流動する際の抵抗となり、液状の封止材30が奥側に流動しにくくなり、封止材30の表面の引けが小さくなり、この隙間部分45aを封止する封止材30の表面凹みの形成を抑制することができる。なお、隙間部分45bへの2つのワイヤ32、33の挿入については、説明を省略しているが、2つのワイヤ32、33は結合された状態で、隙間部分45bに挿入されてもよいし、別々に挿入されてもよい。
【0057】
また、ワイヤ31〜33は、その表面におけるぬれ性が、隙間部分45a、45bを形成する材料のぬれ性と比べて、同等かそれ以上である材料で形成されているため、封止材30がワイヤ31〜33の表面に付着して保持されるため、ワイヤ31〜33による流動抑制効果を高めることができる。
【0058】
さらに、仮に、ワイパ13の拭き終わりの位置(払拭方向の下流側)の隙間部分45aを封止する封止材30に表面凹みが生じていると、ワイパ13によって拭き取られたインクが表面凹みに溜まり、さらに、拭き終わったときのワイパ13が元に戻るときの復元力によって周囲にはじき飛ばされて飛散する。そのため、払拭方向の下流側の隙間部分45aを封止する封止材30の表面凹みの形成を抑制することには大きな意義がある。
【0059】
また、隙間部分45aよりも幅の大きな隙間部分45bに挿入されるワイヤの本数を多くして、隙間部分45bにおいて封止材30の隙間奥側への流動を確実に防止することができる。さらに、ワイヤ31〜33が、流動抑制部31a〜33aに加えて、脚部31b〜33bを有し、脚部31b〜33bが隙間部分45a、45bの隙間奥側に挿入されることで、流動抑制部31a〜33aが隙間奥側に移動し続けることなく、脚部31b〜33bが接触した位置で流動抑制部31a〜33aを隙間の入口に位置することができる。また、封止材30に対するワイヤ31〜33の接触面積が大きくなり、封止材30からワイヤ31〜33が抜け落ちるのを防止することができる。また、脚部31b〜33bを走査方向に沿った隙間に入れるだけで、ワイヤ31〜33の紙送り方向の位置決めを容易にできる。さらに、ワイヤ31〜33が封止材30の表面の中央を盛り上げることで、仮に、ワイヤ31〜33が挿入されていない場合に凹む部分が盛り上がるため、封止材30の表面の引けが小さくなり、より平坦に近くなり、インクを溜まりにくくすることができる。
【0060】
また、隙間部分45a、45bに先にワイヤ31〜33を入れておくことで、ワイヤ31〜33の周囲に封止材30を付着させることができ、封止材30の流動を効果的に抑制することができる。また、ワイヤ31〜33を封止材30内に埋め込むのが容易となり、封止材30に対するワイヤ31〜33の接触面積が大きくなり、封止材30からワイヤ31〜33が抜け落ちるのを防止することができる。さらに、仮に、封止材30を注入した後に、封止材30内にワイヤ31〜33を挿入することで、封止材30に孔があいてリークするようなことを抑制することができる。すなわち、目視でもリーク検査が可能となり、リーク検査が容易となる。また、ワイヤ31〜33が封止材30の表面から露出していないため、ワイヤ31〜33に例えばワイパ13が接触したり、振動が生じて、応力が生じて、ワイヤ31〜33と封止材30の界面から割れが生じたり、ワイヤ31〜33の剥離が生じたりするのを防止することができる。
【0061】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、上述した実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0062】
本実施形態においては、隙間部分45a、45bにワイヤ31〜33を挿入した後に、封止材30を注入していたが、この順序は逆であってもよい。具体的に、隙間部分45aの封止を例に挙げて説明する。図8は、変形例における図7相当の図であり、(a)は注入工程であり、(b)は挿入工程である。図8(a)に示すように、隙間部分45aにディスペンサーで上述した液状の封止材30を注入する(注入工程)。
【0063】
なお、この封止材30は、上述した実施形態と同様の温度硬化性樹脂でもよいが、硬化前の粘度が高い材料が好ましく、本変形では湿度硬化性樹脂(本実施形態では、シリコーン接着シール材)を採用する。これは、できるだけ隙間部分45aに注入された封止材30が隙間奥側に流動しにくくするためであり、上述した実施形態では、封止材30よりも先にワイヤ31〜33が挿入されるため、封止材30を注入しやすくするために硬化前の粘度が低い樹脂材料としていた。そして、図8(b)に示すように、隙間部分45aの液状の封止材30内に屈曲して流動抑制部31a及び脚部31bが形成されたワイヤ31を挿入する(挿入工程)。
【0064】
その後、封止材30を24時間放置して硬化させた後、高温高湿下で再硬化させた後、隙間部分45aを封止材30で封止する。すると、封止材30は液状から完全に硬化するまでの間、隙間部分45aを奥側へ流動しようとするが、ワイヤ31が隙間の奥側へ流動しようとする際の抵抗となり、液状の封止材30が奥側に流動しにくくなり、この隙間部分45aを封止する封止材30の表面凹みの形成を抑制することができる。
【0065】
また、封止材30から表面が硬く摩耗にも強いワイヤ31が露出するため、例えば、ワイパ13が封止材30に接触しにくく、封止材30がワイパ13によりちぎれて、ノズル10に詰まるのを防止することができる。また、先に封止材30を注入しておくことで、隙間部分45aの奥側への流動が生じやすい部分にのみワイヤ31を挿入することができ、封止材30が溢れ出るのを防止することができる。
【0066】
また、本実施形態では、隙間部分45aよりも隙間の幅が大きい隙間部分45bには、2本のワイヤ32、33を挿入していたが、これらのワイヤ32、33よりも径の大きな1本のワイヤを挿入してもよい。例えば、図9に示すように、ワイヤ132は、扁平断面であり、その長軸は上述したワイヤ31〜33の円形断面の径よりも大きくなっている。そして、隙間部分45bに、ワイヤ132の扁平断面の長軸が隙間部分45bの幅方向(図9の左右方向)とほぼ平行となる姿勢でワイヤ132を挿入してもよい。これによると、本数を増やすことなく、幅の大きな隙間部分45bにおいて封止材30の隙間奥側への流動を確実に防止することができる。また、ワイヤ132の断面形状は、円形断面ではなく、扁平断面であり、この扁平断面の長軸が隙間部分45bの幅方向とほぼ平行となる姿勢で挿入されるため、扁平断面の長軸が幅方向と直交する姿勢で挿入される場合に比べると、ワイヤ132が隙間部分45bを効果的に埋めるように配置される。これにより、封止材30により大きな抵抗を付与することができ、ワイヤ132による流動抑制効果をさらに高めることができる。
【0067】
さらに、ワイヤ31〜33は、流動抑制部31a〜33aを有していれば、脚部31a〜33bを有していなくてもよい。ただし、この場合、ワイヤ31〜33が封止材30内に重力で沈んでいかないように、比重や粘度やワイヤの表面粗さなどを考慮する必要がある。また、ワイヤ31〜33は、封止材30の表面を盛り上げずに、封止材30内に入り込んでいてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、インク噴射面4aの外周縁を取り囲む隙間のうち、払拭方向の両側にワイヤを挿入していたが、全周囲にワイヤを挿入してもよいし、払拭方向のいずれかの側にだけワイヤを挿入してもよいし、ワイヤの挿入位置は任意の位置であってもよい。
【0069】
また、封止材30の奥側への流動を抑制する流動抑制部材としては、ワイヤに限らず、隙間を狭めることが可能な板やシート部材などであってもよく、その材質についてはぬれ性がわるいものであってもよい。また、流動抑制部材の表面粗さを粗くするなどして、封止材30に付与される抵抗を大きくしてもよい。しかしながら、上述したように、そもそも、インクが入り込まないように、インクジェットヘッド4とヘッドホルダ43との隙間はできるだけ狭くしている。このような狭き隙間に挿入する流動抑制部材として、細くても、一定以上の強度を発現できるワイヤ31〜33は板やシート部材などの成型品に比べて好適である。
【0070】
また、本実施形態では、ワイヤ31、32とワイヤ33は、異なる径となっていたが、全て同じ径であってもよい。この場合、異なる幅の2つの隙間部分があるときには、隙間の幅の狭い隙間部分に合わせて形成された径の小さいワイヤを、より隙間の広い隙間部分において本数を変えるだけで流用することが可能となり、製品コストを低減することができる。
【0071】
また、本実施形態は、本発明を、記録用紙にインクを噴射して画像などを記録するインクジェットプリンタに適用したものであるが、本発明の適用対象は、このような用途に使用されるものに限られない。すなわち、インク以外の様々な種類の液体をその用途に応じて対象に噴射する、種々に液体噴射装置に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 プリンタ
3 ヘッドユニット
4 インクジェットヘッド
4a インク噴射面
10 ノズル
30 封止材
31〜33 ワイヤ
43 ヘッドホルダ
45a、45b 隙間部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが開口する液体噴射面を備えた液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射面を露出させた状態で前記液体噴射ヘッドを取り囲むように配置され、この液体噴射ヘッドを保持するヘッドホルダを備え、
前記液体噴射ヘッドと前記ヘッドホルダとの隙間には液状の封止材が注入されて硬化しており、
さらに、前記隙間には、この隙間に注入された前記液状の封止材に抵抗を付与して、前記隙間の奥側への流動を抑制する、流動抑制部材が挿入されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記流動抑制部材は、その表面におけるぬれ性が、前記隙間を形成する前記ヘッドホルダの内周面及び前記液体噴射ヘッドの側端面のぬれ性と比べて、同等かそれ以上である材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記液体噴射ヘッドの前記液体噴射面に一部が接触した状態で、前記液体噴射面に対してそれと平行な所定の払拭方向に相対移動することで、前記液体噴射面に付着した液体を拭き取るワイパを備え、
前記液体噴射面を取り囲んで存在する前記隙間のうち、少なくとも、前記液体噴射面に対して前記払拭方向の下流側に位置する隙間部分に、前記流動抑制部材が挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記流動抑制部材は、前記隙間の幅よりも径の小さいワイヤであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記液体噴射ヘッドと前記ヘッドホルダの間には、所定幅の第1の隙間部分と、前記第1の隙間部分よりも幅の大きな第2の隙間部分が存在し、
前記第2の隙間部分に挿入される前記ワイヤの数が、前記第1の隙間部分と比べて多いことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記液体噴射ヘッドと前記ヘッドホルダの間には、所定幅の第1の隙間部分と、前記第1の隙間部分よりも幅の大きな第2の隙間部分が存在し、
前記第1の隙間部分には円形断面の第1ワイヤが挿入されるとともに、前記第2の隙間部分には扁平断面の第2ワイヤが挿入され、
前記第2ワイヤの扁平断面の長軸の長さは前記第1ワイヤの円形断面の径よりも大きく、前記第2ワイヤは、前記第2の隙間部分に、その扁平断面の長軸が前記第2の隙間部分の幅方向とほぼ平行となる姿勢で挿入されていることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記ワイヤは、
前記隙間に挿入されたときに前記隙間の長さ方向と平行に配置されて、前記封止材の流動を抑制する流動抑制部と、
前記流動抑制部に対して直交する方向に延び、前記隙間の深さ方向に挿入される脚部と、
を有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
ノズルが開口する液体噴射面を備えた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射面を露出させた状態で前記液体噴射ヘッドを取り囲むように配置され、この液体噴射ヘッドを保持するヘッドホルダを備えた液体噴射装置において、前記液体噴射ヘッドと前記ヘッドホルダとの隙間を液状の封止材を硬化させて封止する方法であって、
前記隙間に、この隙間に注入される前記液状の封止材に抵抗を付与して前記隙間の奥側への流動を抑制する、流動抑制部材を挿入することを特徴とする、液体噴射装置の隙間封止方法。
【請求項9】
前記隙間に前記流動抑制部材を挿入した後に、この隙間に前記液状の封止材を注入することを特徴とする請求項8に記載の液体噴射装置の隙間封止方法。
【請求項10】
前記隙間に前記液状の封止材を注入した後に、この隙間に前記流動抑制部材を挿入することを特徴とする請求項8に記載の液体噴射装置の隙間封止方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−143911(P2012−143911A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2498(P2011−2498)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】