説明

液体噴射装置

【課題】液体噴射装置において、ドライバICにおいて発生した熱をアクチュエータに伝わりにくくする。
【解決手段】
液体噴射装置は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルから液体を噴射させるためのアクチュエータとを備えた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドに設けられ、且つ、ドライバICが実装された中継基板と、前記液体噴射ヘッドを制御する制御基板と、前記中継基板と前記制御基板とを接続する配線部材と、前記中継基板と前記アクチュエータとを接続する、フレキシブル配線基板と、を備え、前記中継基板は前記配線部材が接続される第1接続部と前記フレキシブル配線基板が接続される第2接続部とを有し、前記ドライバICは、前記中継基板の第2接続部よりも第1接続部に近い位置に配置されており、前記中継基板には、前記ドライバICと第2接続部とを結ぶ仮想線上に、前記中継基板の厚み方向に貫通した貫通部又は切り欠きが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射装置に関する。
【0002】
ノズルから液体を噴射する液体噴射装置として、特許文献1には、振動子ユニットにより圧力発生室内のインクに圧力を付与することによって、圧力発生室に連通するノズルからインクを噴射させる記録装置が記載されている。この記録装置では、振動子ユニットがフレキシブル回路板を介して記録ヘッドの上方に配置されたヘッド基板に接続されている。そして、ヘッド基板に実装された駆動回路(ドライバIC)において発生させた駆動信号を、フレキシブル回路板を介して振動子ユニットに送ることによって、振動子ユニットを駆動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−231584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の記録装置では、振動子ユニットから比較的近い位置にあるヘッド基板に駆動回路が実装されているため、駆動回路において発生した熱が、フレキシブル回路板を介して振動子ユニットに伝わりやすい。その結果、ドライバICから伝わった熱により、振動子ユニットの駆動特性、すなわち、ノズルからのインクの吐出特性が変動する虞がある。
【0005】
本発明の目的は、ドライバICにおいて発生した熱がアクチュエータに伝わりにくい液体噴射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射装置であって、前記液体を噴射するノズルと、前記ノズルから液体を噴射させるためのアクチュエータと、を備えた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドに設けられ、且つ、ドライバICが実装された中継基板と、前記液体噴射ヘッドを制御する制御基板と、前記中継基板と前記制御基板とを接続する配線部材と、前記中継基板と前記アクチュエータとを接続する、フレキシブル配線基板と、を備え、前記中継基板は前記配線部材が接続される第1接続部と前記フレキシブル配線基板が接続される第2接続部とを有し、前記ドライバICは、前記中継基板の第2接続部よりも第1接続部に近い位置に配置されており、前記中継基板には、前記ドライバICと第2接続部とを結ぶ仮想線上に、前記中継基板の厚み方向に貫通した貫通部又は切り欠きが形成されている液体噴射装置が提供される。
【0007】
本発明によると、ドライバICが中継基板の第2接続部よりも第1接続部に近い位置に配置されているため、駆動によりドライバICが発生した熱は、配線基板よりも配線部材側に多く伝達される。さらに、貫通部又は切り欠きが、ドライバICと第2接続部とを結ぶ仮想線上に形成されているため、ドライバICにおいて発生した熱が、貫通部の周囲を迂回して伝わる間に中継基板上で逃がされる。これらのことから、ドライバICにおいて発生した熱が、配線基板を介して中継基板に接続されたアクチュエータに伝わりにくくなる。なお、「ドライバICと第2接続部とを結ぶ仮想線」とは、ドライバICのいずれかの部分と第2接続部のいずれかの部分とを結ぶことによって描き得る仮想線のうちいずれかの仮想線を指している。
【0008】
さらに、ドライバICが中継基板の第2接続部よりも第1接続部に近い位置に配置されているため、中継基板上において、制御基板に配線部材を介して接続される第1接続部とドライバICとの距離を短くして、電源ラインの配線長さを短くすることができる。また、ドライバICと第2接続部との間を接続し、駆動信号を送信する配線パターンを引き回すスペースが大きくなり、配線パターンの引き回しが容易となる。
【0009】
第2の発明に係る液体噴射装置は、第1の発明に係る液体噴射装置において、 前記中継基板は、その表面が前記アクチュエータと対向して配置され、前記中継基板の厚み方向に貫通した貫通孔又は切り欠きである引き出し部が形成されており、前記ドライバICは、前記中継基板の前記アクチュエータと反対側の一方の面に実装され、前記第2接続部は、前記中継基板の前記一方の面に配置されており、前記フレキシブル配線基板は、前記アクチュエータに接続されて、前記引き出し部を通って前記中継基板の前記一方の面に引き出されて前記第2接続部に接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によると、中継基板の、アクチュエータと反対側の、ドライバICが実装された一方の面に引き出し部を通して配線基板を接続することができる。そして、配線基板の基板長さを短くすることが可能となり、ドライバICからアクチュエータに送られる駆動信号の電圧降下を小さくすることができ、駆動信号の波形が劣化するのを抑制することができる。
【0011】
第3の発明に係る液体噴射装置は、第2の発明に係る液体噴射装置において、前記貫通部又は切り欠きは、前記引き出し部と同じ形状をしており、前記中継基板には、前記貫通部を介して前記一方の面に引き出され、且つ、前記アクチュエータとは接触していないダミー基板が接続されており、前記ダミー基板は、前記ドライバICと接続された配線パターンを有することを特徴とする。
【0012】
本発明によると、ドライバICにおいて発生した熱が、貫通部又は切り欠きを通して接続されたダミー基板を介して逃がされ、配線基板に伝わりにくくなる。このとき、ダミー基板がドライバICと配線パターンを介して接続されていることで放熱効率を高めることができる。また、ダミー基板はアクチュエータと接触していないため、ダミー基板に伝達された熱が、アクチュエータに伝わるのを防止することができる。
【0013】
第4の発明に係る液体噴射装置は、第3の発明に係る液体噴射装置において、前記ダミー基板には、ヒートシンクが実装されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によると、ダミー基板にヒートシンクを実装することで、中継基板にヒートシンクの実装スペースを確保する必要がなく、中継基板を小型化して、放熱効率を高めることができる。
【0015】
第5の発明に係る液体噴射装置は、第2〜第4のいずれかの発明に係る液体噴射装置において、前記中継基板には、前記ドライバICとの間で、前記貫通部又は切り欠きと、前記引き出し部の少なくとも一方を挟む位置に温度センサが実装されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によると、ドライバICにおいて発生した熱が、貫通部又は切り欠きと、引き出し部の少なくとも一方の周囲を迂回して伝わる間に中継基板上で逃がされることにより、温度センサに伝わりにくくなり、ドライバICの熱が温度センサの検出結果に与える影響を低減することができる。
【0017】
第6の発明に係る液体噴射装置は、第5の発明に係る液体噴射装置において、前記温度センサは、サーミスタであり、前記中継基板には、前記厚み方向に貫通し、前記液体噴射ヘッドに液体を供給するためのチューブと連通する、又は、前記チューブが挿通される供給孔と、前記一方の面において、前記第1接続部から引き出され、前記供給孔を取り囲んで、前記サーミスタの2つの端子のうち一方の端子が配置された位置まで引き回された配線パターンと、が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によると、液体噴射ヘッドに供給される液体の熱が、配線パターンを介してサーミスタに伝わりやすくなり、サーミスタにより検出される温度が、液体噴射ヘッドに供給される液体の温度に近い温度となる。したがって、サーミスタにより測定された温度に応じてドライバICから送信される駆動信号を補正するなどすれば、ドライバICから送信される駆動信号が、温度変化による液体の粘度変化に応じて補正されることとなり、温度変化によるノズルからの液体の噴射特性のばらつきを低減することができる。
【0019】
第7の発明の液体噴射装置は、第1の発明に係る液体噴射装置において、前記フレキシブル配線基板は、前記貫通部又は切り欠きを通って前記中継基板の前記第2接続部と前記アクチュエータとを接続することを特徴とする。
【0020】
本発明によると、わざわざ中継基板にドライバICから発生した熱を逃がす為だけの貫通部又は切り欠きを形成しなくてもよい為、構成を簡素化することができる。
【0021】
第8の発明の液体噴射装置は、第7の発明に係る液体噴射装置において、前記貫通部又は切り欠きは、前記ドライバICよりも前記第2接続部に近い位置に形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によると、中継基板は、ドライバICの近傍の剛性が低下していない為、ドライバICを実装し易い。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ドライバICにおいて発生した熱が、配線基板、及び、配線部材を介して中継基板に接臆されたアクチュエータに伝わりにくくなる。さらに、電源ラインの配線長さを短くすることができるとともに、駆動信号を送信する配線パターンの引き回しが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドの構造を示す分解斜視図である。
【図3】インクジェットヘッドのノズルが形成された部分及びその周辺部分を、ノズル列方向と直交する平面で切った断面図である。
【図4】中継基板の平面図である。
【図5】変形例1の図4相当の図である。
【図6】変形例2の図3相当の図である。
【図7】中継基板における貫通孔の変形例を示す図である。
【図8】変形例3の図4相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ1(液体噴射装置)は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、インクカートリッジ4、用紙搬送ローラ5などを備えている。
【0027】
キャリッジ2は、ガイドレール11に沿って、走査方向(図1の左右方向)に往復移動する。4つのインクジェットヘッド3(液体噴射ヘッド)は、キャリッジ2に搭載されており、走査方向に沿って配列されている。インクジェットヘッド3は、その下面に形成された複数のノズル20からインクを噴射する。より詳細には、4つのインクジェットヘッド3は、図1の左側に配置されているものから順に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインクを噴射する。各インクジェットヘッド3に形成された複数のノズル20は、それぞれ、走査方向と直交するノズル列方向(図1の上下方向)に配列されている。
【0028】
4つのインクカートリッジ4は、カートリッジ装着部12に装着されており、それぞれ、チューブ13、後述の供給孔42c、及び、後述のチューブ36を介して4つのインクジェットヘッド3に接続されている。カートリッジ装着部12に装着された4つのインクカートリッジ4は、走査方向に沿って配列されており、これら4つのインクカートリッジ4には、図1の左側に配置されているものから順に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインクが貯留されている。そして、4つのインクカートリッジ4から4つのインクジェットヘッド3に対応する色のインクがそれぞれ供給される。
【0029】
用紙搬送ローラ5は、図示しないモータなどによって駆動され、記録用紙Pをノズル列方向と平行な図1の下方に搬送する。
【0030】
そして、プリンタ1においては、用紙搬送ローラ5によりノズル列方向と平行に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3から上記4色のインクを噴射することにより、記録用紙Pに印刷を行う。
【0031】
次に、インクジェットヘッド3及びその周辺の構成について詳細に説明する。インクジェットヘッド3は、図2に示すように、ノズルプレート21、圧電プレート22及びカバープレート23を備えている。
【0032】
ノズルプレート21は、ノズル列方向に沿って複数のノズル20が形成された、合成樹脂材料などからなるプレートである。圧電プレート22は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなり、ノズルプレート21の上面に配置されている。
【0033】
圧電プレート22には、奇数である複数の溝22aが形成されている。複数の溝22aは、それぞれが、走査方向に関する一方側の端面において開口しているとともに上下方向に延びており、ノズル列方向に沿って配列されている。そして、これら複数の溝22aのうち、ノズル列方向に関して偶数番目に配置されている溝22aが圧力室30となっている。
【0034】
また、複数の溝22aは、ノズルプレート21と接合される圧電プレート22の下面まで延びてその下端が開口しており、これにより、各圧力室30は、対応するノズル20に連通している。さらに、圧電プレート22には、各圧力室30のノズル列方向に関する両側の壁となる壁部22bに、ノズル列方向から壁部22bをそれぞれ挟むように、複数の電極32が形成されている。複数の電極32には、それぞれ、ワイヤ33が接続されており、ワイヤ33は、インクジェットヘッド3の外部に引き出されている。
【0035】
カバープレート23は、溝22aの走査方向に関する一方側の開口を塞ぐように、圧電プレート22に接合されている。カバープレート23には、圧力室30のノズル20と反対側の端部と対向する部分にまたがってノズル列方向に延びた共通インク室34が形成されている。また、共通インク室34には、カバープレート23の圧電プレート22と反対側の面において開口したインク供給口35が設けられている。インク供給口35には、チューブ36が接続されている。チューブ36は、途中で折れ曲がって上方に延びている。
【0036】
ここで、インクジェットヘッド3を駆動してノズル20からインクを噴射させる方法について説明する。インクジェットヘッド3においては、全ての電極32が、後述するドライバIC45により予めグランド電位に保持されている。そして、あるノズル20からインクを噴射させる際には、当該ノズル20に対応する圧力室30の両側の壁部22bに形成された2対の電極32のそれぞれにおいて、ドライバIC45により一方の電極32の電位を正電位にする。これにより、上記2対の電極32間にそれぞれ電位差が生じ、これらの電極32に挟まれた壁部22bに、ノズル列方向の電界が発生する。
【0037】
ここで、各壁部22bは、予め走査方向に分極されており、上記電界の向きがこの分極の向きと直交するため、圧電厚み滑り効果により、壁部22bが圧力室30側に凸となるように変形して圧力室30の容積が低下する。これにより、圧力室30内のインクの圧力が増加し、圧力室30に連通するノズル20からインクが噴射される。なお、本実施形態では、圧力室30内のインクに圧力を付与してノズル20からインクを噴射させるための、圧電プレート22の壁部22b及び電極32を合わせたものが、本発明に係るアクチュエータに相当する。
【0038】
また、以上のような構成を有するインクジェットヘッド3は、図3に示すように、キャリッジ2に設けられた取り付け部材41に取り付けられている。
【0039】
また、上記4つのインクジェットヘッド3は、FPC(フレキシブル配線基板)43(配線基板)を介して、これら4つのインクジェットヘッド3の上方に配置された中継基板42に接続されている。
【0040】
より詳細に説明すると、FPC43は、その下端部が、圧電プレート22のカバープレート23と反対側(図3の右側)の面に接合されており、電極32から引き出されたワイヤ33が、FPC43に形成された配線43aに接続されている。また、FPC43は、圧電プレート22との接続部分から上方に延びている。
【0041】
中継基板42は、図3、図4に示すように、4つの引き出し孔42a、貫通孔42b及び供給孔42cが形成された略矩形の平面形状を有する基板である。中継基板42は、4つのインクジェットヘッド3の上方に配置されることにより、その表面がインクジェットヘッド3と対向して配置されている。また、中継基板42は、コネクタ44a〜44c、ドライバIC45、サーミスタ46、配線47a〜47eなどを備えている。
【0042】
4つの引き出し孔42a(引き出し部)は、中継基板42の平面視で4つのインクジェットヘッド3と重なる部分にそれぞれ形成されており、中継基板42をその厚み方向に貫通する、ノズル列方向を長手方向とする略矩形の貫通孔である。そして、4つのインクジェットヘッド3との接続部分から上方に延びた4つのFPC43は、それぞれ、引き出し孔42aを通って、中継基板42の上方まで引き出されている。また、中継基板42の上面(アクチュエータと反対側の一方の面)の、図3における引き出し孔42aのすぐ左側の部分には、コネクタ44a(第2接続部)が設けられており、FPC43の上端部がコネクタ44aに接続されている。
【0043】
貫通孔42b(貫通部)は、引き出し孔42aと同じ略矩形の貫通孔である。中継基板42の、図3における最も左側の引き出し孔42aのさらに左側の部分に形成されており、4つの引き出し孔42aと走査方向に並んでいる。また、中継基板42の上面の、図3における貫通孔42bのすぐ左側の部分には、コネクタ44bが設けられており、コネクタ44bには、表面に配線51aが形成された、ダミーFPC51(ダミー基板)の上端部が接続されている。ダミーFPC51は、FPC43と同様のフレキシブルな基板であり、貫通孔42bを通って、中継基板42の下方に垂れ下がっている。言い換えれば、ダミーFPC51は、貫通孔42bを通って中継基板42の上面に引き出されている。また、ダミーFPC51は、インクジェットヘッド3には接触していない。さらに、ダミーFPC51の表面には、ヒートシンク52が設けられている。また、ダミーFPC51の配線51a(配線パターン)には、配線の表面積を広げて効率的に放熱するために、複数のハンダボールが形成されている。なお、ダミーFPC51の配線51aの表面積を広げるための構造物は、ハンダボールには限られず、例えば金属球であってもよい。
【0044】
供給孔42cは、隣接する引き出し孔42aの間、及び、図4における最も左側の引き出し孔42aと貫通孔42bとの間にそれぞれ設けられた、チューブ13、36の内径とほぼ同じ径の略円形の貫通孔である。そして、インクカートリッジ4に接続されたチューブ13のインクカートリッジ4と反対側の端部が、上方から供給孔42cに接続されているとともに、インク供給口35との接続部分から上方に延びたチューブ36のインク供給口35と反対側の端部が、下方から供給孔42cに接続されている。これにより、インクカートリッジ4のインクが、チューブ13、供給孔42c及びチューブ36を介して、インク供給口35からインクジェットヘッド3に供給される。
【0045】
このとき、チューブ13とチューブ36を別個のチューブとしているため、インクジェットヘッド3や中継基板42などをキャリッジ2に配置する前に、チューブ36の両端部を、それぞれ、インク供給口35及び供給孔42cに接続し、インクジェットヘッド3や中継基板42などをキャリッジ2に配置した後に、チューブ13の両端部をそれぞれ、インクカートリッジ4及び供給孔42cに接続すれば、チューブ13、36の接続を簡単に行うことができる。
【0046】
ドライバIC45は、図4における中継基板42の左下端部に設けられており、例えば、ハンダボールを介して、中継基板42に接合されている。コネクタ44c(第1接続部)は、中継基板42の上面の、図4における左上端部に配置されている。そして、ドライバIC45とコネクタ44cとは、複数の配線47cを介して互いに接続されている。
【0047】
そして、ドライバIC45及びコネクタ44cがこのように配置されていることにより、ドライバIC45は、コネクタ44bよりもコネクタ44cに近い位置に配置されている。また、ドライバIC45がこのように配置されていることにより、貫通孔42bは、ドライバIC45と4つのコネクタ44aとをそれぞれ結ぶ仮想線上に位置している。ここで、ドライバIC45と4つのコネクタ44aとをそれぞれ結ぶ仮想線とは、ドライバIC45のいずれかの部分と各コネクタ44aのいずれかの部分とを結ぶことによって描き得る仮想線のうちのいずれかの仮想線を意味する。図4では、仮想線の一例として、仮想線L1a〜L1dを図示している。
【0048】
また、ドライバIC45は、複数の配線47aをそれぞれ介して、4つのコネクタ44aと接続されているとともに、複数の配線47bを介して、コネクタ44bと接続されている。一方、コネクタ44cには、FFC(フレキシブルフラットケーブル)53(配線部材)を介して、制御基板54が接続されている。FFC53の配線や配線47cには、インクジェットヘッド3の動作を制御するための制御信号が送られる配線や、電源ラインとなる配線などが含まれており、制御基板54は、FFC53及び配線47cを介して、ドライバIC45に、インクジェットヘッド3の動作を制御するための制御信号の伝送や、駆動電力の供給を行う。
【0049】
そして、ドライバIC45は、制御基板54から送られてきた制御信号に基づいてインクジェットヘッド3を駆動するための駆動信号を生成し、生成した駆動信号を、配線47a、コネクタ44a及びFPC43の配線43aを介して、インクジェットヘッド3(電極32)に送ることによって、インクジェットヘッド3を駆動する。ここで、ドライバIC45から電極32へは、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)により駆動信号が送られる。これにより、配線47aの数を少なくすることができる。
【0050】
サーミスタ46は、中継基板42の上面の、図4における右上端部に実装されている。これにより、上述のドライバIC45とサーミスタ46とは、略矩形の中継基板42の対角に位置する部分に配置されており、これらの間に、上述の4つの引き出し孔42a及び貫通孔42bが配置されている。サーミスタ46は、2つの端子46a、46bを有しており、温度変化に応じて、端子46a、46b間の抵抗値が大きく変動する素子である。すなわち、2つの端子46a、46b間の電圧は、サーミスタ46の温度に対応した電圧となる。
【0051】
2つの端子46a、46bは、それぞれ、中継基板42の上面に形成された配線47d、47eを介してコネクタ44cに接続されており、これにより、FFC53を介して、制御基板54に接続されている。制御基板54は、端子46a、46b間の電圧から、サーミスタ46の温度を検出し、検出した温度に基づいて、ドライバIC45に送る制御信号を補正する。
【0052】
配線47d、47eは、コネクタ44cから引き出されており、コネクタ44cとの接続部分から、端子46a、46bに向かって図3の右方に延びている。ただし、配線47dが端子46aに向かってほぼ一直線に延びているのに対して、配線47e(配線パターン)は、4つの引き出し孔42aの間、及び、図3における最も左側の引き出し孔42aと貫通孔42bとの間においてそれぞれ折れ曲がり、供給孔42cの周囲を取り囲むように引き回されている。これにより、供給孔42cを流れるインクの熱が、配線47eを介してサーミスタ46に伝わりやすくなる。
【0053】
以上に説明した本実施形態によると、ドライバIC45が、コネクタ44aよりもコネクタ44cに近い位置に配置されているため、ドライバIC45において発生した熱は、FPC43よりもFFC53側に多く伝わる。また、中継基板42に貫通孔42bが形成されているため、ドライバIC45において発生した熱は、貫通孔42bの周囲を迂回して伝わる間に中継基板42上で逃がされ、FPC43やインクジェットヘッド3に伝わりにくくなる。これらにより、ドライバIC45の熱が、インクジェットヘッド3におけるノズル20からのインクの噴射量に与える影響を小さくすることができる。
【0054】
さらに、ドライバIC45において発生した熱が、貫通孔42bから下方に垂れ下がったダミーFPC51に伝わり、ダミーFPC51から逃がされるため、FPC43やインクジェットヘッド3にさらに熱が伝わりにくくなる。また、ダミーFPC51の配線51aとドライバIC45とが、配線47bを介して接続されているため、ドライバIC45からダミーFPC51に熱が伝わりやすく、ダミーFPC51における放熱効率を高くすることができる。また、ダミーFPC51は、インクジェットヘッド3と接触していないため、ダミーFPC51に伝わった熱が、インクジェットヘッド3に伝わるのを防止することができる。
【0055】
加えて、このとき、ダミーFPC51にヒートシンク52が実装されているため、ダミーFPC51における放熱効率がさらに高くることができるとともに、中継基板42にヒートシンク52を実装するためのスペースを設ける必要がない。したがって、中継基板42を小型化しつつ、ドライバIC45において発生した熱を効率よく逃がすことができる。
【0056】
また、本実施形態では、ドライバIC45がハンダボールを介して中継基板42に固定されているとともに、ダミーFPC51の配線51aに複数のハンダボールが形成されているため、ドライバIC45において発生した熱は、これらのハンダボールの表面からも逃がされることとなり、放熱効率がさらに高くなる。なお、ハンダボールが形成されることによる放熱効率の上昇はそれほど大きなものではないため、ドライバIC45は、ハンダボールを介さず、直接中継基板42に固定されていてもよいし、配線51aにハンダボールが形成されていなくてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、4つのインクジェットヘッド3から互いに異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のインクが噴射されるが、これら4色のインクのうち、色の濃いブラックのインクは、ブラックのインクに比べて色の薄いカラーのインクよりも温度変化による色の変化が大きい。また、カラーのインクの中では、色の最も薄いイエローのインクが、温度変化による色の変化が最も小さい。
【0058】
このため、本実施形態では、4つのインクジェットヘッド3は、図1の左側から配置されているものから順に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインクを噴射し、4つのインクジェットヘッド3のうち、イエローのインクを噴射するインクジェットヘッド3がドライバIC45から最も近い位置に配置されるとともに、ブラックのインクを噴射するインクジェットヘッド3がドライバIC45から最も遠い位置に配置されている。
【0059】
したがって、4つのインクジェットヘッド3のうち、温度変化により色が最も大きく変化するブラックのインクを噴射するインクジェットヘッド3は、ドライバIC45において発生した熱により温度変化しにくく、ドライバIC45において発生する熱による印刷品質の低下を抑えることができる。
【0060】
また、本実施形態では、ドライバIC45とサーミスタ46との間に、上述の4つの引き出し孔42a及び貫通孔42bが配置されているため、ドライバIC45において発生した熱は、引き出し孔42aや貫通孔42bを迂回してサーミスタ46に伝わる間に逃がされ、サーミスタ46には伝わりにくい。したがって、サーミスタ46の抵抗値が、ドライバIC45において発生した熱の影響によって変動しにくくなる。
【0061】
さらに、サーミスタ46とコネクタ44cとを接続する配線47eが、供給孔42cの周囲を通るように引き回されているため、供給孔42cを流れるインクの熱は、配線47eを介してサーミスタ46まで伝わりやすい。したがって、サーミスタ46の抵抗値は、インクの温度に対応する抵抗値に近いものとなる。すなわち、端子46a、46b間の電圧は、インクの温度に対応した電圧に近いものとなる。これにより、制御基板54において、端子46a、46b間の電圧から検出されるサーミスタ46の温度は、実際のインクの温度に近い温度となる。制御基板54からドライバIC45に送られる制御信号は、端子46a、46b間の電圧から検出されるサーミスタ46の温度に応じて補正されるため、温度によって変化するインクの粘度に応じて補正される。これにより、温度変化によるノズル20からのインクの噴射特性のばらつきが低減され、印刷品質を高くすることができる。
【0062】
また、上述したように、4つのインクジェットヘッド3のうち、ブラックのインクを噴射するインクジェットヘッド3をドライバIC45から最も遠い位置に配置した場合、ブラックのインクを噴射するインクジェットヘッド3は、サーミスタ46に最も近い位置に配置されることとなる。したがって、サーミスタ46の抵抗値は、ブラックのインクの温度に対応する抵抗値に近いものとなる。すなわち、端子46a、46b間の電圧は、ブラックインクの温度に対応した電圧に近いものとなる。これにより、制御基板54において、端子46a、46b間の電圧から検出される温度はブラックのインクの温度に近いものとなり、制御基板54からドライバIC45に送られる制御信号は、温度によって変化するブラックのインクの粘度に応じて補正される。したがって、温度変化により色が最も大きく変化するブラックのインクについては、温度変化によるノズル20から噴射特性のばらつきが特に効果的に低減され、印刷品質を高くすることができる。
【0063】
また、本実施形態では、中継基板42上において、制御基板54に接続されるコネクタ44cと、ドライバIC45との距離が短くなるため、これらを接続する電源ラインの配線を含む配線47cの長さを短くすることができる。一方で、ドライバIC45とコネクタ44aとの距離が長くなるため、ドライバIC45とコネクタ44aとの間を接続する配線47aを引き回すスペースが大きくなり、配線47aの引き回しが容易となる。
【0064】
また、FPC43を、引き出し孔42aを通して中継基板42の上面(中継基板42のアクチュエータと反対側)に引き出して、中継基板42の上面に設けられたコネクタ44aに接続することができるため、FPC43を中継基板42の側面を回り込ませて中継基板42の上面に引き出した場合に比べて、FPC43の長さを短くすることができる。したがって、ドライバIC45からインクジェットヘッド3に送られる駆動信号の電圧降下を小さくすることができ、駆動信号の波形の劣化を抑制することができる。
【0065】
次に、本実施形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施形態と同様の構成については、適宜その説明を省略する。
【0066】
本実施形態では、サーミスタ46とコネクタ44cとを接続する配線47eが、途中で折れ曲がって、供給孔42cの周囲を取り囲むように引き回されていたが、配線47eは、配線47dと同様、コネクタ44cとの接続部分から端子46bに向かって一直線に延びていてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、サーミスタ46が、ドライバIC45との間で、4つの引き出し孔42a及び貫通孔42bの全てを挟むような位置に配置されていたが、これには限られない。サーミスタ46の位置は、4つの引き出し孔42a及び貫通孔42bのうち少なくとも1つをドライバIC45との間で挟むような範囲で適宜変更可能である。
【0068】
また、本実施形態では、温度センサとしてサーミスタ46が設けられていたが、例えば、熱電対、半導体温度センサなど、サーミスタ以外の温度センサが設けられていてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、ダミーFPC51が貫通孔42bから下方に垂れ下がるように設けられており、さらに、ダミーFPC51の表面にヒートシンク52が設けられていたが、これには限られない。
【0070】
例えば、中継基板42にスペースの余裕がある場合には、ヒートシンク52は、ダミーFPC51に加えて中継基板42の表面に接触していてもよい。この場合には、中継基板42における放熱効率をさらに高くすることができる。あるいは、ダミーFPC51の表面にはヒートシンク52が設けられていなくてもよい。
【0071】
また、貫通孔42bであることにも限られず、例えば、図7に示すように、貫通孔42bの代わりに、中継基板42をその厚み方向に貫通し、且つ、中継基板42の側面において開口した切り欠き42b´が形成されていてもよい。さらに、切り欠き42b´は、中継基板42の側面に開口する切り欠きに限られず、例えば、中継基板42の上面(コネクタ44aが配置されている側の面)に開口する溝状の切り欠きであってもよい。また、貫通孔42bから下方に垂れ下がったダミーFPC51や、ダミーFPC51を接続するためのコネクタ44bは設けられていなくてもよい。このとき、貫通孔42bの形状は引き出し孔42aと異なっていてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、中継基板42に引き出し孔42aが形成されており、インクジェットヘッド3との接続部分から上方に延びたFPC43が、引き出し孔42aから、中継基板42の上面に引き出されていたが、これには限られない。
【0073】
例えば、引き出し孔42aの代わりに、中継基板42をその厚み方向に貫通するとともに、中継基板42の側面において開口した切り欠き(引き出し部)が形成されており、FPC43が、この切り欠きを通して、中継基板42の上面に引き出されていてもよい。
【0074】
さらには、中継基板42に貫通孔42bが形成されていれば、中継基板42にFPC43を引き出すための引き出し部が形成されていることにも限られない。例えば、FPC43が、中継基板42の側面を回り込むように延びて、中継基板42の上面に引き出されていてもよい。あるいは、ドライバIC45やコネクタ44a〜44cなどが中継基板42の下面に配置されており、FPC43が中継基板42の下面においてコネクタ44aと接続されていてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、ドライバIC45及びコネクタ44cが、それぞれ、中継基板42の図4における左下端部及び左上端部に配置されており、貫通孔42bが4つの貫通孔42aと走査方向に並ぶように配置されていたが、これには限られない。一変形例(変形例1)では、図5に示すように、ドライバIC45が、中継基板42の、走査方向に関する略中央部で、且つ、4つの引き出し孔42aの図5における下側に配置されている。
【0076】
また、コネクタ44cが、ドライバIC45の図5におけるすぐ下側に設けられており、これにより、ドライバIC45は、コネクタ44aよりもコネクタ44cに近い位置に配置される。また、ノズル列方向に関してコネクタ44aとドライバIC45との間に位置する領域に、2つの貫通孔42bが設けられており、2つの貫通孔42bに対して、それぞれ、コネクタ44b及びダミーFPC51が設けられている。ここで、貫通孔42b及びコネクタ44bは、上述の実施の形態と同様のものであるが、その向きが上述の実施の形態と異なっており、走査方向が長手方向となるような向きに配置されている。
【0077】
そして、これにより、2つの貫通孔42bのうち図5における右側の貫通孔42bは、ドライバIC45と、4つのコネクタ44aのうち図5における右側の2つのコネクタ44aとをそれぞれ結ぶ仮想線上に位置している。また、2つの貫通孔42bのうち図5における左側の貫通孔42bは、ドライバIC45と、4つのコネクタ44aのうち図5における左側の2つのコネクタ44aとをそれぞれ結ぶ仮想線上に位置している。ここで、ドライバIC45とコネクタ44aとをそれぞれ結ぶ仮想線とは、ドライバIC45のいずれかの部分と各コネクタ44aのいずれかの部分とを結ぶことによって描き得る仮想的な線のうちいずれかの仮想線を意味する。図5では、仮想線の一例として、仮想線L2a〜L2dを図示している。
【0078】
また、ドライバIC45及びコネクタ44b、44cの位置に合わせて、配線47a〜47eの引き回し方を適宜変更している。
【0079】
本実施形態の場合、例えば、ドライバIC45と、4つのコネクタ44aのうちドライバIC45から最も離れたコネクタ44a(図4の最も右側のコネクタ)とを接続する配線47aの長さと、ドライバIC45と、4つのコネクタ44aのうちドライバIC45に最も近いコネクタ44a(図4の最も左側のコネクタ)とを接続する配線47aの長さとの差が大きくなっている。このように、ドライバIC45と4つのコネクタ44aとを接続する配線47aの長さのばらつきが大きくなっている。そのため、ドライバIC45からインクジェットヘッド3に駆動信号を高速で送る場合に、インクジェットヘッド3の間で、印刷信号が電極32に到達するタイミングに大きなばらつきが生じ、印刷品質に影響を与える虞がある。
【0080】
これに対して、変形例1では、本実施形態の場合に比べて、ドライバIC45と4つのコネクタ44aとを接続する配線47aの長さのばらつきが小さくなる。したがって、上述したような、電極32への印刷信号の到達のタイミングのばらつきを抑えることができる。
【0081】
さらに、ドライバIC45、コネクタ44c、貫通孔42bの位置は、以上に説明したものには限られない。ドライバIC45及びコネクタ44cの位置を、ドライバIC45がコネクタ44aよりもコネクタ44cに近い位置に配置される範囲で適宜変更してもよい。また、貫通孔42bの位置を、ドライバIC45とコネクタ44aとを結ぶ仮想線上、すなわち、ドライバIC45のいずれかの部分とコネクタ44aのいずれかの部分とを結ぶことによって描き得る仮想的な線のうちいずれかの仮想的な線上に位置する範囲で適宜変更してもよい。本実施形態では、貫通孔42bは、ドライバIC45に最も近い位置に配置されているコネクタ44a(図4において右から四番目のコネクタ44a)とドライバIC45との間に形成されていたが、例えば、貫通孔42bはドライバICに最も近いコネクタ44aと二番目に近いコネクタ44aとの間(図4において右から四番目のコネクタ44aと右から三番目のコネクタ44aとの間)に形成されていてもよい。あるいは、貫通孔42bは、ドライバICに二番目に近いコネクタ44aと三番目に近いコネクタ44aとの間(図4において右から三番目のコネクタ44aと右からニ番目のコネクタ44aとの間)に形成されてもよく、ドライバICに三番目に近いコネクタ44aと四番目に近いコネクタ44aとの間(図4において右からニ番目のコネクタ44aと右から一番目のコネクタ44aとの間)に形成されてもよい。これらの場合でも、ドライバIC45に対して貫通孔42bよりも遠い位置に配置されているコネクタ44aには、ドライバIC45で発生した熱が伝わりにくくなる。このため、例えば、ドライバIC45に対して貫通孔42bよりも遠い位置に配置されているコネクタ44aには、FPC43を介して、熱の影響を受けやすいインクを吐出するインクジェットヘッド3を接続し、ドライバIC45に対して貫通孔42bよりも近い位置に配置されているコネクタ44aには、FPC43を介して、熱の影響を受けにくいインクを吐出するインクジェットヘッド3を接続することができる。
【0082】
また、本実施形態では、インクカートリッジ4に接続されるチューブ13と、インク供給口35に接続されるチューブ36とを別個のチューブとし、チューブ13、36をそれぞれ供給孔42cに接続していたが、これには限られない。別の一変形例(変形例2)では、図6に示すように、チューブ13、36の代わりに、供給孔42cに挿通された1本のチューブ61が設けられている。そして、チューブ61の両端部が、それぞれ、インクカートリッジ4(図1参照)及びインク供給口35に接続されている。
【0083】
この場合には、インクカートリッジ4に接続されるチューブと、インク供給口35に接続されるチューブとを別個に設ける必要がないので、部品点数を減らすことができる。
【0084】
また、本実施形態では、各引き出し孔42aは、ドライバIC45に対して各コネクタ44aよりも遠い側(図4における右側)に形成されていたが、図8に示すように、各引き出し孔42a´は、ドライバIC45に対して各コネクタ44aよりも近い側(図8における左側)に形成されていてもよい(変形例3)。このとき、各配線47aは、ドライバIC45に対して各コネクタ44aよりも遠い側(図8における右側)から各コネクタ44aに接続すればよい。この場合でも、ドライバIC45と各コネクタ44aを結ぶ仮想線L1a〜L1d上に各引き出し孔42a´が形成されているため、本実施形態と同様に放熱効果を得ることができる。なお、この場合、各引き出し孔42a´により放熱効果が得られるので、貫通孔42bや、貫通孔42bから下方に垂れ下がったダミーFPC51や、ダミーFPC51を接続するためのコネクタ44bは設けられていなくてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、圧電厚み滑り効果により、壁部22bを変形させることにより、圧力室30内のインクの圧力を増加させて、ノズル20からインクを噴射させるインクジェットヘッド3を備えたインクジェットプリンタに本発明を適用したが、これには限られず、圧電縦効果や圧電横効果など、圧電素子の他の作用により圧力室内のインクに圧力を付与してノズルからインクを噴射させるインクジェットヘッドや、圧電素子を用いないアクチュエータによりノズルからインクを噴射させるインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタに本発明を適用することも可能である。また、本実施形態では、プリンタが4つのインクジェットヘッド3を備えていたが、インクジェットヘッドの数は4つであることには限られない。
【0086】
また、以上では、ノズルからインクを噴射することによって印刷を行うインクジェットプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られず、インクジェットプリンタ以外の液体噴射装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
3 インクジェットヘッド
13 チューブ
20 ノズル
22 圧電プレート
32 電極
36 チューブ
42 中継基板
42a 引き出し孔
42b 貫通孔
42c 供給孔
43 FPC
44a〜44c コネクタ
45 ドライバIC
46 サーミスタ
46a、46b 端子
47a〜47e 配線
51 ダミーFPC
51a 配線
52 ヒートシンク
53 FFC
54 制御基板
61 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する液体噴射装置であって、
前記液体を噴射するノズルと、前記ノズルから液体を噴射させるためのアクチュエータと、を備えた液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドに設けられ、且つ、ドライバICが実装された中継基板と、
前記液体噴射ヘッドを制御する制御基板と、
前記中継基板と前記制御基板とを接続する配線部材と、
前記中継基板と前記アクチュエータとを接続する、フレキシブル配線基板と、を備え、
前記中継基板は前記配線部材が接続される第1接続部と前記フレキシブル配線基板が接続される第2接続部とを有し、
前記ドライバICは、前記中継基板の前記第2接続部よりも前記第1接続部に近い位置に配置されており、
前記中継基板には、前記ドライバICと前記第2接続部とを結ぶ仮想線上に、前記中継基板の厚み方向に貫通した貫通部又は切り欠きが形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記中継基板は、その表面が前記アクチュエータと対向して配置され、前記中継基板の厚み方向に貫通した貫通孔又は切り欠きである引き出し部が形成されており、
前記ドライバICは、前記中継基板の前記アクチュエータと反対側の一方の面に実装され、
前記第2接続部は、前記中継基板の前記一方の面に配置されており、
前記フレキシブル配線基板は、前記アクチュエータに接続されて、前記引き出し部を通って前記中継基板の前記一方の面に引き出されて前記第2接続部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記貫通部又は切り欠きは、前記引き出し部と同じ形状をしており、
前記中継基板には、前記貫通部を介して前記一方の面に引き出され、且つ、前記アクチュエータとは接触していないダミー基板が接続されており、
前記ダミー基板は、前記ドライバICと接続された配線パターンを有することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記ダミー基板には、ヒートシンクが実装されていることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記中継基板には、前記ドライバICとの間で、前記貫通部又は切り欠きと、前記引き出し部の少なくとも一方を挟む位置に温度センサが実装されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記温度センサは、サーミスタであり、
前記中継基板には、
前記厚み方向に貫通し、前記液体噴射ヘッドに液体を供給するためのチューブと連通する、又は、前記チューブが挿通される供給孔と、
前記一方の面において、前記第1接続部から引き出され、前記供給孔を取り囲んで、前記サーミスタの2つの端子のうち一方の端子が配置された位置まで引き回された配線パターンと、が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記フレキシブル配線基板は、前記貫通部又は切り欠きを通って前記中継基板の前記第2接続部と前記アクチュエータとを接続することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記貫通部又は切り欠きは、前記ドライバICよりも前記第2接続部に近い位置に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−82197(P2013−82197A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−61614(P2012−61614)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】