説明

液体塗布方法、液体塗布装置、および照明装置の製造方法

【課題】低沸点・低粘度の塗布液を被塗布部材の被塗布領域に対して正確に塗布する。
【解決手段】塗布液を貯蔵するタンク51と、分割部材(被塗布部材)30aに塗布液を塗布する塗布部材56と、タンク51から塗布部材56への塗布液の供給路を開閉するバルブ55とを備え、塗布部材56を分割部材30aから離間させた状態で供給路を開状態とすることでタンク51から塗布部材56に塗布液を供給して塗布部材56に含浸させ、上記供給路を閉状態とすることで塗布部材への塗布液の供給を停止し、塗布液の供給を停止した後、塗布部材56と分割部材30aとを当接させて塗布部材56に含浸している塗布液の一部を分割部材30aに塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗布部材に対して液体を塗布する液体塗布方法、液体塗布装置、および上記液体塗布方法を用いた照明装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を被塗布部材に塗布するための液体塗布装置として、上記液体を貯蔵する容器内の圧力を負圧に保ち、容器内の圧力(負圧)と液体の自重とのバランスによって容器からの液体の吐出量を制御する液体塗布装置が知られている。
【0003】
また、容器と被塗布部材に対して液体を吐出する吐出部との間にバルブを設け、このバルブの開閉を制御することにより被塗布部材に対する上記液体の塗布量を制御する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−122858号公報(平成2年5月10日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、被塗布部材に塗布する液体が低沸点・低粘度である場合に、以下に示す(1),(2)の理由から、塗布量を適切に制御することが困難であるという問題がある。
(1)被塗布部材に塗布する液体が低沸点である場合、容器内における液体の蒸発のために容器内の圧力を適切に制御することが困難であり、容器から吐出される液体の量を精密に制御することができない。
(2)被塗布部材に塗布する液体が低粘度である場合、バルブの開閉によって塗布量を制御する構成では、バルブを開いた時に液体が多量に吐出されてしまうため、塗布量を適切に制御することが困難である。
【0006】
なお、被塗布部材に塗布する液体が低沸点である場合、容器内における液体の溶媒が蒸発するため、当該液体の濃度を適切に管理することが困難であるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、低沸点・低粘度の塗布液を被塗布部材の被塗布領域に対して正確に塗布することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体塗布方法は、液体塗布装置を用いて被塗布部材における被塗布領域に塗布液を塗布する液体塗布方法であって、上記液体塗布装置は、上記塗布液を貯蔵する貯蔵部と、上記被塗布領域に当接して上記塗布液を上記被塗布領域に塗布する塗布部材と、上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給するための供給路と、上記供給路を開状態と閉状態とに切り替えるバルブとを備えており、上記塗布部材を上記被塗布部材から離間させた状態で上記バルブにより上記供給路を開状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給し、上記塗布液を上記塗布部材に含浸させる補給工程と、上記補給工程の後、上記バルブにより上記供給路を閉状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材への上記塗布液の供給を遮断する補給停止工程と、上記補給停止工程の後、上記塗布部材と上記被塗布部材の上記被塗布領域とを当接させて上記塗布部材に含浸している上記塗布液の一部を上記被塗布領域に塗布する塗布工程とを含むことを特徴としている。
【0009】
上記の方法によれば、上記補給工程におけるバルブの開閉タイミングを制御することにより、例えば塗布液の粘度が比較的低い場合であっても、塗布部材に供給する塗布液の量を正確に制御することができる。また、上記の方法によれば、塗布部材による塗布液の保持力は、塗布液の沸点の影響をほとんど受けず、また塗布液の粘度が低い場合であっても安定している。このため、塗布部材から被塗布部材への塗布液の塗布量は、塗布部材に含浸して保持されている塗布液の量と、塗布部材と被塗布部材との当接状態(押し当て量)と、塗布部材と被塗布部材における被塗布領域との当接時間とに応じて決まる。したがって、上記の方法によれば、塗布部材と被塗布部材との当接状態と、塗布部材と被塗布部材における塗布領域との当接時間と、および塗布部材に対する塗布液の供給量を調整することにより、塗布液が低沸点・低粘度の場合であっても、被塗布領域に対して適切な量の塗布液を正確に塗布し、被塗布領域の外部に塗布液が塗布されてしまうことを防止することができる。
【0010】
また、上記液体塗布装置は、上記被塗布部材と上記塗布部材との相対位置を変化させるように上記被塗布部材および上記塗布部材の少なくとも一方を移動させる搬送部を備えており、上記塗布工程では、上記被塗布部材における上記被塗布領域を有する平面に対する上記塗布部材の配置位置の相対高さが上記移動中に一定となり、かつ上記被塗布領域の各部と上記塗布部材との当接時間が当該各部に対して目標塗布量の上記塗布液を塗布することのできる当接時間になるように上記搬送部の動作を制御する構成としてもよい。
【0011】
上記の方法によれば、被塗布領域の各部に対する塗布液の塗布量を、容易かつ適切に制御することができる。
【0012】
また、上記被塗布部材は複数の分割部材を互いに隣接するように配置したものであり、上記塗布工程よりも前に、上記分割部材における他の分割部材との対向面に上記塗布液に対する撥液性を有する材料を塗布または貼付する撥液処理工程を行うようにしてもよい。
【0013】
上記の方法によれば、分割部材同士の隣接部の近傍に塗布した塗布液が毛管現象等によって分割部材同士の間隙に吸い込まれることを防止できる。
【0014】
本発明の液体塗布装置は、被塗布部材における被塗布領域に塗布液を塗布するための液体塗布装置であって、上記塗布液を貯蔵する貯蔵部と、上記被塗布領域に当接して上記塗布液を上記被塗布領域に塗布する塗布部材と、上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給するための供給路と、上記供給路を開状態と閉状態とに切り替えるバルブと、上記被塗布部材と上記塗布部材との相対位置を変化させるように上記被塗布部材および上記塗布部材の少なくとも一方を移動させる搬送部と、上記バルブおよび上記搬送部の動作を制御する制御部とを備え、上記制御部は、上記塗布部材を上記被塗布部材から離間させた状態で上記バルブにより上記供給路を開状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給させ、上記塗布液を上記塗布部材に含浸させる補給処理と、上記補給処理の後、上記バルブにより上記供給路を閉状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材への上記塗布液の供給を遮断する補給停止処理と、上記補給停止処理の後、上記塗布部材と上記被塗布部材の上記被塗布領域とを当接させて上記塗布部材に含浸している上記塗布液の一部を上記被塗布領域に塗布させる塗布処理とを行うように上記バルブおよび上記搬送部の動作を制御することを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、上記補給処理におけるバルブの開閉タイミングを制御することにより、例えば塗布液の粘度が比較的低い場合であっても、塗布部材に供給する塗布液の量を正確に制御することができる。また、上記の構成によれば、塗布部材による塗布液の保持力は、塗布液の沸点の影響をほとんど受けず、また塗布液の粘度が低い場合であっても安定している。このため、塗布部材から被塗布部材への塗布液の塗布量は、塗布部材に含浸して保持されている塗布液の量と、塗布部材と被塗布部材との当接状態(押し当て量)と、塗布部材と被塗布部材における被塗布領域との当接時間とに応じて決まる。したがって、上記の構成によれば、塗布部材と被塗布部材との当接状態と、塗布部材と被塗布部材における塗布領域との当接時間と、および塗布部材に対する塗布液の供給量を調整することにより、塗布液が低沸点・低粘度の場合であっても、被塗布領域に対して適切な量の塗布液を正確に塗布し、被塗布領域の外部に塗布液が塗布されてしまうことを防止することができる。
【0016】
また、本発明の照明装置の製造方法は、指向性を有する光を出射する光源を有する光源ユニットと、上記光源ユニットから入射する光を面内方向に伝播させる平板状の導光板とを備え、上記導光板の平板面のうちの一方の面である平板表面から出射される光を用いて照明を行う照明装置の製造方法であって、上記光源ユニットは、上記光源から出射された光を上記導光板に入射させるための光結合部材を備え、かつ上記導光板の平板面のうちの他方の面である平板裏面側に配置されており、上記光結合部材は、上記光源から出射された光を、当該光が上記導光板の平板裏面側から入射し、上記導光板における平板表面において全反射して上記導光板内を上記面内方向に伝播するように上記導光板に入射させるものであり、上記光結合部材と上記導光板とを接着させる接着工程を含み、上記接着工程は、上記光結合部材における上記導光板との対向領域、および上記導光板における上記光結合部材との対向領域のうちの少なくとも一方に、上記したいずれかの液体塗布方法を用いて赤外線吸収材を含有する塗布液を塗布する塗布工程と、上記光結合部材と上記導光板とを上記赤外線吸収材を介して当接させる工程と、上記光結合部材と上記導光板とを上記赤外線吸収材を介して当接させた状態で上記赤外線吸収材に赤外線を照射し、上記赤外線吸収材に赤外線を吸収させて発熱させることにより、上記光結合部材および上記導光板の少なくとも一方の表面を溶融させて上記光結合部材と上記導光板とを接着させる工程とを含むことを特徴としている。
【0017】
上記の方法によれば、上記光結合部材における上記導光板との対向領域、および上記導光板における上記光結合部材との対向領域のうちの少なくとも一方に対して塗布液を正確に塗布することができる。したがって、上記対向領域以外の領域に塗布液が塗布されることにより、当該塗布液が視認されるなどして照明装置の品位が低下することを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の液体塗布方法は、上記塗布部材を上記被塗布部材から離間させた状態で上記バルブにより上記供給路を開状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給し、上記塗布液を上記塗布部材に含浸させる補給工程と、上記補給工程の後、上記バルブにより上記供給路を閉状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材への上記塗布液の供給を遮断する補給停止工程と、上記補給停止工程の後、上記塗布部材と上記被塗布部材の上記被塗布領域とを当接させて上記塗布部材に含浸している上記塗布液の一部を上記被塗布領域に塗布する塗布工程とを含む。
【0019】
また、本発明の液体塗布装置は、上記塗布部材を上記被塗布部材から離間させた状態で上記バルブにより上記供給路を開状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給させ、上記塗布液を上記塗布部材に含浸させる補給処理と、上記補給処理の後、上記バルブにより上記供給路を閉状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材への上記塗布液の供給を遮断する補給停止処理と、上記補給停止処理の後、上記塗布部材と上記被塗布部材の上記被塗布領域とを当接させて上記塗布部材に含浸している上記塗布液の一部を上記被塗布領域に塗布させる塗布処理とを行う。
【0020】
それゆえ、本発明の液体塗布方法および液体塗布装置によれば、塗布液が低沸点・低粘度の場合であっても、被塗布領域に対して適切な量の塗布液を正確に塗布し、被塗布領域の外部に塗布液が塗布されてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかる液体塗布装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示した液晶表示装置に備えられる光源モジュールの構成を示す斜視図である。
【図4】図2に示した液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図5】(a)は図3に示した光源モジュールに備えられる光結合部材の断面図であり、(b)は(a)の図中に示したA部の拡大図である。
【図6】(a)は図3に示した光源モジュールに備えられる光結合部材の変形例の断面図であり、(b)は(a)の図中に示したB部の拡大図である。
【図7】図3に示した光源モジュールに備えられる光結合部材を介して導光板に入射する光の光路を示す説明図である。
【図8】(a)は図2に示した液晶表示装置の正面図であり、(b)はその側面図である。
【図9】(a)は図2に示した液晶表示装置の側面図であり、(b)は図2に示した液晶表示装置において導光板から出射される光の高さ方向についての輝度分布を示すグラフである。
【図10】図2に示した液晶表示装置の端部の構成を示す要部断面図である。
【図11】図3に示した光源モジュールの要部の構成を示す説明図である。
【図12】(a)〜(d)は、図3に示した光源モジュールに備えられる光結合部材に対する赤外線吸収材溶液の塗布工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、本発明を液晶表示装置の製造工程の一部に適用する場合について説明するが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。
【0023】
(1−1.液晶表示装置1の全体構成)
図2は、本実施形態にかかる液晶表示装置(電子機器)1の構成を示す分解斜視図である。この図に示すように、液晶表示装置1は、背面側(表示面の反対側)から順に、バックライト10、拡散シート2、プリズムシート3、液晶パネル4、およびベゼル5を備えている。また、バックライト10は、背面側から順に、光源モジュール20、帯状の開口11aを有するシャーシ11、シャーシ11と同様に帯状の開口を有する反射シート12、および導光板13を備えている。
【0024】
図3は光源モジュール20の斜視図であり、図4は液晶表示装置1の断面図である。これら各図に示すように、光源モジュール20は、光源ホルダー21、ヒートシンク22、LEDチップ23a・23b、LED基板24a・24b、スペーサ25a・25b、および光結合部材(結合レンズ)30を備えている。
【0025】
光源ホルダー21は、一方向に延伸する帯状の部材であり、延伸方向に垂直な断面が略コの字型である凹部を有している。また、上記凹部の底部には、LEDチップ23a・23bおよびLED基板24a・24bによって生じる熱を吸収するための板状のヒートシンク22が設けられている。
【0026】
また、ヒートシンク22上には、LED基板24a・24bが設けられており、LED基板24a・24b上には光源としての半導体のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)チップ23a・23bが光源モジュール20の延伸方向に沿って配置されている。
【0027】
LED基板24a・24bは、LEDチップ23a・23bに供給する電流量を制御することにより、LEDチップ23a・23bの発光のON/OFFおよび発光量を制御するための制御回路や配線等(いずれも図示せず)を備えた基板であり、光源モジュール20の延伸方向に平行な方向に延伸するように配置されている。
【0028】
上記LEDチップ23a・23bは、光源モジュール20の延伸方向に沿って2列に並んで互いに平行に複数個設けられていると共に、これら複数のLEDチップ23a・23bの表面側には光結合部材30が設けられている。
【0029】
また、LED基板24a・24bと光結合部材30との間には、LEDチップ23a・23bに加えて、LED基板24a・24bと光結合部材30との間に隙間を設けるためのスペーサ25a・25bが形成されている。この隙間により、光結合部材30がLEDチップ23a・23bに当接して、LEDチップ23a・23bが破損することを防止できる。ただし、これに限られず、LEDチップ23a・23bに損傷を与えない範囲であれば、LEDチップ23a・23bが光結合部材30と密着していても構わない。なお、半導体のLEDチップは非常に微細なサイズであるため、図3では、図面の煩雑さを防ぐためLEDチップの記載を省略している。
【0030】
また、本実施形態では、光源としてLEDチップを用いているが、これは、半導体チップ状のLEDは形状が小さくかつ狭い領域に配置できるためである。例えば、安価な低出力のLEDチップを用いた場合であっても、間隔を詰めて多くのLEDを配置することで照度を向上させ、高機能のバックライトの光源として利用できる。ただし、これに限るものではなく、例えば、パッケージに収納されたLEDを光源として用いてもよく、有機EL発光素子、あるいは無機EL発光素子などを光源として用いてもよい。
【0031】
光結合部材(光結合部材)30は、各LEDチップ23a・23bから出射される光を、導光板13に対して所定角度範囲(導光板13の背面側(基板裏面側)から入射して導光板13の発光面側(基板表面側)に到達した光がこの発光面側で全反射する角度範囲)で導光板13に入射するように導光板13の内部へに導くためのものであり、光源モジュール20の延伸方向に平行な方向に延伸するように配置されている。
【0032】
なお、光結合部材30の材質は、当該光結合部材30の内部を光が伝播可能であり、光源から入射した光を導光板13に対して上記所定角度範囲で入射させるように光の進行方向を変化させることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば導光板13と同様の樹脂材料を用いることができる。本実施形態では光結合部材30としてアクリル樹脂からなるものを用いた。また、光結合部材30は延伸方向に沿って並べられた複数の分割部材30a(図3,4では図示せず)からなり、それら各分割部材30aが導光板13に接着されている。各分割部材の導光板13に対する接着方法については後述する。
【0033】
図5(a)は光結合部材30における延伸方向に垂直な断面の構成を示す説明図である。この図に示すように、光結合部材30における延伸方向に垂直な断面は、略楕円形状からなるリングの一部を直線状に切断して得られる平坦部33・33と、上記の略楕円形状の外周部の一部を平坦部33・33と略平行な直線に沿って切り欠いて得られる平坦部31とを有する形状である。本実施形態では、平坦部31の幅(光結合部材30の延伸方向に垂直な方向の幅)は5mmに設定されている。なお、平坦部33・33の間には上記リングの中空部分に相当する中空部が設けられている。すなわち、平坦部33・33は上記リングの内周面34によって接続されている。
【0034】
図5(b)は図5(a)に示したA部の拡大図である。図5(a)および図5(b)に示したように、光結合部材30の平坦部33・33に近接する位置には、LEDチップ23a・23bが配置されている。これら各LEDチップ23a・23bは、図5(b)に示す全反射面32・32の焦点位置Fよりも光結合部材30の外周面側(平坦部33・33における全反射面32・32に近い側)に対向する位置に配置されている。
【0035】
これにより、図5(a)および図5(b)に示すように、各LEDチップ23a・23bから出射された光は光結合部材30の全反射面32・32で全反射(略全反射)し、その反射光が平坦部31を介して導光板13に入射する。また、全反射面32・32の形状は、各LEDチップ23a・23bからの入射光を、導光板13に対して上記所定角度範囲で入射させることができるように設定されている。上記のように光結合部材30を介して導光板13の背面側から導光板13に入射した光は、図7に示すように、導光板13の発光面側で全反射して導光板13内を面内方向に伝播する。
【0036】
なお、光結合部材30の延伸方向に垂直な断面における全反射面32・32の形状は、必ずしも楕円の円弧形状に限るものではなく、LEDチップ23a・23bから入射された光を全反射面32・32で全反射(略全反射)させて導光板13に対して所定角度範囲で入射させることができる形状であればよい。例えば、全反射面32・32は、光結合部材30の延伸方向に垂直な断面の形状が円の円弧形状、弓形、放物線形状などの曲線形状であってもよく、平坦部31、33・33に対して傾斜した直線状であってもよい。
【0037】
図6(a)は光結合部材30の変形例を示す説明図であり、光結合部材30の全反射面32・32における当該光結合部材30の延伸方向に垂直な断面の形状を放物線形状にした場合の例を示している。
【0038】
また、本実施形態では、光結合部材30における延伸方向に垂直な断面の形状が、平坦部33・33間に中空部(内周面34)を有する形状であるものとしたが、これに限らず、円柱形状の一部を切り欠いた形状としてもよい。すなわち、平坦部33・33間に中空部を有さず、これら両平坦部が直線状に繋がっている形状としてもよい。
【0039】
また、全反射面32・32の周囲に、光結合部材30から外部に漏れる光を光結合部材30内に戻すための反射シート(図示せず)を設けてもよい。これにより、LEDチップ23a・23bから照射された光の一部が全反射面32・32から光結合部材30の外部に漏洩する場合であっても、光結合部材30の外部に漏洩する光を光結合部材30に戻し、導光板13に入射する光の光量を増加させて光利用効率をより高くすることができる。
【0040】
導光板13は、当該導光板13の内部を光が伝播可能な導光性を有する材質からなる平板状の部材である。導光板13の材質は、導光性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば従来から公知の樹脂材料などを用いることができる。本実施形態では、導光板13としてアクリル樹脂からなるものを用いた。
【0041】
また、導光板13における光結合部材30側の面(背面)または光結合部材30とは反対側の面(おもて面)の少なくとも一方には、導光板13内を伝播する光を散乱させて当該導光板13の発光面側から出射させるための多数のドットパターン(光散乱部)が設けられている。ドットパターンの形成方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の方法で形成することができる。例えば、光拡散反射性を有する材料を導光板13における一方または両方の面に印刷することによって形成してもよく、レーザ加工等により導光板13の一部を加工することによって形成してもよい。また、本実施形態では光散乱部としてドットパターンを形成しているが、これに限らず、導光板13内を伝播する光の一部を散乱させて導光板13における発光面側から出射させることができるものであればよい。また、各ドットパターンの配置(サイズおよび配置ピッチ)についても特に限定されるものではなく、バックライト10の発光面から出射される光の輝度分布を所望する輝度分布にできるように適宜配置すればよい。
【0042】
図8(a)は液晶表示装置1の正面図であり、図8(b)はその側面図である。なお、図8(a)に示した一点鎖線は光源モジュール20の配置位置を示している。また、図9(a)は液晶表示装置1の側面図であり、図9(b)は導光板13から液晶パネル4側に出射される光の輝度分布を示している。このように、液晶表示装置1では、導光板13から液晶パネル4側に出射される光の輝度分布は、光源モジュール20の直上の領域が最も輝度が高く、光源モジュール20からの距離が長くなるほど輝度が低くなっており、液晶表示装置1を適切に表示するための輝度分布に一致している。
【0043】
また、本実施形態のバックライト10では、導光板13の背面側からLEDチップ23a・23bの導光板13に光を入射させる。これにより、従来のサイドエッジ型のバックライトの光利用効率が75%程度であったのに対して、本実施形態ではバックライト10の光利用効率を88%にまで向上させることができる。また、本実施形態のバックライト10では、従来のサイドエッジ型のバックライトとは異なり、図10に示すように、液晶パネル4の端部に光源が存在しないので、液晶パネル4の端部に近接する位置にフレーム6を設けることができる。その結果、額縁寸法を6mm以下にすることができる。
【0044】
ところで、図8に示したように、光源モジュール20は、液晶表示装置1の画面中央部を横切って設けられるため、画面幅とほぼ同じ長さ(本実施形態では約1380mm)を有している。このため、当然ながら、光結合部材30についても上記画面幅とほぼ同じ長さを有している。
【0045】
このような長尺の光結合部材30を単一の長尺部材として形成する場合、精度よく形成することが困難であり、また製造コストが高くなるという問題がある。すなわち、光結合部材30の製造方法としては、押し出し成形による製造方法や、金型成形による製造方法が考えられるが、それぞれの方法において以下のような問題がある。まず、押し出し成形は、アクリル樹脂等の透明樹脂を用いて長尺な光学部品を安価に製造することができるが、高精度な加工が困難である。また、金型成形は、大型な(長尺な)部材の成形を行う場合には、金型内部の熱的ひずみなどによってその精度が低下する。さらに、大型な(長尺な)部材を成形する場合には金型のコストが特に高くなり、製造コストが増大する。
【0046】
そこで、本実施形態のバックライト10では、高精度に形成された光結合部材30を低コストに供給するため、光結合部材30を単一の長尺部材として形成するのではなく、一方向に延伸する部材を延伸方向に沿って複数並べて配置することによって光結合部材30を形成している。すなわち、光結合部材30は、延伸方向に沿って並べられた複数(本実施形態では12個)の分割部材からなる。本実施形態では、これら各分割部材を金型成形にて形成した。このように金型成形を適用することで各分割部材を高精度に形成できる。また、光結合部材30を複数の分割部材に分割して製造することにより、大きな金型を必要とせず、金型コストを大幅に低減できるため、製造コストを安価に抑えられる。
【0047】
上記各分割部材を正確に位置合わせするためには、分割部材同士を位置合わせした上で接合することが考えられるが、分割部材同士を正確に接合することは実際には困難である。すなわち、分割部材同士を接合する方法としては、光学用接着剤を用いて接着する方法、またはレーザ溶着による方法が考えられる。しかしながら、光学用接着剤を用いて接着する方法では、分割部材の接合端面に接着剤を塗布してから接合する端面同士を接触させるが、接触後の接着剤の硬化が速いため、光結合部材同士を位置合わせするための微調整が困難である。また、レーザ溶着による方法は、部材の長手方向の端面同士を接合しようとする場合、その接合面にレーザを照射することが困難であり、この方法を適用することができない。
【0048】
このため、本実施形態のバックライト10では、以下の手法によって光結合部材30における各分割部材の高精度の位置合わせを実現している。この手法を、図11(a)を参照して説明する。
【0049】
図11(a)に示すように、光結合部材30は延伸方向に複数に分割されている。ここでは、分割された各部材を分割部材30aとする。なお、本実施形態では、光結合部材30を延伸方向に沿って12個の分割部材30aに分割しているが、図11(a)ではこのうちの一部のみを描いている。上述したように、光結合部材30の長さは画面幅とほぼ同じ約1380mmであり、各分割部材30aの長さはこれを12等分した約115mmである。
【0050】
なお、隣接する分割部材30a同士は、その延伸方向の端面同士を対向させて配置されるが、この端面同士は接合しない。代わりに、各分割部材30aは、導光板13との接触面において導光板13に接着される。すなわち、各分割部材30aにおける平坦部(頂部平坦面)31と導光板13とが接着される。各分割部材30aが導光板13に対して精度良く位置合わせされていれば、分割部材30a同士についても高精度の位置合わせが達成される。導光板13と光結合部材30(各分割部材30a)との接着方法については後述する。
【0051】
また、本実施形態のバックライト10では、LED基板24a・24bおよびヒートシンク22も分割部材30aに合わせて分割されている。各LED基板24a・24bおよび各ヒートシンク22は、分割部材30aに対してビス留めされる。具体的には、各LED基板24a・24bおよび各ヒートシンク22に、分割部材30aの延伸方向を長軸とする長穴からなるビス穴を設け、このビス穴を介してビス留めする。これにより、LED基板24a・24bおよびヒートシンク22は、光結合部材30の延伸方向に対して上記長穴分の可動域を有することになる。光結合部材30および導光板13は、アクリル樹脂等の透明樹脂にて形成されるため、熱による膨張が生じやすいが、上記構成によりLED基板24a・24bおよびヒートシンク22が可動することによって熱膨張による歪みを防止できる。図11(b)は、光結合部材30(各分割部材30a)および導光板13に熱膨張が生じている場合の様子を示す説明図である。
【0052】
また、本実施形態では、各分割部材30aを導光板13に接着する際、隣接する分割部材30a同士にほとんど隙間を設けないように各分割部材30aを配置している。ただし、各分割部材30a同士は接合していないので、各分割部材30a同士の間には微小な間隙(約0.1mm〜約0.5mm程度の隙間)が生じている。ただし、分割部材30a間に隙間が生じていたとしても、分割部材30aを通過した光はさらに導光板13内を伝播してから液晶パネル4側へ出射される。このため、導光板13における光拡散作用によって、分割部材30a間の継ぎ目は視認されにくくなり、特に問題とならない。
【0053】
(1−2.光結合部材30と導光板13との接着方法)
次に、光結合部材30を構成する各分割部材30aと導光板13との接着方法について説明する。
【0054】
本実施形態では、光結合部材30を構成する各分割部材30aにおける導光板13との当接面、すなわち図5(a)に示した平坦部(頂部平坦面)31に赤外線吸収材溶液を塗布し、各分割部材30aと導光板13とを当接させた状態でこれら両部材の当接部に赤外線を照射する。これにより、赤外線吸収材溶液に含まれる赤外線吸収材が赤外線を吸収して発熱し、光結合部材30(各分割部材30a)および導光板13の表面が溶融して各分割部材30aと導光板13とが接合される。
【0055】
また、本実施形態では、上記の赤外線吸収材溶液として、GENTEX社製のクリアウェルド(登録商標)を用いた。この赤外線吸収材溶液は、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなどからなる有機溶剤をベースとする液体中に赤外線を吸収する赤外線吸収材(色素微粒子)を分散させたものであり、沸点が78.5℃、粘度が2mPa・sの低沸点・低粘度の液体である。上記の有機溶剤はキャリアとして使用され、塗布後に蒸発し、赤外線吸収材(色素微粒子)が被塗布部材(各分割部材30a)の表面に残る。そして、赤外線吸収材を介して結合部材30(各分割部材30a)と導光板13とを当接させた状態で赤外線(レーザー波長940nmから1,064nmの範囲内のレーザ光)を照射することにより、赤外線吸収材が赤外線を吸収して発熱し、光結合部材30(各分割部材30a)および導光板13の表面が溶融して各分割部材30aと導光板13とが接合される。ただし、赤外線吸収材溶液の構成はこれに限るものではない。
【0056】
また、上記の赤外線吸収材溶液は、塗布前の液体状態では緑色を呈しているが、赤外線を照射して接着させた後は無色透明になる。このため、赤外線が照射される領域外に上記の赤外線吸収材溶液を塗布してしまうと、各分割部材30aと導光板13とを接着した後に赤外線が照射されずに緑色に呈色した領域が生じてしまい、液晶表示装置1の表示品位を低下させてしまう(色目に影響を与えてしまう)。特に、本実施形態にかかる光結合部材30(各分割部材30a)は、赤外線吸収材溶液の被塗布領域である平坦部31のサイズが各分割部材30aについて幅5mm×長さ115mmと非常に狭く、しかも平坦部31の両側が傾斜面(全反射面32・32)になっているので、低粘度の赤外線吸収材溶液がこれら各傾斜面に液ダレしやすい。また、全反射面32・32に赤外線吸収材溶液が塗布されてしまうと、光源から入射した光が全反射面32・32で適切に反射されず、光利用効率の低下を招来してしまう恐れがある。このため、赤外線吸収材溶液を被塗布部材である光結合部材30(各分割部材30a)の被塗布領域(平坦部31)に対して当該被塗布領域からはみ出すことなく適切に塗布することが求められる。そこで、本実施形態では、以下に説明する液体塗布装置50を用いて赤外線吸収材溶液の塗布を行う。
【0057】
図1は、各分割部材30aに対する赤外線吸収材溶液の塗布に用いる液体塗布装置50の構成を示す説明図である。この図に示すように、液体塗布装置50は、塗布液を貯蔵するタンク(貯蔵部)51と、タンク51内を加圧するためのポンプ(加圧手段)52と、ポンプ52によって加圧された空気をタンク51に供給するための加圧管(加圧手段)53と、タンク51から塗布液を供給するための供給管(供給路)54と、供給管54の管路を開閉するためのバルブ55と、供給管54の先端に接続され、塗布液を含浸した状態で被塗布部材に当接することにより被塗布部材に塗布液を塗布する塗布部材56と、被塗布部材(本実施形態では分割部材30aおよび後述するダミー塗布部材D)を塗布部材56に対して相対的に移動(走査)させる搬送装置57と、制御部58とを備えている。
【0058】
塗布部材(塗布液保持部材)56の構成は、タンク51から供給管54を介して供給(補給)される塗布液(赤外線吸収材溶液)を含浸した状態で保持するとともに、当該塗布部材56に被塗布部材を当接させることにより、この被塗布部材に対して含浸している塗布液の一部を塗布できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、刷毛、ブラシ、布、スポンジなどを用いることができる。また、塗布部材56の形状についても特に限定されるものではなく、被塗布部材における被塗布領域の形状に応じて適宜設定すればよい。本実施形態では、光結合部材30における各分割部材30aの被塗布領域の形状は幅5mm×長さ115mmであることから、塗布部材56における走査方向に垂直な方向の幅を5mmとした。
【0059】
制御部58は、ポンプ52の動作を制御するタンク圧制御部61と、バルブ55の動作を制御するバルブ制御部62と、搬送装置57の動作を制御する相対位置制御部63とを備えている。
【0060】
タンク圧制御部61は、タンク51から塗布部材56に塗布液を供給する際、ポンプ52を制御してタンク51内を加圧する。これにより、塗布液が低沸点の液体(例えば低級アルコール(化学式における炭素数が5以下のアルコール)等の水よりも沸点が低い液体を主成分とする液体)であっても、タンク51内の圧力が低下することによって蒸発量が増大してしまうことを防止することができる。なお、タンク51の加圧圧力は、塗布液の沸点や粘度、供給管54の開口面積などに応じて、タンク51内における塗布液の蒸発を抑制でき、かつタンク51から供給管54に適切な量の塗布液を排出できるように適宜設定すればよい。また、タンク51内の圧力を検知する圧力センサ(図示せず)を設け、その検知結果に応じてタンク圧制御部61がポンプ52の動作を制御するようにしてもよい。また、ポンプ52および加圧管53は必須の構成ではなく、例えば、タンク51内における塗布液の蒸発等を考慮する必要ない場合などには省略してもよい。また、ポンプ52および加圧管53を省略する場合、タンク51内が負圧(タンク51の周囲の気圧よりも低い圧力)にならないように、タンク51の周囲の空気をタンク51内に導入するための通気孔(図示せず)を設けてもよい。
【0061】
バルブ制御部62は、タンク51から塗布部材56に塗布液を供給する処理を行う場合にバルブ55を開状態とし、その他の場合にはバルブ55を閉状態とする。なお、バルブ制御部62によってバルブ55が開状態とされる時間は、タンク51から塗布部材56への塗布液の供給量が塗布部材56の保持可能量を超えることがないように設定されている。これにより、塗布部材56の保持可能量を超えて塗布液が供給され、塗布部材56から余剰な塗布液が滴下してしまうことを防止している。
【0062】
相対位置制御部63は、搬送装置57の動作を制御し、被塗布部材(本実施形態では各分割部材30aおよび後述するダミー部材D)を塗布部材56に対して相対的に移動させる。具体的には、相対位置制御部63は、塗布部材56と被塗布部材の被塗布領域との当接状態(塗布部材56の被塗布部材に対する押し付け量あるいは押し付け力)および当接時間が、この被塗布領域に対する塗布液(赤外線吸収材溶液)の目標塗布量に応じた当接状態および当接時間になるように搬送装置57の動作を制御する。なお、搬送装置57の構成は特に限定されるものではなく、例えば、アクチュエータ、モーター、ギア等を組み合わせた従来から公知の搬送装置技術を用いることができる。また、本実施形態では搬送装置57が塗布対象物の位置を移動させるものとしているが、これに限らず、例えば塗布部材56を塗布対象物に対して相対的に移動させるようにしてもよく、塗布部材56および塗布対象物の両方を移動させることにより、これら両部材の相対位置を移動させるようにしてもよい。
【0063】
図12(a)〜図12(d)は、分割部材30a・30aに対する赤外線吸収材溶液(塗布液)の塗布工程を示す説明図である。
【0064】
まず、図12(a)に示すように、制御部58(バルブ制御部62)は、塗布部材56を被塗布部材から離間させた状態でバルブ55を開操作し、タンク51から塗布部材56に塗布液を供給(補給)する。この際、必要に応じて、制御部58(タンク圧制御部61)がポンプ52を制御し、タンク51内を加圧しておくようにしてもよい。なお、バルブ55を開状態とする時間は、上述したように、タンク51から塗布部材56への塗布液の供給量が塗布部材56の保持可能量を超えることがないように適宜設定しておけばよい。
【0065】
塗布部材56に対して当該塗布部材56の保持可能量を超えない範囲の所定量(例えば、12個の分割部材30aからなる光結合部材30の全体に対する塗布液の塗布を塗布液の補給処理を行わずに行える量)の塗布液が供給されると、制御部58は、図12(b)に示すように、バルブ55を閉操作し、塗布部材56に対する塗布液の供給を停止する。
【0066】
次に、相対位置制御部63は、図12(c)に示すように、バルブ55を閉じた状態で塗布部材56をダミー部材Dに当接させ、塗布部材56に保持されている塗布液の一部(余剰塗布液)をダミー部材に移行させる。すなわち、塗布部材56に保持可能量の上限に近い量の塗布液を保持させた状態で塗布部材56を分割部材30aに当接させると、当接開始当初に分割部材30aに対して必要量以上の塗布液が付着してしまう場合がある。そこで、本実施形態では、塗布部材56への塗布液の供給(補給)を行った後、分割部材30aに塗布液を塗布する前に、塗布部材56をダミー部材Dに当接させて塗布液の一部を移行させる。これにより、塗布部材56に保持されている塗布液の量を調整し、塗布部材56と分割部材30aとの当接開始当初から適切な量の塗布液を塗布することができる。ダミー部材Dの構成は特に限定されるものではなく、例えば分割部材30aと同様の構成であってもよく、分割部材30aとは異なる構成であってもよい。本実施形態では、塗布部材56とダミー部材Dとを当接させた状態でダミー部材Dを塗布部材56に対して2cm〜3cm程度移動させることにより、上記の余剰塗布液の除去を行っている。なお、塗布部材56とダミー部材Dとの当接処理は必須ではなく、例えば塗布部材56と分割部材30aとの当接開始当初における余剰塗布液の分割部材30aへの移行を考慮する必要がない場合には省略してもよい。
【0067】
その後、相対位置制御部63は、図12(d)に示すように、バルブ55を閉じたままの状態で塗布部材56と分割部材30aとを当接させ、当接させたまま分割部材30aを塗布部材56に対して相対的に移動させることにより、分割部材30aにおける被塗布領域に塗布液を塗布していく。この際、図12(d)に示すように、連接配置される各分割部材30aを連接させた状態で塗布部材56に対して相対的に移動させ、各分割部材30aに対して塗布液を順次塗布していく。
【0068】
なお、本実施形態では、被塗布部材(光結合部材30を構成する各分割部材30a)に対して赤外線吸収材溶液を塗布する際、被塗布部材を搬送装置57に設けられた治具に被塗布領域(被塗布部材における被塗布領域を含む平面である被塗布面)が移動方向に対して水平になるように固定するとともに、相対位置制御部63が、塗布部材56の被塗布領域(被塗布面)に対する相対高さを一定に保ちながら被塗布部材を塗布部材56に対して相対的に移動させるよう搬送装置57の動作を制御する。また、相対位置制御部63は、塗布部材56と被塗布部材の被塗布領域の各部との当接時間が、被塗布領域の各部に目標塗布量の塗布液(赤外線吸収材溶液)を塗布するための当接時間になるように搬送装置57の動作を制御する。
【0069】
また、連接配置される各分割部材30aを連接させた状態で塗布部材56に対して相対的に移動させる際、分割部材30a同士の連接部が塗布部材56との対向部を通過するときに塗布部材56と各分割部材30aとを離間させてもよい。すなわち、塗布部材56が分割部材30a同士の連接部に当接しないようにしてもよい。これにより、塗布液が分割部材30a同士の連接部に塗布されることを防止できる。
【0070】
また、本実施形態では、図12(d)に示すように、隣接する分割部材30a同士の対向面のうち、少なくとも一方に、上記塗布液に対する撥液性(塗布液をはじく性質)を有する撥液性材料41を予め塗布あるいは貼付しておく。これにより、塗布液が分割部材30a同士の対向部(連接部)に移行し、光結合部材30中に塗布液によって着色された領域が生じてしまうといった不具合が生じることを防止できる。すなわち、分割部材30a同士の連接部の近傍に低粘度の塗布液を塗布した場合、この塗布液が毛管現象等によって分割部材30a同士の微小な間隙に移行してしまう場合があるが、上記対向面に撥液性材料41を塗布しておくことにより、上記間隙に塗布液が移行してしまうことを防止できる。上記の撥液性材料41は、分割部材30a同士の間隙に塗布液が毛管現象等によって浸透しようとする力よりも強い撥液力を実現できる材料であれば特に限定されるものではないが、例えばフッ素樹脂などを用いることができる。なお、撥液性材料41は、光結合部材30の性能に影響を及ぼさない(あるいは光結合部材30の性能に対する影響が少ない)ように、透明な材料であることがより好ましい。
【0071】
上記のように赤外線吸収材溶液を塗布した後、被塗布部材を搬送装置57に治具によって固定したままの状態で、赤外線吸収材溶液を塗布した被塗布部材の被塗布領域に導光板13を当接させ、当接させた状態で赤外線を照射することにより、赤外線吸収材溶液に含まれる赤外線吸収材を発熱させて光結合部材30を構成する各分割部材30aおよび導光板13の当接面を溶融させ、各分割部材30aと導光板13とを接着する。
【0072】
以上のように、本実施形態にかかる液体塗布装置50は、塗布液(赤外線吸収材溶液)を貯蔵するタンク51と、分割部材(被塗布部材)30aに塗布液を塗布する塗布部材56と、タンク51から塗布部材56への塗布液の供給路を開閉するバルブ55とを備え、塗布部材56を分割部材30aから離間させた状態で供給路を開状態とすることでタンク51から塗布部材56に塗布液を供給して塗布部材56に含浸させ、上記供給路を閉状態とすることで塗布部材への塗布液の供給を停止し、塗布液の供給を停止した後、塗布部材56と分割部材30aとを当接させて塗布部材56に含浸している塗布液の一部を分割部材30aに塗布する。
【0073】
これにより、バルブ55の開閉タイミングを制御することにより、塗布液の粘度が低い場合であっても、塗布部材56に供給する塗布液の量を正確に制御することができる。また、塗布部材56による塗布液の保持力は、塗布液の沸点の影響をほとんど受けず、また塗布液の粘度が低い場合であっても安定している。このため、塗布部材56から分割部材30aへの塗布液の塗布量は、塗布部材56に含浸して保持されている塗布液の量と、塗布部材56と分割部材30aとの当接状態(押し当て量)と、塗布部材56と分割部材30aにおける被塗布領域との当接時間(走査速度)とに応じて決まる。したがって、これらの値を調整することにより、塗布液が低沸点・低粘度の場合であっても、分割部材30aの被塗布領域(平坦部31)に対して適切な量の塗布液を正確に塗布し、平坦部31以外の領域(全反射面32・32)に塗布液が塗布されてしまうことを防止することができる。
【0074】
また、本実施形態では、被塗布部材(光結合部材30を構成する各分割部材30a)に対して赤外線吸収材溶液を塗布する際、被塗布部材を搬送装置57に設けられた治具に被塗布領域が移動方向に対して水平になるように固定するとともに、相対位置制御部63が、塗布部材56の被塗布領域に対する相対高さを一定に保つように被塗布部材を塗布部材56に対して相対的に移動させるよう搬送装置57の動作を制御する。また、相対位置制御部63は、塗布部材56と被塗布部材の被塗布領域の各部との当接時間が、被塗布領域の各部に対して目標塗布量の塗布液(赤外線吸収材溶液)を塗布することができる当接時間になるように搬送装置57の動作を制御する。これにより、被塗布部材に対する塗布液の塗布量を容易かつ適切に制御することができる。
【0075】
また、本実施形態では、赤外線吸収材溶液を塗布した後、被塗布部材を搬送装置57に治具によって固定したままの状態で、赤外線吸収材溶液を塗布した被塗布部材の被塗布領域に導光板13を当接させ、当接させた状態で赤外線を照射することにより、赤外線吸収材を発熱させて光結合部材30を構成する各分割部材30aおよび導光板13の当接面を溶融させて接着する。これにより、光結合部材30を構成する各分割部材30aを導光板13に対して略均一な接着強度で適切に接着することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、光結合部材30(各分割部材30a)における導光板13との当接部(平坦部31)に赤外線吸収材溶液を塗布するものとしたが、これに限らず、例えば導光板13における光結合部材30(各分割部材30a)との当接部に塗布してもよく、光結合部材30(各分割部材30a)における導光板13との当接部(平坦部31)と導光板13における光結合部材30(各分割部材30a)との当接部の両方に塗布してもよい。
【0077】
また、本実施形態では、塗布液が塗布される被塗布部材が液晶表示装置1のバックライト10に備えられる光結合部材30(各分割部材30a)である場合について説明したが、被塗布部材はこれに限るものでない。
【0078】
また、塗布液についても、赤外線吸収材溶液に限るものではなく、塗布部材56に保持させることができるものであればよい。すなわち、本発明は、塗布部材56に保持させることができる程度の粘度を有する液体を被塗布部材に対して塗布する場合に適用でき、被塗布部材の構成は特に限定されない。なお、本実施形態にかかる液体塗布装置50および液体塗布方法は、上述したように、低沸点・低粘度の液体を被塗布部材に塗布する場合であっても塗布量を正確に制御できるという特性を有している。このため、実施形態にかかる液体塗布装置50および液体塗布方法は、例えば、化学式における炭素数が5以下のアルコールである低級アルコール等の低沸点・低濃度の液体を主成分とする液体の塗布に特に適している。
【0079】
また、本実施形態では、ポンプ52、バルブ55、および搬送装置57の動作を制御部58が制御するものとしたが、これら各部材の動作の一部または全部をユーザが手動で制御してもよい。
【0080】
また、本実施形態において、液体塗布装置50に備えられる制御部58を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、液体塗布装置50は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである液体塗布装置50の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、液体塗布装置50に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
【0081】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0082】
また、液体塗布装置50を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0083】
また、液体塗布装置50の制御部58は、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
【0084】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、本実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、被塗布部材に対して液体を塗布する液体塗布方法および液体塗布装置に適用でき、特に低沸点・低粘度の液体を塗布する液体塗布方法および液体塗布装置に好適に適用できる。
【符号の説明】
【0086】
1 液晶表示装置
10 バックライト
13 導光板
20 光源モジュール
21 光源ホルダー
22 ヒートシンク
23a・23b LEDチップ(光源)
24a・24b LED基板
25a・25b スペーサ
30 光結合部材(被塗布部材)
30a 分割部材
31 平坦部
32・32 全反射面
33・33 平坦部
34 内周面
41 撥液性材料
50 液体塗布装置
51 タンク(貯蔵部)
52 ポンプ(加圧手段)
53 加圧管(加圧手段)
54 供給管(供給路)
55 バルブ
56 塗布部材
57 搬送装置(搬送部)
58 制御部
61 タンク圧制御部
62 バルブ制御部
63 相対位置制御部
D ダミー部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体塗布装置を用いて被塗布部材における被塗布領域に塗布液を塗布する液体塗布方法であって、
上記液体塗布装置は、
上記塗布液を貯蔵する貯蔵部と、
上記被塗布領域に当接して上記塗布液を上記被塗布領域に塗布する塗布部材と、
上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給するための供給路と、
上記供給路を開状態と閉状態とに切り替えるバルブとを備えており、
上記塗布部材を上記被塗布部材から離間させた状態で上記バルブにより上記供給路を開状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給し、上記塗布液を上記塗布部材に含浸させる補給工程と、
上記補給工程の後、上記バルブにより上記供給路を閉状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材への上記塗布液の供給を遮断する補給停止工程と、
上記補給停止工程の後、上記塗布部材と上記被塗布部材の上記被塗布領域とを当接させて上記塗布部材に含浸している上記塗布液の一部を上記被塗布領域に塗布する塗布工程とを含むことを特徴とする液体塗布方法。
【請求項2】
上記液体塗布装置は、上記被塗布部材と上記塗布部材との相対位置を変化させるように上記被塗布部材および上記塗布部材の少なくとも一方を移動させる搬送部を備えており、
上記塗布工程では、
上記被塗布部材における上記被塗布領域を有する平面に対する上記塗布部材の配置位置の相対高さが上記移動中に一定となり、かつ上記被塗布領域の各部と上記塗布部材との当接時間が当該各部に対して目標塗布量の上記塗布液を塗布することのできる当接時間になるように上記搬送部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体塗布方法。
【請求項3】
上記被塗布部材は複数の分割部材を互いに隣接するように配置したものであり、
上記塗布工程よりも前に、上記分割部材における他の分割部材との対向面に上記塗布液に対する撥液性を有する材料を塗布または貼付する撥液処理工程を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の液体塗布方法。
【請求項4】
被塗布部材における被塗布領域に塗布液を塗布するための液体塗布装置であって、
上記塗布液を貯蔵する貯蔵部と、
上記被塗布領域に当接して上記塗布液を上記被塗布領域に塗布する塗布部材と、
上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給するための供給路と、
上記供給路を開状態と閉状態とに切り替えるバルブと、
上記被塗布部材と上記塗布部材との相対位置を変化させるように上記被塗布部材および上記塗布部材の少なくとも一方を移動させる搬送部と、
上記バルブおよび上記搬送部の動作を制御する制御部とを備え、
上記制御部は、
上記塗布部材を上記被塗布部材から離間させた状態で上記バルブにより上記供給路を開状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材に上記塗布液を供給させ、上記塗布液を上記塗布部材に含浸させる補給処理と、
上記補給処理の後、上記バルブにより上記供給路を閉状態とすることで上記貯蔵部から上記塗布部材への上記塗布液の供給を遮断する補給停止処理と、
上記補給停止処理の後、上記塗布部材と上記被塗布部材の上記被塗布領域とを当接させて上記塗布部材に含浸している上記塗布液の一部を上記被塗布領域に塗布させる塗布処理とを行うように上記バルブおよび上記搬送部の動作を制御することを特徴とする液体塗布装置。
【請求項5】
指向性を有する光を出射する光源を有する光源ユニットと、上記光源ユニットから入射する光を面内方向に伝播させる平板状の導光板とを備え、上記導光板の平板面のうちの一方の面である平板表面から出射される光を用いて照明を行う照明装置の製造方法であって、
上記光源ユニットは、上記光源から出射された光を上記導光板に入射させるための光結合部材を備え、かつ上記導光板の平板面のうちの他方の面である平板裏面側に配置されており、
上記光結合部材は、上記光源から出射された光を、当該光が上記導光板の平板裏面側から入射し、上記導光板における平板表面において全反射して上記導光板内を上記面内方向に伝播するように上記導光板に入射させるものであり、
上記光結合部材と上記導光板とを接着させる接着工程を含み、
上記接着工程は、
上記光結合部材における上記導光板との対向領域、および上記導光板における上記光結合部材との対向領域のうちの少なくとも一方に、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体塗布方法を用いて赤外線吸収材を含有する塗布液を塗布する塗布工程と、
上記光結合部材と上記導光板とを上記赤外線吸収材を介して当接させる工程と、
上記光結合部材と上記導光板とを上記赤外線吸収材を介して当接させた状態で上記赤外線吸収材に赤外線を照射し、上記赤外線吸収材に赤外線を吸収させて発熱させることにより、上記光結合部材および上記導光板の少なくとも一方の表面を溶融させて上記光結合部材と上記導光板とを接着させる工程とを含むことを特徴とする照明装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−223722(P2012−223722A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94539(P2011−94539)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】