説明

液体容器

【課題】液体噴射装置に供給すべき液体を収容する液体容器において、液体内に溶けた気体に起因した液体噴射装置における液体の吐出不良を低減する。
【解決手段】液体噴射装置に供給すべき液体を収容する液体容器100であって、第1の空間1742に液体を収容することができる収容部110と、気体を収容した第2の空間301を有し、第1の空間1742内において液体の液面に浮かぶことができる浮き部300と、を備える。浮き部300は、収容部110の外部から浮き部300の高さ方向の位置を検知するための被検知部322と、第2の空間301を第1の空間1742に対して閉じている封止部306であって、液体を透過させず、液体が溶かしている気体を透過させる封止部306と、を備える。第2の空間301の圧力は、第1の空間1742の圧力よりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に供給すべき液体を収容する液体容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンターにおいて、インクタンク内のインク残量が少なくなったことを検出するための様々な手段が開発されている。たとえば、特許文献1の技術においては、アームが、インク室において回動可能に支持されている。アームの一方端に設けられているインジケータは、アームの回動に伴って上下方向に移動しうる。アームの他方端には、フロートが設けられている。インク室に所定量より多くのインクが存在するときは、フロートが上昇し、インジケータが下方へ移動して、検知窓の下部の照射領域に対して発光素子から照射された光を遮断する。インク室のインクが所定量以下になると、フロートが降下し、インジケータが上方へ移動して、光センサの発光素子から照射領域へ照射された光を遮断しなくなる。発光素子からの光は、検知窓の照射領域を通過して受光素子によって受光される。受光素子を備える光センサからの電気信号に基づいて、インク室に残存するインクが所定量以下であるかどうかを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−132112号公報
【特許文献2】特開2008−183788号公報
【特許文献3】特開2003−191491号公報
【特許文献4】特開平9−220817号公報
【0004】
しかし、上記の技術においては、インクの脱気については、考慮されていなかった。インクが多くのガス(たとえば空気)を溶かしている場合には、たとえば、ピエゾ素子のようなインク吐出機構内によってインクが吐出される際、急激な圧力変動により、インク内に気泡が発生することがある(「キャビテーション」という)。そのような気泡がインク吐出機構内に存在する場合には、ピエゾ素子が変形しても、気泡が圧縮および膨張されるだけで、インクがインク吐出機構から送出されないこととなる。しかし、上記の技術においては、このようなインクに溶けているガスに関する問題点は考慮されていなかった。このような問題点は、印刷装置に限らず、液体を噴射する装置に供給すべき液体について、広く存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を取り扱うためになされたものであり、液体噴射装置に供給すべき液体を収容する液体容器において、液体内に溶けた気体に起因した液体噴射装置における液体の吐出不良を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
液体噴射装置に供給すべき液体を収容する液体容器であって、
第1の空間を有し、前記第1の空間に液体を収容することができる収容部と、
気体を収容した第2の空間を有し、前記第1の空間内において前記液体の液面に浮かぶことができる浮き部と、を備え、
前記浮き部は、
前記収容部の外部から前記浮き部の高さ方向の位置を検知するための被検知部と、
前記第2の空間を前記第1の空間に対して閉じている封止部であって、前記液体を透過させず、前記液体が溶かしている気体を透過させる封止部と、を備え、
前記第2の空間の圧力は、前記第1の空間の圧力よりも低い圧力である、液体容器。
【0008】
このような態様とすれば、被検知部によって浮き部の高さ方向の位置を検知することにより、収容部内の液面の位置を、収容部外から検知することができる。また、液体が溶かしている気体を、封止部を介して浮き部の第2の空間内に吸収することによって、液体が溶かしている気体の量を減らすことができる。その結果、液体噴射装置における気泡の発生および液体の吐出不良を低減することができる。
【0009】
[適用例2]
適用例1の液体容器であって、
前記収容部と前記浮き部の少なくとも一方は、前記液体容器が使用される際の姿勢における鉛直方向に関して、前記浮き部の姿勢が反転しないように構成されており、
前記封止部は、前記液体容器が使用される際の姿勢において前記浮き部の下面となる部分の少なくとも一部に、設けられている、液体容器。
【0010】
このような態様においては、収容部内に気体が導入された場合にも、封止部は、第1の空間内において液体に接している可能性が高い。このため、収容部内に気体が導入された後も、液体が溶かしている気体の量を減らすことができる可能性が高い。
【0011】
なお、「鉛直方向に関して、浮き部の姿勢が反転する」とは、浮き部が、鉛直方向に垂直な面内の任意の軸を中心に90度以上回転すること、または、そのような回転成分を含む回転をすること、を意味する。また、「浮き部の姿勢が反転しないような構成」としては、たとえば、浮き部の第2の空間の重心に対して一方の部分が、第2の空間の重心に対して他方の部分に比べて重くなるように設けた構成を採用することができる。
【0012】
[適用例3]
適用例1または2の液体容器であって、
前記封止部は、前記浮き部の他の部分よりも、前記液体が溶かしている気体が透過しやく構成されている、液体容器。
【0013】
このような態様とすれば、液体が溶かしている気体を封止部から吸収することができる一方、収容部内に気体が導入された場合にも、液体容器の封止部以外の部分から第2の空間内にその気体が進入する事態を防止でき、またはその進入量を低減することができる。その結果、収容部内に気体が導入された場合にも、液体が溶かしている気体を吸収する浮き部の能力が低下してしまう事態を防止でき、またはその程度を低減することができる。
【0014】
なお、浮き部の他の部分よりも液体が溶かしている気体が透過しやすい構成としては、封止部を、他の部分よりも液体が溶かしている気体が透過しやすい素材で構成する態様を採用することができる。また、封止部と他の部分をともに、液体が溶かしている気体が透過可能な素材で構成し、封止部の厚みが他の部分よりも薄い態様を採用することもできる。
【0015】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれかの液体容器であって、
前記浮き部は、第1の方向の寸法が、前記第1の方向に垂直な任意の方向についての寸法よりも長いように設けられており、
前記収容部は、
第2の方向についての前記第1の空間の内部の寸法が、前記第1の方向についての前記浮き部の寸法よりも大きく、
前記第2の方向に垂直な任意の方向についての前記第1の空間の内部の寸法が、前記第1の方向についての前記浮き部の寸法よりも小さく設けられた部分により、前記浮き部を拘束し、前記浮き部の姿勢が反転しないように構成されている、液体容器。
【0016】
たとえば、第1の空間内の液面の位置の変化が、第1の空間内における浮き部の姿勢の変化をもたらし、浮き部の位置の変化に結びつかない場合には、被検知部によって収容部内の液面の位置を検知する際の、液面の位置の測定値の誤差が大きくなる。しかし、上記のような態様とすれば、第1の空間内の液面の位置の変化が、第2の方向に沿った浮き部の位置の変化に反映されやすい。このため、被検知部によって収容部内の液面の位置を検知する際の、液面の位置の測定値の誤差を小さくすることができる。
【0017】
なお、前記第2の方向は、前記液体容器が使用される際の姿勢における鉛直方向に対して、90度以内の方向であることが好ましく、45度以内の方向であることがより好ましい。
【0018】
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれかの液体容器であって、
前記収容部は、さらに、
前記第1の空間に前記液体を導入するための液体導入口と、
前記第1の空間から前記液体を送出するための液体送出口であって、前記液体容器が使用される際の姿勢において前記液体導入口よりも下方に位置する液体送出口と、を備える、液体容器。
【0019】
第1の空間内において、浮き部の下側に気泡がある場合には、その気泡によって浮き部が持ち上げられ、浮き部の位置が第1の空間内の液面の位置を正確に反映しなくなる。しかし、上記のような態様においては、第1の空間に液体が導入された際に、その液体が気泡を含んでいたとしても、その気泡を構成する気体は、第1の空間内の上方に留まり、液体のみが下方に流れ落ちる可能性が高い。その結果、浮き部の下側に気泡が位置する可能性が低い。このため、浮き部の位置が液面の位置を正確に反映する可能性が高い。よって、収容部内の液面の位置を、収容部外から正確に検知することができる。
【0020】
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれかの液体容器であって、さらに、
前記収容部の前記第1の空間に前記液体を供給するための迷路流路であって、互いに180度異なる向きに前記液体を流す平行流路部分を、前記液体の流れの方向に沿って交互に3以上含み、さらに、それぞれ二つの前記平行流路部分を結ぶ連結流路部分であって、互いに90度〜180度異なる向きに前記液体を流す連結流路部分を2以上含む迷路流路を含む、液体容器。
【0021】
このような態様とすれば、第1の空間に供給される液体が、仮に気泡を含んでいたとしても、その気泡は、迷路流路内に補足され、第1の空間に至らない可能性が高い。このため、第1の空間内の浮き部の位置は、気泡による外乱を受けることなく、液面の位置を正確に反映できる可能性が高い。
【0022】
なお、「互いに180度異なる向きに前記液体を流す流路部分を、交互に3以上含む」とは、流路において、第1の向きに液体を流す第1の流路部分Pp1と、第1の向きと180度をなす第2の向きに液体を流す第2の流路Pp2と、第1の向きに液体を流す第3の流路Pp3とが、その順に位置していればよい。そして、第1の流路部分Pp1と第2の流路部分Pp2の間、および第2の流路部分Pp2と第3の流路部分Pp3の間に、第1および第2の向きとは異なる向きに液体を流す他の流路部分が存在していてもよい。
【0023】
[適用例7]
適用例2、ならびに適用例2を限定した適用例4ないし6、のいずれかの液体容器であって、
前記浮き部は、前記液体容器が使用される際の姿勢における前記浮き部の上面および側面に凸部を備える、液体容器。
【0024】
浮き部は、第1の空間において液体の液面に浮かぶ。このため、第1の空間内に液体が存在する間は、浮き部の底面が、第1の空間の内壁に接触する可能性は低い。これに対して、浮き部の上面および側面は、底面に比べて第1の空間の内壁に接触する可能性が高い。しかし、上記のような態様とすれば、浮き部の上面および側面が第1の空間の内壁に固着したり、ひっかかったりする可能性が低い。このため、浮き部の位置は、液面の位置を正確に反映することとなる。
【0025】
[適用例8]
適用例1ないし7のいずれかの液体容器であって、
前記収容部は、さらに、外部から射出された光を前記第1の空間内に透過し、前記第1の空間内から射出された光を外部に透過することができる窓部を備え、
前記被検知部は、
前記浮き部において前記窓部と向かい合うことができる部分に設けられ、
前記液体よりも前記外部から射出された前記光の反射率が高い、液体容器。
【0026】
[適用例9]
適用例1ないし7のいずれかの液体容器であって、
前記収容部は、さらに、外部から射出された光を前記第1の空間内に透過し、前記第1の空間内から射出された光を外部に透過することができる窓部を備え、
前記被検知部は、
前記浮き部において前記窓部と向かい合うことができる部分に設けられ、
前記液体よりも前記外部から射出された前記光の反射率が低い、液体容器。
【0027】
適用例8,9の態様とすれば、収容部の外部から窓部に向かって射出された光のうち、液体または被検知部から反射され、窓部を介して射出された光の量の変化に基づいて、被検知部の高さ方向の位置を検知することができる。
【0028】
[適用例10]
適用例1ないし9のいずれかの液体容器であって、
前記被検知部は磁性体を備える、液体容器。
【0029】
このような態様とすれば、収容部の外部から、磁気センサにより、被検知部の高さ方向の位置を検知することができる。
【0030】
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)液体容器、液体供給装置、液体供給方法。
(2)インク収容器、インク供給装置。
(3)液体消費装置、インクジェットプリンター。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本願発明の実施例に係るインクカートリッジ100の斜視図。
【図2】迷路流路172および連絡通路176の概略構成を示す斜視図。
【図3】フロート収容室174が設けられている側から見た容器本体110の平面図。
【図4】フロート収容室174が設けられている側とは逆の側から見た容器本体110の平面図。
【図5】フロート収容室174およびフロート300の構成を示す拡大図。
【図6】フロート収容室174の第1の部分1742およびフロート300の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
A.実施例:
図1は、本願発明の実施例に係るインクカートリッジ100の斜視図である。なお、各図において矢印Uで示す方向は、インクカートリッジ100を使用する際の鉛直上方を示す。インクカートリッジ100は、家庭用またはオフィス用に使用されるプリンター用のインクカートリッジである。インクカートリッジ100は、バスタブ状の容器本体110と、容器本体110に組み合わされる蓋部材20と、を含む。図1では、技術の理解を容易にするため、インクカートリッジ100において蓋部材20が取り外された状態を示している。蓋部材20は略長方形の板状の部材である。
【0033】
容器本体110は、略長方形の底部1101、ならびに底部1101の四辺にそれぞれ接続された4個の側壁1102を備え、それらで囲まれた略直方体の空間を有する。この空間は、各種のリブ111で区切られている。その結果、容器本体110の空間内には、インク収容室140と、迷路流路172と、フロート収容室174と、が設けられている。また、容器本体110の側壁1102の一つには、容器本体110内部からプリンターにインクを供給するためのインク供給部120が設けられている。そして、容器本体110の底部1101の、インク収容室140およびフロート収容室174が設けられている側とは逆の側(図1において紙面の裏側)には、フロート収容室174とインク供給部120を結ぶ連絡通路176が設けられている。
【0034】
インク収容室140には、インクが収容される。インク収容室140は、所定の流路を通じてインクカートリッジ100の外部と連通している。インク収容室140内のインクが消費されるにつれて、インク収容室140内には大気開放口130a介して空気が導入される。大気開放口130aは、インク収容室140に至る流路の一端であって、側壁1102に開口しており、インクカートリッジ100の使用が開始される前は、フィルムによって封止されている。図1においては、本発明の理解を容易にするため、インク収容室140についての詳細な構成を省略し、概略のみを示す。
【0035】
インク収容室140の下流には、迷路流路172が設けられている。迷路流路172の上流端は、インク収容室140のインク送出口140bである。インク送出口140bは、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、インク収容室140の下端近傍に位置する。液体であるインク内に含まれる気泡はインクよりも比重が軽いため、インク収容室140内において鉛直上方に向かう。このため、インク送出口140bを上記のような配置とすることで、インク収容室140内のインクに含まれる気泡が下流の迷路流路172に送られる可能性を低減できる。
【0036】
図2は、迷路流路172および連絡通路176の概略構成を示す斜視図である。なお、図2は、迷路流路172の各流路部分および連絡通路176の接続関係を示すための図であり、各部の大きさは正確な寸法を表すものではない。
【0037】
図2に示すように、迷路流路172は、第1〜第5の流路部分Mp1〜Mp5を有する。第1、第3および第5の流路部分Mp1,Mp3,Mp5は、互いに平行に設けられる3本の流路である。これらの流路部分Mp1,Mp3,Mp5は、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、略水平となる向きに設けられる(図1参照)。また、第1、第3および第5の流路部分Mp1,Mp3,Mp5は、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、Mp1,Mp5,Mp3の順に低い位置に設けられる。さらに、第5の流路部分Mp5は、第3の流路部分Mp3と鉛直方向について重ならない位置に設けられる。より具体的には、本実施例では、第1、第3および第5の流路部分Mp1,Mp3,Mp5は、各流路が伸びる方向に投射されたときに、正三角形の頂点をなす位置に配されている(図1参照)。そして、第1および第3の流路部分Mp1,Mp3は、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、鉛直方向に重なる位置にある。
【0038】
図3は、フロート収容室174が設けられている側から見た容器本体110の平面図である。図4は、フロート収容室174が設けられている側とは逆の側から見た容器本体110の平面図である。なお、図3および図4においては、技術の理解を容易にするため、迷路流路172、フロート収容室174、連絡通路176以外の構成は図示を省略している。
【0039】
主として図2に示されるように、第2の流路部分Mp2は、第1の流路部分Mp1の端部であってインク送出口140bとは逆の側の端部と、第3の流路部分Mp3の端部とを結ぶ流路部分である。第2の流路部分Mp2は、容器本体110の底部1101のフロート収容室174が設けられている側とは逆の側に設けられる(図4参照)。第2の流路部分Mp2は、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、鉛直方向Uに沿って伸びている。
【0040】
主として図2に示されるように、第4の流路部分Mp4は、第3の流路部分Mp3の端部であって、第2の流路部分Mp2に接続される部分とは逆の側の端部と、第5の流路部分Mp5の端部とを結ぶ流路部分である。第3の流路部分Mp3が伸びる方向に投射したときに、第4の流路部分Mp4が第2の流路部分Mp2に対してなす角θは、60度である。第4の流路部分Mp4は、図3に示すように、容器本体110の底部1101のフロート収容室174が設けられている側に設けられる。
【0041】
主として図2に示されるように、第5の流路部分Mp5の端部であって、第4の流路部分Mp4に接続される部分とは逆の側の端部は、連絡通路176と接続されている。前述のように、連絡通路176は、フロート収容室174が設けられている側とは逆の側に設けられている(図4参照)。
【0042】
以上のように構成された迷路流路172においては、インク収容室140のインク送出口140bから流入したインク(図2の矢印Fm1参照)は、第1の流路部分Mp1を通り(同、矢印Fm2参照)、第2の流路部分Mp2を下から上に向かって流れ(同、矢印Fm3参照)、第3の流路部分Mp3に至る(同、矢印Fm4参照)。第3の流路部分Mp3内において、インクは、第1の流路部分Mp1とは逆の向きに流れる(同、矢印Fm5参照)。その後、インクは、第4の流路部分Mp4内において、第3の流路部分Mp3よりも下方に位置する第5の流路部分Mp5に向かって流れ(同、矢印Fm6参照)、第5の流路部分Mp5の端部から、連絡通路176に流入する(同、矢印Fm7,Fm8参照)。
【0043】
第3の流路部分Mp3内におけるインクの流れ方向Fm5は、第1の流路部分Mp1内におけるインクの流れ方向Fm2に対して180度をなす。第5の流路部分Mp5内におけるインクの流れ方向Fm7は、第3の流路部分Mp3内におけるインクの流れ方向Fm5に対して180度をなす。すなわち、第5の流路部分Mp5内におけるインクの流れ方向Fm7は、第1の流路部分Mp1内におけるインクの流れ方向Fm2と同じである。
【0044】
第2の流路部分Mp2内におけるインクの流れ方向Fm3は、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、鉛直上方である。第4の流路部分Mp4内におけるインクの流れ方向Fm6は、第2の流路部分Mp2内におけるインクの流れ方向Fm3に対して150度をなす。
【0045】
液体であるインク内に含まれる気泡は、インクよりも比重が軽いため、流路内において鉛直上方に向かう。本実施例においては、迷路流路172は、上記のように、互いに180度異なる向きにインクを流す複数の流路部分Mp1,Mp3,Mp5と、上向きにインクを流す流路部分Mp2と、斜め下向きにインクを流す流路部分Mp4と、を含む。このため、インクが迷路流路172内を通過する際に、気泡は迷路流路172内に補足される可能性が高い。また、インクカートリッジ100が使用される前の状態において、たとえば、搬送中に様々な向きにインクカートリッジ100が置かれたとしても、気泡が迷路流路172を通過する可能性が低い。よって、上記のような構成とすることで、インクに含まれる気泡が下流の連絡通路176に送られる可能性を低減できる。
【0046】
連絡通路176は、フロート収容室174が設けられている側とは逆の側において、迷路流路172の下流端と、フロート収容室174とを結ぶ(図2および図4参照)。迷路流路172の下流端(第5の流路部分Mp5の下流端)は、フロート収容室174内における連絡通路176の下流端の開口である流入口174aよりも、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、下方に位置する。
【0047】
図5は、フロート収容室174およびフロート300の構成を示す拡大図である。フロート収容室174は、第1の部分1742と、第2の部分1744とを有している。第1の部分1742は、略直方体の形状を有しており、第2の部分1744に比べて、所定の方向Ddについて、長く設けられている。方向Ddに垂直な断面において、第1の部分1742は、正方形の断面形状を有する。この断面の任意の方向についての第1の部分1742の寸法は、方向Ddについての第1の部分1742の寸法よりも小さい。なお、方向Ddは、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、鉛直方向Uと一致する。第1の部分1742の側面の一つを構成するのは、4個の側壁1102のうちの一つである。
【0048】
また、第1の部分1742の方向Ddについての長さLv2は、フロート300の方向DLについての寸法Lv1よりも長い。そして、第1の部分1742の断面は、フロート300を収容することができる大きさ及び形状で設けられている。すなわち、第1の部分1742の正方形断面の一辺の長さLh22は、フロート300の正方形断面の一辺の長さLh12よりも大きい。そして、当然に、第1の部分1742の正方形断面の対角線の長さLh23も、フロート300の正方形断面の対角線の長さLh13よりも大きい。このため、フロート収容室174内に所定量以上、インクが存在する場合には、フロート300は、第1の部分1742内において、インクの液面に浮くことにより、方向Ddに沿ってインクの液面の位置の変動に追従することができる。
【0049】
第2の部分1744は、第1の部分1742に比べて、方向Ddに垂直な方向Dhについて長く設けられている。方向Dhは、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、水平方向と一致する。第2の部分1744の一端は、第1の部分1742の下端と接続されている。第2の部分1744は、第1の部分1742の下端からインク供給部120の方に向かって伸びている。第2の部分1744の底面を構成するのは、インク供給部120が設けられている側壁1102である。
【0050】
第2の部分1744の方向Ddについての寸法は、フロート300の方向DLについての寸法Lv1よりも短い。また、第2の部分1744の一端と第1の部分1742の下端との接続部分は、フロート300が通過できないような形状および大きさで設けられている。そして、第2の部分1744は、フロート300を収容することができない大きさおよび形状で設けられている。このため、搬送中にインクカートリッジ100が様々な向きに置かれたとしても、第1の部分1742内に配されているフロート300が、第2の部分1744内に移動することはない。
【0051】
第1の部分1742の上端近傍には、連絡通路176の下流端でもある流入口174aが設けられている。一方、第2の部分1744の、第1の部分1742と接続されている部分とは逆の端近傍の底面には、送出口174bが設けられている。すなわち、流入口174aは、送出口174bよりも上方に設けられている。流入口174aからフロート収容室174内に流入したインクは、送出口174bからインク供給部120に送出される。
【0052】
フロート収容室174内に所定量以上、インクが存在する場合には、フロート300は、インクの液面に浮く。フロート収容室174内において、フロート300の下側に気泡が生じた場合には、その気泡によってフロート300が持ち上げられ、フロート300の位置が、フロート収容室174内のインクの液面の位置を正確に反映しなくなる。しかし、本実施例においては、インクは、上方に設けられた流入口174aからフロート収容室174内に流入し、下方に設けられた送出口174bからフロート収容室174外に送出される。このため、フロート収容室174内にインクが導入された際に、そのインクが気泡を含んでいたとしても、その気泡を構成する気体は、フロート収容室174内の上方に留まり、インクのみが下方に流れ落ちる。その結果、フロート300の下側に気泡が入り込む可能性が低い。このため、フロート300の位置はインクの液面の位置を正確に反映することができる。
【0053】
また、本実施例とは異なり、フロート収容室174内の下方からフロート収容室174にインクが供給される態様においては、供給されたインクが含んでいる気泡は、フロート300の下側に滞留しなかったとしても、フロート300とフロート収容室174の内壁との間を通って、フロート300の上方に移動することになる。しかし、その際、一部の気泡がフロート300の側面とフロート収容室174の内壁との間に留まる場合がある。フロート収容室174内(第1の部分1742内)のフロート300のがたつきを防止するためにフロート300とフロート収容室174の内壁との間隔を狭く設定すると、より気泡がフロート300とフロート収容室174の内壁との間に留まりやすくなる。そのような場合にも、フロート300の側面に付着した気泡によりフロート300が持ち上げられ、フロート収容室174内の液面の位置を正確に反映しなくなる。さらには、そのような気泡の気体は、底面部306を介してフロート300内に吸収しにくく、そのような気泡から、フロート収容室174内のインクに気体が供給され続ける可能性がある。
【0054】
しかし、本実施例においては、上述のように、フロート収容室174内において、上方から下方に向かってインクが流れるため、気泡がフロート300とフロート収容室174の内壁との間に入り込む可能性は低い。このため、上記のような問題が生じる可能性も少ない。
【0055】
全体としては、インクカートリッジ100内において、インクは以下のように流れる。すなわち、インクは、インク収容室140から迷路流路172に流れる(図2および図3の矢印Fm1参照)。そして、迷路流路172内を流れ(図2〜図4の矢印Fm2〜Fm7参照)、連絡通路176内を流れる(図2および図4の矢印Fm8参照)。その後、フロート収容室174内を流れ(図2の矢印Fm9、および図3の矢印Fm10参照)、インク供給部120の供給孔120aからプリンターに送出される(図3の矢印Fm11参照)。
【0056】
図6は、フロート収容室174の第1の部分1742およびフロート300の断面図である。フロート収容室174の第1の部分1742には、フロート300が収容されている(図5および図6参照)。フロート300は、略直方体の形状を有している。より具体的には、フロート300は、それぞれ略平面状に構成される上面部302、4個の側面部304、底面部306を備える。フロート300は、ある方向DLについての寸法Lv1が、方向DLに垂直な任意の方向についての寸法よりも長い形状に、設けられている。4個の側面部304は、方向DLに垂直な断面において、正方形の断面形状を構成する。
【0057】
フロート300は、内部に空間301を有する。より具体的には、フロート300は、いずれもインクを透過しない上面部302と、4個の側面部304と、底面部306とに囲まれ、密閉された空間301を有する。空間301には、空気が存在する。その結果、フロート300は、フロート収容室174内において、インクの液面に浮くことができる。なお、図5および図6において、空間301は直接表面に現れないため、空間301の位置をハッチで示す。なお、技術の理解を容易にするため、図5および図6において、空間301を、空間301の外縁が他の構成と重ならないように、わずかに小さく示す。
【0058】
フロート300の4個の側面部304のうち、容器本体110の側壁1102と向かい合う面の下部には、反射部322が設けられている。反射部322は光を照射されて、その光を反射することができる。一方、容器本体110の側壁1102のうち、フロート収容室174の第1の部分1742の下端近傍の位置には、窓部1108が設けられている(図1も参照)。窓部1108は、光を照射されて、その光を透過することができる。フロート300がフロート収容室174の第1の部分1742の下端近傍に位置したときには、フロート300の反射部322は、容器本体110の側壁1102の窓部1108と重なる位置にある。そして、窓部1108と重なる位置にある反射部322における、プリンターから射出された光の反射率は、窓部1108の内側にフロート300がなくインクが存在する場合(図1および図5参照)の光の反射率よりも高い。
【0059】
このような構成とすることで、インクカートリッジ100の外部、すなわちプリンター側から窓部1108に光Liを射出し、プリンター側の受光部でその反射光Lrを受けて、反射光の光量にもとづいて、窓部1108の位置にフロート300がいるか否かを知ることができる(図6参照)。窓部1108の位置にフロート300がいるということは、フロート収容室174の第1の部分1742の下端近傍までインクの液面が低下したということである。このため、本実施例のような態様とすれば、インク残量の低下をインクカートリッジ100の外部から、非接触で知ることができる。
【0060】
フロート300の上面部302には、突起3022が設けられている。また、4個の側面部304は、それぞれ方向DLに沿って3個の突起3042,3042,3042が設けられている。ある側面部304の突起3042が第1の部分1742の内壁に接しているとき、逆の側の側面部304の突起3042は、第1の部分1742の内壁との間に0.2mmの空隙をあけて第1の部分1742の内壁と向かい合う。この関係は、4個の各側面部304の突起3042について、成立する。そして、第1の部分1742の正方形断面の一辺の長さLh22、正方形断面の対角線の長さLh23は、フロート300の方向DLについての長さLv1よりも小さい。すなわち、第1の部分1742の内部の寸法は、0.2mmの隙間をあけてフロート300を拘束し、フロート300の姿勢が反転しないように構成されている。
【0061】
このような態様とすることで、フロート収容室174内におけるフロート300のがたつきを防止しつつ、フロート300がフロート収容室174の内壁に面で接触する態様に比べて、上面部302や側面部304がフロート収容室174の内壁に固着したり、ひっかかったりする可能性を低減することができる。その結果、フロート300は、インクの液面の位置に正確に追従することになる。よって、インク残量の低下を正確に知ることができる。
【0062】
また、側面部304の3個の突起3042は、方向DLに沿って配されている。このため、フロート300の側面部304と、フロート収容室174の内壁との間をインクが流通しやすい。また、フロート300の側面部304と、フロート収容室174の内壁との間に、気泡が滞留しにくい。
【0063】
フロート300の上面部302、4個の側面部304、底面部306は、ポリプロピレンで構成されている。上面部302、側面部304、底面部306は、いずれもインクを透過しない。しかし、底面部306は、上面部302および側面部304にくらべて、インクに溶けた空気を透過しやすい組成で設けられている。
【0064】
フロート300内の空間301は、少なくともインクカートリッジ100が使用される前の状態において、大気圧よりも低い圧力に保たれている。本実施例においては、空間301内の圧力は、55mmHgである。これに対して、フロート収容室174内の圧力は、ほぼ大気圧である。このような態様とすることにより、フロート300は、フロート収容室174内においてインクに浸かっているとき、およびフロート収容室174内に空気が導入された後には、フロート収容室174内においてインクの液面に浮かぶことにより、底面部306からインクに溶けた空気を吸収することができる。すなわち、フロート収容室174内のインクに溶けている空気の量を、低減することができる。また、迷路流路172を介してフロート収容室174と連通しているインク収容室140内のインクに溶けている空気の量も、低減することができる。その結果、インクカートリッジ100から送出されたインクが、キャリブレーションにより気泡を生じさせ、プリンターにおいて吐出不良を生じさせる可能性を低減することができる。
【0065】
また、本実施例においては、フロート300の方向DLについての寸法Lv1は、第1の部分1742の正方形の断面の任意の方向の寸法(たとえば、正方形の一辺の長さLh22や正方形の対角線の長さLh23)よりも大きく設けられている。このため、フロート300は、第1の部分1742内において鉛直方向について反転することがない。よって、フロート300は、インクカートリッジ100が使用される際の姿勢にあるときには、常に、底面部306を下にした姿勢に保たれる。その結果、インクがフロート収容室174内からなくなるまで、底面部306を介して、フロート収容室174内のインクを脱気することができる。
【0066】
本実施例のインクカートリッジ100が、[課題を解決するための手段]における「液体容器」に相当する。容器本体110および蓋部材20が、「収容部」に相当する。フロート収容室174の第1の部分1742が、「第1の空間」に相当する。フロート300が、「浮き部」に相当する。フロート300の空間301が、「第2の空間」に相当する。反射部322が、「被検知部」に相当する。底面部306が、「封止部」に相当する。
【0067】
本実施例の方向DLが、[課題を解決するための手段]における「第1の方向」に相当する。方向Ddが、「第2の方向」に相当する。流入口174aが、「液体導入口」に相当する。送出口174bが、「液体送出口」に相当する。迷路流路172が、「迷路流路」に相当する。流路部分Mp1,Mp3,Mp5が、「平行流路部分」に相当する。流路部分Mp2,Mp4が、「連結流路部分」に相当する。突起3022,3042が、「凸部」に相当する。窓部1108が、「窓部」に相当する。
【0068】
B.変形例:
B1.変形例1:
上記実施例においては、底面部306は、上面部302および側面部304にくらべて、インクに溶けた空気を透過しやすい組成で設けられている。しかし、底面部306は、フロート300の他の部分と同じ組成の材料で構成することもできる。ただし、そのような態様においては、底面部306、上面部302、側面部304など、「第2の空間」としての空間301を囲む構成の素材は、所定値以下の厚みで構成されたときに、インクに溶けた空気を透過できる素材であることが好ましい。そして、底面部306の少なくとも一部を、上面部302および側面部304にくらべて薄く設けることが好ましい。そのような態様とすることで、同じ素子絵の材料を使用しつつ、上面部302および側面部304にくらべて、インクに溶けた空気を透過しやすい構成とすることができる。
【0069】
B2.変形例2:
上記実施例においては、フロート収容室174の第1の部分1742の内壁が、所定の間隔を開けてフロート300を拘束することにより、フロート収容室174室内のフロート300の反転を防止している。しかし、フロート収容室174室内においてフロート300が反転しないようにする構成としては、たとえば、フロート300の下部に重りを付ける態様を採用することができる。より具体的には、浮き部としてのフロート300の空間301の重心に対して一方の部分(使用時の姿勢において下方の部分)が、空間301の重心に対して他方の部分(使用時の姿勢において上方の部分)に比べて重くなるように設けた構成を採用することができる。
【0070】
B3.変形例3:
フロート収容室174において、流入口174aは、送出口174bよりも上方に設けられている。しかし、液体送出口としての送出口174bは、液体容器としてのインクカートリッジ100が使用される際の姿勢において、液体導入口としての流入口174aと同じ高さ、または上方に位置してもよい。
【0071】
B4.変形例4:
上記実施例においては、迷路流路172は、互いに平行に設けられる3本の流路部分Mp1,Mp3,Mp5と、それらを結ぶ2本の流路部分Mp2,Mp4とを備えている。しかし、迷路流路は、他の構成とすることもできる。ただし、迷路流路は、互いに180度異なる向きに液体を流す平行流路部分を、液体の流れの方向に沿って交互に3以上含み、さらに、それぞれ二つの平行流路部分を結ぶ連結流路部分であって、互いに90度〜180度異なる向きに液体を流す連結流路部分を2以上含むことが好ましい。なお、インクカートリッジ100は、インク収容室140とフロート収容室174との間に迷路流路を備えない態様とすることもできる。
【0072】
B5.変形例5:
上記実施例においては、側面部304の3個の突起3042は、方向DLに沿って配されている。しかし、側面部304の複数の突起3042は、方向DLについて投射したときに、異なる位置に設けられていてもよい。
【0073】
また、上記実施例においては、フロート300の上面部302には、突起3022が設けられている。また、4個の側面部304は、それぞれ方向DLに沿って3個の突起3042,3042,3042が設けられている。しかし、フロート300は、これらのいずれかまたは全部を備えない態様として設けることもできる。
【0074】
B6.変形例6:
上記実施例においては、窓部1108と重なる位置にある反射部322における、プリンターから射出された光の反射率は、窓部1108の内側にフロート300がなくインクが存在する場合の光の反射率よりも高い。しかし、窓部1108と重なる位置にある反射部322における、プリンターから射出された光の反射率が、窓部1108の内側にフロート300がなくインクが存在する場合の光の反射率よりも低い態様とすることもできる。そのような態様としても、反射光の光量の変化に基づいて、窓部1108の位置にフロート300がいるか否かを知ることができる。
【0075】
また、フロート300は、反射部322に代えて、または反射部322に加えて、磁性体を備えた被検知部を備える態様とすることができる。そのような態様とすれば、フロート収容室174の外部から、磁気センサにより、フロート300の位置を検知することができる。なお、反射部322に代えて磁性体を備えた被検知部を備える態様においては、光を透過する窓部1108を側壁1102に設ける必要はない。また、被検知部は、必ずしも容器本体110の側壁1102と向かい合う面の側に設ける必要はない。
【0076】
B7.変形例7:
上記実施例では、インクカートリッジ100は、家庭用またはオフィス用に使用されるプリンター用のインクカートリッジである。しかし、本発明の液体容器としてのインクカートリッジは、業務用に使用される大型のプリンターのインクカートリッジに適用することもできる。
【0077】
なお、本発明の実施態様であるインクカートリッジ100は、いわゆる「オフキャリッジタイプ」のプリンターに取り付けることができる。「オフキャリッジタイプ」のプリンターは、印刷ヘッドおよびサブタンクが設置されたキャリッジ1とは別に、メインタンクとしてインクカートリッジ100が設置されるインクジェットプリンターである。また、本発明の実施態様であるインクカートリッジ100は、いわゆる「オンキャリッジタイプ」のプリンターに取り付けることができる。「オンキャリッジタイプ」のプリンターは、カートリッジ装着部が印刷ヘッドと一体になって印刷媒体の紙巾方向に往復移動するインクジェットプリンターである。
【0078】
B8.変形例8:
上記実施例及び変形例では、インクジェットプリンターと、インクカートリッジについて説明したが、本発明は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に用いても良く、また、そのような液体を収容した液体容器にも適用可能である。本発明の液体容器は、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体消費装置に流用可能である。なお、「液滴」とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であれ良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用しても良い。そして、これらのうちいずれか一種の噴射装置および液体容器に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
20…蓋部材
100…インクカートリッジ
110…容器本体
1101…底部
1102…側壁
1108…窓部
111…リブ
120…インク供給部
130a…大気開放口
140…インク収容室
140b…インク送出口
172…迷路流路
174…フロート収容室
1742…第1の部分
1744…第2の部分
174a…流入口
174b…送出口
176…連絡通路
300…フロート
301…空間
302…上面部
3022…突起
304…側面部
3042…突起
306…底面部
322…反射部
DL…フロート300の長手方向
Dd…フロート300の移動方向
Dh…第2の部分1744が伸びる方向
Fm1〜Fm10…インクの流れの方向を示す矢印
Li…入射光
Lr…反射光
Lv1…方向DLに沿ったフロート300の寸法
Mp1〜Mp5…第1〜第5の流路部分
θ…第4の流路部分Mp4が第2の流路部分Mp2に対してなす角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射装置に供給すべき液体を収容する液体容器であって、
第1の空間を有し、前記第1の空間に液体を収容することができる収容部と、
気体を収容した第2の空間を有し、前記第1の空間内において前記液体の液面に浮かぶことができる浮き部と、を備え、
前記浮き部は、
前記収容部の外部から前記浮き部の高さ方向の位置を検知するための被検知部と、
前記第2の空間を前記第1の空間に対して閉じている封止部であって、前記液体を透過させず、前記液体が溶かしている気体を透過させる封止部と、を備え、
前記第2の空間の圧力は、前記第1の空間の圧力よりも低い圧力である、液体容器。
【請求項2】
請求項1記載の液体容器であって、
前記収容部と前記浮き部の少なくとも一方は、前記液体容器が使用される際の姿勢における鉛直方向に関して、前記浮き部の姿勢が反転しないように構成されており、
前記封止部は、前記液体容器が使用される際の姿勢において前記浮き部の下面となる部分の少なくとも一部に、設けられている、液体容器。
【請求項3】
請求項1または2記載の液体容器であって、
前記封止部は、前記浮き部の他の部分よりも、前記液体が溶かしている気体が透過しやく構成されている、液体容器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の液体容器であって、
前記浮き部は、第1の方向の寸法が、前記第1の方向に垂直な任意の方向についての寸法よりも長いように設けられており、
前記収容部は、
第2の方向についての前記第1の空間の内部の寸法が、前記第1の方向についての前記浮き部の寸法よりも大きく、
前記第2の方向に垂直な任意の方向についての前記第1の空間の内部の寸法が、前記第1の方向についての前記浮き部の寸法よりも小さく設けられた部分により、前記浮き部を拘束し、前記浮き部の姿勢が反転しないように構成されている、液体容器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の液体容器であって、
前記収容部は、さらに、
前記第1の空間に前記液体を導入するための液体導入口と、
前記第1の空間から前記液体を送出するための液体送出口であって、前記液体容器が使用される際の姿勢において前記液体導入口よりも下方に位置する液体送出口と、を備える、液体容器。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の液体容器であって、さらに、
前記収容部の前記第1の空間に前記液体を供給するための迷路流路であって、互いに180度異なる向きに前記液体を流す平行流路部分を、前記液体の流れの方向に沿って交互に3以上含み、さらに、それぞれ二つの前記平行流路部分を結ぶ連結流路部分であって、互いに90度〜180度異なる向きに前記液体を流す連結流路部分を2以上含む迷路流路を含む、液体容器。
【請求項7】
請求項2、ならびに請求項2に従属する請求項4ないし6、のいずれかに記載の液体容器であって、
前記浮き部は、前記液体容器が使用される際の姿勢における前記浮き部の上面および側面に凸部を備える、液体容器。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の液体容器であって、
前記収容部は、さらに、外部から射出された光を前記第1の空間内に透過し、前記第1の空間内から射出された光を外部に透過することができる窓部を備え、
前記被検知部は、
前記浮き部において前記窓部と向かい合うことができる部分に設けられ、
前記液体よりも前記外部から射出された前記光の反射率が高い、液体容器。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載の液体容器であって、
前記収容部は、さらに、外部から射出された光を前記第1の空間内に透過し、前記第1の空間内から射出された光を外部に透過することができる窓部を備え、
前記被検知部は、
前記浮き部において前記窓部と向かい合うことができる部分に設けられ、
前記液体よりも前記外部から射出された前記光の反射率が低い、液体容器。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の液体容器であって、
前記被検知部は磁性体を備える、液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−140128(P2011−140128A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−558(P2010−558)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】