説明

液体形態のプロトン伝導体

【課題】室温より低い融点、低い蒸気圧、および水性媒体において得られるのと類似の伝導率を有するプロトン伝導体の提供。
【解決手段】成分(a)と(b)の混合物を含んだ液体形態のプロトン伝導体。(a)式


(式中、X-は、式RFSO3Hのスルホン酸、式(RFSO2)(R'FSO2)NHのスルホンイミド等からなる群から選ばれる酸から誘導されるアニオンである)で示される窒素ベース物質の酸付加塩;および(b)式


で示される窒素ベース物質の混合物を含む、液体形態のプロトン伝導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、液体形態の新規プロトン伝導体(proton conductor)、および前記プロトン伝導体を、種々の電気化学系において液体電解質、ゲル電解質、またはポリマー電解質として使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
通常のほとんどのプロトン伝導体は、HClやH2SO4等の酸、またはKOHやNH3等の塩基を水にドーピングすることによって得られている。このように、硫酸の水溶液は10-2S.cm-1を越える高いプロトン伝導率を有し、また水酸化カリウムの水溶液(これらの水溶液も極めて伝導性が高い)は、ニッケル−カドミウム系における電解質として広く使用されている。
【0003】
機能するために水の存在を必要とするプロトン伝導体は一般に、水の蒸発によって使用分野が温度制限を受け、また水の蒸発によってレドックス安定性の場が限定される。さらに、水の存在は通常、これらの電解質を使用する系中に腐食現象を引き起こす。
あらかじめ知っていれば入手拒絶の因となるようなこれらの問題点(redhibitory problems)を解消するために、無水のプロトン伝導体を開発すべく多くの研究がなされている。これらの研究開発による種々の種類の物質から、水性溶媒をヒドロキシル基非含有の溶媒和ポリマー(non-hydroxylic solvating polymer)(例えばポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、又はポリアミノプロピルシロキサン)で置き換えることにより特殊な無水プロトン伝導体が得られている。
【0004】
これらのポリマーに酸または塩基をドーピングすることによって無水プロトン伝導体が得られる。例えば、ポリエチレンオキシド(POE)中にオルトリン酸H3PO4を溶解することによって酸性のプロトン伝導体を得ることができ、またこの同じポリマー中にスルホンアミドH2NSO2NH2を溶解することによって塩基性のプロトン伝導体を得ることができる。
【0005】
これらの電解質は、電気化学系、特に光変調システム(light-modulating systems)を作製するのに有用であるが、それでもまだ大きな欠点を有している。POE中にH3PO4を溶解することによって得られるプロトン伝導体は、媒体の酸性が高い(pKa=0または約0)ために腐食性がある。これとは対照的に、POE中にスルホンアミドを溶解することによって得られるプロトン伝導体は、塩基性が高い(pKa=11〜12または約11〜12)ために用途が限定される。実際、金属化学種を含有する多くの電極物質が存在すると、金属カチオンとスルホンアミドが錯形成した形の低品質の伝導体である不動態層が形成される。一方、これらの電解質は低温では低品質の伝導体である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(発明の総括)
上記の欠点を解消すべく検討を進め、発明者らは、極めて驚くべきことに、アゾール系列に属する特定の窒素ベース物質(nitrogen bases)とこれら窒素ベース物質の適切な酸付加塩との二元混合物が、室温より低い融点、低い蒸気圧、および水性媒体において得られるのと類似の伝導率を有するプロトン伝導体を形成する、ということを見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
(a)式
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、
1、Z2、Z3、およびZ4は同一でも異なっていてもよく、それぞれが基−N=または−C(Yi)=(式中、Yiは、水素原子、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基もしくは枝分かれ鎖状アルキル基、1〜20個の炭素原子を有するフルオロアルキル基、または1〜20個の炭素原子を有するオキソアルキル基もしくはアザアルキル基である)であり、但しこのとき、基Z1、Z2、Z3、およびZ4の少なくとも1つおよび多くとも2つが−N=であり、2つの隣接炭素原子が必要に応じて水素化されており、窒素ベース物質は必要に応じてポリマーネットワークの一部であり、
-は、式RFSO3Hのスルホン酸、式(RFSO2)(R'FSO2)NHのスルホンアミド、及び式(RFSO2)(R'FSO2)CH2又は式(RFSO2)(R'FSO2)(R"FSO2)CHのメチリドからなる群から選ばれる酸から誘導されるアニオンであって、このときRF、R'F、およびR"Fはそれぞれ基F(CF2)n−を表しており、nは0〜6であり、酸は必要に応じてポリマーネットワークの一部である)で示される窒素ベース物質の酸付加塩と
(b)式
【0010】
【化2】

【0011】
〔式中、Z1、Z2、Z3、およびZ4は前記の意味を有し、窒素ベース物質は必要に応じてポリマーネットワークの一部である〕で示される窒素ベース物質との混合物を含み、このとき成分(a)と(b)が25℃未満の融点を有する組成物を形成するような割合にて存在する、液体形態のプロトン伝導体が提供される。
【0012】
本発明はさらに、上記にて定義したプロトン伝導体からなる液体電解質に関する。
本発明はさらに、上記にて定義したプロトン伝導体を、少なくとも1つの極性基を含んだポリマー中に溶解した状態で含むポリマー電解質に関する。
成分(a)と成分(b)との混合物を含んだ組成物は実質的に共融であるのが好ましい。
窒素ベース物質の例としては、式
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、Yiは前記の意味を有する)で示されるアゾールがある。

【0015】
【化4】

【0016】
(式中、Yiは前記の意味を有する)で示されるイミダゾリン等の部分水素化アゾールも使用することができる。
【0017】
窒素ベース物質を適切に選択することにより、本発明によるプロトン伝導体のpHを制御することができる。したがって、トリアゾール/トリアゾリウムの二元混合物は2のオーダーのpKaを有し、イミダゾール/イミダゾリウムの二元混合物は7のオーダーのpKaを有し、そしてイミダゾリン/イミダゾリニウムの二元混合物は10のオーダーのpKaを有する。
酸の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(triflic acid)、ビスフルオロスルホンイミド、ビストリフルオロメタンスルホンイミド、ビストリフルオロメタンスルホニルメタン、トリストリフルオロメタン−スルホニルメタン、およびトリスフルオロスルホニル−メタンなどがある。
【0018】
前記成分(a)と(b)とを含んだ二元混合物は、無水のプロトン伝導体である。実際、プロトン化されている窒素ベース物質は、グロットゥスの機構にしたがって、そのプロトンをプロトン化されていない窒素ベース物質に移すことができ、これによって媒体中におけるプロトンの移動が可能となる。例えば、共融組成(モル比3:1)を有するイミダゾール/イミダゾリウムトリフラートの二元混合物の場合、本混合物の伝導率は25℃にて10-3Ω-1.cm-1以上である。したがってこのような混合物は、高い伝導率を有する中性の無水プロトン伝導体を構成する。
本発明によるプロトン伝導体は、エレクトロクローム(electrochrome)と呼ばれる光変調システム用として特に関心が高い。エレクトロクローム系は一般に、広いバンドギャップを有する半導性物質(例えば、HxWO3、IrO2x、HxTiO2、HxTa25、HxMnO2、HxCoO2、またはHxNiO2;Xは通常0〜0.4である)のフィルムを使用し、このときプロトンと電子の注入と抽出が同時的に起こる結果、可視もしくは赤外スペクトルにおいて光学吸収または反射率が変化する。
【0019】
他のエレクトロクローム系は、還元によって着色が得られるビオロゲン(“Weitz blue”)や酸化によって着色が得られる1,4−テトラルキルアリール−ジアミン(“Wurster blue”)等の、高度着色ラジカルの可溶性前駆体を使用する。しかしながら、これらの化合物は、着色状態になっているときには安定性に限度があり(特に、光と酸素に関して)、自然光にさらされる窓ガラスやディスプレー系には使用することができない。
本発明のプロトン伝導体は、以下のような、2つの電子と1つ又は2つのプロトンの注入を含んだ電気化学反応によって着色化学種が可逆的に形成される、という新しい考え方に基づいている:
[ox]+2e+H→[red]
[ox]+2e+2H→[red]
[ox]+2e+2H→[red]
このときoxからredへの移行は色の変化に相当する。この場合では、着色化学種はラジカルではなく、ラジカル系より大幅に改良された安定性を有する。本発明のプロトン伝導体は、高いプロトン化力(protonatlon power)とアゾールタイプのヘテロ原子を選択することによって制御されるpHを有しているだけでなく、水性媒体に対してかなり広い操作温度範囲と有機分子への可溶化力(solubilizing power)を有する。
【0020】
したがって本発明はさらに、ある間隔をあけて互いに対向関係にて配置された2つの透明な半導性電極(各電極は、その一方の側が透明支持体に固定されていて、その他方の側にバンドギャップの広い半導性物質の被膜を含む)および前記にて定義したポリマー電解質(電極間に配置されていて、半導性物質の被膜に接触している)を含むエレクトロクローム系を提供する。
【0021】
本発明はさらに、ある間隔をあけて互いに対向関係にて配置された2つの透明な半導性電極(各電極は、その一方の側が透明支持体に固定されている)および前記にて定義したポリマー電解質(電極間に配置されていて、各電極の他方の側に接触しており、少なくとも1種のレドックス着色剤を含んでいる)を含むエレクトロクローム系に関する。
【0022】
本発明によればさらに、ある間隔をあけて互いに対向関係にて配置された2つの透明な半導性電極(各電極は、その一方の側が透明支持体に固定されており、電極の一方が、その他方の側にバンドギャップの広い半導性物質の被膜を含む)および前記にて定義したポリマー電解質(電極間に配置されていて、半導性物質の被膜に接触している)を含むエレクトロクローム系が提供される。ポリマー電解質は少なくとも1種のレドックス対(redox couple)を含み、このレドックス対はバンドギャップの広い半導性物質に対して相補的である。
【0023】
可逆的な色の変化をうけることのできる分子の例としては以下のようなものがあるが、これらに限定されない。
【0024】
【表1】

【0025】
上記の式において、R1〜R10は、アルキル鎖または環中に必要に応じてオキサ置換基、アザ置換基、チア置換基、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシレート、スルホネート、またはオニウム基を含有するアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基である。
【0026】
11〜R16は、アルキル鎖または環中に必要に応じてオキサ置換基、アザ置換基、チア置換基、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシレート、スルホネート、またはオニウム基を含有するアリール、アルキルアリール、または複素環基である。
【0027】
電流を加えることによって色の変化をもたらす着色剤またはレドックス対の例としては次のようなものがある。
・ロイコ(バイオレットクリスタル) ←→ クリスタルバイオレット(紫色の酸化形)、
・ロイコ(マラカイトグリーン) ←→ マラカイトグリーン(緑色の酸化形)、
・ロイコ(メチレンブルー) ←→ メチレンブルー(青色の酸化形)、
・ビス(4−ヒドロキシフェニルアミン) ←→ インドフェノールのイミダゾリウム塩(赤色の酸化形)、
・3,4−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン(アリザリン、赤色の還元形) ←→ 3,4,9,10−テトラヒドロキシ−アントラセン、
・4,4'−ビス(4−ニトロフェニルホルマザン)−3,3'−メトキシ−ビフェニル(青色の還元形) ←→ テトラニトロテトラゾリウムブルーカチオン、
・トリフェニルホルマザン(青色の還元形) ←→ 2,3,5−トリフェニル−2H−テトラゾリウムカチオン、
・1,4−ジアミノフェニル−ヒドラジノ−1−ナフタレン ←→ 1,4−ジアミノフェニル−アゾ−1−ナフタレン(Fat brown RR,栗色の酸化形)
【0028】
レドックス対は相補的な態様にて関連づけることができる。すなわち、試剤の一方が還元によって色の変化を受け、これに対してその相補性物質(complement)が酸化によって色の変化を受ける。したがって、レドックス反応を受けている媒質分子中に色の変化を起こすことなく導入することが可能であり、これによって着色剤の形成反応を単一の電極で起こさせることができる。例えば、二硫化物結合の形成と開裂を含む化合物(例えば、ジメルカプトチアジアゾールやメルカプトメチルテトラゾール、これらの対応するアニオンは本発明の電解質中にて安定である)を挙げることができる。
さらに、上記系列の着色剤と安定なレドックス対を示す有機金属分子(例えば、フェロセンおよびその誘導体)とを結合させることもできるし、あるいはバンドギャップの広い半導性物質(例えば、HxWO3、IrO2x、HxTiO2、HxTa25、HxMnO2、HxNiO2、またはHxCoO2;Xは通常0〜0.4である)を付着させたカウンター電極を使用することもできる。
【0029】
本発明のプロトン伝導体はさらに、電気化学的発電体(electrochemical generator)用として、また少なくとも1つの炭素電極、少なくとも1つの金属酸化物電極、もしくはレドックス特性を有する少なくとも1種のポリマーを含んだ電気化学的スーパーコンデンサー用として有望である。本発明のプロトン伝導体は、高い溶媒和力を有する無水のプロトン性溶媒として、そして化学反応、光化学反応、または電気化学反応を起こさせるための溶媒としても使用することができる。
【0030】
上記のような全ての利点に加えて、本発明のプロトン伝導体は、極性基を含有するポリマー(例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアクリロニトリル、ビニリデンポリフルオライド、またはポリビニルブチラール)と混合するとポリマー電解質を形成する。このように、優れた機械的性質と高い伝導率を有する膜が得られる。さらに、本発明による液状プロトン伝導体、ゲル状プロトン伝導体、またはポリマープロトン伝導体の伝導率は、揮発性の極めて低い少なくとも1種の極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラアルキル−スルホアミド、またはグライム)を加えることによって増大させることができる。
本発明のさらなる特徴と利点は、添付の図面を参照しつつ、好ましい実施態様についての以下の説明を読めばより一層明らかとなるであろう。
【0031】
(好ましい実施態様の説明)
図1に示されているエレクトロクローム系は、ある間隔をあけて互いに対向関係にて配置された2つの透明な半導性電極10を含み、このとき各電極10は、その一方の側が透明支持体12(例えばガラス)に固定されていて、その他方の側にバンドギャップの広い半導性物質の被膜14を含む。本発明のポリマー電解質16'が電極10の間に配置されていて、半導性物質の被膜14に接触している。図2に示されているエレクトロクローム系は、電極10に被膜14が設けられていないこと、またポリマー電解質16’が2種の相補性レドックス着色剤を含んでいること以外は、図1のエレクトロクローム系と類似している。電極10に電圧を加えると、図1に示すエレクトロクローム系の場合には被膜14の色が変化し、また図2に示すエレクトロクローム系の場合には、ポリマープロトン電解質(polymer proton electrolyte)16'中に存在するレドックス着色剤の色が変化する。
【0032】
図3は、イミダゾール/イミダゾリウムトリフラートの二元混合物に対する相図である。図からわかるように、この二元混合物は、イミダゾール/塩(I/S)のモル比が3であるときに共融プラトー(eutectic plateau)を有し、このとき融点は約12℃である。一方、図4は、イミダゾール/イミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミドの二元混合物の相図である。図4からわかるように、この二元混合物は、I/Sのモル比が4であるときに共融プラトーを有し、このとき融点は約−10℃である。一般に、イミダゾール/イミダゾリウムビストリフルオロスルホンイミドの二元混合物は、その共融組成(I/Sのモル比が4である)において−20℃未満の融点を有する。置換基の性質も液体伝導体の特性に影響を及ぼす。したがって、2−ヘキシルイミダゾール/2−ヘキシルイミダゾリウムトリフラートの二元混合物の場合、I/Sのモル比が3または4であるときの共融プラトーの温度は−10℃未満である。
【0033】
図5は、I/Sのモル比が4であるイミダゾール/イミダゾリウムトリフラートの二元混合物に20重量%のポリエチレンオキシドを加えても、系〔このとき系は、薄膜電気化学系(例えば、前記したような光変調システム、発電体、スーパーコンデンサー、およびセンサーなど)を製造するのに特に適したポリマー電解質の皮膜の形態をとっている〕の相図はほとんど変わらないことを示している。図6は、このポリマープロトン電解質の伝導率を示しており、その伝導率をプロトン伝導体である他のポリマー電解質〔オルトリン酸とポリエチレンオキシドを混合することによって得られる電解質(PEO/H3PO4)、オルトリン酸とポリエチレンイミンを混合することによって得られる電解質(PEI/H3PO4)、およびスルファミドとポリエチレンオキシドを混合することによって得られる電解質(PEO/スルファミド)〕の伝導率と比較することができる。したがって、本発明の二元混合物から得られる液体電解質またはポリマー電解質の伝導率は、極めて揮発性の低い極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミドやグライム)を加えることによって増大させることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されることはない。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
15mlのエーテル中に1.36g(20ミリモル)のイミダゾールを溶解して得られる溶液に5.62g(20ミリモル)のビストリフルオロメタンスルホンイミド(CF3SO22NH(Fluka社から市販)を加え、本混合物を1時間攪拌し、次いでNo.3の多孔度を有するガラス濾過器によって沈殿物を除去した。乾燥後、式
【0035】
【化5】

【0036】
で示されるビストリフルオロメタンスルホンイミドのイミダゾリウム塩が定量的に回収された。
イミダゾール/イミダゾリウム塩のモル比が4/1である混合物をグローブボックス中で粉砕することにより、室温より低い融点を有する液体伝導体を得ることができた。この液体伝導体は、20℃にて約10-3S.cm-1という高いプロトン伝導率を有する。
【0037】
(実施例2)
アルゴン雰囲気のグローブボックス中にて、6.81g(100ミリモル)のイミダゾール、5.62g(20ミリモル)のビストリフルオロメタンスルホンイミド(CF3SO22NH(Fluka社から市販)、およびMw=5×106の質量を有する2.49gのポリエチレンオキシド(塩を基準として20重量%)を50mlのギ酸メチル中に溶解して得られる溶液を調製した。次いでこの溶液をポリプロピレンフィルム上に広げた。グローブボックス中で24時間後、良好な機械的特性を有するポリマー電解質の透明皮膜が得られた。
【0038】
(実施例3)
アルゴン雰囲気のグローブボックス中にて、共融組成(モル比4:1)の二元混合物イミダゾール/イミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミドを電解質として使用し、下記の層を重ね合わせることによって、ポリマー技術に基づいて電気化学的膜膜発電体を作製した:
− アナターゼ形二酸化チタンTiO2(45容量%)、シャウィニガンブラック(5容量%)、上記の液体電解質(40容量%)、およびMw=3×105の質量を有するポリエチレンオキシド(10容量%)の混合物によって構成されたアノードで、ステンレス鋼の集電体上に付着させてある;
− アノードの場合と類似の混合物によって構成されたカソードであるが、TiO2の代わりにMnO2を使用し、当量のヒドラジンであらかじめ還元され、ステンレス鋼の集電体上に付着させてある:および
− 上記の液体電解質(80重量%)とポリエチレンオキシド(20重量%)との混合物によって構成された電解質皮膜。
【0039】
組み立て後、全体をボタン形のバッテリーハウジング中に密閉した。最初は放電状態にあるこの電気化学的発電体を、C/10の荷電/放電速度(a charging/discharging rate)にて1.2Vと500mVの間でサイクルさせた。最初の放電での90%の容量を保持しつつ、100回のサイクルが得られた。本発電体は約100Wh/kgという有用なエネルギー密度を有していた。なおエネルギー密度は、160Ah/kgまたは709Ah/lである電気活性物質のみを考慮することにより算出した。
共融組成の二元混合物であるイミダゾリン/イミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミドを使用して電気化学的発電体を作製し、類似の性能が得られた。
【0040】
(実施例4)
無水のチャンバーにて作動するアルゴン雰囲気のWarner & Pfilder押出機中に、Mw=3×105の質量を有する直径2mmのペレット形態のポリエチレンオキシドを一度に全部導入し、次いでイミダゾール、2−ヘキシルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、5μm未満のサイズの粒子に粉砕された水素化フッ化鉄HxFeF3、シャウィニガンブラック、KETJENBLACK(登録商標)K600(アクゾ社から市販)、およびシリカ粒子(デグッサ社からAEROSTL R974の商標で市販)の混合物を押出機中に導入した。各成分は、HxFeF3が総容量の45%を、シャウィニガンブラックが3%を、KETJENBLACK(登録商標)K600が1%を、シリカ粒子が1%を、ポリエチレンオキシドが5%を、そして他の成分が総容量の45%を構成し、イミダゾール/2−ヘキシルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミドのモル比が4:1となるように導入した。全体を、100℃の温度にて14cmの幅と120μmの厚さを有するバンドの形態で押し出し、このときこのカソード皮膜は、8μmの厚さを有するステンレス鋼のシートに直接付着されている。
【0041】
プロセス時に、カソード皮膜複合物自体を、Mw=9×105の質量を有するポリエチレンオキシド(17重量%)、シリカ粒子(AEROSIL R974)、およびイミダゾールと2−ヘキシルイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミドとの混合物(80重量%、モル比4:1)を含んだ混合物を押し出すことによって得られる30μmの厚さの皮膜で被覆した。
プロセス時に、カソードに付着されている電解質皮膜自体を、カソード皮膜と同じ条件下で得られるアノード皮膜(但し、HxFeF3の代わりにアナターゼ形TiO2を使用)で被覆した。次いで全体を、8μmの厚さを有するステンレス鋼のシートで積層した。
最初は放電状態にあるこの電気化学的発電体を、C/10の荷電/放電速度にて1.2Vと500mVの間でサイクルさせた。最初の放電にて78%の容量を保持しつつ、1000回のサイクルが得られた。
【0042】
(実施例5)
実施例3に記載の電気化学的発電体と類似の電気化学的発電体を作製した。但し本実施例では、一方において、電気活性の有機物質(organic electroactive materials)〔アントラヒドロキノン(オキサアントラノール)ベースのアノードおよびテトラクロロキノン(クロラニル)ベースのカソード〕を使用し、また他方において、共融組成を有していてポリエチレンオキシドの代わりにフッ化ポリビニリデン(モンテジソン社から市販)でゲル化させた二元混合物トリアゾール/ビストリフルオロスルホンイミドを使用した。
C/30の放電速度にて得られた放電曲線を図7に示す。この図面では、発電体の電圧U(mVで表示)が縦座標で示されており、また電気活性物質の使用割合X(%で表示)が横座標で示されている。
この発電体は120Ah/kgのエネルギー密度(電気活性物質のみを考慮することによって算出)を有する。
【0043】
(実施例6)
二酸化ルテニウム(RuO2)ベースの電極を使用して電気化学的スーパーコンデンサーを作製した。このタイプのスーパーコンデンサーは、これら酸化物中へのプロトンの偽挿入(pseudo-insertion)という現象を利用している。電極は真空蒸着によって得た。これら電極の2つと、共融組成の二元混合物1,3,4−トリアゾール/1,3,4−トリアゾリウムトリスフルオロ−スルホニルメチリドで構成される電解質とを使用して、スーパーコンデンサーを組み立てた。
このスーパーコンデンサーを、10Cの荷電/放電速度にて0〜1Vにてサイクルさせた。これらの条件下では300000回を越えるサイクルが果たされ、300000回目サイクルでの容量は1回目のサイクルの容量の70%に等しかった。このスーパーコンデンサーは5Wh/kgを越えるエネルギー密度を有し、1kW/kgを越える電力を供給することができる。
【0044】
(実施例7)
活性炭をベースとする電極を使用して電気化学的スーパーコンデンサーを作製した。これらの電極は、還元性媒体中での炭素繊維およびアルミニウム繊維から得られる複合材料であった。150μmの厚さを有する電極を、40μmの厚さの微孔質ポリエチレンのいずれかの側に配置し、共融組成の二元混合物であるピラゾール/ピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドを全体に含浸し、次いでグローブボックス中のボタン形のバッテリーハウジング中に密閉した。
このスーパーコンデンサーを使用すると優れた性能が得られ、10Wh/l以上のエネルギー密度と1500W/l以上の供給電力をもたらしつつ、0〜1の間で200000回を越えるサイクルの荷電/放電が達成された。
【0045】
(実施例8)
アルゴン雰囲気のグローブボックス中にて、共融組成(モル比4:1)の二元混合物1,2,3−トリアゾール/1,2,3−トリアゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミドを電解質として使用し、下記の層を重ね合わせることによってエレクトロクローム系を作製した:
− ガラスプレート上に水素化酸化イリジウムHxIrO2の層と酸化錫の伝導性アンダー層を付着させることによって得られる透明電極;
− 上記の液体電解質(80重量%)とポリエチレンオキシド(20重量%)との混合物で構成される透明なポリマー電解質の皮膜;および
− 三酸化タングステンの層と酸化錫の伝導性アンダー層。
このエレクトロクロームにより、無色状態における80%から有色状態における30%までの光学吸収の変化を得ることができる。
10Cの荷電/放電速度にて上記電極を使用して得られるサイクル曲線を図8に示す。この図面では、クーロンキャパシタンス(coulombic capacitance)対第1のサイクルのキャパシタンス〔C(%で表示)〕が縦座標で与えられており、またサイクル数n(数千のオーダーのサイクルで表示)が横座標で与えられている。
【0046】
(実施例9)
2種の相補性着色剤を、共融組成の二元混合物イミダゾール/イミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミド中に溶解することによって、エレクトロクロームを作製した。グローブボックス中にて、1.75g(5ミリモル)のイミダゾリウムビストリフルオロメタンスルホンイミドと1.36g(20ミリモル)のイミダゾールを一緒に粉砕した。次いで、この二元混合物に、無色の還元状態における16.5mg(50μモル)のロイコ(マラカイトグリーン)と、無色の酸化状態における30.8mg(50μモル)の3−(4,5−ジメチルチアゾリル−2−イル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム(MTT)ビストリフルオロメタンスルホンイミド(臭化物から水中でのアニオン交換によって得られる)を加えた。次いで8重量%のシリカ粒子(AEROSIL R974)を加えた。こうして得られた粘性液体を、酸化錫インジウム(ITO)の導電性層で被覆された2つのガラスプレート間に付着させた。気密にするために集成体を密閉した後、ポテンシオスタットを取り付けた外面に1300mVの電圧を加えた。すると系が有色となり、ロイコ(緑色マラカイト)の酸化形とMTTの還元形がそれぞれ、可視スペクトルにおいて強い吸収バンドを示した。−500mVの電圧を加えることによって、系の比較的速やかな(60秒以下)変色が観察された。このようなエレクトロクローム系は寿命が長く、ガラスだけでなく適切に処理されたポリマーを透明な伝導性電極として使用する、サイズが大きい(1m2以上)系の場合でも使い方が簡単である。さらに、彩色を保持するのに必要なエネルギーは比較的低い(1W/m2以下)。
【0047】
(実施例10)
N,N,N',N'−テトラメチルフェニレンジアミン(無色の還元状態)とジメチルビオロゲンビストリフルオロメタンスルホンイミド(無色の酸化状態)を着色剤として使用して、実施例9に記載のエレクトロクローム系と類似のエレクトロクローム系を作製した。このエレクトロクローム系も、2つの電極に電圧を加えると着色した。驚くべきことに、この系は、着色中にラジカル機構が含まれているにも関わらず高い安定性を示す。この液体電解質は、着色剤を可溶化するだけでなく、ラジカルを安定化させることができる。
(実施例11)
トリアゾール/トリアゾールビストリフルオロメタンスルホンアミドの二元混合物と酸化ルテニウムRuO2を使用して、電気化学的スーパーコンデンサーを作製した。
【0048】
(実施例12)
イミダゾリウム/イミダゾリウム−トリス(フルオロスルホニル)メチドの二元混合物と活性炭酸化物電極を使用し、グライムを可塑剤として加えることによって電気化学的スーパーコンデンサーを作製した。
(実施例13)
トリアゾール/トリアゾリウムトリフラートの二元混合物を使用し、これにポリエチレンオキシドジアクリレート、光増感剤(イルガキュアー)、および架橋剤を加えることによって(すべて紫外線照射下において)、エレクトロクローム系HxIrO2/WO3を作製した。
【0049】
(実施例14)
2種の相補性染料をトリストリフルオロメタンスルホニルメチドの塩中に溶解した状態で使用して、染料を含んだエレクトロクロームを作製した。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明のポリマー電解質を含んだエレクトロクローム系の概略的な部分断面図である。
【図2】図2は、本発明のポリマー電解質を含んだ別のエレクトロクローム系の概略的な部分断面図である。
【図3】図3は、イミダゾール/イミダゾリウムトリフラートの二元混合物の相図を示している。
【図4】図4は、イミダゾール/イミダゾリウムビス(トリフルオロメタン−スルホンイミド)の二元混合物の相図を示している。
【図5】図5は、ポリエチレンオキシドまたはポリエチレングリコールが存在する場合としない場合の、イミダゾール/イミダゾリウムトリフラートの二元混合物の相図を示している。
【図6】図6は、イミダゾール/イミダゾリウムトリフラートの二元混合物の伝導率の変化を、他の電解質と比較しつつ温度の関数として示している略図である。
【図7】図7は、トリアゾール/トリアゾリウム−ビスフルオロ−スルホンイミドの二元混合物を含んだ電気化学的発電体を使用して得られる放電曲線を示している。
【図8】図8は、1,2,3−トリアゾール/1,2,3−トリアゾリウム−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)の二元混合物をポリエチレンオキシド中に溶解して形成されるポリマー電解質を含んだエレクトロクローム系を使用して得られるサイクル曲線(cycling curve)を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a):式
【化1】

〔式中、
1、Z2、Z3、およびZ4は同一でも異なっていてもよく、それぞれが基−N=または−C(Yi)=(式中、Yiは、水素原子、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基もしくは枝分かれ鎖状アルキル基、1〜20個の炭素原子を有するフルオロアルキル基、または1〜20個の炭素原子を有するオキソアルキル基もしくはアザアルキル基である)であり、但しこのとき、基Z1、Z2、Z3、およびZ4の少なくとも1つおよび多くとも2つが−N=であり、2つの隣接炭素原子が必要に応じて水素化されており、窒素ベース物質が必要に応じてポリマーネットワークの一部であり、
は、式RFSO3Hのスルホン酸、式(RFSO2)(R’FSO2)NHのスルホンイミド、および式(RFSO2)(R’FSO2)CH2もしくは式(RFSO2)(R’FSO2)(R”FSO2)CHのメチリドからなる群から選ばれる酸から誘導されるアニオンであって、このときRF、R’F、およびR”Fはそれぞれ、基F(CF2n−を表しており、nは0〜6であり、酸は必要に応じてポリマーネットワークの一部である〕で示される窒素ベース物質の酸付加塩;および
成分(b):式
【化2】

〔式中、Z1、Z2、Z3、およびZ4は前記の意味を有し、窒素ベース物質は必要に応じてポリマーネットワークの一部である〕で示される窒素ベース物質;
の混合物を含み、
このとき成分(a)と(b)が25℃未満の融点を有する組成物を形成するような割合にて存在する、液体形態のプロトン伝導体。
【請求項2】
成分(a)と成分(b)との混合物を含んだ組成物が実質的に共融である、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項3】
成分(a)が、式
【化3】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有するイミダゾールからなる窒素ベース物質の酸付加塩である、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項4】
成分(a)が、式
【化4】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有する1,2,3−トリアゾールからなる窒素ベース物質の酸付加塩である、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項5】
成分(a)が、式
【化5】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有する1,3,4−トリアゾールからなる窒素ベース物質の酸付加塩である、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項6】
成分(a)が、式
【化6】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有するピラゾールからなる窒素ベース物質の酸付加塩である、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項7】
成分(a)が、式
【化7】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有するイミダゾリンからなる窒素ベース物質の酸付加塩である、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項8】
前記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ビスフルオロスルホンイミド、ビストリフルオロメタンスルホンイミド、ビストリフルオロメタン−スルホニルメタン、トリストリフルオロメタン−スルホニルメタン、およびトリスフルオロスルホニルメタンからなる群から選ばれる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【請求項9】
成分(a)が、トリフルオロメタンスルホン酸によるイミダゾールの付加塩である、請求項3記載のプロトン伝導体。
【請求項10】
成分(a)が、ビスフルオロスルホンイミドによるイミダゾールの付加塩である、請求項3記載のプロトン伝導体。
【請求項11】
成分(a)が、ビストリフルオロメタンスルホンイミドによるイミダゾールの付加塩である、請求項3記載のプロトン伝導体。
【請求項12】
成分(a)が、トリフルオロメタンスルホン酸による2−へキシルイミダゾールの付加塩である、請求項3記載のプロトン伝導体。
【請求項13】
成分(b)が、式
【化8】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有するイミダゾールからなる窒素ベース物質である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【請求項14】
成分(b)が、式
【化9】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有する1,2,3−トリアゾールからなる窒素ベース物質である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【請求項15】
成分(b)が、式
【化10】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有する1,3,4−トリアゾールからなる窒素ベース物質である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【請求項16】
成分(b)が、式
【化11】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有するピラゾールからなる窒素ベース物質である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【請求項17】
成分(b)が、式
【化12】

(式中、Yiは前記の意味を有する)を有するイミダゾリンからなる窒素ベース物質である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【請求項18】
成分(b)がイミダゾールからなる窒素ベース物質である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【請求項19】
成分(b)が2−ヘキシルイミダゾールからなる窒素ベース物質である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【請求項20】
3モルのイミダゾールと1モルのイミダゾリウムトリフラートとの混合物を含む、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項21】
4モルのイミダゾールと1モルのイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)との混合物を含む、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項22】
4モルのイミダゾールと1モルのイミダゾリウムビスフルオロスルホンイミドとの混合物を含む、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項23】
3モルまたは4モルの2−ヘキシルイミダゾールと1モルの2−ヘキシルイミダゾリウムとの混合物を含む、請求項1記載のプロトン伝導体。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載のプロトン伝導体からなる液体電解質。
【請求項25】
請求項1〜23のいずれか一項に記載のプロトン伝導体を含み、少なくとも1種の極性基を含んだポリマー中に溶解されたポリマー電解質。
【請求項26】
前記ポリマーがポリエチレンオキシドである、請求項25記載のポリマー電解質。
【請求項27】
ある間隔をあけて互いに対向関係にて配置された2つの透明な半導性電極、このとき各電極は、その一方の側が透明支持体に固定されていて、その他方の側にバンドギャップの広い半導性物質の被膜を含む;および
前記電極の間に配置されていて半導性物質の被膜に接触している、請求項25または26に記載のポリマー電解質;
を含むエレクトロクローム系。
【請求項28】
ある間隔をあけて互いに対向関係にて配置された2つの透明な半導性電極、このとき各電極は、その一方の側が透明支持体に固定されている;および
前記電極の間に配置されていて各電極の他方の側に接触しており、そして少なくとも1種のレドックス着色剤を含んでいる、請求項25または26に記載のポリマー電解質;
を含むエレクトロクローム系。
【請求項29】
ある間隔をあけて互いに対向関係にて配置された2つの透明な半導性電極、このとき各電極は、その一方の側が透明支持体に固定されており、電極の一方が、その他方の側にバンドギャップの広い半導性物質の被膜を含む;及び
前記電極の間に配置されていて半導性物質の被膜に接触しており、そしてバンドギャップの広い前記半導性物質に対して相補的である少なくとも1種のレドックス対を含んでいる、請求項25または26に記載のポリマー電解質;
を含むエレクトロクローム系。
【請求項30】
アノード、カソード、および前記アノードと前記カソードの間に配置された、請求項24〜26のいずれか一項に記載の電解質を含むエレクトロクローム発電体。
【請求項31】
アノード、カソード、および前記アノードと前記カソードの間に配置された、請求項24〜26のいずれか一項に記載の電解質を含む電気化学的スーパーコンデンサー。
【請求項32】
請求項1〜23のいずれか一項に記載のプロトン伝導体を含むセンサー。
【請求項33】
請求項1〜23のいずれか一項に記載のプロトン伝導体からなる無水プロトン性溶媒。
【請求項34】
化学反応、光化学反応、または電気化学反応を起こさせるための、請求項33記載の無水プロトン性溶媒の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−4374(P2009−4374A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143090(P2008−143090)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【分割の表示】特願平10−529517の分割
【原出願日】平成9年12月30日(1997.12.30)
【出願人】(597164909)イドロ−ケベック (30)
【氏名又は名称原語表記】Hydro−Quebec
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】