説明

液体検出装置及び同装置を備えた液体容器

【課題】 液体の有無を確実に判定できる液体検出装置及び同装置を備えた液体容器を提供する。
【解決手段】 本発明は、両面に電極46,49が形成された圧電層47を有する圧電素子を用いて、検出対象の液体を受け入れるキャビティ43の底面43aを振動させる液体検出装置60である。同装置60は、振動可能な底面43aを有するキャビティ43が形成された振動キャビティ形成基部40と、振動キャビティ形成基部40に積層された流路形成基部50と、を備える。流路形成基部50には、キャビティ43に検出対象の液体を供給する液体供給路53と、キャビティ43から検出対象の液体を排出する液体排出路54とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体検出装置及び同装置を備えた液体容器に係わり、特に、液体噴射装置における液体残量の検出に適した液体検出装置及び同装置を備えた液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体噴射装置の代表例としては、画像記録用のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置がある。その他の液体噴射装置としては、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置等が挙げられる。
【0003】
液体噴射装置の代表例であるインクジェット式記録装置においては、圧力発生室を加圧する圧力発生手段と、加圧されたインクをインク滴として射出するノズル開口と、を有するインクジェット記録ヘッドがキャリッジに搭載されている。
【0004】
インクジェット式記録装置では、インク容器内のインクが流路を介して記録ヘッドに供給され続けることにより、印刷を継続可能に構成されている。インク容器は、例えばインクが消費された時点でユーザが簡単に交換できる、着脱可能なカートリッジとして構成されている。
【0005】
従来、インクカートリッジのインク消費の管理方法としては、記録ヘッドでのインク滴の射出数やメンテナンスにより吸引されたインク量をソフトウエアにより積算してインク消費を計算により管理する方法や、インクカートリッジに液面検出用の電極を取付けることにより実際にインクが所定量消費された時点を管理する方法などがある。
【0006】
しかしながら、ソフトウェアによりインク滴の吐出数やインク量を積算してインク消費を計算上管理する方法には、次のような問題がある。ヘッドの中には吐出インク滴に重量バラツキを有するものがある。このインク滴の重量バラツキは画質には影響を与えないが、バラツキによるインク消費量の誤差が累積した場合を考慮して、マージンを持たせた量のインクをインクカートリッジに充填してある。従って、個体によってはマージン分だけインクが余るという問題が生ずる。
【0007】
一方、電極によりインクが消費された時点を管理する方法は、インクの実量を検出できるので、インク残量を高い信頼性で管理できる。しかしながら、インクの液面の検出をインクの導電性に頼ることになるので、検出可能なインクの種類が限定されてしまったり、電極のシール構造が複雑化してしまうという欠点がある。また、電極の材料としては、通常は導電性が良く耐腐食性も高い貴金属が使用されるので、インクカートリッジの製造コストがかさむ。さらに、2本の電極を装着する必要があるため、製造工程が多くなり、結果として製造コストがかさんでしまう。
【0008】
上記の課題を解決すべく開発された装置が、特開2001−146024号に圧電装置として開示されている。この圧電装置は、液体残量を正確に検出でき、かつ複雑なシール構造を不要としたものであり、液体容器に装着して使用することができる。
【0009】
即ち、特開2001−146024号に記載の圧電装置によれば、圧電装置の振動部に対向する空間にインクが存在する場合とインクが存在しない場合とで、駆動パルスにより強制的に振動させた後の圧電装置の振動部の残留振動(自由振動)に起因して発生する残留振動信号の共振周波数が変化することを利用して、インクカートリッジ内のインク残量を監視することができる。
【0010】
図49は、上述した従来の圧電装置を構成するアクチュエータを示している。このアクチュエータ606は、ほぼ中央に円形状の開口661を有する基板678と、開口661を被覆するように基板678の一方の面(以下、「表面」という。)に配置される振動板676と、振動板676の表面の側に配置される圧電層660と、圧電層660を両方からはさみこむ上部電極664および下部電極666と、上部電極664と電気的に結合する上部電極端子668と、下部電極666と電気的に結合する下部電極端子670と、上部電極664および上部電極端子668の間に配設され両者を電気的に結合する補助電極672と、を有する。
【0011】
圧電層660、上部電極664および下部電極666は、それぞれの本体部としての円形部分を有する。そして、圧電層660、上部電極664および下部電極666のそれぞれの円形部分が、圧電素子を形成している。
【0012】
振動板676は、基板678の表面に、開口661を覆うように形成される。振動板676のうち実際に振動する振動領域は、開口661によって決定される。キャビティ662は、開口661と面する振動板676の部分と基板(キャビティ形成部材)678の開口661とによって形成される。圧電素子とは反対側の基板678の面(以下、「裏面」という。)は、インク容器内方に面している。これにより、キャビティ662は液体(インク)と接触するように構成されている。なお、キャビティ662内に液体が入っても基板678の表面側に液体が漏れないように、振動板676は基板678に対して液密に取り付けられている。
【0013】
そして、上述した従来の技術におけるアクチュエータ606では、圧電素子に駆動パルスを印加して振動部を強制的に振動させた後に生じる振動部の残留振動(自由振動)が、同じ圧電素子によって逆起電力として検出される。そして、インク容器内の液面がアクチュエータ606の設置位置(厳密にはキャビティ662の位置)を通過する前後で振動部の残留振動状態が変化すること利用して、インク容器内のインク残量を検出することができる。
【特許文献1】特開2001−146024号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した従来のアクチュエータ(圧電装置)606は、図50に示したようにインクカートリッジ680の容器本体681の容器壁に装着され、検出対象のインクを受け入れるキャビティ662をインク容器680内部のインク貯留空間に露出させるように構成されている。
【0015】
ところが、上述した従来のアクチュエータ(圧電装置)606においては、前記の如くインクカートリッジ680内部のインク貯留空間にキャビティ662を露出させるように構成されていたため、振動等によってインクカートリッジ680内部のインクが泡立つと、アクチュエータ606のキャビティ662内に気泡が容易に進入してしまう。このようにキャビティ662に気泡が進入してそこに滞留すると、インクカートリッジ680のインク残量が十分であるにもかかわらず、アクチュエータ606により検出される残留振動の共振周波数が速くなり、液面がアクチュエータ606の位置を通過してインク残量が少なくなったものと誤判定するという問題があった。
【0016】
また、液面の通過タイミングを精度良く検出するためにアクチュエータ606のキャビティ662の寸法を小さくすると、キャビティ662内にインクのメニスカスが形成されやすくなる。このため、インクの消費により液面がキャビティ662の位置を通過したにもかかわらず、キャビティ662の内部にインクが残留することにより、液面がアクチュエータ606の位置を通過しておらずインク残量が十分にあるものと誤判定するという問題があった。
【0017】
また、上記アクチュエータ606では、インクカートリッジ680内部のインク貯留空間にキャビティ662を露出させるように構成されているため、アクチュエータ606の振動板676や圧電層660に対してインク貯留空間のインクの圧力が直接的に影響してしまうため、例えばオンキャリッジのインクカートリッジ680等においては、印字動作中のキャリッジの往復運動によってインク貯留空間内のインクが激しく振動し、この振動で発生したインクの圧力が直接的にアクチュエータ606に影響して誤判定するという問題があった。
【0018】
さらに、アクチュエータ606と面する位置にインクの振動や波を防ぐ防波壁等を形成することも検討されているが、アクチュエータ606周辺の空間構造が複雑になり、アクチュエータ606により検出される残留振動の振動モードもそれだけ複雑化し、センシングしにくくなって検出感度を鈍らせることになりかねない。
【0019】
本発明は、上述した事情を考慮して成されたものであって、液体の有無を確実に判定することができる液体検出装置及び同装置を備えた液体容器を提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、上述した事情を考慮して成されたものであって、振動モードを単純にして検出感度を高めるとともに、液体から受ける振動の影響を低減することにより、液体の有無を確実に判定することができる液体検出装置および同装置を備えた液体容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、本発明による液体検出装置は、互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された流路形成基部であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成されている流路形成基部と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、好ましくは、前記液体供給路の入口は、前記キャビティに対応する領域を外して配置されている。
【0023】
また、好ましくは、前記液体排出路の出口は、前記キャビティに対応する領域に合わせて形成されている。
【0024】
また、好ましくは、前記液体排出路の出口は、前記キャビティに対応する領域を外して配置されている。
【0025】
また、好ましくは、前記振動キャビティ形成基部は、前記キャビティを形成する貫通孔が形成されたキャビティ板と、前記キャビティ板に積層された振動板と、を有し、前記流路形成基部は、前記液体供給路の主要部及び前記液体排出路の主要部が形成された流路板と、前記液体供給路の入口及び前記液体排出路の出口が形成され、前記流路板に積層された出入口板と、を有する。
【0026】
また、好ましくは、前記振動板、前記キャビティ板、前記流路板、及び前記出入口板が、同一材質から成り、一体的に焼結されている。
【0027】
また、好ましくは、振動領域を形成する前記キャビティの底面は実質的に円形である。
【0028】
上記課題を解決するために、本発明による液体容器は、内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、前記容器本体に装着された液体検出装置と、を備え、前記液体検出装置は、互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された流路形成基部であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成されている流路形成基部と、を備え、前記容器本体の内部の液体が、前記液体検出装置の前記液体供給路を介して前記キャビティに供給され、前記液体排出路を介して前記キャビティから排出されるように構成されたことを特徴とする。
【0029】
また、好ましくは、前記液体検出装置の前記液体供給路の入口から流入して前記液体排出路の出口から排出された液体が前記容器本体の前記液体送出口に送られるように構成されている。
【0030】
また、好ましくは、前記容器本体の前記液体送出口に送られる液体の全量が事前に前記液体検出装置の前記液体供給路及び前記液体排出路を通過するように構成されている。
【0031】
また、好ましくは、前記容器本体の内部は、互いに分離された第1室と第2室とに区画されており、前記第2室は、液体消費時の液体の流れ方向において前記第1室よりも前記液体送出口に近い側に位置しており、前記液体検出装置の前記液体供給路の入口は前記第1室に連通し、前記液体排出路の出口は前記第2室に連通し、前記液体供給路及び前記液体排出路が前記第1室と前記第2室とを連絡する連絡流路を形成している。
【0032】
また、好ましくは、前記第1室は、前記容器本体の内部空間全体のうちの主要な部分を構成する主貯留室を形成し、前記第2室は、前記主貯留室よりも小さな容積を有する副貯留室を形成している。
【0033】
また、好ましくは、前記液体排出路の出口は、前記副貯留室の上端側に連通している。
【0034】
また、好ましくは、密閉された補助流路を前記第1室の内部に形成し、前記補助流路の上端側に前記液体供給路の入口に連通する補助流路出口を形成し、前記補助流路の下端側に前記第1室に連通する補助流路入口を形成し、前記補助流路入口は前記第1室の内部の下端側に位置している。
【0035】
また、好ましくは、前記液体検出装置は前記容器本体の外側に装着されており、前記容器本体の容器壁には、前記液体供給路の入口に連通する入口側開口と、前記液体排出路の出口に連通する出口側開口とが貫通形成されている。
【0036】
また、好ましくは、前記キャビティに向かって突出するようにして前記容器本体に設けられ、前記容器本体内の液体が消費される際に前記容器本体内の液体の流れを規制して前記キャビティに向かう液体の流れを生じさせる液流規制部をさらに有する。
【0037】
また、好ましくは、前記液体供給路は、液体供給溝によって形成されており、前記液体排出路は、液体排出溝によって形成されており、前記容器本体の容器壁には、前記液体供給溝、前記キャビティ、及び前記液体排出溝に連通する単一の液体流通開口が形成されており、前記液流規制部は、液体の流れ方向において前記液体供給溝と前記液体排出溝との間に配置されている。
【0038】
また、好ましくは、前記液体検出装置は、前記キャビティが前記圧電素子よりも垂直方向の下方に位置するようにして前記容器本体に装着されている。
【0039】
また、好ましくは、前記液体容器は、液体噴射装置に着脱自在に装着される液体カートリッジである。
【0040】
本発明によれば、キャビティ内での気泡の滞留やインクの残留を防止して、液体の有無を確実に判定することができる液体検出装置及び同装置を備えた液体容器を提供することができる。
【0041】
上記課題を解決するために、本発明による液体容器は、互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、を有する液体検出装置と、内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体であって、内部に貯留した液体が前記キャビティに流入するようにして前記液体検出装置が装着された容器本体と、前記キャビティに向かって突出するようにして前記容器本体に設けられ、前記容器本体内の液体が消費される際に前記容器本体内の液体の流れを規制して前記キャビティに向かう液体の流れを生じさせる液流規制部と、を備えたことを特徴とする。
【0042】
また、好ましくは、前記容器本体の内部は、互いに分離された第1室と第2室とに区画されており、前記第2室は、液体消費時の液体の流れ方向において前記第1室よりも前記液体送出口に近い側に位置しており、前記液流規制部は前記第1室と前記第2室との境界に配置されている。
【0043】
また、好ましくは、前記第1室は、前記容器本体の内部空間全体のうちの主要な部分を構成する主貯留室を形成し、前記第2室は、前記主貯留室よりも小さな容積を有する副貯留室を形成している。
【0044】
また、好ましくは、前記液流規制部は、前記副貯留室の上端側に配置されている。
【0045】
また、好ましくは、密閉された補助流路を前記第1室の内部に形成し、前記補助流路の上端側に補助流路出口を形成すると共に前記補助流路出口の近傍に前記液流規制部を配置し、前記補助流路の下端側に前記第1室に連通する補助流路入口を形成し、前記補助流路入口は前記第1室の内部の下端側に位置している。
【0046】
また、好ましくは、前記液体検出装置は前記容器本体の外側に装着されており、前記液体検出装置の前記キャビティに対向する部分の前記容器本体の容器壁には、前記容器本体内の液体を前記キャビティに流入させるための液体流通開口が貫通形成されている。
【0047】
また、好ましくは、前記液体検出装置は、前記振動キャビティ形成基部に積層された流路形成基部をさらに有し、前記流路形成基部には、前記キャビティに液体を供給する液体供給溝と、前記キャビティから液体を排出する液体排出溝とが形成されている。
【0048】
また、好ましくは、前記液体供給溝及び前記液体排出溝は、前記キャビティに対応する領域を外して配置されている。
【0049】
また、好ましくは、前記振動キャビティ形成基部は、前記キャビティを形成する貫通孔が形成されたキャビティ板と、前記キャビティ板に積層された振動板と、を有し、前記振動板、前記キャビティ板、及び前記流路形成基部が、同一材質から成り、一体的に焼結されている。
【0050】
また、好ましくは、振動領域を形成する前記キャビティの底面は実質的に円形である。
【0051】
また、好ましくは、前記液体容器は、液体噴射装置に着脱自在に装着される液体カートリッジである。
【0052】
本発明によれば、キャビティ内での気泡の滞留やインクの残留を防止して、液体の有無を確実に判定することができる液体検出装置を備えた液体容器を提供することができる。
【0053】
上記課題を解決するために、本発明による液体容器は、内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、前記容器本体に装着された液体検出装置と、を備え、前記液体検出装置は、互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、を備え、前記容器本体は、前記液体検出装置の前記キャビティに連通する第1開口及び第2開口を有し、前記液体検出装置は、前記キャビティが前記圧電素子よりも垂直方向の下方に位置するようにして前記容器本体に装着されており、前記第1開口から流出した液体が前記キャビティに流入し、前記第2開口を介して前記キャビティから前記容器本体の内部に液体が流れるように構成されていることを特徴とする。
【0054】
また、好ましくは、前記液体検出装置は、さらに、前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された流路形成基部であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給口と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出口とが形成されている出入口形成基板を有し、前記第1開口が前記液体供給口に連通し、前記第2開口が前記液体排出口に連通している。
【0055】
また、好ましくは、前記容器本体の内部は、互いに分離された第1貯留室と第2貯留室とに区画されており、前記第1開口は前記第1貯留室に連通し、前記第2開口は前記第2貯留室に連通し、前記第1貯留室内の液体は、前記第1開口、前記キャビティ、及び前記第2開口を介して前記第2貯留室に供給される。
【0056】
本発明によれば、液体検出装置のキャビティ内におけるインクの残留を防止して、液体の有無を確実に判定することができる液体容器を提供することができる。
【0057】
上記課題を解決するために、本発明による液体検出装置は、互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、を備え、前記キャビティの平面形状は、長手方向寸法及び前記長手方向寸法よりも短い幅方向寸法を有し、前記第1電極は、前記キャビティに対応する領域の略全体を覆うようにして形成されており、前記第2電極は、前記キャビティの4つの隅部に対応する部分を切り欠くようにして略十字状に形成されていることを特徴とする。
【0058】
また、好ましくは、前記キャビティは、互いに直交する第1対称軸及び第2対称軸を有し、前記幅方向寸法は前記第1対称軸に沿った寸法であり、前記長手方向寸法は前記第2対称軸に沿った寸法である請求項1記載の液体検出装置。
【0059】
また、好ましくは、前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された出入口形成板であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給口と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出口とが形成された出入口形成板をさらに有する。
【0060】
また、好ましくは、前記液体供給口及び前記液体排出口が前記キャビティの長手方向の両端部に対応する位置に配置されている。
上記課題を解決するために、本発明による液体検出装置は、互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されており、前記キャビティの平面形状は、長手方向寸法及び前記長手方向寸法よりも短い幅方向寸法を有する、振動キャビティ形成基部と、前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された出入口形成板であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給口と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出口とが形成されており、前記液体供給口及び前記液体排出口が前記キャビティの長手方向の両端部に対応する位置に配置されている出入口形成板と、を備えたことを特徴とする。
【0061】
また、好ましくは、前記キャビティは、互いに直交する第1対称軸及び第2対称軸を有し、前記幅方向寸法は前記第1対称軸に沿った寸法であり、前記長手方向寸法は前記第2対称軸に沿った寸法である。
【0062】
また、好ましくは、前記液体供給口及び前記液体排出口が前記キャビティに対応する領域の内側に形成されている。
【0063】
また、好ましくは、前記振動キャビティ形成基部は、前記キャビティを形成する貫通孔が形成されたキャビティ板と、前記キャビティ板に積層された振動板と、を有する。
【0064】
また、好ましくは、前記圧電層は、その全体が前記キャビティに対応する領域の内側に形成されている。
【0065】
また、好ましくは、前記キャビティの長手方向における前記圧電層の寸法は前記キャビティの前記長手方向寸法よりも大きく、前記圧電層は、前記キャビティの長手方向において前記キャビティをその全長にわたって覆うように形成されている。
【0066】
上記課題を解決するために、本発明は、内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、前記容器本体に装着された液体検出装置と、を備えた液体容器において、前記液体検出装置は、互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、を備え、前記キャビティの平面形状は、長手方向寸法及び前記長手方向寸法よりも短い幅方向寸法を有し、前記第1電極は、前記キャビティに対応する領域の略全体を覆うようにして形成されており、前記第2電極は、前記キャビティの4つの隅部に対応する部分を切り欠くようにして略十字状に形成されていることを特徴とする。
【0067】
上記課題を解決するために、本発明は、内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、前記容器本体に装着された液体検出装置と、を備えた液体容器において、前記液体検出装置は、互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されており、前記キャビティの平面形状は、長手方向寸法及び前記長手方向寸法よりも短い幅方向寸法を有する、振動キャビティ形成基部と、前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された出入口形成板であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給口と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出口とが形成されており、前記液体供給口及び前記液体排出口が前記キャビティの長手方向の両端部に対応する位置に配置されている出入口形成板と、を備えていることを特徴とする。
【0068】
本発明によれば、キャビティ内での気泡の滞留やインクの残留を防止する上で好適なキャビティ形状を採用すると共に、振動部の残留振動時における不要振動の発生を防止して、液体の有無を確実に判定することができる液体検出装置及び同装置を備えた液体容器を提供することができる。
【0069】
本発明によれば、キャビティ内での気泡の滞留やインクの残留を防止する上で好適なキャビティ形状を採用すると共に、キャビティの長手方向の両端部に対応する位置に液体供給口及び液体排出口を設けることにより、キャビティ内での気泡の滞留やインクの残留を防止して、液体の有無を確実に判定することができる液体検出装置及び同装置を備えた液体容器を提供することができる。
【0070】
上記課題を解決するために、本発明による液体検出装置は、互いに対向する第1面および第2面を有し、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、上記第1面側に開口するようにして形成され、上記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、
上記振動キャビティ形成基部の上記第2面側に形成された第1電極、上記第1電極に積層された圧電層、および上記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、
上記振動キャビティ形成基部の上記第1面側に積層され、上記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、上記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成された流路形成基部とを備え、
上記キャビティ,液体供給路および液体排出路を含んで形成される空間が、液体供給路と液体排出路に挟まれた領域に存在するキャビティの中心に対して対称に形成されていることを要旨とする。
【0071】
すなわち、本発明の液体検出装置は、振動キャビティ形成基部の上記第1面側に積層され、上記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、上記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成された流路形成基部とを備えているため、キャビティへの液体の供給が液体供給路を介して行われ、キャビティからの液体の排出が液体排出路を介して行われるので、液体検出装置を検出対象とする液体の容器等に装着する際には、検出対象とする液体の収容空間に液体検出装置のキャビティを露出させることなく、液体供給路を介して液体をキャビティに供給することができる。
【0072】
このように、液体の消費時に液体検出装置の液体供給路および液体排出路の内部を液体が流れるように構成することによって、もし仮にキャビティの内部に気泡が進入したとしても、液体の流れによってキャビティ内から気泡が押し出される。これにより、キャビティ内に気泡が滞留することによる液体検出装置の誤検出を防止することができ、検出精度を向上させ、残量液体が減って産業廃棄物の減少にもつながる。
【0073】
また、キャビティを液体の収容空間に露出させる必要がないので、液面通過時にキャビティ内にメニスカスが形成されることを防止できる。これにより、キャビティ内での液体の残留による液体検出装置の誤検出を防止することができる。しかも、キャビティが液体の収容空間に向かって露出した空間ではなく、流路形成基部により上記収容空間から仕切られた空間となっているため、液面の変化や液体の有無等によって、キャビティ底面を強制振動させたときのキャビティ底面に残る残留振動の違いが大きくなり、検出感度が高くなって検出精度を高めることができ、誤検出を防止することができる。
【0074】
また、上記キャビティ,液体供給路および液体排出路を含んで形成される空間が、液体供給路と液体排出路に挟まれた領域に存在するキャビティの中心に対して対称に形成されているため、キャビティ底面の振動が伝播する空間であるキャビティ,液体供給路および液体排出路を含んで形成される空間の空間形状が単純化し、キャビティ底面に残る残留振動の振動モードも単純化する。このため、キャビティ底面を強制振動させたときの残留振動のシュミレーションも行いやすくなり、設計と実際との乖離が少なくなって、調整作業が少なくてすんだり、検出精度を向上させたりすることが可能となる。
【0075】
本発明において、上記キャビティを形成する空間は実質的に円筒形である場合には、キャビティ底面の振動が伝播する空間であるキャビティの空間形状がより単純化し、キャビティ底面に残る残留振動の振動モードも単純化する。そして、キャビティ底面を強制振動させたときの残留振動のシュミレーションも極めて行いやすくなり、設計と実際との乖離が少なくなって、調整作業が少なくて済み、検出精度を向上させることが可能となる。
【0076】
本発明において、上記液体供給路および液体排出路は、それぞれキャビティに対して流路面積が絞られるとともに、内部に液体の流体的質量が存在するよう長さが設定されている場合には、液体供給路および液体排出路に適当な流路抵抗が生じるため、キャビティ底面の振動によって発生するキャビティ内の圧力変動が両バッファ室に拡散されてしまうのを防止し、適切な残留振動を発生させて検出精度を向上し確保することが可能となる。
【0077】
本発明において、上記液体供給路に連通する供給側バッファ室と、上記液体排出路に連通する排出側バッファ室とを備えた場合には、キャビティに対して液体が出入する液体供給路および液体排出路が、それぞれ供給側バッファ室と排出側バッファ室に対して開口し、検出対象とする液体の貯留空間に対して直接開口するのではないため、液体の貯留空間において液体の振動等によって気泡が発生したとしても、気泡は供給側バッファ室や排出側バッファ室に一旦トラップされてキャビティに侵入しにくくなる。したがって、キャビティ内に気泡が滞留することによる液体検出装置の誤検出を防止することができる。
【0078】
また、キャビティに対して液体が出入する液体供給路および液体排出路が、液体の貯留空間に対して直接開口するのではなく、それぞれ供給側バッファ室と排出側バッファ室に対して開口しているため、液体の貯留空間に発生した液体の圧力が直接キャビティに作用しないため、液体の振動等による圧力の影響による液体検出装置の誤検出を防止することができる。
【0079】
本発明において、上記供給側バッファ室と排出側バッファ室は、上記キャビティの中心に対して対称に形成されている場合には、供給側バッファ室と排出側バッファ室とを対称とすることにより両バッファ室を構成する部材の形状が単純化し、製造が容易になるうえ、部材の小型化も可能となる。
【0080】
本発明において、上記供給側バッファ室および排出側バッファ室は、それぞれキャビティの容量の少なくとも10倍以上の容量を有するものである場合には、液体容器内の液体貯留空間に発生した液体の圧力変動が液体検出装置のセンサ特性にほとんど影響しなくなり、液体の振動等による圧力の影響による液体検出装置の誤検出を防止することができる。さらに、キャビティ底面の振動によって両バッファ室内の圧力が高まることがないため、余分な振動が発生しなくなり、キャビティ底面に残る残留振動の振動モードが単純化し、検出精度を向上させることが可能となる。
【0081】
上記課題を解決するために、本発明による液体容器は、内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、
上記容器本体に装着された液体検出装置とを備え、
上記液体検出装置は、
互いに対向する第1面および第2面を有し、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、上記第1面側に開口するようにして形成され、上記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、
上記振動キャビティ形成基部の上記第2面側に形成された第1電極、上記第1電極に積層された圧電層、および上記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、
上記振動キャビティ形成基部の上記第1面側に積層され、上記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、上記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成された流路形成基部とを備え、
上記キャビティ,液体供給路および液体排出路を含んで形成される空間が、液体供給路と液体排出路に挟まれた領域に存在するキャビティの中心に対して対称に形成され、
上記容器本体の内部の液体が、上記液体検出装置の上記液体供給路を介して上記キャビティに供給され、上記液体排出路を介して上記キャビティから排出されるように構成されたことを要旨とする。
【0082】
すなわち、本発明の液体容器は、振動キャビティ形成基部の上記第1面側に積層され、上記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、上記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成された流路形成基部とを備えているため、キャビティへの液体の供給が液体供給路を介して行われ、キャビティからの液体の排出が液体排出路を介して行われるので、液体容器に液体検出装置を装着する際には、液体容器の容器本体内の液体収容空間に液体検出装置のキャビティを露出させることなく、液体供給路を介して容器本体内の液体をキャビティに供給することができる。
【0083】
このように、液体容器内の液体の消費時に液体検出装置の液体供給路および液体排出路の内部を液体が流れるように構成することによって、もし仮にキャビティの内部に気泡が進入したとしても、液体の流れによってキャビティ内から気泡が押し出される。これにより、キャビティ内に気泡が滞留することによる液体検出装置の誤検出を防止することができる。
【0084】
また、キャビティを容器本体内の液体収容空間に露出させる必要がないので、液面通過時にキャビティ内にメニスカスが形成されることを防止できる。これにより、キャビティ内での液体の残留による液体検出装置の誤検出を防止することができる。しかも、キャビティが液体の収容空間に向かって露出した空間ではなく、流路形成基部により上記収容空間から仕切られた空間となっているため、液面の変化や液体の有無等によって、キャビティ底面を強制振動させたときのキャビティ底面に残る残留振動の違いが大きくなり、検出感度が高くなって検出精度を高めることができ、誤検出を防止することができる。
【0085】
また、上記キャビティ,液体供給路および液体排出路を含んで形成される空間が、液体供給路と液体排出路に挟まれた領域に存在するキャビティの中心に対して対称に形成されているため、キャビティ底面の振動が伝播する空間であるキャビティ,液体供給路および液体排出路を含んで形成される空間の空間形状が単純化し、キャビティ底面に残る残留振動の振動モードも単純化する。このため、キャビティ底面を強制振動させたときの残留振動のシュミレーションも行いやすくなり、設計と実際との乖離が少なくなって、調整作業が少なくてすんだり、検出精度を向上させたりすることが可能となる。
【0086】
本発明において、上記液体検出装置のキャビティを形成する空間は実質的に円筒形である場合には、キャビティ底面の振動が伝播する空間であるキャビティの空間形状がより単純化し、キャビティ底面に残る残留振動の振動モードも単純化する。そして、キャビティ底面を強制振動させたときの残留振動のシュミレーションも極めて行いやすくなり、設計と実際との乖離が少なくなって、調整作業が少なくて済み、検出精度を向上させることが可能となる。
【0087】
本発明において、上記液体供給路および液体排出路は、それぞれキャビティに対して流路面積が絞られるとともに、内部に液体の流体的質量が存在するよう長さが設定されている場合には、液体供給路および液体排出路に適当な流路抵抗が生じるため、キャビティ底面の振動によって発生するキャビティ内の圧力変動が両バッファ室に拡散されてしまうのを防止し、適切な残留振動を発生させて検出精度を向上し確保することが可能となる。
【0088】
本発明において、上記液体検出装置に、上記液体供給路に連通する供給側バッファ室と、上記液体排出路に連通する排出側バッファ室とを備えた場合には、キャビティに対して液体が出入する液体供給路および液体排出路が、それぞれ供給側バッファ室と排出側バッファ室に対して開口し、容器本体の液体貯留空間に対して直接開口するのではないため、液体貯留空間において液体の振動等によって気泡が発生したとしても、気泡は供給側バッファ室や排出側バッファ室に一旦トラップされてキャビティに侵入しにくくなる。したがって、キャビティ内に気泡が滞留することによる液体検出装置の誤検出を防止することができる。この場合において、液体検出装置を液体容器の底部近傍に配置した場合には、より気泡の侵入を防止する効果が高くなる。
【0089】
また、キャビティに対して液体が出入する液体供給路および液体排出路が、容器本体の液体貯留空間に対して直接開口するのではなく、それぞれ供給側バッファ室と排出側バッファ室に対して開口しているため、液体容器内の液体貯留空間に発生した液体の圧力が直接キャビティに作用しないため、液体の振動等による圧力の影響による液体検出装置の誤検出を防止することができる。
【0090】
本発明において、上記液体検出装置の供給側バッファ室と排出側バッファ室は、上記キャビティの中心に対して対称に形成されている場合には、供給側バッファ室と排出側バッファ室とを対称とすることにより両バッファ室を構成する部材の形状が単純化し、製造が容易になるうえ、部材の小型化も可能となる。
【0091】
本発明において、上記液体検出装置の上記供給側バッファ室および排出側バッファ室は、それぞれキャビティの容量の少なくとも10倍以上の容量を有するものである場合には、液体容器内の液体貯留空間に発生した液体の圧力変動が液体検出装置のセンサ特性にほとんど影響しなくなり、液体の振動等による圧力の影響による液体検出装置の誤検出を防止することができる。さらに、キャビティ底面の振動によって両バッファ室内の圧力が高まることがないため、余分な振動が発生しなくなり、キャビティ底面に残る残留振動の振動モードが単純化し、検出精度を向上させることが可能となる。
【0092】
本発明において、上記供給側バッファ室は、上記容器本体の内部空間のうちの主要な部分を構成して液体を貯留する液体貯留室に連通し、上記排出側バッファ室は、上記容器本体の内部空間のうち内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口に連通する液体送出空間に連通している場合には、上記容器本体の液体貯留室に貯留された液体が、液体検出装置の上記供給側バッファ室の入口から流入して排出側バッファ室の出口から排出されて上記容器本体の液体送出口に送られるとともに、上記容器本体の上記液体送出口に送られる液体の全量が事前に上記液体検出装置の上記供給側バッファ室,キャビティおよび排出側バッファ室を通過するため、液体の消費を確実に検知することができる。
【0093】
上記課題を解決するために、本発明による液体容器は、容器本体と、前記容器本体の内部と流体連通する液体送出口と、圧電素子と、前記圧電素子が少なくとも部分的に配置された振動部と、前記振動部に面するキャビティと、前記容器本体の内部と前記キャビティとを流体連通させる第1流路と、前記容器本体の内部と前記キャビティとを流体連通させる第2流路と、を備えたことを特徴とする。
【0094】
また、好ましくは、前記圧電素子と前記容器本体の壁との間に配置された板部材であって、一端側が封止された孔を含む、板部材をさらに有し、前記孔の封止端は前記振動部として機能し、前記孔の内部は前記キャビティとして機能する。
【0095】
また、好ましくは、平面を含む第1板部材であって、前記圧電素子と前記容器本体の壁との間に配置された第1板部材と、貫通孔を含み、前記第1板部材の前記平面に取り付けられた第2板部材であって、前記第1板部材と前記容器本体の壁との間に配置された第2板部材と、をさらに有し、前記第1板部材の一部は前記振動部として機能し、前記平面に垂直な方向から見て、前記第1板部材の前記一部は、前記第2板部材の前記貫通孔の位置に対応しており、前記第1板部材の前記一部によって一端が封止された前記貫通孔の内部は、前記キャビティとして機能する。
【0096】
また、好ましくは、平面を含む板部材をさらに有し、前記容器本体の壁は、凹部及び前記凹部の周囲の外面を含み、前記板部材の前記平面は、前記容器本体の壁の前記凹部の周囲の外面に取り付けられており、前記板部材の一部は、前記平面に垂直な方向から見て前記容器本体の壁の前記凹部の位置に対応すると共に、前記振動部として機能する。
【0097】
また、好ましくは、第1貫通孔及び第2貫通孔を含む板部材であって、前記キャビティと前記容器本体の壁との間に配置された板部材をさらに有し、前記第1流路は、少なくとも部分的に前記第1貫通孔によって画成されており、前記第2流路は、少なくとも部分的に前記第2貫通孔によって画成されている。
【0098】
また、好ましくは、第1溝及び第2溝を含む板部材であって、前記キャビティと前記容器本体の壁との間に配置された板部材をさらに有し、前記第1流路は、少なくとも部分的に前記第1溝によって画成されており、前記第2流路は、少なくとも部分的に前記第2溝によって画成されている。
【0099】
また、好ましくは、前記容器本体の壁は、第1貫通孔及び第2貫通孔を含み、前記第1流路は、少なくとも部分的に前記第1貫通孔によって画成されており、前記第2流路は、少なくとも部分的に前記第2貫通孔によって画成されている。
【0100】
また、好ましくは、前記容器本体の壁に形成された第1流通路と、前記容器本体の壁に形成された第2流通路と、をさらに有し、前記第1流路は、少なくとも部分的に前記第1流通路によって画成されており、前記第2流路は、少なくとも部分的に前記第2流通路によって画成されている。
【0101】
また、好ましくは、前記第1流路は、第1最大断面領域を含む第1流通路と、前記第1最大断面領域よりも大きな第2最大断面領域を含む第2流通路であって、前記第1流通路に接続された第2流通路と、前記第2最大断面領域よりも小さな第3最大断面領域を含む第3流通路であって、前記第1流通路と前記第3流通路とが前記第2流通路を介して互いに流体連通するように前記第2流通路に接続された、第3流通路と、を有する。
【0102】
また、好ましくは、前記第1流通路、前記第2流通路、及び前記第3流通路の少なくとも一つは、前記容器本体の壁の中に形成されている。
【0103】
また、好ましくは、前記第1流通路、前記第2流通路、及び前記第3流通路の少なくとも一つは、前記容器本体の壁に取り付けられた別個の部材に形成されている。
【0104】
また、好ましくは、前記第2流路は、第1最大断面領域を含む第1流通路と、前記第1最大断面領域よりも大きな第2最大断面領域を含む第2流通路であって、前記第1流通路に接続された第2流通路と、前記第2最大断面領域よりも小さな第3最大断面領域を含む第3流通路であって、前記第1流通路と前記第3流通路とが前記第2流通路を介して互いに流体連通するように前記第2流通路に接続された、第3流通路と、を有する。
【0105】
また、好ましくは、前記第1流通路、前記第2流通路、及び前記第3流通路の少なくとも一つは、前記容器本体の壁の中に形成されている。
【0106】
また、好ましくは、前記第1流通路、前記第2流通路、及び前記第3流通路の少なくとも一つは、前記容器本体の壁に取り付けられた別個の部材に形成されている。
【0107】
また、好ましくは、前記容器本体は、上流室と下流室とに区画されており、前記上流室は、前記第1流路、前記キャビティ、及び前記第2流路を介して前記下流室と流体連通している。
【0108】
また、好ましくは、前記上流室、前記第1流路、前記キャビティ、前記第2流路、及び前記下流室は、この順序で連続して接続されている。
【0109】
また、好ましくは、前記上流室は、第3流路を介して前記下流室と流体連通している。
【0110】
また、好ましくは、前記第1流路、前記キャビティ、及び前記第2流路は、バイパス流路を形成し、且つ、前記第3流路及び前記バイパス流路は、並列に、前記下流室及び前記上流室に接続されている。
【0111】
また、好ましくは、前記液体送出口は、前記第1及び第2流路とは異なる第3流路と流体連通している。
【0112】
また、好ましくは、前記上流室は、前記キャビティよりも大きな容積を有する。
【0113】
また、好ましくは、前記下流室は、前記キャビティよりも大きな容積を有する。
【0114】
また、好ましくは、前記上流室は、少なくとも部分的に前記キャビティに面している。
【0115】
このように上流室を、少なくとも部分的にキャビティに面するように配置することによって、振動部によりキャビティ内の液体に与えられた振動が、ある一定の容積を持つ上流室にも直接伝わることで、不要な残留振動によるノイズを低減することができる。
【0116】
また、好ましくは、前記下流室は、少なくとも部分的に前記キャビティに面している。
【0117】
このように下流室を、少なくとも部分的にキャビティに面するように配置することによって、振動部によりキャビティ内の液体に与えられた振動が、ある一定の容積を持つ下流室にも直接伝わることで、不要な残留振動によるノイズを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0118】
以下、本発明の一実施形態による液体検出装置及びこの液体検出装置を備えたインクカートリッジ(液体容器)ついて図面を参照して説明する。
【0119】
図1は、本実施形態によるインクカートリッジが使用されるインクジェット式記録装置(液体噴射装置)の概略構成を示し、図1中符号1はキャリッジであり、このキャリッジ1はキャリッジモータ2により駆動されるタイミングベルト3を介し、ガイド部材4に案内されてプラテン5の軸方向に往復移動されるように構成されている。
【0120】
キャリッジ1の記録用紙6に対向する側にはインクジェット式記録ヘッド12が搭載され、またその上部には記録ヘッド12にインクを供給するインクカートリッジ7が着脱可能に装着されている。
【0121】
この記録装置の非印字領域であるホームポジション(図中、右側)にはキャップ部材31が配置されており、このキャップ部材31はキャリッジ1に搭載された記録ヘッドがホームポジションに移動した時に、記録ヘッドのノズル形成面に押し当てられてノズル形成面との間に密閉空間を形成するように構成されている。そして、キャップ部材31の下方には、キャップ部材31により形成された密閉空間に負圧を与えてクリーニング等を実施するためのポンプユニット10が配置されている。
【0122】
そして、キャップ部材31における印字領域側の近傍には、ゴムなどの弾性板を備えたワイピング手段11が記録ヘッドの移動軌跡に対して例えば水平方向に進退できるように配置されていて、キャリッジ1がキャップ部材31側に往復移動するに際して、必要に応じて記録ヘッドのノズル形成面を払拭することができるように構成されている。
【0123】
図2乃至図4は、本実施形態による液体検出装置60を示した図であり、この液体検出装置60は、キャビティ板41に振動板42を積層して構成された振動キャビティ形成基部40を有し、この振動キャビティ形成基部40は、互いに対向する第1面40a及び第2面40bを有する。
【0124】
振動キャビティ形成基部40には、検出対象の媒体(インク)を受け入れるための円形のキャビティ43が、第1面40a側に開口するようにして形成されており、キャビティ43の底面部43aが振動板42にて振動可能に形成されている。換言すれば、振動板42全体のうちの実際に振動する部分は、キャビティ43によってその輪郭が規定されている。振動キャビティ形成基部40の第2面40b側の両端には、下部電極端子44及び上部電極端子45が形成されている。
【0125】
振動キャビティ形成基部40の第2面40bには下部電極(第1電極)46が形成されており、この下部電極46は、略円形の本体部46aと、この本体部46aから下部電極端子44の方向に延出して下部電極端子44に接続された延出部46bとを有する。下部電極46の略円形の本体部46aの中心はキャビティ43の中心と一致している。
【0126】
下部電極46の略円形の本体部46aは、円形のキャビティ43よりも大径に形成され、キャビティ43に対応する領域の略全体を覆っている。また、この下部電極46の略円形の本体部46aは、キャビティ43の周縁43aに対応する位置よりも内側に入り込むようにして形成された切欠き部46cを含んでいる。
【0127】
下部電極46の上には圧電層47が積層されており、この圧電層47は、キャビティ43よりも小径に形成された円形の本体部47aと、キャビティ43に対応する領域の範囲内において本体部47aから突出した突出部47bとを有する。図2から分かるように、圧電層47はその全体がキャビティ43に対応する領域の範囲内に収まっている。換言すれば、圧電層47は、キャビティ43の周縁43aに対応する位置を横切って延在する部分をまったく有していない。
【0128】
圧電層47の本体部47aの中心はキャビティ43の中心と一致しており、圧電層47の本体部47aは、下部電極46の切欠き部46cに対応する部分を除いてその略全体が下部電極46に積層されている。
【0129】
振動キャビティ形成基部40の第2面40b側には補助電極48が形成されている。この補助電極48は、キャビティ43に対応する領域の外側から、キャビティ43の周縁43aに対応する位置を越えてキャビティ43に対応する領域の内部まで延在する。補助電極48の一部は、第1電極46の切欠き部46cの内部に位置して圧電層47の延出部47b及びその近傍を基板40の第2面40b側から支持している。この補助電極48は、好ましくは、下部電極46と同じ材質で且つ同じ厚さを有している。このように補助電極48によって圧電層47の延出部47b及びその近傍を基板40の第2面40b側から支持することによって、圧電層47に段差が生じないようにして機械的強度の低下を防止することができる。
【0130】
圧電層47には、上部電極(第2電極)49の円形の本体部49aが積層されており、この上部電極49は、圧電層47の本体部47aよりも小径に形成されている。また、上部電極49は、本体部49aから延出して補助電極48に接続された延出部49bを有している。図3(b)から分かるように、上部電極49の延出部49bと補助電極48との接続が始まる位置Pは、キャビティ43に対応する領域の範囲内に位置している。
【0131】
下部電極46、圧電層47、及び上部電極49のそれぞれの本体部によって圧電素子が形成されている。
【0132】
図2から分かるように、上部電極49は補助電極48を介して上部電極端子45に電気的に接続されている。このように補助電極48を介して上部電極49を上部電極端子45に接続することによって、圧電層47及び下部電極46の合計の厚さから生じる段差を、上部電極49と補助電極48との両方によって吸収することができる。このため、上部電極49に大きな段差が生じて機械的強度が低下することを防止することができる。
【0133】
上部電極49の本体部49aは円形を成しており、その中心はキャビティ43の中心と一致している。上部電極49の本体部49aは、圧電層47の本体部47a及びキャビティ43のいずれよりも小径に形成されている。
【0134】
このように、圧電層47の本体部47aは、上部電極49の本体部49aと下部電極46の本体部46aとによって挟みこまれる構造となっている。これにより、圧電層47は効果的に変形駆動され得る。
【0135】
なお、圧電層47と電気的に接続された下部電極46の本体部46aおよび上部電極49の本体部49aのうち、上部電極49の本体部49aの方が小径に形成されている。従って、上部電極49の本体部49aが、圧電層47のうちで圧電効果を発生する部分の範囲を決定することになる。
【0136】
圧電層47の本体部47a、上部電極49の本体部49a、及び下部電極46の本体部46aは、それらの中心がキャビティ43の中心と一致している。また、振動板42の振動可能な部分を決定する円形状のキャビティ43の中心は、液体検出装置60の全体の中心に位置している。
【0137】
キャビティ43によって規定される振動板42の振動可能な部分、下部電極46の本体部46aのうちのキャビティ43に対応する部分、圧電層47の本体部47a及び突出部47b、並びに上部電極49の本体部49a及び延出部49bのキャビティ43に対応する部分は、液体検出装置60の振動部61を構成する。そして、この液体検出装置60の振動部61の中心は、液体検出装置60の中心と一致する。
【0138】
更に、圧電層47の本体部47a、上部電極49の本体部49a、下部電極46の本体部46a、及び振動板42の振動可能な部分(即ちキャビティ43の底面部43aに対応する部分)が円形形状を有しており、しかも、圧電層47の全体、即ち圧電層47の本体部47a及び延出部47bがキャビティ43に対応する領域の内部に配置されているので、液体検出装置60の振動部61は液体検出装置60の中心に対して略対称な形状である。
【0139】
さらに、本実施形態による液体検出装置60は、振動キャビティ形成基部40の第1面40aに積層され接合された流路形成基部50を備えている。この流路形成基部50は、流路板51と出入口板52とを積層し接合して形成されている。
【0140】
流路形成基部50には、キャビティ43に検出対象のインクを供給するインク供給路(液体供給路)53と、キャビティ43から検出対象のインクを排出するインク排出路(液体排出路)54とが形成されている。
【0141】
より具体的には、インク供給路53の主要部53a及びインク排出路54の主要部54aが流路板51に形成されており、インク供給路53の入口53b及びインク排出路54の出口54bが出入口板52に形成されている。
【0142】
また、インク供給路53の入口53bは、キャビティ43に対応する領域を外して配置されている。一方、インク排出路54の出口54bは、キャビティ43に対応する領域に合わせて、キャビティ43の外周形状に整合させて形成されている。
【0143】
液体検出装置60に含まれる部材、特にキャビティ板41、振動板42、流路板51、及び出入口板52は、同一材質で形成されると共に互いに焼成されることによって一体的に形成されている。このように複数の基板を焼成して一体化することによって、液体検出装置60の取り扱いが容易になる。また、各部材を同一材質で形成することによって、線膨張係数の違いによるクラックの発生を防止することができる。
【0144】
圧電層47の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、を用いることが好ましい。キャビティ板41の材料としては、ジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板42には、キャビティ板41と同じ材料を用いることが好ましい。上部電極49、下部電極46、上部電極端子45および下部電極端子44は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0145】
図4は、上述した液体検出装置60が装着されたインクカートリッジ(液体容器)70を示しており、このインクカートリッジ70は、内部に貯留したインクを外部に送出するインク送出口(液体送出口)71を有する容器本体72を備えている。
【0146】
液体検出装置60はその全体が容器本体72の外側に装着されており、容器本体72の容器壁には、液体検出装置60のインク供給路53の入口53bに連通する入口側開口73と、インク排出路54の出口54bに連通する出口側開口74とが貫通形成されている。
【0147】
容器本体72の内部は、容器本体72の内部空間全体のうちの主要な部分を構成する主貯留室(第1室)75と、この主貯留室75よりも小さな容積を有する副貯留室(第2室)76とに区画されており、主貯留室75と副貯留室76とは互いに分離されている。副貯留室76は、インク消費時のインクの流れ方向において主貯留室75よりもインク送出口71に近い側に位置すると共に、インク送出口71に連通している。
【0148】
容器本体72の容器壁に形成された出口側開口74は、副貯留室76の上端部に連通している。上述したように出口側開口74には、液体検出装置60のインク排出路54の出口54bが接続されている。
【0149】
主貯留室75の内部には、密閉された補助流路77が形成されており、この補助流路77の下端側には補助流路入口77aが形成されている。補助流路入口77aは、主貯留室75の内部の下端に位置している。また、補助流路77の上端部に、容器本体72の容器壁に形成された入口側開口73が連通しており、この入口側開口73が補助流路77の出口を構成している。
【0150】
上述したように液体検出装置60のインク供給路53の入口53bが入口側開口73に連通し、インク排出路54の出口54bが出口側開口74に連通しており、これにより、液体検出装置60のインク供給路53及びインク排出路54が主貯留室75と副貯留室76とを連絡する連絡流路を形成している。
【0151】
そして、インクカートリッジ70内のインクが消費される際には、主貯留室75内のインクは、補助流路入口77aから補助流路77内に流入し、この補助流路77を通って入口側開口73へと流れる。入口側開口73から流出したインクは、液体検出装置60のインク供給路53の入口53bからインク供給路53内に流入し、キャビティ43及びインク排出路54を経由して、インク排出路54の出口54bから流出する。インク排出路54の出口54bから流出したインクは、出口側開口74を介して副貯留室76内に流入する。そして、副貯留室76内に流入したインクが、インク送出口71を介してインクジェット式記録装置の記録ヘッド12へ供給される。
【0152】
このように本実施形態においては、副貯留室76を通ってインク送出口71に送られるインクの全量が、事前に液体検出装置60のインク供給路53及びインク排出路54を通過するように構成されている。
【0153】
上述した液体検出装置60を備えたインクカートリッジ70においては、容器本体72にインクが十分に残っており、副貯留室76の内部がインクで満たされている場合には、キャビティ43内はインクによって満たされている。一方、インクカートリッジ7の容器本体72内の液体が消費され、主貯留室75内のインクがなくなると、副貯留室76内の液面が低下し、液体検出装置60のキャビティ43の位置よりも下方まで液面が降下すると、キャビティ43内にインクが存在しない状態となる。
【0154】
そこで、液体検出装置60は、この状態の変化に起因する音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、液体検出装置60は、容器本体72にインクが十分に残っている状態であるか、あるいは、ある一定以上のインクが消費された状態であるか、を検知することができる。
【0155】
より具体的には、液体検出装置60において、上部電極端子45および下部電極端子44を介して上部電極49と下部電極46との間に電圧を印加する。すると、圧電層47のうち、上部電極49および下部電極46に挟まれた部分に電界が生じる。この電界によって圧電層47が変形する。圧電層47が変形することによって、振動板42のうちの振動領域(キャビティ43の底面部43aに対応する領域)に、たわみ振動が生じる。このようにして圧電層47を強制的に変形させた後、電圧の印加を解除すると、しばらくは、たわみ振動が液体検出装置60の振動部61に残留する。
【0156】
この残留振動は、液体検出装置60の振動部61とキャビティ43内の媒体との自由振動である。従って、圧電層47に印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすることで、電圧を印加した後の振動部61と媒体との共振状態を容易に得ることができる。この残留振動は、液体検出装置60の振動部61の振動であり、圧電層47の変形を伴う。このため、残留振動に伴って圧電層47は逆起電力を発生する。この逆起電力は、上部電極49、下部電極46、上部電極端子45および下部電極端子44を介して検出される。このようにして検出された逆起電力によって共振周波数が特定できるので、この共振周波数に基づいてインクカートリッジ7の容器本体72内のインクの有無を検出することができる。
【0157】
図5(a)、(b)は、液体検出装置60に駆動信号を供給して振動部61を強制的に振動させた場合における、液体検出装置60の振動部61の残留振動(自由振動)の波形と残留振動の測定方法とを示している。図5(a)は、液体検出装置60のキャビティ43内にインクがあるときの波形であり、一方、図5(b)は液体検出装置60のキャビティ43内にインクがないときの波形である。
【0158】
図5(a)、(b)において、縦軸は液体検出装置60に加えられる駆動パルス及び液体検出装置60の振動部61の残留振動によって発生した逆起電力の電圧を示し、横軸は経過時間を示す。液体検出装置60の振動部61の残留振動によって、電圧のアナログ信号の波形が発生する。次に、アナログ信号を、信号の周波数に対応するデジタル数値に変換(二値化)する。図5に示した例においては、アナログ信号の4パルス目から8パルス目までの4個のパルスが生じる時間を計測している。
【0159】
より詳細には、液体検出装置60に駆動パルスを印加して振動部61を強制的に振動させた後、残留振動による電圧波形が、予め設定された所定の基準電圧を低電圧側から高電圧側へ横切る回数をカウントする。そして、4カウントから8カウントまでの間をHighとしたデジタル信号を生成し、所定のクロックパルスによって4カウントから8カウントまでの時間を計測する。
【0160】
図5(a)と図5(b)とを比較すると、図5(a)の方が図5(b)よりも4カウントから8カウントまでの時間が長いことがわかる。換言すると、液体検出装置60のキャビティ43におけるインクの有無によって4カウントから8カウントまでの所要時間が異なる。この所要時間の相違を利用して、インクの消費状態を検出することができる。
【0161】
アナログ波形の4カウント目から数えるのは、液体検出装置60の残留振動(自由振動)が安定してから計測をはじめるためである。4カウント目からとしたのは単なる一例であって、任意のカウントから数えてもよい。ここでは、4カウント目から8カウント目までの信号を検出し、所定のクロックパルスによって4カウント目から8カウント目までの時間を測定している。この時間に基いて、共振周波数を求めることができる。クロックパルスは、8カウント目までの時間を測定する必要は無く、任意のカウントまで数えてもよい。
【0162】
図5においては、4カウント目から8カウント目までの時間を測定しているが、周波数を検出する回路構成にしたがって、異なったカウント間隔内の時間を検出してもよい。例えば、インクの品質が安定していてピークの振幅の変動が小さい場合には、検出の速度を上げるために4カウント目から6カウント目までの時間を検出することにより共振周波数を求めてもよい。また、インクの品質が不安定でパルスの振幅の変動が大きい場合には、残留振動を正確に検出するために4カウント目から12カウント目までの時間を検出してもよい。
【0163】
このように本実施形態による液体検出装置60においては、液体検出装置60の装着位置レベル(厳密にはキャビティ43の位置)を液面が通過したか否かについて、液体検出装置60の振動部61を強制的に振動させた後の残留振動の周波数の変化や振幅の変化によって検出することができる。
【0164】
以上述べたように本実施形態による液体検出装置60においては、キャビティ43へのインクの供給がインク供給路53を介して行われ、キャビティ43からのインクの排出がインク排出路54を介して行われるので、インクカートリッジ70に液体検出装置60を装着する際には、インクカートリッジ70の容器本体72内のインク収容空間に液体検出装置60のキャビティ43を露出させることなく、インク供給路53を介して容器本体72内のインクをキャビティ43に供給することができる。
【0165】
このため、インクカートリッジ70内のインクの消費時に液体検出装置60のインク供給路53及びインク排出路54の内部をインクが流れるように構成することによって、もし仮にキャビティ43の内部に気泡が進入したとしても、インクの流れによってキャビティ43内から気泡が押し出される。これにより、キャビティ43内に気泡が滞留することによる液体検出装置60の誤検出を防止することができる。
【0166】
また、本実施形態による液体検出装置60においては、キャビティ43を容器本体72内のインク収容空間に露出させる必要がないので、液面通過時にキャビティ43内にメニスカスが形成されることを防止できる。これにより、キャビティ43内でのインクの残留による液体検出装置60の誤検出を防止することができる。
【0167】
また、本実施形態による液体検出装置60においては、インク供給路53の入口53bがキャビティ43に対応する領域を外して配置されているので、液体検出装置60を容器本体72の所定位置に装着する際の作業が容易になる。
【0168】
また、本実施形態による液体検出装置60においては、インク排出路54の出口54bがキャビティ43に対応する領域に合わせて形成されているので、キャビティ43内に進入した気泡を確実に排出することができる。
【0169】
また、本実施形態によるインクカートリッジ70においては、容器本体72の内部を、互いに分離された主貯留室75と副貯留室76とに区画すると共に、液体検出装置60のインク供給路53及びインク排出路54を介して主貯留室75と副貯留室76とを連絡し、液体検出装置60のキャビティ43を副貯留室76の上端部に配置するようにした。
【0170】
このため、主貯留室75内のインクが無くなった時点を液体検出装置60によって確実に検出することができるので、ユーザーにインクエンドが近づいていることを報知できる。さらに、予め分かっている副貯留室76内のインク量に基づいて、残存インクでの印刷可能枚数等をユーザーに知らせることが可能であり、1ページの途中でインクが無くなって印刷用紙を無駄にしてしまうようなことを防止できる。
【0171】
また、本実施形態によるインクカートリッジ70においては、密閉された補助流路77を主貯留室75の内部に形成し、補助流路77の補助流路入口77aを主貯留室75の下端に位置させると共に、補助流路77の上端部に液体検出装置60のインク供給路53の入口53bを連通させるようにした。このため、主貯留室75内で発生した気泡は補助流路77の内部に進入し難く、液体検出装置60のキャビティ43への気泡の進入を防止することができる。
【0172】
さらに、本実施形態によるインクカートリッジ70においては、主貯留室75内のインクがすべて消費されるまで、副貯留室76の内部はインクで満たされた状態にあるので、インクカートリッジ70に振動が加えられた場合でも、主貯留室75内にインクが残っている限りは副貯留室76内で液面が揺れるということがない。従って、液面の揺れによって液体検出装置60が誤検出を起こすことを防止することができる。
【0173】
また、本実施形態による液体検出装置60によれば、振動部61と液体とが接触する範囲が、キャビティ43が存在する範囲に限られているので、液体の検出をピンポイントで行うことが可能であり、これにより、インクレベルを高精度にて検出することができる。
【0174】
また、キャビティ43に対応する領域の略全体を下部電極46の本体部46aで覆うようにしたので、強制振動時の変形モードと自由振動時の変形モードとの相違が小さくなる。また、液体検出装置60の振動部61が液体検出装置60の中心に対して対称な形状であるので、この振動部61の剛性はその中心から見てほぼ等方的となる。
【0175】
このため、構造の非対称性から生じ得る不要な振動の発生が抑制される共に、強制振動時と自由振動時との間の変形モードの相違による逆起電力の出力低下が防止される。これにより、液体検出装置60の振動部61における残留振動の共振周波数の検出精度が向上すると共に、振動部61の残留振動の検出が容易になる。
【0176】
また、キャビティ43に対応する領域の略全体をキャビティ43よりも大径の下部電極46の本体部46aで覆うようにしたので、製造時における下部電極46の位置ズレに起因する不要振動の発生が防止され、検出精度の低下を防止することができる。
【0177】
また、硬いが脆弱な圧電層47の全体がキャビティ43に対応する領域の内部に配置されており、キャビティ43の周縁43aに対応する位置には圧電層47が存在しない。このため、キャビティの周縁に対応する位置での圧電膜のクラックの問題がない。
【0178】
次に、本発明の他の実施形態による液体検出装置及び同装置を備えたインクカートリッジについて図6乃至図8を参照して説明する。
【0179】
本実施形態による液体検出装置60Aにおいては、インク排出路54の出口54bが、キャビティ43に対応する領域を外した位置であって、キャビティ43を間に挟んでインク供給路53の入口53bと反対側の位置に配置されている。
【0180】
さらに、図8(a)に示したように本実施形態によるインクカートリッジ70Aにおいては、容器本体72の内部に形成された副貯留室76の上部に、上方に突出した突出部76aが形成されている。そして、容器本体72の容器壁に形成される出口側開口74は、突出部76aに対応する位置に形成されている。つまり、液体検出装置60Aのインク排出路54の出口54bは、出口側開口74を介して副貯留室76の突出部76aに連通している。
【0181】
上記構成より成る本実施形態によれば、上述した実施形態とほぼ同様の効果が得られると共に、液体検出装置60Aにおいて、インク排出路54の出口54bが、キャビティ43を間に挟んでインク供給路53の入口53bと反対側の位置に配置されているので、入口53bと出口54bとの間隔を大きく取ることができる。このため、液体検出装置60をインクカートリッジ70の容器本体72の所定位置に装着する際の作業がより一層容易になる。
【0182】
以下、本発明の他の一実施形態による液体検出装置及びこの液体検出装置を備えたインクカートリッジ(液体容器)ついて図面を参照して説明する。
【0183】
図9乃至図12は、本実施形態によるインクカートリッジに装着される液体検出装置160を示した図であり、この液体検出装置160は、キャビティ板141に振動板142を積層して構成された振動キャビティ形成基部140を有し、この振動キャビティ形成基部140は、互いに対向する第1面140a及び第2面140bを有する。
【0184】
振動キャビティ形成基部140には、検出対象の媒体(インク)を受け入れるための円形のキャビティ143が、第1面140a側に開口するようにして形成されており、キャビティ143の底面部143aが振動板42にて振動可能に形成されている。換言すれば、振動板142全体のうちの実際に振動する部分は、キャビティ143によってその輪郭が規定されている。振動キャビティ形成基部140の第2面140b側の両端には、下部電極端子144及び上部電極端子145が形成されている。
【0185】
振動キャビティ形成基部140の第2面140bには下部電極(第1電極)146が形成されており、この下部電極146は、略円形の本体部146aと、この本体部146aから下部電極端子144の方向に延出して下部電極端子144に接続された延出部146bとを有する。下部電極146の略円形の本体部146aの中心はキャビティ143の中心と一致している。
【0186】
下部電極146の略円形の本体部146aは、円形のキャビティ143よりも大径に形成され、キャビティ143に対応する領域の略全体を覆っている。また、この下部電極146の略円形の本体部146aは、キャビティ143の周縁143aに対応する位置よりも内側に入り込むようにして形成された切欠き部146cを含んでいる。
【0187】
下部電極146の上には圧電層147が積層されており、この圧電層147は、キャビティ143よりも小径に形成された円形の本体部147aと、キャビティ143に対応する領域の範囲内において本体部147aから突出した突出部147bとを有する。図9から分かるように、圧電層147はその全体がキャビティ143に対応する領域の範囲内に収まっている。換言すれば、圧電層147は、キャビティ143の周縁143aに対応する位置を横切って延在する部分をまったく有していない。
【0188】
圧電層147の本体部147aの中心はキャビティ143の中心と一致しており、圧電層147の本体部147aは、下部電極146の切欠き部146cに対応する部分を除いてその略全体が下部電極146に積層されている。
【0189】
振動キャビティ形成基部140の第2面140b側には補助電極148が形成されている。この補助電極148は、キャビティ143に対応する領域の外側から、キャビティ143の周縁143aに対応する位置を越えてキャビティ143に対応する領域の内部まで延在する。補助電極148の一部は、第1電極146の切欠き部146cの内部に位置して圧電層147の延出部147b及びその近傍を基板140の第2面140b側から支持している。この補助電極148は、好ましくは、下部電極146と同じ材質で且つ同じ厚さを有している。このように補助電極148によって圧電層147の延出部147b及びその近傍を基板140の第2面140b側から支持することによって、圧電層147に段差が生じないようにして機械的強度の低下を防止することができる。
【0190】
圧電層147には、上部電極(第2電極)149の円形の本体部149aが積層されており、この上部電極149は、圧電層147の本体部147aよりも小径に形成されている。また、上部電極149は、本体部149aから延出して補助電極148に接続された延出部149bを有している。図10(b)から分かるように、上部電極149の延出部149bと補助電極148との接続が始まる位置Pは、キャビティ143に対応する領域の範囲内に位置している。
【0191】
下部電極146、圧電層147、及び上部電極149のそれぞれの本体部によって圧電素子が形成されている。
【0192】
図9から分かるように、上部電極149は補助電極148を介して上部電極端子145に電気的に接続されている。このように補助電極148を介して上部電極149を上部電極端子145に接続することによって、圧電層147及び下部電極146の合計の厚さから生じる段差を、上部電極149と補助電極148との両方によって吸収することができる。このため、上部電極149に大きな段差が生じて機械的強度が低下することを防止することができる。
【0193】
上部電極149の本体部149aは円形を成しており、その中心はキャビティ143の中心と一致している。上部電極149の本体部149aは、圧電層147の本体部147a及びキャビティ143のいずれよりも小径に形成されている。
【0194】
このように、圧電層147の本体部147aは、上部電極149の本体部149aと下部電極146の本体部146aとによって挟みこまれる構造となっている。これにより、圧電層147は効果的に変形駆動され得る。
【0195】
なお、圧電層147と電気的に接続された下部電極146の本体部146aおよび上部電極149の本体部149aのうち、上部電極149の本体部149aの方が小径に形成されている。従って、上部電極149の本体部149aが、圧電層147のうちで圧電効果を発生する部分の範囲を決定することになる。
【0196】
圧電層147の本体部147a、上部電極149の本体部149a、及び下部電極146の本体部146aは、それらの中心がキャビティ143の中心と一致している。また、振動板142の振動可能な部分を決定する円形状のキャビティ143の中心は、液体検出装置160の全体の中心に位置している。
【0197】
キャビティ143によって規定される振動板142の振動可能な部分、下部電極146の本体部146aのうちのキャビティ143に対応する部分、圧電層147の本体部147a及び突出部147b、並びに上部電極149の本体部149a及び延出部149bのキャビティ143に対応する部分は、液体検出装置160の振動部161を構成する。そして、この液体検出装置160の振動部161の中心は、液体検出装置160の中心と一致する。
【0198】
更に、圧電層147の本体部147a、上部電極149の本体部149a、下部電極146の本体部146a、及び振動板142の振動可能な部分(即ちキャビティ143の底面部143aに対応する部分)が円形形状を有しており、しかも、圧電層147の全体、即ち圧電層147の本体部147a及び延出部147bがキャビティ143に対応する領域の内部に配置されているので、液体検出装置160の振動部161は液体検出装置160の中心に対して略対称な形状である。
【0199】
さらに、本実施形態による液体検出装置160は、振動キャビティ形成基部140の第1面140aに積層され接合された流路形成基部150を備えている。この流路形成基部150には、キャビティ143に検出対象のインクを供給するインク供給溝(液体供給溝)153と、キャビティ143から検出対象のインクを排出するインク排出溝(液体排出溝)154とが形成されている。インク供給溝153及びインク排出溝154は、キャビティ143を間に挟んで互いに対向する位置において、キャビティ143に対応する領域を外して配置されている。
【0200】
液体検出装置160に含まれる部材、特にキャビティ板141、振動板142、及び流路形成基部150は、同一材質で形成されると共に互いに焼成されることによって一体的に形成されている。このように複数の基板を焼成して一体化することによって、液体検出装置160の取り扱いが容易になる。また、各部材を同一材質で形成することによって、線膨張係数の違いによるクラックの発生を防止することができる。
【0201】
圧電層147の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、を用いることが好ましい。キャビティ板141の材料としては、ジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板142には、キャビティ板141と同じ材料を用いることが好ましい。上部電極149、下部電極146、上部電極端子145および下部電極端子144は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0202】
図11は、上述した液体検出装置160が装着されたインクカートリッジ(液体容器)170を示しており、このインクカートリッジ170は、内部に貯留したインクを外部に送出するインク送出口(液体送出口)171を有する容器本体172を備えている。
【0203】
液体検出装置160はその全体が容器本体172の外側に装着されており、容器本体172の容器壁には、液体検出装置160のインク供給溝153、キャビティ143、及びインク排出溝154に連通するインク流通開口(液体流通開口)173が貫通形成されている。
【0204】
容器本体172の内部は、容器本体172の内部空間全体のうちの主要な部分を構成する主貯留室(第1室)175と、この主貯留室175よりも小さな容積を有する副貯留室(第2室)176とに区画されており、主貯留室175と副貯留室176とは互いに分離されている。副貯留室176は、インク消費時のインクの流れ方向において主貯留室175よりもインク送出口171に近い側に位置すると共に、インク送出口171に連通している。
【0205】
主貯留室175の内部には、密閉された補助流路177が形成されており、この補助流路177の下端側には補助流路入口177aが形成されている。補助流路入口177aは、主貯留室175の内部の下端に位置している。
【0206】
図12に示したように本実施形態によるインクカートリッジ170においては、液流規制部174が、キャビティ143に向かって突出するようにして容器本体172の内壁面に設けられている。図10(a)に破線で示したように液流規制部174は、その長手方向の長さがキャビティ143の直径よりも長い。
【0207】
そして、液流規制部174は、インクが消費される際に容器本体172内のインクの流れを規制して、キャビティ143に向かうインクの流れFを生じさせる。
【0208】
図11から分かるように、インク流通開口173の一部は、補助流路177の上端部に連通して補助流路177の補助流路出口177bを形成している。液流規制部174は、補助流路177の補助流路出口177bの近傍に配置されている。また、液流規制部174は、副貯留室176の上端側において、主貯留室175と副貯留室176との境界に配置されている。
【0209】
図12から分かるように、容器本体172の容器壁のインク流通開口173、インク供給溝153、インク排出溝154、及びキャビティ143は、主貯留室175の一部を形成する補助流路177と副貯留室176との間を連絡する連絡流路を形成している。
【0210】
本実施形態によるインクカートリッジ170において内部のインクが消費される際には、主貯留室175内のインクは、補助流路入口177aから補助流路177内に流入し、補助流路177を通って液流規制部174に向かって流れる。そして、液流規制部174によってインクの流れが規制されることにより、キャビティ143の方向に向かうインクの流れが生じる。液流規制部174をキャビティ143側に回避して乗り越え、副貯留室176内に流入したインクは、インク送出口171を介してインクジェット式記録装置の記録ヘッド112へと供給される。
【0211】
上述した液体検出装置160を備えたインクカートリッジ170においては、容器本体172にインクが十分に残っており、副貯留室176の内部がインクで満たされている場合には、キャビティ143内はインクによって満たされている。一方、インクカートリッジ170の容器本体172内の液体が消費され、主貯留室175内のインクがなくなると、副貯留室176内の液面が低下し、液体検出装置160のキャビティ143の位置よりも下方まで液面が降下すると、キャビティ143内にインクが存在しない状態となる。
【0212】
そこで、液体検出装置160は、この状態変化に起因する音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、液体検出装置160は、容器本体172にインクが十分に残っている状態であるか、あるいは、ある一定以上のインクが消費された状態であるか、を検知することができる。
【0213】
より具体的には、液体検出装置160において、上部電極端子145および下部電極端子144を介して上部電極149と下部電極146との間に電圧を印加する。すると、圧電層147のうち、上部電極149および下部電極146に挟まれた部分に電界が生じる。この電界によって圧電層147が変形する。圧電層147が変形することによって、振動板142のうちの振動領域(キャビティ143の底面部143aに対応する領域)に、たわみ振動が生じる。このようにして圧電層147を強制的に変形させた後、電圧の印加を解除すると、しばらくは、たわみ振動が液体検出装置160の振動部161に残留する。
【0214】
この残留振動は、液体検出装置160の振動部161とキャビティ143内の媒体との自由振動である。従って、圧電層147に印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすることで、電圧を印加した後の振動部161と媒体との共振状態を容易に得ることができる。この残留振動は、液体検出装置160の振動部161の振動であり、圧電層147の変形を伴う。このため、残留振動に伴って圧電層147は逆起電力を発生する。この逆起電力は、上部電極149、下部電極146、上部電極端子145および下部電極端子144を介して検出される。このようにして検出された逆起電力によって共振周波数が特定できるので、この共振周波数に基づいてインクカートリッジ170の容器本体172内のインクの有無を検出することができる。
【0215】
以上述べたように本実施形態による液体検出装置160においては、インクカートリッジ170内のインクが消費される際には、流路規制部174によってキャビティ143に向かうインクの流れが生じるので、もし仮にキャビティ143の内部に気泡が進入したとしても、インクの流れによってキャビティ143内から気泡が押し出される。これにより、キャビティ143内に気泡が滞留することによる液体検出装置60の誤検出を防止することができる。
【0216】
また、キャビティ143に向かうインクの流れが生じることにより、液面通過時にキャビティ143内にメニスカスが形成されることを防止できる。これにより、キャビティ143内でのインクの残留による液体検出装置160の誤検出を防止することができる。
【0217】
また、本実施形態によるインクカートリッジ170においては、容器本体172の内部を、互いに分離された主貯留室175と副貯留室176とに区画すると共に、容器本体172の容器壁のインク流通開口173、インク供給溝153、インク排出溝154、及びキャビティ143によって、主貯留室175と副貯留室176との間を連絡するようにした。
【0218】
このため、主貯留室175内のインクが無くなった時点を液体検出装置160によって確実に検出することが可能であり、ユーザーにインクエンドが近づいていることを報知できる。さらに、予め分かっている副貯留室176内のインク量に基づいて、残存インクでの印刷可能枚数等をユーザーに知らせることが可能であり、1ページの途中でインクが無くなって印刷用紙を無駄にしてしまうようなことを防止できる。
【0219】
また、本実施形態によるインクカートリッジ170においては、密閉された補助流路177を主貯留室175の内部に形成し、補助流路177の補助流路入口177aを主貯留室175の下端に位置させると共に、補助流路177の上端部に液体検出装置160のキャビティ143を連通させるようにした。このため、主貯留室175内で発生した気泡は補助流路177の内部に進入し難く、液体検出装置160のキャビティ143への気泡の進入を防止することができる。
【0220】
さらに、本実施形態によるインクカートリッジ170においては、主貯留室175内のインクがすべて消費されるまで、副貯留室176の内部はインクで満たされた状態にあるので、インクカートリッジ170に振動が加えられた場合でも、主貯留室175内にインクが残っている限りは副貯留室176内で液面が揺れるということがない。従って、液面の揺れによって液体検出装置160が誤検出を起こすことを防止することができる。
【0221】
また、本実施形態によるインクカートリッジ170においては、キャビティ143に対応する領域の外側においてインク供給溝153とインク排出溝154とを対向配置にて形成したので、液体検出装置160を容器本体172に装着する際の、位置合わせを含む装着作業が容易になる。
【0222】
また、本実施形態による液体検出装置160によれば、振動部161と液体とが接触する範囲が、キャビティ143が存在する範囲に限られているので、液体の検出をピンポイントで行うことが可能であり、これにより、インクレベルを高精度にて検出することができる。
【0223】
また、キャビティ143に対応する領域の略全体を下部電極146の本体部146aで覆うようにしたので、強制振動時の変形モードと自由振動時の変形モードとの相違が小さくなる。また、液体検出装置160の振動部161が液体検出装置160の中心に対して対称な形状であるので、この振動部161の剛性はその中心から見てほぼ等方的となる。
【0224】
このため、構造の非対称性から生じ得る不要な振動の発生が抑制される共に、強制振動時と自由振動時との間の変形モードの相違による逆起電力の出力低下が防止される。これにより、液体検出装置160の振動部161における残留振動の共振周波数の検出精度が向上すると共に、振動部161の残留振動の検出が容易になる。
【0225】
また、キャビティ143に対応する領域の略全体をキャビティ143よりも大径の下部電極146の本体部146aで覆うようにしたので、製造時における下部電極146の位置ズレに起因する不要振動の発生が防止され、検出精度の低下を防止することができる。
【0226】
また、硬いが脆弱な圧電層147の全体がキャビティ143に対応する領域の内部に配置されており、キャビティ143の周縁143aに対応する位置には圧電層147が存在しない。このため、キャビティの周縁に対応する位置での圧電膜のクラックの問題がない。
【0227】
以下、本発明による液体容器の他の一実施形態としてのインクカートリッジついて図面を参照して説明する。
【0228】
図13乃至図18は、本実施形態によるインクカートリッジに装着された液体検出装置260を示した図であり、この液体検出装置260は、図16に示したようにキャビティ板241に振動板242を積層して構成された振動キャビティ形成基部240を有し、この振動キャビティ形成基部240は、互いに対向する第1面240a及び第2面240bを有する。
【0229】
振動キャビティ形成基部240には、検出対象の媒体(インク)を受け入れるためのキャビティ243が、第1面240a側に開口するようにして形成されており、キャビティ243の底面部243aが振動板242にて振動可能に形成されている。換言すれば、振動板242全体のうちの実際に振動する部分は、キャビティ243によってその輪郭が規定されている。
【0230】
図13に示したようにキャビティ243の平面形状は、互いに直交する第1対称軸O1及び第2対称軸O2を有すると共に、第2対称軸O2に沿った長手方向寸法が第1対称軸O1に沿った幅方向寸法よりも長く設定されている。
【0231】
振動キャビティ形成基部240の第2面240b側の両端には、下部電極端子244及び上部電極端子245が形成されている。
【0232】
さらに、振動キャビティ形成基部240の第2面240bには下部電極(第1電極)246が形成されており、この下部電極246は、キャビティ243と略同形で且つキャビティ243よりも大きな寸法にて形成された本体部246aと、この本体部246aから下部電極端子244の方向に延出して下部電極端子244に接続された延出部246bとを有する。下部電極246の本体部246aは、キャビティ243に対応する領域の略全体を覆っている。
【0233】
この下部電極246の本体部246aは、キャビティ243の周縁243aに対応する位置よりも内側に入り込むようにして形成された切欠き部246cを含んでいる。
【0234】
下部電極246の上には圧電層247が積層されており、この圧電層247は、キャビティ243と略同形で且つキャビティ243よりも小さな寸法にて形成されている。図13から分かるように、圧電層247はその全体がキャビティ243に対応する領域の範囲内に収まっている。換言すれば、圧電層247は、キャビティ243の周縁243aに対応する位置を横切って延在する部分をまったく有していない。
【0235】
圧電層247は、キャビティ243と共通する第1対称軸O1及び第2対称軸O2を有しており、下部電極246の切欠き部246cに対応する部分を除いてその略全体が下部電極246の上に積層されている。
【0236】
また、振動キャビティ形成基部240の第2面240b側には補助電極248が形成されている。この補助電極248は、キャビティ243に対応する領域の外側から、キャビティ243の周縁243aに対応する位置を越えてキャビティ243に対応する領域の内部まで延在する。補助電極248の一部は、第1電極246の切欠き部246cの内部に位置して圧電層247の一部を基板240の第2面240b側から支持している。この補助電極248は、好ましくは、下部電極246と同じ材質で且つ同じ厚さを有している。このように補助電極248によって圧電層247の一部を基板240の第2面240b側から支持することによって、圧電層247に段差が生じないようにして機械的強度の低下を防止することができる。
【0237】
圧電層247には、上部電極(第2電極)249の本体部249aが積層されており、この上部電極249は、全体として圧電層247よりも小さな寸法にて形成されている。また、上部電極249は、本体部249aから延出して補助電極248に接続された延出部249bを有している。
【0238】
そして、本実施形態においては、図13及び図17(b)に示したように、上部電極249が、キャビティ243の4つの隅部に対応する部分を切り欠くようにして略十字状に形成され、キャビティ243と共通する第1対称軸O1及び第2対称軸O2を有している。
【0239】
下部電極246、圧電層247、及び上部電極249によって圧電素子が形成されている。上述したように圧電層247は上部電極249と下部電極246とによって挟みこまれる構造となっており、これにより圧電層247は効果的に変形駆動される。
【0240】
図13及び図16から分かるように、上部電極249は補助電極248を介して上部電極端子245に電気的に接続されている。このように補助電極248を介して上部電極249を上部電極端子245に接続することによって、圧電層247及び下部電極246の合計の厚さから生じる段差を、上部電極249と補助電極248との両方によって吸収することができる。このため、上部電極249に大きな段差が生じて機械的強度が低下することを防止することができる。
【0241】
圧電層247と電気的に接続された下部電極246の本体部246aおよび上部電極249の本体部249aのうち、上部電極249の本体部249aの方が小さな寸法にて形成されている。従って、上部電極249の本体部249aが、圧電層247のうちで圧電効果を発生する部分の範囲を決定することになる。
【0242】
圧電層247、上部電極249の本体部249a、及び下部電極246の本体部246aは、それらの中心がキャビティ243の中心と一致している。また、振動板242の振動可能な部分を決定するキャビティ243の中心は、液体検出装置260の全体の中心に位置している。
【0243】
キャビティ243によって規定される振動板242の振動可能な部分、下部電極246の本体部246aのうちのキャビティ243に対応する部分、圧電層247、並びに上部電極249全体のうちのキャビティ243に対応する部分は、液体検出装置260の振動部261を構成する。そして、この液体検出装置260の振動部261の中心は、液体検出装置260の中心と一致する。
【0244】
さらに、図16及び図15に示したように、本実施形態における液体検出装置260は、振動キャビティ形成基部240の第1面240aに積層され接合された出入口形成板250を備えている。この出入口形成板250には、キャビティ243に検出対象のインクを供給するインク供給口(液体供給口)251と、キャビティ243から検出対象のインクを排出するインク排出口(液体排出口)252とが形成されている。
【0245】
インク供給口251及びインク排出口252は、キャビティ243に対応する領域の内側にて、キャビティ243の長手方向の両端部に対応する位置に配置されている。また、キャビティ243の長手方向の端縁部において、インク供給口251及びインク排出口252の各縁部が整合している。インク供給口251とインク排出口252とは、互いに同形同大にて形成されている。
【0246】
上述したようにインク供給口251及びインク排出口252をキャビティ243の長手方向の両端部に対応する位置に配置することにより、インク供給口251とインク排出口252との間の距離が大きくなり、液体検出装置260の容器本体への装着が容易となる。また、インク供給口251及びインク排出口252をキャビティ243に対応する領域の内側に配置することにより、液体検出装置260の小型化を図ることができる。
【0247】
液体検出装置260に含まれる部材、特にキャビティ板241、振動板242、及び出入口形成板250は、同一材質で形成されると共に互いに焼成されることによって一体的に形成されている。このように複数の基板を焼成して一体化することによって、液体検出装置260の取り扱いが容易になる。また、各部材を同一材質で形成することによって、線膨張係数の違いによるクラックの発生を防止することができる。
【0248】
圧電層247の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、を用いることが好ましい。キャビティ板241の材料としては、ジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板242には、キャビティ板241と同じ材料を用いることが好ましい。上部電極249、下部電極246、上部電極端子245および下部電極端子244は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0249】
図19は、上述した液体検出装置260が装着されたインクカートリッジ(液体容器)270を示しており、このインクカートリッジ270は、内部に貯留したインクを外部に送出するインク送出口(液体送出口)271を前面に有する容器本体272を備えている。
【0250】
液体検出装置260は、その全体が容器本体272の外側に配置されると共に、容器本体272の上面上に装着されている。容器本体272の上面を構成する容器壁には、液体検出装置260のインク供給口251に連通する第1開口273と、インク排出口252に連通する第2開口274とが貫通形成されている。
【0251】
容器本体272の内部にはインク貯留室275が形成されており、このインク貯留室275と第1開口273とが第1連絡流路276を介して接続され、第2開口274とインク送出口271とが第2連絡流路277を介して接続されている。
【0252】
上述したように本実施形態においては、キャビティ243が圧電素子よりも垂直方向の下方に位置するようにして液体検出装置260が容器本体272に装着されている。そして、容器本体272に形成された第1開口273から流出したインクが、液体検出装置260のインク供給口251を介してキャビティ243に流入し、液体検出装置260のインク排出口252及び容器本体272の第2開口274を介してキャビティ243から容器本体272の内部にインクが流れる。
【0253】
そして、本実施形態によるインクカートリッジ270においては、インク送出口271に送られるインクの全量が液体検出装置260の内部を通過するように構成されている。
【0254】
上述した液体検出装置260を備えたインクカートリッジ270においては、容器本体272内にインクが残っている場合には、キャビティ243の内部はインクによって満たされている。一方、インクカートリッジ7の容器本体272内の液体が消費され、インク貯留室275及び第1連絡流路276の内部のインクがすべて消費されると、液体検出装置260のキャビティ243内にインクが存在しない状態となる。
【0255】
そこで、液体検出装置260は、この状態の変化に起因する音響インピーダンスの相違を検出し、これにより、容器本体272のインクの消費状態を検知することができる。
【0256】
より具体的には、液体検出装置260において、上部電極端子245および下部電極端子244を介して上部電極249と下部電極246との間に電圧を印加する。すると、圧電層247のうち、上部電極249および下部電極246に挟まれた部分に電界が生じる。この電界によって圧電層247が変形する。圧電層247が変形することによって、振動板242のうちの振動領域(キャビティ243の底面部243aに対応する領域)に、たわみ振動が生じる。このようにして圧電層247を強制的に変形させた後、電圧の印加を解除すると、しばらくは、たわみ振動が液体検出装置260の振動部261に残留する。
【0257】
この残留振動は、液体検出装置260の振動部261とキャビティ243内の媒体との自由振動である。従って、圧電層247に印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすることで、電圧を印加した後の振動部261と媒体との共振状態を容易に得ることができる。この残留振動は、液体検出装置260の振動部261の振動であり、圧電層247の変形を伴う。このため、残留振動に伴って圧電層247は逆起電力を発生する。この逆起電力は、上部電極249、下部電極246、上部電極端子245および下部電極端子244を介して検出される。このようにして検出された逆起電力によって共振周波数が特定できるので、この共振周波数に基づいてインクカートリッジ7の容器本体272内のインクの有無を検出することができる。
【0258】
そして、本実施形態においては、上述したようにキャビティ243の4つの隅部に対応する部分を切り欠くようにして上部電極249を略十字状に形成したので、圧電素子に駆動パルスを印可して強制的に変形させた場合でも、キャビティ243の4つの隅部に対応する部分の変形量が小さい。これにより、強制振動時の振動モードと強制振動後の残留振動(自由振動)時の振動モードとが近いモードになる。
【0259】
上述したように本実施形態においては、キャビティ243が圧電素子よりも垂直方向の下方に位置するようにして液体検出装置260が容器本体272に装着されているので、容器本体272内のインクが消費されてキャビティ243内にインクが供給されない状態になった場合には、キャビティ243内のインクは重力によって流下するので、キャビティ243内にインクが残留してしまうということがない。このため、液体検出装置260によるインクの有無の判定を確実に行うことができる。
【0260】
また、本実施形態における液体検出装置260においては、上部電極249を略十字状に形成することにより、強制振動時の振動モードと強制振動後の残留振動時の振動モードとを近いモードとしたので、キャビティ243の形状を前記の如く細長い形状としたにもかかわらず、検出信号の中の不要振動成分が低減され、これによりインクの有無の判定を確実に行うことができる。
【0261】
また、本実施形態においては、キャビティ243へのインクの供給がインク供給口251を介して行われ、キャビティ243からのインクの排出がインク排出口252を介して行われるので、インクカートリッジ270に液体検出装置260を装着する際には、インクカートリッジ270の容器本体272内のインク収容空間に液体検出装置260のキャビティ243を露出させることなく、インク供給口251を介して容器本体272内のインクをキャビティ243に供給することができる。
【0262】
このため、インクカートリッジ270内のインクの消費時に、液体検出装置260のインク供給口251及びインク排出口252を介してキャビティ243内にインクの流れが生じるように構成することで、もし仮にキャビティ243の内部に気泡が進入したとしても、インクの流れによってキャビティ243内から気泡が押し出される。これにより、キャビティ243内に気泡が滞留することによる液体検出装置260の誤検出を防止することができる。
【0263】
しかも、本実施形態によれば、キャビティ243の形状を円形や正方形ではなく細長い形状としたので、キャビティ243の長手方向の両端部にインク供給口251及びインク排出口252を配置することにより、キャビティ243の内部にインクや気泡が滞留し難くなる。これにより、インクや気泡の排出性を十分に確保することが可能であり、インクの有無の判定を確実に行うことができる。
【0264】
また、本実施形態における液体検出装置260においては、キャビティ243を容器本体272内のインク収容空間に露出させる必要がないので、液面通過時にキャビティ243内にメニスカスが形成されることを防止できる。これにより、キャビティ243内でのインクの残留による液体検出装置260の誤検出を防止することができる。
【0265】
また、図20は、本発明の他の実施形態によるインクカートリッジ270Aを示している。このインクカートリッジ270Aにおいては、容器本体272の内部が第1貯留室275aと第2貯留室275bとに区画されており、第1貯留室275aと第2貯留室275bとは互いに分離されている。第2貯留室275bは、インク消費時のインクの流れ方向において第1貯留室275aよりもインク送出口271に近い側に位置すると共に、インク送出口271に連通している。
【0266】
本実施形態においても、液体検出装置260は容器本体272の上面上に装着されている。容器本体272の上面を構成する容器壁には、液体検出装置260のインク供給口251に連通する第1開口273と、インク排出口252に連通する第2開口274とが貫通形成されている。第1貯留室275aと第1開口273とが連絡流路276を介して接続されており、第2開口274は第2貯留室275bに連通している。インク送出口271は容器本体272の底面に設けられている。
【0267】
このように本実施形態においては、液体検出装置260を介して第1貯留室275aと第2貯留室275bとが連通しており、第1貯留室275aから第2貯留室275bに送られるインクの全量が液体検出装置260を経由する。
【0268】
そして、本実施形態によるインクカートリッジ270においては、第1貯留室275a内のインクが無くなった時点を液体検出装置260によって確実に検出することができるので、インク消費状態に関する正確な情報を取得することができる。そして、液体検出装置260で得られた正確なインク消費状態情報に基づいて、ソフトカウントから得られたインク消費状態情報を校正することができる。
【0269】
また、本実施形態においては、第2貯留室275bの容積を第1貯留室275aの容積に比べて小さく設定することにより、液体検出装置260によって正確なインクニアエンド情報を取得することができる。これにより、予め分かっている第2貯留室275b内のインク量に基づいて、残存インクでの印刷可能枚数等をユーザーに知らせることが可能であり、1ページの途中でインクが無くなって印刷用紙を無駄にしてしまうようなことを防止できる。
【0270】
また、本実施形態における液体検出装置260によれば、振動部261と液体とが接触する範囲が、キャビティ243が存在する範囲に限られているので、液体の検出をピンポイントで行うことが可能であり、これにより、インクレベルを高精度にて検出することができる。
【0271】
また、キャビティ243に対応する領域の略全体を下部電極246の本体部246aで覆うようにしたので、強制振動時の変形モードと自由振動時の変形モードとの相違が小さくなる。また、液体検出装置260の振動部261が液体検出装置260の中心に対して対称な形状であるので、この振動部261の剛性はその中心から見てほぼ等方的となる。
【0272】
このため、構造の非対称性から生じ得る不要な振動の発生が抑制される共に、強制振動時と自由振動時との間の変形モードの相違による逆起電力の出力低下が防止される。これにより、液体検出装置260の振動部261における残留振動の共振周波数の検出精度が向上すると共に、振動部261の残留振動の検出が容易になる。
【0273】
また、キャビティ243に対応する領域の略全体をキャビティ243よりも大きな寸法の下部電極246の本体部246aで覆うようにしたので、製造時における下部電極246の位置ズレに起因する不要振動の発生が防止され、検出精度の低下を防止することができる。
【0274】
また、硬いが脆弱な圧電層247の全体がキャビティ243に対応する領域の内部に配置されており、キャビティ243の周縁243aに対応する位置には圧電層247が存在しない。このため、キャビティの周縁に対応する位置での圧電層のクラックの問題がない。
【0275】
次に、液体検出装置の他の例について図21及び図22を参照して説明する。なお、上述した液体検出装置260と共通する部分については説明を省略する。
【0276】
図21に示したように本例における液体検出装置260Aにおいては、キャビティ243の長手方向(第2対称軸O2の延在方向)における圧電層247の寸法が、キャビティ243の長手方向の長さよりも長く設定されている。そして、この圧電層247は、キャビティ243の長手方向においてキャビティ243をその全長にわたって覆うように形成されている。なお、キャビティ243の幅方向(第1対称軸O1の延在方向)においては、圧電層247はキャビティ243よりも小さな寸法にてキャビティ243の内側に形成されている。
【0277】
さらに、本例の液体検出装置260Aにおいては、下部電極246が略長方形に形成されており、キャビティ243の幅方向(第1対称軸O1の延在方向)においては下部電極246が圧電層247よりも大きな寸法を有し、キャビティ243の長手方向(第2対称軸O2の延在方向)においては下部電極246と圧電層247とが共通寸法である。
【0278】
本例の液体検出装置260Aにおいても、上述した実施形態と同様に、不要振動の発生を防止することができると共に、気泡やインクの滞留を防止することができる。
【0279】
さらに、本例の液体検出装置260Aによれば、圧電層247の長手方向の寸法がキャビティ243の長手方向の寸法よりも大きく設定されているので、圧電層247の形成位置がキャビティ243の長手方向においてずれた場合でも、圧電層247全体のうちの振動に寄与する部分の大きさは変化しない。このため、圧電層247の形成位置のズレによる不要振動の発生を防止することができる。
【0280】
また、上述した実施形態の一変形例としては、液体検出装置260,260Aにおいて出入口形成板250を省略し、インクカートリッジ270の容器本体272に形成された第1開口273及び第2開口274を、液体検出装置260,260Aのキャビティ243へのインク供給口及びインク排出口として利用するように構成することもできる。
【0281】
以下、本発明の他の一実施形態による液体検出装置及びこの液体検出装置を備えたインクカートリッジ(液体容器)ついて図面を参照して説明する。
【0282】
図23乃至図28は、本実施形態による液体検出装置360を示した図であり、この液体検出装置360は、図26に示したようにキャビティ板341に振動板342を積層して構成された振動キャビティ形成基部340を有し、この振動キャビティ形成基部340は、互いに対向する第1面340a及び第2面340bを有する。
【0283】
振動キャビティ形成基部340には、検出対象の媒体(インク)を受け入れるためのキャビティ343が、第1面340a側に開口するようにして形成されており、キャビティ343の底面部343aが振動板342にて振動可能に形成されている。換言すれば、振動板342全体のうちの実際に振動する部分は、キャビティ343によってその輪郭が規定されている。
【0284】
図23に示したようにキャビティ343の平面形状は、互いに直交する第1対称軸O1及び第2対称軸O2を有すると共に、第2対称軸O2に沿った長手方向寸法が第1対称軸O1に沿った幅方向寸法よりも長く設定されている。
【0285】
振動キャビティ形成基部340の第2面340b側の両端には、下部電極端子344及び上部電極端子345が形成されている。
【0286】
さらに、振動キャビティ形成基部340の第2面340bには下部電極(第1電極)346が形成されており、この下部電極346は、キャビティ343と略同形で且つキャビティ343よりも大きな寸法にて形成された本体部346aと、この本体部346aから下部電極端子344の方向に延出して下部電極端子344に接続された延出部346bとを有する。下部電極346の本体部346aは、キャビティ343に対応する領域の略全体を覆っている。
【0287】
この下部電極346の本体部346aは、キャビティ343の周縁343aに対応する位置よりも内側に入り込むようにして形成された切欠き部346cを含んでいる。
【0288】
下部電極346の上には圧電層347が積層されており、この圧電層347は、キャビティ343と略同形で且つキャビティ343よりも小さな寸法にて形成されている。図23から分かるように、圧電層347はその全体がキャビティ343に対応する領域の範囲内に収まっている。換言すれば、圧電層347は、キャビティ343の周縁343aに対応する位置を横切って延在する部分をまったく有していない。
【0289】
圧電層347は、キャビティ343と共通する第1対称軸O1及び第2対称軸O2を有しており、下部電極346の切欠き部346cに対応する部分を除いてその略全体が下部電極346の上に積層されている。
【0290】
また、振動キャビティ形成基部340の第2面340b側には補助電極348が形成されている。この補助電極348は、キャビティ343に対応する領域の外側から、キャビティ343の周縁343aに対応する位置を越えてキャビティ343に対応する領域の内部まで延在する。補助電極348の一部は、第1電極346の切欠き部346cの内部に位置して圧電層347の一部を基板340の第2面340b側から支持している。この補助電極348は、好ましくは、下部電極346と同じ材質で且つ同じ厚さを有している。このように補助電極348によって圧電層347の一部を基板340の第2面340b側から支持することによって、圧電層347に段差が生じないようにして機械的強度の低下を防止することができる。
【0291】
圧電層347には、上部電極(第2電極)349の本体部349aが積層されており、この上部電極349は、全体として圧電層347よりも小さな寸法にて形成されている。また、上部電極349は、本体部349aから延出して補助電極348に接続された延出部349bを有している。
【0292】
そして、本実施形態においては、図23及び図27(b)に示したように、上部電極349が、キャビティ343の4つの隅部に対応する部分を切り欠くようにして略十字状に形成され、キャビティ343と共通する第1対称軸O1及び第2対称軸O2を有している。
【0293】
下部電極346、圧電層347、及び上部電極349によって圧電素子が形成されている。上述したように圧電層347は上部電極349と下部電極346とによって挟みこまれる構造となっており、これにより圧電層347は効果的に変形駆動される。
【0294】
図23及び図26から分かるように、上部電極349は補助電極348を介して上部電極端子345に電気的に接続されている。このように補助電極348を介して上部電極349を上部電極端子345に接続することによって、圧電層347及び下部電極346の合計の厚さから生じる段差を、上部電極349と補助電極348との両方によって吸収することができる。このため、上部電極349に大きな段差が生じて機械的強度が低下することを防止することができる。
【0295】
圧電層347と電気的に接続された下部電極346の本体部346aおよび上部電極349の本体部349aのうち、上部電極349の本体部349aの方が小さな寸法にて形成されている。従って、上部電極349の本体部349aが、圧電層347のうちで圧電効果を発生する部分の範囲を決定することになる。
【0296】
圧電層347、上部電極349の本体部349a、及び下部電極346の本体部346aは、それらの中心がキャビティ343の中心と一致している。また、振動板342の振動可能な部分を決定するキャビティ343の中心は、液体検出装置360の全体の中心に位置している。
【0297】
キャビティ343によって規定される振動板342の振動可能な部分、下部電極346の本体部346aのうちのキャビティ343に対応する部分、圧電層347、並びに上部電極349全体のうちのキャビティ343に対応する部分は、液体検出装置360の振動部361を構成する。そして、この液体検出装置360の振動部361の中心は、液体検出装置360の中心と一致する。
【0298】
さらに、図26及び図25に示したように、本実施形態による液体検出装置360は、振動キャビティ形成基部340の第1面340aに積層され接合された出入口形成板350を備えている。この出入口形成板350には、キャビティ343に検出対象のインクを供給するインク供給口(液体供給口)351と、キャビティ343から検出対象のインクを排出するインク排出口(液体排出口)352とが形成されている。
【0299】
インク供給口351及びインク排出口352は、キャビティ343に対応する領域の内側にて、キャビティ343の長手方向の両端部に対応する位置に配置されている。また、キャビティ343の長手方向の端縁部において、インク供給口351及びインク排出口352の各縁部が整合している。インク供給口351とインク排出口352とは、互いに同形同大にて形成されている。
【0300】
上述したようにインク供給口351及びインク排出口352をキャビティ343の長手方向の両端部に対応する位置に配置することにより、インク供給口351とインク排出口352との間の距離が大きくなり、液体検出装置360の容器本体への装着が容易となる。また、インク供給口351及びインク排出口352をキャビティ343に対応する領域の内側に配置することにより、液体検出装置360の小型化を図ることができる。
【0301】
液体検出装置360に含まれる部材、特にキャビティ板341、振動板342、及び出入口形成板350は、同一材質で形成されると共に互いに焼成されることによって一体的に形成されている。このように複数の基板を焼成して一体化することによって、液体検出装置360の取り扱いが容易になる。また、各部材を同一材質で形成することによって、線膨張係数の違いによるクラックの発生を防止することができる。
【0302】
圧電層347の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、を用いることが好ましい。キャビティ板341の材料としては、ジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板342には、キャビティ板341と同じ材料を用いることが好ましい。上部電極349、下部電極346、上部電極端子345および下部電極端子344は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0303】
図29は、上述した液体検出装置360が装着されたインクカートリッジ(液体容器)370を示しており、このインクカートリッジ370は、内部に貯留したインクを外部に送出するインク送出口(液体送出口)371を有する容器本体372を備えている。
【0304】
液体検出装置360はその全体が容器本体372の外側に装着されており、容器本体372の容器壁には、液体検出装置360のインク供給口351に連通する第1開口373と、インク排出口352に連通する第2開口374とが貫通形成されている。
【0305】
容器本体372の内部は、容器本体372の内部空間全体のうちの主要な部分を構成する主貯留室(第1室)375と、この主貯留室375よりも小さな容積を有する副貯留室(第2室)376とに区画されており、主貯留室375と副貯留室376とは互いに分離されている。副貯留室376は、インク消費時のインクの流れ方向において主貯留室375よりもインク送出口371に近い側に位置すると共に、インク送出口371に連通している。
【0306】
容器本体372の容器壁に形成された第2開口374は、副貯留室376の上端部に連通している。上述したように第2開口374には、液体検出装置360のインク排出口352の出口352bが接続されている。
【0307】
主貯留室375の内部には、密閉された補助流路377が形成されており、この補助流路377の下端側には補助流路入口377aが形成されている。補助流路入口377aは、主貯留室375の内部の下端に位置している。また、補助流路377の上端部に、容器本体372の容器壁に形成された第1開口373が連通しており、この第1開口373が補助流路377の出口を構成している。
【0308】
上述したように液体検出装置360のインク供給口351が第1開口373に連通し、インク排出口352が第2開口374に連通しており、これにより、液体検出装置360のインク供給口351及びインク排出口352が主貯留室375と副貯留室376とを連絡する連絡流路を形成している。
【0309】
そして、インクカートリッジ370内のインクが消費される際には、主貯留室375内のインクは、補助流路入口377aから補助流路377内に流入し、この補助流路377を通って第1開口373へと流れる。第1開口373から流出したインクは、液体検出装置360のインク供給口351からキャビティ343に流入し、キャビティ343を通ってインク排出口352から流出する。インク排出口352から流出したインクは、第2開口374を介して副貯留室376内に流入する。そして、副貯留室376内に流入したインクが、インク送出口371を介してインクジェット式記録装置の記録ヘッド312へ供給される。
【0310】
このように本実施形態においては、副貯留室376を通ってインク送出口371に送られるインクの全量が、事前に液体検出装置360のインク供給口351及びインク排出口352を通過するように構成されている。
【0311】
上述した液体検出装置360を備えたインクカートリッジ370においては、容器本体372にインクが十分に残っており、副貯留室376の内部がインクで満たされている場合には、キャビティ343内はインクによって満たされている。一方、インクカートリッジ370の容器本体372内の液体が消費され、主貯留室375内のインクがなくなると、副貯留室376内の液面が低下し、液体検出装置360のキャビティ343の位置よりも下方まで液面が降下すると、キャビティ343内にインクが存在しない状態となる。
【0312】
そこで、液体検出装置360は、この状態の変化に起因する音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、液体検出装置360は、容器本体372にインクが十分に残っている状態であるか、あるいは、ある一定以上のインクが消費された状態であるか、を検知することができる。
【0313】
より具体的には、液体検出装置360において、上部電極端子345および下部電極端子344を介して上部電極349と下部電極346との間に電圧を印加する。すると、圧電層347のうち、上部電極349および下部電極346に挟まれた部分に電界が生じる。この電界によって圧電層347が変形する。圧電層347が変形することによって、振動板342のうちの振動領域(キャビティ343の底面部343aに対応する領域)に、たわみ振動が生じる。このようにして圧電層347を強制的に変形させた後、電圧の印加を解除すると、しばらくは、たわみ振動が液体検出装置360の振動部361に残留する。
【0314】
この残留振動は、液体検出装置360の振動部361とキャビティ343内の媒体との自由振動である。従って、圧電層347に印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすることで、電圧を印加した後の振動部361と媒体との共振状態を容易に得ることができる。この残留振動は、液体検出装置360の振動部361の振動であり、圧電層347の変形を伴う。このため、残留振動に伴って圧電層347は逆起電力を発生する。この逆起電力は、上部電極349、下部電極346、上部電極端子345および下部電極端子344を介して検出される。このようにして検出された逆起電力によって共振周波数が特定できるので、この共振周波数に基づいてインクカートリッジ370の容器本体372内のインクの有無を検出することができる。
【0315】
そして、本実施形態においては、上述したようにキャビティ343の4つの隅部に対応する部分を切り欠くようにして上部電極349を略十字状に形成したので、圧電素子に駆動パルスを印可して強制的に変形させた場合でも、キャビティ343の4つの隅部に対応する部分の変形量が小さい。これにより、強制振動時の振動モードと強制振動後の残留振動(自由振動)時の振動モードとが近いモードになる。
【0316】
以上述べたように本実施形態による液体検出装置360においては、上部電極349を略十字状に形成することにより、強制振動時の振動モードと強制振動後の残留振動時の振動モードとを近いモードとしたので、キャビティ343の形状を前記の如く細長い形状としたにもかかわらず、検出信号の中の不要振動成分が低減され、これによりインクの有無の判定を確実に行うことができる。
【0317】
また、本実施形態においては、キャビティ343へのインクの供給がインク供給口351を介して行われ、キャビティ343からのインクの排出がインク排出口352を介して行われるので、インクカートリッジ370に液体検出装置360を装着する際には、インクカートリッジ370の容器本体372内のインク収容空間に液体検出装置360のキャビティ343を露出させることなく、インク供給口351を介して容器本体372内のインクをキャビティ343に供給することができる。
【0318】
このため、インクカートリッジ370内のインクの消費時に、液体検出装置360のインク供給口351及びインク排出口352を介してキャビティ343内にインクの流れが生じるように構成することで、もし仮にキャビティ343の内部に気泡が進入したとしても、インクの流れによってキャビティ343内から気泡が押し出される。これにより、キャビティ343内に気泡が滞留することによる液体検出装置360の誤検出を防止することができる。
【0319】
しかも、本実施形態によれば、キャビティ343の形状を円形や正方形ではなく細長い形状としたので、キャビティ343の長手方向の両端部にインク供給口351及びインク排出口352を配置することにより、キャビティ343の内部にインクや気泡が滞留し難くなる。これにより、インクや気泡の排出性を十分に確保することが可能であり、インクの有無の判定を確実に行うことができる。
【0320】
また、本実施形態による液体検出装置360においては、キャビティ343を容器本体372内のインク収容空間に露出させる必要がないので、液面通過時にキャビティ343内にメニスカスが形成されることを防止できる。これにより、キャビティ343内でのインクの残留による液体検出装置360の誤検出を防止することができる。
【0321】
また、本実施形態によるインクカートリッジ370においては、容器本体372の内部を、互いに分離された主貯留室375と副貯留室376とに区画すると共に、液体検出装置360のインク供給口351及びインク排出口352を介して主貯留室375と副貯留室376とを連絡し、液体検出装置360のキャビティ343を副貯留室376の上端部に配置するようにした。
【0322】
このため、主貯留室375内のインクが無くなった時点を液体検出装置360によって確実に検出することができるので、ユーザーにインクエンドが近づいていることを報知できる。さらに、予め分かっている副貯留室376内のインク量に基づいて、残存インクでの印刷可能枚数等をユーザーに知らせることが可能であり、1ページの途中でインクが無くなって印刷用紙を無駄にしてしまうようなことを防止できる。
【0323】
また、本実施形態によるインクカートリッジ370においては、密閉された補助流路377を主貯留室375の内部に形成し、補助流路377の補助流路入口377aを主貯留室375の下端に位置させると共に、補助流路377の上端部に液体検出装置360のインク供給口351の入口351bを連通させるようにした。このため、主貯留室375内で発生した気泡は補助流口377の内部に進入し難く、液体検出装置360のキャビティ343への気泡の進入を防止することができる。
【0324】
さらに、本実施形態によるインクカートリッジ370においては、主貯留室375内のインクがすべて消費されるまで、副貯留室376の内部はインクで満たされた状態にあるので、インクカートリッジ370に振動が加えられた場合でも、主貯留室375内にインクが残っている限りは副貯留室376内で液面が揺れるということがない。従って、液面の揺れによって液体検出装置360が誤検出を起こすことを防止することができる。
【0325】
また、本実施形態による液体検出装置360によれば、振動部361と液体とが接触する範囲が、キャビティ343が存在する範囲に限られているので、液体の検出をピンポイントで行うことが可能であり、これにより、インクレベルを高精度にて検出することができる。
【0326】
また、キャビティ343に対応する領域の略全体を下部電極346の本体部346aで覆うようにしたので、強制振動時の変形モードと自由振動時の変形モードとの相違が小さくなる。また、液体検出装置360の振動部361が液体検出装置360の中心に対して対称な形状であるので、この振動部361の剛性はその中心から見てほぼ等方的となる。
【0327】
このため、構造の非対称性から生じ得る不要な振動の発生が抑制される共に、強制振動時と自由振動時との間の変形モードの相違による逆起電力の出力低下が防止される。これにより、液体検出装置360の振動部361における残留振動の共振周波数の検出精度が向上すると共に、振動部361の残留振動の検出が容易になる。
【0328】
また、キャビティ343に対応する領域の略全体をキャビティ343よりも大きな寸法の下部電極346の本体部346aで覆うようにしたので、製造時における下部電極346の位置ズレに起因する不要振動の発生が防止され、検出精度の低下を防止することができる。
【0329】
また、硬いが脆弱な圧電層347の全体がキャビティ343に対応する領域の内部に配置されており、キャビティ343の周縁343aに対応する位置には圧電層347が存在しない。このため、キャビティの周縁に対応する位置での圧電層のクラックの問題がない。
【0330】
次に、本発明の他の実施形態による液体検出装置について図30及び図31を参照して説明する。なお、上述した実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0331】
図30に示したように本実施形態による液体検出装置360Aにおいては、キャビティ343の長手方向(第2対称軸O2の延在方向)における圧電層347の寸法が、キャビティ343の長手方向の長さよりも長く設定されている。そして、この圧電層347は、キャビティ343の長手方向においてキャビティ343をその全長にわたって覆うように形成されている。なお、キャビティ343の幅方向(第1対称軸O1の延在方向)においては、圧電層347はキャビティ343よりも小さな寸法にてキャビティ343の内側に形成されている。
【0332】
さらに、本実施形態においては、下部電極346が略長方形に形成されており、キャビティ343の幅方向(第1対称軸O1の延在方向)においては下部電極346が圧電層347よりも大きな寸法を有し、キャビティ343の長手方向(第2対称軸O2の延在方向)においては下部電極346と圧電層347とが共通寸法である。
【0333】
本実施形態においても、上述した実施形態と同様に、不要振動の発生を防止することができると共に、気泡やインクの滞留を防止することができる。
【0334】
さらに、本実施形態によれば、圧電層347の長手方向の寸法がキャビティ343の長手方向の寸法よりも大きく設定されているので、圧電層347の形成位置がキャビティ343の長手方向においてずれた場合でも、圧電層347全体のうちの振動に寄与する部分の大きさは変化しない。このため、圧電層347の形成位置のズレによる不要振動の発生を防止することができる。
【0335】
また、上述した各実施形態の一変形例としては、液体検出装置360,360Aにおいて出入口形成板350を省略し、インクカートリッジ370の容器本体372に形成された第1開口373及び第2開口374を、液体検出装置360,360Aのキャビティ343へのインク供給口及びインク排出口として利用するように構成することもできる。
【0336】
以下、本発明の他の一実施形態による液体検出装置およびこの液体検出装置を備えたインクカートリッジ(液体容器)ついて図面を参照して説明する。
【0337】
図32は本発明の実施形態としての液体検出装置460示す断面図である。また、図33は上記液体検出装置460を構成する検出部413を示す図であり、図34は上記液体検出装置460を構成するバッファ部414を示す図である。
【0338】
この液体検出装置460は、キャビティ443を有する検出部413と、上記キャビティ443に連通する供給側バッファ室415および排出側バッファ室416を有するバッファ部414とを備えて構成されている。
【0339】
上記検出部413は、キャビティ板441に振動板442を積層して構成されて、互いに対向する第1面440aおよび第2面440bを有した振動キャビティ形成基部440と、上記振動キャビティ形成基部440の第2面440b側に積層された圧電素子417と、上記振動キャビティ形成基部440の第1面440a側に積層された流路形成板(流路形成基部)418とを備えてなる。
【0340】
振動キャビティ形成基部440には、検出対象の媒体(インク)を受け入れるための円筒形の空間形状を呈するキャビティ443が、第1面440a側に開口するようにして形成されており、キャビティ443の底面部443aが振動板442にて振動可能に形成されている。換言すれば、振動板442全体のうちの実際に振動する部分は、キャビティ443によってその輪郭が規定されている。振動キャビティ形成基部440の第2面440b側の両端には、下部電極端子444および上部電極端子445が形成されている。
【0341】
振動キャビティ形成基部440の第2面440bには下部電極(第1電極)446が形成されており、この下部電極446は、略円形の本体部446aと、この本体部446aから下部電極端子444の方向に延出して下部電極端子444に接続された延出部446bとを有する。下部電極446の略円形の本体部446aの中心はキャビティ443の中心軸Cと一致している。
【0342】
下部電極446の略円形の本体部446aは、円形のキャビティ443よりも大径に形成され、キャビティ443に対応する領域の略全体を覆っている。また、この下部電極446の略円形の本体部446aは、キャビティ443の周縁443bに対応する位置よりも内側に入り込むようにして形成された切欠き部446cを含んでいる。
【0343】
下部電極446の上には圧電層447が積層されており、この圧電層447は、キャビティ443よりも小径に形成された円形の本体部447aと、キャビティ443に対応する領域の範囲内において本体部447aから突出した突出部447bとを有する。図32から分かるように、圧電層447はその全体がキャビティ443に対応する領域の範囲内に収まっている。換言すれば、圧電層447は、キャビティ443の周縁443bに対応する位置を横切って延在する部分をまったく有していない。
【0344】
圧電層447の本体部447aの中心はキャビティ443の中心軸Cと一致しており、圧電層447の本体部447aは、下部電極446の切欠き部446cに対応する部分を除いてその略全体が下部電極446に積層されている。
【0345】
振動キャビティ形成基部440の第2面440b側には補助電極448が形成されている。この補助電極448は、キャビティ443に対応する領域の外側から、キャビティ443の周縁443bに対応する位置を越えてキャビティ443に対応する領域の内部まで延在する。補助電極448の一部は、下部電極(第1電極)446の切欠き部446cの内部に位置して圧電層447の突出部447bおよびその近傍を振動キャビティ形成基部440の第2面440b側から支持している。この補助電極448は、好ましくは、下部電極446と同じ材質でかつ同じ厚さを有している。このように補助電極448によって圧電層447の突出部447bおよびその近傍を振動キャビティ形成基部440の第2面440b側から支持することによって、圧電層447に段差が生じないようにして機械的強度の低下を防止することができる。
【0346】
圧電層447には、上部電極(第2電極)449の円形の本体部449aが積層されており、この上部電極449は、圧電層447の本体部447aよりも小径に形成されている。また、上部電極449は、本体部449aから延出して補助電極448に接続された延出部449bを有している。図32から分かるように、上部電極449の延出部449bと補助電極448との接続が始まる位置Pは、キャビティ443に対応する領域の範囲内に位置している。
【0347】
下部電極446、圧電層447、および上部電極449のそれぞれの本体部によって圧電素子417が形成されている。
【0348】
図33から分かるように、上部電極449は補助電極448を介して上部電極端子445に電気的に接続されている。このように補助電極448を介して上部電極449を上部電極端子445に接続することによって、圧電層447および下部電極446の合計の厚さから生じる段差を、上部電極449と補助電極448との両方によって吸収することができる。このため、上部電極449に大きな段差が生じて機械的強度が低下することを防止することができる。
【0349】
上部電極449の本体部449aは円形を成しており、その中心はキャビティ443の中心軸Cと一致している。上部電極449の本体部449aは、圧電層447の本体部447aおよびキャビティ443のいずれよりも小径に形成されている。
【0350】
このように、圧電層447の本体部447aは、上部電極449の本体部449aと下部電極446の本体部446aとによって挟みこまれる構造となっている。これにより、圧電層447は効果的に変形駆動され得る。
【0351】
なお、圧電層447と電気的に接続された下部電極446の本体部446aおよび上部電極449の本体部449aのうち、上部電極449の本体部449aの方が小径に形成されている。従って、上部電極449の本体部449aが、圧電層447のうちで圧電効果を発生する部分の範囲を決定することになる。
【0352】
圧電層447の本体部447a、上部電極449の本体部449a、および下部電極446の本体部446aは、それらの中心がキャビティ443の中心軸Cと一致している。また、振動板442の振動可能な部分を決定する円筒形状のキャビティ443の中心軸Cは、液体検出装置460の全体の中心に位置している。
【0353】
キャビティ443によって規定される振動板442の振動可能な部分、下部電極446の本体部446aのうちのキャビティ443に対応する部分、圧電層447の本体部447aおよび突出部447b、並びに上部電極449の本体部449aおよび延出部449bのキャビティ443に対応する部分は、液体検出装置460の振動部461を構成する。そして、この液体検出装置460の振動部461の中心は、液体検出装置460の中心と一致する。
【0354】
さらに、圧電層447の本体部447a、上部電極449の本体部449a、下部電極446の本体部446a、および振動板442の振動可能な部分(即ちキャビティ443の底面部443aに対応する部分)が円形形状を有しており、しかも、圧電層447の全体、即ち圧電層447の本体部447aおよび突出部447bがキャビティ443に対応する領域の内部に配置されているので、液体検出装置460の振動部461は液体検出装置460の中心に対して略対称な形状である。
【0355】
さらに、本実施形態による液体検出装置460は、振動キャビティ形成基部440の第1面440aに積層され接合された流路形成板(流路形成基部)418を備えている。
【0356】
上記流路形成板418には、キャビティ443に検出対象のインクを供給するインク供給路(液体供給路)419と、キャビティ443から検出対象のインクを排出するインク排出路(液体排出路)420とが形成されている。インク供給路419とインク排出路420は、同じ大きさ形状に形成され、いずれも円筒形の空間形状を呈している。
【0357】
上記流路形成板418に形成されたインク供給路419とインク排出路420は、いずれも上記円形のキャビティ443に対応する領域内に形成されており、かつインク供給路419とインク排出路420はキャビティ443の中心軸Cに対して対称に配置されている。これにより、上記キャビティ443,インク供給路419およびインク排出路420を含んで形成される空間は、インク供給路419とインク排出路420に挟まれた領域に存在するキャビティ443の中心軸Cに対して対称に形成されている。
【0358】
また、上記インク供給路419およびインク排出路420は、それぞれキャビティ443に対して流路面積が絞られている。すなわち、この実施形態では、1つのキャビティ443に対してインク供給路419とインク排出路420が1つずつ形成されているが、一方の流路(インク供給路419またはインク排出路420)の流路面積は、キャビティ443の面積の少なくとも半分より小さくなるように設定されている。また、上記インク供給路419およびインク排出路420は、内部に液体の流体的質量が存在するよう、ある程度の長さが設定されており、好ましくはインク供給路419およびインク排出路420の流路長さは、それぞれ流路径の2倍以上になるよう設定される。
【0359】
一方、上記液体検出装置460は、上記インク供給路419に連通する供給側バッファ室415と、上記インク排出路420に連通する排出側バッファ室416とを有するバッファ部414を備えている。
【0360】
上記バッファ部414は、この実施形態では平面視で上記液体検出装置460よりも一回り大きな長方形を呈し、全体として直方体状に形成されている。上記バッファ部414の内部は、中央部に配置された1枚の仕切壁421により同じ大きさ形状の2つの空間に2分されており、一方が供給側バッファ室415に、他方が排出側バッファ室416になっている。
【0361】
上記バッファ部414の検出部413が接合される面と反対側の部分には、供給側バッファ室415にインクを流入させる流入開口422と、排出側バッファ室416のインクを流出させる流出開口423とが形成されている。また、上記バッファ部414の検出部413が接合される面には、供給側バッファ室415に流入したインクをインク供給路419を介してキャビティ443に供給する流入流路424と、キャビティ443のインクをインク排出路420を介して供給側バッファ室415に流出させる流出流路425とが形成されている。
【0362】
上記流入流路424および流出流路425は、実質的に円柱状の流路空間に形成されており、同じ大きさ形状に形成されている。また、流入流路424および流出流路425の開口は、それぞれインク供給路419およびインク排出路420の開口と一致しており、この実施形態では、インク供給路419と流入流路424で本発明の液体供給路を形成し、インク排出路420と流出流路425とで本発明の液体排出路を形成している。
【0363】
そして、上記液体検出装置460の供給側バッファ室415と排出側バッファ室416は、上記キャビティ443の中心軸Cに対して対称に形成されている。さらに言い換えると、キャビティ443、インク供給路419、インク排出路420、流入流路424、流出流路425、供給側バッファ室415、排出側バッファ室416によって形成される空間が、上記キャビティ443の中心軸Cに対して対称に形成されている。
【0364】
また、上記液体検出装置460の上記供給側バッファ室415および排出側バッファ室416の容量は、それぞれキャビティ443の容量の少なくとも10倍以上の容量を有するように設定されている。
【0365】
図32から分かるように液体検出装置460は、容器本体472の内部とキャビティ443とを流体連通させる第1流路と、容器本体472の内部とキャビティ443とを流体連通させる第2流路と、を備える。
【0366】
そして、前記第1流路は、第1最大断面領域を含む第1流通路としての流入流路424と、前記第1最大断面領域よりも大きな第2最大断面領域を含む第2流通路であって、前記第1流通路に接続された第2流通路としての供給側バッファ室415と、前記第2最大断面領域よりも小さな第3最大断面領域を含む第3流通路であって、前記第1流通路と前記第3流通路とが前記第2流通路を介して互いに流体連通するように前記第2流通路に接続された、第3流通路としての流入開口22と、を有する。
【0367】
また、前記第2流路は、第1最大断面領域を含む第1流通路としての流出流路25と、前記第1最大断面領域よりも大きな第2最大断面領域を含む第2流通路であって、前記第1流通路に接続された第2流通路としての排出側バッファ室416と、前記第2最大断面領域よりも小さな第3最大断面領域を含む第3流通路であって、前記第1流通路と前記第3流通路とが前記第2流通路を介して互いに流体連通するように前記第2流通路に接続された、第3流通路としての流出開口423と、を有する。
【0368】
このような構成により、上記検出対象となるカートリッジ内部のインクは、流入開口422から供給側バッファ室415に流入して流入流路424およびインク供給路419を介してキャビティ443に供給される。そして、キャビティ443に供給されたインクは、上記インク排出路420および流出流路425を介して排出側バッファ室416に排出され、さらに排出側バッファ室416から流出開口423を介して排出される。
【0369】
上記液体検出装置460に含まれる部材、特にキャビティ板441、振動板442、流路形成板418は、同一材質で形成されるとともに互いに焼成されることによって一体的に形成されている。このように複数の基板を焼成して一体化することによって、液体検出装置460の取り扱いが容易になる。また、各部材を同一材質で形成することによって、線膨張係数の違いによるクラックの発生を防止することができる。
【0370】
圧電層447の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、を用いることが好ましい。キャビティ板441の材料としては、ジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板442には、キャビティ板441と同じ材料を用いることが好ましい。上部電極449、下部電極446、上部電極端子445および下部電極端子444は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0371】
図35は上記液体検出装置を備えた本発明のインクカートリッジ470を示す図であり、図36はインクカートリッジ470に対する液体検出装置の取り付け部分の一例を示す図である。
【0372】
図35は、上述した液体検出装置460が装着されたインクカートリッジ(液体容器)470を示しており、このインクカートリッジ470は、内部に貯留したインクを外部に送出するインク送出口(液体送出口)471を有する容器本体472を備えている。
【0373】
図36に示すように、液体検出装置460はその全体が容器本体472に装着されており、容器本体472の壁面427に形成された長方形状の開口426に、バッファ部414が接着剤428等によって液密状に取り付けられている。このとき、液体検出装置460の検出部413が容器本体472の外側に配置され、バッファ部414の流入開口422および流出開口423が容器本体472の内側に開口するよう配置されている。
【0374】
そして、容器本体472の内部は(図35に戻る)、容器本体472の内部空間全体のうちの主要な部分を構成してインクを貯留する主貯留室(液体貯留室)475と、この主貯留室475よりも小さな容積を有する副貯留室(液体送出空間)476とに区画されており、主貯留室475と副貯留室476とは互いに分離されている。副貯留室476は、インク消費時のインクの流れ方向において主貯留室475よりもインク送出口471に近い側に位置している。
【0375】
上記液体検出装置460の流入開口422は上記主貯留室475に連通する位置に開口し、流出開口423は上記液体送出空間である副貯留室476に開口するよう配置されている。これにより、上記供給側バッファ室415は、上記容器本体472の内部空間のうちの主要な部分を構成して液体を貯留する主貯留室475に連通し、上記排出側バッファ室416は、上記容器本体472の内部空間のうち内部に貯留した液体を外部に送出するインク送出口471に連通する液体送出空間に連通するようになっている。
【0376】
主貯留室475の内部には、密閉された補助流路477が形成されており、この補助流路477の下端側には補助流路入口477aが形成されている。補助流路入口477aは、主貯留室475の内部の下端に位置している。また、補助流路477の上端部に、液体検出装置460の流入開口422が連通しており、この流入開口422が補助流路477の出口を構成している。
【0377】
上述したように、液体検出装置460の流入開口422が補助流路477を介して主貯留室475に連通し、流出開口423が副貯留室476を介してインク送出口471に連通している。これにより、主貯留室475に貯留されたインクは、補助流路477を経て流入開口422から供給側バッファ室415に流入して流入流路424およびインク供給路419を介してキャビティ443に供給される。そして、キャビティ443に供給されたインクは、上記インク排出路420および流出流路425を介して排出側バッファ室416に排出され、さらに排出側バッファ室416から流出開口423、副貯留室476を経てインク送出口471から排出され、記録ヘッド412に供給される。
【0378】
このように本実施形態においては、副貯留室476を通ってインク送出口471に送られるインクの全量が、事前に液体検出装置460のインク供給路419およびインク排出路420を通過するように構成されている。
【0379】
つぎに、上記液体容器において液体を検出する動作について説明する。
【0380】
上述した液体検出装置460を備えたインクカートリッジ470においては、容器本体472にインクが十分に残っており、副貯留室476の内部がインクで満たされている場合には、キャビティ443内はインクによって満たされている。一方、インクカートリッジ470の容器本体472内の液体が消費され、主貯留室475内のインクがなくなると、副貯留室476内の液面が低下し、液体検出装置460のキャビティ443の位置よりも下方まで液面が降下すると、キャビティ443内にインクが存在しない状態となる。
【0381】
そこで、液体検出装置460は、この状態の変化に起因する音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、液体検出装置460は、容器本体472にインクが十分に残っている状態であるか、あるいは、ある一定以上のインクが消費された状態であるか、を検知することができる。
【0382】
より具体的には、液体検出装置460において、上部電極端子445および下部電極端子444を介して上部電極449と下部電極446との間に電圧を印加する。すると、圧電層447のうち、上部電極449および下部電極446に挟まれた部分に電界が生じる。この電界によって圧電層447が変形する。圧電層447が変形することによって、振動板442のうちの振動領域(キャビティ443の底面部443aに対応する領域)に、たわみ振動が生じる。このようにして圧電層447を強制的に変形させた後、電圧の印加を解除すると、しばらくは、たわみ振動が液体検出装置460の振動部461に残留する。
【0383】
この残留振動は、液体検出装置460の振動部461とキャビティ443内の媒体との自由振動である。従って、圧電層447に印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすることで、電圧を印加した後の振動部461と媒体との共振状態を容易に得ることができる。この残留振動は、液体検出装置460の振動部461の振動であり、圧電層447の変形を伴う。このため、残留振動に伴って圧電層447は逆起電力を発生する。この逆起電力は、上部電極449、下部電極446、上部電極端子445および下部電極端子444を介して検出される。このようにして検出された逆起電力によって共振周波数が特定できるので、この共振周波数に基づいてインクカートリッジ470の容器本体472内のインクの有無を検出することができる。
【0384】
図37は、上記のような液体検出装置460の振動部461の振動を近似してシュミレーションしうる等価回路図である。
【0385】
この図では、振動部461(Sensor Chip)のイナータンス(Mc)、インク供給路419およびインク排出路420(Hole)のイナータンス(Ms1,Ms2)をコイルで、振動部461(Sensor Chip)のコンプライアンス(Cc)、インクのコンプライアンス(Ci)をコンデンサで、インク供給路419およびインク排出路420(Hole)の抵抗(Rs1,Rs2)を抵抗で、インク供給路419およびインク排出路420が連通する供給側バッファ室415および排出側バッファ室416をグランドで、それぞれ表している。
【0386】
そして、振動部461のコンプライアンス(Cc)は構造有限要素法で求める。また、振動部461のイナータンス(Mc)は、イナータンスとコンプライアンスの直列系で近似し、つぎの近似式で近似値を計算できる。
Mc=1/(4π2)×1/(f2)×1/Cc
ここで、fは振動部461の固有周期であり、構造有限要素法もしくは実測で求めることができる。
【0387】
また、インクのコンプライアンス(Ci)は、下記の式で求めることができる。
Ci=C×Vi
ここで、Cはインクの圧縮率、Viはインクの体積である。水の圧縮率は4.5e−10/Paである。
【0388】
また、インク供給路419,インク排出路420(Hole)のイナータンス(Ms)は、流体有限要素法で求めるか、もしくは流路(Hole)が円筒の場合は下記の簡易式で求めることができる。
Ms=ρ×L/π/r2
ここで、ρはインクの粘度、Lは流路(Hole)の長さ、rは流路(Hole)の半径である。
【0389】
上記のようにして求めた値を使用し、図37の等価回路で近似して振動部461の振動をシュミレーションすることができる。
【0390】
このような等価回路で振動部461の振動をシュミレーションした結果、Ms1とMs2、Rs1とRs2はそれぞれ略等しいほうが振動がシンプルで余計な振動モードが発生しないことがわかる。したがって、本発明では、キャビティ443とインク供給路419,インク排出路420で形成される空間をキャビティ443の中心軸Cに対して対称に形成したのである。
【0391】
また、供給側バッファ室415および排出側バッファ室416がバッファとして機能する要件は、振動部461の振動によって各バッファ室415,416内の圧力がほとんど高くならないようにするために、バッファ室415,416のコンプライアンスを振動部461のコンプライアンス(Cc)の10倍以上とするのが好ましい。また、余計な振動を発生させないために、バッファ室415,416のイナータンスを流路(Hole)のイナータンス(Ms)の1/10以下とするのが好ましい。
【0392】
以上に述べたように、本実施形態による液体検出装置460およびインクカートリッジ470によれば、上記キャビティ443にインクを供給するインク供給路419と、上記キャビティ443からインクを排出するインク排出路420とが形成された振動キャビティ形成基部440を備えているため、キャビティ443へのインクの供給がインク供給路419を介して行われ、キャビティ443からのインクの排出がインク排出路420を介して行われるので、液体検出装置460をインクカートリッジ470等に装着する際には、インクの収容空間に液体検出装置460のキャビティ443を直接露出させることなく、インク供給路419を介してインクをキャビティ443に供給することができる。
【0393】
このように、インクの消費時に液体検出装置460のインク供給路419およびインク排出路420の内部をインクが流れるように構成することによって、もし仮にキャビティ443の内部に気泡が進入したとしても、インクの流れによってキャビティ443内から気泡が押し出される。これにより、キャビティ443内に気泡が滞留することによる液体検出装置460の誤検出を防止することができる。このように、液体検出装置460の検出精度を向上させ、残量液体が減って産業廃棄物の減少にもつながる。
【0394】
また、キャビティ443をインクの収容空間に露出させる必要がないので、液面通過時にキャビティ443内にメニスカスが形成されることを防止できる。これにより、キャビティ443内でのインクの残留による液体検出装置460の誤検出を防止することができる。しかも、キャビティ443がインクの収容空間に向かって露出した空間ではなく、流路形成板418により上記収容空間から仕切られた空間となっているため、インク液面の変化やインクの有無等によって、振動部461を強制振動させたときの振動部461に残る残留振動の違いが大きくなり、検出感度が高くなって検出精度を高めることができ、誤検出を防止することができる。
【0395】
また、上記キャビティ443,インク供給路419およびインク排出路420を含んで形成される空間が、インク供給路419とインク排出路420に挟まれた領域に存在するキャビティ443の中心軸Cに対して対称に形成されているため、キャビティ443底面の振動が伝播する空間であるキャビティ443,インク供給路419およびインク排出路420を含んで形成される空間の空間形状が単純化し、キャビティ443底面に残る残留振動の振動モードも単純化する。このため、キャビティ443底面を強制振動させたときの残留振動のシュミレーションも行いやすくなり、設計と実際との乖離が少なくなって、調整作業が少なくてすんだり、検出精度を向上させたりすることが可能となる。
【0396】
また、上記キャビティ443を形成する空間は実質的に円筒形であるため、キャビティ443底面の振動が伝播する空間であるキャビティ443の空間形状がより単純化し、キャビティ443底面に残る残留振動の振動モードも単純化する。そして、キャビティ443底面を強制振動させたときの残留振動のシュミレーションも極めて行いやすくなり、設計と実際との乖離が少なくなって、調整作業が少なくて済み、検出精度を向上させることが可能となる。
【0397】
さらに、上記インク供給路419およびインク排出路420は、それぞれキャビティ443に対して流路面積が絞られるとともに、内部にインクの流体的質量が存在するよう長さが設定されているため、インク供給路419およびインク排出路420に適当な流路抵抗が生じるため、キャビティ443底面の振動によって発生するキャビティ443内の圧力変動が両バッファ室415,416に拡散されてしまうのを防止し、適切な残留振動を発生させて検出精度を向上し確保することが可能となる。特に、インク供給路419およびインク排出路420の流路長さを、それぞれ流路径の2倍以上になるよう設定することにより当該効果が顕著となる。
【0398】
また、上記液体検出装置460に、上記インク供給路419に連通する供給側バッファ室415と、上記インク排出路420に連通する排出側バッファ室416とを備えているため、キャビティ443に対してインクが出入するインク供給路419およびインク排出路420が、それぞれ供給側バッファ室415と排出側バッファ室416に対して開口し、容器本体472のインク貯留空間に対して直接開口するのではないため、インク貯留空間においてインクの振動等によって気泡が発生したとしても、気泡は供給側バッファ室415や排出側バッファ室416に一旦トラップされてキャビティ443に侵入しにくくなる。したがって、キャビティ443内に気泡が滞留することによる液体検出装置460の誤検出を防止することができる。また、液体検出装置460をインクカートリッジ470の底部近傍に配置しているため、より気泡の侵入を防止する効果が高くなる。
【0399】
また、キャビティ443に対してインクが出入するインク供給路419およびインク排出路420が、容器本体472のインク貯留空間に対して直接開口するのではなく、それぞれ供給側バッファ室415と排出側バッファ室416に対して開口しているため、インクカートリッジ470内のインク貯留空間に発生したインクの圧力が直接キャビティ443に作用しないため、インクの振動等による圧力の影響による液体検出装置460の誤検出を防止することができる。
【0400】
さらに、上記液体検出装置460の供給側バッファ室415と排出側バッファ室416は、上記キャビティ443の中心軸Cに対して対称に形成されているため、供給側バッファ室415と排出側バッファ室416とを対称とすることにより両バッファ室415,416を構成する部材の形状が単純化し、製造が容易になるうえ、部材の小型化も可能となる。
【0401】
しかも、上記液体検出装置460の上記供給側バッファ室415および排出側バッファ室416は、それぞれキャビティ443の容量の少なくとも10倍以上の容量を有するものとすることにより、インクカートリッジ470内のインク貯留空間に発生したインクの圧力変動が液体検出装置460のセンサ特性にほとんど影響しなくなり、インクの振動等による圧力の影響による液体検出装置460の誤検出を防止することができる。さらに、キャビティ443底面の振動によって両バッファ室415,416内の圧力が高まることがないため、余分な振動が発生しなくなり、キャビティ443底面に残る残留振動の振動モードが単純化し、検出精度を向上させることが可能となる。
【0402】
さらに、上記供給側バッファ室415は、上記容器本体472の内部空間のうちの主要な部分を構成してインクを貯留する主貯留室475に連通し、上記排出側バッファ室416は、上記容器本体472の内部空間のうち内部に貯留したインクを外部に送出するインク送出口471に連通する液体送出空間である副貯留室476に連通しているため、上記容器本体472の主貯留室475に貯留されたインクが、液体検出装置460の上記供給側バッファ室415の入口から流入して排出側バッファ室416の出口から排出されて上記容器本体472のインク送出口471に送られるとともに、上記容器本体472の上記インク送出口471に送られるインクの全量が事前に上記液体検出装置460の上記供給側バッファ室415,キャビティ443および排出側バッファ室416を通過するため、インクの消費を確実に検知することができる。
【0403】
また、上記液体検出装置460によれば、インク排出路420がキャビティ443に対応する領域に合わせて形成されているので、キャビティ443内に進入した気泡を確実に排出することができる。
【0404】
また、上記インクカートリッジ470では、容器本体472の内部を、互いに分離された主貯留室475と副貯留室476とに区画すると共に、液体検出装置460の流入開口422および流出開口423を介して主貯留室475と副貯留室476とを連絡し、液体検出装置460のキャビティ443を副貯留室476の上端部に配置するようにした。
【0405】
このため、主貯留室475内のインクが無くなった時点を液体検出装置460によって確実に検出することができるので、ユーザーにインクエンドが近づいていることを報知できる。さらに、予め分かっている副貯留室476内のインク量に基づいて、残存インクでの印刷可能枚数等をユーザーに知らせることが可能であり、1ページの途中でインクが無くなって印刷用紙を無駄にしてしまうようなことを防止できる。
【0406】
また、上記インクカートリッジ470によれば、密閉された補助流路477を主貯留室475の内部に形成し、補助流路477の補助流路入口477aを主貯留室475の下端に位置させると共に、補助流路477の上端部に液体検出装置460の流入開口422を連通させるようにした。このため、主貯留室475内で発生した気泡は補助流路477の内部に進入し難く、液体検出装置460のキャビティ443への気泡の進入を防止することができる。
【0407】
さらに、上記インクカートリッジ470によれば、主貯留室475内のインクがすべて消費されるまで、副貯留室476の内部はインクで満たされた状態にあるので、インクカートリッジ470に振動が加えられた場合でも、主貯留室475内にインクが残っている限りは副貯留室476内で液面が揺れるということがない。従って、液面の揺れによって液体検出装置460が誤検出を起こすことを防止することができる。
【0408】
また、上記液体検出装置460によれば、振動部461とインクとが接触する範囲が、キャビティ443が存在する範囲に限られているので、インクの検出をピンポイントで行うことが可能であり、これにより、インクレベルを高精度にて検出することができる。
【0409】
また、キャビティ443に対応する領域の略全体を下部電極446の本体部446aで覆うようにしたので、強制振動時の変形モードと自由振動時の変形モードとの相違が小さくなる。また、液体検出装置460の振動部461が液体検出装置460の中心に対して対称な形状であるので、この振動部461の剛性はその中心から見てほぼ等方的となる。
【0410】
このため、構造の非対称性から生じ得る不要な振動の発生が抑制される共に、強制振動時と自由振動時との間の変形モードの相違による逆起電力の出力低下が防止される。これにより、液体検出装置460の振動部461における残留振動の共振周波数の検出精度が向上するとともに、振動部461の残留振動の検出が容易になる。
【0411】
また、キャビティ443に対応する領域の略全体をキャビティ443よりも大径の下部電極446の本体部446aで覆うようにしたので、製造時における下部電極446の位置ズレに起因する不要振動の発生が防止され、検出精度の低下を防止することができる。
【0412】
また、硬いが脆弱な圧電層447の全体がキャビティ443に対応する領域の内部に配置されており、キャビティ443の周縁443bに対応する位置には圧電層447が存在しない。このため、キャビティの周縁に対応する位置での圧電膜のクラックの問題がない。
【0413】
図38は、本発明のインクカートリッジの他の実施形態である。
【0414】
このインクカートリッジ470Aは、容器本体472の内部に形成された副貯留室476の上部に、上方に突出した突出部476aが形成されている。そして、液体検出装置460の流出開口423は、上記突出部476aに対応する位置に配置されて当該副貯留室476の突出部476aに連通している。それ以外は図35に示した上述の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0415】
図39および図40は、本発明の液体検出装置460Aの他の実施形態である。
【0416】
この液体検出装置460Aは、振動キャビティ形成基部440の第1面440aに積層され接合された流路形成基部450が、流路板451と4出入口板52とを積層し接合して形成されている。
【0417】
流路形成基部450の流路板451には、キャビティ443に検出対象のインクを供給するインク供給路(液体供給路)419Aと、キャビティ443から検出対象のインクを排出するインク排出路(液体排出路)420Aとが形成されている。そして、出入口板452には、インク供給路419Aの入口453bおよびインク排出路420Aの出口454bが形成されている。そして、インク供給路419Aの入口453bとインク排出路420Aの出口454bは、キャビティ443に対応する領域を外して配置されている。
【0418】
この実施形態によれば、インク排出路420Aの出口454bが、キャビティ443を間に挟んでインク供給路420Aの入口453bと反対側の位置に配置されて入口453bと出口454bとの間隔を大きく取ることができるため、液体検出装置460Aをインクカートリッジ470の容器本体472の所定位置に装着する際の作業が容易になり、インクカートリッジ470の設計の自由度も向上する。それ以外は図35に示した上述の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0419】
一変形例として、図41は、図26に記載の実施形態において、出入口形成板350を省略した構成を示している。即ち、この変形例においては、キャビティ形成基部340は、出入口形成板350を介することなく容器本体372の壁に取り付けられている。キャビティ343は、図29(a)に示した主貯留室375(の内部の補助流路377)に、容器本体372の壁に貫通形成された第1開口373を介して連通しており、且つ、副貯留室376に、容器本体372の壁に貫通形成された第2開口374を介して連通している。この変形例から、主貯留室375とキャビティ343とを流体連通させる流路の全体を、容器本体372側で形成することができることが分かる。同様に、この変形例から、インク送出口371とキャビティ343とを流体連通させる流路の全体を、容器本体372側で形成することができることが分かる。
【0420】
他の変形例として、図42は、図32に記載の実施形態において、流路形成板418を省略した構成を示している。即ち、この変形例においては、振動キャビティ形成基部440は、流路形成板418を介することなくバッファ部414の壁に取り付けられている。キャビティ443は、バッファ部414の流入流路424を介してバッファ部414の供給側バッファ室415に連通しており、且つ、バッファ部414の流出流路425を介してバッファ部414の排出側バッファ室416に連通している。この変形例から、供給側バッファ室415とキャビティ443とを流体連通させる流路の全体を、バッファ部414側で形成することができることが分かる。同様に、この変形例から、排出側バッファ室416とキャビティ443とを流体連通させる流路の全体を、バッファ部414側で形成することができることが分かる。
【0421】
他の変形例として、図43及び図44は、図26に記載の実施形態において、出入口形成板350及びキャビティ板341を省略した構成を示している。即ち、この変形例においては、振動板342は、出入口形成板350及びキャビティ板341を介することなく容器本体372の壁に取り付けられている。そして、容器本体372の壁に振動板342を取り付けた際にキャビティ343が画成されるように、図44に示したように容器本体372の壁に凹部343Aが形成されている。なお、図44は、液体検出装置360を取り付ける前の状態のインクカートリッジ370の側面図である。図43に示したように、凹部343Aの深さは、容器本体372の壁の厚みよりも小さい。凹部343Aの底部には2つの貫通孔、即ち第1開口373及び第2開口374が貫通形成されている。振動板342が容器本体372の壁に取り付けられると、平板状の振動板342と凹部343Aの底部との間にキャビティ343が画成される。このようにして画成されたキャビティ343は、第1開口373を介して主貯留室375と連通し、且つ、第2開口374を介してインク送出口371と連通する。この変形例から、キャビティ343は容器本体372によって部分的に形成することができることが分かる。
【0422】
他の変形例として、図32に記載の実施形態において、図45に示したように、バッファ部414を、容器本体472の壁427の中に一体的に形成することができる。即ち、この変形例においては、容器本体472が、供給側バッファ室415及び排出側バッファ室416を画成している。さらに、容器本体472は、供給側バッファ室415及び排出側バッファ室416よりも小さな断面領域からなる流入開口422、流出開口423、流入流路424、流出流路425等の流路を画成している。この変形例から、供給側バッファ室415及び排出側バッファ室416を、液体検出装置460側ではなく、容器本体472側に形成できることが分かる。また、この変形例から、流入流路424、流出流路425のようなインク流路を、液体検出装置460側ではなく容器本体472側に形成して、キャビティ443とバッファ室415、416とを連通させることができることが分かる。さらに、この変形例から、流入開口422、流出開口423のようなインク流路を、液体検出装置460側ではなく容器本体472側に形成して、バッファ室415、416と主貯留室75・副貯留室76と連通させることができることが分かる。
【0423】
図46は、図8に示した実施形態の一変形例を示しており、本変形例におけるインクカートリッジ(液体容器)70においては、主貯留室(第1室))75と副貯留室(第2室)76とが補助流路77によって連通されている。この補助流路77は、主貯留室75に開口する補助流路入口77aと、副貯留室76に開口する補助流路出口77bとを含む。そして、入口側開口73及び出口側開口74は、それぞれ、補助流路入口77aと補助流路出口77bとの間の補助流路77の途中に連通している。なお、本例においては補助流路77の水平部分に入口側開口73及び出口側開口74を連通させているが、補助流路77の垂直部分に連通させることもできる。
【0424】
液体検出装置60Aは、そのインク供給路53の入口53b及びインク排出路54の出口54bが入口側開口73及び出口側開口74に接続されるようにして容器本体72に取り付けられている。
【0425】
そして、インクカートリッジ70内のインクが消費されると、主貯留室75内のインクが補助流路77を介して副貯留室76に流入する。補助流路77内にインクの流れが生じると、この補助流路77と並列に配置された液体検出装置60Aの内部にもインクの流れが生じる。より詳細には、補助流路77内を流れるインクの一部が、入口側開口73及び入口53bを介してキャビティ43に流入し、さらに、出口54b及び出口側開口74を介して補助流路77に流れる。主貯留室75内のインクがなくなると、副貯留室76内の液面が低下し、さらに、補助流路77内のインクがなくなる。これにより、例えば、インクカートリッジ70内のインクが所定量以上に消費されたことを検出することができる。
【0426】
また、図8等に示した実施形態においては主貯留室(第1室)75と副貯留室(第2室)76とにわたって液体検出装置60Aを配置するようにしたが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、図47に示したように液体検出装置60Aを主貯留室75のみに面するように配置することもできるし、或いは、図48に示したように副貯留室76のみに面するように配置することもできる。図47、図48に示したいずれの例においても、出口側開口74(及び出口54b)は、入口側開口73(及び入口53b)に対して重力方向の下方に配置されている。このため、これらの例はキャビティ43からのインクの排出特性においても優れている。また、これらの例においては、容器本体72の内部を主貯留室(第1室)75と副貯留室(第2室)76との2つに区画する必要はないし、或いはまた、容器本体72の内部を3つ以上に区画することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0427】
【図1】本発明の一実施形態による液体検出装置を備えたインクカートリッジが使用されるインクジェット式記録装置の概略構成を示した斜視図である。
【図2】(a)は、本発明の一実施形態による液体検出装置を示した平面図、(b)は同底面図。
【図3】図2に示した液体検出装置の断面図であり、(a)は図2のA−A線に沿った断面図、(b)は図2のB−B線に沿った断面図。
【図4】(a)は図2に示した液体検出装置を備えたインクカートリッジの側面図、(b)は同正面図。
【図5】本発明の一実施形態による液体検出装置における駆動パルス波形及び逆起電力波形を示す図であり、(a)はキャビティ内にインクが存在する場合の波形図、(b)はキャビティ内にインクが存在しない場合の波形図。
【図6】本発明の他の実施形態による液体検出装置を示した平面図、(b)は同底面図。
【図7】図6に示した液体検出装置の断面図であり、(a)は図6のA−A線に沿った断面図、(b)は図2のB−B線に沿った断面図。
【図8】図6に示した液体検出装置を備えたインクカートリッジの側面図、(b)は同正面図。
【図9】(a)は、本発明の他の一実施形態によるインクカートリッジに装着される液体検出装置を示した平面図、(b)は同底面図。
【図10】図9に示した液体検出装置の断面図であり、(a)は図9のA−A線に沿った断面図、(b)は図9のB−B線に沿った断面図。
【図11】図9に示した液体検出装置が装着されたインクカートリッジを示した図であり、(a)は側面図、(b)は同正面図。
【図12】図11に示したインクカートリッジの主要部を拡大して示した断面図。
【図13】本発明の他の実施形態によるインクカートリッジに装着される液体検出装置を示した平面図。
【図14】図13に示した液体検出装置を示した底面図。
【図15】図13に示した液体検出装置のA−A線に沿った断面図。
【図16】図13に示した液体検出装置のB−B線に沿った断面図。
【図17】図13に示した液体検出装置の電極及び圧電層の部分の分解図であり、(a)は電極端子のパターンを示し、(b)は上部電極のパターンを示し、(c)は圧電層のパターンを示し、(d)は下部電極及び補助電極のパターンを示す。
【図18】図13に示した液体検出装置の基板の部分の分解図であり、(a)は振動板を示し、(b)はキャビティ板を示し、(c)は出入口形成板を示す。
【図19】図13に示した液体検出装置を備えたインクカートリッジの一実施形態を示した側面図。
【図20】図13に示した液体検出装置を備えたインクカートリッジの他の実施形態を示した側面図。
【図21】本発明における液体検出装置の他の例を示した平面図。
【図22】図21に示した液体検出装置の電極及び圧電層の部分の分解図であり、(a)は電極端子のパターンを示し、(b)は上部電極のパターンを示し、(c)は圧電層のパターンを示し、(d)は下部電極及び補助電極のパターンを示す。
【図23】本発明の他の一実施形態による液体検出装置を示した平面図。
【図24】図23に示した液体検出装置を示した底面図。
【図25】図23に示した液体検出装置のA−A線に沿った断面図。
【図26】図23に示した液体検出装置のB−B線に沿った断面図。
【図27】図23に示した液体検出装置の電極及び圧電層の部分の分解図であり、(a)は電極端子のパターンを示し、(b)は上部電極のパターンを示し、(c)は圧電層のパターンを示し、(d)は下部電極及び補助電極のパターンを示す。
【図28】図23に示した液体検出装置の基板の部分の分解図であり、(a)は振動板を示し、(b)はキャビティ板を示し、(c)は出入口形成板を示す。
【図29】図23に示した液体検出装置を備えたインクカートリッジを示した図であり、(a)は側面図、(b)は正面図。
【図30】本発明の他の実施形態による液体検出装置を示した平面図。
【図31】図30に示した液体検出装置の電極及び圧電層の部分の分解図であり、(a)は電極端子のパターンを示し、(b)は上部電極のパターンを示し、(c)は圧電層のパターンを示し、(d)は下部電極及び補助電極のパターンを示す。
【図32】本発明の他の一実施形態による液体検出装置の図33におけるA−A線に沿った断面図。
【図33】上記液体検出装置の検出部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は同底面図。
【図34】上記液体検出装置のバッファ部を示す平面図。
【図35】上記液体検出装置を備えたインクカートリッジを示す図であり、(a)は側面図、(b)は同正面図。
【図36】上記インクカートリッジの液体検出装置の取り付け部分を示す拡大断面図。
【図37】振動部の振動を近似してシュミレーションする等価回路の一例を示す図。
【図38】本発明の液体検出装置を備えたインクカートリッジの他の実施形態であり、(a)は側面図、(b)は同正面図。
【図39】本発明の液体検出装置の他の実施形態であり、図40におけるB−B線に沿った断面図。
【図40】上記液体検出装置の検出部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は同底面図。
【図41】図26に示した実施形態の一変形例としてのインクカートリッジの主要部を示した断面図。
【図42】図32に示した実施形態の一変形例としてのインクカートリッジの主要部を示した断面図。
【図43】図26に示した実施形態の他の変形例としてのインクカートリッジの主要部を示した断面図。
【図44】図43に示したインクカートリッジにおいて液体検出装置を外した状態を示した側面図。
【図45】図32に示した実施形態の他の変形例としてのインクカートリッジの主要部を示した断面図。
【図46】図8に示した実施形態の一変形例としてのインクカートリッジを示した側面図。
【図47】図8に示した実施形態の他の変形例としてのインクカートリッジを示した側面図。
【図48】図8に示した実施形態の他の変形例としてのインクカートリッジを示した側面図。
【図49】従来の液体検出装置を示した図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿った断面図、(c)は(a)のC−C線に沿った断面図。
【図50】図49に示した従来の液体検出装置を備えた従来のインクカートリッジの断面図。
【符号の説明】
【0428】
40、140、240、340、440 振動キャビティ形成基部
41、141、241、341、441 キャビティ板
42、142、242、342、442 振動板
43、143、243、343、443 キャビティ
43a、143a、243a、343a、443a キャビティの底面部
46、146、246、346、446 下部電極(第1電極))
47、147、247、347、447 圧電層
49、149、249、349、449 上部電極(第2電極)
50、150、450 流路形成基部
51、451 流路板
52、452 出入口板
53、419、419A インク供給路(液体供給路)
53a インク供給路の主要部
53b、453b インク供給路の入口
54、420、420A インク排出路(液体排出路)
54a インク排出路の主要部
54b インク排出路の出口
60、60A、160、260、260A、360、360A、460、460A 液体検出装置
61、161、261、361、461 液体検出装置の振動部
70、70A、170、270、270A、370、470、470A インクカートリッジ(液体容器)
71、171、271、371、471 インク送出口(液体送出口)
72、172、272、372、472 容器本体
73 入口側開口
74 出口側開口
75、175、375、475 主貯留室(第1室)
76、176、376、476 副貯留室(第2室)
77、177、377、477 補助流路
77a、177a、377a、477a 補助流路入口
153 インク供給溝(液体供給溝)
154 インク排出溝(液体排出溝)
173 インク流通開口(液体流通開口)
174 液流規制部
177b 補助流路出口
250、350 出入口形成板
251、351 インク供給口(液体供給口)
252、352 インク排出口(液体排出口)
273、373 第1開口
274、374 第2開口
275 インク貯留室
275a 第1貯留室
275b 第2貯留室
343a 凹部
413 検出部
414 バッファ部
415 供給側バッファ室
416 排出側バッファ室
417 圧電素子
418 流路形成板
421 仕切壁
422 流入開口
423 流出開口
424 流入流路
425 流出流路
426 開口
427 容器本体の壁面(壁)
428 接着剤
443b 周縁
446a 下部電極の本体部
446b 下部電極の延出部
446c 下部電極の切欠き部
447a 圧電層の本体部
447b 圧電層の突出部
449a 上部電極の本体部
449b 上部電極の延出部
454b インク供給路の出口
476a 突出部
F キャビティに向かうインクの流れ
O1 キャビティの第1対称軸
O2 キャビティの第2対称軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された流路形成基部であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成されている流路形成基部と、を備えた液体検出装置。
【請求項2】
前記液体供給路の入口は、前記キャビティに対応する領域を外して配置されている請求項1記載の液体検出装置。
【請求項3】
前記液体排出路の出口は、前記キャビティに対応する領域に合わせて形成されている請求項1又は2に記載の液体検出装置。
【請求項4】
前記液体排出路の出口は、前記キャビティに対応する領域を外して配置されている請求項1又は2に記載の液体検出装置。
【請求項5】
前記振動キャビティ形成基部は、前記キャビティを形成する貫通孔が形成されたキャビティ板と、前記キャビティ板に積層された振動板と、を有し、
前記流路形成基部は、前記液体供給路の主要部及び前記液体排出路の主要部が形成された流路板と、前記液体供給路の入口及び前記液体排出路の出口が形成され、前記流路板に積層された出入口板と、を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体検出装置。
【請求項6】
前記振動板、前記キャビティ板、前記流路板、及び前記出入口板が、同一材質から成り、一体的に焼結されている請求項5記載の液体検出装置。
【請求項7】
振動領域を形成する前記キャビティの底面は実質的に円形である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体検出装置。
【請求項8】
内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、
前記容器本体に装着された液体検出装置と、を備え、
前記液体検出装置は、
互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された流路形成基部であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成されている流路形成基部と、を備え、
前記容器本体の内部の液体が、前記液体検出装置の前記液体供給路を介して前記キャビティに供給され、前記液体排出路を介して前記キャビティから排出されるように構成された液体容器。
【請求項9】
前記液体検出装置の前記液体供給路の入口から流入して前記液体排出路の出口から排出された液体が前記容器本体の前記液体送出口に送られるように構成されている請求項8記載の液体容器。
【請求項10】
前記容器本体の前記液体送出口に送られる液体の全量が事前に前記液体検出装置の前記液体供給路及び前記液体排出路を通過するように構成されている請求項9記載の液体容器。
【請求項11】
前記容器本体の内部は、互いに分離された第1室と第2室とに区画されており、
前記第2室は、液体消費時の液体の流れ方向において前記第1室よりも前記液体送出口に近い側に位置しており、
前記液体検出装置の前記液体供給路の入口は前記第1室に連通し、前記液体排出路の出口は前記第2室に連通し、前記液体供給路及び前記液体排出路が前記第1室と前記第2室とを連絡する連絡流路を形成している請求項9又は10に記載の液体容器。
【請求項12】
前記第1室は、前記容器本体の内部空間全体のうちの主要な部分を構成する主貯留室を形成し、
前記第2室は、前記主貯留室よりも小さな容積を有する副貯留室を形成している請求項11記載の液体容器。
【請求項13】
前記液体排出路の出口は、前記副貯留室の上端側に連通している請求項12記載の液体容器。
【請求項14】
密閉された補助流路を前記第1室の内部に形成し、前記補助流路の上端側に前記液体供給路の入口に連通する補助流路出口を形成し、前記補助流路の下端側に前記第1室に連通する補助流路入口を形成し、前記補助流路入口は前記第1室の内部の下端側に位置している請求項11乃至13のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項15】
前記液体検出装置は前記容器本体の外側に装着されており、
前記容器本体の容器壁には、前記液体供給路の入口に連通する入口側開口と、前記液体排出路の出口に連通する出口側開口とが貫通形成されている請求項8乃至14のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項16】
前記キャビティに向かって突出するようにして前記容器本体に設けられ、前記容器本体内の液体が消費される際に前記容器本体内の液体の流れを規制して前記キャビティに向かう液体の流れを生じさせる液流規制部をさらに有する、請求項8及び11乃至14のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項17】
前記液体供給路は、液体供給溝によって形成されており、
前記液体排出路は、液体排出溝によって形成されており、
前記容器本体の容器壁には、前記液体供給溝、前記キャビティ、及び前記液体排出溝に連通する単一の液体流通開口が形成されており、
前記液流規制部は、液体の流れ方向において前記液体供給溝と前記液体排出溝との間に配置されている、請求項16記載の液体容器。
【請求項18】
前記液体検出装置は、前記キャビティが前記圧電素子よりも垂直方向の下方に位置するようにして前記容器本体に装着されている、請求項8乃至17のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項19】
前記液体容器は、液体噴射装置に着脱自在に装着される液体カートリッジである請求項8乃至18のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項20】
互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、を有する液体検出装置と、
内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体であって、内部に貯留した液体が前記キャビティに流入するようにして前記液体検出装置が装着された容器本体と、
前記キャビティに向かって突出するようにして前記容器本体に設けられ、前記容器本体内の液体が消費される際に前記容器本体内の液体の流れを規制して前記キャビティに向かう液体の流れを生じさせる液流規制部と、を備えた液体容器。
【請求項21】
前記容器本体の内部は、互いに分離された第1室と第2室とに区画されており、
前記第2室は、液体消費時の液体の流れ方向において前記第1室よりも前記液体送出口に近い側に位置しており、
前記液流規制部は前記第1室と前記第2室との境界に配置されている請求項20記載の液体容器。
【請求項22】
前記第1室は、前記容器本体の内部空間全体のうちの主要な部分を構成する主貯留室を形成し、
前記第2室は、前記主貯留室よりも小さな容積を有する副貯留室を形成している請求項21記載の液体容器。
【請求項23】
前記液流規制部は、前記副貯留室の上端側に配置されている請求項22記載の液体容器。
【請求項24】
密閉された補助流路を前記第1室の内部に形成し、前記補助流路の上端側に補助流路出口を形成すると共に前記補助流路出口の近傍に前記液流規制部を配置し、前記補助流路の下端側に前記第1室に連通する補助流路入口を形成し、前記補助流路入口は前記第1室の内部の下端側に位置している請求項21乃至23のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項25】
前記液体検出装置は前記容器本体の外側に装着されており、
前記液体検出装置の前記キャビティに対向する部分の前記容器本体の容器壁には、前記容器本体内の液体を前記キャビティに流入させるための液体流通開口が貫通形成されている請求項20乃至24のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項26】
前記液体検出装置は、前記振動キャビティ形成基部に積層された流路形成基部をさらに有し、前記流路形成基部には、前記キャビティに液体を供給する液体供給溝と、前記キャビティから液体を排出する液体排出溝とが形成されている請求項20乃至25のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項27】
前記液体供給溝及び前記液体排出溝は、前記キャビティに対応する領域を外して配置されている請求項26記載の液体容器。
【請求項28】
前記振動キャビティ形成基部は、前記キャビティを形成する貫通孔が形成されたキャビティ板と、前記キャビティ板に積層された振動板と、を有し、
前記振動板、前記キャビティ板、及び前記流路形成基部が、同一材質から成り、一体的に焼結されている請求項26又は27に記載の液体容器。
【請求項29】
振動領域を形成する前記キャビティの底面は実質的に円形である請求項20乃至28のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項30】
前記液体容器は、液体噴射装置に着脱自在に装着される液体カートリッジである請求項20乃至29のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項31】
内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、
前記容器本体に装着された液体検出装置と、を備え、
前記液体検出装置は、
互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、を備え、
前記容器本体は、前記液体検出装置の前記キャビティに連通する第1開口及び第2開口を有し、
前記液体検出装置は、前記キャビティが前記圧電素子よりも垂直方向の下方に位置するようにして前記容器本体に装着されており、前記第1開口から流出した液体が前記キャビティに流入し、前記第2開口を介して前記キャビティから前記容器本体の内部に液体が流れるように構成されている、液体容器。
【請求項32】
前記液体検出装置は、さらに、前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された流路形成基部であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給口と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出口とが形成されている出入口形成基板を有し、前記第1開口が前記液体供給口に連通し、前記第2開口が前記液体排出口に連通している請求項31記載の液体容器。
【請求項33】
前記容器本体の内部は、互いに分離された第1貯留室と第2貯留室とに区画されており、前記第1開口は前記第1貯留室に連通し、前記第2開口は前記第2貯留室に連通し、前記第1貯留室内の液体は、前記第1開口、前記キャビティ、及び前記第2開口を介して前記第2貯留室に供給される請求項31又は32に記載の液体容器。
【請求項34】
互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、を備え、
前記キャビティの平面形状は、長手方向寸法及び前記長手方向寸法よりも短い幅方向寸法を有し、
前記第1電極は、前記キャビティに対応する領域の略全体を覆うようにして形成されており、
前記第2電極は、前記キャビティの4つの隅部に対応する部分を切り欠くようにして略十字状に形成されている、液体検出装置。
【請求項35】
前記キャビティは、互いに直交する第1対称軸及び第2対称軸を有し、前記幅方向寸法は前記第1対称軸に沿った寸法であり、前記長手方向寸法は前記第2対称軸に沿った寸法である請求項34記載の液体検出装置。
【請求項36】
前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された出入口形成板であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給口と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出口とが形成された出入口形成板をさらに有する請求項34又は35に記載の液体検出装置。
【請求項37】
前記液体供給口及び前記液体排出口が前記キャビティの長手方向の両端部に対応する位置に配置されている請求項36記載の液体検出装置。
【請求項38】
互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されており、前記キャビティの平面形状は、長手方向寸法及び前記長手方向寸法よりも短い幅方向寸法を有する、振動キャビティ形成基部と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された出入口形成板であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給口と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出口とが形成されており、前記液体供給口及び前記液体排出口が前記キャビティの長手方向の両端部に対応する位置に配置されている出入口形成板と、を備えた液体検出装置。
【請求項39】
前記キャビティは、互いに直交する第1対称軸及び第2対称軸を有し、前記幅方向寸法は前記第1対称軸に沿った寸法であり、前記長手方向寸法は前記第2対称軸に沿った寸法である請求項38記載の液体検出装置。
【請求項40】
前記液体供給口及び前記液体排出口が前記キャビティに対応する領域の内側に形成されている請求項36乃至39のいずれか一項に記載の液体検出装置。
【請求項41】
前記振動キャビティ形成基部は、前記キャビティを形成する貫通孔が形成されたキャビティ板と、前記キャビティ板に積層された振動板と、を有する請求項34乃至40のいずれか一項に記載の液体検出装置。
【請求項42】
前記圧電層は、その全体が前記キャビティに対応する領域の内側に形成されている請求項34乃至41のいずれか一項に記載の液体検出装置。
【請求項43】
前記キャビティの長手方向における前記圧電層の寸法は前記キャビティの前記長手方向寸法よりも大きく、前記圧電層は、前記キャビティの長手方向において前記キャビティをその全長にわたって覆うように形成されている請求項34乃至41のいずれか一項に記載の液体検出装置。
【請求項44】
内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、
前記容器本体に装着された液体検出装置と、を備えた液体容器であって、
前記液体検出装置は、
互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、を備え、
前記キャビティの平面形状は、長手方向寸法及び前記長手方向寸法よりも短い幅方向寸法を有し、
前記第1電極は、前記キャビティに対応する領域の略全体を覆うようにして形成されており、
前記第2電極は、前記キャビティの4つの隅部に対応する部分を切り欠くようにして略十字状に形成されている、液体容器。
【請求項45】
内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、
前記容器本体に装着された液体検出装置と、を備えた液体容器であって、
前記液体検出装置は、
互いに対向する第1面及び第2面を有する振動キャビティ形成基部であって、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが前記第1面側に開口するようにして形成され、前記キャビティの底面が振動可能に形成されており、前記キャビティの平面形状は、長手方向寸法及び前記長手方向寸法よりも短い幅方向寸法を有する、振動キャビティ形成基部と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第2面側に形成された第1電極、前記第1電極に積層された圧電層、及び前記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、
前記振動キャビティ形成基部の前記第1面側に積層された出入口形成板であって、前記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給口と、前記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出口とが形成されており、前記液体供給口及び前記液体排出口が前記キャビティの長手方向の両端部に対応する位置に配置されている出入口形成板と、を備えている、液体容器。
【請求項46】
互いに対向する第1面および第2面を有し、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、上記第1面側に開口するようにして形成され、上記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、
上記振動キャビティ形成基部の上記第2面側に形成された第1電極、上記第1電極に積層された圧電層、および上記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、
上記振動キャビティ形成基部の上記第1面側に積層され、上記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、上記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成された流路形成基部とを備え、
上記キャビティ,液体供給路および液体排出路を含んで形成される空間が、液体供給路と液体排出路に挟まれた領域に存在するキャビティの中心に対して対称に形成されていることを特徴とする液体検出装置。
【請求項47】
上記キャビティを形成する空間は実質的に円筒形である請求項46記載の液体検出装置。
【請求項48】
上記液体供給路および液体排出路は、それぞれキャビティに対して流路面積が絞られるとともに、内部に液体の流体的質量が存在するよう長さが設定されている請求項46または47記載の液体検出装置。
【請求項49】
上記液体供給路に連通する供給側バッファ室と、上記液体排出路に連通する排出側バッファ室とを備えた請求項46乃至48のいずれか一項に記載の液体検出装置。
【請求項50】
上記供給側バッファ室と排出側バッファ室は、上記キャビティの中心に対して対称に形成されている請求項49記載の液体検出装置。
【請求項51】
上記供給側バッファ室および排出側バッファ室は、それぞれキャビティの容量の少なくとも10倍以上の容量を有するものである請求項49または50記載の液体検出装置。
【請求項52】
内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口を有する容器本体と、
上記容器本体に装着された液体検出装置とを備え、
上記液体検出装置は、
互いに対向する第1面および第2面を有し、検出対象の媒体を受け入れるためのキャビティが、上記第1面側に開口するようにして形成され、上記キャビティの底面が振動可能に形成されている振動キャビティ形成基部と、
上記振動キャビティ形成基部の上記第2面側に形成された第1電極、上記第1電極に積層された圧電層、および上記圧電層に積層された第2電極を有する圧電素子と、
上記振動キャビティ形成基部の上記第1面側に積層され、上記キャビティに検出対象の液体を供給する液体供給路と、上記キャビティから検出対象の液体を排出する液体排出路とが形成された流路形成基部とを備え、
上記キャビティ,液体供給路および液体排出路を含んで形成される空間が、液体供給路と液体排出路に挟まれた領域に存在するキャビティの中心に対して対称に形成され、
上記容器本体の内部の液体が、上記液体検出装置の上記液体供給路を介して上記キャビティに供給され、上記液体排出路を介して上記キャビティから排出されるように構成されたことを特徴とする液体容器。
【請求項53】
上記液体検出装置のキャビティを形成する空間は実質的に円筒形である請求項52記載の液体容器。
【請求項54】
上記液体供給路および液体排出路は、それぞれキャビティに対して流路面積が絞られるとともに、内部に液体の流体的質量が存在するよう長さが設定されている請求項52または53に記載の液体容器。
【請求項55】
上記液体検出装置に、上記液体供給路に連通する供給側バッファ室と、上記液体排出路に連通する排出側バッファ室とを備えた請求項52乃至54のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項56】
上記液体検出装置の供給側バッファ室と排出側バッファ室は、上記キャビティの中心に対して対称に形成されている請求項55記載の液体容器。
【請求項57】
上記液体検出装置の上記供給側バッファ室および排出側バッファ室は、それぞれキャビティの容量の少なくとも10倍以上の容量を有するものである請求項55または56記載の液体容器。
【請求項58】
上記供給側バッファ室は、上記容器本体の内部空間のうちの主要な部分を構成して液体を貯留する液体貯留室に連通し、上記排出側バッファ室は、上記容器本体の内部空間のうち内部に貯留した液体を外部に送出する液体送出口に連通する液体送出空間に連通している請求項55乃至57のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項59】
容器本体と、
前記容器本体の内部と流体連通する液体送出口と、
圧電素子と、
前記圧電素子が少なくとも部分的に配置された振動部と、
前記振動部に面するキャビティと、
前記容器本体の内部と前記キャビティとを流体連通させる第1流路と、
前記容器本体の内部と前記キャビティとを流体連通させる第2流路と、を備えた液体容器。
【請求項60】
前記圧電素子と前記容器本体の壁との間に配置された板部材であって、一端側が封止された孔を含む、板部材をさらに有し、前記孔の封止端は前記振動部として機能し、前記孔の内部は前記キャビティとして機能する、請求項59記載の液体容器。
【請求項61】
平面を含む第1板部材であって、前記圧電素子と前記容器本体の壁との間に配置された第1板部材と、
貫通孔を含み、前記第1板部材の前記平面に取り付けられた第2板部材であって、前記第1板部材と前記容器本体の壁との間に配置された第2板部材と、をさらに有し、
前記第1板部材の一部は前記振動部として機能し、前記平面に垂直な方向から見て、前記第1板部材の前記一部は、前記第2板部材の前記貫通孔の位置に対応しており、
前記第1板部材の前記一部によって一端が封止された前記貫通孔の内部は、前記キャビティとして機能する、請求項59記載の液体容器。
【請求項62】
平面を含む板部材をさらに有し、
前記容器本体の壁は、凹部及び前記凹部の周囲の外面を含み、
前記板部材の前記平面は、前記容器本体の壁の前記凹部の周囲の外面に取り付けられており、
前記板部材の一部は、前記平面に垂直な方向から見て前記容器本体の壁の前記凹部の位置に対応すると共に、前記振動部として機能する、請求項59記載の液体容器。
【請求項63】
第1貫通孔及び第2貫通孔を含む板部材であって、前記キャビティと前記容器本体の壁との間に配置された板部材をさらに有し、
前記第1流路は、少なくとも部分的に前記第1貫通孔によって画成されており、
前記第2流路は、少なくとも部分的に前記第2貫通孔によって画成されている、請求項59乃至62のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項64】
第1溝及び第2溝を含む板部材であって、前記キャビティと前記容器本体の壁との間に配置された板部材をさらに有し、
前記第1流路は、少なくとも部分的に前記第1溝によって画成されており、
前記第2流路は、少なくとも部分的に前記第2溝によって画成されている、請求項59乃至61のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項65】
前記容器本体の壁は、第1貫通孔及び第2貫通孔を含み、
前記第1流路は、少なくとも部分的に前記第1貫通孔によって画成されており、
前記第2流路は、少なくとも部分的に前記第2貫通孔によって画成されている、請求項59乃至61のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項66】
前記容器本体の壁に形成された第1流通路と、
前記容器本体の壁に形成された第2流通路と、をさらに有し、
前記第1流路は、少なくとも部分的に前記第1流通路によって画成されており、
前記第2流路は、少なくとも部分的に前記第2流通路によって画成されている、請求項59乃至62のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項67】
前記第1流路は、
第1最大断面領域を含む第1流通路と、
前記第1最大断面領域よりも大きな第2最大断面領域を含む第2流通路であって、前記第1流通路に接続された第2流通路と、
前記第2最大断面領域よりも小さな第3最大断面領域を含む第3流通路であって、前記第1流通路と前記第3流通路とが前記第2流通路を介して互いに流体連通するように前記第2流通路に接続された、第3流通路と、を有する、請求項59乃至62のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項68】
前記第1流通路、前記第2流通路、及び前記第3流通路の少なくとも一つは、前記容器本体の壁の中に形成されている、請求項67記載の液体容器。
【請求項69】
前記第1流通路、前記第2流通路、及び前記第3流通路の少なくとも一つは、前記容器本体の壁に取り付けられた別個の部材に形成されている、請求項67記載の液体容器。
【請求項70】
前記第2流路は、
第1最大断面領域を含む第1流通路と、
前記第1最大断面領域よりも大きな第2最大断面領域を含む第2流通路であって、前記第1流通路に接続された第2流通路と、
前記第2最大断面領域よりも小さな第3最大断面領域を含む第3流通路であって、前記第1流通路と前記第3流通路とが前記第2流通路を介して互いに流体連通するように前記第2流通路に接続された、第3流通路と、を有する、請求項59乃至62のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項71】
前記第1流通路、前記第2流通路、及び前記第3流通路の少なくとも一つは、前記容器本体の壁の中に形成されている、請求項70記載の液体容器。
【請求項72】
前記第1流通路、前記第2流通路、及び前記第3流通路の少なくとも一つは、前記容器本体の壁に取り付けられた別個の部材に形成されている、請求項70記載の液体容器。
【請求項73】
前記容器本体は、上流室と下流室とに区画されており、
前記上流室は、前記第1流路、前記キャビティ、及び前記第2流路を介して前記下流室と流体連通している、請求項59乃至72のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項74】
前記上流室、前記第1流路、前記キャビティ、前記第2流路、及び前記下流室は、この順序で連続して接続されている、請求項73記載の液体容器。
【請求項75】
前記上流室は、第3流路を介して前記下流室と流体連通している、請求項73記載の液体容器。
【請求項76】
前記第1流路、前記キャビティ、及び前記第2流路は、バイパス流路を形成し、且つ、前記第3流路及び前記バイパス流路は、並列に、前記下流室及び前記上流室に接続されている、請求項75記載の液体容器。
【請求項77】
前記液体送出口は、前記第1及び第2流路とは異なる第3流路と流体連通している、請求項59乃至請求項72のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項78】
前記上流室は、前記キャビティよりも大きな容積を有する、請求項73乃至76のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項79】
前記下流室は、前記キャビティよりも大きな容積を有する、請求項73乃至76及び78のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項80】
前記上流室は、少なくとも部分的に前記キャビティに面している、請求項73乃至76、78及び79のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項81】
前記下流室は、少なくとも部分的に前記キャビティに面している、請求項73乃至76、78、79及び80のいずれか一項に記載の液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2006−194854(P2006−194854A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121158(P2005−121158)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】