説明

液体洗剤組成物

【課題】セルラーゼの酵素活性の持続性が良く、長期保存後も高い褪色防止効果を持つ液体洗剤組成物の提供。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物及びその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、セルラーゼ(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する液体洗剤組成物。


[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料はその種類によって汚れが異なる。汚れの中で皮脂汚れ、タンパク汚れ及び粒子汚れ等の複合汚れは洗浄が困難であると考えられている。従来、このような汚れに対しては、皮脂汚れ除去及び粒子汚れの分散に優れた界面活性剤、タンパク汚れ分解に優れたプロテアーゼのような酵素を含む洗剤が有効であることが知られている。
【0003】
しかし、高い洗浄力が故に、特に色物の衣服は洗濯後に色褪せする問題があり、色物と白物を分けて洗う等の対策がとられてきた。また、特定の蛍光染料にUV吸収効果を持たせて、衣料に染着させることで色褪せを目立たないようにしてきた(特許文献1〜3)。しかしながら、これらの方法は、色褪せに対する対策をとっておらず、褪色防止が十分とは言えず、依然として課題が多い。
【0004】
一方、セルラーゼは、セルロース繊維の非晶質部分を切断することで、繊維表面(主に毛羽等)を分解し、毛羽立ち防止の機能があることは知られている(特許文献4〜5)。しかしながら、セルラーゼは水溶液中での酵素活性の持続性が極めて低く、効果が持続しないため、セルラーゼを含む液体洗剤を設計することは非常に困難である。
なお、本発明において、「酵素活性の持続性が良い」とは、一定期間保存した後に測定した酵素活性と、保存する直前に測定した酵素活性との差が小さく、一定の酵素活性を示すことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−12927号公報
【特許文献2】国際公開第WO99/3963号パンフレット
【特許文献3】特表平11−501702号公報
【特許文献4】国際公開第WO2005/054475号パンフレット
【特許文献5】国際公開第WO2004/039969号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、セルラーゼの酵素活性の持続性が良く、高い褪色防止効果を持つ液体洗剤組成物を提供すること、特に、衣料用に高い褪色防止性能を実現できる液体洗剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の液体洗剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、セルラーゼ(a)、界面活性剤(b)及び水を含有することを要旨とする。
【0008】
【化1】

【0009】
[式(1)中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体洗剤組成物は、長期保存後も褪色防止性を保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の液体洗剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、セルラーゼ(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する液体洗剤組成物である。
【0012】
【化2】

【0013】
[式(1)中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【0014】
セルラーゼを液体洗剤中で保存すると、凝集や加水分解等を起こし褪色防止性能が著しく低下するという問題点があるが、本発明では、特定の化学構造を有する上記の化合物(A)を液体洗剤組成物に含有させることにより解決できる。
【0015】
一般式(1)で表される化合物として、具体的にはグアニジン、尿素及びチオ尿素等が挙げられる。
【0016】
一般式(1)で表される化合物の塩としては、グアニジンの塩等が挙げられる。
塩としては塩酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩及びリン酸塩等が挙げられる。
【0017】
化合物(A)としては、酵素活性の持続性の観点で、グアニジンの塩及び尿素が好ましく、さらに好ましくはグアニジンの塩、次にさらに好ましくはグアニジン塩酸塩である。
【0018】
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる化合物(A)の含有量(重量%)は、褪色防止性能の持続性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.02〜10、次にさらに好ましくは0.03〜5、特に好ましくは0.05〜3である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる化合物(A)の含有量は、褪色防止性能の持続性の観点から、酵素の重量に対し、1〜1000重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜500重量%、次にさらに好ましくは10〜300重量%である。
【0019】
本発明の液体洗剤組成物は、さらに下記一般式(2)で表される化合物(B)を含有することができる。褪色防止性能の持続性の観点から、(B)を含有することが好ましい。
【0020】
【化3】

【0021】
一般式(2)中、Qはアルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の置換基に置換されていてもよい。
【0022】
Qのアルキル基としては炭素数1〜22のアルキル基が挙げられ、具体的にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基及びベヘニル基等が挙げられる。これらのアルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の置換基に置換されてもよい。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。置換基の数は1〜3が好ましく、さらに好ましくは2〜3である。例えばQがブチル基の場合、ブチル基末端の水素原子2つが1つのアミノ基及び1つのカルボキシル基で置換された場合は(B)はアルギニンを表す。
【0023】
化合物(B)としては、アルギニン又はその塩(B−1)、アルギニン誘導体又はその塩(B−2)及びグアニジン誘導体又はその塩(B−3)が挙げられる。
【0024】
アルギニン又はその塩(B−1)として、アルギニン、アルギニンの無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及びアルギニンの有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0025】
アルギニン誘導体又はその塩(B−2)において、アルギニン誘導体は下記一般式(3)で表されるアルギニンのα−アミノ基若しくはα−カルボキシル基又はこれらの両方の基が置換された誘導体である。
α−アミノ基の置換は、下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)への置換であり、α−カルボキシル基の置換は下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)への置換である。
【0026】
言い換えると、アルギニン誘導体又はその塩(B−2)では、α−アミノ基又はα−カルボキシル基の少なくともいずれか一方が置換されている。すなわち、Yがアミノ基の場合、Zは下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)であり、Zがカルボキシル基の場合は、Yは下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は下記一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)である。
【0027】
【化4】

【0028】
一般式(3)中、Yはアミノ基、下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は下記一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)を表す。Zは、カルボキシル基、下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)を表す。
【0029】
【化5】

【0030】
一般式(4)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜36の1価の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0031】
一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)におけるR1の炭化水素基としては、炭素数1〜36の1価の炭化水素基であり、直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びベヘニル基等が挙げられる。
分岐の脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基及びt−ブチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基及びメチルベンジル基等が挙げられる。
これらの炭化水素基のうち、酵素活性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。
【0032】
一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)として具体的には、ホルムアミド基、アセチルアミド基、プロピオン酸アミド基、ブチル酸アミド基、ヘキシル酸アミド基、シクロヘキシル酸アミド基、オクチル酸アミド基及びベンゾイルアミド基等が挙げられる。
【0033】
【化6】

【0034】
一般式(5)中、R2とR3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、これらの炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0035】
一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)において、R2とR3は、R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
【0036】
一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)としては、メチルイミノ基等が挙げられる。
【0037】
【化7】

【0038】
一般式(6)中、R4は、炭素数1〜36の炭化水素基を表す、又は多価アルコール若しくは糖から1つのヒドロキシル基を除いた残基を表す。
この炭化水素基はその水素原子一部が他の官能基、例えば、ヒドロキシル基、メトキシル基、エトキシル基、ニトロ基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる官能基で置換されていてもよい。
【0039】
一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)において、R4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基は、前記R1と同様の炭化水素基が含まれる。
4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、酵素活性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはエチル基である。
【0040】
多価アルコールとしては、2価〜3価のアルコールが含まれ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
糖としては、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール及びトレハロース等が挙げられる。
【0041】
【化8】

【0042】
一般式(7)中、R5は、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0043】
一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)において、R5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基としては、前記R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、酵素活性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
【0044】
アルギニン誘導体又はその塩(B−2)がアルギニン誘導体の塩の場合、無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及び有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0045】
アルギニン誘導体又はその塩(B−2)の化合物として具体的に、N−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩が挙げられる。
【0046】
グアニジン誘導体又はその塩(B−3)としては、Qを特に限定するものではないが、具体的にアミノグアニジン(−NH2)、ジシアンジアミド(−CN)、グアニルチオウレア(−C(=S)NH2)、ドデシルグアニジン(−C1225)、エチルグアニジン(−C25)、オクチルグアニジン(−C817)及びビグアニド(−C(=NH)NH2)が挙げられる。ここで、()内はQの官能基を表す。
【0047】
これらのうち、生理活性の持続性の観点で、好ましくは(B−1)及び(B−2)であり、さらに好ましくは、(B−2)であり、特に好ましいのはN−α−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩である。
【0048】
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる化合物(B)の含有量(重量%)は、褪色防止性能の持続性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.03〜10、次にさらに好ましくは0.05〜5である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる化合物(B)の含有量は、褪色防止性能の持続性の観点から、酵素の重量に対し、1〜1000重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜500重量%、次にさらに好ましくは10〜300重量%である。
【0049】
本発明の液体洗剤組成物は化合物(A)のみを含有すればよいが、褪色防止性能の持続性の観点から、化合物(A)及び化合物(B)を含有することが好ましい。
【0050】
(A)及び(B)を含有する場合、(A)と(B)との重量比((A)の重量/(B)の重量)は長期褪色防止性の観点から、0.1〜9が好ましく、さらに好ましくは0.2〜8であり、特に好ましくは0.5〜5である。
【0051】
本発明における必須成分であるセルラーゼ(a)としては、特に限定するものではなく、市販のセルラーゼを使用することができる。市販のセルラーゼとしては、エンドラーゼ、ケアザイム(以上ノボザイム社)及びピュラダックス(以上ジェネンコア社)等が挙げられる。
【0052】
本発明の液体洗剤組成物に含まれるセルラーゼ(a)の含有量は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し、0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3重量%、次にさらに好ましくは0.1〜2重量%である。
【0053】
本発明の必須成分である界面活性剤(b)はノニオン性界面活性剤(b−1)、アニオン性界面活性剤(b−2)、カチオン性界面活性剤(b−3)及び両性界面活性剤(b−4)が挙げられる。
【0054】
ノニオン性界面活性剤(b−1)としては、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[オレイルアルコールエチレンオキサイド(以下、エチレンオキサイドをEOと記載することがある)11モル付加物等]、脂肪族アミン(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[ヘキサデシルアミンエチレンオキサイドプロピレンオキサイド(以下、プロピレンオキサイドをPOと記載することがある)付加物、ラウリルアミンエチレンオキサイド付加物、ステアリルアミンエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)グリコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)及びジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(ポリ)アルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜8,重合度=1〜100)[ソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド(重合度=10)付加物及びメチルグルコースジオレエートエチレンオキサイド(重合度=50)付加物等]、脂肪酸N−ヒドロキシアルキルアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、アルキル(炭素数1〜22)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)フェニルエーテル、アルキル(炭素数8〜24)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)−アミノアルキル(炭素数8〜24)−エーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
【0055】
アニオン性界面活性剤(b−2)としては、炭素数8〜24のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンエーテルカルボン酸又はその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸ナトリウム及びラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸−トリエタノールアミン塩等]、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸スルホン酸ナトリウム、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキルリン酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
【0056】
カチオン性界面活性剤(b−3)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]及びアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
【0057】
両性界面活性剤(b−4)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0058】
(b)としては、1種又は2種以上が使用出来る。2種以上を使用する場合、その組み合わせとしては、例えばノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。
【0059】
(b)として、褪色防止性能の観点から、ノニオン性界面活性剤単独での使用、及びノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との組み合わせでの使用が好ましい。
ノニオン性界面活性剤単独で使用する場合、ノニオン性界面活性剤としては、洗浄性の観点から、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)エチレンオキサイド付加物(重合度=1〜100)、脂肪族アミン(炭素数8〜24)エチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物(重合度=1〜100)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜18)エチレンオキサイド付加物(重合度4〜20)、脂肪族アミン(炭素数12〜18)エチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物(重合度=4〜60)次にさらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜15)エチレンオキサイド付加物(重合度=8〜12)、脂肪族アミン(炭素数16〜18)エチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物(重合度=30〜60)、特に好ましくはオレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物、ヘキサデシルアミンエチレンオキサイド42モルプロピレンオキサイド12モル付加物である。
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用する場合、ノニオン性界面活性剤としては、褪色防止性能の観点から、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)エチレンオキサイド付加物(重合度=1〜100)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜18)エチレンオキサイド付加物(重合度4〜20)、次にさらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜15)エチレンオキサイド付加物(重合度=8〜12)、特に好ましくはオレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物である。
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用する場合、アニオン性界面活性剤としては、褪色防止性能の観点から、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩、脂肪酸塩、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩が好ましく、さらに好ましくは、炭素数12〜16のアルキルフェニルスルホン酸塩及び炭素数8〜16の脂肪酸塩、次にさらに好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩及びラウリン酸ナトリウムである。
【0060】
本発明の液体洗剤組成物に含まれる界面活性剤(b)の含有量は、褪色防止性能の観点から液体洗剤組成物の重量に対し、5〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。
【0061】
本発明の必須成分である水は、特に限定するものではなく、水道水、イオン交換水、蒸留水及び逆浸透水等が挙げられる。
【0062】
本発明の液体洗剤組成物に含まれる水の含有量は、褪色防止性能の持続性の観点から、液体洗剤組成物の重量に対し、5〜94.8重量%が好ましく、さらに好ましくは37〜89.8重量%、特に好ましくは55〜79.8重量%である。
【0063】
本発明の液体洗剤組成物には、洗浄性を向上させるために、上記の化合物(A)及び(B)、セルラーゼ(a)、界面活性剤(b)並びに水以外に、セルラーゼ以外の酵素(c)、無機塩(d)、多価アルコール(e)、糖(f)、アルギニン以外のアミノ酸(g)、ビルダー(h)、アルカリ剤(i)及びキレート剤(j)を含有することができる。
【0064】
セルラーゼ以外の酵素(c)としては、プロテアーゼ(c−1)、アミラーゼ(c−2)、リパーゼ(c−3)及びオキシドレダクターゼ(c−4)が挙げられる。
【0065】
プロテアーゼ(c−1)としては、動物、植物又は微生物起源のものが含まれ、入手しやすさの観点から、微生物起源のものが好ましい。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。プロテアーゼのうち、洗浄性の観点から、セリンプロテアーゼが好ましく、より好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼ及びトリプシン様プロテアーゼである。
【0066】
アルカリ性微生物プロテアーゼとしては、サブチリシン、特にバシラス菌(Bacillus)由来のもの、例えばサブチリシン Novo、サブチリシン Carlsberg、サブチリシン 309、サブチリシン 147及びサブチリシン 168が挙げられる。
トリプシン様プロテアーゼとしては、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)及びフザリウム(Fusarium)プロテアーゼが挙げられる。
【0067】
市販のプロテアーゼとしては、ノボザイムス社のAlcalaseTM、SavinaseTM、PrimaseTM、DurazymTM及びEsperaseTM並びにジェネンコア社のPurafectTM及びPurafect OXPTM等が挙げられる。
【0068】
アミラーゼ(c−2)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。アミラーゼとしては、例えば、英国特許第1,296,839号明細書に詳細に記載されているB.リヘニフォルミス(B.licheniformis)の特殊株から得られるα−アミラーゼが挙げられる。
市販のアミラーゼとしては、ノボザイムス社の DuramylTM、TermamylTM、FungamylTM及びBANTM並びにGist−Brocades社のRapidaseTM及びMaxamyl PTMが挙げられる。
【0069】
リパーゼ(c−3)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。リパーゼの例としては、フミコーラ・ランギノーザ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(欧州特許第258 068号明細書及び欧州特許第305 216号明細書)、リゾムーコル・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ及びカンジダ(Candida)リパーゼ(欧州特許第238 023号明細書)、C.アンタークティカ(C.ntarctica)リパーゼA及びB、シュードモナス(Pseudomonas )リパーゼ(欧州特許第214 761号明細書)、P.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)及びP.アルカリゲネス(P.alcaligenes)リパーゼ(欧州特許第218 272号明細書)、P.セパシア(P. cepacia)リパーゼ(欧州特許第331 376号明細書)、P.スタッツェリ(P.stutzeri)リパーゼ、P.フルオレッセンス(P. fluorescens)リパーゼ及びバシラス(Bacillus)リパーゼ(英国特許第1,372,034号明細書)、B.サチリス(B. subtilis)リパーゼ(Dartois 他(1993), Biochemica et Biophysica Acta1131,253−260)、B.ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)リパーゼ(特公昭64−744992号公報)並びにB.ピュミルス(B. pumilus)リパーゼ(国際公開第91/16422号)が挙げられる。
【0070】
市販のリパーゼとしては、ジェネンコア社の M1 LipaseTM、Luma fastTM及びLipomaxTM、ノボザイムス社のLipolaseTM及びLipolase UltraTM並びに天野エンザイム社のLipase P“Amano”TMが挙げられる。
【0071】
オキシドレダクターゼ(c−4)としては、ペルオキシダーゼ及びオキシダーゼ(例えばラッカーゼ)が含まれる。
ペルオキシダーゼとしては、植物、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。ペルオキシダーゼとしては、コプリナス(Coprinus)(例えばC.シネレウス(Coprinus cinereus)又はC.マクロリザス(C.macrorhizus)の菌株由来のもの)、バシラス(Bacillus)(B.ピュミラス(B.pumilus)の菌株由来のもの)及び国際公開第91/05858号に記載されたペルオキシダーゼが好ましく、特に好ましくは国際公開第91/05858号に記載されたペルオキシダーゼである。
ラッカーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。ラッカーゼとしては、トラメテス(Trametes)(例えばT.ビロサ(T.villosa)又はT.ベルシコロール(T.versicolor)の菌株由来のもの]、コプリナス(Coprinus)[例えばC.シネレウス(C.cinereus)の菌株由来のもの]及びミセリオフトラ(Myceliophthora)[例えばM.サーモフィラ(M.thermophlla)の菌株由来のもの]が挙げられる。
【0072】
上記の酵素のうち、タンパク汚れ、脂汚れ、粒子汚れ及び炭水化物汚れに対する洗浄性の観点で、プロテアーゼ(c−1)、アミラーゼ(c−2)及びリパーゼ(c−3)が好ましく、さらに好ましくはプロテアーゼ(c−1)である。
【0073】
無機塩(d)として、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及び硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0074】
多価アルコール(e)として、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0075】
糖(f)として、トレハロース、スクロース、デキストリン、シクロデキストリン、マルトース、フルクトース、ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸等が挙げられる。
【0076】
アルギニン以外のアミノ酸(g)として、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、ロイシン、リシン、ヒスチジン及びそれらの塩等が挙げられる。
【0077】
ビルダー(h)として、ポリ(メタ)アクリル酸塩及びポリカルボン酸{例えば、シュウ酸、クエン酸、コハク酸及びリンゴ酸等}が挙げられる。
【0078】
アルカリ剤(i)として、例えば、苛性ソーダ、ソーダ灰、アンモニア、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン及びトリポリリン酸ソーダ等が挙げられる。
【0079】
キレート剤(j)としては、液体洗剤に用いられる公知のものを用いることができる。例えば、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸及びジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸及びカルボキシメチル酒石酸等の有機酸又はこれらの塩並びにアミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)又はこれらのアルカリ金属若しくは低級アミン塩等が挙げられる。
【0080】
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる酵素(c)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5、次にさらに好ましくは0.1〜3である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる無機塩(d)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5、次にさらに好ましくは0.1〜3である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる多価アルコール(e)の含有量(重量%)は、液体洗剤組成物の均一性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、次にさらに好ましくは0〜5である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる糖(f)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜1である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれるアミノ酸(g)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、次にさらに好ましくは0〜3である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれるビルダー(h)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜1である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれるアルカリ剤(i)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜4、次にさらに好ましくは0.5〜3である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれるキレート剤(j)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜2である。
【0081】
本発明の液体洗剤組成物のpHは、洗浄性の観点から、1%(w/w)水溶液で7〜11が好ましく、さらに好ましくは7〜10である。
【0082】
本発明の液体洗剤組成物は、各成分を混合することにより得られ、製造方法は特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)水に界面活性剤、化合物(A)及び必要により化合物(B)を加え、25℃で均一になるまで撹拌する。
(2)セルラーゼ(a)又は酵素(c)以外の成分を所定量添加し均一に溶解させる。
(3)最後にセルラーゼ(a)及び必要により酵素(c)を添加し溶解させ、液体洗剤組成物を製造する。
【0083】
本発明の液体洗剤組成物の使用方法は、従来の液体洗剤組成物の使用方法と同じでよく、特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)洗濯物が入った洗濯機に水道水を張り、液体洗剤組成物を25℃で添加し、軽く撹拌して溶解させる。
(2)洗濯機で洗濯物を洗浄する。
(3)洗濯機から液を抜き、水道水で1〜2回すすぐ。
(4)適宜脱水をかける。
【実施例】
【0084】
以下の実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
<製造例1>
N−α−アセチルアルギニン{アルギニンアセトアミド、株式会社エムピーバイオジャパン}12.6部(0.05モル部)、メタンスルホン酸1部及びエタノール92部(2モル部)を均一混合し、80℃で5時間加熱攪拌し、エバポレーターで濃縮後、塩酸(濃度:35重量%)5.2部(0.05モル部)を加え中和した。その後、水から再結晶し、減圧乾燥{60℃、20Pa}して、化合物(B)であるN−α−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩を得た。
【0086】
<実施例1〜20>
表1の割合で25℃で配合し、本発明の液体洗剤組成物を作製した。
【0087】
<比較例1〜7>
表2の割合で25℃で配合し、比較用の液体洗剤組成物を作製した。
【0088】
<褪色防止性試験>
<作製直後の褪色防止性>
実施例1〜20及び比較例1〜7で作製した液体洗剤組成物それぞれについて、液体洗剤組成物を作製後直ちに、液体洗剤組成物0.8gを水999.2gに溶解させ洗浄液を得た。この洗浄液に、プリントTシャツを4cm×4cmに裁断した布5枚を投入し、ターゴトメーター(大栄化学製)を用いて以下の条件にて洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン(TABAI製、GPS−222)を用いて70℃で60分間乾燥した。その後、上記と同様に洗浄、すすぎ、乾燥を4回繰り返した。
ついで、30人に目視にて布の色褪せを観察してもらい、以下の指標で作製直後の褪色防止性を評価した。結果を表1及び2に示す。
結果を表1及び2に示す。
○:30人中29人以上が色褪せがないと判断した
△:30人中24人〜28人が色褪せがないと判断した
×:30人中23人以下が色褪せがないと判断した
【0089】
<25℃3ヶ月保存後の褪色防止性>
実施例1〜20及び比較例1〜7で作製した液体洗剤組成物それぞれについて、上記作製直後の褪色防止性の評価において、作成直後の液体洗剤組成物の代わりに、液体洗剤組成物の作製後、25℃の恒温機内で3ヶ月保存した後の液体洗剤組成物を用いる以外は同様にして、3ヶ月保存後の褪色防止性を評価した。結果を表1及び2に示す。
【0090】
<洗浄性試験>
<作製直後の洗浄除去率>
実施例1〜20及び比較例1〜7で作製した液体洗剤組成物のそれぞれについて、液体洗剤組成物の作成後直ちに液体洗剤組成物0.8gを水999.2gに溶解させ溶液を得た。この溶液に、湿式人工汚染布(4cm×4cm)5枚を投入し、ターゴトメーター(大栄化学製)を用いて以下の条件にて洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン(TABAI製、GPS−222)を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。
ついで、多光源分光測色計(スガ試験機製)を使用して、この試験布の540nmの反射率を、試験布1枚ごとに表裏2個所ずつ計4個所(試験布5枚で合計20個所)測定し、この平均値を求め、以下の式にて作製直後の洗浄除去率(%)を算出した。結果を表1及び2に示す。
(洗浄条件)
時間:10分、温度:25℃、回転速度:120rpm
(すすぎ条件)
時間:1分、温度:25℃、回転速度:120rpm
(洗浄除去率)
洗浄除去率(%)={(RW−RS)/(RI−RS)}×100
なお、RIは清浄布の反射率、RWは洗浄布の反射率、RSは汚染布の反射率を示す。
また、使用した湿式人工汚染布は、表3の汚垢組成を有する財団法人洗濯科学協会製の湿式人工汚染布(540nmにおける反射率が40±5%)である。
【0091】
<25℃3ヶ月保存後の洗浄除去率>
実施例1〜20及び比較例1〜7で作製した液体洗剤組成物のそれぞれについて、上記作製直後の洗浄除去率の評価において、作製直後の液体洗剤組成物の代わりに、液体洗剤組成物の作製後、25℃の恒温機内で3ヶ月保存した後の液体洗剤組成物を用いる以外は同様に洗浄性試験をおこない、3ヶ月保存後の洗浄除去率(%)を算出した。結果を表1及び2に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
表1〜2中のセルラーゼ(a)、化合物(A)、化合物(B)及び酵素(c)は下記のものを使用した。
エンドラーゼ:ノボザイム社製
セルザイム:ノボザイム社製
グアニジン塩酸塩:和光純薬工業製
尿素:和光純薬工業製
アルギニン塩酸塩:和光純薬工業製
アルカラーゼ:ノボザイム社製
リポラーゼ:ノボザイム社製
【0095】
【表3】

【0096】
なお、表1〜3中、各成分の割合は、重量部で示した。
【0097】
比較例1に示す従来の液体洗剤組成物は、作製直後から褪色防止性が低い。比較例2〜4及び7のように、セルラーゼを配合することで、作製直後の褪色防止性は若干向上するが、25℃3ヶ月保存後の褪色防止性は著しく低下する。また、本発明の必須成分のうち、(b)を含まない比較例5は、保存による褪色防止性の低下はないが、洗浄率が低く洗浄剤として使用できるレベルではない。比較例1〜7の液体洗剤組成物には褪色防止性と洗浄性を兼ね備えたものはない。
一方、化合物(A)を含む実施例1〜20の液体洗剤組成物は、作製直後の褪色防止性が高いのみならず、25℃で3ヶ月保存後の褪色防止性も高く維持できている。また、25℃で3ヶ月保存後の洗浄性にも優れ、長期保存後の褪色防止性と洗浄性を兼ね備えていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の液体洗剤組成物は、褪色防止性の持続性が良く、かつ高い洗浄性を持続するため、褪色防止用液体洗剤組成物として使用でき、特に衣料の褪色防止用液体洗剤組成物に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、セルラーゼ(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する液体洗剤組成物。
【化1】

[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【請求項2】
化合物(A)がグアニジン塩酸塩である請求項1に記載の液体洗剤組成物。
【請求項3】
さらに下記一般式(2)で表される化合物(B)を含有する請求項1又は2に記載の液体洗剤組成物。
【化2】

[式中、Qは、アルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の基に置換されていてもよい。]
【請求項4】
化合物(A)の含有量が、液体洗剤組成物の重量を基準として0.01〜30重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の液体洗剤組成物。

【公開番号】特開2011−184685(P2011−184685A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25762(P2011−25762)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】