説明

液体洗浄剤組成物

【課題】機能性アルコールを放出するケイ酸エステル化合物が安定配合された液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)特定のケイ酸エステル化合物から選ばれる機能性アルコール放出前駆体成分、(B)特定の非イオン性界面活性剤(B1)を含む界面活性剤30〜85質量%、及び(C)水を含有し、(B)中の(B1)の割合が60質量%以上であり、JIS K3362:1998記載の25℃で測定する組成物のpHが5〜10である、液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。より詳細には、家庭における衣類等の繊維製品の洗濯用として好適な液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、においに対する意識の高まりから、衣類によい香りを長く残すことが求められてきており、衣料用洗浄剤や仕上げ剤などの繊維製品処理剤を用いる残香性を付与する技術の開発が行われている。しかし、衣類に長く残る香りは、揮散性が乏しく重厚な香りの香料成分が主であり、さわやかな香りや華やかな香りを持続させることは出来なかった。さらに、重厚な香りの香料成分も乾燥機やアイロンといった熱が加わる工程を経ると揮発してしまい、香りを残すことが出来なかった。
【0003】
香り立ちに優れ、さわやかな香りや華やかな香りを繊維製品に付与できる技術として、特許文献1〜4にはケイ酸エステル化合物を含有する繊維処理剤が開示されている。
【0004】
特許文献1〜4に記載されている技術は、ケイ酸エステル化合物の加水分解物(アルコール性香気成分)を香料成分として用いる技術であり、繊維製品に付着したケイ酸エステル化合物が加水分解する際に香りが発せられる。よって、加水分解しすぎると香りの持続性がなくなり、一方、加水分解せず安定であり過ぎると香り立ちが悪くなるため、加水分解の程度により必要な時に香りがうまく発現できない場合があった。また、含水液体洗浄剤組成物中でのケイ酸エステル化合物の安定性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭54−59498号公報
【特許文献2】特開昭54−93006号公報
【特許文献3】特開昭55−127314号公報
【特許文献4】特表2003−526644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、機能性アルコールを放出するケイ酸エステル化合物が安定配合された液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(A)成分、(B)成分30〜85質量%、及び(C)成分を含有する液体洗浄剤組成物であって、
(B)成分中の(B1)成分の割合が60質量%以上であり、
JIS K3362:1998記載の25℃で測定する組成物のpHが5〜10である、
液体洗浄剤組成物に関する。
(A)成分:一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物から選ばれる1種以上の機能性アルコール放出前駆体
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、Xは−OH、−R1、−OR2又は−OR3であり、YはX又は−OSi(X)3であり、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1〜22の炭化水素基、R2は機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基、R3は炭素数1〜6の炭化水素基、nは平均値を示す0〜15の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕
(B)成分:少なくとも下記(B1)成分を含む界面活性剤
(B1)成分:下記一般式(2)で表される非イオン性界面活性剤
4−Z−〔(EO)p/(PO)q〕−R5 (2)
〔式中、R4は炭化水素基であり、−Z−は−O−又は−COO−であり、R4−Z−は総炭素数8〜22である。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を表し、p及びqは平均付加モル数を表し、pは5〜25の数であり、qは0〜5の数である。R5は水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基である。“/”はEO及びPOが、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
(C)成分:水
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機能性アルコールを放出するケイ酸エステル化合物の安定性に優れた液体洗浄剤組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[(A)成分]
本発明の(a)成分は、上記一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物から選ばれる1種以上の機能性アルコール放出前駆体である。
【0012】
一般式(1)において、Xは−OH、−R1、−OR2又は−OR3であり、YはX又は−OSi(X)3である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。
【0013】
1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1〜22の炭化水素基を示すが、置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、及びベンジル基から選ばれる基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0014】
2は、機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基である。本発明において、機能性アルコールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、繊維製品に香りを付与する香料アルコールが好ましい。
【0015】
香料アルコールは、「香料と調香の基礎知識、中島基貴編著、産業図書株式会社発行、2005年第4刷」に記載されるように、脂肪族アルコール、テルペン/セスキテルペン系アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、及び合成サンダルに分類される。本発明においては、香料アルコールは、特に制限されるものではないが、例えば、芳香族アルコール、合成サンダル、及びテルペン/セスキテルペン系アルコールから選ばれる1種以上が好ましく、抗菌防カビ性能を併せ持つ点でテルペン/セスキテルペン系アルコールがより好ましい。
【0016】
芳香族アルコールとしては、特に制限されるものではないが、例えば、ベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、2−フェノキシエチルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、シンナミックアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、1−フェニル−2−メチル−2−プロパノール、4−フェニル−2−メチル−2−ブタノール、1−フェニル−3−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、チモール、カルバクロール、オイゲノール、又はイソオイゲノール等の炭素数7〜15の芳香族アルコールが挙げられ、中でも、炭素数8〜10の芳香族アルコールが好ましい。
【0017】
合成サンダルとしては、特に制限されるものではないが、例えば、サンダルマイソールコア、サンタロール、バクダノール、又はエバノールが挙げられる。
【0018】
テルペン/セスキテルペン系アルコールとしては、特に制限されるものではないが、例えば、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、アオロシメノール、α−ターピネオール、β−ターピネオール、ターピネン−4−オール、l−メントール、イソプレゴール、ファルネソール、又はネロリドール等が挙げられ、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、α−ターピネオール、ターピネン−4−オール、又はイソプレゴールが好ましく、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、α−ターピネオール、又はターピネン−4−オールがより好ましい。
【0019】
3は、炭素数1〜6の炭化水素基を示すが、炭素数1〜3の炭化水素基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、エチル基が更に好ましい。
【0020】
上記一般式(1)においてnは平均値を示す0〜15の数であり、n=0の化合物が好適である。この場合、4個のXのうち2〜4個が−OR2であり、残りが−R1又は−OR3である化合物が好適である。さらに、4個のXのうち3又は4個が−OR2であり、残りが−R1又は−OR3である化合物がより好適である。
【0021】
n=0の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−1)又は(1−2)で表される化合物が挙げられ、特に(1−1)で表される化合物が好ましい。
【0022】
【化2】

【0023】
〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を示す。〕
【0024】
一般式(1)において、n=1〜15の化合物も、本発明の(a)成分として用いることができる。n=1〜15の場合には、nは平均値を示し、全てのX及びYに対して、1/10以上、好ましくは1/8以上が−OR2であり、残りが−R1又は−OR3である化合物が好適であり、全てのX及びYが−OR2である化合物が特に好適である。なお、n=1〜10が好ましく、n=1〜5がより好ましい。
【0025】
n=1〜15の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−3)又は(1−4)で表される化合物が挙げられる。
【0026】
【化3】

【0027】
〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を示す。n’は1〜15の数であり、Tは−OR2、−OR3、又は−R1を示す。ここで、R3は前記と同じ意味を示す。〕
【0028】
(b)成分との併用で本発明の効果を最も享受できる好ましい(a)成分は上記一般式(1)においてn=0の化合物であり、より好ましくは、上記式(1−1)又は(1−2)で表される化合物が挙げられ、特に(1−1)で表される化合物が好ましい。
【0029】
一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物は、以下の合成方法1又は2により合成することが好ましい。
【0030】
合成方法1:アルコキシシランと機能性アルコールとのエステル交換
テトラアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン等のアルコキシシラン類(前記、アルコキシシラン類のアルコキシ基は前記一般式(1)中のOR3基と同じ意味を示し、アルキル基は前記一般式(1)中のR1基と同じ意味を示す。)と機能性アルコール(R2OH;式中、R2は前記の意味を示す)をエステル交換反応させる。かかる合成方法では、アルコキシシランに対する機能性アルコールのモル比を変えることで、置換度(即ち、一般式(1)における全置換基X及びYに占める−OR2の割合)の異なるケイ酸エステル化合物を得ることができる。
【0031】
合成反応に用いる機能性アルコールの量は、アルコキシシランのアルコキシ基に対し、0.55〜10モル倍が好ましく、0.55〜5モル倍がより好ましい。
【0032】
アルコキシシランのアルコキシ基としては、入手性等の観点から、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、エトキシ基がより好ましい。
【0033】
エステル交換反応の反応温度は、アルコキシシラン及び機能性アルコールの沸点以下とすることが好ましく、例えば、20℃〜200℃が好ましく、50〜170℃がより好ましい。反応は、反応を速やかに進行させることができる等の点から、減圧下で行うことが好ましい。減圧度は反応温度にもよるが、アルコキシシラン及び機能性アルコールの沸点以下で行えばよく、1.3Pa〜常圧(0.1MPa)が好ましく、130Pa〜40kPaがより好ましい。反応は、反応初期から減圧下で行っても、途中から減圧下で行っても良い。
【0034】
エステル交換反応は、反応を速やかに進行させることができる等の点から、触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ触媒、アルミニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド等のルイス酸触媒を用いることができる。
【0035】
合成方法2:ハロゲン化シランと機能性アルコールとのエステル化反応
テトラハロゲンシランやモノアルキルトリハロゲンシラン等のハロゲン化シラン類(前記モノアルキルトリハロゲンシラン等のアルキル基は、前記一般式(1)中のR1基と同じ意味を示す。)と機能性アルコール(R2OH;式中、R2は前記の意味を示す)を用いてエステル化反応させる。かかる合成方法では、ハロゲン化シランに対する機能性アルコールのモル比を変えることで、置換度の異なるケイ酸エステル化合物を得ることができる。
【0036】
合成反応に用いる機能性アルコールの量は、ハロゲン化シランのハロゲン基に対し、0.55〜10モル倍が好ましく、0.55〜5モル倍がより好ましい。
【0037】
ハロゲン化シランのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0038】
合成方法2では、反応の進行に伴って酸が副生するため、塩基を加えて反応することが好ましい。用いる塩基としては、例えば、トリエチルアミン等の3級アミンやピリジン等が挙げられる。また、多量の塩が副生することから、溶媒を用いても良く、反応温度は、基質や溶媒が凝固しない低温で行うこともできる。反応終了後、溶媒を除去する必要がある場合には、各種公知の装置・設備を用いることができ、脱塩には、濾過や抽出、電気透析等の公知の方法を用いることができる。
【0039】
上記合成方法1又は合成方法2で得られる一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物は、置換度の異なる他のケイ酸エステル化合物との混合物であっても、シロキサンが縮合した鎖状又は環状の重・縮合物との混合物であっても良い。また、上記合成方法では、2種以上の機能性アルコール(R2OH)を混合して用いても良く、また、アルコキシシラン(又はハロゲン化シラン)として、異なる炭化水素基(即ち、OR3又はR1)を有するアルコキシシラン(又はハロゲン化シラン)を2種以上混合して用いても良い。
【0040】
〔(B)成分〕
本発明の(B)成分は界面活性剤であり、少なくとも(B1)成分として一般式(2)で表される非イオン性界面活性剤を含む。
【0041】
(B)成分の界面活性剤としては、(B1)成分の一般式(2)で表される非イオン性界面活性剤の他に、(B2)成分として陰イオン性界面活性剤、(B3)成分として陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、(B1)成分以外の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0042】
本発明の(B1)成分は、一般式(2)で示される非イオン性界面活性剤である。
4−Z−〔(EO)p/(PO)q〕−R5 (2)
〔式中、R4は炭化水素基であり、−Z−は−O−又は−COO−であり、R4−Z−は総炭素数8〜22である。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を表し、p及びqは平均付加モル数を表し、pは5〜25の数であり、qは0〜5の数である。R5は水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基である。“/”はEO及びPOが、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
【0043】
一般式(2)において、R4である炭化水素基は、直鎖、分岐鎖、1級、2級等の何れでもよいが、好ましくは、直鎖1級である。洗浄性能の観点から、R4−Z−は炭素数10〜20が好ましく、炭素数12〜18がより好ましく、炭素数12〜16が更に好ましく、炭素数12〜14が特に好ましい。
【0044】
また、一般式(2)において、泡コントロールの観点から、R5は炭素数1〜3の炭化水素基が好ましく、炭素数1又は2の炭化水素基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。また、pは好ましくは8〜20の数、より好ましくは10〜18の数であり、qは好ましくは0〜3の数、より好ましくは1〜3の数である。EOとPOはランダム付加でもブロック付加でもよく、ブロック付加がより好ましい。
【0045】
(B2)成分の陰イオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、α−オレフィンスルホン酸塩等を挙げることができる。これらの中でもアルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩がより好ましい。
【0046】
これらの中でも炭素数6〜22、好ましくは8〜18、より好ましくは10〜14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、エチレンオキサイド平均付加モル数が0.5〜10、好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4で、かつアルキル鎖の炭素数が8〜18、好ましくは10〜14のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩及びアルキル鎖の炭素数が6〜22、好ましくは8〜20、より好ましくは10〜18のアルキル硫酸エステル塩が好ましく、特には炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
【0047】
これらの陰イオン性界面活性剤の対イオンは、ナトリウム又はアルカノールアミンが好ましい。なお本発明の陰イオン性界面活性剤は酸剤として添加し、溶液中で中和して塩を形成してもよい。(B2)成分について、本発明では濃度限定や比率限定等の数値限定は、塩を考慮せずに、酸型としてカウントする。
【0048】
(B3)成分の陽イオン性界面活性剤としては、鎖の途中がエステル結合、アミド結合又はエーテル結合で分断されていてもよい炭素数が8〜25のアルキル基またはアルケニル基を1〜3有し、残りが炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、ヒドロキシアルキル基から選ばれる1種以上の有機基である4級アンモニウム塩型界面活性剤及び/又は3級アミン型界面活性剤の無機もしくは有機酸塩等を挙げることができる。無機酸塩としては、塩酸塩、硝酸塩、燐酸塩、硫酸塩等を挙げることができ、有機酸塩としては、炭素数2〜18の脂肪酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩等を挙げることができる。
【0049】
このような4級アンモニウム塩型界面活性剤又は3級アミン型界面活性剤としては、下記一般式(B3−1)及び(B3−2)で表される化合物を挙げることができる。
【0050】
【化4】

【0051】
[式中、
b1、Rb3は同一又は異なっていてもよく、炭素数が5〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し;
1、Q2は、単結合、又は−COO−、−OCO−で示されるエステル結合、−CONRb7−、−NRb7CO−で示されるアミド結結合(ここでRb7は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す)を示し;
b2、Rb4は炭素数1〜5のアルキレン基を示し;
b5、Rb6は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はRb1−Q1−Rb2−を示し;
HXは上記した無機酸又は有機酸を示し、X-はハロゲン原子等の陰イオンを示す。]
【0052】
1、Q2がエステル結合、アミド結合の場合は、Rb1、Rb3はステアリン酸、パルミチン酸等の飽和脂肪酸残基、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和高級脂肪酸残基のほか、牛脂、豚脂、パーム油、パーム核油、オリーブ油等の天然油脂を分解、精製して得られる脂肪酸残基が好ましい。これらの中でも特に、オレイン酸、ステアリン酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸等の脂肪酸残基が好適である。
【0053】
なお、不飽和高級脂肪酸としては、立体異性体がシス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75〜100/0(質量比)であることが好ましい。
【0054】
第3級アミン化合物の長鎖結合基はエーテル結合を含んでいてもよく、その場合には、牛脂、豚脂、パーム油、オリーブ油を還元して得られるアルコール由来のほか、それらからゲルベ反応によって得られる合成アルコールも使用できる。
【0055】
より具体的には、ジ長鎖アルキル(炭素数8〜22)又はアルケニル(炭素数8〜22)ジメチルアンモニウム塩、モノ長鎖アルキル(炭素数8〜22)又はアルケニル(炭素数8〜22)ジメチルベンジルアンモニウム塩の他に、下記一般式(B3−3)〜(B3−6)及び一般式(B3−7−1)〜(B3−7−4)で表される化合物を挙げることができる。なお、式中のRb8は、直鎖の炭素数14〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくはオレイル基又はC18:C16=60/40(飽和アルキル鎖)を示す。また一般式(B3−7−1)〜(B3−7−4)で表される化合物は、一般式(B3−7−1)及び(B3−7−2)を主として含有する混合物として得られるのが一般的である。
【0056】
【化5】

【0057】
また、4級アンモニウム塩化合物としては、下記一般式(B3−8)で表されるものを用いることもできる。式中のRb8の意味は上記と同様である。
【0058】
【化6】

【0059】
最も好ましい(B3)成分は、ジ長鎖アルキル(炭素数8〜22)又はアルケニル(炭素数8〜22)ジメチルアンモニウム塩、又は一般式(B3−7−1)〜(B3−7−4)の化合物の混合物である。
【0060】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、(B1)成分以外のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
【0061】
両性界面活性剤としては、モノ又はジアルキルアミン及びそのポリオキシエチレン付加物、モノ又はジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、カルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。両性界面活性剤は、炭素数8〜20、更に炭素数12〜20、より更に炭素数16〜20のアルキル基を有するものが好ましい。
【0062】
〔(C)成分〕
本発明の(C)成分は、水である。
【0063】
〔(D)成分〕
本発明の液体洗浄剤組成物は、香り持続性(使用時の香り立ちの継続性)向上の観点から、更に(D)成分として、過酸化水素を含有することが好ましい。
【0064】
〔(E)成分〕
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分の安定性、洗浄性能、取り扱い性の観点から、更に、(E)成分として、有機酸及び/又はその塩を含有することが好ましい。(E)成分としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、乳酸、安息香酸、サリチル酸、エチル安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、及びこれらの塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0065】
これらの中で、特に、液体洗浄剤組成物のpH安定化効果及び組成の保存安定性などの点から、クエン酸、安息香酸、及びこれらの塩から選ばれる化合物が好ましい。(E)成分は、1種又は2種以上混合して用いることができる。なお、pH調整剤として(E)成分に該当する化合物を用いることもできるが、それらの量は(E)成分に算入する。
【0066】
また、これらの中で、(E)成分の安定性向上の観点から、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸及びこれらの塩から選ばれるラジカルトラップ効果を有する化合物〔以下、(E−1)成分という〕を含有することが好ましく、これらの中でも4−ヒドロキシ安息香酸がより好ましい。
【0067】
また、これらの中で、(E)成分の安定性向上の観点から、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、及びこれらの塩から選ばれる金属捕捉効果を有する化合物〔以下、(E−2)成分という〕を含有することが好ましく、これらの中でも1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やその塩が好ましい。
【0068】
(D)成分の安定性の観点から、(E−1)成分及び(E−2)成分を併用することがより好ましい。その場合、(E−1)成分/(E−2)成分の質量比は、10/1〜1/10、更に5/1〜1/5が好ましい。
【0069】
<液体洗浄剤組成物>
本発明の液体洗浄剤組成物は(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する。
【0070】
本発明の液体洗浄剤組成物における(A)成分の含有量は、香りの持続性、安定性の観点から、組成物中、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.2〜3質量%が更に好ましく、0.3〜2質量%が特に好ましい。
【0071】
本発明の液体洗浄剤組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分の安定性、洗浄性能、取り扱い性の観点から、組成物中、30〜85質量%であり、40〜80質量%が好ましく、50〜75質量%が更に好ましい。
【0072】
また、本発明の液体洗浄剤組成物では、(A)成分の安定性、洗浄性能の観点から、(B)成分中の(B1)成分の割合は60質量%以上であり、60〜100質量%が好ましく、65質量%〜90質量%がより好ましく、70〜85質量%が更に好ましい。
【0073】
また、本発明の液体洗浄剤組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分の安定性、洗浄性能、取り扱い性の観点から、組成物中、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%が更に好ましく、20〜40質量%が特に好ましい。
【0074】
(A)成分の安定性、洗浄性能、取り扱い性の観点から、JIS K3362:1998記載の25℃で測定する本発明の液体洗浄剤組成物のpHは5〜10であり、5〜9が好ましく、5〜7.5がより好ましく、5〜7が更に好ましく、5.5〜6.5が特に好ましい。(D)成分を配合する場合、このpHは5〜7.5が好ましく、5〜7がより好ましい。
【0075】
また、本発明の液体洗浄剤組成物において、pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、多価カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられ、液体洗浄剤組成物の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましい。
【0076】
(A)〜(C)成分の含有量、(B)成分中の(B1)成分の割合、及びpHをこのような範囲の組成物とすることで、(A)成分の安定性が良好な液体洗浄剤組成物が得られる。
【0077】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分の安定性、洗浄性能、取り扱い性の観点から、(B)成分として(B2)成分を含有することが好ましく、組成物中の(B2)成分の含有量は0.5〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜22質量%が更に好ましい。また、(B1)成分と(B2)成分の質量比〔(B1)成分/(B2)成分〕が100/1〜100/50であることが好ましく、100/10〜100/45がより好ましく、100/20〜100/40が更に好ましい。
【0078】
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分の安定性、洗浄性能、取り扱い性の観点から、(B)成分として(B3)成分を含有することが好ましく、組成中の(B3)成分の含有量は0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましく、2〜10質量%が更に好ましい。また、(B3)成分を含有する場合には、(B2)成分と(B3)成分の質量比〔(B2)成分/(B3)成分〕が100/1〜100/100であることが好ましく、100/10〜100/80がより好ましく、100/20〜100/60が更に好ましい。
【0079】
液体洗浄剤組成物の洗浄力向上のため(D)成分を配合することは知られているが、(A)成分と共に配合した場合、安定性に課題があった。(A)〜(C)成分の含有量、及び(B)成分中の(B1)成分の量をこのような範囲にし、更に25℃でのpHが5〜7.5の範囲の組成物とすることで、(D)成分を配合しても安定性の良好な液体洗浄剤組成物が得られる。(D)成分を配合することで、香り持続性を強調することが可能となる。本発明の液体洗浄剤組成物中の(D)成分の含有量は、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜6質量%が更に好ましく、0.8〜4質量%が特に好ましい。
【0080】
(E)成分の含有量は、(A)成分の安定性、洗浄性能、取り扱い性の観点から、組成物中、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%が更に好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましく、0.5〜3質量%が最も好ましい。特に(D)成分を配合した場合、安定性の観点から、(E)成分として、(E−1)成分及び/又は(E−2)成分を含有させることが好ましく、(E−1)成分及び(E−2)成分を含有させることがより好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物中の(E−1)成分の含有量は、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.2〜2質量%が更に好ましい。また、本発明の液体洗浄剤組成物中の(E−2)成分の含有量は、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が更に好ましい。なお、(E)成分は酸型又はその塩であるが、塩の分子量によって、その質量が異なることから、本発明では塩であっても、酸型と仮定した時の質量を(E)成分の質量とする。
【0081】
本発明の液体洗浄剤組成物には、上記の成分以外に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の任意成分を適宜配合することができる。
【0082】
例えば、粘度低下剤(エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類など)、アルカリ剤(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン等)、シリコーン等の風合い向上剤、防腐剤、抗菌剤、ハイドロトロープ剤(p−トルエンスルホン酸等)、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)、酵素、着香剤又は乳濁化剤等の添加剤などが挙げられる。
【0083】
本発明の液体洗浄剤組成物の使用方法は、通常の使用方法、すなわち液体洗浄剤組成物を、洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、泥汚れや皮脂汚れに液体洗浄剤組成物を直接塗布する方法、液体洗浄剤組成物を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、液体洗浄剤組成物を洗濯物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗濯液を用いて通常の洗濯を行う方法も好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物は衣料用等の繊維製品用として好適である。
【実施例】
【0084】
〔合成例1〕
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン27.08g(0.13mol)、ゲラニオール72.30g(0.47mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.485mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら110〜120℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら117〜120℃でさらに4時間攪拌した。4時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ケイ酸テトラゲラニルエステル(A−1)を含む76.92gの黄色油状物を得た。
【0085】
〔合成例2〕
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン37.51g(0.18mol)、2−フェニルエタノール39.61g(0.32mol)、3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オール50.05g(0.32mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.671mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら109〜120℃で約2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら約120℃でさらに4時間攪拌した。4時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、2−フェニルエタノールと3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オールのモル比1:1の混合ケイ素化合物(A−2)を得た。
【0086】
〔合成例3〕
2−フェニルエタノールをCis−3−ヘキセノール(0.32mol)に替えた以外は合成例2と同様にして、Cis−3−ヘキセノールと3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オールのモル比1:1の混合ケイ素化合物(A−3)を得た。
【0087】
〔合成例4〕
100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン72.96gと水酸化カリウム0.24g、イオン交換水0.4mLを入れ、窒素気流下120〜125℃、33kPa〜101kPa(常圧)で約37時間反応を行った。この間イオン交換水を0.4mL追加した。反応後、33kPaで更に2時間反応させた後、冷却、濾過を行い、67.29gのテトラエトキシシランの縮合物を淡黄色液体として得た。
【0088】
次いで、100mLの四つ口フラスコに先のテトラエトキシシラン縮合物25.00gとゲラニオール62.95g、4.8%水酸化ナトリウム水溶液0.17gを入れ、エタノールを留出させながら97〜121℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら118〜121℃でさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、65.36gのポリ(ゲラニルオキシ)シロキサン〔一般式(1−3)において、R2=ゲラニル基、m=5(平均)の化合物〕(A−4)を主成分として含む淡黄色油状物として得た。
【0089】
〔ケイ酸エステルの安定性評価方法〕
表1に示す液体洗浄剤組成物を、No.11のガラス規格瓶に入れ40℃で2週間保存した。保存後の組成物中に含有される(A)成分が加水分解することによって生成した香気性アルコールの量を高速液体クロマトグラフィー(検出器UV)で定量した。また、各(A)成分を苛性ソーダ水溶液で100%加水分解させ、(A)成分の単位質量あたりから発生した香気性アルコールの量から換算して(A)成分の残存率を求めた。残存率が高いほど、組成物中での(A)成分の安定性に優れることを意味する。結果を表1に示す。また、表1の液体洗浄剤組成物の配合成分を以下に示す。なお、表1の「調整量」は、pHを表中の値にするための量である。
【0090】
・A−1:合成例1で得られたケイ酸テトラゲラニルエステル
・A−2:合成例2で得られた混合ケイ素化合物
・A−3:合成例3で得られた混合ケイ素化合物
・A−4:合成例4で得られたポリ(ゲラニルオキシ)シロキサン
【0091】
・B1−1:一般式(2)中のR4が炭素数12の直鎖1級アルキル基、−Z−が−O−、pが15、qが0、R5が水素原子の非イオン性界面活性剤
・B1−2:一般式(2)中のR4が炭素数12の直鎖1級アルキル基、−Z−が−O−、pが10、qが0、R5が水素原子の非イオン性界面活性剤
・B1−3:一般式(2)中のR4が炭素数12の直鎖1級アルキル基、−Z−が−O−、pが20、qが0、R5が水素原子の非イオン性界面活性剤
・B1−4:一般式(2)中のR4が炭素数12の直鎖1級アルキル基、−Z−が−O−、pが10、qが2、R5が水素原子であり、EOとPOの配列がR5−O−(EO)10−(PO)2−Hである非イオン性界面活性剤〔(EO)、(PO)の次の数字は平均付加モル数である。〕
・B1−5:一般式(2)中のR4が炭素数12の直鎖1級アルキル基、−Z−が−O−、pが20、qが2、R5が水素原子であり、EOとPOの配列がR5−O−(EO)10−(PO)2−(EO)10−Hである非イオン性界面活性剤〔(EO)、(PO)の次の数字は平均付加モル数である。〕
・B1−6:一般式(2)中のR4が炭素数11の直鎖1級アルキル基、−Z−が−COO−、pが10、qが0、R5がメチル基の非イオン性界面活性剤
【0092】
・B2−1:ドデシルベンゼンスルホン酸(ネオペレックスGS、花王(株)製)
・B2−2:ステアリン酸ナトリウム(SS−40N、花王(株)製)
・B2−3:ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド平均3モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エマール20C、花王(株)製)
【0093】
・B3−1:塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(コータミン24P、花王(株)製)
【0094】
・ラウリルジメテルアミンオキサイド:アンヒトール20N、花王(株)製
・ラウリン酸ジエタノールアミド:アミノーンL−02、花王(株)製
・メトキシポリエチレングリコール:エチレンオキサイド平均付加モル数9
【0095】
【表1】

【0096】
〔液体洗浄剤組成物の洗浄力評価方法〕
JIS K 3362記載の『衣料用合成洗剤の洗浄力評価方法』に従い、表1中の液体洗浄剤組成物No.4、8、9と洗浄力判定用指標洗剤との洗浄力を比較した。液体洗浄剤組成物の使用濃度は0.05質量%とした。その結果、何れの液体洗浄剤組成物も洗浄力判定用指標洗剤と洗浄力が同等以上であった。
【0097】
〔液体洗浄剤組成物の残香性評価方法〕
表1の液体洗浄剤組成物No.4の組成で、(i)香料を無配合(香料に代えて水を配合)とした組成物(以下、組成物No.4aとする)又は、(ii)A−1成分の代わりにゲラニオール(A−1成分を合成する際に使用した成分)を配合し、且つ香料無配合(香料に代えて水を配合)とした組成物(以下、組成物No.4bとする)により、下記方法で繊維製品を処理し、処理後の繊維製品の残香性を比較評価した。
【0098】
(1)前処理
あらかじめ、JIS K 3362記載の洗浄力判定用指標洗剤を用いて、木綿タオル24枚を日立全自動洗濯機NW-6CYで5回洗浄を繰り返し、室内乾燥することによって、過分の薬剤を除去した(洗剤濃度0.133質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ため濯ぎ2回)。
【0099】
(2)繊維製品への組成物の処理
上述の方法で前処理を行った24枚の木綿タオルを日立全自動洗濯機NW-6CYで、液体洗浄剤組成物(組成物No.4a又は組成物No.4b)濃度0.05質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ため濯ぎ2回で処理し、室内乾燥した。
【0100】
(3)匂い評価
上述の方法で室内乾燥した木綿タオルについて、一対比較により匂い評価を行った結果、ケイ酸エステル化合物(A−1成分)を配合した組成物No.4aで処理したタオルは、ゲラニオールを配合した組成物No.4bで処理したタオルと比較して、優位に匂った。
【0101】
次いで、上述の方法で室内乾燥した木綿タオルについて、木綿タオル100質量部に対して、水10質量部を塗布し、一対比較により匂い評価を行った結果、ケイ酸エステル化合物(A−1成分)を配合した組成物No.4aで処理したタオルは、ゲラニオールを配合した組成物No.4bで処理したタオルと比較して、優位に匂った。また、水を塗布することで、乾燥時よりもより強く匂った。
【0102】
なお、匂いの評価は何れも20代男性パネラー5人により行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、(B)成分30〜85質量%、及び(C)成分を含有する液体洗浄剤組成物であって、
(B)成分中の(B1)成分の割合が60質量%以上であり、
JIS K3362:1998記載の25℃で測定する組成物のpHが5〜10である、
液体洗浄剤組成物。
(A)成分:一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物から選ばれる1種以上の機能性アルコール放出前駆体
【化1】


〔式中、Xは−OH、−R1、−OR2又は−OR3であり、YはX又は−OSi(X)3であり、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1〜22の炭化水素基、R2は機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基、R3は炭素数1〜6の炭化水素基、nは平均値を示す0〜15の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕
(B)成分:少なくとも下記(B1)成分を含む界面活性剤
(B1)成分:下記一般式(2)で表される非イオン性界面活性剤
4−Z−〔(EO)p/(PO)q〕−R5 (2)
〔式中、R4は炭化水素基であり、−Z−は−O−又は−COO−であり、R4−Z−は総炭素数8〜22である。EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を表し、p及びqは平均付加モル数を表し、pは5〜25の数であり、qは0〜5の数である。R5は水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基である。“/”はEO及びPOが、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
(C)成分:水
【請求項2】
(B)成分として、更に、下記(B2)成分を含有し、(B1)成分と(B2)成分の質量比〔(B1)成分/(B2)成分〕が100/1〜100/50である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
(B2)成分:陰イオン性界面活性剤
【請求項3】
(B)成分として、更に、下記(B3)成分を含有し、(B2)成分と(B3)成分の質量比〔(B2)成分/(B3)成分〕が100/1〜100/100である請求項2記載の液体洗浄剤組成物。
(B3)成分:陽イオン性界面活性剤
【請求項4】
更に、下記(D)成分を含有し、JIS K3362:1998記載の25℃で測定する組成物のpHが5〜7.5である請求項1〜3何れか記載の液体洗浄剤組成物。
(D)成分:過酸化水素

【公開番号】特開2011−190381(P2011−190381A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58950(P2010−58950)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】