説明

液体漂白洗浄剤組成物

【課題】 次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性に優れ、無機物を含有したカビ汚れに対する洗浄性能が優れた液体漂白洗浄剤組成物を提供することである。
【解決手段】 一般式(1)および/または一般式(1’)で示されるアニオン性界面活性剤(A)、一般式(2)で示されるアルカンスルホン酸塩(B)、一般式(3)で示されるアミンオキサイド(C)、アルカリ性を呈する化合物(D)、次亜塩素酸アルカリ金属塩(E)、カルボン酸アルカリ金属塩(F)並びに水(G)からなる水溶液状の液体漂白洗浄剤組成物であって、質量基準で、(A)と(B)の合計を0.1〜7%、(C)を0.1〜7%、(D)を0.1〜10%、(E)を0.5〜10%、(F)を0.01〜0.5%含有し、(A)/(B)が1/100〜1/2.5、pH(25℃)が5〜13.5、かつ、弱酸価が0.03〜0.5mgKOH/gであることを特徴とする液体漂白洗浄剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白洗浄剤組成物に関し、さらに詳しくは次亜塩素酸アルカリ金属塩系の液体漂白洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ、浴槽などのカビ汚れを除去する液体漂白洗浄剤組成物として、(a)アルキルジフェニルオキサイドスルホン酸アルカリ金属塩、苛性アルカリおよび次亜塩素酸ナトリウムを含有する組成物(たとえば特許文献−1)、(b)アルカンスルホン酸アルカリ金属塩、苛性アルカリおよび次亜塩素酸アルカリを含有する組成物(たとえば特許文献−2)、(c)アルキル硫酸エステルアルカリ金属塩またはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、苛性アルカリおよび次亜塩素酸ナトリウムを含有する組成物(たとえば特許文献−3)、(d)アルカンスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルジフェニルオキサイドスルホン酸アルカリ金属塩、アミンオキサイド、アルカリ性物質および次亜塩素酸アルカリ金属塩を含有する組成物(たとえば特許文献−4)、(e)アミンオキサイド、飽和二塩基酸および次亜塩素酸アルカリ金属塩を含有する組成物(たとえば特許文献−5)、(f)アルカンスルホン酸アルカリ金属塩、アルキル硫酸エステル、アミンオキサイド、苛性アルカリおよび次亜塩素酸アルカリ金属塩を含有する組成物(たとえば特許文献−6)などが知られている。
【特許文献−1】特公昭38−6268号公報
【特許文献−2】特公昭43−24786号公報
【特許文献−3】特公昭46−13267号公報
【特許文献−4】特開平8−53695号公報
【特許文献−5】特開2001−302425号公報
【特許文献−6】特開2000−38596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの液体漂白洗浄剤は、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性が不十分であり、特に、比較的高温(例えば50℃)での保存中に有効塩素含量が低下しやすいという問題点があり、また、無機物を含有したカビ汚れに対する洗浄性能が不十分であるという問題点も有していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、この様な事情に鑑み、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性を損なわず、しかも無機物を含有したカビ汚れに対する洗浄性能に優れた液体漂白洗浄剤を見出すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は一般式(1)で示される化合物および一般式(1’)で示される化合物から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤(A)、一般式(2)で示されるアルカンスルホン酸塩(B)、一般式(3)で示されるアミンオキサイド(C)、アルカリ性を呈する化合物(D)、次亜塩素酸アルカリ金属塩(E)、カルボン酸アルカリ金属塩(F)並びに水(G)からなる水溶液状の液体漂白洗浄剤組成物であって、液体漂白洗浄剤組成物の質量に基づいて、(A)と(B)の合計を0.1〜7質量%、(C)を0.1〜7質量%、(D)を0.1〜10質量%、(E)を0.5〜10質量%、(F)を0.01〜0.5質量%含有し、(A)/(B)が1/100〜1/2.5、pH(25℃)が5〜13.5、かつ、弱酸価が0.01〜0.5mgKOH/gであることを特徴とする液体漂白洗浄剤組成物である。
【0005】
【化5】

【0006】
式中、R1及びR2は炭素数6〜16のアルキル基、M1及びM2はアルカリ金属、m、n、x及びyは各々0又は1〜5の整数であって、m及びnのうち少なくとも一方は0ではなく、x及びyのうち少なくとも一方は0ではない。
【0007】
【化6】

【0008】
式中、R3は炭素数6〜20の分岐又は直鎖のアルキル基、M3はアルカリ金属、pは0又は1〜20の整数である。
【0009】
【化7】

【0010】
式中、R4及びR5はアルキル基であり、2つのアルキル基の合計炭素数が8〜16であり、M4はアルカリ金属である。
【0011】
【化8】

【0012】
式中、R6は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基、R7およびR8は炭素数1〜3のアルキル基である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、保存中、特に50℃の高温でも有効塩素含量が低下しにくく、また、無機物を含有したカビ汚れに対する洗浄性能が優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(A)は、一般式(1)で示される化合物および一般式(1’)で示される化合物から選ばれる1種以上である。
一般式(1)におけるR1およびR2の炭素数6〜16のアルキル基の具体例としては、分岐もしくは直鎖の、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基およびヘキサデシル基が挙げられる。これらのうち好ましいものは炭素数8〜14のアルキル基であり、特に好ましいものは分岐もしくは直鎖の、オクチル基、ノニル基およびドデシル基である。m及びnは通常0または1〜5の整数であり、好ましくは0および1である。m及びnのうち少なくとも一方0ではなく、好ましくはm+nの平均値が0.8〜1.3である。x及びyは通常0または1〜5の整数であり、好ましくは0および1である。x及びyのうち少なくとも一方は0ではなく、好ましくはx+yの平均値が1〜2である。
【0015】
一般式(1’)におけるR3の炭素数6〜20の分岐または直鎖のアルキル基の具体例としては、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基およびエイコシル基が挙げられる。これらのうち好ましいものは炭素数が10〜16の分岐または直鎖のアルキル基である。pは、無機物含有カビ汚れに対する洗浄性の観点から、好ましくは0または1〜3であり、さらに好ましくは0である。
【0016】
本発明におけるアルカンスルホン酸(B)は、一般式(2)で示され、一般式(2)中、R4およびR5のアルキル基の合計炭素数の平均値は通常8〜16、無機物含有カビ汚れに対する洗浄性の観点から、好ましくは12〜14である。
【0017】
一般式(1)、(1’)および(2)におけるM1〜M4は、アルカリ金属であり、アルカリ金属としてはNa、KおよびLiなどが挙げられる。アルカリ金属のうち、無機物含有カビ汚れに対する洗浄性の観点から、好ましいのはNaである。
【0018】
アミンオキサイド(C)を示す一般式(3)において、R6の炭素数6〜20のアルキル基またはアルケニル基としては、分岐または直鎖の、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ドデセニル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数8〜16の分岐または直鎖のアルキル基であるが、天然物(ヤシ油など)から誘導された炭素数の異なるアルキル基の混合物でもかまわない。R7およびR8の炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などがあげられるが、好ましくはメチル基である。一般式(3)で示される具体的な化合物としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイドおよびヤシジメチルアミンオキサイドがあげられる。
【0019】
アルカリ性を呈する物質(D)としては、アルカリ金属(Na、K、Liなど)の、水酸化物(NaOH、KOH、LiOHなど)、炭酸塩(Na2CO3、K2CO3、KHCO3、LiCO3など)、リン酸塩(Na2HPO4、K2HPO4、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなど)、ケイ酸塩(Na2SiO3など)およびこれらの二種類以上の混合物があげられる。これらのうち好ましいものはアルカリ金属の水酸化物であり、特に好ましいものは、無機物含有カビ汚れに対する洗浄性の観点から、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。
【0020】
次亜塩素酸アルカリ金属塩(E)としては、次亜塩素酸ソーダ塩および次亜塩素酸カリウム塩などが挙げられ、通常、次亜塩素酸ソーダ塩が用いられる。
【0021】
カルボン酸アルカリ金属塩(F)としては、以下の(F1)〜(F3)が挙げられる。(F1)炭素数1〜18(カルボニル基の炭素も含む。以下同様)のモノカルボン酸のアルカリ金属塩;例えば、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム及びオレイン酸ナトリウムなどが挙げられる。
(F2)炭素数2〜18のジもしくはトリカルボン酸のモノ〜トリアルカリ金属塩;例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸およびセバシン酸などのモノ〜トリナトリウム塩などが挙げられる。
(F3)炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸アルカリ金属塩;
(F31)炭素数2〜18のモノヒドロキシモノカルボン酸のアルカリ金属塩:例えば、ヒドロキシ酢酸ナトリウム、β−ヒドロキシプロピオン酸ナトリウム、ヒドロアクリル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムなどが挙げられる。
(F32)炭素数3〜18のモノヒドロキシジもしくはトリカルボン酸のモノ〜トリアルカリ金属塩:例えば、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、タルトロン酸ナトリウムなどが挙げられる。
(F33)炭素数3〜18のジヒドロキシモノカルボン酸のアルカリ金属塩:例えば、グリセリン酸ナトリウム、ジヒドロキシメチルプロピオン酸ナトリウム、2,2ビス(ヒドロキシメチル)酪酸ナトリウムなどが挙げられる。
(F34)炭素数4〜18のジヒドロキシジもしくはトリカルボン酸のモノ〜トリアルカリ金属塩:例えば、酒石酸ナトリウム、ジヒドロキシコハク酸ナトリウム、ジヒドロキシフマル酸ナトリウム、ジヒドロキシマレイン酸ナトリウムなどが挙げられる。
(F35)炭素数6〜18の3〜6個もしくはそれ以上のヒドロキシル基を有するモノ〜ポリカルボン酸のモノ〜ポリアルカリ金属塩:例えば、グルコン酸ナトリウム、グルカル酸ナトリウム、ガラクタル酸ナトリウムなどが挙げられる。
(F)のうち、有効塩素含量の50℃での安定性および無機物を含むカビ汚れに対する洗浄性能の観点から好ましいのは、(F3)であり、さらに好ましいのは(F32)、特に好ましいのはリンゴ酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムである。1分子中にヒドロキシル基とカルボキシル基を有しているカルボン酸アルカリ金属塩、特に1個のヒドロキシル基と2もしくは3個のカルボキシル基を有するカルボン酸アルカリ金属塩は、アルカリ性を呈する化合物(D)が比較的多く含まれていても、有効塩素含量の50℃での安定性向上効果が特に優れている。
【0022】
本発明の組成物中の(A)〜(F)の各成分の含量は組成物の質量に基づいて以下の通りである。
(A)および(B)の合計は、通常0.1〜7%、無機物含有カビ汚れに対する洗浄性の観点から、好ましくは0.3〜5%、さらに好ましくは1〜4%、特に好ましくは2〜3.5%である(以下において特に限定しない限り、%は質量%を表す。)。0.1%以下では起泡力が不足し、7%を越える添加は実際上必要でない。また、(A)/(B)は1/100〜1/2.5、無機物含有カビ汚れに対する洗浄性の観点から、好ましくは1/20〜1/2.5、さらに好ましくは1/10〜1/3、特に好ましくは1/6〜1/3である。
アミンオキサイド(C)は通常0.1〜7%、無機物含有カビ汚れに対する洗浄性の観点から、好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは1〜4%、特に好ましくは1.5〜3%である。
アルカリ性を呈する物質(D)は通常0.1〜10%、無機物含有カビ汚れに対する洗浄性の観点から、好ましくは0.5〜5%、さらに好ましくは1〜4%、特に好ましくは1.5〜3%である。
次亜塩素酸アルカリ金属塩(E)は通常0.5〜10%で、好ましくは2〜7%、さらに好ましくは3〜6%、特に好ましくは3.5〜5%である。 (E)が0.5%未満では漂白力が不足し、10%を越える添加は実際上必要でない。
カルボン酸アルカリ金属塩(F)は通常0.01〜0.5%、好ましくは0.03〜0.4%、さらに好ましくは0.05〜0.1%である。(F)が0.01%未満では無機物を含有したカビ汚れに対する洗浄性能が不十分であり、0.5%を超える添加は実際上必要でない。
【0023】
本発明の組成物には上記成分のほか、本発明の効果を妨げない量の、他の界面活性剤、キレート化剤、香料、着色料および可溶化剤などの成分を配合することができる。
【0024】
他の界面活性剤としては以下のものが挙げられる。
(1)非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、およびポリオキシエチレンアルキルエステル等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、グリセロール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、およびソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン界面活性剤等;
(2)アニオン性界面活性剤、例えば、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩等のスルホン酸型アニオン界面活性剤、高級アルコール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレン高級アルコール燐酸エステル塩等の燐酸エステル塩型アニオン界面活性剤等;
(3)両性界面活性剤、例えば、アミノ酸型両性活性剤、ベタイン型両性活性剤等;
(4)カチオン界面活性剤、例えば第4級アンモニウム塩型界面活性剤、アミン塩型界面活性剤など;およびこれらの併用が挙げられる。
【0025】
キレート化剤としては、炭素数6〜12のアミノカルボン酸(エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸など;香料としては、天然香料(バラ油、ジャスミン油、ラベンダー油、レモン油、ムスク油など)、合成香料(リモネン、ファルネソール、シトラール、ローズオキサイドなど)など;着色料としては、青色1号、黄色4号、赤色2号などが挙げられる。
【0026】
上記の他の界面活性剤等の使用量は、本発明における(A)〜(F)の合計重量に基づいて、他の界面活性剤は通常10%以下、好ましくは1〜3%、キレート化剤および可溶化剤は通常それぞれ5%以下、好ましくは3%以下、香料および着色料剤は、それぞれ通常1%以下、好ましくは0.5%以下である。
【0027】
本発明の組成物は、(A)〜(F)の各成分および必要によりその他の成分を所定量を水(G)と混合することにより得られる。
本発明の組成物における水以外の成分の濃度は通常5〜25%、好ましくは10〜20%である。本発明の組成物は通常は水溶液状の液体である。
【0028】
本発明の組成物は、pH(25℃)が5〜13.5、好ましくは8〜13.4、さらに好ましくは10〜13.3、特に好ましくは12.5〜13.3である。pHは本発明の組成物を、25℃で、そのままの濃度でpHメーター(例えば、堀場製作所製「pH−METER M−12」)で測定することができる。
特に、pHが10〜13.5、とりわけ12.5〜13.3であると、前述の(F)の添加による有効塩素含量の安定化効果が発揮されやすいので好ましい。
また、13.5を超えると無機物を含有したカビ汚れに対する洗浄力が劣る。
【0029】
本発明の組成物は、弱酸価が0.03〜0.5mgKOH/g、好ましくは0.03〜0.3、さらに好ましくは0.03〜0.1である。
弱酸価が0.03未満では無機物を含有したカビ汚れに対する洗浄力が劣り、0.5を超えると保存中、特に高温での有効塩素含量が低下しやすいため、高温で保存後の漂白洗浄性が劣る。
弱酸価の測定は以下のような測定方法で測定できる。
(1)試料として液体漂白洗浄剤組成物を約20g採取して精秤し、メタノール/アセトン=1/1溶液100mlに溶解する。
(2)希塩酸でpHを3以下に調整し、0.1モル/L水酸化カリウムメチルアルコール標準液にて電位差自動滴定装置で測定し、次式により弱酸価を算出する。
弱酸価=(A−B)×f×5.611/S
ここで、A:本試験に要した0.1モル/L水酸化カリウム標準液のml数
B:空試験に要した0.1モル/L水酸化カリウム標準液のml数
f:0.1モル/L水酸化カリウム標準液の力価
S:試料採取量(g)
【0030】
本発明の組成物の有効塩素含量は、通常1〜4%、好ましくは1.5〜3.5%、さらに好ましくは2〜3%である。
有効塩素含量は、試料にヨウ素カリウムと酢酸を反応させてチオ硫酸ナトリウムで滴定する方法(JIS L0844−1986有効塩素測定方法)で測定することができる。
【0031】
また、本発明の組成物の50℃で1週間の有効塩素含量の変化率は好ましくは30%以下、さらに好ましくは28%以下、特に好ましくは25%以下である。
ここで、1週間とは、組成物を作製した直後の1週間であっても、または室温(例えば15〜25℃)で数ヶ月経過した後の1週間であってもよい。
液体漂白洗浄剤組成物は、浴室、台所およびトイレなどの直射日光の当たる場所での保存がされることがあり、特に夏場においては50℃付近になることもあり、有効塩素含量の変化率が30%以下であれば保存後の漂白洗浄性がさらに良好である。
有効塩素含量の変化率は、組成物を50℃で1週間静置保管した前後の有効塩素含量を測定し、次式で有効塩素含量の50℃での変化率(%)を算出することができる。
有効塩素含量変化率(%)=[(C0−C1)/C0]×100
ここで、C0:静置保管開始時の有効塩素含量(%)
1:−50℃で1週間静置保管後の有効塩素含量(%)
【0032】
本発明の組成物は、浴室、台所、洗面所およびトイレ等の床、壁、排水パイプなどに付着した汚れに対して直接塗布するかあるいは、スプレーにより泡状にして吹き付けるなどの方法により使用することができる。
本発明の組成物は、無機物を含有したカビ汚れに対して優れた洗浄力を有する。
無機物としては、例えば炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、ケイ酸カリウムなどのケイ酸塩、酸化カルシウムなどの酸化物などが挙げられる。このような無機物を含有するカビ汚れは、例えば浴室、台所、洗面所およびトイレ等の床、壁、排水パイプなどに発生しやすい。
さらに本発明の組成物は、起泡性にも優れている。
【0033】
[実施例]
以下に実施例および比較例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
実施例1〜4、比較例1〜3
表1記載の原料を表1記載の部数配合して、本発明および比較例の液体漂白洗浄剤組成物を作製した。
なお、表1の略号は以下の通りである。
DDPS:ドデシルジフェニルオキサイドスルホン酸Na塩
[一般式(1)におけるm+nの平均は1.08、x+yの平均は1.8]
AES:ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12,13)エーテル(EO=2モル) 硫酸エステルNa塩
AS:アルカンスルホン酸Na塩[一般式(2)における2つのアルキル基の平均炭素数 は12]
AMOX:ヤシジメチルアミンオキシド
次亜塩:次亜塩素酸ナトリウム
【0035】
それぞれのpHおよび弱酸価を測定した結果を表1に示す。
【0036】
<評価結果>
組成物を作成した直後から、50℃で1週間静置保管し、有効塩素含量(%)をJIS L0844−1986に従って測定し、次式で有効塩素含量の50℃での変化率(%)を算出した。
【0037】
有効塩素含量変化率(%)=[(C0−C1)/C0]×100
ここで、C0:静置保管開始時の有効塩素含量(%)
1:−50℃で1週間静置保管後の有効塩素含量(%)
【0038】
さらに、無機物を含有したカビ汚れの洗浄性の評価を以下の方法で行った。
あらかじめ調整した無機物水溶液(炭酸ナトリウム20部、ケイ酸カリウム20部および水70部)と黒カビを質量比1/1で混合して黒カビ試験液を調整した。これを、縦40mm×横40mm×厚さ2mmのシリコーン樹脂板に0.5ml塗布した。その後、相対湿度80%、30℃の恒温恒湿槽で2週間培養した後、取り出して、25℃で24時間風乾した。この試験板を、液体漂白洗浄剤組成物中に5分間浸漬し、25℃の水200mlで水洗し、風乾後、目視にて判定した。
判定基準; ○:カビ汚れが完全に落ちている。
△:カビ汚れが僅かに残っている。
×:カビ汚れがの約半分程度が残っている。
【0039】
評価結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性に優れ、また、無機物を含有したカビ汚れに対する洗浄性能が優れているので、浴室、台所、洗面所およびトイレ等の床、壁、排水パイプなどに付着したカビ汚れの液体漂白洗浄剤組成物として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される化合物および一般式(1’)で示される化合物から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤(A)、一般式(2)で示されるアルカンスルホン酸塩(B)、一般式(3)で示されるアミンオキサイド(C)、アルカリ性を呈する化合物(D)、次亜塩素酸アルカリ金属塩(E)、カルボン酸アルカリ金属塩(F)並びに水(G)からなる水溶液状の液体漂白洗浄剤組成物であって、液体漂白洗浄剤組成物の質量に基づいて、(A)と(B)の合計を0.1〜7質量%、(C)を0.1〜7質量%、(D)を0.1〜10質量%、(E)を0.5〜10質量%、(F)を0.01〜0.5質量%含有し、(A)/(B)が1/100〜1/2.5、pH(25℃)が5〜13.5、かつ、弱酸価が0.03〜0.5mgKOH/gであることを特徴とする液体漂白洗浄剤組成物。
【化1】

(式中、R1及びR2は炭素数6〜16のアルキル基、M1及びM2はアルカリ金属、m、n
、x及びyは各々0又は1〜5の整数であって、m及びnのうち少なくとも一方は0では
なく、x及びyのうち少なくとも一方は0ではない。)
【化2】

(式中、R3は炭素数6〜20の分岐又は直鎖のアルキル基、M3はアルカリ金属、pは0
又は1〜20の整数である。)
【化3】

(式中、R4及びR5はアルキル基であり、2つのアルキル基の合計炭素数が8〜16であ
り、M4はアルカリ金属である。)
【化4】

(式中、R6は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基、R7およびR8は炭素数1〜3のアルキル基である。)
【請求項2】
一般式(1’)で示される化合物において、R3が炭素数10〜16のアルキル基であり、pが0である請求項1記載の液体漂白洗浄剤組成物。
【請求項3】
カルボン酸アルカリ金属塩(F)が、炭素数2〜18のヒドロキシカルボン酸アルカリ金属塩である請求項1または2記載の液体漂白洗浄剤組成物。
【請求項4】
pHが10〜13.5である請求項1〜3のいずれか記載の液体漂白洗浄剤組成物。
【請求項5】
50℃で1週間の有効塩素含量の変化率が30質量%以下である請求項1〜4のいずれか記載の液体漂白洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2006−282695(P2006−282695A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100771(P2005−100771)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【出願人】(000107491)ジョンソン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】