説明

液体濃縮装置

【課題】 原料液体を加熱して蒸発させることで原料液体を濃縮する際の濃縮度合いを知ることができる液体濃縮装置を提供する。
【解決手段】溶質及び/又は固形物を含む原料液体を収容する原料液体収容槽と、該原料液体を加熱する加熱手段と、原料液体収容槽中の該原料液体を撹拌する撹拌手段と、該原料液体から蒸発し、原料液体収容槽の内部に存する蒸気を含む雰囲気を原料液体収容槽の外部に導く導出手段と、を備えてなり、該導出手段が、該蒸気を冷却し液化させて凝縮液体とする冷却手段と、液化して生じた凝縮液体の量に関係する値を検知する液化量検知手段と、を有するものである、液体濃縮装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体濃縮装置に関し、より詳細には、溶質及び/又は固形物を含む原料液体を加熱して蒸発させることで原料液体を濃縮する際の濃縮度合いを正確に知ることができる液体濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を加熱して溶媒を蒸発させることで液体を濃縮する液体濃縮装置は、化学プラント分野や食品製造分野にてこれまで多用されてきた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、「固形の浮遊物を含んでいる液体の水分を蒸発させて濃度を大にする従来の液体濃縮装置は、液体を加熱する加熱缶と水分を蒸発させる蒸発缶とが別体とされ、それらを連通管で結ぶ構成であったので、製造コストが高くつくと共に放熱ロスが多かった。また、液面に生ずる泡に邪魔され蒸発が効率よく行われなかった。」(特許文献1、要約中の課題)ことに鑑みなされたもので、「液体濃縮装置を、蒸発缶部18と熱交換部20と濃縮沈殿部23とを一体となるよう構成する。このようにすると製造コストは低減され、放熱ロスも少なくなる。蒸発缶17に入れられた原水8は、送水翼13や自然対流により、熱交換部20を通って濃縮沈殿部23との間を循環通流する。蒸発缶部18の内部はエア源発生部6で吸引され低圧とされるので、熱交換部20で少し温められるだけで原水8は蒸発する。液面15は攪拌羽根10で攪拌され、泡9で覆われるのを防止する。濃縮沈殿部23の下部に溜まった濃縮液27は、排出部31より外部へ取り出される。」(特許文献1、要約中の解決手段)という装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−289320号公報(例えば、要約、特許請求の範囲、発明の詳細な説明中の段落番号0022〜0034、第1図、第2図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の液体濃縮装置は、「液面15の位置は、次のようにして、液面上限レベル検出器7Aと液面下限レベル検出器7Bとの間の範囲内に保たれる。原水の供給により、液面15が液面上限レベル検出器7Aにより検出される位置まで上昇すると、液面上限レベル検出器7Aからの検出信号により、原水供給ポンプ1が停止される。蒸発の進行等により、液面15が液面下限レベル検出器7Bにより検出される位置まで下降すると、液面下限レベル検出器7Bからの検出信号により、原水供給ポンプ1の運転が開始される。このようにして、液面15は前記した所定範囲内に保たれる。」(特許文献1、発明の詳細な説明中の段落番号0024)ものであり、蒸発の進行に応じ原水が供給されつつ、「固形物質や濃縮溶液を最下部にある濃縮液収受室28で収受し、ポンプ30により排出管29を経て外部へ排出する」(特許文献1、発明の詳細な説明中の段落番号0033)すると共に、「エア源発生部6は、蒸発缶17内部の空気を吸引して低圧とするためのエアを発生する。」(特許文献1、発明の詳細な説明中の段落番号0026)。このため原水が濃縮され固形物質や濃縮溶液(以下、固形物質や濃縮溶液をあわせて「濃縮物」という。)となる際の濃縮度合い(例えば、(濃縮物の質量)/(該濃縮物の原料となった原水の質量))は、ポンプ30による排出管29からの排出量、熱交換部20の加熱量、エア源発生部6による蒸発缶17内部の吸引量等に応じて変化するものであり、濃縮工程を行いつつ知ることは困難なことが多い。
【0005】
そこで、本発明においては、原料液体(特許文献1においては原水)を加熱して蒸発(特許文献1においては水を蒸発させる。)させることで原料液体(特許文献1においては原水)を濃縮する際の濃縮度合いを知ることができる液体濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体濃縮装置(以下、「本装置」と言う。)は、溶質及び/又は固形物を含む原料液体を収容する原料液体収容槽と、該原料液体を加熱する加熱手段と、原料液体収容槽中の該原料液体を撹拌する撹拌手段と、該原料液体から蒸発し、原料液体収容槽の内部に存する蒸気を含む雰囲気を原料液体収容槽の外部に導く導出手段と、を備えてなり、該導出手段が、該蒸気を冷却し液化させて凝縮液体とする冷却手段と、液化して生じた凝縮液体の量に関係する値を検知する液化量検知手段と、を有するものである、液体濃縮装置である。
【0007】
本装置は、大まかには、原料液体収容槽と加熱手段と撹拌手段と導出手段とを備えてなる。
原料液体は、溶質及び/又は固形物を含む液体であり、溶質を含む液体(例えば、食塩水溶液)、固形物を含む液体(例えば、金属粉を含む有機溶媒(例えば、鉄粉を含むヘキサン))、溶質と固形物とを含む液体(例えば、鉄粉を含む食塩水溶液)のいずれも包含するものであり、加熱されることで蒸気として蒸発する成分(例えば、原料液体が食塩水溶液の場合には水であり、原料液体が鉄粉を含むヘキサンであればヘキサンである。)を含む。
原料液体収容槽は原料液体を収容する。
加熱手段は原料液体を加熱する。
撹拌手段は、原料液体収容槽中に収容された原料液体を撹拌する。
導出手段は、原料液体収容槽の内部に存する雰囲気(該雰囲気は、原料液体から蒸発して生じた蒸気を含む。)を原料液体収容槽の外部に導く。
そして、導出手段は冷却手段と液化量検知手段とを有する。冷却手段は、原料液体収容槽の外部に導かれた該雰囲気に含まれる蒸気を冷却し液化させ凝縮液体とし、液化量検知手段は、冷却手段によって冷却され液化して生じた凝縮液体の量に関係する値を検知する。
これによって原料液体から蒸発し生じた蒸気を液化させて生じる凝縮液体の量に関係する値を検知することで、原料液体から蒸発した蒸気量を知ることができるので(原料液体から蒸発した蒸気量w1(重量)と、該蒸気(蒸気量w1)を液化させて生じる凝縮液体の量w2(重量)と、の割合(w2/w1)は冷却手段により冷却される温度や圧力等の条件が同じであれば一定値をとるので、凝縮液体の量w2に関係する値から、原料液体から蒸発した蒸気量w1を直接又は間接に知ることができる。)、液化量検知手段により検知される凝縮液体の量に関係する値から原料液体の濃縮度合いを濃縮工程実施中に知ることができる。また、これは撹拌手段が撹拌することで原料液体収容槽中の原料液体が流動しても、液化量検知手段が検知する凝縮液体の量に関係する値には影響を与えないので、原料液体収容槽中の原料液体の状態を直接観察等することにより原料液体の濃縮度合いを知ること(例えば、原料液体収容槽中の原料液体の体積(体積減少)を直接測定して原料液体の濃縮度合いを知ろうとすると、撹拌手段の撹拌により原料液体が流動していると正確に該体積(体積減少)を把握できないことがある。)よりも正確に濃縮度合いを知ることができる場合が多い。
【0008】
導出手段が、原料液体収容槽の内部に存する該雰囲気を吸引し、原料液体収容槽の内部圧力を負圧とするものであってもよい。
こうすることで導出手段が、原料液体収容槽の内部に存する前記雰囲気を吸引することで、原料液体収容槽の内部に存する雰囲気を原料液体収容槽の外部に導くことができると共に、原料液体収容槽の内部圧力を負圧(大気圧よりも低い圧力)とすることができる。
このように原料液体収容槽の内部圧力を負圧とすることにより、原料液体からの蒸発が低い温度で起こるようにすることができるので、省エネルギーに資することができることに加え、温度上昇によって劣化や変質等し得る成分を原料液体が有する場合にも、かかる劣化や変質等を防止又は減少させることができる。
なお、ここにいう「負圧」とは、大気圧(1.013×10Pa=1atm=760mmHg)よりも低い圧力を言うが、あまり低い圧力を達成しようとすると減圧するための動力が大きくなりすぎたり装置を高気密性に構成する必要がある等といった問題があり、あまり高い圧力とすると負圧とする前記利点をうまく奏することができないので、これらを両立することが好ましく、通常、好ましくは15mmHg以上とされ、より好ましくは30mmHg以上とされ、最も好ましくは45mmHg以上とされ、そして好ましくは200mmHg以下とされ、より好ましくは150mmHg以下とされ、最も好ましくは100mmHg以下とされる。
【0009】
撹拌手段が、原料液体収容槽中の前記原料液体を吸入する一端と前記原料液体を吐出する他端とを有する循環導管と、該一端から該他端に向けて前記原料液体を圧送する圧送手段と、を有してなるもの(以下、「循環撹拌本装置」という。)であってもよい。
撹拌手段としては、原料液体収容槽中の原料液体を流動させ撹拌することができるものであればいかなるものであってもよく何ら限定されるものではなく、例えば、原料液体収容槽中にて回転する撹拌羽根や撹拌子、原料液体収容槽中の原料液体中への気体の吹き込み(バブリング)、そして原料液体収容槽中の原料液体を吸入する一端と原料液体を吐出する他端とを有する循環導管と、該一端から該他端に向けて原料液体を圧送する圧送手段と、を有するもの等を例示できる。
この循環導管は、該一端(原料液体収容槽中の原料液体を吸入する端)から該他端(原料液体収容槽中に原料液体を吐出する端)へ原料液体が移動する流路を形成する。そして、圧送手段が、該一端から該他端に向けて原料液体を圧送する。このようにして該一端から原料液体収容槽中の原料液体を吸入し、該他端から原料液体収容槽中へ原料液体を吐出することで、原料液体収容槽中の原料液体を効果的に流動させ撹拌混合することができる。
なお、圧送手段としては、該一端から該他端に向けて原料液体を十分圧送することができればいかなるものであってもよく何ら制限されるものではないが、一例を挙げれば、循環導管に配設されるポンプ等を例示できる。
【0010】
循環撹拌本装置の場合、前記他端からの前記原料液体の吐出方向に向いた直線と、前記一端からの前記原料液体の吸入方向に向いた直線と、の少なくとも一方が、原料液体収容槽の内部に存する前記原料液体の重心を通過する鉛直な直線に対してねじれの位置に存するものであってもよい。
前記他端からの前記原料液体の吐出方向に向いた直線(以下、「吐出方向直線」と言う。)は、原料液体収容槽中へ原料液体を吐出する前記他端からの原料液体の吐出方向に向いた直線であり、詳細には、原料液体収容槽中へ吐出される位置(例えば、ノズルの先端から吐出される場合であれば該先端の位置)における原料液体の中心(例えば、ノズルの円形の先端から吐出される場合であれば、該円形の中心である。)の重心を通過し、該吐出される位置における吐出方向に平行な直線である。同様に、前記一端からの前記原料液体の吸入方向に向いた直線(以下、「吸入方向直線」と言う。)は、原料液体収容槽中の原料液体を吸入する前記一端からの原料液体の吸入方向に向いた直線であり、詳細には、原料液体収容槽中から吸入される位置(例えば、ノズルの先端から吸入される場合であれば該先端の位置)における原料液体の中心(例えば、ノズルの円形の先端から吸入される場合であれば、該円形の中心である。)の重心を通過し、該吸入される位置における吸入方向に平行な直線である。
このような吐出方向直線と吸入方向直線との少なくとも一方が、原料液体収容槽の内部に存する原料液体の重心を通過する鉛直な直線に対してねじれの位置に存するようにすれば、該少なくとも一方の直線に沿った吐出又は吸入により該鉛直な直線の周りに原料液体が渦を巻くように流動するので、原料液体収容槽中の原料液体を一層効果的に撹拌混合することができる。
【0011】
本装置においては、液化量検知手段が、液化して生じる凝縮液体の生成速度を検知するものであってもよい。
液化量検知手段は、冷却手段により冷却され液化して生じる凝縮液体の量に関係する値を検知するものであればよく何ら限定されるものではないが、液化して生じる凝縮液体の量に関係する値としては、例えば、液化して生じる凝縮液体の量(液化して生じる凝縮液体の体積と、液化して生じる凝縮液体の質量と、のいずれであってもよい。)や、液化して生じる凝縮液体の生成速度(液化して生じる凝縮液体の体積速度(例えば、リットル/分)と、液化して生じる凝縮液体の質量速度(例えば、kg/分)と、のいずれであってもよい。)等を例示できる。とりわけ液化量検知手段が、液化して生じる凝縮液体の生成速度を検知するようにすれば、原料液体収容槽中の原料液体に含まれる蒸発成分が減少したことを凝縮液体の生成速度の減少として認識することができ、液化量検知手段により検知される凝縮液体の生成速度(凝縮液体の量に関係する値)から原料液体の濃縮度合いを知ることができる。
なお、液化量検知手段が、液化して生じる凝縮液体の生成速度を検知する方法は様々な方法が用いられてよく何ら限定されるものではないが、液化して生じる凝縮液体が流れる導管に設けられた流量計によったり、液化して生じる凝縮液体の量(液化して生じる凝縮液体の体積と、液化して生じる凝縮液体の質量と、のいずれであってもよい。)の単位時間変化(時系列で刻々と算出される微分値や、各単位時間(例えば、1分)毎に該量が増加した増加量等を例示できる。)を求めるものであってもよい。
【0012】
本装置においては、前記原料液体が原料液体収容槽中で濃縮されることにより、前記原料液体中に周囲の前記原料液体よりも比重が大きな固体が生成するものであり、原料液体収容槽が、その内部空間の最下部に連通する排出口を有するものであってもよい。
原料液体は、溶質及び/又は固形物を含む液体であり原料液体収容槽中で濃縮されることにより、溶質の析出や固形物の凝集等によって原料液体中に固体が生成する場合がある。また、このように濃縮により生じた固体は、該固体の周囲の原料液体よりも比重が大きな場合が多く、原料液体収容槽中の原料液体中を沈降しやすい。このためこのような濃縮により生じた固体を原料液体収容槽からうまく排出するには、原料液体収容槽の内部空間の最下部に連通する排出口を原料液体収容槽が有するようにしてもよい。
【0013】
本装置においては、前記原料液体が、梅干しの漬け汁であってもよい。
梅干しは、健康維持に資する食品であることが知られており、商業規模で製造されている。この梅干しの製造は梅を漬け汁に漬ける工程を含むが、この漬け汁は一度使用されると梅に含まれていた水分が多量に混入しているのでそのままの状態で梅を再び漬け込むことはできず、結局のところ、梅干しの漬け汁は1回使用した後に従来廃棄されてきた。
この梅干しの漬け汁を本装置にて濃縮すれば、該漬け汁に含まれる食塩分から生じる固体状の食塩と、濃縮された漬け汁と、を得ることができ、食塩と濃縮漬け汁とを再使用することができる。
【0014】
また、本発明は、本装置を用いて前記原料液体として梅干しの漬け汁を濃縮し、該漬け汁に含まれる食塩から固体状の食塩と、濃縮された漬け汁と、を製造する製造方法(以下、「本方法」という。)を提供する。
即ち、本方法は、本装置を用いて前記原料液体として梅干しの漬け汁を濃縮し、該漬け汁に含まれる食塩から固体状の食塩と、濃縮された漬け汁と、を製造する製造方法であって、該漬け汁を前記原料液体として原料液体収容槽に収容する収容ステップと、撹拌手段により該漬け汁を撹拌しつつ加熱手段で該漬け汁を加熱し、導出手段により原料液体収容槽の内部に存する水蒸気を含む雰囲気を原料液体収容槽の外部に導き、冷却手段により水蒸気を冷却し液化させて液体の水分とする濃縮ステップと、液化量検知手段により検知された液化して生じた液体水の量に関係する値から濃縮ステップを止め、原料液体収容槽の内部に存する濃縮された漬け汁と固体状の食塩とを原料液体収容槽から取り出す払出ステップと、濃縮された漬け汁と固体状の食塩とを分離する分離ステップと、を含んでなる、製造方法である。
【0015】
本方法の収容ステップにおいては、梅干しの漬け汁を前記原料液体として原料液体収容槽に収容する。次いで、濃縮ステップにおいては、撹拌手段により該漬け汁を撹拌しつつ加熱手段で該漬け汁を加熱し、導出手段により原料液体収容槽の内部に存する水蒸気を含む雰囲気を原料液体収容槽の外部に導き、冷却手段により水蒸気を冷却し液化させて液体の水分とする(撹拌、加熱、導出及び冷却が同時進行)。そして、払出ステップにおいては、液化量検知手段により検知された液化して生じた液体水の量に関係する値から濃縮ステップを止め、原料液体収容槽の内部に存する濃縮された漬け汁と固体状の食塩とを原料液体収容槽から取り出す。分離ステップにおいては、濃縮された漬け汁と固体状の食塩とを分離する。なお、分離ステップは、濃縮漬け汁と固体状食塩とを分離することができればいかなる方法によってもよく、例えば、濾過(フィルタープレスを含む)、遠心分離、デカンテーション(静置分離)等の方法によってもよい。このようにして製造された濃縮漬け汁と固体状食塩とは、漬け汁は再び漬け汁とされたり調味料又はその配合成分とされることで利用され、固体状食塩は、食塩源とされたり、梅風味を有することから調味料又はその配合成分とされることで利用されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
【0017】
図1は、本装置11を示す概念図(後述の濃縮槽21は断面を示している。)であり、図2は図1のAーA断面図である。図1及び図2を参照して、本装置11について説明する。ここでは本装置11は、梅干しの漬け汁(以下、「原料液」という。)を濃縮し、原料液に含まれている食塩と、濃縮された漬け汁(濃縮液)と、液体の水分と、を製造する。
【0018】
本装置11は、大まかには、原料液を受け入れ濃縮する濃縮槽21と、濃縮槽21から生じる水蒸気を凝縮させ液状の水(凝縮水)とする凝縮器41(コンデンサー)と、凝縮器41から生じた水(凝縮水)を受け入れる凝縮水槽51と、凝縮器41を経由して濃縮槽21(後述する濃縮槽本体25の内部23)を減圧する真空ポンプ61と、濃縮槽21(後述する濃縮槽本体25の内部23)に存する液15を循環配管74(液15の流路)に沿って圧送する循環ポンプ71と、濃縮槽21(後述する濃縮槽本体25の内部23)に存する液15を加熱する加熱器81a、81bと、を備えてなる。
【0019】
濃縮槽21は、濃縮槽本体25と、濃縮槽本体25の内部23に存する液15の液面高さ(液面レベル)を検出する液面センサー27と、を有してなる。そして、濃縮槽本体25は、原料液を受け入れる受入ノズル26aと、内部23に存する液15から生じる水蒸気の出口である水蒸気出口ノズル26bと、内部23の最下部(底部)に連通する底部排出口26cと、加熱器81a、81bを嵌入する加熱器嵌入部28a、28bと、を有している。そして、循環ポンプ71が液15を吸入する吸入ノズル26p(断面位置によって図1には現れないので、特に図2を参照されたい)と、循環ポンプ71からの液15を濃縮槽本体25の内部23に吐出する吐出ノズル26qと、が濃縮槽本体25の内部23に連通するよう(内部23に向けて突出するように)取り付けられている。濃縮槽本体25は、濃縮槽本体25の内部23が真空ポンプ61によって減圧されても大気圧に耐えることができるように構成されており、その内部23は軸B(ここでは軸Bは仮想上の直線であり、略鉛直である。)を軸とする回転体形状(上部に円錐台と、下部に円錐台と、が連結された直円柱形状)を略構成している(即ち、軸Bを含むいずれの平面で内部23を切断しても、図1に示されたと同様の形状を有している。)。加熱器嵌入部28a、28bはそれに嵌入される加熱器81a、81bの熱を内部23に伝達し液15を加熱可能にされている。
【0020】
循環ポンプ71は、濃縮槽本体25の内部23に存する液15を吸入ノズル26pから吸引し、吸入ノズル26pから吐出ノズル26qまで循環配管74に沿って圧送し、そして吐出ノズル26qから内部23に吐出することで、濃縮槽本体25の内部23に存する液15を(軸Bの周りに)渦巻き状に旋回させ循環させる。循環配管74は、一端が吸入ノズル26pに接続されており、他端が吐出ノズル26qに接続されており、液15を圧送する導管(パイプ)として機能する。循環ポンプ71は、循環配管74の途中に配設されており、濃縮槽本体25の内部23に存する液15を吸入ノズル26pから循環配管74に沿って圧送し吐出ノズル26qから内部23に吐出する。具体的には、吸入ノズル26pの吸入口26paと、吐出ノズル26qの吐出口26qaと、は軸Bに対して垂直な1の円形の同一円周上にいずれも略位置しており、吸入口26paの吸入方向(図2中、矢印F1にて示す。)は吸入口26paにおける該同一円周の接線方向に略向いており、吐出口26qaの吐出方向(図2中、矢印F2にて示す。)は吐出口26qaにおける該同一円周の接線方向に略向いており、該吸入方向(矢印F1方向)への液15の吸入と、該吐出方向(矢印F2方向)への液15の吐出と、によって内部23に存する液15が軸Bの周りに渦巻き状(図2においては時計回り)に旋回し撹拌される。
また、ここでは循環ポンプ71によって吸入ノズル26pから吸引され吐出ノズル26qから内部23に吐出される単位時間当たりの液15の量(循環量)VC(単位:m/分)は、濃縮槽本体25に1回分の原料液が装入(張り込み)される量をV1(単位:m)とすると、(V1/VC)があまり大きいと撹拌効果がうまく奏されず、(V1/VC)があまり小さいと循環ポンプ71の駆動動力が大きくなりすぎるので、これら両方を満足する範囲とされることが好ましく、通常、(V1/VC)の下限として、好ましくは10以上であり、より好ましくは30以上であり、最も好ましくは50以上であり、逆に、(V1/VC)の上限として、好ましくは500以下であり、より好ましくは400以下であり、最も好ましくは300以下である((V1/VC)は、通常、好ましくは10〜500であり、より好ましくは30〜400であり、最も好ましくは50〜300である。)(なお、ここでは具体的には、内部23の容積は約5mとし、V1=1〜3mとし、VC=0.01〜0.02m/分とした。)。
【0021】
加熱器81a、81bいずれも、図示しない制御装置によって発熱量が種々の指標によって調節可能な電気式加熱装置(電気ヒータ)であり、例えば、濃縮槽本体25の内部23に存する液15から適度な蒸発速度(蒸発速度一定)で水分が蒸発するよう単位時間当たりの発熱量(液15の加熱量、例えば、J/秒)が一定に調節されたり、濃縮槽本体25の内部23の温度が設定温度(温度一定)になるよう単位時間当たりの発熱量(液15の加熱量、例えば、J/秒)が調節されることもできる。
加熱器81a、81bの加熱量としては、単位時間当たりの液15からの蒸発速度をVV(単位:m/分。なお、このVVについての体積(m)は、液体換算での体積である。)とし、濃縮槽本体25に1回分の原料液が装入(張り込み)される量をV1(単位:m)とすると、(VV/V1)があまり大きいと飛沫同伴現象が増加することで分離効率が低下する等の問題が生じる可能性があり、あまり(VV/V1)があまり小さいと運転時間が長くなりすぎるので、これら両方を満足する範囲とされることが好ましく、通常、(VV/V1)の下限として、好ましくは0.0001以上であり、より好ましくは0.0003以上であり、最も好ましくは0.0005以上であり、逆に、(VV/V1)の上限として、好ましくは0.004以下であり、より好ましくは0.003以下であり、最も好ましくは0.002以下である((VV/V1)は、通常、好ましくは0.0001〜0.004であり、より好ましくは0.0003〜0.003であり、最も好ましくは0.0005〜0.002である。)(なお、ここでは具体的には、V1=1〜3mとし、VV=0.0015〜0.002m/分とした。)。
【0022】
凝縮器41は、濃縮槽21から生じる水蒸気を蒸気配管47を経由して受け入れ、該受け入れた水蒸気と冷却水(冷却水入口43aから凝縮器41に入り、冷却水出口43bから排出される。)とを熱交換させ(即ち、凝縮器41は熱交換器である。)、該水蒸気を冷却して凝縮させ液体状態の水(凝縮水)とする。
濃縮槽21から生じる水蒸気を凝縮器41にて凝縮させて生じる液体状態の水(凝縮水)は、凝縮水槽51に受け入れられる。凝縮水槽51に受け入れられた液体状態の水(凝縮水)は、払出弁53を開けることでバッチ式(断続的)に払い出されるが、濃縮槽本体25に1回分の原料液が装入(張り込み)され運転されて該原料液の濃縮が完了するまでに生じる水(凝縮水)全量を収容することができる容量を凝縮水槽51は有している(濃縮槽本体25の1バッチ分により生じる水(凝縮水)を凝縮水槽51は収容することができる。)。そして、凝縮水槽51は、それが貯留している水(凝縮水)の量を測定する液量計55を有している。液量計55は、凝縮水槽51が貯留している水(凝縮水)の量を凝縮水槽51近傍に表示すると共に、図示しないコンピュータ(以下、「表示コンピュータ」という。)に該量を示す電気的信号を刻々と発信する。なお、表示コンピュータは、その時々の該量を表示すると共に、該量を時間によって微分することで凝縮水槽51への水(凝縮水)の受け入れ速度(例えば、単位:m/秒)を所定時間間隔(例えば、10秒)毎において算出し、受け入れ速度の時間変化を表示コンピュータ付属の画面に表示(横軸を時間軸とし縦軸を受け入れ速度とする直交座標のグラフを描く)するようになっている。
【0023】
真空ポンプ61は、真空配管65、凝縮器41及び蒸気配管47を経由して濃縮槽21(濃縮槽本体25の内部23)を減圧するものであり、具体的には、内部23を減圧することで約40℃において液15が沸騰する程度の減圧度合を達成することができる能力を有する。
なお、真空ポンプ61は、濃縮槽本体25の内部23を所定圧力(約40℃において液15が沸騰する程度)に保つことができるよう、内部23の圧力に基づいて制御されている。
【0024】
以上のような本装置11により、原料液を濃縮し、原料液に含まれている食塩と、濃縮された漬け汁(濃縮液)と、液体の水分と、を製造する方法について説明する。
第1工程として、受入ノズル26aから原料液を受け入れる。具体的には、受入弁29aを開いて濃縮槽本体25の内部23へ受入を開始し、液面センサー27により内部23の液量を監視し、濃縮槽本体25に1回分の原料液量V1(単位:m)を装入(張り込み)する(装入(張り込み)後、受入弁29aを閉じる。)。
第2工程として、真空ポンプ61及び循環ポンプ71を起動し、凝縮器41を経由し濃縮槽21(濃縮槽本体25の内部23)を所定の圧力へ減圧すると共に、濃縮槽本体25の内部23に存する液15を渦巻き状に旋回させ循環撹拌する(以降、真空ポンプ61(内部23を一定圧力に保つ)及び循環ポンプ71の運転を継続する。)。
第3工程として、加熱器81a、81bに通電し、濃縮槽本体25の内部23に存する液15の加熱を開始する。これによって濃縮槽本体25の内部23に存する液15から水分が蒸発し、それにより生じる水蒸気は凝縮器41にて凝縮し、液体状態の水(凝縮水)が凝縮水槽51に受け入れられる(払出弁53は閉じられた状態である。)。この液15からの水分蒸発により、液15は濃縮され、原料液に含まれていた主として食塩成分が液15中に析出することで液15は微細な固形物が混じったスラリー状に次第に変化する。
【0025】
第4工程として、表示コンピュータ付属の画面に表示されたグラフ(横軸を時間軸とし縦軸を受け入れ速度とする直交座標のグラフ)から、凝縮水槽51への水(凝縮水)の受け入れ速度(例えば、単位:m/秒)を監視し、それまでの最大の受け入れ速度の10%未満に受け入れ速度が低下したら濃縮完了と判断し、加熱器81a、81bへの通電を中止する(加熱中止)。
第5工程として、濃縮槽本体25の内部23をゆっくりと常圧(大気圧)に戻し、真空ポンプ61を停止する。
第6工程として、払出弁29cを開き、底部排出口26cを経由して、食塩を主成分とする微細な固形物が混じったスラリー状の液15を払い出す。該払い出されたスラリー状の液15は、濾過や静置等により固形物と分離液とに分離し、該固形物は食塩成分として利用され、該分離液は濃縮された漬け汁(濃縮液)として利用される。なお、スラリー状の液15の払出工程の途中で、循環ポンプ71を停止する。
第7工程として、払出弁53を開き、凝縮水槽51に受け入れられた水(凝縮水:液体の水分)を回収する。
以上のようにして、本装置11により、原料液を受け入れ、真空ポンプ61により濃縮槽本体25の内部23を減圧し、循環ポンプ71により液15を循環させ撹拌しつつ、加熱器81a、81bにより液15を加熱することで、液15から水分を蒸発させ濃縮することができ、食塩(食塩成分)と濃縮漬け汁(濃縮液)と水分とを製造することができる(なお、本装置11の濃縮運転は、上記したように回分(バッチ)操作である。)。また、この濃縮漬け汁(濃縮液)は、内部23を減圧することで約40℃という低温において濃縮(水分留去)されているので、風味を失うことなく再び梅干しの漬け汁として利用できる。
【0026】
以上のように、本装置11は、溶質(ここでは主として食塩等)及び固形物(ここでは主として梅肉の小片等)を含む原料液体(液15、ここでは梅干しの漬け汁)を収容する原料液体収容槽たる濃縮槽21と、該原料液体(梅干しの漬け汁)を加熱する加熱手段たる加熱器81a、81bと、原料液体収容槽(濃縮槽21)中の該原料液体(梅干しの漬け汁)を撹拌する撹拌手段(ここでは吸入ノズル26p、吐出ノズル26q、循環配管74及び循環ポンプ71を含んで構成される。)と、該原料液体(梅干しの漬け汁)から蒸発し、原料液体収容槽(濃縮槽21)の内部に存する蒸気(ここでは水蒸気)を含む雰囲気を原料液体収容槽(濃縮槽21)の外部に導く導出手段(ここでは蒸気配管47、凝縮器41、凝縮水槽51、真空配管65及び真空ポンプ61を含んで構成される。)と、を備えてなり、該導出手段(蒸気配管47、凝縮器41、凝縮水槽51、真空配管65及び真空ポンプ61を含む。)が、該蒸気(水蒸気)を冷却し液化させて凝縮液体(凝縮水)とする冷却手段たる凝縮器41と、液化して生じた凝縮液体(凝縮水)の量に関係する値(ここでは液量計55が検知する凝縮水槽51の凝縮水量と、凝縮水槽51への凝縮水の受け入れ速度)を検知する液化量検知手段(凝縮水槽51が有する液量計55と表示コンピュータとによって構成される。)と、を有するものである、液体濃縮装置である。
【0027】
導出手段(蒸気配管47、凝縮器41、凝縮水槽51、真空配管65及び真空ポンプ61を含む。)が、原料液体収容槽(濃縮槽21)の内部23に存する該雰囲気を吸引し、原料液体収容槽(濃縮槽21)の内部23の圧力を負圧とするものである。
撹拌手段(吸入ノズル26p、吐出ノズル26q、循環配管74及び循環ポンプ71を含む。)が、原料液体収容槽(濃縮槽21)中の前記原料液体(梅干しの漬け汁)を吸入する一端(吸入ノズル26p)と前記原料液体(梅干しの漬け汁)を吐出する他端(吐出ノズル26q)とを有する循環導管(吸入ノズル26p、吐出ノズル26q及び循環配管74)と、該一端(吸入ノズル26p)から該他端(吐出ノズル26q)に向けて前記原料液体(梅干しの漬け汁)を圧送する圧送手段(循環ポンプ71)と、を有してなるものである。
【0028】
前記他端(吐出ノズル26q)からの前記原料液体(梅干しの漬け汁)の吐出方向(ここでは矢印F2方向)に向いた直線と、前記一端(吸入ノズル26p)からの前記原料液体(梅干しの漬け汁)の吸入方向(ここでは矢印F1方向)に向いた直線と、の少なくとも一方(ここでは両方)が、原料液体収容槽(濃縮槽21)の内部に存する前記原料液体(液15、梅干しの漬け汁)の重心G(図1参照)を通過する鉛直な直線(軸B)に対してねじれの位置に存するものである。
また、液化量検知手段(凝縮水槽51が有する液量計55と表示コンピュータとによって構成される。)が、液化して生じる凝縮液体の生成速度(凝縮水槽51への凝縮水の受け入れ速度)を検知するものである。
加えて、前記原料液体(液15、梅干しの漬け汁)が原料液体収容槽(濃縮槽21)中で濃縮されることにより、前記原料液体(梅干しの漬け汁)中に周囲の前記原料液体(梅干しの漬け汁)よりも比重が大きな固体(主として食塩の粒体)が析出するものであり、原料液体収容槽(濃縮槽21)が、その内部23空間の最下部に連通する排出口たる底部排出口26cを有するものである。
また、ここでは前記原料液体(液15)が、梅干しの漬け汁である。
【0029】
また、上記の本装置11によって原料液を濃縮し、原料液に含まれている食塩と、濃縮された漬け汁(濃縮液)と、液体の水分と、を製造する方法は、本装置11を用いて前記原料液体として梅干しの漬け汁を濃縮し、該漬け汁に含まれる食塩から固体状の食塩と、濃縮された漬け汁と、を製造する製造方法であって、該漬け汁を前記原料液体として原料液体収容槽(濃縮槽21)に収容する収容ステップ(上記の第1工程)と、撹拌手段(吸入ノズル26p、吐出ノズル26q、循環配管74及び循環ポンプ71を含む。)により該漬け汁を撹拌しつつ加熱手段(加熱器81a、81b)で該漬け汁を加熱し、導出手段(蒸気配管47、凝縮器41、凝縮水槽51、真空配管65及び真空ポンプ61を含む。)により原料液体収容槽(濃縮槽21)の内部に存する水蒸気を含む雰囲気を原料液体収容槽(濃縮槽21)の外部に導き、冷却手段(凝縮器41)により水蒸気を冷却し液化させて液体の水分とする濃縮ステップ(上記の第3工程)と、液化量検知手段(凝縮水槽51が有する液量計55と表示コンピュータとによって構成される。)により検知された液化して生じた液体水の量に関係する値(凝縮水槽51への凝縮水の受け入れ速度)から濃縮ステップ(上記の第3工程)を止め(上記の第4工程及び第5工程)、原料液体収容槽(濃縮槽21)の内部に存する濃縮された漬け汁と固体状の食塩とを原料液体収容槽(濃縮槽21)から取り出す払出ステップ(上記の第6工程における底部排出口26cを経由したスラリー状の液の払出)と、濃縮された漬け汁と固体状の食塩とを分離する分離ステップ(上記の第6工程において払い出されたスラリー状の液を濾過や静置等により固形物と分離液とに分離する工程)と、を含んでなる、製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本装置を示す概念図(濃縮槽は断面を示している。)である。
【図2】図1のAーA断面図である。
【符号の説明】
【0031】
11 本装置
15 液
21 濃縮槽
23 内部
25 濃縮槽本体
26a 受入ノズル
26b 水蒸気出口ノズル
26c 底部排出口
26p 吸入ノズル
26pa 吸入口
26q 吐出ノズル
26qa 吐出口
27 液面センサー
28a、28b 加熱器嵌入部
29a 受入弁
29c 払出弁
41 凝縮器
43a 冷却水入口
43b 冷却水出口
47 蒸気配管
51 凝縮水槽
53 払出弁
55 液量計
61 真空ポンプ
65 真空配管
71 循環ポンプ
74 循環配管
81a、81b 加熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶質及び/又は固形物を含む原料液体を収容する原料液体収容槽と、
該原料液体を加熱する加熱手段と、
原料液体収容槽中の該原料液体を撹拌する撹拌手段と、
該原料液体から蒸発し、原料液体収容槽の内部に存する蒸気を含む雰囲気を原料液体収容槽の外部に導く導出手段と、
を備えてなり、
該導出手段が、該蒸気を冷却し液化させて凝縮液体とする冷却手段と、液化して生じた凝縮液体の量に関係する値を検知する液化量検知手段と、を有するものである、
液体濃縮装置。
【請求項2】
導出手段が、原料液体収容槽の内部に存する該雰囲気を吸引し、原料液体収容槽の内部圧力を負圧とするものである、請求項1に記載の液体濃縮装置。
【請求項3】
撹拌手段が、原料液体収容槽中の前記原料液体を吸入する一端と前記原料液体を吐出する他端とを有する循環導管と、該一端から該他端に向けて前記原料液体を圧送する圧送手段と、を有してなるものである、請求項1又は2に記載の液体濃縮装置。
【請求項4】
前記他端からの前記原料液体の吐出方向に向いた直線と、前記一端からの前記原料液体の吸入方向に向いた直線と、の少なくとも一方が、原料液体収容槽の内部に存する前記原料液体の重心を通過する鉛直な直線に対してねじれの位置に存するものである、請求項3に記載の液体濃縮装置。
【請求項5】
液化量検知手段が、液化して生じる凝縮液体の生成速度を検知するものである、請求項1乃至4のいずれか1に記載の液体濃縮装置。
【請求項6】
前記原料液体が原料液体収容槽中で濃縮されることにより、前記原料液体中に周囲の前記原料液体よりも比重が大きな固体が生成するものであり、
原料液体収容槽が、その内部空間の最下部に連通する排出口を有するものである、請求項1乃至5のいずれか1に記載の液体濃縮装置。
【請求項7】
前記原料液体が、梅干しの漬け汁である、請求項1乃至6のいずれか1に記載の液体濃縮装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1に記載の液体濃縮装置を用いて前記原料液体として梅干しの漬け汁を濃縮し、該漬け汁に含まれる食塩から固体状の食塩と、濃縮された漬け汁と、を製造する製造方法であって、
該漬け汁を前記原料液体として原料液体収容槽に収容する収容ステップと、
撹拌手段により該漬け汁を撹拌しつつ加熱手段で該漬け汁を加熱し、導出手段により原料液体収容槽の内部に存する水蒸気を含む雰囲気を原料液体収容槽の外部に導き、冷却手段により水蒸気を冷却し液化させて液体の水分とする濃縮ステップと、
液化量検知手段により検知された液化して生じた液体水の量に関係する値から濃縮ステップを止め、原料液体収容槽の内部に存する濃縮された漬け汁と固体状の食塩とを原料液体収容槽から取り出す払出ステップと、
濃縮された漬け汁と固体状の食塩とを分離する分離ステップと、
を含んでなる、製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−246369(P2008−246369A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90787(P2007−90787)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(507103581)大松精機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】