説明

液体濾過システム

フィルター要素及びその製造並びに使用方法を提示しており、フィルター要素は、液体濾過に好適であり、かつ粒子配合されたメルトブロー繊維ウェブを備える。フィルター要素は、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブとそのウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する多孔質物品であり、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える。自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブの複数の層を多孔質物品に利用してもよい。らせん状に巻き取られたウェブ、ウェブで覆われたブロック、及びウェブの積層ディスクも提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、液体濾過システム及び濾材に関し、濾材は、例えば、その中に吸着成分を有する高分子繊維ウェブを備える。
【背景技術】
【0002】
家庭用の水濾過のように、多くの種類の流体濾過システムが市販されている。伝統的に、水から金属及び/又は有機物質を除去するために遊離炭素粒子床が用いられていた。複合ブロックは、吸着性活性炭等の吸着物質とポリエチレン等のポリマー結合剤との組み合わせから作製することができ、これらは、加熱及び加圧条件下で同時に焼結されており、水濾過技術では有用である。炭素ブロック法は、例えば、粒子が剥がれず又はそれほど多くのスペースを占めないのであれば、炭素粒子床を遊離させるのと同等の機能性を提供する。炭素ブロック技術を用いると、ブロックに対する圧力低下が増大し、その結果として、活性炭などの吸着性物質の量を増大することができる。更には、炭素ブロックを熱及び圧力へ暴露することによって、ブロック内で使用可能な材料の種類を制限できる。例えば、炭素ブロック法は一般に、イオン交換樹脂のように熱分解し易い材料を使用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
家庭用途のためのコンパクトな水濾過システムの提供が今も必要とされている。また、システムに対する圧力低下を増大させずに、高配合の活性物質を有するシステムを提供することも必要とされている。処理中の濾材の劣化を最小限に抑えることが更に望ましい。加えて、改善された耐用年数を有するシステムを提供することも引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
濾材及びその製造方法並びに利用方法を提供するものであり、濾材は、液体濾過に好適であり、粒子配合されたメルトブロー繊維ウェブを備える。
【0005】
一態様では、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブとウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する多孔質物品であり、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える、フィルター要素が提供される。
【0006】
別の態様は、流体供給源とフィルター要素とを備える流体濾過システムであり、フィルター要素が、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブとウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する多孔質物品であり、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える、システムを包含する。
【0007】
更なる態様では、ブロック複合体であり、ブロックの10〜90重量%の範囲の量の活性化媒体及び10〜90重量%の範囲の量の結合剤を有するブロック複合体と、炭素ブロック複合体を包囲するウェブであり、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維と、ウェブの50〜97重量%の範囲の量でウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有するウェブとを備える、フィルター要素が提供される。
【0008】
別の態様では、互いに添着した複数のディスクを有するフィルター要素であって、ディスクが自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維と、繊維中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する、フィルター要素が提供される。
【0009】
他の態様としては、流体の濾過方法が挙げられる。この方法は、フィルター要素を流体と接触させる工程を含み、フィルター要素は、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブとウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する多孔質物品であり、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える。
【0010】
更なる態様では、フィルター要素の形成方法であって、溶融ポリマーを複数のオリフィスから流し出してフィラメントを形成する工程と、フィラメントを繊維まで細くする工程と、吸着剤粒子の流れをフィラメント又は繊維の渦中に導く工程と、繊維及び吸着剤粒子を不織布ウェブとして回収して、多孔質物品を形成する工程と、多孔質物品を液体不浸透性ハウジング内に設置する工程とを含む、方法が提供される。
【0011】
直接形成された濾過物品及び製造方法並びに流体浄化のための使用方法もまた提供され、物品は、粒子配合されたメルトブロー繊維ウェブ構造を利用している。
【0012】
ある態様では、多孔質物品を形成するために巻き取られた複数の多孔質層であって、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブ及びウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子を有する多孔質層と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える、フィルター要素が提供される。
【0013】
別の態様は、多孔質物品を形成するために巻き取られた第1の複数の多孔質層であり、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維の第1ウェブ及び第1ウェブ中に捕捉された複数の炭素粒子を有する多孔質層と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える、フィルター要素を提供する。
【0014】
更なる態様は、流体の濾過方法を提供し、方法は、フィルター要素を流体と接触させる工程を含み、多孔質物品を形成するために巻き取られた複数の多孔質層であり、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブ及びウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子を有する多孔質層と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える。
【0015】
別の態様では、フィルター要素の形成方法であって、溶融ポリマーを複数のオリフィスから流し出してフィラメントを形成する工程と、フィラメントを繊維まで細くする工程と、吸着剤粒子の流れをフィラメント又は繊維の渦中に導く工程と、繊維及び吸着剤粒子を不織布ウェブとしてスピンドル上に回収して多孔質物品を形成する工程と、多孔質物品を液体不浸透性ハウジング内に設置する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】多孔質物品の概略断面図。
【図2】ハウジング内に設置された多孔質物品の断面図。
【図3】ハウジングの概略図。
【図4】ハウジング内に設置された、らせん状に巻き取られた多孔質物品の断面図。
【図5】ハウジング内に設置された積層ディスクフィルターの断面図。
【図6】直接形成された、粒子配合された多孔質物品を製造するための代表的な構成要素の概略図。
【図7】多孔質物品の概略図。
【図8】多孔質物品の断面図。
【図9】多孔質物品の断面図。
【0017】
本発明の幾つかの例示的な実施形態について説明するに先立ち、本発明は、以下の説明で述べる構造又はプロセス工程の詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、また様々な方法で実践又は実行することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
液体浄化用の濾過物品であって、粒子配合されたメルトブローン(又はブロー成形されたマイクロファイバー−BMF)ウェブをベースとあわせて利用することで液体処理装置を形成する、濾過物品が提供される。これら粒子配合されたBMFウェブは、吸着物質を粒子、微粒子、及び/若しくはそれらの凝集物又はブレンドの形態で、高分子メルトブローン繊維を細くしてこれら繊維をコレクターに搬送する気流へ添加することによって形成される。粒子は、繊維が混合気流中の粒子と接触するときにメルトブロー繊維性マトリックス中に捕捉され、回収されてウェブを形成する。高配合量(例えば、約97重量%まで)の粒子を利用することができる。吸着物質には、吸着剤及び吸着性物質並びに界面活性を有する物質のように、流体の物理的又は化学的性質を変える種類の物質が挙げられるが、これらに限定されない。吸着剤の例としては、粒状及び粉末活性炭、イオン交換樹脂、金属イオン交換ゼオライト吸着剤、例えばエンゲルハルド(Engelhard)製のATS、活性アルミナ、例えばセレクト・サイエンティフィック(Selecto Scientific)製のアルジル(Alusil)、抗菌性化合物、例えば銀系、亜鉛系、及びハロゲン系の物質、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、ヨウ化樹脂、並びに珪藻土が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明の実施形態による濾過媒体には、粒子配合されたウェブ(非カレンダー加工のもの)及び圧縮/高密度化された配合されたウェブ(カレンダー加工されたもの)が包含される。これらの媒体には、流体の流動抵抗が低く、また市販の製品と比べると、例えば、重力流や液体濾過用途において大きな改善がみられる。更なる利点は、高い流速を必要とする用途で見出される。これら配合ウェブの開放的な多孔性は、フィルター及びハウジングの貫流抵抗をほとんど増大しない。媒体に対するこの低い圧力低下は、家全体での濾過のように高流量の用途、更には重力流濾過を必要とする用途での利用を可能にする。90重量%超の活性炭配合量が立証されている。少なくとも40%、50%、60%、70%、又は80%の配合量も可能である。配合ウェブは、一部のイオン交換樹脂等の感熱微粒子を用いる場合、ブロック技術に勝る更なる利点を有する。粒子は、ブロック成形又は押出成形プロセス中にみられる高温には暴露されない。これにより、微粒子(イオン交換樹脂)の劣化と関わりのある熱不安定性に関する懸念が軽減される。開放的な多孔質構造はまた、高い沈殿状態でも有利である。極めて隙間の多い構造は、粒子と接触する流体のための多数の潜在的経路を保有している。家全体での濾過では、大きな沈降粒子は媒体内に捕捉される一方で、より小さな沈降粒子は媒体を通り抜けることができることが望ましい。このことが、媒体が汚染されて圧力低下が過度になるまでの、より長い耐用年数をもたす。
【0020】
一態様では、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブとウェブ内に捕捉された複数の吸着剤粒子を有する多孔質物品であり、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える、フィルター要素が提供される。
【0021】
詳細な実施形態では、吸着剤粒子は、活性炭、珪藻土、イオン交換樹脂、金属イオン交換吸着剤、活性アルミナ、抗菌性化合物、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、ヨウ化樹脂、又はこれらの組合わせを有する。
【0022】
別の実施形態では、ウェブは、わずか2(若しくは他の実施形態では、1又は0.5)秒のガーレー時間を有する。他の実施形態は、フィルターが、周囲条件下で毎秒5.3cmの空気の均一な面速度で、わずか150(若しくは他の実施形態では75又は30)mm水柱の圧力低下を示すことを提示する。特定の実施形態では、粒子の平均粒子サイズは、わずか250(若しくは200、150、100、又は60)μmである。詳細な実施形態は、1ガロンあたり10分未満であることを提示する。
【0023】
一実施形態では、ウェブは、物品を形成するために巻き取られている。別の実施形態では、物品は、互いに隣接している複数のウェブで形成される。詳細な実施形態は、第1ウェブが第1吸着剤を備え、第2ウェブが第2吸着剤を備えることを提示する。別の実施形態は、第1ウェブが第1平均サイズの粒子を備え、第2ウェブが第2平均サイズの粒子を備える。
【0024】
更なる実施形態では、ウェブはコアを実質的に包囲する。コアは、炭素ブロックを有することができる。他の実施形態としては、1平方メートルあたり10〜1000(若しくは20〜300又は25〜100)グラムの範囲の基本ウェブ重量を有するウェブが挙げられる。別の実施形態では、ウェブは、0.20〜0.5g/ccの範囲の吸着剤粒子密度を有する。
【0025】
1つ以上の実施形態では、高分子繊維はポリプロピレンを有する。一部の実施形態では、高分子繊維はメタロセン触媒化ポリオレフィンを有する。詳細な実施形態では、ポリプロピレンは、30〜1500(若しくは75〜750又は200〜500)の範囲のポリマー・メルトフローインデックスを有する。
【0026】
更なる実施形態は、ウェブが、カレンダー加工、加熱、又は加圧によって圧縮されていることを提示する。他の実施形態には、吸着密度勾配を有するフィルター要素が挙げられる。
【0027】
別の態様は、流体供給源及びフィルター要素を備える流体濾過システムを包含し、フィルター要素は、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブとウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する多孔質物品であって、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える。
【0028】
一実施形態では、ウェブは、多孔質物品を形成するように巻かれている。別の実施形態では、多孔質物品は、互いに隣接している複数のウェブで形成される。更なる実施形態では、ウェブは、炭素ブロックを実質的に包囲している。
【0029】
更なる態様では、ブロック複合体であり、ブロックの10〜90重量%の範囲の量の活性化媒体及び10〜90重量%の範囲の量の結合剤を有するブロック複合体と、炭素ブロック複合体を包囲するウェブであり、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維と、ウェブの50〜97重量%の範囲の量でウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有するウェブとを備える、フィルター要素が提供される。
【0030】
別の態様では、互いに添着した複数のディスクを有するフィルター要素であって、ディスクが、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維と、繊維中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する、フィルター要素が提供される。詳細な実施形態は、第1の複数のディスクが活性炭の第1吸着剤粒子を有し、第2の複数のディスクがイオン交換樹脂の第2吸着剤粒子を有することが提示される。
【0031】
他の態様は、流体の濾過方法を包含する。方法は、フィルター要素を流体と接触させる工程を含み、フィルター要素は、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブとウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する多孔質物品であり、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える。
【0032】
更なる態様では、フィルター要素の形成方法であって、溶融ポリマーを複数のオリフィスから流し出してフィラメントを形成する工程と、フィラメントを繊維まで細くする工程と、吸着剤粒子の流れをフィラメント又は繊維の渦中に導く工程と、繊維及び吸着剤粒子を不織布ウェブとして回収して、多孔質物品を形成する工程と、多孔質物品を液体不浸透性ハウジング内に設置する工程とを含む方法が提供される。一実施形態では、方法は、カレンダー加工、加熱、又は加圧によって不織布ウェブを圧縮して、わずか2秒のガーレー時間を有する圧縮ウェブを形成する工程を更に含む。別の態様では、方法は、互いに隣接している複数の不織布ウェブを添着して多孔質物品を形成する工程を更に含む。別の実施形態は、方法は、不織布ウェブを巻き取ってから、不織布ウェブをハウジング内に設置する工程を更に含むことを提示する。別の実施形態は、繊維のレオロジーを制御する工程を含む。
【0033】
また、粒子、微粒子又は吸着剤の凝集物を有するメルトブローン又はブロー成形されたマイクロファイバー(BMF)フィラメントを回転式マンドレル・コレクター上に回収することによって直接形成された、液体浄化用の濾過物品も提供される。これらの粒子は、BMFフィラメントの流れがダイを出るときにこの流れに添加されて、回転式マンドレル・コレクターに搬送される。追加の吸着物質によって、付加的な望ましくない化学物質及び汚染物質を、浄化しようとする源水又は液体から除去できる。かかる方法によって、フィルター要素が形成されるにつれてフィルター直径が層状に形成される。一部の実施形態では、フィルター要素は、横方向に縦走する。
【0034】
吸着物質を有さない特定のBMFフィラメント繊維は、微粒子及び沈降物を給水源から除去することを目的としている。このプロセスの代表的な例は、米国特許出願公開第2004/0245171号及び同第2007/0175819号(サイメル(Schimmel))に記載されており、この開示内容を参照として本明細書に組み込む。
【0035】
吸着物質を粒子、微粒子、及び/若しくはそれらの凝集物又はブレンドの形態で、高分子メルトブローン繊維を細くしてこれら繊維をコレクターに搬送する気流へ添加することによってBMFウェブを形成する場合、粒子は、繊維が混合気流中で粒子と接触するとメルトブローン繊維性マトリックス中に捕捉され、回収されることでウェブが形成される。高配合量(例えば、約97重量%まで)の粒子を利用できる。吸着物質には、吸着剤及び吸着性物質等の流体の物理的又は化学的な性質を変える種類の物質が挙げられるが、これらに限定されない。吸着剤の例としては、粒状及び粉末活性炭、イオン交換樹脂、金属イオン交換ゼオライト吸着剤、例えばエンゲルハルド(Engelhard)製ATS、活性アルミナ、例えばセレクト・サイエンティフィック(Selecto Scientific)製アルジル(Alusil)、抗菌性化合物、例えば銀系、亜鉛系、及びハロゲン系の物質、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、並びにヨウ化樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
直接形成されるフィルター要素は、メルトブローン・フィラメント、配合された微粒子、又はこれら両者を調節することによって得られる勾配密度を有することができる。1つ以上の実施形態では、メルトブローン・フィラメント気流を変えることで様々な効果がもたらされる。フィラメント寸法分布の融合は、異なる目標有効繊維直径(EFD)で作動している2つ以上の分離したダイから生じる繊維気流を混合することによって、形成できる。同様の効果は、混成吹き込み成形品を使用すること又は米国特許出願第11/461,136号に記載されているような繊維ダイチップを交互に入れ替えることによっても得ることができ、この記載内容を参照として本明細書に組み込む。混成吹き込み成形手段はまた、ダイ前面にわたって様々な寸法の繊維又は繊維寸法の様々な勾配を有する領域を作り出すために使用することも可能である。こうすることで、フィルター層の構造を、例えば、デプスフィルターでの利用にあわせて調整できる。粒子、微粒子、凝集体、他の規則的な、不規則な若しくは中空の形状、又はこれらの混合物をフィラメントの流れのうち1つ以上に加え、回転式マンドレル又は前進している回収マンドレル上で回収してフィルター要素を形成することも可能である。
【0037】
別の態様は、混合フィラメント気流を有する代わりに、別々の層状に作動する2つ以上のダイを有することである。ダイはまた、並べて作動させることで、要素が回転式マンドレル上を横断するときに明確な層状効果を生み出すことも可能である。1つ以上のダイに様々なポリマー又は多成分繊維を用いることによって、性能に更なる変化が生じる可能性もある。
【0038】
勾配の付いた又は層状のフィルター要素は、前進するコレクターマンドレルを用いて、微粒子をウェブの対象領域へのみ添加する粒子ローダーを有することによって、形成できる。このことは、狭い粒子ローダーを更に広幅のダイとあわせて用いることで、又は粒子ローダー内に模様付きフィードロールを用いることで、達成できる。フィードロールは機械加工された空洞部を用いて、ロールがドクターブレードと対向して回転するときに容積測定の供給量を制御する。フィードローラーの前面にわたる(又はその周囲の)空洞部の容積を変えることによって、微粒子の局所的な供給を制御することができ、その結果、得られるウェブ中における微粒子の局所添加重量を制御することもできる。
【0039】
別の方法は、粒子ローダー内で分割ホッパーを利用することである。微粒子は、フィーディングを施したい分割された領域にのみ添加される。この方法はまた、分割された領域内で様々な粒子の利用を可能にすることで2つの粒子寸法を利用できるようにするか、又は処理済みの吸着剤若しくは特別な性能を有するものの追加を制御することもできる。複数の粒子ローダーを用いて、対象領域に添加される粒子の量若しくは種類を変えることもできる。
【0040】
これらの対策を利用することで、特定用途のための特注の、直接形成されたフィルター要素を形成できる。例えば、微細なポリプロピレン繊維の内側層は、マンドレルコアのすぐ近くに形成することができ、脱落や剥がれを軽減するのに役立つ。内側層の次には、第一次分離のために、粒子配合されたウェブの中間層を提供することができる。加えて、この中間層の上には、所望の機能を有する外側層を形成することができ、例えば、この外側層は、より大きな汚染物質を第一次分離層に達する前に除去するように更に大きな孔径を有する、及び/又は追加のプレフィルター層として働くようにより大きな直径の繊維を有することができる。多くの他の利用可能な配置はまた、当業者によって製造することも可能であり、本発明の範疇にあると見込まれる。
【0041】
ある態様では、多孔質物品を形成するための巻き取られた複数の多孔質層であって、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブ及びウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子を有する多孔質層と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える、フィルター要素が提供される。一実施形態では、複数の多孔質層は、互いに融合している。別の実施形態では、複数の多孔質層は、分離した複合層である。詳細な実施形態では、吸着剤粒子は、活性炭、珪藻土、イオン交換樹脂、金属イオン交換吸着剤、活性アルミナ、抗菌性化合物、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、ヨウ化樹脂、又はこれらの組合わせを有する。
【0042】
一部の実施形態では、フィルター要素は更に、ウェブにより囲まれたコアを有する。他の実施形態は、ウェブは、0.20〜0.5g/ccの範囲の吸着剤粒子密度を有することが提示される。
【0043】
1つ以上の実施形態では、高分子繊維は、ポリプロピレンを有する。一部の実施形態は、高分子繊維は、メタロセン触媒化ポリオレフィンを有することが提示される。一実施形態では、メタロセン触媒化ポリオレフィンは、ポリプロピレンを有する。他の実施形態では、ポリプロピレンは、30〜1500の範囲のポリマー・メルトフローインデックスを有する。
【0044】
ある実施形態では、第1の複数の層は、第1の有効繊維直径を有する高分子繊維を備え、第2の複数の層は、第2の有効繊維直径を有する高分子繊維を備える。別の実施形態では、高分子繊維は、有効繊維直径の混合物を有する。
【0045】
更に別の実施形態では、吸着剤粒子は、第1の複数の層の中には第1の密度で、第2の複数の層の中には第2の密度で存在する。他の実施形態は、第1の複数の層が第1吸着剤を有し、第2の複数の層が第2吸着剤を有することを包含する。更なる実施形態では、第1の複数の層は、第1平均寸法を有する粒子を備え、第2の複数の層は、第2平均寸法を有する粒子を備える。
【0046】
詳細な実施形態は、フィルター要素は、軸方向の吸着剤密度勾配を有することを提示する。別の詳細な実施形態は、フィルター要素は、径方向の吸着密度勾配を有することを提示する。
【0047】
一実施形態では、フィルター要素は、吸着剤粒子を実質的に有さない自己支持性のある不織布高分子繊維の第2ウェブの複数の層を更に含む。
【0048】
別の態様は、多孔質物品を形成するために巻き取られた第1の複数の多孔質層であり、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維の第1ウェブ及び第1ウェブ中に捕捉された複数の炭素粒子を有する多孔質層と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える、フィルター要素を提供する。一実施形態では、多孔質物品は更に、第2の複数の多孔質層を有し、多孔質層は、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維の第2ウェブと、第2ウェブ中に捕捉されたイオン交換樹脂とを有する。
【0049】
更なる態様は、流体の濾過方法であって、フィルター要素を流体と接触させる工程を含み、多孔質物品を形成するように巻き取られた複数の多孔質層であり、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブ及びウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子を有する多孔質層と、多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える、方法を提供する。
【0050】
別の態様には、フィルター要素の形成方法があり、方法は、溶融ポリマーを複数のオリフィスから流し出してフィラメントを形成する工程と、フィラメントを繊維まで細くする工程と、吸着剤粒子の流れをフィラメント又は繊維の渦中に導く工程と、繊維及び吸着剤粒子を不織布ウェブとしてスピンドル上に回収して多孔質物品を形成する工程と、多孔質物品を液体不浸透性ハウジング内に設置する工程とを含む。
【0051】
一実施形態では、方法は、第1の有効繊維直径を有する高分子繊維を備える第1の複数の層と、第2の有効繊維直径を有する高分子繊維を備える第2の複数の層とを形成する工程を含む。別の実施形態は、方法は、吸着剤粒子を第1の複数の層の中に第1の密度で設け、第2の複数の層の中に第2の密度で設ける工程を更に含むことを提示する。別の実施形態では、方法は、第1の吸着剤を有する第1の複数の層と、第2の吸着剤を有する第2の複数の層とを設ける工程を更に含む。更なる実施形態では、方法は、繊維のレオロジーを制御する工程を更に含む。
【0052】
「粒子配合されたメルトブローン媒体」又は「ウェブ」への言及には、開放的な構造で絡まった大量の繊維(例えば、マイクロファイバー)からなる濾過媒体が包含され、繊維間には捕捉された粒子が有り、粒子は、水から化学汚染物質、塩素、及び沈降物等の物質を減少させる又は除去するための吸着剤である。
【0053】
「捕捉される」という用語への言及とは、粒子がウェブの繊維中に分散されて物理的に保持されていることを表す。一般に、繊維及び粒子に沿って点接触及び線接触しているので、粒子のほぼ全ての表面積が流体とのやり取りに利用できる。
【0054】
「吸着密度勾配」への言及とは、フィルターを通り抜ける平方面積あたりの吸着物質の量が均一でなくてよいことと、フィルターの特定の範囲ではより多くの物質を供給し、他の範囲ではより少ない物質を提供するように変えることができることを表す。例えば、軸方向の吸着密度勾配とは、フィルターの中心部分に沿って、フィルターの一方の端部での平方面積あたりの吸着剤の量がもう一方の端部での量と異なり、また両端部間でも異なるが、中心部分からの径方向では変わらないことを表す。他方で、径方向の吸着密度勾配とは、フィルターの中心部分から離れるにつれて、コア範囲がフィルターの外側表面と比べて異なる量の吸着剤を有することを表す。密度の変動は、線形でなくてよいが、必要に応じて変化させることができる。例えば、密度は、一段階変化、多段階変化、正弦関数的に等で変化させることができる。
【0055】
「流体処理ユニット」又は「流体濾過システム」への言及には、濾過媒体を有するシステムと、未浄化の流体、例えば未処理の水を処理済みの流体から分離する方法と、が包含される。これには典型的に、フィルター要素用のフィルターハウジングと、処理済みの流体をフィルターハウジングから適した方法で離すための出口と、が包含される。
【0056】
粒子及び微粒子という用語は、実質上互換的に使用される。一般に、粒子は、小片又は個別の部分である。微粒子は、複数の粒子に関する又はそれらで形成されている。本発明の実施形態で使用される粒子は、バラバラのままであることができ、又は微粒子を形成するために凝集して、物理的に噛合って、静電的に結びついて、ないしは別の方法で結合していてもよい。特定の場合、凝集物は、米国特許第5,332,426号(タン(Tang)ら)に記載されているもののように、意図的に形成することができる。
【0057】
「カレンダー加工」への言及には、製品(例えば高分子吸着剤を配合したウェブ)をローラーに通して圧縮材料を得るプロセスが包含される。ローラーは所望により、加熱してよい。
【0058】
「ガーレー時間」という用語は、空気50ccが1.2kPa(124mm(4.88インチ)HO)の圧力で、約645mm(1平方インチ)の円形断面積を有するウェブ試料を通過するのに要する時間を指す。一貫した測定のために、約23〜24℃(74〜76°F)の温度及び相対湿度50%を保持する。「ガーレー」時間は、ニューヨーク州トロイ(Troy)のW.&L.E.ガーレー(W. & L. E. Gurley)から取引標記「モデル4110」透気度試験機として販売されている種類の透気度試験機で測定することができ、透気度試験機は、ガーレー−テレダイン(Gurley-Teledyne)感度計(型番4134/4135)を用いて較正及び操作される。ガーレー時間は、粒子配合されたウェブの空隙容量と反比例する。ガーレー時間は、粒子配合されたウェブの平均孔径とも反比例する。
【0059】
「メルトフローインデックス」又は「MFI」という用語はまた、MFR又はメルトフローレートとも様々に呼ばれ、試験法ASTM 1238で定義されている。ポリプロピレンポリマーは、ASTM 1238試験法の「方法B」改良版を用いて測定した。
【0060】
「メルトブローン法」という用語は、1つ以上の穴からなるダイを通じて熱可塑性ポリマーを押出すことによって微細繊維を製造する工程を指す。繊維がダイから出てくると、それらは、出てくる繊維とほぼ平行に又はそれとの接線で流れている気流によって細くなっていく。
【0061】
「空隙容量」という用語は、フィルターの重量と容量を測定し、次にそのフィルター重量を、理論重量である同じ容量の同一構成成分の材料の固体質量と比較することによって算出される割合を指す。
【0062】
「熱分解」という用語は、材料に対する熱の作用を指す。例えば、複合ブロック又は配合ウェブ中に形成された特定の吸着剤粒子は、焼結又はカレンダー加工等の処理中に物理的に不安定になり易い場合がある。ポリプロピレン等のポリマーに関して、ポリマーを熱のみによって又は機械的な作用とを組み合わせて処理する工程は、ポリマー鎖の切断、架橋、及び/又は化学変化を生じさせる可能性がある。
【0063】
「制御された分解」という用語には、制御可能な手段、例えば比熱及び/若しくは剪断力のインプット速度による、又はポリマー鎖を切断しかつポリマーの量に比例して分解反応で消費される薬剤を導入することによる、ポリマーの分子量低下及び分子量分布の狭窄が包含される。
【0064】
「多孔性」という用語は、材料中の空隙の量である。孔及び空隙の寸法、頻度、数、及び/又は相互接続性が、材料の多孔性に影響する。
【0065】
「制御されたレオロジー」という用語は、放射線、過酸化物又は他のフリーラジカル剤を使用して特定のポリオレフィン、例えばポリプロピレンのレオロジー特性(例えば、粘度及び分子量分布)を分解によって調節することと定義することができる。
【0066】
「高密度化」という用語は、フィルター巻き取り軸若しくはマンドレルの上に直接又は間接的に堆積した繊維を、堆積前若しくはその後で圧縮し、そして意図的であろうと若しくは形成中の又は形成されたフィルターを取り扱う一部のプロセスの人為的な影響としてであろうと、より多孔性の低い面積を広く又は局所的に形成するように製造するプロセスを指す。高密度化はまた、ウェブのカレンダー加工法を含む。
【0067】
粒子配合プロセス
粒子配合プロセスは、例えば、同一出願人の米国特許出願公開第2006/0096911号に開示されているように、標準的なメルトブロー繊維の形成法に付加されるプロセス工程であって、これを参照として本明細書に組み込む。ブロー成形されたマイクロファイバー(BMF)は、溶融ポリマーをダイに入れてそこから流し出すことによって作製され、この流れは、ダイ空洞内のダイの幅全体に広がっており、ポリマーは、一連のオリフィスを通じてダイからフィラメントとして押出される。一実施形態では、加熱された気流は、ダイ出口(チップ)を形成する一連のポリマーオリフィスと隣接している空気分流板及びエアナイフアセンブリを通過する。この加熱された気流は、温度と速度の両方を調節することで、ポリマーフィラメントを所望の繊維直径まで細くする(延伸する)ことができる。BMF繊維は、この乱流気流の中を、回転している表面に向かって運ばれ、表面で回収されるとウェブが形成される。
【0068】
例えば、活性炭粒子又はイオン交換樹脂ビーズからなる吸着剤粒子等の所望の粒子を粒子ホッパーに充填し、そこでそれらで重力測定的にフィードロール内の凹型の空洞を埋める。分割された調節領域を有する剛性の又は半剛性のドクターブレードによって、フィードロールに対向して制御された間隙を形成して、ホッパーからの流れを規制する。ドクターブレードは通常、フィードロールの表面と接触するように調節されて、微粒子の流れを、フィードロールの陥凹部内の容量までに制限する。その結果、供給量は、フィードロールの回転の速度を調節することによって制御できる。ブラシロールは、フィードロールの後方で作動して、残留微粒子を凹型の空洞から取り除く。微粒子を、圧縮空気又は他の加圧ガス供給源によって加圧可能なチャンバに入れる。このチャンバは、粒子を運びそして粒子とメルトブロー繊維とを混合させる気流を生み出すように設計されており、メルトブロー繊維は、気流によって細くされ、搬送されて、メルトブローン・ダイから出ていく。
【0069】
強制空気微粒子の流れの圧力を調節することによって、粒子の速度分布が変わる。極めて低い粒子速度を利用すると、粒子は、ダイ気流によって方向転換されて、繊維と混合されない場合がある。低い粒子速度では、粒子は、ウェブの上面でのみ捕捉される場合がある。粒子速度が増大するにつれて、粒子は、メルトブローン気流中で繊維と更に完全に混合し始め、回収されたウェブに均一な分布を形成できる。粒子速度が増大し続けると、粒子は、一部がメルトブローン気流を通過して、回収されたウェブの下部に捕捉される。更に高い粒子速度では、粒子は、回収されたウェブに捕捉されずに、メルトブローン気流を完全に通過する可能性がある。
【0070】
別の実施形態では、2つの一般的に垂直な、斜めに配置されたダイであって、一般に対向するフィラメントの流れをコレクターに向けて噴出するダイを用いることで、粒子が2つのフィラメント気流の間に挟まれる。その一方で、吸着剤粒子は、ホッパーを通過して第1シュートに入る。粒子は、フィラメントの流れに重力送りされる。粒子と繊維との混合物は、コレクターに到達し、粒子配合された自己支持性のある不織布ウェブを形成する。
【0071】
他の実施形態では、粒子は、振動フィーダー、排出装置、又は当業者に既知の他の技法を用いて提供される。
【0072】
多くの用途では、ウェブ全体にわたる実質的に均一な粒子分布が望ましい。不均一な分布が有利であり得る場合があってもよい。ウェブの深さ方向の勾配は、ディプスフィルトレーションのために利用可能な孔径分布に変化をもたらす場合がある。粒子を配合した表面を有するウェブは、フィルターに形成でき、そこで流路の前半で粒子に流体を暴露し、残りのウェブが、粒子の脱落を防ぐ支持体構造及び手段を提供する。流路はまた、メルトブローンウェブがプレフィルターとして機能して、一部の汚染物質を除去してから流体が粒子の活性な表面に到達することができるように、反転することも可能である。
【0073】
更なる実施形態では、コレクターは、形成用フィルターカートリッジを回転式シャフトから実質上連続的に押し引きするように設計されたある種のフィルターカートリッジ抽出装置を装備している巻き取り用マンドレル又は回転式片持ちシャフトのいずれかの上に、個別のフィルターを形成させるように稼動する、カートリッジ巻き取り機構を含むことができる。
【0074】
ポリマーのレオロジー制御
メルトブローン繊維に使用されるポリマーの制御されたレオロジーによって、ウェブが所望の特性を有するように調節できる。このことは、同一出願人による米国特許出願公開第2004/0245171号及び同第2007/0175819号(サイメル(Schimmel))で論じられており、これら公報の全てを参照として本明細書に組み込む。例えば、(例えば、ポリプロピレンの)粘度を調節することにより、ウェブの強度を増大できる。繊維間の結合度合いが高いことは、フィルターを、有用な形状、例えば溝付き円筒形に機械加工すると同時に、良好な流れ性能と高い空隙容量を保持することができるため、望ましい。
【0075】
ポリプロピレンに関して、低いMFI(高い分子量)を特徴とするポリプロピレン出発物質を制御分解することにより、粒子配合されたメルトブローンウェブの製造において使用するのに望ましい特性を有する変性ポリプロピレンがもたらされる。
【0076】
一実施形態では、ウェブは、制御分解を用いてポリプロピレンポリマーから製造することで、約30〜約1500(若しくは他の実施形態では75〜50、又は200〜500)のメルト・フローインデックスを示す材料を提供する。
【0077】
本開示の別の代表的な実施形態では、約35〜約350のメルト・フローインデックスを示すポリプロピレンポリマーを製造するために、制御分解は、酸素を利用して若しくは酸素を用いずに、放射線により、又は過酸化物等の1つ以上の様々な試薬が加熱したときに発生する遊離ラジカルの作用により、熱的に行われる。そのため、ポリプロピレンのレオロジー及び物理的性質の有利な改良は、ポリマーの制御分解によって実現される。
【0078】
図1を参照すると、多孔質物品10の断面が、図式的に示されている。物品10は、任意の所望の寸法の厚さTと長さと幅とを有する。物品10は、絡まった高分子繊維12と、ウェブの中に捕捉された吸着剤粒子14とを有する、不織布ウェブである。物品10内の小さな結合した孔(図1では特定せず)は、水又は他の流体を物品10の厚さ寸法にわたって通過させる(例えば、流す)ことができる。粒子14は、例えば、かかる流体中に存在する汚染物質及び微粒子を吸収する、吸着する、又は別の方法で変性することによって、通過する流体を変性させる。
【0079】
図2は、多孔質コア22上に配置された多孔質ウェブ化物品24を備えるフィルター要素を収容する、ハウジング20の断面図である。エンドキャップ26は、例えば、接着剤(図示せず)によってウェブ24に添着されている。ハウジング20への入口28は、流体、例えば水をウェブ24の方へ導いて、流体は、ウェブ中で捕捉された吸着剤粒子と接触し、処理される。処理された流体は、コア22で画定された通路27に入る。処理された流体はその後、出口29からハウジングを出る。
【0080】
図3は、入口38及び出口39を有するハウジング30の概略図を示している。このハウジングは、本発明が具体化しているフィルター要素に好適である。
【0081】
図4は、通路47を有するらせん状に巻き取られた多孔質ウェブ化物品44を備えるフィルター要素を収容する、壁41を有するハウジング40の断面図を示している。エンドキャップ46は、例えば、接着剤(図示せず)によってウェブ44に添着されている。流体、例えば水は、ウェブ44に入り、ウェブ中に捕捉された吸着剤粒子と接触し、処理される。処理された流体は、コア22で画定される通路47に入る。
【0082】
図5は、ウェブ化材料54の積層ディスクへ向かう入口58を有するハウジング50内に配置された、ディスクの断面図を示している。流体は、積層されたディスク54と接触して、処理された流体がリザーバ59に回収される。
【0083】
図6を参照すると、概略図には、直接形成された粒子配合された多孔質物品を製造するためのシステムの代表的な構成要素が提示されている。ベアリングを介して支持体(図示せず)上に従来方式で回転するように取り付けられた内側末端部124を有する回転式マンドレル122を備える、コレクターアセンブリ114が示されている。マンドレル122はまた、開口遠位端116と内側表面120と外周表面126とを有している。メルトブローン・ダイ112によって、粒子配合された不織布繊維110、110a、110b、110c、110d、及び110eが直接形成されたウェブ構造体を形成するためにコレクターアセンブリ114に向かって供給される。
【0084】
図7及び8には、粒子134を有する不織布ウェブ132の層138で形成された多孔質物品130の概略図と断面図とがそれぞれ示されている。処理しようとする流体を層138に入れて、処理された流体を通路136から流し出す。この実施形態では、物品全体の粒子密度は実質上均一である。図9には、粒子密度勾配の範例となる、別の多孔質物品の断面が提示されている。断面142では、単位面積あたりの粒子の数が面積144よりも多く、順繰りに、面積144の単位面積あたりの粒子の数は断面146よりも多い。
【0085】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において先に使用した分子量や反応条件等の成分の量や特性を表す全ての数値は、いかなる場合においても「約」という語で修飾されるているものと解されるべきである。したがって、そうでない旨の指示がない限り、以降の本明細書及び添付の特許請求の範囲において記載される数値パラメータは、本開示内容によって得ようとする望ましい特性に応じて変更可能な概算値である。最低限でも、また特許請求の範囲の範囲と同等物の原則の適用を制限しようとするものではないが、それぞれの数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮して、通常の数値のまるめ方を適用することによって解釈されるべきである。
【0086】
本開示内容の広範にわたって示されている数値的範囲及びパラメータは近似値であるが、具体例に記載の数値は、可能な限り正確に報告する。しかし、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値にみられる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本来有している。
【実施例】
【0087】
(実施例1)
一連のスクリーニング実験は、水浄化用途のための、粒子配合されたメルトブローンウェブの性能を明らかにするために行った。次の2種類の基本樹脂を用いた:商標名3960型(Type 3960)として販売されている350MFIのポリプロピレン(トータル・ペトロケミカルズ(Total Petrochemicals)から入手可能)、及び商標名ビスタマックス(Vistamaxx)2125として販売されている80MFIのメタロセン触媒化ポリプロピレン(エクソンモービル(ExxonMobil)から入手可能)。商標名NC506として販売されている、数種の粒子寸法等級のヤシ殻活性炭(パイカ(PICA)から入手可能)を評価した。商標名ニューカー・アクアガード(Nuchar Aquaguard)として販売されている木質炭素(ミード・ウェストバコ(Mead Westvaco)から入手可能)と、商標名ATC N60260として販売されている、ケイ酸チタンコーティングを有するヤシ殻炭素(カルゴン(Calgon)から入手可能)と、商標名YPC 100MDとして販売されているヤシ殻炭素(クラレ(Kuraray)から入手可能)と、商標名ダウェックス(Dowex)HCR−Sとして販売されているカチオン交換樹脂(ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能)とを用いた追加実施例のウェブも、特異的試験に含んだ。
【0088】
約25.4cm(10インチ)幅の配合ウェブのショートヤードのロールを次のような条件下で回収した。ポリマーは、25.4cm(10インチ)幅のドリル穴を有するダイ(DOD)から、ポリプロピレン系ウェブの場合は3.6kg/時(8ポンド/時)で及びメタロセン触媒化ポリプロピレン系ウェブの場合は3.0kg/時(6.5ポンド/時)で押出した。ダイからコレクターまでの距離は31.0cm(12インチ)であった。基本ウェブ(微粒子を配合していないもの)試料は、目標坪量で回収して、C.N.デイビス(Davies, C. N.)の「空気によって運ばれる埃と粒子との分離(The Separation of Airborne Dust and Particles)」、機械技術者協会(Institution of Mechanical Engineers)、ロンドン議事録(London Proceedings)1B、1952年に記載の方法に従って有効繊維直径(EFD)を評価した。空気の温度及び速度は、目標有効繊維直径が得られるように調節した。様々な試料についての融解温度を記録した。
【0089】
目標坪量と有効繊維直径を達成するように基本ウェブの条件を調節した後、微粒子を粒子ローダーホッパーに加えて、所望の配合量の吸着剤(炭素又はイオン交換樹脂)を提供するようにフィードロールの速度を調節した。粒子ローダーチャンバに向かう気圧は、3.4〜13.8kPa(それぞれ0.5〜2psig)の間に設定した。設定を調節して、ウェブ全体での均一な粒子分布を狙った。坪量は1平方メートルあたりのグラム数(gsm)で記した。基本ウェブとは、1平方メートルあたりのメルトブロー繊維ウェブ(非配合のもの)の重量を指す。配合ウェブとは、媒体粒子が配合されたメルトブロー繊維ウェブの、1平方メートルあたりの重量を指す。
【0090】
【表1】

【0091】
(実施例2)
実施例1から特定のウェブを選択して、性能に対するカレンダー加工の影響を評価した。平滑なクロムめっき鋼製ロール間に調節可能な間隙を有するカレンダーを用いた。試料におけるカレンダー圧は414kPa(60psi)であり、ロールの速度は1.5メートル/分(毎分5フィート)であった。ロールの直径は25.4cm(10インチ)であり、56cm(22インチ)幅のロール前面を有していた。それぞれのロールは、ステルコ(Sterlco)システムによる温度制御に使用されるオイルを充填すると、約272g(600ポンド)の重さがあった。ID 13cm(5インチ)のシリンダーを用いて、ニップ圧を加えた。
【0092】
粒子配合されたウェブに対する気圧低下を、カレンダー加工したウェブ及びそれと対応するインプットウェブ試料で測定した。気圧低下は、室温(約22℃)において1気圧(101kPa)の周囲気圧で、気流に対して5.3cm/秒の一定の前面速度を用いて測定した。
【0093】
【表2】

【0094】
ウェブは、評価条件下ではカレンダーロールに粘着しなかった。ウェブの幅全体及びことによると長さ全体が、特に高温で増大した。ウェブ密度は、非カレンダー加工のウェブと比べると改善された。ウェブの坪量には、カレンダー加工後の寸法変化を計上することが含まれる。
【0095】
(実施例3)
実施例1及び2のうちの一部の試料を、次のようにしてフィルターに取り付けた。それぞれの試料について、媒体100約グラムを有するフィルターを得るのに必要なウェブの長さは、20cm(8インチ)W×30.5cm(12インチ)のおよその寸法のウェブの一区分で得られた重量から計算した。OD 3.7cm(1.45インチ)及び長さ35.3cm(13.9インチ)のおよその寸法の剛性チューブからなるコアを入手した。チューブは、チューブ全体で約0.38cm(0.15インチ)平方の開口部を備えていた。媒体100グラムを提供するように計算された長さのウェブを、全幅−公称25cm(10インチ)の試料ロールから切断した。一般に、(配合量に応じて)長さ約3〜4フィート(91cm〜122cm)のウェブは、長さ20cm(8インチ)に切断すると、配合量約100グラムとなった。ウェブをチューブのODに接着した。ウェブを、チューブの周囲に好適な長さにわたって巻きつけた。ウェブの外側エッジを、ウェブの内側層と接着した。良好な配合が視認できる位置で、チューブの一方の末端部を切断した。もう一方の末端部は、長さ約20.3cm(8インチ)のフィルターが得られるように切断した。フィルターの末端部をエンドキャップで留めた。
【0096】
フィルターのODは平均6.9cm(2.7インチ)であった。ODの幅は、6.1cm〜7.3cm(2.41インチ〜2.88インチ)であった。このODは、平均媒体配合量106グラムとなり、99〜114グラムの範囲の幅があった。非カレンダー加工のウェブを用いたウェブ系フィルターの平均密度は、0.20g/活性化媒体ccであった。
【0097】
炭素配合ウェブをカレンダー加工するこによって、より緻密なフィルター構造がもたらされた。その結果、カレンダー加工されたウェブを用いると、フィルターに必要とされる材料の容積を減少させ、小さなフィルター寸法の利用が可能になる。カレンダー加工されたウェブを用いたフィルターの密度は、0.37g/cc〜0.50g/ccの範囲であった。カレンダー加工されたウェブの最高密度(試料4)は、0.45g/活性化媒体ccとなった。
【0098】
(実施例4)
試験
実施例3に従って形成された一部のフィルターを、初期フラッシュ濁度、絶対的な圧力低下、塩素減少、微粒子の減少、グラム寿命試験、及びガーレー値を含む性能試験に従って評価した。
【0099】
初期のフラッシュ濁度に関し、フィルターを上水道につないで、フィルターを通った最初の水を採取した。この方法は、規定条件下での試料による光散乱強度と、同条件下での標準対照による光散乱強度との比較に基づいている。散乱した光の量が多いほど、水中での濁度レベルが高いことを示す。データは、比濁法による濁度単位又はNTUで記した。<0.5NTUの値は、NSF/ANSI飲料水規格を満たす。最初の1リットルは、排水流から採取した。濁度を測定して記録した。次に、試料を2.8リットル/分(0.75gpm)で流して、3.8リットル(1ガロン)、19リットル(5ガロン)、及び38リットル(10ガロン)で追加試料を採取し、それぞれの試料点での濁度を測定した。データには、比較例1(活性炭媒体55%及びポリマー結合剤45%の配合を有する複合炭素ブロック)と、比較例2(粒状活性炭(GAC)で形成された炭素フィルター)とが含まれる。
【0100】
【表3】

【0101】
表3を参照すると、配合されたウェブでは、初期の0〜19L(0〜5ガロン)を流している間に炭素微粒子が剥がれた。より大きな炭素粒子を用いたウェブの捕捉の方が、より小さな粒子を用いたものに比べて良好であった。微粒子は、3.8〜19L(1〜5ガロン)の間で減少したと考えられた。剥がれた量は、(実施例15及び16を除いて、)80×325メッシュ寸法の粒子の場合でも、標準的なGAC軸流フィルターよりも少なかった。
【0102】
カレンダー加工は、初期のフラッシュ濁度を増大させなかった。更に、カレンダー加工は、特に80×325炭素の場合に初期濁度を低下させたと考えられる。
【0103】
絶対的な圧力低下については、システムの直前に目盛り付きの圧力計を用いて、フィルターを上水道につないだ。フィルターは、システムの出口で大気に開放された。上水は、流量を測定することができるロトメータを介して、0.9、1.9、2.8、3.8、7.6、11.4、15.1リットル/分(毎分0.25、0.50、0.75、1.0、2.0、3.0及び4.0ガロン)に相当する所望の流量で供給した。媒体を有する及び有さないシステムの圧力低下を、様々な流量で評価した。媒体を有さないシステムは、比較例3として分類する。
【0104】
【表4】

【0105】
表4を参照すると、全ての場合において、配合ウェブフィルターを有するシステムにおいて観察された圧力低下は、フィルターを装着している、装填していないシステム及び水溜めにおけるシステム圧力低下の41.4kPa(6psi)以内であった。ウェブフィルターから全体の圧力低下への寄与はほとんどなかった。この試験中、フィルターへの損傷の痕跡は観察されなかった。
【0106】
非カレンダー加工の試料17のウェブ媒体を、圧力低下試験を終えて保管していたフィルターから取り外した。操作型電子顕微鏡を用いて、高圧試験後に保持された粒子の寸法を測定した。このフィルターでは、60〜65マイクロメートル及びそれ以上の寸法を有する粒子が保持されていることが分かった。ウェブのカレンダー加工、微細な繊維直径の使用、若しくは格子の空隙を軽減するか又は粒子と繊維との間の接着若しくは結合を形成する他の技術によって、更に微細な粒径の保持が増強されるはずである。
【0107】
NSF/ANSI 42塩素減少試験では、3.024L/分(0.8ガロン/分)の流量において、2.0mg/L遊離塩素(FAC)の流入試験濃度を用い、特定のpH、濁度、合計有機炭素及び水の硬度とを有する水によってフィルターを精査した。塩素減少に関する要求を達成するために、フィルターは、最小50%の低下、又は排水中の遊離塩素最大1.0mg/Lを満たす必要がある。比較ブロックは「比較例4」とも称し、米国特許第7,112,272号(ヒューズ(Hughes)ら)に記載されているような、長さ16.2cm(6.395インチ)、OD3.8cm(1.5インチ)、ID 0.95cm(0.375インチ)の寸法を有しかつ60重量%の80×325パイカ(PICA)NC506炭素と40重量%のポリエチレン結合剤とを有する炭素ブロックであった。エンドキャップは、炭素ブロックの開口端に直接接着結合させた。減少率%を表5に記した。
【0108】
【表5】

【0109】
表5を参照すると、固定質量の媒体を用いてフィルター試料を調製したため、塩素減少試験では、カレンダー加工された試料と非カレンダー加工の試料との間で同様の結果が得られた。
【0110】
NSF/ANSI 42微粒子減少試験では、初期流量9.5L/分(約2.5ガロン/分)において、粒子約1,000,000個の流入試験濃度によって、クラスIII試験用のインライン粒子カウンターを用いてフィルターを精査した。NSF/ANSI 42標準によれば、システムは、特定のクラス評価を受けるために標準に従って試験した場合、試験粒径範囲内の粒子の数を少なくとも85%まで減少させる。システムの評価は、試験で測定したときに有効に除去された最小粒径と一致するものとする。より高い減少率に関する特許請求の範囲を作成するのあれば、試験で実証しなければならない。比較例4も同様に試験した。
【0111】
【表6】

【0112】
表6を参照すると、カレンダー加工した試料39及び40は、比較用の炭素ブロックと比べて改善された微粒子除去を示している。
【0113】
グラム寿命試験では、フィルターを、1リットル(ガロン)あたり試験粉塵1グラムの一定濃度のAC粗さ試験粉塵水溶液に暴露した。終点は、媒体に対する圧力低下が6.9kPa(20psi)変化するまでと決定した。画定した終点までにフィルターを通過したリットル(ガロン)数を記した。この試験粉塵を用いて測定した場合、グラム寿命が高いほど耐用年数が長いことを示す。比較例4も同様に試験した。
【0114】
【表7】

【0115】
表7を参照すると、非カレンダー加工の試料20及び24が、比較ブロックよりも2.5倍〜40倍程度高いグラム寿命結果を示した。
【0116】
ガーレー値試験では、米国特許第5,328,758号(マーケル(Markell))に記載されているようにして、ガーレー・モデル4110(Gurley Model 4110)透気度試験機を用い、空気50ccが124mm水柱圧で、約1平方インチ(645平方mm)の面積を有するウェブ試料を通過する時間を室温(約23℃)で測定した。表4に提示した試料は、表2に示した圧力低下範囲を示す。
【0117】
【表8】

【0118】
表8を参照すると、ガーレー値は、カレンダー加工したウェブ及び非カレンダー加工のウェブの両者を用いた様々なフィルターでは1秒未満であった。
【0119】
(実施例5)
実施例1の試料20(ヤシ系炭素を配合したウェブ)及び同26(カチオン交換を配合したウェブ)によるウェブを、次のようにしてフィルターに取り付けた。これらの試験試料は、配合ウェブ媒体の直径100mmのディスクを、ID 94mmの開口部を有するOD 100mmのプラスチックリングの内縁に沿って接着結合することによって作製した。ホットメルト接着剤の微細なビーズを、配合ウェブ媒体の直径100mmのディスクの周囲に加えた。100mmディスクもう一枚を、直前の層の上面に(接着剤を用いて)直接積層した。この層化を、炭素を配合したウェブを7層、次にイオン交換を配合したウェブの対象層、次いで炭素を配合したウェブを更に3層で繰り返した。もう1つのプラスチックリングを、この媒体積層体の上面に接着結合させた。配合ウェブを用いた積層フィルターは、表9に従って組み立てた。
【0120】
【表9】

【0121】
(実施例6)
試験
実施例5のフィルターについて、TTHMの減少及び重力貫流速度を評価した。
【0122】
NSF/ANSI 53 TTHM減少試験では、フィルターの全トリハロメタン又はTTHMの減少を、好適なNSF/ANSI一般試験水18.9リットル(5ガロン)をフィルターに流すことによって最初にフィルターをコンディショニングすることで評価した。フィルターは、クロロホルム流入試験水、450±90ppbを用いて重力流条件下で試験した。以下に記したデータは、ANSI 53標準に記載通りの注入装置条件(重力流)を利用して集めた。
【0123】
【表10】

【0124】
表10を参照すると、試料46及び47は、227リットル(60ガロン)及び265リットル(70ガロン)ではそれぞれ、許容されるクロロホルムの最大流出濃度80ppbに基づいてNSF 53 TTHM基準を満たしていた。TTHM除去に関するこれらの結果は、炭素基準の処理ガロン数/グラム数における重力濾過の改善を示している。比較例であるブリタ(Brita)OB01/OB03クラシック・スタイル・ピッチャー(Classic style pitcher)は、このテストでは、最小値303リットル(80ガロン)を満たすために約150グラムの活性媒体を必要とする。これは、活性媒体を68〜77グラムを有する試料46及び47とは対照的である。加えて、試料46及び47では、流量が、ブリタ(Brita)製品と比べて約4倍多かった。
【0125】
重力貫流速度では、溶液のそれぞれのリットル(ガロン)数が実施例5のフィルターを通過するのに要する時間増分を測定した。
【0126】
【表11】

【0127】
比較目的のために、ブリタ(Brita)OB01/OB03クラシック(Classic)は、1.9リットル(0.5ガロン)を通過させるのに通常15分を要すると報告されている。PURアルティメイト(PUR Ultimate)製のピッチャー・フィルターは、1.9〜2.3L(8〜10カップ)カラフを満たすために十分な水を濾過するのに約15分を要すると報告されている。
【0128】
(実施例7)
実施例1及び2の特定の試料を、次のようにしてフィルターに取り付けた。20.3cm×OD 2.9cm(8インチL×1.125インチ)×ID 1.8cm(0.7インチ)の寸法の炭素ブロックを、米国特許第7,112,272号(ヒュージ(Hughes)ら)に記載のプロセスを用いて作製した。ブロックの組成は、20%のアクアガード(Aquaguard)80×325活性炭と80%のポリエチレン結合剤であった。粒子配合されたウェブ材料を、得られた構造体のODが約7.6cm(3インチ)となるまで、炭素ブロックの周囲に巻いた。試験目的のために、20cm(8インチ)区分は最終長さ13cm(5インチ)に切断した。エンドキャップを、複合構造体の両端に接着結合させた。
【0129】
比較用製品は、「比較例5」と称し、70%の活性媒体と30%のポリマー結合剤を有している。エンドキャップを、炭素ブロックの両端に直接接着接合させた。
【0130】
(実施例8)
試験
実施例7に従って形成したフィルターについて、NSF/ANSI 42クロラミン減少試験に従ってクロラミンの減少を評価した。この標準による最大流出濃度は0.5ppmである。比較例5も同様に試験した。
【0131】
【表12】

【0132】
表12を参照すると、試料42及び43はカレンダー加工されたものであって、比較例5に比べて2倍超の量の試験液体をフィルターに通過させる一方で、クロラミンを0.5ppm未満に留めることができた。
【0133】
(実施例9)
直接形成された円筒形フィルターを、メルトブローンウェブから形成した。商標名ビスタマックス(Vistamaxx)2125として販売されているメタロセン触媒化ポリプロピレン(エクソンモービル(ExxonMobil)から入手可能)を、2.5cm(10インチ)幅のドリル穴を有するダイ(DOD)から2.9kg/時(6.5ポンド/時)で押出した。融解温度は、全ての試料に対して約265℃であった。ダイとコレクターとの距離は、30.5cm(12インチ)であった。基本ウェブ試料(微粒子を配合していないもの)を回収して、この条件を立証するために特性評価した。基本ウェブの坪量は53gsmであった。厚さは0.355mm(0.014インチ)であった。5.4kPa(0.55mm HO)の圧力低下は、室温(約22℃)において周囲気圧1気圧で、気流に対して5.3cm/秒の一定の前面速度を用いて測定した。これらの条件は、C.N.デイビス(Davies, C. N.)の「空気によって運ばれる埃と粒子との分離(The Separation of Airborne Dust and Particles)」、機械技術者協会(Institution of Mechanical Engineers)、ロンドン議事録(London Proceedings)1B、1952年に記載の方法によれば、有効繊維直径(EFD)19マイクロメートルに相当する。
【0134】
目標有効繊維直径を達成した後、微粒子を粒子ローダーホッパーに加えて、商標名パイカ(Pica)NC506として販売されているヤシ系活性炭60×140を約90重量%提供するようにフィードロール速度を調節した。粒子ローダーホッパーに向かう気圧を約17.2kPa(2.5psig)に設定して、ウェブ全体で均一な粒子分布をもたらした。
【0135】
条件を変更した後、粒子配合されたメルトブローン又はブロー成形されたマイクロファイバー(BMF)フィラメントを、OD 3.7cm(1.45インチ)及び長さ35.2cm(13.9インチ)のおよその寸法を有する剛性チューブの上に回収した。チューブは、チューブ全体にわたって約0.38cm(0.15インチ)平方の開口部を有した。このチューブをシャフトに取り付け、シャフトに沿ってスライドする2つのゴム栓で所定の位置に留めた。このシャフトを様々な速度のハンマードリルのチャックに取り付けて、このドリルを、最大設定850rpmで操作した。スペーサー対をコレクター表面から10cm(4インチ)延ばして、ダイからマンドレルまでの再現可能な距離を提供させた。マンドレルシャフトは、試料を回収しているときに、(チューブのいずれかの末端部で)これらスペーサーに対して僅かに抵抗することができた。チューブとシャフトは、十分な回転速度に到達させてから、粒子配合されたメルトブローン又はブロー成形されたマイクロファイバー(BMF)フィラメント気流へ入れた。回収時間を変えて、チューブ上に回収された粒子配合フィラメントの重量を調節した。コアの重量は、完全な長さの試料で37gであった。それぞれのコアの重量を回収前後で測定して、マンドレルと粒子配合されたフィラメントの気流との接触に関する変動を明らかにした。
【0136】
【表13】

【0137】
(実施例10)
試験
実施例9に従って形成された一部のフィルターを、初期フラッシュ濁度、圧力低下、及び塩素減少を含む性能試験に従って評価した。
【0138】
初期フラッシュ濁度について、試験は、実施例4に記載した通りに実行した。
【0139】
【表14】

【0140】
試料49、51、52及び54の初期フラッシュ濁度は、表3に示した比較例1のそれよりも大きかったが、表3の比較例2よりは小さかった。初期フラッシュ濁度は、シリンダーのODが増大するにつれて改善された。いずれの場合も、濁度は、0.5NTU未満のレベルまで低下した。
【0141】
絶対的な圧力低下に関し、試験は、実施例4に記載した通りに行った。配合していないシリンダーは「比較例6」である。
【0142】
【表15】

【0143】
これらフィルターの絶対的な圧力低下は低く、かかるフィルターは、家庭全体の濾過用途に好都合であろう。
【0144】
NSF/ANSI 42塩素減少試験に関し、試験は、実施例4に記載した通り行った。
【0145】
【表16】

【0146】
表16を参照すると、全ての試料が、標準が要求している最小減少率50%に基づく試験において、少なくとも8.7kL(2300ガロン)に対して、許容できる塩素濃度を除去した。処理された水のリットル(ガロン)数は、活性媒体量の質量と直接関連していた。試料57は、最も優れた性能を示し、30.2kL(8000ガロン)後でも流入目標の>90%の減少であった。このことは意外にも、用いられた炭素の粒径と、構造体の低い圧力低下とに起因している。
【0147】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、若しくは「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載した具体的な特徴、構造、材料、若しくは特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを表している。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」といった句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の好適な方法で1つ以上の実施形態に組み合わされてもよい。
【0148】
本明細書では本発明を特定の実施形態を参照して記載してきたが、これら実施形態は、本発明の原理及び用途を単に例証しているものと理解すべきである。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の方法及び装置に対して様々な修正及び変更が可能であることは、当業者には自明であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内である修正及び変更を包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブと該ウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する多孔質物品であり、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、
該多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、
該第1表面と流体的に連通している入口と、
該第2表面と流体的に連通している出口とを備える、フィルター要素。
【請求項2】
前記吸着剤粒子が、活性炭、珪藻土、イオン交換樹脂、金属イオン交換吸着剤、活性アルミナ、抗菌性化合物、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、ヨウ化樹脂、又はこれらの組合わせを有する、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項3】
前記ウェブのガーレー時間が、わずか2秒である、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項4】
周囲条件下で毎秒5.3cmの空気の一定の前面速度における圧力低下が、わずか150mm水柱である、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項5】
前記粒子が、わずか250μmの平均粒径を有する、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項6】
1ガロンあたり10分未満の平均充填速度を有する、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項7】
前記ウェブが、前記物品を形成するために巻き取られている、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項8】
前記物品が、互いに隣接する複数のウェブから形成されている、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項9】
第1ウェブが、第1吸着剤を含有し、第2ウェブが、第2吸着剤を含有する、請求項8に記載のフィルター要素。
【請求項10】
第1ウェブが、第1平均寸法の粒子を有し、第2ウェブが、第2平均寸法の粒子を有する、請求項8に記載のフィルター要素。
【請求項11】
前記ウェブが、コアを実質的に包囲している、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項12】
前記コアが、炭素ブロックを有する、請求項11に記載のフィルター要素。
【請求項13】
基本的なウェブの坪量が、1平方メートルあたり10〜1000グラムの範囲である、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項14】
前記ウェブが、0.20〜0.5g/ccの範囲の吸着剤粒子密度を有する、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項15】
前記高分子繊維が、ポリプロピレンを有する、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項16】
前記高分子繊維が、メタロセン触媒化ポリオレフィンを含む、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項17】
前記ポリプロピレンが、30〜1500の範囲のポリマー・メルトフローインデックスを有する、請求項13に記載のフィルター要素。
【請求項18】
前記ウェブが、カレンダー加工、加熱、又は加圧によって圧縮されている、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項19】
吸着剤粒子密度勾配を有する、請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項20】
流体供給源とフィルター要素とを備える流体濾過システムであって、該フィルター要素が、
自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブと該ウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する多孔質物品であり、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、
該多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、
該第1表面と流体的に連通している入口と、
該第2表面と流体的に連通している出口とを備える、システム。
【請求項21】
前記ウェブが、前記多孔質物品を形成するように巻かれている、請求項20に記載のフィルター要素。
【請求項22】
前記多孔質物品が、互いに隣接している複数のウェブから形成される、請求項20に記載のフィルター要素。
【請求項23】
前記ウェブが、炭素ブロックを実質的に包囲している、請求項20に記載のフィルター要素。
【請求項24】
ブロック複合体であり、該ブロック複合体の10〜90重量%の範囲の量の活性化媒体及び10〜90重量%の範囲の量の結合剤を有するブロック複合体と、
該炭素ブロック複合体を包囲するウェブであり、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維と、該ウェブの50〜97重量%の範囲の量で該ウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有するウェブとを備える、フィルター要素。
【請求項25】
互いに添着した複数のディスクを有するフィルター要素であって、該ディスクが、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維と、該繊維中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する、フィルター要素。
【請求項26】
第1の複数のディスクが活性炭の第1吸着剤粒子を有し、第2の複数のディスクがイオン交換樹脂の第2吸着剤粒子を有する、請求項25に記載のフィルター要素。
【請求項27】
流体の濾過方法であって、該方法が、フィルター要素を該流体と接触させる工程を含み、該フィルター要素が、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブと該ウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子とを有する多孔質物品であり、第1表面及び第2表面を有する多孔質物品と、該多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、該第1表面と流体的に連通している入口と、該第2表面と流体的に連通している出口とを備える、方法。
【請求項28】
フィルター要素の形成方法であって、
溶融ポリマーを複数のオリフィスから流し出してフィラメントを形成する工程と、
該フィラメントを繊維まで細くする工程と、
吸着剤粒子の流れを該フィラメント又は該繊維の渦中に導く工程と、
該繊維及び該吸着剤粒子を不織布ウェブとして回収して、多孔質物品を形成する工程と、
該多孔質物品を液体不浸透性ハウジング内に設置する工程とを含む、方法。
【請求項29】
カレンダー加工、加熱、又は加圧によって前記不織布ウェブを圧縮して、わずか2秒のガーレー時間を有する圧縮ウェブを形成する工程を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
互いに隣接している複数の前記不織布ウェブを添着して前記多孔質物品を形成する工程を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記不織布ウェブを巻き取ってから、前記不織布ウェブを前記ハウジング内に配置する工程を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記繊維のレオロジーを制御する工程を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
多孔質物品を形成するために巻き取られた複数の多孔質層であって、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブ及び該ウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子を有する多孔質層と、
該多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、
第1表面と流体的に連通している入口と、
第2表面と流体的に連通している出口とを備える、フィルター要素。
【請求項34】
前記複数の多孔質層が、互いに融合している、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項35】
前記複数の多孔質層が、分離した複合層である、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項36】
前記吸着剤粒子が、活性炭、珪藻土、イオン交換樹脂、金属イオン交換吸着剤、活性アルミナ、抗菌性化合物、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、ヨウ化樹脂、又はこれらの組合わせを有する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項37】
前記フィルター要素が、更に前記ウェブにより包囲されたコアを有する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項38】
前記ウェブが、0.20〜0.5g/ccの範囲の吸着剤粒子密度を有する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項39】
前記高分子繊維が、ポリプロピレンを有する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項40】
前記高分子繊維が、メタロセン触媒化ポリオレフィンを有する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項41】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンである、請求項40に記載のフィルター要素。
【請求項42】
前記ポリプロピレンが、30〜1500の範囲のポリマー・メルトフローインデックスを有する、請求項39に記載のフィルター要素。
【請求項43】
第1の複数の層が、第1の有効繊維直径を有する高分子繊維を備え、第2の複数の層が、第2の有効繊維直径を有する高分子繊維を備える、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項44】
前記高分子繊維が、有効繊維直径の混合物を有する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項45】
前記吸着剤粒子が、第1の複数の層の中には第1の密度で、第2の複数の層の中には第2の密度で存在する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項46】
第1の複数の層が第1の吸着剤を有し、第2の複数の層が第2の吸着剤を有する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項47】
第1の複数の層が、第1平均寸法を有する粒子を備え、第2の複数の層が、第2平均寸法を有する粒子を備える、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項48】
軸方向の吸着剤密度勾配を有する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項49】
径方向の吸着剤密度勾配を有する、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項50】
吸着剤粒子を実質的に有さない自己支持性のある不織布高分子繊維の第2ウェブの複数の層を更に含む、請求項33に記載のフィルター要素。
【請求項51】
多孔質物品を形成するために巻き取られた第1の複数の多孔質層であり、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維の第1ウェブ及び該第1ウェブ中に捕捉された複数の炭素粒子を有する多孔質層と、
該多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、
該第1表面と流体的に連通している入口と、
該第2表面と流体的に連通している出口とを備える、フィルター要素。
【請求項52】
前記孔質物品が更に、第2の複数の多孔質層を有し、該多孔質層が、自己支持性のある不織布ポリプロピレン繊維の第2ウェブと、該第2ウェブ中に捕捉されたイオン交換樹脂とを有する、請求項51に記載のフィルター要素。
【請求項53】
流体の濾過方法であって、該方法が、フィルター要素を流体と接触させる工程を含み、多孔質物品を形成するように巻き取られた複数の多孔質層であり、自己支持性のある不織布高分子繊維のウェブ及び該ウェブ中に捕捉された複数の吸着剤粒子を有する多孔質層と、該多孔質物品を包囲する液体不浸透性ハウジングと、第1表面と流体的に連通している入口と、第2表面と流体的に連通している出口とを備える、方法。
【請求項54】
フィルター要素の形成方法であって、
溶融ポリマーを複数のオリフィスから流し出してフィラメントを形成する工程と、
該フィラメントを繊維まで細くする工程と、
吸着剤粒子の流れを該フィラメント又は該繊維の渦中に導く工程と、
該繊維及び該吸着剤粒子を不織布ウェブとしてスピンドル上に回収して多孔質物品を形成する工程と、
該多孔質物品を液体不浸透性ハウジング内に設置する工程とを含む、方法。
【請求項55】
第1の有効繊維直径を有する高分子繊維を備える第1の複数の層と、第2の有効繊維直径を有する高分子繊維を備える第2の複数の層とを形成する工程を更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記吸着剤粒子を、第1の複数の層の中に第1の密度で設け、第2の複数の層の中に第2の密度で設ける工程を更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
第1の吸着剤を有する第1の複数の層と、第2の吸着剤を有する第2の複数の層とを設ける工程を更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記繊維のレオロジーを制御する工程を更に含む、請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−535621(P2010−535621A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520275(P2010−520275)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/072320
【国際公開番号】WO2009/021028
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】