説明

液体窒素供給装置

【課題】真空断熱された気液分離器を不要とすることで構成が単純化し製作コストを節減することができ、過度な窒素ガスの無駄な消費を防止することができる超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置を提供する。
【解決手段】本発明による超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置は、高温高圧の液体窒素が減圧装置150へ流動するように延設された液体窒素供給ライン110と、液体窒素供給ライン100から分岐された迂回管140、及び迂回管140上に設置され、液体窒素を窒素ガスとして蒸発させる膨張部130とを含み、膨張部130は、減圧装置150に流入される前の液体窒素供給ライン110の液体窒素から熱を吸収することができるように配列される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体窒素供給装置に係り、より詳しくは、超伝導ケーブルの減圧装置に使用される液体窒素を供給する液体窒素供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導現象とは、極低温状態で導体を流れる電気的抵抗がゼロとなる特性のことをいい、超伝導ケーブルは、かかる特性を実現するために製作された電力ケーブルである。このような超伝導現象を実現するために液体窒素を使用し、導体は、液体窒素の極低温によって超伝導体の特性を持つ。
【0003】
このように液体窒素は超伝導ケーブルに沿って超伝導体と接触した状態で充填されるが、液体窒素で過度な圧力が発生する場合、該圧力を減少させる減圧装置を設置する必要がある。
【0004】
図1は、従来技術による超伝導ケーブルの液体窒素を減圧装置に送る概念図である。
【0005】
図1に示されるように、液体窒素を真空状態の減圧装置に供給するために、液体窒素タンク(図示せず)から減圧装置へと延びている液体窒素供給ライン1が設置され、上記液体窒素供給ライン1には、高温高圧の液体窒素を貯蔵する気液分離器3が設置される。液体窒素供給ライン1に沿って流動した液体窒素は気液分離器3に貯蔵され、気液分離器3内で生成された気体窒素は大気中に排気され、該液体窒素は大気圧状態で保持されてから減圧装置5に流動される。
【0006】
一方、気液分離器3の後方には弁7が液体窒素供給ライン1に設置され、該弁7の作動によって、大気圧状態の液体窒素の減圧装置5への供給または遮断が行われる。
【0007】
このように構成された従来の超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置は、大気圧状態の液体窒素を供給するために別途の気液分離器3を設置する必要があるため、構造的に複雑となり設置コストが高くつくという短所がある。上記気液分離器3は、真空断熱タンクであって高価である。
【0008】
また、気液分離器3に液体窒素を充填する過程の間に多量の気体窒素が発生し、これを大気中に排出することで、メンテナンスに係るコストが増大するようになる短所がある。
【0009】
さらには、減圧装置5に流入される液体窒素の量は圧力差に比例するが、液体窒素の量を増大させるためには、減圧装置5よりも気液分離器3を高く設置するか、または、気液分離器3に設置され内部の窒素ガスを大気中に排出する排気ライン9に弁を設置して気液分離器3内部の圧力を上げる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第10−0590200号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、真空断熱された気液分離器を不要とすることで構成が単純化し製作コストを節減することができ、過度な窒素ガスの無駄な消費を防止することができる、超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明の実施形態による減圧装置用の液体窒素供給装置は、高温高圧の液体窒素が減圧装置に流動するように延設された液体窒素供給ラインと、上記液体窒素供給ラインから分岐された迂回管、及び上記迂回管上に設置され、上記液体窒素を窒素ガスとして蒸発させる膨張部とを含む。ここで、上記膨張部は、上記減圧装置に流入される前の上記液体窒素供給ラインの液体窒素から熱を吸収することができるように配列される。
【0013】
また、上記液体窒素供給ラインは、上記膨張部を貫通するか、または隣接して配列してよい。
【0014】
また、上記液体窒素供給ラインには、上記液体窒素供給ラインを開閉する第1の弁を更に設置してよい。
【0015】
また、上記迂回管には、該迂回管を開閉する第2の弁を更に設置してよい。
【0016】
また、上記膨張部には、排気管が延設されてよい。
【0017】
また、上記第1の弁と上記第2の弁とは連動して開閉できるように構成されてよい。
【0018】
また、上記窒素ガスは大気圧状態であればよい。
【発明の効果】
【0019】
以上で説明したように、本発明による超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置は、高温高圧の液体窒素供給ラインと直接連結可能であるため、別途の気液分離器を不要とする。気液分離器の場合に、平常時には所定量の液体窒素を充填しておく必要があり、この気液分離器に充填された液体窒素は外部の熱によって蒸発し、かかる蒸発によって液体窒素の無駄な消費が増大するようになる。しかし、本発明による減圧装置用の液体窒素供給装置では、減圧時にのみ液体窒素を蒸発させて排出するため、液体窒素の無駄な消費を減らすことができるという長所がある。
【0020】
また、本発明による超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置では、弁の前端までの圧力が高圧にて保持されることで、従来のように圧力差による設置上の制限がない。
【0021】
また、本発明による超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置では、迂回管に別途の弁を装着した場合に、膨張部を予め冷却させておくことによって減圧装置の駆動が迅速に行われ得るという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来技術による超伝導ケーブルの減圧装置を示す概念図である。
【図2】本発明の一実施形態による超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置を示す概念図である。
【図3】本発明の他の実施形態による超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置の実施形態について、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態による超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置を示す概念図であり、図3は、本発明の他の実施形態による超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置を示す概念図である。
【0025】
図2に示されたように、超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置100は、液体窒素タンク(図示せず)から流入された高温高圧の液体窒素を減圧装置150に流動させる液体窒素供給ライン110、及び該液体窒素供給ライン110から分岐された冷媒循環ライン120を含む。上記液体窒素供給ライン110には膨張部130が設置され、上記液体窒素供給ライン110は、上記膨張部130を貫通して配設される。上記液体窒素供給ライン110から分岐されて上記膨張部130に連結される迂回管140が設置される。上記液体窒素供給ライン110上には第1の弁111が設置されて液体窒素供給ライン110を開閉し、迂回管140上には第2の弁142が設置されて迂回管140を開閉する。
【0026】
以下、上記のように構成された超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置について具体的に説明する。
【0027】
液体窒素供給ライン110は、液体窒素タンクから液体窒素が流入されてから減圧装置150に流動できるように減圧装置150にまで延設される。そして、液体窒素供給ライン110の途中には第1の弁111が装着され、第1の弁111の前方には迂回管140が液体窒素供給ライン110から分岐される。また、迂回管140の前方において冷媒循環ライン120が液体窒素供給ライン110から分岐される。冷媒循環ライン120は、液体窒素供給ライン110に流入された液体窒素が超伝導ケーブルに供給され循環するように構成されたものである。
【0028】
一方、第1の弁111の後方側の液体窒素供給ライン110には、膨張部130が貫通して延びている。ここで、上記迂回管140は膨張部130へ延びていき、迂回管140には第2の弁142が装着される。
【0029】
したがって、平常時には第1の弁111と第2の弁142が液体窒素供給ライン110と迂回管140をそれぞれ閉鎖しているため、液体窒素供給ライン110に流入された液体窒素が冷媒循環ライン120を通って超伝導ケーブルに排出されて循環する。しかし、減圧を必要とする際には、第2の弁142を開放することで液体窒素供給ライン110に位置している液体窒素を迂回管140を通って膨張部130に流動させる。膨張部130に流入された10bar以下の液体窒素は膨張して大気圧の窒素ガスに気化しながら蒸発熱を吸収するようになる。
【0030】
このとき、第1の弁111を開放することで高温高圧の液体窒素が膨張部130を通っていくようにする。すると、膨張部130において液体窒素が窒素ガスとして蒸発しながら、液体窒素供給ライン110に沿って膨張部130を通っていく液体窒素の熱を奪い、膨張部130を通っていった液体窒素は減温された状態で減圧装置150に流入される。
【0031】
一方、膨張部130において蒸発した窒素ガスは、膨張部130に装着された排気管131を通って大気中に排出される。上記液体窒素供給ライン110は、膨張部130を貫通して配設されていてよいが、上記膨張部130に隣接して配設されていてもよい。
【0032】
前述した超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置100では、迂回管140と液体窒素供給ライン110にそれぞれ第1及び第2の弁111、142が装着され、別個に作動できる構造について説明したが、弁の構造はこれに限定されず、各種に変形することができる。
【0033】
すなわち、通常、液体窒素供給ライン110を開放する時点と迂回管140を開放する時点とには大きな差がないため、図3に示されたように、液体窒素供給ライン110と迂回管140とを連動して開閉する弁を装着することもできる。
【0034】
上記では、作動流体として液体窒素について説明したが、本発明はこれに限定されず、冷媒として利用できるあらゆる作動流体を使用してもよい。
【0035】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付した図面の範囲中で種々に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することはいうまでもない。
上記液体窒素供給ライン1には、高温高圧の液体窒素を貯蔵する気液分離器3が設置される。液体窒素供給ライン1に沿って流動した液体窒素は気液分離器3に貯蔵され、気液分離器3内で生成された気体窒素は大気中に排気され、該液体窒素は大気圧状態で保持されてから減圧装置5に流動される。
【0036】
一方、気液分離器3の後方には弁7が液体窒素供給ライン1に設置され、該弁7の作動によって、大気圧状態の液体窒素の減圧装置5への供給または遮断が行われる。
【0037】
このように構成された従来の超伝導ケーブルの減圧装置用の液体窒素供給装置は、大気圧状態の液体窒素を供給するために別途の気液分離器3を設置する必要があるため、構造的に複雑となり設置コストが高くつくという短所がある。上記気液分離器3は、真空断熱タンクであって高価である。
【0038】
また、気液分離器3に液体窒素を充填する過程の間に多量の気体窒素が発生し、これを大気中に排出することで、メンテナンスに係るコストが増大するようになる短所がある。
【0039】
さらには、減圧装置5に流入される液体窒素の量は圧力差に比例するが、液体窒素の量を増大させるためには、減圧装置5よりも気液分離器3を高く設置するか、または、気液分離器3に設置され内部の窒素ガスを大気中に排出する排気ライン9に弁を設置して気液分離器3内部の圧力を上げる必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の減圧装置用の液体窒素供給装置は、高温高圧の液体窒素供給ラインと直接連結可能であるため、別途の気液分離器を不要とし、減圧時にのみ液体窒素を蒸発させて排出するため、液体窒素の無駄な消費を減らすことが可能な液体窒素供給装置として有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 供給ライン
3 液分離器
5 減圧装置
7 弁
9 排気ライン
100 液体窒素供給装置
110 液体窒素供給ライン
111 第1の弁
120 冷媒循環ライン
130 膨張部
131 排気管
140 迂回管
142 第2の弁
150 減圧装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温高圧の液体窒素が減圧装置へ流動するように延設された液体窒素供給ラインと、
前記液体窒素供給ラインから分岐された迂回管、及び
前記迂回管上に設置され、前記液体窒素を窒素ガスとして蒸発させる膨張部とを含み、
前記膨張部は、前記減圧装置に流入される前の前記液体窒素供給ラインの液体窒素から熱を吸収することができるように配列されることを特徴とする減圧装置用の液体窒素供給装置。
【請求項2】
前記液体窒素供給ラインが前記膨張部を貫通することを特徴とする請求項1に記載の減圧装置用の液体窒素供給装置。
【請求項3】
前記液体窒素供給ラインには、前記液体窒素供給ラインを開閉する第1の弁が更に設置され、
前記迂回管には、該迂回管を開閉する第2の弁が更に設置されることを特徴とする請求項1に記載の減圧装置用の液体窒素供給装置。
【請求項4】
前記膨張部には、排気管が延設されたことを特徴とする請求項1に記載の減圧装置用の液体窒素供給装置。
【請求項5】
前記第1の弁と前記第2の弁とは連動して開閉されることを特徴とする請求項3に記載の減圧装置用の液体窒素供給装置。
【請求項6】
前記窒素ガスは大気圧状態であることを特徴とする請求項1に記載の減圧装置用の液体窒素供給装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−185570(P2010−185570A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250196(P2009−250196)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(505297002)エルエス ケーブル リミテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】LS Cable Ltd.
【住所又は居所原語表記】19−20F ASEM Tower 159 Samsung−dong, Gangnam−gu, Seoul 135−090 Republic of Korea
【Fターム(参考)】