説明

液体紙容器の底折り込み装置

【課題】液体紙容器の底部の折り込み線に折り込み癖をつけることが可能な液体紙容器の底折り込み装置を提供する。
【解決手段】液体紙容器20の底部の第3パネル23側および第1・5パネル21側にそれぞれ臨ませて配置され、折り込み線に折り込み癖を付ける第3パネル23側の折り込み羽根1と、第1・5パネル21側の折り込み羽根1とから構成されている可動式羽根構造の液体紙容器の底折り込み装置において、底部のそれぞれの羽根1、2のパネル面側に4隅のマンドレルコーナー部M1とそれぞれの羽根1、2に挟まれた容器20の底部の4隅のコーナー部Cにダメージを与えない所定の幅と長さと深さとを有する溝4が形成されている液体紙容器の底折り込み装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清酒やジュースなどを収納する切り妻屋根型の液体紙容器の底折り込み工程において、その折り込み時間が短時間でも、確実に折り込み線に折り込み癖をつけることが可能な液体紙容器の底折り込み装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、切り妻屋根型などの液体紙容器は、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料を用いているのが一般的である。例えば、表面側から、熱可塑性樹脂層であるポリエチレン層(30μm)と、紙基材層(晒クラフト紙310g/m2)と、ポリエチレン層(25μm)と、アルミニウム箔層(9μm)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム層(12μm)と、ポリエチレン層(60μm)とを適宜に順次積層した積層材料により構成されている。
【0003】
この液体紙容器のアルミニウム箔層については、清酒やジュースなどの内容物が空気中の酸素や内容物の香気成分などを遮断するガスバリア層として積層したものである。最近では、アルミニウム箔の廃棄処理問題などから、アルミニウム箔の代替品として無機酸化物である酸化珪素や酸化アルミニウムなどをポリエチレンテレフタレートフィルムに真空蒸着した蒸着フィルムが用いられることが多くなってきている。
【0004】
このような、紙基材層の表面に熱可塑性樹脂層を積層した積層材料で作製した切り妻屋根型などの液体紙容器の製函、充填工程において、特に、底成形を行なうためには、少なくとも、オーブンによる加熱工程、仮折り込み(折り込み癖つけ)工程、プレス工程等の各種の工程を経る必要がある。
【0005】
そこで、液体紙容器の底部の密封方法の一例を示すならば、図5(a)は、液体紙容器の底部の部分展開図を示すもので、液体紙容器(200)の底部(B1)を形成する第1パネル(210)と、第2パネル(220)と、第3パネル(230)と、第4パネル(240)と、第5パネル(糊代片)(250)と、各パネル上端部に密封する部分(260)とを設け、第2パネル(220)と第4パネル(240)には、逆Y字状の仮折り込み用の折り込み線(280、280)が設けられ、前記逆Y字状の折り込み線(280、280)の支点同士を結ぶ折り込み線(290)が形成されている。
【0006】
さらに、前記底部(B1)を形成する第1パネル(210)と、第2パネル(220)と、第3パネル(230)と、第4パネル(240)と、第5パネル(糊代片)(250)とがそれぞれ折り込み線(d1、e1、f1、g1、h1)を介して、容器(200)の胴部(A1)を形成する第1パネル(210)と、第2パネル(220)と、第3パネル(230)と、第4パネル(240)と、第5パネル(糊代片)(250)とに連設されている。
【0007】
まず、液体紙容器の製函、充填工程において、図示はしないが、第1パネル(210)と第5パネル(糊代片)(250)とを貼着し、仮折り込みされた底部と頂部(図示せず)が開口した角筒状の液体紙容器(200)とする。次に、この液体紙容器(200)の底部の密封する部分(260)に内外面より熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、図5(b)に示すように、各パネル上端部の密封する部分(260)を接合し、折り込み、密封する。さらに図5(c)に示すように、この上方から押圧すると共に、第2パネル(220)と第4パネル(240)の折り込み線(280、280)に沿って折り込みシールし、液体紙容器の底部(B1)を密封することができる。
【0008】
ところで、実際の容器(200)は納入時に折り畳んだ状態(スリーブ)となるためにマンドレル(M2)に入った状態でも菱形になろうとする癖を有しているために折り込み線通りに上手く折り込めないといった問題を有しており、図6に示すように、ボトムシール成形される容器(200)に形状歪みやシールズレによるはみ出し部(X)が生じる不都合があった。
【0009】
このような扁平形状から立体形状にスリーブを立ち起こして成形する際に扁平折り癖の発生を除去する方法として、例えば、1枚ずつ順次供給される角筒状液体紙容器の扁平に折り畳まれた四角筒体の角筒対角線方向に互いに離反する鋭角状の二角隅部のみを保持しながら、その二角隅部を角筒状液体紙容器の対角線長さ未満の距離まで接近させて逆折り扁平形状の四角筒体に変形させて四角筒体の扁平折り癖を除去する折り癖除去工程と、該折り癖除去工程後に対角線長さ相当距離まで離反させて立体形状の四角筒体に立ち起こす方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
あるいは、カートンマガジン部に扁平形状の四角筒体を加温・加熱する加温・加熱手段を備え、順次供給される扁平な四角筒体の角筒対角線方向に互いに離反する鋭角状の二角隅部を少なくとも紙容器の角筒対角線長さまで接近させて四角筒体を立体形状に立ち起こし供給する方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
前記の提案は、従来のように充填機の能力が低く、時間をかけて折り込み線に癖付けを行なう場合は、それなりに有効であったが、その底折り込み工程において、近年充填機の能力向上に伴い短時間に確実に折り込み線に癖付けを行なうことが困難になってきている。そこで高速機については、図3に示すように、第3パネル(230)側の折り込み羽根(1a)と第1・5パネル(210、250)側の折り込み羽根(2a)とから構成されている可動式羽根構造の底折り込み装置(S1)を用いて対応しているのが現状である。
【0012】
具体的には、図4に示すように、確実な折り込みを実現するためにマンドレル(M2)に挿入された容器(200)の折り込み支点(3a、3a)に各折り込み羽根(1a、2a)を近づけている。しかしながら、その弊害として、液体紙容器(200)の低部(B1)の四隅のコーナー部(C1)にダメージを与えるという問題を有している。
【0013】
また、前述のように、実際の容器(200)は納入時に折り畳んだ状態(スリーブ)となるためにマンドレル(M2)に入った状態でも菱形になろうとする癖を有しているために、特に、第3パネル(230)側の折り込み線(290)を上手く折り込めないといった問題を有しており、図6に示すように、ボトムシール成形される容器(200)に形状歪みやシールズレによるはみ出し部(X)が生じる不都合がある。
【0014】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平11−91727号公報
【特許文献2】特開平11−91726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、清酒やジュースなどを収納する切り妻屋根型などの液体紙容器の底折り込み工程において、その折り込み時間が短時間でも、確実に折り込み線に折り込み癖をつけることが可能な液体紙容器の底折り込み装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の請求項1に係る発明は、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる切り妻屋根型などの液体紙容器(20)の底部(B)の第3パネル(23)側および第1・5パネル(21、25)側にそれぞれ臨ませて配置され、該底部(B)の折り込み線に折り込み癖を付ける前記第3パネル(23)側の折り込み羽根(1)と、前記第1・5パネル(21、25)側の折り込み羽根(2)とから構成されている可動式羽根構造の液体紙容器の底折り込み装置において、前記底部(B)の第3パネル(23)側の折り込み羽根(1)、および第1・5パネル(21、25)側の折り込み羽根(2)のパネル面側に4隅のマンドレルコーナー部(M1)とそれぞれの折り込み羽根(1、2)に挟まれた容器(20)の底部(B)の4隅のコーナー部(C)にダメージを与えない所定の幅と長さと深さとを有する溝(4)が形成されていることを特徴とする液体紙容器の底折り込み装置である。
【0017】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の液体紙容器の底折り込み装置において、前記第3パネル(23)側の折り込み羽根(1)の形状がマンドレル(M)に挿入された液体紙容器(20)の菱形形状によって形成される折り込み線(29)の位置関係に即した斜め形状とすることを特徴とする液体紙容器の底折り込み装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る液体紙容器の底折り込み装置は、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる切り妻屋根型などの液体紙容器の底部の第3パネル側および第1・5パネル側にそれぞれ臨ませて配置され、該底部の折り込み線に折り込み癖を付ける前記第3パネル側の折り込み羽根と、前記第1・5パネル側の折り込み羽根とから構成されている可動式羽根構造の液体紙容器の底折り込み装置において、前記底部の第3パネル側の折り込み羽根、および第1・5パネル側の折り込み羽根のパネル面側に4隅のマンドレルコーナー部とそれぞれの羽根に挟まれた容器の底部の4隅のコーナー部にダメージを与えない所定の幅と長さと深さとを有する溝が形成されていることにより、清酒やジュースなどを収納する切り妻屋根型の液体紙容器の底折り込み工程において、その折り込み時間が短時間でも、確実に折り込み線に折り込み癖をつけることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図2に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明に係る液体紙容器の底折り込み装置の1実施例を説明する説明図であり、図2(a)は本発明に係る液体紙容器の底部を示す部分展開図であり、(b)は本発明に係る液体紙容器の底部を密封する直前の状態を示す部分斜視図であり、(c)は本発明に係る液体紙容器の密封された底部の状態を示す部分斜視図である。
【0021】
本発明に係る液体紙容器の底折り込み装置は、図1に示すように、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる切り妻屋根型などの液体紙容器(20)の底部(B)の第3パネル(23)側および第1パネル(21)、第5パネル(25)側にそれぞれ臨ませて配置され、折り込み線に折り込み癖を付ける底部(B)の第3パネル(23)側の折り込み羽根(1)と、第1・5パネル(21、25)側の折り込み羽根(2)とから構成されている可動式羽根構造の液体紙容器の底折り込み装置において、前記底部(B)の第3パネル(23)側の折り込み羽根(1)、および第1・5パネル(21、25)側の折り込み羽根(2)のパネル面側に4隅のマンドレルコーナー部(M1)とそれぞれの羽根(1、2)に挟まれた容器(20)の底部(B)の4隅のコーナー部(C)にダメージを与えない所定の幅と長さと深さとを有する溝(4)が形成されていることを特徴とする液体紙容器の底折り込み装置である
このように底部(B)の第3パネル(23)側の折り込み羽根(1)、および第1・5パネル(21、25)側の折り込み羽根(2)の該パネル面側に4隅のマンドレルコーナ
ー部(M1)とそれぞれの折り込み羽根(1、2)に挟まれた容器(20)の底部(B)の4隅のコーナー部(C)にダメージを与えない所定の幅と長さと深さとを有する溝(4)を形成することにより、前記それぞれの折り込み羽根(1、2)を容器(20)の折り込み支点(3、3)により近づけて効率的に折り込み線に折り込み癖を付けることができるようになる。
【0022】
さらに、従来は、実際の容器(20)は納入時に折り畳んだ状態(スリーブ)となるためにマンドレル(M)に入った状態でも菱形になろうとする癖を有しているために、特に第3パネル(23)側の折り込み線(29)を上手く折り込めないといった問題を有し、ボトムシール成形される容器(20)に形状歪みやシールズレによるはみ出し部が生じる不都合があったが、前記第3パネル(23)側の折り込み羽根(1)の形状をマンドレル(M)に挿入された液体紙容器(20)の菱形形状によって形成される折り込み線(29)の位置関係に即した斜め形状とすることにより、その折り込み時間が短時間でも、確実に折り込み線に折り込み癖をつけることが可能となる。
【0023】
ところで、本発明に係る液体紙容器の構造、製造方法および材料構成について詳細に説明する。
【0024】
図2(a)は、液体紙容器(20)の底部(B)の部分展開図を示すもので、液体紙容器(20)の底部(B)を形成する第1パネル(21)と、第2パネル(22)と、第3パネル(23)と、第4パネル(24)と、第5パネル(糊代片)(25)と、各パネル上端部に密封する部分(26)とを設け、第2パネル(22)と第4パネル(24)には、逆Y字状の仮折り込み用の折り込み線(28、28)が設けられ、前記逆Y字状の折り込み線(28、28)の支点同士を結ぶ折り込み線(29)が形成されている。
【0025】
さらに、前記底部(B)を形成する第1パネル(21)と、第2パネル(22)と、第3パネル(23)と、第4パネル(24)と、第5パネル(糊代片)(25)とがそれぞれ折り込み線(d、e、f、g、h)を介して、容器(20)の胴部(A)を形成する第1パネル(21)と、第2パネル(22)と、第3パネル(23)と、第4パネル(24)と、第5パネル(糊代片)(25)とに連設されている。
【0026】
このような、紙基材層の表面に熱可塑性樹脂層を積層した積層材料で作製した切り妻屋根型などの液体紙容器の製函、充填工程において、特に、底成形を行なうためには、少なくとも、オーブンによる加熱工程、仮折り込み(折り込み癖つけ)工程、プレス工程等の各種の工程を経る必要がある。
【0027】
まず、液体紙容器の製函、充填工程において、図示はしないが、第1パネル(21)と第5パネル(糊代片)(25)とを貼着し、仮折り込みされた底部(B)と頂部(図示せず)が開口した角筒状の液体紙容器(20)とする。次に、この液体紙容器(20)の底部(B)の密封する部分(26)に内外面より熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、図2(b)に示すように、密封する部分(26)を接合し、折り込み、密封する。さらに図2(c)に示すように、この上方から熱押圧すると共に、第2パネル(22)と第4パネル(24)の折り込み線(28、28)に沿って折り込みシールし、液体紙容器(20)の底部(B)を密封することができる。
【0028】
液体紙容器(20)の底部(B)を密封する方法としては、スリーブ形状の液体紙容器(20)を充填包装機上で液体紙容器加熱用ヒーターノズル(図示せず)により、底部(B)の密封する部分(26)の内面近傍に熱風を吹き付けて、表面の低密度ポリエチレン樹脂を溶かし、折り込み線(28、28)に沿って内側方向に折り込み、密封する部分(26)を接合し密封するのが一般的である。
【0029】
尚、高速充填機などで加熱・加圧時間が十分に取れない場合は、接着する部分の外側面にも熱風を吹きつけて両面から加熱を行う方法が取られるが、低速充填機などで加熱・加圧時間が十分に取れる場合は、内面側に熱風を吹きつけるだけでも外面側の表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、接合し、密封することができるので内面だけの片面加熱方法でも構わない。
【0030】
次に、材料構成としては、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料を使用する。例えば表面側から、熱可塑性樹脂層であるポリエチレン層(30μm)と紙基材層(晒クラフト紙310g/m2)とポリエチレン層(25μm)とアルミニウム箔層(9μm)とポリエチレンテレフタレートフィルム層(12μm)とポリエチレン層(60μm)とを適宜に積層した積層材料などが用いられる。この液体紙容器のアルミニウム箔層については、清酒やジュースなどの内容物が空気中の酸素や内容物の香気成分などを遮断する、ガスバリア層として積層したものである。最近では、アルミニウム箔の廃棄処理問題などから、アルミニウム箔の代替品として無機酸化物である酸化珪素や酸化アルミニウムなどをポリエチレンテレフタレートフィルムに真空蒸着した蒸着フィルムが用いられる。
【0031】
尚、本発明に係る液体紙容器の材料構成の中で、紙基材としては、化学パルプなどを主原料とするパルプから抄造した坪量が230〜450g/m2程度の範囲内の板紙を選択して使用することが好ましい。
【0032】
また、最外層の熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂としては、熱によって溶融し、ヒートシール性を有する樹脂ならば特に制約されないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、その他などの樹脂を使用することができる。
【0033】
そして、これら熱可塑性樹脂の中でも、作業性、経済性などの面から、低密度ポリエチレンを使用することが適当で、紙基材層上にエクストルージョンラミネーション法(溶融押出しラミネーション法)などにより行なう。その際の厚さは、15〜50μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【0034】
次に、ガスバリア層を形成するアルミニウム箔の代替に用いられる無機酸化物の薄膜としては、基本的に金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜であれば使用可能であり、例えば、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、錫(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)などの金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を使用することができる。
【0035】
そして、これら金属の中でも、包装材料に使用する場合は、珪素(Si)、アルミニウム(Al)が好ましく、これら金属の酸化物である、酸化珪素、酸化アルミニウムを真空蒸着法などにより、薄膜化することが適当である。その際の膜厚は、10〜80nm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【0036】
また、前記無機酸化物の薄膜を形成するための支持体となる樹脂フィルムは、強度的に強く、耐熱性が高く、化学的に優れていれば、特に制約されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他などの各種のフィルムを使用することができるが、透明性、強度などの物性面、コストなどの経済性などを考慮するとポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂からなるフィルムが好ましい。その際の該樹脂フィルムの厚さは、10〜40μm程度の範囲内で任意に選択して使用することが好ましい。
【0037】
さらに、最内層のシーラント層および紙基材層とガスバリア層とを接着する中間層を形成する熱可塑性樹脂は、前記最外層に使用する樹脂と同様に該熱可塑性樹脂が使用される。
【0038】
例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他などの樹脂を使用することができる。
【0039】
そして、これら熱可塑性樹脂の中でも、作業性、経済性などの面から、低密度ポリエチレンを使用することが好ましく、エクストルージョンラミネーション法(溶融押出しラミネーション法)などにより行なう。この際の該中間層の厚さは、15〜30μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。また、該最内層の厚さは、30〜100μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0041】
<実施例1>
本発明に係る液体紙容器(20)の材料構成としては、最外層面側から、低密度ポリエチレン樹脂(30μm)/晒クラフト紙(310g/m2)/低密度ポリエチレン樹脂(25μm)/アルミニウム箔(9μm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤/低密度ポリエチレン樹脂フィルム(60μm)からなる積層材料を用いた。次に、図2(a)に示すように、液体紙容器(20)の底部(B)は、第1パネル(21)と、第2パネル(22)と、第3パネル(23)と、第4パネル(24)と、第5パネル(糊代片)(25)と、各パネル上端部に密封する部分(26)とを設け、第2パネル(22)と第4パネル(24)には、逆Y字状の仮折り込み用の折り込み線(28、28)を設け、前記逆Y字状の折り込み線(28、28)の支点同士を結ぶ折り込み線(29)が形成されている構造のブランクを作製し、該ブランクをフレームシーラー(特殊なサック貼機)により、第1パネル(21)の側端部と糊代部(25)とを貼り合わせて、スリーブ形状の液体紙容器(20)を作製した。
【0042】
次に、このような、表面に低密度ポリエチレン樹脂を積層した積層材料で作製した切り妻屋根型の液体紙容器専用の充填包装機に供給し、成形、充填工程において、図1に示すように、仮折りされた頂部(図示せず)と底部が開口した角筒状の液体紙容器(20)に成形し、図1に示すように、液体紙容器(20)の底部(B)の第3パネル(23)側の折り込み羽根(1)、および第1・5パネル(21、25)側の折り込み羽根(2)のパネル面側に4隅のマンドレルコーナー部(M1)とそれぞれの折り込み羽根(1、2)に挟まれた容器(20)の底部(B)の4隅のコーナー部(C)にダメージを与えない所定の幅と長さと深さとを有する溝(4)が形成されている可動式羽根構造の液体紙容器の底折り込み装置を前記第3パネル(23)側および前記第1・5パネル(21、25)側にそれぞれ臨ませて配置し、図2(b)に示すように、液体紙容器(20)の底部(B)の第3パネル(23)側と第1・5パネル(21、25)側を折り曲げて、図2(c)に示すように、液体紙容器(20)の底部(B)を密封した。
【0043】
<実施例2>
実施例1において、液体紙容器(20)の材料構成が、最外層面側から、低密度ポリエチレン樹脂(30μm)/晒クラフト紙(310g/m2)/低密度ポリエチレン樹脂(25μm)/酸化珪素蒸着膜(30nm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤/低密度ポリエチレン樹脂フィルム(60μm)からなる積層材料を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2の液体紙容器(20)の頂部を形成した。
【0044】
<実施例3>
実施例1において、液体紙容器(20)の材料構成が、最外層面側から、低密度ポリエチレン樹脂(30μm)/晒クラフト紙(310g/m2)/低密度ポリエチレン樹脂(25μm)/酸化珪素蒸着膜(30nm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤/低密度ポリエチレン樹脂フィルム(60μm)からなる積層材料を用いた以外は実施例1と同様にして実施例3の液体紙容器(20)の頂部を形成した。
【0045】
<評価>
実施例1〜3により得られた液体紙容器(20)の底部(B)のシールの安定性を評価したところ、いずれにおいても、容器(20)の底部(B)の4隅のコーナー部(C)にダメージが発生しなかった。また、その折り込み時間が短時間でも、確実に折り込み線に折り込み癖をつけることが可能となり、ボトムシール成形された容器(20)に形状歪みやシールズレによるはみ出し部が生じることはなかった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る液体紙容器の底折り込み装置の1実施例を説明する説明図である。
【図2】(a)は本発明に係る液体紙容器の底部を示す部分展開図であり、(b)は本発明に係る液体紙容器の底部を密封する直前の状態を示す部分斜視図であり、(c)は本発明に係る液体紙容器の密封された底部の状態を示す部分斜視図である。
【図3】従来の液体紙容器の底折り込み装置の1実施例を説明する説明図である。
【図4】従来の液体紙容器の底折り込み装置の1実施例を説明する説明図である。
【図5】(a)は従来の液体紙容器の底部を示す部分展開図であり、(b)は従来の液体紙容器の底部を密封する直前の状態を示す部分斜視図であり、(c)は従来の液体紙容器の密封された底部の状態を示す部分斜視図である。
【図6】従来の液体紙容器の底折り込み装置により成形した底部の状態の1実施例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1、1a・・・第3パネル側の折り込み羽根
2、2a・・・第1・5パネル側の折り込み羽根
3、3a・・・折り込み支点
4・・・溝
20、200・・・液体紙容器
21、210・・・第1パネル
22、220・・・第2パネル
23、230・・・第3パネル
24、240・・・第4パネル
25、250・・・第5パネル(糊代片)
26、260・・・密封する部分
28、280・・・折り込み線
29、290・・・折り込み線
A、A1・・・胴部
B、B1・・・底部
C、C1・・・コーナー部
M、M2・・・マンドレル
M1・・・マンドレルコーナー部
S、S1・・・底折り込み装置
d、e、f、g、h・・・折り込み線
d1、e1、f1、g1、h1・・・折り込み線
X・・・はみ出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる切り妻屋根型などの液体紙容器の底部の第3パネル側および第1・5パネル側にそれぞれ臨ませて配置され、該底部の折り込み線に折り込み癖を付ける前記第3パネル側の折り込み羽根と、前記第1・5パネル側の折り込み羽根とから構成されている可動式羽根構造の液体紙容器の底折り込み装置において、前記底部の第3パネル側の折り込み羽根、および第1・5パネル側の折り込み羽根のパネル面側に4隅のマンドレルコーナー部とそれぞれの折り込み羽根に挟まれた容器の底部の4隅のコーナー部にダメージを与えない所定の幅と長さと深さとを有する溝が形成されていることを特徴とする液体紙容器の底折り込み装置。
【請求項2】
前記第3パネル側の折り込み羽根の形状がマンドレルに挿入された液体紙容器の菱形形状によって形成される折り込み線の位置関係に即した斜め形状とすることを特徴とする請求項1記載の液体紙容器の底折り込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−23320(P2009−23320A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191800(P2007−191800)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】