説明

液圧ユニット支持構造

【課題】本発明は、好ましくない振動を抑制するとともに、液圧ユニットの車体への支持箇所を減らすことのできる液圧ユニット支持構造を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の面にモータ7が取付けられ、制動部へ供給されるブレーキ液の液圧を制御してアンチロックブレーキ制御を行う液圧ユニット10を、モータサイクルの車体に取付けるための液圧ユニット支持構造40において、前記液圧ユニット10の前記第1の面に略垂直に形成された第2の面を支持する第1支持部42と、前記液圧ユニット10の前記第1の面及び前記第2の面の各々と略垂直に形成された第3の面を支持する第2支持部43と、前記第1支持部42及び前記第2支持部43が設けられるブラケット41とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチロックブレーキ制御を行う液圧ユニットをモータサイクルの車体に取付けるための液圧ユニット支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制動部へ供給されるブレーキ液の液圧を液圧回路で制御して、アンチロックブレーキ制御を行う液圧ユニットをモータサイクルの車体に取付けるための液圧ユニット支持構造が知られている。この種の液圧ユニット支持構造では、液圧ユニットを支持するために3箇所以上のねじ等による支持部を設けることによって、液圧ユニットを車体へ取付けている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−370635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車体への取付スペースは限定される傾向にあり、特にモータサイクル車両は、液圧ユニットの取付スペースが非常に少ない場合が多い。このため、上述した従来の構成では、取付作業を行うためのスペースの確保が困難なため、出来る限り車体への支持個所を減らすことが望ましい。
【0005】
また、例えば、液圧ユニットの下面側を1点支持により支持する液圧ユニット支持構造の場合には、モータ駆動やブレーキ回路の液圧変化に伴って液圧ユニットが振動し、重心の位置で揺れることによって片持振動等の好ましくない振動が発生してしまう。このため、これらの振動に起因するABS(アンチロックブレーキシステム)機能の低下が懸念される。
【0006】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、好ましくない振動を抑制するとともに、液圧ユニットの車体への支持箇所を減らすことのできる液圧ユニット支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の面にモータが取付けられ、制動部へ供給されるブレーキ液の液圧を制御してアンチロックブレーキ制御を行う液圧ユニットを、モータサイクルの車体に取付けるための液圧ユニット支持構造において、前記液圧ユニットの前記第1の面に略垂直に形成された第2の面を支持する第1支持部と、前記液圧ユニットの前記第1の面及び前記第2の面の各々と略垂直に形成された第3の面を支持する第2支持部と、前記第1支持部及び前記第2支持部が設けられるブラケットとを備えたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記第1支持部は、前記液圧ユニットが取付けられたときに、当該液圧ユニットの重心を通る線と前記第2の面とが略垂直になる位置で前記液圧ユニットを支持してもよい。前記ブラケットは、前記第1支持部が設けられる第1板部と前記第2支持部が設けられる第2板部とが略直角に屈曲した板形状に形成されてもよい。前記第2支持部は、前記第3の面の平面部分を支持してもよい。前記第1支持部及び前記第2支持部は、振動吸収部材を介して前記液圧ユニットを支持してもよい。前記第1支持部は、振動吸収部材を介して前記液圧ユニットを支持し、前記第2支持部は、振動吸収部材を介さずに直接前記液圧ユニットを支持してもよい。前記第2支持部は、前記第3の面に押し当てられて前記液圧ユニットを支持してもよい。前記第1支持部と前記第2支持部とは、前記モータの回転軸の軸心に対して略垂直な方向にボルトが前記液圧ユニットにねじ込まれてねじ止めされていてもよい。前記ブラケットは、前記液圧ユニットが取付けられたときに、前記第1板部が前記液圧ユニットの前記第1の面側で前記モータから離れる側に屈曲して形成された第3板部が設けられ、当該第3板部を介して前記車体に取付けられてもよい。前記第2の面は、前記液圧ユニットの下面であってもよい。前記第3の面は、前記液圧ユニットの側面であってもよい。
【0009】
これらの構成によれば、好ましくない振動を抑制するとともに、ブレーキ液圧制御装置10の車体への支持箇所を減らすことができる。また、液圧ユニット支持構造40は、2箇所だけでブレーキ液圧制御装置10を支持するため、支持部として用いる部品点数を減らして部品費用を削減することができる。さらに、液圧ユニット支持構造40は、車体への取付け作業時間を削減することができ、小型化により車体における作業スペースの確保が容易である。またさらに、液圧ユニット支持構造40は、ブラケット41の小型、軽量化が可能であり、車両全体の重量の低減及びこれに伴い車両の燃費を向上させることができる。
【0010】
また、この場合において、前記液圧ユニットを前記車体に取付けたときに、前記第1支持部は、前記液圧ユニットの重心の直下近傍で前記液圧ユニットを支持してもよい。前記液圧ユニットを前記車体に取付けたときに、前記第2支持部は、前記液圧ユニットの重心を通る水平線上近傍で前記液圧ユニットを支持してもよい。
【0011】
これらの構成によれば、液圧ユニット支持構造40は、片持振動等の好ましくない振動をさらに抑制あるいは防止させることができる。
さらに、この場合において、前記ブラケットは、長孔形状の孔部が形成され、前記振動吸収部材は、弾性部材で形成されて前記孔部に嵌め込まれていてもよい。
【0012】
この構成によれば、液圧ユニット支持構造340は、マウントラバー44、45を第1及び第2孔部141d、141eに挿入するのに要する力を低減して組込性を改善させることができ、作業者による組込作業の作業性向上、作業時間の低減ができるとともに、マウントラバー44、45を組み込むための特別な冶具が不用になる。
【0013】
さらにまた、前記孔部は、前記モータの回転軸の軸心に略平行な方向の内径が、前記モータの回転軸の軸心に略垂直な方向の内径よりも小さく形成されていてもよい。前記孔部は、前記モータの回転軸の軸心に略平行な方向の内径が、前記振動吸収部材の前記孔部に嵌るくびれ部の外径と略同じに形成されていてもよい。前記振動吸収部材は、前記孔部に取付けられたときに前記ブラケットの非液圧ユニット側で広がるフランジ部を有し、前記孔部は、内周の長さが、前記フランジ部の外周の長さと略同じに形成されていてもよい。
【0014】
これらの構成によれば、第1孔部141dを長孔形状に形成しても、振動や衝撃による液圧制御装置10の振幅を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、好ましくない振動を抑制するとともに、液圧ユニットの車体への支持箇所を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るブレーキ用油圧回路を示す回路図である。
【図2】ブレーキ液圧制御装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】液圧ユニット支持構造にブレーキ液圧制御装置が取付けられた状態を斜め下方から見た様子を示す斜視図である。
【図4】液圧ユニット支持構造及びブレーキ液圧制御装置を斜め方向から見た状態を示す分解斜視図である。
【図5】第1支持部を示す断面図である。
【図6】第2実施形態に係る液圧ユニット支持構造にブレーキ液圧制御装置が取付けられた状態を示す斜視図である。
【図7】液圧ユニット支持構造及びブレーキ液圧制御装置を斜め方向から見た状態を示す分解斜視図である。
【図8】第2支持部を示す断面図である。
【図9】第3実施形態に係る液圧ユニット支持構造にブレーキ液圧制御装置が取付けられた状態を示す斜視図である。
【図10】第3実施形態に係る液圧ユニット支持構造及びブレーキ液圧制御装置を斜め方向から見た状態を示す分解斜視図である。
【図11】第2支持部を示す断面図である。
【図12】図12(a)は、第4実施形態に係るブラケットを示す斜視図であり、図12(b)は、第1孔部を示す模式図である。
【図13】マウントラバーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態に係るブレーキ用油圧回路を示す回路図である。なお、上記及び下記説明において上方及び下方とは、それぞれ、車両上方及び車両下方を指すものとする。
【0018】
図1に示すブレーキ用油圧回路100は、例えば、自動二輪車両に搭載されるものであり、周知のアンチロックブレーキ制御用の油圧回路に適用されている。ここで、アンチロックブレーキ制御(いわゆるABS制御)とは、例えば、車両制動時において、ブレーキ液圧を断続的に減少させて、車輪のロック状態を抑制するような制御を指す。なお、アンチロックブレーキ制御の作動原理、及び基本的な制御手法等については、当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
【0019】
ブレーキ用油圧回路100は、前輪に対する制動力を発生させるための前輪用ディスクブレーキ装置(制動部)111の前輪用マスタシリンダ(Front M/C)101、前輪用リザーバタンク102及び前輪用ホイールシリンダ(Front W/C)103と、後輪に対する制動力を発生させるための後輪用ディスクブレーキ装置(制動部)116の後輪用マスタシリンダ(Rear M/C)104、後輪用リザーバタンク105及び後輪用ホイールシリンダ(Rear W/C)106と、ブレーキ液圧制御装置(液圧ユニット)10とを備えている。
【0020】
ブレーキ液圧制御装置10は、前輪用及び後輪用マスタシリンダ101、104と、前輪用及び後輪用ホイールシリンダ103、106との間に設けられている。また、ブレーキ液圧制御装置10は、前輪用マスタシリンダ101から前輪用ホイールシリンダ103へ供給されるブレーキ液の圧力を制御して、及び/又は、後輪用マスタシリンダ104から後輪用ホイールシリンダ106へ供給されるブレーキ液の圧力を制御して、上述のアンチロックブレーキ制御を行う。
【0021】
前輪用マスタシリンダ101には、第1配管107を介して前輪用リザーバタンク102が接続されている。また、前輪用マスタシリンダ101には、第2配管108、ブレーキ液圧制御装置10及び第3配管109を介して、前輪用ホイールシリンダ103が接続されている。
【0022】
前輪用マスタシリンダ101は、例えば、車両のハンドルレバー110により駆動されると、ブレーキ液圧制御装置10を介して、前輪用ホイールシリンダ103に対するブレーキ液圧を発生させる。また、前輪用ホイールシリンダ103は、供給されるブレーキ液圧に応じて前輪用ディスクブレーキ装置111を駆動し、前輪を制動させる。
【0023】
後輪用マスタシリンダ104には、第4配管112を介して後輪用リザーバタンク105が接続されている。また、後輪用マスタシリンダ104には、第5配管113、ブレーキ液制御装置10及び第6配管114を介して、後輪用ホイールシリンダ106が接続されている。
【0024】
後輪用マスタシリンダ104は、例えば、車両のフットペダル115により駆動されると、ブレーキ液圧制御装置10を介して、後輪用ホイールシリンダ106に対するブレーキ液圧を発生させる。また、後輪用ホイールシリンダ106は、供給されるブレーキ液圧に応じて後輪用ディスクブレーキ装置116を駆動し、後輪を制動させる。
【0025】
次に、本実施形態に係るブレーキ液圧制御装置10について、詳細に説明する。
ブレーキ液圧制御装置10は、前輪用EV電磁弁1、前輪用AV電磁弁2、後輪用EV電磁弁3、後輪用AV電磁弁4、前輪用ポンプ5、後輪用ポンプ6、モータ7および電子制御ユニットであるECU8(図2参照)を有している。
【0026】
前輪用EV及びAV電磁弁1、2と、後輪用EV及びAV電磁弁3、4とは、例えば、周知の2位置型電磁弁である。また、通常状態、すなわちアンチロックブレーキ制御が行われていない状態において、前輪用EV電磁弁1及び後輪用EV電磁弁3は、開状態となり、前輪用AV電磁弁2及び後輪用AV電磁弁4は、閉状態となる。また、前輪用ポンプ5及び後輪用ポンプ6は、モータ7により駆動される構成となっている。各電磁弁1、2、3、4及びモータ7は、ECU8に接続されており、このECU8からの制御信号に基づいて、駆動制御される。
【0027】
ブレーキ液圧制御装置10は、前輪用マスタシリンダ101から前輪用ホイールシリンダ103へ供給されるブレーキ液が流動するための前輪用流路11と、後輪用マスタシリンダ104から後輪用ホイールシリンダ106へ供給されるブレーキ液が流動するための後輪用流路21とを含んでいる。
【0028】
前輪用流路11において、第1流路11aの一端側が、第2配管108に接続されており、第1流路11aの他端側が前輪用EV電磁弁1に接続されている。第2流路11bの一端側が前輪用EV電磁弁1に接続されており、第2流路11bの他端側が第3配管109に接続されている。第1流路11aには第3流路11cの一端側が接続されており、第3流路11cの他端側が前輪用ポンプ5の吐出側に接続されている。第4流路11dの一端側が前輪用ポンプ5の吸引側に接続されており、第4流路11dの他端側が前輪用AV電磁弁2に接続されている。前輪用ポンプ5は、第4流路11d側から第3流路11c側へ、すなわち、前輪用ホイールシリンダ103側から前輪用マスタシリンダ101側へ、ブレーキ液を流動させる。第4流路11dには、ブレーキ液の圧力を減圧するアキュムレータ9が接続されている。第2流路11bには第5流路11eの一端側が接続されており、第5流路11eの他端が前輪用AV電磁弁2に接続されている。第2流路11bには、前輪用ホイールシリンダ103へ供給されるブレーキ液の圧力を検出するための圧力センサ13が設けられている。
【0029】
一方、後輪用流路21において、上述した前輪用流路11と略同様に、第1流路21aの一端側が第2配管113に接続されており、第1流路21aの他端側が後輪用EV電磁弁3に接続されている。第2流路21bの一端側が後輪用EV電磁弁3に接続されており、第2流路21bの他端側が第3配管114に接続されている。第1流路21aには、第3流路21cの一端が接続されており、第3流路21cの他端が後輪用ポンプ6の吐出側に接続されている。第4流路21dの一端側が後輪用ポンプ6の吸引側に接続されており、第4流路21dの他端側が後輪用AV電磁弁4に接続されている。後輪用ポンプ6は、第4流路21d側から第3流路21c側へ、すなわち、後輪用ホイールシリンダ106側から後輪用マスタシリンダ104側へ、ブレーキ液を流動させる。第4流路21dには、ブレーキ液の圧力を減圧するアキュムレータ12が接続されている。第2流路21bには、第5流路21eの一端が接続されており、第5流路21eの他端が後輪用AV電磁弁4に接続されている。
【0030】
なお、前輪用及び後輪用EV電磁弁1、3には、チェック弁がそれぞれ併設されており、前輪用及び後輪用ポンプ5、6の吐出側には、絞り弁がそれぞれ設けられている。また、前輪用及び後輪用EV電磁弁1、3の前後と、前輪用及び後輪用ポンプ5、6の前と、前輪用及び後輪用AV電磁弁2、4の前とには、図示せぬフィルタが1つずつ設けられている。
【0031】
図2は、ブレーキ液圧制御装置の構成を示す分解斜視図である。
ブレーキ液圧制御装置10は、ハウジング30と、第1乃至第4切替弁本体1a、2a、3a、4aと、ブレーキ液圧を検出する圧力センサ13と、ブレーキ液を加圧する一対のピストン5a、5bと、第1乃至第4切替弁本体1a、2a、3a、4aを駆動制御するECU8と、ピストン5a、5bを駆動するモータ7と、ブレーキ液圧を減圧する一対のアキュムレータ9、12とを備えている。
【0032】
ハウジング30は、例えば、アルミニウム等の金属からなり、略直方体形状のブロックに形成されている。また、ハウジング30は、ECU取付面30a、側面(第3の面)30b、側面30c、ECU取付面30aの裏面側に形成されたモータ取付面(第1の面)30d(図4参照)、下面(第2の面)30e、及び上面30fを有している。ECU取付面30a及びモータ取付面30dは、略正方形状に形成されている。
【0033】
また、ハウジング30の内部には、上述の前輪用流路11と後輪用流路21とからなる流路が形成されている。また、第1乃至上面30a〜30fには、それぞれ前輪用及び後輪用流路11、21に連通する複数の取付穴31a〜31pが形成されている。各取付穴31a〜31d内には、第1乃至第4切替弁本体1a、2a、3a、4aが挿入され、取付けられている。
【0034】
ECU8は、コイルユニット8aと、ECUハウジング8bと、コイルユニット8aを駆動制御するための電子基板(PCB)8cと、この電子基板8cを覆うECUカバー8dとを有している。ECU8は、ECU取付面30aを覆うようにして取付けられている。なお、ECUハウジング8bの一方側(例えば、ハウジング30の側面30c側)には、電子基板8cに接続するためのコネクタ8eが設けられている。また、電子基板8cには、主として、マイクロコンピュータが構成されている。
【0035】
コイルユニット8aは、第1乃至第4切替弁本体1a、2a、3a、4aを駆動するための4つのコイルを内蔵している。各コイルは、第1乃至第4切替弁本体1a、2a、3a、4aに対応する位置に配設されている。第1乃至第4切替弁本体1a、2a、3a、4aの各々の一端は、対応するコイルの内部に挿入され、各コイルにより駆動制御される。例えば、ECU8は、対応するコイルを励磁させることで、第1乃至第4切替弁本体1a、2a、3a、4aを図中X1方向又は図中X2方向へ駆動制御することができる。これにより、第1乃至第4切替弁本体1a、2a、3a、4aは、コイルユニット8aにより駆動制御され、前輪用流路11及び後輪用流路21を、連通状態あるいは遮断状態に切り替えられるようになっている。
【0036】
ECU8は、例えば、車輪速センサ(不図示)により検出された前輪及び後輪の回転速度と、圧力センサ13により検出されたブレーキ液の圧力とに基づいて、第1乃至第4切替弁本体1a、2a、3a、4aを駆動制御することで、アンチロックブレーキ制御を行うことができる。
【0037】
なお、上記前輪用EV電磁弁1(図1参照)は、第1切替弁本体1aとコイルユニット8aとから構成されており、上記前輪用AV電磁弁2(図1参照)は、第2切替弁本体2aとコイルユニット8aとから構成されている。また、上記後輪用EV電磁弁3(図1参照)は、第3切替弁本体3aとコイルユニット8aとから構成されており、上記後輪用AV電磁弁4(図1参照)は、第4切替弁本体4aとコイルユニット8aとから構成されている。
【0038】
圧力センサ13は、例えば、前輪用マスタシリンダ103(図1参照)へ供給されるブレーキ液の圧力を検出している。圧力センサ13の一端側は、第1乃至4切替弁本体1a、2a、3a、4aの取付穴31a〜31dの略中心に形成された取付穴31jに挿入されている。また、圧力センサ13の他端側の接続部13aは、ECU8の電子基板8cに接続されている。なお、上記取付穴31a〜31dの中心は、ECU取付面30aの中心と略一致している。換言すれば、第1乃至4切替弁本体1a、2a、3a、4aの取付穴31a〜31dは、ECU取付面30a上において、例えば、略正方形状をなし、その対角線の交点が上記中心と一致している。
【0039】
上述の如く、圧力センサ13がハウジング30のECU取付面30aの略中心に配設され、このECU取付面30aに対してECU8が取付けられ、圧力センサ13の接続部13aとECU8とが接続されている。これにより、圧力センサ13とECU8とが良好に接続される。
【0040】
一対のピストン5a、5bは、側面30b、30cに形成された取付穴31e、31f内にそれぞれ挿入されており、ハウジング30の中心方向へ移動可能である。また、各ピストン5a、5bは、中心方向へ往復動することで、ブレーキ液を加圧するようになっている。
【0041】
モータ7は、モータ本体7aと、モータ本体7aに連結され回転駆動する駆動軸7bと、駆動軸7bに連結された偏芯カム7cとを有している。モータ本体7aは、ハウジング30のモータ取付面30dに取付けられている。また、駆動軸7b及び偏芯カム7cは、ハウジング30のモータ取付面30dに形成された図示せぬ取付穴内に回転可能に挿入されている。
【0042】
一対のピストン5a、5bは、バネ部材等によりハウジング30の中心方向に押し付けられており、その先端部は、モータ7の偏芯カム7cの外周面に接している。したがって、モータ7の偏芯カム7cが回転駆動すると一対のピストン5a、5bが往復運動を行う、いわゆるプランジャ型ポンプが構成される。なお、上記前輪用ポンプ5(図1参照)及び後輪用ポンプ6(図1参照)は、一対のピストン5a、5b及びモータ7の偏芯カム7c等により構成されている。
【0043】
一対のアキュムレータ9、12は、本体9a、12a及びカバー9b、12bを有し、ブレーキ液を一時的に貯留するようになっている。
また、ハウジング30の上面30f及び側面30cに形成された取付穴31v、31w、31x、31yには、一対のポンプ60a、60b、61a、61bがそれぞれ設けられている。
【0044】
図3は、液圧ユニット支持構造にブレーキ液圧制御装置が取付けられた状態を斜め下方から見た様子を示す斜視図である。図4は、液圧ユニット支持構造及びブレーキ液圧制御装置を示す分解斜視図である。図5は、第1支持部を示す断面図である。なお、図3においては、一部構成が本実施形態とは異なっている。
【0045】
ブレーキ液圧制御装置10は、図3に示すように、液圧ユニット支持構造40に取付けられ、この液圧ユニット支持構造40を介して図示せぬ車体に取付けられる。液圧ユニット支持構造40は、図4に示すように、ブラケット41、第1支持部42及び第2支持部43を備えている。第1支持部42及び第2支持部43は、ブラケット41に設けられている。第1支持部42は、ブレーキ液圧制御装置10のモータ取付面30dに略垂直な下面30eを支持する。一方、第2支持部43は、ブレーキ液圧制御装置10のモータ取付面30d及び下面30eの各々と略垂直に形成された側面30bの平面部分を支持する。
【0046】
ブラケット41は、板形状に形成され、ブレーキ液圧制御装置10が取付けられたときにブレーキ液圧制御装置10の下面30eと対向する第1板部41aを備えている。この第1板部41aは、略中央に第1支持部42が組み込まれて設けられるための第1孔部41dが第1板部41aの厚さ方向に貫通して形成されている。なお、第1孔部41dは、ブレーキ液圧制御装置10がブラケット41に取付けられたときに、第1孔部41dの軸心がブレーキ液圧制御装置10の重心近傍を通る位置に形成されている。すなわち、第1支持部42は、ブレーキ液圧制御装置10の重心の直下近傍でブレーキ液圧制御装置10を支持している。
【0047】
また、ブラケット41は、第1板部41aの一端辺であって、ブレーキ液圧制御装置10が取付けられたときに側面30b側となる位置で、ブレーキ液圧制御装置10側に略垂直に屈曲されて第2板部41bが形成されている。
【0048】
一方、ブラケット41は、第1板部41aの一端辺であって、ブレーキ液圧制御装置10が取付けられたときに第1支持部42に対してモータ取付面30d側となる位置で、モータ7から離れる側に略垂直に屈曲されて第3板部41cが形成されている。この第3板部41cは、第2板部41b側の端部近傍と、第2板部41bから離れる側の端部近傍とにそれぞれ固定孔41f,41fが第3板部41cの厚さ方向に貫通して形成されている。これにより、液圧ユニット支持構造40のブラケット41は、第3板部41cがボルト等によって車体に固定されることにより、車体に取付けられるようになっている。
【0049】
第1支持部42は、マウントラバー(振動吸収部材)44、カラー46、ワッシャ48及びボルト50を備えている。
マウントラバー44は、弾力性を有した振動吸収部材であり、軸心方向の中央近傍がくびれた円筒形状にゴム製材料で形成されている。マウントラバー44は、くびれた部分の外径がブラケット41の第1孔部41dの内径と略同じ大きさに形成されている。これにより、マウントラバー44は、ブラケット41の第1孔部41dに組み込まれたときに、くびれた部分の両側が第1板部41aを両側から挟み込むようにして固定される。マウントラバー44は、図5に示すように、くびれた部分を境に両側の外径が異なっており、液圧ユニット支持構造40にブレーキ液圧制御装置10が取付けられたときに、外径が大きい側がブレーキ液圧制御装置10側となるようにブラケット41に組み込まれている。
【0050】
カラー46は、図4に示すように、カラー部46aと座面部46bが一体に設けられている。なお、これらカラー部46aと座面部46bとは別体に設けられていてもよい。
カラー部46aは、円柱形状に形成され、マウントラバー44の内径と略同じ大きさの外径を有しており、軸線方向の長さもマウントラバー44の内周面の軸線方向長さと略同じ長さに形成されている。これにより、カラー部46aは、マウントラバー44内にほとんど隙間を有しないで嵌め込まれるようになっている。
【0051】
座面部46bは、マウントラバー44全体の外径と略同じ直径で形成されてカラー部46aの一端に設けられている。これにより、座面部46bは、液圧ユニット支持構造40に組み込まれた状態で、マウントラバー44の端面の略全面と広範囲で接するようになっている。一方、座面部46bは、ブレーキ液圧制御装置10が液圧ユニット支持構造40に取付けられたときに、マウントラバー44と接する面の裏面が、ブレーキ液圧制御装置10の下面30eに面接触により広範囲で接するようになっている。
【0052】
ワッシャ48は、外径がマウントラバー44全体の外径と略同じ大きさに形成されるとともに、内径がスクリュ46の固定用ねじ部46dの直径と略同じ大きさに形成されている。
【0053】
ボルト50は、ねじ部がワッシャ48及びカラー46を貫通し、ヘッド部がワッシャ48を貫通しないように形成されている。液圧ユニット支持構造40にブレーキ液圧制御装置10が取付けられる際に、ボルト50は、図5に示すように、ワッシャ48、カラー46の順に貫通して、ブレーキ液圧制御装置10の下面30eに形成されたねじ穴30gにねじ込まれてねじ止めされるようになっている。このとき、ボルト50は、図4に示すように、モータ7の回転軸7b(図2参照)の軸心に対して略垂直な方向にブレーキ液圧制御装置10にねじ込まれる。すなわち、液圧ユニット支持構造40にブレーキ液圧制御装置10が取付けられたときに、ブレーキ液圧制御装置10は、下面30eがカラー46、ワッシャ48及びボルト50に固定され、弾力性を有するマウントラバー44を介してブラケット41に支持される。このとき、第1支持部42は、ブレーキ液圧制御装置10の重心を通る線と下面30eとが略垂直になる位置でブレーキ液圧制御装置10を支持している。これにより、液圧ユニット支持構造40は、ブラケット41の第1板部41aを水平にしてブレーキ液圧制御装置10を支持する場合に、カラー46の座面部46bは、ブレーキ液圧制御装置10の下面30eと接する接触面内にブレーキ液圧制御装置10の重心の直下が位置するようになっている。
【0054】
一方、第2支持部43は、ブラケット41の第2板部41bを用いて設けられている。第2支持部43は、ブレーキ液圧制御装置10がブラケット41に取付けられたときに、第2板部41bがブレーキ液圧制御装置10の側面30bにおけるX1方向の幅いっぱいに、側面30bに形成された平面部分に押し当てられて接触するように形成されている。これにより、液圧ユニット支持構造40は、取付けられたブレーキ液圧制御装置10が、第1支持部42の軸心を中心にして回転しないようにブレーキ液圧制御装置10を支持することができる。
【0055】
また、第2支持部43は、ブレーキ液圧制御装置10がブラケット41に取付けられたときに、第2支持部43の少なくとも一部が、ブレーキ液圧制御装置10の重心を通る線と側面30bとが略垂直になる位置でブレーキ液圧制御装置10を支持している。これにより、液圧ユニット支持構造40は、ブラケット41の第1板部41aを水平にしてブレーキ液圧制御装置10を支持する場合に、第2支持部43は、ブレーキ液圧制御装置10の重心を通る水平線上近傍でブレーキ液圧制御装置10を支持している。
【0056】
本実施形態では、液圧ユニット支持構造40は、ブレーキ液圧制御装置10のモータ取付面30dに略垂直に形成された下面30eを支持する第1支持部42と、モータ取付面30d及び下面30eの各々と略垂直に形成された側面30bを支持する第2支持部43と、第1支持部42及び第2支持部43が設けられるブラケット41とを備えている。これにより、液圧ユニット支持構造40は、ブレーキ液圧制御装置10を2つの支持部42、43だけで確実に支持できるため、好ましくない振動を抑制するとともに、ブレーキ液圧制御装置10の車体への支持箇所を減らすことができる。また、液圧ユニット支持構造40は、2箇所だけでブレーキ液圧制御装置10を支持するため、支持部として用いる部品の個数を減らして部品費用を削減することができる。さらに、液圧ユニット支持構造40は、車体への取付け作業時間を削減することができ、小型化により車体における作業スペースの確保が容易である。またさらに、液圧ユニット支持構造40は、ブラケット41の小型、軽量化が可能であり、車両全体の重量の低減及びこれに伴い車両の燃費を向上させることができる。
【0057】
また、液圧ユニット支持構造40は、ブレーキ液圧制御装置10の重心の直下近傍で第1支持部42がブレーキ液圧制御装置10を支持し、ブレーキ液圧制御装置10を通る水平線上近傍で第2支持部43がブレーキ液圧制御装置10を支持している。このため、液圧ユニット支持構造40は、片持振動等の好ましくない振動をさらに抑制あるいは防止させることができる。
【0058】
さらに、液圧ユニット支持構造40は、第2板部41bから突出するボルト等の突起物がないため、第2板部41b側いっぱいに寄せてブレーキ液圧制御装置10を車体に取付けることができる。
【0059】
[2]第2実施形態
図6は、第2実施形態に係る液圧ユニット支持構造にブレーキ液圧制御装置が取付けられた状態を示す斜視図である。図7は、液圧ユニット支持構造及びブレーキ液圧制御装置を示す分解斜視図である。また、図8は、第2支持部を示す断面図である。なお、第2実施形態に係る液圧ユニット支持構造140は、ブラケット41及び第2支持部の一部の構成のみが第1実施形態に係る液圧ユニット支持構造40とは異なっている。以下、第1実施形態と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0060】
液圧ユニット支持構造140は、図6に示すように、第1支持部42と、第2支持部143とにより、ブレーキ液圧制御装置10を支持するようになっている。
ブラケット41は、図7に示すように、第2板部41bが、第1板部41aから離れる側の端部に、第2支持部143が組み込まれて設けられるための第2孔部41eが第2板部41bの厚さ方向に貫通して形成されている。なお、第2孔部41eは、ブレーキ液圧制御装置10がブラケット41に取付けられたときに、第2孔部41eの軸心がブレーキ液圧制御装置10の重心近傍を通る位置に形成されている。すなわち、第2支持部143は、ブレーキ液圧制御装置10の重心を通る水平線上近傍でブレーキ液圧制御装置10を支持している。
【0061】
第2支持部143は、マウントラバー(振動吸収部材)45、カラー47、ワッシャ49及びボルト51を備えている。
マウントラバー45は、マウントラバー44と同様の構成を有している。マウントラバー45は、くびれた部分の外径がブラケット41の第2孔部41eの内径と略同じ大きさに形成されている。これにより、マウントラバー45は、ブラケット41の第2孔部41eに組み込まれたときに、くびれた部分の両側が第2板部41bを両側から挟み込むようにして固定される。マウントラバー45は、ブレーキ液圧制御装置10が液圧ユニット支持構造140に取付けられたときに、ブレーキ液圧制御装置10側の端面が、ブレーキ液圧制御装置10の側面30bの平面部分に面接触することにより広範囲で接するようになっている。
【0062】
カラー47は、円筒形状に形成され、マウントラバー45の内径と略同じ大きさの外径を有しており、軸線方向の長さもマウントラバー45の内周面の軸線方向長さと略同じ長さに形成されている。これにより、カラー47は、マウントラバー45内にほとんど隙間を有しないで嵌め込まれるようになっている。また、カラー47の内径は、ボルト51のねじ部の直径と略同じ大きさに形成されている。
【0063】
ワッシャ49は、外径がマウントラバー45全体の外径と略同じ大きさに形成されるとともに、内径がボルト51の直径と略同じ大きさに形成されている。
ボルト51は、ねじ部がワッシャ49及びカラー47を貫通する一方、ヘッド部がワッシャ49を貫通しないように形成されている。液圧ユニット支持構造140にブレーキ液圧制御装置10が取付けられたときに、ボルト51は、図8に示すように、ワッシャ49、カラー47の順に貫通して、ブレーキ液圧制御装置10の側面30bの平面部分に形成されたねじ穴30hにねじ込まれてねじ止めされるようになっている。このとき、ボルト51は、モータ7の軸心に対して略垂直な方向にブレーキ液圧制御装置10にねじ込まれる。ボルト51は、ヘッド部がブレーキ液圧制御装置10の側面30bとの間に、マウントラバー45、カラー47及びワッシャ49を挟み込んだ状態で、マウントラバー45に固定されるようになっている。すなわち、液圧ユニット支持構造140にブレーキ液圧制御装置10が取付けられたときに、ブレーキ液圧制御装置10は、側面30bがカラー47、ワッシャ49及びボルト51に固定され、弾力性を有するマウントラバー45を介してブラケット41に支持される。このとき、マウントラバー45は、ブレーキ液圧制御装置10の側面30bの平面部分と接する接触面内にブレーキ液圧制御装置10の重心を通る水平線が位置するようになっている。
【0064】
[3]第3実施形態
図9は、第3実施形態に係る液圧ユニット支持構造にブレーキ液圧制御装置が取付けられた状態を示す斜視図である。図10は、第3実施形態に係る液圧ユニット支持構造及びブレーキ液圧制御装置を斜め方向から見た状態を示す分解斜視図である。また、図11は、第2支持部を示す断面図である。なお、第3実施形態に係る液圧ユニット支持構造は、第2支持部の一部構成のみが第2実施形態に係る液圧ユニット支持構造140とは異なる。以下、第2実施形態と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0065】
液圧ユニット支持構造240は、図9に示すように、第1支持部42と、第2支持部243とにより、ブレーキ液圧制御装置10を車体に取付けるようになっている。
第2支持部243は、図10に示すように、ワッシャ付ボルト151のみを備えている。また、ブラケット41の第2孔部41eは、ワッシャ付ボルト151のねじ部の直径と略同径に形成されている。
【0066】
ワッシャ付ボルト151は、ボルト部151aのねじ部とヘッド部との間にワッシャ部151bが組み込まれている。液圧ユニット支持構造240にブレーキ液圧制御装置10が取付けられる際に、ワッシャ付ボルト151は、図11に示すように、ブラケット41の第2孔部41eを貫通して、ブレーキ液圧制御装置10の側面30bに形成されたねじ穴30hにねじ込まれてねじ止めされるようになっている。すなわち、液圧ユニット支持構造240は、図10に示すように、マウントラバー44を介してブレーキ液圧制御装置10を支持する第1支持部42と、マウントラバーを介さずに直接ブレーキ液圧制御装置10を支持する第2支持部243とを備えている。
【0067】
[4]第4実施形態
従来、マウントラバーを備えた液圧ユニット支持構造では、マウントラバーを手挿入でブラケットの丸孔に嵌め込む工程を行っていた。しかしながら、ブラケットからマウントラバーを抜け難くすべく、装着するための丸孔の内径に対してマウントラバーの外径が大きいため、嵌め込みに大きな力と長い作業時間を要していた。このため、ブラケットのマウントラバー挿入孔を切り欠き形状にして、マウントラバーを嵌め込み易くする構成が提案されているが、このような構成では、ブラケットの強度や剛性の低下や、衝撃や振動に伴うマウントラバーの位置ずれが生じてしまうだけでなく、液圧ユニット自体がブラケットから脱落してしまうおそれがあった。本実施形態によると、このような従来の技術が有する課題を解消することができる。
【0068】
図12(a)は、第4実施形態に係るブラケットを示す斜視図であり、図12(b)は、第1孔部を示す模式図である。図13は、マウントラバーを示す断面図である。なお、図12(b)では、マウントラバー44、45が嵌め込まれた状態を模式的に示している。
【0069】
第4実施形態に係る液圧ユニット支持構造340は、第2実施形態に係る液圧ユニット支持構造140(図6参照)と略同じ構成を有している。しかしながら、図12(a)に示すように、第4実施形態の液圧ユニット支持構造340では、ブラケット41の第1孔部141d及び第2孔部141eのみが、略円形状の第1孔部41d及び第2孔部41e(図6参照)を有する第2実施形態に係る液圧ユニット支持構造140とは異なっている。以下、第2実施形態と略同様の構成は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0070】
第4実施形態に係る液圧ユニット支持構造340のブラケット41は、長孔形状の第1孔部141dと、第1孔部141dと同じ長孔形状の第2孔部141eとを備えている。第1孔部141dは、図12(b)に示すように、マウントラバー44が取付けられる部分、すなわち、最も内径の小さい部分が直径D1で第1板部41aに形成されている。第1孔部141dは、直径D1に略垂直な方向の内径が直径D1よりも大きな直径D2で形成されている。このため、第1孔部141dは、マウントラバー44が取付けられたときに、直径D1の部分近傍がマウントラバー44に密着するように接する一方、直径D2の部分近傍がマウントラバー44との間に隙間ができるように形成されている。第1孔部141dは、直径D1の部分と直径D2の部分との間で曲率半径が徐々に変化するように滑らかに形成されている。ブレーキ液圧制御装置10が液圧ユニット支持構造340に取付けられた状態で、第1孔部141dは、モータ7(図2参照)の回転軸7b(図2参照)の軸心に略平行な方向N、すなわち、X1方向(図2参照)に平行な方向が直径D1で形成され、モータ7の回転軸7bの軸心に略垂直な方向が直径D2で形成されている。
【0071】
第2孔部141eは、第1孔部141dと同じ構成で、第2板部41bに形成されてマウントラバー45が取付けられるようになっている。すなわち、第2孔部141eも第1孔部141dと同様に、モータ7の回転軸7bの軸心に略平行な方向Nが直径D1で形成され、モータ7の回転軸7bの軸心に略垂直な方向が直径D2で形成されている。
【0072】
マウントラバー44、45は弾性部材で形成され、図13に示すように、くびれ部44a、45aと、フランジ部44b、45bと、頭部44c、45cとを有し、第1及び孔部141d、141eに取付けられる。くびれ部44a、45aの外径は、直径D1と略同じ長さの直径D3で形成されている。フランジ部44b、45bの外径は、直径D3よりも大きな直径D4で形成されている。フランジ部44b、45bの外周の長さは、第1及び第2孔部141d、141eの内周の長さと略同じに形成されている。頭部44c、45cの外径は、直径D4よりも大きな直径D5で形成されている。
【0073】
マウントラバー44、45は、ブラケット41(図12(a)参照)に取付けられた状態で、頭部44c、45cがブラケット41のブレーキ液圧制御装置10(図6参照)側に位置し、フランジ部44b、45bがブラケット41の非ブレーキ液圧制御装置10側に位置し、くびれ部44a、45aが第1及び第2孔部141d、141e内に位置するようになっている。
【0074】
以下、マウントラバー44、45を第1孔部141d、141eに取付ける際の取付け手順について、マウントラバー44及び第1孔部141dを用いて説明する。
第1孔部141dにマウントラバー44を取付ける際には、先ず、作業者が、マウントラバー44を矢印N(図12(a)参照)に示す方向に潰して変形させ、フランジ部44bの外周の形状が第1孔部141dと略同形状にする。第1孔部141dは、内周の長さが、フランジ部44bの外周の長さと略同じに形成されているため、作業者は、第1孔部141dにフランジ部44bを容易に通すことができる。
【0075】
フランジ部44bが第1孔部141dを通過し、作業者が、マウントラバー44を潰すのをやめると、マウントラバー44はくびれ部44aが直径D4の円形断面を有した形状に戻る。このとき、くびれ部44aが第1孔部141dの直径D1の部分に嵌るとともに、フランジ部44bが第1孔部141dの半径方向に広がる。このため、マウントラバー44は、フランジ部44bがブラケット41の非ブレーキ液圧制御装置10側に引っ掛かってブラケット41から抜けなくなる。
【0076】
本実施形態では、液圧ユニット支持構造340のブラケット41は、弾性部材で形成されたマウントラバー44、45が嵌め込まれるための第1及び第2孔部141d、141eが、長孔形状に形成されている。これにより、液圧ユニット支持構造340は、マウントラバー44、45が第1及び第2孔部141d、141eに合わせて潰されるだけで、フランジ部44b、45b及びくびれ部44a、45aが第1及び第2孔部141d、141eを容易に通過することができる。このため、液圧ユニット支持構造340は、マウントラバー44、45を第1及び第2孔部141d、141eに挿入するのに要する力を低減して組込性を改善させることができ、作業者による組込作業の作業性向上、作業時間の低減ができるとともに、マウントラバー44、45を組み込むための特別な冶具が不用になる。
【0077】
また、通常、マウントラバーとブラケットとの間に隙間ができるとマウントラバーの効果が弱まり、隙間ができた方向の振動を受けた際に、振幅が大きくなってしまう傾向がある。また、振動や衝撃を繰り返し受ける事により、マウントラバーに負担がかかり、亀裂が発生してしまうおそれがある。さらに、モータは、液圧制御装置を構成する部品の中でも重量のかなり重い部類の部品である上に、ブラケットの支持部から離れた位置に配置されているため、液圧制御装置は、振動や衝撃を受けたときに、モータが配置された方向に揺動し易く、また、このときの揺動する力は他の方向に揺動する場合よりも強くなるおそれがある。しかしながら、本実施形態に係る液圧ユニット支持構造340のブラケット41の第1及び第2孔部141d、141eは、モータ7の回転軸7bに略平行な方向の直径D1が、モータ7の回転軸7bに略垂直な方向の直径D2よりも小さく形成されている。これにより、液圧ユニット支持構造340は、マウントラバー44、45を容易に嵌め込めるように第1及び第2位孔部141d、141eを長孔形状に形成しても、モータ7の振幅が大きな方向のマウントラバー44、45の効果を維持することができる。このため、液圧ユニット支持構造340は、ブラケット41の第1及び第2孔部141d、141eを長孔形状に形成しても、振動や衝撃による液圧制御装置10の振幅を抑制することができる。
【0078】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態では、振動吸収部材である第1及び第2マウント42、43、142、243にゴム製材料によるマウントラバー44、45、145を用いているが、これに限定されず、ブレーキ液圧制御装置に加わる振動や衝撃を吸収できれば、樹脂製材料等の他の材料で形成した振動吸収部材を用いてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、液圧ユニット支持構造40、140、240、340は、ブラケット41の第1板部41aが水平になる向きでブレーキ液圧制御装置10を支持しているが、これに限定されず、ブラケットの第1板部が垂直や斜めになる向き等、その他の向きでブレーキ液圧制御装置を支持していてもよい。
【符号の説明】
【0080】
7 モータ
7a モータ本体
7b 回転軸
7c 偏芯カム
8 ECU
10 ブレーキ液圧制御装置(液圧ユニット)
30 ハウジング
30a ECU取付面
30b 側面(第3の面)
30c 側面
30d モータ取付面(第1の面)
30e 下面(第2の面)
30f 上面
30g ねじ穴
30h ねじ穴
40 液圧ユニット支持構造
41 ブラケット
41a 第1板部
41b 第2板部
41c 第3板部
41d 第1孔部
41e 第2孔部
41f 固定孔
42 第1支持部
43 第2支持部
44 マウントラバー(振動吸収部材)
44a くびれ部
44b フランジ部
44c 頭部
45 マウントラバー(振動吸収部材)
45a くびれ部
45b フランジ部
45c 頭部
46 カラー
46a カラー部
46b 座面部、
47 カラー
48 ワッシャ
49 ワッシャ
50 ボルト
51 ボルト
100 ブレーキ用油圧回路
111 前輪用ディスクブレーキ装置(制動部)
116 後輪用ディスクブレーキ装置(制動部)
140 液圧ユニット支持構造
141d 第1孔部
141e 第2孔部
143 第2支持部
151 ワッシャ付きボルト
151a ボルト部
151b ヘッド部
240 液圧ユニット支持構造
243 第2支持部
340 液圧ユニット支持構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面にモータが取付けられ、制動部へ供給されるブレーキ液の液圧を制御してアンチロックブレーキ制御を行う液圧ユニットを、モータサイクルの車体に取付けるための液圧ユニット支持構造において、
前記液圧ユニットの前記第1の面に略垂直に形成された第2の面を支持する第1支持部と、
前記液圧ユニットの前記第1の面及び前記第2の面の各々と略垂直に形成された第3の面を支持する第2支持部と、
前記第1支持部及び前記第2支持部が設けられるブラケットとを備えたことを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記第1支持部は、前記液圧ユニットが取付けられたときに、当該液圧ユニットの重心を通る線と前記第2の面とが略垂直になる位置で前記液圧ユニットを支持することを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記ブラケットは、前記第1支持部が設けられる第1板部と前記第2支持部が設けられる第2板部とが略直角に屈曲した板形状に形成されたことを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記第2支持部は、前記第3の面の平面部分を支持することを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記第1支持部及び前記第2支持部は、振動吸収部材を介して前記液圧ユニットを支持することを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記第1支持部は、振動吸収部材を介して前記液圧ユニットを支持し、前記第2支持部は、振動吸収部材を介さずに直接前記液圧ユニットを支持することを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項7】
請求項6に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記第2支持部は、前記第3の面に押し当てられて前記液圧ユニットを支持することを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記第1支持部と前記第2支持部とは、前記モータの回転軸の軸心に対して略垂直な方向にボルトが前記液圧ユニットにねじ込まれてねじ止めされたことを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記ブラケットは、前記液圧ユニットが取付けられたときに、前記第1板部が前記液圧ユニットの前記第1の面側で前記モータから離れる側に屈曲して形成された第3板部が設けられ、当該第3板部を介して前記車体に取付けられることを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記第2の面は、前記液圧ユニットの下面であることを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記第3の面は、前記液圧ユニットの側面であることを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記液圧ユニットを前記車体に取付けたときに、前記第1支持部は、前記液圧ユニットの重心の直下近傍で前記液圧ユニットを支持することを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記液圧ユニットを前記車体に取付けたときに、前記第2支持部は、前記液圧ユニットの重心を通る水平線上近傍で前記液圧ユニットを支持することを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項14】
請求項5乃至13のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記ブラケットは、長孔形状の孔部が形成され、
前記振動吸収部材は、弾性部材で形成されて前記孔部に嵌め込まれたことを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項15】
請求項14に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記孔部は、前記モータの回転軸の軸心に略平行な方向の内径が、前記モータの回転軸の軸心に略垂直な方向の内径よりも小さく形成されたことを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項16】
請求項14または15に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記孔部は、前記モータの回転軸の軸心に略平行な方向の内径が、前記振動吸収部材の前記孔部に嵌るくびれ部の外径と略同じに形成されたことを特徴とする液圧ユニット支持構造。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれか一項に記載の液圧ユニット支持構造において、
前記振動吸収部材は、前記孔部に取付けられたときに前記ブラケットの非液圧ユニット側で広がるフランジ部を有し、
前記孔部は、内周の長さが、前記フランジ部の外周の長さと略同じに形成されたことを特徴とする液圧ユニット支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−274904(P2010−274904A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9086(P2010−9086)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】