説明

液圧制御ユニット

【課題】ポンプを有するユニットと、車両の運動量を検出する物理量センサを有するユニットとが一体となった液圧制御ユニットにおいて、物理量センサの出力誤差を抑制することができる液圧制御ユニットを提供する。
【解決手段】ポンプが内蔵され対向する2面を有するハウジングと、2面のうちの一側面に固定されポンプを回転駆動するモータと、2面のうちの他側面側に配置されモータを制御する制御部と、制御部を覆うカバー部と、制御部に一体的に固定された車両の運動量を検出する物理量センサと、ハウジングを車両に固定する複数のマウント部と、を備え、複数のマウント部のうち少なくとも一つは、ハウジングに固定されたブラケットを備え、ブラケットを介してハウジングを車両に弾性的に固定するものであって、ハウジングを車両搭載時に下面となる方向から見たときに、複数のマウント部を結ぶ仮想線で形成された多角形内に物理量センサを配置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ液圧等を制御する液圧制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、特許文献1に記載の技術が開示されている。
この公報では、加速度センサが取り付けられた制御部が収容されるコントロールハウジングとモータによる駆動するポンプを有するポンプボディとが一体に固定されているものが開示されている。
【特許文献1】特開2006−56406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術にあっては、ポンプの駆動により発生する振動が加速度センサに伝達されてしまうため、車両の運動量を検出する加速度センサの出力に誤差が生じる虞があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、ポンプを有するユニットと、車両の運動量を検出する物理量センサを有するユニットとが一体となった液圧制御ユニットにおいて、物理量センサの出力誤差を抑制することができる液圧制御ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、複数のマウント部のうち少なくとも一つは、ハウジングに固定されたブラケットを備え、ブラケットを介してハウジングを車両に弾性的に固定するものであって、ハウジングを車両搭載時に下面となる方向から見たときに、複数のマウント部を結ぶ仮想線で形成された多角形内に前記物理量センサを配置した。
【発明の効果】
【0006】
よって、本願発明においては、物理量センサに作用する振動を抑制することが可能となるため、物理量センサにおいて発生する検出誤差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のブレーキシステムの油圧回路図である。
【図2】実施例1の液圧制御ユニットの断面図である。
【図3】実施例1のピストンポンプの構成を示す図である。
【図4】実施例1の液圧制御ユニットの支持構造を示す図である。
【図5】変形例1の液圧制御ユニットの支持構造を示す図である。
【図6】変形例2の液圧制御ユニットの支持構造を示す図である。
【図7】実施例2の液圧制御ユニットの支持構造を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の液圧制御ユニットおよびブレーキ制御用液圧ユニットを実現する最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0009】
[ブレーキ配管の構成]
図1はブレーキシステムの油圧回路図である。このブレーキシステムは、ブレーキペダルBPに入力された踏力に応じてマスタシリンダM/Cで発生したブレーキ液圧とは別に、モータ15の駆動によって駆動されるピストンポンプ4によってブレーキ液圧を発生させることができる。このブレーキ液圧をホイルシリンダW/Cに供給して制動力を発生させる。また、このブレーキシステムは、コントローラからのVehicle Dynamics Control(以下VDC)、Anti-lock Brake System(以下ABS)の要求液圧に応じて液圧制御を行う。
【0010】
このブレーキシステムは、P系統のブレーキ液圧回路とS系統のブレーキ液圧回路の2系統からなる、所謂X配管と呼ばれる配管構造となっている。P系統には、左前輪のホイルシリンダW/C(FL)、右後輪のホイルシリンダW/C(RR)が接続されており、S系統には、右前輪のホイルシリンダW/C(FR)、左後輪のホイルシリンダW/C(RL)が接続されている。また、P系統、S系統それぞれに、ピストンポンプ4Pとピストンポンプ4Sとが設けられており、このピストンポンプ4Pとピストンポンプ4Sは、1つのモータ15によって駆動される。
【0011】
マスタシリンダM/Cと液圧制御ユニット1とはブレーキ配管2によって接続される。このブレーキ配管2は液圧制御ユニット1のマスタシリンダポートPMCに取り付けられている。ホイルシリンダW/Cと液圧制御ユニット1とはブレーキ配管3によって接続されている。このブレーキ配管3は液圧制御ユニット1のホイルシリンダポートPWCに取り付けられている。
【0012】
マスタシリンダポートPMCとピストンポンプ4の吸入側とは油路5によって接続されている。この油路5上には、常閉型のソレノイドバルブであるゲートインバルブ6が設けられている。
ピストンポンプ4の吐出側とホイルシリンダポートPWCとは油路7によって接続されている。この各油路7上には、ホイルシリンダW/Cに対応する常開型のソレノイドバルブである増圧バルブ8が設けられている。
【0013】
マスタシリンダM/Cと油路7とは油路9によって接続されており、油路7と油路9とはピストンポンプ4と増圧バルブ8との間において合流している。この油路9上には、常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ10が設けられている。
【0014】
ピストンポンプ4の吸入側にはリザーバ11が設けられている。このリザーバ11とピストンポンプ4とは油路12によって接続されている。
ホイルシリンダW/Cとリザーバ11とは油路13によって接続されている。この油路13には常閉型のソレノイドバルブである減圧バルブ14が設けられている。なお、ゲートインバルブ6、ゲートアウトバルブ10、増圧バルブ8、減圧バルブ14は第3の発明の電磁弁に相当する。
【0015】
[液圧ユニットの構成]
図2は、液圧制御ユニット1の断面図である。液圧制御ユニット1はピストンポンプ4、ゲートインバルブ6、ゲートアウトバルブ10、増圧バルブ8、減圧バルブ14が取り付けられるハウジングユニットHUと、モータ15、ゲートインバルブ6、ゲートアウトバルブ10、増圧バルブ8、減圧バルブ14を制御する制御基板CB等を有するコントロールハウジングCHと、モータ15から構成されている。
【0016】
ハウジングユニットHUには、ピストンポンプ4、ゲートインバルブ6、ゲートアウトバルブ10、増圧バルブ8、減圧バルブ14がかしめにより固定されている。ハウジングユニットHUの側面HU1にはモータ15が固定されている。また側面HU1の逆の側面である側面HU2には、コントロールハウジングCHが固定されている。ハウジングユニットHUを車両搭載の際の上面HU3(図中の上側)にはホイルシリンダポートPWCが設けられている。また、ハウジングユニットHUの側面HU1の上部の側面HU4にはマスタシリンダポートPMCが設けられている。
【0017】
コントロールハウジングCHは、ゲートインバルブ6、ゲートアウトバルブ10、増圧バルブ8、減圧バルブ14を駆動するコイル20が取り付けられるヨーク21や制御基板CBを支持する支持板部CH1を有する。支持板部CH1をハウジングユニットHUに固定したときのハウジングユニットHU側には、コイル20およびヨーク21が支持されている。支持板部CH1のハウジングユニットHUと反対側には制御基板CBが支持されている。支持板部CH1の制御基板CBが取り付けられる側の開口部を密閉するコントロールカバーCH2が固定されている。制御基板CBには車両運動量検出部22が取り付けられている。この車両運動量検出部22は、前後加速度センサ、横加速度センサ、ヨーレイトセンサから構成されている。
【0018】
[ピストンポンプの構成]
図3はピストンポンプ4の構成を示す図であり、(a)はピストンポンプ4の軸方向から見た図、(b)はピストンポンプ4の軸方向部分断面図である。
【0019】
ピストンポンプ4はハウジングユニットHU内に設けられている。ピストンポンプ4は、モータ15のシャフト43に取り付けられているカム40と、カム40によりシリンダ41内を軸方向に移動するピストン42とから構成されている。
カム40は、モータ15のシャフト43に偏心した状態で取り付けられている。ピストン42はカム40が回転することにより軸方向に移動してブレーキ液をホイルシリンダW/C側に供給する。
【0020】
[液圧制御ユニットの支持構造]
図4は液圧制御ユニット1の支持構造を示す図であって、(a)はピストンポンプ4の軸方向視した図、(b)は車両搭載時に下面から見た図である。なお図4(b)では、後述する第1ブラケット31が取り付けられていない状態の図である。また、車両運動量検出部22は、コントロールハウジングCHのコントロールカバーCH2内に収容されているが、説明のため車両運動量検出部22の位置が分かるように図示している。
【0021】
液圧制御ユニット1は車体30に第1ブラケット31と第2ブラケット32によって支持されている。第1ブラケット31は、ハウジングユニットHUの側面HU1に沿うように形成される2つの縦壁部31aと、ハウジングユニットHUの下面HU5に沿うように形成される横壁部31bとによって側面視で略L字状に形成されている。また第1ブラケット31には、横壁部31bから下方に延出してから外側に延出するフランジ部31cが形成されている。第1ブラケット31は、フランジ部31cにおいて車体30に溶接や締結によって固定されている。また液圧制御ユニット1は、縦壁部31aの上端部分の第1マウント部31dにおいて樹脂製のマウントラバー33を介して側面HU1に弾性的に固定されている。液圧制御ユニット1は、第1マウント部31dにおいてモータ15の軸線Lの方向に支持されている。
【0022】
第2ブラケット32は、ハウジングユニットHUの下面HU5の形状に沿って形成される上段部32aと、この上段部32aから下方に延出してから外側に延出する下段部32bとによって形成されている。上段部32aは、ハウジングユニットHUの下面HU5に固定されている。下段部32bの端部分の第2マウント部32cにおいて樹脂製のマウントラバー34を介して第1ブラケット31の横壁部31bに弾性的に固定されている。このとき、第2ブラケット32は、横壁部31bの縦壁部31aとは反対側の端部分において固定されている。また、液圧制御ユニット1は、第2マウント部32cにおいて第1マウント部31dの支持方向と直交する方向に支持されている。
【0023】
液圧制御ユニット1のマスタシリンダポートPMCにはブレーキ配管2が、ホイルシリンダポートPWCにはブレーキ配管3がそれぞれ接続されている。ブレーキ配管2とブレーキ配管3は鋼管であるため、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cに対する液圧制御ユニット1の位置が固定される。よって、ブレーキ配管2とブレーキ配管3によっても支持されていることとなる。
【0024】
(運動量検出部の位置関係)
次に、運動量検出部の位置関係について詳述する。
車両運動量検出部22は、液圧制御ユニット1内の上下方向に対して、ピストンポンプ4の軸線の位置(上下方向においては、モータ15の軸線Lと同じ)よりも上側に配置されている。
【0025】
また車両運動量検出部22は、液圧制御ユニット1を車両搭載時に下面から見た状態で、第1マウント部31dと第2マウント部32cを結ぶ仮想線VLで形勢される三角形の内であって、モータ15の軸線L上に配置されている。さらにピストンポンプ4および重心Gも第1マウント部31dと第2マウント部32cを結ぶ仮想線VLで形勢される三角形の内に配置され、車両運動量検出部22は重心Gと第2マウント部32cと、またはピストンポンプ4と第2マウント部32cとの間に配置されている。
【0026】
[実施例1の構成による作用]
液圧制御ユニット1は、モータ15、ハウジングユニットHU、コントロールハウジングCHが一体に固定されて構成されている。よって、モータ15やピストンポンプ4の駆動による振動が車両運動量検出部22にも伝達してしまうため、車両運動量検出部22に検出誤差が発生することがある。
【0027】
また、制御基板CBはコントロールカバーCH2内に収容され、ハウジングユニットHUにコントロールハウジングCHが取り付けられる反対側にモータ15が取り付けられている。モータ15はコントロールハウジングCHと比べて重量が大きいため、液圧制御ユニット1の重心Gはモータ15側となる。よって、重心Gに対して車両運動量検出部22の位置は遠くに位置することとなり、モータ15やピストンポンプ4の駆動による振動の変位量が大きく伝達されて、車両運動量検出部22に検出誤差が大きくなることがある。
【0028】
そこで実施例1では、液圧制御ユニット1を車両搭載時に下面から見た状態で、モータ15の軸線L上に車両運動量検出部22を配置した。よって、車両運動量検出部22にピストンポンプ4による振動の変位が均等に作用するため、車両運動量検出部22に作用する振動を予測することが容易となり、車両運動量検出部22の出力精度を向上することができる。
【0029】
また実施例1の液圧制御ユニット1は、ハウジングユニットHUを車両搭載の際の上面HU3(図中の上側)にはホイルシリンダポートPWCが設けられ、側面HU1の上部の側面HU4にはマスタシリンダポートPMCが設けられている。このホイルシリンダポートPWCとマスタシリンダポートPMCには鋼管のブレーキ配管2、ブレーキ配管3が接続されるため、液圧制御ユニット1は、ブレーキ配管2、ブレーキ配管3によっても支持されることとなり、振動の支点が重心Gよりも上方となる。
【0030】
そこで実施例1では、液圧制御ユニット1内の上下方向に対して、ピストンポンプ4の軸線の位置よりも上側に車両運動量検出部22を配置した。よって、車両運動量検出部22に作用する振動の変位を抑制することができる。
【0031】
また液圧制御ユニット1を車両搭載時に下面から見た状態で、第1マウント部31dと第2マウント部32cを結ぶ仮想線VLで形勢される三角形の内にピストンポンプ4を配置し、ピストンポンプ4と第2マウント部32cとの間に車両運動量検出部22を配置した。
よって、ピストンポンプ4の振動を第1マウント部31dと第2マウント部32cによって抑制し、車両運動量検出部22に作用する振動を抑制することができる。
【0032】
また、第1マウント部31dと第2マウント部32cを結ぶ仮想線VLで形勢される三角形の内に重心Gを配置し、重心Gと第2マウント部32cとの間に車両運動量検出部22を配置した。
よって、液圧制御ユニット1の振動を抑制することができ、車両運動量検出部22に作用する振動も抑制することができる。
【0033】
[変形例1]
図5は、実施例1の液圧制御ユニット1の変形例である。実施例1では第2マウント部32cは1箇所であったが、変形例1では第2マウント部32cを2箇所設けた点で実施例1と相違する。
【0034】
第2ブラケット32は、ハウジングユニットHUの下面HU5の形状に沿って形成される上段部32aと、この上段部32aから下方に延出してから2股に外側に延出する下段部32bとによって形成されている。上段部32aは、ハウジングユニットHUの下面HU5に固定されている。下段部32bの端部分の第2マウント部32cにおいてマウントラバー34を介して第1ブラケット31の横壁部31bに固定されている。このとき、第2ブラケット32は、横壁部31bの縦壁部31aとは反対側の端部分において固定されている。また、第2マウント部32cにおいては、液圧制御ユニット1を第1マウント部31dの支持方向と直交する方向に支持している。
【0035】
[変形例2]
図6は、実施例1の液圧制御ユニット1の変形例である。実施例1では第1ブラケット31と第2ブラケット32の2つのブラケットによって液圧制御ユニット1を支持していたが、変形例2では1つのブラケット35によって液圧制御ユニット1を支持している点で実施例1と相違する。また、実施例1では第1マウント部31dにおいては、液圧制御ユニット1をモータ15の軸線Lの方向に支持し、第2マウント部32cにおいては液圧制御ユニット1を第1マウント部31dの支持方向と直交する方向に支持しているが、変形例2では第1マウント部35dおよび第2マウント部35eにおいて、液圧制御ユニット1をモータ15の軸線Lの方向に支持している点で実施例1と異なる。
【0036】
液圧制御ユニット1は車体30にブラケット35によって支持されている。ブラケット35は、ハウジングユニットHUの側面HU1に沿うように形成される2つの第1縦壁部35bと、ハウジングユニットHUの下面HU5に沿うように形成される横壁部31bと、コントロールハウジングCHのコントロールカバーCH2に沿うように形成される1つの第2縦壁部35cとによって側面視で略コの字状に形成されている。横壁部35aは車体30に溶接や締結によって固定されている。また液圧制御ユニット1は、第1縦壁部35bの上端部分の第1マウント部35dにおいてマウントラバー33を介して側面HU1に固定されている。また液圧制御ユニット1は、第2縦壁部35cの上端部分の第2マウント部35eにおいてマウントラバー34を介して側面HU2に固定されている。液圧制御ユニット1は、第1マウント部35d、第2マウント部35eにおいてモータ15の軸線Lの方向に支持されている。
【0037】
[実施例1の効果]
次に実施例1の効果について、以下に列記する。
(1)内部にピストンポンプ4が内蔵され、対向する2面を有するハウジングユニットHUと、ハウジングユニットHUの一側面に固定されピストンポンプ4をシャフト43により回転駆動するモータ15と、ハウジングユニットHUの他側面に配置されモータ15を制御する制御基板CBと、制御基板CBを覆うコントロールカバーCH2と、制御基板CBに一体的に固定された車両の運動量を検出する車両運動量検出部22と、ハウジングユニットHUを車両に弾性的に固定する第1マウント部31dおよび第2マウント部32cとを備え、第1マウント部31dと第2マウント部32cとの間であってハウジングユニットHUおよびコントロールカバーCH2が占有する領域内に車両運動量検出部22を配置した。
よって、液圧制御ユニット1の作動による車両運動量検出部22に作用する振動を抑制することが可能となるため、車両運動量検出部22において発生する検出誤差を抑制することができる。
【0038】
(2)ポンプとして、モータ15の軸に固定されたカム40と、カム40により往復運動をするピストン42とを備えたピストンポンプ4を用いた。
ピストンポンプ4は軸方向に振動を発生させるため、振動の予測が容易となり物理量センサの出力精度を向上することができる。
【0039】
(3)ハウジングユニットHUの上面のマスタシリンダポートPMCには鋼管のブレーキ配管2が、ホイルシリンダポートPWCには鋼管のブレーキ配管3がそれぞれ接続されるとともに、ピストンポンプ4の軸線よりもハウジングユニットHUの上面側に車両運動量検出部22を配置した。
【0040】
ブレーキ配管2とブレーキ配管3は鋼管であるため、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cに対する液圧制御ユニット1の位置が固定される。よって、ブレーキ配管2とブレーキ配管3によっても支持されていることとなる。よって、液圧制御ユニット1の振動の支点がピストンポンプ4の軸線よりもハウジングユニットHUの上面側となり、車両運動量検出部22に作用する振動の変位を抑制することができる。
【0041】
(4)液圧制御ユニット1を車両搭載時に下面から見た状態で、第1マウント部31dと第2マウント部32cを結ぶ仮想線VLで形勢される三角形の内にピストンポンプ4を配置し、ピストンポンプ4と第2マウント部32cとの間に車両運動量検出部22を配置した。
よって、ピストンポンプ4の振動を第1マウント部31dと第2マウント部32cによって抑制し、車両運動量検出部22に作用する振動を抑制することができる。
【0042】
(5)ハウジングユニットHUのモータ15の取り付け側面HU1にモータ15の軸線方向に支持軸を有する2箇所の第1マウント部31dと、ハウジングユニットHUの下面から延出した第2ブラケット32に第1マウント部31dの支持軸と直交する支持軸を有する1箇所の第2マウント部32cとを設けた。
【0043】
よって、車両運動量検出部22を2箇所の第1マウント部31dと1箇所の第2マウント部32cを結ぶ仮想線で形成された多角形内に配置することができ、物理量センサに作用する振動を抑制することが可能となるため、車両運動量検出部22の検出誤差を抑制することができる。また、モータ軸線方向の振動を第1マウント部31dによって抑制し、モータ軸線と直交する方向の振動を第2マウント部32cによって抑制することができるため、車両運動量検出部22の検出誤差を抑制することができる。
【0044】
(6)第1マウント部31d、第2マウント部32cの間に液圧制御ユニット1の重力方向重心線が存在するように配置した。
よって、液圧制御ユニット1の重心を第1マウント部31d、第2マウント部32cによって支持することが可能となるため、液圧制御ユニット1の振動を抑制し、車両運動量検出部22の検出誤差を抑制することができる。
【0045】
(7)車両運動量検出部22を、液圧制御ユニット1を車両搭載時に下面から見た状態で、モータ15の軸線L上に配置した。
よって、車両運動量検出部22にポンプによる振動の変位が均等に作用するため、車両運動量検出部22に作用する振動を予測することが容易となり、車両運動量検出部22の出力精度を向上することができる。
【0046】
(8)上記(ヘ)に記載の液圧制御ユニットにおいて、
液圧制御ユニット1の重力方向重心線と第2マウント部32cとの間に車両運動量検出部22を配置した。
よって、液圧制御ユニット1の振動を抑制することが可能となり、車両運動量検出部22の検出誤差を抑制することができる。
【0047】
(9)液圧制御ユニット1は、車両のブレーキ制御手段用であって、ハウジングユニットHUを有し、ハウジングユニットHU内に、車両のホイルシリンダW/Cのブレーキ液を制御するピストンポンプ4と、ハウジングユニットHUの一側面に固定されピストンポンプ4を駆動するためのモータ15と、ハウジングユニットHUの他側面に配置されモータ15を制御する制御基板CBと、制御基板CBに一体的に固定された車両の運動量を検出する車両運動量検出部22と、ハウジングユニットHUを車両に弾性的に固定する第1マウント部31dおよび第2マウント部32cと、制御基板CBをハウジングユニットHUとともに覆うコントロールカバーCH2とを備え、車両運動量検出部22が第1マウント部31dと第2マウント部32cの間であってハウジングユニットHUおよびコントロールカバーCH2が占有する領域内に位置するようにハウジングユニットHUを支持する第1ブラケット31および第2ブラケット32を設けた。
よって、液圧制御ユニット1の作動による車両運動量検出部22に作用する振動を抑制することが可能となるため、車両運動量検出部22において発生する検出誤差を抑制することができる。
【0048】
(10)ハウジングユニットHUと、ハウジングユニットHUに固定されハウジングユニットHUに内蔵されたピストンポンプ4を回転駆動するモータ15と、ブレーキ液圧を制御するゲートインバルブ6、ゲートアウトバルブ10、増圧バルブ8、減圧バルブ14と、モータ15およびゲートインバルブ6、ゲートアウトバルブ10、増圧バルブ8、減圧バルブ14を制御する制御基板CBと、ハウジングユニットHUとともに制御基板CBを覆うコントロールカバーCH2と、制御基板CBに一体的に固定された車両の運動量を検出するヨーレイトセンサを有する車両運動量検出部22と、ハウジングユニットHUを車両に弾性的に固定する第1マウント部31dおよび第2マウント部32cとを備え、車両運動量検出部22が第1マウント部31dと第2マウント部32cとの間であってハウジングユニットHUおよびコントロールカバーCH2が占有する領域内になるようにハウジングユニットHUを支持した。
よって、液圧制御ユニット1の作動による車両運動量検出部22に作用する振動を抑制することが可能となるため、車両運動量検出部22において発生する検出誤差を抑制することができる。
【実施例2】
【0049】
実施例2の構成について説明する。実施例1と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図7は実施例2の液圧制御ユニット1の支持構造を示す図であって、ピストンポンプ4の軸方向視した図である。
【0050】
実施例1ではブレーキ配管2,3として鋼管を用いたが、実施例2ではブレーキ配管2,3として変位可能なフレキシブルホースを用いた。また、実施例1では、液圧制御ユニット1内の上下方向に対して、ピストンポンプ4の軸線の位置よりも上側に車両運動量検出部22を配置した。一方、実施例2では液圧制御ユニット1内の上下方向に対して、ピストンポンプ4の軸線の位置よりも下側に車両運動量検出部22を配置した。
【0051】
[実施例2の構成による作用]
実施例2の液圧制御ユニット1は、ハウジングユニットHUを車両搭載の際の上面HU3(図中の上側)にはホイルシリンダポートPWCが設けられ、側面HU1の上部の側面HU4にはマスタシリンダポートPMCが設けられている。このホイルシリンダポートPWCとマスタシリンダポートPMCにはフレキシブルホースのブレーキ配管2、ブレーキ配管3が接続されるため、液圧制御ユニット1は、ブレーキ配管2、ブレーキ配管3によっては支持されない。よって、振動の支点が重心Gよりも下方となる。
【0052】
そこで実施例2では、液圧制御ユニット1内の上下方向に対して、ピストンポンプ4の軸線の位置よりも下側に車両運動量検出部22を配置した。よって、車両運動量検出部22に作用する振動の変位を抑制することができる。
【0053】
[実施例2の効果]
次に実施例2の効果について、以下に列記する。
【0054】
(11)ハウジングユニットHUの上面のマスタシリンダポートPMCにはフレキシブルホースのブレーキ配管2が、ホイルシリンダポートPWCにはフレキシブルホースのブレーキ配管3がそれぞれ接続されるとともに、ピストンポンプ4の軸線よりもハウジングユニットHUの下面側に車両運動量検出部22を配置した。
【0055】
液圧制御ユニットは、ブレーキ配管がフレキシブルホースであるために支持されず、振動の支点が液圧制御ユニットの重心よりも下方となるため、物理量センサへの振動の入力を抑制することが可能となり、物理量センサの検出誤差を抑制することができる。
【0056】
[他の実施例]
以上、本願発明を実施例1および実施例2に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 液圧制御ユニット
2,3 ブレーキ配管
4 ピストンポンプ
15 モータ
20 コイル
22 車両運動量検出部
31 第1ブラケット
31d 第1マウント部
32 第2ブラケット
32c 第2マウント部
33 マウントラバー
34 マウントラバー
35 ブラケット
35d 第1マウント部
35e 第2マウント部
40 カム
43 シャフト
CB 制御基板
CH コントロールハウジング
CH2 コントロールカバー
M/C マスタシリンダ
HU ハウジングユニット
VL 仮想線
W/C ホイルシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプが内蔵され対向する2面を有するハウジングと、
前記2面のうちの一側面に固定され前記ポンプをモータ軸により回転駆動するモータと、
前記2面のうちの他側面側に配置され当該モータを制御する制御部と、
前記制御部を覆うカバー部と、
前記制御部に一体的に固定された車両の運動量を検出する物理量センサと、
前記ハウジングを車両に弾性的に固定する複数のマウント部と、
を備え、
前記複数のマウント部のうち少なくとも一つは、前記ハウジングに固定されたブラケットを備え、前記ブラケットを介して前記ハウジングを車両に弾性的に固定するものであって、
前記ハウジングを車両搭載時に下面となる方向から見たときに、前記複数のマウント部を結ぶ仮想線で形成された多角形内に前記物理量センサを配置したことを特徴とする液圧ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−131505(P2012−131505A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−43945(P2012−43945)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【分割の表示】特願2007−120946(P2007−120946)の分割
【原出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】