説明

液晶シャッタ眼鏡

【課題】装着感に優れた液晶シャッタ眼鏡を提供する。
【解決手段】頭部に装着するための左右のつる12R,12Lを含むフレーム10と、フレーム10に設けられ、光の透過状態と透過制限状態とを切換可能な液晶パネル20と、液晶パネル20を透過状態または透過制限状態に切換制御する制御装置30とを備える液晶シャッタ眼鏡1である。制御装置30は、制御基板31Aと、制御基板31Aに電力を供給するバッテリ部32とを含み、液晶パネル20を透過状態および透過制限状態との間で周期的に切り換えるように制御し、制御基板31Aは、フレーム10の左右の一方に配置され、バッテリ部32は、他方に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶シャッタ眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多くのスポーツにおいては、動く対象物を見て機敏に反応する能力が必要とされ、運動選手のこの能力を発達させるためのトレーニング手法が種々研究されている。例えば、従来から、暗室でストロボ光を明滅させ、移動する対象物を間歇的に照らして、この対象物に対し反応するトレーニング方法が知られている。この方法によれば、運動選手は移動する対象物が本来の速度よりも遅く見え、その結果一層敏速な反射運動で反応するよう要求される。
【0003】
このようなトレーニング手法は、トレーニングをするための広い暗室が必要であり、場所が制限されるという問題があった。
そのため、これまで特許文献1に開示されたように、眼鏡型のフレームに液晶レンズを設け、このレンズを透明状態と不透明状態との間を所定周波数で切り替えることで、前記した暗室におけるトレーニングと同様の状態を作り出す動的視力訓練装置が知られている。
【0004】
また、同様の動作をする眼鏡として、特許文献2に開示されたパチスロ遊技補助眼鏡が知られている。
【0005】
これらの装置は、スポーツのトレーニングや、パチスロの遊技に利用できるだけでなく、原理的には連続ストロボフラッシュの代わりとして、エンジンや産業機械などの回転物の動作チェック、その他移動物体の観察に利用することができ、利用範囲は非常に広いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平9−510371号公報
【特許文献2】特開2004−81755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の図1や、特許文献2の図2に示されたような、眼鏡からコントローラ(駆動装置)までを配線で繋いだ装置では、スポーツ選手がトレーニングや競技のときに用いるには、配線がじゃまとなり使いにくいという問題がある。これに対し、特許文献2の図1には、眼鏡の左側のつるに駆動装置が設けられた例が図示されており、配線がじゃまになるという問題はないものの、左右の重量バランスが悪く、スポーツ選手がトレーニングや競技を行うのには重量の偏りが気になってプレーに集中できないという問題がある。さらに、頭の形状は人それぞれであり、この点からも、特にスポーツ選手が用いる場合には好適な装着感が求められる。
【0008】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、装着感に優れた液晶シャッタ眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決する本発明の液晶シャッタ眼鏡は、頭部に装着するための左右のつるを含むフレームと、前記フレームに設けられ、光の透過状態と透過制限状態とを切換可能な液晶パネルと、前記液晶パネルを前記透過状態または前記透過制限状態に切換制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、制御基板と、当該制御基板に電力を供給するバッテリ部とを含み、前記液晶パネルを前記透過状態および前記透過制限状態との間で周期的に切り換えるように制御し、前記制御基板は、前記フレームの左右の一方に配置され、前記バッテリ部は、他方に配置されたことを特徴とする。
【0010】
このように、フレームに液晶パネルの制御装置を配置することで、液晶シャッタ眼鏡から配線が引き出されないのでスポーツのトレーニングまたは競技で使用する際に配線がじゃまにならない。その上、制御基板とバッテリ部とを、フレームの左右に分けて配置したため、左右の重量バランスがよくなる。したがって、スポーツのトレーニングまたは競技で使用する際に装着感が良く、プレーに集中することができる。なお、ここでいうバッテリ部とは、バッテリが設けられる部分のことであり、バッテリが内蔵される場合もあれば、着脱式のバッテリが装着されるバッテリケースである場合もある。
【0011】
前記した液晶シャッタ眼鏡においては、前記フレームは、鼻当てと、当該鼻当てを、前記液晶パネルの面に対し、近接離間する方向に移動可能にするネジ部材とを備えた構成とすることができる。
【0012】
このように、ネジ部材により鼻当てを液晶パネルの面に対し、近接離間する方向に移動可能にすることで、一つの液晶シャッタ眼鏡を複数人で使う場合においても、ネジ部材により鼻当ての位置を繰り返し調整でき、装着感を良くすることができる。これにより、一つの液晶シャッタ眼鏡を友人間で使い回したり、スポーツクラブ、ゴルフ練習場などでレンタルに供したりすることができる。
【0013】
前記した液晶シャッタ眼鏡において、前記液晶パネルは、非通電時に透過状態になるように構成されることで、非通電時に顔から外さなくても視界を遮らないので、利便性を向上することができる。
【0014】
一方、前記液晶パネルは、TN型であるとともに非通電時に透過制限状態になるように構成され、前記透過制限状態は、半透明状態である構成としてもよい。この場合には、非通電状態において、液晶パネルがサングラスのレンズと同様の、光を一部遮る状態になるので、シャッタ機能の非使用時(非通電時)にも、そのままサングラス代わりとして装着したままとすることができ、特に野外スポーツで使用する場合に利便性に優れる。
【0015】
また、前記制御基板は、前記液晶シャッタ眼鏡とは別体に構成されたコントローラからの無線信号を受信する受信機を備え、前記コントローラからの無線信号によって作動するように構成されていてもよい。この場合には、ユーザが手元のコントローラによって制御基板を作動させることができるので、操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液晶シャッタ眼鏡によれば、制御基板とバッテリ部とをフレームの左右に分けて配置することで、左右の重量バランスが良く装着感に優れ、鼻当ての位置を繰り返し調整できることで、装着感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】液晶シャッタ眼鏡を前方から見た外観斜視図である。
【図2】液晶シャッタ眼鏡を後方から見た分解斜視図である。
【図3】液晶パネルの配線を示す図である。
【図4】制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】鼻当ての動作を説明する図である。
【図6】液晶シャッタ眼鏡の操作部をリモコン式にした形態を示す外観斜視図である。
【図7】図6の液晶シャッタ眼鏡とコントローラの電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、一実施形態に係る液晶シャッタ眼鏡1は、フレーム10と、液晶パネル20(20R,20L)と制御装置30とを備えて構成されている。
【0019】
フレーム10は、一般的な眼鏡と同様に、リム11と、左のつる12Lと、右のつる12Rとを備えて構成されている。リム11は、図2に示すように、前リム11Aと後リム11Bとを小ねじ(図示せず)により締結してなり、前リム11Aと後リム11Bとの間には、配線コード33を収納できる空間が形成されている。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、液晶シャッタ眼鏡1を装着した人の前後、左右、上下に従うものとする。
【0020】
前リム11Aは、一般的な眼鏡と同様に、レンズ(本実施形態では液晶パネル20が用いられる)が設けられる開口11Cが形成され、後リム11Bにも同様に、開口11Cに対応して、レンズが設けられる開口11Dが形成されている。
【0021】
後リム11Bのブリッジ11Eの部分には、鼻当て16が取り付けられている。ブリッジ11Eの後面には、後方に突出して延びる2つのピン18が設けられている。鼻当て16は、本体部16Aと、本体部16Aから下方で左右に延び出した2つのパッド16Bとを備えており、本体部16Aに、前記したピン18に対応する貫通孔16Cが設けられている。ピン18は、貫通孔16Cに挿通され、これにより、鼻当て16は、ピン18の長手方向、すなわち前後方向に沿っての移動が案内されている。鼻当て16の本体部16Aの中央には、前方にネジ部が突出するように固定されたネジ軸17Aが設けられている。ネジ軸17Aは、後リム11Bの左右方向中央に設けられた軸支孔14に挿通され、ナット17Bが螺合されている。ナット17Bは、円盤形をなし、図1に示すように、上側の一部がリム11の上部から露出している。ナット17Bは、図2に示すように、後リム11Bのブリッジ11Eに形成された、上方に開口する凹部19に収容され、図5(a)に示すように、この凹部19の前後の壁と前リム11Aとより前後方向への移動が規制されている。ネジ軸17Aおよびナット17Bは、ネジ部材の一例である。
【0022】
図1に示すように、左のつる12Lは、人が装着したときにこめかみに対応する部分に、制御基板31Aが収容された箱状の基板収納部31が設けられている。基板収納部31は、図示しない小ねじにより開閉可能なカバー15Lが設けられている。カバー15Lには、開口15Pが形成され、内部の制御基板31Aに接続された表示部38を視認することができるようになっている。基板収納部31には、制御基板31Aに接続された操作部としてのスイッチ35A〜35Eが外部に露出して設けられている。
【0023】
右のつる12Rは、基板収納部31と左右対称な位置に、バッテリ32Aが収容された箱状のバッテリ部32が設けられている。バッテリ部32には、図示しない小ねじにより開閉可能なカバー15Rが設けられている。
【0024】
液晶パネル20は、非通電時において光の透過率が高い透過状態となり、通電時に光の透過率が低い透過制限状態となるTN型のパネルである。液晶パネル20は、図2に示すように、八角形に成形され、上部から配線コード33が引き出されて、この配線コード33が、リム11の上部に形成された空間内に配置されている。
【0025】
図3に示すように、制御装置30は、右のつる12Rに配置されたバッテリ32Aから配線コード33Aにより、左のつる12Lに配置された制御基板31Aに電力供給のための配線がなされている。そして、制御基板31Aから、配線コード33Bにより左の液晶パネル20Lに信号が送られ、左の液晶パネル20Lから配線コード33Cにより右の液晶パネル20Rに信号が送られるように配線されている。
【0026】
図4に示すように、制御装置30は、バッテリ32Aを有し、メインスイッチ35Aを介して制御基板31Aに電力が供給される。
制御基板31Aは、パルス発生器36a、周波数制御装置36b、パルス幅制御装置36c、設定選択部36d、LCDドライバ36e,36f、および設定記憶部39を有する。
【0027】
設定記憶部39には、プリセットされた設定名と、パルスのデューティ比および周波数の関係が記憶されている。例えば、F01の設定名に対しては、デューティ比が50%などと記憶されている。デューティ比は、例えば、5%刻みで50〜95%まで設定されている。同様に、005の設定名に対しては、周波数が2Hzなどと記憶されている。周波数は、例えば、2〜500Hzの範囲で適宜なステップで設定されている。また、設定記憶部39には、作動中にスリープスイッチ35Bが押された場合に、現在選択されている設定名が記憶される。
【0028】
設定選択部36dは、スリープスイッチ35B、ダウンスイッチ35D、アップスイッチ35Cおよびモードスイッチ35Eが接続されている。モードスイッチ35Eは、デューティ比の変更をするデューティ変更モードと周波数の変更をする周波数変更モードとを押される度に切り換えるスイッチであり、デューティ変更モードでは、ダウンスイッチ35D、アップスイッチ35Cの操作により、それぞれ降順および昇順で設定記憶部39から設定名およびそれに対応するデューティ比が読み出される。モードスイッチ35Eを押して周波数変更モードにすると、ダウンスイッチ35D、アップスイッチ35Cの操作により、それぞれ降順および昇順で設定記憶部39から設定名およびそれに対応する周波数が読み出される。
【0029】
読み出されたデューティ比は、パルス幅制御装置36cへ出力され、周波数は、周波数制御装置36bへ出力される。そして、周波数制御装置36bの動作によりパルス発生器36aで発生するパルス信号の周波数が変更される。そして、パルス発生器36aで発生したパルス信号はパルス幅制御装置36cへ出力され、パルス幅制御装置36cでパルス幅が変更された上でLCDドライバ36eへ出力される。
【0030】
LCDドライバ36eは、パルス幅制御装置36cから入力されたパルス信号を液晶パネル20R,20Lの動作電圧に増幅してそれらへ出力する。
【0031】
一方で、設定選択部36dで読み出された設定名は、LCDドライバ36fへ出力され、LCDドライバ36fにより表示部38で設定名が表示される。スリープスイッチ35Bは、前記したように、液晶シャッタ眼鏡1の作動中に押されると、設定選択部36dが、現在の設定名を設定記憶部39に記憶させ、パルス発生器36a、周波数制御装置36b、パルス幅制御装置36c、設定選択部36d、およびLCDドライバ36e,36fの動作を停止させる。そして、停止状態中に再度スリープスイッチ35Bが押された場合には、記憶していた現在の設定を読み出して、停止前の設定で再度作動を開始させる。なお、メインスイッチ35Aにより電源を切った場合には、設定記憶部39は、変更した設定値をリセットし、次回電源を入れたときにはプリセットされたデューティ比および周波数が読み出されるようになっている。
【0032】
以上のように構成された液晶シャッタ眼鏡1の動作について説明する。
使用者は、通常の眼鏡と同様にして液晶シャッタ眼鏡1を顔に装着し、メインスイッチ35Aを押して制御基板31Aの電源を入れる。制御基板31Aは、プリセットされた初期値としてのデューティ比(設定名F01)および周波数(設定名005)を設定記憶部39から読み出して、周波数制御装置36bとパルス幅制御装置36cに出力する。周波数制御装置36bはパルス発生器36aで発生するパルス信号の周波数を変更し、パルス発生器36aは、この周波数に従い、パルス信号を発生し、パルス幅制御装置36cに出力する。パルス幅制御装置36cは、パルス幅を変更したパルス信号をLCDドライバ36eに出力する。LCDドライバ36eは、入力されたパルス信号を液晶パネル20の動作に適した電圧にして、同じ信号を左右の液晶パネル20R,20Lに出力する。また、LCDドライバ36fは、設定名を表示部38に表示させる。
【0033】
これにより、左右の液晶パネル20R,20Lは、左右同時に透過状態と透過制限状態との間を周期的に切り換わる、いわば、点滅した状態となる。これにより、液晶シャッタ眼鏡1を装着した人は、物体を所定の周期で断続的に視認して、スポーツの練習をしたり、運動物体の観察、例えば機械の動作をチェックしたりすることができる。
【0034】
使用者が、観察する物体にあわせて非透過状態が占める時間的割合を変更したい場合には、アップスイッチ35Cまたはダウンスイッチ35Dを押す。これにより、設定選択部36dが設定記憶部39から異なるデューティ比の設定を読み出す。また、使用者が、観察する物体にあわせて、周波数を変更したい場合には、モードスイッチ35Eを押して周波数変更モードにした後、アップスイッチ35Cまたはダウンスイッチ35Dを押す。これにより、設定選択部36dが設定記憶部39から異なる周波数の設定値を読み出す。これらの読み出された設定値は、設定記憶部39に記憶される。そして、変更された設定値に基づき、周波数制御装置36b、パルス発生器36a、パルス幅制御装置36cおよびLCDドライバ36eが動作することで、異なるデューティ比および周波数で左右の液晶パネル20R,20Lが同時に(同期して)点滅する。
【0035】
このようにして、本実施形態の液晶シャッタ眼鏡1によれば、観察しようとする運動物体の特性にあわせてデューティ比および周波数を変更して液晶パネル20R,20Lを点滅させることができる。
【0036】
このとき、本実施形態の液晶シャッタ眼鏡1は、比較的重量が大きいバッテリ32Aと、制御基板31Aとが左右のつる12R,12Lに分けて配置されているので、左右の重量バランスがよい。バッテリ32Aおよび制御基板31Aの小型化ができたとしても、この2つの部品は、多少なりとも重量を有し、つるの一方のみに配置すると、どうしても左右の重量バランスが悪くなってしまうところ、本実施形態の液晶シャッタ眼鏡1では、このようなアンバランスが無いため、装着感に優れ、特にスポーツ選手が使用する場合に、プレーに集中できるというメリットがある。
【0037】
また、使用者が鼻当て16の位置を調整する場合には、図5(a),(b)に示すように、ナット17Bを回転させる。ナット17Bが回転すると、ナット17Bの前後方向の位置は、凹部19の前後の壁と前リム11Aとによりリム11に対して規制されているので、ナット17Bに螺合したネジ軸17Aがリム11に対して前後に移動する。この結果、ネジ軸17Aと一体となった鼻当て16が液晶パネル20の面に対して近接離間する方向、つまり前後に移動する。これにより、鼻当て16の前後方向位置が調整でき、使用者の顔と液晶パネル20の距離を調整できる。このネジ部材による調整は、通常の眼鏡のようなワイヤの変形による調整と異なり、ナット17Bの回転により何度でも行えるため、液晶シャッタ眼鏡1を複数人で使い回す場合や、レンタルとして使用させる場合などに有益である。
【0038】
また、本実施形態の液晶シャッタ眼鏡1の液晶パネル20は、非通電時に透過状態であるため、電源を切っているときには、装着したまま視界を得られるので、装着中に、使用を一時停止したい場合にも、いちいち液晶シャッタ眼鏡1を頭部から外す必要がなく、利便性に優れる。
【0039】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、液晶パネル20は、非通電時に透過状態であるように設定したが、液晶素子と組み合わせて使用する偏光板の向きを適度に変更して、非通電時に透過制限状態にしておいてもよい。この場合、液晶パネル20としてTN型を用い、透過制限状態において半透明状態となるように偏向板の向きを決定するとよい。このようにTN型の液晶パネル20を非通電時に半透明とすることで、非通電時にサングラスと同様に用いることができる。つまり、野外スポーツなどでの使用に好適である。
【0040】
このときの半透明状態とは、透過制限状態において適度に視界を遮断する意味からは、可視光透過率は、5〜50%であるのがよく、望ましくは、5〜30%であるのがよく、さらに望ましくは5〜20%であるのがよい。
【0041】
前記実施形態の液晶シャッタ眼鏡1においては、バッテリ32Aおよび制御基板31Aを左右のつる12R,12Lに分けて配置することで左右の重量バランスをとったが、左右の重量バランスをより向上させるために、バッテリ32Aおよび制御基板31Aのうち軽い側に、重りを別途設けてバランスをとってもよい。
【0042】
前記実施形態においては、液晶シャッタ眼鏡1のつる12Lに操作部や表示部を一体に設けたが、本発明はこれに限定されず、図6に示すように、リモコン式にしてもよい。具体的に、図6の形態に係る液晶シャッタ眼鏡1’は、主に、前記実施形態に係る液晶シャッタ眼鏡1から各スイッチ35B〜35Eと、表示部38と、制御基板31Aの一部(LCDドライバ36f等)を取り除いた構造となっている。なお、このようにスイッチ35B〜35E等を取り除くことにより、液晶シャッタ眼鏡1’の左右の重量バランスが崩れた場合には、適宜、左のつる12Lに重りを設けて重量バランスを調整すればよい。
【0043】
そして、取り除いたスイッチ35B〜35E等は、液晶シャッタ眼鏡1’とは別体に構成されたコントローラ40に設けられている。具体的には、図7に示すように、コントローラ40は、前記実施形態と同様のスイッチ35B〜35E、設定選択部36d、LCDドライバ36f、設定記憶部39および表示部38を有している。また、設定選択部36d等を備えた制御基板40Aには、設定選択部36dが設定記憶部39から読み出す各種データを液晶シャッタ眼鏡1’の受信機37に無線信号で発信する発信機41が設けられている。なお、コントローラ40には、制御基板40Aに電力を供給するバッテリ42と、制御基板40Aへの電力供給を切り替えるメインスイッチ43も設けられている。
【0044】
一方、液晶シャッタ眼鏡1’の制御基板31A’には、前記実施形態と同様の周波数制御装置36b、パルス発生器36a、パルス幅制御装置36cおよびLCDドライバ36eが設けられる他、コントローラ40からの無線信号を受信する受信機37が設けられている。受信機37は、周波数制御装置36bとパルス幅制御装置36cに信号を送るように構成されており、これにより、コントローラ40からの無線信号によって液晶シャッタ眼鏡1’が作動するように構成されている。
【0045】
このような形態によれば、液晶シャッタ眼鏡1’を簡易化できるので、液晶シャッタ眼鏡1’の軽量化を図ることができる。また、ユーザは、手元のコントローラ40の表示部38を見ながら各スイッチ35B〜35Eを操作して、各種設定を変更できるので、操作性を格段に向上させることができる。
【0046】
前記実施形態では、液晶シャッタ眼鏡1のレンズとして左右2枚の液晶パネル20R,20Lを用いたが、本発明はこれに限定されず、左右のレンズが繋がった1枚レンズの眼鏡に本発明を適用する場合には、液晶パネルを1枚としてもよい。なお、この場合は、配線を少なくすることができる。
【0047】
前記実施形態では、左右の液晶パネル20R,20Lの状態を左右同時に切り替えるようにしたが、本発明はこれに限定されず、同時でなくてもよく、例えば、右側の液晶パネルを透過制限状態にしたまま、左側の液晶パネルの状態のみを切り替えるようにしてもよい。
【0048】
前記実施形態では、制御基板31Aとバッテリ部32をそれぞれ左右のつる12R,12Lに分けて設置したが、本発明はこれに限定されず、制御基板31Aとバッテリ部32はフレーム10の左側部分と右側部分に分けられて設置されていればよい。例えば、リム11の左右の一方に制御基板を設け、他方にバッテリ部を設けてもよい。
【0049】
ただし、リム11の左右方向外側部分には設置するスペースが少ないため、左右のつるに制御基板等を設けた方が、バッテリ部として大きくて大容量なものを使うことができる。また、つるに制御基板等を設ける場合には、前記実施形態のようにつるの前部(リム側)に制御基板等を設けるのが望ましい。このようにつるの前部に制御基板等を設ける場合には、操作性がよく、また、眼鏡を畳んだときに制御基板を収容する部分とバッテリ部を収容する部分との干渉を防ぐことができ、制御基板等を保護することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 液晶シャッタ眼鏡
10 フレーム
16 鼻当て
17A ネジ軸
17B ナット
20(20R,20L) 液晶パネル
30 制御装置
31 基板収納部
31A 制御基板
32 バッテリ部
32A バッテリ
33 配線コード
35A メインスイッチ
35B スリープスイッチ
35C アップスイッチ
35D ダウンスイッチ
35E モードスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に装着するための左右のつるを含むフレームと、
前記フレームに設けられ、光の透過状態と透過制限状態とを切換可能な液晶パネルと、
前記液晶パネルを前記透過状態または前記透過制限状態に切換制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、制御基板と、当該制御基板に電力を供給するバッテリ部とを含み、前記液晶パネルを前記透過状態および前記透過制限状態との間で周期的に切り換えるように制御し、
前記制御基板は、前記フレームの左右の一方に配置され、前記バッテリ部は、他方に配置されたことを特徴とする液晶シャッタ眼鏡。
【請求項2】
前記フレームは、鼻当てと、当該鼻当てを前記液晶パネルの面に対し近接離間する方向に移動可能にするネジ部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の液晶シャッタ眼鏡。
【請求項3】
前記液晶パネルは、非通電時に透過状態になるように構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶シャッタ眼鏡。
【請求項4】
前記液晶パネルは、TN型であるとともに非通電時に透過制限状態になるように構成され、前記透過制限状態は、半透明状態であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶シャッタ眼鏡。
【請求項5】
前記制御基板は、前記液晶シャッタ眼鏡とは別体に構成されたコントローラからの無線信号を受信する受信機を備え、前記コントローラからの無線信号によって作動するように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の液晶シャッタ眼鏡。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−211177(P2010−211177A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210840(P2009−210840)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(300090972)
【Fターム(参考)】