説明

液晶パネルの製造方法及び液晶パネルの製造装置

【課題】マザー基板から液晶パネルを複数取りする製造方法であって、液晶パネルとなる
各個体のセルギャップを均一に形成することができる液晶パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】第2のマザー基板32を支持固定する可動定盤43に、第1のマザー基板3
1上に形成された各シール材13に対して対向する位置に配置された押圧凸部48を備え
たプレート部材47を設けた。そして、可動定盤43を下動させて、第1のマザー基板3
1と第2のマザー基板32と各シール材13を介して押圧して貼り合わせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの製造方法及び液晶パネルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルは、ガラス基板上に画素電極、薄膜トランジスタ(TFT)等を形成
した素子基板と、ガラス基板上に対向電極、カラーフィルタ等を形成した対向基板とをシ
ール材を介して貼り合わせ(例えば特許文献1)、その両基板間であってシール材で囲ま
れたセル形成空間に液晶を充填させている。ところで、シール材で囲まれたセル形成空間
に充填される液晶は全領域で均一、すなわち、セルギャップが均一であることが望ましい

【0003】
そこで、特許文献2では、素子基板と対向基板との間隔(セルギャップ)を検出しその
検出結果に基づいて加圧手段を制御して素子基板と対向基板の間隔(セルギャップ)が所
望の間隔になるように素子基板と対向基板を貼り合わせている。
【0004】
また、液晶とともに樹脂スペーサやフォトスペーサをセル形成空間内に介在させ、これ
らスペーサによって、シール材で囲まれた空間において素子基板と対向基板との間隔を一
定に保持するようにしている。
【0005】
しかしながら、プロジェクター等でスクリーンに拡大して使用される投影型液晶パネル
では、1画素が10マイクロメートル角と非常に微細な画素であることから、前記スペー
サが拡大されたスクリーンに映り込まれて表示品質を低下させることが知られている。
【0006】
そこで、投影型液晶パネルでは、これらスペーサを使用することはできず、シール材だ
けで、素子基板と対向基板とを貼り合わせることが行われていた。
【特許文献1】特開2000−137235号公報
【特許文献2】特開平6−18829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このように形成される液晶パネルは、生産性を図るために、一つのマザーガ
ラスに、前記回路基板となる回路基板部を多数形成する。一方、もう一つのマザーガラス
に対向電極側基板となる対向電極側基板部を多数形成する。そして、両マザーガラスを各
回路基板部と各対向電極側基板部とがそれぞれ相対向するように貼り合わせる。そして、
回路基板部と対向電極側基板部とが貼り合わさった部分をカットすることによって液晶パ
ネルが作られる。いわゆる多数個取り行われている。
【0008】
しかしながら、両マザーガラスを圧着して貼り合わせる場合、圧力バランスが均一でな
いため、各個体(液晶パネル)間で、そのセルギャップが相違していた。そこで、両マザ
ーガラスを貼り合わせる際、時間を掛けて全体に均一な圧力が加わるようにすることが考
えられるが、生産性を図る上で問題となる。
【0009】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、マザー基
板から液晶パネルを複数取りする製造方法であって、液晶パネルとなる各個体のセルギャ
ップを均一に形成することができる液晶パネルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液晶パネルの製造方法は、複数の素子基板を形成した第1のマザー基板と複数
に対向基板を形成した第2のマザー基板とを貼り合わせることによって、対応する前記素
子基板と前記対向基板同士がそれぞれシール材を介して貼り合わされ、前記各シール材で
囲まれたセル形成空間に液晶がそれぞれ充填されるようにした液晶パネルの製造方法にお
いて、前記第1のマザー基板と前記第2のマザー基板の少なくともいずれか一方であって
、前記素子基板と前記対向基板との間に形成された前記シール材と対向する部分に当接し
、その当接部分に対して押圧しながら、前記第1のマザー基板と前記第2のマザー基板と
を互いに前記シール材を介して圧着する。
【0011】
これによれば、第1のマザー基板と第2のマザー基板の少なくともいずれか一方であっ
て、シール材と対向する部分に当接しその当接部分に対して押圧することから、第1のマ
ザー基板と第2のマザー基板を貼り合わすことによって形成される複数の液晶パネルにお
けるシール材で囲まれた各セル形成空間に位置する部分には、その貼り合わす際に、押圧
力が加わらない。従って、第1のマザー基板と第2のマザー基板とを貼り合わすことよっ
て形成される複数の液晶パネルのセルギャップは、マザー基板の形成位置に左右されるこ
となく均一に形成することができる。
【0012】
この液晶パネルの製造方法において、前記各シール材で囲まれた前記セル形成空間を形
成する前記第1のマザー基板及び前記第2のマザー基板の少なくともいずれか一方のセル
形成部を押圧しながら、前記第1のマザー基板と前記第2のマザー基板とを互いに前記シ
ール材を介して圧着するようにしてもよい。
【0013】
これによれば、各シール材で囲まれたセル形成空間を形成する第1のマザー基板(素子
基板)及び第2のマザー基板(対向基板)は押圧される。従って、各当接部分を押圧しな
がら第1のマザー基板及び第2のマザー基板の少なくともいずれか一方を、それぞれ貼り
合わしたときに、各セル形成空間が膨らむのを抑制することができる。従って、各液晶パ
ネルのセルギャップをさらに均一にすることができる。
【0014】
この液晶パネルの製造方法において、前記シール材は、感光性硬化樹脂であってもよい

これによれば、特定の波長の光(例えば、紫外光)を照射することで簡単にシール材が
硬化することから、セル形成空間に充填された液晶に対して影響を与えないで第1のマザ
ー基板(素子基板)と第2のマザー基板(対向基板)とを強固に張り合わせることができ
る。
【0015】
本発明の液晶パネルの製造装置は、複数の素子基板を形成した第1のマザー基板を保持
する第1定盤と、複数の対向基板を形成した第2のマザー基板を保持する第2定盤と、前
記第1定盤と前記第2定盤を相対向する方向に相対移動させ、前記第1のマザー基板と第
2のマザー基板とを貼り合わせする定盤駆動手段とを備え、第1のマザー基板と第2のマ
ザー基板とを貼り合わせることによって、対応する前記素子基板と前記対向基板同士がそ
れぞれシール材を介して貼り合わされ、前記各シール材で囲まれたセル形成空間に液晶が
それぞれ充填されるようにした液晶パネルの製造装置おいて、前記第1定盤と前記第2定
盤の少なくとも一方の定盤のマザー基板押圧面上に、前記素子基板と前記対向基板のいず
れか一方の基板であって前記シール材と対向する部分に当接し押圧する凸部を形成した。
【0016】
これによれば、第1定盤と第2定盤の少なくとも一方の定盤のマザー基板押圧面に設け
た凸部によって、第1のマザー基板と第2のマザー基板とを貼り合わす際に、素子基板と
対向基板のいずれか一方の基板であってシール材と対向する部分が押圧される。従って、
第1のマザー基板と第2のマザー基板を貼り合わすことによって形成される複数の液晶パ
ネルにおけるシール材で囲まれた各空間に位置する部分には、その貼り合わす際に、押圧
力が加わらない。その結果、第1のマザー基板と第2のマザー基板とを貼り合わすことよ
って形成される複数の液晶パネルのセルギャップは、マザー基板の形成位置に左右される
ことなく均一に形成することができる。
【0017】
この液晶パネルの製造装置において、前記マザー基板押圧面上に、前記各シール材で囲
まれた前記セル形成空間を形成する前記第1のマザー基板及び前記第2のマザー基板の少
なくともいずれか一方のセル形成部を押圧する押圧手段を設けてもよい。
【0018】
これによれば、各シール材で囲まれたセル形成空間を形成する第1のマザー基板(素子
基板)及び第2のマザー基板(対向基板)は押圧される。従って、各当接部分を押圧しな
がら第1のマザー基板及び第2のマザー基板の少なくともいずれか一方を、それぞれ貼り
合わしたときに、各セル形成空間が膨らむのを抑制することができる。従って、各液晶パ
ネルのセルギャップをさらに均一にすることができる。
【0019】
この液晶パネルの製造装置において、前記押圧手段は、凸形状を成した第2の凸部であ
ってもよい。
これによれば、各シール材で囲まれたセル形成空間を形成する第1のマザー基板(素子
基板)及び第2のマザー基板(対向基板)は確実に押圧される。
【0020】
この液晶パネルの製造装置において、前記マザー基板押圧面上に、その前記各シール材
で囲まれた前記セル形成空間に対向した位置に空気孔を備え、前記押圧手段は、前記空気
孔から噴出される空気であってもよい。
【0021】
これによれば、空気孔から噴出される空気の圧力を変化させることで、各シール材で囲
まれたセル形成空間を形成する第1のマザー基板(素子基板)及び第2のマザー基板(対
向基板)を押圧する圧力を制御することで、各液晶パネルのセルギャップをさらに均一に
することができる。
【0022】
この液晶パネルの製造装置において、前記凸部は、前記第1定盤と前記第2定盤の少な
くとも一方の定盤のマザー基板押圧面上に貼設されたプレート部材上に形成されていても
よい。
【0023】
これによれば、従来の第1定盤及び第2定盤上のいずれかの表面に凸部が形成されたシ
ート部材を設けただけなので、新たな定盤を用意する必要はない。この結果、液晶パネル
のセルギャップを均一にすることの可能な液晶パネルの製造装置を低コストで実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。まず、本発明の
製造方法によって形成した液晶パネルについて説明する。図1は、液晶パネルの斜視図で
あり、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0025】
図1において、液晶パネル10には、互いに相対向する素子基板11と対向基板12が
備えられている。図2に示すように、素子基板11と対向基板12は、紫外線光硬化性樹
脂からなる四角枠状のシール材13を介して貼り合わされている。これら素子基板11と
対向基板12との間隙であってシール材13で囲まれた空間(セル形成空間S)には、液
晶Fが充填されている。
【0026】
図1において、素子基板11の下面Maには、偏光板や位相差板などの光学基板15が
貼り合わされている。光学基板15は、該光学基板15の反Z矢印方向側に設けられた図
示しないバックライトからの光を直線偏光にして液晶Fに出射するようになっている。素
子基板11の上面(対向基板12側の側面:素子形成面Mb)には、一方向(X矢印方向
)略全幅に渡って延設される複数の走査線LXが配列形成されている。各走査線LXは、
それぞれ図示しない走査線駆動回路に電気的に接続されるとともに、その走査線駆動回路
からの走査信号が、所定のタイミングで入力されるようになっている。
【0027】
また、素子形成面Mb上には、Y矢印方向略全幅に渡って延設される複数のデータ線L
Yが配列形成されている。各データ線LYは、それぞれ図示しないデータ線駆動回路に電
気的に接続されるとともに、そのデータ線駆動回路からの表示データに基づくデータ信号
が所定のタイミングで入力されるようになっている。
【0028】
さらに、素子形成面Mb上であって、走査線LXとデータ線LYの交差に対応した位置
には、画素20が形成されている。画素20は、対応する走査線LXとデータ線LYとに
接続されている。つまり、画素20は、素子形成面Mb上にマトリックス状に配列形成さ
れている。各画素20には、それぞれ薄膜トランジスタ(TFT)などの図示しない制御
素子や、透明導電膜などからなる光透過性の画素電極21が備えられている。
【0029】
図2において、各画素20の上側全体には、ラビング処理などによる配向処理の施され
た配向膜22が積層されている。配向膜22は、配向性ポリイミドなどの配向性高分子に
よって形成されて、対応する画素電極21の近傍で、液晶分子の配向を所定の方向に設定
するようになっている。
【0030】
対向基板12の上面Na上には、光学基板15側から入射した光と直交する直線偏光の
光を外方(図2における上方)に出射する偏光板23が貼り合わされている。対向基板1
2の下面(素子基板11側の側面:電極形成面Nb)には、各画素電極21と相対向する
ように形成された光透過性の導電膜からなる対向電極24が積層されている。対向電極2
4は、前記データ線駆動回路に電気的に接続されるとともに、そのデータ線駆動回路から
の所定の共通電位が付与されるようになっている。対向電極24の下面全体には、ラビン
グ処理などによる配向処理の施された配向膜25が積層されて、前記対向電極24の近傍
で、液晶Fの液晶分子の配向を所定の方向に設定するようになっている。
【0031】
そして、各走査線LXを線順次走査に基づいて1本ずつ所定のタイミングで選択して、
各画素20の制御素子を、それぞれ選択期間中だけオン状態にする。すると、各制御素子
に対応する各画素電極21に、対応するデータ線LYからの表示データに基づくデータ信
号が出力される。各画素電極21にデータ信号が出力されると、各画素電極21と対向電
極24との間の電位差に基づいて、対応する液晶Fの配向状態が変調される。この結果、
光学基板15からの光の偏光状態が画素20ごとに変調される。そして、画素20ごとに
変調された光が偏光板23を通過するか否かによって、表示データに基づく画像が、液晶
パネル10の上側に表示される。
【0032】
このように構成された液晶パネル10は、図2に示すように、素子基板11と対向基板
12とがシール材13を介して互いに平行に張り合わされている。つまり、素子基板11
と対向基板12との間のギャップ(セルギャップ)長Lgは、素子基板11(対向基板1
2)の全領域に渡って均一となっている。この結果、セル形成空間Sに充填される液晶F
は全領域で均一となることから、液晶パネル10では、輝度ムラなどを来たすことなく、
その表示画質を維持させることができる。
【0033】
次に、液晶パネル10の製造方法について説明する。図3において、第1のマザー基板
31は1枚のガラス基板であって、そのマザー基板31上に予め前記シール材13を備え
た複数の前記素子基板11がマトリクス状に区画形成されている。また、このマザー基板
31の各素子基板11上には、前記走査線LX、データ線LY、画素電極21、配向膜2
2,25等(図1参照)が形成されている。尚、図3においては、一例として、X矢印方
向に3列、Y矢印方向に3列の、合計3×3=9個の素子基板11が1枚のマザー基板3
1上にマトリクス状に区画形成されている。
【0034】
第1のマザー基板31上の各素子基板11に設けられたシール材13は、それぞれ、前
記セル形成空間Sを区画形成する四角枠状を成している。シール材13の一辺の中央位置
には、シール材13が切り欠かけることで形成された液晶導入口13aが形成されている

【0035】
第2のマザー基板32は、第1のマザー基板31と同じく1枚のガラス基板であって、
複数の前記対向基板12が区画形成されている。この第2のマザー基板32の各対向基板
12上には、前記対向電極24、偏光板23、配向膜25等(図1参照)が形成されてい
る。尚、図3においては、一例として、素子基板11に配置位置に合わせて、X矢印方向
に3列、Y矢印方向に3列の、合計3×3=9個の対向基板12が1枚のマザー基板32
上にマトリクス状に区画形成されている。
【0036】
そして、第1のマザー基板31と第2のマザー基板32とを、それぞれ対応する素子基
板11と対向基板12とが相対向するように、前記シール材13を介して圧着させ、その
後、シール材13に対して第1のマザー基板31及び第2のマザー基板32越しに紫外光
を照射することで、シール材13を硬化させて貼り合わせる。そして、貼り合わされた両
マザー基板31,32をダイシングした後、シール材13に形成した液晶導入口13aを
介してシール材13に囲まれたセル形成空間Sに液晶材料を注入してセル形成空間S内に
液晶Fが形成され、その後、液晶導入口13aを封印して各液晶パネル10を製造する。
【0037】
次に、第1のマザー基板31と第2のマザー基板32とを貼り合わせるための貼り合わ
せ装置40について図4〜図6に従って説明する。図4は、貼り合わせ装置40を構成示
す図である。
【0038】
図4において、貼り合わせ装置40には、直方体形状に形成された基台41が備えられ
るとともに、その基台41の上面には、前記第1のマザー基板31を保持する第1定盤と
しての定置定盤42が設けられている。定置定盤42の上方位置には前記第2のマザー基
板32を保持する第2定盤としての可動定盤43が配置されている。可動定盤43は、基
台41から延びる支持フレーム44に支持された加圧機構45の駆動ロッド46の先端に
連結されている。そして、加圧機構45が駆動することによって、可動定盤43は定置定
盤42に対して上下方向に相対移動するようになっている。また、可動定盤43には、後
記するプレート部材47を介して第2のマザー基板32をそのマザー基板押圧面としての
下面(定置定盤42側の面)43a上で保持するための、静電チャック又は吸引チャック
等の保持機構を備えている。
【0039】
そして、第1のマザー基板31を定置定盤42の所定の位置に載置し、第2のマザー基
板32を可動定盤43上のプレート部材47上の所定の位置に支持固定する。次に、加圧
機構45を駆動させて可動定盤43を定置定盤42に向かって下動させことによって、第
1のマザー基板31と第2のマザー基板32がシール材13を介して圧着される。このと
き、第1のマザー基板31及び第2のマザー基板32にそれぞれ形成された複数の素子基
板11と対向基板12同士がそれぞれシール材13を介して貼り合わされる。
【0040】
図5は、可動定盤43を下側(定置定盤42側)から見た斜視図である。図5において
、可動定盤43は、その下面43aに該下面43aとほぼ同じ大きさのプレート部材47
を備えている。プレート部材47は、複数の押圧凸部48が突出形成されている。尚、図
5においては、前述したように、X矢印方向に3列、Y矢印方向に3列の、合計3×3=
9個の押圧凸部48がマトリクス状に配置されている。
【0041】
各押圧凸部48は、前記シール材13と同形状の四角枠状を成している。そして、図6
に示すように、各押圧凸部48の配置位置は、可動定盤43を下動させて、第1のマザー
基板31と第2のマザー基板32とを各シール材13を介して圧着する際、各押圧凸部4
8がそれぞれ対応する第1のマザー基板31上に形成されたシール材13と、第2のマザ
ー基板32を介して相対向する位置になっている。
【0042】
従って、可動定盤43を下動させて、第1のマザー基板31と第2のマザー基板32と
を各シール材13を介して圧着すると、プレート部材47に形成した各押圧凸部48が、
それぞれ第1のマザー基板31を介して第2のマザー基板32に形成した対応するシール
材13と当接する。その結果、各押圧凸部48にかかる押圧力は、シール材13の上面T
(図3参照)と対向する第2のマザー基板32の部分に加わって、第1のマザー基板31
を第2のマザー基板32に対して圧着することになる。従って、シール材13で囲まれた
各セル形成空間Sに位置する部分には、押圧力を加えずに、各シール材13にのみそれぞ
れ均一に押圧力を加えることができる。この結果、シール材13で囲まれた各セル形成空
間Sに位置する部分には、直接押圧力が加わらないことから、各液晶パネル10のセルギ
ャップ長Lg(図2参照)を均等にすることができる。
【0043】
次に、貼り合わせ装置40の動作について図7に従って説明する。
まず、図7(a)に示すように、定置定盤42上に第1のマザー基板31を載置する。
また、可動定盤43のプレート部材47上に第2のマザー基板32を載置し、前述した静
電チャック又は吸引チャック等の保持機構を作動させて吸着固定する。このとき、第1の
マザー基板31上のシール材13は、未だ紫外光が照射されていないため、硬化していな
い状態である。
【0044】
次に、図7(b)に示すように、加圧機構45(図4参照)を駆動させて可動定盤43
を定置定盤42に向かって下動させる。すると、第1のマザー基板31と第2のマザー基
板32とがシール材13を介して圧着される。
【0045】
続いて、図7(c)に示すように、前記保持機構の作動を停止させ、その後、加圧機構
45を駆動させて可動定盤43を上動させて定置定盤42から離間させる。すると、第1
のマザー基板31と第2のマザー基板32とがシール材13を介して貼り合わされる。こ
の結果、各液晶パネル10に渡ってセルギャップ長Lg(図2参照)が均等となるように
、第1のマザー基板31と第2のマザー基板32とを貼り合わせることができる。
【0046】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、第2のマザー基板32を支持固定する可動定盤43に、
第1のマザー基板31上に形成された各シール材13に対して対向する位置に配置された
押圧凸部48を備えたプレート部材47を設けた。そして、可動定盤43を下動させて、
第1のマザー基板31と第2のマザー基板32と各シール材13を介して押圧して貼り合
わせるようにした。従って、シール材13で囲まれた各セル形成空間Sに位置する部分に
は、その貼り合わす際に、押圧力を加えないようにすることができる。この結果、各液晶
パネル10のセルギャップは、各マザー基板31,32の形成位置に左右されることなく
均一になることから、輝度ムラなどを来たすことなく、その表示画質を維持させることが
できる液晶パネル10を作製することができる。
【0047】
(2)上記実施形態によれば、シール材13を、紫外光硬化樹脂で構成した。そして、
第1のマザー基板31と第2のマザー基板32とを貼り合わした後、第1のマザー基板3
1と第2のマザー基板32越しに紫外光を照射して硬化させるようにした。従って、セル
形成空間Sに充填された液晶Fを構成する液晶材料に対して熱の影響を与えることなく強
固に貼り合わせることができる。
【0048】
(3)上記実施形態によれば、可動定盤43の下面43aに押圧凸部48を備えたプレ
ート部材47を設けた。従って、可動定盤43自体は従来のものをそのまま使用すること
ができることから、低コストで液晶パネル10のセルギャップを均一にすることの可能な
貼り合わせ装置40を実現する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る、貼り合わせ装置について図8及び図9に従って説
明する。本実施形態の貼り合わせ装置は、可動定盤43の下面43aに設けられたプレー
トが上記第1実施形態と異なっている他は同じである。
【0049】
即ち、図8に示すように、本実施形態に係る可動定盤43の下面43aに設けられるプ
レート部材47Aは、押圧凸部48に加えて、各押圧凸部48に囲まれた領域の略中央に
、押圧手段及び第2の凸部としての第2の押圧凸部49が突出形成されている。図9に示
すように、第2の押圧凸部49は、その高さHaが押圧凸部48の高さHoに比べて低く
なっている。
【0050】
このように、前記押圧凸部48に加えて第2の押圧凸部49を備えたプレート部材47
Aは、第2の押圧凸部49が、シール材13で囲まれたセル形成空間Sを形成する第2の
マザー基板32のセル形成部を押圧する。つまり、可動定盤43を下動させて、第1のマ
ザー基板31と第2のマザー基板32とを貼り合わせる際に、何らかの理由で、各シール
材13で囲まれたセル形成空間Sの略中央が膨らんで、その膨らんだ高さが(Ho−Ha
)より高くなった場合、その第2の押圧凸部49が第2のマザー基板32を押圧すること
となる。この結果、各液晶パネル10のセルギャップを、各マザー基板31,32の形成
位置に左右されることなく均一に形成することができる。
【0051】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、押圧凸部48に囲まれた領域の略中央に、押圧凸部48
よりも低い第2の押圧凸部49を設けた。従って、シール材13で囲まれた各セル形成空
間Sの第2のマザー基板32が膨らむのを抑制することができる。この結果、各液晶パネ
ル10のセルギャップを、各マザー基板31,32の形成位置に左右されることなく均一
に形成することができる。
【0052】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、押圧凸部48を備えたプレート部材47を可動定盤43の下面4
3aに設けたが、これを、定置定盤42の上面に設けてもよい。また、プレート部材47
を、各可動定盤43の下面43a及び定置定盤42の上面にそれぞれ設けてもよい。この
ようにすることによっても本発明は適用される。
・上記第2実施形態では、第2の押圧凸部49を備えたプレート部材47Aを可動定盤4
3の下面43aに設けたが、これを、定置定盤42の上面に設けてもよい。また、プレー
ト部材47Aを、各可動定盤43の下面43a及び定置定盤42の上面にそれぞれ設けて
もよい。このようにすることによっても本発明は適用される。
・上記各実施形態では、シール材13を紫外線光硬化性樹脂としたが、熱硬化性樹脂から
なるシール材で実施してもよい。このようにしても、各液晶パネル10のセルギャップを
、各マザー基板31,32の形成位置に左右されることなく均一に形成することができる

・上記各実施形態では、シール材13を複数の対向基板12を形成した第2のマザー基板
32に形成したが、シール材13を第1のマザー基板31側に形成し、両マザー基板31
,32を貼り合わせるようにしてもよい。
・上記第2実施形態では、押圧手段として、プレート部材47A上に突出形成された第2
の押圧凸部49としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、
各押圧凸部48に囲まれた領域であってその略中央に、圧縮空気を排出することが可能な
空気孔Pを形成する。そして、その空気孔Pから圧縮空気を噴出させながら第1のマザー
基板31と第2のマザー基板32と各シール材13を介して貼り合わせるようにしてもよ
い。このとき、前記空気孔Pから排出さる圧縮空気の圧力を予め適宜調整しておくことで
、各シール材13で囲まれたセル形成空間Sを形成する第2のマザー基板32を押圧する
圧力を制御することができることから、各液晶パネル10のセルギャップをさらに均一に
することができる。
・上記各実施形態では、押圧凸部48をプレート部材47上に形成したが、本発明はこれ
に限定されない。可動定盤43の下面43a上に押圧凸部48を直接形成してもよい。ま
た、第2実施形態では、第2の押圧凸部49をプレート部材47上に形成したが、本発明
はこれに限定されない。可動定盤43の下面43a上に第2の押圧凸部49を直接形成し
てもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態に係る液晶パネルの斜視図。
【図2】同じく、液晶パネルの断面図。
【図3】液晶パネルの製造方法を説明する説明図。
【図4】第1実施形態に係る貼り合わせ装置を説明する説明図。
【図5】第1実施形態に係る貼り合わせ装置の可動定盤を説明する斜視図。
【図6】同じく、貼り合わせ装置の側断面図。
【図7】(a)〜(c)は、それぞれ、貼り合わせ装置を説明する説明図。
【図8】第2実施形態に係る貼り合わせ装置の可動定盤を説明する斜視図。
【図9】同じく、第2実施形態に係る貼り合わせの可動定盤を説明する斜視図。
【図10】別例を説明するための図。
【符号の説明】
【0054】
F…液晶、P…空気孔、S…セル形成空間、10…液晶パネル、11…素子基板、12
…対向基板、13…シール材、31…第1のマザー基板、32…第2のマザー基板、42
…第1定盤としての定置定盤、43…第2定盤としての可動定盤、43a…マザー基板押
圧面としての下面、45…定盤駆動手段としての加圧機構、47…プレート部材、48…
凸部としての押圧凸部、49…押圧手段及び第2の凸部としての第2の押圧凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素子基板を形成した第1のマザー基板と複数に対向基板を形成した第2のマザー基
板とを貼り合わせることによって、対応する前記素子基板と前記対向基板同士がそれぞれ
シール材を介して貼り合わされ、前記各シール材で囲まれたセル形成空間に液晶がそれぞ
れ充填されるようにした液晶パネルの製造方法において、
前記第1のマザー基板と前記第2のマザー基板の少なくともいずれか一方であって、前
記素子基板と前記対向基板との間に形成された前記シール材と対向する部分に当接し、そ
の当接部分に対して押圧しながら、前記第1のマザー基板と前記第2のマザー基板とを互
いに前記シール材を介して圧着することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶パネルの製造方法において、
前記各シール材で囲まれた前記セル形成空間を形成する前記第1のマザー基板及び前記
第2のマザー基板の少なくともいずれか一方のセル形成部を押圧しながら、前記第1のマ
ザー基板と前記第2のマザー基板とを互いに前記シール材を介して圧着するようにしたこ
とを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液晶パネルの製造方法において、
前記シール材は、感光性硬化樹脂であることを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項4】
複数の素子基板を形成した第1のマザー基板を保持する第1定盤と、
複数の対向基板を形成した第2のマザー基板を保持する第2定盤と、
前記第1定盤と前記第2定盤を相対向する方向に相対移動させ、前記第1のマザー基板
と第2のマザー基板とを貼り合わせする定盤駆動手段と
を備え、第1のマザー基板と第2のマザー基板とを貼り合わせることによって、対応する
前記素子基板と前記対向基板同士がそれぞれシール材を介して貼り合わされ、前記各シー
ル材で囲まれたセル形成空間に液晶がそれぞれ充填されるようにした液晶パネルの製造装
置おいて、
前記第1定盤と前記第2定盤の少なくとも一方の定盤のマザー基板押圧面上に、前記素
子基板と前記対向基板のいずれか一方の基板であって前記シール材と対向する部分に当接
し押圧する凸部を形成したことを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶パネルの製造装置において、
前記マザー基板押圧面上に、前記各シール材で囲まれた前記セル形成空間を形成する前
記第1のマザー基板及び前記第2のマザー基板の少なくともいずれか一方のセル形成部を
押圧する押圧手段を設けたことを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液晶パネルの製造装置において、
前記押圧手段は、凸形状を成した第2の凸部であることを特徴とする液晶パネルの製造
装置。
【請求項7】
請求項5に記載の液晶パネルの製造装置において、
前記マザー基板押圧面上に、その前記各シール材で囲まれた前記セル形成空間に対向し
た位置に空気孔を備え、
前記押圧手段は、前記空気孔から噴出される空気であることを特徴とする液晶パネルの
製造装置。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一つに記載の液晶パネルの製造装置において、
前記凸部は、前記第1定盤と前記第2定盤の少なくとも一方の定盤のマザー基板押圧面
上に貼設されたプレート部材上に形成されていることを特徴とする液晶パネルの製造装置


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−264242(P2007−264242A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88295(P2006−88295)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】