説明

液晶フィルムおよび光学素子用積層フィルム

【課題】 高温試験と高温高湿試験とのサイクル試験のような厳しい環境試験においても、液晶配向層にクラックなどの外観異常を発生させない薄型の液晶フィルムを提供する。
【解決手段】 硬化アクリル系樹脂層/配向を固定化した液晶物質層/硬化アクリル系樹脂層の順に積層されてなる液晶フィルムであって、少なくとも一層の硬化アクリル系樹脂層のガラス転移温度(Tg)が50℃以上200℃以下であることを特徴とする液晶フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種光学素子に有用な液晶フィルムおよび偏光フィルムと積層された光学素子用積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に用いられる光学フィルムに対しては、優れた光学的性能に加えて、より高耐久性が要求されている。とりわけ、携帯電話などの携帯機器用や車載用の液晶表示装置に対しては、各種の使用条件を想定した厳しい環境試験に合格することが求められている。
液晶化合物の配向層からなる薄膜(フィルム)、とりわけネマチック構造、ねじれネマチック構造、あるいはネマチックハイブリッド構造を固定化した液晶物質からなるフィルムは、液晶表示素子用の色補償や視野角補償用の素子として、また旋光性光学素子等として優れた性能を有し、各種表示素子の高性能化、軽量化に寄与している。これらのフィルムの製造法としては、配向性基板上に形成された液晶物質からなる層を支持基板を兼ねる透光性基板上に転写する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
さらに、液晶表示用素子に求められる過酷な耐久性試験に耐えるための対策として、またより一層の薄型化、軽量化のために、支持基板フィルムを用いない液晶物質からなる光学素子の製造方法も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。かかる製造法によれば、配向性基板上に配向形成された液晶物質よりなる層を、接着剤を介して一旦再剥離性基板に転写させた後に、該再剥離性基板を剥離することにより、支持基板フィルムのない液晶物質層からなる光学素子の製造が可能になった。
【0004】
通常、これらのフィルムは偏光板、あるいはさらに位相差フィルムと貼り合わせて使用する。しかしながら、液晶化合物の配向層から製造される光学フィルムは、例えば高温環境試験と高温高湿環境試験との長時間のサイクル試験において、偏光板の収縮に追随できずに液晶配向層に割れ(クラック)や変形などの外観異常が発生しやすいという問題があった。とりわけ、配向を固定化した液晶物質層が、液晶転移点以上の温度で液晶配向し、液晶転移点以下の温度でガラス状態となる高分子液晶の場合、液晶配向性との兼ね合いから分子量を高めるなどにより、液晶物質層の機械強度を高めるのには限界があった。
【0005】
【特許文献1】特開平4−57017号公報
【特許文献2】特開平4−177216号公報
【特許文献3】特開平6−242434号公報
【特許文献4】特開平8−278491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高温試験と高温高湿試験とのサイクル試験のような厳しい環境試験においても、液晶配向層にクラックなどの外観異常を発生させない薄型の液晶フィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題について鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、硬化アクリル系樹脂層/配向を固定化した液晶物質層/硬化アクリル系樹脂層の順に積層されてなる液晶フィルムであって、少なくとも一層の硬化アクリル系樹脂層のガラス転移温度(Tg)が50℃以上200℃以下であることを特徴とする液晶フィルムに関する。
【0008】
本発明の第2は、硬化アクリル系樹脂層/配向を固定化した液晶物質層/硬化アクリル系樹脂層の順に積層されてなる液晶フィルムであって、一層の硬化アクリル系樹脂層のTgが50℃以上200℃以下であり、他の一層の硬化アクリル系樹脂層のTgが20℃以上100℃以下であることを特徴とする液晶フィルムに関する。
【0009】
本発明の第3は、配向を固定化した液晶物質層が、液晶転移点以上の温度で液晶配向し、液晶転移点以下の温度でガラス状態となる高分子液晶物質からなることを特徴とする前記記載の液晶フィルムに関する。
【0010】
本発明の第4は、配向を固定化した液晶物質層が、液晶配向した低分子液晶物質を光架橋または熱架橋したものであることを特徴とする前記記載の液晶フィルムに関する。
【0011】
さらに本発明の第5は、前記記載の液晶フィルムが、粘接着剤を介して偏光フィルムと積層されてなることを特徴とする光学素子用積層フィルムに関する。
【0012】
なお、上記記載において、「/」は各層の界面を表すものであり、以下同様に表記するものとする。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる液晶の配向が固定化された液晶物質層は、配向状態にある液晶物質を固定化する手段を用いることにより固定化された層である。液晶の配向を固定化する手段としては、高分子液晶物質の場合は配向状態から急冷してガラス化状態にして固定する方法、反応性官能基を有する低分子液晶物質または高分子液晶物質を配向させた後、前記官能基を反応せしめ(硬化・架橋等)固定化する方法などが挙げられる。
【0014】
前記反応性官能基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、酸無水物等が挙げられ、それぞれの基に適した方法で反応が行われる。
【0015】
液晶物質層に使用することのできる液晶物質は、液晶フィルムが目的とする用途や製造方法により、低分子液晶物質、高分子液晶物質を問わず広い範囲から選定することができるが、高分子液晶物質が好ましい。さらに液晶物質の分子形状は、棒状であるか円盤状であるかを問わない。例えば、ディスコティックネマチック液晶性を示すディスコティック液晶化合物も使用することができる。
【0016】
固定化前の液晶物質層の液晶相としては、ネマチック相、ねじれネマチック相、コレステリック相、ハイブリッドネマチック相、ハイブリッドねじれネマチック相、ディスコティックネマチック相、スメクチック相等が挙げられる。
【0017】
前記高分子液晶物質としては、各種の主鎖型高分子液晶物質、側鎖型高分子液晶物質、またはこれらの混合物を用いることができる。
主鎖型高分子液晶物質としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系、ポリエステルイミド系等の高分子液晶物質、またはこれらの混合物等が挙げられる。
また、側鎖型高分子液晶物質としては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系、ポリエステル系等の直鎖状または環状構造の骨格鎖を有する物質に側鎖としてメソゲン基が結合した高分子液晶物質、またはこれらの混合物が挙げられる。
これらのなかでも合成や配向の容易さなどから、主鎖型高分子液晶物質のポリエステル系が好ましい。
【0018】
低分子液晶物質としては、飽和ベンゼンカルボン酸類、不飽和ベンゼンカルボン酸類、ビフェニルカルボン酸類、芳香族オキシカルボン酸類、シッフ塩基型類、ビスアゾメチン化合物類、アゾ化合物類、アゾキシ化合物類、シクロヘキサンエステル化合物類、ステロール化合物類などの末端に前記反応性官能基を導入した液晶性を示す化合物や前記化合物類のなかで液晶性を示す化合物に架橋性化合物を添加した組成物などが挙げられる。
また、ディスコティック液晶化合物としては、トリフェニレン系、トルクセン系等が挙げられる。
【0019】
さらに、液晶物質中に熱または光架橋反応等によって反応しうる官能基または部位を有している各種化合物を液晶性の発現を妨げない範囲で配合しても良い。架橋反応しうる官能基としては、前述の各種の反応性官能基などが挙げられる。
【0020】
液晶の配向が固定化された液晶物質層は、前記液晶物質や必要に応じて添加される各種の化合物を含む組成物を溶融状態で配向基板上に塗布する方法や、該組成物の溶液を配向基板上に塗布する方法等により形成し、配向基板上に塗布された塗膜は乾燥、熱処理(液晶の配向)を経て、必要により光照射および/または加熱処理(重合・架橋)等の前述の配向を固定化する手段を用いて配向を固定化することにより形成される。
【0021】
前記溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明に使用される液晶物質や組成物を溶解でき、適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限は無く、一般的にアセトン、メチルエチルケトン、イソホロンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸メトキシプロピル、乳酸エチルなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、配向基板上に均一な塗膜を形成するために、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤等を溶液に添加しても良い。さらに、着色を目的として液晶性の発現を妨げない範囲内で二色性染料や通常の染料や顔料等を添加することもできる。
【0022】
塗布方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スピンコート法などを挙げることができる。塗布の後に、ヒーターや温風吹きつけなどの方法による溶媒除去(乾燥)工程を入れても良い。塗布された膜の乾燥状態における膜厚は、0.1μm〜50μm、好ましくは0.2μm〜20μm、さらに好ましくは0.3μm〜10μmである。この範囲外では、得られる液晶物質層の光学性能が不足したり、液晶物質の配向が不十分になるなどして好ましくない。
【0023】
続いて、必要なら熱処理などにより液晶の配向を形成した後、配向の固定化を行う。熱処理は液晶相発現温度範囲に加熱することにより、液晶物質が本来有する自己配向能により液晶を配向させるものである。熱処理の条件としては、用いる液晶物質の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10〜300℃、好ましくは30〜250℃の範囲である。あまり低温では、液晶の配向が十分に進行しないおそれがあり、また高温では、液晶物質が分解したり配向基板に悪影響を与えるおそれがある。また、熱処理時間については、通常3秒〜60分、好ましくは10秒〜30分の範囲である。3秒よりも短い熱処理時間では、液晶の配向が十分に完成しないおそれがあり、また60分を超える熱処理時間では、生産性が極端に悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。液晶物質が熱処理などにより液晶の配向が完成したのち、そのままの状態で配向基板上の液晶物質層を、使用した液晶物質に適した手段を用いて固定化する。
【0024】
前記配向基板としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のフィルムが例示できる。
【0025】
これらのフィルムは製造方法によっては改めて配向能を発現させるための処理を行わなくとも本発明に使用される液晶物質に対して十分な配向能を示すものもあるが、配向能が不十分、または配向能を示さない等の場合には、これらのフィルムを適度な加熱下に延伸する、フィルム面をレーヨン布等で一方向に擦るいわゆるラビング処理を行う、フィルム上にポリイミド、ポリビニルアルコール、シランカップリング剤等の公知の配向剤からなる配向膜を設けてラビング処理を行う、酸化珪素等の斜方蒸着処理、あるいはこれらを適宜組み合わせるなどして配向能を発現させたフィルムを用いても良い。
また配向基板として、表面に規則的な微細溝を多数設けたアルミニウム、鉄、銅などの金属板や各種ガラス板等も使用することができる。
【0026】
ここで、配向基板の配向処理方向としては特に限定されず、上記の各処理を任意の方向に行うことにより適宜選択できる。とりわけ、長尺の配向基板上に形成された液晶フィルムを扱う場合には、その長尺な連続フィルムのMD方向に対して所定の角度を選択し、必要に応じて斜め方向に配向処理されることが望ましい。所定の角度方向に配向処理することにより、液晶フィルムを最適な光学特性が発揮できるような軸配置で積層する際に、長尺フィルムのMDを揃えた状態での貼合(いわゆるロールtoロール貼合)が可能になる、あるいは製品の取り効率が高まるなどの点から極めてメリットがある。
【0027】
次に、配向基板上に形成された液晶物質層を再剥離性基板上に移行させる方法について述べる。
【0028】
本発明に使用される再剥離性基板としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹脂等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリケトンサルファイド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセタール、一軸延伸ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂等のフィルムが使用できる。
【0029】
とりわけ、光学的欠陥の検査性に優れる透明性で光学的に等方性のフィルムとしては、4−メチルペンテン−1、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂などのプラスチックフィルムが好ましく使用される。
【0030】
これらのプラスチックフィルムには、適度な再剥離性を持たせるために、予めその表面にシリコーンをコートしておくことができ、あるいは有機薄膜又は無機薄膜を形成しておくことができる。また、同様な目的で、プラスチックフィルムの表面にけん化処理などの化学処理を施すか、あるいはコロナ処理のような物理的処理を施しておくこともできる。
【0031】
また、再剥離性基板の剥離性を調整するために、上記のプラスチックフィルムに滑剤や表面改質剤を含有させることもできる。前記滑剤としては、光学的欠陥の検査性や剥離性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、種類、添加量に特に制限は無い。滑剤の具体例としては、微細シリカ、微細アルミナ等が挙げられ、添加量の指標としては、再剥離性基板のヘイズ値が通常50%以下、好ましくは30%以下となるようにすればよい。添加量が少なすぎると添加効果が認められず、一方、多すぎる場合には、光学的欠陥の検査性が悪化し好ましくない。
また、必要に応じてその他の公知の各種添加剤、例えば、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。
【0032】
再剥離性基板の剥離力に関しては、同一材料から製造される再剥離性基板であっても製造方法、表面状態や使用される接着剤との濡れ性などにより変化するため一概には決定できないが、接着剤との界面での剥離力(180゜剥離、剥離速度30cm/分、室温下測定)は、通常0.38〜12N/m、好ましくは0.38〜8.0N/mであることが望ましい。剥離力がこの値より低い場合には、配向基板上の液晶物質層を再剥離性基板と接着後、配向基板を剥離する際、剥離力が低すぎ、再剥離性基板に浮きが見られたりして所望する界面での良好な剥離状態が得られず、再剥離性基板への液晶物質層の転写が不十分になる、また剥離力が高すぎる場合には、再剥離性基板を剥離する際、液晶物質層の破壊、あるいは、所望する層との界面で剥離ができないなどして好ましくない。
【0033】
また、再剥離性基板の厚みも剥離性に影響する場合があり、望ましくは16〜100μm、特に望ましくは25〜50μmがよい。厚みが厚すぎると剥離ポイントが安定せず剥離性が悪化する恐れがあり、一方薄すぎるとフィルムの機械強度が保てなくなるため、製造中に引き裂かれるなどのトラブルが生じる恐れがある。
【0034】
配向基板上に形成された液晶物質層を上述のような再剥離性基板上に移行させるには、光硬化型アクリル樹脂系接着剤を液晶物質層に付与後、これを外側から光照射することにより光硬化させて接着後、配向基板を剥離すれば容易に転写が可能である。接着剤としての硬化アクリル樹脂層は硬化性のアクリレートを塗布し、これを硬化させることにより形成させる。
【0035】
使用される硬化性のアクリレートは、例えば光硬化型アクリル系接着剤として公知のものが使用でき、たとえばポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーンアクリレートなどの各種アクリル系オリゴマーまたはモノマーなどの単独、これらの混合物、またはこれらと各種反応性希釈剤との混合物が例示される。
【0036】
また、これらの接着剤にはその特性を損なわない範囲で、各種微粒子等や表面改質剤を添加することもできる。
前記微粒子としては、接着剤を構成する化合物とは屈折率の異なる微粒子、透明性を損なわず帯電防止性能向上のための導電性微粒子、耐摩耗性向上のための微粒子等が例示でき、より具体的には、微細シリカ、微細アルミナ、ITO(Indium Tin Oxide)微粒子、銀微粒子、各種合成樹脂微粒子などが挙げられる。
また、前記表面改質剤としては、接着剤との相溶性がよく接着剤の硬化性や硬化後の光学性能に影響を及ぼさない限り特に限定されず、イオン性または非イオン性の水溶性界面活性剤、油溶性界面活性剤、高分子界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン等の有機金属系界面活性剤、反応性界面活性剤等が使用できる。
【0037】
これらの硬化性アクリル系接着剤の硬化方法は特に限定されないが、例えば、加熱硬化、レドックス系常温硬化、嫌気硬化、紫外線、電子線などの活性線硬化などが例示される。好ましい硬化方法は、紫外線、電子線などの活性線による光硬化法である。光硬化法では、熱の発生が無いか又は少ないので配向を固定化された液晶物質層への影響が少なく好ましい。反応は、各種の公知の光開始剤を添加し、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザー、シンクロトロン放射光源などの光源からの光を照射して行うことができる。単位面積(1平方センチメートル)当たりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光開始剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、あるいは反応性の化合物自身に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、あるいは吸収波長の異なる2種以上の光開始剤を混合して用いるなどの方法を採ることも出来る。電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは50kV〜100kVである。
【0038】
また、活性線により硬化させる場合の、光硬化開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシフェニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェノン、チオキサントン類、あるいはアミン併用のベンゾフェノン類などが例示される。その使用量は樹脂の0.1〜10重量%の範囲が採用される。
【0039】
本発明においては、液晶物質層上に表面を保護するために保護層を形成する。該保護層は、光学的等方性を有する硬化性アクリレートからなる硬化アクリル系樹脂層自体とすることもできるし、また硬化性アクリル樹脂を接着剤として透光性フィルムを接着することによっても構成することができる。いずれも硬化アクリル樹脂層は硬化性のアクリレートを表面に塗布し、これを硬化させることにより形成される。
【0040】
使用される硬化性のアクリレートは、アクリル系接着剤、硬化性プラスチックコーティング剤、またはプラスチックハードコート剤として公知のものが使用でき、たとえばポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーンアクリレートなどの各種アクリル系オリゴマーまたはモノマーなどの単独、これらの混合物、またはこれらと各種反応性希釈剤との混合物が例示される。
【0041】
また、これらの接着剤にはその特性を損なわない範囲で、各種微粒子等や表面改質剤を添加することもできる。
前記微粒子としては、接着剤を構成する化合物とは屈折率の異なる微粒子、透明性を損なわず帯電防止性能向上のための導電性微粒子、耐摩耗性向上のための微粒子等が例示でき、より具体的には、微細シリカ、微細アルミナ、ITO(Indium Tin Oxide)微粒子、銀微粒子、各種合成樹脂微粒子などが挙げられる。
また、前記表面改質剤としては、接着剤との相溶性がよく接着剤の硬化性や硬化後の光学性能に影響を及ぼさない限り特に限定されず、イオン性または非イオン性の水溶性界面活性剤、油溶性界面活性剤、高分子界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン等の有機金属系界面活性剤、反応性界面活性剤等が使用できる。
【0042】
これらの硬化性アクリル系樹脂の硬化方法は特に限定されないが、例えば、加熱硬化、レドックス系常温硬化、嫌気硬化、紫外線、電子線などの活性線硬化などが例示される。好ましい硬化方法は、紫外線、電子線などの活性線による光硬化法である。光硬化法では、熱の発生が無いか又は少ないので配向を固定化された液晶物質層への影響が少なく好ましい。反応は、各種の公知の光開始剤を添加し、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザー、シンクロトロン放射光源などの光源からの光を照射して行うことができる。単位面積(1平方センチメートル)当たりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光開始剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、あるいは反応性の化合物自身に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、あるいは吸収波長の異なる2種以上の光開始剤を混合して用いるなどの方法を採ることも出来る。電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは50kV〜100kVである。
【0043】
また、活性線により硬化させる場合の、光硬化開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシフェニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェノン、チオキサントン類、あるいはアミン併用のベンゾフェノン類などが例示される。その使用量は樹脂の0.1〜10重量%の範囲が採用される。
【0044】
以上の方法により、硬化アクリル系樹脂層/配向を固定化した液晶物質層/硬化アクリル系樹脂層がこの順で積層されてなる液晶フィルムが得られる。
【0045】
ここで本発明では、上述の硬化アクリル系樹脂層(A)/配向を固定化した液晶物質層/硬化アクリル系樹脂層(B)がこの順で積層されてなる液晶フィルムのうち、少なくとも一層の硬化アクリル系樹脂層として、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上200℃以下、望ましくは60℃以上150℃以下のものを使用する。硬化アクリル系樹脂層のTgが50℃より低いと高温、高湿などの環境試験、とりわけ高温と高湿の間でのサイクル環境試験において液晶物質層への外観異常(割れ、変形など)を防止する効果が不足する。一方、ガラス転移温度が200℃よりも高すぎると、液晶物質層との密着力が不足したり、硬化アクリル系樹脂層に割れが発生し易くなるなどの問題が生じる。とりわけ、該硬化アクリル系樹脂層(A,B)の両層ともTgが高くなりすぎると、フィルムカット時やハンドリング時にも端部にクラックが発生するなどの問題が生じやすくなるため、一層の硬化アクリル系樹脂層のTgを50℃以上200℃以下とし、他の一層の硬化アクリル系樹脂層のTgを20℃以上100℃以下、望ましくは30℃以上80℃以下とすればよい。
【0046】
また、該硬化アクリル系樹脂層(A,B)の厚みは、いずれもそれぞれ0.1〜50μm、望ましくは0.5〜20μm、さらに望ましくは1〜10μmである。厚みがこれ以上薄すぎると、環境試験における液晶物質層の保護効果が不足し、また厚すぎるとアクリル系樹脂層の硬化に時間がかかったり、製品厚みが厚くなるため好ましくない。
【0047】
また本発明では、再剥離性基板面に予め該基板上から剥離可能な離型層を形成した再剥離性基板を使用することにより、液晶物質層と他の層との間に離型層を形成することも可能である。離型層を形成することにより、製造時や環境試験時における薄膜の液晶物質層の外観変化(例えば、波うちなど)を抑えるための応力遮断効果が得られる。なお、ここで離型層としては、特に限定されないが光学的に等方性の透明層が好ましく、例えばアクリル系、メタクリル系、ニトロセルロース系、エポキシ系化合物等の重合体およびこれらの混合物を挙げることができる。離型層の膜厚としては0.3μm以上40μm以下、好ましくは0.5μm以上10μm以下であり、ガラス転移点(Tg)が20℃以上、好ましくは50℃以上の光学的に等方性の透明層であって、液晶物質層の光学的特性を著しく損なわなければ、材質に特に限定はない。膜厚及びガラス転移点がこの範囲外ではその効果が不足したり、製品が厚くなりすぎるなどの観点から好ましくない。
【0048】
また前記離型層は、架橋成分の添加による部分架橋、可塑剤の添加、滑剤の添加等により、物性の制御を行っても良い。
【0049】
さらに離型層の形成方法についても特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の再剥離性基板フィルム上に予め上記膜厚を有する離型層となる材料を、塗布、押し出し等の方法により形成しておき、この層を粘・接着剤層や透明保護層を介して密着し、その後再剥離性基板フィルムを剥離する転写法などが挙げられる。
【0050】
本発明の液晶フィルムは、液晶表示素子用の色補償板や視野角補償用などとして使用される時には通常、偏光板と積層され、さらに必要に応じて位相差板として液晶フィルムや高分子延伸フィルムなども積層される。ここで、偏光板、液晶フィルム、高分子延伸フィルムなどの積層においても、公知の透光性の粘接着剤を介して積層することができる。こうして得られる積層体としては、例えば、
(1)偏光板/粘接着剤層/液晶フィルム
(2)偏光板/粘接着剤層/高分子延伸フィルム/粘接着剤層/液晶フィルム
(3)偏光板/粘接着剤層/液晶フィルム/粘接着剤層/液晶フィルム
(4)偏光板/粘接着剤層/液晶フィルム/粘接着剤層/高分子延伸フィルム
などが例示される。
【0051】
前記偏光板としては、特に限定されず、液晶表示装置に通常用いられる偏光板を適宜使用することができるが、好ましくは近年開発上市された薄膜型のものが望ましい。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)や部分アセタール化PVAのようなPVA系偏光フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物等からなる親水性高分子フィルムにヨウ素および/または2色性色素を吸着して延伸した偏光フィルム、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物のようなポリエン配向フィルムなどからなる偏光フィルムなどを使用することができる。また、反射型の偏光フィルムも使用することができる。
【0052】
偏光板は、偏光フィルム単独で使用しても良いし、強度向上、耐湿性向上、耐熱性の向上等の目的で偏光フィルムの片面または両面に透明な保護層等を設けたものであっても良い。透明な保護層としては、ポリエステルやトリアセチルセルロース等の透明プラスチックフィルムを直接または接着剤層を介して積層したもの、樹脂の塗布層、アクリル系やエポキシ系等の光硬化型樹脂層などが挙げられる。これら透明な保護層を偏光フィルムの両面に被覆する場合、両面に同じ透明な保護層を設けても良いし、また異なる透明な保護層を設けても良い。
【0053】
前記の高分子延伸フィルムとしては、セルロース系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリスルフォン系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリアクリル系、ポリエーテルスルフォン系、環状ポリオレフィン系等からなる1軸、または2軸延伸位相差フィルムを例示することができる。中でもポリカーボネート系、ノルボルネン系などの環状ポリオレフィン系の1軸延伸フィルムが製造の容易さやフィルムの均一性、あるいは光学特性面から好ましい。
【0054】
ここで、延伸の方向としては特に限定されず、任意の方向に行うことにより適宜選択できる。とりわけ、長尺の高分子延伸フィルムを扱う場合には、その長尺な連続フィルムのMD方向に対して所定の角度で必要に応じて斜め方向(斜め延伸)、あるいはTD方向に延伸(横延伸)処理されることが望ましい。所定の角度の方向に延伸処理することにより、延伸フィルムを液晶フィルムや偏光板と最適な光学特性が発揮できるような軸配置で積層する際に、長尺フィルムのMDを揃えた状態での貼合(いわゆるロールtoロール貼合)が可能になる、あるいは製品の取り効率が高まるなどの点から極めてメリットがある。
【0055】
本発明の液晶フィルムを偏光板と貼合した光学積層体は、液晶物質層の光学パラメーターに応じて、各種液晶表示装置の補償部材、楕円偏光板、円偏光板として機能することができる。
【0056】
すなわち光学積層体を構成する液晶物質層が、例えばネマチック配向、ねじれネマチック配向を固定化した液晶物質層は位相差板として機能することから、当該液晶物質層を構成部材とする本発明の光学積層体は、STN型、TN型、OCB型、HAN型等の透過または反射型液晶表示装置の補償板として使用することができる。
【0057】
またネマチックハイブリッド配向を固定化した液晶物質層は、正面から見たときのリターデーションを利用して、位相差フィルムや波長板として利用することができ、またリターデーション値の向き(フィルム厚さ方向の分子軸の傾き)による非対称性を生かしてTN型液晶表示装置の視野角改善部材などにも利用することができる。
【0058】
また1/4波長板機能を有する液晶物質層は、本発明の如く偏光板と組み合わせることにより、円偏光板や反射型の液晶表示装置やEL表示装置の反射防止フィルター等として用いることができる。とりわけ、可視光領域の広帯域にわたって機能する広帯域1/4波長板を得る為には、550nmの単色光での複屈折光の位相差が略1/4波長である1/4波長板と550nmの単色光での複屈折光の位相差が略1/2波長である1/2波長板とを、それらの遅相軸が交差した状態で積層することが有効であることが一般に知られており、実際に反射型の液晶表示装置などで広く用いられている。
【0059】
すなわち、本発明のように薄肉の光学積層体を得る技術を用いれば、従来の高分子延伸フィルムだけでは困難であった薄型の広帯域1/4波長板が得られることになる。ここで、1/4波長板のリターデーション値は、通常70nm〜180nm、好ましくは90nm〜160nm、特に好ましくは120nm〜150nmの範囲である。また、1/2波長板のリターデーション値は、通常180nm〜320nm、好ましくは200nm〜300nm、特に好ましくは220nm〜280nmの範囲である。1/4波長板と1/2波長板のリターデーション範囲が上記から外れた場合、液晶表示装置に不必要な色付きが生じる恐れがある。なお、リターデーション値とは複屈折Δnと膜厚dとの積を表わす。
【0060】
さらに本発明の光学積層体においては、当該積層体を構成する液晶物質層がコレステリック配向やスメクチック配向を固定化したものであれば、輝度向上用の偏光反射フィルム、反射型のカラーフィルター、選択反射能に基因する視角による反射光の色変化を生かした各種偽造防止素子や装飾フィルムなどに利用することができる。
【発明の効果】
【0061】
本発明により、従来は外観異常が発生するような厳しい環境試験下での耐性を高めた薄型の光学素子用積層フィルムを得ることができることから、液晶表示装置に貼合して使用される際のスペックマージンを広げることができる等、極めて工業的価値が高い。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例におけるリターデーション(複屈折Δnと膜厚dとの積)は特に断りのない限り波長550nmにおける値である。
【0063】
[調製例]
テレフタル酸50mmol、2,6−ナフタレンジカルボン酸50mmol、メチルヒドロキノンジアセテート40mmol、カテコールジアセテート60mmolおよびN−メチルイミダゾール60mgを用いて窒素雰囲気下、270℃で12時間重縮合を行った。次に得られた反応生成物をテトラクロロエタンに溶解した後、メタノールで再沈殿を行って精製し、液晶性ポリエステル14.6gを得た。この液晶性ポリエステル(ポリマー1)の対数粘度(フェノール/テトラクロロエタン(6/4 質量比)混合溶媒:30℃)は0.16dl/g、液晶相としてネマチック相を持ち、等方相−液晶相転移温度は250℃以上、示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移温度は112℃であった。
20gのポリマー1を80gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ溶液を調製した。この溶液を、レーヨン布にてラビング処理したポリイミドフィルム(商品名「カプトン」、デュポン社製)上にスピナーにて塗布し、溶媒を乾燥除去した後、210℃で20分熱処理することでネマチック配向構造を形成させた。熱処理後、室温下まで冷却してネマチック配向構造を固定化し、ポリイミドフィルム上に実膜厚0.7μmの均一に配向した液晶物質層を得た(液晶物質層1)。実膜厚は触針式膜厚計を用いて測定した。
【0064】
[実施例1]
調製例で得られた液晶物質層1の上(ポリイミドフィルムと反対側の面)にガラス転移温度が105℃のUV硬化型アクリル系接着剤を5μmの厚さにアクリル系樹脂層1として塗布し、この上に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム1をラミネートし、約600mJのUV照射により該アクリル系樹脂層1を硬化させた。この後、PETフィルム1/硬化アクリル系樹脂層1/液晶物質層1/ポリイミドフィルムが一体となった積層体からポリイミドフィルムを剥離することにより液晶物質層をPETフィルム1上に転写し、PETフィルム1/硬化アクリル系樹脂層1/液晶物質層1からなる積層体を得た。
【0065】
さらに、該積層体の液晶物質層1の上にTg=110℃のUV硬化型アクリル系接着剤を5μmの厚さにアクリル系樹脂層2として塗布し、この上に厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム2をラミネートし、約600mJのUV照射により該アクリル系樹脂層2を硬化させた。この積層体からPETフィルム2を剥離することにより、PETフィルム1/硬化アクリル系樹脂層1/液晶物質層1/硬化アクリル系樹脂層2からなる積層体(A)を得た。ここで、積層体(A)からPETフィルム1を剥離した後の積層体のΔndは145nmであった。
【0066】
該積層体(A)の硬化アクリル系樹脂層2の面に、予め片面に厚み25μmの粘着剤層を形成した市販の一軸延伸されたノルボルネン系フィルム(厚み80μm、Δnd270nm;JSR(株)製アートン)を貼合することにより、ノルボルネン系フィルム/粘着剤層/硬化アクリル系樹脂層2/液晶物質層1/硬化アクリル系樹脂層1/PETフィルム1からなる積層体を得た。
【0067】
さらに、予め片面に厚み25μmの粘着剤層を形成した市販の偏光板(厚み約180μm;住友化学工業(株)製SQW−862)を貼合し、最後にPETフィルム1を剥離することにより、偏光板/粘着剤層/ノルボルネン系フィルム/粘着剤層/硬化アクリル系樹脂層2/液晶物質層1/硬化アクリル系樹脂層1からなる本発明の光学素子用積層フィルムを得た。
【0068】
[実施例2]
UV硬化型アクリル系樹脂層1としてTg=54℃の接着剤を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、光学素子用積層フィルムを得た。
【0069】
[実施例3]
UV硬化型アクリル系樹脂層1としてTg=108℃の接着剤、およびUV硬化型アクリル系樹脂層2としてTg=62℃の接着剤を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、光学素子用積層フィルムを得た。
【0070】
[比較例1]
UV硬化型アクリル系樹脂層1、2としてTg=41℃の接着剤を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、光学素子用積層フィルムを得た。
【0071】
[比較例2]
UV硬化型アクリル系樹脂層1としてTg=41℃の接着剤、UV硬化型アクリル系樹脂層2としてTg=224℃の接着剤を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、光学素子用積層フィルムを得た。
【0072】
[比較例3]
UV硬化型アクリル系樹脂層1、2としてTg=224℃の接着剤を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、光学素子用積層フィルムを得た。
【0073】
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた光学素子用積層フィルムの高温と高湿のサイクル環境試験の評価結果を表1にまとめた。ここで、サイクル環境試験条件は、(1)80℃ドライで24時間保持と(2)60℃90%RHで24時間保持の両条件の間でのサイクル試験を30サイクル行なった。また、試験形態としては、実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた光学素子用積層フィルムのアクリル系樹脂層1の面を厚み25μmの粘着剤を介して厚み2mmのソーダガラスに貼合した形態にて実施した。
【0074】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化アクリル系樹脂層/配向を固定化した液晶物質層/硬化アクリル系樹脂層の順に積層されてなる液晶フィルムであって、少なくとも一層の硬化アクリル系樹脂層のガラス転移温度(Tg)が50℃以上200℃以下であることを特徴とする液晶フィルム。
【請求項2】
硬化アクリル系樹脂層/配向を固定化した液晶物質層/硬化アクリル系樹脂層の順に積層されてなる液晶フィルムであって、一層の硬化アクリル系樹脂層のTgが50℃以上200℃以下であり、他の一層の硬化アクリル系樹脂層のTgが20℃以上100℃以下であることを特徴とする液晶フィルム。
【請求項3】
配向を固定化した液晶物質層が、液晶転移点以上の温度で液晶配向し、液晶転移点以下の温度でガラス状態となる高分子液晶物質からなることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶フィルム。
【請求項4】
配向を固定化した液晶物質層が、液晶配向した低分子液晶物質を光架橋または熱架橋したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の液晶フィルムが、粘接着剤を介して偏光フィルムと積層されてなることを特徴とする光学素子用積層フィルム。

【公開番号】特開2006−284735(P2006−284735A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102223(P2005−102223)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】