説明

液晶媒体用化合物およびそれを含む高周波数部品

【課題】液晶媒体用化合物およびそれを含む高周波数部品を提供する。
【解決手段】本発明は、式Iのビストランに関する。また、本発明は、表題の化合物を含む液晶媒体、これらの媒体を含む高周波数技術用の部品、特に、位相シフト器およびマイクロ波アレーアンテナも包含する。


(式中、1個以上の基L〜LはRを表し、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、および、請求項1において定義される通りの他のパラメータを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な化合物と、それらより構成される液晶媒体と、これらの媒体を含む高周波数部品(特にアンテナ、特にギガヘルツ領域用)に関する。液晶媒体は、例えば、調整可能な「フェーズドアレー(phased−array)」アンテナのため、または、「リフレクトアレー(reflectarray)」に基づくマイクロ波アンテナの調整可能なセルのためのマイクロ波の位相シフトに役立つ。
【背景技術】
【0002】
液晶媒体は、情報を表示するために、電気光学的ディスプレイ(液晶ディスプレイ、Liquid Crystal Displays、LCD)において、長らく使用されてきた。
【0003】
しかしながら、最近、例えば、ドイツ国特許出願公開第10 2004 029 429号公報(特許文献1)および特開2005−120208号公報(特許文献2)などにいおて、マイクロ波技術用の部品における使用のためにも液晶媒体が提案された。
【0004】
高周波数技術における液晶媒体の工業的に有用な用途は、可変電圧により、特にギガヘルツ領域用に液晶媒体の誘電的特性を制御できるという液晶媒体の特性に基づく。これにより、可動部を一切含有しない調整可能なアンテナの構築が可能となる(A.Gaebler、A.Moessinger、F.Goeldenら、「Liquid Crystal−Reconfigurable Antenna Concepts for Space Applications at Microwave and Millimeter Waves」、International Journal of Antennas and Propagation、2009巻、論文ID 876989号、7頁、2009年、doi:10.1155/2009/876989(非特許文献1))。
【0005】
A.Penirschke、S.Muller、P.Scheele、C.Weil、M.Wittek、C.HockおよびR.Jakoby:「Cavity Perturbation Method for Characterization of Liquid Crystals up to 35 GHz」、34回European Microwave Conference−アムステルダム、545〜548頁(非特許文献2)には、とりわけ、9GHzの周波数における既知の単一の液晶物質K15(メルク社、ドイツ国)の特性が記載されている。
【0006】
下ではビストラン化合物とも呼ぶ、中央のフェニレン環上にアルキル置換を有する1−(フェニルエチニル)トランが、当業者に既知である。例えば、Wu、S.−T.、Hsu、C.−S.、Shyu、K.−F.、Appl.Phys.Lett.、74巻(3号)、(1999年)、344〜346頁(非特許文献3)には、横方向にメチル基を含有する下式の種々の液晶ビストラン化合物が開示されている。
【0007】
【化1】

また、Hsu、C.S.Shyu、K.F.、Chuang、Y.Y.およびWu、S.−T.、Liq.Cryst.、27巻(2号)(2000年)、283〜287頁(非特許文献4)には、横方向のメチル基を含有するこれらの液晶ビストラン化合物に加えて、横方向のエチル基を含有する対応する化合物、および、とりわけ、液晶光学的フェーズドアレーにおけるそれの使用方法が開示されている。
【0008】
Dabrowski、R.、Kula、P.、Gauza、S.、Dziadiszek、J.、Urban、S.およびWu、S.−T.、IDRC 08、(2008年)、35〜38頁(非特許文献5)には、下式の強く誘電的に正のイソチオシアナトビストラン化合物に加え、中央の環上に横方向のメチル基の有るおよび無い誘電的に中性のビストラン化合物が述べられている。
【0009】
【化2】

ドイツ国特許出願公開第10 2004 029 429号公報(特許文献1)には、マイクロ波技術、とりわけ位相シフト器において、従来の液晶媒体を使用することが記載されている。この文献において、対応する周波数領域における液晶媒体の特性について、液晶媒体が既に検討されている。
【0010】
しかしながら、これまで知られている個々の化合物の組成物は、一般に、多くの不利益を有している。他の欠陥に加えて、殆どの不利益は、不都合に高い損失および/または不充分な位相シフトまたは不充分な材料特性に帰結する。
【0011】
高周波数技術において使用するためには、特に、従来から見るとかなり異常な、まれな特性または特性の組み合わせを有する液晶媒体が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第10 2004 029 429号公報
【特許文献2】特開2005−120208号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】A.Gaebler、A.Moessinger、F.Goeldenら、「Liquid Crystal−Reconfigurable Antenna Concepts for Space Applications at Microwave and Millimeter Waves」、International Journal of Antennas and Propagation、2009巻、論文ID 876989号、7頁、2009年、doi:10.1155/2009/876989
【非特許文献2】A.Penirschke、S.Muller、P.Scheele、C.Weil、M.Wittek、C.HockおよびR.Jakoby:「Cavity Perturbation Method for Characterization of Liquid Crystals up to 35 GHz」、34回European Microwave Conference−アムステルダム、545〜548頁
【非特許文献3】Wu、S.−T.、Hsu、C.−S.、Shyu、K.−F.、Appl.Phys.Lett.、74巻(3号)、(1999年)、344〜346頁
【非特許文献4】Hsu、C.S.Shyu、K.F.、Chuang、Y.Y.およびWu、S.−T.、Liq.Cryst.、27巻(2号)(2000年)、283〜287頁
【非特許文献5】Dabrowski、R.、Kula、P.、Gauza、S.、Dziadiszek、J.、Urban、S.およびWu、S.−T.、IDRC 08、(2008年)、35〜38頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
よって、改良された特性を有する液晶媒体用の新規な成分が必要である。特に、マイクロ波領域における損失が低減されていなければならず、材料特性(η)が改良されていなければならない。
【0015】
加えて、成分の低温挙動における改良に対する要求がある。この場合、動作特性および寿命の両者における改良が不可欠である。
【0016】
よって、対応する実際の用途に適する特性を有する液晶媒体に対する多大な要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ここで、驚くべきことに、本発明による化合物を使用することで、適切なネマチック相範囲および高いΔnを有し、先行技術の材料の不具合を有していないか、少なくとも著しく低減された程度にのみ有する液晶媒体を達成可能であることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、下ではビストラン化合物とも呼ぶ、式Iの化合物に関する。
【0019】
【化3】

式中、
〜Lは、F、Cl、C〜C10−アルキルまたはRに従う意味を表し、ただし、基L〜Lの1つ以上はRを表し、
n、o、pは、独立に、0、1、2、3または4、好ましくは、0または1を表し、
は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを表し、
およびRは、互いに独立に、H、1〜15個のC原子を有するハロゲン化または無置換のアルキル基(ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−で置き換えられていてもよく)、F、Cl、Br、CN、CF、OCF、SCN、NCSまたはSFを表し、
は、以下を表し、
a)トランス−1,4−シクロヘキシレンまたはシクロヘキセニレン、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、ただし、HはFで置き換えられていてもよく、
b)1,4−フェニレン、ただし、1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、Br、Cl、F、CN、R、C〜C10−アルキル、C〜C10−アルコキシまたは単または多フッ素化C〜C10−アルキルまたはアルコキシ基で置き換えられていてもよく、
または
c)基1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、シクロブタ−1,3−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、
【0020】
【化4】

からの基、ただし、1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、1個以上のH原子は、Br、Cl、F、CN、R、C〜C10−アルキル、C〜C10−アルコキシまたは単または多フッ素化C〜C10−アルキルまたはアルコキシ基で置き換えられていてもよく、および、1個以上の二重結合は単結合で置き換えられていてもよく、
は、単結合、−C≡C−、−CH=CH−、−CHO−、−(CO)O−、−CFO−、−CFCF−、−CHCF−、−CHCH−、−(CH−、−CH=CF−または−CF=CF−(ただし、非対称な架橋はどちらの側を向いてもよい)、好ましくは、単結合、−C≡C−、−CH=CH−または−CF=CF−を表し、および
mは、0、1または2を表す。
【0021】
本発明による化合物は、高い透明点、極めて高い光学異方性(Δn)および有利に高い回転粘度を有する。これらの特性により、本発明による化合物は、高周波数技術用の部品、特に、低い損失を有する液晶位相シフト器における使用に特に適するものとなる。
【0022】
基L1〜3は、好ましくは、H、F、アルキル(C〜C10)またはRを表す。好ましくは、1個、2個、3個または4個の基L〜Lが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル(R)より選択される基を表す。特に好ましくは、1〜2個、特には1個の基L〜Lが、Rより選択される基を表す。脂環式環Rのなかでも、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチルが好ましく、シクロプロピルまたはシクロブチルが特に好ましく、シクロプロピルが非常に特に好ましい。
【0023】
1個の基Rまたは存在する少なくとも1個の基Rは、好ましくは、ビストランの中央の環、即ち、1個以上の基Lの位置に局在している。このことは、oは好ましくは0より大きく、少なくとも1個のLはRであることを意味する。特に好ましくはnまたはpが0、非常に特に好ましくはnおよびpが0である。特に好ましくは、正確に1個の基Lが基Rである。更に、存在している2個または3個の基Rがビストランの3個の環、即ち、L〜Lにわたって分布していることが好ましい。
【0024】
式Iの好ましい化合物は、式IAの化合物である。
【0025】
【化5】

式中、
11〜L32は式Iに対してL1〜3のように定義され、および追加的に水素を表し、好ましくは、H、R、CH、CまたはFを表す。式IAにおいて、少なくとも1個の基L12およびL21は、好ましくは、水素を表す。特に好ましくは、少なくともL11、L21およびL31は水素である。更に、L12およびL32の一方が水素であることが特に好ましい。
【0026】
指数mは、好ましく、0または1、特に好ましくは、0である。AまたはZが1回より多く出現する(mが2)場合、該基は、互いに独立に、異なる意味を採用してもよい。
【0027】
環状の基Aは、好ましくは、1,4−フェニレンであり、ただし加えて、1個以上のH原子は、Br、Cl、F、CN、C〜C10アルキル、R、メトキシまたは単または多フッ素化メチルまたはメトキシ基で置き換えられていてもよい。
【0028】
架橋基Zは、好ましくは、単結合または−C≡C−である。
【0029】
またはRの一方は、好ましくは、1〜15個のC原子を有するアルキル基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CH=CH−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−で置き換えられていてもよい。
【0030】
従って、本発明の好ましい実施形態は、以下の構造より選択される。
【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

式中、RおよびRは上で定義される通りである。
【0033】
更に好ましい実施形態において、本発明による化合物は明瞭に正の誘電異方性(Δε)を有する。対応する化合物は、好ましくは、式IB−1またはIB−2の構造を有する。
【0034】
【化8】

式中、Rは、好ましくは、F、Cl、Br、CN、CF、OCF、SCN、NCSまたはSFを表す。
【0035】
【化9】


式中、Rは、好ましくは、F、Cl、Br、CN、CF、OCF、SCN、NCSまたはSFを表す。
【0036】
式Iの化合物は、以下の例示的合成(スキーム1〜4)より明らかな通りに有利に調製できる。
【0037】
【化10】

<スキーム1>式I(対称)の化合物の例示的合成
LはLなどで、特には、HまたはFと定義される。
【0038】
【化11】


<スキーム2>式I(対称)の化合物の例示的合成
LはLなどで、特には、HまたはFと定義される。
【0039】
【化12】

<スキーム3>式I(非対称)の化合物の例示的合成
L、L’はLなどで、特には、HまたはFと定義される。
【0040】
【化13】


<スキーム4>式I(非対称)の化合物の例示的合成
L、L’はLなどで、特には、HまたはFと定義される。
【0041】
本発明による液晶媒体は、式Iの1種類以上の化合物と、任意成分として、更に、好ましくはメソゲン成分を含む。
【0042】
更なる成分は、好ましくは、式II、IIIおよびIVの化合物より選択される。
【0043】
【化14】

式中、
11は、R11またはX11を表し、
12は、R12またはX12を表し、
11およびR12は、互いに独立に、H、1〜17個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシ、または、2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシまたはフッ素化されていないアルコキシアルキル、好ましくは、アルキルまたはフッ素化されていないアルケニルを表し、
11およびX12は、互いに独立に、H、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキル、特に−CF、フッ素化されたアルコキシ、特に−OCF、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されたアルコキシアルキル、好ましくは、フッ素化されたアルコキシ、フッ素化されたアルケニルオキシ、FまたはClを表し、および
【0044】
【化15】

好ましくは、
【0045】
【化16】

を表す。
【0046】
【化17】

式中、
21はR21を表し、あるいは、Z21および/またはZ22がトランス−CH=CH−またはトランス−CF=CF−を表す場合、X21を表し、
22はR22を表し、あるいは、Z21および/またはZ22がトランス−CH=CH−またはトランス−CF=CF−を表す場合、X22を表し、
21およびR22は、互いに独立に、H、1〜17個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシ、または、2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシまたはフッ素化されていないアルコキシアルキル、好ましくは、アルキルまたはフッ素化されていないアルケニルを表し、
21およびX22は、互いに独立に、FまたはCl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルまたはアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、好ましくは、−NCSを表し、
21およびZ22の一方はトランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または−C≡C−を表し、他方は、それとは独立に、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または単結合を表し、好ましくは、それらの一方が−C≡C−またはトランス−CH=CH−を表し、他方が単結合を表し、および
【0047】
【化18】

好ましくは、
【0048】
【化19】

を表す。
【0049】
【化20】

式中、
31は、R31またはX31を表し、
32は、R32またはX32を表し、
31およびR32は、互いに独立に、H、1〜17個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシ、または、2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシまたはフッ素化されていないアルコキシアルキル、好ましくは、アルキルまたはフッ素化されていないアルケニルを表し、
31およびX32は、互いに独立に、H、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されたアルコキシアルキル、好ましくは、フッ素化されたアルコキシ、フッ素化されたアルケニルオキシ、FまたはClを表し、
31〜Z33は、互いに独立に、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−C≡C−または単結合を表し、好ましくは、それらの1個以上が単結合を表し、特に好ましくは、全てが単結合を表し、および
【0050】
【化21】

好ましくは、
【0051】
【化22】

を表す。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体は、式Iの1種類以上の化合物および式IIの1種類以上の化合物を含む。
【0053】
本発明の更に好ましい実施形態において、液晶媒体は、式Iの1種類以上の化合物および式IIIの1種類以上の化合物を含む。
【0054】
本発明による液晶媒体は、同様に好ましくは、式Iの1種類以上の化合物および式IVの1種類以上の化合物を含む。
【0055】
本発明によれば、式Iの1種類以上の化合物、式IIの1種類以上の化合物および式IIIまたはIV(好ましくはIII)の1種類以上の化合物を含む液晶媒体が特に好ましい。
【0056】
本出願による液晶媒体は、好ましくは、全体で5〜90%、好ましくは10〜85%、特に好ましくは15〜80%の式Iの化合物を含む。
【0057】
本出願による液晶媒体は、好ましくは、全体で15〜90%、好ましくは20〜85%、特に好ましくは25〜80%の式IまたはIIの化合物を含む。
【0058】
本出願による液晶媒体は、好ましくは、全体で1〜70%、好ましくは2〜65%、特に好ましくは3〜60%の式IIIの化合物を含む。
【0059】
本出願による液晶媒体は、好ましくは、全体で0〜60%、好ましくは5〜55%、特に好ましくは10〜50%の式IVの化合物を含む。
【0060】
本出願による液晶媒体は、同様に好ましくは、全体で5〜60%、好ましくは10〜50%、特に好ましくは7〜20%の式IIIの化合物を含む。
【0061】
単一の同族化合物を使用する場合、これらの限定はこの同族体の濃度に対応し、それは、好ましくは2〜20%、特に好ましくは1〜15%である。2種類以上の同族体を使用する場合、個々の同族体の濃度は、同様に好ましくは、それぞれの場合で1〜15%である。
【0062】
式I〜IIIの化合物は、それぞれの場合で、3より大きい誘電異方性を有する誘電的に正の化合物、3より小さく−1.5より大きい誘電異方性を有する誘電的に中性の化合物、および、−1.5以下の誘電異方性を有する誘電的に負の化合物を包含する。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体は、式IIの化合物、好ましくは、式II−1〜II−3の化合物群より選択され、好ましくは、式II−1および/またはII−2、好ましくは、式II−1およびII−2の1種類以上の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらより成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0064】
【化23】

式中、パラメータは式IIに対して上で示されるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
11は、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたは2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルを表し、
12は、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキル、2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルまたは1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルコキシを表し、
11およびX12は、互いに独立に、F、Cl、−OCF、−CF、−CN、−NCSまたは−SF、好ましくは、F、Cl、−OCFまたは−CNを表す。
【0065】
式II−1の化合物は、好ましくは、式II−1a〜II−1dの化合物群より選択され、より好ましくは、式IIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0066】
【化24】

式中、パラメータは式II−1に対して上で示されるそれぞれの意味を有し、式中、
11およびY12は、それぞれの場合で互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、
11は、アルキルまたはアルケニルを表し、および
11は、F、Clまたは−OCFを表す。
【0067】
式II−2の化合物は、好ましくは、式II−2a〜II−2eの化合物群および/または式II−2fおよびII−2gの化合物群より選択され、より好ましくは、式IIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0068】
【化25】

ただし、それぞれの場合において、式II−2aの化合物は式II−2bおよびII−2cの化合物より除外され、式II−2bの化合物は式II−2cの化合物より除外され、式II−2eの化合物は式II−2fの化合物より除外され、および
式中、パラメータは式II−1に対して上で示されるそれぞれの意味を有し、式中、
11およびY12は、それぞれの場合で互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、
11は、アルキルまたはアルケニルを表し、
11は、F、Clまたは−OCFを表し、好ましくは、
11およびY12の一方はHを表し、他方はHまたはFを表し、好ましくは同様に、Hを表す。
【0069】
式II−3の化合物は、好ましくは、式II−3aの化合物である。
【0070】
【化26】

式中、パラメータは式II−1に対して上で示されるそれぞれの意味を有し、式中、好ましくは、
11は、F、Cl、好ましくは、Fを表し、
12は、F、Clまたは−OCF、好ましくは、−OCFを表す。
【0071】
本発明の更により好ましい実施形態において、式IIの化合物は、化合物II−1a〜II−1dの群より選択され、好ましくは、化合物II−1cおよびII−1dの群より選択され、より好ましくは、式IIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0072】
式II−1aの化合物は、好ましくは、式II−1a−1およびII−1a−2の化合物群より選択され、より好ましくは、式IIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0073】
【化27】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1を表し、だだし、
nは、0〜7の範囲内、好ましくは1〜5の範囲内、特に好ましくは3または7の整数を表す。
【0074】
式II−1bの化合物は、好ましくは、式II−1b−1の化合物である。
【0075】
【化28】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1を表し、だだし、
nは、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表す。
【0076】
式II−1cの化合物は、好ましくは、式II−1c−1〜II−1c−4の化合物群より選択され、好ましくは、式II−1c−1およびII−1c−2の化合物群より選択され、より好ましくは、式IIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0077】
【化29】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1を表し、だだし、
nは、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表す。
【0078】
式II−1dの化合物は、好ましくは、式II−1d−1およびII−1d−2の化合物群より選択され、好ましくは、式II−1d−2の化合物であり、より好ましくは、式IIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0079】
【化30】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1を表し、だだし、
nは、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表す。
【0080】
式II−2aの化合物は、好ましくは、式II−2a−1およびII−2a−2の化合物群より選択され、好ましくは、式II−2a−1の化合物であり、より好ましくは、式IIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0081】
【化31】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
12は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0082】
(R11およびR12)の好ましい組み合わせは、特に式II−2a−1の場合において、(C2n+1およびC2m+1)、(C2n+1およびO−C2m+1)、(CH=CH−(CHおよびC2m+1)、(CH=CH−(CHおよびO−C2m+1)および(C2n+1および(CH−CH=CH)である。
【0083】
式II−2bの好ましい化合物は、式II−2b−1の化合物である。
【0084】
【化32】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
12は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0085】
(R11およびR12)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0086】
式II−2cの好ましい化合物は、式II−2c−1の化合物である。
【0087】
【化33】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
12は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0088】
(R11およびR12)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0089】
式II−2dの好ましい化合物は、式II−2d−1の化合物である。
【0090】
【化34】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
12は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0091】
(R11およびR12)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0092】
式II−2eの好ましい化合物は、式II−2e−1の化合物である。
【0093】
【化35】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
12は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0094】
(R11およびR12)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0095】
式II−2fの好ましい化合物は、式II−2f−1の化合物である。
【0096】
【化36】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
12は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0097】
(R11およびR12)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0098】
式II−2gの好ましい化合物は、式II−2g−1の化合物である。
【0099】
【化37】

式中、
11は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
12は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0100】
(R11およびR12)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0101】
式IIIの化合物は、好ましくは、式III−1〜III−4の化合物群より選択され、より好ましくは、式IIIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0102】
【化38】

式中、
21およびZ22はトランス−CH=CH−またはトランス−CF=CF−、好ましくは、トランス−CH=CH−を表し、他のパラメータは式IIIにおいて上で与えられる意味を有し、好ましくは、
21およびR22は、互いに独立に、H、1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルを表し、
22は、F、Cl、−CNまたは−NCS、好ましくは、−NCSを表し、
および
【0103】
【化39】

を表し、
その他は、互いに独立に、
【0104】
【化40】

好ましくは、
【0105】
【化41】

を表し、好ましくは、
21は、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
22は、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0106】
式III−1の化合物は、好ましくは、式III−1aおよびIII−1bの化合物群より選択され、好ましくは、式III−1aの化合物より選択され、より好ましくは、式IIIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0107】
【化42】

式中、
21は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
22は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0108】
(R21およびR22)の好ましい組み合わせは、ここでは特に(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、式III−1aの場合、特に好ましくは(C2n+1およびC2m+1)、式III−1bの場合、特に好ましくは(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0109】
式III−2の化合物は、好ましくは、式III−2aの化合物である。
【0110】
【化43】

式中、
21は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
22は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0111】
(R21およびR22)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0112】
式III−3の化合物は、好ましくは、式III−3aまたは3bの化合物である。
【0113】
【化44】

式中、パラメータは式III−3において上で与えられる意味を有し、好ましくは、
21は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1を表し、ただし、
nは、0〜7の範囲内、好ましくは1〜5の範囲内の整数を表し、および
22は、−F、−Cl、−OCF、−CNまたは−NCS、特に好ましくは−NCSを表す。
【0114】
式III−4の化合物は、好ましくは、式III−4aの化合物である。
【0115】
【化45】

式中、パラメータは式III−4において上で与えられる意味を有し、好ましくは、
21は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1を表し、ただし、
nは、0〜7の範囲内、好ましくは1〜5の範囲内の整数を表し、および
22は、−F、−Cl、−OCF、−CNまたは−NCS、特に好ましくは−NCSを表す。
【0116】
式IIIの更に好ましい化合物は、以下の式の化合物である。
【0117】
【化46】

式中、
nは、0〜7の範囲内、好ましくは1〜5の範囲内の整数を表す。
【0118】
式IVの化合物は、好ましくは、式IV−1〜IV−6の化合物群より選択され、より好ましくは、式IVのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0119】
【化47】

ただし、式IV−5の化合物は式IV−6の化合物より除外され、
式中、パラメータは式IVに対して上で示されるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
31は、それぞれ1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルを表し、
32は、それぞれ1〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニルを表し、
32は、−F、−Clまたは−OCF、好ましくは、−Fを表し、および
特に好ましくは、
31は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
32は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0120】
式IV−1の化合物は、好ましくは、式IV−1a〜IV−1dの化合物群より選択され、より好ましくは、式IV−1のこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0121】
【化48】

式中、X32は式IV−1に対して上で与えられる意味を有し、および
31は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1を表し、ただし、
nは、1〜7、好ましくは、2〜6、特に好ましくは、2、3または5を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表し、および
32は、好ましくは、Fを表す。
【0122】
式IV−2の化合物は、好ましくは、式IV−2aおよびIV−2b、好ましくは、式IV−2aの化合物群より選択され、より好ましくは、式IV−2のこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0123】
【化49】


式中、
31は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
32は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0124】
(R31およびR32)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0125】
式IV−3の化合物は、好ましくは、式IV−3aの化合物である。
【0126】
【化50】

式中、
31は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
32は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0127】
(R31およびR32)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0128】
式IV−4の化合物は、好ましくは、式IV−4aの化合物である。
【0129】
【化51】

式中、
31は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
32は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0130】
(R31およびR32)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0131】
式IV−5の化合物は、好ましくは、式IV−5aおよびIV−5b、好ましくは、式IV−5aの化合物群より選択され、より好ましくは、式IV−5のこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0132】
【化52】

式中、
31は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
32は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0133】
(R31およびR32)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0134】
式IV−6の化合物は、好ましくは、式IV−6aおよびIV−6bの化合物群より選択され、より好ましくは、式IV−6のこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0135】
【化53】

式中、
31は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
32は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0136】
(R31およびR32)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0137】
本発明による媒体は、式Vの1種類以上の化合物を含んでもよい。
【0138】
【化54】

式中、
41およびR42は、互いに独立に、H、1〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはアルコキシ、または、2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、好ましくは、フッ素化されていないアルキルまたはアルケニルを表し、
41およびZ42の一方は、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または−C≡C−を表し、他方は、それとは独立に、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または単結合を表し、好ましくは、それらの一方が−C≡C−またはトランス−CH=CH−を表し、他方が単結合を表し、および
【0139】
【化55】

を表し、
【0140】
【化56】

を表す。
【0141】
本出願による液晶媒体は、好ましくは、全体で0〜40%、好ましくは0〜30%、特に好ましくは5〜25%の式Vの化合物を含む。
【0142】
式Vの化合物は、好ましくは、式V−1〜V−3の化合物群より選択され、より好ましくは、式Vのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0143】
【化57】

式中、
41およびY42の一方はHを表し、他方はHまたはFを表し、および
41は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
42は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0144】
(R41およびR42)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0145】
式V−1の化合物は、好ましくは、式V−1a〜V−1cの化合物群より選択され、より好ましくは、式V−1のこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0146】
【化58】

式中、
41は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
42は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0147】
(R41およびR42)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0148】
式V−2の化合物は、好ましくは、式V−2aの化合物である。
【0149】
【化59】

式中、
41は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
42は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0150】
(R41およびR42)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)、(C2n+1およびO−C2m+1)および(CH=CH−(CHおよびC2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0151】
式V−3の化合物は、好ましくは、式V−3aの化合物である。
【0152】
【化60】

式中、
41は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
42は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0153】
(R41およびR42)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0154】
本発明による媒体は、式VIの1種類以上の化合物を含んでもよい。
【0155】
【化61】

式中、
51は、R51またはX51を表し、
52は、R52またはX52を表し、
51およびR52は、互いに独立に、H、1〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはアルコキシ、または、2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、好ましくは、フッ素化されていないアルキルまたはアルケニルを表し、
51およびX52は、互いに独立に、H、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されていないかまたはフッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されていないかまたはフッ素化されたアルコキシアルキル、好ましくは、フッ素化されたアルコキシ、フッ素化されたアルケニルオキシ、FまたはClを表し、および
51〜Z53は、互いに独立に、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−C≡C−または単結合を表し、好ましくは、それらの1個以上が単結合を表し、特に好ましくは、全てが単結合を表し、
【0156】
【化62】

を表し、
【0157】
【化63】

を表す。
【0158】
式VIの化合物は、好ましくは、式VI−1〜VI−3の化合物群より選択され、より好ましくは、式VIのこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0159】
【化64】

式中、パラメータは式VIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
【0160】
【化65】

を表し、および
式中、
51は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
52は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0161】
(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0162】
本出願による液晶媒体は、好ましくは、全体で5〜30%、好ましくは10〜25%、特に好ましくは15〜20%の式VIの化合物を含む。
【0163】
式VI−1の化合物は、好ましくは、式VI−1a〜VI−1eの化合物群より選択され、より好ましくは、式VI−1のこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0164】
【化66】

式中、パラメータは上で与えられる意味を有し、好ましくは、
51は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1を表し、および、
nは、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
52は、好ましくは、FまたはClを表す。
【0165】
式VI−2の化合物は、好ましくは、式VI−2aおよびVI−2bの化合物群より選択され、より好ましくは、式VI−2のこれらの化合物より大部分が成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0166】
【化67】

式中、
51は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
52は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0167】
(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)である。
【0168】
式VI−3の化合物は、好ましくは、式VI−3aまたはVI−3bの化合物である。
【0169】
【化68】

式中、
51は上で示される意味を有し、好ましくは、C2n+1またはCH=CH−(CHを表し、および、
52は上で示される意味を有し、好ましくは、C2m+1またはO−C2m+1または(CH−CH=CHを表し、ただし、
nおよびmは、互いに独立に、0〜15の範囲内、好ましくは1〜7の範囲内、特に好ましくは1〜5の整数を表し、および
zは、0、1、2、3または4、好ましくは、0または2を表す。
【0170】
(R51およびR52)の好ましい組み合わせは、ここでは特に、(C2n+1およびC2m+1)および(C2n+1およびO−C2m+1)、特に好ましくは、(C2n+1およびO−C2m+1)である。
【0171】
本発明の好ましい実施形態において、媒体は、3より大きい誘電異方性を有する式II−1の1種類以上の誘電的に正の化合物を含む。
【0172】
媒体は、好ましくは、−1.5より大きく3までの範囲の誘電異方性を有する式II−2の1種類以上の誘電的に中性の化合物を含む。
【0173】
本発明の好ましい実施形態において、媒体は、式IIIの1種類以上の化合物を含む。
【0174】
本発明の更に好ましい実施形態において、媒体は、式IVの1種類以上の化合物を含む。
【0175】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、5員および/または6員環を2個以下のみ有する化合物を10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下、非常に特に好ましくは1%以下含み、および、特には、全く含まない。
【0176】
略称(頭字語)の定義は、同様に、表Dにおいて下に示されているか、表A〜Cより明らかである。
【0177】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、式I〜VI、好ましくはI〜Vの化合物群より選択される化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらより成り、更により好ましくは本質的にこれらより成り、非常に特に好ましくは完全にこれらより成る。
【0178】
本出願において、含むは、組成物との関連において、問題となっている構成要素、即ち、媒体または成分が、好ましくは10%以上、非常に好ましくは20%以上の総濃度で、指示された成分または数種類の成分または化合物または数種類の化合物を含むことを意味する。
【0179】
この関連において、大部分が〜より成るは、問題となっている構成要素が、55%以上、好ましくは60%以上、非常に好ましくは70%以上の指示された成分または数種類の成分または化合物または数種類の化合物を含むことを意味する。
【0180】
この関連において、本質的に〜より成るは、問題となっている構成要素が、80%以上、好ましくは90%以上、非常に好ましくは95%以上の指示された成分または数種類の成分または化合物または数種類の化合物を含むことを意味する。
【0181】
この関連において、完全に〜より成るは、問題となっている構成要素が、98%以上、好ましくは99%以上、非常に好ましくは100%の指示された成分または数種類の成分または化合物または数種類の化合物を含むことを意味する。
【0182】
また、上で明らかには述べられてはいない他のメソゲン化合物も、任意成分として有利に本発明による媒体において使用できる。そのような化合物は当業者に既知である。
【0183】
本発明によれば、式Iの化合物は、混合物全体の好ましくは10〜90%、より好ましくは15%〜60%、更により好ましくは30%〜50%、非常に好ましくは25%〜45%の総濃度において使用される。
【0184】
本発明によれば、式IIの化合物は、混合物全体の好ましくは10〜70%、より好ましくは15%〜60%、更により好ましくは30%〜50%、非常に好ましくは25%〜45%の総濃度において使用される。
【0185】
式IIIの化合物は、混合物全体の好ましくは1〜20%、より好ましくは1%〜15%、更により好ましくは2%〜15%、非常に好ましくは3%〜10%の総濃度において使用される。
【0186】
式IVの化合物は、混合物全体の好ましくは1〜60%、より好ましくは5%〜50%、更により好ましくは10%〜45%、非常に好ましくは15%〜40%の総濃度において使用される。
【0187】
液晶媒体は、全体で50%〜100%、より好ましくは70%〜100%、非常に好ましくは80%〜100%、特には90%〜100%の、式I、III、IV、VおよびVI、好ましくは、式I、IIIおよびVIの化合物を、好ましくは含み、より好ましくは大部分が成り、非常に特に好ましくは完全に成る。
【0188】
本出願において、誘電的に正との表現はΔε>3.0の化合物または成分を記載し、誘電的に中性は−1.5≦Δε≦3.0のものを記載し、誘電的に負はΔε<−1.5のものを記載する。Δεは、1kHzの周波数および20℃において決定される。それぞれの化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物におけるそれぞれ個々の化合物の10%溶液の結果より決定される。ホスト混合物におけるそれぞれの化合物の溶解度が10%未満の場合、濃度を5%に低下する。試験混合物の容量は、ホメオトロピック配向を有するセルおよびホモジニアス配向を有するセルの両者において決定する。両タイプのセルのセル厚は、およそ20μmである。印加される電圧は1kHzの周波数および典型的には0.5V〜1.0Vの有効値を有する矩形波であるが、常にそれぞれの試験混合物の容量閾値よりも低く選択される。
【0189】
Δεは(ε−ε)と定義され、一方、εaverageは(ε+2ε)/3である。
【0190】
誘電的に正の化合物用に使用されるホスト混合物は混合物ZLI−4792であり、誘電的に中性および誘電的に負の化合物用に使用されるのは混合物ZLI−3086で、両者ともドイツ国メルク社製である。化合物の誘電率の絶対値は、興味ある化合物を添加した際の、ホスト混合物のそれぞれの値の変化より決定される。その値を、興味ある化合物の濃度100%に外挿する。
【0191】
20℃の測定温度においてネマチック相を有する成分は、そのままで測定され、他の全ても化合物と同様に処理される。
【0192】
両方の場合において他に明言しない限り、本出願において閾電圧との表現は光学的閾値について言及し、10%相対的コントラスト(V10)についてであり、飽和電圧との表現は光学的飽和について言及し、90%相対的コントラスト(V90)についてである。フレデリクス閾値(VFr)とも呼ばれる容量的閾電圧(V)は、明示的に述べる場合にのみ使用する。
【0193】
本出願で示されるパラメータの範囲は、他に明示しない限り、全て限界値を含む。
【0194】
互いの組み合わせにおいて特性の各種の範囲に示される異なる上限および下限の値は、追加の好ましい範囲とする。
【0195】
本出願を通じて、他に明示しない限り、以下の条件および定義を適用する。全ての濃度は重量パーセントで示され、それぞれ混合物全体に関するものであり、全ての温度は、摂氏度であり、全ての温度差は差異度である。全ての物理的特性は、「Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals」、1997年11月刊、ドイツ国メルク社に従って決定され、他に明言しない限り、20℃の温度においてである。光学異方性(Δn)は、589.3nmの波長で決定される。誘電異方性(Δε)は、1kHzの周波数で決定される。閾電圧ならびに他の全ての電気光学的特性は、ドイツ国メルク社で製造された試験セルを使用して決定される。Δεの決定のための試験セルは、およそ20μmのセル厚を有している。電極は、1.13cmの面積および保護リングを有する円形ITO電極である。配向層は、ホメオトロピック配向(ε)用には日本国日産化学社製SE−1211、ホモジニアス配向(ε)用には日本国日本合成ゴム社製ポリイミドAL−1054である。容量は、0.3Vrmsの電圧を有する正弦波を使用するSolatron1260周波数応答解析装置を使用して決定する。電気光学的測定において使用される光は、白色光である。ドイツ国Autronic−Melchers社製の商業的に入手可能なDMS装置を使用する装置構成を、本明細書においては用いる。特性電圧を、垂直観察の下で決定する。閾値(V10)、中間灰色(V50)および飽和(V90)電圧を、それぞれ、10%、50%および90%相対コントラストに対して決定する。
【0196】
液晶媒体を、A.Penirschke、S.Muller、P.Scheele、C.Weil、M.Wittek、C.HockおよびR.Jakoby:「Cavity Perturbation Method for Characterization of Liquid Crystals up to 35 GHz」、第34回European Microwave Conference、アムステルダム、545〜548頁に記載される通り、マイクロ波周波数領域における液晶媒体の特性について検討する。
【0197】
これについては、A.Gaebler、F.Golden、S.Muller、A.PenirschkeおよびR.Jakoby「Direct Simulation of Material Permittivites(以下省略)」、12MTC2009、International Instrumentation and Measurement Technology Conference、シンガポール、2009年(IEEE)、463〜467頁、および、ドイツ国特許出願公開第10 2004 029 429号公報も比較されたい。これらにも測定方法が同様に詳細に記載されている。
【0198】
液晶をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の毛細管内に導入する。毛細管は180μmの内径および350μmの外径を有する。有効長は2.0cmである。充填された毛細管を、共振周波数が30GHzの空洞の中心に導入する。この空洞は6.6mmの長さ、7.1mmの幅および3.6mmの高さを有する。次いで、入力信号(ソース)を印加し、市販のベクトルネットワークアナライザを使用して出力信号の結果を記録する。
【0199】
液晶で充填された毛細管がある状態での測定と、液晶で充填された毛細管がない状態での測定との間における共振周波数およびQ因子の変化を、A.Penirschke、S.Muller、P.Scheele、C.Weil、M.Wittek、C.HockおよびR.Jakoby:「Cavity Perturbation Method for Characterization of Liquid Crystals up to 35 GHz」、第34回European Microwave Conference、アムステルダム、545〜548頁において、そこで記載される通り、式10および11を用いて、対応する目的とする周波数における誘電定数および損失角を決定するために使用する。
【0200】
液晶のダイレクターに垂直および平行な成分に対する特性の値は、磁界中の液晶の配向より得られる。このためには、永久磁石の磁界を使用する。磁界の強さは0.35テスラである。磁石の配置を対応して設定し、次いで、対応して90°回転する。
【0201】
マイクロ波領域における誘電異方性は、
Δε≡(εr‖−εr⊥
の通り定義される。
【0202】
変調能(modulatability)または調整能(tuneability)(τ)は、
τ≡(Δε/εr‖
の通り定義される。
【0203】
材料特性(η)は、
η≡(τ/tanδεrmax
の通り定義され、最大誘電損失係数tanδεrmaxは、
tanδεrmax≡max{tanδεr⊥;tanδεr‖
であり、tanδεrに対して測定された値の最大値に起因する。
【0204】
好ましい液晶材料の材料特性(η)は5以上、好ましくは6以上、好ましくは8以上、好ましくは10以上、好ましくは15以上、好ましくは17以上、特に好ましくは20以上、非常に特に好ましくは25以上である。
【0205】
対応する成分において、好ましい液晶材料は、15°/dB以上、好ましくは20°/dB以上、好ましくは30°/dB以上、好ましくは40°/dB以上、好ましくは50°/dB以上、特に好ましくは80°/dB以上、非常に特に好ましくは100°/dB以上の位相シフト特性を有する。
【0206】
本出願において明らかに他に明言しない限り、化合物との用語は1種類の化合物および複数種類の化合物の両者を意味する。
【0207】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、それぞれの場合において少なくとも−20℃〜80℃、好ましくは−30℃〜85℃、非常に特に好ましくは−40℃〜100℃のネマチック相を有する。この相は、特に好ましくは、120℃以上まで、好ましくは140℃以上まで、非常に特に好ましくは180℃以上にまで及ぶ。本明細書において、ネマチック相を有するとの表現は、一方でスメクチック相および結晶化が対応する温度における低温で確認されないことを意味し、他方でネマチック相から加熱しても透明化が起きないことを意味する。低温における検討は対応する温度において流動粘度計中で行なわれ、5μmのセル厚を有する試験用セルにおいて少なくとも100時間保存して確認する。高温においては、従来法により毛細管中で透明点を測定する。
【0208】
本発明による液晶媒体は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更により好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上、非常に特に好ましくは170℃以上の透明点を有する。
【0209】
本発明による液晶媒体のΔεは、1kHzおよび20℃において、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、非常に好ましくは3以上である。
【0210】
本発明による液晶媒体のΔnは、589nm(Na)および20℃において、好ましくは0.200以上〜0.90以下の範囲内、より好ましくは0.250以上〜0.90以下の範囲内、更により好ましくは0.300以上〜0.85以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.350以上〜0.800以下の範囲内である。
【0211】
本出願の好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体のΔnは、好ましくは0.50以上、より好ましくは0.55以上である。
【0212】
更に、本発明による液晶媒体は、マイクロ波領域における高い異方性により特徴付けられる。複屈折率は、例えば、およそ8.3GHzにおいて、好ましくは0.14以上、特に好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.20以上、特に好ましくは0.25以上、非常に特に好ましくは0.30以上である。加えて、複屈折率は、好ましくは、0.80以下である。
【0213】
しかしながら、実施形態によっては、また、負の値の誘電異方性を有する液晶も有利に使用できる。
【0214】
用いられる液晶は、個別の物質または混合物のいずれかである。それらは、好ましくは、ネマチック相を有する。
【0215】
本発明による液晶媒体または少なくとも1種類の化合物を含む好ましい部品は、位相シフト器、バラクター、アンテナアレー(例えば、ラジオ、モバイル通信、マイクロ波/レーダーおよび他のデータ伝送用)、「整合回路適応フィルター」およびその他である。上で定義される通りの高周波数技術用の部品が好ましい。非常に特に好ましい部品は位相シフト器である。好ましい実施形態において、複数の位相シフト器が機能的に連結され、例えば、位相制御されたグループアンテナを与える。グループアンテナは、干渉を介して束化を達成するために、行列(マトリクス)に配置された送信または受信素子の位相シフトを使用する。行(row)または格子の形態の位相シフト器の並列配置によって、所謂「フェーズドアレー」の構築が可能となり、高周波数(例えば、ギガヘルツ領域)用の調整可能な送信または受信アンテナとして機能できる。本発明によるフェーズドアレーアンテナは、非常に広範に使用可能な受信錐体(reception cone)を有する。
【0216】
好ましい用途は、自動車、船舶、航空機、宇宙旅行および衛星技術の分野からの有人または無人の運搬体上でのレーダー設備およびデータ伝送機器である。
【0217】
適切な部品、特に、位相シフト器を製造するために、本発明による液晶媒体を、典型的には、1mm未満の横断面および数センチメートルの長さを有する矩形空洞内へ導入する。空洞は、2つの長手側に沿って搭載された対向電極を有する。そのような配置は、当業者によく知られている。アンテナの異なる周波数または方向を設定するために、可変電圧を印加することで、液晶媒体の誘電特性を後の操作において調整できる。
【0218】
用語「アルキル」は、好ましくは、1〜15個の炭素原子を有する直鎖状および分岐状のアルキル基、特に、直鎖状の基であるメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルを包含する。2〜10個の炭素原子を有する基が、一般に好ましい。
【0219】
用語「アルケニル」は、好ましくは、2〜15個の炭素原子を有する直鎖状および分岐状のアルケニル基、特に、直鎖状の基を包含する。特に好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特に、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。更に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までの炭素原子を有する基が、一般に好ましい。
【0220】
用語「フルオロアルキル」は、好ましくは、末端フッ素を有する直鎖状の基、即ち、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを包含する。しかしながら、フッ素の他の位置が除外されるものではない。
【0221】
用語「オキサアルキル」または「アルコキシアルキル」は、好ましくは、式C2n+1−O−(CHの直鎖状の基を包含し、ただし、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜10を表す。好ましくは、nが1で、mが1〜6である。
【0222】
ビニル末端基を含有する化合物およびメチル末端基を含有する化合物が、低い回転粘度を有する。
【0223】
本出願において、高周波数技術とは、1MHz〜1THz、好ましくは1GHz〜500GHz、より好ましくは2GHz〜300GHz、特に好ましくは5GHz〜150GHzの範囲内の周波数を有する用途を表す。
【0224】
本発明による液晶媒体は、通常の濃度で更なる添加剤およびキラルドーパントを含むことができる。これらの更なる構成成分の総濃度は、混合物全体に基づいて0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲内である。使用される個々の化合物の濃度は、それぞれ好ましくは0.1%〜3%の範囲内である。これらおよび類似の添加剤の濃度は、本出願において、液晶媒体の液晶成分および液晶化合物の値および濃度範囲を言う場合は考慮されない。
【0225】
本発明による液晶媒体は、複数種類の化合物、好ましくは3〜30種類、より好ましくは4〜20種類、非常に好ましくは4〜16種類の化合物から成る。これらの化合物は、慣用的な方法で混合される。一般に、より少ない量で使用される化合物の所望量を、より多い量で使用される化合物に溶解する。より高い濃度で使用される化合物の透明点より温度が高い場合には、溶解過程の完了を観察するのは特に容易である。しかしながら、他の慣用の方法、例えば、化合物の同族または共融混合物であってよい、例えば、所謂プレ混合の使用や、構成成分自身が使用可能な状態の混合物である所謂「マルチ・ボトル」系を使用して媒体を調製することも可能である。
【0226】
例えば、液晶の融点T(C,N)またはT(C,S)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの全ての温度は、摂氏度である。全ての温度差は差異度である。
【0227】
本出願において、高周波数技術とは、1MHz〜1THz、好ましくは1GHz〜500GHz、好ましくは2GHz〜300GHz、特に好ましくは5GHz〜150GHzの範囲内の周波数を有する用途を意味する。好ましくは、「フェーズドアレー(phased−array)」モジュールを送信および受信アンテナにおいて使用できる通信転送に適するマイクロ波スペクトルまたは隣接領域で応用される。
【0228】
本発明および特に以下の例において、メソゲン化合物の構造は、頭字語とも呼ばれる略称を用いて示される。これらの頭字語において、化学式は、下の表A〜Cを使用して以下の通り省略される。全ての基C2n+1、C2m+1およびC2l+1またはC2n−1、C2m−1およびC2l−1は、それぞれ、n、mおよびl個(ただし、n、mおよびlは、1〜15を表す)のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルケニル、好ましくは、1E−アルケニルを表す。表Aには、化合物の核となる構造の環要素のために使用されるコードが列記されており、一方、表Bには、橋架基が示されている。表Cには、左側または右側の末端基のためのコードの意味が与えられている。表Dには、化合物の例示的構造が、それらのそれぞれの略称と共に示されている。
【0229】
<表A:環要素>
【0230】
【表1】

【0231】
【表2】

【0232】
<表B:橋架基>
【0233】
【表3】

【0234】
<表C:橋架基>
【0235】
【表4】

式中、nおよびmはそれぞれ整数を表し、3つの点「...」はこの表からの他の略称のための場所である。
【0236】
以下の表は、例示構造を、それらのそれぞれの略称と共に示す。これらは、略称のための規則の意味を例示するために示される。それらは、更に、好ましく使用される化合物を表す。
【0237】
<表D:例示的構造>
例示構造は、特に好ましく用いられる化合物である。
3個の6員環を有するもの
【0238】
【表5】

【0239】
【表6】

4個の6員環を有するもの
【0240】
【表7】

【0241】
好ましく用いられる中性化合物の例示的構造
【0242】
【表8】

【0243】
用いられる更なる化合物の例示的構造
【0244】
【表9】

【0245】
【表10】

以下の表、即ち、表Eには、本発明によるメソゲン媒体において安定剤として使用できる例示化合物を示す。これらおよび同様の化合物の媒体中における総濃度は、好ましくは、5%以下である。
【0246】
<表E>
【0247】
【表11】

【0248】
【表12】

【0249】
【表13】

【0250】
【表14】

本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Eからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0251】
以下の表、即ち、表Fには、本発明によるメソゲン媒体においてキラルドーパントとして好ましく使用できる例示化合物を示す。
【0252】
<表F>
【0253】
【表15】

【0254】
【表16】

【0255】
【表17】

本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Fからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0256】
本出願によるメソゲン媒体は、好ましくは、上の表からの化合物から成る群より選択される2種類以上、好ましくは、4種類以上の化合物を含む。
【0257】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、
−7種類以上、好ましくは8種類以上の化合物、即ち、好ましくは、表Dからの化合物群より選択され、3つ以上、好ましくは4つ以上の異なる式を有する化合物を含む。
【0258】
以下の例は、本発明を一切制限することなく本発明を説明する。
【0259】
しかしながら、物理的特性より、当業者に対しては、いかなる特性が達成可能であるか、およびどの範囲で特性を改変できるかが明らかとなる。よって、特に、好ましく達成することができる種々の特性の組み合わせが、当業者のために十分規定される。
【実施例】
【0260】
<合成例1>1,4−ビス(2−(4−ブチルフェニル)エチニル)−2−シクロプロピルベンゼン
【0261】
【化69】

【0262】
1.1)1,4−ジクロロ−2−シクロプロピルベンゼン
【0263】
【化70】

20g(73mmol)の1,4−ジクロロ−2−ヨードベンゼン、9.4g(110mmol)のシクロプロピルボロン酸、32g(147mmol)のリン酸カリウム、421mg(0.7mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba))および1096mg(1.5mmol)の1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1−(ジ−t−ブチルホスフィン)フェロセン(CTC−Q−PHOS)を600mlのトルエン中に溶解し、100℃において一晩加熱する。100mlの水を冷却した溶液に加え、混合物をトルエン(100ml)で2回抽出する。合わせた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中でエバポレートする。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の固体として表題の化合物を得る。
【0264】
1.2)1,4−ビス(2−(4−ブチルフェニル)エチニル)−2−シクロプロピルベンゼン(
【0265】
【化71】

5g(26mmol)の1,4−ジクロロ−2−シクロプロピルベンゼン、9.4g(58mmol)の1−n−ブチル−4−エチニルベンゼン、19g(58mmol)の炭酸セシウム、69mg(0.3mmol)のビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロリドおよび382mg(0.8mmol)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルを、窒素下において80mlのジオキサン中に溶解し、100℃において一晩加熱する。100mlの水を冷却した溶液に加え、混合物をメチルt−ブチルエーテル(100ml)で2回抽出する。合わせた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中でエバポレートする。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、エタノールより再結晶して、固体として表題の化合物1を得る。
【0266】
【表18】

<合成例2>1,4−ビス(2−(4−ブチルフェニル)エチニル)−2−シクロブチルベンゼン
【0267】
【化72】

【0268】
2.1)1−(2,5−ジブロモベンゼン)シクロブタノール
【0269】
【化73】

最初に、21.09g(67mmol)の1,2,4−トリブロモベンゼンを100mlのTHF中に窒素下において導入し、−45℃まで冷却し、THF中の51.54ml(67mmol)のイソプロピルマグネシウムクロリド/リチウムクロリド複合体の溶液(1.3M)を滴下により加える。1時間後バッチを−10℃まで温め、この温度において5ml(66.34ml)のシクロブタノンを滴下により加える。バッチを解凍し、飽和NHCl溶液を加え、混合物をメチルt−ブチルエーテルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を真空中で除去し、残渣をシリカゲルに通してジクロロメタンで濾過し、を得る。それを更に精製することなく次の工程において用いる。
【0270】
2.2)1,4−ジブロモ−2−シクロブチルベンゼン
【0271】
【化74】

14.5g(47.39mmol)のを50mlのTHF中に窒素下で溶解し、35.72ml(284.4mmol)のボロントリフルオリド/ジエチルエーテル錯体を滴下により室温で加え、12.54g(189.6mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを数回に分けて加える。バッチを還流下で一晩加熱する。バッチを室温まで冷却させ、飽和NaHCO溶液を加え、混合物をメチルt−ブチルエーテルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を真空中で除去し、残渣をシリカゲルに通して1−クロロブタンで濾過し、黄色の液体としてを得る。
【0272】
2.3)1,4−ビス(2−(4−ブチルフェニル)エチニル)−2−シクロブチルベンゼン
【0273】
【化75】

最初に、7.8g(47.0mmol)の1−ブチル−4−エチニルベンゼンを100mlのTHF中に窒素下で導入し、−78℃まで冷却し、ヘキサン中リチウムビス(トリメチルシリル)アミドの1M溶液の63.32ml(63.20mmol)を滴下によって加える。1時間後、ヘキサン中9−メトキシ−9−BBNの1M溶液の63.22ml(63.20mmol)を加え、混合物を放置して−78℃で2時間撹拌する。第2の装置において、最初に、6.8g(23.45mmol)の、および0.916g(1.0mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)および1.64g(4.0mmol)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルを100mlのTHF中に導入する。第1の溶液をゆっくりと滴下によって加え、バッチを100℃で一晩加熱する。100mlの水を冷却した溶液に加え、混合物をメチルt−ブチルエーテル(100ml)で2回抽出する。合わせた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中でエバポレートする。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、イソプロパノールより再結晶して、固体として表題の化合物を得る。
【0274】
【表19】

【0275】
<合成例3>2−シクロヘキシル−4−(4−ヘキシルベンゼンエチニル)−1−(4−プロピルベンゼンエチニル)ベンゼン
3.1)4−クロロ−2−シクロヘキシルベンゼントリフルオロメタンスルホネート
【0276】
【化76】

19g(90.2mmol)の4−クロロ−2−シクロヘキシルフェノール、4.64ml(33.18mmol)のトリエチルアミンおよび223mg(1.8mmol)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンを264mlのジクロロメタン中に溶解し、混合物を−5℃まで冷却し、29.6ml(180mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸無水物を滴下により加える。バッチを室温において一晩撹拌し、シリカゲルに通してジクロロメタンで濾過し、生成物を得る。それを更に精製することなく次の工程において用いる。
【0277】
3.2)(4−クロロ−2−シクロヘキシルベンゼンエチニル)トリメチルシラン
【0278】
【化77】

21g(61.3mmol)の、および25.8ml(183.8mmol)のトリメチルシリルアセチレン、2.15g(3mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドおよび21.2ml(153.2mmol)のトリエチルアミンを60mlのN,N−ジメチルホルムアミドに窒素下で溶解し、100℃で一晩加熱する。100mlの水を冷却された溶液に加え、混合物をメチルt−ブチルエーテル(100ml)で2回抽出する。合わせた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中でエバポレートする。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物を得る。それを更に精製することなく次の工程において用いる。
【0279】
3.3)4−クロロ−2−シクロヘキシル−1−エチニルベンゼン
【0280】
【化78】

16.6g(57.1mmol)のを154mlのテトラヒドロフランに溶解し、0℃まで冷却し、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリドの1M溶液(68.48mmol)を滴下により加える。バッチを室温において一晩撹拌し、水を加え、混合物をメチルt−ブチルエーテルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を真空中で除去し、残渣をシリカゲルに通してヘプタン/トルエンで濾過し、生成物を得る。それを更に精製することなく次の工程において用いる。
【0281】
3.4)4−クロロ−2−シクロヘキシル−1−p−トリルエチニルベンゼン10
【0282】
【化79】

6.6g(30.17mmol)の、および7.28g(30.17mmol)の1−ブロモ−4−ヘキシルベンゼン、21.63g(66.39mmol)の炭酸セシウム、78mg(0.3mmol)のビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロリドおよび431mg(0.9mmol)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルを90mlのジオキサン中に窒素下で溶解し、100℃において一晩撹拌する。100mlの水を冷却した溶液に加え、混合物をメチルt−ブチルエーテル(100ml)で2回抽出する。合わせた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中でエバポレートする。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0283】
3.5)2−シクロヘキシル−4−(4−ヘキシルフェニルエチニル)−1−(4−プロピルフェニルエチニル)−ベンゼン
【0284】
【化80】

4.5g(11.87mmol)の10、および1.7g(11.87mmol)の1−n−プロピル−4−エチニルベンゼン、8.5g(26.12mmol)の炭酸セシウム、30mg(0.1mmol)のビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロリドおよび170mg(0.35mmol)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルを35mlのジオキサン中に窒素下で溶解し、100℃において一晩加熱する。100mlの水を冷却された溶液に加え、混合物をメチルt−ブチルエーテル(100ml)で2回抽出する。合わせた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で蒸発させる。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、固体として表題の化合物を得る。
【0285】
【表20】

<合成例4>2−シクロヘキシル−4−(4−ヘキシル−2−フルオロベンゼンエチニル)−1−(4−プロピルベンゼンエチニル)ベンゼン
【0286】
【化81】

【0287】
表題の化合物を合成例3に類似して調製する。
【0288】
<合成例5>2−シクロプロピル−4−(4−ブチルベンゼンエチニル)−1−(3,4,5−トリフルオロベンゼンエチニル)ベンゼン
【0289】
【化82】

表題の化合物を合成例3に類似して、4−クロロ−2−シクロプロピルベンゼントリフルオロメタンスルホネートから出発し、3,4,5−トリフルオロブロモベンゼンを使用し、調製する。
【0290】
【表21】

【0291】
<合成例6>2−シクロプロピル−4−(4−ヘキシルベンゼンエチニル)−1−(4−プロピルベンゼンエチニル)ベンゼン
【0292】
【化83】

表題の化合物を合成例3に類似して調製する。
【0293】
【表22】

【0294】
<合成例7>2−シクロプロピル−4−(4−ヘキシルベンゼンエチニル)−1−(4−プロピルベンゼンエチニル)ベンゼン10
【0295】
【化84】

表題の化合物を合成例2に類似して調製する。
【0296】
【表23】

【0297】
<混合物例1>
以下の表に示される通りの組成および特性を有する液晶混合物M−1を調製する。
【0298】
【表24】

この混合物は、マイクロ波範囲おける、特に、位相シフト器のための用途に非常に高度に適している。従来の混合物と比較して、材料特性(η)が増加している。
【0299】
<混合物例2>
以下の表に示される通りの組成および特性を有する液晶混合物M−2を調製する。また、比較のために、同一の相対量で表の第1〜14の化合物を含み、化合物(1)のない混合物C−2も調製する。
【0300】
【表25】

【0301】
【表26】

また、本発明の実施形態および改変の更なる組み合わせも、記載に従って以下の請求項より生じる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物。
【化1】

(式中、
〜Lは、互いに独立に、F、Cl、C〜C10−アルキルまたはRに従う意味を表し、ただし、基L〜Lの1つ以上はRを表し、
n、o、pは、互いに独立に、0、1、2、3または4を表し、
は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを表し、
およびRは、互いに独立に、H、1〜15個のC原子を有するハロゲン化または無置換のアルキル基(ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−で置き換えられていてもよく)、F、Cl、Br、CN、CF、OCF、SCN、NCSまたはSFを表し、
は、以下を表し、
a)トランス−1,4−シクロヘキシレンまたはシクロヘキセニレン、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、ただし、HはFで置き換えられていてもよく、
b)1,4−フェニレン、ただし、1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、Br、Cl、F、CN、R、C〜C10−アルキル、C〜C10−アルコキシまたは単または多フッ素化C〜C10−アルキルまたはアルコキシ基で置き換えられていてもよく、
または
c)基1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、シクロブタ−1,3−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、
【化2】

からの基、ただし、1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、1個以上のH原子は、Br、Cl、F、CN、R、C〜C10−アルキル、C〜C10−アルコキシまたは単または多フッ素化C〜C10−アルキルまたはアルコキシ基で置き換えられていてもよく、および、1個以上の二重結合は単結合で置き換えられていてもよく、
は、単結合、−C≡C−、−CH=CH−、−CHO−、−(CO)O−、−CFO−、−CFCF−、−CHCF−、−CHCH−、−(CH−、−CH=CF−または−CF=CF−、ただし、非対称な架橋はどちら側を向いてもよく、および
mは、0、1または2を表す。)
【請求項2】
1個、2個または3個の基L〜Lが基Rを表すことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが0であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
1個の基Lのみが基Rを表すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
高周波数技術用の部品において使用するための請求項1〜4のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体。
【請求項7】
式II、IIIおよび/またはIVの化合物より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むことを特徴とする請求項6に記載の液晶媒体。
【化3】

(式中、
11は、R11またはX11を表し、
12は、R12またはX12を表し、
11およびR12は、互いに独立に、H、1〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシ、または、2〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシまたはフッ素化されていないアルコキシアルキルを表し、
11およびX12は、互いに独立に、H、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されたアルコキシアルキルを表し、および
【化4】

を表す。)
【化5】

(式中、
21はR21を表し、あるいは、Z21および/またはZ22がトランス−CH=CH−またはトランス−CF=CF−を表す場合、X21を表し、
22はR22を表し、あるいは、Z21および/またはZ22がトランス−CH=CH−またはトランス−CF=CF−を表す場合、X22を表し、
21およびR22は、互いに独立に、H、1〜17個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシ、または、2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシまたはフッ素化されていないアルコキシアルキルを表し、
21およびX22は、互いに独立に、FまたはCl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されたアルコキシアルキルを表し、
21およびZ22の一方はトランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または−C≡C−を表し、他方は、それとは独立に、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または単結合を表し、および
【化6】

を表す。)
【化7】

(式中、
31は、R31またはX31を表し、
32は、R32またはX32を表し、
31およびR32は、互いに独立に、H、1〜17個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシ、または、2〜15個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシまたはフッ素化されていないアルコキシアルキルを表し、
31およびX32は、互いに独立に、H、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されたアルコキシアルキルを表し、および
31〜Z33は、互いに独立に、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−C≡C−または単結合を表し、および
【化8】

を表す。)
【請求項8】
請求項7において示される通りの式IIの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の液晶媒体。
【請求項9】
請求項7において示される通りの式IIIの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項10】
請求項7において示される通りの式IVの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項11】
媒体における式Iの化合物の濃度は、全体で、5%〜90%の範囲内であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項12】
式II−1〜II−3の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項6〜11のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【化9】

(式中、パラメータは請求項1において与えられるそれぞれの意味を有する。)
【請求項13】
請求項6〜12のいずれか一項に記載の液晶媒体を調製する方法であって、請求項1において示される通りの式Iの1種類以上の化合物を、請求項7において示される通りの式II、IIIおよびIVの化合物群より選択される1種類以上の化合物と、および、任意成分として、1種類以上の更なる化合物と、および、任意成分として、1種類以上の添加剤と混合することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項6〜12のいずれか一項に記載の液晶媒体を含むことを特徴とする高周波数技術用の部品。
【請求項15】
1個以上の機能的に連結された位相シフト器を含むことを特徴とする請求項14に記載の部品。
【請求項16】
高周波数技術用の部品における請求項6〜12のいずれか一項に記載の液晶媒体の使用。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか一項に記載の1個以上の部品を含むことを特徴とする位相制御されたグループアンテナ。

【公開番号】特開2011−74074(P2011−74074A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−214409(P2010−214409)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】