説明

液晶素子、及び、車両用灯具

【課題】より適切なロービーム用配光パターン、より適切なハイビーム用配光パターンを形成することが可能な車両用灯具及び当該車両用灯具に用いられる液晶素子を提供する。
【解決手段】透明電極及びラビング方向が互いにアンチパラレルの関係となるようにラビング処理された水平配向膜が積層された二枚のガラス基板と、二枚のガラス基板の間に形成された液晶層と、前記液晶層中に形成されたポリマーネットワークと、を備えており、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる液晶層であり、前記ポリマーネットワークは、前記ラビング方向の屈折率がno2(但し、nO2≒nO1)、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となるポリマーネットワークであることを特徴とする液晶素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に係り、特により適切なロービーム用配光パターン、より適切なハイビーム用配光パターンを形成することが可能な車両用灯具及び当該車両用灯具に用いられる液晶素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可動シェードを用い、ロービームとハイビームとを切り替えるヘッドランプが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図25は、特許文献1に記載の車両用灯具200を説明するための図である。
【0004】
図25に示すように、特許文献1に記載の車両用灯具200は、投影レンズ210、光源220、光源220からの照射光を反射するリフレクタ230、リフレクタ230からの反射光の一部を遮光する可動シェード240、可動シェード240に連結され、当該可動シェード240を可動させるアクチュエータ250等を備えている。
【0005】
特許文献1に記載の車両用灯具200においては、シェード240は、アクチュエータ250からの駆動力により回転軸241を中心に回転し、遮光位置P1又は開放位置P2のいずれかに位置させられる。これにより、ロービーム又はハイビームのいずれかに切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−341696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用灯具200においては、ロービーム時であるかハイビーム時であるかにかかわらず、常に同一の光学系からの照射光を用いる構成であるため、より適切なロービーム用配光パターン、より適切なハイビーム用配光パターンを形成するのが困難である、という問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、より適切なロービーム用配光パターン、より適切なハイビーム用配光パターンを形成することが可能な車両用灯具及び当該車両用灯具に用いられる液晶素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、透明電極及びラビング方向が互いにアンチパラレルの関係となるようにラビング処理された水平配向膜が積層された二枚のガラス基板と、前記二枚のガラス基板の間に棒状で液晶性の紫外線硬化型モノマーが添加された誘電率異方性が正の棒状の液晶分子を注入することにより、当該二枚のガラス基板の間に形成された液晶層と、前記液晶分子及び前記紫外線硬化型モノマーが垂直配向となった状態の前記液晶層に対して紫外線を照射し、前記液晶分子を拘束しない程度に前記紫外線硬化型モノマーを紫外線硬化させることにより、前記液晶層中に形成されたポリマーネットワークと、を備えており、前記液晶層は、当該液晶層に含まれる棒状の液晶分子が水平配向の状態で、前記ラビング方向の屈折率がne1、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1(但し、ne1>nO1)となり、当該液晶層に含まれる液晶分子が垂直配向の状態で、前記ラビング方向の屈折率がno1、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる液晶層であり、前記ポリマーネットワークは、前記ラビング方向の屈折率がno2(但し、nO2≒nO1)、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となるポリマーネットワークであることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、液晶分子はポリマーネットワークに拘束されていないため、透明電極間に電圧を印加した場合には、液晶層中の液晶分子は、垂直配向(ガラス基板に対し、垂直の姿勢)となる。液晶分子は棒状の分子であるため、当該液晶分子が垂直配向となった場合には、液晶層は、平面視において、ラビング方向の屈折率がno1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる。一方、ポリマーネットワークは、例えば、棒状で液晶性の紫外線硬化型モノマーが垂直配向の状態で紫外線硬化して形成されたものであるため、電圧の印加、無印加にかかわらず、平面視において、ラビング方向の屈折率がno2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となる。
【0011】
この場合、ラビング方向に直交する方向に着目すると、液晶層のラビング方向に直交する方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークのラビング方向に直交する方向の屈折率no2との関係が光学特性に影響を及ぼすことになる。一方、ラビング方向に着目すると、液晶層のラビング方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークNのラビング方向の屈折率no2との関係が光学特性に影響を及ぼすことになる。
【0012】
ここで、液晶層を構成する液晶分子のno1とポリマーネットワークの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択を行うことにより、液晶分子とポリマーネットワーク界面での屈折率差が実質的に生じない。
【0013】
このため、電圧を印加した状態(液晶分子が垂直配向)の液晶素子に到達した光源からの照射光は、液晶分子(液晶層)とポリマーネットワークとの界面においてほとんど屈折(散乱)することなく(すなわち、ラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱することなく)液晶素子(液晶層)を透過する。
【0014】
一方、透明電極間に電圧を印加しない場合には、液晶分子はポリマーネットワークに拘束されていないため、液晶層中の液晶分子は、水平配向(ガラス基板に対し、水平、かつ、ラビング方向に沿って並んだ状態)となる。液晶分子は棒状の分子であるため、当該液晶分子が水平配向となった場合には、液晶層は、平面視において、ラビング方向の屈折率がne1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる。一方、ポリマーネットワークは、例えば、棒状で液晶性の紫外線硬化型モノマーが垂直配向の状態で紫外線硬化して形成されたものであるため、電圧の印加、無印加にかかわらず、平面視において、ラビング方向の屈折率がno2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となる。
【0015】
前記の例と同様に液晶層を構成する液晶分子のno1とポリマーネットワークの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択が行われていた場合、ラビング方向に直交する方向に着目すると、液晶層のラビング方向に直交する方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークのラビング方向に直交する方向の屈折率no2とが実質的に等しくなる。
【0016】
このため、ラビング方向に直交する方向に着目すると、電圧を印加しない状態(液晶分子が水平配向)の液晶素子に到達した光源からの照射光は、液晶分子(液晶層)とポリマーネットワークとの界面においてほとんど屈折(散乱)することなく液晶素子(液晶層)を透過する。
【0017】
一方、ラビング方向に着目すると、液晶層のラビング方向の屈折率ne1は、ポリマーネットワークのラビング方向の屈折率no2と一致しなくなる。
【0018】
この屈折率差に起因して、電圧を印加しない状態(液晶分子が水平配向)の液晶素子に到達した光源からの照射光は、液晶分子(液晶層)とポリマーネットワークとの界面において主にラビング方向に直交する方向に屈折(散乱)して液晶素子(液晶層)を透過する。
【0019】
以上のように、液晶層は、当該液晶層に含まれる棒状の液晶分子が水平配向の状態で、ラビング方向の屈折率がne1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となり、一方、液晶分子が垂直配向の状態で、ラビング方向の屈折率がno1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる液晶層である。そして、ポリマーネットワークNは、ラビング方向の屈折率がno2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となるポリマーネットワークであり、液晶分子は当該ポリマーネットワークに拘束されていない。
【0020】
このため、液晶分子のno1とポリマーネットワークの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択を行い、当該液晶素子を用いて車両用灯具を構成すれば、当該液晶素子(透明電極間)に電圧を印加した場合には、光源からの照射光はラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱しないため、ハイビーム用配光パターンに適したスポット部を含む配光パターンを形成することが可能となり、一方、当該液晶素子(透明電極間)に電圧を印加しない場合には、光源からの照射光はラビング方向に直交する方向により強く散乱(異方性の散乱)するため、ロービーム用配光パターンに適したラビング方向にワイドな配光パターンを形成することが可能となる。
【0021】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、従来のように常に同一の光学系からの照射光を用いるのではなく、ハイビーム時(透明電極間に電圧を印加した場合)には、ハイビーム用配光パターンに適した光(散乱することなく透過する透過光)を用い、ロービーム時(透明電極間に電圧を印加しない場合)には、ロービーム用配光パターンに適した光(ラビング方向に直交する方向により強く散乱する散乱光)を用いることが可能となる。
【0022】
このため、請求項1に記載の発明によれば、より適切なハイビーム用配光パターン、より適切なロービーム用配光パターンを形成することが可能な車両用灯具に用いられる液晶素子を提供することが可能となる。
【0023】
また、請求項1に記載の発明によれば、透明電極間に印加する電圧を外部より接続した駆動回路により調整することにより、ラビング方向に直交する方向の散乱の程度を調整し、所望の配光パターンを形成することが可能な液晶素子を提供することが可能となる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、透明電極及びラビング方向が互いにアンチパラレルの関係となるようにラビング処理された配向膜が積層された二枚のガラス基板と、前記二枚のガラス基板の間に棒状で液晶性の紫外線硬化型モノマーが添加された誘電率異方性が正の棒状の液晶分子を注入することにより、当該二枚のガラス基板の間に形成された液晶層と、前記液晶分子及び前記紫外線硬化型モノマーが水平配向となった状態の前記液晶層に対して紫外線を照射し、前記液晶分子を拘束しない程度に前記紫外線硬化型モノマーを紫外線硬化させることにより、前記液晶層中に形成されたポリマーネットワークと、を備えており、前記液晶層は、当該液晶層に含まれる棒状の液晶分子が水平配向の状態で、前記ラビング方向の屈折率がne1、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1(但し、ne1>nO1)となり、当該液晶層に含まれる液晶分子が垂直配向の状態で、前記ラビング方向の屈折率がno1、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる液晶層であり、前記ポリマーネットワークは、前記ラビング方向の屈折率がne2、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がnO2(但し、nO2≒nO1)となるポリマーネットワークであることを特徴とする。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、液晶分子はポリマーネットワークに拘束されていないため、透明電極間に電圧を印加しない場合には、液晶層中の液晶分子は、水平配向(ガラス基板に対し、水平、かつ、ラビング方向に沿って並んだ状態)となる。液晶分子は棒状の分子であるため、当該液晶分子が水平配向となった場合には、液晶層は、平面視において、ラビング方向の屈折率がne1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる。一方、ポリマーネットワークは、例えば、棒状で液晶性の紫外線硬化型モノマーが水平配向の状態で紫外線硬化して形成されたものであるため、電圧の印加、無印加にかかわらず、平面視において、ラビング方向の屈折率がne2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がnO2となる。
【0026】
ここで、液晶層を構成する液晶分子のno1と、ポリマーネットワークの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択を行った場合、ラビング方向に直交する方向に着目すると、液晶層のラビング方向に直交する方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークのラビング方向に直交する方向の屈折率no2と実質的に等しくなる。一方、ラビング方向に着目すると、液晶層のラビング方向の屈折率n1は、ポリマーネットワークのラビング方向の屈折率n1と等しくなる。
【0027】
このため、電圧を印加しない状態(液晶分子が垂直配向)の液晶素子に到達した光源からの照射光は、液晶分子(液晶層)とポリマーネットワークとの界面においてほとんど屈折(散乱)することなく(すなわち、ラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱することなく)液晶素子(液晶層)を透過する。
【0028】
一方、透明電極間に電圧を印加した場合には、液晶分子はポリマーネットワークに拘束されていないため、液晶層中の液晶分子は、垂直配向(ガラス基板に対し、垂直の姿勢)となる。液晶分子は棒状の分子であるため、当該液晶分子が垂直配向となった場合には、液晶層は、平面視において、ラビング方向の屈折率がno1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる。一方、ポリマーネットワークは、例えば、棒状の紫外線硬化型モノマーが水平配向の状態で紫外線硬化して形成されたものであるため、電圧の印加、無印加にかかわらず、平面視において、ラビング方向の屈折率がne2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となる。
【0029】
ここで、液晶層を構成する液晶分子のno1と、ポリマーネットワークの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択を行った場合、ラビング方向に直交する方向に着目すると、液晶層のラビング方向に直交する方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークNのラビング方向に直交する方向の屈折率no2と実質的に等しくなる。
【0030】
このため、ラビング方向に直交する方向に着目すると、電圧を印加した状態(液晶分子が垂直配向)の液晶素子に到達した光源からの照射光は、液晶分子(液晶層)とポリマーネットワークとの界面においてほとんど屈折(散乱)することなく液晶素子(液晶層)を透過する。
【0031】
一方、ラビング方向に着目すると、液晶層のラビング方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークのラビング方向の屈折率ne2と一致しなくなる。
【0032】
この屈折率差に起因して、電圧を印加した状態(液晶分子が垂直配向)の液晶素子に到達した光源からの照射光は、液晶分子(液晶層)とポリマーネットワークとの界面において主にラビング方向に直交する方向に屈折(散乱)して液晶素子を透過する。
【0033】
以上のように、請求項2記載の発明によれば、液晶層は、当該液晶層に含まれる棒状の液晶分子が水平配向の状態で、ラビング方向の屈折率がne1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となり、一方、液晶分子Cが垂直配向の状態で、ラビング方向の屈折率がno1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる液晶層である。そして、ポリマーネットワークNは、ラビング方向の屈折率がne2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となるポリマーネットワークであり、液晶分子Cは当該ポリマーネットワークNに拘束されていない。
【0034】
このため、当該液晶素子を用いて車両用灯具を構成すれば、当該液晶素子(透明電極間)に電圧を印加しない場合には、光源からの照射光はラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱しないため、ハイビーム用配光パターンに適したスポット部を含む配光パターンを形成することが可能となり、一方、当該液晶素子(透明電極間)に電圧を印加した場合には、光源からの照射光はラビング方向に直交する方向により強く散乱(異方性の散乱)するため、ロービーム用配光パターンに適したラビング方向にワイドな配光パターンを形成することが可能となる。
【0035】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、従来のように常に同一の光学系からの照射光を用いるのではなく、ハイビーム時(透明電極間に電圧を印加しない場合)には、ハイビーム用配光パターンに適した光(散乱することなく透過する透過光)を用い、ロービーム時(透明電極間に電圧を印加した場合)には、ロービーム用配光パターンに適した光(ラビング方向に直交する方向により強く散乱する散乱光)を用いることが可能となる。
【0036】
このため、請求項2に記載の発明によれば、より適切なハイビーム用配光パターン、より適切なロービーム用配光パターンを形成することが可能な車両用灯具に用いられる液晶素子を提供することが可能となる。
【0037】
また、請求項1に記載の発明によれば、透明電極間に印加する電圧を調整することにより、ラビング方向に直交する方向の散乱の程度を調整し、所望の配光パターンを形成することが可能な液晶素子を提供することが可能となる。
【0038】
請求項3に記載の発明は、投影レンズと、光源を含んでおり、当該光源からの照射光又は反射光を用いて前記投影レンズの焦点面に当該投影レンズにより反転、拡大投影される照度分布を形成するための光学系と、前記投影レンズと前記光学系との間に配置され、前記光学系からの照射光又は反射光の一部を遮光する遮光位置又は前記光学系からの照射光又は反射光を遮光することなく通過させる開放位置のいずれかに位置させられる可動シェードと、前記可動シェードと前記光学系との間に、前記光学系からの照射光又は反射光が前記液晶層を透過するように配置された請求項1又は2に記載の液晶素子と、を備えており、前記液晶素子は、前記ラビング方向が鉛直方向に一致する姿勢で配置されていることを特徴とする。
【0039】
請求項3に記載の発明によれば、より適切なハイビーム用配光パターン、より適切なロービーム用配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、より適切なハイビーム用配光パターン、より適切なロービーム用配光パターンを形成することが可能な車両用灯具及び当該車両用灯具に用いられる液晶素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態である車両用灯具100の構成、当該車両用灯具100に用いられる液晶素子10及び光源20からの照射光の光路(ロービーム時)を説明するための図である。
【図2】液晶層11g中の液晶分子C及び紫外線硬化型液晶モノマーM(液晶等注入直後、水平配向時)を模式的に表した断面図である。
【図3】液晶層11g中の液晶分子C及び紫外線硬化型液晶モノマーM(電圧印加、垂直配向、紫外線照射時)を模式的に表した断面図である。
【図4】液晶層11g中の液晶分子C、紫外線硬化型液晶モノマーM及びポリマーネットワークN(電圧印加時)を模式的に表した断面図である。
【図5】図4に示した液晶素子10を模式的に表した平面図である。
【図6】液晶層11g中の液晶分子C、紫外線硬化型液晶モノマーM及びポリマーネットワークN(電圧無印加時)を模式的に表した断面図である。
【図7】図6に示した液晶素子10を模式的に表した平面図である。
【図8】電圧印加により、液晶素子10の透過率が向上することを説明するための図である。
【図9】電圧無印加により、液晶素子10の透過率が低下することを説明するための図である。
【図10】電圧印加により、液晶素子10を透過する光源からの照射光によってハイビーム用配光パターンに適したスポット的な配光パターンが形成されることを説明するための図である。
【図11】電圧無印加により、液晶素子10を透過する光源からの照射光によってロービーム用配光パターンに適したラビング方向にワイドな配光パターンが形成されることを説明するための図である。
【図12】電圧を印加しない状態の液晶素子10で散乱が起こる様子を模式的に表した図である。
【図13】投影レンズ50の焦点面に形成される照度分布を説明するためのグラフである。
【図14】(a)は、車両用灯具100により形成されるロービーム用配光パターンの例、(b)は、反射面30の上側部分で反射された反射光により形成されるロービーム用配光パターンの例、(c)は、反射面30の下側部分で反射された反射光により形成されるロービーム用配光パターンの例である。
【図15】車両用灯具100により形成されるロービーム用配光パターンの例である。
【図16】主に、本発明の第1実施形態である車両用灯具100の光源20からの照射光の光路(ハイビーム時)を説明するための図である。
【図17】(a)は、車両用灯具100により形成されるハイビーム用配光パターンの例、(b)は、反射面30の上側部分で反射された反射光により形成されるハイビーム用配光パターンの例、(c)は、反射面30の下側部分で反射された反射光により形成されるハイビーム用配光パターンの例である。
【図18】車両用灯具100により形成されるハイビーム用配光パターンの例である。
【図19】車両用灯具100(可動シェード40無し)により形成される配光パターンの例である。
【図20】液晶素子10の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【図21】液晶層61g中の液晶分子C、紫外線硬化型液晶モノマーM及びポリマーネットワークN(電圧無印加、水平配向時)を模式的に表した断面図である。
【図22】図21に示した液晶素子60を模式的に表した平面図である。
【図23】液晶層61g中の液晶分子C、紫外線硬化型液晶モノマーM及びポリマーネットワークN(電圧印加、垂直配向時)を模式的に表した断面図である。
【図24】図23に示した液晶素子60を模式的に表した平面図である。
【図25】特許文献1に記載の車両用灯具200を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の第1実施形態である液晶素子10及び当該液晶素子10を用いた車両用灯具100について図面を参照しながら説明する。
【0043】
本実施形態の液晶素子10は、ポリマーネットワーク型の液晶素子であり、例えば、図1に示すような車両用灯具100に用いられる。液晶素子10は、図2、図3等に示すように、透明電極11c、11d及びラビング方向が互いにアンチパラレルの関係となるようにラビング処理された水平配向膜11e、11fが積層された二枚のガラス基板11a、11bを備えている。この二枚のガラス基板11a、11bの間には、後述のように、棒状で液晶性の紫外線硬化型液晶モノマーMが添加された棒状の誘電率異方性が正の液晶分子Cを注入することにより、液晶層11gが形成されている。この液晶層11g中には、液晶分子Cを拘束しない程度に紫外線硬化型液晶モノマーMを紫外線硬化することにより、多孔質(スポンジ状)のポリマーネットワークNがそのほぼ全域に渡って形成されている(図4参照)。
【0044】
次に、図20等を参照しながら液晶素子10の製造工程(実施例)について説明する。
【0045】
まず、二枚のガラス基板11a、11b(ITOの厚さ:2000Å、ガラス板厚:0.7mmt、ガラス材質:青板ガラス)上に透明電極11c、11dとしてのITOを蒸着、スパッタなどにより形成し(図2参照)、フォトリソ工程にて所望のITOパターンを形成した(ステップS10)。
【0046】
次に、ITO11c、11dの表面に水平配向膜11e、11fを形成し(ステップS11)、当該水平配向膜11e、11fに対し、ラビング等による配向処理を二枚のガラス基板11a、11b間の配向方向がアンチパラレルになるように行った(ステップS12)。本実施例では、光制御部分(ディスプレイでいえば画素部分)の透明電極としてパターニングされたITOを用いた。
【0047】
次に、スクリーン印刷もしくはディスペンサーにより、一方のガラス基板11a上にギャップコントロール剤を2〜5wt%含んだメインシール剤を形成した(ステップS13)。実施例では、液晶層11gの厚みが15μmであるため、ギャップコントロール剤としてグラスフアィバー(径:15μm)を用いた。このグラスファイバーを三井化学製シール剤ES−7500に3wt%添加し、メインシール剤とした。次に、他方のガラス基板上11bに、ギャップコントロール剤を散布した。本実施例では、ギャップコントロール剤として15μmのプラスチックボールを乾式のギャップ散布機を用いて散布した。
【0048】
次に、二枚のガラス基板11a、11bの重ね合わせを行い、プレス機などで圧力を一定に加えた状態で熱処理を行い、メインシール剤を硬化させた(ステップS14)。本実施例では、150℃で3時間熱処理を行った。これにより、15μmのセル厚を有する空セルを作製した。
【0049】
次に、空セルに、液晶(棒状の液晶分子C)、カイラル剤、モノマー(液晶性の紫外線硬化型液晶モノマーM:DIC社製UCL−001:n=1.511、n=1.663)、光重合反応開始剤を混合したものを真空注入した(図2参照。ステップS15)。本実施形態では、液晶として△εが正の液晶(n=1.525、n=1.823、△n=0.298、Tni=128℃:大日本インキ化学工業製)を用いた。この液晶にアクリレート系のモノマーを0.5〜40wt%添加した。なお、使用材料にもよるが、モノマーMの添加量は、4wt%以下では、ポリマーネットワークNが形成されない傾向があり、15wt%以上では、電圧による液晶の応答性が悪くなる傾向がある。このため、モノマーMの添加量は、概ね4〜15wt%程度が望ましい。本実施例では、モノマーMを10wt%添加した。さらに、光重合反応開始剤をモノマーMに対し、0.1〜0.5wt%添加した。光重合反応開始剤としては特に限定はなく、紫外線(365nm付近)に感度を持つ材料であればよい。本実施例では、光重合反応開始剤としてチバケミカルズ製のイルガキュアを用いた。
【0050】
次に、液晶セルの注入口に対し、エンドシール剤を塗布し、これを封止した(ステップ16)。エンドシール剤として光硬化性エンドシールを用いるのであれば、液晶セルに直接紫外線が照射されないよう、遮光マスクを用いるのが好ましい。なお、光硬化性エンドシールに代えて、熱硬化性のエンドシール剤や2液混合タイプのエンドシール剤を用いてもよい。
【0051】
次に、透明電極11c、11d間に電圧を印加し、液晶分子C及び紫外線硬化型液晶モノマーMが垂直配向となった状態(図3参照)の液晶層11gに対してフォトマスクを介して紫外線を照射し、液晶分子Cを拘束しない程度にモノマーMを紫外線硬化させることにより、ポリマーネットワークNを形成した(図4参照。ステップ17、S18)。本実施例では、メジロプレジション製の光配向装置を用いた。この装置の光源は、高圧水銀ランプであるが、これに代えて、キセノンランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ等を用いてもよい。紫外線の照射強度は80mw/cm2(350nm)であり、30秒間照射した(照射量は2.5J/cm2)。透明電極11c、11d間に印加する電圧は、LCDでいう飽和閾値電圧V90以上が望ましい。本実施形態では、10Vの交流電圧(周波数150Hz)を印加した。なお、透明電極11c、11d間に印加する電圧が10V以上であれば、ほぼ同程度の散乱性能を得ることが可能なことを確認した。
【0052】
なお、紫外線の照射時間が30秒の場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。なお、照射時間が短いと高い散乱性能が得られにくいこと、照射時間が30秒以上であれば、ほぼ同程度の散乱性能を得ることが可能なことを確認した。
【0053】
最後に、面取りと洗浄を行い(ステップS19)、取り出し電極にピン端子を取り付けた(ステップS20)。
【0054】
以上の工程によりポリマーネットワーク型の液晶素子10が完成する。
【0055】
次に、液晶素子10の光学特性について説明する。
【0056】
本出願の発明者らは、液晶素子10(透明電極11e、11f間)に電圧を印加すると、当該液晶素子10に到達した光源からの照射光はほとんど散乱することなく透過すること(すなわち透過率が増加すること。図8参照)、一方、液晶素子10に電圧を印加しないと、当該液晶素子10に到達した光源からの照射光は散乱して透過すること(すなわち透過率が低下すること。図9参照)、及び、当該散乱は、等方性の散乱ではなく、ラビング方向に直交する方向により強く散乱する異方性の散乱であること、を見出した(図10、図11参照)。図10は、電圧を印加した状態の液晶素子10を透過する光源からの照射光により形成される配光パターンの例であり、ほとんど散乱していないことが分かる。図11は、電圧を印加しない状態の液晶素子10を透過する光源からの照射光により形成される配光パターンの例であり、ラビング方向に直交する方向により強く散乱(異方性の散乱)していることが分かる。
【0057】
次に、液晶素子10が上記光学特性を示す原理について説明する。
【0058】
液晶分子CはポリマーネットワークNに拘束されていないため、液晶素子10(透明電極11c、11d間)に電圧を印加した場合には、図4に示すように、液晶層11g中の液晶分子Cは、垂直配向(ガラス基板11a、11bに対し、垂直の姿勢)となる。液晶分子Cは棒状の分子であるため、当該液晶分子Cが垂直配向となった場合には、液晶層11gは、図5に示すように、平面視において、ラビング方向(図5中上下方向)の屈折率がno1、ラビング方向に直交する方向(図5中左右方向)の屈折率がno1となる。一方、ポリマーネットワークNは、棒状で液晶性の紫外線硬化型液晶モノマーMが垂直配向の状態で紫外線硬化して形成されたものであるため(図4参照)、電圧の印加、無印加にかかわらず、平面視において、ラビング方向の屈折率がno2(但し、nO2≒nO1)、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となる。
【0059】
この場合、ラビング方向に直交する方向(図5中左右方向)に着目すると、液晶層11gのラビング方向に直交する方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークNのラビング方向に直交する方向の屈折率no2との関係が光学特性に影響を及ぼすことになる(ほぼ等しくなる)。一方、ラビング方向(図5中上下方向)に着目すると、液晶層11gのラビング方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークNのラビング方向の屈折率no2との関係が光学特性に影響を及ぼすことになる(ほぼ等しくなる)。
【0060】
ここで、液晶層11gを構成する液晶分子Cのno1とポリマーネットワークNの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーMのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択を行うことにより、液晶分子CとポリマーネットワークN界面での屈折率差が実質的に生じない。
【0061】
このため、電圧を印加した状態(液晶分子Cが垂直配向)の液晶素子10に到達した光源からの照射光は、液晶分子C(液晶層11g)とポリマーネットワークNとの界面f1、f2においてほとんど屈折(散乱)することなく(すなわち、ラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱することなく)液晶素子10(液晶層11g)を透過する(図8参照)。
【0062】
一方、液晶素子10(透明電極11c、11d間)に電圧を印加しない場合には、液晶分子CはポリマーネットワークNに拘束されていないため、図6に示すように、液晶層11g中の液晶分子Cは、水平配向(ガラス基板11a、11bに対し、水平、かつ、ラビング方向に沿って並んだ状態)となる。液晶分子Cは棒状の分子であるため、当該液晶分子Cが水平配向となった場合には、液晶層11gは、図7に示すように、平面視において、ラビング方向(図7中上下方向)の屈折率がne1、ラビング方向に直交する方向(図7中左右方向)の屈折率がno1(但し、ne1>nO1)となる。一方、ポリマーネットワークNは、棒状で液晶性の紫外線硬化型液晶モノマーMが垂直配向の状態で紫外線硬化して形成されたものであるため(図4参照)、電圧の印加、無印加にかかわらず、平面視において、ラビング方向の屈折率がno2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となる。
【0063】
前記の例と同様に液晶層11gを構成する液晶分子のno1とポリマーネットワークNの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーMのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択が行われていた場合、ラビング方向に直交する方向(図7中左右方向)に着目すると、液晶層11gのラビング方向に直交する方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークNのラビング方向に直交する方向の屈折率no2とが実質的に(ほぼ)等しくなる。
【0064】
このため、ラビング方向に直交する方向に着目すると、電圧を印加しない状態(液晶分子が水平配向)の液晶素子10に到達した光源からの照射光は、液晶分子C(液晶層11g)とポリマーネットワークNとの界面f2においてほとんど屈折(散乱)することなく液晶素子10(液晶層11g)を透過する。
【0065】
一方、ラビング方向(図7中上下方向)に着目すると、液晶層11gのラビング方向の屈折率ne1は、ポリマーネットワークNのラビング方向の屈折率no2と一致しなくなる。
【0066】
この屈折率差に起因して、電圧を印加しない状態(液晶分子Cが水平配向)の液晶素子10に到達した光源からの照射光は、液晶分子C(液晶層11g)とポリマーネットワークNとの界面f1において主にラビング方向に直交する方向(図7中左右方向)に屈折(散乱)して液晶素子10(液晶層11g)を透過する。
【0067】
本出願の発明者は、上記知見に基づきさらに検討を進めた結果、液晶素子10を用いて車両用灯具を構成すれば、液晶素子10(透明電極11c、11d間)に電圧を印加した場合には、光源からの照射光はラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱しないため、ハイビーム用配光パターンに適したスポット部を含む配光パターンを形成することが可能となり、一方、当該液晶素子10(透明電極11c、11d間)に電圧を印加しない場合には、光源からの照射光はラビング方向に直交する方向により強く散乱(異方性の散乱)するため、ロービーム用配光パターンに適したラビング方向に直交する方向にワイドな配光パターン(図10参照)を形成することが可能となる、との着想を得て、これを図10、図11に示すように検証した。
【0068】
図10は、電圧を印加した状態の液晶素子10を透過する光源からの照射光により形成される配光パターンの例である。図10を参照すると、当該配光パターンは、ほとんど散乱しないスポット的な配光パターンであり、ハイビーム用配光パターンに適していることが分かる。図11は、電圧を印加しない状態の液晶素子10を透過する光源からの照射光により形成される配光パターンの例である。図11を参照すると、当該配光パターンは、ラビング方向に直交する方向(図11中左右方向)により強く散乱(異方性の散乱)する配光パターンであり、ロービーム用配光パターンに適していることが分かる。
【0069】
次に、液晶素子10を用いた車両用灯具100について図1等を参照しながら説明する。
【0070】
液晶素子10を用いた車両用灯具100は、普通乗用車、軽自動車、トラック、バス等の車両のヘッドランプに適用されるものであり、図1に示すように、液晶素子10、光源20、反射面30、可動シェード40、投影レンズ50等を備えている。なお、光源20、反射面30が、本発明の光学系に相当する。
【0071】
図1に示すように、液晶素子10は、反射面30からの反射光が透過するように、反射面30とシェード40の間に配置されている。液晶素子10は、ガラス基板11a、11bが光軸AXに対して直交し、かつ、ラビング方向が鉛直方向に一致する姿勢で配置されている。このように配置することにより、後述のように、ロービーム走行時の運転手にとって周囲を視認しやすい、ラビング方向に直交する方向(本実施形態では水平方向)にワイドな配光パターン(図15参照)を形成することが可能となる。また、上記のように配置された液晶素子10(液晶層11g)から出射するラビング方向に直交する方向により強く散乱した反射面30からの反射光は、可動シェード40で遮光されることなく投影レンズ50に入射するため、光利用効率が向上する。
【0072】
光源20は、例えば、白熱電球、ハロゲンランプ、HID、LED等である。図1は、光源20としてハロゲンランプを用いた例である。光源20からの照射光は、当該光源20を覆うように配置された反射面30に到達する。
【0073】
反射面30は、当該反射面30に到達した光源20からの照射光を反射し、投影レンズ50の焦点面に照度分布を形成するための反射面である。例えば、反射面30は、第1焦点が光源20近傍に設定され、第2焦点がシェード40の上端縁近傍に設定された回転楕円系の反射面である。
【0074】
可動シェード40は、反射面30からの反射光の下側半分を遮光するための遮光部材である。可動シェード40は、これに連結されたアクチュエータ(図示せず)の作用により、反射面30からの反射光を遮光する遮光位置(ロービーム時)又は当該反射面30からの反射光を遮光することなく通過させる開放位置(ハイビーム時)のいずれかに位置する。可動シェード40は、遮光位置に位置した場合に、上端縁が投影レンズ50の焦点近傍に位置するように配置されている。
【0075】
液晶素子10に電圧を印加しない場合(ロービーム時)には、反射面30からの反射光は、ラビング方向に直交する方向により強く散乱(異方性の散乱。図1、図12参照)して当該電圧を印加しない状態の液晶素子10を透過し、投影レンズ50の焦点面に、例えば、図13に細線で示すような照度分布を形成する。図13中、細線は、液晶素子10に電圧を印加しない場合(ロービーム時)の照度分布を表し、太線は、液晶素子10に電圧を印加しない場合(ハイビーム時)の照度分布を表している。図13を参照すると、ロービーム時の中央の光度がハイビーム時と比べ、約1/2となっていることが分かる。この少なくなった分が、ラビング方向に直交する方向に散乱される。
【0076】
この照度分布は、投影レンズ50により反転、拡大投影され、例えば、図14(a)、図15に示すような、明瞭なカットオフラインCLを有する、ロービーム用配光パターンに適したラビング方向に直交する方向(本実施形態では水平方向)にワイドな配光パターンを形成する。図15を参照すると、当該配光パターンは、ハイビーム用配光パターン(図18)と比べ、中央のMAX光度が低下し、ラビング方向に直交する方向に広がっており、ロービーム用配光パターンに適していることが分かる。なお、図14(b)は、反射面30の上側部分で反射された反射光により形成されるロービーム用配光パターン例であり、図14(c)は、反射面30の下側部分で反射された反射光により形成されるロービーム用配光パターン例である。なお、可動シェード40を設けない場合には、図19に示すように、明瞭なカットオフラインを有さないラビング方向に直交する方向にワイドな配光パターンが形成される。
【0077】
一方、液晶素子10に電圧を印加した場合(ハイビーム時)には、反射面30からの反射光は、ほとんど散乱することなく当該電圧を印加した状態の液晶素子10を透過し(図16参照)、投影レンズ50の焦点面に、例えば、図13に太線で示すような照度分布を形成する。
【0078】
この照度分布は、投影レンズ50により反転、拡大投影され、例えば、図17(a)、図18に示すような、ハイビーム用配光パターンに適したスポット部を含む配光パターンを形成する。図18を参照すると、ロービーム用配光パターン(図15)と比べ、中央のMAX光度が高くなっており(すなわちスポット部が形成されており)、ハイビーム用配光パターンに適していることが分かる。なお、図17(b)は、反射面30の上側部分で反射された反射光により形成されるハイビーム用配光パターン例であり、図17(c)は、反射面30の下側部分で反射された反射光により形成されるハイビーム用配光パターン例である。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、液晶層11gは、当該液晶層11gに含まれる棒状の液晶分子Cが水平配向の状態で、ラビング方向の屈折率がne1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となり(図6、図7参照)、一方、当該液晶層11gに含まれる液晶分子Cが垂直配向の状態で、ラビング方向の屈折率がno1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる液晶層である。そして、ポリマーネットワークNは、ラビング方向の屈折率がno2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となるポリマーネットワークであり、液晶分子Cは当該ポリマーネットワークNに拘束されていない。
【0080】
このため、液晶分子Cのno1とポリマーネットワークNの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択を行い、本実施形態の液晶素子10を用いて車両用灯具100等を構成すれば、当該液晶素子10(透明電極11c、11d間)に電圧を印加した場合には、光源20からの照射光はラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱しないため、ハイビーム用配光パターンに適したスポット部を含む配光パターンを形成することが可能となり、一方、当該液晶素子10(透明電極11c、11d間)に電圧を印加しない場合には、光源20からの照射光はラビング方向に直交する方向により強く散乱(異方性の散乱)するため、ロービーム用配光パターンに適しラビング方向に直交する方向にワイドな配光パターンを形成することが可能となる。
【0081】
すなわち、本実施形態によれば、従来のように常に同一の光学系からの照射光を用いるのではなく、ハイビーム時(透明電極11c、11d間に電圧を印加した場合)には、ハイビーム用配光パターンに適した光(散乱することなく液晶素子10を透過する透過光)を用い、ロービーム時(透明電極11c、11d間に電圧を印加しない場合)には、ロービーム用配光パターンに適した光(液晶素子10から出射するラビング方向に直交する方向により強く散乱する散乱光)を用いることが可能となる。
【0082】
このため、本実施形態によれば、より適切なハイビーム用配光パターン、より適切なロービーム用配光パターンを電気的に切り替え可能な車両用灯具100及び当該車両用灯具100に用いられる液晶素子10を提供することが可能となる。
【0083】
また、本実施形態によれば、液晶素子10(透明電極11c、11d間)に印加する電圧を外部より接続した駆動回路(図示せず)により調整することにより、ラビング方向に直交する方向の散乱の程度を調整し、所望の配光パターンを形成することが可能となる。
【0084】
また、本実施形態によれば、例えば、液晶素子10を用いた車両用灯具100を搭載した車両で、直線道路を高速走行する場合には、当該液晶素子10、60に対して電圧を印加して透明状態にし、MAX光度が高く、遠方視認性が優れたハイビーム用配光パターンを形成し、一方、山間部等のコーナーが連続する道路を走行する場合には、液晶素子10に電圧を印加せず散乱状態にし、MAX光度は低いが広範囲を照射可能なロービーム用配光パターンを形成することが可能である。
【0085】
なお、可動シェード40は、故障時に、当該可動シェード40が遮光位置に戻り、かつ、液晶素子10への電圧がオフとなるように構成するのがフェールセーフ上、好ましい。
【0086】
次に、本発明の第2実施形態である液晶素子60について図面を参照しながら説明する。
【0087】
本実施形態の液晶素子60は、ポリマーネットワーク型の液晶素子であり、例えば、図1に示すような、車両用灯具100に用いられる。液晶素子60は、図21等に示すように、透明電極61c、61d及びラビング方向が互いにアンチパラレルの関係となるようにラビング処理された配向膜61e、61fが積層された二枚のガラス基板61a、61bを備えている。この二枚のガラス基板61a、61bの間には、後述のように、棒状で液晶性の紫外線硬化型液晶モノマーMが添加された棒状の誘電率異方性が正の液晶分子Cを注入することにより、液晶層61gが形成されている。この液晶層61g中には、液晶分子Cを拘束しない程度に紫外線硬化型液晶モノマーMを紫外線硬化することにより、多孔質(スポンジ状)のポリマーネットワークNがそのほぼ全域に渡って形成されている(図21参照)。
【0088】
次に、液晶素子60の製造工程(実施例)について説明する。
【0089】
液晶素子60は、上記第1実施形態において図20を用いて説明した製造工程(実施例)のうち、ステップS17を省略したステップS10〜S20の工程で、製造することが可能である。ステップS17を省略する以外は、既に説明したステップS10〜S20の工程と同じであるため、その説明を省略する。
【0090】
次に、液晶素子60の光学特性について説明する。
【0091】
本出願の発明者らは、液晶素子60は第1実施形態の液晶素子10とは逆の動作をすること、すなわち、液晶素子60(透明電極61c、61d間)に電圧を印加しないと、当該液晶素子60に到達した光源からの照射光はほとんど散乱することなく透過すること(すなわち透過率が増加すること。図8参照)、一方、液晶素子60に電圧を印加すると、当該液晶素子60に到達した光源からの照射光は散乱して透過すること(すなわち透過率が低下すること。図9参照)、及び、当該散乱は、等方性の散乱ではなく、ラビング方向に直交する方向により強く散乱する異方性の散乱であること、を見出した。
【0092】
次に、液晶素子60が上記光学特性を示す原理について説明する。
【0093】
液晶分子CはポリマーネットワークNに拘束されていないため、液晶素子60(透明電極61c、61d間)に電圧を印加しない場合には、図21に示すように、液晶層61g中の液晶分子Cは、水平配向(ガラス基板11a、11bに対し、水平、かつ、ラビング方向に沿って並んだ状態)となる。液晶分子Cは棒状の分子であるため、当該液晶分子Cが水平配向となった場合には、液晶層61gは、図22に示すように、平面視において、ラビング方向(図22中上下方向)の屈折率がne1、ラビング方向に直交する方向(図22中左右方向)の屈折率がno1(但し、ne1>nO1)となる。一方、ポリマーネットワークNは、棒状で液晶性の紫外線硬化型液晶モノマーMが水平配向の状態で紫外線硬化して形成されたものであるため(図21参照)、電圧の印加、無印加にかかわらず、平面視において、ラビング方向の屈折率がne2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2(但し、nO2≒nO1)となる。
【0094】
ここで、液晶層61gを構成する液晶分子Cのno1と、ポリマーネットワークNの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーCのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択を行った場合、ラビング方向に直交する方向(図22中左右方向)に着目すると、液晶層61gのラビング方向に直交する方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークNのラビング方向に直交する方向の屈折率no2と実質的に(概ね)等しくなる。
【0095】
このため、電圧を印加しない状態(液晶分子Cが水平配向)の液晶素子60に到達した光源からの照射光は、液晶分子C(液晶層61g)とポリマーネットワークNとの界面f1、f2においてほとんど屈折(散乱)することなく(すなわち、ラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱することなく)液晶素子60(液晶層11g)を透過する(図8参照)。
【0096】
一方、液晶素子60(透明電極61c、61d間)に電圧を印加した場合には、液晶分子CはポリマーネットワークNに拘束されていないため、図23に示すように、液晶層11g中の液晶分子Cは、垂直配向(ガラス基板11a、11bに対し、垂直の姿勢)となる。液晶分子Cは棒状の分子であるため、当該液晶分子Cが垂直配向となった場合には、液晶層61gは、図24に示すように、平面視において、ラビング方向(図24中上下方向)の屈折率がno1、ラビング方向に直交する方向(図24中左右方向)の屈折率がno1となる。一方、ポリマーネットワークNは、棒状で液晶性の紫外線硬化型液晶モノマーMが水平配向の状態で紫外線硬化して形成されたものであるため(図21参照)、電圧の印加、無印加にかかわらず、平面視において、ラビング方向の屈折率がne2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となる。
【0097】
ここで、液晶層61gを構成する液晶分子Cのno1と、ポリマーネットワークNの出発材料である紫外線硬化型液晶モノマーのno2が実質的に等しくなるよう適切な材料選択を行った場合、ラビング方向に直交する方向(図24中左右方向)に着目すると、液晶層61gのラビング方向に直交する方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークNのラビング方向に直交する方向の屈折率no2と等しくなる。
【0098】
このため、ラビング方向に直交する方向に着目すると、電圧を印加した状態(液晶分子が垂直配向)の液晶素子60に到達した光源からの照射光は、液晶分子C(液晶層61g)とポリマーネットワークNとの界面f2においてほとんど屈折(散乱)することなく液晶素子60(液晶層11g)を透過する。
【0099】
一方、ラビング方向(図24中上下方向)に着目すると、液晶層61gのラビング方向の屈折率no1は、ポリマーネットワークNのラビング方向の屈折率ne2と一致しなくなる。
【0100】
この屈折率差に起因して、電圧を印加した状態(液晶分子Cが垂直配向)の液晶素子10に到達した光源からの照射光は、液晶分子C(液晶層61g)とポリマーネットワークNとの界面f1において主にラビング方向に直交する方向(図24中左右方向)に屈折(散乱)して液晶素子10(液晶層11g)を透過する。
【0101】
本出願の発明者は、上記知見に基づきさらに検討を進めた結果、上記第1実施形態と同様、液晶素子60を用いて車両用灯具を構成すれば、液晶素子60(透明電極61c、61d間)に電圧を印加しない場合には、光源からの照射光はラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱しないため、ハイビーム用配光パターンに適したスポット部を含む配光パターンを形成することが可能となり、一方、当該液晶素子60(透明電極61c、61d間)に電圧を印加した場合には、光源からの照射光はラビング方向に直交する方向により強く散乱(異方性の散乱)するため、ロービーム用配光パターンに適したラビング方向に直交する方向にワイドな配光パターンを形成することが可能となる、との着想を得て、これを図10、図11に示したのと同様に検証した。液晶素子60を用いた灯具については、図1等と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0102】
以上説明したように、本実施形態によれば、液晶層61gは、当該液晶層61に含まれる棒状の液晶分子Cが水平配向の状態で、ラビング方向の屈折率がne1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となり(図21、図22参照)、一方、液晶分子Cが垂直配向の状態で、ラビング方向の屈折率がno1、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる(図23、図24参照)液晶層である。そして、ポリマーネットワークNは、ラビング方向の屈折率がne2、ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となるポリマーネットワーク(図21〜図24参照)であり、液晶分子Cは当該ポリマーネットワークNに拘束されていない。
【0103】
このため、本実施形態の液晶素子60を用いて車両用灯具100等を構成すれば、当該液晶素子60(透明電極61c、61d間)に電圧を印加しない場合には、光源20からの照射光はラビング方向及びラビング方向に直交する方向にほとんど散乱しないため、ハイビーム用配光パターンに適したスポット部を含む配光パターンを形成することが可能となり、一方、当該液晶素子60(透明電極61c、61d間)に電圧を印加した場合には、光源20からの照射光はラビング方向に直交する方向により強く散乱(異方性の散乱)するため、ロービーム用配光パターンに適したラビング方向にワイドな配光パターンを形成することが可能となる。
【0104】
すなわち、本実施形態によれば、従来のように常に同一の光学系からの照射光を用いるのではなく、ハイビーム時(透明電極61c、61d間に電圧を印加しない場合)には、ハイビーム用配光パターンに適した光(散乱することなく液晶素子60を透過する透過光)を用い、ロービーム時(透明電極61c、61d間に電圧を印加した場合)には、ロービーム用配光パターンに適した光(液晶素子10から出射するラビング方向に直交する方向により強く散乱する散乱光)を用いることが可能となる。
【0105】
このため、本実施形態によれば、より適切なハイビーム用配光パターン、より適切なロービーム用配光パターンを電気的に切り替え可能な車両用灯具100及び当該車両用灯具100に用いられる液晶素子60を提供することが可能となる。
【0106】
また、本実施形態によれば、液晶素子10(透明電極11c、11d間)に印加する電圧を外部より接続した駆動回路(図示せず)により調整することにより、ラビング方向に直交する方向の散乱の程度を調整し、所望の配光パターンを形成することが可能となる。
【0107】
また、本実施形態によれば、例えば、液晶素子10を用いた車両用灯具100を搭載した車両で、直線道路を高速走行する場合には、当該液晶素子10、60に対して電圧を印加して透明状態にし、MAX光度が高く、遠方視認性が優れたハイビーム用配光パターンを形成し、一方、山間部等のコーナーが連続する道路を走行する場合には、液晶素子10に電圧を印加せず散乱状態にし、MAX光度は低いが広範囲を照射可能なロービーム用配光パターンを形成することが可能である。
【0108】
次に、変形例について説明する。
【0109】
上記各実施形態では、液晶素子10(液晶素子60も同様)は、ラビング方向に直交する方向が水平方向に一致する姿勢で配置されているように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、液晶素子10(液晶素子60も同様)は、ラビング方向に直交する方向が水平方向から10°程度ずれた姿勢で配置してもよい。
【0110】
このように配置したとしても、ロービーム走行時の運転手にとって周囲を視認しやすい、ラビング方向に直交する方向(本実施形態では水平方向)にワイドな配光パターン(図15参照)を形成することが可能となる。また、上記のように配置された液晶素子10(液晶層11g)から出射するラビング方向に直交する方向により強く散乱した反射面30からの反射光は、可動シェード40で遮光されることなく投影レンズ50に入射するため、光利用効率が向上する。
【0111】
また、例えば、液晶素子10(液晶素子60も同様)は、ラビング方向が水平方向に一致する姿勢で配置してもよい。このように配置したとしても、ハイビーム用配光パターン(図18)と比べ、中央のMAX光度を低下させることが可能となる。
【0112】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0113】
100…車両用灯具、10(60)…液晶素子、11a、11b(61a、61b)…ガラス基板、11c、11d(61c、61d)…透明電極、11e、11f(61e、61f)…配向膜、11g(61g)…液晶層、20…光源、30…反射面、40…可動シェード、50…投影レンズ、C…液晶分子、M…紫外線硬化型液晶モノマー、N…ポリマーネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極及びラビング方向が互いにアンチパラレルの関係となるようにラビング処理された水平配向膜が積層された二枚のガラス基板と、
前記二枚のガラス基板の間に棒状で液晶性の紫外線硬化型モノマーが添加された誘電率異方性が正の棒状の液晶分子を注入することにより、当該二枚のガラス基板の間に形成された液晶層と、
前記液晶分子及び前記紫外線硬化型モノマーが垂直配向となった状態の前記液晶層に対して紫外線を照射し、前記液晶分子を拘束しない程度に前記紫外線硬化型モノマーを紫外線硬化させることにより、前記液晶層中に形成されたポリマーネットワークと、
を備えており、
前記液晶層は、当該液晶層に含まれる棒状の液晶分子が水平配向の状態で、前記ラビング方向の屈折率がne1、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1(但し、ne1>nO1)となり、当該液晶層に含まれる液晶分子が垂直配向の状態で、前記ラビング方向の屈折率がno1、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる液晶層であり、
前記ポリマーネットワークは、前記ラビング方向の屈折率がno2(但し、nO2≒nO1)、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno2となるポリマーネットワークであることを特徴とする液晶素子。
【請求項2】
透明電極及びラビング方向が互いにアンチパラレルの関係となるようにラビング処理された配向膜が積層された二枚のガラス基板と、
前記二枚のガラス基板の間に棒状で液晶性の紫外線硬化型モノマーが添加された誘電率異方性が正の棒状の液晶分子を注入することにより、当該二枚のガラス基板の間に形成された液晶層と、
前記液晶分子及び前記紫外線硬化型モノマーが水平配向となった状態の前記液晶層に対して紫外線を照射し、前記液晶分子を拘束しない程度に前記紫外線硬化型モノマーを紫外線硬化させることにより、前記液晶層中に形成されたポリマーネットワークと、
を備えており、
前記液晶層は、当該液晶層に含まれる棒状の液晶分子が水平配向の状態で、前記ラビング方向の屈折率がne1、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1(但し、ne1>nO1)となり、当該液晶層に含まれる液晶分子が垂直配向の状態で、前記ラビング方向の屈折率がno1、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がno1となる液晶層であり、
前記ポリマーネットワークは、前記ラビング方向の屈折率がne2、前記ラビング方向に直交する方向の屈折率がnO2(但し、nO2≒nO1)となるポリマーネットワークであることを特徴とする液晶素子。
【請求項3】
投影レンズと、
光源を含んでおり、当該光源からの照射光又は反射光を用いて前記投影レンズの焦点面に当該投影レンズにより反転、拡大投影される照度分布を形成するための光学系と、
前記投影レンズと前記光学系との間に配置され、前記光学系からの照射光又は反射光の一部を遮光する遮光位置又は前記光学系からの照射光又は反射光を遮光することなく通過させる開放位置のいずれかに位置させられる可動シェードと、
前記可動シェードと前記光学系との間に、前記光学系からの照射光又は反射光が前記液晶層を透過するように配置された請求項1又は2に記載の液晶素子と、
を備えており、
前記液晶素子は、前記ラビング方向が鉛直方向に一致する姿勢で配置されていることを特徴とする車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−191291(P2010−191291A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37000(P2009−37000)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】