説明

液晶表示素子の連続製造システムおよび液晶表示素子の連続製造方法

【課題】不良率を高めることなく、貼付工程と光学的な検査工程を連続ラインで行う場合でも、本来の製品品質で検査が行われ、かつ生産性が良好な液晶表示素子の連続製造システムおよびその連続製造方法を提供する。
【解決手段】連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを取り付ける架台手段と、光学フィルム積層体を、前記キャリアフィルムを残して偏光フィルムおよび粘着剤を液晶パネルの短辺または長辺に対応する長さに切断して偏光フィルムのシート片を形成するハーフカット手段と、前記シート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付手段と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査手段とを有し、当該貼付手段と検査手段とが連続ラインに配置され、前記連続ロールのとき、および前記ハーフカット手段により切断されるときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付手段により貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子の連続製造システムおよび液晶表示素子の連続製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光フィルムの連続ロールから繰り出し供給された偏光フィルムのシート片を液晶パネルの両面にそれぞれ貼り付けて液晶表示素子を形成する液晶表示素子の連続製造システムが開示されている(特許文献1)。また、液晶表示素子の一方面に光を照射し、当該液晶表示素子の他方面にて液晶表示素子の透過光を撮像する液晶表示素子の検査装置が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−37417号公報
【特許文献2】特開2007−256106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、連続ライン(一連のライン)に配置した貼付手段および検査手段を用いて、液晶パネルの片面または両面に偏光フィルムのシート片を貼り付けて液晶表示素子とし、その後速やかに液晶表示素子を光学的に検査することは、液晶表示素子を連続生産する観点から有利である。貼付処理速度と検査処理速度を一致(または検査速度の方をより速く設定)させて連続ラインで実行することで、貼付処理後の液晶表示素子が長時間検査待ち状態になることがなく、液晶表示素子を高速に連続生産できる利点がある。
【0005】
しかしながら、本発明者らの知見によれば、連続ラインで貼付処理と検査処理を高速に行った場合に、本来の製品品質として問題とならない良品レベルであるに関らず、往々にして不良品として判定される場合がある。上記の不良と判定された液晶表示素子をその後に再検査したところ、それらが良品として判定されることが判明しているからである。すなわち、液晶パネル製造工程や偏光フィルム貼付工程において、液晶パネルの表面に目視できないレベルの極めて微細な傷が生じる場合がある。このような液晶パネルの表面に偏光フィルムのシート片を貼り付けると、微細な傷に由来する微小な空隙によって光学的な歪みを生じる。このような光学的な歪みは、一般的にはシート片の粘着剤が経時的に微小な空隙に入り込む(追従する)ことで解消されるものである。しかしながら、上記のような連続製造システムにおいては、その高速性が故にシート片の粘着剤が微小な空隙に追従する間もなく検査処理が施されるため、良品レベルになり得る液晶表示素子をも不良品として判定されてしまう。その結果、高速連続生産性が著しく低下する。
【0006】
上記の課題に対し、偏光フィルムのシート片と液晶パネル間の粘着剤として、上記の微細な傷に対しても追従しやすい柔軟な粘着剤を用いることが考えられる。しかし、液晶表示素子の連続製造システムでは、液晶パネルの長辺または短辺に対応する幅にスリットされた連続ロールが用いられるところ、柔軟な粘着剤を用いると、当該スリット時に粘着剤の欠けや引きずりが起こりやすくなる。また、連続ロールの巻き圧(巻き締め)によって、粘着剤が変形損失しやすく、新たな不良の原因となりやすい。他方、偏光フィルムのシート片を液晶パネルに貼り付けるときの加圧(押し圧)を高くしたり、貼り付け速度を低下させたりして、このような問題が生じないようにすることも考えられる。しかし、これらの方法では、偏光フィルムおよび液晶パネルに必要以上に負荷をかけ、セルギャップ異常等により不良品が生じて製品歩留まりを低下させたり、生産速度を低下させることになるため望ましくない。
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、不良率を高めることなく、貼付工程と光学的な検査工程を連続ラインで高速に行う場合でも、本来の製品品質で検査が行われ、かつ生産性が良好な液晶表示素子の連続製造システムおよび液晶表示素子の連続製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
本発明は、キャリアフィルムに粘着剤を介して偏光フィルムが積層されてなり、液晶パネルの長辺または短辺に対応する幅を持つ連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを取り付ける架台手段と、前記連続ロールから繰り出された前記光学フィルム積層体を、前記キャリアフィルムを残して前記偏光フィルムおよび前記粘着剤を前記液晶パネルの短辺または長辺に対応する長さに切断して偏光フィルムのシート片を形成するハーフカット手段と、前記偏光フィルムのシート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付手段と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査手段とを有し、当該貼付手段と検査手段とが連続ラインに配置される液晶表示素子の連続製造システムであって、
前記架台手段に取り付けられた連続ロールのとき、および前記ハーフカット手段により切断されるときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付手段により貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化手段を有する。
【0010】
上記発明によれば、架台手段に取り付けられた連続ロールのとき、およびハーフカット手段により切断されるときに粘着剤の貯蔵弾性率が17.5kPa以上であることにより、連続ロールの巻き締めによる粘着剤の変形損失(打痕やスジの発生)やハーフカット時の粘着剤の欠けや引きずりを抑制できる。一方、貼付手段により貼り付けるときにシート片の粘着剤の貯蔵弾性率を17.5kPaよりも小さくなるようにすることにより、貼り付け圧を用いて液晶パネルの表面の微細な傷に当該粘着剤を急速に追従させることができるため、良品レベルの液晶表示素子が製造ライン後段(下流)の検査手段で不良品として判定されることを抑制できる。すなわち、連続ラインにおいて、偏光フィルム貼付に続けて光学的検査を行う場合でも、本来の製品品質で当該光学的検査を行える。その結果、本発明によれば、不良率を高めることなく、連続ラインにおいて、偏光フイルム貼付後に速やかに光学的検査を行うことが可能となるため、良品の液晶表示素子を高速連続生産することができる。
【0011】
上記発明の一実施形態として、前記粘着剤軟化手段は、前記貼付手段により貼り付けるときの粘着剤の貯蔵弾性率を16.5kPa以下にすることが好ましい。前記貯蔵弾性率を16.0kPa以下にすることがより好ましく、15.0kPa以下にすることがさらに好ましい。当該貯蔵弾性率の下限値は、粘着剤の機能性能を維持できる値である。
【0012】
粘着剤軟化手段としては、例えば、加温処理、水等の薬液処理等を行える各種装置が挙げられる。また、粘着剤の貯蔵弾性率の測定方法は後述する。
【0013】
上記発明の一実施形態として、前記粘着剤軟化手段は、前記粘着剤の温度が相対的に高くなるようにする加温手段であることが好ましい。
【0014】
貼付手段が液晶パネルの両面に偏光フィルムのシート片を逐次に貼り付けるとき、例えば貼付手段が液晶パネルの第1面に第1偏光フィルムを貼り付ける第1偏光フィルム貼付手段と、第1偏光フィルム貼付後に液晶パネルの第2面に第2偏光フィルムを貼り付ける第2偏光フィルム貼付手段とを有する場合、加温手段は、第1偏光フィルム貼付手段により液晶パネルに第1偏光フィルムを貼り付けるときの粘着剤の温度が連続ロールのときよりも高い温度となるようにするための第1加温手段、第2偏光フィルム貼付手段により液晶パネルに前記第2偏光フィルムを貼り付けるときの粘着剤の温度が連続ロールのときよりも高い温度となるようにするための第2加温手段のいずれかを有していればよく、好ましくは少なくとも第2加温手段を有し、より好ましくは第1加温手段及び第2加温手段の両方を有する。
【0015】
本発明において、「連続ライン」とは、液晶パネルを偏光フィルム貼付、光学的検査(液晶表示素子の光学的検査)等のために連続して搬送するラインのことである。
【0016】
また、上記発明の一実施形態として、前記加温手段は、前記貼付手段により前記液晶パネルに前記偏光フィルムのシート片を貼り付ける前に、当該液晶パネルを加温する液晶パネル加温手段である。
【0017】
この構成によれば、液晶パネルを介して粘着剤を間接的に加温することができる。その結果、偏光フィルムを直接加温する場合に懸念される打痕、スジの発生、偏光フィルムの反りや寸法変化のリスクを減らすことができる。
【0018】
また、前記液晶パネル加温手段が、前記液晶パネルに赤外線を照射することで当該液晶パネルを加温する赤外線照射手段であることが好ましい。この場合、比較的小型の装置を適用できるため、製造システムの大型化を抑制できるとともに、液晶パネルを効率よく加温できる点で好適である。
【0019】
また、前記液晶パネル加温手段が、前記液晶パネルを前記貼付手段に向かって搬送しながら加温する搬送加温手段であることが好ましい。搬送加温手段としては、例えば、吸着加温プレートが挙げられる。この場合、液晶パネルを短時間でさらに効率良く加温できる。
【0020】
上記赤外線照射手段および上記吸着加温プレートは、異物や埃等の巻上げがない点でも好ましい。
【0021】
また、上記液晶パネル加温手段が、前記液晶パネルに温風を吹き付けることで当該液晶パネルを加温する温風手段であることが好ましい。上記液晶表示素子の連続製造システムの一実施形態として、前記液晶パネルを水で洗浄する洗浄手段をさらに有し、前記温風手段が、前記洗浄手段により水が付着した液晶パネルに温風を吹き付けることで当該液晶パネルを乾燥するとともに加温する加温乾燥手段である。これにより、洗浄後の乾燥と同時に液晶パネルを加温できるため効率的である。
【0022】
また、上記液晶表示素子の連続製造システムの一実施形態として、前記加温手段が、前記ハーフカット手段により切断された後の偏光フィルムのシート片を前記貼付手段により前記液晶パネルに貼り付ける前に加温する偏光フィルム加温手段である。
【0023】
この構成によれば、偏光フィルムのシート片を直接加温するため、粘着剤を高速に加温することができ、熱量も小さく(他の方法より最低熱量に)できるため効率がよい。
【0024】
また、上記偏光フィルム加温手段が、赤外線照射手段であることが好ましい。赤外線照射手段の場合、比較的小型の装置を適用できるため、製造システムの大型化を抑制できるとともに、偏光フィルムを効率よく加温できる点で好適である。
【0025】
また、上記液晶表示素子の連続製造システムの一実施形態として、前記加温手段が、前記貼付手段により貼り付けるときに当該偏光フィルムのシート片と接触する側の当該貼付手段で構成される。また、前記加温手段は、前記貼付手段により貼り付ける位置における雰囲気を加温する貼付雰囲気加温手段である。
【0026】
これらの構成によれば、偏光フィルムのシート片を液晶パネルに貼り付ける時に同時に加温できるため効率的である。例えば、加温した状態の貼付手段(加温ロール)を利用して、貼り付け処理と同時に、偏光フィルムのシート片を加温できる。よって、偏光フィルムの反りや寸法変形を抑制しながら粘着剤を効率よく加温できる。
【0027】
また、上記発明の一実施形態として、前記液晶表示素子の連続製造システムは、前記液晶表示素子を搬送する液晶表示素子搬送手段をさらに有し、前記検査手段は、前記液晶表示素子搬送手段の一方面側に配置され、前記液晶表示素子の一方面に光を照射する光照射手段と、前記液晶表示素子搬送手段の他方面側に配置され、前記光照射手段により照射された前記液晶表示素子を撮像する撮像手段とを有する透過光検査手段を含む構成である。
【0028】
この構成によって、液晶表示素子を透過した透過光を撮像することで、液晶パネルと偏光フィルムとの間の気泡や異物を輝点として検出できる。本発明では、液晶パネル表面の微細な傷に粘着剤を急速に追従させた上で検査できるため、本来の製品品質でこの検査を実行できる。また、液晶パネルに電圧を印加して点灯させて行なう点灯検査と異なり、検査の高速化が可能となり、連続ラインにて、液晶表示素子の検査速度を偏光フィルム貼付速度と同等またはそれ以上の速度で実行させることが可能となる。その結果、良質の液晶表示素子をより高速に連続生産できる。なお、検査手段は、透過光検査手段の他に、液晶表示素子の一方面に対し、斜め方向から光を照射し、当該液晶表示素子の一方面で反射した光を受光することで、当該液晶表示素子を光学的に検査する反射光検査手段をさらに含んでいてもよい。これにより、液晶パネル自体を点灯させることなく、表面キズや表面異物を検出できるとともに液晶パネルと偏光フィルムとの間に介在する気泡や異物をより確実に検出することができる。
【0029】
また、他の本発明は、キャリアフィルムに粘着剤を介して液晶パネルの長辺または短辺に対応する長さの偏光フィルムのシート片が積層されてなり、液晶パネルの短辺または長辺に対応する幅を持つ連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを取り付ける架台手段と、前記連続ロールから繰り出された前記光学フィルム積層体の前記偏光フィルムのシート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付手段と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査手段とを有し、当該貼付手段と検査手段とが連続ラインに配置される液晶表示素子の連続製造システムであって、
前記架台手段に取り付けられた連続ロールのときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付手段により貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化手段を有する。
【0030】
上記発明によれば、架台手段に取り付けられた連続ロールのときに粘着剤の貯蔵弾性率が17.5kPa以上であることにより、連続ロールの巻き締めによる粘着剤の変形損失(打痕やスジの発生)を抑制できる。一方、貼付手段により貼り付けるときにシート片の粘着剤の貯蔵弾性率を17.5kPaよりも小さくなるようにすることにより、貼り付け圧を用いて液晶パネルの表面の微細な傷に当該粘着剤を急速に追従させることができるため、良品レベルの液晶表示素子が製造ライン後段(下流)の検査手段で不良品として判定されることを抑制できる。すなわち、連続ラインにおいて、偏光フィルム貼付に続けて光学的検査を行う場合でも、本来の製品品質で当該光学的検査を行える。その結果、本発明によれば、不良率を高めることなく、連続ラインにおいて、偏光フイルム貼付後に速やかに光学的検査を行うことが可能となるため、良品の液晶表示素子を高速連続生産することができる。なお、粘着剤軟化手段としては、上記加温手段を同様に用いることができる。
【0031】
また、他の本発明は、キャリアフィルムに粘着剤を介して偏光フィルムが積層されてなり、液晶パネルの長辺または短辺に対応する幅を持つ連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを架台手段に取り付ける連続ロール取付工程と、前記連続ロールから繰り出された前記光学フィルム積層体を、前記キャリアフィルムを残して前記偏光フィルムおよび前記粘着剤を前記液晶パネルの短辺または長辺に対応する長さに切断して偏光フィルムのシート片を形成するハーフカット工程と、前記偏光フィルムのシート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付工程と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査工程とを有し、当該貼付工程と検査工程とが連続ラインで行われる液晶表示素子の連続製造方法であって、
前記連続ロール取付工程で前記架台手段に取り付けられた連続ロールのとき、および前記ハーフカット工程で切断されるときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付工程で貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化工程を有する。
【0032】
上記発明によれば、連続ロール取付工程で取り付けられた連続ロールのとき、およびハーフカット工程で切断されるときに粘着剤の貯蔵弾性率が17.5kPa以上であることにより、連続ロールの巻き締めによる粘着剤の変形損失(打痕やスジの発生)やハーフカット時の粘着剤の欠けや引きずりを抑制できる。一方、貼付工程で貼り付けるときにシート片の粘着剤の貯蔵弾性率を17.5kPaよりも小さくなるようにすることにより、貼り付け圧を用いて液晶パネルの表面の微細な傷に当該粘着剤を急速に追従させることができるため、良品レベルの液晶表示素子が製造ライン後段(下流)の検査手段で不良品として判定されることを抑制できる。すなわち、連続ラインにおいて、偏光フィルム貼付に続けて光学的検査を行う場合でも、本来の製品品質で当該光学的検査を行える。その結果、本発明によれば、不良率を高めることなく、連続ラインにおいて、偏光フィルム貼付後に速やかに光学的検査を行うことが可能となるため、良品の液晶表示素子を高速連続生産することができる。
【0033】
上記発明の一実施形態として、前記粘着剤軟化工程は、前記貼付工程により貼り付けるときの粘着剤の貯蔵弾性率を16.5kPa以下にすることが好ましい。前記貯蔵弾性率を16.0kPa以下にすることがより好ましく、15.0kPa以下にすることがさらに好ましい。当該貯蔵弾性率の下限値は、粘着剤の機能性能を維持できる値である。
【0034】
上記発明の一実施形態として、前記粘着剤軟化工程は、前記粘着剤の温度が相対的に高くなるようにする加温工程であることが好ましい。
【0035】
加温工程は、液晶パネルに偏光フィルムのシート片を貼り付けるときに、液晶パネルに前記偏光フィルムのシート片を貼り付けるときの粘着剤の貯蔵弾性率が前記連続ロールの時およびハーフカット時よりも高い貯蔵弾性率となるようにするための工程である。
【0036】
また、他の本発明は、キャリアフィルムに粘着剤を介して液晶パネルの長辺または短辺に対応する長さの偏光フィルムのシート片が積層されてなり、液晶パネルの短辺または長辺に対応する幅を持つ連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを架台手段に取り付ける連続ロール取付工程と、前記連続ロールから繰り出された前記光学フィルム積層体の前記偏光フィルムのシート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付工程と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査工程とを有し、当該貼付工程と検査工程とが連続ラインで行われる液晶表示素子の連続製造方法であって、
前記連続ロール取付工程で前記架台手段に取り付けられた連続ロールのときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付工程で貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化工程を有する。
【0037】
上記発明によれば、連続ロール取付工程で取り付けられた連続ロールのときに粘着剤の貯蔵弾性率が17.5kPa以上であることにより、連続ロールの巻き締めによる粘着剤の変形損失(打痕やスジの発生)を抑制できる。一方、貼付手段により貼り付けるときにシート片の粘着剤の貯蔵弾性率を17.5kPaよりも小さくなるようにすることにより、粘着剤を軟化させた上で加圧することで液晶パネルの表面の微細な傷に当該粘着剤を急速に追従させることができるため、良品レベルの液晶表示素子が製造ライン後段(下流)の検査手段で不良品として判定されることを抑制できる。すなわち、連続ラインにおいて、偏光フィルム貼付に続けて光学的検査を行う場合でも、本来の製品品質で当該光学的検査を行える。その結果、本発明によれば、不良率を高めることなく、連続ラインにおいて、偏光フイルム貼付後に速やかに光学的検査を行うことが可能となるため、良品の液晶表示素子を高速連続生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】液晶表示素子の連続製造システムの一例を示した概略図。
【図2】液晶表示素子の連続製造システムの一例を示した概略図。
【図3】液晶表示素子の連続製造システムの一例を示した概略図。
【図4】液晶表示素子の連続製造システムの一例を示した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(実施形態1)
図1を参照しながら本実施形態に係る液晶表示素子の連続製造システムおよび液晶表示素子の連続製造方法を説明する。
【0040】
(偏光フィルムおよび連続ロール)
第1連続ロール1は、第1キャリアフィルム12と、第1キャリアフィルム12に第1粘着剤を介して形成された長手方向に吸収軸を有する第1偏光フィルムを有する連続ウエブ形態の第1光学フィルム積層体11をロール状に巻回したものである。第1光学フィルム積層体11は、液晶パネルの長辺に対応する幅を持つ(なお、後述する第2光学フィルム積層体は、液晶パネルの短辺に対応する幅を持つ。)。第1光学フィルム積層体(および、後述する第2光学フィルム積層体)は、少なくともキャリアフィルムと偏光フィルムとが積層されて構成される。偏光フィルムは、例えば、偏光子(厚さは5〜80μm程度)と、偏光子の片面または両面に偏光子保護フィルム(厚さは一般的に1〜500μm程度)が接着剤または接着剤なしで形成される。第1光学フィルム積層体11を構成する他のフィルムとして、例えば、位相差フィルム(厚さは一般的に10〜200μm)、視角補償フィルム、輝度向上フィルム、表面保護フィルム等が挙げられる。光学フィルム積層体の厚みは、例えば、10μm〜500μmの範囲が挙げられる。
【0041】
偏光フィルムとキャリアフィルムとの間に介在する粘着剤は、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。粘着剤の層厚みは、例えば、10〜50μmの範囲が好ましい。本発明では、粘着剤の貯蔵弾性率は、連続ロールの状態のときに、およびハーフカット手段により切断されるときに17.5kPa以上である。
【0042】
キャリアフィルムは、例えばプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム等)等の従来公知のフィルムを用いることができる。また、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0043】
(液晶表示素子)
液晶表示素子は、液晶パネルの片面または両面に少なくとも偏光フィルムのシート片が貼り付けられたものであり、必要に応じて駆動回路が組込まれる。液晶パネルは、例えば、垂直配向(VA)型、面内スイッチング(IPS)型などの任意なタイプのものを用いることができる。液晶パネルは、対向配置される一対の基板(第1基板、第2基板)間に液晶層が封止された構成である。
【0044】
本実施形態に係る液晶表示素子の連続製造システムは、液晶パネル供給手段301と、第1架台手段150と、第1ハーフカット手段31と、第1加温手段(粘着剤軟化手段であって液晶パネル加温手段に相当する)101と、第1偏光フィルム貼付手段321(貼付ロール51a、支持ロール51b)と、液晶パネル搬送手段302と、第2架台手段250と、第2ハーフカット手段32と、第2加温手段(粘着剤軟化手段であって液晶パネル加温手段に相当する)102と、第2偏光フィルム貼付手段322(貼付ロール52a、支持ロール52b)と、液晶表示素子搬送手段303と、検査手段60とを有する。本実施形態では、液晶パネル供給手段301、液晶パネル搬送手段302および液晶表示素子搬送手段303が連続ラインを構成し、貼付手段(第1偏光フィルム貼付手段及び第2偏光フィルム貼付手段)並びに検査手段60が連続ラインに配置されている。また、本実施形態では、液晶パネルの下側から第1偏光フィルムのシート片を貼り付ける。次いで、第1偏光フィルムのシート片を貼り付けた液晶パネルを90°旋回および上下反転(表裏面反転)させて、当該液晶パネルの下側から第2偏光フィルムのシート片を貼り付ける。
【0045】
(液晶パネル供給手段)
液晶パネル供給手段301は、第1偏光フィルム貼付手段321に液晶パネル4を供給する。本実施形態では、液晶パネル供給手段301は、液晶パネルの搬送手段70、洗浄手段および乾燥手段で構成されるが、これに限定されるものではない。
【0046】
液晶パネル4の搬送手段70は、搬送ローラおよび吸着プレート等を有して構成される。搬送手段70は、搬送ローラを回転させることで、あるいは吸着プレートを移送させることで、液晶パネル4を搬送する。
【0047】
洗浄手段は、液晶パネルを水で洗浄する。具体的には、液晶パネル4は、水浴に搬送され水洗される。水浴の内部は純水が流れている。水浴から搬送された液晶パネル4の両面は、流水パイプから流出される純水によって、すすぎ洗浄される。なお、別実施形態として純水の代わりにエタノール水溶液を用いて洗浄することもできる。
【0048】
乾燥手段は、洗浄手段により水が付着した液晶パネル4を乾燥する。乾燥手段としては、例えば、液晶パネルに温風を吹き付ける温風装置が挙げられる。
【0049】
(第1加温手段)
第1加温手段101は、貼付時の第1粘着剤の貯蔵弾性率を第1連続ロール1の巻回状態の時および第1ハーフカット手段31で切断される時の貯蔵弾性率よりも相対的に小さくなるようにすべく、貼付時の第1粘着剤の温度を第1連続ロール1の巻回状態の時および第1ハーフカット手段31で切断される時の温度よりも相対的に高くなるようにするために設置される。第1粘着剤の温度を相対的に高くすることで、第1粘着剤の貯蔵弾性率を相対的に小さくする。第1加温手段101は、第1偏光フィルム貼付手段321により貼り付けるときの第1粘着剤の貯蔵弾性率を16.5Pa以下にするように加温することが好ましい。
【0050】
第1加温手段101は、液晶パネル4の第1基板41面を加温する第1液晶パネル加温手段である。液晶パネル4の第1基板41は、後述する第1偏光フィルム貼付手段321により液晶パネル4に第1偏光フィルムのシート片を貼り付けるときに粘着剤の温度が第1連続ロール1の時およびハーフカット時よりも高い温度となるように加温される。第1加温手段101としては、例えば、温風装置(温風手段)、赤外線ヒータ装置(赤外線照射手段)を用いることができる。赤外線ヒータ装置等の熱源の設定温度を例えば50℃に設定し、液晶パネル4の基板表面を約40℃に加温させた状態とし、この温度状態を保ちながら偏光フィルムとの貼り付けを実施させる。
【0051】
(第1偏光フィルム供給手段)
第1偏光フィルム供給手段311は、第1連続ロール1から第1光学フィルム積層体11を繰り出し、第1キャリアフィルム12を残して第1偏光フィルムおよび粘着剤を液晶パネル4の短辺に対応する長さに切断して第1偏光フィルムのシート片を形成し、第1キャリアフィルム12を折り返して、第1キャリアフィルム12から第1偏光フィルムのシート片および粘着剤を剥離し、剥離された第1偏光フィルムのシート片および粘着剤を第1偏光フィルム貼付手段321に供給する。そのために、第1偏光フィルム供給手段311は、第1架台手段150、第1ハーフカット手段31、第1剥離手段41、第1巻取手段160を有する。
【0052】
第1架台手段150は、第1光学フィルム積層体11を巻回した第1連続ロール1を取り付ける手段である。第1架台手段150は、例えば、第1連続ロールの中空巻芯に挿入可能なローラ部を備え、当該ローラ部が自由回転自在にあるいは回転速度を調整可能に構成されている。第1架台手段150に取り付けられた第1連続ロール1の巻回状態のときに、第1粘着剤の貯蔵弾性率は、17.5kPa以上である。
【0053】
第1ハーフカット手段31は、第1連続ロール1から繰り出された光学フィルム積層体11を、キャリアフィルム12を残して第1偏光フィルムおよび第1粘着剤を液晶パネル4の短辺に対応する長さに切断して第1偏光フィルムのシート片を形成する。第1ハーフカット手段31により切断されるときに、第1粘着剤の貯蔵弾性率は、17.5kPa以上である。第1ハーフカット手段31としては、例えばカッター、レーザー装置などが挙げられる。
【0054】
第1剥離手段41は、第1キャリアフィルム12を内側にして折り返して、第1キャリアフィルム12から第1偏光フィルムのシート片および粘着剤を剥離する。本実施形態では、第1剥離手段41としては、先端が先鋭ナイフエッジ部を用いているが、これに限定されるものではない。
【0055】
第1巻取手段160は、第1偏光フィルムが剥離されたキャリアフィルム12を巻き取る。
【0056】
(第1偏光フィルム貼付手段)
第1偏光フィルム貼付手段321は、液晶パネル供給手段301により供給された液晶パネル4の第1基板41に第1偏光フィルム供給手段311により供給された第1偏光フィルムのシート片を第1粘着剤を介して貼り付ける。上述したように第1加温手段101が第1粘着剤の温度を相対的に高くして、第1偏光フィルム貼付手段321により貼り付けるときの第1粘着剤の貯蔵弾性率を相対的に小さく(好ましくは16.5kPa以下に)している。本実施形態では、第1偏光フィルム貼付手段321は、第1貼付ローラ51a、第1支持ローラ51bで構成される。第1粘着剤が、液晶パネル4の第1基板41によって加温されて軟化し、その上で加圧されるため、液晶パネル4の第1基板41面の微細な傷または凹凸に対して、空隙を埋めるように急速に追従することができ、良品レベルの液晶表示素子が後段の検査手段で不良品として判定されることを好適に抑制する。
【0057】
(液晶パネル搬送手段)
液晶パネル搬送手段302は、第1偏光フィルム貼付手段321により第1偏光フィルムのシート片が貼り付けられた液晶パネル4を搬送して第2偏光フィルム貼付手段322に供給する。本実施形態では、第1偏光フィルムのシート片が貼り付けられた液晶パネル4を90°水平回転させる旋回機構(不図示)と、第1偏光フィルムのシート片が貼り付けられた液晶パネル4を上下反転させる反転機構が備えられている。
【0058】
(第2加温手段)
第2加温手段102は、貼付時の第2粘着剤の貯蔵弾性率を第2連続ロール2の巻回状態の時および第2ハーフカット手段32で切断される時の貯蔵弾性率よりも相対的に小さくなるようにすべく、貼付時の第2粘着剤の温度が第2連続ロール2の巻回状態の時および第2ハーフカット手段32で切断される時の温度よりも相対的に高くなるようにするために設置される。第2粘着剤の温度を相対的に高くすることで、第2粘着剤の貯蔵弾性率を相対的に小さくする。第2加温手段102は、第2偏光フィルム貼付手段322により貼り付けるときの第2粘着剤の貯蔵弾性率を16.5Pa以下にするように加温することが好ましい。
【0059】
第2加温手段102は、液晶パネル4の第2基板42面を加温する第2液晶パネル加温手段である。第2加温手段102は、上記第1加温手段101と同様の構成である。
【0060】
(第2偏光フィルム供給手段)
第2偏光フィルム供給手段312は、第2連続ロール2から第2光学フィルム積層体21を繰り出し、第2キャリアフィルム22を残して第2偏光フィルムおよび粘着剤を液晶パネル4の長辺に対応する長さに切断して第2偏光フィルムのシート片を形成し、第2キャリアフィルム22を折り返して、第2キャリアフィルム22から第2偏光フィルムのシート片および粘着剤を剥離し、剥離された第2偏光フィルムのシート片および粘着剤を第2偏光フィルム貼付手段322に供給する。そのために、第2偏光フィルム供給手段312は、第2架台手段250、第2ハーフカット手段32、第2剥離手段42、第2巻取手段260を有する。
【0061】
第2架台手段250は、第2光学フィルム積層体21を巻回した第2連続ロール2を取り付ける手段である。第2架台手段250に取り付けられた第2連続ロール2の巻回状態のときに、第2粘着剤の貯蔵弾性率は、17.5kPa以上である。第2架台手段250は、第1架台手段150と同じ構成である。
【0062】
第2ハーフカット手段32は、第1ハーフカット手段31と同様である。そして、第2ハーフカット手段32により切断されるときに、第2粘着剤の貯蔵弾性率は、17.5kPa以上である。第2剥離手段42は、第1剥離手段41と同様であり、第2巻取手段260は第1巻取手段160と同様である。
【0063】
(第2偏光フィルム貼付手段)
第2偏光フィルム貼付手段322は、液晶パネル搬送手段302により供給された液晶パネル4の第2基板42に第2偏光フィルム供給手段312により供給された第2偏光フィルムのシート片を第2粘着剤を介して貼り付けて、液晶表示素子Yを作製する。上述したように第2加温手段102が第2粘着剤の温度を相対的に高くして、第2偏光フィルム貼付手段322により貼り付けるときの第2粘着剤の貯蔵弾性率を相対的に小さく(好ましくは16.5kPa以下に)している。本実施形態では、第2偏光フィルム貼付手段322は、第2貼付ローラ52a、第2支持ローラ52bで構成される。第2粘着剤が、液晶パネル4の第2基板42によって加温されて軟化し、その上で加圧されるため、液晶パネル4の第2基板42面の微細な傷または凹凸に対して、空隙を埋めるように急速に追従することができ、良品レベルの液晶表示素子が後段の検査手段で不良品として判定されることを好適に抑制する。
【0064】
(液晶表示素子搬送手段)
液晶表示素子搬送手段303は、第2偏光フィルム貼付手段322により作製された液晶表示素子Yを搬送する。
【0065】
(検査手段)
検査手段60は、液晶表示素子搬送手段303により搬送される液晶表示素子Yを光学的に検査する。本実施形態では、検査手段60は、液晶表示素子搬送手段303の一方面側(図1の場合は下方側)に配置され、液晶表示素子Yの下面に光を照射する光源(光照射手段)61と、液晶表示素子搬送手段302の他方面側(図1の場合は上方側)に配置され、光源(光照射手段)61により照射された液晶表示素子Yを撮像するCCDカメラ(撮像手段)62とを有する透過光検査手段で構成されている。CCDカメラ(撮像手段)62により受光される透過光の受光量に基づき、偏光フィルムと液晶パネルとの間に介在する異物又は気泡の有無を判定する。検査手段60は、透過光検査手段の他に、液晶表示素子Yの一方面に光を照射し、液晶表示素子の一方面で反射した光を受光することで、液晶表示素子Yを光学的に検査する反射光検査手段をさらに含んでいてもよい。
【0066】
(連続製造方法)
本実施形態に係る液晶表示素子の連続製造方法は、キャリアフィルムに粘着剤を介して偏光フィルムが積層されてなり、液晶パネルの長辺または短辺に対応する幅を持つ連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを架台手段に取り付ける連続ロール取付工程と、前記連続ロールから繰り出された前記光学フィルム積層体を、前記キャリアフィルムを残して前記偏光フィルムおよび前記粘着剤を前記液晶パネルの短辺または長辺に対応する長さに切断して偏光フィルムのシート片を形成するハーフカット工程と、前記偏光フィルムのシート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付工程と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査工程とを有し、当該貼付工程と検査工程とが連続ラインで行われる。そして、前記連続ロール取付工程で前記架台手段に取り付けられた連続ロールのとき、および前記ハーフカット工程で切断されるときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付工程で貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化工程を有する。粘着剤軟化工程は、例えば、粘着剤の温度が相対的に高くなるようにする加温工程である。
【0067】
(洗浄工程)
洗浄工程は、液晶パネル4を水で洗浄する工程である。
【0068】
(乾燥工程)
乾燥工程は、洗浄工程によって水が付着した液晶パネル4に温風を吹き付けることで当該液晶パネル4を乾燥する工程である。
【0069】
(第1加温工程)
第1加温工程は、第1偏光フィルム貼付工程の前に、液晶パネルを加温手段によって加温する工程である。本実施形態では、第1加温工程において、第1偏光フィルム貼付工程の前に、液晶パネル4を第1加温手段101によって加温する。第1加温工程は、液晶パネルに赤外線を照射することで当該液晶パネルを加温する赤外線照射工程でもよく、液晶パネルに温風を吹き付けることで当該液晶パネルを加温する温風工程でもよい。第1加温工程では、第1連続ロール1の巻回状態の時および第1ハーフカット手段31で切断される時の第1粘着剤の温度よりも、第1偏光フィルム貼付工程で貼り付けるときの第1粘着剤の温度を相対的に高くすることで、第1粘着剤の貯蔵弾性率を相対的に小さくする。第1加温工程は、第1偏光フィルム貼付工程で貼り付けるときの第1粘着剤の貯蔵弾性率を16.5Pa以下にするように加温することが好ましい。
【0070】
(第1偏光フィルム貼付工程)
第1偏光フィルム貼付工程は、第1連続ロールから繰り出し供給された第1偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して、第1加温工程で加温された液晶パネルの第1基板に貼り付ける工程である。本実施形態では、第1キャリアフィルム12と、第1キャリアフィルム12上に形成された第1偏光フィルムとを有する第1光学フィルム積層体11をロール状に巻いた第1連続ロール1から第1光学フィルム積層体11を繰り出す。続けて、第1キャリアフィルム12を残して(切断せずに)第1偏光フィルムおよび粘着剤を切断して、第1キャリアフィルム12上に第1偏光フィルムのシート片を形成する。続けて、第1キャリアフィルム12を巻き掛け反転(折り返し搬送)して、第1キャリアフィルム12から第1偏光フィルムのシート片および粘着剤を剥離する。続けて、第1キャリアフィルム12が剥離された第1偏光フィルムのシート片および粘着剤を、第1加温工程において加温された液晶パネル4の第1基板41に貼り付ける。上記第1架台手段150に取り付けられた第1連続ロール1の巻回状態のときに、および第1ハーフカット手段31により切断されるときに、第1粘着剤の貯蔵弾性率は、17.5kPa以上である。
【0071】
(旋回および上下反転工程)
旋回および上下反転工程は、第1偏光フィルムが貼り付けられた液晶パネル4を90°水平回転および上下反転させる工程である。
【0072】
(第2加温工程)
第2加温工程は、第2偏光フィルム貼付工程の前に、第1偏光フィルムのシート片が貼り付けられた液晶パネルを第2加温手段によって加温する工程である。本実施形態では、第2加温工程において、第1偏光フィルム貼付工程の前に、液晶パネル4を第2加温手段102によって加温する。第2加温工程は、液晶パネルに赤外線を照射することで当該液晶パネルを加温する赤外線照射工程でもよく、液晶パネルに温風を吹き付けることで当該液晶パネルを加温する温風工程でもよい。第2加温工程では、第2連続ロール2の巻回状態の時および第2ハーフカット手段32で切断される時の第2粘着剤の温度よりも、第2偏光フィルム貼付工程で貼り付けるときの第2粘着剤の温度を相対的に高くすることで、第2粘着剤の貯蔵弾性率を相対的に小さくする。第2加温工程は、第2偏光フィルム貼付工程で貼り付けるときの第2粘着剤の貯蔵弾性率を16.5Pa以下にするように加温することが好ましい。
【0073】
(第2偏光フィルム貼付工程)
第2偏光フィルム貼付工程は、第2連続ロールから繰り出し供給された第2偏光フィルムを、第2加温工程で加温された液晶パネルの第2基板に貼り付ける工程である。本実施形態では、第2キャリアフィルム22と、第2キャリアフィルム22上に形成された第2偏光フィルムとを有する第2光学フィルム積層体21をロール状に巻いた第2連続ロール2から第2光学フィルム積層体21を繰り出す。続けて、第2キャリアフィルム22を残して(切断せずに)第2偏光フィルムおよび粘着剤を切断して、第2キャリアフィルム22上に第2偏光フィルムのシート片を形成する。続けて、第2キャリアフィルム22を巻き掛け反転(折り返し搬送)して、第2キャリアフィルム22から第2偏光フィルムのシート片および粘着剤を剥離する。続けて、第2キャリアフィルム22が剥離された第2偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して、第2加温工程において加温された液晶パネル4の第2基板42に貼り付けて、液晶表示素子Yを形成する。上記第2架台手段250に取り付けられた第2連続ロール2の巻回状態のときに、および第2ハーフカット手段32により切断されるときに、第2粘着剤の貯蔵弾性率は、17.5kPa以上である。
【0074】
(検査工程)
検査工程は、貼付工程(第1偏光フィルム貼付工程及び第2偏光フィルム貼付工程)で形成された液晶表示素子Yを光学的に検査する工程である。本実施形態では、液晶表示素子Yの一方面に光を照射し、当該液晶表示素子Yの他方面で当該液晶表示素子Yを透過した光を受光することで、当該液晶表示素子Yを光学的に検査する透過光検査工程を行う。この検査工程までに、液晶パネル4の第1、第2基板41、42表面の微細な傷または凹凸が、粘着剤によって素早く埋められるため、良品レベルの液晶表示素子が検査工程で不良品として判定されることを好適に抑制する。
【0075】
(別実施形態)
上記実施形態1では、液晶パネルの下側から第1偏光フィルムのシート片を貼り付けて、次いで、液晶パネルを反転(裏表反転)させて、当該液晶パネルの下側から第2偏光フィルムのシート片を貼り付けているが、特にこれに制限されない。例えば、液晶パネルの上側から第1偏光フィルムのシート片を貼り付け、液晶パネルを反転させて、液晶パネルの上側から第2偏光フィルムのシート片を貼り付けてもよく、液晶パネルの下側から第1偏光フィルムのシート片を貼り付け、液晶パネルを反転させないで、液晶パネルの上側から第2偏光フィルムのシート片を貼り付けてもよく、液晶パネルの上側から第1偏光フィルムのシート片を貼り付け、液晶パネルを反転させないで、液晶パネルの下側から第2偏光フィルムのシート片を貼り付けてもよい。
【0076】
(別の連続ロール)
本実施形態では、第1および第2偏光フィルムが長手方向に吸収軸を有するが、第1および第2偏光フィルムの吸収軸方向はこれに限定されない。例えば、第1偏光フィルムがその短手方向(幅方向)に吸収軸を有し、第2偏光フィルムがその長手方向に吸収軸を有していてもよい。この場合、第1偏光フィルムが貼り付けられた液晶パネルを90°水平回転させる旋回機構を適宜省略することができる。
【0077】
また、第1および第2連続ロールの第1および第2偏光フィルムは予めシート片に切断されていてもよい。すなわち、第1および第2連続ロールとして、いわゆる切り目入り連続ロールを用いてもよい。この場合、第1ハーフカット手段及び第2ハーフカット手段が不要となるため、タクトタイムを短縮することができる。
【0078】
(実施形態2)
実施形態2の液晶表示素子の連続製造システムの一例を図2に示す。実施形態2では、加温手段(粘着剤軟化手段に相当する)が、液晶パネル4を吸着しながら加温する第1、第2吸着加温プレート(搬送加温手段)103、104である。第1吸着加温プレート103は、液晶パネル4の下面(第1基板41面)を吸着し、第1偏光フィルム貼付手段321に向かって搬送しながら、液晶パネル4の第1基板41面を加温することができる。また、第2吸着加温プレート104は、液晶パネル4の下面(第2基板42面)を吸着し、第2偏光フィルム貼付手段322に向かって搬送しながら、液晶パネル4の第2基板42面を加温することができる。吸着加温プレートは、例えば、セラミック加熱ヒータ、細管ヒータ埋込アルミプレート等で構成される。また、実施形態2では、加温工程が、液晶パネルを搬送しながら加温する搬送加温工程である。
【0079】
(実施形態3)
実施形態3では、液晶パネルの乾燥手段が、洗浄手段により水が付着した液晶パネルに温風を吹き付けることで当該液晶パネルを乾燥するとともに加温する加温乾燥手段(粘着剤軟化手段に相当する)である。加温乾燥手段から送風される空気(または清浄空気)の温度を通常よりも高く設定し、液晶パネル4を加温する。具体的には、加温乾燥手段は、貼付手段により液晶パネルに偏光フィルムを貼り付けるときに粘着剤の温度が連続ロールのときよりも高い温度となるように加温する。また、実施形態3では、加温工程が、洗浄工程によって水が付着した液晶パネルに温風を吹き付けることで当該液晶パネルを乾燥するとともに加温する加温乾燥工程である。
【0080】
(実施形態4)
実施形態4の液晶表示素子の連続製造システムの一例を図3に示す。実施形態4では、加温手段(粘着剤軟化手段に相当する)が、貼付手段により液晶パネルに偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して貼り付ける前に当該偏光フィルムを加温する第1、第2偏光フィルム加温手段105、106である。図3では、第1、第2偏光フィルム加温手段105、106が、第1、第2剥離手段41、42に対向して配置される構成であるが、これに制限されず、偏光フィルムの搬送方向における剥離手段の前後に配置されていてもよい。第1、第2偏光フィルム加温手段105、106は、例えば、温風装置、赤外線ヒータ装置等で構成される。また、実施形態4では、加温工程が、貼付工程の前に当該偏光フィルムを加温する偏光フィルム加温工程である。
【0081】
(実施形態5)
実施形態5では、加温手段(粘着剤軟化手段に相当する)が、貼付手段により液晶パネルに偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して貼り付けるときに当該偏光フィルムと接触する側の貼付手段の部分を加温する貼付ロール51a、52a(貼付加温手段)である。貼付ロール51a、52aは、例えば、ロール内部に熱媒の流路を設け、この流路に熱水を通す構成、ロール内部に電熱ヒータを組み込む構成等が挙げられる。貼付処理と同時に、偏光フィルムを加温することで粘着剤を加温させることができるので、加温手段を別に設ける必要がなく、他の実施形態に比べ装置レイアウトの制約が少ない。また、実施形態5では、加温工程が、貼付工程のときに当該偏光フィルムと接触する側の貼付手段の部分を加温する貼付加温工程である。
【0082】
(実施形態6)
実施形態6の液晶表示素子の連続製造システムの一例を図4に示す。実施形態6では、加温手段(粘着剤軟化手段に相当する)が、貼付手段により液晶パネルに偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して貼り付ける位置における雰囲気を加温する第1、第2貼付雰囲気加温手段130、135である。第1貼付雰囲気加温手段130は、第1偏光フィルム貼付手段321(貼付ロール51a、支持ロール51b)の貼り付け雰囲気に、常温(20℃)より高い温度の温風を送風する温風装置で構成される。第2貼付雰囲気加温手段135は、第2偏光フィルム貼付手段322(貼付ロール52a、支持ロール52b)の貼り付け雰囲気に、貼付時の粘着剤の温度が連続ロール時の粘着剤の温度よりも高い温度となるように、温風を送風する温風装置で構成される。なお、第1、第2偏光フィルム貼付手段321、322の貼り付け雰囲気の温度を一定に保つために、第1、第2偏光フィルム貼付手段321、322の周囲を取り囲む第1、第2隔離手段131、136を設置することが好ましい。第1、第2隔離手段131、136は、例えば、板材、エアカーテン等で構成できる。また、温風は、清浄空気が好ましい。また、実施形態6では、加温工程が、貼付工程で液晶パネルに偏光フィルムを貼り付ける位置における雰囲気を加温する貼付雰囲気加温工程である。
【0083】
(実施形態7)
上記実施形態1〜6は、液晶パネルの両面に偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して貼り付ける連続製造システムおよび連続製造方法であったが、本実施形態は、液晶パネルの片面に偏光フィルムのシート片を貼り付け、その後速やかに光学的検査を連続ラインで行なう実施形態である。光学的検査は、上記検査手段60を用いることができる。加温手段(粘着剤軟化手段に相当する)としては、上記の温風装置、赤外線ヒータ装置、吸着加温プレート(搬送加温手段)、加温乾燥手段、偏光フィルム加温手段、貼付ロール(貼付加温手段)等を用いることができる。
【0084】
以上の実施形態1から7の加温手段は、それぞれが単独で構成されていてもよく、複数個が同時に設置されてもよく、複数種類の加温手段が組み合わされて配置されていてもよい。
【実施例】
【0085】
以下に実施例および比較例の結果を示す。液晶パネルの洗浄工程と、液晶パネルの乾燥工程と、液晶パネルの片面(下面)に偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して貼り付ける貼付工程と、片面に偏光フィルムのシート片を貼り付けた後の液晶表示素子の検査工程とを連続ラインで行った。乾燥工程における水きり目的の温風の温度は23℃に設定した(実施例4を除く)。なお、当該検査工程における不良検出率(不良品数÷検査数)の信頼性を確認すべく、24時間後に再検査も合わせて行なった。
【0086】
連続ロールは日東電工社製のものを使用した。偏光フィルムとキャリアフィルム間に介在している粘着剤は、日東電工社製アクリル系粘着剤であり、貯蔵弾性率は19.3kPa(20℃)である。液晶パネルの両表面には、液晶パネルの製造工程において形成されたと推測される微細な傷が形成されている。液晶パネルは、同一の製造ロットのものを用いた。実施例1〜8と比較例1、2における連続ロール時の粘着剤の温度を20℃に設定し、比較例3のそれを30℃に設定して実施した。
【0087】
(実施例1)
上記粘着剤軟化手段(加温手段)として、赤外線ヒータ装置(液晶パネル加温手段、赤外線照射手段)を用いた。赤外線ヒータの熱源を65℃に設定し、液晶パネルの表面温度を28℃にした。この温度状態を保ちながら偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して液晶パネルに貼り付けた。
【0088】
(実施例2)
実施例1の赤外線ヒータ装置に代わり、加温手段として吸着加温プレート(液晶パネル加温手段、搬送加温手段)を用いたこと以外、実施例1と同様である。吸着加温プレートの熱源を60℃に設定し、液晶パネルの表面温度を27℃にした。この温度状態を保ちながら偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して液晶パネルに貼り付けた。
【0089】
(実施例3)
実施例1の赤外線ヒータ装置に代わり、加温手段として温風装置(液晶パネル加温手段、温風手段)を用いたこと以外、実施例1と同様である。温風装置の熱源を65℃に設定し、温風を液晶パネルに吹きつけて、液晶パネルの表面温度を27℃にした。この温度状態を保ちながら偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して液晶パネルに貼り付けた。
【0090】
(実施例4)
実施例1の液晶パネルを加温する赤外線ヒータ装置に代わり、加温手段として、洗浄後に液晶パネルを乾燥させるための加熱乾燥手段を用いたこと以外、実施例1と同様である。80℃に設定した温風を液晶パネルに吹きつけて、液晶パネルの表面温度を26℃にした。この温度状態を保ちながら偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して液晶パネルに貼り付けた。
【0091】
(実施例5)
実施例1の液晶パネルを加温する赤外線ヒータ装置に代わり、偏光フィルムを加温する赤外線ヒータ装置を用いたこと以外、実施例1と同様である。赤外線ヒータ装置の熱源を65℃に設定して、偏光フィルムの表面温度を31℃にした。この温度状態を保ちながら偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して液晶パネルに貼り付けた。
【0092】
(実施例6)
赤外線ヒータ装置の熱源を90℃に設定し、偏光フィルムの表面を62℃にしたこと以外、実施例5と同様である。
【0093】
(実施例7)
実施例1の液晶パネルを加温する赤外線ヒータ装置に代わり、貼付ロールを貼付加温手段として構成したこと以外、実施例1と同様である。貼付ロール(貼付加温手段)は、ロール内部に熱媒の流路を設け、この流路に熱水を通す構成である。貼付ロール52aの熱源を80℃に設定して、貼付時の偏光フィルムの表面温度を26℃にした。この温度状態を保ちながら偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して液晶パネルに貼り付けた。
【0094】
(実施例8)
実施例1の液晶パネルを加温する赤外線ヒータ装置に代わり、貼付手段の貼り付け雰囲気を加温する温風装置(貼付雰囲気加温手段)を用いたこと以外、実施例1と同様である。温風装置の熱源を90℃に設定して、貼付時の偏光フィルムの表面温度および液晶パネルの表面温度を26℃にした。この温度状態を保ちながら偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して液晶パネルに貼り付けた。
【0095】
(比較例1)
加温手段をなくしたこと以外、実施例1と同様である。比較例1における液晶パネル、偏光フィルム表面の貼り付け時の温度は20℃である。
【0096】
(比較例2)
実施例1の液晶パネルを加温する赤外線ヒータ装置に代わり、偏光フィルム貼り付け後の液晶表示素子を加温する赤外線ヒータ装置を用いたこと以外、実施例1と同様である。赤外線ヒータの熱源を65℃に設定して、液晶表示素子上の偏光フィルムの表面温度を28℃にした。
【0097】
(比較例3)
実施例9では、連続製造システム全体の雰囲気温度を温風装置で加温し、連続ロールの温度を30℃にし、貼付時の偏光フィルムの表面温度および液晶パネルの表面温度を30℃にした。この温度状態を保ちながら偏光フィルムのシート片を粘着剤を介して液晶パネルに貼り付けた。
【0098】
実施例1から8、比較例1〜3の検査結果を表1に示す。連続ロール時、ハーフカット時、貼付時の粘着剤の温度は、薄型熱電対(坂口伝熱(株)、サーモカップルシート)を用いて測定した。
【0099】
なお、粘着剤の各温度における貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(TA instments社製、ARES、周波数1Hz、ひずみ率0.2%)を用いて求めた。これらの結果から連続ロール時、ハーフカット時、貼付時の貯蔵弾性率を算出した。
【0100】
また、検査工程においては、液晶表示素子の下面側から光を照射し、液晶表示素子の上面側に配置したCCDカメラにより、本来遮断されるべき光の透過状態を検出し、その検出結果に基づいて画像解析処理を行った。なお、貼り付け後から検査工程の検査開始までの時間は30秒である。
【0101】
【表1】

【0102】
表1から、実施例1〜8では、不良検出率が低く、貼り付け直後の検査工程での不良検出率と、24時間後の再検査の不良検出率が同じであった。これに対し、比較例1、2では、貼り付け直後の検査工程での不良検出率が高く、24時間後の再検査の不良検出率で各実施例と同様のレベルに低下した。また、比較例3では、貼り付け直後の不良検出率(A)と24時間後の再検査の不良検出率(B)との差が「0」であったが、各実施例よりも不良検出率(A、B)が高かった。このことから、実施例1〜8における加温手段(加温工程)が、液晶パネルの表面の製品レベルに寄与しない微細な傷に起因した不良判定の抑制に対して有効であることが確認できた。
【符号の説明】
【0103】
4 液晶パネル
31 第1ハーフカット手段
32 第2ハーフカット手段
41 第1剥離手段
42 第2剥離手段
51a、52a 貼付ローラ
51b、52b 支持ローラ
60 検査手段
61 光源
62 CCDカメラ
101 第1加温手段
102 第2加温手段
103 第1吸着加温プレート
104 第2吸着加温プレート
105 第1偏光フィルム加温手段
106 第2偏光フィルム加温手段
150 第1架台手段
250 第2架台手段
301 液晶パネル供給手段
302 液晶パネル搬送手段
303 液晶表示素子搬送手段
311 第1偏光フィルム供給手段
312 第2偏光フィルム供給手段
321 第1偏光フィルム貼付手段
322 第2偏光フィルム貼付手段
Y 液晶表示素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアフィルムに粘着剤を介して偏光フィルムが積層されてなり、液晶パネルの長辺または短辺に対応する幅を持つ連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを取り付ける架台手段と、前記連続ロールから繰り出された前記光学フィルム積層体を、前記キャリアフィルムを残して前記偏光フィルムおよび前記粘着剤を前記液晶パネルの短辺または長辺に対応する長さに切断して偏光フィルムのシート片を形成するハーフカット手段と、前記偏光フィルムのシート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付手段と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査手段とを有し、当該貼付手段と検査手段とが連続ラインに配置される液晶表示素子の連続製造システムであって、
前記架台手段に取り付けられた連続ロールのとき、および前記ハーフカット手段により切断されるときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付手段により貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化手段を有する、液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項2】
前記粘着剤軟化手段は、前記貼付手段により貼り付けるときの粘着剤の貯蔵弾性率を16.5kPa以下にする請求項1に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項3】
前記粘着剤軟化手段は、前記粘着剤の温度が相対的に高くなるようにする加温手段である請求項1または2に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項4】
前記加温手段は、前記貼付手段により前記液晶パネルに前記偏光フィルムのシート片を貼り付ける前に、当該液晶パネルを加温する液晶パネル加温手段である、請求項3記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項5】
前記液晶パネル加温手段が、前記液晶パネルに赤外線を照射することで当該液晶パネルを加温する赤外線照射手段である、請求項4に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項6】
前記液晶パネル加温手段が、前記液晶パネルを前記貼付手段に向かって搬送しながら加温する搬送加温手段である、請求項4に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項7】
前記液晶パネル加温手段が、前記液晶パネルに温風を吹き付けることで当該液晶パネルを加温する温風手段である、請求項4に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項8】
前記液晶パネルを水で洗浄する洗浄手段をさらに有し、
前記温風手段が、前記洗浄手段により水が付着した液晶パネルに温風を吹き付けることで当該液晶パネルを乾燥するとともに加温する加温乾燥手段である、請求項7に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項9】
前記加温手段が、前記ハーフカット手段により切断された後の偏光フィルムのシート片を前記貼付手段により前記液晶パネルに貼り付ける前に加温する偏光フィルム加温手段である、請求項3に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項10】
前記加温手段が、前記貼付手段により貼り付けるときに当該偏光フィルムのシート片と接触する側の当該貼付手段である、請求項3に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項11】
前記加温手段は、前記貼付手段により貼り付ける位置における雰囲気を加温する貼付雰囲気加温手段である、請求項3に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項12】
前記液晶表示素子の連続製造システムは、前記液晶表示素子を搬送する液晶表示素子搬送手段をさらに有し、
前記検査手段は、前記液晶表示素子搬送手段の一方面側に配置され、前記液晶表示素子の一方面に光を照射する光照射手段と、前記液晶表示素子搬送手段の他方面側に配置され、前記光照射手段により照射された前記液晶表示素子を撮像する撮像手段とを有する透過光検査手段を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項13】
キャリアフィルムに粘着剤を介して液晶パネルの長辺または短辺に対応する長さの偏光フィルムのシート片が積層されてなり、液晶パネルの短辺または長辺に対応する幅を持つ連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを取り付ける架台手段と、前記連続ロールから繰り出された前記光学フィルム積層体の前記偏光フィルムのシート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付手段と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査手段とを有し、当該貼付手段と検査手段とが連続ラインに配置される液晶表示素子の連続製造システムであって、
前記架台手段に取り付けられた連続ロールのときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付手段により貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化手段を有する、液晶表示素子の連続製造システム。
【請求項14】
キャリアフィルムに粘着剤を介して偏光フィルムが積層されてなり、液晶パネルの長辺または短辺に対応する幅を持つ連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを架台手段に取り付ける連続ロール取付工程と、前記連続ロールから繰り出された前記光学フィルム積層体を、前記キャリアフィルムを残して前記偏光フィルムおよび前記粘着剤を前記液晶パネルの短辺または長辺に対応する長さに切断して偏光フィルムのシート片を形成するハーフカット工程と、前記偏光フィルムのシート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付工程と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査工程とを有し、当該貼付工程と検査工程とが連続ラインで行われる液晶表示素子の連続製造方法であって、
前記連続ロール取付工程で前記架台手段に取り付けられた連続ロールのとき、および前記ハーフカット工程で切断されるときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付工程で貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化工程を有する、液晶表示素子の連続製造方法。
【請求項15】
前記粘着剤軟化工程は、前記貼付工程により貼り付けるときの粘着剤の貯蔵弾性率を16.5kPa以下にする請求項14に記載の液晶表示素子の連続製造方法。
【請求項16】
前記粘着剤軟化工程は、前記粘着剤の温度が相対的に高くなるようにする加温工程である請求項14または15に記載の液晶表示素子の連続製造方法。
【請求項17】
キャリアフィルムに粘着剤を介して液晶パネルの長辺または短辺に対応する長さの偏光フィルムのシート片が積層されてなり、液晶パネルの短辺または長辺に対応する幅を持つ連続ウエブ形態の光学フィルム積層体を巻回した連続ロールを架台手段に取り付ける連続ロール取付工程と、前記連続ロールから繰り出された前記光学フィルム積層体の前記偏光フィルムのシート片を前記粘着剤を介して前記液晶パネルに貼り付けて液晶表示素子を形成する貼付工程と、前記液晶表示素子を光学的に検査する検査工程とを有し、当該貼付工程と検査工程とが連続ラインで行われる液晶表示素子の連続製造方法であって、
前記連続ロール取付工程で前記架台手段に取り付けられた連続ロールのときに17.5kPa以上である粘着剤の貯蔵弾性率を、前記貼付工程で貼り付けるときに相対的に小さくなるようにする粘着剤軟化工程を有する、液晶表示素子の連続製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−73425(P2012−73425A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218273(P2010−218273)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】