説明

液晶表示装置及び液晶表示装置を備えた電子機器

【課題】 有機エレクトロルミネッセンス素子を利用したバックライトを備えた液晶表示装置において、液晶表示装置の重量化・大型化を抑制しつつ、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光強度の低下を抑制する。
【解決手段】 本発明の液晶表示装置は、液晶表示ユニット20と、液晶表示ユニット20の後方に配置され、有機EL素子13を有するバックライト10と、負電圧発生回路30と、を備える。そして、負電圧発生回路30は、液晶表示ユニット20に負電圧を供給すると共に有機EL素子13に逆方向電圧を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、適宜、有機EL素子と表記することもある。)を利用した発光装置をバックライトとして用いる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトとしては、現在、冷陰極放電管や無機LED等が主に使用されている。しかし、近年のコンピュータ及び携帯端末、携帯電話等の小型化、低消費電力化に伴い、より薄く、低消費電力のバックライトが求められている。
有機EL素子は、低電力で高輝度が得られる光源であり、コンピュータディスプレイ、液晶テレビ、携帯電話等の電子機器に搭載される液晶表示装置のバックライトとして大きく期待されている。有機EL素子は、有機発光層と、その有機発光層をはさむ一対の陽極と陰極を備えた発光素子である。有機EL素子の陽極から陰極へ向けて電圧(順方向電圧)が印加されると、陽極から発光層へ正孔が注入され、陰極から発光層へ電子が注入されて、発光層中の発光体が励起され、有機EL素子が発光する。有機EL素子を利用した発光装置をバックライトに用いた液晶表示装置としては、例えば、特許文献1に記載の液晶表示装置が挙げられる。
【0003】
ところで、有機EL素子を利用した発光装置では、長期間の使用による発光強度の低下が問題となる。有機EL素子の発光強度の低下は、有機発光層の界面において、電荷がトラップ等により蓄積することが原因と考えられている。上記のような電荷の蓄積に伴う有機EL素子の発光強度の低下に対しては、有機EL素子への逆方向電圧(の印加が有効であることが従来から知られている。例えば特許文献2には、有機EL素子を用いた発光装置において、有機EL素子に発光とは逆方向の電圧を印加する手段を有する発光装置が開示されている。
【特許文献1】特開平10−170918号公報
【特許文献2】特開平3−110786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンピュータディスプレイや携帯電話等の電子機器に搭載される液晶表示装置のバックライトは、長期に亘って発光強度を高レベルに保つ必要がある。しかしながら、有機EL素子を利用した発光装置では、長時間の使用により、時間の経過に伴って発光強度が低下する。時間の経過に伴う発光強度の低下は、特許文献2に記載の技術を用いることで緩和することはできるが、特許文献2に記載の技術では、発光のための電源と、逆方向電圧を印加するための電源を別個に設けなければならない。このため、発光装置(バックライト)の重量化・大型化により、液晶表示装置も重量化・大型化してしまうこととなる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、有機EL素子を利用した発光装置をバックライトとして備える液晶表示装置において、液晶表示装置の重量化・大型化を抑制しつつ、有機EL素子の発光強度の低下を抑制することができる液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液晶表示装置は、液晶表示ユニットと、液晶表示ユニットの後方に配置され、有機EL素子を有するバックライトと、負電圧発生回路とを備える。そして、負電圧発生回路は、液晶表示ユニットに負電圧を供給すると共に有機EL素子に逆方向電圧を供給することを特徴としている。
この液晶表示装置では、液晶表示ユニットが正常動作するために必要な負電圧と、有機EL素子に逆方向電圧を印加するための負電圧を、1つの負電圧発生回路で生成する。したがって、有機EL素子に逆方向電圧を印加するためだけの電源を別個に設ける必要がなく、液晶表示装置の重量化・大型化を抑制することができる。
本明細書では、有機EL素子の陽極が陰極に対して高電位となるような電圧の印加を「順方向電圧の印加」、陽極が陰極に対して低電位になるような電圧の印加を「逆方向電圧の印加」という。
【0007】
上記の液晶表示装置に用いられる液晶表示ユニットは、例えば、液晶パネルと、液晶パネルを駆動する液晶駆動回路とを備えることができる。この場合、液晶駆動回路が負電圧発生回路を備えていることが好ましい。液晶駆動回路に負電圧発生回路が備えられることで、液晶表示ユニットを正常動作するために必要な負電圧発生回路を、液晶表示ユニットを駆動するための各種回路と同時に設計・製造することができる。
【0008】
また、上記の液晶表示装置は有機EL素子を駆動する有機EL駆動回路をさらに有することができる。この場合、有機EL駆動回路は、有機EL素子が点灯、消灯を繰り返すように駆動するとともに、有機EL素子の消灯時には負電圧発生回路から供給される負電圧を用いて有機EL素子に逆方向電圧を印加することが好ましい。
この液晶表示装置では、有機EL素子が断続的に点灯し、その消灯中に逆方向電圧として印加することができる。このため、液晶表示装置(すなわち、液晶表示ユニット及びバックライト)の作動中も有機EL素子に逆方向電圧が断続的に印加され、有機EL素子の発光強度の低下が抑制される。
更に、バックライトを、液晶表示ユニットの垂直走査方向に並ぶ複数の有機EL素子で構成し、各有機EL素子の点灯、消灯を液晶表示ユニットの垂直方向の走査に同期させることが好ましい。
【0009】
上記の液晶表示装置は、各種電子機器(例えば、携帯端末、携帯電話等)に搭載することができる。液晶表示装置を搭載する電子機器では、省電力化のため、電子機器の電源が入った状態でも、予め設定された不使用期間が経過すると液晶表示装置を消灯する機能を有する場合がある。このような電子機器では電源機器に電力が供給されている状態で、かつ、液晶表示ユニット及びバックライトが消灯しているときに、負電圧発生回路は有機EL素子に逆方向電圧を印加することが好ましい。
上記の電子機器では、液晶表示装置が待機状態の時に有機EL素子に逆方向電圧が印加される。例えば、コンピュータディスプレイや携帯電話のディスプレイでは、所定の不使用期間が経過すると待機モードとなり、ディスプレイが消灯する(休止状態となる)。この休止状態のときに、バックライトは消灯状態となり、この消灯状態中に有機EL素子に負電圧が印加される。このような方法で負電圧(逆方向電圧)を印加することで、液晶表示装置が待機状態の時に有機EL素子の発光強度の低下を抑制することができる。
【0010】
本発明の液晶表示装置によれば、有機EL素子を利用した発光装置をバックライトとして備える液晶表示装置において、液晶表示装置の重量化・大型化を抑制しつつ、有機EL素子の発光強度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
下記に詳細に説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(形態1) 液晶表示装置は、液晶パネルを有する液晶表示ユニットと、有機EL素子(有機EL光源)を有するバックライトと、液晶表示ユニットと負電圧発生回路とを備える。
(形態2) 負電圧発生回路は、液晶表示装置側に備えられており、液晶表示ユニットに負電圧を供給している。
(形態3) バックライト(有機EL素子)は、バックライト駆動ドライバ(有機EL駆動回路)により駆動される。
(形態4) 負電圧発生回路は、バックライト駆動ドライバを介してバックライトに負電圧を供給している。バックライト駆動ドライバは、バックライトを点灯しているときは負電圧発生回路からの負電圧を有機EL素子に印加せず、バックライトを消灯しているときに負電圧発生回路からの負電圧を有機EL素子に印加する。
(形態5) バックライトは、複数の有機EL素子から構成され、液晶表示ユニットの垂直方向の走査と同期している。
【実施例】
【0012】
以下、本発明を具現化した実施例を説明する。図1は本実施例に係る液晶表示装置40の構成を示す概略構成図である。液晶表示装置40は、携帯電話等の電子機器に搭載され、ユーザによる電子機器の操作に応じて各種画像を表示する。液晶表示装置40は、表示媒体として液晶を利用した液晶表示ユニット20と、有機EL素子13を光源として利用したバックライト10を備えている。
【0013】
液晶表示ユニット20は、液晶パネル22と、液晶パネル22上に配置形成されたTFT駆動回路(25,30)を備えている。
液晶パネル22は、図示しない一対の透明絶縁基板と、基板間に液晶を封入することで形成された液晶層を備えている。透明絶縁基板には、例えばガラス基板を用いることができる。一方の透明絶縁基板の液晶層側の面には表示エリア23を行方向(縦方向)に伸びる複数の電極が形成され、他方の透明絶縁基板の液晶層側の面には表示エリア23を列方向(横方向)に伸びる複数の電極が形成されている。これら縦方向に伸びる複数の電極と横方向に伸びる複数の電極によって、液晶層はマトリクス状に配置された複数の領域(すなわち、単位画素)に区分けされている。各単位画素には、能動素子(例えば、トランジスタ等)によって構成された画素回路が配置されている。
【0014】
TFT駆動回路(25,30)は表示エリア23の外側の領域に形成されている。TFT駆動回路は、TFT駆動ドライバ25と負電圧発生回路30等を備えている。TFT駆動ドライバ25は、表示エリア23に形成された単位画素を行単位で選択する垂直駆動回路と、垂直駆動回路によって選択された行の画素群に対して画素毎に信号を供給する水平駆動回路を有している。垂直駆動回路と水平駆動回路によって各画素単位に印加する電圧が決まる。したがって、TFT駆動ドライバ25が画素単位毎に印加する電圧を制御し、これによって表示エリア23に所望の画像が表示される。
【0015】
負電圧発生回路30は、バッテリ32から入力する電力を負電圧(例えば、−5V)に変換する。負電圧発生回路30で生成された負電圧は、フレキシブル基板24及びコネクタ26を介して液晶表示ユニット20外に出力される。液晶表示ユニット20外に出力された負電圧は、再びコネクタ26及びフレキシブル基板24を介してTFT駆動ドライバ25に供給される。供給された負電圧は、TFT駆動ドライバ25による液晶表示ユニット20の駆動に用いられる。また、液晶表示ユニット20の外に出力された負電圧はバックライト駆動ドライバ18を介してバックライト10に供給される。
【0016】
上述した液晶表示ユニット20には、電源スイッチ34を介してバッテリ32が接続されている。電源スイッチ34がONの状態となると、バッテリ32からの電力が液晶表示ユニット20に供給される。
なお、液晶表示ユニット20には、負電圧発生回路を備えた公知の液晶表示ユニットを用いることができ、その詳細な構造は公知であるため、本実施例では液晶表示ユニット20の構造を簡単に説明した。負電圧発生回路を備えた液晶表示ユニットの詳しい説明は、例えば特開2002−1757027号に開示されている。
【0017】
液晶表示ユニット20の裏面(後方)にはバックライト10が配設されている。バックライト10は、有機EL素子13と、有機EL素子13に接続されたフレキシブル基板14を備えている。
有機EL素子13は、例えば、基板12上に形成された陽極、有機発光層及び陰極により構成されている。本実施例の有機EL素子13は、有機発光層からの発光が基板側から取り出されるボトムエミッションタイプに形成されている。
基板12は、有機EL素子13を支持するための板状の部材であり、取り出す光に対して高い透過率を示す透明基板が用いられる。例えば、可視光領域で高い透過率を示すガラス基板や、透明なアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂から構成される透明樹脂基板等を用いることができる。また、液晶パネル22に用いられる透明基板も上記基板12と同様のものが使用できる。
陽極は導電性の金属酸化物系材料で形成されており、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)や、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO(酸化錫)等を用いることができる。
有機発光層としては、Alq3等の発光材料を用いることで、赤色、緑色、青色、黄色等の単色光を示す構成のものや、それらの組み合わせによる発光色、例えば、白色発光を示す構成のもの等を用いることができる。白色を示す構成としては、発光層を2層や3層に積層させる積層型や、1層の発光層に異なる発光材料を混合させる混合型、1層を面内方向のエリアに分けて異なる発光層を塗り分ける塗り分け型等が挙げられる。
また、電荷(正孔、電子)注入層、電荷輸送層、ブロック層等の機能層適宜組み合わせることもできる。
陰極には、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、クロム等の金属やこれらの合金である少なくとも可視光に対して反射性を有する反射電極を用いることができる。
陰極より外側には、有機発光層を酸素及び水分から保護するための保護部を設けることができる。保護部は、パッシペーション膜や封止缶、又はそれらの組み合わせ等で構成される。
陽極、有機発光層、陰極及び保護部は、真空蒸着法、スパッタ法等の公知の薄膜形成法を適宜使用することができる。
基板12上に形成された陽極及び陰極は、フレキシブル基板14及びコネクタ16を介してバックライト駆動ドライバ18に接続されている。また、バックライト駆動ドライバ18は、電源スイッチ34を介してバッテリ32に接続されている。
【0018】
液晶表示ユニット20が駆動されている期間、バックライト駆動ドライバ18は、有機EL素子13が点灯、消灯を繰り返すように駆動している。すなわち、バックライト駆動ドライバ18から、有機EL素子13の陽極の電位が陰極の電位より高くなる順方向電圧(例えば、+5V)が印加された時、有機EL素子13は点灯し、陽極の電位が陰極の電位よりも低くなる逆方向電圧(例えば、−5V)が印加された時には、有機EL素子13は消灯する。ここで、逆方向電圧として、負電圧発生回路30から供給される負電圧が用いられている。
そして、バックライト駆動ドライバ18は、有機EL素子13に順方向電圧と逆方向電圧を交互に印加することにより、有機EL素子13が、点灯、消灯を繰り返すように駆動している。この時、順方向電圧、逆方向電圧の印加時間は一定であり、繰り返しの周波数は60Hz以上とする。有機EL素子13の点灯、消灯の繰り返し周波数を60Hz以上にすることで、人の目には連続して点灯しているように見える。
【0019】
次に、上述した液晶表示装置40の動作を説明する。図2は、電源スイッチ34、負電圧発生回路30、バックライト駆動ドライバ18、液晶表示ユニット20、バックライト10及び有機EL素子13の動作を説明するためのタイミングチャートの一例を示している。
図2に示すように、電源スイッチ34がOFFの状態では、負電圧発生回路34及びバックライト駆動ドライバ18はともに動作しておらず、液晶表示ユニット20及びバックライト10(有機EL素子13)も点灯していない。
【0020】
電源スイッチ34がONされると(時刻t1)、まず、負電圧発生回路34は−5Vの負電圧の出力を開始し、次いで、バックライト駆動ドライバ18がパルス信号の出力を開始する。それと同時に液晶表示ユニット20が表示状態となる。有機EL素子13には+5V〜−5Vで振幅するパルス信号が印加される。このため、有機EL素子13(バックライト10)は、パルス駆動されて点灯と消灯を繰り返し、消灯中には逆方向電圧が印加されることとなる。
【0021】
液晶表示ユニット20及びバックライト10が動作している状態で予め設定されている期間使用されないと(時刻t2)液晶表示装置40は待機状態となり、液晶表示ユニット20が消灯し、また、バックライト駆動ドライバ18はパルス信号の出力を停止し、これによってバックライト10も消灯する。なお、バックライト駆動ドライバ18はパルス信号の出力を停止した後も、負電圧を出力する。このため、バックライト10の有機EL素子13は逆方向電圧が印加され続けることとなる。
【0022】
上述した説明から明らかなように、本実施例の液晶表示装置40では、液晶表示ユニット20に備えられた負電圧発生回路30から出力される負電圧をバックライト10(有機EL素子13)の逆方向電圧に利用する。このため、バックライト駆動ドライバ18に負電圧の電源回路を設ける必要がなく、バックライト駆動ドライバ18を簡易に構成することができる。
また、バックライト10(有機EL素子13)は、パルス駆動によって点灯と消灯が交互に繰り返され、その消灯中に逆方向電圧が印加される。また、液晶表示ユニット20及びバックライト10が待機状態となって消灯された時にも、有機EL素子13に逆方向電圧が印加される。これらによって、有機EL素子13の発光強度の低下が抑制され、長期に亘って液晶表示装置40を高画質に保つことができる。
【0023】
さらに、液晶表示ユニット20の垂直走査方向に、帯状または線状の有機EL素子13を複数並べてバックライト10を構成し、液晶表示ユニット20の垂直方向の走査に同期して、各有機EL素子13が点灯、消灯を繰り返すようにしてもよい。詳述すると、図3に示すように、ガラス基板12を複数(図3では4つ)並べてバックライト10を構成する。各有機EL素子13は帯状または線状であり、液晶表示ユニット20の垂直走査方向に並んでいる。
このような構成において、例えば液晶表示ユニット20がアクティブマトリックス方式の液晶パネル22を用いている場合には、データを書き込んでいる液晶表示ユニット20の行(図3中の横方向に延びる画素列)及びデータ書込後、液晶分子の配向が変化しつつある液晶表示ユニット20の行に対応する有機EL素子13を消灯し、残りの有機EL素子13の内の一部または全部を点灯させる。このように、バックライト10を構成する各有機EL素子13の点灯、消灯を、液晶表示ユニット20の垂直方向の走査と同期して制御することにより、液晶表示ユニット20の動画の画質を向上させることができる。
また、液晶表示ユニット20がパッシブマトリックス方式の液晶パネル22を用いている場合には、データを書き込んでいる液晶表示ユニット20の行に対応する有機EL素子13のみを点灯させる。パッシブマトリックス方式の液晶パネル22では、データを書き込んでいる行のみが視認可能であり、残りの行は所望の画像を表示していない。従って、このように、バックライト10を構成する各有機EL素子13の点灯、消灯、液晶表示ユニット20の垂直方向の走査と同期して制御することにより、所望の画像の表示に寄与していない行に対応する有機EL素子13を消灯させることができ、消費電力を低減することができる。
【0024】
以上に説明した実施例は、種々の変更、修正、変形、及び/又は改良が可能である。本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができる。従って、本発明に係る装置及び方法は、全ての周知又は後に開発された変更、修正、変形、及び/又は改良を含むことを意図する。
例えば、上述した実施例では、バックライト10に順方向電圧が印加されていない期間、常に、有機EL素子13に逆方向電圧(負電圧)を印加したが、有機EL素子13に逆方向電圧を印加する期間・方法等は種々に変更することができる。例えば、液晶表示ユニット20及びバックライト10を駆動している期間は逆方向電圧を印加せず、液晶表示ユニット20及びバックライト10が待機状態となったときにのみ逆方向電圧を印加するようにしてもよい。
また、液晶表示ユニット20及びバックライト10が待機状態となったときに逆方向電圧を印加する際も、逆方向電圧を印加する期間等は種々の態様をとることができる。例えば、待機状態となってから所定期間だけ逆方向電圧を印加するようにしてもよいし、待機状態の間継続して逆方向電圧を印加するようにしてもよいし、さらには、待機状態となる直前の液晶表示ユニット20及びバックライト10の駆動時間に応じて逆方向電圧を印加する期間を変更することもできる。例えば、直前の液晶表示ユニット20及びバックライト10の駆動時間が長い場合は逆方向電圧を印加する期間を長くし、直前の液晶表示ユニット20及びバックライト10の駆動時間が短い場合は逆方向電圧を印加する期間を短くする。これによって、有機EL素子13の発光強度が低下するのを抑制するのに必要な時間だけ有機EL素子13に逆方向電圧を印加することができる。
また、負電圧発生回路30は、液晶パネル22上に形成されている必要はなく、液晶パネル22とは別体に形成され、液晶パネル22に負電圧を供給するとともに有機EL素子13に逆方向電圧を供給するように形成されていてもよい。
また、液晶表示装置40は、カラー表示、白黒表示を問わず、種々の表示態様を採ることができる。
また、有機EL素子13はボトムエミッションタイプに形成されているが有機発光層からの発光が基板とは反対側から取り出されるトップエミッションタイプに形成されていてよい。この場合、基板12としては、ガラス基板等の透明電極でも良く金属基板のように不透明な基板を用いてもよい。ただし、光の取り出し側に形成される電極及び保護部は透明で形成される必要がある。
もちろん、本発明の液晶表示装置が搭載される電子機器は、携帯電話、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ等の小型の電子機器に搭載することができ、さらには、コンピュータディスプレイ、液晶テレビ等の中型、大型の電子機器にも搭載することができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例に係る液晶表示装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】本実施例の液晶表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】本発明の一実施例に係る有機EL素子の概略構成図である。
【符号の説明】
【0027】
10 バックライト
12 基板
14,24 フレキシブル基板
16,26 コネクタ
18 バックライト駆動ドライバ
20 液晶表示ユニット
23 表示エリア
30 負電圧発生回路
40 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示ユニットと、
前記液晶表示ユニットの後方に配置され、有機エレクトロルミネッセンス素子を有するバックライトと、
負電圧発生回路と、を備え、
前記負電圧発生回路は、前記液晶表示ユニットに負電圧を供給すると共に前記有機エレクトロルミネッセンス素子に逆方向電圧を供給することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶表示ユニットは、液晶パネルと、当該液晶パネルを駆動する液晶駆動回路とを備えており、当該液晶駆動回路が前記負電圧発生回路を備えている、請求項1の液晶表示装置。
【請求項3】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子を駆動する有機エレクトロルミネッセンス駆動回路をさらに有しており、当該有機エレクトロルミネッセンス駆動回路は前記有機エレクトロルミネッセンス素子が点灯、消灯を繰り返すように駆動するとともに、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の消灯時には、前記負電圧発生回路から供給される負電圧を用いて前記有機エレクトロルミネッセンス素子に逆方向電圧を印加する請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記バックライトは、前記液晶表示ユニットの垂直走査方向に並ぶ複数の前記有機エレクトロルミネッセンス素子で構成され、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子の点灯、消灯は、前記液晶表示ユニットの垂直方向の走査と同期している、請求項3の液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置を備えた電子機器であって、
当該電子機器に電力が供給されている状態で、かつ、液晶表示ユニット及びバックライトが消灯しているときに、前記負電圧発生回路は前記有機エレクトロルミネッセンス素子に逆方向電圧を印加することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−349745(P2006−349745A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172297(P2005−172297)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】