説明

液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法、製造方法、及び製造装置

【課題】枝リブの幅を大きなものへ製造工程内にて修正する液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法、枝リブの幅に大きな方向への相違がある他品目をフォトマスクを別途に作製せず製造する方法、製造装置を提供する。
【解決手段】現像後に枝リブ84の幅を点検し、規格より小さい際に、現像とポストベークの間で第2露光を行い、ポストベークで枝リブを熱フロー。ある品目の枝リブの幅より大きな幅の枝リブを有する他品目を製造する際に、ある品目のフォトマスクを介し他品目の枝リブを形成する第1露光、現像を行い、現像とポストベークの間で第2露光を行い、ポストベークで枝リブを熱フロー。現像装置と加熱装置の間に第2露光装置19を設けた。第2露光装置がスポット露光装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向制御突起が設けられた液晶表示装置用カラーフィルタに関するものであり、特に、枝リブの幅を大きなものへと製造工程内にて修正する液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法、枝リブの幅に大きな方向への相違がある他品目をフォトマスクを別途に作製することなく製造する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法、及び上記修正方法及び製造方法に用いる液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を模式的に示した平面図である。また、図6は、図5に示すカラーフィルタのX−X’線における断面図である。
図5、及び図6に示すように、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ(4)は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成されたものである。
図5、及び図6はカラーフィルタを模式的に示したもので、着色画素(42)は12個表されているが、実際のカラーフィルタにおいては、例えば、対角17インチの画面に数百μm程度の着色画素が多数個配列されている。
【0003】
液晶表示装置の多くに用いられている、上記構造のカラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成してブラックマトリックス基板とし、次に、このブラックマトリックス基板上のブラックマトリックスのパターンに位置合わせして着色画素を形成し、更に透明導電膜を位置合わせして形成するといった方法が広く用いられている。
ブラックマトリックス(41)は、遮光性を有するマトリックス状のものであり、着色画素(42)は、例えば、赤色、緑色、青色のフィルタ機能を有するものであり、透明導電膜(43)は、透明な電極として設けられたものである。
【0004】
ブラックマトリックス(41)は、着色画素(42)間のマトリックス部(41A)と、着色画素(42)が形成された領域(表示部)の周辺部を囲む額縁部(41B)とで構成されている。
ブラックマトリックスは、カラーフィルタの着色画素の位置を定め、大きさを均一なものとし、また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。
このブラックマトリックス基板の製造には、例えば、ブラックマトリックス形成用の黒色感光性樹脂を用いて、ガラス基板(40)上にフォトリソグラフィ法によってブラックマトリックス(41)を形成するといった方法がとられている。
【0005】
また、着色画素(42)の形成は、このブラックマトリックス基板上に、例えば、顔料などの色素を分散させたネガ型のフォトレジストを用いて塗布膜を設け、この塗布膜への露光、現像によって着色画素を形成するといった方法がとられている。
また、透明導電膜(43)の形成は、着色画素が形成されたブラックマトリックス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0006】
図5、及び図6に示すカラーフィルタ(4)は、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとして基本的な機能を備えたものである。液晶表示装置には液晶としてTN型が広く用いられていたが、TN型液晶においては、原理的に広い視野角を得ることは困難であり、コントラストが良好な視野角は狭い、といった問題を有していた。
【0007】
この問題を解決する技法として、一画素内での液晶分子の配向方向が一方向でなく、複数の方向になるように制御した視野角の広い、配向分割垂直配向型液晶表示装置(MVA(Multi−domain Vertical Alignment)−LCDが開発された。
この技法はラビング処理に代わり、突起を設けることにより液晶分子の配向を制御するものである。
【0008】
図9(a)、(b)は、MVA−LCDに用いられるカラーフィルタの一例の画素を拡大して示す平面図、及び断面図である。この例では、配向制御用突起(83)は、画素内で90°屈曲させてある。このようなカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、画素内で液晶分子の傾斜方向が4方向となり、視野角は広いものとなる。
図9に示す配向制御用突起(83)は、ポジ型のフォトレジストを用いて形成されることが多く、画素サイズが100×300μm程度において、その幅(W)は8〜14μm程度、高さ(H)は0.8〜1.6μm程度である。平面形状がストライプ状で、断面形状が、例えば、かまぼこ状、半円形状であることからしてリブと称されている。
【0009】
図1は、図9に示す配向制御用突起(83)に改良が加えられた一例の平面図である。図1は、図5に符号(M)で示す額縁部(41B)に相当する部分を拡大した平面図である。また、図2(a)は、図1におけるA−A線での断面図、図2(b)は、図1におけるB−B線での断面図である。
図1及び図2に示すように、この一例は、額縁部(41B)の端(E)近傍に、着色画素(42)端が重なった状態に形成されている。
【0010】
配向制御用突起は、図中右方のガラス基板(40)に設けられた着色画素(42)上から、この額縁部(41B)上に設けられた着色画素(42)上まで連続して形成されている。この配向制御用突起には、配向制御用突起(83)から枝分かれした配向制御用突起(84)が設けられている。
【0011】
図9に示す配向制御用突起が設けられた液晶表示装置においては、例えば、TFT側基板の画素電極の端近傍での電界の歪みが、画素内の液晶分子の配向に乱れを発生させているので、この乱れを正すために、図1に示す配向制御用突起では、画素電極の端近傍に対応したカラーフィルタ上の位置に、配向制御用突起(83)から枝分かれした配向制御用突起(84)を設けたものである。
図1に示すように、枝分かれした配向制御用突起(84)を有する配向制御用突起においては、配向制御用突起(83)は本リブ、枝分かれした配向制御用突起(84)は枝リブと称されている。
【0012】
図5に示すカラーフィルタ(4)に配向分割機能が追加された仕様のカラーフィルタを製造する際には、図5に示すカラーフィルタ(4)を作製した後に、図1に示す枝リブ(84)を有する配向制御用突起(83)を形成する。
【0013】
上記カラーフィルタを構成するブラックマトリックス、着色画素、及び配向制御用突起(83、84)をフォトリソグラフィ法によりパターンとして形成する際には、例えば、先ずガラス基板に対して必要に応じた洗浄処理を施し、続いて塗布装置によるフォトレジストの塗布、減圧乾燥装置による予備乾燥処理、プリベーク装置によるプリベーク処理、露光装置によるパターン露光、現像装置による現像処理、加熱装置によるポストベーク処理が順次に施され、ガラス基板に所定のパターンを形成する。尚、図1、図2では、透明導電膜(43)を省略してある。
【0014】
図3は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)が形成され、続いて枝リブを形成するためにフォトレジストの塗膜(60)が設けられた状態の断面図である。図2に相当する部分である。図2は、配向制御用突起が形成された後の状態を示したものであるが、図3は、配向制御用突起を形成するために塗膜(60)が設けられた段階を表している。
【0015】
図3に示すように、着色画素(42)は額縁部(41B)上にも形成されている。この着色画素(42)を形成する際、ガラス基板(40)上面とブラックマトリックス(41)上面との間に段差(D1)が生じるが、この段差(D1)の状態は、着色画素(42)の形成後においても解消されることはない。
着色画素(42)の上面にては、ブラックマトリックス上方の着色画素上面(j1)と、その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上面(j2)と間に、段差(D1)よりは低い段差(D2)が残されている。
【0016】
このような上面を呈する着色画素上に、配向制御用突起のフォトレジストの塗膜(60)が形成されると、その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上に形成された枝リブ形成用のフォトレジストの塗膜の厚さ(T11)と、ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成された塗膜の厚さ(T12)とは、T12<T11の関係となる。
【0017】
このような塗膜の厚さの関係は、上記着色画素上面の段差(D2)と枝リブ形成用のフォトレジストの流動性によってもたらされる。
上記のような厚さの関係にある枝リブ形成用のフォトレジストの塗膜に、フォトマスクを介した露光を与え現像処理を行うと、図4に示す平面図のように、枝リブの幅は、その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上の着色画素上枝リブ(84−1)の幅(W1)よりも、ブラックマトリックス上方枝リブ(84−2)の幅(W2)が小さなものとなる(W1>W2)。
【0018】
すなわち、枝リブを形成するためのフォトレジストの塗膜の厚さと、形成される枝リブの幅との間には正の相関がある。この相関は、本リブ(83)にも及んでいるが、枝リブにおいて、その挙動が大きなものとなる性向にある。
【0019】
さて、実際の製造において、例えば、洗浄、塗布、予備乾燥、プリベーク、露光、現像、ポストベークなど前記一連の処理工程にて、何らかの原因によって枝リブ(84−2)の幅(W2)が小さなものとなっても、幅(W2)の変動が許容される規格内であれば、当然、良品としての扱いとなる。しかし、例えば、露光、現像などの処理条件の変動により、枝リブ(84−2)の幅(W2)が小さなものとなる変動が規格外となった際には、現像後において確認することが出来るものの、確認するまでの製品は不良品となってしまう。
【特許文献1】特開平9−189904号公報
【特許文献2】特開2007−293089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ブラックマトリックスの額縁部上方の着色画素上に設けられる枝リブの幅が小さくなった液晶表示装置用カラーフィルタの、該小さくなった枝リブの幅を大きなものへと製造工程内にて修正し、該液晶表示装置用カラーフィルタを良品とすることのできる、液晶表示装置用カラーフィルタの修正
方法を提供することを第一の課題とする。
【0021】
また、実際の製造においては、品目によって枝リブの幅の仕様が異なるものがある。この幅の仕様の相違が僅少であり、上記処理条件の調節可能な範囲で製造できるのであれば、例えば、露光、現像条件の調節を行って製造することがある。或いは、調節可能な範囲での製造が危ぶまれる際には、使用するフォトマスクを別途に作製しカラーフィルタを製造することとなる。
本発明の第二の課題は、上記枝リブの幅の仕様が異なる品目にて、枝リブの幅に大きな方向への相違がある他品目を製造する際に、上記処理条件の調節を必要とせず、また、フォトマスクを別途に作製することなく、上記枝リブの幅に大きな方向への相違がある他品目を製造することのできる、液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供することにある。
【0022】
また、本発明の第三の課題は、上記液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法及び製造方法に用いることのできる、液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明における第一の発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が設けられ、該ブラックマトリックスの額縁部の着色画素上方に設けられる枝リブの幅の修正方法において、
1)前記ブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が設けられたガラス基板にポジ型のフォトレジストの塗膜を設け、該塗膜への枝リブを形成するフォトマスクを介した第1露光、現像後に、枝リブの幅を点検し、該幅が予め設定された規格より小さい際に、
2)現像とポストベークの間で、該枝リブが形成されたガラス基板の全面に、前記塗膜の感光波長を有する光を用いた第2露光を行い、
3)続くポストベークにて、枝リブを熱フローさせて枝リブの幅を大きくし、枝リブの幅を前記規格内とすることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法である。
【0024】
また、第一の発明は、上記発明による液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法において、前記第2露光が、枝リブの部分であることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法である。
【0025】
また、本発明における第二の発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が設けられ、該ブラックマトリックスの額縁部の着色画素上方にポジ型のフォトレジストを用いて枝リブを設ける液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
1)前記液晶表示装置用カラーフィルタの、ある品目の枝リブの幅より大きな幅の枝リブを有する他品目を製造する際に、
2)前記ある品目の枝リブの形成に用いるフォトマスクを介した、他品目の枝リブを形成する第1露光、現像を行い、
3)現像とポストベークの間で、該枝リブが形成されたガラス基板の全面に、前記塗膜の感光波長を有する光を用いた第2露光を行い、
4)続くポストベークにて、枝リブを熱フローさせて枝リブの幅を大きくし、ある品目の枝リブの幅より大きな幅の枝リブを有する他品目を製造することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法である。
【0026】
また、本発明における第三の発明は、請求項1に記載する液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法、又は請求項3に記載する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法に用いる液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置であって、現像装置とポストベークの加熱装
置の間に、枝リブが形成されたガラス基板の全面に、塗膜の感光波長を有する光を照射する第2露光装置を設けたことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置である。
【0027】
また、本発明における第三の発明は、請求項2に記載する液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法に用いる液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置であって、現像装置とポストベークの加熱装置の間に、枝リブの部分に、塗膜の感光波長を有する光を照射する第2露光装置(スポット露光装置)を設けたことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、ブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が設けられたガラス基板にポジ型のフォトレジストの塗膜を設け、該塗膜への枝リブを形成するフォトマスクを介した第1露光、現像後に、枝リブの幅を点検し、該幅が予め設定された規格より小さい際に、現像とポストベークの間で、該枝リブが形成されたガラス基板の全面に、前記塗膜の感光波長を有する光を用いた第2露光を行い、続くポストベークにて、枝リブを熱フローさせて枝リブの幅を大きくし、枝リブの幅を前記規格内とするので、液晶表示装置用カラーフィルタの小さくなった枝リブの幅を大きなものへと製造工程内にて修正し、該液晶表示装置用カラーフィルタを良品とする液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法となる。
【0029】
また、本発明は、ある品目の枝リブの幅より大きな幅の枝リブを有する他品目を製造する際に、ある品目の枝リブの形成に用いるフォトマスクを介した、他品目の枝リブを形成する第1露光、現像を行い、現像とポストベークの間で、枝リブが形成されたガラス基板の全面に第2露光を行い、続くポストベークにて、枝リブを熱フローさせて枝リブの幅を大きくし、ある品目の枝リブの幅より大きな幅の枝リブを有する他品目を製造するので、枝リブの幅に大きな方向への相違がある他品目を製造する際に、処理条件の調節を必要とせず、フォトマスクを別途に作製することなく、他品目を製造することのできる液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法となる。
【0030】
また、本発明は、現像装置とポストベークの加熱装置の間に、枝リブが形成されたガラス基板の全面に、塗膜の感光波長を有する光を照射する第2露光装置を設けたので、上記液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法及び製造方法に用いることのできる、液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図7は、本発明による液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法において用いられる液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置の一例の構成を示す説明図である。すなわち、請求項4に係わる液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置の一例である。
【0032】
図7に示すように、この製造装置は、洗浄装置(10)、塗布装置(11)、減圧乾燥装置(12)、プリベーク装置(13)、第1露光装置(14)、現像装置(15)、基板振分け/振戻り装置(17)、点検装置(18)、第2露光装置(19)、加熱装置(16)で構成されている。
図8は、従来の製造装置の一例の構成を示す説明図である。図8に示すように、従来の製造装置は、洗浄装置(10)〜加熱装置(16)で構成されている。従来の製造装置と対比し、図7に示す本発明による製造装置は、現像装置(15)と加熱装置(16)の間に第2露光装置(19)が設けられている。また、枝リブを点検するための点検装置(18)及び基板振分け/振戻り装置(17)が設けられている例である。
【0033】
図7に矢印で示すように、ブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が設けられたガラス基板には、洗浄装置(10)による洗浄処理〜第1露光装置(14)による第1露光、現像装置(15)による現像処理を施して枝リブを形成し、この形成した枝リブの幅を点検し、幅が小さい際には第2露光装置(19)による第2露光をガラス基板の全面に施し、続く加熱装置(16)でのポストベークによって枝リブを熱フローさせ、枝リブの幅を大きくすることが出来るようになっている。
【0034】
この製造装置を用いて枝リブを形成する際には、例えば、あるロットにて、枝リブ製造の初期の段階で、点検装置(18)を用いて額縁部の着色画素上方に設けられる現像後の枝リブの幅を点検し、その幅が予め設定された規格内であれば、当該ロットでは第2露光装置(19)は作動させずに、枝リブ製造を継続する。すなわち、修正を必要としないロットであるので、枝リブの幅を大きくするための第2露光は行わない。
【0035】
また、例えば、他のロットにて、枝リブ製造の初期の段階で、点検装置(18)を用いて額縁部の着色画素上方に設けられる現像後の枝リブの幅を点検し、その幅が予め設定された規格より小さいものであれば、ガラス基板の全面に第2露光を施す。すなわち、当該ロットでは第2露光装置(19)は作動させた枝リブ製造を行う。続く加熱装置(16)において、この第2露光が与えられた枝リブを熱フローさせ、その幅を大きくし、規格内のものへと修正をする。
【0036】
上述のように、本発明による液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法は、修正を必要とする、例えば、ロットに対しては、枝リブの製造工程において修正を施し、規格内に収まる良品とする修正方法である。
【0037】
図10は、第2露光と、続く加熱装置(16)によるポストベークによって枝リブを熱フローさせ、枝リブの幅を大きくする状況の説明図である。図10(a)は、枝リブに第2露光が与えられている段階、(b)は、ポストベーク後の段階を表している。
額縁部(41B)の着色画素(42)上方に設けられた現像後の枝リブ(64A)の幅(W3)は、第2露光、ポストベークが施されると、ポストベーク後の枝リブ(64B)の幅(W4)は、大きなものとなる(W3<W4)。
【0038】
枝リブの形成には、ポジ型のフォトレジストであるノボラック樹脂を用いることが多い。このノボラック樹脂は、光によりその分子構造の一部が変化し、溶解度に変化をひきおこす反応を利用したものである。第2露光後の加熱により熱フローが発生するのは、この際に溶解度に変化をもたらすと同時に、光により物性変化がひきおこされ、加熱により流動性(熱フロー)が生じるものと推量されている。
【0039】
第2露光の露光量を増加させていくに従い、枝リブの幅は次第に大きなものとなる。具体的には、ノボラック樹脂として、ROHMandHAAS(株)製:LC120(商品名)を用い、光源として、キャノンを採用し、230℃・20分のポストベークを与えた際の、第2露光の露光量と枝リブの幅の関係を表したものが、表1である。
表1に幅の変化量を示すように、幅11μmを有する現像後の枝リブの幅は、第2露光の露光量に略比例している。実際の修正においては、表1に基づき適宜に第2露光の露光量を調節することになる。
【0040】
【表1】

尚、図7に示す製造装置においては、第2露光を枝リブが形成されたガラス基板の全面に与えている。これによって、額縁部の着色画素上方に設けられる現像後の枝リブの幅のみならず、前記本リブ(83)にても、その幅が大きなものとなり、本リブ(83)も正常な方向へと修正されることなる。
【0041】
図11は、請求項2に係わる修正方法の説明図である。図11に示すように、現像後の枝リブ(64A)の片端部の近傍に、第2露光としてスポット露光装置(19−2)を用い、スポット露光(φ)を与えて部分修正を行うものである。
修正後に得られる枝リブ(64B−2)は、片端部の幅が大きなものとなり、全体に幅(W5)は(W3<W5)の関係になる。
【0042】
また、本発明による液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、枝リブの幅の仕様が異なる品目にて、枝リブの幅に大きな方向への相違がある他品目を製造する際に、処理条件の調節を必要とせず、また、フォトマスクを別途に作製することなく、枝リブの幅に大きな方向への相違がある他品目を製造することのできる製造方法である。
【0043】
すなわち、ある品目の枝リブの幅より大きな幅の枝リブを有する他品目を製造する際に、ある品目の枝リブの形成に用いるフォトマスクを介した、他品目の枝リブを形成する第1露光、現像を行い、現像とポストベークの間で、枝リブが形成されたガラス基板の全面に第2露光を行い、続くポストベークにて、枝リブを熱フローさせて枝リブの幅を大きくし、ある品目の枝リブの幅より大きな幅の枝リブを有する他品目を製造する。
【0044】
この製造方法に用いる製造装置としては、例えば、図7に示す製造装置を採用することができる。或いは、他の構造、例えば、図7に示す製造装置において、点検装置(18)及び基板振分け/振戻り装置(17)を設けない製造装置でもよい。
また、この製造方法にては、前記表1に基づき、他品目に適用できるか否かを容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】配向制御用突起に改良が加えられた一例の平面図である。
【図2】(a)は、図1におけるA−A線での断面図である。(b)は、図1におけるB−B線での断面図である。
【図3】枝リブを形成するためにフォトレジストの塗膜が設けられた状態の断面図である。
【図4】枝リブの幅を説明する平面図である。
【図5】液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を模式的に示した平面図である。
【図6】図5に示すカラーフィルタのX−X’線における断面図である。
【図7】本発明による液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置の一例の構成を示す説明図である。
【図8】従来の製造装置の一例の構成を示す説明図である。
【図9】(a)、(b)は、MVA−LCDに用いられるカラーフィルタの一例の一画素を拡大して示す平面図、及び断面図である。
【図10】(a)、(b)は、第2露光とポストベークによって枝リブを熱フローさせ、枝リブの幅を大きくする状況の説明図である。
【図11】請求項2に係わる修正方法の説明図である。
【符号の説明】
【0046】
4、8・・・カラーフィルタ
10・・・洗浄装置
11・・・塗布装置
12・・・減圧乾燥装置
13・・・プリベーク装置
14・・・第1露光装置
15・・・現像装置
16・・・加熱装置
17・・・基板振分け/振戻り装置
18・・・点検装置
19・・・第2露光装置
19−2・・・スポット露光装置
40・・・ガラス基板
41・・・ブラックマトリックス
41B・・・額縁部
42・・・着色画素
43・・・透明導電膜
60・・・フォトレジストの塗布膜
64A・・・現像後の枝リブ
64B・・・ポストベーク後の枝リブ
83・・・配向制御用突起(本リブ)
84・・・配向制御用突起(枝リブ)
84−1・・・着色画素上枝リブ
84−2・・・ブラックマトリックス上方枝リブ
D1、D2・・・段差
E・・・額縁部の端
H・・・配向制御用突起の高さ
T11・・・その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上に形成された枝リブ形成用のフォトレジストの塗膜の厚さ
T12・・・ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成された塗膜の厚さ
W・・・配向制御用突起の幅
W1・・・着色画素上枝リブの幅
W2・・・ブラックマトリックス上方枝リブの幅
W3・・・現像後の枝リブの幅
W4、W5・・・ポストベーク後の枝リブの幅
φ・・・スポット露光
j1・・・ブラックマトリックス上方の着色画素上面
j2・・・ブラックマトリックスのない着色画素上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が設けられ、該ブラックマトリックスの額縁部の着色画素上方に設けられる枝リブの幅の修正方法において、
1)前記ブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が設けられたガラス基板にポジ型のフォトレジストの塗膜を設け、該塗膜への枝リブを形成するフォトマスクを介した第1露光、現像後に、枝リブの幅を点検し、該幅が予め設定された規格より小さい際に、
2)現像とポストベークの間で、該枝リブが形成されたガラス基板の全面に、前記塗膜の感光波長を有する光を用いた第2露光を行い、
3)続くポストベークにて、枝リブを熱フローさせて枝リブの幅を大きくし、枝リブの幅を前記規格内とすることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法。
【請求項2】
前記第2露光が、枝リブの部分であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法。
【請求項3】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が設けられ、該ブラックマトリックスの額縁部の着色画素上方にポジ型のフォトレジストを用いて枝リブを設ける液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
1)前記液晶表示装置用カラーフィルタの、ある品目の枝リブの幅より大きな幅の枝リブを有する他品目を製造する際に、
2)前記ある品目の枝リブの形成に用いるフォトマスクを介した、他品目の枝リブを形成する第1露光、現像を行い、
3)現像とポストベークの間で、該枝リブが形成されたガラス基板の全面に、前記塗膜の感光波長を有する光を用いた第2露光を行い、
4)続くポストベークにて、枝リブを熱フローさせて枝リブの幅を大きくし、ある品目の枝リブの幅より大きな幅の枝リブを有する他品目を製造することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載する液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法、又は請求項3に記載する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法に用いる液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置であって、現像装置とポストベークの加熱装置の間に、枝リブが形成されたガラス基板の全面に、塗膜の感光波長を有する光を照射する第2露光装置を設けたことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置。
【請求項5】
請求項2に記載する液晶表示装置用カラーフィルタの修正方法に用いる液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置であって、現像装置とポストベークの加熱装置の間に、枝リブの部分に、塗膜の感光波長を有する光を照射する第2露光装置(スポット露光装置)を設けたことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−198758(P2009−198758A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39738(P2008−39738)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】