説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示装置における駆動電源電圧に起因する液晶表示部の誤動作を防止し、誤動作が原因の液晶表示部の故障を抑制すること。
【解決手段】液晶表示装置であって、液晶表示部と、任意に設定される検知閾値電圧に基づき前記液晶表示部の駆動電源電圧を監視する電源監視部と、この電源監視部の監視結果に基づき前記液晶表示部の駆動電源電圧が前記検知閾値電圧よりも低い場合には前記液晶表示部に入力される表示信号を停止させる表示信号制御部、を設けたことを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、詳しくは液晶表示部の保護に関する。
【0002】
近年の半導体技術の発達に伴い、TV受像機、パソコンモニタ、携帯電話、携帯ゲーム機などの民生品や、パチンコ台などの業務用娯楽機器や、測定器や検査装置などの産業機器など、各種電子機器の表示装置として液晶表示装置が広く用いられている。
【0003】
図4は、従来の液晶表示装置の一例を示すブロック図である。図4において、液晶表示部1には、液晶駆動電源部2から駆動電源Pdが供給されている。CPU3は、表示制御部4に、表示データDdと表示ON/OFF制御信号Scを出力する。表示制御部4は、表示データDdを液晶表示部1に合わせた所定の信号形態の表示信号Sdに変換して液晶表示部1に出力するとともに、表示ON/OFF制御信号Scに基づき表示信号Sdの液晶表示部1への出力をON/OFF制御する。
【0004】
図5は、図4の動作を説明するタイミングチャートである。液晶表示部1には、図5のタイミングチャートに示すように、液晶駆動電源部2から供給される駆動電源PdのON/OFFに対する表示信号Sdの製品固有の出力タイミングが規定されている。図5において、駆動電源PdのONに対する表示信号Sdの出力タイミングをT1、駆動電源PdのOFFに対する表示信号SdのOFFのタイミングをT2とする。
【0005】
特許文献1には、液晶表示装置における電源制御回路の例が記載されている。
【特許文献1】特開平8−8707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4の回路構成によれば、表示ON/OFF制御信号Scにより電源ONに対する表示信号Sdの出力タイミングT1は制御できるものの、電源OFFに対する表示信号SdのOFFタイミングT2を制御することは、装置自体の電源がOFFされると液晶表示部1の電源もOFFされてしまって制御不能となることから、容易ではない。
【0007】
図5のタイミングが守られない場合、つまり液晶駆動電源部2がONしていない状態で表示信号Sdが液晶表示部1に出力された場合、液晶表示部1で誤動作が発生し、最悪の場合には液晶表示部1を故障させてしまう恐れがある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するものであり、その目的は、駆動電源電圧に起因する液晶表示部の誤動作を防止し、誤動作が原因の故障を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
液晶表示部と、
任意に設定される検知閾値電圧に基づき前記液晶表示部の駆動電源電圧を監視する電源監視部と、
この電源監視部の監視結果に基づき前記液晶表示部の駆動電源電圧が前記検知閾値電圧よりも低い場合には前記液晶表示部に入力される表示信号を停止させる表示信号制御部、
を設けたことを特徴とする液晶表示装置である。
【0010】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の液晶表示装置において、
前記電源監視部として、リセットICを用いることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、
請求項1または請求項2記載の液晶表示装置において、
前記液晶表示部の駆動電源電圧を、前記液晶表示部の表示動作を制御する制御信号に基づきON/OFF制御されるスイッチ素子を介して選択的に印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駆動電源電圧に起因する液晶表示部の誤動作を防止でき、誤動作が原因の故障を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示すブロック図であり、図4と共通する部分には同一の符号を付けている。図1において、電源監視部5は、液晶駆動電源部2から液晶表示部1に供給される駆動電源Pdを監視するものであり、たとえば「リセットIC」として市販されている一般的なICを用いる。この電源監視部5には抵抗R1とR2の直列回路よりなる分圧回路を介して液晶駆動電源部2から液晶表示部1に供給される駆動電源Pdが入力される。電源監視部5の出力信号Seは、液晶表示部1と表示制御部4の間に接続されている出力イネーブル付きのゲートIC6に入力される。なお、ゲートIC6は表示制御回路4内に設けられる場合もある。また、電源監視部5は、コンデンサCtを介して共通電位点に接続されている。
【0014】
電源監視部5は、液晶駆動電源部2から出力される駆動電源Pdの電圧が抵抗R1とR2の直列回路よりなる分圧回路で決められた電源監視部5の検知閾値電圧Vthに達すると出力イネーブル信号Seをアサートし、逆に液晶駆動電源部2から出力される駆動電源Pdの電圧が検知閾値電圧Vthまで低下した場合は出力イネーブル信号Seをネゲートする。ゲートIC6は、液晶表示部1に入力される表示信号を停止させる表示信号制御部として機能するものであり、電源監視部5から入力される出力イネーブル信号Seに基づき、表示制御部4から液晶表示部1に出力される表示信号SdをON/OFF制御する。なお、電源監視部5の検知閾値電圧Vthは、液晶表示部1の仕様の電源電圧のミニマム値と合わせるようにする。
【0015】
図2は、図1の動作を説明するタイミングチャートである。ゲートIC6は、液晶駆動電源部2から出力される駆動電源Pdの電圧が検知閾値電圧Vthよりも低下した際には表示信号Sd’を直ちにOFFにする。
【0016】
これにより、表示信号Sd’が液晶表示部1の仕様を超えて出力されることはなく、液晶表示部1の誤動作を抑えることができ、誤動作が原因による故障を抑制防止できる。
【0017】
図3は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、図1と共通する部分には同一の符号を付けている。図3において、液晶駆動電源部2から出力される駆動電源PdはFETQ1を介して液晶表示部1に供給される。FETQ1のゲートはトランジスタQ2を介して共通電位点に接続され、トランジスタQ2のベースはCPU3のIOポート回路31に接続されている。なお、IOポート回路31は、CPU3に外付けされるものであってもよい。また、FETQ1とトランジスタQ2の駆動用抵抗素子は図示しない。
【0018】
電源監視部5から出力されるリセット信号Srsは、ナンドゲート7の一方の入力端子に入力されている。ナンドゲート7の他方の入力端子には、CPU3のIOポート回路31から表示ON/OFF制御信号Scが入力されている。ナンドゲート7の出力端子はゲートIC6の出力イネーブル端子に接続され、出力イネーブル信号Seを出力する。
【0019】
図3の構成において、表示ON/OFF制御信号Scがアサートすると、トランジスタQ2によりFETQ1がONになり、液晶駆動電源部2から出力される駆動電源PdはFETQ1を介して液晶表示部1に供給される。FETQ1がONになると電源監視部5はリセット信号Srsをネゲートし、ナンドゲート7は出力イネーブル信号Seをアサートして、ゲートIC6は表示信号Sd’を液晶表示部1に対して出力する。
【0020】
一方、表示ON/OFF制御信号Scがネゲートした場合または液晶駆動電源部2から出力される駆動電源Pdが電源監視部5の検知閾値電圧Vthよりも低下した場合は、リセット信号Srsがアサートされ、ゲートIC6から液晶表示部1に対して出力される表示信号Sd’をOFFにする。
【0021】
すなわち、図3の回路構成により、液晶駆動電源部2から出力される駆動電源Pdが電源監視部5の検知閾値電圧Vthよりも低下した場合には、液晶表示部1に出力される表示信号Sd’を直ちにOFFにできることから表示信号Sd’が液晶表示部1の仕様を超えて出力されることはなく、液晶表示部1の誤動作を抑えることができ、誤動作が原因による液晶表示部1の故障を防止できる。
また、図3の回路構成によれば、表示ON/OFF制御信号Scにより液晶表示部1に入力される表示信号Sd’を制御するだけではなく、液晶駆動電源部2から出力される駆動電源Pdも制御することができ、液晶表示OFF時における消費電力を抑制することもできる。
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、一般的なリセットICを使用した電源監視部を設けて液晶表示部の電源電圧を監視するとともに液晶表示部の表示信号を制御することにより、容易に駆動電源電圧に起因する液晶表示部の誤動作を防止できるとともに誤動作が原因の故障を抑制できる液晶表示装置が実現でき、各種電子機器の表示装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図4】従来の液晶表示装置の一例を示すブロック図である。
【図5】図4の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1 液晶表示部
2 液晶駆動電源部
3 CPU
4 表示制御部
5 電源監視部
6 ゲートIC
Q1 FET
Q2 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示部と、
任意に設定される検知閾値電圧に基づき前記液晶表示部の駆動電源電圧を監視する電源監視部と、
この電源監視部の監視結果に基づき前記液晶表示部の駆動電源電圧が前記検知閾値電圧よりも低い場合には前記液晶表示部に入力される表示信号を停止させる表示信号制御部、
を設けたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記電源監視部として、リセットICを用いることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶表示部の駆動電源電圧を、前記液晶表示部の表示動作を制御する制御信号に基づきON/OFF制御されるスイッチ素子を介して選択的に印加することを特徴とする請求項1または請求項2記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−265216(P2009−265216A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112220(P2008−112220)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】