説明

液晶表示装置

【課題】本発明は、良好な配向膜を液体材料の吐出によって形成することを目的とする。
【解決手段】液晶表示装置は、基板10と、基板10上に形成された無機材料層18と、無機材料層18上に形成された配向膜26と、配向膜26上に配置された液晶16と、を含む。無機材料層18には、配向膜26の外側に溝24が形成されている。溝24の、配向膜26の側の辺の輪郭が、凸凹に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の配向膜を、インクジェット法により形成することが知られている(特許文献1参照)。この方法では、液体材料から配向膜を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−322627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェット法で使用される液体材料は粘性が低いため、液体材料をせき止める手段を講ずる必要がある。しかし、せき止め手段によって、吐出した液体材料が跳ね返ってくるため、平坦な配向膜を形成することが難しく、品質低下を招くおそれがあった。
【0005】
本発明は、良好な配向膜を液体材料の吐出によって形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る液晶表示装置は、基板と、前記基板上に形成された無機材料層と、前記無機材料層上に形成された配向膜と、前記配向膜上に配置された液晶と、を含み、前記無機材料層には、前記配向膜の外側に溝が形成され、前記溝の、前記配向膜の側の辺の輪郭が、凸凹に形成されていることを特徴とする。本発明によれば、無機材料層に溝が形成されているので、液体材料の吐出によって配向膜を形成するときに、液体材料の流れを溝で止めることができる。しかも、溝の辺の輪郭が凸凹に形成されているので、液体材料の跳ね返る方向が分散される。そのため、配向膜の平坦性を阻害する要因が少なくなり、良好な配向膜を形成することができる。
【0007】
(2)(1)に記載された液晶表示装置において、前記凸凹は、複数のV字が繰り返し並べられた形状であることを特徴としてもよい。
【0008】
(3)(1)に記載された液晶表示装置において、前記凸凹は、窪みが前記配向膜を向く複数のU字又は複数の半円が繰り返し並べられた形状であることを特徴としてもよい。
【0009】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された液晶表示装置において、前記無機材料層は、絶縁層と、前記絶縁層の下を通る配線と、を含み、前記溝は、前記絶縁層の、前記配線に載る部分を避けた領域のみに形成されていることを特徴としてもよい。
【0010】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された液晶表示装置において、前記溝は、前記配向膜の外縁に隣接し、前記配向膜の外縁は、前記溝の前記辺に対応した形状であることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の平面図である。
【図2】図1に示す液晶表示装置のII-II線断面図である。
【図3】図1に示す液晶表示装置の液晶よりも下の構造を示す平面図である。
【図4】図3に示す構造の一部拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態の変形例1に係る液晶表示装置を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態の変形例2に係る液晶表示装置を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態の変形例3に係る液晶表示装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の平面図である。図2は、図1に示す液晶表示装置のII-II線断面の拡大図である。
【0013】
液晶表示装置は、基板10及び対向基板12を有する。基板10及び対向基板12は、例えばガラス基板であって、光透過性を有する。基板10及び対向基板12は、間隔をあけて対向するように配置されている。基板10は、図示しないTFT(Thin Film Transistor)が形成されたTFT基板である。対向基板12は、図示しない着色層と、着色層を覆うオーバーコート層と、を有するカラーフィルタ基板である。
【0014】
基板10及び対向基板12は、例えばエポキシ樹脂からなるシール材14によって端部同士が固定されている。基板10及び対向基板12の間に液晶16が封入されている。
【0015】
液晶16の駆動方式は、IPS(In Plane Switching)方式、TN(Twisted Nematic)方式又はVA(Vertical Alignment)方式などいずれの方式であってもよく、方式に応じた電極(図示せず)が形成されている。
【0016】
図3は、図1に示す液晶表示装置の液晶よりも下の構造を示す平面図である。図4は、図3に示す構造の一部拡大図である。
【0017】
基板10上には無機材料層18が形成されている。無機材料層18は、SiOやSiNなどからなる絶縁層20と、絶縁層20の下を通る配線22(アルミニウムなどの金属)と、を含む。無機材料層18には溝24が形成されている。溝24は、絶縁層20の、配線22に載る部分を避けた領域のみに形成されている。溝24は、所定領域を囲むように形成されている。溝24は、途切れることなく連続していてもよいが、本実施の形態では断続的に(途切れた形状で)形成されている。溝24が囲む領域側において、溝24の辺の輪郭が凸凹になっている。凸凹は、複数のV字が繰り返し並べられた形状である。
【0018】
無機材料層18上には配向膜26が形成されている。配向膜26は、無機材料層18の溝24によって囲まれた領域に形成されている。逆に言うと、配向膜26の外側に溝24が形成されている。溝24の、配向膜26の側の辺の輪郭が、凸凹に形成されている。溝24は、配向膜26の外縁に隣接しており、配向膜26の外縁が、溝24の辺に対応した形状になっている。
【0019】
図2に示すように、配向膜26上には液晶が配置されている。対向基板12にも対向配向膜27が形成されており、配向膜26及び対向配向膜27の間に液晶16が介在している。なお、対向配向膜27の外側にはバンク28が形成されている。バンク28は、オーバーコート層30上に形成されており、対向配向膜27と隣接している。
【0020】
本実施の形態によれば、無機材料層18に溝24が形成されているので、液体材料の吐出によって配向膜26を形成するときに、液体材料の流れを溝24で止めることができる。しかも、溝24の辺の輪郭が凸凹に形成されているので、液体材料の跳ね返る方向が分散される。そのため、配向膜26の平坦性を阻害する要因が少なくなり、良好な配向膜26を形成することができる。
【0021】
次に、本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の製造方法を説明する。本実施の形態では、図3に示す無機材料層18が形成された基板10を用意する。
【0022】
液晶表示装置の製造方法は、液体材料の吐出によって、無機材料層18上に配向膜26を形成することを含む。吐出の方法としてインクジェット法を適用することができる。吐出された液体材料は、無機材料層18上に溜まって膜を形成する。無機材料層18には、上述したように溝24が形成されており、溝24の内側に液体材料を吐出する。
【0023】
吐出された液体材料は、溝24に当たると跳ね返ってくるが、溝24の辺の輪郭が凸凹になっているため、跳ね返る方向が分散する。例えば、凸凹が複数のV字が繰り返し並べられた形状であるときには、斜めの辺に液体材料が当たるので、吐出方向には跳ね返らず、溝24の辺に対する入射角度に対応した出射角度を以て跳ね返る。したがって、跳ね返ってきた液体材料が、すでに形成された配向膜26の上に載るとしても、分散して跳ね返るため、配向膜26の表面の平坦性を阻害する要因が少なくなり、良好な配向膜26を形成することができる。
【0024】
[変形例]
図5は、本発明の実施の形態の変形例1に係る液晶表示装置を説明する図である。上述した実施の形態では、溝24は、配向膜26とは反対側の辺の輪郭も凸凹になっている。これに対して、変形例1では、溝124は、配向膜26とは反対側の辺の輪郭が直線形状になっている。
【0025】
図6は、本発明の実施の形態の変形例2に係る液晶表示装置を説明する図である。変形例2では、溝224の凸凹の輪郭が、複数のU字が、そのU字の窪みが配向膜226を向くように、繰り返し並べられた形状である。
【0026】
図7は、本発明の実施の形態の変形例3に係る液晶表示装置を説明する図である。変形例3では、溝324の凸凹の輪郭が、複数の半円が、その半円の窪みが配向膜326を向くように、繰り返し並べられた形状である。
【0027】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施の形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0028】
10 基板、12 対向基板、14 シール材、16 液晶、18 無機材料層、20 絶縁層、22 配線、24 溝、26 配向膜、27 対向配向膜、28 バンク、30 オーバーコート層、124 溝、224 溝、226 配向膜、324 溝、326 配向膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された無機材料層と、
前記無機材料層上に形成された配向膜と、
前記配向膜上に配置された液晶と、
を含み、
前記無機材料層には、前記配向膜の外側に溝が形成され、
前記溝の、前記配向膜の側の辺の輪郭が、凸凹に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された液晶表示装置において、
前記凸凹は、複数のV字が繰り返し並べられた形状であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載された液晶表示装置において、
前記凸凹は、窪みが前記配向膜を向く複数のU字又は複数の半円が繰り返し並べられた形状であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された液晶表示装置において、
前記無機材料層は、絶縁層と、前記絶縁層の下を通る配線と、を含み、
前記溝は、前記絶縁層の、前記配線に載る部分を避けた領域のみに形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された液晶表示装置において、
前記溝は、前記配向膜の外縁に隣接し、
前記配向膜の外縁は、前記溝の前記辺に対応した形状であることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−170038(P2010−170038A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14516(P2009−14516)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(506087819)株式会社IPSアルファテクノロジ (443)
【Fターム(参考)】