説明

液晶表示装置

【課題】バックライトユニットを有する液晶表示装置における光源光の利用効率を向上させる。
【解決手段】液晶表示パネルと、バックライトユニットとを有し、前記バックライトユニットは、複数の光源と、当該光源が発した光を面状光線に変換する導光板9と、当該光源が発した光を赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bに分離する回折格子10を有する液晶表示装置であって、前記回折格子は、前記導光板から見て前記液晶表示パネルとは反対の方向に、前記導光板よりも屈折率が低い低屈折率層11を介して配置されており、かつ、前記光源から前記導光板に入射した光のうちの強度が最も高い主成分の光の伝播方向と平行な主断面で見たときに、前記赤色系の光、前記緑色系の光、および前記青色系の光のすべての光の−1次回折光の回折方向が、当該回折格子の垂線方向よりも前記光源側に傾くように配置されている液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、バックライトユニットを有するカラー液晶表示装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置には、液晶表示パネルの後方に配置したバックライトユニットからの光の透過率を制御することで映像や画像を提示するものがある。このバックライトユニットの構成は、直下型とエッジライト型(導光板方式と呼ぶこともある。)とに大別される。
【0003】
エッジライト型のバックライトユニットは、導光板の端部に1個乃至数個の光源を配置した構成になっており、光源が発した光を当該導光板により面状光線に変換して液晶表示パネルに照射する。このエッジライト型のバックライトユニットは、直下型に比べて薄型化、軽量化が容易である。また、エッジライト型のバックライトユニットは、直下型に比べて光源の数を少なくできるので、低消費電力化や、発熱量(動作時の温度上昇)を抑えることも容易である。そのため、エッジライト型のバックライトユニットを有する液晶表示装置は、たとえば、携帯電話端末やデジタルカメラなどの携帯型電子機器の液晶モニタ(表示デバイス)に多く用いられている。
【0004】
ところで、携帯型電子機器の液晶モニタは、RGB方式などのカラー表示に対応しているものが多い。RGB方式のカラー表示に対応した液晶モニタにおける1つの画素は、たとえば、赤色系の光の輝度を制御する第1のサブ画素、緑色系の光の輝度を制御する第2のサブ画素、および青色系の光の輝度を制御する第3のサブ画素の3つのサブ画素からなり、当該3つのサブ画素の輝度の組み合わせにより画素の色を制御する。
【0005】
このとき、第1のサブ画素には、バックライトユニットからの光(白色光)のうちの赤色系の光のみが透過する赤色フィルタが設けられる。また、第2のサブ画素には、バックライトユニットからの光(白色光)のうちの緑色系の光のみが透過する緑色フィルタが設けられる。また、第3のサブ画素には、バックライトユニットからの光(白色光)のうちの青色系の光のみが透過する青色フィルタが設けられる。
【0006】
このような従来のカラー液晶表示装置では、たとえば、第1のサブ画素に入射した光(白色光)のうちの赤色系の光のみが透過し、緑色系の光および青色系の光は吸収または反射される。これは第2のサブ画素および第3のサブ画素についても同様で、第2のサブ画素では赤色系の光および青色系の光が吸収または反射され、第3のサブ画素では赤色系の光および緑色系の光が吸収または反射される。すなわち、従来のカラー液晶表示装置におけるそれぞれのサブ画素は、入射した白色光の中から所望の波長域の光のみを通過(出射)させるので、バックライトユニットからの光の利用効率が低いという問題があった。
【0007】
バックライトユニットを有するカラー液晶表示装置における上記の問題を解決する方法として、たとえば、バックライトユニットと液晶表示パネルの間に、透過型回折格子とレンズアレイを配置する方法が提案されている(たとえば、特許文献1を参照。)。このような液晶表示装置では、バックライトユニットからの白色光を、前記透過型回折格子により赤色系の光、緑色系の光、および青色系の光に分離し、前記レンズアレイにより赤色系の光を第1のサブ画素に導き、緑色系の光を第2のサブ画素に導き、青色系の光を第3のサブ画素に導く。そのため、たとえば、従来の液晶表示装置において第2のサブ画素や第3のサブ画素で吸収されていた赤色系の光を第1のサブ画素に導くことができ、バックライトユニットからの光の利用効率を高められると考えられる。
【0008】
前記特許文献1、および以下の説明で挙げる特許文献2は、それぞれ、下記の通りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−62692号公報
【特許文献2】米国特許2002/0075427号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、バックライトユニットからの光の利用効率を高めるために当該バックライトユニットと液晶表示パネルの間に配置する透過型回折格子について、本願発明者らが回折効率を計算したところ、以下のようなことがわかった。
【0011】
まず、一般的な透過型回折格子では、液晶表示装置で必要とされる波長領域(すなわち可視光領域)のすべてで回折効率が高くなることはなく、少なくともどこかの波長領域で回折効率が小さくなることがわかった。そのため、透過型回折格子を利用する従来のカラー液晶表示装置では、たとえば、赤色系の光と緑色系の光の回折効率(利用効率)は高くなるが、青色系の光の回折効率(利用効率)は小さいというような問題が生じる。
【0012】
また、格子定数などを最適化することで波長領域毎の回折効率の差が小さくなるようにした透過型回折格子では、全体的に回折効率が小さくなってしまうことがわかった。そのため、液晶表示装置全体でみた光の利用効率はそれほど向上しないという問題が生じる。
【0013】
すなわち、透過型回折格子を用いた従来の液晶表示装置では、バックライトユニットからの白色光について、可視光領域のすべての波長領域で利用効率を向上させることが難しいという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、バックライトユニットを有する液晶表示装置における光源光の利用効率を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概略を説明すれば、以下の通りである。
【0017】
赤色系の光のみが通過する第1のサブ画素、緑色系の光のみが通過する第2のサブ画素、および青色系の光のみが通過する第3のサブ画素を有する画素がマトリクス状に配置された表示領域を有する液晶表示パネルと、当該液晶表示パネルに照射する面状光線を生成するバックライトユニットとを有し、前記バックライトユニットは、複数の光源と、当該光源が発した光を面状光線に変換する導光板と、当該光源が発した光を赤色系の光、緑色系の光、および青色系の光に分離する回折格子を有し、前記液晶表示パネルは、前記赤色系の光を前記第1のサブ画素に導き、前記緑色系の光を前記第2のサブ画素に導き、前記青色系の光を前記第3のサブ画素に導く集光部材を有する液晶表示装置であって、前記回折格子は、前記導光板から見て前記液晶表示パネルとは反対の方向に、前記導光板よりも屈折率が低い低屈折率層を介して配置されており、かつ、前記光源から前記導光板に入射した光のうちの強度が最も高い主成分の光の伝播方向と平行な主断面で見たときに、前記赤色系の光、前記緑色系の光、および前記青色系の光のすべての光の−1次回折光の回折方向が、当該回折格子の垂線方向よりも前記光源側に傾くように配置されている液晶表示装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明の液晶表示装置によれば、回折格子により白色光を赤色系の光、緑色系の光、および青色系の光に分離したときのそれぞれの光の回折効率を向上させることができるので、光源が発した光の利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の一般的な液晶表示装置における画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。
【図2】図1のA−A’線の位置における断面構成の一例を示す模式断面図である。
【図3(a)】透過型回折格子およびレンズアレイを有する液晶表示装置の断面構成の一例を示す模式断面図である。
【図3(b)】緑色系の光が集光される様子を示す模式断面図である。
【図3(c)】赤色系の光が集光される様子を示す模式断面図である。
【図3(d)】青色系の光が集光される様子を示す模式断面図である。
【図4】図3(a)に示した構成の液晶表示装置における透過型回折格子の回折効率の波長依存性の一例を示すグラフ図である。
【図5】本発明による実施例1の液晶表示装置における主要部分の断面構成の一例を示す模式断面図である。
【図6】実施例1の液晶表示装置における主要部分の平面構成の一例を示す模式平面図である。
【図7】回折格子への入射角と回折光の出射角度との関係を説明するための模式断面図である。
【図8】0次回折光と−1次回折光の光路を示す模式断面図である。
【図9】−1次回折光におけるTM偏光およびTE偏光の回折効率の波長依存性を示すグラフ図である。
【図10】実施例1のバックライトユニットにおける回折格子の格子定数と回折効率との関係の波長依存性の一例を示すグラフ図である。
【図11】実施例1のバックライトユニットにおける回折格子のブレーズ角度と回折格子との関係の波長依存性の一例を示すグラフ図である。
【図12】比較例1のバックライトユニットにおける回折効率の波長依存性を示すグラフ図である。
【図13】本発明による実施例2の液晶表示装置における主要部分の断面構成の一例を示す模式断面図である。
【図14】実施例2のバックライトユニットにおける光の波長と回折効率の関係の屈折率依存性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
図1および図2は、従来の一般的な液晶表示装置における画素の概略構成の一例および動作原理を説明するための模式図である。
図1は、従来の一般的な液晶表示装置における画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。図2は、図1のA−A’線の位置における断面構成の一例を示す模式断面図である。
【0022】
本発明は、エッジライト型のバックライトユニットを有するカラー液晶表示装置において、当該バックライトユニットの光源が発した光の利用効率を高めることを目的としている。そこでまず、RGB方式のカラー表示に対応した従来の液晶表示装置を例に挙げ、その概略構成および動作原理、ならびにその問題点について簡単に説明する。
【0023】
RGB方式のカラー表示に対応した液晶表示装置は、たとえば、図1および図2に示すように、赤色フィルタFRを有する第1のサブ画素、緑色フィルタFGを有する第2のサブ画素、および青色フィルタFBを有する第3のサブ画素からなる画素がマトリクス状に配置された表示領域を有する液晶表示パネル1と、当該液晶表示パネル1に照射する面状光線を生成するバックライトユニット2とを有する。
【0024】
なお、赤色フィルタFRは、赤色系の光のみが通過し、緑色系の光および青色系の光は吸収(または反射)する波長フィルタである。また、緑色フィルタFGは、緑色系の光のみが通過し、赤色系の光および青色系の光は吸収(または反射)する波長フィルタである。また、青色フィルタFBは、青色系の光のみが通過し、赤色系の光および緑色系の光は吸収(または反射)する波長フィルタである。
【0025】
本発明に関わる液晶表示装置におけるバックライトユニット2は、前述のようにエッジライト型であり、液晶表示パネル1の後方に配置された導光板と、当該導光板の端部に配置された1個または2個以上の白色光源とを有する。この白色光源が発した光は、導光板に入射し、当該導光板により面状光線に変換されて液晶表示パネル1側に出射する。
【0026】
バックライトユニット2から液晶表示パネル1側に出射する光3wは、通常白色光であり、プリズムシートなどの光学シートにより、液晶表示パネル1への入射角が概ね0°になるように調整されている。そのため、第1のサブ画素、第2のサブ画素、および第3のサブ画素には、それぞれ、白色光3wが入射する。以下、このような構成のバックライトユニット2を有する液晶表示装置を、従来例1の液晶表示装置と呼ぶ。
【0027】
しかしながら、第1のサブ画素には赤色フィルタFRがあるので、第1のサブ画素を通過する光は白色光3wのうちの赤色系の光3rのみである。また、第2のサブ画素には緑色フィルタFGがあるので、第2のサブ画素を通過する光は白色光3wのうちの緑色系の光3gのみである。また、第3のサブ画素には青色フィルタFBがあるので、第3のサブ画素を通過する光は白色光3wのうちの青色系の光3bのみである。
【0028】
すなわち、従来例1の液晶表示装置におけるそれぞれのサブ画素は、入射した白色光3wの中から所望の波長域の光のみを通過(出射)させるので、光源が発した光の利用効率が低い。
【0029】
従来例1の液晶表示装置における光の利用効率を高める方法としては、たとえば、バックライトユニット2と液晶表示パネル1の間に、透過型回折格子とレンズアレイを配置する方法が提案されている。
【0030】
図3(a)乃至図3(d)および図4は、透過型回折格子およびレンズアレイを有する液晶表示装置の概略構成の一例および動作原理ならびに問題点の一例を説明するためのグラフ図である。
図3(a)は、透過型回折格子およびレンズアレイを有する液晶表示装置の断面構成の一例を示す模式断面図である。図3(b)は、緑色系の光が集光される様子を示す模式断面図である。図3(c)は、赤色系の光が集光される様子を示す模式断面図である。図3(d)は、青色系の光が集光される様子を示す模式断面図である。
図4は、図3(a)に示した構成の液晶表示装置における透過型回折格子の回折効率の波長依存性の一例を示すグラフ図である。
【0031】
バックライトユニット2と液晶表示パネル1の間に透過型回折格子とレンズアレイを配置した液晶表示装置(以下、従来例2の液晶表示装置と呼ぶ。)は、たとえば、図3(a)に示すように、バックライトユニット2と液晶表示パネル1の間に透過型回折格子4が配置されており、液晶表示パネル1の第1の基板5と第1の偏光板6との間にレンズアレイ(複数のシリンドリカルレンズ7)が配置されている。このシリンドリカルレンズ7は、曲率方向が1つの画素において第1のサブ画素、第2のサブ画素、および第3のサブ画素が並んでいる方向(x方向)と平行であり、当該曲率方向の幅が画素のx方向の寸法と概ね等しい。また、バックライトユニット2は、従来例1の液晶表示装置のものとは異なり、液晶表示パネル1への入射角が75°から85°になる白色光3wが出射する。
【0032】
このとき、バックライトユニット2から出射した白色光3wは、透過型回折格子4により、赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系3bの光に分離される。分離された赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bは、回折方向が異なる。そのため、透過型回折格子4の格子定数やブレーズ角度によりそれぞれの色の光の回折方向を調整するとともに、シリンドリカルレンズ7で焦点位置を調整することにより、赤色系の光3rを第1のサブ画素に導き、緑色系の光3gを第2のサブ画素に導き、青色系の光3bを第3のサブ画素に導くことができる。
【0033】
透過型回折格子4により分離された緑色系の光3gの回折方向が、図3(a)に示したように液晶表示パネル1(第1の偏光板6)の入射面に対して垂直である場合、当該緑色系の光3gは、シリンドリカルレンズ7により、たとえば、図3(b)に示したように、緑色フィルタFGを有する第2のサブ画素に集光される。すなわち、従来例2の液晶表示装置は、従来例1の液晶表示装置において赤色フィルタFRおよび青色フィルタFBで吸収(または反射)されていた緑色系の光3gを、緑色フィルタFGを有する第2のサブ画素に導くことができるので、緑色系の光3gの利用効率が向上すると考えられる。なお、図3(b)に示した断面図は、それぞれ、基板や液晶層の厚さの関係が実際の液晶表示パネル1における関係と異なる。そのため、図3(b)では、第2のサブ画素に集光される緑色系の光3gの拡がり角が大きくなっているが、実際の液晶表示パネル1における拡がり角は、たとえば、43度程度である。
【0034】
また、透過型回折格子4により分離された緑色系の光3gの回折方向が、図3(a)に示したように液晶表示パネル1(第1の偏光板6)の入射面に対して垂直である場合、当該回折格子4により分離された赤色系の光3rの回折方向と、青色系の光3bの回折方向は、緑色系の光3gの回折方向を挟んで互いに反対の方向に傾く。このとき、透過型回折格子4により分離された赤色系の光3rは、シリンドリカルレンズ7により、たとえば、図3(c)に示したように、赤色フィルタFRを有する第1のサブ画素に集光される。またこのとき、透過型回折格子4により分離された青色系の光3bは、シリンドリカルレンズ7により、たとえば、図3(d)に示したように、青色フィルタFBを有する第3のサブ画素に集光される。したがって、従来例2の液晶表示装置は、赤色系の光3rおよび青色系の光3bの利用効率も向上すると考えられる。なお、図3(c)および図3(d)に示した断面図は、それぞれ、基板や液晶層の厚さの関係が実際の液晶表示パネル1における関係と異なる。そのため、図3(c)では、第1のサブ画素に集光される赤色系の光3rの拡がり角が大きくなっているが、実際の液晶表示パネル1における拡がり角は、たとえば、41度程度である。また、図3(d)では、第3のサブ画素に集光される青色系の光3bの拡がり角が大きくなっているが、実際の液晶表示パネル1における拡がり角は、たとえば、41度程度である。
【0035】
以上のようなことから、従来例2の液晶表示装置は、従来例1の液晶表示装置に比べて、光源が発した光の利用効率が向上すると考えられる。
【0036】
しかしながら、従来例2の液晶表示装置で用いる透過型回折格子4について、回折効率の波長依存性を調べると、たとえば、図4に示すような結果が得られる。なお、図4は、横軸が透過型回折格子4に入射する光の波長λ(nm)、縦軸が回折効率DE(%)のグラフである。また、図4は、格子定数dが550nm、ブレーズ角度θBが42.3度、屈折率nが1.5の透過型回折格子4のモデルに、波長λの光を入射させたときの回折効率DEを計算した結果を示している。またこのとき、透過型回折格子4への光の入射角度は76度にし、緑色系の光3gの回折方向が当該回折格子の垂線方向(液晶表示パネル1への入射角が0度になる方向)になるようにしている。
【0037】
図4からわかるように、透過型回折格子4を用いた場合、TM偏光の回折効率DEは、可視波長の全域において10%以下である。また、TE偏光の回折効率DEは、緑色系の光3gでは約20%であるものの、赤色系の光3rおよび青色系の光3bでは10%程度である。
【0038】
すなわち、従来例2の液晶表示装置のように、回折格子を用いて白色光3wを波長領域毎の光に分離し、当該分離した光を対応するサブ画素に集光させても、回折格子の回折効率DEが低いので、液晶表示装置全体で考えると、光源が発した光の利用効率はそれほど向上しない。
【0039】
しかしながら、回折格子を用いて白色光3wを波長領域毎の光に分離し、当該分離した光を対応するサブ画素に集光させる方法は、回折効率を向上させることができれば、光源が発した光の利用効率の向上に対して有効である。そこで、本発明では、回折格子の回折効率を向上させる方法を提案する。
【実施例1】
【0040】
図5および図6は、本発明による実施例1の液晶表示装置の概略構成の一例および動作原理を説明するための模式図である。
図5は、本発明による実施例1の液晶表示装置における主要部分の断面構成の一例を示す模式断面図である。図6は、実施例1の液晶表示装置における主要部分の平面構成の一例を示す模式平面図である。
なお、図5に示した断面図は、図6に示したx軸方向と平行であり、かつ、y軸方向を法線方向とする断面で見た図である。以下、図5に示した断面を主断面と呼ぶ。
【0041】
実施例1の液晶表示装置は、エッジライト型(導光板方式)のバックライトユニットと、液晶表示パネル1とを有する。このとき、バックライトユニットは、たとえば、図5および図6に示すように、複数の光源8、導光板9、回折格子10、低屈折率層11、およびプリズムシート12を有する。またこのとき、液晶表示パネル1は、たとえば、図5および図6に示すように、第1の基板5、第2の基板13、液晶層14、第1の偏光板6、第2の偏光板15、レンチキュラレンズ(複数のシリンドリカルレンズ7)、および拡散シート16を有する。
【0042】
バックライトユニットは、光源8が発した光を導光板9により面状光線に変換して液晶表示パネル1に照射する照明装置であり、複数の光源8は、導光板9の端部に配置されている。実施例1では、複数の光源8の配置位置の一例として、図6に示したように、導光板9の短辺の1つに沿って配置されている場合を挙げる。このとき、光源8が発した光のうちの強度が最も高い主成分の光の伝播方向は、導光板9の長辺方向(x方向)と概ね平行になる。
【0043】
光源8は、白色光3wが得られるものであればよいが、赤(R)、緑(G)、および青(B)の波長領域が分離され、それぞれのスペクトル幅が狭いものが望ましい。実施例1では、光源8の一例として、R,G,Bの波長領域にピーク波長を持つ個別の発光ダイオード(LED)を挙げる。このとき、光源8は、赤色系の光3rを発するLEDチップ、緑色系の光3gを発するLEDチップ、および青色系の光3bを発するLEDチップの3つを1つのパッケージに実装したLEDパッケージを用いることが望ましいが、これに限らず、各色毎に独立したLEDパッケージになっているものでもよい。なお、光源8は、発光ダイオードに限らず、R,G,Bの波長領域に発光のピークを持つ3波長蛍光体を用いた蛍光管であってもよい。
【0044】
導光板9は、従来のエッジライト型のバックライトユニットに用いられているものと同じものでよく、実施例1では、屈折率が1.64のポリエステルでなる導光板を用いる。また、導光板9は、液晶表示パネル1と対向する面(以下、第1の主面と呼ぶ。)とは反対側の面(以下、第2の主面と呼ぶ。)にV溝9vが設けられている。
【0045】
回折格子10は、導光板9から見て液晶表示パネル1とは反対の方向に配置されており、導光板9と回折格子10との間には、導光板9よりも屈折率が低い低屈折率層11が介在している。また、実施例1の液晶表示装置における回折格子10は、反射型であり、複数の回折素子10aと、当該複数の回折素子10aを一体的に固定する基材10bと、回折素子10aと低屈折率層11との間に介在する反射層10cとを有する。複数の回折素子10aは、導光板9の長辺方向(x方向)、すなわち光源8から導光板9に取り込まれた光のうちの主成分の光の伝播方向に並んでおり、各回折素子10aの稜線は、導光板9の短辺方向(y方向)に延びている。反射層10cは、可視波長の範囲で反射率が高いことが望ましく、たとえば、銀やアルミニウムの薄膜を用いることが望ましい。実施例1の液晶表示装置(バックライトユニット)では、回折格子10として、フィルム状の基材10b上に樹脂を用いて複数の回折素子10aを形成してのこぎり波状の格子形状を設け、その上の反射層10cとしてアルミニウム膜を成膜したものを用いる。
【0046】
また、低屈折率層11には、導光板9よりも屈折率が低く、空気よりも屈折率が高い材料を用いる。実施例1では、導光板9と反射層10cとの間に、屈折率が1.26のポーラスシリカでなる低屈折率層11を設けた。ポーラスシリカは、微細なシリカ粒子の間に空孔を含むことで屈折率を小さくしたもので、シリカ粒子と空孔との比率により屈折率を調整することができる。実施例1のバックライトユニットでは、上記のようなフィルム状の回折格子10を、低屈折率層11を介して導光板9に貼り付けている。
【0047】
プリズムシート12は、導光板9と液晶表示パネル1との間に配置する。このとき、複数のプリズムは、導光板9の長辺方向(x方向)、すなわち光源8から導光板9に取り込まれた光のうちの主成分の光の伝播方向に並んでおり、各プリズムの稜線は、導光板9の短辺方向(y方向)に延びている。
【0048】
一方、液晶表示パネル1は、RGB方式のカラー表示に対応しており、1つの画素が、たとえば、図6に示したように、赤色フィルタFRを有する第1のサブ画素、緑色フィルタFGを有する第2のサブ画素、および青色フィルタFBを有する第3のサブ画素の3つのサブ画素からなる。またこのとき、1つの画素を構成する3つのサブ画素は、導光板9の長辺方向(x方向)、すなわち光源8から導光板9に取り込まれた光のうちの主成分の光の伝播方向に並んでいる。
【0049】
第1の基板5は、TFT基板またはアクティブマトリクス基板などと呼ばれる基板であり、ガラス基板などの絶縁基板の表面に、走査信号線、映像信号線、TFT素子、および画素電極などを有する薄膜積層体が形成されている。第2の基板13は、対向基板またはCF基板などと呼ばれている基板であり、ガラス基板などの絶縁基板の表面に、赤色フィルタFR、緑色フィルタFG、および青色フィルタFBなどを有する薄膜積層体が形成されている。
【0050】
実施例1の液晶表示装置における第1の基板5、第2の基板13、液晶層14、第1の偏光板6、および第2の偏光板15の構成の組み合わせは、たとえば、従来の液晶表示パネルにおける組み合わせのいずれかであればよいので、これらの構成例に関する具体的な説明は省略する。
【0051】
レンチキュラレンズは、液晶層14よりもバックライトユニット(導光板9)側に配置されている第1の基板5と第1の偏光板6との間に配置する。このレンチキュラレンズは、導光板9の長辺方向(x方向)、すなわち光源8から導光板9に取り込まれた光のうちの主成分の光の伝播方向に並んだ複数のシリンドリカルレンズ7からなる。このとき、各シリンドリカルレンズ7は、曲率方向が導光板9の長辺方向と概ね平行であり、軸方向が導光板9の短辺方向と概ね平行である。またこのとき、各シリンドリカルレンズ7の幅(曲率方向の寸法)は、1つの画素のx方向の寸法と概ね等しい。このレンチキュラレンズの構成や形成方法については、すでに周知であるので、構成例や形成方法などに関する具体的な説明は省略する。
【0052】
実施例1の液晶表示装置では、以下のような方法で光源8が発した光(白色光3w)を面状光線に変換し、液晶表示パネル1に照射する。
【0053】
まず、光源8が発した光を導光板9に取り込む。このとき導光板9に取り込まれた光は、白色光3wであり、第1の主面および第2の主面で全反射をしながら伝播する。このとき、導光板9の第2の主面にV溝9vを設けておくと、当該V溝9vに入射した白色光3wの一部あるいは全部が屈折して低屈折率層11に出射する。
【0054】
導光板9から低屈折率層11に出射した白色光3wは、回折格子10(反射層10c)で反射し、赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bに分離する。このとき、回折格子10は、たとえば、図5に示したように、主断面で見たときの赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bの−1次回折光の回折方向が、導光板9(回折格子10)の垂線方向9pよりも光源8側に傾くようにする。このような回折格子10の具体的な構成例については、後述する。
【0055】
回折格子10により分離された赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bは、それぞれ、図5に示したような光路で低屈折率層11、導光板9、およびプリズムシート12を通過し、液晶表示パネル1に入射する。
【0056】
液晶表示パネル1に入射した光、言い換えると第1の偏光板6を通過した赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bは、それぞれ、レンチキュラレンズ(シリンドリカルレンズ7)により第1のサブ画素、第2のサブ画素、および第3のサブ画素に集光される。
【0057】
このように、実施例1の液晶表示装置は、反射型の回折格子10を用いて、光源8からの白色光3wを、導光板9から液晶表示パネル1に向けて出射させる前に分離する点が、特許文献1などに開示された方法(導光板9から液晶表示パネル1に向けて出射した白色光3wを分離する方法)とは大きく異なる。
【0058】
なお、実施例1の液晶表示装置のように、反射型の回折格子10を用いて、光源8からの白色光3wを、導光板9から液晶表示パネル1に向けて出射させる前に分離するバックライトユニットの構成は、たとえば、特許文献2に従来技術として挙げられている。しかしながら、当該従来技術に関する文献および特許文献2には、反射型回折格子の具体的な構成、特に、実施例1のように赤色系の光、緑色系の光、および青色系の光の−1次回折光が回折格子の垂線方向よりも光源側に傾くようにする構成に関する記載は見られない。また、当該従来技術に関する文献および特許文献2には、反射型回折格子における回折効率に関する記載も見られない。そのため、実施例1のように赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bの−1次回折光が回折格子10の垂線方向9pよりも光源8側に傾くようにするための回折格子10の構成および回折効率について本願発明者らが独自に調べたところ、以下のようなことがわかった。
【0059】
図7乃至図9は、実施例1のバックライトユニットにおける回折格子の構成例および作用効果を説明するための模式図である。
図7は、回折格子への入射角と回折光の出射角度との関係を説明するための模式断面図である。図8は、0次回折光と−1次回折光の光路を示す模式断面図である。図9は、−1次回折光におけるTM偏光およびTE偏光の回折効率の波長依存性を示すグラフ図である。
【0060】
光源8が発した光3は、入射角ψで導光板9に入射した後、当該導光板9の第1の主面および第2の主面で全反射をしながら伝播する。この導光板9を伝播する光3が、第2の主面に設けられたV溝9vの傾斜面に入射すると、その一部または全部が屈折し、低屈折率層11に出射する。
【0061】
導光板9から低屈折率層11に出射する光3は、導光板9の表面に近い角度で出射されるため、低屈折率層11を通って回折格子10に入射する光3の入射角度は90°に近く、拡がり角も小さい。このように、回折格子10への入射角度は拡がりが小さく、概ね60°から90°の範囲にある。また、輝度ピークは入射角度が75°の付近にあり、概ね70°から80°の範囲にある。また、回折格子10への入射角度の拡がりは、V溝9vの傾斜角度αに依存しており、傾斜角度αを小さくすると回折格子10への入射角度の拡がりを小さくすることができる。こうして、回折格子10に入射する光3の入射角度の拡がりを小さくすると、回折格子10の反射層10cで反射した光3は回折し、色毎(波長毎)に異なる角度に分離することができる。このとき、波長の長い赤色系の光3rのほうが回折角度が大きくなり、波長の短い青色系の光3bに比べて光源8により近く回折される。
【0062】
さて、低屈折率層11の屈折率をn1、回折格子10の格子定数をd、低屈折率層11に出射した光3の波長をλ、当該光3の反射層10cへの入射角をi、回折次数をmとすると、m次回折光の回折角度θ1は、下記数式1で表される。
【0063】
【数1】

【0064】
このとき、入射角度iを正にとることにすると、回折格子10(導光板9)の垂線9pに対して光源8側に回折される回折光の回折角度θ1は負になる。
【0065】
次に、低屈折率層11と導光板9との界面(第2の主面)、および導光板9と空気層の界面(第1の主面)においてスネルの法則を用いると、回折角度θ1で回折した光3が導光板9の第1の主面から液晶表示パネル1側に出射するときの出射角度θ3は、sin(θ3)=n1・sin(θ1)であるため、回折格子10への入射角度iとの間に、下記数式2で表される関係を有する。
【0066】
【数2】

【0067】
実施例1の液晶表示装置では、前述のように、−1次回折光を液晶表示パネル1側に出射させる。すなわち、実施例1の液晶表示装置では、たとえば、図8に示すように、−1次回折光は液晶表示パネル1側に出射させ、0次回折光は導光板9に戻し、当該導光板9を伝播させる。そのためには、可視波長範囲において、下記数式3の関係を満たすようにする必要がある。なお、図8において、回折格子10(反射層10c)で反射した後の光の光路は、二点差線で示した光路が0次回折光の光路であり、実線で示した光路が−1次回折光の光路である。
【0068】
【数3】

【0069】
0次回折光の回折角度は、入射角度iと同じであるため、低屈折率層11と導光板9との界面(第2の主面)、あるいは導光板9と空気層との界面(第1の主面)で反射し、再びほぼ同じ入射角度で回折格子10に入射して再度回折される。一方、生じる回折次数がさらに多くなり0次と−1次以外の回折次数が生じると、所望の回折次数以外の回折光が、所定の角度とは異なる角度で導光板9から出射されたり、0次光とは異なる角度で回折格子10に入射するようになり、光利用効率が低下する。そのため、回折次数は少ないことが望ましく、光源8の主要な波長範囲、さらに望ましくは可視波長範囲において0次と−1次のみが生じるように回折格子10の格子定数dを定めることが望ましい。可視波長は、一般的には380nmから780nmとされる場合が多いが、人によって見える範囲に差があり、400nm以上としても差し支えない。また、バックライトユニットに用いられる光源8は、通常、420nm以下の光は少なく、420nm以上としても実用的に問題ない。そのため、波長400nm以上の光の回折次数が0次と−1次のみとなるようにするには、数式3から、格子定数dと屈折率n1の積n1dが400nm以下となるようにすればよい。また、波長420nm以上の光の回折次数が0次と−1次のみとなるようにするためには、数式3から、格子定数と屈折率の積n1dが420nm以下となるようにすればよい。
【0070】
以上のようなことから、格子定数と屈折率の積n1dが370nm、回折素子10aのブレーズ角度θBが32°のノコギリ歯状の回折格子10(エシェレット回折格子)における−1次回折光の回折効率の波長依存性の計算したところ、図9に示すような結果が得られた。なお、図9は、横軸が光の波長λ(nm)、縦軸が回折効率DE(%)のグラフ図である。
【0071】
また、図9のグラフ図には、上記の回折格子10における反射層10cとしてアルミニウム膜を用い、低屈折率層11として屈折率n1が1.26の材料を用い、回折格子10の格子定数dを294nmとした場合の結果を示している。
【0072】
図9からわかるように、上記の条件を満たす反射型の回折格子10を用いた場合、波長400nmから700nmまでの範囲では、TM偏光の回折効率DEが高く、かつ、波長依存性も小さくほぼ一定の回折効率が得られている。一方、この波長域におけるTE偏光の−1次の回折効率DEは小さく、この場合、80%以上が0次回折光として回折格子10で正反射する。0次回折光は、再び低屈折率層11および導光板9を伝播し、回折格子10に再度入射して再利用される。なお、0次回折光は、TE偏光が多くなるので、導光板9あるいは低屈折率層11を伝播する途中で偏光を解消し、TM偏光の成分を増やして再び回折格子10に入射させることが望ましい。
【0073】
このように、実施例1の液晶表示装置においては、バックライトユニットからTM偏光に強く偏光した光3r,3g,3bが出射される。そのため、第1の偏光板6は、このTM偏光の光3r,3g,3bをより多く透過するようにすることが望ましい。したがって、第1の偏光板6は、透過軸がTM偏光の方向に近くなるように、すなわち導光板9の長辺方向(x方向)と平行に近くなるように配置することが望ましい。このとき、第1の偏光板6の透過軸は、具体的には、導光板9の長辺方向(x方向)となす角度が0°以上15°以下の範囲にあるようにすることが望ましい。特に、10°以下とすると第1の偏光板6を透過する光量が増加するためさらに望ましい。
【0074】
上記のような条件を満たす実施例1のバックライトユニットについて、主断面と概ね平行に伝播する光の、導光板9からの出射角度θ3を数式2より求めた結果、赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bの出射角度θ3は、それぞれ、表1に示したような値になった。このように、実施例1のバックライトユニットでは、RGBすべてで導光板9からの出射角度θ3が負になっており、導光板9の垂線9pよりも光源8側に斜めに出射されていることが分かる。
【0075】
【表1】

【0076】
このように、導光板9の垂線9pに対して斜めに出射される場合、回折格子10に対してTM偏光となる偏光は、導光板9の界面(第1の主面および第2の主面)に対してはP偏光となる。P偏光はS偏光に比べて界面での反射率が小さいため、TM偏光を効率良く導光板9の外に取り出すことができる。そのため、TM偏光を用いることにより、導光板9の界面での反射を低減し、液晶表示パネル1に照射される光量を向上する効果もある。さらにP偏光の反射率を小さくするように導光板9の表面に反射防止層あるいは反射防止構造を設けることも、光量の増加に有効である。
【0077】
また、実施例1では、赤色系、緑色系、および青色系のすべての光が導光板9から光源8側に傾いて出射されるため、プリズムシート12を設けて緑色系の光3gが液晶表示パネル1に垂直に近く入射するようにした。また、実施例1では、屈折率1.6のプリズム材料を用いてプリズムシート12を形成しているので、波長530nmの緑色系の光3gが液晶表示パネル1にほぼ垂直に入射するように、プリズムシート12の底角βを49.9°とした。表1に示したθPは、このプリズムシート12からの出射角度である。このように、緑色系の光3gは垂直に近い入射角でレンチキュラレンズ(シリンドリカルレンズ7)に入射し、青色系の光3bは光源8とは反対側の角度、赤色系の光3rは光源8側の角度を持ってレンチキュラレンズに入射して、液晶層14の付近において色ごとに異なる位置(サブ画素)に集光される。
【0078】
なお、それぞれの色の光の集光位置は、たとえば、レンチキュラレンズとサブ画素の開口領域との相対位置をずらすことによっても調整することができる。つまり、レンチキュラレンズ(シリンドリカルレンズ7)とサブ画素の開口領域との相対位置を調整することにより、たとえば、液晶表示パネル1に対して斜めに入射した緑色系の光3gを、緑色フィルタFGを有する第2のサブ画素に集光させることもできるので、この場合にはプリズムシート12は必ずしも用いなくてもよい。また、プリズムシート12を設けなくても、従来技術のように、液晶表示パネル1にサブ画素ごとにプリズム、レンズあるいはフレネルレンズなどを設け、これにより光の出射方向を調整することもできる。
【0079】
次に、反射型の回折格子10における格子定数dと回折効率DEとの関係について説明する。
【0080】
図10は、実施例1のバックライトユニットにおける回折格子の格子定数と回折効率との関係の波長依存性の一例を示すグラフ図である。
なお、図10は、横軸が格子定数と屈折率の積n1d(nm)、縦軸が回折効率DE(%)のグラフ図である。また、図10には、赤色系の光3rに対する格子定数dと回折効率DEとの関係、緑色系の光3gに対する格子定数dと回折効率DEとの関係、および青色系の光3bに対する格子定数dと回折効率DEとの関係を示している。なお、赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bは、それぞれ、代表的な波長である650nm、550nm、および450nmにしている。また、ブレーズ角度θBは、広い波長範囲で回折効率が高くなる32°とした。
【0081】
図10からわかるように、低屈折率層11の屈折率n1を一定とした場合、格子定数dを大きくすると短波長側で回折効率DEが低下し、格子定数dを小さくすると長波長側で回折効率DEが低下する。また、図10によると、格子定数と屈折率の積n1dを345nm以上、420nm以下とすれば、各波長の光3r,3g,3bの回折効率が60%以上となり、従来例2の液晶表示装置に比べて回折効率DE、言い換えると光源8が発した光の利用効率が非常に高くなる。また、図10によると、格子定数と屈折率の積n1dを350nm以上、410nm以下とすれば各波長の光3r,3g,3bの回折効率が70%以上となり、光源8が発した光の利用効率がさらに高くなる。またさらに、格子定数と屈折率の積n1dを360nm以上、380nm以下とすれば、赤色系の光3rおよび青色系の光3bの回折効率も高くなるので、可視波長の範囲における回折効率、言い換えると光源8が発した光の利用効率を高くするためには、格子定数と屈折率の積n1dを370nm程度とすることが特に望ましい。
【0082】
ところで、格子定数と屈折率の積n1dを380nm以下とすると、波長380nm以上の可視波長の光はすべて光源8側に回折され、導光板9から光源8側に傾いて出射される。また、積n1dを420nm以下とすると、波長420nm以上の光は光源8側に回折される。したがって、光源8に含まれる実質的な可視波長範囲の光が光源8側に傾いて出射されるように格子定数dを定めることで、可視波長の光の回折効率を高くする格子定数dの条件を満たすことができる。つまり、青色系の光3bの波長領域における輝度ピークが光源8側に傾いて出射される場合に、実質的な可視波長での回折効率が高くなるといえる。輝度ピークの出射方向が、導光板9の垂線9pに対して1°、悪くても5°傾いていれば測定可能であり、有意に光源8方向に傾いていると判断できる。
【0083】
また、導光板9と低屈折率層11との屈折率の差が小さいと、光源8から導光板9に入射した光の中に、導光板9と低屈折率層11との界面で全反射せず、V溝9vに至る前に低屈折率層11に出射する光が生じる。そのため、バックライトユニットの光利用効率を高くし、また面内の輝度分布を均一にするためには、光源8から導光板9に入射した光が導光板9と低屈折率層11との界面のうちのV溝9vを除く部分では全反射するように、導光板9と低屈折率層11の屈折率を定めることが望ましい。つまり、光源8からの光を導光板9に効率良く閉じ込めるためには、導光板9の屈折率n2は大きいことが望ましく、低屈折率層11の屈折率n1は小さいことが望ましい。特に、導光板9の屈折率n2と低屈折率層11の屈折率n1との関係が、下記数式4を満たすようにすると、V溝9v以外の部分では導光板9に入射した光をすべて低屈折率層11との界面で全反射させることができ、望ましい。
【0084】
【数4】

【0085】
実施例1で挙げた導光板9の屈折率n2および低屈折率層11の屈折率n1は、それぞれ、n2=1.64およびn1=1.26であり、n22−n12=1.1であるため、数式4を満たしている。
【0086】
一方、n22−n12<1の場合には、光源8から導光板9への入射角度をψとし、ψcを下記数式5で定義すると、ψ>ψcの角度で、導光板9に入射した光の中に、低屈折率層11へ出射される光が生じる。
【0087】
【数5】

【0088】
ただし、ランバーシンアンに近い出射分布を持つ発光ダイオードのように、通常の光源8では、70°以上の光量は小さく、光源8から70°以上の角度で出射した光の中に低屈折率層11へ出射する光が含まれていても回折効率への影響はほとんどない。そのため、実施例1の液晶表示装置では、導光板9の屈折率n2と低屈折率層11の屈折率n1との関係を、下記数式6で表される条件を満たすようにしても、光源8が発した光の利用効率はほとんど変わらない。
【0089】
【数6】

【0090】
またさらに、光源8が発光ダイオードの場合、光源8から60°以上の角度で出射した光の中に低屈折率層11へ出射する光が含まれていても回折効率への影響はほとんどない。そのため、実施例1の液晶表示装置では、導光板9の屈折率n2と低屈折率層11の屈折率n1との関係を、下記数式7で表される条件を満たすようにしても、光源8が発した光の利用効率はほとんど変わらない。
【0091】
【数7】

【0092】
次に、回折格子10のブレーズ角度θBと回折効率DEとの関係について説明する。
【0093】
図11は、実施例1のバックライトユニットにおける回折格子のブレーズ角度と回折効率との関係の波長依存性の一例を示すグラフ図である。
なお、図11は、横軸がブレーズ角度θB、縦軸が回折効率DE(%)のグラフ図である。また、図11には、格子定数dと屈折率n1の積n1dを370nmとしたときの赤色系の光3rに対するブレーズ角度と回折効率との関係、および青色系の光3gに対するブレーズ角度と回折効率との関係を示している。なお、赤色系の光3rおよび青色系の光3bは、それぞれ、代表的な波長である650nmおよび450nmにしている。
【0094】
図11からわかるように、ブレーズ角度θBを小さくしていくと、短波長(450nm)側、長波長(650nm)側とも回折効率DEが低下する。そのため、ブレーズ角度θBは、25°以上が望ましい。回折効率はブレーズ角度θBに対して対称となるため、ブレーズ角度θBは、25°以上、65°以下とすることが望ましい。また、格子定数と屈折率の積n1dは、前述のように、345nm以上420nm以下であることが望ましく、特に、360nm以上380nm以下が望ましい。そのため、上記のブレーズ角度θBとして望ましい範囲と、積n1dとして望ましい範囲とを考慮すると、たとえば、格子溝の深さ(回折素子10aの高さ)と低屈折率層11の屈折率n1との積は、160nm以上、420nm以下とすることが望ましく、特に、168nm以上、380nm以下とすることが望ましい。
【0095】
このように、実施例1のバックライトユニットで用いる回折格子10は、格子定数dが波長λに比べて小さいので、格子溝深さが同じであれば回折効率DEに与える格子溝の形状の影響は小さい。そのため、実施例1のバックライトユニットで用いる反射型の回折格子10は、エシェレット型の格子形状とは異なる正弦波状の形状やバイナリ形状としても、図9に示した例と同程度まで回折効率DEを高くすることができる。このとき格子溝の深さは、エシェレット型の格子と同程度にする必要があり、エシュレット回折格子と同様に、160nm以上420nm以下とすることが望ましく、168nm以上380nm以下がさらに望ましい。
【0096】
(比較例1)
実施例1のバックライトユニットのように、導光板9から見て液晶表示パネル1とは反対側に反射型の回折格子10を配置する場合、たとえば、格子定数dと低屈折率層11の屈折率n1の積n1dを変えることで、−1次回折光の回折方向を変えることができる。そして、実施例1のバックライトユニットでは、その積n1dの値を370nm程度にすることで、赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bの−1次回折光の回折方向が、導光板9の垂線9pよりも光源8側に傾くようにしている。
【0097】
このようにすることの効果を、別の観点から説明するために、比較例1として、緑色系の−1次回折光の回折方向が導光板9の垂線9pと概ね平行になるようにした回折格子10を挙げる。なお、比較例1においても、低屈折率層11には屈折率1.26のポーラスシリカを用い、導光板9には屈折率1.64のポリエステルを用いている。また、比較例1では、緑色系の−1次回折光の回折方向が導光板9の垂線9pと概ね平行になるように、格子定数dを428.6nm(n1d=540nm)とした。このとき、導光板9から液晶表示パネル1側に出射する赤色系(λ=630nm)の−1次回折光、緑色系(λ=530nm)の−1次回折光、および青色系(λ=460nm)の−1次回折光の出射角度θ3は、それぞれ、下記の表2に示すような角度になる。
【0098】
【表2】

【0099】
表2からもわかるように、緑色系の−1次回折光の回折方向が導光板9の垂線9pと概ね平行(θ3=-1.5°)になるようにした場合、青色系の−1次回折光の回折方向は光源8とは反対側に傾く。また、実施例1のバックライトユニットでは、表1に示したように赤色系(λ=630nm)の−1次回折光と青色系(λ=460nm)の−1次回折光との角度差が52.9°であったのに対し、比較例1のバックライトユニットでは22.9°と小さくなっている。すなわち、実施例1のバックライトユニットでは、従来例2よりも格子定数dの小さな回折格子10を用いることで、波長の分離角度を大きくすることができている。このように分離角度を大きくすることができると、たとえば、焦点距離の短いレンチキュラレンズ(シリンドリカルレンズ)を用いても同じ距離だけ離れた位置に各波長の光を分離して集光できる。そのため、実施例1の液晶表示装置は、たとえば、第1の基板5を薄くすることができ、その結果として液晶表示装置を薄くすることができる。また、画素サイズの大きな場合においても、第1の基板5を厚くすることなく各波長の光に分離して集光できる。
【0100】
図12は、比較例1のバックライトユニットにおける回折効率の波長依存性を示すグラフ図である。
なお、図12は、横軸が光の波長λ(nm)、縦軸が回折効率DE(%)のグラフ図である。
【0101】
図12からわかるように、比較例1のバックライトユニットにおけるTM偏光の回折効率DEは、短波長側で小さくなっており、赤色系の光3rに比べて緑色系の光3gおよび青色系の光3bの回折効率DEが低く、特に青色系の光3b(λ=450nm)の回折効率DEが非常に小さくなっている。このような比較例1のバックライトユニットを有する液晶表示装置において、第1の偏光板6の透過軸の方向を回折格子10で回折したTM偏光の方向に合わせると、赤色だけが強くなり、青色は非常に暗くなってしまう。そのため、比較例1のバックライトユニットを有する液晶表示装置では、TM偏光ではなく、回折効率の波長依存性が小さい(色による特性の差が小さい)TE偏光を用いる必要がある。しかしながら、TE偏光は、回折効率DEが約20%と小さく、さらに、導光板9の界面(第1の主面および第2の主面)に対してS偏光となるので出射される際に導光板9の界面での反射率が大きくなり、光量が小さくなる。このことからも、実施例1のバックライトユニット(回折格子10)の構成は、光源8が発した光の利用効率を向上させるための構成として非常に好ましいことがわかる。
【0102】
以上説明したように、実施例1の液晶表示装置は、回折効率の波長依存性が小さく、かつ、回折効率の高いTM偏光をバックライトユニット2から液晶表示パネル1に向けて出射させることができるので、光源8が発した光の利用効率を向上させることができる。
【実施例2】
【0103】
図13は、本発明による実施例2の液晶表示装置における主要部分の断面構成の一例を示す模式断面図である。
なお、図13は、図7と同様に主断面で見たバックライトユニットの断面構成を示している。
【0104】
実施例2の液晶表示装置の構成は、基本的には実施例1の液晶表示装置の構成と同じである。実施例2の液晶表示装置において実施例1と異なる点は、導光板9と低屈折率層11の屈折率の組み合わせ、および回折格子10の構成である。そのため、実施例2では、実施例1と異なる点と、作用効果のみを説明する。
【0105】
実施例2の液晶表示装置(バックライトユニット)では、低屈折率層11の材料として、屈折率1.34のフッ素化樹脂を用いた。また、導光板9には、屈折率1.6のポリカーボネート(PC)を用いた。このような組み合わせにした場合、実施例1と同様に回折格子10の格子定数dと低屈折率層11の屈折率n1の積n1dを370nmにするには、格子定数dを276.1nmにすればよい。
【0106】
また、実施例2のバックライトユニットでは、n22−n12=0.76であり、数式7を満たしている。ただし、n22−n12が1よりも小さいため、光源8から導光板9に入射した光は、V溝9vに当たる前に低屈折率層11に出射しやすくなる。そのため、実施例2のバックライトユニットでは、たとえば、図13に示すように、導光板9の光源8から近い位置に、光源8側から光の進行方向に向かって厚くなる傾斜面(テーパ)9tを設けた。この傾斜面9tで反射した光は、この部分が平坦な場合に比べて第1の主面および第2の主面への入射角が大きくなるので、導光板9と低屈折率層11に入射する際の入射角度が実施例1の場合に比べて大きくなる。そのため、導光板9と低屈折率層11との界面で全反射する光量が増加し、屈折して低屈折率層11に出射する光量を低減することができる。なお、図13では、傾斜面9tで導光板9の厚さを増加させ、低屈折率層11を設ける位置において導光板9に段差を設けているが、この段差は設けなくてもよく、傾斜面9t以外のところに低屈折率層11を設けてもよい。また、低屈折率層11を用いて傾斜面9tを形成してもよい。またさらに、傾斜面9tに反射膜を設けてもよい。
【0107】
実施例2のバックライトユニットについて、主断面と概ね平行に伝播する光が導光板9から出射するときの出射角度θ3を数式2より求めた結果、赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bの出射角度θ3は、それぞれ、表3に示したような値になった。また、表3に示したθPは、導光板9と液晶表示パネル1との間に配置されたプリズムシート12からの出射角度であり、表3に示した出射角度θ3で導光板9を出射した光が、屈折率1.6のプリズム材料を用いて形成され、かつ、底角βが50.3度のプリズムシート12を通過したときの出射角度である。
【0108】
【表3】

【0109】
図14は、実施例2のバックライトユニットにおける光の波長と回折効率の関係の屈折率依存性を示すグラフ図である。
なお、図14は、横軸が光の波長λ(nm)、縦軸が回折効率DE(%)のグラフ図である。また、図14には、導光板の屈折率n2を1.6、ndを370nmに固定し、低屈折率層の屈折率n1を1.0にした場合、1.26にした場合、および1.34にした場合の波長と回折効率との関係を示している。また、回折格子のブレーズ角度θBは、実施例1と同じ32°にした。
【0110】
図14からわかるように、低屈折率層11の屈折率n1を1.34にした場合(実施例2の場合)の回折効率DEは、1.26にした場合(実施例1の場合)や1.0にした場合(空気と同程度にした場合)にくらべて若干低下するが、回折効率DEの高い波長域はほとんど変化せず、波長400nmから700nmの範囲で回折効率DEが70%以上となっている。特に、実施例2の屈折率n1=1.34における回折効率DEは、実施例1の屈折率n1=1.26の場合との差が小さく、実施例1と同等の回折効率を実現できているといえる。
【0111】
実施例1と実施例2を比較すると、図14からわかるように、低屈折率層11の屈折率n1は小さいことが望ましいといえる。また、表1と表3を比較すると、青色系(λ=460nm)の回折光と赤色系(λ=630nm)の回折光の分離角度の差は、実施例1のバックライトユニットでは52.9°であり、実施例2のバックライトユニットでは53.0°である。そのため、低屈折率層11の屈折率n1が大きいほうがRGB波長の分離角度が大きくなることが分かる。一方、低屈折率層11の屈折率n1が小さいと、導光板9と低屈折率層11との界面で導光板9への光閉じ込め効果が大きくなり、効率よく導光板9内に光を伝播させることができる。
【0112】
また、低屈折率層11の屈折率n1を小さくすると、導光板9の屈折率n2を小さくしても数式4、数式6または数式7を満たすことできるので、導光板9の材料としてポリカーボネート、PMMA、環状ポリマーなどを用いることができる。また、たとえば、数式7を満たすようすれば、導光板9から低屈折率層11に直接出射する光量は小さく問題はない。そのため、たとえば、数式7を満たす低屈折率層11を用いる場合には、適用できる低屈折率層11の材料の選択範囲が広くなり、低屈折率層11として光損失のより小さい材料を用いることができるようになる。
【0113】
しかしながら、低屈折率層11の屈折率n1が小さく空気の屈折率に近くなると、回折格子10に当たらず導光板9の空気との界面から直接取り出される光が生じるようになる。そのため、導光板9の空気側の界面から直接光が取り出されないようにするためには、低屈折率層11の材料として、たとえば、下記数式8を満たすようなものを選ぶことが望ましい。
【0114】
【数8】

【0115】
以上説明したように、実施例2の液晶表示装置によれば、光源8が発した光の利用効率を向上させることができる。
【0116】
また、実施例2の液晶表示装置は、導光板9と低屈折率層11の材料の組み合わせの自由度を高くすることができる。
【0117】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【0118】
たとえば、本明細書では、エッジライト方式のバックライトユニットの構成の一例として、図6に示したように導光板9の短辺の1つに沿って複数の光源8を配置した構成を挙げた。しかしながら、本発明は、これに限らず、導光板9の長辺の1つに沿って複数の光源8を配置した構成のバックライトユニットであってもよいことはもちろんである。
【0119】
また、実施例1および実施例2では、反射型の回折格子10により白色光を赤色系の光3r、緑色系の光3g、および青色系の光3bの3種類の光に分離する例を挙げた。しかしながら、本発明は、これに限らず、たとえば、4種類以上の光に分離してもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0120】
1 液晶表示パネル
2 バックライトユニット
3 光
3w 白色光
3r 赤色系の光
3g 緑色系の光
3b 青色系の光
4 透過型回折格子
5 第1の基板
6 第1の偏光板
7 シリンドリカルレンズ
8 光源
9 導光板
9v V溝
9t 傾斜面
10 (反射型の)回折格子
10a 回折素子
10b 基材
10c 反射層
11 低屈折率層
12 プリズムシート
13 第2の基板
14 液晶層
15 第2の偏光板
16 拡散シート
FR 赤色フィルタ
FG 緑色フィルタ
FB 青色フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色系の光のみが通過する第1のサブ画素、緑色系の光のみが通過する第2のサブ画素、および青色系の光のみが通過する第3のサブ画素を有する画素がマトリクス状に配置された表示領域を有する液晶表示パネルと、当該液晶表示パネルに照射する面状光線を生成するバックライトユニットとを有し、
前記バックライトユニットは、複数の光源と、当該光源が発した光を面状光線に変換する導光板と、当該光源が発した光を赤色系の光、緑色系の光、および青色系の光に分離する回折格子を有し、
前記液晶表示パネルは、前記赤色系の光を前記第1のサブ画素に導き、前記緑色系の光を前記第2のサブ画素に導き、前記青色系の光を前記第3のサブ画素に導く集光部材を有する液晶表示装置であって、
前記回折格子は、前記導光板から見て前記液晶表示パネルとは反対の方向に、前記導光板よりも屈折率が低い低屈折率層を介して配置されており、かつ、
前記光源から前記導光板に入射した光のうちの強度が最も高い主成分の光の伝播方向と平行な主断面で見たときに、前記赤色系の光、前記緑色系の光、および前記青色系の光のすべての光の−1次回折光の回折方向が、当該回折格子の垂線方向よりも前記光源側に傾くように配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記低屈折率層の屈折率と前記回折格子の格子定数との積が、345nm以上、420nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記低屈折率層の屈折率は、空気の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記バックライトユニットは、前記導光板と前記液晶表示パネルとの間に配置されるプリズムシートを有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記プリズムシートは、前記主断面で見たときの、前記緑色系の前記−1次回折光の前記液晶表示パネルへの入射角を概ね0°にするプリズム面を有することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記回折格子の格子溝の深さと前記低屈折率層の屈折率との積が、160nm以上、420nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記低屈折率層の屈折率をn1、前記導光板の屈折率をn2としたときに、n22−n12≧0.75の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記液晶表示パネルは、液晶層を挟んで配置された一対の偏光板を有し、
当該一対の偏光板のうちの、前記バックライトユニットと前記液晶層との間に配置される偏光板は、その透過軸方向が、前記導光板内での前記主成分の光の伝播方向と概ね平行になるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図3(d)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−154078(P2011−154078A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13972(P2010−13972)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】