説明

液晶表示装置

【課題】 液晶表示装置では、表示品位の低下を抑制することができる。
【解決手段】 本発明に係る液晶表示装置は、第1基板21と、第1基板21に対向配置された第2基板22と、第1基板21と第2基板22との間に配置された液晶層23と、第2基板22上に設けられた第1表示用電極225と、第1表示用電極225を覆うように第2基板22上に設けられた絶縁膜226と、絶縁膜226を介して第1表示用電極225上に配置され、第1表示用電極225との間で電界を形成して画素Pを構成するための第2表示用電極227とを備えており、第2表示用電極227は、第1直線部227aと、第1直線部227bに対して傾斜している第2直線部227bと、第1直線部227aと第2直線部227bとを接続している屈曲部227cとを有しており、屈曲部227cの形成領域における絶縁膜226の厚みは、第1直線部227aおよび第2直線部227bの形成領域における絶縁膜226の厚みに比べて小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、デジタルカメラ、携帯ゲーム機あるいは携帯型情報端末などの様々な用途に用いられる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、互いに対向配置させた一対の基板と、これら基板間に設けられた液晶層と、一対の基板のうち一方の基板上に設けられた共通電極と、この共通電極上に絶縁膜を介して設けられた複数の信号電極とを備える。
【0003】
このような液晶表示装置では、一方の基板上に設けられた信号電極および共通電極に対して電圧を印加すると、信号電極と共通電極との間で横電界を発生させ、この横電界によって液晶層中の液晶分子の配向を制御することで、広視野角化を実現できる。
【0004】
近年では、液晶表示装置に対してさらなる広視野角化が求められている。さらなる広視野角化を実現させるために、信号電極を屈曲させ、画素を複数の領域に分割することで、それぞれの領域での液晶分子の配向を変えるマルチドメイン技術がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007―316535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近、液晶表示装置はタッチパネルなどと組み合わせて使用される場合が多く、これによって液晶表示装置が押圧される頻度が高くなっている。
【0007】
液晶分子の配向を電圧で制御している状態で液晶表示装置に押圧が加わると、ディスクリネーションと呼ばれる液晶分子の配向が乱れた領域が広がり、押圧がなくなっても配向が元に戻らない、もしくは戻るまで時間がかかる現象が発生する。そのため、押圧した部分の形跡が残り、表示品位が低下する。この配向の乱れは液晶分子への電圧制御を解除することで解消させることができる。
【0008】
しかしながら、電圧による制御が維持されれば、押圧によって回転した液晶分子は、信号電極における屈曲部、直線部の端部または直線部同士を連結する連結部で電位障壁を越えられず、元の状態に戻れないため、ディスクリネーションが消えず、例えばノーマリーブラックの場合は画素の透過率が低下(ノーマリーホワイトの場合は上昇)してしまう問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、押圧力が加わったときの液晶分子の配向の乱れを低減することで、表示品位の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液晶表示装置は、透光性を有する第1基板と、該第1基板に対向配置された透光性を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と、前記第2基板上に設けられた第1表示用電極と、前記第1表示用電極を覆うように前記第2基板上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記第1表示用電極上に配置され
、前記第1表示用電極との間で電界を形成して画素を構成するための第2表示用電極とを備えており、前記第2表示用電極は、第1直線部と、該第1直線部に対して傾斜している第2直線部と、前記第1直線部と前記第2直線部とを接続している屈曲部とを有しており、該屈曲部の形成領域における前記絶縁膜の厚みは、前記第1直線部および前記第2直線部の形成領域における前記絶縁膜の厚みに比べて小さい、または大きいことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る液晶表示装置は、透光性を有する第1基板と、該第1基板に対向配置された透光性を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と、前記第2基板上に設けられた第1表示用電極と、前記第1表示用電極を覆うように前記第2基板上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記第1表示用電極上に配置され、前記第1表示用電極との間で電界を形成して画素を構成するための第2表示用電極とを備えており、前記第2表示用電極は、第1直線部を有しており、前記第1直線部の端部の形成領域における前記絶縁膜の厚みは、前記第1直線部の線状部の形成領域における前記絶縁膜の厚みに比べて小さい、または大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液晶表示装置は、押圧力が加わったときの液晶分子の配向の乱れを低減することで、表示品位の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態における液晶表示装置を示す平面図である。
【図2】図1のI−I線に沿った断面図である。
【図3】画素における第2基板の電極を示す平面図である。
【図4】図3のII−II線の断面図である。
【図5】図3のIII−III線の断面図である。
【図6】図3のIV−IV線の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における液晶表示装置を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における液晶表示装置を示す図であり、図3のII−II線に対応した断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における液晶表示装置を示す図であり、図3のIII−III線に対応した断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における液晶表示装置を示す図であり、図3のIV−IV線の断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態における液晶表示装置を示す断面図である。
【図12】本発明の変形例の要部を示す図である。
【図13】本発明の変形例の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態1]
本発明の第1の実施形態における液晶表示装置1について、図1〜図6を参照しながら説明する。
【0015】
液晶表示装置1は、複数の画素Pからなる表示領域Eを有する液晶パネル2と、液晶パネル2の表示領域Eに向けて光を出射する光源装置3と、液晶パネル2上に配置される第1偏光板4と、液晶パネル2と光源装置3との間に配置される第2偏光板5とを備えている。
【0016】
液晶パネル2では、第1基板21と第2基板22とが対向配置され、第1基板21と第2基板22との間に液晶層23が設けられているとともに、この液晶層23を取り囲むように第1基板
21と第2基板22とを接合するシール材24が設けられている。
【0017】
第1基板21は、画像表示の際に表示面として用いられる外側主面としての第1主面21aと、第1主面21aとは反対側に位置する内側主面としての第2主面21bとを有している。第1基板21は、例えばガラス、プラスチックなどの透光性を有する材料によって形成される。
【0018】
第1基板21の第2主面21b上には、遮光膜、カラーフィルタ211などが設けられている。
【0019】
遮光膜は、第1基板21の第2主面21b上に各画素Pの外周に沿って格子状に設けられている。遮光膜の材料は、遮光性の高い色(例えば黒色)の染料あるいは顔料(例えば、カーボンもしくはカーボンを樹脂で被覆した樹脂カーボン)が添加された樹脂、またはクロム、酸化クロムなどの金属が挙げられる。
【0020】
カラーフィルタ211は、可視光のうち特定の波長の光のみを透過させる機能を有する。複数のカラーフィルタ211は、第1基板21の第2主面21b上に位置しており、各画素Pごとに設けられている。各カラーフィルタ211は、赤、緑および青のいずれかの色を有している。また、カラーフィルタ211は、上記の色に限られず、例えば、黄色、白などの色を有してもよい。カラーフィルタ211の材料としては、例えば染料あるいは顔料を添加した樹脂が挙げられる。
【0021】
第2基板22は、第1基板21の第2主面21bに対向する内側主面としての第1主面22aと、第1主面22aの反対側に位置する外側主面としての第2主面22bとを有している。第2基板22は第1基板21と同様の材料で形成できる。
【0022】
表示領域Eにおける第2基板22の第1主面22a上には、複数のゲート配線221が設けられている。この複数のゲート配線221を覆うようにゲート絶縁膜222が設けられている。また、このゲート絶縁膜222上には、複数のソース配線223が設けられている。また、複数のソース配線223上には、平坦化膜224が設けられている。この平坦化膜224上には第1表示用電極として共通電極225が設けられている。また、この共通電極225を覆うように平坦化膜224上に絶縁膜として層間絶縁膜226が設けられており、層間絶縁膜226上には第2表示用電極として信号電極227が設けられている。
【0023】
ゲート配線221は、ドライバから供給される電圧を薄膜トランジスタTFTに印加する機能を有する。図3に示すように、ゲート配線221は、第2基板22の第1主面22a上にX方向に延在している。また、複数のゲート配線221はY方向に沿って配列されている。ゲート配線221は、導電性を有する材料によって形成され、例えば、アルミニウム、モリブデン、チタン、ネオジム、クロム、銅またはこれらを含む合金によって形成される。
【0024】
なお、ゲート配線221は例えば下記方法によって形成される。
【0025】
まず、スパッタリング法、蒸着法、または化学気相成長法によって、金属材料を第2基板22の第1主面22a上に金属膜として形成する。この金属膜の表面に対して感光性樹脂を塗布し、塗布した感光性樹脂に対して露光処理および現像処理を行なうことで、感光性樹脂に所望の形状のパターンを形成する。次いで、金属膜を薬液でエッチングして、金属膜を所望の形状にした後、塗布した感光性樹脂を剥離する。このように、金属材料を成膜およびパターニングすることでゲート配線221を形成できる。
【0026】
ゲート絶縁膜222はゲート配線221を覆うように第1主面22a上に設けられている。ゲー
ト絶縁膜222は、窒化珪素、酸化珪素などの絶縁性を有する材料によって形成される。なお、ゲート絶縁膜222は、上記のスパッタリング法、蒸着法、または化学気相成長法などによって第2基板22の第1主面22a上に形成できる。
【0027】
ソース配線223は、ドライバから供給される信号電圧を薄膜トランジスタTFTを介して信号電極227に印加する機能を有する。図3に示すように、ソース配線223は、ゲート配線221が配列する方向(Y方向)に沿って延在しているとともに、屈曲している。また、複数のソース配線223は、ゲート配線221の延在方向(X方向)に沿って配列されている。ソース配線223はゲート配線221と同様の材料で形成してもよい。ソース配線223はゲート配線221と同様の方法によって形成できる。
【0028】
薄膜トランジスタTFTでは、ゲート配線221を介して半導体層に印加される電圧に応じてソース電極およびドレイン電極間の半導体層の抵抗が変化することで、信号電極227への画像信号の書き込みもしくは非書き込みが制御される。
【0029】
平坦化膜224は、ソース配線223と共通電極225とを電気的に絶縁するとともに、第2基板22の第1主面22a上を平坦化させる機能を有する。平坦化膜224は絶縁性材料によって形成され、絶縁材料としては例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂もしくはポリイミド系樹脂などの有機材料または無機材料が挙げられる。
【0030】
共通電極225は、ドライバから印加された電圧によって信号電極227との間で電界を発生させる機能を有する。共通電極225は平坦化膜224上に設けられている。共通電極225は透光性および導電性を有する材料によって形成され、例えばITO、IZO、ATO、AZO、酸化錫、酸化亜鉛または導電性高分子によって形成される。
【0031】
層間絶縁膜226は、共通電極225と信号電極227とを電気的に絶縁する機能を有する。層間絶縁膜226は共通電極225を覆うように設けられている。層間絶縁膜226はゲート絶縁膜222と同様の材料で形成してもよい。また、本実施形態では、後述するように、層間絶縁膜226の膜厚が均一ではなく部分的に薄くなっている。なお、例えばハーフトーンマスクを使用すれば、工程の追加などの製造上の負荷を増大させることなく、層間絶縁膜226における所望の領域の膜厚だけを変化させることができる。
【0032】
信号電極227は、ドライバから印加された電圧によって共通電極225との間で電界を発生させる機能を有する。複数の信号電極227は、共通電極225と重なるように層間絶縁膜226上に設けられている。信号電極227は共通電極225と同様の材料で形成してもよい。
【0033】
図3に示すように、信号電極227は、第1直線部227aと、第2直線部227bと、屈曲部227cと、連結部227dとを有している。
【0034】
第1直線部227aは、直線状の部分であり、ゲート配線221の配列方向(Y方向)に対して傾斜して延在している。また、複数の第1直線部227aは、一定距離を空けてゲート配線221の延在方向(X方向)に沿って配列している。また、各画素Pにおいて複数の第1直線部227aの端部は連結部227dによって連結されている。
【0035】
第2直線部227bは、直線状の部分であり、ゲート配線221の配列方向(Y方向)に対して傾斜して延在している。また、第2直線部227bは第1直線部227aに対して傾斜している。また、複数の第2直線部227bは一定距離を空けてゲート配線221の延在方向(X方向)に沿って配列している。また、各画素Pにおいて複数の第2直線部227bの端部は連結部227dによって接続されている。
【0036】
屈曲部227cは第1直線部227aと第2直線部227bとを接続している。屈曲部227cは、ゲート配線221の配列方向(Y方向)での第1直線部227aと第2直線部227bとの間に位置している。
【0037】
図4および図5に示すように、液晶表示装置1では、屈曲部227cの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTは、第1直線部227aの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTおよび第2直線部227bの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTに比べて小さく設定されている。これにより、屈曲部227cの形成領域における液晶層23のギャップが大きくなり、屈曲部227c近傍におけるY方向の電界が弱くなることで、屈曲部227c近傍では液晶分子が回転しやすくなり、押圧力により液晶分子の配向が乱れても配向が戻りやすくなるので、第1直線部227aもしくは第2直線部227b側に広がったディスクリネーションは消滅しやすくなり、例えばノーマリーブラックでは画素Pの透過率の低下を抑制でき、表示品位の低下を抑制できる。
【0038】
また、層間絶縁膜226の厚みTaおよび層間絶縁膜226の厚みTに対する層間絶縁膜226の厚みTの変化量は、例えば10%〜90%の範囲内で設定されている。
【0039】
なお、本実施形態では図3の領域Eにおいて膜厚が薄くなっており、領域EのY方向の大きさは例えば3μm以上に設定されている。
【0040】
また、図5に示すように、X方向に沿った断面において、屈曲部227c近傍での層間絶縁膜226の膜厚Tは漸次小さくなっている。これにより、層間絶縁膜226は、第1直線部227aから屈曲部227cを挟んで第2直線部227bにかけて、その膜厚が急激に小さくならない。すなわち、層間絶縁膜226に傾斜角度の大きな部位が形成されていないので、押圧されることによって屈曲部227c近傍の電極に対し応力が局所的に集中することを低減できる。
【0041】
連結部227dは、直線状の部分であり、ソース配線223の配列方向(X方向)に沿って延在している。また、連結部227dは複数の第1直線部227aの端部を接続しているとともに、複数の第2直線部227bの端部を接続している。
【0042】
液晶表示装置1では、第1直線部227aの端部、第2直線部227bの端部および連結部227dの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTは、第1直線部227aの線状部の形成領域での層間絶縁膜226の厚みTaおよび第2直線部227bの線状部の形成領域での層間絶縁膜226の厚みTに比べて小さく設定されている。これにより、連結部227dの形成領域のおける液晶層のギャップが大きくなり、連結部227d近傍における電界が線状部に比べて弱くなることで、連結部227d近傍では電界による液晶分子の抑制力が弱まり、押圧力により液晶分子の配向が乱れても配向が戻りやすくなるので、第1直線部227aもしくは第2直線部227b側に広がったディスクリネーションは消滅しやすくなり、例えばノーマリーブラックでは画素Pの透過率の低下を抑制でき、表示品位の低下を抑制できる。
【0043】
また、層間絶縁膜226の厚みTおよび層間絶縁膜226の厚みTに対する層間絶縁膜226の厚みTの変化量は、例えば10%〜90%の範囲内で設定されている。
【0044】
なお、本実施形態では図3の領域Eにおいて膜厚が薄くなっており、領域EのY方向での大きさは3μm以上に設定されている。
【0045】
液晶層23は、第1基板21と第2基板22との間に設けられている。液晶層23は、ネマティック液晶、コレステリック液晶、またはスメクティック液晶などの液晶分子を含んでいる。
【0046】
シール材24は、第1基板21と第2基板22とを貼り合わせる機能を有する。シール材24は、平面視して表示領域Eを取り囲むようにして第1基板21と第2基板22との間に設けられている。このシール材24は、エポキシ樹脂などの有機材料によって形成される。
【0047】
光源装置3は、液晶パネル2の表示領域Eに向けて光を出射する機能を有する。光源装置3は、光源31と、導光板32とを有している。なお、本実施形態における光源装置3では、光源31にLEDなどの点光源を採用しているが、冷陰極管などの線光源を採用してもよい。
【0048】
第1偏光板4は、所定の振動方向の光を選択的に透過させる機能を有する。この第1偏光板4は、液晶パネル2の第1基板21の第1主面21aに対向するように配置されている。
【0049】
第2偏光板5は、所定の振動方向の光を選択的に透過させる機能を有する。この第2偏光板5は、第2基板22の第2主面22bに対向するように配置されている。
【0050】
[実施の形態2]
図7は、第2の実施形態における液晶表示装置1Aの要部を示す図である。具体的には、図7は図3のII−II線の断面に対応した図である。
【0051】
液晶表示装置1Aは、液晶表示装置1に比べて、屈曲部227cの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTは、隣り合う屈曲部227c間に位置する領域での層間絶縁膜226の厚みTeに比べて小さい点が異なる。
【0052】
液晶表示装置1Aでも、液晶表示装置1で説明した効果と同様の効果を奏する。
【0053】
[実施の形態3]
図8〜図10は、第3の実施形態における液晶表示装置1Bの要部を示す図である。図8は図3のII-II線の断面に対応した図であり、図9は図3のIII−III線の断面に対応した図であり、図10は図3のIV−IV線の断面に対応した図である。
【0054】
液晶表示装置1Bは、液晶表示装置1に比べて下記の点で異なる。
【0055】
図8および図9に示すように、液晶表示装置1Bでは、屈曲部227cの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTは、第1直線部227aの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTaおよび第2直線部227bの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTに比べて大きく設定されている。
【0056】
これにより、信号電極227の屈曲部227cと共通電極225との間の距離が離れ、屈曲部227c近傍での電界が弱くなることで電位障壁が低下し、液晶分子が回転しやすくなり、押圧力によって液晶分子の配向が乱れても配向が戻りやすくなるので、直線部227a、227b領域に広がったディスクリネーションは消滅しやすくなり、例えばノーマリーブラックでは、画素Pの透過率の低下を抑制でき、表示品位の低下を抑制できる。
【0057】
また、層間絶縁膜226の厚みTおよび層間絶縁膜226の厚みTに対する層間絶縁膜226の厚みTの変化量は例えば10%以上で設定されている。
【0058】
図9に示すように、液晶表示装置1Bでは、X方向に沿った断面において、屈曲部227c近傍での層間絶縁膜226の膜厚Tは漸次大きくなっている。これにより、層間絶縁膜226は、第1直線部227aから屈曲部227cを挟んで第2直線部227bにかけて、その膜厚が急
激に大きくならない。すなわち、層間絶縁膜226に傾斜角度の大きな部位が存在しないので、押圧によって屈曲部227c近傍の電極に対し応力が局所的に集中することを低減できる。
【0059】
また、図10に示すように、連結部227dの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTは厚くなっている。
【0060】
液晶表示装置1Bでは、第1直線部227aの端部、第2直線部227bの端部および連結部227dの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTは、第1直線部227aの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTおよび第2直線部227bの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTに比べて大きく設定されている。これにより、信号電極227の連結部227dと共通電極225との間の距離が離れ、連結部227d近傍での電界が直線部227a,227bの線状部に比べて弱くなることで電位障壁が低下し、連結部227d近傍では電界による液晶分子の抑制力が弱まり、押圧力によって液晶分子の配向が乱れても配向が戻りやすくなるので、直線部227a、227b領域に広がったディスクリネーションは消滅しやすくなり、例えばノーマリーブラックでは、画素Pの透過率の低下を抑制でき、表示品位の低下を抑制できる。
【0061】
また、層間絶縁膜226の厚みTおよび層間絶縁膜226の厚みTに対する層間絶縁膜226の厚みTの変化量は例えば10%以上で設定されている。
【0062】
[実施の形態4]
図11は、第4の実施形態における液晶表示装置1Cの要部を示す断面図である。具体的には、図11は図3のII−II線の断面に対応した図である。
【0063】
液晶表示装置1Cは、液晶表示装置1Bに比べて、屈曲部227cの形成領域での層間絶縁膜226の厚みTは、隣り合う屈曲部227c間の領域での層間絶縁膜226の厚みTeよりも大きい点が異なる。
【0064】
液晶表示装置1Cでも、液晶表示装置1Bで説明した効果と同様の効果を奏する。
【0065】
本発明は上記の実施の形態1〜4に特に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更および改良が可能である。
【0066】
上記実施形態では、信号電極227が第1直線部227aもしくは第2直線部227bの端部で連結部227dで接続されているが、図12に示すように、端部で連結させずに屈曲部227cで連結部227dに連結させてもよい。
【0067】
この場合、図12の領域Eにおいて、屈曲部227cおよび屈曲部227c間の連結部227dでの層間絶縁膜226の膜厚を直線部227a、227bでの層間絶縁膜226の膜厚よりも小さく、もしくは大きくすることで、押圧力に対する耐久性が向上する。
【0068】
また、上記実施形態ではデュアルドメイン方式について説明したが、本発明は、図13に示すようにシングルドメイン方式についても適用できる。
【0069】
この場合、図13の領域Eにおいて、第1直線部227aの端部および連結電極227dでの膜厚を直線部の線状部での層間絶縁膜226の膜厚よりも小さく、または大きくすることで、上記第1もしくは第2実施形態で説明した効果と同様な効果を奏する。
【0070】
上記実施形態では、第1表示用電極を共通電極225とし、第2表示用電極を信号電極227として説明したが、第1表示用電極を信号電極227とし、第2表示用電極を信号電極225と
してもよい。すなわち、この場合、共通電極225は層間絶縁膜226を介して信号電極227上に形成されるとともに、直線部、屈曲部および連結部を有することになる。
【符号の説明】
【0071】
1、1A、1B、1C 液晶表示装置
P 画素
表示領域
21 第1基板
22 第2基板
227 信号電極(第2表示用電極)
227a 第1直線部
227b 第2直線部
227c 屈曲部
227d 連結部
225 共通電極(第1表示用電極)
226 層間絶縁膜(絶縁膜)
23 液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する第1基板と、該第1基板に対向配置された透光性を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と、前記第2基板上に設けられた第1表示用電極と、前記第1表示用電極を覆うように前記第2基板上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記第1表示用電極上に配置され、前記第1表示用電極との間で電界を形成して画素を構成するための第2表示用電極とを備えており、
前記第2表示用電極は、第1直線部と、該第1直線部に対して傾斜している第2直線部と、前記第1直線部と前記第2直線部とを接続している屈曲部とを有しており、
該屈曲部の形成領域における前記絶縁膜の厚みは、前記第1直線部および前記第2直線部の形成領域における前記絶縁膜の厚みに比べて小さいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
透光性を有する第1基板と、該第1基板に対向配置された透光性を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と、前記第2基板上に設けられた第1表示用電極と、前記第1表示用電極を覆うように前記第2基板上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記第1表示用電極上に配置され、前記第1表示用電極との間で電界を形成して画素を構成するための第2表示用電極とを備えており、前記第2表示用電極は、第1直線部を有しており、
前記第1直線部の端部の形成領域における前記絶縁膜の厚みは、前記第1直線部の線状部の形成領域における前記絶縁膜の厚みに比べて小さいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
前記第2表示用電極は、一定方向に配列する複数の前記第1直線部と、前記一定方向に配列する複数の前記第2直線部と、各前記第1直線部と各前記第2直線部とを接続しており、前記一定方向に配列する複数の前記屈曲部とを有し、
前記屈曲部の形成領域における前記絶縁膜の厚みは、隣り合う前記屈曲部間の領域における前記絶縁膜の厚みに比べて小さい請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
透光性を有する第1基板と、該第1基板に対向配置された透光性を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と、前記第2基板上に設けられた第1表示用電極と、前記第1表示用電極を覆うように前記第2基板上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記第1表示用電極上に配置され、前記第1表示用電極との間で電界を形成して画素を構成するための第2表示用電極とを備えており、
前記第2表示用電極は、第1直線部と、該第1直線部に対して傾斜している第2直線部と、前記第1直線部と前記第2直線部とを接続している屈曲部とを有しており、
該屈曲部の形成領域における前記絶縁膜の厚みは、前記第1直線部および前記第2直線部の形成領域における前記絶縁膜の厚みに比べて大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
透光性を有する第1基板と、該第1基板に対向配置された透光性を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と、前記第2基板上に設けられた第1表示用電極と、前記第1表示用電極を覆うように前記第2基板上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜を介して前記第1表示用電極上に配置され、前記第1表示用電極との間で電界を形成して画素を構成するための第2表示用電極とを備えており、前記第2表示用電極は、第1直線部を有しており、
前記第1直線部の端部の形成領域における前記絶縁膜の厚みは、前記第1直線部の線状部の形成領域における前記絶縁膜の厚みに比べて大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
前記第2表示用電極は、一定方向に配列する複数の前記第1直線部と、前記一定方向に配列する複数の前記第2直線部と、各前記第1直線部と各前記第2直線部とを接続しており、前記一定方向に配列する複数の前記屈曲部とを有し、
前記屈曲部の形成領域における前記絶縁膜の厚みは、隣り合う前記屈曲部間の領域におけ
る前記絶縁膜の厚みに比べて大きい請求項4に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−97106(P2013−97106A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238693(P2011−238693)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】