説明

液晶装置、及び電子機器

【課題】低電圧、かつ短時間でOCBモードの初期配向転移を行うことができる、液晶装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】対向配置された第一基板10と第二基板20との間に液晶層50が挟持され、液晶層50の配向状態をスプレイ配向からベンド配向へと転移させて表示を行う液晶装置100である。第一基板10には、画素電極15と、画素電極15に電位差を生じる転移電極61と、その一端側が転移電極61に接続される抵抗加熱部と、が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に液晶テレビジョン等に代表される液晶表示装置の分野においては、近年、動画の画質向上を目的として応答速度の速いOCB(Optical Compensated Bend)モードの液晶表示装置が脚光を浴びている。OCBモードにおいて、初期状態では液晶が2枚の基板間でスプレイ状に開いたスプレイ配向となっており、表示動作時には液晶が弓なりに曲がった状態(ベンド配向)になっている必要がある。すなわち、表示動作時にベンド配向の曲がりの度合いで透過率を変調することで高速応答性を実現している。
【0003】
このようにOCBモードの液晶表示装置の場合、電源遮断時に液晶はスプレイ配向であるため、電源投入時にある閾値電圧以上の電圧を液晶に印加することによって初期のスプレイ配向から表示動作時のベンド配向に液晶の配向状態を転移させる、いわゆる初期転移操作が必要となる。そこで特許文献1には、液晶分子に局所的にツイスト配向させ、このツイスト配向部を転移核として、初期配向転移を促進する技術が開示されている。また、特許文献2には、液晶パネル中の液晶層をバックライト等の加熱手段を用いて加熱することで液晶の粘度を調整し、特に低温時における初期配向転移の促進を図った技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−295756号公報
【特許文献2】特開2002−250909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、転移核の形成に時間を要するため、初期配向転移を完了するまでに時間を要するといった問題がある。また、特許文献2に記載された技術では、例えばパネル外部から加熱手段によって加熱されるため、パネル内部の液晶層を十分に加熱するためには消費電流が大きくなるといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、低電圧、かつ短時間でOCBモードの初期配向転移を行うことができる、液晶装置、及び電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液晶装置は、対向配置された第一基板と第二基板との間に液晶層が挟持され、前記液晶層の配向状態をスプレイ配向からベンド配向へと転移させて表示を行う液晶装置であって、前記第一基板には、画素電極と、該画素電極に対して電位差を生じる転移電極と、その一端側が前記転移電極に接続される抵抗加熱部と、が設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の液晶装置によれば、画素電極と転移電極との間に電界が生じ、初期転移の起点となる転移核を形成することができる。このとき、例えば抵抗加熱部の他端側に接続される部材が転移電極に対して電位差があると、前記抵抗加熱部によりジュール熱が発生し、これに伴って液晶層が加熱されることでその粘度が低下する。
したがって、転移核の形成時に液晶層の粘度を低下させることで液晶層中にディスクリネーションが容易に発生し、このディスクリネーションを転移核として初期転移が周囲に伝播しやすくなるので、OCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことが可能となる。
【0008】
また、上記液晶装置においては、前記抵抗加熱部の他端側に、前記転移電極に対して電位差を有する他の転移電極が接続されるのが好ましい。
このようにすれば、転移電極及び他の転移電極の電位差により、抵抗加熱部に電流が流れ、ジュール熱を確実に発生させることができる。
このとき、前記転移電極及び前記他の転移電極はそれぞれ略櫛歯形状からなり、前記転移電極と前記他の転移電極の櫛歯部が、互いに噛み合わされ且つ該櫛歯部間に前記画素電極を挟むように配置されており、前記画素電極を挟む前記櫛歯部間が前記抵抗加熱部により接続されるのが望ましい。
このようにすれば、転移電極と他の転移電極との間に異なる電圧を印加することで画素電極を挟む櫛歯電極に電位差を生じさせることができる。よって、抵抗加熱部にジュール熱を確実に発生させ、前記電極に挟まれた領域に対応する液晶層の粘度を低下させることができる。したがって、画素領域の広範囲に亘って初期配向転移を促進させることができる。
【0009】
また、上記液晶装置においては、前記抵抗加熱部の抵抗値は、前記転移電極、及び前記他の転移電極の抵抗値よりも高いのが好ましい。
このようにすれば、抵抗加熱部にてジュール熱が良好に発生し、上述したOCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことができる。
【0010】
また、上記液晶装置においては、前記転移電極、及び前記他の転移電極の少なくとも一方に屈曲部が形成されているのが好ましい。
このようにすれば、屈曲部によって転移電極と他の転移電極との間において電界が様々な方向に生じ、これに伴って液晶層中にディスクリネーションが生じさせやすくなり、初期転移の高速性をさらに高めることができる。
【0011】
あるいは、上記液晶装置においては、前記抵抗加熱部の他端には、前記画素電極が接続されていてもよい。
この構成によれば、画素電極及び転移電極との間における電位差により、抵抗加熱部に電流が流れ、画素領域毎にジュール熱を確実に発生させることができる。したがって、画素領域の全域に亘って液晶層を初期配向転移させることができる。
【0012】
また、上記液晶装置においては、前記抵抗加熱部の抵抗値は、前記転移電極、及び前記画素電極の抵抗値よりも高いのが望ましい。
このようにすれば、抵抗加熱部にてジュール熱が良好に発生し、上述したOCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことができるといった効果を得ることができる。
【0013】
また、上記液晶装置においては、前記転移電極、及び前記画素電極の少なくとも一方に屈曲部が形成されているのが好ましい。
このようにすれば、屈曲部によって転移電極と画素電極との間において電界が様々な方向に生じ、これに伴って液晶層中にディスクリネーションが生じさせやすくなり、初期転移の高速性をさらに高めることができる。
【0014】
また、上記液晶装置においては、前記抵抗加熱部と前記液晶層の間には、該液晶層の初期配向方向を規制する配向膜のみが介在しているのが好ましい。
このようにすれば、前記抵抗加熱部と液晶層との間には、配向膜のみが介在した状態となっているので、前記抵抗加熱部に発生した熱によって液晶層を効率的に加熱することができる。
【0015】
本発明の液晶装置は、対向配置された第一基板と第二基板との間に液晶層が挟持され、前記液晶層の配向状態をスプレイ配向からベンド配向へと転移させて表示を行う液晶装置であって、前記第二基板に形成された共通電極上には、誘電体層を介し、前記共通電極との間に電位差を生じる転移電極と、前記転移電極に接続される抵抗加熱部と、が設けられることを特徴とする。
【0016】
本発明の液晶装置によれば、共通電極と転移電極との間に電界を生じさせることで、初期転移の起点となる転移核を形成することができる。このとき、抵抗加熱部は、転移電極及び共通電極に対して電位差があるため、前記転移核の形成時に前記抵抗加熱部によりジュール熱が発生し、これによって液晶層が加熱されて粘度が低下する。したがって、粘度の低下した液晶層中にディスクリネーションを容易に発生させることができ、このディスクリネーションを転移核として初期転移が周囲に伝播しやすくなるので、OCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことが可能となる。
【0017】
また、上記液晶装置においては、前記抵抗加熱部は、前記転移電極、及び前記共通電極に比べ、その抵抗値が高いのが好ましい。
このようにすれば、抵抗加熱部にてジュール熱が良好に発生し、上述したOCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことができるといった効果を得ることができる。
【0018】
本発明の電子機器は、上記の液晶装置を備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明の電子機器によれば、低電圧、かつ短時間でOCBモードの初期配向転移を行うことのできる液晶装置を備えているので、表示品位に優れた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。さらに本明細書では、画像表示の最小単位を「サブ画素」と呼び、各色カラーフィルタを備えた複数のサブ画素の集合を「画素」と呼ぶこととする。
【0021】
図1(a)は本実施形態の液晶装置を示す平面図、図1(b)は図1(a)のH−H´線に沿う断面図である。図2は液晶装置を示す等価回路図、図3はサブ画素領域の平面構成図、図4は複数のサブ画素領域に対応する平面構成図であり、図5(a)は図3のA−A’線に沿う断面図であり、図5(b)は図3のB−B’線に沿う断面図である。図6は液晶分子の配向状態を示す概略図である。
【0022】
本実施形態に係る液晶装置は、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を画素スイッチング素子として用いたTFT方式アクティブマトリクス型の液晶装置である。
【0023】
液晶装置100は、図1に示すように、素子基板(第一基板)10と、素子基板10に対向配置された対向基板(第二基板)20と、素子基板10及び対向基板20に挟持された液晶層50とを備えている。液晶層50としては、誘電率異方性が正の液晶材料を用いた。
【0024】
また、液晶装置100は、素子基板10及び対向基板20をシール材52によって貼り合わせており、液晶層50をシール材52で区画された領域内に封止している。シール材52の内周に沿って周辺見切53が形成されており、周辺見切53で囲まれた平面視(対向基板20側から素子基板10を見た状態)で矩形状の領域を画像表示領域10aとしている。
【0025】
また、液晶装置100は、シール材52の外側領域に設けられたデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路104と、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104と導通する接続端子102と、走査線駆動回路104を接続する配線105とを備えている。
【0026】
液晶装置100の画像表示領域10aには、図2に示すように、複数のサブ画素領域が平面視マトリクス状に配列されている。各々のサブ画素領域に対応して、画素電極15と、画素電極15をスイッチング制御するTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)30とが設けられている。画像表示領域10aにはまた、複数のデータ線6aと走査線3aとが格子状に延びて形成されている。
【0027】
TFT30のソースにデータ線6aが電気的に接続されており、ゲートには走査線3aが電気的に接続されている。TFT30のドレインは画素電極15と電気的に接続されている。データ線6aはデータ線駆動回路101に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号S1、S2、…、Snを各サブ画素領域に供給する。走査線3aは走査線駆動回路104に接続されており、走査線駆動回路104から供給される走査信号G1、G2、…、Gmを各サブ画素領域に供給する。データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号S1〜Snは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路104は、走査線3aに対して、走査信号G1〜Gmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0028】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号G1〜Gmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号S1〜Snが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1〜Snは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された後述する共通電極との間で一定期間保持される。
ここで、保持された画像信号S1〜Snがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量17が接続されている。蓄積容量17は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。
【0029】
次に、液晶装置100の詳細な構成について、図3及び図4を参照して説明する。なお図3において、平面視でほぼ矩形状のサブ画素領域の長軸方向、画素電極15の長軸方向、並びにデータ線6aの延在方向をY軸方向、サブ画素領域の短軸方向や画素電極15の短軸方向、走査線3a及び容量線3bの延在方向をX軸方向と規定している。
【0030】
図3に示すように、各々のサブ画素領域には平面視矩形状の画素電極15が形成されている。画素電極15の辺端のうちY軸方向に延びる長辺に沿ってデータ線6aが延在しており、画素電極15の短辺(X軸方向)に沿って走査線3aが延在している。走査線3aの画素電極15側に、走査線3aと平行に延びる容量線3bが形成されている。また、サブ画素領域の一隅部には、素子基板10と対向基板20との間隔を規制する柱状スペーサ59が立設されている。
【0031】
走査線3a上に、スイッチング素子であるTFT30が形成されている。TFT30は、島状のアモルファスシリコン膜からなる半導体層35と、半導体層35と一部平面的に重なるように配置されたソース電極6b及びドレイン電極32とを備えている。走査線3aは半導体層35と平面的に重なる位置でTFT30のゲート電極として機能する。
【0032】
ソース電極6bは、半導体層35と反対側の端部でデータ線6aと接続されている。ドレイン電極32は半導体層35と反対側の端部で平面視略矩形状の容量電極31と接続されている。容量電極31は容量線3bの平面領域内に配置されており、容量電極31と容量線3bとを電極とする蓄積容量17を構成している。容量電極31の平面領域内に形成された画素コンタクトホール25を介して画素電極15と容量電極31とが電気的に接続されることで、TFT30のドレインと画素電極15とが導通している。
【0033】
また、画素電極15間に第一転移電極(転移電極)60及び第二転移電極(他の転移電極)61が設けられている。これら第一、第二転移電極60,61は、後述するような液晶装置100の初期転移操作時に前記画素電極15との間に電位差を生じ、画素電極15との間に生じた電界により液晶分子にディスクリネーションを発生させ、これによって液晶層50内における初期配向転移を促進させるものである。また、これら第一、第二転移電極60,61の形成材料としては、Al等の金属材料を例示できる。
【0034】
具体的には、第一、第二転移電極60,61は、図4に示すように互いが略櫛歯形状から構成されており、互いの櫛歯部60a,61aを噛み合わせるとともに、この櫛歯部60a,61a間に前記画素電極15を挟むように配置される。なお、各櫛歯部60a、61aの延在方向は、画素電極15の長辺方向(ソース線6aの延在方向)に一致している。
【0035】
そして、前記櫛歯部60a,61aを跨ぎ、かつ走査線3aの延在方向に沿うように抵抗加熱部40が形成されており、この抵抗加熱部40は前記櫛歯部60a,61aを接続している。なお、前記抵抗加熱部40は、平面視した状態で画素電極15の形成領域に重ならない位置に形成されるのが望ましい。これによれば、抵抗加熱部40が開口率を低下させるのを防止できる。
【0036】
本実施形態では、複数のサブ画素領域を跨いだ状態に前記抵抗加熱部40を形成しているが、各サブ画素領域にそれぞれ対応させて形成するようにしてもよい。前記抵抗加熱部40の形成材料としては、前記画素電極15の構成材料と同様にITOを用いた。また、前記抵抗加熱部40は、前記画素電極40に比べて線幅及び膜厚が薄いものから構成されている。すなわち、前記抵抗加熱部40の抵抗は、前記転移電極60,61の抵抗より高いものとなっている。
【0037】
また、液晶装置100の断面構成は、図5(a),(b)に示すように液晶層50を挟持して対向する素子基板10及び対向基板20と、素子基板10の外側(液晶層50と反対側)に配置された位相差板33及び偏光板36と、対向基板20の外側(液晶層50と反対側)に配置された位相差板34及び偏光板37と、偏光板36の外側に設けられて素子基板10の外面側から照明光を照射する照明装置62とを備えて構成されている。前記液晶層50は、OCBモードで動作する構成となっており、液晶装置100の動作時に図6(a)に示すように液晶分子51が概略弓形に配向したベンド配向を呈する。
【0038】
前記素子基板10は、例えばガラスや石英、プラスチックなどの透光性材料で構成された基板本体11を基体として備える。基板本体11の内側(液晶層50側)には、前記走査線3a及び容量線3bと、前記走査線3a及び容量線3bを覆うゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12を介して走査線3aと対向する半導体層35と、半導体層35と接続されたソース電極6b(データ線6a)、及びドレイン電極32と、ドレイン電極32と接続されるとともにゲート絶縁膜12を介して容量線3bと対向する容量電極31とが形成されている。すなわち、TFT30とこれに接続された蓄積容量17とが形成されている(図5(a)、(b)参照)。
【0039】
TFT30を覆って、TFT30等に起因する基板上の凹凸を平坦化する平坦化膜13が形成されている。この平坦化膜13は、シリコン酸化物膜やシリコン窒化物膜等からなる透明絶縁膜である。平坦化膜13上に前記画素電極15、及び第一、第二転移電極60,61が設けられている。
【0040】
また、前記平坦化膜13を貫通して容量電極31に達する画素コンタクトホール25を介して、平坦化膜13上に形成された画素電極15と容量電極31とが電気的に接続されている。画素電極15、及び前記第一、第二転移電極60,61を覆って配向膜18が形成されている。この配向膜18、例えばポリイミドからなるものであり、サブ画素領域の長軸方向(図3に示す矢印R方向)にラビング処理が施されている。
【0041】
対向基板20は、例えばガラスや石英、プラスチックなどの透光性材料で構成され基板本体21を基体として備える。基板本体21の内側(液晶層50側)には、各々のサブ画素領域に対応する色種の色材層からなるカラーフィルタ22と、共通電極23と、配向膜29とが積層形成されている。
【0042】
共通電極23は、ITO等の透明導電材料からなり、複数のサブ画素領域を覆う平面ベタ状に形成されたものである。
【0043】
配向膜29は、例えばポリイミドからなるものであり、共通電極23を覆って形成されている。配向膜29の表面には、配向膜18の配向方向R1と平行な方向(図3に示す矢印R2方向)のラビング処理が施されている。
【0044】
(初期転移操作)
次に、OCBモードの液晶装置100の初期転移操作を図面に基づいて説明する。ここで、図6は、OCBモードの液晶分子の配向状態を示す説明図である。
OCBモードの液晶装置では、表示動作時には、図6(a)に示すように液晶分子51が弓なりに曲がった配向状態(ベンド配向)になっている。そして、液晶装置100は、表示動作時にベンド配向の曲がり度合いで透過率を変調することで、表示動作の高速応答性を実現する構成となっている。一方、その初期状態(非動作時)においては、図6(b)に示すように液晶分子51がスプレイ状に開いた配向状態(スプレイ配向)になっている。
【0045】
OCBモードの液晶装置100の場合、電源遮断時における液晶分子の配向状態が図6(b)に示すスプレイ配向であるため、電源投入時にある閾値以上の電圧を液晶分子51に印加することで、図6(b)に示す初期のスプレイ配向から、図6(a)に示す表示動作時のベンド配向に液晶分子の配向状態を転移させる、いわゆる初期転移操作が必要となる。ここで、初期転移が十分に行われないことで、表示不良や所望の高速応答性が得られないことが発生する。
【0046】
本実施形態の液晶装置100では、素子基板10側に、画素電極15との間にそれぞれ電位差を生じる第一、第二転移電極60、61を備えているので、これら電極15,60,61間に電圧を印加することで、液晶層50の初期転移操作を実施することができる。
【0047】
液晶装置100は液晶パネルの駆動制御を行う制御部を備えており、この制御部は対向基板20側に設けられた共通電極23の電位を制御する共通電極用制御部と、TFT30を介して画素電極15の電位を制御する画素電極用制御部とを含んで構成される。また、前記制御部は、前記第一、第二転移電極60,61の電位を制御する転移電極用制御部を含んでもよく、これによれば転移電極60,61と画素電極15とを互いに独立に電位制御することができるので、初期転移操作時及び画像表示時の双方で詳細な電位制御が可能になる。
【0048】
具体的には、前記制御部から前記第一、第二転移電極60、61には異なる直流電圧が印加され、各転移電極60,61はそれぞれ前記画素電極15に対して電位差を生じる。具体的には、初期状態において、画素電極15の電位が0Vの場合に、前記第一転移電極60の電位を5V、前記第二転移電極61の電位を−5Vとするような電圧をそれぞれ印加する。このとき、各転移電極60,61と前記画素電極15との間に生じる電位差は5Vになるので、各転移電極60,61と画素電極15との間には略同じ強度の電界Eを発生させることができる。この電界は、液晶層50中にディスクリネーションを発生させ、このディスクリネーションを転移核として初期転移が周囲に伝播するようになる。本実施形態では、図3に示したように、第一、第二転移電極60、61の櫛歯部60a,61bが画素電極15の長辺方向に沿って形成されているので、上記電界Eによって、画素電極15の長辺側端部から帯状に初期転移を伝播させることができる。
【0049】
このとき、第一、第二転移電極60、61間に電位差が生じる。すると、前記第一、第二転移電極60,61間を接続する抵抗加熱部40に電流が流れ、これに伴って、ジュール熱が生じることとなる。
【0050】
ところで、液晶装置100において、ディスクリネーション(転移核)の形成時間並びに初期転移の伝播速度(転移核の伝播速度)は、素子基板10及び対向基板20間に保持される液晶層50の粘度に依存する。
【0051】
そこで、本実施形態に係る液晶装置100よれば、画素電極15を挟む櫛歯電極60a,61aを接続する抵抗加熱部40からジュール熱が発生することで、この櫛歯部60a,61aに挟まれた領域に対応する液晶層の粘度を低下させることができる。このように粘度が低下することで、液晶層50中にディスクリネーションを容易に発生させることができ、これによって初期転移の周囲への伝播速度を増加させることができる。
【0052】
また、上述したように、抵抗加熱部40の抵抗は、第一、第二転移電極60,61、及び画素電極15の抵抗よりも高くなっているので、抵抗加熱部40にてジュール熱を良好に発生させることができ、上述したOCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことができる。
【0053】
ところで、前記第一、第二転移電極60,61は、初期配向操作時にのみ駆動されるようになっている。これにより、初期配向転移後は前記抵抗加熱部40間に電流が流れることがないので、液晶分子の配向を乱すことで表示品位を低下させることがない。
【0054】
また、前記抵抗加熱部40と前記液晶層50の間には、配向膜18のみが介在している。これにより、前記抵抗加熱部40に発生した熱によって液晶層50を効率的に加熱することができるようになっている。
【0055】
また、上記電界Eは走査線3aの延在方向に一致しており(図3参照)、電界印加時には液晶分子の初期配向方向(同図中R)と異なる方向に配向できる。
【0056】
なお、本実施形態では、配向膜18,29のラビング方向を画素電極15の長辺方向(データ線6aの延在方向)としたが、かかるラビング方向(液晶の初期配向方向)については、図3に示した方向Rに限定されるものではない。
【0057】
具体的には、初期転移操作時に素子基板10側の転移電極60に電圧を印加する場合、画素電極15と転移電極60との間に生じる電界の向きがラビング方向(初期配向方向)と交差する方向となるように、上記ラビング方向を選択すればよい。したがって、上記関係を満たすのであれば、例えばデータ線6a及び走査線3aの延在方向に対して斜め方向になる方向に設定してもよい。
【0058】
上述したように、本実施形態に係る液晶装置100によれば、画素電極15と第一、第二転移電極60,61との間に電界Eを生じさせることで、初期転移の起点となる転移核を形成することができる。さらに、前記転移核の形成時に前記抵抗加熱部40で発生したジュール熱により液晶層50が加熱されて、その粘度が低下する。したがって、上記電界Eにより液晶層50中にディスクリネーションを容易に発生させることができ、このディスクリネーションを転移核として初期転移が周囲に伝播しやすくなるので、OCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことが可能となる。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、本発明の液晶装置の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図7は本実施形態に係る液晶装置200の概略構成を示す図であり、図7は液晶装置200の平面図であり、この図は上記実施形態における図3に対応するものである。なお、本実施形態の液晶装置200は、第1の実施形態の液晶装置100と同様、TFTアクティブマトリクス方式の透過型液晶装置であり、その特徴とするところは、前記抵抗加熱部の他端に画素電極が接続されることにある。また、本実施形態の液晶装置の基本構成は第1実施形態の液晶装置と同様であるから、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略若しくは簡略する。
【0060】
図7に示すように、本実施形態の液晶装置200は、抵抗加熱部140が画素電極15と転移電極160との間を接続した構成となっている。本実施形態に係る抵抗加熱部140は、平面視、略L字形状から構成され、その短辺側が画素電極15に接続され、その長辺側が前記転移電極160に接続されたものとなっている。すなわち、本実施形態では、前記転移電極160は、各画素電極15にそれぞれ形成されている。
【0061】
転移電極160としては、上記実施形態と同様に櫛歯形状のものを組み合わせて形成してもよいし、各ソース線6a上にストライプ状に形成してもよい。本実施形態では、転移電極160をストライプ状に形成した。
【0062】
次に、本実施形態に係る液晶装置200の初期転移操作について説明する。
本実施形態に係る液晶装置200では、素子基板10側に、画素電極15との間にそれぞれ電位差を生じる転移電極160を備えているので、これら電極15,160間に電界を生じさせることで、液晶層50の初期転移操作を実施することができる。
【0063】
前記転移電極160に直流電圧を印加すると、この転移電極160と前記画素電極15との間に電界が生じる(図3参照)。この電界Eは液晶層50中にディスクリネーションを発生させ、このディスクリネーションを転移核として初期転移が周囲に伝播するようになる。本実施形態では、図7に示したように、転移電極160が画素電極15の長辺方向に沿って形成されているので、上記電界によって、画素電極15の長辺側端部から帯状に初期転移を伝播させることができる。
【0064】
このとき、転移電極160と画素電極15との間には電位差が生じる。すると、前記転移電極160及び画素電極15間を接続する抵抗加熱部140には電流が流れ、これに伴ってジュール熱が生じることとなる。また、本実施形態では、各画素電極15に抵抗加熱部140が設けられているので、各画素電極15が配置されるサブ画素領域に対応する液晶層50を加熱することができる。よって、液晶層50の全域に亘り、その粘度を低下させることができる。
【0065】
なお、前記転移電極160は、初期配向操作時に画素電極15に対して電位差を生じ、かつ初期配向転移後は画素電極15と同電位をなすように制御される。これにより、画像表示時に抵抗加熱部140の両端部(画素電極15及び転移電極160)に電位差が生じないので、前記抵抗加熱部140内に電流が流れることがなく、この電流により液晶分子の配向を乱すことがなくなる。
【0066】
また、本実施形態においても、前記抵抗加熱部140の抵抗は、転移電極160、及び画素電極15の抵抗よりも高くなっている。そのため、抵抗加熱部140にてジュール熱を良好に発生させることができ、上述したOCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことができる。さらには、上記実施形態と同様に前記抵抗加熱部140と前記液晶層50の間に配向膜18のみが介在した状態とすることで、前記抵抗加熱部140に発生したジュール熱により液晶層50を効率的に加熱し、確実に粘度を低下することができる。
【0067】
すなわち、本実施形態に係る液晶装置200によれば、抵抗加熱部140にてジュール熱が発生することで、サブ画素領域に対応する液晶層50の粘度を低下させることができる。このように粘度が低下することで、液晶層50中にディスクリネーションを容易に発生させることができ、これによって初期転移の周囲への伝播速度を増加させることができる。
【0068】
(第三実施形態)
次に、本発明の液晶装置の第三実施形態について図面を参照して説明する。図8は本実施形態に係る液晶装置300の概略構成を示す図であり、同図中では簡単のため、素子基板に対して対向基板を同図中左下方向にずらした状態を示している。また、図9は液晶装置300の側断面図である。なお、本実施形態の液晶装置300は、第1、第2の実施形態の液晶装置100,200と同様、TFTアクティブマトリクス方式の透過型液晶装置であり、その特徴とするところは、迅速かつ低電圧にて初期配向転移を実現する初期配向転移構造が、転移電極及び抵抗加熱部が素子基板20側に形成されている点である。それ以外の基本構成は上記実施形態の液晶装置と同様であるから、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略若しくは簡略する。
【0069】
図8,9に示すように、本実施形態の液晶装置300は、前記素子基板20に形成された共通電極23上には、誘電体層41を介し、前記共通電極23との間に電位差を生じる転移電極260と、前記転移電極260に両端部が接続される抵抗加熱部240と、が設けられている。前記転移電極260は、平面視した状態で、ソース線6aに重なるように形成されており、隣接する転移電極260間を跨ぐように抵抗加熱部240が形成されており、これによって転移電極260間は抵抗加熱部240によって接続されている。すなわち、サブ画素領域は、転移電極260、及び抵抗加熱部240によって区画された領域に対応している。
【0070】
この転移電極160は、上記実施形態と同様に櫛歯形状のものを組み合わせて形成してもよいし、各ソース線6a上にストライプ状に形成してもよい。本実施形態では、転移電極160をストライプ状に形成した。
【0071】
次に、本実施形態に係る液晶装置300の初期転移操作について説明する。
本実施形態に係る液晶装置300では、対向基板20側に、共通電極23との間に電位差を生じる転移電極260を備えているので、これら電極23,260間に電界を生じさせることで、液晶層50の初期転移操作を実施することができる。
【0072】
前記転移電極260に直流電圧を印加すると、この転移電極260と前記共通電極23との間に電界が生じる。この電界は液晶層50中にディスクリネーションを発生させ、このディスクリネーションを転移核として初期転移が周囲に伝播するようになる。本実施形態では、図7に示したように、転移電極260が画素電極15の長辺方向に沿って形成されているので、上記電界によって、画素電極15の長辺側端部から帯状に初期転移を伝播させることができる。
【0073】
本実施形態では、前記画素電極15間に配置されるストライプ状の転移電極260は、それぞれ交互に異なる電位が生じている。これにより、前記転移電極260間を接続する抵抗加熱部240には電流が流れ、これに伴ってジュール熱が生じることとなる。よって、液晶層50の全域に亘り、その粘度を低下させることができる。なお、上記第2の実施形態と同様に、前記抵抗加熱部240の他端側を共通電極23に接続するようにしてもよい。
【0074】
前記転移電極260は、初期配向操作時にのみ駆動されるようになっている。これにより、初期配向転移後は前記抵抗加熱部240間に電流が流れることがないので、液晶分子の配向を乱すことで表示品位を低下させることがない。
【0075】
また、本実施形態においても、前記抵抗加熱部240の抵抗は、転移電極260、及び共通電極23の抵抗よりも高くなっている。そのため、抵抗加熱部240にてジュール熱を良好に発生させることができ、上述したOCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことができる。さらには、上記実施形態と同様に前記抵抗加熱部240と前記液晶層50の間に配向膜18のみが介在した状態とすることで、前記抵抗加熱部240に発生したジュール熱により液晶層50を効率的に加熱し、確実に粘度を低下することができる。
【0076】
以上述べたように、本実施形態に係る液晶装置300によれば、共通電極23と転移電極260との間に電界を生じさせることで、初期転移の起点となる転移核を形成することができる。このとき、抵抗加熱部240は、転移電極260及び共通電極23に対して電位差があるため、前記抵抗加熱部240に電流が流れてジュール熱が発生し、これによって液晶層50が加熱されて粘度が低下する。したがって、粘度の低下した液晶層50中にディスクリネーションを容易に発生させることができ、このディスクリネーションを転移核として初期転移が周囲に伝播しやすくなるので、OCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことが可能となる。
【0077】
(液晶装置の変形例)
本発明の液晶装置は上記実施形態に限定されず、以下に示すような変形例を採用することができる。例えば、前記画素電極、及び前記転移電極の少なくとも一方に屈曲部が形成されていてもよい。本変形例は、第1の実施形態に係る液晶装置100の変形例を例示しているが、第2、第3の実施形態に係る液晶装置についても同様の変形を適用することができるのはもちろんである。
【0078】
図10に示すように、各画素電極15の長辺方向における辺端の略中央部は、部分的に屈曲した形状をなして形成されている。各画素電極15の長辺方向における辺端の略中央部は、部分的に屈曲した形状をなして形成されている。すなわち、画素電極15の短辺方向における幅方向外側に突出する平面視三角形状の凸部(屈曲部)71aと、幅方向内側に凹んだ形状の凹部(屈曲部)71bと、が形成されている。
【0079】
一方、転移電極260は画素電極15の外形に倣って形成されている。すなわち、本変形例に係る液晶装置では、前記画素電極15の凸部71aと重なる部分は内側に凹んだ平面視三角形状の屈曲部をなす凹部72bが形成される。また、前記画素電極15の凹部71bと重なる部分は外側に突出する平面視三角形状の屈曲部をなす凸部72aが形成されている。
【0080】
初期転移操作時には、画素電極15の凸部71aと、転移電極60の凹部72bとの間で電界E2が生じる。この電界E2は、三角形状の両辺にそれぞれ生じ、異なる2方向の電界を含んだものとなっている。さらに、凸部71a,凹部72bが形成されていない領域では、転移電極60の延在方向に直交する方向に電界E1が生じることとなる。本変形例に係る液晶装置によれば、上記初期配向転移時に3方向の電界が生じており、これら電界がそれぞれ交わる領域(三角形の頂点に対応する3ヶ所)にて、液晶分子の配向が乱されることとなる。よって初期転移の起点となる転移核を良好に発生させることができる。
【0081】
また、図示を省略しているものの、前記転移電極60間は抵抗加熱部によって接続されている。したがって、上述したように抵抗加熱部にはジュール熱が生じることで液晶層50中にディスクリネーションを容易に発生させることができ、このディスクリネーションを転移核として初期転移が周囲に伝播しやすくなるので、OCBモードの初期配向転移を低電圧で迅速に行うことが可能となる。
【0082】
なお、本発明の液晶装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、各実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT30)を採用したアクティブマトリクス型の液晶装置を例示したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)を採用したアクティブマトリクス型の液晶装置に適用してもよい。
【0083】
(電子機器)
図11は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。図11に示す携帯電話1100は、上記実施形態の液晶装置を小サイズの表示部1101として備え、複数の操作ボタン1102、受話口1103、及び送話口1104を備えて構成されている。
上記実施形態の液晶装置は、低電圧、かつ短時間でOCBモードの初期転移動作を円滑に行うことができるので、表示品質に優れた液晶表示部を備えた携帯電話1100を提供することができる。
【0084】
上記各実施形態の液晶装置は、上記した電子機器に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても明るく、高コントラストの優れた表示品質を得ることが可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】(a)、(b)は第1実施形態に係る液晶装置の概略構成を示す図である。
【図2】液晶装置の等価回路を示す図である。
【図3】サブ画素領域の平面構成図である。
【図4】複数のサブ画素領域に対応する平面構成図である。
【図5】(a),(b)は液晶装置の側断面構造を示す図である。
【図6】OCBモードにおける液晶層の動作を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る液晶装置の概略構成を示す図である。
【図8】第3実施形態に係る液晶装置の概略構成を示す図である。
【図9】第3実施形態に係る液晶装置の側断面図である。
【図10】液晶装置の変形例に係る構成を示す図である。
【図11】本発明の電子機器の一実施形態としての携帯電話の概略構成図である。
【符号の説明】
【0086】
10…素子基板(第一基板)、15…画素電極、20…対向基板(第二基板)、40…抵抗加熱部、41…誘電体層、140…抵抗加熱部、240…抵抗加熱部、50…液晶層、60…第一転移電極(転移電極)、61…第二転移電極(他の転移電極)、160…転移電極、260…転移電極、71a,71b,72a,72b…屈曲部、100…液晶装置、1100…携帯電話(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第一基板と第二基板との間に液晶層が挟持され、前記液晶層の配向状態をスプレイ配向からベンド配向へと転移させて表示を行う液晶装置であって、
前記第一基板には、画素電極と、該画素電極に対して電位差を生じる転移電極と、その一端側が前記転移電極に接続される抵抗加熱部と、が設けられることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記抵抗加熱部の他端側に、前記転移電極に対して電位差を有する他の転移電極が接続されることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記転移電極及び前記他の転移電極はそれぞれ略櫛歯形状からなり、
前記転移電極と前記他の転移電極の櫛歯部が、互いに噛み合わされ且つ該櫛歯部間に前記画素電極を挟むように配置されており、前記画素電極を挟む前記櫛歯部間が前記抵抗加熱部により接続されることを特徴とする請求項2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記抵抗加熱部の抵抗値は、前記転移電極、及び前記他の転移電極の抵抗値よりも高いことを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記転移電極、及び前記他の転移電極の少なくとも一方に屈曲部が形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記抵抗加熱部の他端には、前記画素電極が接続されることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記抵抗加熱部の抵抗値は、前記転移電極、及び前記画素電極の抵抗値よりも高いことを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記転移電極、及び前記画素電極の少なくとも一方に屈曲部が形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の液晶装置。
【請求項9】
前記抵抗加熱部と前記液晶層の間には、該液晶層の初期配向方向を規制する配向膜のみが介在していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項10】
対向配置された第一基板と第二基板との間に液晶層が挟持され、前記液晶層の配向状態をスプレイ配向からベンド配向へと転移させて表示を行う液晶装置であって、
前記第二基板に形成された共通電極上には、誘電体層を介し、前記共通電極との間に電位差を生じる転移電極と、前記転移電極に接続される抵抗加熱部と、が設けられることを特徴とする液晶装置。
【請求項11】
前記抵抗加熱部は、前記転移電極、及び前記共通電極に比べ、その抵抗値が高いことを特徴とする請求項10に記載の液晶装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−209859(P2008−209859A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48916(P2007−48916)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】