説明

液晶装置、及び電子機器

【課題】昇温時に液晶パネルが受ける応力を減らすことが可能な液晶装置を提供する。
【解決手段】液晶装置32は、反射型の液晶パネル40と、液晶パネル40を保持する保持部材41と、を備える。保持部材41は、液晶パネル40を囲む本体部43と、本体部43に取り付けられて液晶パネル40を本体部43に向けて付勢することにより液晶パネル40と本体部43との相対位置を規制する付勢部44と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、プロジェクター等の各種の電子機器に利用されている。液晶装置の1つとして、反射型の液晶パネルと、この液晶パネルの光入射側の反対面(背面)に接触して設けられた放熱部材とを備える反射型の液晶装置が知られている。例えば、プロジェクターに用いられる液晶装置は、液晶パネルへ入射する光の強度が極めて強く、液晶パネルが昇温しやすい。放熱部材は、液晶パネルと紫外線硬化型の接着剤等で固定されており、液晶パネルの熱を逃がすことができる。
【0003】
液晶装置において液晶パネルが昇温すると、液晶パネルと放熱部材との線膨張率の違いによって液晶パネルが応力を受けて変形し、液晶パネルの反射面が歪むこと等によって表示品質が低下するおそれがある。
【0004】
このような不都合を緩和する技術として、例えば特許文献1のような技術が提案されている。特許文献1において、液晶パネルは、枠状のパネル固定部材の内側に配置されており、パネル固定部材と接着剤で固定されている。放熱部材は、パネル固定部材に支持されたバネに液晶パネルの背面に向って付勢されることによって、液晶パネルの背面と密着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−199153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の反射型の液晶装置は、液晶パネルが接着剤で放熱部材と接着されている構成と比較して、液晶パネルと放熱部材で線膨張率が異なることによって昇温時に液晶パネルに働く応力を減らすことができる。しかしながら、液晶パネルは、パネル固定部材と接着剤で固定されているので、パネル固定部材との線膨張率が異なることによって昇温時に応力を受けるおそれがある。結局のところ、上記の液晶装置は、昇温時に液晶パネルが応力を受けることによって、液晶パネルの歪み等に起因して表示品質が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み成されたものであって、昇温時に液晶パネルが受ける応力を減らすことが可能な液晶装置を提供することを目的のとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液晶装置は、反射型の液晶パネルと、前記液晶パネルを保持する保持部材と、を備え、前記保持部材は、前記液晶パネルを囲む本体部と、前記本体部に取り付けられて前記液晶パネルを前記本体部に向けて付勢することにより前記液晶パネルと前記本体部との相対位置を規制する付勢部と、を有する。
【0009】
このようにすれば、液晶パネルは、付勢部により本体部に向けて付勢されて保持部材に保持され、保持部材との間で応力が伝わりにくくなる。したがって、液晶パネルと保持部材の線膨張の違いにより液晶パネルが受ける応力を減らすことができ、昇温時に液晶パネルが受ける応力を減らすことができる。
【0010】
上記の液晶装置において、前記本体部は、前記厚み方向から見て前記液晶パネルが収容される開口部を含み、前記付勢部は、前記液晶パネルを前記開口部の内周面に向って付勢することにより前記厚み方向と交差する方向にて前記液晶パネルと前記本体部との相対位置を規制する第1付勢部材を有していてもよい。
【0011】
このようにすれば、第1付勢部材が液晶パネルを付勢して厚み方向と交差する方向にて液晶パネルと本体部との相対位置を規制するので、厚み方向から見た液晶パネルと本体部との位置ずれを抑制することができる。
【0012】
上記の液晶装置において、前記液晶パネルは、第1基板と、前記第1基板に対向して配置されて前記厚み方向から見て前記第1基板の外周よりも外側に張り出した第2基板と、を有し、前記本体部は、前記厚み方向から見て前記液晶パネルが収容される開口部を含み、前記厚み方向から見て前記第2基板の外周の少なくとも一部が前記開口部の内周よりも外側に配置されており、前記付勢部は、前記液晶パネルを前記開口部の内周の周縁部に向って前記厚み方向に付勢することにより前記厚み方向にて前記液晶パネルと前記本体部との相対位置を規制する第2付勢部材を有していてもよい。
【0013】
このようにすれば、第2付勢部材が液晶パネルを厚み方向に付勢することにより液晶パネルと本体部との相対位置を規制するので、厚み方向の液晶パネルと本体部との位置ずれを抑制することができる。
【0014】
上記の液晶装置は、前記第2基板に対して前記第1基板とは反対側に配置された放熱部材を備え、前記第2付勢部材は、前記放熱部材を介して前記液晶パネルを付勢することによって、前記液晶パネルと前記放熱部材とを互いに密着させてもよい。
【0015】
このようにすれば、第2付勢部材は、放熱部材を介して液晶パネルを付勢することにより液晶パネルと放熱部材とを互いに密着させるので、液晶パネルの熱を放熱部材から逃がすことができる。
【0016】
本発明の電子機器は、上記の液晶装置を備える。
上記の液晶装置は、昇温時の液晶パネルの歪みが抑制され、高品質な画像を表示あるいは形成することができるので、上記の電子機器は、高品質な画像を表示すること等ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の反射型の液晶装置を厚み方向の一方から見た平面図である。
【図3】第1実施形態の反射型の液晶装置を厚み方向の他方から見た平面図である。
【図4】第1実施形態の反射型の液晶装置の厚み方向に平行な断面図である。
【図5】変形例の液晶装置の厚み方向に平行な断面図である。
【図6】第2実施形態の反射型の液晶装置を厚み方向の一方から見た平面図である。
【図7】第2実施形態の反射型の液晶装置の厚み方向に平行な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態及び実施例について図面を参照しながら説明する。説明に用いる図面中の構造の寸法や縮尺は、実際と異なることがある。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のプロジェクター(電子機器)の概略構成を示す図である。図1に示すプロジェクター1は、照明光学系2、青用の画像形成系3、緑用の画像形成系4、赤用の画像形成系5、色合成部6、及び投写光学系7を備える。各画像形成系は、本実施形態の液晶装置を含んで構成されている。
【0020】
照明光学系2は、青色光L1と、緑色光L2と、赤色光L3とを個別に射出することができる。本実施形態の照明光学系2は、光源部10、インテグレーター光学系11、及び色分離光学系12を備える。
【0021】
光源部10は、波長が450nm以上495nm未満の青色光L1、波長が495nm以上570nm未満の緑色光L2、及び波長が620nm以上750nm未満の赤色光L3を含んだ白色光Lを射出することができる。インテグレーター光学系11は、光源部10から射出された白色光Lの照度を均一化し、また偏光状態を揃えることができる。色分離光学系12は、インテグレーター光学系11から射出された白色光Lを青色光L1、緑色光L2、及び赤色光L3に分離することができる。
【0022】
本実施形態の光源部10は、白色光を放射する光源ランプ13、及び回転放物面状の反射面を有するリフレクター14を備える。光源ランプ13から放射された白色光は、リフレクター14によって一方向に向って反射し、略平行な光線束となる。光源ランプ13は、例えばメタルハライドランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ等により構成される。リフレクター14は、インテグレーター光学系11へ入射する。リフレクター14は、反射面が回転楕円面状であってもよく、この場合には、リフレクターから射出された白色光を平行化する平行化レンズが用いられることがある。
【0023】
本実施形態のインテグレーター光学系11は、第1レンズアレイ15、第2レンズアレイ16、偏光変換素子17、及び重畳レンズ18を備える。
【0024】
第1レンズアレイ15及び第2レンズアレイ16は、それぞれ、光源部10の光軸と直交する平面に二次元的に配列された複数のマイクロレンズを有する。第1レンズアレイ15のマイクロレンズは、第2レンズアレイ16のマイクロレンズと1対1の対応で設けられている。複数のマイクロレンズは、光源部10の光軸に直交する平面での形状が、後述する液晶装置32の被照明領域と相似形状(ここでは、略矩形)である。被照明領域は、液晶装置32において複数の画素が配列された領域の全体を含む領域である。
【0025】
偏光変換素子17は、光源部10の光軸と直交する平面に二次元的に配列された複数のセルを有する。偏光変換素子17のセルは、第2レンズアレイ16のマイクロレンズと1対1の対応で設けられている。複数のセルは、それぞれ、偏光ビームスプリッター膜(以下、PBS膜という)、1/2位相板、及び反射ミラーを有する。
【0026】
光源部10から第1レンズアレイ15へ入射した白色光Lは、マイクロレンズごとに集光され、複数の部分光束に分かれる。第1レンズアレイ15の各マイクロレンズから射出された部分光束は、このマイクロレンズと対応する第2レンズアレイ16のマイクロレンズに結像して、マイクロレンズに二次光源を形成する。第2レンズアレイ16の各マイクロレンズから射出された部分光束は、このマイクロレンズと対応する偏光変換素子17のセルに入射する。
【0027】
偏光変換素子17は、第2レンズアレイ16と重畳レンズ18との間の光路に配置されている。偏光変換素子17の各セルへ入射した部分光束は、PBS膜に対するP偏光とS偏光とに分離される。分離された一方の偏光は、反射ミラーで反射した後に1/2位相板を通り、他方の偏光と偏光状態が揃えられる。本実施形態において、偏光変換素子17の各セルは、各セルへ入射した部分光束の偏光状態を、各画像形成系の偏光分離素子31(後述する)に対するP偏光に揃えることができる。偏光変換素子17の複数のセルから射出された複数の部分光束は、重畳レンズ18で屈折することによって、各画像形成系の液晶装置の被照明領域に重畳される。
【0028】
色分離光学系12は、第1ダイクロイックミラー20、第2ダイクロイックミラー21、第3ダイクロイックミラー22、第1反射ミラー23、及び第2反射ミラー24を備える。第1ダイクロイックミラー20は、赤色光L3が透過し、かつ緑色光L2及び青色光L1が反射する特性を有する。第2ダイクロイックミラー21は、赤色光L3が反射し、かつ緑色光L2及び青色光L1が透過する特性を有する。第3ダイクロイックミラー22は、緑色光L2が反射し、かつ青色光L1が透過する特性を有している。第1ダイクロイックミラー20及び第2ダイクロイックミラー21は、互いに略直交するように、かつインテグレーター光学系11の光軸と略45°の角度をなすように配置されている。
【0029】
色分離光学系12へ入射した白色光Lのうちの赤色光L3は、第2ダイクロイックミラー21で反射し、次いで第1反射ミラー23で反射して、赤用の画像形成系5へ入射する。色分離光学系12へ入射した白色光Lのうちの青色光L1及び緑色光L2は、第1ダイクロイックミラー20で反射し、次いで第2反射ミラー24で反射した後に、第3ダイクロイックミラー22へ入射する。第3ダイクロイックミラー22へ入射した緑色光L2は、第3ダイクロイックミラー22で反射して、緑用の画像形成系4へ入射する。第3ダイクロイックミラー22へ入射した青色光L1は、第3ダイクロイックミラー22を透過して、青用の画像形成系3へ入射する。
【0030】
青用の画像形成系3、緑用の画像形成系4、及び赤用の画像形成系5は、ほぼ同様の構成である。本実施形態では、各画像形成系の構成について、青用の画像形成系3を代表的に説明する。青用の画像形成系3は、入射側偏光板30、偏光分離素子31、液晶装置32、及び射出側偏光板33を備える。
【0031】
色分離光学系12から射出された青色光L1は、入射側偏光板30へ入射した後に偏光分離素子31へ入射し、次いで液晶装置32へ入射して変調されるとともに液晶装置32で反射し、偏光分離素子31へ再度入射する。液晶装置32から射出された偏光分離素子31へ入射した青色光L1のうち、偏光分離素子31で反射した青色光L1は、射出側偏光板33へ入射する。
【0032】
偏光分離素子31は、入射側偏光板30と液晶装置32との間の光路に対して傾斜(ここでは略45°)して配置されている。偏光分離素子31は、入射する青色光L1のうちのP偏光が透過し、かつS偏光が反射する特性を有する。本実施形態の偏光分離素子31は、ワイヤーグリッド型の偏光素子であり、ガラス等からなる誘電体層と、偏光分離素子31に対するS偏光と平行な方向に延びる複数の金属線とを有する。なお、偏光分離素子31は、偏光ビームスプリッタープリズムであってもよい。
【0033】
入射側偏光板30及び射出側偏光板33は、それぞれ、透過軸に平行な直線偏光を通し、かつ透過軸と直交する吸収軸に平行な直線偏光を吸収する特性を有する。入射側偏光板30の透過軸は、偏光分離素子31に対するP偏光とほぼ平行に設定されている。射出側偏光板33の透過軸は、偏光分離素子31に対するS偏光とほぼ平行に設定されている。
【0034】
図2は、第1実施形態の反射型の液晶装置を厚み方向の一方から見た平面図である。図3は、第1実施形態の反射型の液晶装置を厚み方向の他方から見た平面図である。図4は、第1実施形態の反射型の液晶装置の厚み方向に平行な断面図であり、図2のA−A’線断面図に相当する。
【0035】
図2から図4に示す液晶装置32は、液晶パネル40、保持部材41、及び防塵ガラス42を備える。保持部材41は、液晶パネルを囲む本体部43と、本体部43に取り付けられて液晶パネル40を本体部43に向けて付勢することにより液晶パネル40と本体部43との相対位置を規制する付勢部44と、を有する。
【0036】
液晶パネル40は、素子基板(第2基板)45、対向基板(第1基板)46、及び液晶層47を有する。素子基板45は、対向基板46と対向して設けられている。液晶層47は、素子基板45と対向基板46との間に封入されている。防塵ガラス42は、対向基板46に対して素子基板45とは反対側に配置されており、対向基板46側から液晶パネル40へのゴミの混入を抑制する。なお、対向基板46に対して液晶層47と反対側に、補償板が設けられることがある。
【0037】
本実施形態の液晶装置32は、反射型の液晶装置である。入射側偏光板30から偏光分離素子31を通った青色光L1は、対向基板46を通って液晶層47へ入射した後に素子基板45で反射して折り返される。青色光L1は、液晶層47を通る間に変調され、液晶層47から射出された後に対向基板46を通って液晶装置32から射出される。
【0038】
素子基板45は、液晶パネル40の厚み方向から見て対向基板46の外周よりも外側に張り出している。素子基板45は、シリコン基板やガラス基板を基体として構成される。シリコン基板を用いる場合には、いわゆるLCOS(Liquid crystal on silicon)になる。素子基板45は、例えばアクティブマトリックス基板であり、複数の画素のそれぞれに設けられた画素電極及びスイッチング素子等を含む。画素電極は、例えば斜方蒸着法等により形成された無機配向膜で覆われている。画素電極は、アルミニウム等で形成された光反射層を含んでいる。スイッチング素子は、画素電極へ伝達される画素値に応じた信号をスイッチングすることができる。
【0039】
対向基板46は、ガラス基板等の透光性を有する基板を基体として構成されている。対向基板46の液晶層47側には、例えばインジウム錫酸化物等の透明導電材料からなる共通電極が設けられている。共通電極の液晶層47側には、素子基板45側と同様の無機配向膜が設けられている。
【0040】
液晶層47は、例えばVAモードやTNモード等の液晶層により構成される。VAモードの液晶層を採用する場合に、素子基板45と対向基板46とのセルギャップは、例えば2.0μm程度であり、このセルギャップに液晶材料が封入されて液晶層47が構成されている。液晶材料は、誘電率異方性が負であり、複屈折性Δnが例えば0.12のものである。液晶層47に含まれる液晶分子は、素子基板45の基板面に沿う方向を基準(0°)としたプレチルト角が例えば87°程度である。
【0041】
液晶パネル40において、素子基板45のスイッチング素子がオンになり、画素ごとに階調値に応じたソース信号(電圧)がスイッチング素子を介して画素電極に伝達(印加)されると、この画素電極と対向基板46の共通電極との間に電界が印加され、この電界に応じて液晶層47の液晶分子のダイレクターが画素ごとに変化する。画素へ入射した青色光L1は、この画素における液晶層47の液晶分子のダイレクターに応じて偏光状態が変化する。
【0042】
本実施形態では、任意の1画素における液晶層47に電界が印加されていない状態で、この画素へ入射した青色光L1は、ほぼ偏光状態が変化せずにP偏光のまま射出される。任意の1画素における液晶層47に電界が印加されている状態で、この画素へ入射した青色光L1は、画像データに規定された階調値に応じた比率で、偏光分離素子31に対するP偏光がS偏光へ変化する。すなわち、液晶層47を通った青色光L1のうち偏光分離素子31に対するS偏光は、画像を示す光である。
【0043】
液晶パネル40から射出された青色光L1のうち、偏光分離素子31に対するP偏光は、偏光分離素子31を透過する。液晶パネル40から射出された青色光L1のうち、偏光分離素子31に対するS偏光は、偏光分離素子31で反射して進行方向が変化し、射出側偏光板33へ入射する。射出側偏光板33へ入射した青色光L1のうち、偏光分離素子31に対するS偏光は、射出側偏光板33を透過して、色合成部6へ入射する。
【0044】
本実施形態の保持部材41の本体部43は、ほぼ矩形枠状であり、その厚み方向の表裏両面を貫通する貫通孔50を有する。貫通孔50は、液晶パネル40の厚み方向から見てほぼ矩形状である。貫通孔50は、第1の開口部51と、第1の開口部51よりも内径が大きい第2の開口部52とが互いに連通した構造である。第1の開口部51は、液晶パネルに対する光入射側における保持部材41の片面に開口している。第2の開口部52は、液晶パネルに対する光入射側の反対側における保持部材41の片面に開口している。
【0045】
液晶パネル40の対向基板46及び防塵ガラス42は、その厚み方向から見て第1の開口部51の内周の内側に収容されている。液晶パネル40の素子基板45は、その厚み方向から見て第1の開口部51の内周よりも外側に張り出している。本実施形態において、素子基板45は、その厚み方向から見て第2の開口部52の内周の内側に収容されている。
【0046】
本実施形態の付勢部44は、第1付勢部材53及び第2付勢部材54を有する。第1付勢部材53は、第1の開口部51の内周面に設けられた第1の板バネ55及び第2の板バネ56によって構成されている。
【0047】
第1の板バネ55は、平面視した第1の開口部51の矩形状の内周のうち、互いに平行な1対の長辺の一方に設けられている。第1の板バネ55は、液晶パネル40の厚み方向に直交する方向に弾性変形しており、対向基板46の厚み方向の側方の端面に接触している。第1の板バネ55は、その弾性変形の反発力で対向基板46を他方の長辺に向けて付勢し、対向基板46を他方の長辺(内周面)に押し付けている。
【0048】
第2の板バネ56は、平面視した第2の開口部52の矩形状の内周のうち、互いに平行な1対の短辺の一方に設けられている。第2の板バネ56は、液晶パネル40の厚み方向に直交する方向に弾性変形しており、対向基板46の厚み方向の側方の端面に接触している。第1の板バネ55は、その弾性変形の反発力で対向基板46を他方の短辺に向けて付勢し、対向基板46を他方の短辺(内周面)に押し付けている。
【0049】
第2付勢部材54は、第2の開口部52の周縁部に複数配置されている。複数の第2付勢部材54は、それぞれ、板バネ57と、板バネ57を第2の開口部52の周縁部に固定する固定具58を含む。板バネ57は、液晶パネル40の厚み方向に弾性変形しており、素子基板45の厚み方向の片面と接触している。板バネ57は、その弾性変形の反発力で素子基板45を対向基板46に向って付勢することによって、素子基板45の周縁部を第1の開口部51の周縁部に押し付けている。
【0050】
色合成部6は、ダイクロイックプリズム等により構成される。ダイクロイックプリズムは、4つの三角柱プリズムが互いに貼り合わされた構造である。各三角柱プリズムにおいて貼り合わされる面は、ダイクロイックプリズムの内面になる。ダイクロイックプリズムは、赤色光L3が反射し、かつ緑色光L2及び青色光L1が透過する特性の波長選択膜と、青色光L1が反射し、かつ緑色光L2及び赤色光L3が透過する特性の波長選択膜とが互いに直交して上記の内面に形成された構造である。
【0051】
ダイクロイックプリズムへ入射した緑色光L2は、波長選択面を通ってそのまま射出される。ダイクロイックプリズムへ入射した青色光L1及び赤色光L3は、波長選択面で選択的に反射あるいは透過して、緑色光L2の射出方向と同じ方向に射出される。このように、3つの色光は、重ね合わされて合成され、フルカラーの画像を示す合成光となり投写光学系7へ入射する。この合成光が投写光学系7によって投写面上で結像することにより、投写面にフルカラーの画像が表示される。
【0052】
ところで、プロジェクター等に用いられる液晶装置は、照明光学系等からの光を受けて温度が上昇することがある。上記の液晶装置32は、液晶パネル40が付勢部44の弾性力によって保持部材41に保持されており、接着剤を用いなくとも保持部材41と液晶パネルとの相対位置を規制することができる。したがって、保持部材41と液晶パネル40の熱膨張の変形量の違いが付勢部44の変形に吸収され、熱による変形量の違いに起因する応力が保持部材41から液晶パネル40へ伝わりにくくなる。よって、液晶パネル40の反射面が変形すること等による像面の歪みを抑制することができ、液晶パネル40の歪による表示品質の低下を抑制することができる。
【0053】
次に、変形例の液晶装置について説明する。図5は、変形例の液晶装置の厚み方向に平行な断面図である。図5に示す液晶装置60は、付勢部61の第2付勢部材62の構成が上記の実施形態とは異なる。本例の第2付勢部材62は、液晶パネル40の素子基板45と接触する押圧板63と、本体部43に固定された固定具64と、液晶パネル40の厚み方向の一端が支持されているとともに他端が押圧板63に接触しているつるまきバネ65とを含む。
【0054】
つるまきバネ65は、液晶パネル40の厚み方向に圧縮された状態で、固定具64と本体部43とに挟み込まれており、その弾性変形の反発力で押圧板63を液晶パネル40に近づく向きに付勢している。押圧板63は、液晶パネル40を本体部43の第1の開口部51の内周の周縁部に押し付けることによって、液晶パネル40の厚み方向にて本体部43と液晶パネル40の相対位置を規制している。
【0055】
本変形例の液晶装置60は、熱による変形量の違いに起因する応力が保持部材41から液晶パネル40へ伝わりにくくなり、液晶パネル40の歪による表示品質の低下を抑制することができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態において第1実施形態と同様の構成要素については、第1実施形態と同じの符号を付してその説明を省略あるいは簡略化することがある。
【0057】
図6は、第2実施形態の反射型の液晶装置を厚み方向の一方から見た平面図である。第2実施形態の反射型の液晶装置を厚み方向の他方方から見た平面図は、第1実施形態とほぼ同じである。図7は、第2実施形態の反射型の液晶装置の厚み方向に平行な断面図であり、図6のB−B’線断面図に相当する。
【0058】
図6及び図7に示す液晶装置70は、第1実施形態の液晶装置32に加えて、放熱部材71を備える。放熱部材71は、液晶パネル40に対する光入射側とは反対側にて素子基板45と接触している。放熱部材71は、液晶パネル40とは反対側を向く面に設けられた溝部72及び突条部73を含む。溝部72及び突条部73は、互いに平行に延びており、それぞれの延在方向に直交する方向に交互に繰り返し並んでいる。
【0059】
第2付勢部材54の板バネ57は、溝部72と平行に延びており、液晶パネル40の厚み方向に弾性変形した状態で溝部72に接触している。板バネ57は、その弾性変形の反発力で放熱部材71を液晶パネル40に近づく向きに付勢している。放熱部材71は、板バネ57に付勢されることによって、液晶パネル40と互いに押し合わされて密着している。
【0060】
以上のような構成の第2実施形態の液晶装置70は、熱による変形量の違いに起因する応力が保持部材41及び放熱部材71から液晶パネル40へ伝わりにくくなり、液晶パネル40の歪による表示品質の低下を抑制することができる。
【0061】
また、第2付勢部材54の板バネ57は、放熱部材71を介して液晶パネル40を付勢し、これにより液晶パネルと放熱部材とを互いに密着するので、液晶パネル40の熱を放熱部材71から逃がすことができる。結果として、表示品質の低下を抑制しつつ、液晶パネル40を長寿命にすることができる。板バネ57は、溝部72の延在方向に延びて溝部72を押圧しているので、溝部72と突条部73との間に段差に係止され、放熱部材71から外れることが抑制される。
【0062】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、上記の実施形態で説明した要件の少なくとも1つは、省略されることある。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で多様な変形が可能である。
【0063】
上記の実施形態において、第1付勢部材53は、液晶パネル40の厚み方向から見た対向基板46の外周のうち互いに平行な1対の対辺の一方に設けられているが、1対の対辺の双方に設けられていてもよい。すなわち、1対の対辺の双方に設けられた1対の板バネで1対の対辺の対向方向にて液晶パネル40を挟み込むことによって、液晶パネル40と本体部43の相対位置を規制してもよい。
【0064】
上記の実施形態において、照明光学系2は、光源ランプ13から出射された白色光を3色の光に色分離し、各色の光ごとに各色用の画像形成系を照明する構成であるが、その構成に限定はない。例えば、照明光学系は、各色の光を直接的に発光するレーザーダイオードや発光ダイオード等の固体光源を備え、各色用の固体光源から出射された各色の光により各色用の画像形成系を照明する構成でもよい。
【0065】
また、青色光又は紫外光を発光する固体光源と、この固体光源から出射された光源光を受けて光源光よりも長波長の光を出射する蛍光体とを備え、蛍光体から出射された光により画像形成系を照明する構成でもよい。この構成において、照明光学系は、固体光源から出射された光と蛍光体から出射された光とが合わさって白色光となり、この白色光を3色の光に色分離し、各色の光ごとに各色用の画像形成系を照明する構成でもよい。また、固体光源から出射された青色光をハーフミラーなどで複数の光線束に分離し、分離された1つの光線束により青用の画像形成系を照明するとともに、分離された他の光線束を蛍光体で色変換した光により他色用の画像形成を照明する構成でもよい。
【0066】
上記の実施形態では、3板式のプロジェクターを説明しているが、上記のプロジェクターは、例えばフィールドシーケンシャル方式等の単板式のプロジェクターでもよい。上記の実施形態のプロジェクターは、ヘッドマウントディスプレイやヘッドアップディスプレイなどにも利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1・・・プロジェクター、32・・・液晶装置、40・・・液晶パネル、41・・・保持部材、43・・・本体部、44・・・付勢部、45・・・素子基板(第2基板)、46・・・対向基板(第1基板)、51・・・第1の開口部(開口部)、53・・・第1付勢部材、54・・・第2付勢部材、60・・・液晶装置、61・・・付勢部、62・・・第2付勢部材、70・・・液晶装置、71・・・放熱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型の液晶パネルと、
前記液晶パネルを保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、
前記液晶パネルを囲む本体部と、
前記本体部に取り付けられて前記液晶パネルを前記本体部に向けて付勢することにより前記液晶パネルと前記本体部との相対位置を規制する付勢部と、を有することを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記厚み方向から見て前記液晶パネルが収容される開口部を含み、
前記付勢部は、前記液晶パネルを前記開口部の内周面に向って付勢することにより前記厚み方向と交差する方向にて前記液晶パネルと前記本体部との相対位置を規制する第1付勢部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記液晶パネルは、第1基板と、前記第1基板に対向して配置されて前記厚み方向から見て前記第1基板の外周よりも外側に張り出した第2基板と、を有し、
前記本体部は、前記厚み方向から見て前記液晶パネルが収容される開口部を含み、
前記厚み方向から見て前記第2基板の外周の少なくとも一部が前記開口部の内周よりも外側に配置されており、
前記付勢部は、前記液晶パネルを前記開口部の内周の周縁部に向って前記厚み方向に付勢することにより前記厚み方向にて前記液晶パネルと前記本体部との相対位置を規制する第2付勢部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記第2基板に対して前記第1基板とは反対側に配置された放熱部材を備え、
前記第2付勢部材は、前記放熱部材を介して前記液晶パネルを付勢することによって、前記液晶パネルと前記放熱部材とを互いに密着させることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−208297(P2012−208297A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73565(P2011−73565)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】