説明

液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子

【課題】電圧保持率及び長期信頼性に優れた液晶表示素子用の液晶配向剤、それを用いて形成される液晶配向膜、及びそれを具備した液晶表示素子を提供する。
【解決手段】オキセタン、チイラン、アジリジン、及びオキサゾリンの構造の一又は二以上を有するヘテロ環化合物を、ポリアミック酸及びその誘導体に、ポリアミック酸及びその誘導体に対して総量で0.1〜50重量%添加して液晶配向剤とし、これを用いて液晶配向膜を作製し、またそれを具備する液晶表示素子を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキセタン、チイラン、アジリジン、及びオキサゾリンからなる群から選ばれる一又は二以上のヘテロ環構造を有するヘテロ環化合物、及びポリアミック酸とこのポリアミック酸の誘導体とから選ばれる少なくとも1つのポリマー、が溶媒に溶解した液晶配向剤、該液晶配向剤から形成される液晶配向膜、及びそれを具備した液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、ノートパソコンやデスクトップパソコンのモニターをはじめ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型のディスプレイ等の様々な液晶表示装置に使われており、最近ではテレビとしても用いられるようになってきた。さらに、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子としても利用されている。
【0003】
液晶表示素子は、通常は、1)対向配置されている一対の基板、2)前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極、3)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、及び4)前記一対の基板間に形成された液晶層、を有する。
【0004】
従来の液晶表示素子としては、ネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、1)90度ツイストしたTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子、2)通常180度以上ツイストしたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、3)薄膜トランジスタを使用したいわゆるTFT(Thin Film Transistor)型液晶表示素子が実用化されている。これらの液晶表示素子は、画像が適正に視認できる視野角が狭く、斜め方向から見たときに、輝度やコントラストの低下及び中間調での輝度反転を生じるという欠点を有している。
【0005】
近年、この視野角の問題については、1)光学補償フィルムを用いたTN−TFT型液晶表示素子、2)垂直配向と光学補償フィルムを用いたVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子、3)垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi Domain Vertical Alignment)型液晶表示素子、又は4)横電界方式のIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、5)ECB(Electrically Controlled Birefringence)型液晶表示素子、6)光学補償ベンド(Optically Compensated Bend又はOptically self−Compensated Birefringence:OCB)型液晶表示素子等の技術により改良されており、改良された技術が実用化、又は検討されている。
【0006】
液晶表示素子の技術の発展は、単にこれらの駆動方式や素子構造の改良のみならず、液晶表示素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は、液晶表示素子の表示品位に係わる重要な要素の一つであり、液晶表示素子の高品質化に伴って液晶配向膜の役割が年々重要になってきている。
【0007】
液晶配向膜は、液晶配向剤より調製される。現在、主として用いられている液晶配向剤とは、ポリアミック酸又は可溶性のポリイミドを有機溶媒に溶解させた溶液である。このような溶液を基板に塗布した後、加熱等の手段により成膜してポリイミド系配向膜を形成
する。ポリアミック酸以外の種々の液晶配向剤も検討されているが、耐熱性、耐薬品性(耐液晶性)、塗布性、液晶配向性、電気特性、光学特性、表示特性等の点から、ほとんど実用化されていない。
【0008】
液晶表示素子の表示品位を向上させるために液晶配向膜に要求される重要な特性として、電圧保持率が挙げられる。電圧保持率が低いと、フレーム期間中に液晶にかかる電圧が低下し、結果として輝度が低下して正常な諧調表示に支障をきたすことがある。また、例え初期の電圧保持率が高くても、高温加速試験後の電圧保持率(長期信頼性)が低下してしまうような場合は問題である。
【0009】
前記した問題を解決する試みとして、最近ではいくつかの方法が提案されている。
1)液晶配向膜を形成させるための、物性の異なる二以上のポリアミック酸を組み合わせて含むポリアミック酸組成物が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。
2)ポリアミック酸とポリアミドを含むポリマー成分と、溶媒とを含有するワニス組成物が知られている(例えば特許文献3参照)。
3)物性の異なる二以上のポリアミック酸及びポリアミド、ならびに溶媒を含有するワニス組成物が知られている(例えば特許文献4参照)。
4)特定の構造を有するジアミン化合物を用いて合成されるポリアミック酸等を含む高分子材料を含むワニス組成物が知られている(例えば特許文献5参照)。
5)ポリイミド及びポリアミック酸ワニスに低分子エポキシ樹脂を添加する技術が知られている(例えば特許文献6参照)。
【0010】
しかしながら、これらの先行技術では、電圧保持率及び長期信頼性の問題について未だ検討の余地が残されている。
【0011】
また、ポリアミック酸とオキサゾリン構造を有する硬化促進剤とを含有する液晶配向剤が知られている(例えば特許文献7参照)。しかしながら、この硬化促進剤は、液晶配向膜を作製する際のイミド化において蒸発、昇華、分解するとされており、このような液晶配向膜を用いて作製された液晶配向膜において硬化促進剤が液晶配向膜の電気特性に及ぼす影響については検討されていない。
【0012】
【特許文献1】特開平11−193345号公報
【特許文献2】特開平11−193347号公報
【特許文献3】国際公開00/61684号パンフレット
【特許文献4】国際公開01/000733号パンフレット
【特許文献5】特開2002−162630号公報
【特許文献6】特開2005−189270号公報
【特許文献7】特開平9−302225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記状況を考慮して、電圧保持率及び長期信頼性の問題が改善された液晶表示素子用の液晶配向剤、それを用いて形成される液晶配向膜、及びそれを具備した液晶表示素子の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意研究を行った。
その結果、オキセタン、チイラン、アジリジン、及びオキサゾリンの一又は二以上のヘテロ環構造を有する化合物と、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られる一種もしくは二種以上のポリアミック酸又はその誘導体とを含有する液晶配向剤を使
用して作製された液晶配向膜を具備する液晶表示素子に、良好な電圧保持率及び長期信頼性を付与することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
さらに、前記ポリアミック酸を適宜選択することにより、前記液晶配向剤を使用して作製された液晶配向膜が、種々の表示駆動方式の液晶表示素子に適切に適用され得ることを見出した。
【0016】
本発明は以下の構成からなる。
【0017】
[1] オキセタン、チイラン、アジリジン、及びオキサゾリンからなる群から選ばれる一又は二以上のヘテロ環構造を有するヘテロ環化合物と、ポリアミック酸及びその誘導体から選ばれる一又は二以上のポリマーとを含有する液晶配向剤であって、前記ヘテロ環化合物を、前記ポリマーに対して0.1〜50重量%含有することを特徴とする液晶配向剤。
【0018】
[2] 前記ヘテロ環化合物が前記ヘテロ環構造を二個以上有する化合物であることを特徴とする[1]記載の液晶配向剤。
【0019】
[3] 前記ヘテロ環化合物が前記ヘテロ環構造を側鎖に有する重合体であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の液晶配向剤。
【0020】
[4] 前記重合体が、共重合体であることを特徴とする[3]に記載の液晶配向剤。
【0021】
[5] 前記ポリアミック酸は、酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成分としてジアミンとを反応させて得られる反応生成物であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【0022】
[6] 前記酸成分はA成分とB成分とを含み、酸のA成分として芳香族テトラカルボン酸二無水物を用い、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、下記構造式(1)、(2)、(5)〜(7)、及び(14)で構成される群から選ばれる化合物であることを特徴とする[5]記載の液晶配向剤。
【0023】
【化1】

【0024】
[7] 前記芳香族テトラカルボン酸二無水物が前記構造式(1)の化合物であることを特徴とする[6]記載の液晶配向剤。
【0025】
[8] 酸のB成分として脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物のいずれか一方又は両方を用いることを特徴とする[6]又は[7]に記載の液晶配向剤。
【0026】
[9] 前記脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物は、下記構造式(19)、(23)、(25)、(35)〜(37)、(39)、(44)、及び(49)で構成される群から選ばれる化合物であることを特徴とする[8]に記載の液晶配向剤。
【0027】
【化2】

【0028】
[10] 前記脂環式テトラカルボン酸二無水物が前記構造式(19)、(23)及び(49)で構成される群から選ばれる化合物であることを特徴とする[9]記載の液晶配向剤。
【0029】
[11] 前記アミン成分はA成分とB成分とを含み、アミンのA成分として下記一般式(I)〜(VII)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンを用いることを特徴とする[5]〜[10]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【0030】
【化3】

【0031】
一般式(I)中、A1は、−(CH2m−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また一般式(III)、(V)、(VII)中、A1は独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、又は−S−(CH2m−S−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また一般式(VI)中、A2は、独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−又は炭素数1〜6のアルキレンを表す。さらに一般式(II)〜(VII)中のシクロヘキサン環又はベンゼン環に結合している水素は、独立して−F、−CH3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、ベンジル又は4−ヒドロキシベンジルと置き換えられていてもよい。
【0032】
[12] 前記A成分のジアミンが下記構造式(IV−1)、(IV−2)、(IV−15)、(IV−16)、(V−1)〜(V−12)、(V−33)、(VII−1)及び(VII−2)で構成される群から選ばれる化合物であることを特徴とする[11]記載の液晶配向剤。
【0033】
【化4】

【0034】
[13] アミンのB成分として下記一般式(VIII)及び(IX)〜(XII)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンを用いることを特徴とする[11]又は[12]に記載の液晶配向剤。
【0035】
【化5】

【0036】
一般式(VIII)において、R1は単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH2O−、−CF2O−又は(CH2e−であって、eは1〜6の整数であり;R2はステロイド骨格を有する基、一般式(XIII)で示される基、炭素数1〜30のアルキル、又はフェニルであり;このアルキルの炭素数が2〜6であるとき、その任意の−CH2−は独立して−O−(ただし連続せず)、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよく、そしてこのフェニルの水素は独立してフッ素、メチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシで置き換え
られてもよい。
【0037】
一般式(IX)において、R3は独立して水素又はメチルであり;R4は水素又は炭素数1〜30のアルキルであり;R5は独立して単結合、−CO−又は−CH2−である。
【0038】
一般式(X)において、R3は独立して水素又はメチルであり;R4は水素又は炭素数1〜30のアルキルであり;R5は独立して単結合、−CO−又は−CH2−であり;そして、R6及びR7は独立して水素、炭素数1〜30のアルキル、又はフェニルである。
【0039】
一般式(XI)において、R8は水素又は炭素数1〜30のアルキルであって、このアルキルの任意の−CH2−は、−O−(ただし連続せず)、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよく;R9は独立して−O−又は炭素数1〜6のアルキレンであり;環Aは1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンであり;aは0又は1であり;bは0、1又は2であり;そして、cは独立して0又は1である。
【0040】
一般式(XII)において、R10は炭素数3〜30のアルキル、又は炭素数3〜30のフッ素化アルキルであり;R11は水素、炭素数1〜30のアルキル、又は炭素数1〜30のフッ素化アルキルであり;R12は独立して−O−又は炭素数1〜6のアルキレンであり;そして、dは独立して0又は1である。
【0041】
【化6】

【0042】
一般式(XIII)において、R13、R14及びR15は独立して単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数1〜3のオキシアルキレン、又は炭素数1〜3のアルキレンオキシ(ただし酸素は連続して結合しない)であり;R16及びR17は独立して水素、フッ素又はメチルであり;R18は水素、フッ素、塩素、シアノ、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、炭素数2〜30のアルコキシアルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシであり、これらのアルキル、アルコキシ及びアルコキシアルキルにおける任意の−CH2−は、ジフルオロメチレン又は一般式(XIV)で示される基で置き換えられてもよく;環B及び環Cは独立して1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンであり;f、g及びhは独立して0〜4の整数であり;i、j及びkは独立して0〜3の整数であって、これらの合計は1以上であり;l及びmは独立して1又は2である。
【0043】
【化7】

【0044】
一般式(XIV)において、R19、R20、R21及びR22は、独立して炭素数1〜10のアルキル、又はフェニルであり、そしてnは1〜100の整数である。
【0045】
[14] 前記B成分のジアミンは、下記一般式(VIII−2)、(VIII−4)、(VIII−5)、(VIII−6)、(XI−1)、(XI−2)及び(XI−6)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンであることを特徴とする[13]記載の液晶配向剤。
【0046】
【化8】

【0047】
前記一般式中、R23は、独立して、炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシを表し、R29は水素又は炭素数1〜30のアルキル基を表し、R30は水素又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
【0048】
[15] 二種類以上の前記ポリマーを含有することを特徴とする[1]〜[14]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【0049】
[16] オキシラン化合物をさらに含有することを特徴とする[1]〜[15]のいず
れか一項に記載の液晶配向剤。
【0050】
[17] チイラン及びオキサゾリンの一方又は両方のヘテロ環構造を有するヘテロ環化合物と、ポリアミック酸又はその誘導体とを含有する液晶配向剤であって、
前記ヘテロ環化合物を、前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して1〜40重量%含有し、
前記ポリアミック酸又はその誘導体が酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成分としてジアミンとを反応させて得られる反応生成物であり、
前記テトラカルボン酸二無水物は、酸のA成分として下記構造式(1)、(2)、(5)〜(7)及び(14)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及び酸のB成分として下記構造式(19)、(23)、(25)、(35)〜(37)、(39)、(44)及び(49)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、のいずれか一方又は両方であり、
前記ジアミンは、アミンのA成分として下記構造式(IV−1)、(IV−2)、(IV−15)、(IV−16)、(V−1)〜(V−12)、(V−33)、(VII−1)及び(VII−2)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及びアミンのB成分として下記一般式(VIII−2)、(VIII−4)、(VIII−5)、(VIII−6)、(XI−1)、(XI−2)及び(XI−6)で構成される群から選ばれる一般式で表される化合物の一又は二以上、のいずれか一方又は両方であることを特徴とする液晶配向剤。
【0051】
【化9】

【0052】
【化10】

【0053】
【化11】

【0054】
【化12】

【0055】
前記一般式中、R23は、独立して、炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシを表し、R29は水素又は炭素数1〜30のアルキル基を表し、R30は水素又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
【0056】
[18] 前記テトラカルボン酸二無水物は、前記酸のA成分として前記構造式(1)の化合物、及び、酸のB成分として前記構造式(19)、(23)及び(49)で構成される群から選ばれる化合物、のいずれか一方又は両方であり、前記ジアミンは、前記アミンのA成分として前記構造式(IV−16)、(V−1)、(V−7)及び(VII−2)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及び前記アミンのB成分、のいずれか一方又は両方であり、前記ヘテロ環化合物は、N,N,N’,N’,−テトラキスチイラニルメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエタン、ポリ(スチレン−co−2−イソプロペニルオキサゾリン)、及び1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンで構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上であることを特徴とする[17]に記載の液晶配向剤。
【0057】
[19] 前記アミンのB成分が、前記一般式(VIII−2)、(VIII−5)、(XI−1)、(XI−2)及び(XI−6)で構成される群から選ばれる一般式で表される化合物の一又は二以上であることを特徴とする[18]に記載の液晶配向剤。
【0058】
[20] オキシラン化合物をさらに含有することを特徴とする[17]〜[19]のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【0059】
[21] 前記オキシラン化合物が、フェノール−ジシクロペンタジエン樹脂型エポキシ樹脂、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの一方又は両方であることを特徴とする[20]に記載の液晶配向剤。
【0060】
[22] [1]〜[21]のいずれか一項に記載の液晶配向剤を、膜の状態で焼成して形成されることを特徴とする液晶配向膜。
【0061】
[23] 対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子において、前記液晶配向膜は、[22]に記載の液晶配向膜であることを特徴とする液晶表示素子。
【発明の効果】
【0062】
本発明により、電圧保持率が高く、その長期信頼性の良好な、種々の駆動方式の液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
本発明の液晶配向剤は、オキセタン、チイラン、アジリジン、及びオキサゾリンからなる群から選ばれる一又は二以上のヘテロ環構造を有するヘテロ環化合物、及び一種もしくは二種以上のポリアミック酸及びその誘導体を含む組成物である。
【0064】
<1.本発明におけるヘテロ環化合物>
本発明に用いられるヘテロ環化合物は、オキセタン、チイラン、アジリジン、及びオキサゾリンからなる群から選ばれる一又は二以上のヘテロ環構造を有する。前記ヘテロ環化合物は、一つの化合物中にヘテロ環構造を一種だけ有していてもよいし、二種以上有していてもよい。また前記ヘテロ環化合物は、一つの化合物中に前記ヘテロ環構造を一個有していれば良いが、二個以上有することが好ましい。またヘテロ環化合物は、ヘテロ環構造を側鎖に有する重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。ヘテロ環構造を側鎖に有する重合体は、ヘテロ環構造を側鎖に有するモノマーの単独重合体であってもよいし、ヘテロ環構造を側鎖に有するモノマーとヘテロ環構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。ヘテロ環構造を側鎖に有する共重合体は、ヘテロ環構造を側鎖に有する二種以上のモノマーの共重合体であってもよいし、ヘテロ環構造を側鎖に有する二種以上のモノマーとヘテロ環構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。
【0065】
前記特定のヘテロ環構造は、ヘテロ原子を有している。前記特定のヘテロ環化合物を含有する液晶配向剤が電圧保持率及び長期安定性に優れている理由は定かではないが、前記特定のヘテロ環化合物中の特定のヘテロ環構造におけるヘテロ原子とポリアミック酸中のカルボニル基とが反応することが関連していると思われる。したがって、前記特定のヘテロ環構造は、特定のヘテロ環構造中のヘテロ原子とポリアミック酸のカルボニル基とが反応し得るように特定のヘテロ環化合物中に存在する構造であることが好ましい。
【0066】
オキセタンを主にヘテロ環構造として有するヘテロ環化合物(以下、「オキセタン化合物」とも言う)、チイランを主にヘテロ環構造として有するヘテロ環化合物(以下、「チイラン化合物」とも言う)、アジリジンを主にヘテロ環構造として有するヘテロ環化合物(以下、「アジリジン化合物」とも言う)、オキサゾリンを主にヘテロ環構造として有するヘテロ環化合物(以下、「オキサゾリン化合物」とも言う)は、ポリアミック酸及びその誘導体を溶解させる溶媒に可溶であることが好ましい。
【0067】
オキセタン化合物としては、EPICLON(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕メタン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕エーテル、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕プロパン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕スルホン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ケトン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、及びテトラ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼンが挙げられる。これらの他、オキセタニルを有するオリゴマーやポリマーも挙げることができる。
【0068】
チイラン化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、及び3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、及び3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランにおけるグリシジル基の酸素を、例えばJ.Org.Chem.,28,229(1963)に記載されている方法に従って硫黄に置換し、前記グリシジル基をエチレンスルフィド基に変換したもの、が挙げられる。
【0069】
アジリジン化合物としては、2,4,6−トリス(1’−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、ω−アジリジニルプロピオン酸−2,2−ジヒドロキシメチル−ブタノールトリエステル、2,4,6−トリス(2−メチル−1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−エチル−1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、ビス(2−エチル−1−アジリジニル)ベンゼン−1,3−ジカルボン酸アミド、トリス(2−エチル−1−アジリジニル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸アミド、ビス(2−エチル−1−アジリジニル)セバシン酸アミド、1,6−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ヘキサン、2,4−ジエチレンウレイドトルエン、1,1’−カルボニル−ビス−エチレンイミン、ポリメチレン−ビス−エチレンユリア(C2〜C4)、及びN,N’−ビス(4,6−ジエチレンイミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−ヘキサメ
チレンジアミンが挙げられる。これらの他、アジリジニルを有するオリゴマーやポリマーも挙げることができる。
【0070】
オキサゾリン化合物としては、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2,4−トリス−(2−オキサゾリニル−2)−ベンゼン、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、及び2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)が挙げられる。これらの他、エポクロス(商品名、株式会社日本触媒製)のようなオキサゾリルを有するポリマーやオリゴマーも挙げることができる。
【0071】
<2.本発明におけるポリマー>
本発明における前記ポリマーは、ポリアミック酸及びその誘導体から選ばれる一又は二以上のポリマーである。ポリアミック酸は、酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成分としてジアミンとを反応させて得られる反応生成物である。本発明では、このようなポリアミック酸を用いることができる。
【0072】
また本発明におけるポリアミック酸はその誘導体を含んでいても良い。前記ポリアミック酸の誘導体とは、後述する液晶配向剤としたときに溶媒に溶解した形態であり、その液晶配向剤を後述する液晶配向膜としたときに、ポリイミドを主成分とする液晶配向膜を形成することができる成分である。このようなポリアミック酸の誘導体としては、例えば可溶性ポリイミド、ポリアミック酸エステル、及びポリアミック酸アミド等が挙げられ、より具体的には1)ポリアミック酸の全てのアミノとカルボキシルとが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)ポリアミック酸のカルボキシルがエステルに変換されたポリアミック酸エステル、4)テトラカルボン酸二無水物化合物に含まれる酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置き換えて反応させて得られたポリアミック酸−ポリアミド共重合体、さらに5)該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部もしくは全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドを含む。
【0073】
前記ポリアミック酸及びその誘導体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応によって得ることができる。本発明におけるテトラカルボン酸二無水物は、一種又は二種以上のテトラカルボン酸二無水物を用いるが、テトラカルボン酸二無水物の一部はジカルボン酸に置き換えられていてもよい。ここでテトラカルボン酸二無水物に対するジカルボン酸の比率は、10モル%以下にすることが好ましい。
【0074】
本発明におけるジアミンは、一種又は二種以上のジアミンを用いるが、ジアミンの一部はモノアミンに置き換えられていてもよい。ここでジアミンに対するモノアミンの比率は、10モル%以下にすることが好ましい。
【0075】
前記テトラカルボン酸二無水物は任意に選択され、例えば酸のA成分として用いる1)芳香族テトラカルボン酸二無水物、及び酸のB成分として用いる2)脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物のいずれか一種又は二種以上が好ましくは挙げられる。
【0076】
なお、本発明におけるポリアミック酸が液晶配向剤の成分として使用されるためには、
溶媒に可溶な形態をとることが好ましい。本発明におけるポリアミック酸を該可溶な形態とするために、酸成分として用いるテトラカルボン酸二無水物を適宜に選択することが好ましい。
【0077】
ここで、酸のA成分として用いる1)芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記構造式(1)〜(18)で表される酸二無水物が具体例として挙げられる。下記の芳香族テトラカルボン酸二無水物のうち、より好ましくは構造式(1)、(2)、(5)、(6)、(7)、及び(14)で表される酸二無水物が挙げられ、最も好ましくは構造式(1)で表されるピロメリット酸二無水物が挙げられる。
【0078】

【化13】


【0079】
また、酸のB成分として用いる前記2)脂肪族テトラカルボン酸二無水物もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記構造式(19)〜(67)で表される酸二無水物が具体的に例示される。
【0080】

【化14】



【0081】
上記のテトラカルボン酸二無水物のうち、好ましくは構造式(19)〜(39)、(44)、及び(49)で表される酸二無水物が挙げられ、より好ましくは構造式(19)、(23)、(25)、(35)、(36)、(37)、(39)、(44)及び(49)で表される酸二無水物が挙げられ、さらに好ましくは構造式(19)、(23)及び(49)で表される酸二無水物が挙げられ、特に好ましくは構造式(19)で表される1,2
,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0082】
また本発明におけるポリアミック酸を、溶媒に可溶性なポリイミドとするには、構造式(24)、(35)〜(44)、(49)、(50)、(53)、(60)で表される酸二無水物を用いることが好ましい。
【0083】
本発明におけるテトラカルボン酸二無水物は、構造式(1)〜(67)で表されるテトラカルボン酸二無水物を一種単独で用いることもできるし、二種以上を組み合わせて用いることもできる。芳香族テトラカルボン酸二無水物と、脂肪族テトラカルボン酸二無水物もしくは脂環式テトラカルボン酸二無水物(特に好ましくは、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物)とを用いた、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物から合成されるポリアミック酸を含有する液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜は、それを含む液晶表示素子に、特に良好な電圧保持率を付与することができる。
【0084】
さらに、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物には、構造式(1)〜(67)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物も用いることができる。他のテトラカルボン酸二無水物は任意であるが、例えば、側鎖構造を有するテトラカルボン酸二無水物を挙げることもできる。側鎖構造を有するテトラカルボン酸二無水物を用いた、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物から合成されるポリアミック酸を含有する液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜は、それを含む液晶表示素子におけるプレチルト角を大きくすることができる。
【0085】
側鎖構造を有するテトラカルボン酸二無水物は特に限定されるものではないが、下記構造式(68)、(69)で表されるステロイド骨格を有するものが本発明において好ましく使用され得る。
【0086】
【化15】

【0087】
なお、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物に用い得る、前記他のテトラカルボン酸二無水物は、前述したテトラカルボン酸二無水物に限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態のテトラカルボン酸二無水物が存在することはいうまでもない。このようなさらなる他のテトラカルボン酸二無水物は一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いられることができる。
【0088】
また、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物に用いるテトラカルボン酸二無水物の一部は、カルボン酸無水物に置き換えられていてもよい。テトラカルボン酸二無水物の一部をカルボン酸無水物に置き換えることにより、重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の反応の進行を抑えることができることから、得られる重合体(ポリアミック酸)の分子量を容易に制御することができる。テトラカルボン酸二無水物に対するカルボン酸無水物の比率は、本発明の効果を損なわない範囲にすればよいが、目安として全アミン量の10モル%以下にすることが好ましい。
【0089】
前記の通り、本発明の液晶配向剤に含まれるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるものである。
【0090】
前記ジアミンは任意に選択されるが、好ましくは一般式(I)〜(VII)で表されるジアミンが挙げられる。
【0091】
【化16】

【0092】
一般式(I)中、A1は、−(CH2m−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また一般式(III)、(V)、(VII)中、A1は独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、又は−S−(CH2m−S−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また一般式(VI)中、A2は、独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−又は炭素数1〜6のアルキレンを表す。さらに一般式(II)〜(VII)中のシクロヘキサン環又はベンゼン環に結合している水素は、独立して−F、−CH3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、ベンジル又は4−ヒドロキシベンジルと置き換えられていてもよい。
【0093】
一般式(I)で表されるジアミンとしては、例えば構造式(I−1)〜(I−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0094】
【化17】

【0095】
一般式(II)で表されるジアミンとしては、例えば構造式(II−1)、(II−2)で表されるジアミンが挙げられる。
【0096】
【化18】

【0097】
一般式(III)で表されるジアミンとしては、例えば構造式(III−1)〜(III−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0098】
【化19】

【0099】
一般式(IV)で表されるジアミンとしては、例えば構造式(IV−1)〜(IV−16)で表されるジアミンが挙げられる。
【0100】
【化20】

【0101】
一般式(V)で表されるジアミンとしては、例えば構造式(V−1)〜(V−33)で表されるジアミンが挙げられる。
【0102】
【化21】


【0103】
一般式(VI)で表されるジアミンとしては、例えば構造式(VI−1)〜(VI−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【0104】
【化22】

【0105】
一般式(VII)で表されるジアミンとしては、例えば構造式(VII−1)〜(VII−16)で表されるジアミンが挙げられる。
【0106】
【化23】

【0107】
これらのうち、より好ましくは、構造式(IV−1)〜(IV−5)、(IV−15)、(IV−16)、(V−1)〜(V−12)、(V−26)、(V−27)、(V−31)、(V−33)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−6)、(VII−1)〜(VII−5)で表されるジアミンが挙げられ、最も好ましくは構造式(IV−1)、(IV−2)、(IV−15)、(IV−16)、(V−1)〜(V−12)、(V−33)、(VII−1)、及び(VII−2)で表されるジアミンが挙げられる。
【0108】
本発明におけるジアミンは前記一般式(I)〜(VII)で表されるジアミンを一種単
独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。本発明におけるジアミンの前記一般式(I)〜(VII)で表されるジアミンのモル比は、選択された前記一般式(I)〜(VII)で表されるジアミンの構造と、所望する電圧保持率に応じて調整すればよく、1〜100%であることが好ましく、5〜80%であることがより好ましい。
【0109】
前記の通り、本発明におけるジアミンは一種又は二種以上のジアミンを用いるが、特にVA型液晶表示素子、OCB型液晶表示素子、STN型液晶表示素子等の大きなプレチルト角が要求されるような用途では、側鎖構造を有するジアミンを用いることが好ましい。
【0110】
本明細書において、側鎖構造を有するジアミンとは二つのアミノ基を結ぶ置換基を主鎖としたときに、主鎖から分岐する、所望のプレチルト角を発現させることができる置換基(側鎖)を有するジアミンを意味する。すなわち、側鎖構造を有するジアミンは、テトラカルボン酸二無水物と反応することで、高分子主鎖に対して側鎖基を有するポリアミック酸又はポリイミド(分岐ポリアミック酸又は分岐ポリイミド)を提供することができる。このような高分子主鎖に対して側鎖基を有するポリアミック酸又はポリイミドを含有する液晶配向剤から形成される液晶配向膜は、液晶表示素子におけるプレチルト角を大きくすることができる。このことは、例えば、前記特許文献1(特開平11−193345号公報)に記載されている。
【0111】
従って、側鎖構造を有するジアミンにおける側鎖は、要求されるプレチルト角に応じて適宜選択すればよい。例えば、該側鎖は炭素数3以上の基が好ましく挙げられる。具体的には、
1)置換基を有していてもよいフェニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニレン、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)フェニレン、又は炭素数3以上のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、
2)置換基を有していてもよいフェニルオキシ、置換基を有していてもよいシクロヘキシルオキシ、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)オキシ、置換基を有していてもよいフェニルシクロヘキシルオキシ、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニルオキシ、又は炭素数3以上のアルキルオキシ、アルケニルオキシもしくはアルキニルオキシ、
3)フェニルカルボニル、又は炭素数3以上のアルキルカルボニル、アルケニルカルボニルもしくはアルキニルカルボニル、
4)フェニルカルボニルオキシ、又は炭素数3以上のアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシもしくはアルキニルカルボニルオキシ、
5)置換基を有していてもよいフェニルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)オキシカルボニル、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル、置換基を有していてもよいシクロヘキシルビス(フェニル)オキシカルボニル、又は炭素数3以上のアルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニルもしくはアルキニルオキシカルボニル、
6)フェニルアミノカルボニル、又は炭素数3以上のアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニルもしくはアルキニルアミノカルボニル、
7)炭素数3以上の環状アルキレン、
8)置換基を有していてもよいシクロヘキシルアルキレン、置換基を有していてもよいフェニルアルキレン、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)アルキレン、置換基を有していてもよいシクロヘキシルフェニルアルキレン、置換基を有していてもよいビス(シクロヘキシル)フェニルアルキレン、置換基を有していてもよいフェニルアルキルオキシ、アルキルフェニルオキシカルボニル、又はアルキルビフェニリルオキシカルボニル、
9)アルキル、フッ素置換アルキル、又はアルコキシによって置換されたフェニル又は
シクロヘキシル、及び、
10)二個以上のベンゼン環又はシクロヘキサン環が単結合し、又は、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−若しくは炭素数1〜3のアルキレンを介して結合した、アルキル、フッ素置換アルキル、又はアルコキシによって置換された環集合基、又はステロイド骨格を有する基等が挙げられるが、これに限定されない。
【0112】
ここで、「置換基」としては、アルキル、アルコキシ、又はアルコキシアルキル等を挙げることができる。
【0113】
また、ビス(シクロヘキシル)、又はビス(フェニル)は、アルキレンによって中断されていてもよい。
【0114】
なお、本明細書において、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」というときは、線状でもよいし、枝分かれでもよい。
【0115】
本発明に用いられる側鎖構造を有するジアミンとしては、具体的には一般式(VIII)、(IX)〜(XII)で表されるジアミンが挙げられる。
【0116】
【化24】

【0117】
ここに、一般式(VIII)において、R1は単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH2O−、−CF2O−又は(CH2e−であって、eは1〜6の整数であり、R2はステロイド骨格を有する基、一般式(XIII)で示される基、炭素数1〜30のアルキル、又はフェニルであり、このアルキルの炭素数が2〜6であるとき、その任意の−CH2−は独立して−O−(ただし連続せず)、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよく、そしてこのフェニルの水素は独立してフッ素、メチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシで置き換えられてもよい。
【0118】
【化25】

【0119】
一般式(IX)において、R3は独立して水素又はメチルであり、R4は水素又は炭素数1〜30のアルキルであり、R5は独立して単結合、−CO−又は−CH2−である。また一般式(X)において、R3は独立して水素又はメチルであり、R4は水素又は炭素数1〜30のアルキルであり、R5は独立して単結合、−CO−又は−CH2−であり、そして、R6及びR7は独立して水素、炭素数1〜30のアルキル、又はフェニルである。
【0120】
【化26】

【0121】
一般式(XI)において、R8は水素又は炭素数1〜30のアルキルであって、このアルキルの任意の−CH2−は、独立して−O−(ただし連続せず)、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよく、R9は独立して−O−又は炭素数1〜6のアルキレンであり、環Aは1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンであり、aは0又は1であり、bは0、1又は2であり、そして、cは独立して0又は1である。
【0122】
一般式(XII)において、R10は炭素数3〜30のアルキル、又は炭素数3〜30のフッ素化アルキルであり、R11は水素、炭素数1〜30のアルキル、又は炭素数1〜30のフッ素化アルキルであり、R12は独立して−O−又は炭素数1〜6のアルキレンであり、そして、dは独立して0又は1である。
【0123】
【化27】

【0124】
一般式(XIII)中、R13、R14及びR15は独立して単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数1〜3のオキシアルキレン、又は炭素数1〜3のアルキレンオキシ(ただし酸素は連続して結合しない)であり;R16及びR17は独立して水素、フッ素又はメチルであり;R18は水素、フッ素、塩素、シアノ、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、炭素数2〜30のアルコキシアルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシであり、これらのアルキル、アルコキシ及びアルコキシアルキルにおける任意の−CH2−は、ジフルオロメチレン又は一般式(XIV)で示される基で置き換えられてもよく;環B及び環Cは独立して1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンであり;f、g及びhは独立して0〜4の整数であり;i、j及びkは独立して0〜3の整数であって、これらの合計は1以上であり;l及びmは独立して1又は2である。
【0125】
【化28】

【0126】
ここに、一般式(XIV)中、R19、R20、R21及びR22は、独立して炭素数1〜10のアルキル、又はフェニルであり、そしてnは1〜100の整数である。
【0127】
一般式(VIII)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式又は構造式(VIII−1)〜(VIII−43)で表されるジアミンが挙げられる。
【0128】
【化29】

【0129】
一般式(VIII−1)〜(VIII−11)において、R23は炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシが好ましく、炭素数5〜25のアルキル又は炭素数5〜25のアルコキシがさらに好ましい。また、R24は炭素数1〜30のアルキル又は炭素数1〜30のアルコキシが好ましく、炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシがさらに好ましい。
【0130】
【化30】

【0131】
一般式(VIII−12)〜(VIII−15)においてR25は炭素数4〜30のアルキルが好ましく、炭素数6〜25のアルキルがさらに好ましい。一般式(VIII−16)及び(VIII−17)においてR26は炭素数6〜30のアルキルが好ましく、炭素数8〜25のアルキルがさらに好ましい。
【0132】

【化31】


【0133】
一般式(VIII−18)〜(VIII−37)において、R27は炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシが好ましく、炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシがさらに好ましい。R28は−H、−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2又は−OCF3が好ましく、炭素数3〜25のアルキル又は炭素数3〜25のアルコキシがさらに好ましい。
【0134】
【化32】

【0135】
これらのうち、好ましくは、一般式(VIII−1)〜(VIII−11)で表されるジアミンが挙げられる。より好ましくは、一般式(VIII−2)、(VIII−4)、(VIII−5)、(VIII−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【0136】
前記一般式(IX)において、二つの「NH2−Ph−R5−O−」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方は6位に結合していることが好ましい。また、二つのアミノ基はそれぞれ、フェニル環炭素に結合しており、R5の結合位置に対して、メタ又はパラに結合していることが好ましい。
【0137】
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、例えば構造式(IX−1)〜(IX−4
)で表されるジアミンが挙げられる。
【0138】
【化33】

【0139】
一般式(X)において、二つの「NH2−(R7−)Ph−R5−O−」は、それぞれフェニル環の炭素に結合しているが、好ましくはステロイド核が結合している炭素に対してメタ又はパラの炭素に結合している。また、二つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、R5に対してメタ又はパラに結合していることが好ましい。
【0140】
一般式(X)で表されるジアミンとしては、例えば構造式(X−1)〜(X−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【0141】

【化34】


【0142】
前記一般式(XI)において、二つのアミノ基はそれぞれフェニル環の炭素に結合しているが、R9に対してメタ又はパラに結合していることが好ましい。
【0143】
一般式(XI)で表されるジアミンとしては、例えば一般式(XI−1)〜(XI−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【0144】

【化35】


【0145】
一般式(XI−1)〜(XI−3)中、R29は−H、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、一般式(XI−4)〜(XI−8)中、R30は−H、炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
【0146】
前記一般式(XII)において、二つのアミノ基はそれぞれフェニル環の炭素に結合しているが、R12に対してメタ又はパラに結合していることが好ましい。
【0147】
一般式(XII)で表されるジアミンとしては、例えば一般式(XII−1)〜(XII−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0148】
【化36】

【0149】
一般式(XII−1)〜(XII−3)中、R31は炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、R32は−H、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
【0150】
本発明におけるジアミンには、前記一般式(VIII)〜(XII)で表されるジアミンを一種単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。本発明におけるジアミンにおける側鎖構造を有するジアミンのモル比は、選択された側鎖構造を有するジアミンの構造と、所望するプレチルト角に応じて調整すればよく、1〜100%であることが好ましく、10〜100%であることがより好ましい。
【0151】
さらに、本発明におけるジアミンには、一般式(I)〜(VII)で表されるジアミン、及び一般式(VIII)〜(XII)で表される側鎖構造を有するジアミン以外の他のジアミンを用い得る。このような他のジアミンは任意であるが、例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、又はシロキサン結合を有するシロキサン系ジアミン、又は一般式(VIII)〜(XII)以外の側鎖構造を有するジアミンを挙げることができる。
【0152】
シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、下記一般式(XV)で表されるものが本発明において好ましく使用され得る。
【0153】
【化37】

【0154】
一般式(XV)中、R33及びR34は独立して炭素数1〜3のアルキル又はフェニルを表し、A3は独立してメチレン、フェニレン又はアルキル置換されたフェニレンを表す。lは1〜6の整数を表し、mは1〜10の整数を表す。
【0155】
さらに、その他のジアミンは特に限定されるものではないが、例えば下記一般式(1’)〜(8’)で表されるものが本発明において好ましく使用され得る。
【0156】
【化38】

【0157】
一般式(1’)〜(8’)中、R35及びR36は独立して炭素数3〜30のアルキル基を表す。
【0158】
なお、本発明におけるジアミンに用いる、一般式(I)〜(XII)以外の前記他のジアミンは、前記ジアミンに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態のジアミンが存在することはいうまでもない。また、前記他のジアミンは一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0159】
本発明におけるジアミンは、ジアミンの種類及びその組み合わせを適宜選択することにより、本発明の液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜に、好適なプレチルト角を付与することができる。
【0160】
VA型液晶表示素子の場合には80〜90°程度の大きなプレチルト角が、OCB型液晶表示素子の場合には7〜20°程度のプレチルト角が、TN型液晶表示素子やSTN型液晶表示素子の場合には3〜10°程度のプレチルト角が、及びIPS型液晶表示素子の場合には0〜3°程度の小さなプレチルト角が要求される場合が多い。従って、側鎖構造を有するジアミンを用いてプレチルト角を適宜調整することができる本発明の液晶配向剤は、任意の種類の液晶表示素子に適用することができる。
【0161】
前記の通り、本発明におけるジアミンに用いるジアミンの一部は、モノアミンに置き換えられていてもよい。ジアミンの一部をモノアミンに置き換えることにより、重合反応の
ターミネーションを起こすことができ、それ以上の反応の進行を抑えることができることから、得られる重合体(ポリアミック酸)の分子量を容易に制御することができる。ジアミンに対するモノアミンの比率は、本発明の効果を損なわない範囲にすればよいが、目安として全アミン量の10モル%以下にすることが好ましい。
【0162】
本発明の液晶配向剤では、オキシラン化合物をさらに含有することが、本発明の液晶表示素子における保存特性の劣化を抑制する観点から好ましい。前記オキシラン化合物は、一又は二以上のオキシラニルを有する化合物である。オキシラン化合物は重合体であってもよい。重合体である場合では、オキシラン化合物は単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。
【0163】
オキシラン化合物としては、例えばエーテル型オキシラン化合物、脂肪環状族オキシラン化合物、エステル型オキシラン化合物、アミン型オキシラン化合物、複素環式オキシラン化合物、シラン型オキシラン化合物、オキシラニル基含有アクリル系化合物などが挙げられる。オキシラン化合物には、これらのようなオキシラン化合物の一種又は二種以上を用いることができる。
【0164】
エーテル型オキシラン化合物市販品としては、例えばエピコート1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010(油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート807(油化シェルエポキシ(株)製)、エピクロンHP−7200HH、同 EXA−7260HH(大日本インキ(株)製);脂肪環状族オキシラン化合物市販品としては、例えばCY−175、同177、同179(CIBA−GEIGY社製)、ERL−4234、同4299、同4221、同4206(U.C.C.社製);エステル型オキシラン化合物市販品としては、例えばショーダイン508(昭和電工(株)製)、アラルダイトCY−182、同192、同184(CIBA−GEIGY社製)、エピコート871、同872(油化シェルエポキシ(株)製)、ED−5661、同5662(セラニーズコーティング(株)製);アミン型オキシラン化合物としては、例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−パラ−アミノフェノール、トリグリシジル−メタ−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、ジグリシジルトリブロムアニリン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン;複素環式オキシラン化合物市販品としては、例えばアラルダイトPT810(CIBA−GEIGY社製)、エピコートRXE−15(油化シェルエポキシ(株)製)、EPITEC(日産化学(株)製);シラン型オキシラン化合物としては、例えば(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0165】
その他にも前記オキシラン化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、及び3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、及
び3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0166】
本発明におけるポリアミック酸及びその誘導体は、任意の重量平均分子量を有することができる。前記ポリアミック酸及びその誘導体の重量平均分子量は特に限定されないが、液晶配向剤の成分として用いられる場合は5×103以上であることが好ましく、1×104以上であることがより好ましい。5×103以上の重量平均分子量を有するポリアミック酸及びその誘導体は、液晶配向膜を焼成するステップにおいて蒸発することがなく、液晶配向剤の成分として好ましい物性を有する。
【0167】
ここで、ポリアミック酸及びその誘導体の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定される。例えば、得られたポリアミック酸及びその誘導体をジメチルホルムアミド(DMF)でポリアミック酸濃度が約1重量%になるように希釈し、クロマトパックC−R7A(島津製作所製)を用いて、DMFを展開溶媒としてゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求められる。さらに、ポリアミック酸やポリアクリル酸等のGPC測定を精度良く行うために、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸やリチウムブロミド、リチウムクロリド等の無機塩をDMF溶媒に溶解させた展開溶媒を調製することがある。
【0168】
本発明におけるポリアミック酸及びその誘導体は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、原料投入口、窒素導入口、温度計、攪拌機及びコンデンサーを備えた反応容器に、一般式(I)〜(XII)で表されるジアミンの一種又は二種以上と、場合によって他のジアミンから選択される一種又は二種以上のジアミン、さらに必要に応じてモノアミンの所望量を仕込む。
【0169】
次に、溶媒(例えばアミド系極性溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンやジメチルホルムアミド等)及びテトラカルボン酸二無水物の一種又は二種以上、さらに必要に応じてカルボン酸無水物を投入する。このときテトラカルボン酸二無水物の総仕込み量は、ジアミンの総モル数とほぼ等モル(モル比0.9〜1.1程度)とすることが好ましい。
【0170】
攪拌下に温度0〜70℃で1〜48時間反応させることによりポリアミック酸の溶液を得ることができる。また、加熱して反応温度を上げる(例えば、50〜80℃)ことにより、分子量の小さいポリアミック酸を得ることもできる。
【0171】
本発明におけるポリアミック酸は、多量の貧溶媒で沈殿させ、固形分と溶媒とを濾過等により完全に分離し、IR、NMRで分析することにより同定され得る。さらには、KOHやNaOH等の強アルカリの水溶液で固形のポリアミック酸を分解後、有機溶媒で抽出し、GC、HPLCもしくはGC−MSで分析することにより、使用されているモノマーを同定することができる。
【0172】
得られたポリアミック酸の溶液は、所望の粘度に調整するために溶媒で希釈して使用することができる。
【0173】
また、本発明におけるポリアミック酸をポリアミック酸誘導体である可溶性ポリイミドとする場合には、ポリアミック酸溶液を、脱水剤である無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物、及び脱水閉環触媒であるトリエチルアミン、ピリジン
、コリジン等の三級アミンとともに、温度20〜150℃でイミド化反応させて得ることができる。
【0174】
又は、ポリアミック酸溶液から多量の貧溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒やグリコール系溶媒)を用いてポリアミック酸を析出させ、析出させたポリアミック酸を、トルエン、キシレン等の溶媒中で、前記と同様の脱水剤及び脱水閉環触媒とともに、温度20〜150℃でイミド化反応させて得ることもできる。
【0175】
前記イミド化反応において、脱水剤と脱水閉環触媒の割合は0.1〜10(モル比)であることが好ましい。両者の合計使用量は、使用するテトラカルボン酸二無水物に含まれる酸二無水物のトータルのモル量に対して1.5〜10倍モルであることが好ましい。この化学的イミド化の脱水剤、触媒量、反応温度及び反応時間を調整することによって、イミド化の程度を制御し、部分ポリイミドを得ることができる。
【0176】
得られた部分ポリイミドは、溶媒と分離して、後述する溶媒に、前述したヘテロ環化合物と共に再溶解させて液晶配向剤として使用することもできるし、又は溶媒と分離することなく前記ヘテロ環化合物を添加して液晶配向剤として使用することもできる。
【0177】
また前記したように、本発明におけるテトラカルボン酸二無水物に用いる酸二無水物の一部は有機ジカルボン酸に置き換えられていてもよい。有機ジカルボン酸及びテトラカルボン酸二無水物を用いて本発明におけるポリアミック酸を製造すると、ポリアミック酸−ポリアミド共重合体を得ることができる。ここで、テトラカルボン酸二無水物に対する有機ジカルボン酸の比率は、本発明の効果を損なわない範囲にすればよいが、目安としては、10モル%以下にすることが好ましい。
【0178】
さらに、該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体を化学的にイミド化することによってポリアミドイミドを製造することができる。
【0179】
<3.本発明の液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、前記ヘテロ環化合物、前述した本発明におけるポリアミック酸及びその誘導体を含む。本発明の液晶配向剤は、粘度等の物性の調整、取り扱いの容易さ、工程の簡略化等の観点から、さらに溶媒を含んでいても良く、通常の液晶配向剤に含有される各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0180】
前記液晶配向剤における前記ヘテロ環化合物の含有率は、液晶配向剤中のポリアミック酸及びその誘導体の重量あたり、総量で0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることが液晶表示素子に用いたときの電気特性の長期安定性の観点からさらに好ましい。
【0181】
前記ヘテロ環化合物における前記ヘテロ環構造の液晶配向剤中の含有量は、ヘテロ環構造の種類に応じて異なる。液晶配向剤におけるオキセタン化合物の含有量は、オキセタン化合物中のオキセタン構造をオキセタンに換算したときにポリアミック酸及びその誘導体に対して0.1〜40重量%であることが好ましい。また液晶配向剤におけるチイラン化合物の含有量は、チイラン化合物中のチイラン構造をチイランに換算したときにポリアミック酸及びその誘導体に対して0.1〜40重量%であることが好ましい。また液晶配向剤におけるアジリジン化合物の含有量は、アジリジン化合物中のアジリジン構造をアジリジンに換算したときにポリアミック酸及びその誘導体に対して0.1〜40重量%であることが好ましい。また液晶配向剤におけるオキサゾリン化合物の含有量は、オキサゾリン化合物中のオキサゾリン構造をオキサゾリンに換算したときにポリアミック酸及びその誘導体に対して0.1〜40重量%であることが好ましい。
【0182】
なお、ヘテロ環化合物に二種以上のヘテロ環構造が含まれる場合では、液晶配向剤中のヘテロ環構造の含有量は、ヘテロ環化合物中の個々のヘテロ環構造の割合に応じて求められる。
【0183】
本発明の液晶配向剤におけるオキシラン化合物の含有量は、オキシラニル換算でポリアミック酸及びその誘導体に対して1〜20重量%であることが、本発明の液晶表示素子における保存特性の劣化を抑制する観点から好ましい。
【0184】
本発明におけるポリアミック酸及びその誘導体には、前述したポリアミック酸及びその誘導体を用いることができる。例えばポリアミック酸であれば、前記酸のA成分又はB成分と前記アミンのA成分又はB成分とを反応させて得られるポリアミック酸、前記酸のA成分及びB成分と前記アミンのA成分又はB成分とを反応させて得られるポリアミック酸、前記酸のA成分又はB成分と前記アミンのA成分及びB成分とを反応させて得られるポリアミック酸、及び前記酸のA成分及びB成分と前記アミンのA成分及びB成分とを反応させて得られるポリアミック酸、等が挙げられる。
【0185】
本発明の液晶配向剤におけるポリアミック酸及びその誘導体の含有率は、液晶配向剤の基板への塗布方法によって適宜選択されることができる。例えば、通常の液晶表示素子の製造工程で用いられる印刷機(オフセット印刷機やインクジェット印刷機を含む。以下、「印刷機」と略すことがある。)で使用される液晶配向剤におけるポリアミック酸及びその誘導体の含有率は、総量で0.5〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15重量%であることが好ましいが、液晶配向剤の粘度(後述)との関係で適宜調整される。
【0186】
本発明に用いられる溶媒は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド、及びポリアミドイミド等の高分子成分の製造工程や用途で通常使用されている溶媒を広く含み、使用目的に応じて適宜選択され得る。該溶媒は、1)ポリアミック酸や可溶性ポリイミドに対して易溶性である非プロトン性極性有機溶媒と、2)表面張力を変えて塗布性改善等を目的とする溶媒とを含む混合溶媒であることが好ましい。
これらの溶媒を例示すれば以下のとおりである。
【0187】
1)ポリアミック酸や可溶性ポリイミドに対し良溶媒である非プロトン性極性有機溶媒(以下、非プロトン性極性有機溶媒):例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンである。これらのうち、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等がさらに好ましく例示される。
【0188】
2)表面張力を変えて塗布性改善等を目的とした溶媒(以下、その他の溶媒):例えば、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキル又はフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、これらアセテート類等のエステル化合物である。これらのうち、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等がさらに好ましく例示される。
【0189】
非プロトン性極性溶媒とその他の溶媒の種類及び割合は、液晶配向剤の印刷性、塗布性、溶解性及び保存安定性等を考慮して、適宜に設定することができる。非プロトン性極性溶媒は、その他の溶媒よりも相対的に溶解性及び保存安定性に優れ、その他の溶媒は印刷性及び塗布性に優れる傾向がある。
【0190】
前記の通り、本発明の液晶配向剤は各種添加剤を含有していてもよい。各種添加剤としては、ポリアミック酸及びその誘導体以外の高分子化合物、又は低分子化合物をそれぞれの目的に応じて選択して使用することができる。
【0191】
例えば、有機溶媒に可溶性の高分子化合物を添加剤としてもよく、それらを添加することにより、形成される液晶配向膜の電気特性や配向性を制御することができる。該高分子化合物の例としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエポキサイド、ポリエステルポリオール、シリコーン変性ポリウレタン、シリコーン変性ポリエステル等を挙げることができる。
【0192】
また、低分子化合物の添加剤としては、例えば1)塗布性の向上を望むときにはかかる目的に沿った界面活性剤を、2)帯電防止の向上を必要とするときは帯電防止剤を、3)基板との密着性や耐ラビング性の向上を望むときにはシランカップリング剤、チタン系のカップリング剤を、また、4)低温でイミド化を進行させる場合はイミド化触媒を、用いることができる。
【0193】
前記シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等を挙げることができる。
【0194】
前記イミド化触媒の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、メチル置換アニリン、ヒドロキシ置換アニリン等の芳香族アミン類;ピリジン、メチル置換ピリジン、ヒドロキシ置換ピリジン、キノリン、メチル置換キノリン、ヒドロキシ置換キノリン、イソキノリン、メチル置換イソキノリン、ヒドロキシ置換イソキノリン、イミダゾール、メチル置換イミダゾール、ヒドロキシ置換イミダゾール等の環式アミン類等の触媒を添加することが好ましい。特に、N,N−ジメチルアニリン、o−ヒドロキシアニリン、m−ヒドロキシアニリン、p−ヒドロキシアニリン、o−ヒドロキシピリジン、m−ヒドロキシピリジン、p−ヒドロキシピリジン、イソキノリン等を挙げることができる。
【0195】
シランカップリング剤の添加量は、通常、ポリマーの総重量の0〜10重量%であり、0.1〜3重量%であることが好ましい。
【0196】
イミド化触媒の添加量は、通常、ポリアミック酸及びその誘導体のカルボニル基に対して0.01〜5等量であり、0.05〜3等量であることが好ましい。
【0197】
その他の添加剤の添加量は、その用途に応じて異なるが、通常、ポリアミック酸及びその誘導体の総重量の0〜30重量%であり、0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0198】
本発明の液晶配向剤の粘度は、塗布する方法、ポリアミック酸及びその誘導体の濃度、使用するポリアミック酸及びその誘導体の種類、溶媒の種類と割合によって多種多様である。例えば、印刷機による塗布の場合は5〜100mPa・s(より好ましくは10〜80mPa・s)であることが好ましい。5mPa・sより小さいと十分な膜厚を得ることが難しくなり、100mPa・sを超えると印刷ムラが大きくなることがある。スピンコートによる塗布の場合は5〜200mPa・s(より好ましくは10〜100mPa・s)が適している。
【0199】
液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業製TVE−20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
【0200】
本発明の液晶配向剤の別の好ましい形態は、二種以上のポリアミック酸及びその誘導体を含む組成物である。例えば二種のポリアミック酸を含む液晶配向剤であってテトラカルボン酸二無水物と側鎖構造を有さないジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸又はその誘導体をポリアミック酸Iとし、テトラカルボン酸二無水物と側鎖構造を有するジアミンを用いるジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸又はその誘導体をポリアミック酸IIとしたときに、ポリアミック酸I及びポリアミック酸IIの組成物は、前述のポリアミック酸Iとポリアミック酸IIを混合させることにより調製される。ポリアミック酸Iを含有する液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜は、それを含む液晶表示素子に、良好な電圧保持率を付与することができる。ポリアミック酸IIを含有する液晶配向剤を用いて形成される液晶配向膜は、それを含む液晶表示素子に、好適なプレチルト角を付与することができる。
【0201】
混合されるポリアミック酸Iとポリアミック酸IIの重量比は、I/II=99/1〜50/50であることが好ましく、I/II=95/5〜80/20であることがより好ましい。該重量比は、例えば求められるプレチルト角に応じて適宜調整されればよく、ポリアミック酸IIの比率を上げればプレチルト角を大きくすることができる。このように、本発明では、二種以上の前記ポリマーを含有させる(ブレンドする)ことによっても、本発明の液晶配向剤として好ましい特性を付与することができる。
【0202】
<4.本発明の液晶配向膜>
本発明の液晶配向膜は、前述した本発明の液晶配向剤における前記ポリアミック酸を、本発明の液晶配向剤の膜の状態で焼成して形成される液晶配向膜である。
【0203】
前記液晶配向膜は、例えば液晶表示素子用の基板、又はフッ化カルシウムやシリコン等の測定用の基板に本発明の液晶配向剤を塗布し、この液晶配向剤の膜を例えば150〜400℃、好ましくは180〜280℃に加熱することによって形成することができる。ここで液晶配向膜の膜厚は、10〜300nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。また、液晶配向膜はラビング処理されていることが好ましい。
【0204】
前記液晶配向膜の膜厚は、液晶配向剤の粘度や液晶配向剤の塗布方法によって調整することができる。また液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。さらに液晶配向膜中の成分は、必要に応じて加水分解等の処理を行い、IRやMS等の通常の分析手段を利用して分析することができる。
【0205】
<5.本発明の液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、1)対向配置された一対の基板、2)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された本発明の液晶配向膜、及び3)前記一対の基板間に挟持された液晶層を含む。
【0206】
前記対向配置された一対の電極付き基板は、透明基板(例えばガラス基板)であることが好ましい。
【0207】
前記一対の基板の少なくとも一方又は両方の基板の表面には、液晶表示素子の形態に応じて電極が設けられる。前記電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。電極は、基板の表面の全体に形成されていても良いし、例えばパターン化されている所定の形状に形成されていても良い。電極が設けられていない基板には基板の表面上に本発明の液晶配向膜が形成され、電極が設けられている基板には電極の上に本発明の液晶配向膜が形成される。本発明の液晶配向膜の形成については前述したとおりである。
【0208】
前記一対の基板間に挟持された液晶層は液晶組成物を含む。ここで液晶組成物は特に制限はされず、駆動モードに応じて、誘電率異方性が正の液晶組成物及び誘電率異方性が負の液晶組成物のいずれの組成物も用いることができる。
【0209】
誘電率異方性が正である好ましい液晶組成物の例は、特許第3086228号公報、特許第2635435号公報、特表平5−501735号公報、特開平8−157826号公報、特開平8−231960号公報、特開平9−241644号公報(EP885272A1)、特開平9−302346号公報(EP806466A1)、特開平8−199168号公報(EP722998A1)、特開平9−235552号公報、特開平9−255956号公報、特開平9−241643号公報(EP885271A1)、特開平10−204016号公報(EP844229A1)、特開平10−204436号公報、特開平10−231482号公報、特開2000−087040公報、特開2001−48822公報等に開示されている。
【0210】
VA型液晶表示素子において用いられる液晶組成物は、誘電率異方性が負の各種の液晶組成物とすることができる。好ましい液晶組成物の例は、特開昭57−114532号公報、特開平2−4725号公報、特開平4−224885号公報、特開平8−40953号公報、特開平8−104869号公報、特開平10−168076号公報、特開平10−168453号公報、特開平10−236989号公報、特開平10−236990号公報、特開平10−236992号公報、特開平10−236993号公報、特開平10−236994号公報、特開平10−237000号公報、特開平10−237004号公報、特開平10−237024号公報、特開平10−237035号公報、特開平10−237075号公報、特開平10−237076号公報、特開平10−237448号公報(EP967261A1)、特開平10−287874号公報、特開平10−287875号公報、特開平10−291945号公報、特開平11−029581号公報、特開平11−080049号公報、特開2000−256307公報、特開2001−019965公報、特開2001−072626公報、特開2001−192657公報等に開示されている。
【0211】
前記誘電率異方性が正又は負の液晶組成物に、一つ以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
【0212】
本発明の液晶表示素子は、もちろんその他の部材を有していてもよい。
例えば、薄膜トランジスタを使用したカラー表示のTFT型液晶素子においては、第1の透明基板上に薄膜トランジスタ、絶縁膜、保護膜、信号電極及び画素電極等が形成されており、第2の透明基板上に画素領域以外の光を遮断するブラックマトリクス、カラーフィルター、平坦化膜及び画素電極等を有しうる。
【0213】
また、VA型液晶表示素子、特にMVA型液晶表示素子においては、第1の透明基板上にドメインと称される微小な突起物が形成されている。また、基板間のセルギャップの調整用にスペーサーが形成されていてもよい。
【0214】
本発明の液晶表示素子は任意の方法で製作され得るが、例えば、1)前記二枚の透明基板上に液晶配向剤を塗布する工程、2)塗布された液晶配向剤を乾燥する工程、3)乾燥された液晶配向剤を脱水・閉環反応させるために必要な加熱処理をする工程、4)得られた配向膜を配向処理する工程、5)二枚の基板を張り合わせた後に、基板の間に液晶を封入する工程、又は一方の基板に液晶を滴下させた後に、もう一方の基板と張り合わせる工程を含む方法で製作される。
【0215】
前記液晶配向剤を塗布する工程における塗布方法としては、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。
【0216】
また、前記乾燥工程及び脱水反応に必要な加熱処理を施す工程の方法として、オーブン又は赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。乾燥工程は、溶媒の蒸発が可能な範囲内の比較的低温(50〜140℃)で実施することが好ましい。加熱処理の工程は一般に150〜300℃程度の温度で行うことが好ましい。
【0217】
液晶配向膜への配向処理は、IPS型液晶表示素子、OCB型液晶表示素子、TN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子では通常ラビング処理を行う。VA型液晶表示素子ではラビング処理を行わないことが多いが行っても良い。
【0218】
次いで、一方の基板上に接着剤を塗布し貼りあわせ真空中で液晶を注入する。滴下注入法の場合には、貼りあわせる前に液晶を基板上に滴下し、その後もう一方の基板で貼りあわせる。貼りあわせに使用した接着剤を熱又は紫外線で硬化させて本発明の液晶表示素子が作製される。
【0219】
本発明の液晶表示素子には、偏光板(偏光フィルム)、波長板、光散乱フィルム、駆動回路等が実装されてもよい。
【実施例】
【0220】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において用いられるテトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び溶媒の名称は、以下の略号で示されることがある。
【0221】
[テトラカルボン酸二無水物]
ピロメリット酸二無水物{(1)}:PMDA
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物{(19)}:CBDA
ブタンテトラカルボン酸二無水物{(23)}:BDA
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物{(49)}:TCMP
【0222】
[ジアミン]
4,4’−ジアミノジフェニルメタン{式(V−1)}:DDM
4,4’−ジアミノジフェニルエタン{式(V−7)}:DET
4,4’−[1,3−プロパンビス(4,1−フェニレンメチレン)]ビス[ベンゼンアミン]{式(VII−2)}:BABZP3
2−(フェニルメチル)−1,4−ジアミノベンゼン{式(IV−16)}:PhPDA
5−[[4−(4’−ペンチル[1,1’−ビシクロヘキシル]−4−イル)フェニル]メチル]−1,3−ジアミノベンゼン{式(VIII−5)/R23=C511}:5ChCh
1,1−ビス(4−((4−アミノフェノキシ)フェニル))−4−n−ペンチルシクロヘキサン{式(XI−1)/R29=C511}:5HBA
1,1−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−n−ヘプチルシクロヘキサン{式(XI−2)/R29=C715}:7HBZ
1,1−ビス[(4−((4−アミノフェノキシ)フェニル))−4−n−ヘプチルシクロヘキシルエチル]シクロヘキサン{式(XI−6)/R30=C715}:7H2HBA
【0223】
[チイラン化合物]
N,N,N’,N’−テトラキスチイラニルメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン:TMAP
[オキサゾリン化合物]
ポリ(スチレン−co−2−イソプロペニル−オキサゾリン)(株式会社日本触媒製:エポクロスRPS−1005):PSO
1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン:BHO
[オキシラン化合物]
フェノール−ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂型エポキシ樹脂(大日本インキ(株)製:エピクロンHP−7200HH):EPO
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン:EES
【0224】
[溶媒]
N−メチル−2−ピロリドン:NMP
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル):BC
γ―ブチロラクトン:GBL
【0225】
<1.ポリアミック酸の合成>
[ポリアミック酸の合成]
合成例1
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに、5ChChを1.676g、PhPDAを1.792g、及び脱水NMP58gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いでCBDA2.532gを添加し、室温環境下で30時間反応させた。反応中に反応温度が上昇する場合は、反応温度を約70℃以下に抑えて反応させた。得られた溶液に、BC36gを加えて、濃度が6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)を合成した。得られたPA1の重量平均分子量は37,000であった。
【0226】
ここで、ポリアミック酸の重量平均分子量は、得られたポリアミック酸を(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)希釈液でポリアミック酸濃度が約1重量%になるように希釈し、クロマトパックC−R7A(島津製作所製)を用いて、上記希釈液を展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。なお、カラムはGF−7HQ(昭和電工株式会社製)を使用し、カラム温度50℃、流速0.6mL/min
の条件で測定した。
【0227】
合成例2、3
表1に示したようにテトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び溶媒の組成を変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液(PA2、PA3)を合成した。合成例1を含めて、結果を表1にまとめた。
【0228】
合成例4
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに、DDMを2.919g、及び脱水NMP54g、脱水GBL15gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いでCBDA1.155g、PMDA1.927gを添加し、室温環境下で30時間反応させた。反応中に反応温度が上昇する場合は、反応温度を約70℃以下に抑えて反応させた。得られた溶液に、BC25gを加えて、濃度が6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)を合成した。得られたPA4の重量平均分子量は45,000であった。
【0229】
合成例5〜10
表1に示したようにテトラカルボン酸二無水物、ジアミン及び溶媒の組成を変更した以外は、合成例4に準拠してポリアミック酸溶液(PA5〜PA10)を合成した。合成例4を含めて、結果を表1にまとめた。
【0230】
【表1】

【0231】
<2.液晶表示素子の作製>
[実施例1]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例2で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA2)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、チイラン化合物であるTMAPをポリマー重量あたり5重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0232】
[実施例2]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサゾリン化合物であるPSOをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した
【0233】
[比較例1]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例2で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA2)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物にNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0234】
[比較例2]
合成例1で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)と合成例3で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA3)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物にNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え(ポリアミック酸)を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0235】
液晶表示素子の作製方法 [実施例1、2及び比較例1、2]
液晶配向剤を、二枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、220℃にて40分間加熱処理を行い、次いで得られたポリイミド膜のラビング処理を行い、液晶配向膜を形成した。ラビング処理は、得られたポリイミド膜を株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置RM02−9型を用いて、ラビング布(毛足長1.9mm:吉川化工株式会社製YA−18R型レーヨン)の毛足押し込み量0.40mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1,000rpmの条件で行った。
【0236】
ガラス基板上に形成された液晶配向膜を超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
【0237】
一方のガラス基板に4μmのギャップ材を散布し、液晶配向膜を形成した面を内側にして、ラビング方向が逆平行になるように、液晶配向膜を形成したガラス基板の一対を対向配置させた後、液晶配向膜の周囲をエポキシ硬化剤でシールし、ギャップ4μmのアンチパラレルセルを作製した。下記に示す液晶組成物Iを該セルにおける前記ギャップに注入し、液晶組成物用の注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。
【0238】
【化39】

【0239】
[実施例3]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)と合成例5で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA5)とを重量比2/8で混合した。得られた混合物に、オキサゾリン化合物であるBHOをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0240】
[実施例4]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)と合成例6で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA6)とを重量比2/8で混合した。得られた混合物に、オキサゾリン化合物であるBHOをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0241】
[実施例5]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)と合成例7で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA7)とを重量比2/8で混合した。得られた混合物に、オキサゾリン化合物であるBHOをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0242】
[実施例6]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)と合成例7で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA7)とを重量比1/9で混合した。得られた混合物に、オキサゾリン化合物であるBHOをポリマー重量あたり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0243】
[実施例7]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)と合成例7で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA7)とを重量比2/8で混合した。得られた混合物に、オキサゾリン化合物であるPSOをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0244】
[実施例8]
合成例8で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA8)に、オキサゾリン化合物であるBHOをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0245】
[実施例9]
合成例9で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA9)に、オキサゾリン化合物であるBHOをポリマー重量あたり20重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0246】
[実施例10]
合成例10で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)に、オキサゾリン化合物であるBHOをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した

【0247】
[実施例11]
合成例9で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA9)に、オキサゾリン化合物であるPSOをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0248】
[実施例12]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)と合成例5で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA5)とを重量比2/8で混合した。得られた混合物に、オキサゾリン化合物であるBHOをポリマー重量あたり10重量%添加し、オキシラン化合物であるEPOをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0249】
[実施例13]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)と合成例5で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA5)とを重量比2/8で混合した。得られた混合物に、オキサゾリン化合物であるBHOをポリマー重量あたり10重量%添加し、オキシラン化合物であるEESをポリマー重量あたり10重量%添加した。その後、NMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0250】
[比較例3]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)と合成例5で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA5)とを重量比2/8で混合した。得られた混合物にNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0251】
[比較例4]
合成例4で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA4)と合成例7で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA7)とを重量比2/8で混合した。得られた混合物にNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0252】
[比較例5]
合成例9で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA9)をNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0253】
[比較例6]
合成例10で合成した濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA10)をNMP/BC=1/1(重量比)の混合溶媒を加え、ポリアミック酸を全体に対して4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0254】
液晶表示素子の作製方法 [実施例3〜13及び比較例3〜6]
液晶配向剤を、二枚のITO電極付ガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、220℃にて20分間加熱処理を行い、次いで得られたポリイミド膜のラビング処理を行い、液晶配向膜を形成した。ラビング処理は、得られたポリイミド膜を株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置RM02−9型を用いて、ラビング布(毛足長1.9mm:吉川化工株式会社製YA−18R型レーヨン)の毛足押し込み量0.40mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1,000rpmの条件で行った。
【0255】
ガラス基板上に形成された液晶配向膜を超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
【0256】
一方のガラス基板に7μmのギャップ材を散布し、液晶配向膜を形成した面を内側にして、ラビング方向が逆平行になるように、液晶配向膜を形成したガラス基板の一対を対向配置させた後、液晶配向膜の周囲をエポキシ硬化剤でシールし、ギャップ7μmのアンチパラレルセルを作製した。下記に示す液晶組成物IIを該セルにおける前記ギャップに注入し、液晶組成物用の注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。
【0257】
【化40】

【0258】
<3.電気特性の評価>
[試験例1〜19]
実施例1〜13、比較例1〜6で作製した液晶表示素子について、電圧保持率の測定と長期信頼性の測定を以下のようにして行った。
【0259】
1)電圧保持率の測定
東陽テクニカ製液晶物性評価装置6254型を用いて電圧保持率の測定を行った。測定条件は、ゲート幅60μs、周波数0.3Hz、波高±5Vであり、測定温度は60℃と
した。この値が大きいほど電気特性は良好であると言える。結果を表2、表3に示す。
【0260】
2−1)長期信頼性の測定 [試験例1〜4]
作製した液晶表示素子について、経時的に電圧保持率を求め、保持特性を評価した。保持特性の試験方法は、温度100℃の雰囲気中に液晶表示素子を100時間放置し、途中経時的に取り出し電圧保持率測定を測定した。電圧保持率の低下が小さいほど(例えば前記の条件で放置時間が100時間以上で電圧保持率の低下率が1%未満であれば)長期信頼性は良好であると言える。結果を表2に示す。低下率は下記の式から求められる。
低下率(%)=(初期の電圧保持率−終期の電圧保持率)/(初期の電圧保持率)×100
【0261】
【表2】

【0262】
2−2)長期信頼性の測定 [試験例5〜19]
作製した液晶表示素子について、経時的に電圧保持率を求め、保持特性を評価した。保持特性の試験方法は、温度60℃の雰囲気中に液晶表示素子を500時間放置し、途中経時的に取り出し電圧保持率測定を測定した。電圧保持率の低下が小さいほど(例えば前記の条件で放置時間が500時間以上で電圧保持率の低下率が2%未満であれば)長期信頼性は良好であると言える。結果を表3に示す。
【0263】
【表3】

【0264】
表2、3に示されたように、前記記載化合物を混合した液晶配向膜を使用した液晶表示素子の場合、保存特性の劣化が顕著に抑制された。これは、前記チイラン化合物及び前記オキサゾリン化合物が前記ポリアミック酸に対して反応等の何らかの作用をそれぞれ及ぼした結果と考えられる。また、ヘテロ環構造における反応性等を考慮すると、オキセタン化合物やアジリジン化合物についてもチイラン化合物やオキサゾリン化合物と同様の前述の効果が期待される。
【0265】
さらに液晶配向剤において、オキシラン化合物を前記記載化合物に併用した場合では、前記記載化合物を単独で使用した場合に比べて、得られた液晶表示素子の保存特性の劣化がより一層顕著に抑制された。
【0266】
以上のように、本発明におけるポリアミック酸と前記記載化合物とを含有する液晶配向
剤は、液晶表示素子の液晶配向膜としたときに、電圧保持率が高く、かつ保存特性の劣化を顕著に抑制することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキセタン、チイラン、アジリジン、及びオキサゾリンからなる群から選ばれる一又は二以上のヘテロ環構造を有するヘテロ環化合物の一又は二以上と、ポリアミック酸及びその誘導体から選ばれる一又は二以上のポリマーとを含有する液晶配向剤であって、前記ヘテロ環化合物を、前記ポリマーに対して0.1〜50重量%含有することを特徴とする液晶配向剤。
【請求項2】
前記ヘテロ環化合物が前記ヘテロ環構造を二個以上有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の液晶配向剤。
【請求項3】
前記ヘテロ環化合物が前記ヘテロ環構造を側鎖に有する重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
前記重合体が、共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
前記ポリアミック酸は、酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成分としてジアミンとを反応させて得られる反応生成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
前記酸成分はA成分とB成分とを含み、酸のA成分として芳香族テトラカルボン酸二無水物を用い、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、下記構造式(1)、(2)、(5)〜(7)、及び(14)で構成される群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項5記載の液晶配向剤。
【化1】

【請求項7】
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物が前記構造式(1)の化合物であることを特徴とする請求項6記載の液晶配向剤。
【請求項8】
酸のB成分として脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物のいずれか一方又は両方を用いることを特徴とする請求項6又は7に記載の液晶配向剤。
【請求項9】
前記脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物は、下記構造式(19)、(23)、(25)、(35)〜(37)、(39)、(44)、及び(
49)で構成される群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項8に記載の液晶配向剤。
【化2】

【請求項10】
前記脂環式テトラカルボン酸二無水物が前記構造式(19)、(23)及び(49)で構成される群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項9記載の液晶配向剤。
【請求項11】
前記アミン成分はA成分とB成分とを含み、アミンのA成分として下記一般式(I)〜(VII)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンを用いることを特徴とする請求項5〜10のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【化3】

(一般式(I)中、A1は、−(CH2m−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また一般式(III)、(V)、(VII)中、A1は独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、又は−S−(CH2m−S−を表す。ここでmは1〜12の整数を表す。また一般式(VI)中、A2は、独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−又は炭素数1〜6のアルキレンを表す。さらに一般式(II)〜(VII)中のシクロヘキサン環又はベンゼン環に結合している水素は、独立して−F、−CH3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、ベンジル又は4−ヒドロキシベンジルと置き換えられていてもよい。)
【請求項12】
前記A成分のジアミンが下記構造式(IV−1)、(IV−2)、(IV−15)、(IV−16)、(V−1)〜(V−12)、(V−33)、(VII−1)及び(VII−2)で構成される群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項11記載の液晶配向剤。
【化4】

【請求項13】
アミンのB成分として下記一般式(VIII)及び(IX)〜(XII)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンを用いることを特徴とする請求項11又は12に記載の液晶配向剤。
【化5】

(一般式(VIII)において、R1は単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH2O−、−CF2O−又は(CH2e−であって、eは1〜6の整数であり;R2はステロイド骨格を有する基、一般式(XIII)で示される基、炭素数1〜30のアルキル、又はフェニルであり;このアルキルの炭素数が2〜6であるとき、その任意の−CH2−は独立して−O−(ただし連続せず)、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよく、そしてこのフェニルの水素は独立してフッ素、メチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシで置き換えられてもよく:
一般式(IX)において、R3は独立して水素又はメチルであり;R4は水素又は炭素数1〜30のアルキルであり;R5は独立して単結合、−CO−又は−CH2−であり:
一般式(X)において、R3は独立して水素又はメチルであり;R4は水素又は炭素数1〜30のアルキルであり;R5は独立して単結合、−CO−又は−CH2−であり;そして、R6及びR7は独立して水素、炭素数1〜30のアルキル、又はフェニルであり:
一般式(XI)において、R8は水素又は炭素数1〜30のアルキルであって、このアルキルの任意の−CH2−は、独立して−O−(ただし連続せず)、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよく;R9は独立して−O−又は炭素数1〜6のアルキレンであり;環Aは1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンであり;aは0又は1
であり;bは0、1又は2であり;そして、cは独立して0又は1であり:
一般式(XII)において、R10は炭素数3〜30のアルキル、又は炭素数3〜30のフッ素化アルキルであり;R11は水素、炭素数1〜30のアルキル、又は炭素数1〜30のフッ素化アルキルであり;R12は独立して−O−又は炭素数1〜6のアルキレンであり;そして、dは独立して0又は1である。)
【化6】

(一般式(XIII)において、R13、R14及びR15は独立して単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数1〜3のオキシアルキレン、又は炭素数1〜3のアルキレンオキシ(ただし酸素は連続して結合しない)であり;R16及びR17は独立して水素、フッ素又はメチルであり;R18は水素、フッ素、塩素、シアノ、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、炭素数2〜30のアルコキシアルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシであり、これらのアルキル、アルコキシ及びアルコキシアルキルにおける任意の−CH2−は、ジフルオロメチレン又は一般式(XIV)で示される基で置き換えられてもよく;環B及び環Cは独立して1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンであり;f、g及びhは独立して0〜4の整数であり;i、j及びkは独立して0〜3の整数であって、これらの合計は1以上であり;l及びmは独立して1又は2である。)
【化7】

(一般式(XIV)において、R19、R20、R21及びR22は、独立して炭素数1〜10のアルキル、又はフェニルであり、そしてnは1〜100の整数である。)
【請求項14】
前記B成分のジアミンは、下記一般式(VIII−2)、(VIII−4)、(VIII−5)、(VIII−6)、(XI−1)、(XI−2)及び(XI−6)で構成される群から選ばれる一般式で表されるジアミンであることを特徴とする請求項13記載の液晶配向剤。
【化8】

(前記一般式中、R23は、独立して、炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシを表し、R29は水素又は炭素数1〜30のアルキル基を表し、R30は水素又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
【請求項15】
二種類以上の前記ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項16】
オキシラン化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項17】
チイラン及びオキサゾリンの一又は二以上のヘテロ環構造を有するヘテロ環化合物と、ポリアミック酸又はその誘導体とを含有する液晶配向剤であって、
前記ヘテロ環化合物を、前記ポリアミック酸又はその誘導体に対して1〜40重量%含有し、
前記ポリアミック酸又はその誘導体が酸成分としてテトラカルボン酸二無水物とアミン成
分としてジアミンとを反応させて得られる反応生成物であり、
前記テトラカルボン酸二無水物は、酸のA成分として下記構造式(1)、(2)、(5)〜(7)及び(14)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及び酸のB成分として下記構造式(19)、(23)、(25)、(35)〜(37)、(39)、(44)及び(49)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、のいずれか一方又は両方であり、
前記ジアミンは、アミンのA成分として下記構造式(IV−1)、(IV−2)、(IV−15)、(IV−16)、(V−1)〜(V−12)、(V−33)、(VII−1)及び(VII−2)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及びアミンのB成分として下記一般式(VIII−2)、(VIII−4)、(VIII−5)、(VIII−6)、(XI−1)、(XI−2)及び(XI−6)で構成される群から選ばれる一般式で表される化合物の一又は二以上、のいずれか一方又は両方であることを特徴とする液晶配向剤。
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

(前記一般式中、R23は、独立して、炭素数3〜30のアルキル又は炭素数3〜30のアルコキシを表し、R29は水素又は炭素数1〜30のアルキル基を表し、R30は水素又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
【請求項18】
前記テトラカルボン酸二無水物は、前記酸のA成分として前記構造式(1)の化合物、及び、酸のB成分として前記構造式(19)、(23)及び(49)で構成される群から選ばれる化合物、のいずれか一方又は両方であり、
前記ジアミンは、前記アミンのA成分として前記構造式(IV−16)、(V−1)、(V−7)及び(VII−2)で構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上、及び前記アミンのB成分、のいずれか一方又は両方であり、
前記ヘテロ環化合物は、N,N,N’,N’,−テトラキスチイラニルメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエタン、ポリ(スチレン−co−2−イソプロペニルオキサゾリン)、及び1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンで構成される群から選ばれる化合物の一又は二以上であることを特徴とする請求項17に記載の液晶配向剤。
【請求項19】
前記アミンのB成分が、前記一般式(VIII−2)、(VIII−5)、(XI−1)、(XI−2)及び(XI−6)で構成される群から選ばれる一般式で表される化合物の一又は二以上であることを特徴とする請求項18に記載の液晶配向剤。
【請求項20】
オキシラン化合物をさらに含有することを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項21】
前記オキシラン化合物が、フェノール−ジシクロペンタジエン樹脂型エポキシ樹脂、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの一方又は両方であることを特徴とする請求項20に記載の液晶配向剤。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の液晶配向剤を、膜の状態で焼成して形成されることを特徴とする液晶配向膜。
【請求項23】
対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子において、
前記液晶配向膜は、請求項22に記載の液晶配向膜であることを特徴とする液晶表示素子。

【公開番号】特開2008−40473(P2008−40473A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142252(P2007−142252)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】