説明

液晶配向剤

【課題】光配向法によって良好なプレチルト特性を得ることができ、しかも長時間連続駆
動した場合であっても表示性能の劣化を来たさない液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供
すること。
【解決手段】上記液晶配向剤は、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノ
ルボルナン−2:3,5:6−二無水物および2,4,6,8−テトラカルボキシビシク
ロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物よりなる群から選択される少なく
とも1種を含むテトラカルボン酸二無水物と、光反応性構造を有するジアミンを含むジア
ミンと、を反応させて得られるポリアミック酸ならびに該ポリアミック酸を脱水閉環して
なるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶配向剤に関する。さらに詳しくは、少ない光照射下の光配向法によっても
好適な性能の液晶配向膜を与える液晶配向剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子の動作モードとしては、正の誘電異方性を有する液晶分子を用いる
TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted N
ematic)型など、および負の誘電異方性を有する液晶分子を用いるVA(Vert
ical Alignment)型などが知られており、それぞれ液晶分子の配向制御の
ために主として有機膜からなる液晶配向膜が使用されている(特許文献1〜4)。
上記TN型、STN型などにおける液晶配向膜は液晶分子の高速応答のため、上記VA
型などにおける液晶配向膜は液晶駆動時の傾き方向を一定とするため、それぞれプレチル
ト角特性を有する必要がある。このプレチルト角特性を付与する方法としては、前者にお
いてはラビング法が、後者においてはラビング法、基板表面に突起物を設ける方法などに
よることが一般的であった。このうち、ラビング法は工程内で発生するほこりや静電気が
表示不良や回路破壊の問題を引き起こす場合があり、一方、基板表面に突起物を設ける方
法は得られる液晶表示素子の輝度が損なわれる場合があるなど、いずれも問題を有してい
た。
そこでこれらに変わるプレチルト角付与方法として、感光性薄膜に紫外線を膜法線に対
して斜め方向から照射することによる、いわゆる光配向法が提案されている(特許文献5
および非特許文献1)。
【0003】
近年、液晶表示素子は、特にテレビジョン用途への展開が急であり、従来の液晶表示素
子と比較すると桁外れの長時間視聴が現実化してきている。ところが、従来知られている
液晶表示素子を長時間連続駆動すると、表示品位が劣化することが知られている。その理
由のひとつは、長時間駆動により液晶配向膜が長時間光に晒されることにより劣化するこ
とにあると考えられている。そのため液晶配向膜の分野においては、長時間連続駆動した
場合でも表示性能の劣化を来たさない材料の検討がなされている。
例えば特許文献6では、架橋構造を有する配向膜材料の使用が提案されている。しかし
ながら、同文献の技術によっても長時間連続駆動した場合における表示品位劣化の抑制の
程度は十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭56−91277号公報
【特許文献2】特開平1−120528号公報
【特許文献3】特開平11−258605号公報
【特許文献4】特開2002−250924号公報
【特許文献5】特開2004−83810号公報
【特許文献6】特開2008−216985号公報
【特許文献7】特開2010−97188号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. of the SID 11/3, 2003, p579
【非特許文献2】T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977)
【非特許文献3】F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、光配向法によって良好なプレチルト特性を得ることができ、しかも長
時間連続駆動した場合であっても表示性能の劣化を来たさない液晶配向膜を与える液晶配
向剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば本発明の上記目的および利点は、
3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二
無水物および2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:
4,6:8−二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むテトラカルボン酸
二無水物と、
光反応性構造を有するジアミンを含むジアミンと、
を反応させて得られるポリアミック酸ならびに該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリ
イミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有することを特徴とする、
液晶配向剤によって達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液晶配向剤は、光配向法を適用しうる液晶配向剤として従来知られている液晶
配向剤と比較して、長時間連続駆動した場合であっても表示性能の劣化を来たさない液晶
配向膜を形成することができる。
それゆえ、本発明の液晶配向膜を液晶表示素子に適用した場合、得られる液晶表示素子
は、その表示特性、信頼性などの諸性能に優れるものとなる。従って、該液晶表示素子は
種々の装置に有効に適用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示
板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューター、液晶テレビなどの装置に好適に用い
ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の液晶配向剤は、上記のとおり、
3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二
無水物および2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:
4,6:8−二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むテトラカルボン酸
二無水物と、
光反応性構造を有するジアミンを含むジアミンと、
を反応させて得られるポリアミック酸ならびに該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリ
イミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体(以下、「特定重合体」ともい
う。)を含有する。
【0010】
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物
は、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6
−二無水物および2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−
2:4,6:8−二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むテトラカルボ
ン酸二無水物である。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、
3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二
無水物および2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:
4,6:8−二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を、全テトラカルボン酸
二無水物に対して、80モル%以上含むものであることが好ましく、90モル%以上含む
ものであることがより好ましい。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、
上記2種以外のテトラカルボン酸二無水物を併用することができ、例えば上記2種以外の
脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカル
ボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカル
ボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカ
ルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,
3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラ
ニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−
ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−
ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オク
タン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン
)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘ
キセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.0
,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンなどを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを、それぞ
れ挙げることができるほか、
特許文献7(特開2010−97188号公報)に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
【0011】
<ジアミン>
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、光反応性構造
を有するジアミンを含むジアミンである。
上記光反応性構造としては、光の照射によって異性化および二量化から選択される少な
くとも一つの反応をしうる機能を有する構造であることが好ましく、例えば下記式(A−
2)
【0012】
【化1】

【0013】
(式(A−2)中、dは0または1であり、AおよびAは、それぞれ、炭素数1〜6
のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基であり、e
およびfは、それぞれ、0〜4の整数であり、「+」は、それぞれ、結合手であることを
示す。)
で表される構造を挙げることができる。
上記式(A−2)におけるAおよびAとしては、それぞれ、炭素数1〜6のアルコ
キシル基であることが好ましい。eおよびfは、それぞれ、0であることが好ましい。
光反応性構造を有するジアミンは、さらに液晶分子を配向させる機能を有する部位を持
っていることが好ましく、かかる部位をも具備する光反応性構造としては、例えば下記式
(A−2−1)および(A−2−2)
【0014】
【化2】

【0015】
(式(A−2−1)および(A−2−2)中、A、A、d、eおよびfは、それぞれ
、上記式(A−2)におけるのと同義であり、
およびRIIは、それぞれ、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜8のフルオロ
アルキル基または脂環式構造を有する炭素数4〜30の炭化水素基であり、
IIおよびXIIIは、それぞれ、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、
−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−
、−NR−CO−NR−または−O−CO−O−(ここで、Rは、水素原子または炭素数
1〜4のアルキル基である。)であり、
IIIは、それぞれ、メチレン基、アリーレン基、2価の脂環式基、−Si(CH
−、−CH=CH−または−C≡C−であり、ただしRIIIの有する水素原子の1個
または2個以上は、シアノ基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基に置換され
ていてもよく、
hは1〜6の整数であり、
iは0〜2の整数であり、
上記XIIおよびRIIIが複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても相異
なっていてもよく、
jは0または1であり、そして
「+」は、それぞれ、結合手であることを示す。)
のそれぞれで表される構造から選択される少なくとも1種の構造を挙げることができる。
【0016】
上記式(A−2−1)および(A−2−2)におけるRおよびRIIの炭素数1〜2
0のアルキル基としては、例えばメチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシ
ル基、n−ヘプチル基、n−オクタデシル基などを挙げることができる。RおよびR
の炭素数1〜20のアルキル基としては、それぞれ、良好な液晶配向性を発現しうると
の観点から炭素数1〜12の直鎖のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜12の
直鎖のアルキル基であることがより好ましく、特に炭素数4〜12の直鎖のアルキル基で
あることが好ましい。
およびRIIの炭素数1〜8のフルオロアルキル基としては、それぞれ、良好な液
晶配向性を発現しうるとの観点からの観点から炭素数3〜6の直鎖のフルオロアルキル基
であることが好ましく、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、4,4,4
−トリフルオロ−n−ブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−n−ペンチル基
、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基などを挙げることができる。
およびRIIの脂環式構造を有する炭素数4〜30の炭化水素基の具体例としては
、例えばシクロヘキシルメチル基、コレスタニル基、コレステニル基、ラノスタニル基な
どを挙げることができる。
IIおよびXIIIは、それぞれ、−O−であることが好ましい。
光反応性構造を有するジアミンは、かかる光配向性構造を、一分子中に1個または2個以
上有していればよく、かかる構造を1個または2個有するものであることが好ましい。
かかる構造を有する光反応性構造を有するジアミンの具体例としては、上記式(A−2
−1)で表される構造を有するものとして、例えば下記式(A−2−1−1)〜(A−2
−1−13)
【0017】
【化3】

【0018】
【化4】

【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

【0021】
のそれぞれで表される化合物などを、上記式(A−2−2)で表される構造を有するもの
として、例えば下記式(A−2−2−1)
【0022】
【化7】

【0023】
で表される化合物などを、それぞれ挙げることができる。
【0024】
上記ジアミンはさらに、下記式(A−0)および(A−3)
【0025】
【化8】

(式(A−0)中、Xは単結合、メチレン基、炭素数2または3のアルキレン基、−O−、−COO−、−OCO−、−X’−R−、−R−X’−または−X’−R−X’−(ただし、X’は、それぞれ、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「+」はこれを付した結合手が式(A−0)の左方向に向くことを示す。)であり、Rは、それぞれ、炭素数2または3のアルキレン基であり、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であり、
RingおよびRingは、それぞれ独立に、シクロへキシレン基またはフェニレン基であり、
X”(単結合、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「+」はこれを付した結合手が式(A−0)の左方向に向くことを示す。)であり、
aは0または1であり、bは0〜3の整数であり、
bが2以上のとき、複数存在するX”およびRingは、それぞれ、互いに同一であっても相違していてもよく、aが0であるとき、式(A−0)の最も左に位置するX”は単結合であり、
cは0〜20の整数であってαおよびβは、それぞれ、0〜2c+1の整数であり、ただし、α+β=2c+1であり、そしてa+b=0であるとき、cが0であることはない。)
【0026】
【化9】

(式(A−3)中、RIIIは、それぞれ、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基
であり、RIVおよびRは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。)
よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0027】
上記式(A−0)で表される化合物の好ましい構造としては、例えば下記式
【0028】
【化10】

(式(A−1)中、X−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「*」
を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であり、aは0または1であり、b
は0〜2の整数であり、cは1〜20の整数である。)
で表される化合物を挙げることができる。
上記式(A−1)におけるXとしては、は−O−または−COO−(ただし、「
*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。基C
2c+1−の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチ
ル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル
基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペン
タデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナ
デシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。ジアミノフェニル基における2
つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位または3,5−位にあることが好ましい。
上記式(A−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(A−1−1)〜
(A−1−4)
【0029】
【化11】

【0030】
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
上記式(A−1)において、aおよびbは同時に0にはならないことが好ましい。
【0031】
上記式(A−3)において、RIII、RIVおよびRは、それぞれ、水素原子であ
ることが好ましい。
上記式(A−3)のベンゼン環に結合している2つのアミノ基は、窒素原子に対して2
,4−位にあることが好ましい。
上記式(A−3)で表される化合物として最も好ましくはN,N−ジアリル−2,4−
ジアミノアニリンである。
【0032】
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンとしては、上記光反応性構造を
有するジアミン、上記式(A−0)および(A−3)で表されるジアミン以外のジアミン
を併用することができ、例えば上記以外の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジア
ミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては
、脂肪族ジアミンとして、例えば1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジ
アミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンな
どを;
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビ
ス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
芳香族ジアミンとして、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニル
メタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,
2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス
(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘ
キサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン
、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−
アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2
,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3
,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジア
ミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−
ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’
−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、コレスタニルオキシ−
3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、3,5−
ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジア
ミノ安息香酸ラノスタニルなどを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テト
ラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができるほか、
特許文献7(特開2010−97188号公報)に記載のジアミンを用いることができる。
【0033】
[ジアミンの組成]
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジミアンは、上記の如き光
反応性構造を有するジアミンを含むものであり、任意的に上記式(A−0)および(A−
3)よりなる群から選択される少なくとも1種のジアミンおよびその他のジアミンよりな
る群から選択される少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジミアンは、上記光反応性
構造を有するジアミンを、全ジアミンに対して、50〜99モル%含むものであることが
好ましく、70〜95モル%含むものであることがより好ましく;
上記式(A−0)および(A−3)よりなる群から選択される少なくとも1種のジアミン
を、全ジアミンに対して、1〜50モル%含むものであることが好ましく、2〜20モル
%含むものであることがより好ましく;
その他のジアミンを、全ジアミンに対して、20モル%以下の範囲で含むことができ、さ
らには10モル%以下の範囲で含むことができる。
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジミアンは、上記光反応性
構造を有するジアミンと、上記式(A−0)および(A−3)よりなる群から選択される
少なくとも1種のジアミンのみからなるものであることが好ましい。
【0034】
[分子量調節剤]
前記ポリアミック酸を合成するに際して、上記の如きテトラカルボン酸二無水物および
ジミアンとともに、適当な分子量調節剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとし
てもよい。かかる末端修飾型の重合体とすることにより、本発明の効果を損なうことなく
液晶配向剤の塗布性(印刷性)を改善することができる。
前記分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネー
ト化合物などを挙げることができる。これらの具体例としては、酸一無水物としては、例
えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物
、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘ
キサデシルサクシニック酸無水物などを;
モノアミン化合物として、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、
n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミンな
どを;
モノイソシアネート化合物として、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネ
ートなどを、それぞれ挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計
100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とするこ
とがより好ましい。
【0035】
<ポリアミック酸の合成>
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割
合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0
.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合で
ある。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜
150℃、より好ましくは0〜100℃において、好ましくは0.1〜120時間、より
好ましくは0.5〜48時間行われる。
ここで、有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクト
ン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン性極性溶媒;
m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール性
溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およ
びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜50重量%に
なるような量であることが好ましい。
【0036】
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。
この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリ
アミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミ
ック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸を脱水閉環し
てポリイミドとする場合には、上記反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供してもよく、反
応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで脱水閉環反応に供してもよく、また
は単離したポリアミック酸を精製したうえで脱水閉環反応に供してもよい。ポリアミック
酸の単離および精製は公知の方法に従って行うことができる。
【0037】
<ポリイミドの合成>
前記ポリイミドは、上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化
することにより得ることができる。
本発明におけるポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック
酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部の
みを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造が併存する部分イミド化物であってもよ
い。本発明におけるポリイミドは、そのイミド化率が30%以上であることが好ましく、
40〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構
造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表
したものである。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、また
はポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し
必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい

【0038】
上記ポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱
水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水
物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モル
に対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリ
ジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。
脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすること
が好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用い
られるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好
ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好まし
くは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
このようにしてポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、これをそ
のまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除い
たうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調
製に供してもよく、または単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供し
てもよい。これらの精製操作は公知の方法に従って行うことができる。
【0039】
<その他の成分>
本発明の液晶配向膜は、上記の如き特定重合体を必須成分として含有するが、必要に応
じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば上記特定
重合体以外の重合体(以下、「他の重合体」という。)、分子内に少なくとも1つのエポ
キシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物など
を挙げることができる。
【0040】
[その他の重合体]
上記他の重合体は、溶液特性および電気特性の改善のために使用することができる。か
かる他の重合体は、上記の如き特定重合体以外の重合体であり、例えばテトラカルボン酸
二無水物と上記光反応性構造を有するジアミンを含まないジアミンとを反応させて得られ
るポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」という。)、該ポリアミック酸を脱水
閉環してなるポリイミド(以下、「他のポリイミド」という。)、ポリアミック酸エステ
ル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、
ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アク
リレートなどを挙げることができる。これらのうち、他のポリアミック酸または他のポリ
イミドが好ましく、他のポリアミック酸がより好ましい。
【0041】
上記他のポリアミック酸または他のポリイミドを合成するために用いられるテトラカル
ボン酸二無水物としては、特定重合体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無
水物として上述したものと同様のものを挙げることができるが、好ましくは1,2,3,
4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物およびピロメリット酸二無水物よりなる群か
ら選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
上記他のポリアミック酸または他のポリイミドを合成するために用いられるジアミンと
しては、特定重合体を合成するために用いられるジアミンのうち上記光反応性構造を有す
るジアミン以外のものを挙げることができるが、好ましくは、p−フェニレンジアミン、
4,4−ジアミノジフェニルメタンおよび4,4−ジアミノジフェニルエーテルよりなる
群から選択される少なくとも1種を、使用する全ジアミンに対して、50モル%以上含む
ものであることが好ましく、80モル%以上含むものであることがより好ましい。
他の重合体の使用割合としては、重合体の合計(上記特定重合体および他の重合体の合
計をいう。以下同じ。)に対して好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは50
〜80重量%である。
【0042】
[エポキシ化合物]
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル
、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシ
ジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオー
ルジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペン
チルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘ
キサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,
3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−
テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベン
ジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサンなどを好ましいものと
して挙げることができる。これらエポキシ基含有化合物の配合割合は、重合体の合計10
0重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは0.1〜30重量部であ
る。
【0043】
[官能性シラン化合物]
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラ
ン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカ
ルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルト
リエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10
−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,
4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、
9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを
挙げることができる。
これら官能性シラン化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好まし
くは2重量部以下であり、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。
【0044】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記の如き特定重合体ならびに必要に応じて任意的に配合され
るその他の添加剤が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に用い
られるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、従来ポリアミック酸および
ポリイミドの貧溶媒であると信じられている有機溶媒も適宜選択して併用することができ
る。かかる有機溶媒の好ましい例としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブ
チロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエト
キシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエ
ーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピ
ルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレン
グリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセ
テート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、
ジイソペンチルエーテルなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ
、または2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
本発明の液晶配向剤の固形分濃度(液晶配向剤のうち有機溶媒を除いた成分の合計重量
が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択される
が、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、これを
基板表面に塗布し、有機溶媒を除去することにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが
、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶
配向膜を得難くなる場合があり、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の
膜厚が過大となって同様に良好な液晶配向膜を得難くなる場合があり、また液晶配向剤の
粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる場合がある。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によっ
て異なる。例えば、スピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ま
しい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより、溶液
粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による
場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mP
a・sの範囲とすることが特に好ましい。
【0046】
<液晶配向膜の形成方法>
本発明の液晶配向剤は、光配向法により液晶配向膜を形成するために好適に使用するこ
とができる。
液晶配向膜を形成する方法としては、例えば液晶配向剤を基板上に塗付して塗膜を形成
し、該塗膜に、偏光もしくは非偏光の紫外線を塗膜面に対して斜めから照射するか、また
は偏光紫外線を塗膜面に対して垂直方向から照射して塗膜に液晶配向能を付与する方法を
挙げることができる。
まず、パターン状の透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向
剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の
塗布方法により塗布する。塗布後、該塗布面を、予備加熱(プレベーク)し、次いで焼成
(ポストベーク)することにより塗膜を形成する。プレベーク条件は、例えば40〜12
0℃において0.1〜5分であり、ポストベーク条件は、好ましくは120〜300℃、
より好ましくは150〜250℃において、好ましくは5〜200分、より好ましくは1
0〜100分である。ポストベーク後の塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmで
あり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0047】
前記基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスの如きガラス;ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネー
トの如きプラスチックなどからなる透明基板などを用いることができる。
前記透明導電膜としては、SnOからなるNESA膜、In−SnOからな
るITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト
・エッチング法や透明導電膜を形成する際にマスクを用いる方法などが用いられる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板または透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好に
するために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン化合物、チタネート化合物な
どを塗布しておいてもよい。
【0048】
次いで塗膜に、偏光または非偏光の紫外線を照射することにより、液晶配向能を付与し
て前記塗膜は液晶配向膜となる。ここで、放射線としては、例えば150〜800nmの
波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波
長の光を含む紫外線が好ましい。用いる放射線が偏光(直線偏光または部分偏光)してい
る場合には、塗膜面に対して垂直方向から照射してもプレチルト角付与のために斜め方向
から照射してもよい。一方、非偏光の放射線を照射する場合には、照射は塗膜面に対して
斜め方向から行う必要がある。
照射放射線の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、
メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザーなど
を使用することができる。前記の好ましい波長領域の紫外線は、前記光源を、例えばフィ
ルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
【0049】
放射線の照射量としては、好ましくは1J/m以上10,000J/m未満であり
、より好ましくは10〜3,000J/mである。なお、従来知られている液晶配向剤
から形成された塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する場合、10,000J/m
以上の放射線照射量が必要であった。しかし本発明の液晶配向剤を用いると、光配向法の
際の放射線照射量が3,000J/m以下、さらに1,000J/m以下、さらには
300J/m以下であっても良好な液晶配向能を付与することができ、液晶表示素子の
製造コストの削減に資する。
【0050】
<液晶表示素子の製造方法>
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備するも
のである。本発明の液晶表示素子は、例えば以下のようにして製造することができる。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、この2枚の基板間に液晶
を配置することにより、液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2
つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向
するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部
をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ
内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することがで
きる。
【0051】
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液
晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性
のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向する
ように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化す
ることにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度ま
で加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望
ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素
子を得ることができる。ここで、液晶配向膜が水平配向性である場合、液晶配向膜が形成
された2枚の基板における、照射した直線偏光放射線の偏光方向のなす角度およびそれぞ
れの基板と偏光板との角度を調整することにより、TN型またはSTN型液晶セルを有す
る液晶表示素子を得ることができる。一方、液晶配向膜が垂直配向性である場合には、液
晶配向膜が形成された2枚の基板における配向容易軸の方向が平行となるようにセルを構
成し、これに、偏光板を、その偏光方向が配向容易軸と45°の角度をなすように貼り合
わせることにより、垂直配向型液晶セルを有する液晶表示素子とすることができる。
【0052】
前記シール剤としては、例えばスペーサーとしての酸化アルミニウム球および硬化剤を
含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを好ましく
用いることができる。
TN型液晶セルまたはSTN型液晶セルの場合、正の誘電異方性を有するネマティック
型液晶が好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル
系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジ
オキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。また前記
液晶に、例えばコレステリルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボ
ネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)
として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2
−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、さらに添加して使用してもよい

一方、垂直配向型液晶セルの場合には、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が
好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、ア
ゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などが用いられる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させな
がらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光
板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
かくして製造された本発明の液晶表示素子は、表示性能に優れ、長時間使用しても表示
性能が劣化することがない。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制
限されるものではない。
以下の合成例における重合体の溶液粘度、ポリイミドのイミド化率は、それぞれ下記の
方法により評価した。
[重合体の溶液粘度]
重合体の溶液粘度(mPa・s)は、各重合体溶液についてE型回転粘度計を用いて2
5℃で測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
各合成例で得たポリイミドを含有する溶液を少量分取して純水に投入し、得られた沈殿
をろ取することによりポリイミドを単離した。このポリイミドを室温で十分に減圧乾燥し
た後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室
温で測定したH−NMRから、下記数式(1)により求めた。
イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 (1)
(数式(1)中、Aは10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であ
り、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αはポリイミドの前駆体(ポリア
ミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。
【0054】
<特定重合体の合成例および比較合成例>
[ポリアミック酸の合成例]
合成例1〜42および比較合成例1〜6
N−メチル−2−ピロリドン135gに、第1表に示した種類および量のジアミンおよ
びテトラカルボン酸二無水物を、この順に加えて溶解し、ジアミンおよびテトラカルボン
酸二無水物の合計重量が、反応溶液の全重量に対して10重量%である溶液とし、これを
60℃で6時間反応させることにより、ポリアミック酸(A−1)〜(A−42)および
(R−1)〜(R−6)をそれぞれ10重量%含有する溶液各150gをそれぞれ得た。
ここで得られた各溶液の粘度を第1表に併せて示した。
[ポリイミドの合成]
合成例45〜67および比較合成例7〜12
N−メチル−2−ピロリドン135gに、第2表に示した種類および量のジアミンおよ
びテトラカルボン酸二無水物を、この順に加えて溶解し、ジアミンおよびテトラカルボン
酸二無水物の合計重量が、反応溶液の全重量に対して10重量%である溶液とし、これを
60℃で6時間反応させることにより、ポリアミック酸10重量%含有する溶液各150
gをそれぞれ得た。ここで得られた各溶液の粘度を第2表に併せて示した。
【0055】
次いで、これら各ポリアミック酸を含有する溶液のそれぞれに、第2表に示した量のピ
リジンおよび無水酢酸をそれぞれ添加し、110℃において4時間脱水閉環反応を行った
。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換(本操作
にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することによ
り、ポリイミド(B−45)〜(B−67)および(S−7)〜(S−12)をそれぞれ
15重量%含有する溶液を得た。各溶液の収量、各溶液の少量をそれぞれ分取してN−メ
チル−2−ピロリドンを加えて10重量%に希釈して測定した溶液粘度および各ポリイミ
ドのイミド化率を、それぞれ第2表に併せて示した。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
なお、第1表および第2表において、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の略称
は、それぞれ以下の意味である。
[ジアミン]
光反応性構造を有するジアミン
d−1:上記式(A−2−1−1)で表される化合物
d−2:上記式(A−2−1−2)で表される化合物
d−3:上記式(A−2−1−3)で表される化合物
d−4:上記式(A−2−1−4)で表される化合物
d−5:上記式(A−2−2−1)で表される化合物
d−6:上記式(A−2−1−5)で表される化合物
d−7:上記式(A−2−1−6)で表される化合物
d−8:上記式(A−2−1−7)で表される化合物
d−9:上記式(A−2−1−8)で表される化合物
d−10:上記式(A−2−1−9)で表される化合物
d−11:上記式(A−2−1−10)で表される化合物
d−12:上記式(A−2−1−11)で表される化合物
d−13:上記式(A−2−1−12)で表される化合物
d−14:上記式(A−2−1−13)で表される化合物
上記式(A−1)で表されるジアミン
d−15:上記式(A−1−1)で表される化合物
d−16:上記式(A−1−2)で表される化合物
d−17:上記式(A−1−3)で表される化合物
d−18:上記式(A−1−4)で表される化合物
上記式(A−3)で表されるジアミン
d−19:N,N−ジアリル−2,4−ジアミノアニリン
その他のジアミン
d−20:3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
[テトラカルボン酸二無水物]
t−1:3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,
5:6−二無水物
t−2:2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4
,6:8−二無水物
t−3:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
【0061】
<他の重合体の合成例>
[他のポリアミック酸の合成]
合成例OPA−1
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無
水物98g(0.50モル)およびピロメリット酸二無水物110g(0.50モル)な
らびにジアミンとして4,4’ジアミノジフェニルメタン200g(1.0モル)をN
−メチル−2−ピロリドン230gおよびγ−ブチロラクトンからなる混合溶媒2,10
0gに溶解し、40℃で3時間反応を行った後、γ−ブチロラクトン1,350gを追加
することにより、ポリアミック酸(OPA−1)を10重量%含有する溶液を得た。この
ポリアミック酸溶液の溶液粘度は125mPa・sであった。
合成例OPA−2
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無
水物200g(1.0モル)およびジアミンとして2,2’−ジメチル−4,4’−ジア
ミノビフェニル210g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン370gおよびγ−ブチロラクトン3,300gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応を行うこ
とにより、ポリアミック酸(OPA−2)を10重量%含有する溶液を得た。このポリア
ミック酸溶液の溶液粘度は160mPa・sであった。
【0062】
実施例1
I.液晶配向剤の調製
重合体として、上記合成例PA−1で得たポリアミック酸(PA−1)を含有する溶液
および上記合成例OPA−1で得たポリアミック酸(OPA−1)を含有する溶液を、ポ
リアミック酸(PA−1):ポリアミック酸(OPA−1)=20:80(重量比)にな
るように混合し、これにγ−ブチロラクトン(BL)、N−メチル−2−ピロリドン(N
MP)およびブチルセロソルブ(BC)を加えて十分に撹拌し、溶媒組成がBL:NMP
:BC=30:20:50(重量比)、固形分濃度が3重量%の溶液とした。この溶液を
孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
II.液晶セルの製造
上記で調製した液晶配向剤をITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に
スピンコート法により塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)し
て溶媒を除去した後、庫内を窒素置換した200℃のオーブン中で40分間加熱(ポスト
ベーク)して、平均膜厚1,000Åの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面に、Hg
−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて波長313nmの輝線を含む偏光紫
外線200J/mを、基板法線から40°傾いた方向から照射して液晶配向性を付与し
、液晶配向膜とした。同じ操作を繰り返して、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)製
造した。
【0063】
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニ
ウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配
向膜面を対向配置し、各基板の紫外線の光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように
圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板間の
間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤
で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを120℃
まで加熱してから室温まで徐冷することにより、液晶セルを製造した。
この液晶セルにつき、以下の方法により液晶配向性、プレチルト角および電圧保持率を
それぞれ評価した。評価結果は第3表に示した。
【0064】
III.液晶セルの評価
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶セルに対し、25℃において5Vの電圧をON・OFF(印加・解
除)したときの異常ドメインの有無を偏光顕微鏡により観察し、異常ドメインのない場合
を液晶配向性「良好」として評価した。
(2)プレチルト角の評価
非特許文献2(T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977))および非特許文献3(F.Nakano, et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p.2013(1980))に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によってプレチルト角を測定した。
(3)耐光性の評価
【0065】
上記で製造した液晶セルに対し、70℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時
間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を、
(株)東陽テクニカ製の「VHR−1」により測定した(初期電圧保持率(VHIN))
。次いで該液晶セルに対しカーボンアークを光源とするウェザーメーターを用いて5,0
00時間の光照射を実施し、光照射後の液晶セルについて上記と同様の方法により再度電
圧保持率を測定した(照射後電圧保持率(VHAF))。
このとき、電圧保持率の維持率((VHAF)/(VHIN))が90%以上であった
場合には耐光性は「良好」、90%未満であった場合には、耐光性は「不良」であるとい
える。
(4)残留DC電圧の評価
上記で製造した液晶セルに対し、直流5Vを重畳した30Hz、3Vの矩形波を60℃
の環境温度で2時間印加し、直流電圧を切った直後の液晶セル内に残留した電圧(残留D
C電圧)をフリッカ−消去法により求めた。この値は残像特性の指標となり、この値がお
おむね150mV以下であるとき、残像特性は良好であるといえ、この値がおおむね50
mV以下であるとき、残像特性は特に優れているといえる。
【0066】
実施例2〜77および比較例1〜12
上記実施例1において、重合体として第3表に示した種類および量の重合体をそれぞれ
用いたほかは、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶セルを製造して評価した

評価結果は第3表に示した。
【0067】
【表5】

【0068】
【表6】

【0069】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−
二無水物および2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2
:4,6:8−二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むテトラカルボン
酸二無水物と、
光反応性構造を有するジアミンを含むジアミンと、
を反応させて得られるポリアミック酸ならびに該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリ
イミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有することを特徴とする、
液晶配向剤。
【請求項2】
上記光反応性構造を有するジアミンにおける光反応性構造が、下記式(A−2)
【化1】

(式(A−2)中、dは0または1であり、AおよびAは、それぞれ、炭素数1〜6
のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基であり、e
およびfは、それぞれ、0〜4の整数であり、「+」は、それぞれ、結合手であることを
示す。)
で表される構造である、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
上記式(A−2)で表される構造が、下記式(A−2−1)および(A−2−2)
【化2】

(式(A−2−1)および(A−2−2)中、A、A、d、eおよびfは、それぞれ
、上記式(A−2)におけるのと同義であり、
およびRIIは、それぞれ、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜8のフルオロ
アルキル基または脂環式構造を有する炭素数4〜30の炭化水素基であり、
IIおよびXIIIは、それぞれ、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、
−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−
、−NR−CO−NR−または−O−CO−O−(ここで、Rは、水素原子または炭素数
1〜4のアルキル基である。)であり、
IIIは、それぞれ、メチレン基、アリーレン基、2価の脂環式基、−Si(CH
−、−CH=CH−または−C≡C−であり、ただしRIIIの有する水素原子の1個
または2個以上は、シアノ基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基に置換され
ていてもよく、
hは1〜6の整数であり、
iは0〜2の整数であり、
上記XIIおよびRIIIが複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても相異
なっていてもよく、
jは0または1であり、そして
「+」は、それぞれ、結合手であることを示す。)
のそれぞれで表される構造から選択される少なくとも1種の構造である、請求項2に記載
の液晶配向剤。
【請求項4】
上記ジアミンが、下記式(A−0)および(A−3)
【化3】

(式(A−0)中、Xは単結合、メチレン基、炭素数2または3のアルキレン基、−O−、−COO−、−OCO−、−X’−R−、−R−X’−または−X’−R−X’−(ただし、X’は、それぞれ、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「+」はこれを付した結合手が式(A−0)の左方向に向くことを示す。)であり、Rは、それぞれ、炭素数2または3のアルキレン基であり、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であり、
RingおよびRingは、それぞれ独立に、シクロへキシレン基またはフェニレン基であり、
X”は単結合、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「+」はこれを付した結合手が式(A−0)の左方向に向くことを示す。)であり、
aは0または1であり、bは0〜3の整数であり、
bが2以上のとき、複数存在するX”およびRingは、それぞれ、互いに同一であっても相違していてもよく、aが0であるとき、式(A−0)の最も左に位置するX”は単結合であり、
cは0〜20の整数であってαおよびβは、それぞれ、0〜2c+1の整数であり、ただし、α+β=2c+1であり、そしてa+b=0であるとき、cが0であることはない。)
【化4】

(式(A−3)中、RIIIは、それぞれ、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基
であり、RIVおよびRは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。)
で表されるジアミンよりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含むものである、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
テトラカルボン酸二無水物と、
上記第二のジアミンを含まないジアミンと、
を反応させて得られるポリアミック酸ならびに該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリ
イミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を、さらに含有する、請求項1
〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成されたことを特徴とする、液
晶配向膜。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
【請求項8】
3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−
二無水物および2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2
:4,6:8−二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むテトラカルボン
酸二無水物と、
光反応性構造を有するジアミンを含むジアミンと、
を反応させて得られるポリアミック酸。
【請求項9】
請求項8に記載のポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミド。

【公開番号】特開2011−84724(P2011−84724A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163090(P2010−163090)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】