説明

液滴吐出装置および液状材料供給管

【課題】管体内での液状材料の光による変質、劣化等の不具合を防止し、高精度な液滴吐出を実現するとともに、必要時には、管体内の液状材料を良好に視認することができる液滴吐出装置、また、この液滴吐出装置に用いることができる液状材料供給管を提供すること。
【解決手段】本発明の液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドに液状材料Lを供給する管体81と、管体81内の流路の外周面側に設けられ、熱により変色する変色性材料を含んで構成された変色層822を備えるフィルタ82と、変色層822を加温する加温手段とを有し、加温手段の作動状態に応じて、変色層822中の変色性材料の色を変化させることで、フィルタ82が流路内への外光を遮断する遮光状態と、フィルタ82が流路内への外光を透過させて流路内の液状材料を視認し得る透光状態とに変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置および液状材料供給管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置は、液状材料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドを備えている(例えば、特許文献1参照)。そして、一般に、液滴吐出ヘッドは、液状材料を貯留するタンクに、供給管を介して接続されており、タンクから供給管を介して液状材料が供給される。
このような液滴吐出装置は、インクジェットプリンターのように民生用として用いられるだけでなく、産業用としても用いられている。産業用の液滴吐出装置では、例えば、液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線等の導体層や絶縁膜を形成したりするのに使用される。
【0003】
特に産業用の液滴吐出装置では、液状材料として光硬化性を有するもの(例えばフォトレジスト液)を用いる場合がある。
従来、フォトレジスト液が配管内で硬化するのを防止するために、特許文献1に開示されているように、供給管として、吸光剤を含有する透明樹脂で構成された配管が知られている。
【0004】
しかしながら、特許文献1にかかる配管では、配管内でのフォトレジスト液の硬化を防止できるようにすると、液状材料の配管の管壁の透明度が低くなり、配管内の視認性を良好なものとすることができない。
仮に、特許文献1にかかる配管において、液状材料の配管の管壁の透明度を上げようとすると、配管の厚さを薄くしたり、吸光剤の含有量を少なくしたりしなければならず、配管の管壁の遮光性が低下し、配管内でのフォトレジスト液の硬化を防止することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−314346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、管体内での液状材料の光による変質、劣化等の不具合を防止し、高精度な液滴吐出を実現するとともに、必要時には、管体内の液状材料を良好に視認することができる液滴吐出装置、また、この液滴吐出装置に用いることができる液状材料供給管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液滴吐出装置は、液状材料を液滴として吐出するノズルを備える液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドに前記液状材料を供給する管体と、
前記管体内の流路を流れる前記液状材料への外光を遮断し得る遮光手段とを有し、
前記遮光手段は、前記流路の外周面側に設けられ、熱により変色する変色性材料を含んで構成された変色層を備えるフィルタと、
前記変色層を加温する加温手段とを有し、
前記遮光手段は、前記加温手段の作動状態に応じて、前記変色層中の前記変色性材料の色を変化させることで、前記フィルタが前記流路内への外光を遮断する遮光状態と、前記フィルタが前記流路内への外光を透過させて前記流路内の前記液状材料を視認し得る透光状態とに変化することを特徴とする。
【0008】
これにより、フィルタを遮光状態とすることで、管体内での液状材料の光による変質、劣化等の不具合を防止し、高精度な液滴吐出を実現するとともに、必要時(所望時)には、フィルタを透光状態とすることで、管体内の液状材料を良好に視認することができる。
また、管体内の液状材料を加熱することで低粘度化することができる。そのため、室温で高粘度な液状材料を用いた場合であっても、高精度な液滴吐出を実現することができる。
【0009】
本発明の液滴吐出装置では、前記フィルタは、前記管体の長手方向に亘って設けられていることが好ましい。
これにより、フィルタを透光状態とすることで、管体の長手方向に亘って管体内の液状材料を視認することができる。特に、フィルタを管体の長手方向での全域に亘って設けた場合には、液状材料の供給元から供給先までの状態を視認することが可能となる。
【0010】
本発明の液滴吐出装置では、前記フィルタは、前記管体の周方向に亘って設けられていることが好ましい。
これにより、フィルタを遮光状態とすることで、管体内の液状材料への外光を遮断することができる。また、フィルタが管体の特定の方向のみの可撓性を阻害するのを防止することができる。
【0011】
本発明の液滴吐出装置では、前記フィルタは、前記管体の周方向での一部に設けられ、該一部を除く領域には、遮光性を有する遮光層が設けられていることが好ましい。
これにより、フィルタを遮光状態とすることで、管体内の液状材料への外光を遮断することができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記加温手段は、前記管体から前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状材料の温度を所定温度範囲以内に維持するように構成されていることが好ましい。
これにより、管体内の液状材料の熱による変質・劣化等を防止することができる。また、液滴吐出ヘッドに供給される液状材料の粘度変動をより確実に抑えることができる。その結果、安定な液滴吐出を実現することができる。
【0012】
本発明の液滴吐出装置では、前記管体と前記液滴吐出ヘッドとの接続部付近の前記液状材料の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出温度に基づいて、前記加温手段の作動を制御する制御手段とを有することが好ましい。
これにより、管体から液滴吐出ヘッドに供給される液状材料の温度を所望の温度範囲以内に維持することができる。
【0013】
本発明の液滴吐出装置では、前記フィルタは、前記所定温度範囲内にて前記遮光状態となるように構成されていることが好ましい。
これにより、液滴吐出ヘッドからの液滴吐出時において、管体内の液状材料の粘度変動を防止しつつ、管体内での液状材料の光による変質、劣化等の不具合を防止することができる。
【0014】
本発明の液滴吐出装置では、前記管体を介して前記液滴吐出ヘッドに接続され、前記液状材料を貯留する貯留部を有し、前記貯留部に貯留された前記液状材料を加熱し所定温度範囲内に維持するように構成されていることが好ましい。
これにより、管体内の液状材料の温度変動をより確実かつ簡単に抑えることができる。そのため、フィルタが管体内の液状材料の温度変動に起因して不本意に遮光状態または透光状態となるのを防止することができる。
【0015】
本発明の液滴吐出装置では、前記液滴吐出ヘッドの単位時間当たりの液滴吐出量に基づいて、前記通電手段の作動を制御するように構成されていることが好ましい。
これにより、管体内の液状材料の流速の変化に応じて、発熱体の発熱量を調整することができる。そのため、管体内の液状材料の流速が変化しても、管体内の液状材料の温度変動を抑えることができる。
【0016】
本発明の液滴吐出装置では、前記発熱体は、自己温度調整機能を有する材料で構成されていることが好ましい。
これにより、温度センサや複雑な制御装置を用いなくても、発熱体の発熱量を所定範囲内に維持することができる。その結果、液滴吐出装置の構成を簡単化することができる。また、発熱体の過昇温を防止し、その結果、液状材料の劣化、管体の損傷等を防止することができる。
【0017】
本発明の液滴吐出装置では、前記フィルタは、前記管体の外表面に接合されていることが好ましい。
これにより、フィルタが遮光状態で管体内への外光を遮断することができる。また、フィルタの設置を比較的簡単なものとすることができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記加温手段は、前記管体近傍に設けられ、通電により発熱する発熱体と、該発熱体に通電する通電手段とを備えることが好ましい。
これにより、高精度に変色層の温度を制御することができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記変色性材料は、温度変化に対して可逆的に変色するものであることが好ましい。
これにより、フィルタを何度も遮光状態と透光状態とで変化させることができ、フィルタを繰り返し使用することができる。
【0018】
本発明の液状材料供給管は、液状材料を流通させる管体と、
前記管体内の流路の外周面側に設けられ、熱により変色する変色性材料を含んで構成された変色層を備えるフィルタとを有し、
前記フィルタは、前記変色層の温度に応じて、前記変色層中の前記変色性材料の色を変化させることで、前記流路内への外光を遮断する遮光状態と、前記流路内への外光を透過させて前記流路内の前記液状材料を視認し得る透光状態とに変化することを特徴とする。
これにより、フィルタを遮光状態とすることで、管体内での液状材料の光による変質、劣化等の不具合を防止し、高精度な液滴吐出を実現するとともに、必要時(所望時)には、フィルタを透光状態とすることで、管体内の液状材料を良好に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す液滴吐出装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】図1に示す液滴吐出装置の液状材料供給系を示す図である。
【図4】図3に示す液状材料供給系の液滴吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
【図5】図3に示す液状材料供給系の供給管の拡大横断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる供給管の拡大横断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる供給管の拡大横断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態にかかる供給管の拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の液滴吐出装置の好適な実施形態について、添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。なお、以下では、産業用の液滴吐出装置に本発明を適用した場合を一例として説明するが、本発明は、インクジェットプリンターのような民生用の液滴吐出装置にも適用可能である。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図、図2は、図1に示す液滴吐出装置の制御系を示すブロック図、図3は、図1に示す液滴吐出装置の液状材料供給系を示す図、図4は、図3に示す液状材料供給系の液滴吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図、図5は、図3に示す液状材料供給系の供給管の拡大横断面図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1において、上下方向(鉛直方向)を「Z方向」、Z方向に垂直な(水平な)一方向を「X方向」、Z方向およびX方向に直交する方向を「Y方向」と言う。
【0022】
(液滴吐出装置の概略構成)
図1に示すように、液滴吐出装置1は、装置本体10と、ワークWが載置されるステージ(テーブル)20と、装置本体10に対してステージ20をY方向に移動させる第1の移動機構30と、ワークWに向けて液状材料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド40と、装置本体10に対して液滴吐出ヘッド40をX方向に移動させる第2の移動機構50と、液滴吐出装置1の各部の駆動を制御する制御手段60とを有している。
【0023】
このような液滴吐出装置1では、第1の移動機構30および第2の移動機構50の作動により液滴吐出ヘッド40をワークWに対してX方向およびY方向に相対的に移動させながら、液滴吐出ヘッド40から液状材料を液滴として吐出し、その液滴をワークW上に付与(着弾)させる。
また、後に詳述するが、かかる液滴吐出装置1は、液状材料が貯留されたタンク70と、タンク70から液滴吐出ヘッド40へ液状材料を供給する供給管(液状材料供給管)80とを備えている(図3参照)。
【0024】
以下、このような液滴吐出装置1を構成する各部を順次詳細に説明する。
装置本体10は、図1に示すように、基台11と、基台11上に設けられた1対の柱体12とを有している。
基台11上には、第1の移動機構30を介してステージ20が設けられている。
第1の移動機構30は、Y方向に沿って延在する1対のガイドレール31と、この1対のガイドレール31に沿って移動可能なスライダ32と、スライダ32を1対のガイドレール31に沿って移動させるリニアモーター等の駆動手段(図示せず)とを有している。
【0025】
スライダ32の上面には、調整機構33を介してステージ(載置部)20が取り付けられている。
調整機構33は、例えばモーターを含んで構成され、スライダ32に対するステージ20の位置および/または姿勢を調整し得るものである。より具体的には、調整機構33は、スライダ32に対してステージ20をθz方向に(Z方向に平行な軸線回りに)回転し得るものである。
【0026】
ステージ20は、液滴吐出(液滴付与)の対象となる基板等のワークWを設置・保持するものである。
このステージ20には、その上面(設置面)に開口する複数の穴21が形成されている。この各穴21には、図示しない吸引ポンプが接続されている。これにより、各穴21を負圧にすることで、ワークWをステージ20上に吸着させ、ワークWをステージ20上に所望の位置および姿勢で保持することができる。
なお、ステージ20上には、液滴吐出ヘッド40が液状材料を捨打ちまたは試し打ち(予備吐出)するための予備吐出エリアが設けられていてもよい。
【0027】
また、基台11上には、キャッピングユニット13と、クリーニングユニット14とが設けられている。
キャッピングユニット13は、後述する液滴吐出ヘッド40のノズルの乾燥を防止するため、液滴吐出装置1の待機時にノズルを覆うものである。
また、クリーニングユニット14は、液滴吐出ヘッド40のノズルの目詰まりを取り除くため、ノズルの内部を吸引するものである。
【0028】
一方、1対の柱体12の上端部には、第2の移動機構50を介して液滴吐出ヘッド40が設けられている(架設されている)。
第2の移動機構50は、X方向に沿って延在する1対のガイドレール51と、この1対のガイドレール51に沿って移動可能なスライダ52と、このスライダ52を1対のガイドレール51に沿って移動させるリニアモーター等の駆動手段(図示せず)とを有している。
【0029】
スライダ52には、調整機構53を介して液滴吐出ヘッド40が取り付けられている。
調整機構53は、例えば複数のモーターを含んで構成され、スライダ52に対する液滴吐出ヘッド40の位置および/または姿勢を調整し得るものである。より具体的には、調整機構53は、スライダ52に対して液滴吐出ヘッド40をZ方向に移動する機能と、スライダ52に対して液滴吐出ヘッド40をα方向(Z方向に平行な軸線回りに)回動させる機能と、スライダ52に対して液滴吐出ヘッド40をβ方向(Y方向に平行な軸線回りに)回動させる機能と、スライダ52に対して液滴吐出ヘッド40をγ方向(X方向に平行な軸線回りに)回動させる機能とを有するものである。
【0030】
液滴吐出ヘッド40は、液状材料をワークWに向けて液滴として吐出するものである。なお、液滴吐出ヘッド40の構成については、後に詳述する。
以上説明したような第1の移動機構30、第2の移動機構50および液滴吐出ヘッド40は、制御手段60により駆動制御される。また、制御手段60は、後述する供給管80およびタンク70の駆動を制御する機能をも有する。
【0031】
このような制御手段60は、図2に示すように、入力バッファメモリ61と、記憶手段62と、処理部63と、走査駆動部64と、ヘッド駆動部65と、ヒータ駆動部66と、ヘッド位置検出手段67と、ステージ位置検出手段68とを備えている。
入力バッファメモリ61と処理部63とは相互に通信可能に接続されている。処理部63と記憶手段62とは相互に通信可能に接続されている。処理部63と走査駆動部64とは相互に通信可能に接続されている。処理部63とヘッド駆動部65とは相互に通信可能に接続されている。また、走査駆動部64は、第1の移動機構30および第2の移動機構50と相互に通信可能に接続されている。また、ヘッド駆動部65は、複数の液滴吐出ヘッド40のそれぞれと相互に通信可能に接続されている。また、ヒータ駆動部66は、後述する供給管80の発熱体821およびタンク70のヒータ72と相互に通信可能に接続されている。
【0032】
入力バッファメモリ61は、図示しない外部情報処理装置から、液状材料Lの液滴を吐出する位置に関するデータ、すなわち描画パターンデータを受け取る。入力バッファメモリ61は、この描画パターンデータを処理部63に入力し、処理部63は、描画パターンデータを記憶手段62に格納する。記憶手段62は、RAM、磁気記録媒体、光磁気記録媒体等で構成される。
【0033】
ヘッド位置検出手段67は、液滴吐出ヘッド40のX方向での位置(移動距離)を検出し、その検出信号を処理部63へ入力する。
ステージ位置検出手段68は、ステージ20(およびワークW)のY方向での位置(移動距離)を検出し、その検出信号を処理部63へ入力する。
ヘッド位置検出手段67およびステージ位置検出手段68は、それぞれ、例えばリニアエンコーダ、レーザー測長器等で構成される。
【0034】
処理部63は、ヘッド位置検出手段67およびステージ位置検出手段68の検出信号に基づき、走査駆動部64を介して、第1の移動機構30および第2の移動機構50の作動を制御(クローズドループ制御)する。これにより、液滴吐出ヘッド40とワークWとのX方向およびY方向での相対位置関係および相対移動速度を制御する。
また、処理部63は、上記の描画パターンデータに基づいて、後述する液滴吐出ヘッド40の各ノズル411に対応する所定時間間隔の吐出タイミング毎の液滴吐出のオン・オフを指定する選択信号をヘッド駆動部65へ与える。ヘッド駆動部65は、上記の選択信号に基づいて、液状材料Lの吐出に必要な吐出信号を液滴吐出ヘッド40に与える。この結果、液滴吐出ヘッド40における対応するノズル411から、液状材料Lが液滴として吐出される。
【0035】
また、処理部63は、後に詳述するように、液滴吐出ヘッド40に設けられた温度センサ46の検出結果(検出温度)に基づいて、ヒータ駆動部66が供給管80の発熱体821およびタンク70のヒータ72の駆動(供給する通電量)を制御する。これにより、供給管80内およびタンク70内の液状材料Lの温度を所望の温度に維持することができる。
制御手段60は、例えば、CPU、ROM、RAMを含んだコンピュータである。この場合には、前述したような制御手段60の機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムを用いることによって実現することができる。もちろん、制御手段60は、専用の回路(ハードウェア)であってもよい。
【0036】
(液滴吐出装置の液状材料供給系)
ここで、前述したような液滴吐出装置1の液状材料供給系について、詳述する。
図3に示すように、液滴吐出装置1は、液状材料が貯留されたタンク70と、タンク70から液滴吐出ヘッド40へ液状材料を供給する供給管(液状材料供給管)80とを備えている。
【0037】
液滴吐出ヘッド40は、ピエゾ素子を用いたピエゾ方式を採用し、図4に示すように、ノズル基板41と、キャビティ基板42と、振動板43と、複数の圧電素子44と、カバー基板45とを有している。
ここで、ノズル基板41と振動板43とは、キャビティ基板42を介して接合されている。
【0038】
そして、キャビティ基板42には、厚さ方向に貫通する異形孔が形成され、これにより、ノズル基板41と振動板43との間には、複数のキャビティ421と、この複数のキャビティ421と連通するリザーバ422とが形成されている。
また、リザーバ422内には、温度センサ46が設けられている。この温度センサ46は、リザーバ422内(後述する管体81と液滴吐出ヘッド40との接続部付近)の液状材料Lの温度を検出するものである。
【0039】
温度センサ46としては、特に限定されず、例えば、熱電対、サーミスタ等を用いることができる。
なお、温度センサ46の設置箇所は、前述した箇所に限定されず、例えば、管体81内であってもよいし、液滴吐出ヘッド40のノズル基板41上(上面上または下面上)であってもよい。
また、ノズル基板41には、前述した複数のキャビティ421に対応して、複数のノズル(ノズル孔)411が形成されている。
【0040】
一方、振動板43のキャビティ基板42側とは反対側の面には、前述した複数のキャビティ421に対応して、複数の圧電素子44が接合されている。この各圧電素子44は、前述した制御手段60によって駆動制御される。
また、振動板43のキャビティ基板42側とは反対側の面には、カバー基板45が接合されている。このカバー基板45には、複数の圧電素子44を収納するように凹部が形成され、その縁部が振動板43に接合されている。また、カバー基板45には、前述したリザーバ422に連通する供給孔451が形成されている。
【0041】
このように構成された液滴吐出ヘッド40では、各圧電素子44を駆動することにより、駆動する圧電素子44に対応する振動板43の部分を変形(振動)させる。これにより、駆動する圧電素子44に対応するキャビティ421の容積(圧力)を変化させ、キャビティ421内からノズル411を通じて、液状材料Lが液滴Dとして吐出される(押し出される)。
【0042】
なお、液滴吐出ヘッド40は、ピエゾ方式のものに限定されず、例えば、液状材料を加熱して発生した泡(バブル)により液滴として吐出する方式、振動板43を静電引力により振動させる静電駆動方式等であってもよい。
このような液滴吐出ヘッド40の供給孔451には、図3に示すように、供給管(液状材料供給管)80を介して、タンク70が接続されている。これにより、タンク70から供給管80を介して液滴吐出ヘッド40のリザーバ422に液状材料Lが供給される。
【0043】
タンク70は、液状材料Lを貯留する貯留部71と、貯留部71内の液状材料Lを加熱するヒータ72とを有している。
貯留部71は、後述する供給管80の管体81を介して液滴吐出ヘッド40に接続され、液状材料Lを貯留する。
液状材料Lとしては、液滴吐出装置1の用途等によって決定されるものであり、特に限定されず、有機材料を溶媒に溶解した各種溶液、有機材料や無機材料を分散質とし分散媒に分散した各種分散液を用いることができる。
【0044】
このようなタンク70は、通常、貯留部71の容量が比較的大きく、前述した装置本体10に対して固定的に設置される。なお、貯留部71の容量が比較的小さい場合には、液滴吐出ヘッド40とともにX方向に移動するように構成することも可能である。この場合、貯留部71に液状材料Lを供給する大型のタンクを別途設け、この大型のタンクを装置本体10に対して固定的に設置する。このように、タンク70は、液滴吐出ヘッド40と大型のタンクとの間に設置した小型の予備タンク(液溜まり)として用いることもできる。
【0045】
ヒータ72は、貯留部71の周囲を囲むように設けられ、貯留部71内の液状材料Lを加熱するものである。
このようなヒータ72は、電源回路等の通電手段73に電気的に接続され、通電手段73からの通電により発熱するようになっている。
また、通電手段73は、制御手段60に接続され、制御手段60によって駆動制御される。これにより、貯留部71内の液状材料Lの温度を所定温度範囲内に維持することができる。また、このように、貯留部71に貯留された液状材料Lを加熱し所定温度範囲内に維持するように構成されていると、管体81に導入される液状材料Lの温度変動を小さく抑えることができる。そのため、後述する供給管80の管体81内の液状材料Lの温度変動をより確実かつ簡単に抑えることができる。その結果、後述するフィルタ82が管体81内の液状材料Lの温度変動に起因して不本意に遮光状態または透光状態となるのを防止することができる。
【0046】
供給管(液状材料供給管)80は、その一端がタンク70の貯留部71内にもたらされ、他端が液滴吐出ヘッド40の供給孔451に接続されている。
このような供給管80は、管体81と、この管体81の外周面を覆うように設けられたフィルタ82とを有している。
管体81は、その内腔部(流路)に液状材料Lが流れるものである。
【0047】
また、管体81(より具体的には管体81の管壁)は、管体81の内部を外部から視認し得るような透明性を有するものである。これにより、後述するようにフィルタ82が透光状態であるときに、フィルタ82および管体81の管壁を介して管体81内の液状材料Lを視認することができる。
また、管体81は、可撓性を有している。これにより、供給管80全体を可撓性を有するものとし、第2の移動機構50による液滴吐出ヘッド40の移動に伴って、供給管80全体を曲げ変形させることができる。そのため、第2の移動機構50によって液滴吐出ヘッド40が移動しても、タンク70から供給管80を介して液滴吐出ヘッド40に液状材料を供給することができる。
【0048】
このような管体81の構成材料としては、管体81が前述したような可撓性および透明性を有するとともに発熱体821からの熱に耐え得る耐熱性を有するものであれば、特に限定されず、樹脂材料、エラストマー材料、ゴム材料等を用いることができるが、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素系樹脂、ナイロン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドエーテル、ポリエーテルケトン、ポリベンゾオキサゾール等の樹脂材料が好適に用いられ、特に、フッ素系樹脂を用いるのが好ましい。
【0049】
なお、管体81の構成材料としては、用いる液状材料L(溶媒または分散媒)に対して耐性を有するのが好ましいが、管体81の構成材料自体が液状材料Lに対して耐性を有していなくても、管体81の内周面上に液状材料Lに対して耐性を有する被膜を形成すればよい。また、管体81には、上記の樹脂材料以外の材料が含まれていてもよい。
このような管体81の外周面上には、フィルタ82が設けられている。
【0050】
フィルタ82は、管体81の外表面上(管体81の近傍)に設けられた層状の発熱体821と、発熱体821の外表面上に設けられた変色層822と、変色層822の外表面上に設けられた被覆層823とを有している。
このフィルタ82は、図3に示す通電手段84からの通電による発熱体821の発熱状態によって、変色層822の色が変化するものである。
【0051】
特に、このフィルタ82は、変色層822の温度に応じて、変色層822中の変色性材料の色を変化させることで、管体81内の流路内への外光を遮断する遮光状態(以下、単に「遮光状態」とも言う)と、前記流路内への外光を透過させて前記流路内の液状材料Lを視認し得る透光状態(以下、単に「透光状態」とも言う)とに変化するものである。
ここで、フィルタ82および通電手段84は、前述した管体81の流路(内腔部)を流れる液状材料Lへの外光を遮断し得る遮光手段を構成する。また、発熱体821および通電手段84は、変色層822を加温する加温手段を構成する。
【0052】
すなわち、遮光手段は、加温手段の作動状態に応じて、変色層822中の変色性材料の色を変化させることで、フィルタ82が遮光状態と透光状態とに変化する。本実施形態では、加温手段が発熱体821および通電手段84を備えるので、高精度に変色層822の温度を制御することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、管体81内の流路を流れる液状材料Lは前述したタンク70のヒータ72によって加温されており、管体81内の流路を流れる液状材料Lも変色層822を加温する加温手段を構成する。
このようなフィルタ82は、遮光状態とすることで、管体81内での液状材料Lの光による変質、劣化等の不具合を防止し、高精度な液滴吐出を実現するとともに、必要時(所望時)には、透光状態とすることで、管体81内の液状材料Lを良好に視認することができる。
【0054】
また、管体81内の液状材料Lを加熱することで低粘度化することができる。そのため、室温で高粘度な液状材料を用いた場合であっても、高精度な液滴吐出を実現することができる。
また、フィルタ82は、管体81の長手方向でのほぼ全域に亘って設けられている。これにより、フィルタ82を透光状態とすることで、管体81の長手方向でのほぼ全域に亘って管体81内の液状材料Lを視認することができる。
【0055】
また、フィルタ82は、管体81の周方向でのほぼ全域に亘って設けられている。これにより、フィルタ82を遮光状態とすることで、管体81内の液状材料Lへの外光を遮断することができる。また、フィルタ82を透光状態とすることで、管体81内の液状材料Lの視認性を良好なものとすることができる。また、フィルタ82が管体81の特定の方向のみの可撓性を阻害するのを防止することができる。
また、フィルタ82は、管体81の外表面に接合されている。これにより、フィルタ82が遮光状態で管体81内への外光を効果的に遮断することができる。また、フィルタ82の設置を比較的簡単なものとすることができる。
【0056】
以下、フィルタ82を構成する各部を順次詳細に説明する。
発熱体821は、通電手段84からの通電により発熱するものである。
このような発熱体821は、変色層822を加熱する。発熱体821により加熱された変色層822は、変色する。また、本実施形態では、発熱体821は、前述した管体81内の液状材料Lをも加熱する。発熱体821により加熱された液状材料Lは、低粘度化される。
【0057】
発熱体821は、フィルタ82が透光状態であるときにフィルタ82および管体81の管壁を介して管体81内の液状材料を視認し得るような透明性を有するものである。
発熱体821は、前述した管体81の外側を覆うように層状をなしている。また、発熱体821は、管体81の長手方向に沿って延在している。
このように発熱体821が管体81の外表面を覆うように層状をなすものであると、管体81内の液状材料Lを均一に加熱することができる。
【0058】
本実施形態では、発熱体821は、管体81の長手方向でのほぼ全域に亘って設けられている。これにより、管体81の長手方向での全域に亘って均一に液状材料Lを加熱することができる。そのため、管体81の長手方向での全域に亘って液状材料Lの温度を均一化し、液滴吐出ヘッド40に供給される液状材料Lの粘度変動をより確実に抑えることができる。
【0059】
なお、発熱体821は、変色層822を遮光状態と透光状態とに変化させ得るものであれば、管体81の長手方向における一部に設けられていてもよい。また、発熱体821は、変色層822を遮光状態と透光状態とに変化させ得るものであれば、管体81の外周面全域を覆っていなくてもよく、例えば、帯状をなし、管体81の外周面に沿って螺旋状に巻回されていてもよい。この場合、帯状の発熱体は、螺旋のピッチによっては、帯間で視認することができるので、前述したような透明性を有していなくてもよい。
【0060】
このような発熱体821の構成材料としては、発熱体821が通電により発熱することができれば、特に限定されないが、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、カーボン系材料、チタン酸バリウム系セラミック(BaTiO)、ニッケル、クロム、Fe−Cr−Al合金、Ni−Cr合金等が挙げられる。
また、発熱体821の構成材料として、ITO、カーボン系材料、BaTiO等、自己温度調節機能(PTC)を有する材料を用いると、温度センサや複雑な制御手段を用いなくても、発熱体821の発熱量を所定範囲内に維持することができる。その結果、液滴吐出装置1の構成を簡単化することができる。
【0061】
また、自己温度調節機能を有する材料は、電圧を印加すると(通電すると)、ジュール熱により、当該材料自体の温度が上昇するが、一旦所定温度に到達すると電気抵抗が急激に高くなり、すなわち、電流が抑えられ、所定温度を維持することができる。したがって、発熱体821の過昇温を防止し、その結果、液状材料Lの劣化、管体81の損傷等を防止することができる。
【0062】
なお、発熱体821の構成材料自体の透明性は優れていなくても、発熱体821の厚さを薄くすることで、発熱体821を透明性(光透過性)を有するものとすることができる。
また、発熱体821の厚さは、発熱体821の構成材料や発熱体821に必要な発熱量などによって適宜選択され、特に限定されないが、例えば、0.01〜500μmであるのが好ましい。
【0063】
なお、発熱体821の外表面上(発熱体821と後述する変色層822との間)には、絶縁性を有する被覆層が設けられていてもよい。このような被覆層の構成材料としては、発熱体821の発熱に耐え得るとともに絶縁性を有していれば、特に限定されず、各種無機材料や各種有機材料を用いることができる。
また、この被覆層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜1000μmであるのが好ましい。
【0064】
このような層状の発熱体821の外周面上には、変色層822が設けられている。
変色層822は、その温度に応じて、色が変化するものである。
より具体的には、変色層822は、その温度に応じて、フィルタ82が遮光状態となる色(以下、「遮光色」とも言う)と、フィルタ82が透光状態となる色(以下、「透光色」とも言う)とに変化するものである。
【0065】
ここで、遮光色は、用いる液状材料Lの種類、管体81やフィルタ82の変色層822以外の構成等によって適宜設定されるものであり、遮光状態のフィルタ82が管体81内への外光を遮断することができれば、特に限定されないが、変色層822自体が管体81内への外光を遮断するものであるのが好ましい。特に、遮光色は、黒色または暗色であるのがより好ましい。これにより、遮光状態のフィルタ82が広い波長帯域の光を遮断することができる。そのため、遮光状態のフィルタ82により管体81内の液状材料の不本意な硬化をより確実に防止することができる。
【0066】
また、透光色は、フィルタ82全体が透光状態(管体81内を視認可能)となるものであれば、特に限定されず、例えば、変色層822自体が有色透明であっても無色透明であってもよい。
このような変色層822は、熱により変色する熱変色性材料を含むものである。
変色性材料としては、熱により変色するものであれば、特に限定されないが、温度の上昇・下降に対して可逆的に色が変化するもの(サーモクロミック材料)が好ましい。これにより、フィルタ82を何度も遮光状態と透光状態とで変化させることができ、フィルタ82や供給管80を繰り返し使用することができる。
【0067】
また、変色性材料としては、特に限定されないが、例えば、テトラハロゲノ錯体、エチレンジアミン錯体誘導体、含窒素配位子錯体、縮合芳香環置換エチレン誘導体、コレステリック液晶またはメタモカラーなどの材料が挙げられる。このような材料は、温度変化に対する色彩の変化の度合いが大きく、また、色再現性、色彩の安定性にも優れる。
上記材料の具体例としては、テトラハロゲノ錯体として、例えば、[(i−Pr)NH[CuCl]、[(Et)NH[CuCl]、[(PhC)MeNH[CuCl]、[HN(CHCHNH[CuCl]Cl、[HN(CHCHNH[CuBr]Brなどのテトラハロゲノ銅錯体、[(Et)NH][NiCl]、[(Me)NH][NiCl]、[(PhCl)MeNH[NiCl]、[(Et)NH[NiCl]、[(Me)NH[NiCl]、[(i−Pr)NH[NiCl]、[(n−Pr)NH[NiCl]、[EtNH[NiCl]、[MeNH[NiCl]などの[RNH4−n[NiCl](Rはアルキル基を示し、nは1〜3を示す。)で表されるテトラハロゲノニッケル錯体、Ag[HgI]、Cu[HgI]、Pb[HgI]、Hg[HgI]、Tl[HgI]などのM[HgI]で表されるテトラハロゲノ水銀錯体などが挙げられる。
【0068】
エチレンジアミン錯体誘導体として、例えば、[NiL(1,2−butanediamine)]Cl、[NiL(1,2−butanediamine)]Br、[NiL(dmbn)](NO、[NiL(phenen)](NO、[NiL(dl−2,3−butanediamine)]Cl、[NiL(dl−2,3−butanediamine)]Br、[NiL(dl−stien)]Cl、[NiL(dl−stien)]Br、[NiL(dl−stien)](NO、[NiL(dl−chxn)]Cl、[NiL(dl−chxn)]Br、[Ni(iso−butanediamine)]Cl、[Ni(m−2,3−butanediamine)](NO、[NiL(m−chxn)](NO(LはHO、dmbnは3,3−dimethyl−1,2−butanediamine、phenenは1−phenyl−1,2−ethanediamine、dl-stienはdl-1,2−diphenyl−1,2−ethanediamine、chxnは1,2−cyclohexanediamineを示す。)などのC−置換エチレンジアミン類ニッケル錯体、[CuL](ClO、[CuL](BF、[CuL](NO、[NiL](ClO、[NiL](BF(LはNN−ジエチルエチレンジアミンを示す。)などのNN−ジエチルエチレンジアミン錯体などが挙げられる。
【0069】
含窒素配位子錯体として、例えば、[CuX(NO2−n(NH](Xはハロゲン原子、nは1〜2を示す。)で表される錯体、[Ni(trans−2−(2’−quinolyl)−methylene−3−quinuclidinone)Clまたは[Ni(bis−(3,5−dimethylpyrazolyl)methane)Clで表される錯体、[CoI(daco)]I・EtOH、[Cu(daco)](NO(dacoは1,4−ジアザシクロオクタンを示す。)などで表される1,4−ジアザシクロオクタン錯体などが挙げられる。
【0070】
縮合芳香環置換エチレン誘導体として、例えば、ジ−α,β−ナフトイソスピロピラン、ベンゾ−β−ナフトイソスピロピラン、3−アルキル−ジ−β−ナフトスピロピランなどのスピロピラン化合物、ビアントロン、ジキサンチレン、キサンチリジェンアンスロンなどが挙げられる。
コレステリック液晶としては、例えば、ジコレステリル−10,12−ドコサジインジオネートなどのコレステリンの誘導体などが挙げられる。
【0071】
メタモカラーは、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、極性有機化合物とを含む材料である。
ここで、電子供与性呈色性有機化合物としては、例えば、3,6−ジメトキシフルオラン(黄)、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン(橙)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン(朱)、3−ジエチルアミノベンツフルオラン(桃)、ローダミンBラクタム(赤)、クリスタルバイオレットラクトン(青)、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン(緑)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(黒)などが挙げられる。
【0072】
電子受容性化合物としては、没食子酸プロピルエステルなどが挙げられる。
極性有機化合物としては、炭素数1〜20のアルコール、エステル、ケトン、エーテル、チオエーテル、酸アミドなどの化合物が挙げられる。
これら電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、極性有機化合物とは、それぞれ2種以上の化合物を用いることができる。また、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、極性有機化合物とのそれぞれの化合物を任意に組み合わせることで、変色温度を任意に設定することができる。
【0073】
例えば、電子供与性呈色性有機化合物を2種以上用いると、混色を得ることができる。また、極性有機化合物の種類を変えれば、異なった変色温度を得ることができる。
以上のような変色性材料は、変色温度や色を考慮して、最適な材料が選択される。
変色層822は、前述した2つの色(すなわち遮光色と透光色)に変化するものであれば、2段階に変化(2色に変化)するものであっても、3段階以上に変化(3色以上に変化するものであってもよい。
【0074】
なお、変色性材料の色彩が変化する温度を変色温度(変色点)と言う。例えば、変色性材料の色彩が2段階に変化する場合、変色温度は1つであり、変色性材料の色彩が3段階に変化する場合、変色温度は2つである。
また、前述した変色性材料は、2種以上の変色性材料を組み合わせて(混合して)用いることができる。また、変色性材料はその種類によって変色温度、変色する色が異なるので、所望の温度で所望の色に変色する任意の変色層822を作成することができる。
【0075】
また、変色層822が遮光色となる温度は、変色層822が透光色となる温度に対し高いのが好ましい。すなわち、フィルタ82が遮光状態となる温度は、フィルタ82が透光状態となる温度よりも高いのが好ましい。これにより、発熱体821を発熱させることで、変色層822を透光色から遮光色に変化させることができる。
この場合、液滴吐出装置1の作動時(発熱体821の発熱時)に、変色層822が遮光色となり、液滴吐出装置1の非作動時(発熱体821の非発熱時)に、常温で、変色層822が透光色となるように、前述した変色性材料を選択するのが好ましい。
【0076】
すなわち、フィルタ82は、後述する通電手段84の温調制御によって保たれる液状材料Lの温度範囲内にて遮光状態となるように構成されているのが好ましい。これにより、液滴吐出ヘッド40からの液滴吐出時において、管体81内の液状材料Lの粘度変動を防止しつつ、管体81内での液状材料Lの光による変質、劣化等の不具合を防止することができる。
【0077】
また、変色層822の厚さは、変色性材料の種類等によって決定されるものであり、変色層822が前述したような機能を発揮することができれば、特に限定されないが、例えば、0.1〜1000μmであるのが好ましい。これにより、変色層822の色変化を顕著なものとし、フィルタ82を遮光状態と透光状態とで変化させることができる。これに対し、変色層822の厚さが前記下限値未満であると、変色性材料の種類等によっては、遮光状態のフィルタ82の遮光特性が低下する傾向となる。一方、変色層822の厚さが前記上限値を超えると、変色性材料の種類等によっては、透光状態のフィルタ82の視認性が低下する傾向となる。
また、本実施形態では、変色層822中に、複数のスペーサ824が配置されている。すなわち、発熱体821と被覆層823との間に、複数のスペーサ824が配置されている。
【0078】
この複数のスペーサ824は、発熱体821と被覆層823との間の距離を所定距離に規制するものである。発熱体821と被覆層823との間の距離を所定距離に規制することで、前述した変色層822が液状材料で構成される場合であっても、変色層822の厚さの変動を防止し、遮光状態のフィルタ82の遮光特性を良好なものとすることができる。
【0079】
また、本実施形態では、複数(多数)のスペーサ824は、管体81の周方向および長手方向に分散するように点在している。これにより、発熱体821と被覆層823との間の距離を所定距離に規制することができる。
また、各スペーサ824は、球状をなしている。なお、各スペーサ824の形状は、球状に限定されず、任意である。
【0080】
また、各スペーサ824は、遮光性を有している。これにより、フィルタ82が遮光状態であるときに、スペーサ824を介して外光が透過するのを防止することができる。
また、各スペーサ824の直径は、フィルタ82が透光状態であるときに視認性を阻害しない程度とされ、前述した変色層822の厚さに応じて決定されるものであり、特に限定されないが、例えば、0.1〜1000μmであるのが好ましい。
【0081】
また、各スペーサ824の数も、フィルタ82が透光状態であるときに視認性を阻害しない程度とされる。
なお、スペーサ824は、変色層822が使用温度帯域で固体である変色性材料を含む場合等には、省略してもよい。また、変色層822が使用温度帯域で固体である変色性材料を含む場合、変色層822が発熱体821と被覆層823との間の距離を所定距離に規制する。
【0082】
以上説明したような変色層822の外周面上には、被覆層823が設けられている。
この被覆層823は、前述した変色層822を保護する機能を有する。
このような被覆層823は、フィルタ82が透光状態であるときにフィルタ82および管体81の管壁を介して管体81内の液状材料を視認し得るような透明性を有するものである。
【0083】
このような被覆層823の構成材料としては、発熱体821の発熱に耐え得る耐熱性を有するものであれば、特に限定されず、各種有機材料、各種無機材料を用いることができる。
また、被覆層823は、断熱性を有するのが好ましい。これにより、管体81内の液状材料Lの温度変動をより確実に抑制することができる。その結果、変色層822の色状態の安定性を向上させることができる。
また、被覆層823の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1〜3mmであるのが好ましい。
なお、被覆層823は、変色層822の構成材料等によっては、省略してもよい。
【0084】
以上説明したようなフィルタ82の発熱体821は、電源回路等の通電手段84に電気的に接続され、通電手段84からの通電により発熱するようになっている。より具体的には、通電手段84は、発熱体821の長手方向での両端部間に電圧を印加することで、発熱体821の長手方向でのほぼ全域に亘って発熱させるようになっている。
また、通電手段84は、制御手段60に接続され、温度センサ46の検出温度に基づいて制御手段60によって駆動制御される。これにより、管体81から液滴吐出ヘッド40に供給される液状材料Lの温度を所望の温度範囲以内に維持することができる。
【0085】
このように、発熱体821の発熱量を調整することで、管体81から液滴吐出ヘッド40に供給される液状材料Lの温度を所定温度範囲以内に維持することができるように構成されていると、管体81内の液状材料Lの熱による変質・劣化等を防止することできる。また、液滴吐出ヘッド40に供給される液状材料Lの粘度変動をより確実に抑えることができる。
【0086】
また、制御手段60は、液滴吐出ヘッド40の単位時間当たりの液滴吐出量に基づいて、通電手段84の作動を制御するのが好ましい。例えば、制御手段60は、前述した記憶手段62に格納された描画パターンデータに基づいて、ベタ画像を形成する場合のような液滴吐出量が比較的多い場合には、通電手段84の通電量を増やし、線画や文字を形成する場合のような液滴吐出が比較的少ない場合には、通電手段84の通電量を少なくするのが好ましい。これにより、管体81内の液状材料Lの流速の変化に応じて、発熱体821の発熱量を調整することができる。そのため、管体81内の液状材料Lの流速が変化しても、管体81内の液状材料Lの温度変動を抑えることができる。
【0087】
また、以上説明したような供給管80は、次のようにして製造することができる。
例えば、供給管80の形成方法の一例としては、管体81を用意し、管体81の外表面上に発熱体821を形成し、その後、発熱体821の外表面上に変色層822を形成し、そして、変色層822の外表面上に被覆層823を形成する。
この場合、発熱体821、変色層822および被覆層823の形成方法としては、それぞれ、用いる構成材料に応じて選択され、特に限定されず、各種成膜法を用いることができる。
なお、供給管80の形成方法の他の例としては、管体81の外表面上に発熱体821を形成した構造体を得た後に、その構造体を管状の被覆層823内に挿通し、その後、発熱体821の外表面と被覆層823との間に、変色性材料を充填して変色層822を形成してもよい。
【0088】
以上説明したような第1実施形態にかかる液滴吐出装置1によれば、フィルタ82を遮光状態とすることで、管体81内での液状材料Lの光による変質、劣化等の不具合を防止し、高精度な液滴吐出を実現するとともに、必要時(所望時)には、フィルタ82を透光状態とすることで、管体81内の液状材料Lを良好に視認することができる。
また、管体81内の液状材料Lを加熱することで低粘度化することができる。そのため、室温で高粘度な液状材料を用いた場合であっても、高精度な液滴吐出を実現することができる。
【0089】
<第2実施形態>
次に、本発明の液滴吐出装置の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態にかかる供給管の拡大横断面図である。
本実施形態にかかる液滴吐出装置は、供給管の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる液滴吐出装置と同様である。
【0090】
なお、以下の説明では、第2実施形態の液滴吐出装置に関し、第1実施形態の液滴吐出装置との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
本実施形態の液滴吐出装置に備えられた供給管80Aは、図6に示すように、管体81と、管体81の外表面上に設けられたフィルタ82Aとを有している。
このフィルタ82Aは、変色層822と被覆層823との間に、発熱体821が設けられている。すなわち、変色層822、発熱体821、被覆層823がこの順で管体81の外表面上に積層されている。
このようなフィルタ82Aを備える供給管80Aによっても、前述した第1実施形態の供給管80と同様の効果を発揮することができる。
以上説明したような第2実施形態にかかる液滴吐出装置によっても、前述した第1実施形態の液滴吐出装置1と同様の効果を発揮することができる。
【0091】
<第3実施形態>
次に、本発明の液滴吐出装置の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3実施形態にかかる供給管の拡大横断面図である。
本実施形態にかかる液滴吐出装置は、供給管の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる液滴吐出装置と同様である。
【0092】
なお、以下の説明では、第3実施形態の液滴吐出装置に関し、第1実施形態の液滴吐出装置との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
本実施形態の液滴吐出装置に備えられた供給管80Bは、図7に示すように、管体81と、管体81の外周面上に設けられたフィルタ82Bおよび遮光層83とを有している。
このフィルタ82Bは、発熱体821と被覆層823との間に変色層822が設けられているが、この変色層822は、管体81の周方向での一部に設けられている。
【0093】
また、発熱体821と被覆層823との間には、変色層822の形成領域以外の領域に、遮光性を有する遮光層83が設けられている。
すなわち、フィルタ82Bは、管体81の周方向での一部に設けられ、該一部を除く領域には、遮光性を有する遮光層83が設けられている。これにより、フィルタ82Bを遮光状態とすることで、管体81内の液状材料Lへの外光を遮断することができる。
また、本実施形態では、遮光層83は、被覆層823と管体81の外表面との間の距離を規制するスペーサとしても機能する。
【0094】
このような遮光層83の構成材料としては、遮光性を有するものであれば、特に限定されず、各種無機材料や各種有機材料を用いることができる。
また、このようなフィルタ82Bにおける管体81の周方向での変色層822と遮光層83の形成範囲の比率は、特に限定されないが、変色層822の形成範囲が管体81の全周に対して1/3以上であるのが好ましい。これにより、フィルタ82Bが透光状態であるときに、管体81内への視認性を良好なものとすることができる。
以上説明したような第3実施形態にかかる液滴吐出装置によっても、前述した第1実施形態の液滴吐出装置1と同様の効果を発揮することができる。
【0095】
<第4実施形態>
次に、本発明の液滴吐出装置の第4実施形態について説明する。
図8は、本発明の第4実施形態にかかる供給管の拡大横断面図である。
本実施形態にかかる液滴吐出装置は、供給管の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態にかかる液滴吐出装置と同様である。
【0096】
なお、以下の説明では、第4実施形態の液滴吐出装置に関し、第1実施形態の液滴吐出装置との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
本実施形態の液滴吐出装置に備えられた供給管80Cは、図8に示すように、管体81と、管体81の外周面上に設けられたフィルタ82Cおよび遮光層83とを有している。
フィルタ82Cは、管体81の外表面と被覆層823との間に、被覆層825で被覆された発熱体821と、変色層822とが設けられている。
【0097】
発熱体821は線状をなしている。本実施形態では、発熱体821の横断面は、円形をなしている。
発熱体821が線状をなしていると、発熱体821が管体81の可撓性を阻害するのを防止することができる。なお、発熱体821の横断面形状は、円形に限らず、楕円形、正方形、長方形等であってもよい。また、発熱体821は、帯状をなしていてもよい(横断面形状が扁平形状であってもよい)。
【0098】
また、本実施形態では、発熱体821は、管体81の外周に沿って螺旋状に巻回されている。これにより、管体81内の液状材料Lを均一に加熱することができる。また、発熱体821が管体81の特定の方向のみの可撓性を阻害するのを防止することができる。したがって、第2の移動機構50による液滴吐出ヘッド40の移動に伴って、管体81(供給管80全体)を曲げ変形させることができる。
【0099】
なお、発熱体821を管体81の周方向での特定の位置に偏在させてもよい。この場合、管体81の特定の方向での可撓性を向上させることができる。これにより、第2の移動機構50による液滴吐出ヘッド40の移動に伴って管体81が曲げ変形する際に、管体81の曲げ方向を特定の方向に限定することができる。そのため、例えば、供給管80と他の物体との不本意な接触を防止し、供給管80の損傷を防止することができる。
【0100】
また、発熱体821の直径または横断面積は、発熱体821の長手方向での全域において一定であってもよいし、異なる部分を有していてもよい。発熱体821の直径または横断面積が発熱体821の長手方向での全域において一定である場合、発熱体821をその長手方向全域に亘って均一に発熱させることができる。一方、発熱体821の直径または横断面積が発熱体821の長手方向での全域において異なる部分を有する場合、発熱体821をその長手方向での特定部位の発熱量を高めたり低めたりすることができる。
【0101】
また、発熱体821の直径は、発熱体821の構成材料や発熱体821に必要な発熱量などによって適宜選択され、特に限定されないが、例えば、1〜1000μmであるのが好ましい。
また、螺旋状に巻回された発熱体821の螺旋のピッチは、発熱体821の長手方向での全域において一定であってもよいし、異なる部分を有していてもよい。発熱体821の螺旋のピッチが発熱体821の長手方向での全域において一定である場合、発熱体821をその長手方向全域に亘って均一に発熱させることができる。一方、発熱体821の螺旋のピッチが発熱体821の長手方向での全域において異なる部分を有する場合、発熱体821をその長手方向での特定部位の発熱量を高めたり低めたりすることができる。
このような発熱体821の外表面(外周面)上には、耐熱性および絶縁性を有する被覆層825が設けられている。これにより、発熱体821の発熱による管体81の損傷、液状材料Lの変質・劣化、発熱体821のショート等の問題の発生を防止することができる。
【0102】
また、被覆層825は、発熱体821の発熱を変色層822に伝熱する機能を有し、かつ、変色層822のない部分の遮光性を確保しなければならないので、黒色で熱伝導性を有する材料で構成するのが望ましい。
このような管体81および発熱体821を一括して外側から覆うように、被覆層823(チューブ)が設けられている。
【0103】
そして、被覆層823と管体81の外表面との間に形成された隙間に変色性材料が充填されて、変色層822が形成されている。
ここで、図8の右側では、発熱体821は、被覆層823と管体81の外表面との間の距離を規制するスペーサとしても機能する。一方、図8の左側では、被覆層823と管体81の外表面とが接触する。この接触部位を覆うように、被覆層823の外表面上に遮光層83が設けられている。
【0104】
すなわち、フィルタ82Cは、管体81の周方向での一部に設けられ、該一部を除く領域には、遮光性を有する遮光層83が設けられている。これにより、フィルタ82Cを遮光状態とすることで、管体81内の液状材料Lへの外光を遮断することができる。
以上説明したような第4実施形態にかかる液滴吐出装置によっても、前述した第1実施形態の液滴吐出装置1と同様の効果を発揮することができる。
【0105】
以上、本発明の液滴吐出装置および液状材料供給管について、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明の液滴吐出装置および液状材料供給管では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【0106】
また、例えば、本発明の液滴吐出装置および液状材料供給管は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
また、前述した実施形態では、発熱体が管体の外周面よりも外側に設けられている場合を説明したが、発熱体が管体の内腔部に設けられていたり管体の管壁内部に埋め込まれていたりするような形態であってもよい。
また、前述した実施形態では、発熱体821およびヒータ72の双方が変色層822を加温する加温手段として機能するが、発熱体821およびヒータ72のうち一方を省略してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1……液滴吐出装置 10……装置本体 11……基台 12……柱体 13……キャッピングユニット 14……クリーニングユニット 20……ステージ 21…穴 30……第1の移動機構 31……ガイドレール 32……スライダ 33……調整機構 40……液滴吐出ヘッド 41……ノズル基板 411……ノズル 42……キャビティ基板 421……キャビティ 422……リザーバ 43……振動板 44……圧電素子 45……カバー基板 451……供給孔 46……温度センサ 50……第2の移動機構 51……ガイドレール 52……スライダ 53……調整機構 60……制御手段 61……入力バッファメモリ 62……記憶手段 63……処理部 64……走査駆動部 65……ヘッド駆動部 66……ヒータ駆動部 67……ヘッド位置検出手段 68……ステージ位置検出手段 70……タンク 71……貯留部 72……ヒータ 73……通電手段 80、80A、80B、80C……供給管 81……管体 82、82A、82B、82C……フィルタ 821……発熱体 822……変色層 823……被覆層 824……スペーサ 825……被覆層 83……遮光層 84……通電手段 L……液状材料 D……液滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状材料を液滴として吐出するノズルを備える液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドに前記液状材料を供給する管体と、
前記管体内の流路を流れる前記液状材料への外光を遮断し得る遮光手段とを有し、
前記遮光手段は、前記流路の外周面側に設けられ、熱により変色する変色性材料を含んで構成された変色層を備えるフィルタと、
前記変色層を加温する加温手段とを有し、
前記遮光手段は、前記加温手段の作動状態に応じて、前記変色層中の前記変色性材料の色を変化させることで、前記フィルタが前記流路内への外光を遮断する遮光状態と、前記フィルタが前記流路内への外光を透過させて前記流路内の前記液状材料を視認し得る透光状態とに変化することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記フィルタは、前記管体の長手方向に亘って設けられている請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記管体の周方向に亘って設けられている請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記フィルタは、前記管体の周方向での一部に設けられ、該一部を除く領域には、遮光性を有する遮光層が設けられている請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記加温手段は、前記管体から前記液滴吐出ヘッドに供給される前記液状材料の温度を所定温度範囲以内に維持するように構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記管体と前記液滴吐出ヘッドとの接続部付近の前記液状材料の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出温度に基づいて、前記加温手段の作動を制御する制御手段とを有する請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記フィルタは、前記所定温度範囲内にて前記遮光状態となるように構成されている請求項5または6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記管体を介して前記液滴吐出ヘッドに接続され、前記液状材料を貯留する貯留部を有し、前記貯留部に貯留された前記液状材料を加熱し所定温度範囲内に維持するように構成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記液滴吐出ヘッドの単位時間当たりの液滴吐出量に基づいて、前記通電手段の作動を制御するように構成されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記発熱体は、自己温度調整機能を有する材料で構成されている請求項1ないし9のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記フィルタは、前記管体の外表面に接合されている請求項1ないし10のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記加温手段は、前記管体近傍に設けられ、通電により発熱する発熱体と、該発熱体に通電する通電手段とを備える請求項1ないし11のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項13】
前記変色性材料は、温度変化に対して可逆的に変色するものである請求項1ないし12のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項14】
液状材料を流通させる管体と、
前記管体内の流路の外周面側に設けられ、熱により変色する変色性材料を含んで構成された変色層を備えるフィルタとを有し、
前記フィルタは、前記変色層の温度に応じて、前記変色層中の前記変色性材料の色を変化させることで、前記流路内への外光を遮断する遮光状態と、前記流路内への外光を透過させて前記流路内の前記液状材料を視認し得る透光状態とに変化することを特徴とする液状材料供給管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−201342(P2010−201342A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49856(P2009−49856)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.メタモカラー
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】