説明

液滴吐出装置のメンテナンス方法及び液滴吐出装置

【課題】清浄な状態を維持することが可能な液滴吐出装置のメンテナンス方法及び液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】エネルギーを受けて硬化する液体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドに前記液体を供給する供給部とを備える液滴吐出装置のメンテナンス方法であって、前記液滴吐出ヘッド及び前記供給部のうち少なくとも一部を交換する交換工程と、前記交換工程に先立ち、前記液滴吐出ヘッド及び前記供給部のうち前記交換工程において交換される部分に前記エネルギーを付与するエネルギー付与工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置のメンテナンス方法及び液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、任意の位
置に着弾させることによって、所定の量の液状体を所定の位置に精度よく配置する液滴吐
出装置が知られている。液滴吐出装置を用いて、様々な液状体を扱い、様々な画像や膜な
どが形成されている。無色透明な液状体を用いて、人間には見え難いマーカーを描画した
り、描画画像の上にコーティング用の透明被膜を形成したりすることも行われている(例
えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような液滴吐出装置においては、メインタンクからサブタンク、供給チューブを経
由して液滴吐出ヘッドにインクが供給されるようになっている。これらメインタンクから
サブタンク、供給チューブを経由して液滴吐出ヘッドに至る機能液の流路において、各部
が交換可能に設けられている場合がある。この場合、液滴吐出装置のメンテナンスの際に
は、当該流路の一部を交換することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−23092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、流路の一部に機能液が残留している場合、当該流路の一部を交換する際
に流路から機能液が漏れ出し、液滴吐出装置の内部を汚してしまうおそれがある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、清浄な状態を維持することが可能な液滴吐出装置
のメンテナンス方法及び液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液滴吐出装置のメンテナンス方法は、エネルギーを受けて硬化する液体を
液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドに前記液体を供給する供給部
とを備える液滴吐出装置のメンテナンス方法であって、前記液滴吐出ヘッド及び前記供給
部のうち少なくとも一部を交換する交換工程と、前記交換工程に先立ち、前記液滴吐出ヘ
ッド及び前記供給部のうち前記交換工程において交換される部分に前記エネルギーを付与
するエネルギー付与工程とを含む。
【0008】
本発明によれば、液滴吐出ヘッド及び供給部のうち交換される部分に、当該交換に先立
ち、エネルギーを付与することとしたので、交換部分に残留する液体を硬化させることが
できる。これにより、交換部分から液体が漏れ出すことを抑制することができるので、液
滴吐出装置を清浄な状態に維持することができる。
【0009】
上記の液滴吐出装置のメンテナンス方法において、前記エネルギーは、紫外線であるこ
とが好ましい。
本発明によれば、液滴吐出ヘッド及び供給部のうち交換される部分に、当該交換に先立
ち、紫外線を付与することで、交換部分に残留する液体を硬化させることとしたので、紫
外線を受けて硬化する液体を用いる場合において、交換部分から液体が漏れ出すことを抑
制することができる。これにより、液滴吐出装置を清浄な状態に維持することができる。
【0010】
上記の液滴吐出装置のメンテナンス方法において、前記エネルギーは、熱であることが
好ましい。
本発明によれば、液滴吐出ヘッド及び供給部のうち交換される部分に、当該交換に先立
ち、熱を付与することで、交換部分に残留する液体を硬化させることとしたので、熱を受
けて硬化する液体を用いる場合において、交換部分から液体が漏れ出すことを抑制するこ
とができる。これにより、液滴吐出装置を清浄な状態に維持することができる。
【0011】
上記の液滴吐出装置のメンテナンス方法において、液滴吐出ヘッドは、前記液滴を吐出
するノズルを有し、前記交換工程は、前記液滴吐出ヘッドを交換することを含み、前記エ
ネルギー付与工程は、前記ノズルに前記エネルギーを付与することを含むことが好ましい

本発明によれば、液滴吐出ヘッドが液滴を吐出するノズルを有する場合において、液滴
吐出ヘッドを交換する際に、ノズルにエネルギーを付与することとしたので、ノズルから
液体が漏れ出すのを防ぐことができる。
【0012】
上記の液滴吐出装置のメンテナンス方法において、前記液滴吐出ヘッドは、前記供給部
に接続される液体導入部を有し、前記交換工程は、前記液滴吐出ヘッドを交換することを
含み、前記エネルギー付与工程は、前記液体導入部に前記エネルギーを付与することを含
むことが好ましい。
本発明によれば、液滴吐出ヘッドが供給部に接続される液体導入部を有する場合におい
て、液滴吐出ヘッドを交換する際に、液体導入部にエネルギーを付与することとしたので
、液体導入部から液体が漏れ出すのを防ぐことができる。
【0013】
上記の液滴吐出装置のメンテナンス方法において、前記供給部は、前記液滴吐出ヘッド
に接続される継手部を有し、前記交換工程は、前記供給部のうち前記継手部を含む部分を
交換することを含み、前記エネルギー付与工程は、前記継手部に前記エネルギーを付与す
ることを含むことが好ましい。
本発明によれば、供給部が液滴吐出ヘッドに接続される継手部を有する場合において、
供給部のうち継手部を含む部分を交換する際に、継手部にエネルギーを付与することとし
たので、第一継手部から液体が漏れ出すのを防ぐことができる。
【0014】
上記の液滴吐出装置のメンテナンス方法において、前記供給部は、前記液滴を貯留する
貯留部、及び、第二継手部を介して前記貯留部に接続される管部、を有し、前記交換工程
は、前記管部を交換することを含み、前記エネルギー付与工程は、前記第二継手部に前記
エネルギーを付与することを含むことが好ましい。
本発明によれば、供給部が液滴を貯留する貯留部及び第二継手部を介して当該貯留部に
接続される管部を有する場合において、管部を交換する際に、第二継手部にエネルギーを
付与することとしたので、第二継手部から液体が漏れ出すのを防ぐことができる。
【0015】
上記の液滴吐出装置のメンテナンス方法において、前記供給部は、前記液体に含まれる
気体成分を除去する脱気部を有し、前記交換工程は、前記供給部のうち前記脱気部を含む
部分を交換することを含み、前記エネルギー付与工程は、前記脱気部に前記エネルギーを
付与することを含むことが好ましい。
本発明によれば、接続部が液体に含まれる気体成分を除去する脱気部を有する場合にお
いて、接続部を交換する際に、脱気部にエネルギーを付与することとしたので、脱気部に
残留される液体が漏れ出すのを防ぐことができる。
【0016】
上記の液滴吐出装置のメンテナンス方法において、前記供給部から前記液滴吐出ヘッド
までの前記液体の流路における前記液体の漏れを検出する検出工程を更に含み、前記エネ
ルギー付与工程は、前記検出工程における検出結果に応じた箇所に前記エネルギーを付与
することを含むことが好ましい。
本発明によれば、液滴吐出装置が貯留部から液滴吐出ヘッドまでの液体の流路における
液体の漏れを検出し、検出結果に応じた箇所にエネルギーを付与することとしたので、液
体の漏出を防ぐためのエネルギーを効率的に付与することができる。
【0017】
上記の液滴吐出装置のメンテナンス方法において、前記エネルギー付与工程に先立ち、
前記流路を加圧する加圧工程を行うことが好ましい。
本発明によれば、流路を加圧することで液体の漏出箇所をより検出しやすくすることが
できる。
【0018】
本発明に係る液滴吐出装置は、エネルギーを受けて硬化する液体を液滴として吐出する
液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドに前記液体を供給する供給部と前記液滴吐出ヘッ
ド及び前記供給部のうち少なくとも一部に前記エネルギーを付与するエネルギー付与部と
を備える。
【0019】
本発明によれば、液滴吐出ヘッド及び供給部のうち交換される部分に、当該交換に先立
ち、エネルギーを付与することができるので、交換部分に残留する液体を硬化させること
ができる。これにより、交換部分から液体が漏れ出すことを抑制することができるので、
液滴吐出装置を清浄な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図。
【図2】(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。 (b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図。 (c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図。
【図3】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図。
【図5】液滴吐出装置の一部の交換動作を示す図。
【図6】液滴吐出装置の一部の交換動作を示す図。
【図7】液滴吐出装置の一部の交換動作を示す図。
【図8】液滴吐出装置の一部の交換動作を示す図。
【図9】液滴吐出装置の一部の交換動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、ワーク機構部3と、機能液
供給部(供給部)4と、保守装置部7と、紫外線照射部(エネルギー付与部)EGとを備
えている。
【0022】
ヘッド機構部2は、所定の溶質成分を含む機能液(液体)を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッド20を有している。このような機能液としては、例えば無色透明の機能液や、溶
質成分として白色、黒色、カラーの色素成分を含んだ機能液などが挙げられる。また、本
実施形態における機能液は、紫外線を照射を受けて硬化する成分が含まれている。ワーク
機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置す
るワーク載置台30を有している。
【0023】
機能液供給部4は、貯留タンク(貯留部)41と、中継タンク(貯留部)42と、供給
チューブ(接続部)43及び44とを有している。貯留タンク41は、交換可能に設けら
れ、上記機能液を貯留する。貯留タンク41は、供給チューブ43を介して中継タンク4
2に接続されている。
【0024】
中継タンク42は、貯留タンク41から供給される機能液を貯留する。中継タンク42
は、供給チューブ43を介して液滴吐出ヘッド20に接続されている。中継タンク42に
貯留される機能液は、供給チューブ43を介して液滴吐出ヘッド20に供給されるように
なっている。
【0025】
保守装置部7は、液滴吐出ヘッド20の検査又は保守を実施する各装置を備えている。
液滴吐出装置1は、また、これら各機構部などを総括的に制御する制御部CONTを備え
ている。
【0026】
紫外線照射部EGは、液滴吐出装置1のうち例えば液滴吐出ヘッド20が設置される移
動枠22に支持されている。紫外線照射部EGは、紫外線を射出する不図示の光源を有し
ている。紫外線照射部EGは、支持枠22に対して着脱可能に設けられている。紫外線照
射部EGは、機能液供給部4及び液滴吐出ヘッド20の一部に対して紫外線を照射する。
紫外線照射部EGは、移動枠22とは異なる他の部位に設けられていても構わない。また
、紫外線照射部EGを自動で移動させる駆動機構が設けられた構成であっても構わない。
【0027】
液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された
定盤9とを備えている。定盤9の上側には、ワーク機構部3が定盤9の長手方向(X軸方
向)に延在するように配設されている。
【0028】
ワーク機構部3の上方には、定盤9に固定された2本の支持柱で支持されているヘッド
機構部2が、ワーク機構部3と直交する方向(Y軸方向)に延在するように配設されてい
る。
【0029】
また、定盤9の傍らには、ヘッド機構部2の液滴吐出ヘッド20に連適する供給管を有
する機能液供給部4の機能液タンクなどが配置されている。ヘッド機構部2の一方の支持
柱の近傍には、保守装置部7がワーク機構部3と並んでX軸方向に配設されている。さら
に、定盤9の下側に、制御部CONTが収容されている。
【0030】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニッ
ト21を有するヘッドキャリッジ27と、ヘッドキャリッジ27が吊設された移動枠22
とを備えている。ヘッド機構部2は、ヘッドキャリッジ27と、移動枠22との組を2組
備えている。ヘッド機構部2は、移動枠22をY軸方向に移動させる、Y軸走査機構も備
えている。
【0031】
移動枠22を、Y軸走査機構によってY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド2
0をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。2個の移動枠22は
、それぞれ独立して移動させたり保持したりすることも、2個の移動枠22を一緒に移動
させたり保持したりすることも可能である。
【0032】
ワーク機構部3は、ワーク載置台30と、X軸走査機構とを備えている。ワーク機構部
3は、ワーク載置台30を、X軸走査機構によって、X軸方向に移動させることで、ワー
ク載置台30に載置されたワークWをX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置
に保持する。
【0033】
液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワークW
のX軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する。X軸方向に移動するワーク
Wと、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、ワーク
W上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する平面形状の描画を実施することが
可能である。
【0034】
保守装置部7は、各種検査装置、各種保守装置、及び保守装置走査機構75を備えてい
る。検査装置は、液滴吐出ヘッド20の吐出状態の検査を実施する吐出検査ユニット70
などの、液滴吐出ヘッド20の検査を実施する装置である。保守装置は、液滴吐出ヘッド
20の各種の保守を実施する装置である。保守装置走査機構75は、これらの各装置をX
軸方向に移動可能であって、任意の位置に保持可能に支持する装置である。
【0035】
液滴吐出ヘッド20の検査や保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘ
ッド20)が、Y軸走査機構を用いて保守装置部7に臨む位置に移動させられる。また、
実施する検査又は保守に対応する検査装置又は保守装置が、保守装置走査機構75によっ
て、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)に臨む位置に移動させられる。
【0036】
吐出検査ユニット70は、検査シート載置台71と、撮像カメラ72とを備えている。
【0037】
検査シート載置台71は、ワーク載置台30の載置面と略平行な載置面を有し、当該載
置面に、検査シートを吸着支持可能である。検査シート載置台71は、保守装置走査機構
75によって、X軸方向に移動可能であって、任意の位置に保持可能に支持されている。
【0038】
保守装置走査機構75によって、検査シート載置台71をX軸方向に移動させることで
、検査シート載置台71の載置面に保持された検査シートを、保守装置部7に臨む位置に
移動されたヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)に臨ませる。当該位置状態で、液
滴吐出ヘッド20から液状体を吐出させることで、検査シート載置台71に保持された検
査シートに液滴を着弾させることができる。保守装置走査機構75による検査シートのX
軸方向の移動に同調させて、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24(図2参照)か
ら液状体を吐出させることで、X軸方向における着弾位置を調整することができる。
【0039】
撮像カメラ72は、カメラ支持枠73に、図示省略した昇降機構によってZ軸方向に昇
降自在であって、任意の位置に保持可能に支持されている。カメラ支持枠73は、保守装
置走査機構75の脇で、定盤9に立設されており、撮像カメラ72は、保守装置走査機構
75に、略Z軸方向から臨んで支持されている。検査シート載置台71は、保守装置走査
機構75によって、撮像カメラ72が臨んでおり、撮像カメラ72によって撮影可能な位
置に移動可能である。保守装置走査機構75によって、検査シート載置台71を撮像カメ
ラ72に臨む位置に移動することで、検査シート載置台71に保持された検査シートの面
を、撮像カメラ72によって撮影可能である。
【0040】
図2は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドの
概略構成を示す外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面
図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である
。図2に示したX軸、Y軸、及びZ軸は、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着さ
れた状態において、図1に示したX軸、Y軸、及びZ軸と一致している。
【0041】
図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド20は、機能液導入針29及びノズル基板
25を備えている。機能液導入針29は、供給チューブ44の第一継手部44aに連結さ
れている。機能液は、機能液導入針29を介して液滴吐出ヘッド20に導入されるように
なっている。
【0042】
ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが2
列形成されている。吐出ノズル24から機能液を液滴として吐出し、対向する位置にある
描画対象物などに着弾させることで、当該位置に機能液を配置する。ノズル列24Aは、
液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1に示したY軸方向に延在
している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は等間隔のノズルピッチで並んでおり
、2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がY軸方向に半ノズルピッチずれて
いる。したがって、液滴吐出ヘッド20としては、Y軸方向に半ノズルピッチ間隔で機能
液の液滴を配置することができる。
【0043】
図2(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25に圧力室
プレート51が積層されており、圧力室プレート51に振動板52が積層されている。圧
力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液が常に充填される液たま
り55が形成されている。液たまり55は、機能液導入針29に接続されている。
【0044】
液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲ま
れた空間である。機能液は、機能液供給部4から液滴吐出ヘッド20に供給され、振動板
52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51に
は、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52
と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58であ
る。
【0045】
圧力室58は吐出ノズル24のそれぞれに対応して設けられており、圧力室58の数と
吐出ノズル24の数とは同じである。圧力室58には、2個のヘッド隔壁57の間に位置
する供給口56を介して、液たまり55から機能液が供給される。ヘッド隔壁57と圧力
室58と吐出ノズル24と供給口56との組は、液たまり55に沿って1列に並んでおり
、1列に並んだ吐出ノズル24がノズル列24Aを形成している。
【0046】
図2(b)では図示省略したが、図示した吐出ノズル24を含むノズル列24Aに対し
て液たまり55に関して略対称位置に、1列に並んで配設された吐出ノズル24がもう1
列のノズル列24Aを形成している。当該ノズル列24Aに対応するヘッド隔壁57と圧
力室58と供給口56との組が、1列に並んでいる。振動板52の圧力室58を構成する
部分には、それぞれ圧電素子59の一端が固定されている。
【0047】
圧電素子59の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド20全体を支持す
る基台(図示省略)に固定されている。圧電素子59は、電極層と圧電材料とを積層した
活性部を有している。圧電素子59は、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長
手方向(図2(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。電極層に印加さ
れていた駆動電圧が解除されることで、活性部が元の長さに戻る。
【0048】
電極層に駆動電圧が印加されて、圧電素子59の活性部が縮むことで、圧電素子59の
一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引張られる力を受ける。振動板52
が圧力室58と反対側に引張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に撓む。こ
れにより、圧力室58の容積が増加することから、機能液が液たまり55から供給口56
を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると
、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を押圧する。振動板52が
押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻
る、すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能
液に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液が液
滴となって吐出される。
【0049】
次に、ヘッド機構部2が備えるヘッドユニット21の概略構成について、図3を参照し
て説明する。図3は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸
及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1
に示したX軸及びY軸と一致している。
【0050】
図3に示したように、ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレ
ート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。液滴吐出ヘッド20
は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定
された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示
省略)に遊験して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位
置している。
【0051】
図3は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方
向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、
形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21
が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、Y軸方向に延在している。
【0052】
一つのヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において、互い
に隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対
して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が半ノズルピッチずれて位置
する位置に配設されている。
【0053】
ヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20において、全ての吐出ノズル24の
X軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔
で並ぶ。すなわち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有す
るそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上で
は、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。
【0054】
一つのヘッド組20Aが備える3個の液滴吐出ヘッド20が有する6列のノズル列24
Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列は、例えば180個の6倍
、1080個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70μmであ
り、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約75.5mm
である。液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状
に並んでヘッド組20Aを構成している。
【0055】
ヘッドユニット21が有する3つのヘッド組20Aは、それぞれが有する1本のノズル
列とみなせるノズル列が、Y軸方向において、ノズル列24Aの半ノズルピッチずれて位
置する位置に、配設されている。言い換えると、それぞれのヘッドユニット21は、互い
に隣り合うヘッド組20Aを構成する液滴吐出ヘッド20の、一方のヘッド組20Aにお
ける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方のヘッド組20Aにお
ける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が、Y軸方向において、半ノズルピッチず
れた位置に、配設されている。
【0056】
一つのヘッドユニット21が備える3つのヘッド組20Aにおける9個の液滴吐出ヘッ
ド20が有する18列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当
該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、
例えば180個の18倍、3240個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズル
ピッチは、70μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長
さ)は、約226.7mmである。即ち、一つのヘッドユニット21の吐出ノズル24か
ら一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点
が70μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0057】
上述したように、液滴吐出装置1は、2個のヘッドユニット21を備えており、2個の
ユニットノズル列240Aを備えている。2個のヘッドユニット21を並べて、2個のユ
ニットノズル列240AがY軸方向に連なったノズル列を構成することができる。当該ノ
ズル列によって、1回の走査の間に、例えば6480個の点が70μmのピッチ間隔で連
なる直線を形成することができる。
【0058】
次に、液滴吐出装置1における液滴吐出ヘッド20からの吐出制御方法について、図4
を参照して説明する。図4は、液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図で
ある。
【0059】
上述したように、液滴吐出装置1は、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する制御部C
ONTを備えている。制御部CONTは、制御信号を出力するCPU84と、液滴吐出ヘ
ッド20の電気的な駆動制御を行うヘッドドライバー20dとを備えている。
【0060】
図4に示すように、ヘッドドライバー20dは、FFCケーブルを介して各液滴吐出ヘ
ッド20と電気的に接続されている。また、液滴吐出ヘッド20は、吐出ノズル24(図
2参照)ごとに設けられた圧電素子59に対応して、シフトレジスター(SL)85と、
ラッチ回路(LAT)86と、レベルシフター(LS)87と、スイッチ(SW)88と
を備えている。
【0061】
液滴吐出装置1における吐出制御は次のように行われる。最初に、CPU84がワーク
Wなどの描画対象物における機能液の配置パターンをデータ化したドットパターンデータ
をヘッドドライバー20dに伝送する。そして、ヘッドドライバー20dは、ドットパタ
ーンデータをデコードして吐出ノズル24ごとのON/OFF(吐出/非吐出)情報であ
るノズルデータを生成する。ノズルデータは、シリアル信号(SI)化されて、クロック
信号(CK)に同期して各シフトレジスター85に伝送される。
【0062】
シフトレジスター85に伝送されたノズルデータは、ラッチ信号(LAT)がラッチ回
路86に入力されるタイミングでラッチされ、さらにレベルシフター87でスイッチ88
用のゲート信号に変換される。即ち、ノズルデータが「ON」の場合にはスイッチ88が
開いて圧電素子59に駆動信号(COM)が供給され、ノズルデータが「OFF」の場合
にはスイッチ88が閉じられて圧電素子59に駆動信号(COM)は供給されない。そし
て、「ON」に対応する吐出ノズル24からは機能液が液滴となって吐出され、吐出され
た機能液の液滴がワークWなどの描画対象物の上に着弾して、描画対象物の上に機能液が
配置される。
【0063】
次に、機能液供給部4及び液滴吐出ヘッド20の構成を説明する。
図5は、機能液供給部4及び液滴吐出ヘッド20の構成を模式的に示す図である。
図1及び図5に示すように、供給チューブ43は、管部43t、継手部43a及び43
bを有している。継手部43aは、管部43tのうち貯留タンク41との接続部分に設け
られている。また、継手部43bは、管部43tのうち中継タンク42との接続部分に設
けられている。
【0064】
供給チューブ44は、管部44t、継手部44a及び44b、脱気部44cを有してい
る。継手部44aは、管部44tのうち液滴吐出ヘッド20との接続部分に設けられてい
る。継手部44bは、管部44tのうち中継タンク42との接続部分に設けられている。
脱気部44cは、管部44tを流通する機能液に含まれる気体を除去する。脱気部44c
は、管部44tの一部に設けられている。
【0065】
液滴吐出ヘッド20は、機能液導入針29を介して供給チューブ44に接続されている
。機能液導入針29は、液たまり55を介して各ノズル24に接続されている。
【0066】
図5に示すように、紫外線照射部EGは、機能液供給部4から液滴吐出ヘッド20のう
ち、照射部位L1〜L7に対して紫外線を照射可能である。
【0067】
照射部位L1は、管部43tのうち貯留タンク41に接続された継手部43aである。
照射部位L2は、管部43tのうち中継タンク42に接続された継手部43bである。照
射部位L3は、管部44tのうち中継タンク42に接続された継手部44bである。照射
部位L4は、管部44tの一部に設けられた脱気部44cである。照射部位L5は、管部
44tのうち液滴吐出ヘッド20に接続された継手部44aである。照射部位L6は、液
滴吐出ヘッド20の機能液導入針29である。照射部位L7は、液滴吐出ヘッド20の各
ノズル24である。
【0068】
次に、液滴吐出装置1のうち機能液供給部4及びキャリッジ27のうち少なくとも一部
を交換する動作を説明する。以下の説明では、供給チューブ44を交換する場合を例に挙
げて説明する。
【0069】
供給チューブ44を交換する場合、図6に示すように、まず、紫外線照射部EGを用い
て照射部位L3、すなわち、継手部44bに対して紫外線を照射する(エネルギー付与工
程)。この工程により、継手部44bに残留していた機能液が硬化する。このため、硬化
した機能液によって継手部44bが閉塞され、継手部44bからの機能液の漏出が回避さ
れる。
【0070】
継手部44bを閉塞させた後、図7に示すように、紫外線照射部EGを用いて照射部位
L5、すなわち、継手部44aに対して紫外線を照射する。この工程により、継手部44
aに残留していた機能液が硬化する。このため、硬化した機能液によって継手部44aが
閉塞され、継手部44aからの機能液の漏出が回避される。
【0071】
継手部44aを閉塞させた後、図8に示すように、継手部44aを液滴吐出ヘッド20
から取り外すと共に、継手部44bを中継タンク42から取り外す。この動作により、供
給チューブ44が取り外される。継手部44a及び44bは、それぞれ硬化した機能液に
よって閉塞されているため、供給チューブ44が取り外された状態において、継手部44
a及び44bからの機能液の漏出が回避される。このため、液滴吐出装置1が清浄に維持
されることになる。
【0072】
その後、新たな供給チューブ44の継手部44aを液滴吐出ヘッド20に装着すると共
に、継手部44bを中継タンク42に装着する(交換工程)。これにより、供給チューブ
44の交換が完了する。このように、硬化させた機能液によって供給チューブ44の流路
の両端部を閉塞させることにより、供給チューブ44からの機能液の漏出が回避される。
なお、供給チューブ44を交換する場合、紫外線照射部EGを用いて脱気部44cに対し
て紫外線を照射させても構わない。
【0073】
なお、供給チューブ44を交換する際、紫外線照射部EGを用いて、照射部位L5に対
して先に紫外線を照射した後に、照射部位L3に対して紫外線を照射するようにしても構
わない。
【0074】
次に、図示を省略するが、供給チューブ43を交換する場合を説明する。
供給チューブ43を交換する場合、まず、紫外線照射部EGを用いて照射部位L1、す
なわち、継手部43aに対して紫外線を照射する。この工程により、継手部43aに残留
していた機能液が硬化する。このため、硬化した機能液によって継手部43aが閉塞され
、継手部43aからの機能液の漏出が回避される。
【0075】
継手部43aを閉塞させた後、紫外線照射部EGを用いて照射部位L2、すなわち、継
手部43bに対して紫外線を照射する。この工程により、継手部43bに残留していた機
能液が硬化する。このため、硬化した機能液によって継手部43bが閉塞され、継手部4
3bからの機能液の漏出が回避される。
【0076】
継手部43bを閉塞させた後、継手部43aを貯留タンク41から取り外すと共に、継
手部43bを中継タンク42から取り外す。この動作により、供給チューブ43が取り外
される。継手部43a及び43bは、それぞれ硬化した機能液によって閉塞されているた
め、供給チューブ43が取り外された状態において、継手部43a及び43bからの機能
液の漏出が回避される。このため、液滴吐出装置1が清浄に維持されることになる。
【0077】
その後、新たな供給チューブ43の継手部43aを貯留タンク41に装着すると共に、
継手部43bを中継タンク42に装着する。これにより、供給チューブ43の交換が完了
する。このように、硬化させた機能液によって供給チューブ43の流路の両端部を閉塞さ
せることにより、供給チューブ43からの機能液の漏出が回避される。
【0078】
なお、供給チューブ43を交換する際、紫外線照射部EGを用いて、照射部位L2に対
して先に紫外線を照射した後に、照射部位L1に対して紫外線を照射するようにしても構
わない。
【0079】
次に、図示を省略するが、液滴吐出ヘッド20を交換する場合を説明する。この場合、
キャリッジ27ごと液滴吐出ヘッド20を交換するものであるが、以下、図面を判別しや
すくするため、液滴吐出ヘッド20を単独で交換する場合を例に挙げて説明する。
まず、紫外線照射部EGを用いて照射部位L6、すなわち、機能液導入針29に対して
紫外線を照射する。この工程により、機能液導入針29に残留していた機能液が硬化する
。硬化した機能液により、機能液導入針29が閉塞されるため、機能液導入針29からの
機能液の漏出が回避される。
【0080】
機能液導入針29を閉塞させた後、紫外線照射部EGを用いて照射部位L7、すなわち
、各ノズル24に対して紫外線を照射する。この工程により、各ノズル24に残留してい
た機能液が硬化する。硬化した機能液により、各ノズル24が閉塞されるため、各ノズル
24からの機能液の漏出が回避される。
【0081】
その後、液滴吐出ヘッド20を継手部44aから取り外し、新たな液滴吐出ヘッド20
を継手部44aに装着する。これにより、液滴吐出ヘッド20の交換が完了する。このよ
うに、液滴吐出ヘッド20の場合においても、硬化させた機能液によって流路の両端を閉
塞させることで、当該機能液の漏出を回避することができる。
【0082】
なお、液滴吐出ヘッド20を交換する際、紫外線照射部EGを用いて、照射部位L7に
対して先に紫外線を照射した後に、照射部位L6に対して紫外線を照射するようにしても
構わない。
【0083】
以上のように、本実施形態によれば、液滴吐出ヘッド20及び供給部4のうち交換され
る部分に、当該交換に先立ち、紫外線を照射することでエネルギーを付与することとした
ので、交換部分に残留する機能液を硬化させることができる。これにより、交換部分から
機能液が漏れ出すことを抑制することができるので、液滴吐出装置1を清浄な状態に維持
することができる。
【0084】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しな
い範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態の構成に加えて、図9に示すように、液滴吐出装置1には、検出
部DTが設けられている。供給部4及び液滴吐出ヘッド20のうち少なくとも一部を交換
するのに先立ち、検出部DTは、供給部4から液滴吐出ヘッド20までの機能液Qの流路
において機能液Qの漏れを検出する(検出工程)。
【0085】
検出部DTが設けられている場合、例えば機能液Qが漏れている箇所を把握し、当該漏
れている箇所に対して紫外線照射部EGを用いて紫外線を照射することができる。これに
より、硬化させた機能液により、当該機能液の漏出箇所を閉塞させることができる。なお
、加圧部40を用いて供給部4から液滴吐出ヘッド20までの流路を加圧する(加圧工程
)ようにしても構わない。この場合、機能液の漏出を促進するため、検出部DTが機能液
Qの漏出箇所を検出しやすくすることができる。
【0086】
また、上記実施形態においては、機能液が紫外線の照射を受けて硬化する場合を例に挙
げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、機能液が熱などの他のエネルギー
を受けて硬化する場合であっても、同様の説明が可能である。この場合、機能液を硬化さ
せることができるエネルギーを付与するエネルギー付与部が設けられていればよい。
【0087】
また、上記実施形態においては、液滴吐出装置1は、2個のヘッドユニット21を備え
ており、1個のヘッドユニット21は、無色透明な透明機能液が供給される透明液ユニッ
トであり、もう1個のヘッドユニット21は、例えば白色を含む有色の有色機能液が供給
される有色液ユニットであった。しかし、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが吐出する
機能液が同一であることは必須ではない。描画装置においては、色が異なるなど、複数種
類の異なる機能液を吐出してもよい。色が異なる複数種類の機能液を吐出することでカラ
ー描画も可能である。機能液の種類は、液滴吐出装置1のように複数のヘッドユニットを
備えてヘッドユニットごとに異ならせてもよいし、ヘッド組ごとに異ならせてもよいし、
液滴吐出ヘッドごとに異ならせてもよいし、ノズル列ごとに異ならせてもよい。吐出ノズ
ルごとに機能液を個別に供給できる液滴吐出ヘッドを用いて、吐出ノズルごとに異なる機
能液を吐出してもよい。なお、カラー描画を実施する際には、同じ着弾位置に、複数の、
例えば色が異なる機能液を着弾させることができる構成のヘッドユニット又は液滴吐出ヘ
ッドを用いたり、走査方法を用いたりすることで、より微細な描画が可能となる。調など
が変化する液状体であってもよい。
【0088】
上記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を2個備えていた。
しかし、描画装置が備えるヘッドユニットが2個であることは必須ではない。描画装置が
備えるヘッドユニットは、1つ又は3つ以上あってもよい。
【0089】
上記実施形態においては、ヘッドユニット21は、液滴吐出ヘッド20を9個備えてい
たが、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが9個であることは必須ではない。ヘッドユニ
ットが備える吐出ヘッドは、いくつであってもよい。
【0090】
上記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20は、多数の吐出ノズル24が略一直線状
に並んだノズル列24Aを2列備えていたが、吐出ヘッドが備えるノズル列は何列であっ
てもよい。また、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24は、ノズル列24Aの延在
方向において互いの位置がずれていたが、吐出ヘッドは、ノズル列の延在方向において、
略同一位置に位置する吐出ノズルを複数備える構成であってもよい。
【0091】
上記実施形態においては、X軸走査機構によってワーク載置台30をX軸方向に移動さ
せることでワークWをX軸方向に移動し、Y軸走査機構によって液滴吐出ヘッド20をY
軸方向に移動することで、ワークWと液滴吐出ヘッド20とを平面方向において相対移動
させていた。描画対象物と吐出ヘッドとを相対移動させるために描画対象物と吐出ヘッド
の両方を移動させることは必須ではない。描画対象物と吐出ヘッドのいずれか一方を平面
方向に移動させることで、描画対象物と吐出ヘッドとを相対移動させる構成であってもよ
い。
【0092】
ここで、上記説明において、液状体を液滴として吐出する液滴吐出法について説明する
。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電
気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。
【0093】
帯電制御方式は、液状体に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で液状体の飛翔方向を制
御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、液状体に30k
g/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に液状体を吐出させるものであり、
制御電圧をかけない場合には液状体が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけ
ると液状体間に静電的な反発が起こり、液状体が飛散して吐出ノズルから吐出されない。
また、電気機械変換方式は、ピェゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形
する性質を利用したもので、ピェゾ素子が変形することによって液状体を貯留した空間に
可接物質を介して圧力を与え、この空間から液状体を押し出して吐出ノズルから吐出させ
るものである。
【0094】
また、電気熱変換方式は、液状体を貯留した空間内に設けたヒーターにより、液状体を
急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の液状体を吐出
させるものである。静電吸引方式は、液状体を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノ
ズルに液状体のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから液状体を引き出す
ものである。この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす
方式などの技術も適用可能である。
【0095】
液滴吐出法は、液状体の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の液状体を
的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピェゾ方式は、液状体に熱を加えない
ため、液状体の組成等に影響を与えないなどの利点を有する。本実施形態では、液状体選
択の自由度の高さ、及び液滴の制御性の良さの点から上記ピェゾ方式を用いる。
【符号の説明】
【0096】
CONT…制御部 20…液滴吐出ヘッド Q…機能液 4…機能液供給部(供給部)
41…貯留タンク(貯留部) 42…中継タンク(貯留部) 43、44…供給チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを受けて硬化する液体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドに前記液体を供給する供給部と
を備える液滴吐出装置のメンテナンス方法であって、
前記液滴吐出ヘッド及び前記供給部のうち少なくとも一部を交換する交換工程と、
前記交換工程に先立ち、前記液滴吐出ヘッド及び前記供給部のうち前記交換工程におい
て交換される部分に前記エネルギーを付与するエネルギー付与工程と
を含む液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記エネルギーは、紫外線である
請求項1に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記エネルギーは、熱である
請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記液滴吐出ヘッドは、前記液滴を吐出するノズルを有し、
前記交換工程は、前記液滴吐出ヘッドを交換することを含み、
前記エネルギー付与工程は、前記ノズルに前記エネルギーを付与することを含む
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記液滴吐出ヘッドは、前記供給部に接続される液体導入部を有し、
前記交換工程は、前記液滴吐出ヘッドを交換することを含み、
前記エネルギー付与工程は、前記液体導入部に前記エネルギーを付与することを含む
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項6】
前記供給部は、前記液滴吐出ヘッドに接続される継手部を有し、
前記交換工程は、前記供給部のうち前記継手部を含む部分を交換することを含み、
前記エネルギー付与工程は、前記継手部に前記エネルギーを付与することを含む
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項7】
前記供給部は、前記液滴を貯留する貯留部、及び、第二継手部を介して前記貯留部に接
続される管部、を有し、
前記交換工程は、前記管部を交換することを含み、
前記エネルギー付与工程は、前記第二継手部に前記エネルギーを付与することを含む
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項8】
前記供給部は、前記液体に含まれる気体成分を除去する脱気部を有し、
前記交換工程は、前記供給部のうち前記脱気部を含む部分を交換することを含み、
前記エネルギー付与工程は、前記脱気部に前記エネルギーを付与することを含む
請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項9】
前記供給部から前記液滴吐出ヘッドまでの前記液体の流路における前記液体の漏れを検
出する検出工程
を更に含み、
前記エネルギー付与工程は、前記検出工程における検出結果に応じた箇所に前記エネル
ギーを付与することを含む
請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項10】
前記エネルギー付与工程に先立ち、前記流路を加圧する加圧工程を行う
請求項9に記載の液滴吐出装置のメンテナンス方法。
【請求項11】
エネルギーを受けて硬化する液体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドに前記液体を供給する供給部と
前記液滴吐出ヘッド及び前記供給部のうち少なくとも一部に前記エネルギーを付与する
エネルギー付与部と
を備える液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−218341(P2012−218341A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87983(P2011−87983)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】