説明

液滴吐出装置

【課題】効率よくワークの描画処理を行うとともに、機能液の着弾位置精度を向上させる。
【解決手段】複数のノズルからノズル列を有する吐出ヘッドと、ワークが載置されるステージと、前記吐出ヘッドと前記ステージとを主走査方向に相対移動させる移動部と、各前記ノズルに対応して液滴を吐出させる制御部と、を備え、前記ノズル列を前記主走査方向に対して垂直方向に透視した場合の前記ノズル間の距離が、吐出分解能の整数倍となるように、前記吐出ヘッドの前記ノズル列が、前記主走査方向に対して斜めに交差して配置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、カラーフィルター等を製造する液滴吐出装置としては、複数のノズルを有する吐出ヘッドと、ワークとしての基材等が載置されるステージと、を備え、吐出ヘッドとステージとを相対的に往復走査させながら、基材上に区画形成された区画領域(画素領域)に向けてノズルから機能液を液滴として吐出させ、区画領域内に機能液を塗布させるものが知られている。この液滴吐出装置では、吐出ヘッドのノズル配列を走査方向に対して垂直方向に配置させた状態で吐出ヘッドと基材とを相対的に走査させている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−47345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、液晶表示装置等の高画質化に伴い、基材上の区画領域が微細化されている。このため、上記の液滴吐出装置のように、吐出ヘッドのノズル配列を走査方向に対して垂直方向に配置させた状態で走査させながら液滴を吐出する方式では、一つの区画領域に対応するノズルの数が少なくなり、一つの区画領域内に所定量の機能液を塗布させるために、吐出ヘッドと基材とを互いに走査する回数を増やす必要が生じる。このため、機能液の塗布処理にかかる工数が増えてしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、複数のノズルからなるノズル列を有する吐出ヘッドと、ワークが載置されるステージと、前記吐出ヘッドと前記ステージとを主走査方向に相対移動させる移動部と、各前記ノズルに対応して液滴を吐出させる制御部と、を備え、前記ノズル列を前記主走査方向に対して垂直方向に透視した場合の前記ノズル間の距離が、吐出分解能の整数倍となるように、前記吐出ヘッドのノズル列が、前記主走査方向に対して斜めに交差して配置されたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ノズル列が主走査方向に対して斜めに配置されるため、主走査方向におけるノズル間ピッチが狭くなる。これにより、例えば、カラーフィルターの製造にあっては、カラーフィルターの基材上に区画された区画領域(画素領域)に対応するノズルの数が増える(ノズル密度が高まる)ため、吐出ヘッドとステージとの走査数が低減され、カラーフィルター等のパターン膜部材の生産性を向上させることができる。さらに、主走査方向に対して垂直方向におけるノズルピッチが吐出分解能の整数倍に設定される。すなわち、吐出タイミングが、主走査方向に対して垂直方向におけるノズルピッチに同期するため、ノズル列が、主走査方向に対して斜めに配置されていても、所望する液滴の着弾位置に液滴を着弾させることができる。これにより、例えば、カラーフィルターの製造にあっては、液滴の着弾位置精度が高まり、隣接する区画領域に塗布された機能液同士の接触を防止し、混色等の発生を低減させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置では、前記液滴を吐出する吐出タイミング信号を生成するエンコーダーを備え、前記ノズル列を前記主走査方向に対して垂直方向に透視した場合の前記ノズル間の距離が、エンコーダー分解能の整数倍となるように、前記吐出ヘッドのノズル列が、前記主走査方向に対して斜めに交差して配置されたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、吐出タイミングを容易に求めることができるため、主走査方向に対するノズル列の配置処理を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図2】吐出ヘッドの構成を示す概略図。
【図3】液滴吐出装置の電気的構成を示すブロック図。
【図4】ノズル列の配置方法を示す模式図。
【図5】液滴吐出装置おける液滴の吐出動作を示す模式図。
【図6】各ノズルを制御する吐出タイミング信号を示す波形図。
【図7】ビットマップを示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材ごとに縮尺を異ならせて図示している。また、本実施形態では、液滴吐出装置を、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0012】
(液滴吐出装置の構成について)
まず、液滴吐出装置の構成について説明する。図1は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図であり、図2は、吐出ヘッドの構成を示す概略図である。図1に示すように、液滴吐出装置1は、複数のノズルを有する吐出ヘッド3と、ワーク5が載置されるステージ4と、吐出ヘッド3とステージ4とを主走査方向に相対移動させる移動部9と、各ノズルに対応して液滴を吐出させる制御部2等を備えている。液滴吐出装置1では、制御部2が吐出ヘッド3やステージ4や移動部9等の動作を制御することによって、ステージ4に載置されたワーク5に向けて吐出ヘッド3から液滴を吐出させ、ワーク5上に所定のパターンを形成させるものである。なお、本実施形態において、吐出ヘッド3とステージ4とが相対移動する主走査方向をY軸方向とし、主走査方向に対して垂直な方向をX軸方向とし、XY平面内における面内回転方向をθ方向とする。
【0013】
吐出ヘッド3は、基台6から立設する支柱7、7間にステージ4を跨ぐよう架設された案内部材8に移動可能に設けられている。そして、図2(b)に示すように、吐出ヘッド3のノズルプレート60には、ノズル31が多数穿設されている(例えば、180個のノズルが一列に穿設されている)。吐出ヘッド3は、図2(a)に示すように、機能液を貯留するキャビティ32と、キャビティ32に連通するノズル31と、キャビティ32内に貯留された機能液をノズル31から液滴36として吐出する液滴吐出手段とを有した構成となっている。本実施形態における液滴吐出手段では、圧電素子(ピエゾ素子)35を適用しており、振動板34の面に接着固定されている。そして、圧電素子35に所望の電圧波形を供給することによって、振動板34が変位することにより、キャビティ32内の容積が変化し、ノズル31から所定量の液滴36が吐出される。なお、吐出ヘッド3の液滴吐出手段としては、上記の圧電素子35を用いた電気機械変換体以外でもよく、例えば、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた方式や、帯電制御型、加圧振動型といった連続方式、静電吸引方式さらにはレーザーなどの電磁波を照射して発熱させ、この発熱による作用で液状体を吐出させる方式を採用することもできる。
【0014】
ステージ4は、被吐出物であるワーク5を位置決めして載置するピン(図示せず)などを備える載置部4aと、当該載置部4aをXY平面上で面内回転可能に連結されたベース部4b等によって構成されたものである。また、ベース部4bには、エンコーダー4cが設けられている。このエンコーダー4cは、基台6のY軸方向に沿って設けられたリニアスケール15のスケールを読み取るものであって、これによってY軸方向のステージ4の位置を検出することが可能となる。リニアスケール15のスケールは、メートル系単位で設けられていてもよいし、DPI系単位で設けられていてもよい。ステージ4に載置されるワーク5は、パターンが形成される被吐出物であり、例えば、カラーフィルターや有機EL装置等のパターン膜形成部材を構成する基材等である。
【0015】
移動部9は、ステージ4をY軸方向に沿って移動させるものである。本実施形態における移動部9は、Y軸方向上に配列した永久磁石10と、ステージ4のベース部4bの下側に固設したプレート11にY軸方向に沿って、かつ、永久磁石10に近接させて配列した複数のコイル(図示せず)とから構成されるリニアモーターである。
【0016】
制御部2は、液滴吐出装置1の各構成要素に電気的に接続されたものであり、CPU、ROM、RAM、入出力用のインターフェース、発振回路等がバス接続されたコンピューターである。このような制御部2は、予め入力されたプログラムに応じて液滴吐出装置1を統括して制御するようになっている。
【0017】
(液滴吐出装置の電気的構成)
次に、液滴吐出装置の電気的構成について説明する。図3は、液滴吐出装置の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部2は、液滴吐出データ設定値入力部20と、吐出ヘッド設定値入力部22と、CADデータ操作部24と、ビットマップデータ作成部26と、ビットマップ処理部28と、液滴吐出データ作成部30と、液滴吐出データ転送部32と、スイッチ群34と、吐出ヘッド駆動部38と、吐出ヘッド駆動制御部40と、吐出ヘッド位置検出部42と、液滴吐出タイミング制御部44と、を有している。
【0018】
液滴吐出データ設定値入力部20は、ワーク5の寸法と、ワーク5を複数のチップ(領域)として切り出すためのチップの寸法と、隣接するチップのピッチ(相互間隔)と、画素(パターン)の配列と、画素の個数と、画素の寸法(画素の縦、横のサイズ)と、隣接する画素のピッチ(相互間隔)と、を設定する機能を有している。
【0019】
吐出ヘッド設定値入力部22は、画素を形成するために必要な液滴量と、画素を形成するために必要な吐出ヘッド3とワーク5とのパス数(相対移動の動作回数)と、使用する吐出ヘッド3の個数及び吐出ヘッド3の配置を設定する機能を有している。
【0020】
CADデータ操作部24は、ワーク5に形成すべきパターンの設計図となるCADデータを生成する機能を有し、図形情報(ベクトルデータ、図形の属性等のデータ)を入力するための入力手段と、図形処理機能を有するワークステーション等から構成されている。ここでCADデータは、DPI系の単位で生成してもよく、メートル系の単位で生成してもよい。
【0021】
ビットマップデータ作成部26は、CADデータから要求される分解能をビットマップデータに変換する機能を有している。ビットマップデータは、例えば、図7に示すビットマップを形成するデータである。
【0022】
ビットマップ処理部28は、ビットマップデータ作成部26により作成されたビットマップデータを吐出ヘッド3の個数、配置、あるいは液滴36のワーク5への着弾径を考慮した回路パターンの細線化の要求に応じて変更する処理を行う。
【0023】
液滴吐出データ作成部30は、所望のパターンサイズとなるように液滴36が着弾した際の着弾径を考慮し、液滴吐出データ(バイナリーの時系列データ)を作成するものである。すなわち、液滴吐出データ作成部30は、ビットマップ処理部28の処理結果と、液滴吐出データ設定値入力部20及び吐出ヘッド設定値入力部22の出力信号とに基づいて、各ノズル31の駆動データを含む液滴吐出データを作成する。
【0024】
液滴吐出データ転送部32は、液滴吐出データ作成部30から出力される液滴吐出データを吐出ヘッド3の液滴吐出手段に転送する機能を有する。
【0025】
スイッチ群34は、液滴吐出データ転送部32と吐出ヘッド3との間に設けられ、吐出ヘッド3に含まれる複数の各駆動部に1対1に対応して接続され、液滴吐出データ転送部32から転送される記録データによりオン、オフ状態に設定される複数のスイッチから構成されている。
【0026】
ヘッド駆動部38は、吐出ヘッド3と一体化しており、例えば、リニアモーターであり、吐出ヘッド3をワーク5の搬送方向と直交する方向に移動させる。
【0027】
ヘッド駆動制御部40は、図示してないシステムの上位コントローラーの指示に基づいてヘッド駆動部38を駆動制御する。
【0028】
ヘッド位置検出部42は、ワーク5が載置されるステージ4の位置の変位量、即ち、ワーク5上における吐出ヘッド3の相対位置を検出する機能を有するものである。当該ヘッド位置検出部42は、前述のエンコーダー4cに相当する。
【0029】
液滴吐出タイミング制御部44は、ヘッド位置検出部42の検出出力に基づいて、スイッチ群34の動作を制御する。そこで、スイッチ群34の各スイッチは、液滴吐出データ転送部32から送られてきた液滴吐出データと液滴吐出タイミング制御部44から送られてきた吐出ヘッド3の位置を示すデータとによりオン/オフ状態が制御され、その各スイッチにより各圧電素子35の駆動タイミングが制御され、各ノズル31から液滴が吐出される液滴吐出タイミングが制御される。
【0030】
次に、液滴吐出装置1の具体的な吐出ヘッド3の配置構成や液滴吐出の制御方法等について説明する。まず、吐出ヘッド3のノズル列の配置方法について説明する。図4は、ノズル列の配置方法を示す模式図である。吐出ヘッド3は、先述したように、複数のノズル31を備えている。なお、説明を容易にするため、本実施形態では、7つのノズル31(31a〜31g)を備えた吐出ヘッド3を例に挙げて説明する。吐出ヘッド3は、複数のノズル31が、一列に配置されたノズル列NLを有している。そして、隣接するノズル31間のノズルピッチNPは、いずれも等しくなっている。
【0031】
そして、図4に示すように、吐出ヘッド3のノズル列NLは、主走査方向(Y軸方向)に対して斜めに交差するように配置されている。そして、このとき、ノズル列NLを主走査方向に対して垂直方向(X軸方向)に透視した場合のノズル31間の距離(ピッチ)NPbが、吐出分解能dの整数倍となっている。ここで、吐出分解能dとは、主走査方向における吐出ヘッド3(ノズル31)とワーク5との相対移動速度と、機能液を液滴36として吐出させる吐出周波数と、で定まる液滴の吐出間隔である。換言すれば、吐出ヘッド3とワーク5とを相対的に移動させながら、吐出ヘッド3から液滴36を吐出させた過程において、あるタイミングで液滴36が吐出され、その液滴36がワーク5に着弾した位置を第1位置とし、その吐出から最も速いタイミングで液滴36が吐出され、その液滴36がワーク5に着弾した位置を第2位置とした場合に、吐出分解能は、第1位置と第2位置との距離(d)であり、液滴36を吐出可能な最小単位で表される。
【0032】
なお、本実施形態では、エンコーダー分解能を吐出分解能として説明する。先述したように、本実施形態の液滴吐出装置1では、エンコーダー4cを備えている。そこで、エンコーダー4cから出力されるエンコーダーパルスに基づいて、吐出タイミング信号が生成される。その生成された吐出タイミング信号の1周期(図6(a)参照)がエンコーダー分解能dとして表される。従って、本実施形態の吐出ヘッド3は、ノズル列NLを主走査方向に対して垂直方向に透視した場合のノズル31間の距離が、エンコーダー分解能dの整数倍となるように、吐出ヘッド3のノズル列NLが、主走査方向に対して斜めに配置される。なお、本実施形態では、ノズル列NLを主走査方向に対して垂直方向に透視した場合のノズル31間の距離NPbが、エンコーダー分解能dの2倍となるように、吐出ヘッド3のノズル列NLが、主走査方向に対して斜め(θ)に配置される。
【0033】
また、ノズル列NLを主走査方向に対して斜めに配置することにより、主走査方向におけるノズル31間の距離NPaは、主走査方向に対してノズル列を垂直方向に配置した場合の主走査方向におけるノズルピッチNPよりも短く(狭く)なる。すなわち、主走査方向におけるノズル31の配置密度が高まり、例えば、ワーク5に区画された区画領域(画素領域)Dに対応するノズル31の数が増えるため、1回の走査でより多くの液滴36を区画領域Dに付着させることができる。これにより、カラーフィルターの製造を迅速化させることができる。
【0034】
次に、液滴吐出の制御方法について説明する。図5は、液滴吐出装置おける液滴の吐出動作を示す模式図である。図5に示すように、吐出ヘッド3のノズル列NLが、主走査方向に対して斜めに交差された状態で配置され、液滴吐出ヘッド3とワーク5が載置されたステージ4とを主走査方向に相対移動させながら、吐出タイミング信号に基づいて各ノズル31a〜31gから液滴36が吐出される。ここで、ノズル列NLは、主走査方向に対して傾いて配置されているが、ノズル列NLを主走査方向に対して垂直方向(X軸方向)に透視した場合のノズル31間の距離(ピッチ)NPbが、エンコーダー分解能dの整数倍であるため、ノズル列NLとステージ4とが主走査方向に相対的に移動させる過程において、吐出タイミング信号が出力される全てのノズル31a〜31gを所望の吐出位置と一致させることができる。すなわち、各ノズル31a〜31gから吐出された液滴36の着弾位置ずれがない。
【0035】
図6は、各ノズルを制御する吐出タイミング信号を示す波形図である。制御部2では、各ノズル31a〜31gの吐出タイミングを制御するため、図6(a)に示すように、一定周期のパルス信号からなる吐出タイミング信号を用いている。そして、制御部2は、吐出タイミング信号に同期させて各ノズル31a〜31gの吐出タイミングを制御する。図6(b)〜(h)は、ノズル31a〜31gの吐出タイミングを規定している。この場合、例えば、ノズル31aへのノズル信号は吐出タイミング信号における第6,第7,第8パルスに同期してハイ・レベルとなっているので、このタイミングで液滴36が吐出される。
【0036】
そして、例えば、ワーク5に形成された区画領域D1,D2に機能液を付着させる場合において、図5に示すように、ノズル31aに対して、第6,第7,第8吐出タイミングで液滴36を吐出させる。ノズル31bに対して、第8,第9,第10吐出タイミングで液滴36を吐出させる。ノズル31cに対して、第10,第11,第12吐出タイミングで液滴36を吐出させる。これにより、区画領域D1に所定量の機能液が塗布される。符号36’は、ワーク5に付着した液滴ドットを示す。ノズル31dに対しては、吐出信号が発生せず、液滴36は吐出されない。ノズル31eに対して、第14,第15,第16吐出タイミングで液滴36を吐出させる。ノズル31fに対して、第16,第17,第18吐出タイミングで液滴36を吐出させる。ノズル31gに対して、第18,第19,第20吐出タイミングで液滴36を吐出させる。これにより、区画領域D2に所定量の機能液が塗布される。
【0037】
次に、本実施形態の液滴吐出装置が備えているビットマップについて説明する。図7は、ビットマップを示す概念図である。このビットマップ100は、エンコーダー分解能dから生成される吐出タイミング信号の周期(間隔)をもって配置されている線からなるノズル列ラインNL’と、主走査方向に対して平行に配置された複数の仮想的な線からなる走査ラインSLとを示す情報からなる。
【0038】
そして、各ノズル列ラインNL’は、吐出タイミング間隔で区切られたX軸の座標で特定され、各走査ラインSLは、画素ピッチで区切られたY軸の座標で特定される。例えば、Y軸の座標は被吐出物の区画領域DのY軸を特定し、X軸は各ノズル31a〜31gの吐出タイミングを特定する。
【0039】
ビットマップ100にはワーク5における吐出位置を規定する塗布パターン情報が含まれており、その塗布パターン情報はX軸座標及びY軸座標で特定される。このようなビットマップ100は、ワーク5に形成すべきパターンの設計図となるCADデータについて、ビットマップデータ作成部26が所定の処理を施すことで生成される。本実施形態における液滴吐出装置1の制御部2は、このビットマップ100を用いて吐出ヘッド3の各ノズル31a〜31gの吐出タイミングを制御するので、簡便な操作により、任意の塗布パターンについて高解像度にかつ迅速に液滴を塗布することができる。さらに、主走査方向に吐出タイミング(エンコーダー分解能d)がノズルピッチNPbに同期しているため、各ノズル31a〜31gにおける液滴の着弾位置のずれが発生しない。
【0040】
従って、上記の実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0041】
(1)ノズル列NLが主走査方向に対して斜めに配置された。これにより、主走査方向におけるノズル間ピッチNPaが狭まる。従って、例えば、カラーフィルターの製造にあっては、ワーク5に形成された区画領域Dに対応するノズル31の数が増える(ノズル密度が高まる)ため、吐出ヘッド3とステージ4との走査数が低減され、カラーフィルター等のパターン膜部材の生産性を向上させることができる。
【0042】
(2)主走査方向に対して垂直方向におけるノズルピッチNPbが、エンコーダー分解能dの整数倍に設定される。すなわち、エンコーダー4cによって生成される主走査方向において液滴が吐出される吐出タイミングが、主走査方向に対して垂直方向におけるノズルピッチNPbに同期するため、主走査方向に対して垂直方向における液滴36の着弾位置を所望する着弾位置に一致させることができる。これにより、例えば、カラーフィルターの製造にあっては、液滴36の着弾位置精度が高まり、隣接する区画領域D1,D2に塗布された機能液同士の接触を防止し、混色等の発生を低減させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1…液滴吐出装置、2…制御部、3…吐出ヘッド、4…ステージ、4c…エンコーダー、5…ワーク、9…移動部、15…リニアスケール、31,31a〜31g…ノズル、36…液滴、NL…ノズル列、NPb…ノズル列NLを主走査方向に対して垂直方向に透視した場合のノズル間の距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルからなるノズル列を有する吐出ヘッドと、
ワークが載置されるステージと、
前記吐出ヘッドと前記ステージとを主走査方向に相対移動させる移動部と、
各前記ノズルに対応して液滴を吐出させる制御部と、を備え、
前記ノズル列を前記主走査方向に対して垂直方向に透視した場合の前記ノズル間の距離が、吐出分解能の整数倍となるように、前記吐出ヘッドの前記ノズル列が、前記主走査方向に対して斜めに交差して配置されたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記液滴を吐出する吐出タイミング信号を生成するエンコーダーを備え、
前記ノズル列を前記主走査方向に対して垂直方向に透視した場合の前記ノズル間の距離が、エンコーダー分解能の整数倍となるように、前記吐出ヘッドのノズル列が、前記主走査方向に対して斜めに交差して配置されたことを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−61381(P2012−61381A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205229(P2010−205229)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】