説明

液状の充填製品を容器へ充填するための充填要素、充填機及び充填方法

【課題】従来技術の欠点を解消し、容器特有の、及び/又は充填製品特有の充填曲線で規定され、容器及び/又は重点製品に最適に対応した充填過程を維持しつつ充填機の出力を高めることが可能な充填要素を提供すること。
【解決手段】複数のボトル又はこのような容器2に液状の充填製品を充填するための充填システムにおける充填要素であって、液状の充填製品を各容器2へ導入するための少なくとも1つの供給開口部6を形成し、かつ、当該充填要素1のケーシング7における液状の充填製品のために設けられた液体流路8と、液状の充填製品を各容器2へ制御して供給するための複数のバルブ13とを備えて成る前記充填要素において、バルブ13を、充填速度、すなわち充填段階中に各容器2へ充填される単位時間当たりの充填製品量を無段階に制御するよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載した充填要素、請求項9の前提部分に記載した充填機及び請求項12の前提部分に記載した充填方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
当該充填機の垂直方向軸中心線回りに回転駆動されるロータに、容器保持部を有する当該充填要素から成る複数の充填位置が設定されている特に回転式の充填機において使用される複数の充填要素については、様々な実施形態が知られている。この充填要素は、液状の充填製品を制御しつつ容器へ供給するために、弁体を備えた少なくとも1つの液体用バルブを備えている。ここで、弁体は、操作装置によって、単に全開位置と全閉位置の間を移動するものとなっている。液体用バルブは、操作装置の適切な形成において、全開位置、全閉位置及び一部開放位置の3つの切換位置を備えていることがある。
【0003】
各液体用バルブ又は弁体を切り換えるために、液体用バルブの弁体を各切換位置間で高速で切り換える空圧式又は電磁式の操作要素が用いられる。しかしながら、このような切換においては、充填すべき充填製品の質量流量の突然の変化及び衝突するかのような変化により、衝撃が生じ、これに伴い充填製品に不都合な泡立ちが発生しまうことがある。その結果、充填機の充填出力(単位時間当たりの充填容器数)の低下を招いてしまうことになる。
【0004】
また、充填機の制御をメモリされた容器特有の充填曲線に応じて行う方法も知られており、この充填曲線は、容器内にすでに充填された液状の充填製品の体積に基づいて容器内における充填高さを示すものとなっている。しかしながら、このような方法においては、充填速度が制御されるのではなく、充填用パイプが過剰に充填製品内へ浸漬するのを防止するために、充填用パイプと各容器の間の相対変位を制御するものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題にかんがみてなされたもので、その目的とするところは、上記のような欠点を解消し、例えば容器特有の、及び/又は充填製品特有の充填曲線で規定され、容器及び/又は充填製品に最適に対応した充填過程を維持しつつ充填機の出力(単位時間当たりの充填容器数)を高めることが可能な充填要素を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による充填要素においては、各充填速度(単位時間当たりの充填製品の体積流量)を連続的に、又は無段階若しくはほぼ無段階に、適宜調節することが可能となっている。このような体積流量の変更は、例えば、少なくとも1つの液体用バルブ及び/又は当該充填要素における気体戻し通路に設けられた気体戻しバルブの開口断面積を無段階又はほぼ無段階に変更すること、すなわち液体用バルブ又は気体戻しバルブの弁体の無段階又はほぼ無段階の移動ストロークによってなされる。
【0007】
ここで、本発明における「無段階」又は「ほぼ無段階」とは、その意味を語義どおりに解釈するのを優先すべきであるが、10より大きなステップ数の非常に小さな調節ステップで全開状態と全閉状態の間で調節されるようなものも含むことも意味し、また、液体用バルブ又は気体戻しバルブの全開断面積の最大10%ずつのこれらバルブの開口断面積の調節も意味する。
【0008】
また、本発明においては、液体用バルブ及び/又は少なくとも1つの気体戻しバルブの無段階の調節又は変更は電気式、空圧式又は油圧式に制御される操作要素によってなされ、この操作要素は、例えば圧電動作要素、圧電アクチュエータ又は他の電気式、空圧式又は油圧式のリニアアクチュエータである。
【0009】
本発明による充填要素によれば、充填すべき充填製品の体積流量の突然の変化と、これによる生じる衝撃と、これに伴う充填製品の不都合な泡立ちを防止することが可能である。特に、充填速度を容器特性又は充填製品特性に動的に適合させることができる。例えば、容器の形状、実際にすでに充填された充填製品により常に変化する容器の形状若しくは断面、各容器の内部空間における充填製品の表面、及び/又は充填製品における泡の発生傾向若しくはCO2濃度若しくは他の充填製品パラメータに充填速度を適合させることが可能である。したがって、充填製品の泡立ち及びこれに伴う充填製品への酸素の含有を少なくとも最小化しつつ充填機の出力の向上を図ることが可能である。
【0010】
充填速度の制御は特に最適化された容器特有の、及び/又は充填製品特有の充填曲線に従って行われ、この充填曲線は、時間に応じて充填速度を規定するものとなっている。本発明による構成によれば、充填過程を、充填速度の必要な変更に際して、充填製品の加速及び/又は減速を最適に行うことが可能である。また、特に、充填製品の体積流量を、すでに充填された充填製品の体積によって連続的に又は不連続に変化する充填製品レベル(表面)に適合させることも可能である。
【0011】
また、特に、容器底部を充填製品で覆うために、徐々に上昇する充填速度においてゆっくりと充填するステップと、各容器の円筒状部において最大充填速度へ徐々に至るステップと、容器において変化する断面積に充填速度を無段階に減少及び/又は適合させるステップと、各容器に対して必要な充填高さ又は充填量を正確に遵守するために、ゆっくりと充填するステップとを行うことが考えられる。
【0012】
本発明の他の利点及び実施形態は、以下の図面の記載を参照した実施形態の説明に記載されている。また、記載及び/又は図示された特徴の組み合わせも、要約書、特許請求の範囲及びこの特許請求の範囲における参照符号にかかわらず本発明の対象である。なお、各請求項の内容は、本明細書の一部である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来技術の欠点を解消し、例えば容器特有の、及び/又は充填製品特有の充填曲線で規定され、容器及び/又は充填製品に最適に対応した充填過程を維持しつつ充填機の出力(単位時間当たりの充填容器数)を高めることが可能な充填要素を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による充填システムにおける充填要素の概要を示す断面図である。
【図2】容器特有の、又は充填製品特有の充填曲線を示す図である。
【図3】他の実施形態における本発明による充填システムにおける充填要素の概要を示す断面図である。
【図4】本発明による充填システムにおける充填要素の圧電アクチュエータ近傍の拡大断面図である。
【図5】他の実施形態における本発明による充填システムにおける充填要素の概要を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1には、例えば回転式の充填機における充填システムの充填要素が符号1で示されている。この充填機は、充填製品の容器あるいはボトル2への自由噴流による充填のために、その軸中心線回りに回転駆動されるロータ3の周囲に複数の同様な充填要素1を備えている。各充填要素1に対して容器保持部4が設けられており、該容器保持部4は充填要素1と共に充填位置5を形成しているとともに、この容器保持部4には、各ボトル2がそのボトル開口部2.1の下方に形成された開口フランジ部2.2において懸装されている。ここで、各ボトル2は、充填要素の下側又はこの箇所における供給開口部6に対して間隔を空けて懸装されている。
【0017】
充填要素1は液体流路8を有するケーシング7を備えており、この液体流路8内には、充填部材1の下側に供給開口部6を形成するために、気体密封要素9が嵌設されている。また、この液体流路8は、その上方において、流量計11を有する管路10を介して、充填機あるいは充填システムのタンク12に接続されている。ここで、タンク12が充填機におけるすべての充填要素1又は充填位置5に対して共通に設けられている一方、各充填要素1は、流量計11を有する管路10を介してタンク12に接続されている。
【0018】
また、液体流路8には、自由噴流14としての充填製品の充填プロセス中に各ボトル2へ制御しつつ充填製品を供給するために、液体用バルブ13が設けられている。この液体用バルブ13は基本的に弁体13.1で構成されており、この弁体13.1は、液体流路8の内面部によって形成されたバルブシートと相互作用するとともに、液体用バルブ13を開閉するために、垂直方向に延在する充填機の軸中心線FA上において上下動するようになっている。このような操作は空圧式操作装置15によってなされ、この空圧式操作装置15は、基本的に、ケーシング7の上側に設けられたシリンダ16と、ピストンロッド18を有するピストン17とで構成されている。ここで、ピストンロッド18は、そのピストン17とは反対側の下端部において弁体13.1に結合されている。このピストンロッド18を包囲するスプリング19によって、空圧式操作装置15及び弁体13.1は、液体用バルブ13の開弁位置に保持されている。
【0019】
また、シリンダ16内におけるピストン17の上方にはシリンダ室20が形成されており、このシリンダ室20は、ピストン17をスプリング19に抗して変位させ、弁体13.1を閉弁位置へ変位させるために、後述のように制御されて、例えば圧縮空気などの空気圧や蒸気状の流体の圧力による力が作用するようになっている。
【0020】
そして、充填要素1はその下側において供給開口部6を包囲するサブ空間あるいはリング状空間21を備えて形成されており、このリング状空間21は、例えば充填要素1及び充填機の定置洗浄(CIP)のために、充填要素側の管路22を介して、充填システムの充填要素1全体に共通かつロータ3に設けられたリング状流路23に接続されている。
【0021】
また、シリンダ室20は、電気的に制御されるコントロールバルブを介して加圧された気体又は蒸気状の流体の圧力源26に接続されている。ここで、制御用電子部品27により制御される電気制御ドライバ25によって、コントロールバルブ24が制御されるようになっている。
【0022】
図1に示す充填システムの特徴は、従来の充填システムと異なり、弁体13.1が操作装置15によって液体用バルブの全開状態と全閉状態の間を変位可能であるのみならず、シリンダ室20内の圧力を適切に制御することで各ボトル2へ流入する充填製品の流量を連続的に、又はゼロ値(液体用バルブの全閉状態)と最大値(液体用バルブの全開状態)の間で制御することが可能である、という点にある。これにより、各充填プロセスあるいは流量を制御したり、自由噴流による充填においても、充填速度、すなわち各ボトル2へ供給される単位時間当たりの充填製品量を、図2に示すような充填曲線28に従って制御することが可能である。
【0023】
ここで、この充填曲線28は、ボトルのタイプ、すなわちボトル2の形状及び/又は大きさ、実際の充填状態、充填製品並びにその他の充填パラメータを考慮して、充填速度Vの最適な時間変化を表すものである。なお、充填曲線の一部(区間)28.1〜28.5は、以下のような充填段階に対応している。
【0024】
曲線区間28.1では、連続的にゆっくりと、又は無段階に液体用バルブ13を開放していき、充填速度Vが徐々に上昇しつつ充填されている状態である。
【0025】
曲線区間28.2では、液体用バルブ13の全開状態において、一定又は最大かつ一定の充填速度Vで迅速な充填が行われている状態である。
【0026】
曲線区間28.3では、液体用バルブ13を少なくともゆっくりと閉鎖していくことにより、充填速度Vが徐々に低下している状態である。
【0027】
曲線区間28.4では、低下した充填速度Vの下で、一定又はほぼ一定の割合で残りの充填が行われている状態である。
【0028】
曲線区間28.5では、液体用バルブ13をゆっくりと閉鎖していくことにより、充填段階を徐々に終了させる状態である。
【0029】
ところで、各コントロールバルブ24及び液体用バルブ13の制御は、流量計11及び容器特有の充填曲線28に依存して、制御用電子部品27によりなされるようになっている。ここで、充填曲線28は、この制御用電子部品27内にメモリされており、所定のタイプのボトル2への充填前に、制御部のデータベースからワーキングメモリへと読み込まれるようになっている。
【0030】
図3にはボトル2の形状の容器への充填のための図1に類似した充填要素1aが示されており、容器保持部4に懸装された各ボトル2は、充填中にそのボトル開口部2.1において、供給開口部6の近傍で充填要素1aに密に接している。この充填システムは、例えば回転式の充填機の構成部材であり、この充填機においては、垂直方向に延在する軸中心線FA回りに回転駆動されるロータ3に複数の充填要素1aが設けられている。
【0031】
充填要素1aのケーシング7内には供給開口部6を備えた液体流路8が形成されており、この液体流路8は、各充填要素1aに対して独立しつつ流量計11を備えた管路10を介してタンク12に接続されている。また、このタンク12は、すべての充填要素1aに対して共通に、ロータ3に設けられている。
【0032】
また、ボトル2への充填のために、タンク12の内部空間が液状の充填製品によって部分的に満たされているため、タンク12は、充填製品を収容する液体室12.1と、その上方に位置する、圧力下にある例えばCO2などの不活性ガスで満たされた気体室12.2とで形成されている。
【0033】
また、液体流路8には液体用バルブ13aが設けられており、この液体用バルブ13aは、基本的に弁体13a.1によって形成されている。この弁体13a.1は、液体流路8の内面に形成されたバルブシートと相互に作用するとともに、操作装置15aにより、特に液体用バルブ13aの全閉位置と全開位置の間で上記軸中心線FAに沿って変位するものとなっている。さらに、弁体13a.1は気体戻し管路29を備えており、この気体戻し管路29は、バルブタペットとしての機能も果たすとともに、操作装置15aにより、上記軸中心線FAに沿って軸方向に制御されつつ変位するようになっている。
【0034】
しかして、ケーシング7の内部には、図3において符号30で示す、コントロールバルブ31,32を備えた複数の気体通路が設けられている。そして、これら気体通路を介すことにより、気体戻し管路29の上端部に設けられたチャンバ33が制御されつつリング状流路34,35に接続されるようになっている。ここで、これらリング状流路34,35は、すべての充填要素1aに対して共通に、ロータ3aに設けられている。また、リング状流路34は、タンク12における気体室12.2に接続されているとともに、ボトル2への充填時、すなわちボトル2への充填工程の開始時に、気体室12.2からの不活性ガスを予圧する機能も果たすものとなっている。一方、リング状流路35は、充填時に充填製品によって押し出される各ボトル2からの不活性ガスを排出するものとなっている。なお、不活性ガスは、気体戻し管路29と、気体戻しバルブとして機能するコントロールバルブ32を介してリング状流路35へ流入するようになっている。
【0035】
コントロールバルブ(気体戻しバルブ)32の制御された開閉により、充填速度、すなわち充填時においてボトル2へ流入する単位時間当たりの充填製品量を制御することが可能である。そのために、コントロールバルブ32は、全開位置と全閉位置を有するのみならず、効果的な開口断面積及びこれに伴う質量流量を考慮して、これら全開位置と全閉位置の間で無段階に調節可能に形成されている。したがって、コントロールバルブ32の適切な制御により、例えばボトル又は容器に特有の充填曲線28に応じて充填速度Vを制御することが可能である。
【0036】
また、コントロールバルブ32はここでも空圧式であり、このコントロールバルブ32の操作装置のシリンダ室36は、コントロールバルブ24a.1を介して、例えば圧縮空気などの圧力下にある気体状又は蒸気状の流体を供給する圧力源26に接続されている。
【0037】
さらに、充填要素1aにおいて液体用バルブ13aは、該液体用バルブ13aの開口断面積の適切な調節又は変更によって、その全開位置と全閉位置の間で質量流量を無段階に制御できるように形成されている。そのため、空圧式操作装置15aは、ケーシング7におけるシリンダ室内で軸方向に、すなわち上記軸中心線FA方向に変位可能なリングピストン37で構成されている。なお、このリングピストン37は、気体戻し管路29上に配置されているとともに、該気体戻し管路29を包囲するスプリング38により、気体戻し管路29と共に、液体用バルブ13aの開弁位置へ付勢されている。
【0038】
また、リングピストン37はそのスプリング38とは反対側においてシリンダ室39を画成しており、このシリンダ室39には、コントロールバルブ24a.2により制御されつつ圧力源26からの圧力が作用するようになっている。なお、両コントロールバルブ24a.1,24a.2は、ここでも、流量計11の測定信号と、例えば制御用電子部品27のワーキングメモリにメモリされた例えば図2に示すような充填曲線28のようなボトル又は容器に特有の充填曲線とに依存して、制御用電子部品27のドライバ25a.1,25a.2により制御されるようになっている。
【0039】
コントロールバルブ32と、操作装置15aにより制御される液体用バルブ13aは例えばここでも閉ループ制御回路の構成部材となっており、この閉ループ制御回路においては、流量計11からの測定信号が実際値として例えば充填曲線により示される所定の実際値と比較され、適切な制御によりコントロールバルブ32及び/又は液体用バルブ13aの調整の制御がなされるようになっている。このとき、例えば、液体用バルブ13aにあっては粗調整若しくは粗制御がなされ、コントロールバルブ32にあっては精密調整若しくは精密制御がなされるように設定するか、又はその逆に設定することも考えられる。
【0040】
また、コントロールバルブ32又は液体用バルブ13aを、これらが全開位置又は全閉位置のいずれかの位置を占めるように構成することも基本的に可能である。一方、例えば充填曲線28に合わせた各充填段階での充填速度の無段階又は連続的な制御は、液体用バルブ13a又はコントロールバルブ32を制御することによってなされる。
【0041】
そして、コントロールバルブ32が全開位置又は全閉位置のみを占めるように形成されている場合には、このコントロールバルブ(気体戻しバルブ)32は、例えば、全開位置においては充填速度が最大となり、全閉位置においては低い充填速度となるように設定されている。このとき、例えば曲線区間28.1に対応した緩やかなあるいは中程度の充填速度の上昇及び例えば曲線区間28.3,28.5に対応した充填速度の緩やかな低下は、液体用バルブ12aの適切な制御によりなされることになる。
【0042】
図4には充填要素1bの一部の詳細が断面で示されており、この充填要素1bは、容器又はボトル2への自由噴流による充填を行うための充填システムの構成部材となっている。この充填要素1bは、操作装置15のピストンロッドと液体用バルブ13bの弁体13.1の間に例えば圧電アクチュエータとして形成された操作要素41が設けられている点で充填要素1と相違している。この操作要素41は、無段階に直進運動、すなわち弁体13.1の上記軸中心線FAに沿う、制御された運動のために、制御用電子部品27のドライバ42により制御可能となっている。したがって、操作装置15によって達成される開弁動作/閉弁動作に加えて、各充填段階中に、例えばボトル2に対して最適な充填曲線28を考慮しつつ充填速度を制御することが可能である。ここで、操作装置15は、単に液体用バルブ13bの開閉のためにのみ形成及び/又は制御されている。
【0043】
図5にはボトル2への充填するための充填システムの構成部材である充填要素1cが示されており、この充填要素1cは、その機能に関して、操作装置15aに対応する操作装置15cが液体用バルブ13aに対応する液体用バルブ13cの開閉のためにのみ形成されている一方、充填速度の制御はコントロールバルブ32に対応するコントロールバルブ(気体戻しバルブ)32cによって行われる点で充填要素1bと相違している。ここで、コントロールバルブ32cは、制御用電子部品27で直接制御される例えば圧電アクチュエータなどの電気的に制御可能なアクチュエータ43を備えている。このような制御により、コントロールバルブ32cを通過する戻り気体の質量流量及び充填中における充填速度を無段階に制御することが可能である。
【0044】
上記において、本発明の様々な実施形態を示したが、本発明の範囲を逸脱しない限り、様々な他の変更やバリエーションが考えられる。すべての実施形態において共通なのは、各充填段階において、特に各容器の形状、容器にすでに充填された充填製品の体積及び該容器に充填される充填製品又は充填製品のパラメータに応じた最適な充填曲線に従って充填速度を無段階に制御可能な点である。このような充填速度の無段階の制御は、液体用バルブ13,13a〜13c及び/又は少なくとも1つのコントロールバルブ32,32cの開弁状態又は開口断面積の適切な調節により達成される。
【符号の説明】
【0045】
1,1a〜1c 充填要素
2 ボトル(容器)
2.1 ボトル開口部
2.2 開口フランジ部
3 ロータ
4 容器保持部
5 充填位置
6 供給開口部
7 ケーシング
8 液体流路
9 気体密封要素
10 管路
11 流量計
12 タンク
12.1 液体室
12.2 気体室
13,13a〜13c 液体用バルブ
13.1,13a.1 弁体
14 自由噴流
15,15a〜15c 空圧式操作装置
16 シリンダ
17 ピストン
18 ピストンロッド
19 スプリング
20 シリンダ室
21 サブ空間(リング状空間)
22 管路
23 リング状流路
24,24a.1,24a.2 コントロールバルブ
25,25a.1,25a.2 ドライバ
26 圧力源
27 制御用電子部品
28 充填曲線
28.1〜28.5 曲線区間
29 気体戻し管路
30 気体通路
31,32,32c コントロールバルブ
33 チャンバ
34,35 リング状流路
36 シリンダ室
37 リングピストン
38 スプリング
39 シリンダ室
41 操作要素
42 ドライバ
43 アクチュエータ
FA 充填要素の軸中心線
t 時間
V 充填速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボトル又はこのような容器(2)に液状の充填製品を充填するための充填システムにおける充填要素であって、液状の充填製品を前記各容器(2)へ導入するための少なくとも1つの供給開口部を形成し、かつ、当該充填要素(1,1a,1b,1c)のケーシング(7)における液状の充填製品のために設けられた液体流路(8)と、液状の充填製品を前記各容器(2)へ制御して供給するための複数のバルブ(13,13a〜13c)とを備えて成る前記充填要素において、
前記バルブ(13,13a〜13c)を、充填速度、すなわち充填段階中に前記各容器(2)へ充填される単位時間当たりの充填製品量を無段階に制御するよう構成したことを特徴とする充填要素。
【請求項2】
前記供給開口部(6)を備えた前記液体流路(8)に少なくとも1つの液体用バルブ(13,13a,13b)を設けるとともに、充填速度を制御するために、前記液体用バルブ(13,13a,13b)の開口断面積を無段階に変更可能な構成としたことを特徴とする請求項1記載の充填要素。
【請求項3】
当該充填要素(1a,1c)の前記ケーシング(7)内に形成され、かつ、充填時に前記容器(2)から充填すべき液状の充填製品を押しのけて出る戻り気体を排出するための、少なくとも1つ気体通路(30)を設け、充填速度を無段階に制御するために、該気体通路(30)に配置された気体戻しバルブ(31,31c)の開口断面積を変更可能に構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の充填要素。
【請求項4】
前記液体用バルブ(13,13a,13b)及び/又は前記気体戻しバルブ(32,32c)のための操作装置(15,15a,15b;36,43)を、前記開口断面積の無段階の制御に加えて、段階的にも調節可能としたことを特徴とする請求項2又は3記載の充填要素。
【請求項5】
無段階の制御のために、例えば電気式若しくは油圧式のリニアアクチュエータ、圧電アクチュエータ又は動作要素の形態の、電気式、空圧式又は油圧式に制御可能な操作要素(15,15a,15b,41)を前記操作装置に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の充填要素。
【請求項6】
前記液体用バルブ(13c)及び/又は少なくとも1つの前記気体戻しバルブ(32,32c)のために、第1の無段階のバルブストロークのための第1の操作要素と、該第1の無段階のバルブストロークに加えて第2の無段階のバルブストロークのための第2の操作要素とを前記操作装置に設けたことを特徴とする請求項4又は5記載の充填要素。
【請求項7】
前記容器(2)への自由噴流による充填用に形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の充填要素。
【請求項8】
前記供給開口部(6)の近傍に容器開口部(2.1)のための構造部を形成し、当該充填要素(21a,1c)に対して密に接した前記容器(2)への充填できるよう形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の充填要素。
【請求項9】
複数のボトル又はこのような容器(2)に液状の充填製品を充填するための充填機であって、例えば当該充填機の垂直方向軸中心線回りに回転駆動されるロータに設けられた複数の充填要素(1,1a〜1c)を備えて成る前記充填機において、
前記充填要素(1,1a〜1c)を請求項1〜8のいずれかに記載のものとしたことを特徴する充填機。
【請求項10】
実際値及び目標値としての、充填段階中に前記各容器(2)へ供給される充填製品量に応じて充填速度を制御する少なくとも1つの制御用電子部品(27)を設けたことを特徴とする請求項9記載の充填機。
【請求項11】
前記少なくとも1つの制御用電子部品(27)を、容器特有の、及び/又は充填製品特有の充填曲線(28)として表された目標値に応じて充填速度を制御するよう形成したことを特徴とする請求項10記載の充填機。
【請求項12】
少なくとも1つの充填要素(1,1a〜1c)を備えた充填システムを用いて複数のボトル又はこのような容器(2)に液状の充填製品を充填するための充填方法において、
充填段階中に、充填速度、すなわち前記各容器(2)へ充填される単位時間当たりの充填製品量を、開放された複数のバルブ(13,13a〜13c;32,32c)の開口断面積を無段階に変更することにより制御することを特徴とする充填方法。
【請求項13】
充填段階における充填速度を、液体用バルブ(13,13a,13b)の開口断面積の無段階の変更により、及び/又は少なくとも1つの気体戻しバルブ(32,32c)の開口断面積の無段階の変更により、実際の充填速度及び/又は前記各容器(2)にすでに充填された充填製品量である実際値に応じて制御することを特徴とする請求項12記載の充填方法。
【請求項14】
前記充填速度を時間に応じて制御することを特徴とする請求項12又は13記載の充填方法。
【請求項15】
前記充填速度を、前記容器特有の充填曲線(28)に応じて制御することを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−522691(P2012−522691A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502486(P2012−502486)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001717
【国際公開番号】WO2010/112143
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(598125028)カーハーエス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (125)
【Fターム(参考)】