説明

液状油性化粧料

【課題】濡れた手や皮膚で使用した際の白濁やクレンジング力の低下、クレンジング後の洗い残り感、ぬるつき等の後肌の悪さが改善された液状油性化粧料を提供すること。
【解決手段】次の成分(a)〜(c)、
(a)下記式(I)で示される分子式を有するエタノールアミド系界面活性剤、
RNR (I)
(式(I)において、Rは炭素数が12〜22であるアシル基を、RはCH
O(CHCHO)Hを、RはCHCHO(CHCHO)
またはHをそれぞれ示し、nおよびmはそれぞれ0〜20の整数を示す)
(b)グリセリン骨格を有するHLB4以下の界面活性剤、
(c)常温で液体の油成分、
を含有する液状油性化粧料であって、前記液状油性化粧料100質量部と水1質量部とを混合した混合物の660nmの光の透過率が50%以上であることを特徴とする液状油性化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状油性化粧料に関し、更に詳細には、濡れた手や皮膚で使用した場合であっても白濁することなく、かつ、使用後に洗い残り感やべたつきのない、いわゆる後肌が良い液状油性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
液状油性化粧料、特に透明なクレンジング化粧料は、油性成分を含有するため濡れた手や皮膚で使用すると白濁し、外観が悪くなると共に、クレンジング力が低下することが知られている。
【0003】
この様な問題点を解決するため、油性成分と特定のIOBやHLBを有する界面活性剤を配合したクレンジング化粧料が報告されている(特許文献1〜5)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−2292号公報
【特許文献2】特開2004−115467号公報
【特許文献3】特開2004−75566号公報
【特許文献4】特開2004−26791号公報
【特許文献5】特開2004−238376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記クレンジング化粧料は濡れた手や皮膚で使用した際の白濁やクレンジング力の低下については改善されているものの、クレンジング後の洗い残り感、ぬるつき等のいわゆる後肌の悪さについては改善されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記実情に鑑み鋭意研究を行った結果、特定の界面活性剤と油で構成される液状油性化粧料が、濡れた手や皮膚で使用した際の化粧料の白濁やクレンジング力の低下がなく、しかも、クレンジング後の後肌の悪さも改善することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は次の成分(a)〜(c)、
(a)下記式(I)で示される分子式を有するエタノールアミド系界面活性剤、
RNR (I)
(式(I)において、Rは炭素数が12〜22であるアシル基を、RはCH
O(CHCHO)Hを、RはCHCHO(CHCHO)
またはHをそれぞれ示し、nおよびmはそれぞれ0〜20の整数を示す)
(b)グリセリン骨格を有するHLB4以下の界面活性剤、
(c)常温で液体の油成分、
を含有する液状油性化粧料であって、前記液状油性化粧料100質量部と水1質量部とを混合した混合物の660nmの光の透過率が50%以上であることを特徴とする液状油性化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液状油性化粧料は、浴室等の手や皮膚が濡れた状態にある場合でも、化粧料の白濁、洗浄力の低下等の問題がなく使用することができ、しかも、クレンジング後の後肌がよい優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の液状油性化粧料に用いられる成分(a)のエタノールアミド系界面活性剤は下記式(I)で示されるものであり、具体的にはヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0010】
RNR (I)
(式(I)において、Rは炭素数が12〜22であるアシル基を、RはCH
O(CHCHO)Hを、RはCHCHO(CHCHO)
またはHをそれぞれ示し、nおよびmはそれぞれ0〜20の整数を示す)
【0011】
これらエタノールアミド系界面活性剤の中でもヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミドおよびポリオキシエチレン(5)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドが好ましい。これらエタノールアミド系界面活性剤は本発明の液状油性化粧料に5〜10質量%配合されることが好ましい。
【0012】
また、本発明の液状油性化粧料に用いられる成分(b)のグリセリン骨格を有するHLB4以下の界面活性剤としてはモノステアリン酸ジグリセリル、オレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これら界面活性剤の中でもモノステアリン酸ジグリセリル(HLB=2)、オレイン酸ジグリセリル(HLB=2.5)、ジイソステアリン酸グリセリル(HLB=2)およびモノオレイン酸デカグリセリル(HLB=3.5)が好ましい。これら界面活性剤は本発明の液状油性化粧料に2〜10質量%が好ましく、更に好ましくは2〜5質量%配合される。また、この成分(b)は成分(a)に対して質量比で1:0.25〜1:1.25、好ましくは1:0.25〜1:1で配合することが好ましい。
【0013】
更に、本発明の液状油性化粧料に用いられる成分(c)の常温で液体の油成分としてはオリーブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ胚芽油、アーモンド油、サフラワー油、キョウニン油、アマニ油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、大豆油、トウモロコシ油、ホホバ油、ミンク油、綿実油、ヤシ油等の植物油、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等の炭化水素油、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、イソオクタン酸セチル、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、エチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これら油成分は本発明の液状油性化粧料に20〜90質量%配合されることが好ましい。また、これら油成分にはコメヌカ油、コメ胚芽油、オリーブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ胚芽油、アーモンド油、サフラワー油、キョウニン油等のトリグリセライドを構成する脂肪酸のうち不飽和脂肪酸が30〜100質量%である植物油を含むことが好ましい。前記植物油は成分(c)中に30〜100質量%、特に40〜95質量%含まれることが好ましい。更に、これら油成分には前記植物油に加えて揮発性シリコーン油を含むことが好ましい。揮発性シリコーン油の好ましい配合量は、成分(c)中に1〜30質量%である。なお、本発明において常温で液体とは一般的な使用状態で使用するときに流動性があり、具体的には20℃での粘度値が40000mPa・s以下の範囲にあるものを指す。
【0014】
本発明の液状油性化粧料は、上記成分(a)から(c)で構成される他、該液状油性化粧料100質量部と水1質量部とを混合した混合物の660nmの光の波長領域での透過率が50%以上のものである。前記透過率は、光路長10mm×光路幅10mmのガラスセルに本発明品の100質量部に水を1質量部加えて混合したものを充填し、分光光度計にて測定される。なお、リファレンスには精製水を使用した。
【0015】
また、本発明の液状油性化粧料は、該液状油性化粧料10質量部に水を1質量部垂らした際に、瞬時に白濁しないという性質をも有するものである。前記白濁の発生は、液状油性化粧料をポリ塩化ビニリデン樹脂シート(商品名:サランラップ、旭化成製)上に垂らし、次いで、その上に水を垂らした直後の外観が白くなることにより判断される。
【0016】
本発明の液状油性化粧料には、上記各成分の他、本発明の効果を損なわない程度に成分(a)、(b)以外の界面活性剤、多価アルコール、低級アルコール、ゲル化剤、粉体、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、香料、美容成分、水溶性成分等を添加することができる。
【0017】
かくして得られる本発明の液状油性化粧料は、濡れた手や皮膚で使用した場合であっても白濁せず、また使用後の後肌も優れたものである。従って、本発明の液状油性化粧料は、例えば風呂場、洗面所等での使用が想定されるマッサージ料、クレンジング等の化粧料、好ましくはクレンジング化粧料に好適に用いることができる。
【実施例】
【0018】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0019】
実 施 例
表1〜3に示す組成の液状油性化粧料を常法により調製し、下記の評価方法で水混合時の光透過率、水添加時の白濁、クレンジング力および洗い流した後のべたつき感のなさ(クレンジング後の肌の状態)を評価し、判定した。判定結果を表1〜3に併記した。
【0020】
評価方法:
(1)水混合時の光透過率
光路長10mm×光路幅10mmのガラスセルに本発明品および比較品の100質量部に水1質量部を加えて混合したものを充填し、分光光度計にて可視部(660nm)での透過率を測定し、透明性を評価した。リファレンスには精製水を使用した。
(評 価) (判定)
透過率50%以上 : ○
透過率30%以上50%未満 : △
透過率30%未満 : ×
【0021】
(2)水添加時の白濁
本発明品1gをポリ塩化ビニレン樹脂シート(商品名:サランラップ、旭化成製)にたらし、更に水を0.1g滴下し、瞬時に白濁するかどうかを目視により観察し、評価した。
(評 価) (判定)
瞬時に白濁しない : ○
瞬時に白濁した : ×
【0022】
(3)クレンジング力および洗い流した後のべたつき感のなさ(クレンジング後の肌の
状態)
10名の専門パネルにより、W/Oリキッドファンデーションと口紅を通常使用してもらった後、本発明品および比較品を用い、濡れた手でクレンジングし、クレンジング力と洗い流した後のべたつき感のなさについて官能検査を行った。官能検査は、下記絶対評価基準に基づき7段階で評価を行い、サンプルごとに10人の専門パネルが出した評点の平均値により、下記判定基準に基づき判定した。
<絶対評価基準>
(評点) (評 価)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い
<判定基準>
(評点の平均値) (判定)
4.5以上 : ○(良好)
2.5以上、4.5未満 : △(やや良好)
2.5未満 : ×(不良)
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
表1〜3より、本発明の液状油性化粧料は、水が混合しても白濁せず、また、クレンジング力も良好であり、更に、クレンジング後のべたつき感がないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の液状油性化粧料は手や皮膚が濡れた状態にある場合でも、化粧料の白濁、洗浄力の低下等がなく、またクレンジング後の洗い残り感、ぬるつき等が残ることなく、いわゆる後肌が良いものである。従って、クレンジング化粧料として好適に用いることができるものである。

以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(c)、
(a)下記式(I)で示される分子式を有するエタノールアミド系界面活性剤、
RNR (I)
(式(I)において、Rは炭素数が12〜22であるアシル基を、RはCH
O(CHCHO)Hを、RはCHCHO(CHCHO)
またはHをそれぞれ示し、nおよびmはそれぞれ0〜20の整数を示す)
(b)グリセリン骨格を有するHLB4以下の界面活性剤、
(c)常温で液体の油成分、
を含有する液状油性化粧料であって、前記液状油性化粧料100質量部と水1質量部とを混合した混合物の660nmの光の透過率が50%以上であることを特徴とする液状油性化粧料。
【請求項2】
成分(c)が、トリグリセライドを構成する脂肪酸のうち不飽和脂肪酸が30〜100質量%である植物油を含むものである請求項第1項記載の液状油性化粧料。
【請求項3】
更に、成分(c)が、揮発性シリコーンを含むものである請求項第2項記載の液状油性化粧料。
【請求項4】
成分(a)と成分(b)の配合質量比が1:0.25〜1:1.25である請求項第1項ないし第3項の何れかに記載の液状油性化粧料。
【請求項5】
クレンジング化粧料である請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の液状油性化粧料。


【公開番号】特開2006−249013(P2006−249013A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69126(P2005−69126)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】