説明

液状洗浄剤組成物

【目的】安全性の高いアシルアミノ酸系界面活性剤を主成分とした、泡質、使用感に優れ、容器が目詰まりすることのないポンプフォーマー用洗浄剤組成物を提供する。
【構成】アシルアミノ酸系界面活性剤と、ヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物を同時に配合することにより、きめ細かく適度な弾力の泡が得られ、ヌルつきやきしみ等がなく使用感に優れ、容器が目詰まりすることのないことを特徴とするポンプフォーマー用洗浄剤組成物が得られた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性の高いアシルアミノ酸系界面活性剤を配合し、十分な洗浄効果と良好な使用感の泡が得られ、しかも長期間の使用においてもポンプの目詰まりを起こしにくいポンプフォーマー用の洗浄組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アシルアミノ酸系界面活性剤は安全性が高く、適度な洗浄力を有するため、従来から皮膚用又は毛髪用洗浄料の配合成分として使用されている。一方ポンプフォーマーはノズル部を押し下げることにより、発泡性内容液と容器外部から取り入れた空気をディスペンサー内部に設けた泡生成部で混合し、発泡させ、ネットを通して均質化し、きめ細かな泡をノズル先端から一定量吐出するノンガス容器をいい(「食品と容器」Vol.34、No.8 1993年)、環境にやさしく、便利性を備えた泡吐出容器として洗顔用、ボディー用、洗髪用などの用途に広く用いられている。
【0003】
さらにポンプフォーマー容器に充填するアシルアミノ酸系洗浄剤としては種々の提案がなされており、例えば以下のものがあげられる。
【0004】
例えばアミノ酸系界面活性剤及び塩を配合して低温での使用性等の改良を目的とした洗浄剤組成物の技術が知られている(特許文献1参照)。またN−長鎖アシルアミノ酸界面活性剤にアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アルキロールアミド、多価アルコールを特定の割合で配合することにより感触やポンプの目詰まり改良とした洗浄剤組成物の技術が知られている(特許文献2参照)。さらにアシルアミノ酸系洗浄成分、多価アルコール、増粘剤を特定割合で配合することにより低温安定性と感触の改良を目的とした洗浄剤組成物の技術が知られている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−143899号公報
【特許文献2】特開平10−218744号公報
【特許文献3】特開平2004−137247号公報
【0006】
しかしながら、アシルアミノ酸系界面活性剤は一般的に起泡力が弱いため、アシルアミノ酸系界面活性剤を主体とする洗浄剤組成物ではきめが細かくクリィーミーで適度な弾力のある泡を十分な量得ることはできず、また泡質改善を試みたものでも、まだ泡質・泡量が十分でないことや、洗浄時及び洗浄後にぬめり感が残るといった問題点があった。
【0007】
また、十分な泡を得るためにアシルアミノ酸系界面活性剤の濃度を濃くすると、洗浄剤組成物の粘度が上昇してポンプフォーマーから出にくくなることがあった。さらに洗浄剤組成物によっては、結晶等の析出やネット部に残った洗浄剤組成物の乾燥物の積み重ねにより、ポンプフォーマーのネット部が目詰まりを起こすおそれがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、安全性の高いアシルアミノ酸系界面活性剤を配合して、ポンプフォーマーより押し出しやすく、目詰まりすることもなく、更に泡質に優れ使用感の良好なポンプフォーマー充填用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記事項に鑑みて鋭意検討した結果、アシルアミノ酸系界面活性剤とヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物を組み合わせることにより、目詰まりすることなく、泡質や使用感に優れたポンプフォーマー用の洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は(A)アシルアミノ酸系界面活性剤、(B)下記一般式(1)及び/又は一般式(2)により示されるヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物を含有することを特徴とするポンプフォーマー容器充填用液状洗浄剤組成物(以下、本発明洗浄剤組成物という)を提供する発明である。

【化2】

但し、上記式(1)及び(2)中、Rは8〜18個の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基を表し、R、R、R、及びR、はそれぞれ互いに独立に、水素又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を表し、nは0〜3個の整数を表す。
【0011】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0012】
本発明の洗浄剤組成物に用いられる(A)成分のアシルアミノ酸系界面活性剤は、アミノ酸と脂肪酸から作られた安全性に優れた洗浄成分である。本発明において、アシルアミノ酸のアシル基の部分については特に制限はなくヤシ油脂肪酸アシル基、パーム核油脂肪酸アシル基、ラウロイル、ミリストイルなどが例示できる。これらのうち、ヤシ油脂肪酸アシル基、ラウロイル、パーム核油脂肪酸アシル基が好ましい。またアミノ酸としては特に制限はなく、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が例示できる。対塩基としては特に制限はなく、ナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルギニン、アンモニウム等が挙げられるが、本発明においてはジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。(A)成分として具体的にはヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミンが好ましい。これらは、市販されているものを使用することができ、例えば、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミンとしてはフォームアップDouce‘−GM(協和発酵社製)を使用することができる。
【0013】
これらのアシルアミノ酸系界面活性剤は1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができ、本発明の洗浄剤組成物における全組成中の配合量としては限定されないが、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜15重量%である。1重量%未満では十分な効果は望みにくい場合があり、20重量%を超えて配合した場合、効果の増強は認められにくく、不経済であり、ポンプフォーマーから出にくくなる場合もある。
【0014】
本発明の洗浄剤組成物に用いられる(B)成分の前記一般式(1)及び/又は一般式(2)により示されるヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物は特に制限されないが、前記一般式(1)及び一般式(2)中のR及びR基のいずれか一方がメチル基であり、かつR及びR基がともに水素原子である事が望ましい。(B)成分として具体的にはヒドロキシドデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル、ヒドロキシテトラデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル、ヒドロキシドデシル−1,3−ブタンジオールエーテル、ヒドロキシドデシル−3−メチル−1,3−ブタンジオールエーテル、ヒドロキシドデシル−2−メチル−2,4−ペンタンジオールエーテルが挙げられる。これらは、市販されているものを使用することができ、例えば、ヒドロキシドデシル−1,2−プロピレングリコールエーテルとヒドロキシテトラデシル−1,2−プロピレングリコールエーテルの混合物としてはビスコセーフ LMPE(川研ファインケミカル(株)社製)を使用することができる。
【0015】
これらの(B)成分である前記一般式(1)及び/又は一般式(2)により示されるヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物は1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができ、本発明の洗浄剤組成物における全組成中の配合量としては限定されないが、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜15重量%である。0.1重量%未満では十分な効果は望みにくい場合があり、20重量%を超えて配合した場合、効果の増強は認められにくく不経済となる場合もある。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物は上記必須成分の他に、通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば他の界面活性剤、油性成分、保湿剤、増粘剤、キレート剤、薬効成分、防腐剤、色素、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等を適宜配合することができる。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物は常法に従って液状の水性製剤として調製され、従来のポンプフォーマーに用いられる洗浄液と同様にして使用でき、例えば、シャンプー、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料等として用いることができる。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物におけるポンプフォーマーしては、ノズル部を押し下げることにより、本発明の内容液と容器外部から取り入れた空気をディスペンサー内部に設けた泡生成部で混合し、発泡させ、ネットやスポンジ等を通して均質化し、きめ細かな泡をノズル先端から一定量吐出する機構を有するものを使用することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明はアシルアミノ酸系界面活性剤とヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物を組み合わせることにより、ポンプフォーマーが目詰まりすることなく、泡質や使用感に優れたポンプフォーマー用の洗浄剤組成物である。
以下にその実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例において制限されるものではない。なお、処方中の各成分の配合量は、重量%とする。
【実施例】
【0020】
表1、表2に示すボディソープを常法にて調製し、ポンプフォーマー容器(吉野工業所(株)社製、ネット200メッシュ×2)に充填して実際に使用した。このときの使用性を以下の評価方法にて評価した。
【0021】
評価方法
専門評価パネラー10人に実施例1〜12及び比較例1〜4の各試料を60日間(1日一回)使用してもらい、下記項目について評価してもらった。評価は各項目について5段階(良好:5、やや良い:4、普通:3、やや悪い:2、悪い:1)で数値化し、パネラー全体の平均点が4.5〜5.5を◎、4.0〜4.4を○、3.5〜3.9を△、2.9以下を×とした。
(評価項目)
1.泡質の良さ(クリィーミィーで弾力がある)
2.洗浄力
3.洗浄中のヌルつきのなさ
4.洗浄後のきしみ・ヌルつきのなさ
5.ポンプからの出やすさ(60日間使用時の状態での目詰まり確認)
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
表1、表2から明らかなように本発明品は全ての項目において比較例より高い評価が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明を、詳細に説明するための実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
実施例13 洗顔料
配合成分 配合量(重量%)
(1)ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(A) 10.0
(2)ヒドロキシドデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル(B) 0.5
(3)ヒドロキシテトラデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル(B)3.0
(4)ロピレングリコール 5.0
(5)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 2.5
(6)キレート剤 適 量
(7)防腐剤 適 量
(8)pH調整剤 適 量
(9)精製水 残 余
【0027】
実施例14 美白洗顔料
配合成分 配合量(重量%)
(1)ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン(A) 5.0
(2)ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン(A) 5.5
(3)ヒドロキシテトラデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル(B)3.0
(4)1.3−ブチレングリコール 5.0
(5)ジグリセリン 5.0
(6)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 2.5
(7)アスコルビン酸リン酸マグネシウム 1.0
(8)防腐剤 適 量
(9)pH調整剤 適 量
(10)精製水 残 余
【0028】
実施例15 敏感肌用洗顔料
配合成分 配合量(重量%)
(1)ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(A) 6.0
(2)ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン(A) 2.5
(3)ヒドロキシテトラデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル(B)3.0
(4)1.3−ブチレングリコール 5.0
(5)ジグリセリン 15.0
(6)アラントイン 0.01
(7)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
(8)防腐剤 適 量
(9)pH調整剤 適 量
(10)精製水 残 余
【0029】
実施例16 敏感肌用ボディソープ
配合成分 配合量(重量%)
(1)ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン(A) 15.0
(2)ヒドロキシテトラデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル(B)3.0
(3)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 3.0
(4)1.3−ブチレングリコール 30.0
(5)ジグリセリン 15.0
(6)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
(7)pH調整剤 適 量
(8)精製水 残 余
【0030】
実施例17 シャンプー
配合成分 配合量(重量%)
(1)ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン(A) 15.0
(2)ヒドロキシテトラデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル(B)5.0
(3)1.3−ブチレングリコール 5.0
(4)ジグリセリン 5.0
(5)防腐剤 適 量
(6)pH調整剤 適 量
(7)精製水 残 余
【0031】
実施例13〜17は常法により調製し、実施例1と同様のポンプフォーマー容器に充填し使用したところ、きめ細かな適度な弾力のある泡が得られ、使用時にぬめりやきしみ感がなく、目詰まりも見られない、優れた効果を示すものが得られた。
【0032】
以上説明したように、本発明は、きめ細かで適度な弾力のある泡が得られ、使用感にも優れた、安全性の高いアシルアミノ酸系洗浄成分を配合したポンプフォーマー用液状洗浄剤組成物を提供する。













【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アシルアミノ酸系界面活性剤と、(B)下記一般式(1)及び/又は一般式(2)により示されるヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物を含有することを特徴とするポンプフォーマー容器充填用液状洗浄剤組成物。
【化1】

但し、上記式(1)及び(2)中、Rは8〜18個の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基を表し、R、R、R、及びRはそれぞれ互いに独立に、水素又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を表し、nは0〜3個の整数を表す。

【請求項2】
(A)のアシルアミノ酸系界面活性剤の配合量が1〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載のポンプフォーマー容器充填用液状洗浄剤組成物。
【請求項3】
(B)のヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物の配合量が0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポンプフォーマー容器充填用液状洗浄剤組成物。
【請求項4】
(A)のアシルアミノ酸系界面活性剤が、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミンからなる群から選ばれる1種以上のものであることを特徴とする請求項1乃至3に記載のポンプフォーマー容器充填用液状洗浄剤組成物。
【請求項5】
(B)のヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物が、ヒドロキシドデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル、ヒドロキシテトラデシル−1,2−プロピレングリコールエーテル、ヒドロキシドデシル−1,3−ブタンジオールエーテル、ヒドロキシドデシル−3−メチル−1,3−ブタンジオールエーテル、ヒドロキシドデシル−2−メチル−2,4−ペンタンジオールエーテルからなる群から選ばれる1種以上のものであることを特徴とする請求項1乃至4に記載のポンプフォーマー容器充填用液状洗浄剤組成物。
【請求項6】
(A)のアシルアミノ酸系界面活性剤がココイルグルタミン酸トリエタノールアミンで、(B)のヒドロキシアルキル多価アルコールエーテル化合物がヒドロキシドデシル−1,2−プロピレングリコールエーテルとヒドロキシテトラデシル−1,2−プロピレングリコールエーテルであることを特徴とする請求項1乃至3に記載のポンプフォーマー容器充填用液状洗浄剤組成物。


【公開番号】特開2006−193549(P2006−193549A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3655(P2005−3655)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】