説明

液量制御方法および液量制御装置、半導体集積回路の製造方法、制御プログラム、可読記憶媒体

【課題】メッキ液から水分蒸発によるメッキ液の濃度および各種成分の状態変化を抑制してメッキレートおよびメッキ膜厚の安定化を図る。
【解決手段】メッキ処理槽2内の処理液の液面上方にある気体中のメッキ処理液の蒸気圧を制御する蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9と、メッキ処理液の液面位置が所定位置になるように蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御して処理液量を調節する電装制御ユニット11とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの製造工程などにおいて精密な薬液管理が求められる薬液処理を行う液量制御方法および液量制御装置、この液量制御装置を用いてメッキ処理を施して半導体集積回路を製造する半導体集積回路の製造方法、この液量制御方法の各工程をコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の製造は微細化が進んでおり、薬液処理およびメッキ処理においても、処理条件の精密な管理が必要となって来ている。薬液での処理時、例えば電解メッキの処理中に、蒸発によりメッキ液の水分が減少するため、メッキ槽内のメッキ液が常に一定な組成に成るよう定期的に液面監視を行い、水または温水を直接貯液槽へ補充することが行われている。また、無電解メッキにおいても、メッキ液の処理中、水分蒸発によりメッキ液中の水分減少を検知し、メッキ液濃度・pH値の測定値に応じて水または温水とメッキ補充剤とpH調整剤を直接処理槽内に補充している。
【0003】
無電解ニッケルメッキ処理設備を一例に説明すると、メッキ液の総量管理は液面センサにて定期的に監視しメッキ液量が減少した場合、規定量になるまで水または温水を規定量まで補充する。また、被メッキ品のメッキ処理による金属消費、および被メッキ品の持ち出しに伴う消費された金属補充剤も消費量に比例し補充する、補充剤の補充回数および補充量は任意に設定ができる。
【0004】
一般に、メッキ処理は、メッキ液を加温し、常温より高い温度で行う場合が多く、特許文献1にあるように、メッキ液の蒸発による減少を検知し、液体の水または温水を補充している。
【0005】
即ち、特許文献1では、めっき液槽内の銅めっき液の総量を設定し、蒸発による銅めっき液からの水分の減少変化を、例えば液面レベル、液温、液面上の水蒸気圧などにより適正に検出し、めっき液槽内の銅めっき液の総量が常に一定となるように、随時、水を供給している。このように、従来の無電解銅めっき浴槽自動管理システムは、無電解銅めっき液からの水分減少変化を検出し、めっき液槽内の銅めっき液の総量が、常に一定と成るように随時水を供給し、銅めっき液の成分を管理限界値に精度良く調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−33251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている上記従来のメッキ処理槽では、メッキレートを良好にするために液中温度を上げることによってメッキ処理槽の水分が蒸発する。加温時間に対する液中Ni濃度(g/l)の関係を図8に示しており、加温時間が増加するほど液中の水分が蒸発して液中Ni濃度(g/l)が上昇している。また、加温時間に対するNi膜厚(μm)の関係を図9に示しており、加温時間が増加するほどNi膜厚(μm)が上昇している。このように、Niメッキの処理方法は、間接ヒート方式で処理槽解放状態で行うため、液面から水分が蒸発し、メッキ液Ni濃度が上昇し、メッキ析出レートが安定化せず、メッキ膜厚にバラツキが発生してしまう。これを防止するために、メッキ処理槽の液面を管理して液面が所定量低下した場合に、水または温水を直接、メッキ処理槽内に補充している。
【0008】
ところが、メッキ処理槽の液中濃度や液中温度が液内で均一に混ざり合うまでにある程度の時間を要し、液内でのNiメッキ液濃度の変化が起こり、メッキレートが不均一になって、製品基板へのメッキ付き周りが不均一と成る。また、メッキ処理槽を密閉して液の蒸発を抑制することが行われているが、水分蒸発そのものは制御できていない。さらに、薬液処理層の水分蒸発時の気化熱によっても液温度は低下する。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、メッキ液から水分蒸発によるメッキ液の濃度および各種成分の状態変化を抑制してメッキレートおよびメッキ膜厚の安定化を図ることができる液量制御方法および液量制御装置、この液量制御装置を用いてメッキ処理を施して半導体集積回路を製造する半導体集積回路の製造方法、この液量制御方法の各工程をコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液量制御方法は、内部が密閉可能に構成された処理槽内の処理液の液量を制御する液量制御方法であって、液量制御手段が、該処理槽内の処理液の液面上方にある気体中の該処理液の蒸気圧を、該処理液の液面位置が所定位置になるように蒸気圧制御手段により制御して処理液量を調節する液量制御工程を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】
また、好ましくは、本発明の液量制御方法における処理液の液面上方にある気体の温度を、該処理液の温度よりも高く設定する。
【0012】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御方法における液量制御工程は、液面測定手段が、液面センサからの処理槽内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定工程と、液面判定手段が、該液面測定工程で測定した液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定工程と、加湿制御手段が、該液面判定工程で該液面位置が該上限基準値より上昇したと判定したときに、前記蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を低下させて処理液表面から水分の蒸発を促して、該処理液中の水分を減少させるように制御し、また、該液面判定工程で該液面位置が該下限基準値より下降したと判定したときに、該蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御工程とを有する。
【0013】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御方法における液量制御工程は、液面測定手段が、液面センサからの処理槽内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定工程と、液面判定手段が、該液面測定工程で測定した液面位置が下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定工程と、加湿制御手段が、該液面判定工程で該下限基準値より下降したと判定したときに、前記蒸気圧制御手段を制御して処理槽内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御工程とを有する。
【0014】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御方法における処理槽に設けられた蓋体が開口したかどうかをシャッタ板開口判定手段が検出するシャッタ板開口判定工程を更に有し、シャッタ板開口判定工程で該蓋体が開口したことを該シャッタ板開口判定手段が検出したとき、前記加湿制御手段が、前記処理槽内の蒸気圧を上昇させるように前記蒸気圧制御手段を制御する。
【0015】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御方法における処理液はNiメッキ処理液、Cuメッキ処理液,Agメッキ処理液およびAuメッキ処理液のうちのいずれかである。
【0016】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御方法における気体は、前記処理液を劣化させない気体を選定し、当該気体に処理液溶媒の蒸気を加えて前記処理槽内に供給する。
【0017】
本発明の液量制御装置は、内部が密閉可能に構成された処理槽内の処理液の液量を制御する液量制御装置であって、該処理槽内の処理液の液面上方にある気体中の該処理液の蒸気圧を制御する蒸気圧制御手段と、該処理液の液面位置が所定位置になるように該蒸気圧制御手段を制御して処理液量を調節する液量制御手段とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0018】
また、好ましくは、本発明の液量制御装置における処理液の液面上方にある気体の温度を該処理液の温度よりも高く設定した温風を、前記処理槽内に供給する温風供給手段を更に有する。
【0019】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御装置における液量制御手段は、液面センサからの処理槽内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定手段と、該液面測定手段で測定した液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定手段と、該液面判定手段が、該液面位置が該上限基準値より上昇したと判定したときに、前記蒸気圧制御手段を制御して処理槽内の蒸気圧を低下させて処理液表面から水分の蒸発を促して、該処理液中の水分を減少させるように制御し、また、該液面判定手段が、該液面位置が該下限基準値より下降したと判定したときに、該蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御手段とを有する。
【0020】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御装置における液量制御手段は、液面センサからの処理槽内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定手段と、該液面測定手段で測定した液面位置が下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定手段と、該液面判定手段が該下限基準値より下降したと判定したときに、前記蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御手段とを有する。
【0021】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御装置における処理槽に設けられた蓋体が開口したかどうかをシャッタ板開口判定手段が検出するシャッタ板開口判定工程を更に有し、シャッタ板開口判定工程で該蓋体が開口したことを該シャッタ板開口判定手段が検出したとき、前記加湿制御手段が、該処理槽内の蒸気圧を上昇させるように前記蒸気圧制御手段を制御する。
【0022】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御装置における処理液はNiメッキ処理液、Cuメッキ処理液,Agメッキ処理液およびAuメッキ処理液のうちのいずれかである。
【0023】
さらに、好ましくは、本発明の液量制御装置における気体は、前記処理液を劣化させない気体が選定され、当該気体に該処理液溶媒の蒸気が加えられて前記処理槽内に供給されている。
【0024】
本発明の半導体集積回路の製造方法は、本発明の上記液量制御装置を用いて、半導体集積回路が形成された半導体ウエハ基板の金属パッド層にメッキ処理を施して該半導体ウエハ基板上に半導体集積回路を製造するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0025】
本発明の制御プログラムは、本発明の上記液量制御方法の各工程をコンピュータに実行させるための処理手順が記述されたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0026】
本発明の可読記憶媒体は、本発明の上記制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能なものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0028】
本発明においては、内部が密閉可能に構成された処理槽内の処理液の液量を制御する液量制御方法であって、液量制御手段が、該処理槽内の処理液の液面上方にある気体中の該処理液の蒸気圧を、該処理液の液面位置が所定位置になるように蒸気圧制御手段により制御して処理液量を調節する液量制御工程を有する。この液量制御工程は、液面測定手段が、液面センサからの処理槽内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定工程と、液面判定手段が、該液面測定工程で測定した液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定工程と、加湿制御手段が、該液面判定工程で該液面位置が該上限基準値より上昇したと判定したときに、前記蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を低下させて処理液表面から水分の蒸発を促して、該処理液中の水分を減少させるように制御し、また、該液面判定工程で該液面位置が該下限基準値より下降したと判定したときに、該蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御工程とを有する。
【0029】
これによって、従来のように直接、水または温水を補充することなく、水蒸気により水分を補充するため、メッキ液量を精度よく制御することが可能となる。これによって、メッキ液から水分蒸発によるメッキ液の濃度および各種成分の状態変化を抑制してメッキレートおよびメッキ膜厚の安定化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
以上により、本発明によれば、従来のように直接、水または温水を補充することなく、水蒸気により水分を補充するため、メッキ液量を精度よく制御することができる。これによって、メッキ液から水分蒸発によるメッキ液の濃度および各種成分の状態変化を抑制してメッキレートおよびメッキ膜厚の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態1における無電解Ni メッキ処理槽の要部構成図である。
【図2】図1の無電解Niメッキ処理装置を用いてNiメッキ処理を行う場合の基板の流れを説明するための模式図である。
【図3】メッキ処理液の温度に対する気体の蒸気圧の関係を示す図である。
【図4】従来のようにメッキ液量を管理してない場合の加温時間に対するメッキ膜厚の変化を示す図である。
【図5】本実施形態1のようにメッキ液量の管理を行った場合の加温時間に対するメッキ膜厚変化を示す図である。
【図6】本実施形態1の液量制御装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図7】図6の液量制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】加温時間に対する液中Ni濃度(g/l)の関係を示す図である。
【図9】加温時間に対するNi膜厚(μm)の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の液量制御方法および液量制御装置、この液量制御装置を用いてメッキ処理を施す半導体集積回路の製造方法、この液量制御方法の各工程をコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体の実施形態1について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。
【0033】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における無電解Niメッキ処理槽の要部構成図である。
【0034】
図1において、本実施形態1の無電解Niメッキ処理装置1は、メッキ処理液が貯留された処理槽としてのメッキ処理槽2と、メッキ処理槽2内のメッキ処理液の温度を所定温度、例えば摂氏80度に設定可能とする温水熱交換機3と、メッキ処理槽2内部を密閉可能とする蓋体4aに取り付けられた、内部を開口するためのシャッタ板4と、メッキ処理槽2内のメッキ処理液の温度を測定する温度計5と、メッキ処理槽2内のメッキ処理液面上方の湿度を検出する湿度センサ6と、メッキ処理槽2内のメッキ処理液面の位置を検出する液面センサ7と、温風を発生させる温風供給手段としての温風機8と、温風機8によって温風が送風され、これに混合するように高温蒸気をメッキ処理槽2内に供給可能とする蒸気圧制御手段としての超音波式 加湿機9と、メッキ処理槽2内のメッキ処理液にメッキ補充剤を供給可能とするメッキ補充剤供給ユニット10と、これらのメッキ液処理槽2内の処理液の温度を検出する温度計5、液面センサ7からのデータに応じて温風機8および超音波式加湿機9のうちの少なくとも超音波式加湿機9を駆動制御する電装制御ユニット11とを有しており、メッキ処理槽2内に所定量のメッキ処理液を投入し、メッキ処理液はpH調整溶液で規定のpH値に調節された後に、このメッキ処理液は例えば摂氏80度の適温に温水熱交換機3により加熱されて用いられる。
【0035】
このメッキ処理液の液面上方にある気体の温度は、メッキ処理液の温度よりも高く設定されている。温風機8により送風される気体は、処理液を劣化させない空気または窒素などの気体を選定し、この気体に処理液溶媒の蒸気を加えてメッキ処理槽2内に供給されている。なお、超音波式加湿機9の使用は1例とし、これに限定されるものではない。
【0036】
上記構成により、その動作を説明する。
【0037】
図2は、図1の無電解Niメッキ処理装置1を用いてNiメッキ処理を行う場合の基板の流れを説明するための模式図である。
【0038】
まず、図2に示すように、Niメッキ対象の半導体ウエハ基板をエッチング液 に浸して金属パッド層、例えばアルミニウム パッド層の表面をエッチング除去した後に、アルミニウムパッド層の表面を亜鉛メッキ(Zn−1)し、硝酸化水(HNO)で亜鉛メッキを一旦除去し、再び、アルミニウムパッド層の表面を亜鉛メッキ(Zn−2)し、その後に、Niメッキ処理を行い、最後に水洗処理する。このように、亜鉛メッキ(Zn−1)を行った後に、それを除去して再び亜鉛メッキ(Zn−2)を行うことによって、亜鉛メッキの粒子を微細化することができる。これによって、Niメッキの下地層として、Niメッキの密着性がよい亜鉛メッキ(Zn−2)を施すことができる。なお、Niメッキの他にCuメッキやAuメッキ、Agメッキにも本発明を適用することができる。したがって、処理液は、Niメッキ処理液、Cuメッキ処理液,Agメッキ処理液およびAuメッキ処理液のうちのいずれでもよいが、ここではその一例としてNiメッキ処理液を用いてNiメッキ処理を行っている。
【0039】
このように、半導体集積回路が形成された半導体ウエハ基板の金属パッド層にNiメッキ処理を施して半導体ウエハ基板上に半導体集積回路を製造することができる。
【0040】
このNiメッキ処理において、電装制御ユニット11は、温風機8を制御して空気を液温(例えば摂氏80度)より高い温度に加熱して、これをメッキ処理液表面上部に流すと共に、超音波式加湿器9を制御してメッキ処理槽2内を加湿することにより、メッキ処理槽2内の蒸気圧(湿度)を調節することができる。電装制御ユニット11は、温風器8の空気温度を摂氏90度で一定温度に制御し、超音波式加湿機9を制御して50〜100パーセントの湿度調節範囲で調節するようになっている。また、温水熱交換機3によりメッキ処理液温度は例えば摂氏80度で一定にする。これらによってメッキ処理液量の管理を行っている。
【0041】
この液面センサ7がメッキ処理液の液面位置を監視し、電装制御ユニット11が、液面センサ7からの液面位置データに基づいてメッキ処理液量が基準値より低下したことを検出した場合に、超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させてメッキ処理液表面で凝縮を起こさせることによりメッキ液に液面全体から水分を補給する。
【0042】
液面センサ7がメッキ処理液の液面位置を監視し、電装制御ユニット11が、液面センサ7からの液面位置データに基づいてメッキ処理液量が基準値より上昇した場合には逆に、超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を低下させてメッキ処理液表面から水分の蒸発を促して、メッキ処理液中の水分を減少させる。
【0043】
被メッキ品(例えば半導体ウエハ基板)の搬送時など、シャッタ板4の開閉時には蒸気が外部に著しく放出されるため、電装制御ユニット11は、温風機8および超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させてメッキ処理槽2内の大きな湿度変化を抑制している。
【0044】
メッキ処理槽2は、蓋体4aが設置されて内部が密閉可能とされて水分の蒸発を抑制する構造である。まずは、メッキ処理槽2内の液体上部に、液体の温度(液温)よりも高い温度の気体を流す。その気体は空気または窒素など、メッキ処理液を劣化させないものを選定することが望ましい。次に、気体に処理液溶媒の蒸気を添加して、そのメッキ処理槽2内の蒸気圧を前述したように適宜調節するようにしている。
【0045】
図3に示すように、気体の蒸気圧をメッキ処理液の温度、例えば摂氏80度に対応する蒸気圧に一致させると、メッキ処理槽2内のメッキ処理液の液表面は凝縮と蒸発の平衡状態となり、蒸発は抑制されて液表面の低下はない。
【0046】
メッキ処理槽2内のメッキ処理液の液量を増加させる場合に、液体上部の気体中の蒸気圧を、液体の飽和水蒸気圧より高くすることにより、気体中の蒸気がメッキ処理液の表面で凝縮して液量が増加する。また、メッキ処理槽2内のメッキ処理液の液量を減少させる場合には、液体上部の気体中の蒸気圧を、液体の飽和水蒸気圧より小さくし、液体中の水分が蒸発して気体中へ取り込まれることによりメッキ処理液の液量は減少する。
【0047】
図4は、従来のようにメッキ液量を管理してない場合の加温時間に対するメッキ膜厚の変化を示す図であり、図5は、本実施形態1のようにメッキ液量の管理を行った場合の加温時間に対するメッキ膜厚変化を示す図である。
【0048】
従来のように水または温水にて直接メッキ処理液に補充せず、水蒸気として水分補給するため、メッキ処理液の液中濃度および液中温度が大きく変化せず均一に管理できて例えばNiメッキ液濃度の変化を大幅に抑制することができ、図4に示す従来の加温時間に対するメッキ膜厚の関係に比べて、図5に示す本実施形態1の加温時間に対するメッキ膜厚の関係のように、メッキレートが均一になって、製品基板へのメッキ付き周りが均一化してメッキ膜厚が安定化する。要するに、図5は図4と比べて明らかにメッキ膜厚の変化量が小さい。
【0049】
以上のように、メッキ処理槽2内の水分蒸発によるNiメッキ液からの水分の減少を検知し、この減少に対応する量の水蒸気を随時供給して、メッキ液槽内のNiメッキ液の総量を常に一定にし、Niメッキ液濃度の均一性を向上させることができる。これにより、Niメッキ液の成分を管理限界値に精度よく調整することができる。このように、適確に管理されたNiメッキ液を使用することにより、良好な品質の被メッキ製品を得ることができる。
【0050】
ここで、本実施形態1の無電解Niメッキ処理装置1における液量制御装置について更に詳細に説明する。
【0051】
図6は、本実施形態1の液量制御装置の概略構成例を示すブロック図である。
【0052】
図6において、本実施形態1の液量制御装置20は、コンピュータシステムで構成されており、各種入力指令を可能とするキーボードやマウス、画面入力装置などの操作部12と、各種入力指令に応じて表示画面上に、初期画面、選択誘導画面および処理結果画面などの各種画像を表示可能とする表示部13と、全体的な制御を行う制御手段としてのCPU14(中央演算処理装置)と、CPU14の起動時にワークメモリとして働く一時記憶手段としてのRAM15と、CPU14を動作させるための制御プログラムおよびこれに用いる各種データなどが記録されたコンピュータ読み取り可能な可読記録媒体(記憶手段)としてのROM16とを有している。
【0053】
さらに、本実施形態1の液量制御装置20には、前述したが、温度計5と、湿度センサ6と、液面センサ7と、温風機8と、超音波式加湿機9とを有している。
【0054】
CPU14は、操作部12からの入力指令の他、ROM16内からRAM15内に読み出された制御プログラムおよびこれに用いる各種データに基づいて、液面センサ7からの液面位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定手段141と、温度計5からの温度データに基づいてメッキ処理液の温度を測定する温度測定手段142と、湿度センサ6からの湿度データに基づいて現在の湿度を測定する湿度測定手段143と、液面測定手段141で測定した液面センサ7に基づく液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定手段144と、液面判定手段144が、液面位置が上限基準値より上昇したと判定した場合に、超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を低下させてメッキ処理液表面から水分の蒸発を促して、メッキ処理液中の水分を減少させるように制御し、また、液面判定手段144が、液面位置が下限基準値より下降したと判定した場合には、超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させてメッキ処理液表面で凝縮を起こさせることによりメッキ液に液面全体から水分を補給する加湿制御手段145と、蓋体4aのシャッタ板4が開口したかどうかを検出するシャッタ板開口判定手段146とを有し、蓋体4aが開口したことをシャッタ板開口判定手段が検出したとき、加湿制御手段145が、メッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させるように温風機8および超音波式加湿機9の駆動を強くするように制御する。
【0055】
ROM16は、ハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどの可読記録媒体(記憶手段)で構成されている。この制御プログラムおよびこれに用いる各種データは、携帯自在な光ディスク、磁気ディスクおよびICメモリなどからROM16にダウンロードされてもよいし、コンピュータのハードディスクからROM16にダウンロードされてもよいし、無線または有線、インターネットなどを介してROM16にダウンロードされてもよい。後述する図7の液量制御方法をコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラムをコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体に格納して、コンピュータ(CPU14)により液量制御するものである。
【0056】
図7は、図6の液量制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0057】
図7に示すように、まず、ステップS1で液面を測定する。液面測定手段141が液面センサ7からの液面位置データに基づいてメッキ処理槽2内のメッキ処理液の液面位置を測定する。
【0058】
次に、ステップS2で液温を測定する。温度測定手段142が温度計5からの温度データに基づいてメッキ処理槽2内のメッキ処理液の温度を測定する。
【0059】
続いて、ステップS3で液温が所定範囲内であるかどうかを判定する。液温が所定範囲内であれば(YES)、次の処理に移行し、また、液温が所定範囲内を脱したのであれば(NO)、ステップS4でアラーム音を鳴らしたり表示画面または表示灯などを用いてアラーム表示したりするアラーム処理を行って、所定時間後のステップS5で液量制御装置20の処理動作を停止処理する。
【0060】
液温が所定範囲内であれば(YES)、ステップS6で湿度測定手段143が湿度センサ6からの湿度データに基づいてメッキ処理槽2内の現在の湿度を測定する。
【0061】
その後、ステップS7でメッキ処理槽2内の湿度が規定値に追従しているかどうかを判定する。メッキ処理槽2内の湿度が所定範囲内であれば(YES)、次の処理に移行し、また、メッキ処理槽2内の湿度が所定範囲内を脱したのであれば(NO)、ステップS8でアラーム音を鳴らしたり表示画面または表示灯などを用いてアラーム表示したりするアラーム処理を行って、所定時間後のステップS9で液量制御装置20の処理動作を停止処理する。
【0062】
次に、ステップS10で液面が変化したかどうかが判定される。液面判定手段144が、液面測定手段141で測定した液面センサ7に基づく液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する。
【0063】
続いて、ステップS11で液面判定手段144がメッキ処理液の液面位置が下限基準値より下降したと判定した場合は、加湿制御手段145が、超音波式加湿機9を加湿上昇制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させてメッキ処理液表面で凝縮を起こさせることによりメッキ処理液に液面全体から水分を補給する。これによって、メッキ処理液の液面が上昇する。
【0064】
また、ステップS12で液面判定手段144がメッキ処理液の液面位置が上限基準値より上昇したと判定した場合に、超音波式加湿機9を加湿下降制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を低下させてメッキ処理液表面から水分の蒸発を促して、メッキ処理液中の水分を減少させる。メッキ処理液の液面が下降する。
【0065】
また、ステップS13で液面判定手段144がメッキ処理液の液面位置が上限基準値と下限基準値間にあると判定した場合には、現状のままで処理を行わない。
【0066】
次に、ステップS14でシャッタ板開口判定手段146が、シャッタ板4の開口の有無を検出する。シャッタ板4が開口したとシャッタ板開口判定手段146が判定した場合(YES)には、ステップS15で温風機8の駆動出力を上げると共に、超音波式加湿機9を加湿上昇制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させて、メッキ処理槽2内の大きな湿度および温度変化を抑制している。
【0067】
その後、ステップS16で処理が終了したかどうかを判定し、処理が終了していないのであれば、ステップS1の処理に戻り、処理が終了するまで、上記ステップS1〜S16処理を繰り返す。
【0068】
メッキ液面が低下する場合の原因としては、メッキ処理槽2からの蒸気漏れおよび排気の他に、半導体ウエハ基板などの被メッキ物を取り出す際、メッキ処理液を付着させて持ち出しによりメッキ処理液が減少する。また逆に、メッキ液面が上昇する場合の原因としては、メッキ処理により消費した金属成分などの補充液の補充により液量が増加する。また、前工程で被メッキ物に付着した水分の持込みもある。
【0069】
以上により、本実施形態1の液量制御方法は、内部が密閉可能に構成されたメッキ処理槽2内のメッキ処理液の液量を制御する液量制御方法であって、液量制御手段が、メッキ処理槽2内のメッキ処理液の液面上方にある気体中のメッキ処理液の蒸気圧を、メッキ処理液の液面位置が所定位置になるように蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理液量を調節する液量制御工程を有している。
【0070】
この液量制御工程は、液面測定手段141が、液面センサ7からのメッキ処理槽2内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定工程と、液面判定手段144が、液面測定工程で測定した液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定工程と、加湿制御手段145が、液面判定工程で液面位置が上限基準値より上昇したと判定したときに、蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を低下させてメッキ処理液表面から水分の蒸発を促して、メッキ処理液中の水分を減少させるように制御し、また、液面判定工程で液面位置が下限基準値より下降したと判定したときに、蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御工程と、メッキ処理槽2に設けられた蓋体4aが開口したかどうかをシャッタ板開口判定手段146が検出するシャッタ板開口判定工程とを有し、シャッタ板開口判定工程で蓋体4aが開口したことをシャッタ板開口判定手段146が検出したとき、加湿制御手段145が、メッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させるように蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御する。
【0071】
メッキ処理槽2に、従来のように直接、水または温水を補充することなく、水蒸気により水分を補充するため、メッキ液量を精度よく制御することができる。なお、メッキ処理液を一例に説明したが、本発明としては、溶媒は水に限らず有機溶剤など、蒸発、凝縮を起こす液体に適用することができることは言うまでもないことである。
【0072】
以上により、本実施形態1によれば、内部が密閉可能に構成されたメッキ処理槽2内のメッキ処理液の液量を制御する液量制御装置20であって、メッキ処理槽2内の処理液の液面上方にある気体中のメッキ処理液の蒸気圧を制御する蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9と、メッキ処理液の液面位置が所定位置になるように蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御して処理液量を調節する電装制御ユニット11とを有する。この電装制御ユニット11は、液面センサ7からのメッキ処理槽2内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定手段141と、液面測定手段141で測定した液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定手段144と、液面判定手段144が、液面位置が上限基準値より上昇したと判定したときに、蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を低下させて処理液表面から水分の蒸発を促して、メッキ処理液中の水分を減少させるように制御し、また、液面判定手段144が、液面位置が下限基準値より下降したと判定したときに、蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させてメッキ処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御手段145とを有している。
【0073】
これによって、メッキ処理液の蒸発量を調節することができ、蒸気圧を調節することで凝縮を起し、液量を制御することができる。液量を一定にすることにより、溶質の金属成分濃度がメッキ処理槽2内で安定し、気化熱による液温低下も抑制することができ、メッキ液処理槽2内の溶質濃度および温度分布を均一化することができてより均一なメッキ膜厚とすることができる。
【0074】
なお、本実施形態1では、液面判定手段144が、液面測定工程で測定した液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定工程と、加湿制御手段145が、液面判定工程で液面位置が上限基準値より上昇したと判定したときに、蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を低下させてメッキ処理液表面から水分の蒸発を促して、メッキ処理液中の水分を減少させるように制御し、また、液面判定工程で液面位置が下限基準値より下降したと判定したときに、蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御工程とを有する場合について説明したが、これに限らず、液面判定手段144が、液面測定工程で測定した液面位置が下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定工程と、加湿制御手段145が、液面判定工程で下限基準値より下降したと判定したときに、蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させてメッキ処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御工程とを有する場合であってもよい。
【0075】
即ち、本発明の液量制御方法は、内部が密閉可能に構成されたメッキ処理槽2内のメッキ処理液の液量を制御する液量制御方法であって、液量制御手段が、メッキ処理槽2内のメッキ処理液の液面上方にある気体中のメッキ処理液の蒸気圧を、メッキ処理液の液面位置が所定位置になるように蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理液量を調節する液量制御工程を有している。
【0076】
この液量制御工程は、液面測定手段141が、液面センサ7からのメッキ処理槽2内のメッキ処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定工程と、液面判定手段144が、液面測定工程で測定した液面位置が下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定工程と、加湿制御手段145が、液面判定工程で下限基準値より下降したと判定したときに、蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御してメッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させてメッキ処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御工程と、メッキ処理槽2に設けられた蓋体4aが開口したかどうかをシャッタ板開口判定手段146が検出するシャッタ板開口判定工程とを有し、シャッタ板開口判定工程で蓋体4aが開口したことをシャッタ板開口判定手段146が検出したとき、加湿制御手段145が、メッキ処理槽2内の蒸気圧を上昇させるように蒸気圧制御手段としての超音波式加湿機9を制御するようにしてもよい。この場合に、シャッタ板開口判定工程を有しない場合も有り得る。
【0077】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、電子デバイスの製造工程などにおいて精密な薬液管理が求められる薬液処理を行う液量制御方法および液量制御装置、この液量制御装置を用いてメッキ処理を施して半導体集積回路を製造する半導体集積回路の製造方法、この液量制御方法の各工程をコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラム、この制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体の分野において、従来のように直接、水または温水を補充することなく、水蒸気により水分を補充するため、メッキ液量を精度よく制御することが可能となる。これによって、メッキ液から水分蒸発によるメッキ液の濃度および各種成分の状態変化を抑制してメッキレートおよびメッキ膜厚の安定化を図ることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 無電解Niメッキ処理装置
2 メッキ処理槽(処理槽)
3 温水熱交換機
4a 蓋体
4 シャッタ板
5 温度計
6 湿度センサ
7 液面センサ
8 温風機
9 超音波式加湿機
10 メッキ補充剤供給ユニット
11 電装制御ユニット
12 操作部
13 表示部
14 CPU(制御手段)
141 液面測定手段
142 温度測定手段
143 湿度測定手段
144 液面判定手段
145 加湿制御手段
146 シャッタ板開口判定手段
15 RAM
16 ROM(可読記録媒体)
20 液量制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が密閉可能に構成された処理槽内の処理液の液量を制御する液量制御方法であって、液量制御手段が、該処理槽内の処理液の液面上方にある気体中の該処理液の蒸気圧を、該処理液の液面位置が所定位置になるように蒸気圧制御手段により制御して処理液量を調節する液量制御工程を有する液量制御方法。
【請求項2】
前記処理液の液面上方にある気体の温度を、該処理液の温度よりも高く設定する請求項1に記載の液量制御方法。
【請求項3】
前記液量制御工程は、
液面測定手段が、液面センサからの処理槽内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定工程と、液面判定手段が、該液面測定工程で測定した液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定工程と、加湿制御手段が、該液面判定工程で該液面位置が該上限基準値より上昇したと判定したときに、前記蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を低下させて処理液表面から水分の蒸発を促して、該処理液中の水分を減少させるように制御し、また、該液面判定工程で該液面位置が該下限基準値より下降したと判定したときに、該蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御工程とを有する請求項1に記載の液量制御方法。
【請求項4】
前記液量制御工程は、
液面測定手段が、液面センサからの処理槽内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定工程と、液面判定手段が、該液面測定工程で測定した液面位置が下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定工程と、加湿制御手段が、該液面判定工程で該下限基準値より下降したと判定したときに、前記蒸気圧制御手段を制御して処理槽内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御工程とを有する請求項1に記載の液量制御方法。
【請求項5】
前記処理槽に設けられた蓋体が開口したかどうかをシャッタ板開口判定手段が検出するシャッタ板開口判定工程を更に有し、シャッタ板開口判定工程で該蓋体が開口したことを該シャッタ板開口判定手段が検出したとき、前記加湿制御手段が、前記処理槽内の蒸気圧を上昇させるように前記蒸気圧制御手段を制御する請求項3または4に記載の液量制御方法。
【請求項6】
前記処理液はNiメッキ処理液、Cuメッキ処理液,Agメッキ処理液およびAuメッキ処理液のうちのいずれかである請求項1に記載の液量制御方法。
【請求項7】
前記気体は、前記処理液を劣化させない気体を選定し、当該気体に処理液溶媒の蒸気を加えて前記処理槽内に供給する請求項1または2に記載の液量制御方法。
【請求項8】
内部が密閉可能に構成された処理槽内の処理液の液量を制御する液量制御装置であって、該処理槽内の処理液の液面上方にある気体中の該処理液の蒸気圧を制御する蒸気圧制御手段と、該処理液の液面位置が所定位置になるように該蒸気圧制御手段を制御して処理液量を調節する液量制御手段とを有する液量制御装置。
【請求項9】
前記処理液の液面上方にある気体の温度を該処理液の温度よりも高く設定した温風を、前記処理槽内に供給する温風供給手段を更に有する請求項8に記載の液量制御装置。
【請求項10】
前記液量制御手段は、
液面センサからの処理槽内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定手段と、該液面測定手段で測定した液面位置が上限基準値より上昇したかまたは下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定手段と、該液面判定手段が、該液面位置が該上限基準値より上昇したと判定したときに、前記蒸気圧制御手段を制御して処理槽内の蒸気圧を低下させて処理液表面から水分の蒸発を促して、該処理液中の水分を減少させるように制御し、また、該液面判定手段が、該液面位置が該下限基準値より下降したと判定したときに、該蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御手段とを有する請求項8に記載の液量制御装置。
【請求項11】
前記液量制御手段は、
液面センサからの処理槽内の処理液面の位置データに基づいて液面位置を測定する液面測定手段と、該液面測定手段で測定した液面位置が下限基準値より下降したかどうかを判定する液面判定手段と、該液面判定手段が該下限基準値より下降したと判定したときに、前記蒸気圧制御手段を制御して該処理槽内の蒸気圧を上昇させて処理液表面で凝縮を起こさせることにより液面全体から水分を補給する加湿制御手段とを有する請求項8に記載の液量制御装置。
【請求項12】
前記処理槽に設けられた蓋体が開口したかどうかをシャッタ板開口判定手段が検出するシャッタ板開口判定工程を更に有し、シャッタ板開口判定工程で該蓋体が開口したことを該シャッタ板開口判定手段が検出したとき、前記加湿制御手段が、該処理槽内の蒸気圧を上昇させるように前記蒸気圧制御手段を制御する請求項10または11に記載の液量制御装置。
【請求項13】
前記処理液はNiメッキ処理液、Cuメッキ処理液,Agメッキ処理液およびAuメッキ処理液のうちのいずれかである請求項8に記載の液量制御装置。
【請求項14】
前記気体は、前記処理液を劣化させない気体が選定され、当該気体に該処理液溶媒の蒸気が加えられて前記処理槽内に供給されている請求項8または9に記載の液量制御装置。
【請求項15】
請求項8から14のいずれかに記載の液量制御装置を用いて、半導体集積回路が形成された半導体ウエハ基板の金属パッド層にメッキ処理を施して該半導体ウエハ基板上に半導体集積回路を製造する半導体集積回路の製造方法。
【請求項16】
請求項1から7のいずれかに記載の液量制御方法の各工程をコンピュータに実行させるための処理手順が記述された制御プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の制御プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な可読記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−104112(P2013−104112A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249977(P2011−249977)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】