混合器具
【課題】少量の高粘性物質を混合する器具および混合方法を提供する。
【解決手段】混合器具は、a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、b)混合ウェルの内面上に位置する据え付け型の円周方向ギアを含む駆動機構と、c)据え付け型の円周方向ギアと係合する混合要素ギアによって駆動される遊星混合要素と、を備える。
【解決手段】混合器具は、a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、b)混合ウェルの内面上に位置する据え付け型の円周方向ギアを含む駆動機構と、c)据え付け型の円周方向ギアと係合する混合要素ギアによって駆動される遊星混合要素と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、混合器具および混合方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
成分を均一に混合する混合機械が周知である。これらの用途として、限定的ではないが、焼き付け、建造物工事、および医薬などがある。
【0003】
高粘性混合物用の混合器具は、高い抵抗に対して移動を続けるために十分なせん断力を与えるように構成されなければならない。場合によっては、混合中に、混合物の粘性が増加することによって、抵抗が増加する。
【0004】
混合中に混合物の粘性が増加する一例として、ポリマー/モノマー混合物の調整がある。ポリマーおよびモノマーを組み合わせると、重合反応が開始する。重合反応によって、混合物中のポリマー鎖長の平均が増加し、および/またはポリマー鎖間の架橋反応が生じる。増加したポリマー鎖長および/またはポリマー鎖間の架橋が、粘性を増加させる。
【0005】
重合混合物は、骨セメントの配合にしばしば用いられる。一般的に、骨セメント配合に用いられるポリマー/モノマー対の1つが、ポリメチルメタクリレート/メチルメタクリレート(polymethylmethacrylate/methylmethacrylate)(PMMA/MMA)である。PMMA/MMA骨セメントは、典型的には固体の形態をとるため、重合反応の反応条件は、PMMAおよびMMAの混合によって生成される液相が数分間持続するように調整されることが一般的である。この調整は、典型的には、MMAを含有するモノマー液、ならびに選択的にDMPTおよび/またはHQを、PMMAを含有するポリマー粉末、ならびに選択的に硫酸バリウムおよび/またはBPOおよび/またはスチレンと混合することによって行われる。結果として、予め入手可能な混合装置は、液体の重合混合物用に構成されたものとなり、混合中に液相をほとんど生じない高粘性セメントの混合にはあまり適さない。
【0006】
以下の参考文献は、骨セメント調整用に現在供用可能な混合機の一般的な例として引用するものである。このリストは、包括的であることを意図するものではない。
【0007】
米国特許第5,302,020号;米国公開特許第2003/0174576号;米国特許第6,994,465号および同4,961,647号は、中央混合要素を、中央混合要素の周りを回る遊星混合要素と組み合わせて使用する方法を開示する。これらの特許文献の開示内容はいずれも、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0008】
米国特許第5,415,474号および同第7,029,163号は、混合器具の一部として、移送機構を開示する。これらの特許文献の開示内容はいずれも、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0009】
米国特許第5,549,381号は、混合器具からリボン構成の混合要素を取り除くことにより、付着した混合物を混合要素から取り除くワイパーを開示する。この特許文献の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
〔発明の概要〕
本発明のいくつかの実施形態は、広義において、少量(small batches)の高粘性物質を混合することに関する。本発明の実施形態の一例において、「高粘性」とは、粘性が500、700、または900パスカル/秒であること、もしくはこの前後、もしくはこの中間の粘性であることを示す。粘性を決定する手段の例が、クラウス(Krause)ら(1982)による「アクリル製骨セメントの粘性(The viscosity of acrylic bone cements)」(生物医学材料研究ジャーナル(Journal of Biomedical Materials Research)、16:219−243)に記載されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。随意に、この粘性は、混合開始から30、60、または90秒以内に達成することができる。しかしながら、状況によっては、混合にこれよりも長い時間を費やす場合もある。少量とは、混合完了時において、100、50、25、15、または5mL、もしくはこれより小さい、もしくは中間の容積となる場合がある。
【0011】
本発明の実施形態の一例において、高粘性材料は、骨フィラーまたは「骨セメント」である。随意に、骨セメントはポリマー材料、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むことができる。随意に、骨セメントは、米国特許出願第60/738,556号;同第60/762,789号;同第60/765,484号、および同第11/360,251号の1つまたはそれ以上に記載される種類とすることができる。これらの特許出願の開示内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、少量の高粘性材料用ミキサーに関し、このミキサーは、混合ウェルの内面上に配置される、据え付け型(stationary)の円周方向ギアを採用した駆動機構を含む。本発明の実施形態の一例において、据え付け型の円周方向ギアは、遊星混合要素を駆動する。遊星混合要素は、その軸に対して回転しながら、混合ウェルの周りを円周状に移動する。
【0013】
本発明の実施形態の一例において、遊星混合要素は、中央混合要素と連携して材料を混合する。本発明の実施形態の一例において、中央混合要素は、混合ウェルのほぼ中心に配される。随意に、中央混合要素および/または遊星混合要素は、これら自体の軸を中心に回転することができる。
【0014】
本発明の実施形態の一例において、遊星混合要素および中央混合要素の回転は、それぞれの軸に対する半径方向速度が異なることを特徴とする。
【0015】
本発明の実施形態の一例において、遊星混合要素および中央混合要素は、それぞれの軸を中心として、逆方向に回転する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、少量の粘性材料用のミキサーに関する。ミキサーは、少なくとも1つの遊星混合要素を含み、遊星混合要素は、混合ウェルのほぼ中心に配置された中央混合要素の周りを回る。ここで、混合要素の外面間の距離(d)は、遊星混合要素と混合ウェルの内壁との間の距離とほぼ等しい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、少量の粘性材料用のミキサーに関する。ミキサーは、据え付け型の円周方向ギアと、混合物に所望のせん断力を与えるように選択された遊星混合要素のギアとの間のギア比率を特徴とする。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、少量の粘性材料用のミキサーに関する。ミキサーは、混合要素が、所望のせん断力を混合物に与えるように選択されたサイズであることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態の一例において、所望のせん断力を得るために選択されたギア比率は、(d)の増加に伴って増加する。本発明の実施形態の一例において、所望のせん断力を得るために、選択されたギア比率は、混合ウェルの直径の増加に伴って増加する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、粘性が少なくとも500パスカル/秒である少量の混合物の成分を混合する方法に関する。この方法は、手動駆動機構を作動させることにより、遊星混合要素を、その軸を中心に回転させ、かつ中央混合要素の周りを回るようにさせることを含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、ワイピング要素の使用により、混合器具の少なくとも1つの混合要素から、粘性材料を自動的に分離することに関する。これは、混合要素を混合器具から取り除くことにより、粘性材料が混合器具内に残留することによる。本発明の実施形態の一例において、ワイピング要素は、混合要素とほぼ適合する少なくとも1つのワイピング用の穴を含む。随意に、ワイピング用の穴は丸くすることができ、随意に、ほぼ正円形とすることができる。本発明の実施形態の一例において、ワイピング要素は、駆動機構の作動の間、混合ウェル内を回ることができる。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、粘性材料を、第1の容器から第2の容器へと移送する器具に関する。本発明の実施形態の一例において、この器具は、骨セメント用に構成される。随意に、第1の容器は混合ウェルであり、第2の容器は注入器具の一部とすることができる。本発明の実施形態の一例において、器具の部品を手動操作し、十分な力を生じさせることによって、粘性が500パスカル/秒であることを特徴とする材料が、第1の容器および第2の容器の間の穴を通過して流れる。
【0023】
本発明のさまざまな実施形態によれば、少量の粘性材料にとって所望のせん断力は、
a)混合ウェル内および/または混合要素上の、境界層を形成するための表面粗さ;
b)距離が短いほどせん断力を増加させる、表面間距離;および
c)混合要素表面および/または混合ウェル表面の相対速度
のうち、1つまたはそれ以上を変化させることによって生じる場合がある。
【0024】
相対速度は、随意に、寸法、ギア比率、駆動速度、および混合要素の回転速度のうち、1つまたはそれ以上に影響されるようにすることができる。
【0025】
本発明の実施形態の一例において、混合器具が提供され、この器具は、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル;
b)混合ウェルの内面上に配置される据え付け型の円周方向ギアを含む駆動機構;および
c)据え付け型の円周方向ギアと係合する混合要素ギアによって駆動される遊星混合要素
を含む。
【0026】
随意に、駆動機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0027】
随意に、少なくとも500パスカル/秒の粘性は、混合開始から90秒以内に達成することができる。
【0028】
随意に、器具は、
d)混合ウェルによって係合可能で、混合ウェルを閉じるように構成されたカバー
を含むことができる。
【0029】
随意に、カバーは、ロック用リングを含むことができる。
【0030】
随意に、駆動機構は、手動で操作されるように構成することができる。
【0031】
随意に、器具は、
d)混合ウェルの内面および遊星混合要素と同時に係合するように構成されたワイピング要素
を含むことができる。
【0032】
随意に、器具は、
d)混合ウェルのほぼ中心に配された中央混合要素
を含むことができる。
【0033】
随意に、器具は、
e)混合ウェルの内面、遊星混合要素、および中央混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素
を含むことができる。
【0034】
随意に、中央混合要素は、その軸を中心に回転することができる。
【0035】
随意に、中央混合要素および遊星混合要素は、逆方向に回転することができる。
【0036】
本発明の実施形態の一例において、混合器具が提供され、器具は、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル;
b)混合ウェル内に配された少なくとも1つの混合要素を作動させるように構成される駆動機構;および
c)混合ウェルの内面と係合するように構成されるワイピング要素であって、少なくとも1つの混合要素とほぼ適合する少なくとも1つのワイピング用の穴を含むワイピング要素
を含み;
ワイピング要素は、駆動機構の作動を妨げず;
少なくとも1つの混合要素を混合ウェルから除去することにより、少なくとも1つのワイピング用の穴が、混合物の少なくとも一部を少なくとも1つの混合要素から取り除く。
【0037】
随意に、ワイピング要素は、混合ウェルの内面と係合しながら、混合ウェル内を回転することができる。
【0038】
随意に、駆動機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0039】
随意に、器具は、
d)混合ウェルによって係合可能で、混合ウェルを閉じるように構成されるカバー
を含むことができる。
【0040】
随意に、カバーは、ロック用リングを含むことができる。
【0041】
随意に、少なくとも500パスカル/秒の粘性は、混合開始から90秒以内に達成することができる。
【0042】
随意に、ワイピング要素は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物の付着した部分を、少なくとも1つの混合要素から取り除くように構成することができる。
【0043】
随意に、少なくとも1つの混合要素は、少なくとも2つの混合要素を含むことができる。
【0044】
随意に、駆動機構は、手動操作されるように構成することができる。
【0045】
本発明の実施形態の一例において、混合器具が提供され、器具は、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル;
b)混合ウェルのほぼ中心に配置される中央混合要素;
c)中央混合要素の周りを回る少なくとも1つの遊星混合要素
を含み;
中央混合要素と遊星混合要素との間の第1の距離(d1)は、遊星混合要素と混合ウェルの内面との間の第2の距離(d2) とほぼ等しい。
【0046】
随意に、駆動機構は、手動操作されるように構成することができる。
【0047】
随意に、駆動機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0048】
本発明の実施形態の一例において、混合器具用の駆動機構が提供され、駆動機構は、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする容器の内周上に円形通路を定める歯のセット;
b)軸を特徴とする歯車であって、歯のセットと係合し、かつ軸を中心に回転するように構成される歯車;および
c)歯車を円形通路に沿って進ませる力を与えるよう構成される作動装置
を含む。
【0049】
随意に、機構は、
d)歯車の軸と、円形通路のほぼ中心に配される第2の歯車との間を接続する動力伝送要素
を含むことができる。
【0050】
随意に、作動装置を通して力を与えることにより、動力伝送要素が、円形通路の中心を通る軸を中心に第2の歯車を回転させるようにすることができる。
【0051】
随意に、歯車は、遊星混合要素を駆動することができる。
【0052】
随意に、第2の歯車は、中央混合要素を駆動することができる。
【0053】
随意に、作動装置は、手動で動かされることができる。
【0054】
随意に、機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0055】
本発明の実施形態の一例において、粘性混合物の成分を混合する方法が提供され、この方法は、
a)成分を、内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルに投入すること;
b)少なくとも1つの遊星混合要素および中央混合要素を、混合ウェルに配置すること;および
c)手動駆動機構を作動させて、遊星混合要素を、その軸を中心に回転させ、かつ中央混合要素の周りを回るようにさせることにより、成分を混合して混合物を形成すること
を含む。
【0056】
随意に、この方法は、
e)ワイピング要素を混合要素の少なくとも1つと係合させることにより、混合要素を混合ウェルから除去すると、ワイピング要素が、混合物を混合要素から拭き取るようにさせること
を含むことができる。
【0057】
随意に、駆動機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0058】
随意に、少なくとも500パスカル/秒の粘性は、混合開始から90秒以内に達成することができる。
【0059】
随意に、手動駆動機構が十分な力を与えることにより、遊星混合要素は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を通って移動することができる。
【0060】
本発明の実施形態の一例において、粘性材料を移送する器具が提供され、この器具は、
a)粘性材料を収容可能な第1の容器;
b)移送ピストンであって、第1の容器に挿入可能であることにより、容器に対して円周状のシールを形成し、かつ、穴を含む移送ピストン;および
c)第2の容器の孔を、移送ピストンの穴に取り付ける機構
を含み;
移送ピストンを第1の容器に挿入することにより、粘性材料が孔を通って第2の容器へと移動する。
【0061】
随意に、この器具は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする粘性材料が第2の容器の孔を通って流れるために、十分な力を与えるように構成することができる。
【0062】
随意に、この器具は、第1の容器および移送ピストンを手動操作することにより、十分な力を生成するように構成することができる。
【0063】
随意に、混合要素を第1の容器から取り除くと、移送ピストンが、粘性材料の少なくとも一部を混合要素から取り除くように構成することができる。
【0064】
本発明の実施形態の一例において、粘性混合物の成分を混合する方法が提供される。この方法は、
a)成分を、内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルに投入すること;
b)駆動機構を作動させ、粘性が少なくとも500パスカル/秒である間、内部容積内の材料を混合すること
を含む。
【0065】
随意に、この方法は、遊星混合要素を、駆動機構によって駆動することを含む。
【0066】
後述する本発明の非限定的な実施形態の例は、添付図面を参照して読まれるものである。図面において、同一および類似の構造、要素、または部分を複数の図に記載する場合、それらの図では、概して同一または類似の参照番号が付される。図示された構成要素の寸法および特徴は、提示する上での便宜およびわかりやすさを主な目的として選択したものであり、必ずしも縮尺通りに示したものではない。
【0067】
〔実施形態例の説明〕
〔概要〕
米国特許出願第60/738,556号;同第60/762,789号;同第60/765,484号;および同第11/360,251号(以下、「本発明者の先願」という)の開示内容は全て参照により本明細書に組み込まれており、高粘性状態へと迅速に移行することを特徴とするポリマー製骨セメントの配合を開示するものである。これらの出願が開示するセメント配合の例によれば、モノマーおよびポリマーを成分とする混合物は、ポリマーがモノマーによって湿るのとほぼ同時に、粘性が400〜500パスカル/秒の範囲であることを特徴とする混合物を生成する。実際には、わずか30秒で生成する場合もある。
【0068】
従来技術により可能な骨セメントの配合は、液相状態の時間が比較的長く、セメント注入に適した作業時間帯の短さが特徴であった。本発明者の先願が開示する新規なセメントの配合は、セメントが固化する前の比較的長い作業時間帯の後で、持続的な(persistent)液相状態となることがなく、高粘性状態へと迅速に移行することを特徴とする。本発明者の先願が開示する新規なセメントの配合による、高粘性状態へのほぼ即時の移行においては、完全な混合を確実に行うためには、高いせん断力が望ましい。この新規なセメントの配合において、液状であることは必須条件ではないため、混合物が液状の段階にあるうちに成分を混合することは、適当ではない。
【0069】
骨セメントは、典型的には、少量(例、5,10,20,30,40,50mL、またはこの前後、またはこの中間の容積)で調整されるため、本発明者の先願による新規なセメントの配合によれば、骨セメントの混合器具に新たな制約が生じる。
【0070】
本発明による混合器具の例は、慣用的な骨セメントの配合にも使用可能である。随意に、本発明による混合器具の例は、液相状態の後で重合反応が進行して粘性が400に到達した後に、随意に、500パスカル/秒、またはこの前後、またはこの中間の粘性に到達した後に、使用可能である。随意に、本発明による混合器具の例は、混合要素の距離を調節することにより、液体混合物の混合において使用可能である。随意に、本発明による混合器具の例は、公知の配合によって調整されたセメントを混合する場合、混合物の粘性が少なくとも100パスカル/秒に到達した後に使用可能である。
【0071】
図1は、本発明の実施形態の例による方法100を実行する際の、一連の工程を示す簡易フロー図である。
【0072】
110において、混合ウェルまたは混合器具の混合ウェルに、成分が投入される。随意に、この作動は、器具200の製造工程の一部として行うことができる。
【0073】
随意に、1つ以上のワイピング要素を、配置120することができる。混合ウェルの内部、もしくは混合器具のカバー上および/または混合要素上に配置することができ、混合ウェルへの成分の投入110の前または後に配置することができる。
【0074】
130において、混合要素が混合ウェルに挿入され、混合要素の少なくとも一部が混合物の成分内に沈められる。ワイピング要素を配置120していた場合、この段階において、混合物の成分は、概してワイピング要素の下に位置する。
【0075】
駆動機構の作動により、成分が混合140される。上述のとおり、本発明の実施形態の例によれば、混合140は、比較的短時間で成分から高粘性混合物を形成し、随意に、数秒で形成することができる。本発明の実施形態の一例において、高粘性混合物が形成された後も混合140を継続することによって、骨セメントの調整が十分に行われる。随意に、駆動機構の作動は、手動および/または、モーター、圧縮空気、またはその他任意の当業分野で公知の外部動力源によって駆動することができる。
【0076】
混合140の完了後、混合要素が取り除かれる150。ワイピング要素が配置120されている場合、混合要素の自動ワイピング152がこの段階で実施される。随意に、ワイピング要素は、除去150の間および/または後も、混合ウェルに残留することができる。
【0077】
随意に、セメントは、混合ウェルから注入槽に直接移送160することができる。随意に、移送160は、本発明の実施形態の例を備える移送器具を用いて行うことができる。
【0078】
〔器具の例〕
図2,3,6,7,および8は、本発明による混合器具200の実施形態の例を示す。
【0079】
図2は、例示的な器具200を示す図であり、カバー220がベース250から取り除かれている。カバー220は、任意のロック用リング224を備えた状態で図示され、 ロック用リング224は、ベース250に設けられた一連のねじ山256と係合する。
【0080】
本発明の実施形態のいくつかの例において、この段階で混合ウェル252に成分が投入110される。
【0081】
本発明の他の実施形態において、混合ウェル252への成分投入110は、製造および組立工程の一部として行う。随意に、器具200は、図3が示すように組み立てて供給することができる。器具200を組み立てて、混合物を収容した状態で供給する場合、モノマー液体およびポリマー粉末の望ましくない混合不足は、さまざまな方法で防止することが可能である。望ましくない混合不足を防止する方法の例は、後述のとおりである。
【0082】
カバー220は、駆動機構の一部を含む。駆動機構は、随意に手動の機構とし、ハンドル210で作動可能とすることができる。図示された実施形態において、カバー220は、下向きの突起222(図6)を含み、突起222は、係合アーム262によってワイピング要素260と係合するように構成される。
【0083】
図示された実施形態の例において、係合アーム262Bは、主に、突起222と係合するように機能する。
【0084】
実施形態の他の例において、係合アーム262Aは、突起222およびベース250内の溝264と係合するように機能する。係合アーム262Aとベース250内の溝264との関係は、後述のとおりである。
【0085】
中央混合要素230および遊星混合要素240が、カバー220から下方に突出している状態が視認できる。随意に、2つ以上の遊星混合要素240を設けることができる。遊星駆動ギア270の一部も、この図で視認できる。
【0086】
ベース250は、内部の混合ウェル252、および据え付け型の円周方向ギア254として機能する内側向きの一連の歯を含む。据え付け型の円周方向ギア254は、駆動機構の一部であり、カバー220をベース250と組み立てたときに、遊星駆動ギア270と係合するように構成される。
【0087】
図3は、組み立てた器具200の一部を切り取った図であり、駆動機構をより詳細に示す。この図では、混合要素230および240が挿入130され、図示の実施形態では、任意のワイピング要素が配置120されている。遊星駆動ギア270が、遊星混合要素240の中心軸上に位置し、混合要素240がギア270と共に移動および/または回転するように、遊星混合要素240と接続する。ギア270は、カバー220の駆動シャフト受け274内に着座する駆動シャフト272によって、カバー220に連結される。遊星ギア270の歯は、ベース250の混合ウェル252内で、据え付け型の円周方向ギア254の補完的形状をとる歯と係合する。遊星混合要素240は、駆動要素232によって中央混合要素230に連結される。ワイピング要素260は、混合ウェル252の内面ならびに混合要素230および240と同時に係合する。
【0088】
駆動機構を、例えばハンドル210を回転させることによって作動させると、カバー220がベース250に対して回転する。これにより、遊星駆動シャフト272が、混合ウェル252の内壁と同心上に位置する円形通路上を進む。遊星ギア270が据え付け型の円周方向ギア254と係合することによって、遊星駆動シャフト272および遊星混合要素240がこれらの円形通路に沿って進むと、遊星ギア270が遊星混合要素240を回転させる。本発明の実施形態の一例において、駆動要素232は、遊星混合要素240および中央混合要素230の両方に連結される。随意に、遊星混合要素240が進むと、駆動要素232が中央混合要素230を回転させるようにすることができる。本発明の他の実施形態において、中央混合要素230は回転しない。混合要素240が進むことにより、混合140が行われる。
【0089】
図4Aは、駆動機構の例を示す概略図であり、ベース250を俯瞰した図である。この図では、遊星ギア270、遊星駆動シャフト272、中央混合要素230、据え付け型の円周方向ギア254、および駆動要素232(ここでは、レバーとして図示)の物理的関係が、これまでの図よりもわかりやすく示されている。駆動機構についての技術的考察は、後述のとおりである。本発明の実施形態の一例において、据え付け型の円周方向ギア254の歯数は、遊星駆動ギア270の3倍である。
【0090】
混合要素230および240は、随意に、粗面、鋸歯状、または筋状とすることにより、混合中に、混合要素の表面近くで混合される材料の境界層を確実に形成することができる。随意に、ウェル252の内面を、同様に粗面、鋸歯状、または筋状とすることにより、ウェル表面近くに境界層を確実に形成することができる。
【0091】
本発明の実施形態の一例において、鋸歯は、垂直方向のスリットとして形成され、混合要素230および/または240の高さ全体にわたって延びる。随意に、長さ方向のスリットによって、混合要素230および/または240を、ワイピング要素260内のワイピング用の穴から容易に導入および除去することができる。随意に、垂直方向のスリットは、深さ0.1mm、0.5mm、または1mm、もしくはこの前後の深さ、もしくはこの中間の深さであることを特徴とすることができる。
【0092】
〔駆動機構の例についての技術的考察〕
図4Bは、技術的な投影図であり、例示的な駆動機構の回転方向および距離をそれぞれ示す。この図は、図4Aが示すベース250を俯瞰した図である。中央混合要素230外面の演算点(operation point)「A」が反時計(矢印)回りに半径速度V(A)で動く場合:
V(A)=ω*R1
ここで、ω1は、混合要素230のラジアン毎秒値での回転速度であり、R1は、混合要素230の半径である。
遊星混合要素240表面の演算点「B」が、半径速度V(B)を有し、半径速度V(B)は、中央混合要素230の軸に対する遊星混合要素240の回転による速度、および遊星混合要素240の自転による速度の合計を含む、すなわち:
V(B)=ω1*R(B)+ω2*R2
ここで、ω2=i*ω1
ここで、「i」は、据え付け型の円周方向ギア254の歯数と遊星ギア270の歯数との比であり;ω1は、混合要素230の回転速度であり;
R(B)は、混合要素230の中心から、最も近い混合要素240上の点(B)までの距離であり;
およびR2は、混合要素240の半径である。
遊星混合要素240の反対側の面に位置する演算点(C)が、半径速度V(C)を有し、半径速度V(C)は、中央混合要素230の軸に対する遊星混合要素240の回転による速度と、遊星混合要素240の自転による速度との差を含む、すなわち:
V(C)=ω1*R(C)−i*ω1*R2
ここで、R(C)は、混合要素230の中心から、最も遠い混合要素240上の点(C)までの距離であり;
他の用語については、先に定義した通りである。
据え付け型の円周方向ギア254上の点Dは、速度ゼロである。混合物が点AとBとの間、または点CとDとの間を流れる際に受けるせん断応力は、対向する点の間の半径速度の差(速度勾配)によって計算することができる:
定点と遊星混合要素との間にかかるせん断応力は、次式に相関する:
V(B)−V(A)=ω1*(R(B)−R1+iR2)
遊星混合要素と据え付け型の混合チャンバ内面との間にかかるせん断応力は、V(C)−V(D)=ω1*(R(C)−iR2)に相関する。
本発明の実施形態の一例において、器具200は手動で作動され、ω1はオペレータによって設定される。随意に、ω1は、10,15,22,または30RPM、もしくはこの前後、もしくはこの中間値を取り得る。
本発明の実施形態の一例において、R1、R2、R(B)、R(C)、およびiは、構造条件、および相対的に近似した速度勾配の双方に適合するよう選択する。速度勾配は、選択した粘性が、例えば500パスカル/秒であることを踏まえ、適切なせん断応力を生成するのに十分な値とする。
【0093】
図5は、混合物500が2つの要素(例:遊星混合要素240および中央混合要素230、または遊星混合要素240および混合ウェル254の内壁)の間を流れる際に受ける、せん断応力の勾配の理論値を示す。混合物500の粘性が増加すると、混合に必要なせん断応力も増加する。
【0094】
本発明の実施形態の一例において、粘性が500パスカル/秒であることを特徴とする混合物500を混合するために十分なせん断力が、2つの混合要素(図4BのAからB)の間の距離、または遊星混合要素240と混合ウェル254内壁(図4BのCからD)との間の距離を、1mm〜5mmに調節することで得られる。随意に、約2mmとすることができる。
代わりに、または追加的に、せん断力を、混合要素230および/または240の表面エリア、および/または混合物と接するウェル252内面を変化させることによって調節することができる。
【0095】
〔ワイピング要素〕
図6,7,および8は、本発明の実施形態の一例による、任意のワイピング要素260の配置および機能を示す。
【0096】
図6は、ワイピング要素260が、係合アーム262Aおよび262Bによって下向きの突起222と係合する状態を示す。混合ウェル252の円周方向の溝264は、この段階では空である。混合要素230および240は、ワイピング要素260内のワイピング用の穴から突出する。
【0097】
図7は、カバー220がベース250と組み立てられ、ワイピング要素230および240が、混合ウェル252の床258と近接する状態を示す。ワイピング要素260の係合アーム262は、混合ウェル252の溝264内に着座する(挿入図において、わかりやすく拡大されている)。係合アーム262の各々は、遊星混合要素240が混合ウェル252内を周って移動すると、混合ウェル252内を周って溝264に沿って円周方向にスライドする。
【0098】
図8は、混合要素230および240を混合ウェル252から取り除いた150状態を示す。係合アーム262が溝264に保持されることにより、ワイピング要素の位置が固定される。要素230および240を取り除くと、ワイピング用の穴の端部によって、自動的にワイピング152が行われる。
【0099】
〔移送機構〕
図9および10は、本発明の実施形態の例による移送機構を示す。これは、同時継続中の米国特許出願第11/360,251号において既に開示されており、同出願の開示内容は、全て参照により本明細書に組み込まれる。図9は断面図であり、図10は一部を切り取った斜視図である。
【0100】
図9および10は、移送要素900の例示的な図であり、移送要素900は、混合ウェル254に挿入された移送ピストンカップ950を含む。図示された実施形態において、ピストンカップ950のねじ山956は、ベース250のねじ山256と係合する。移送ピストンカップ950がベース250にねじ留めされると、移送ピストンカップ950の床958が、混合ウェル252の床258へ向けて押し下げられる。この動きが、ワイピング要素260に下向きの圧力を加える。下向きの圧力によって、係合アーム262が溝264から解放される。係合アーム262が解放されると、ワイピング要素260は自由になり、混合ウェル252の床258へ向かって降下する。随意に、ワイピング要素260も、混合物を注入槽910内に押し入れるピストンとして機能することができる。
【0101】
図示された実施形態において、移送ピストンカップ950は、第2のねじ山セット952と嵌合し、第2のねじ山セット952は、注入槽910の対応するねじ山930に係合する。作動時は、移送ピストンカップ950を混合ウェル252に挿入する前に、ねじ山930および952によって、注入槽910を移送ピストンカップ950に取り付ける。移送ピストンカップ950が混合ウェル252内に下降すると、混合ウェル252の内容物(例:高粘性骨セメント)が押し上げられ、注入槽910に入る。注入ノズル920が、注入槽910の排気機能を果たすため、圧力抵抗は増加しない。混合された材料は、この段階では、注入器に移送160されている。随意に、骨セメントが注入ノズル920から排出されると、槽910が満杯であることを器具のオペレータに知らせるようにすることができる。
【0102】
〔寸法の例〕
本発明の様々な実施形態によれば、混合ウェル252の内部容積は5mL、随意に10mL、随意に20mL、随意に40mL、随意に60mL、随意に80mL、随意に100mL、またはこの前後、またはこの中間の容積とすることができる。本発明の実施形態の一例において、混合ウェルの容積は、50mL〜60mL、随意に約66mLとし、10mL〜20mLの混合物、随意に約15mLの混合物を、チャンバに投入して混合することができる。本発明の実施形態の一例において、ウェル252の内部容積の一部は、混合要素230および240が占めている。
【0103】
随意に、混合ウェルの内径は20mm、随意に40mm、随意に60mm、随意に80mm、随意に100mm、またはこの前後、またはこの中間のサイズとすることができる。本発明の実施形態の一例において、混合ウェルの内径は40mm〜50mm、随意に約46mmとすることができる。
【0104】
随意に、混合ウェルの高さは、20mmとすることができるが、40mm、60mm、80mm、または100mm、もしくはこの前後、もしくはこの中間のサイズとすることもできる。本発明の実施形態の一例において、混合ウェルの高さは35〜45mm、随意に約40mmとすることができる。
【0105】
随意に、混合ウェルのアスペクト比(直径/高さ)は、0.7、0.9、1.1、または1.3、もしくはこの前後、もしくはこの中間値とすることができる。本発明の実施形態の一例において、混合ウェルのアスペクト比(直径/高さ)は1.1〜1.2であり、随意に約1.15とすることができる。
【0106】
本発明の実施形態の一例において、中央混合要素と遊星混合要素との間の距離(d1)(図4AのAからBとして示される)および/または遊星混合要素と混合ウェルの内壁との間の距離(d2)(図4AのCからDとして示される)は、1mm、2mm、3mm、4mm、または5mm、もしくはこの前後、もしくはこの中間の距離である。本発明の実施形態の一例において、d1はd2とほぼ等しい。
【0107】
典型的な椎骨治療では、1本の椎骨に注入される量は、約5mLである。一般的には、1本の椎骨に注入する場合はセメント約8mLを調整し、2本の椎骨に注入する場合はセメント約15mL、3本以上の椎骨に注入する場合は量を漸増させる。粉末ポリマー成分および液体モノマー成分を組み合わせると、ポリマーがモノマーで湿るため、混合物の合計量が減少する。例えば、40mL〜50mLのポリマー粉末を7mL〜9mLのモノマー液体と混合112すると、18mLの重合セメントが得られる。本発明の実施形態の一例において、ウェル252の容積は、はるかに少量のセメントを調整する場合であっても、初期状態では大きいカラムのモノマー粉末を収容できるように選択する。
【0108】
本発明の実施形態の一例において、移送要素900によって注入槽910へ移送した後もウェル242内に残留する、無駄になったセメントの量は、2mL、1mL、または0.5mL未満、もしくはこれ未満、もしくはこの中間値である。
【0109】
本発明の実施形態の一例において、中央混合要素230の直径および注入槽910の直径は、どちらもワイピング要素260の孔の直径に等しい。随意に、このように直径を画一的にすることによって、移送器具900の作動後、ウェル252に残る無駄なセメントの量を減らすことができる。随意に、これらの直径は約18mmとすることができる。
【0110】
本発明の他の実施形態(図示せず)において、ベース250の混合ウェル252は、注入器具に移送され、セメントを、ウェル252から対象物に直接注入することができる。随意に、この工程は、混合要素230および240を取り除いた後に行うことができる。
【0111】
〔材料の例〕
本発明の実施形態の一例において、混合器具の部品は、ポリアミド(例:ナイロン)および/またはポリプロピレンで製造する。
【0112】
随意に、器具の一部は、金属製、例えばステンレス鋼製とすることができる。本発明の実施形態の一例において、摩擦やトルクなどの大きな力を受ける部分は、金属製とする。随意に、ハンドル210、ギア(例:270)、歯(例:254)、駆動アーム(例:232)、および混合要素(例:230および/または240)のうち1つ以上を、金属製とすることができる。
【0113】
〔使用方法の例〕
本発明の実施形態の一例において、器具200は、使用説明書を備える。本発明の実施形態の一例において、説明書は、ウェル252に投入した混合物を完全に混合するための工程について説明する。
【0114】
随意に、これらの説明書は、完全な混合を確実にするために推奨される所要時間を示すことができる。本発明の実施形態の一例において、所要時間は、30秒〜90秒である。随意に30秒〜60秒、随意に約45秒、またはこの前後、またはこの中間の長さとすることができる。
【0115】
随意に、これらの説明書は、完全な混合を確実にするために推奨される回転数を示すことができる。本発明の実施形態の一例において、回転数は、20回〜100回、随意に40回〜60回、随意に約50回、またはこれより少なく、またはこの中間の回数とすることができる。
【0116】
随意に、これらの説明書は、混合の完了をユーザに知らせる信号について説明することができる。信号は、視覚信号(例:表示灯)、聴覚信号(例:ブザーまたはベル)、または触覚信号(例:望ましい粘性に到達したら、ギア270が歯254をスリップする)とすることができる。本発明の実施形態の一例において、信号は、閉フィードバックループによって発信される。ループは、例えば、粘性(例:トルク)、求心力、時間、器具200の一部(例:ハンドル210、ギア270、または混合要素230および/または240)の回転数、または混合物の量を間接的に計測することで、機能することができる。
【0117】
随意に、この器具は、事前に設定した時間帯および/または回転数の間だけハンドルを回転させる機構と組み合わせることができる。
【0118】
〔せん断力についての考察〕
ウェル252内の混合物にかかるせん断力は、主に、表面特性、表面間距離、および表面間の速度差の影響を受ける。
【0119】
混合要素230,240、およびウェル252内面の表面特性は、いずれも混合物500に加わるせん断力に影響する (図5)。表面を粗くする(例:鋸歯状または筋状にする)と摩擦力が増加するため、混合物500がこれらの表面でスリップすることを防止できる。表面が十分に粗い場合、境界層の、表面に対する相対速度はゼロとなる。随意に、このように相対速度をゼロにすることで、せん断力を増加することができる。
【0120】
表面間距離は、表面間を移動する混合物500に作用するせん断力に反比例する。本発明の実施形態の一例において、線A−Bおよび/または線C−D(図4B)によって定められる距離が長くなると、これらの線を通過する混合物500の一部に加わるせん断力は減少する。
【0121】
ミキサー200の部分間の相対速度の差も、混合物200に対するせん断力に影響する。 相対速度の差が大きくなると、要素の間を流れる混合物500に加わるせん断力は増加する。相対速度は、随意に、角速度および/または半径方向速度、および/または関係する要素の半径に影響されるようにすることができることは、既に詳述したとおりである。本発明の実施形態の一例において、相対速度の差は、異なる方向の角速度を混合要素240および230に与えることによって増幅する。
【0122】
〔総論〕
骨セメント混合物の成分には、吸引すると不快な臭気および/または毒性を発するものがあるため、本発明の実施形態のいくつかの例は、望ましくない蒸気への曝露を減じるための安全機能を含む。
【0123】
本発明の実施形態の一例において、ロック用リング224は、気密シール(例:ゴムまたはシリコン)を備え、ウェル252から蒸気が漏れることを防ぐ。
【0124】
代わりに、または追加的に、器具200は、真空源に接続可能な排気ポート(図示せず)を備えることができる。本発明の実施形態の一例において、真空源は、病院の手術室に設置される標準的な「壁掛け式吸引」ユニットであり、望ましくない蒸気は、骨セメント混合物のMMA成分から発生する。
【0125】
器具200が、混合する成分をウェル252内に収容した状態で与えられる場合は、望ましくない混合不足を防止するための方法を実施する場合がある。
【0126】
モノマー液体およびポリマー粉末の望ましくない混合不足を防止する方法の一例は、モノマー液体を密閉した袋またはカプセルに収容することであり、袋またはカプセルは、器具200の作動時に破裂する。カプセルは、混合物500の流れによって、線A−Bまたは線C−Dを通過するときに破裂する。本発明の実施形態の一例において、カプセルは、A−Bおよび/またはC−Dの長さを超える最短の長さであることを特徴として設計される。本発明の実施形態の一例において、袋またはカプセルは、生態適合材料で製造され、骨セメントと共に注入される。
【0127】
モノマー液体およびポリマー粉末の望ましくない混合不足を防止する方法の他の例は、モノマー液体を、中央混合要素230の中に収容することである。随意に、カバー220をベース250から一部取り除くと、モノマー液体が混合要素230から出てウェル252に入ることができる。随意に、ロック用リング224を締め付けると、混合要素230のシールが破れようにすることができる。シールが破れると、液体モノマーが粉末成分上に放出される。
【0128】
モノマー液体およびポリマー粉末の望ましくない混合不足を防止する方法の他の例は、モノマー液体を、混合ウェル252の壁の空隙中に収容することである。随意に、空隙内の内容物を、混合開始時に手動でまたは自動的にウェル252に投入することができる。
【0129】
本発明の実施形態を詳述することによって、本発明を説明した。これらの実施形態は、本発明の例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。特に、数値に関しては、前述した数値より高い場合および低い場合であっても、本発明の範囲に属する。記載された実施形態は、異なる特徴を備えるが、その全てが本発明のあらゆる実施形態に必須な特徴ではない。本発明の実施形態の中には、特徴の一部のみを利用するものもあれば、とり得る組み合わせを利用するものもある。代わりに、または追加的に、1つだけのユニットとして記載/図示された本発明の一部が、2つ以上の物理的に分離した個体として備わり、それらの個体が連携して記載/図示された機能を実行する場合もある。代わりに、または追加的に、2つ以上の物理的に分離した個体として記載/図示された本発明の一部が、物理的に単一の個体に統合され、記載/図示された機能を実行する場合もある。記載された本発明の実施形態の変形と、記載された実施形態において言及した特徴の異なる組み合わせを備える本発明の実施形態とを、あらゆるとり得る組み合わせによって組み合わせることが可能である。組み合わせは、ある実施形態の構成で記載された特徴を、あらゆる他の実施形態の構成で利用することを含むが、それに限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0130】
本願の明細書および特許請求の範囲において、動詞「備える」、「含む」、および「有する」は、これらの活用形と同様に、その目的語が、主語である部材、成分、要素、または部分を網羅するとは限らないことを示すために使用される。
【0131】
本願の中で引用される全ての文献および/または特許および/または製品についての記載は、各々が個別に参照によって本明細書に組み込まれたのと同程度に、全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0132】
〔実施の態様〕
(1)混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェルの内面上に位置する据え付け型の円周方向ギアを含む駆動機構と、
c)前記据え付け型の円周方向ギアと係合する混合要素ギアによって駆動される遊星混合要素と、
を備える、器具。
(2)実施態様1に記載の器具において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
(3)実施態様1に記載の器具において、
少なくとも500パスカル/秒の前記粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、器具。
(4)実施態様1に記載の器具において、
d)前記混合ウェルによって係合可能であり、前記混合ウェルを閉じるように構成されるカバーを備える、器具。
(5)実施態様4に記載の器具において、
前記カバーが、ロック用リングを含む、器具。
(6)実施態様1〜5のいずれか1つに記載の器具において、
前記混合ウェルの内面および前記遊星混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素を備える、器具。
(7)実施態様1〜5のいずれか1つに記載の器具において、
前記駆動機構が、手動操作されるように構成される、器具。
(8)実施態様1〜5のいずれか1つに記載の器具において、
前記混合ウェルのほぼ中心に配された中央混合要素を備える、器具。
(9)実施態様8に記載の器具において、
前記混合ウェルの内面、前記遊星混合要素、および前記中央混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素を備える、器具。
(10)実施態様8に記載の器具において、
前記中央混合要素が、前記中央混合要素の軸を中心に回転する、器具。
【0133】
(11)実施態様10に記載の器具において、
前記中央混合要素および前記遊星混合要素が、逆方向に回転する、器具。
(12)混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェル内に配された少なくとも1つの混合要素を作動させるように構成される駆動機構と、
c)前記混合ウェルの内面と係合するように構成されるワイピング要素であって、前記少なくとも1つの混合要素とほぼ適合する少なくとも1つのワイピング用の穴を含むワイピング要素と、
を備え、
前記ワイピング要素が、前記駆動機構の作動を妨げず、
前記少なくとも1つの混合要素を前記混合ウェルから除去することにより、前記少なくとも1つのワイピング用の穴が、前記混合物の少なくとも一部を前記少なくとも1つの混合要素から取り除く、器具。
(13)実施態様12に記載の器具において、
d)前記混合ウェルによって係合可能であり、前記混合ウェルを閉じるように構成されるカバーを備える、器具。
(14)実施態様12に記載の器具において、
前記ワイピング要素が、前記混合ウェルの内面と係合しながら前記混合ウェル内を回転する、器具。
(15)実施態様12に記載の器具において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
(16)実施態様13に記載の器具において、
前記カバーが、ロック用リングを含む、器具。
(17)実施態様12〜16のいずれか1つに記載の器具において、
前記少なくとも500パスカル/秒の粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、器具。
(18)実施態様12〜16のいずれか1つに記載の器具において、
前記ワイピング要素が、前記粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物の付着した部分を、前記少なくとも1つの混合要素から取り除くように構成される、器具。
(19)実施態様18に記載の器具において、
前記少なくとも1つの混合要素が、少なくとも2つの混合要素を含む、器具。
(20)実施態様12〜16のいずれか1つに記載の器具において、
前記駆動機構が、手動操作されるように構成される、器具。
【0134】
(21)混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェルのほぼ中央に配置される中央混合要素と、
c)前記中央混合要素の周りを回る少なくとも1つの遊星混合要素と、
を備え、
前記中央混合要素と前記遊星混合要素との間の第1の距離(d1)が、前記遊星混合要素と前記混合ウェルの内面との間の第2の距離(d2)とほぼ等しい、器具。
(22)実施態様21に記載の器具において、
前記遊星混合要素が、手動操作されるように構成される、器具。
(23)実施態様21または22に記載の器具において、
前記遊星混合要素および前記中央混合要素が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
(24)混合器具用の駆動機構において、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする容器の内周上に円形通路を定める歯のセットと、
b)軸を特徴とする歯車であって、前記歯のセットと係合し、かつ前記軸を中心に回転するように構成される、歯車と、
c)前記歯車を前記円形通路に沿って進ませる力を与えるように構成される作動装置と、
を含む、機構。
(25)実施態様24に記載の機構において、
d)前記歯車の前記軸と、前記円形通路のほぼ中心に配される第2の歯車との間を接続する、動力伝送要素を備える、機構。
(26)実施態様25に記載の機構において、
前記第2の歯車が、中央混合要素を駆動する、機構。
(27)実施態様25に記載の機構において、
前記作動装置を通して力を与えることにより、前記動力伝送要素が、前記円形通路の前記中心を通る軸を中心に、前記第2の歯車を回転させる、機構。
(28)実施態様24〜27のいずれか1つに記載の機構において、
前記歯車が、遊星混合要素を駆動する、機構。
(29)実施態様24〜27のいずれか1つに記載の機構において、
前記作動装置が、手動で動かされる、機構。
(30)実施態様24〜27のいずれか1つに記載の機構において、
粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成される、機構。
【0135】
(31)粘性混合物の成分を混合する方法において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル内に、前記成分を投入することと、
b)少なくとも1つの遊星混合要素および中央混合要素を前記混合ウェル内に配置することと、
c)手動駆動機構を作動させて、前記遊星混合要素を、その軸を中心に回転させ、かつ前記中央混合要素の周りを回るようにさせることにより、前記成分を混合して混合物を形成することと、
を含む、方法。
(32)実施態様31に記載の方法において、
d)ワイピング要素を前記混合要素の少なくとも1つと係合させることにより、前記混合要素を前記混合ウェルから除去することによって、前記ワイピング要素が、前記混合要素から混合物を拭き取るようにすることを含む、方法。
(33)実施態様31または32に記載の方法において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成される、方法。
(34)実施態様31または32に記載の方法において、
少なくとも500パスカル/秒の前記粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、方法。
(35)実施態様31または32に記載の方法において、
前記手動駆動機構が十分な力を与えることにより、前記遊星混合要素が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を通って移動する、方法。
(36)粘性材料を移送する器具において、
a)粘性材料を収容可能な第1の容器と、
b)移送ピストンであって、前記第1の容器に挿入可能であることにより、前記容器に対して円周状のシールを形成し、かつ、穴を含む、移送ピストンと、
c)第2の容器の孔を、前記移送ピストンの前記穴に取り付ける機構と、
を含み、
前記移送ピストンを前記第1の容器に挿入することにより、前記粘性材料が、前記孔を通って前記第2の容器へと移動する、器具。
(37)実施態様36に記載の器具において、
粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする粘性材料が前記第2の容器の前記孔を通って流れるために、十分な力を与えるように構成される、器具。
(38)実施態様37に記載の器具において、
前記第1の容器および前記移送ピストンを手動操作することにより、前記十分な力を生成するように構成される、器具。
(39)実施態様36〜38のいずれか1つに記載の器具において、
混合要素を前記第1の容器から取り除くと、前記移送ピストンが、前記粘性材料の少なくとも一部を前記混合要素から取り除くように構成される、器具。
(40)粘性混合物の成分を混合する方法において、
a)前記成分を、内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルに投入することと、
b)駆動機構を作動させ、前記粘性が少なくとも500パスカル/秒である間、前記内部容積内の材料を混合することと、
を含む、方法。
(41)実施態様40に記載の方法において、
遊星混合要素を、前記駆動機構によって駆動することを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の実施形態の例による、混合器具の使用において生じる一連の事項を例示した、簡易フロー図である。
【図2】混合器具の例の、混合要素を混合ウェルから取り除いた状態の斜視図である。
【図3】組立式ミキサーの部分的な断面図であり、例示的な駆動機構の一部分を示す図である。
【図4A】例示的な駆動機構の概略図である。
【図4B】例示的な駆動機構の回転方向および距離を示す技術的な投影図である。
【図5】本発明の実施形態の例による、遊星混合要素と中央混合要素との間に生じるせん断応力の勾配を示す図である。
【図6】混合器具の例と共に使用されるように構成された、例示的なワイピング要素を示す図である。
【図7】混合器具の例と共に使用されるように構成された、例示的なワイピング要素を示す図である。
【図8】混合器具の例と共に使用されるように構成された、例示的なワイピング要素を示す図である。
【図9】混合器具の例と共に使用されるように構成された、移送モジュールを示す図である。
【図10】混合器具の例と共に使用されるように構成された、移送モジュールを示す図である。
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、混合器具および混合方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
成分を均一に混合する混合機械が周知である。これらの用途として、限定的ではないが、焼き付け、建造物工事、および医薬などがある。
【0003】
高粘性混合物用の混合器具は、高い抵抗に対して移動を続けるために十分なせん断力を与えるように構成されなければならない。場合によっては、混合中に、混合物の粘性が増加することによって、抵抗が増加する。
【0004】
混合中に混合物の粘性が増加する一例として、ポリマー/モノマー混合物の調整がある。ポリマーおよびモノマーを組み合わせると、重合反応が開始する。重合反応によって、混合物中のポリマー鎖長の平均が増加し、および/またはポリマー鎖間の架橋反応が生じる。増加したポリマー鎖長および/またはポリマー鎖間の架橋が、粘性を増加させる。
【0005】
重合混合物は、骨セメントの配合にしばしば用いられる。一般的に、骨セメント配合に用いられるポリマー/モノマー対の1つが、ポリメチルメタクリレート/メチルメタクリレート(polymethylmethacrylate/methylmethacrylate)(PMMA/MMA)である。PMMA/MMA骨セメントは、典型的には固体の形態をとるため、重合反応の反応条件は、PMMAおよびMMAの混合によって生成される液相が数分間持続するように調整されることが一般的である。この調整は、典型的には、MMAを含有するモノマー液、ならびに選択的にDMPTおよび/またはHQを、PMMAを含有するポリマー粉末、ならびに選択的に硫酸バリウムおよび/またはBPOおよび/またはスチレンと混合することによって行われる。結果として、予め入手可能な混合装置は、液体の重合混合物用に構成されたものとなり、混合中に液相をほとんど生じない高粘性セメントの混合にはあまり適さない。
【0006】
以下の参考文献は、骨セメント調整用に現在供用可能な混合機の一般的な例として引用するものである。このリストは、包括的であることを意図するものではない。
【0007】
米国特許第5,302,020号;米国公開特許第2003/0174576号;米国特許第6,994,465号および同4,961,647号は、中央混合要素を、中央混合要素の周りを回る遊星混合要素と組み合わせて使用する方法を開示する。これらの特許文献の開示内容はいずれも、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0008】
米国特許第5,415,474号および同第7,029,163号は、混合器具の一部として、移送機構を開示する。これらの特許文献の開示内容はいずれも、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0009】
米国特許第5,549,381号は、混合器具からリボン構成の混合要素を取り除くことにより、付着した混合物を混合要素から取り除くワイパーを開示する。この特許文献の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
〔発明の概要〕
本発明のいくつかの実施形態は、広義において、少量(small batches)の高粘性物質を混合することに関する。本発明の実施形態の一例において、「高粘性」とは、粘性が500、700、または900パスカル/秒であること、もしくはこの前後、もしくはこの中間の粘性であることを示す。粘性を決定する手段の例が、クラウス(Krause)ら(1982)による「アクリル製骨セメントの粘性(The viscosity of acrylic bone cements)」(生物医学材料研究ジャーナル(Journal of Biomedical Materials Research)、16:219−243)に記載されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。随意に、この粘性は、混合開始から30、60、または90秒以内に達成することができる。しかしながら、状況によっては、混合にこれよりも長い時間を費やす場合もある。少量とは、混合完了時において、100、50、25、15、または5mL、もしくはこれより小さい、もしくは中間の容積となる場合がある。
【0011】
本発明の実施形態の一例において、高粘性材料は、骨フィラーまたは「骨セメント」である。随意に、骨セメントはポリマー材料、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むことができる。随意に、骨セメントは、米国特許出願第60/738,556号;同第60/762,789号;同第60/765,484号、および同第11/360,251号の1つまたはそれ以上に記載される種類とすることができる。これらの特許出願の開示内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、少量の高粘性材料用ミキサーに関し、このミキサーは、混合ウェルの内面上に配置される、据え付け型(stationary)の円周方向ギアを採用した駆動機構を含む。本発明の実施形態の一例において、据え付け型の円周方向ギアは、遊星混合要素を駆動する。遊星混合要素は、その軸に対して回転しながら、混合ウェルの周りを円周状に移動する。
【0013】
本発明の実施形態の一例において、遊星混合要素は、中央混合要素と連携して材料を混合する。本発明の実施形態の一例において、中央混合要素は、混合ウェルのほぼ中心に配される。随意に、中央混合要素および/または遊星混合要素は、これら自体の軸を中心に回転することができる。
【0014】
本発明の実施形態の一例において、遊星混合要素および中央混合要素の回転は、それぞれの軸に対する半径方向速度が異なることを特徴とする。
【0015】
本発明の実施形態の一例において、遊星混合要素および中央混合要素は、それぞれの軸を中心として、逆方向に回転する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、少量の粘性材料用のミキサーに関する。ミキサーは、少なくとも1つの遊星混合要素を含み、遊星混合要素は、混合ウェルのほぼ中心に配置された中央混合要素の周りを回る。ここで、混合要素の外面間の距離(d)は、遊星混合要素と混合ウェルの内壁との間の距離とほぼ等しい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、少量の粘性材料用のミキサーに関する。ミキサーは、据え付け型の円周方向ギアと、混合物に所望のせん断力を与えるように選択された遊星混合要素のギアとの間のギア比率を特徴とする。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、少量の粘性材料用のミキサーに関する。ミキサーは、混合要素が、所望のせん断力を混合物に与えるように選択されたサイズであることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態の一例において、所望のせん断力を得るために選択されたギア比率は、(d)の増加に伴って増加する。本発明の実施形態の一例において、所望のせん断力を得るために、選択されたギア比率は、混合ウェルの直径の増加に伴って増加する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、粘性が少なくとも500パスカル/秒である少量の混合物の成分を混合する方法に関する。この方法は、手動駆動機構を作動させることにより、遊星混合要素を、その軸を中心に回転させ、かつ中央混合要素の周りを回るようにさせることを含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、ワイピング要素の使用により、混合器具の少なくとも1つの混合要素から、粘性材料を自動的に分離することに関する。これは、混合要素を混合器具から取り除くことにより、粘性材料が混合器具内に残留することによる。本発明の実施形態の一例において、ワイピング要素は、混合要素とほぼ適合する少なくとも1つのワイピング用の穴を含む。随意に、ワイピング用の穴は丸くすることができ、随意に、ほぼ正円形とすることができる。本発明の実施形態の一例において、ワイピング要素は、駆動機構の作動の間、混合ウェル内を回ることができる。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、粘性材料を、第1の容器から第2の容器へと移送する器具に関する。本発明の実施形態の一例において、この器具は、骨セメント用に構成される。随意に、第1の容器は混合ウェルであり、第2の容器は注入器具の一部とすることができる。本発明の実施形態の一例において、器具の部品を手動操作し、十分な力を生じさせることによって、粘性が500パスカル/秒であることを特徴とする材料が、第1の容器および第2の容器の間の穴を通過して流れる。
【0023】
本発明のさまざまな実施形態によれば、少量の粘性材料にとって所望のせん断力は、
a)混合ウェル内および/または混合要素上の、境界層を形成するための表面粗さ;
b)距離が短いほどせん断力を増加させる、表面間距離;および
c)混合要素表面および/または混合ウェル表面の相対速度
のうち、1つまたはそれ以上を変化させることによって生じる場合がある。
【0024】
相対速度は、随意に、寸法、ギア比率、駆動速度、および混合要素の回転速度のうち、1つまたはそれ以上に影響されるようにすることができる。
【0025】
本発明の実施形態の一例において、混合器具が提供され、この器具は、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル;
b)混合ウェルの内面上に配置される据え付け型の円周方向ギアを含む駆動機構;および
c)据え付け型の円周方向ギアと係合する混合要素ギアによって駆動される遊星混合要素
を含む。
【0026】
随意に、駆動機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0027】
随意に、少なくとも500パスカル/秒の粘性は、混合開始から90秒以内に達成することができる。
【0028】
随意に、器具は、
d)混合ウェルによって係合可能で、混合ウェルを閉じるように構成されたカバー
を含むことができる。
【0029】
随意に、カバーは、ロック用リングを含むことができる。
【0030】
随意に、駆動機構は、手動で操作されるように構成することができる。
【0031】
随意に、器具は、
d)混合ウェルの内面および遊星混合要素と同時に係合するように構成されたワイピング要素
を含むことができる。
【0032】
随意に、器具は、
d)混合ウェルのほぼ中心に配された中央混合要素
を含むことができる。
【0033】
随意に、器具は、
e)混合ウェルの内面、遊星混合要素、および中央混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素
を含むことができる。
【0034】
随意に、中央混合要素は、その軸を中心に回転することができる。
【0035】
随意に、中央混合要素および遊星混合要素は、逆方向に回転することができる。
【0036】
本発明の実施形態の一例において、混合器具が提供され、器具は、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル;
b)混合ウェル内に配された少なくとも1つの混合要素を作動させるように構成される駆動機構;および
c)混合ウェルの内面と係合するように構成されるワイピング要素であって、少なくとも1つの混合要素とほぼ適合する少なくとも1つのワイピング用の穴を含むワイピング要素
を含み;
ワイピング要素は、駆動機構の作動を妨げず;
少なくとも1つの混合要素を混合ウェルから除去することにより、少なくとも1つのワイピング用の穴が、混合物の少なくとも一部を少なくとも1つの混合要素から取り除く。
【0037】
随意に、ワイピング要素は、混合ウェルの内面と係合しながら、混合ウェル内を回転することができる。
【0038】
随意に、駆動機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0039】
随意に、器具は、
d)混合ウェルによって係合可能で、混合ウェルを閉じるように構成されるカバー
を含むことができる。
【0040】
随意に、カバーは、ロック用リングを含むことができる。
【0041】
随意に、少なくとも500パスカル/秒の粘性は、混合開始から90秒以内に達成することができる。
【0042】
随意に、ワイピング要素は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物の付着した部分を、少なくとも1つの混合要素から取り除くように構成することができる。
【0043】
随意に、少なくとも1つの混合要素は、少なくとも2つの混合要素を含むことができる。
【0044】
随意に、駆動機構は、手動操作されるように構成することができる。
【0045】
本発明の実施形態の一例において、混合器具が提供され、器具は、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル;
b)混合ウェルのほぼ中心に配置される中央混合要素;
c)中央混合要素の周りを回る少なくとも1つの遊星混合要素
を含み;
中央混合要素と遊星混合要素との間の第1の距離(d1)は、遊星混合要素と混合ウェルの内面との間の第2の距離(d2) とほぼ等しい。
【0046】
随意に、駆動機構は、手動操作されるように構成することができる。
【0047】
随意に、駆動機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0048】
本発明の実施形態の一例において、混合器具用の駆動機構が提供され、駆動機構は、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする容器の内周上に円形通路を定める歯のセット;
b)軸を特徴とする歯車であって、歯のセットと係合し、かつ軸を中心に回転するように構成される歯車;および
c)歯車を円形通路に沿って進ませる力を与えるよう構成される作動装置
を含む。
【0049】
随意に、機構は、
d)歯車の軸と、円形通路のほぼ中心に配される第2の歯車との間を接続する動力伝送要素
を含むことができる。
【0050】
随意に、作動装置を通して力を与えることにより、動力伝送要素が、円形通路の中心を通る軸を中心に第2の歯車を回転させるようにすることができる。
【0051】
随意に、歯車は、遊星混合要素を駆動することができる。
【0052】
随意に、第2の歯車は、中央混合要素を駆動することができる。
【0053】
随意に、作動装置は、手動で動かされることができる。
【0054】
随意に、機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0055】
本発明の実施形態の一例において、粘性混合物の成分を混合する方法が提供され、この方法は、
a)成分を、内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルに投入すること;
b)少なくとも1つの遊星混合要素および中央混合要素を、混合ウェルに配置すること;および
c)手動駆動機構を作動させて、遊星混合要素を、その軸を中心に回転させ、かつ中央混合要素の周りを回るようにさせることにより、成分を混合して混合物を形成すること
を含む。
【0056】
随意に、この方法は、
e)ワイピング要素を混合要素の少なくとも1つと係合させることにより、混合要素を混合ウェルから除去すると、ワイピング要素が、混合物を混合要素から拭き取るようにさせること
を含むことができる。
【0057】
随意に、駆動機構は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成することができる。
【0058】
随意に、少なくとも500パスカル/秒の粘性は、混合開始から90秒以内に達成することができる。
【0059】
随意に、手動駆動機構が十分な力を与えることにより、遊星混合要素は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を通って移動することができる。
【0060】
本発明の実施形態の一例において、粘性材料を移送する器具が提供され、この器具は、
a)粘性材料を収容可能な第1の容器;
b)移送ピストンであって、第1の容器に挿入可能であることにより、容器に対して円周状のシールを形成し、かつ、穴を含む移送ピストン;および
c)第2の容器の孔を、移送ピストンの穴に取り付ける機構
を含み;
移送ピストンを第1の容器に挿入することにより、粘性材料が孔を通って第2の容器へと移動する。
【0061】
随意に、この器具は、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする粘性材料が第2の容器の孔を通って流れるために、十分な力を与えるように構成することができる。
【0062】
随意に、この器具は、第1の容器および移送ピストンを手動操作することにより、十分な力を生成するように構成することができる。
【0063】
随意に、混合要素を第1の容器から取り除くと、移送ピストンが、粘性材料の少なくとも一部を混合要素から取り除くように構成することができる。
【0064】
本発明の実施形態の一例において、粘性混合物の成分を混合する方法が提供される。この方法は、
a)成分を、内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルに投入すること;
b)駆動機構を作動させ、粘性が少なくとも500パスカル/秒である間、内部容積内の材料を混合すること
を含む。
【0065】
随意に、この方法は、遊星混合要素を、駆動機構によって駆動することを含む。
【0066】
後述する本発明の非限定的な実施形態の例は、添付図面を参照して読まれるものである。図面において、同一および類似の構造、要素、または部分を複数の図に記載する場合、それらの図では、概して同一または類似の参照番号が付される。図示された構成要素の寸法および特徴は、提示する上での便宜およびわかりやすさを主な目的として選択したものであり、必ずしも縮尺通りに示したものではない。
【0067】
〔実施形態例の説明〕
〔概要〕
米国特許出願第60/738,556号;同第60/762,789号;同第60/765,484号;および同第11/360,251号(以下、「本発明者の先願」という)の開示内容は全て参照により本明細書に組み込まれており、高粘性状態へと迅速に移行することを特徴とするポリマー製骨セメントの配合を開示するものである。これらの出願が開示するセメント配合の例によれば、モノマーおよびポリマーを成分とする混合物は、ポリマーがモノマーによって湿るのとほぼ同時に、粘性が400〜500パスカル/秒の範囲であることを特徴とする混合物を生成する。実際には、わずか30秒で生成する場合もある。
【0068】
従来技術により可能な骨セメントの配合は、液相状態の時間が比較的長く、セメント注入に適した作業時間帯の短さが特徴であった。本発明者の先願が開示する新規なセメントの配合は、セメントが固化する前の比較的長い作業時間帯の後で、持続的な(persistent)液相状態となることがなく、高粘性状態へと迅速に移行することを特徴とする。本発明者の先願が開示する新規なセメントの配合による、高粘性状態へのほぼ即時の移行においては、完全な混合を確実に行うためには、高いせん断力が望ましい。この新規なセメントの配合において、液状であることは必須条件ではないため、混合物が液状の段階にあるうちに成分を混合することは、適当ではない。
【0069】
骨セメントは、典型的には、少量(例、5,10,20,30,40,50mL、またはこの前後、またはこの中間の容積)で調整されるため、本発明者の先願による新規なセメントの配合によれば、骨セメントの混合器具に新たな制約が生じる。
【0070】
本発明による混合器具の例は、慣用的な骨セメントの配合にも使用可能である。随意に、本発明による混合器具の例は、液相状態の後で重合反応が進行して粘性が400に到達した後に、随意に、500パスカル/秒、またはこの前後、またはこの中間の粘性に到達した後に、使用可能である。随意に、本発明による混合器具の例は、混合要素の距離を調節することにより、液体混合物の混合において使用可能である。随意に、本発明による混合器具の例は、公知の配合によって調整されたセメントを混合する場合、混合物の粘性が少なくとも100パスカル/秒に到達した後に使用可能である。
【0071】
図1は、本発明の実施形態の例による方法100を実行する際の、一連の工程を示す簡易フロー図である。
【0072】
110において、混合ウェルまたは混合器具の混合ウェルに、成分が投入される。随意に、この作動は、器具200の製造工程の一部として行うことができる。
【0073】
随意に、1つ以上のワイピング要素を、配置120することができる。混合ウェルの内部、もしくは混合器具のカバー上および/または混合要素上に配置することができ、混合ウェルへの成分の投入110の前または後に配置することができる。
【0074】
130において、混合要素が混合ウェルに挿入され、混合要素の少なくとも一部が混合物の成分内に沈められる。ワイピング要素を配置120していた場合、この段階において、混合物の成分は、概してワイピング要素の下に位置する。
【0075】
駆動機構の作動により、成分が混合140される。上述のとおり、本発明の実施形態の例によれば、混合140は、比較的短時間で成分から高粘性混合物を形成し、随意に、数秒で形成することができる。本発明の実施形態の一例において、高粘性混合物が形成された後も混合140を継続することによって、骨セメントの調整が十分に行われる。随意に、駆動機構の作動は、手動および/または、モーター、圧縮空気、またはその他任意の当業分野で公知の外部動力源によって駆動することができる。
【0076】
混合140の完了後、混合要素が取り除かれる150。ワイピング要素が配置120されている場合、混合要素の自動ワイピング152がこの段階で実施される。随意に、ワイピング要素は、除去150の間および/または後も、混合ウェルに残留することができる。
【0077】
随意に、セメントは、混合ウェルから注入槽に直接移送160することができる。随意に、移送160は、本発明の実施形態の例を備える移送器具を用いて行うことができる。
【0078】
〔器具の例〕
図2,3,6,7,および8は、本発明による混合器具200の実施形態の例を示す。
【0079】
図2は、例示的な器具200を示す図であり、カバー220がベース250から取り除かれている。カバー220は、任意のロック用リング224を備えた状態で図示され、 ロック用リング224は、ベース250に設けられた一連のねじ山256と係合する。
【0080】
本発明の実施形態のいくつかの例において、この段階で混合ウェル252に成分が投入110される。
【0081】
本発明の他の実施形態において、混合ウェル252への成分投入110は、製造および組立工程の一部として行う。随意に、器具200は、図3が示すように組み立てて供給することができる。器具200を組み立てて、混合物を収容した状態で供給する場合、モノマー液体およびポリマー粉末の望ましくない混合不足は、さまざまな方法で防止することが可能である。望ましくない混合不足を防止する方法の例は、後述のとおりである。
【0082】
カバー220は、駆動機構の一部を含む。駆動機構は、随意に手動の機構とし、ハンドル210で作動可能とすることができる。図示された実施形態において、カバー220は、下向きの突起222(図6)を含み、突起222は、係合アーム262によってワイピング要素260と係合するように構成される。
【0083】
図示された実施形態の例において、係合アーム262Bは、主に、突起222と係合するように機能する。
【0084】
実施形態の他の例において、係合アーム262Aは、突起222およびベース250内の溝264と係合するように機能する。係合アーム262Aとベース250内の溝264との関係は、後述のとおりである。
【0085】
中央混合要素230および遊星混合要素240が、カバー220から下方に突出している状態が視認できる。随意に、2つ以上の遊星混合要素240を設けることができる。遊星駆動ギア270の一部も、この図で視認できる。
【0086】
ベース250は、内部の混合ウェル252、および据え付け型の円周方向ギア254として機能する内側向きの一連の歯を含む。据え付け型の円周方向ギア254は、駆動機構の一部であり、カバー220をベース250と組み立てたときに、遊星駆動ギア270と係合するように構成される。
【0087】
図3は、組み立てた器具200の一部を切り取った図であり、駆動機構をより詳細に示す。この図では、混合要素230および240が挿入130され、図示の実施形態では、任意のワイピング要素が配置120されている。遊星駆動ギア270が、遊星混合要素240の中心軸上に位置し、混合要素240がギア270と共に移動および/または回転するように、遊星混合要素240と接続する。ギア270は、カバー220の駆動シャフト受け274内に着座する駆動シャフト272によって、カバー220に連結される。遊星ギア270の歯は、ベース250の混合ウェル252内で、据え付け型の円周方向ギア254の補完的形状をとる歯と係合する。遊星混合要素240は、駆動要素232によって中央混合要素230に連結される。ワイピング要素260は、混合ウェル252の内面ならびに混合要素230および240と同時に係合する。
【0088】
駆動機構を、例えばハンドル210を回転させることによって作動させると、カバー220がベース250に対して回転する。これにより、遊星駆動シャフト272が、混合ウェル252の内壁と同心上に位置する円形通路上を進む。遊星ギア270が据え付け型の円周方向ギア254と係合することによって、遊星駆動シャフト272および遊星混合要素240がこれらの円形通路に沿って進むと、遊星ギア270が遊星混合要素240を回転させる。本発明の実施形態の一例において、駆動要素232は、遊星混合要素240および中央混合要素230の両方に連結される。随意に、遊星混合要素240が進むと、駆動要素232が中央混合要素230を回転させるようにすることができる。本発明の他の実施形態において、中央混合要素230は回転しない。混合要素240が進むことにより、混合140が行われる。
【0089】
図4Aは、駆動機構の例を示す概略図であり、ベース250を俯瞰した図である。この図では、遊星ギア270、遊星駆動シャフト272、中央混合要素230、据え付け型の円周方向ギア254、および駆動要素232(ここでは、レバーとして図示)の物理的関係が、これまでの図よりもわかりやすく示されている。駆動機構についての技術的考察は、後述のとおりである。本発明の実施形態の一例において、据え付け型の円周方向ギア254の歯数は、遊星駆動ギア270の3倍である。
【0090】
混合要素230および240は、随意に、粗面、鋸歯状、または筋状とすることにより、混合中に、混合要素の表面近くで混合される材料の境界層を確実に形成することができる。随意に、ウェル252の内面を、同様に粗面、鋸歯状、または筋状とすることにより、ウェル表面近くに境界層を確実に形成することができる。
【0091】
本発明の実施形態の一例において、鋸歯は、垂直方向のスリットとして形成され、混合要素230および/または240の高さ全体にわたって延びる。随意に、長さ方向のスリットによって、混合要素230および/または240を、ワイピング要素260内のワイピング用の穴から容易に導入および除去することができる。随意に、垂直方向のスリットは、深さ0.1mm、0.5mm、または1mm、もしくはこの前後の深さ、もしくはこの中間の深さであることを特徴とすることができる。
【0092】
〔駆動機構の例についての技術的考察〕
図4Bは、技術的な投影図であり、例示的な駆動機構の回転方向および距離をそれぞれ示す。この図は、図4Aが示すベース250を俯瞰した図である。中央混合要素230外面の演算点(operation point)「A」が反時計(矢印)回りに半径速度V(A)で動く場合:
V(A)=ω*R1
ここで、ω1は、混合要素230のラジアン毎秒値での回転速度であり、R1は、混合要素230の半径である。
遊星混合要素240表面の演算点「B」が、半径速度V(B)を有し、半径速度V(B)は、中央混合要素230の軸に対する遊星混合要素240の回転による速度、および遊星混合要素240の自転による速度の合計を含む、すなわち:
V(B)=ω1*R(B)+ω2*R2
ここで、ω2=i*ω1
ここで、「i」は、据え付け型の円周方向ギア254の歯数と遊星ギア270の歯数との比であり;ω1は、混合要素230の回転速度であり;
R(B)は、混合要素230の中心から、最も近い混合要素240上の点(B)までの距離であり;
およびR2は、混合要素240の半径である。
遊星混合要素240の反対側の面に位置する演算点(C)が、半径速度V(C)を有し、半径速度V(C)は、中央混合要素230の軸に対する遊星混合要素240の回転による速度と、遊星混合要素240の自転による速度との差を含む、すなわち:
V(C)=ω1*R(C)−i*ω1*R2
ここで、R(C)は、混合要素230の中心から、最も遠い混合要素240上の点(C)までの距離であり;
他の用語については、先に定義した通りである。
据え付け型の円周方向ギア254上の点Dは、速度ゼロである。混合物が点AとBとの間、または点CとDとの間を流れる際に受けるせん断応力は、対向する点の間の半径速度の差(速度勾配)によって計算することができる:
定点と遊星混合要素との間にかかるせん断応力は、次式に相関する:
V(B)−V(A)=ω1*(R(B)−R1+iR2)
遊星混合要素と据え付け型の混合チャンバ内面との間にかかるせん断応力は、V(C)−V(D)=ω1*(R(C)−iR2)に相関する。
本発明の実施形態の一例において、器具200は手動で作動され、ω1はオペレータによって設定される。随意に、ω1は、10,15,22,または30RPM、もしくはこの前後、もしくはこの中間値を取り得る。
本発明の実施形態の一例において、R1、R2、R(B)、R(C)、およびiは、構造条件、および相対的に近似した速度勾配の双方に適合するよう選択する。速度勾配は、選択した粘性が、例えば500パスカル/秒であることを踏まえ、適切なせん断応力を生成するのに十分な値とする。
【0093】
図5は、混合物500が2つの要素(例:遊星混合要素240および中央混合要素230、または遊星混合要素240および混合ウェル254の内壁)の間を流れる際に受ける、せん断応力の勾配の理論値を示す。混合物500の粘性が増加すると、混合に必要なせん断応力も増加する。
【0094】
本発明の実施形態の一例において、粘性が500パスカル/秒であることを特徴とする混合物500を混合するために十分なせん断力が、2つの混合要素(図4BのAからB)の間の距離、または遊星混合要素240と混合ウェル254内壁(図4BのCからD)との間の距離を、1mm〜5mmに調節することで得られる。随意に、約2mmとすることができる。
代わりに、または追加的に、せん断力を、混合要素230および/または240の表面エリア、および/または混合物と接するウェル252内面を変化させることによって調節することができる。
【0095】
〔ワイピング要素〕
図6,7,および8は、本発明の実施形態の一例による、任意のワイピング要素260の配置および機能を示す。
【0096】
図6は、ワイピング要素260が、係合アーム262Aおよび262Bによって下向きの突起222と係合する状態を示す。混合ウェル252の円周方向の溝264は、この段階では空である。混合要素230および240は、ワイピング要素260内のワイピング用の穴から突出する。
【0097】
図7は、カバー220がベース250と組み立てられ、ワイピング要素230および240が、混合ウェル252の床258と近接する状態を示す。ワイピング要素260の係合アーム262は、混合ウェル252の溝264内に着座する(挿入図において、わかりやすく拡大されている)。係合アーム262の各々は、遊星混合要素240が混合ウェル252内を周って移動すると、混合ウェル252内を周って溝264に沿って円周方向にスライドする。
【0098】
図8は、混合要素230および240を混合ウェル252から取り除いた150状態を示す。係合アーム262が溝264に保持されることにより、ワイピング要素の位置が固定される。要素230および240を取り除くと、ワイピング用の穴の端部によって、自動的にワイピング152が行われる。
【0099】
〔移送機構〕
図9および10は、本発明の実施形態の例による移送機構を示す。これは、同時継続中の米国特許出願第11/360,251号において既に開示されており、同出願の開示内容は、全て参照により本明細書に組み込まれる。図9は断面図であり、図10は一部を切り取った斜視図である。
【0100】
図9および10は、移送要素900の例示的な図であり、移送要素900は、混合ウェル254に挿入された移送ピストンカップ950を含む。図示された実施形態において、ピストンカップ950のねじ山956は、ベース250のねじ山256と係合する。移送ピストンカップ950がベース250にねじ留めされると、移送ピストンカップ950の床958が、混合ウェル252の床258へ向けて押し下げられる。この動きが、ワイピング要素260に下向きの圧力を加える。下向きの圧力によって、係合アーム262が溝264から解放される。係合アーム262が解放されると、ワイピング要素260は自由になり、混合ウェル252の床258へ向かって降下する。随意に、ワイピング要素260も、混合物を注入槽910内に押し入れるピストンとして機能することができる。
【0101】
図示された実施形態において、移送ピストンカップ950は、第2のねじ山セット952と嵌合し、第2のねじ山セット952は、注入槽910の対応するねじ山930に係合する。作動時は、移送ピストンカップ950を混合ウェル252に挿入する前に、ねじ山930および952によって、注入槽910を移送ピストンカップ950に取り付ける。移送ピストンカップ950が混合ウェル252内に下降すると、混合ウェル252の内容物(例:高粘性骨セメント)が押し上げられ、注入槽910に入る。注入ノズル920が、注入槽910の排気機能を果たすため、圧力抵抗は増加しない。混合された材料は、この段階では、注入器に移送160されている。随意に、骨セメントが注入ノズル920から排出されると、槽910が満杯であることを器具のオペレータに知らせるようにすることができる。
【0102】
〔寸法の例〕
本発明の様々な実施形態によれば、混合ウェル252の内部容積は5mL、随意に10mL、随意に20mL、随意に40mL、随意に60mL、随意に80mL、随意に100mL、またはこの前後、またはこの中間の容積とすることができる。本発明の実施形態の一例において、混合ウェルの容積は、50mL〜60mL、随意に約66mLとし、10mL〜20mLの混合物、随意に約15mLの混合物を、チャンバに投入して混合することができる。本発明の実施形態の一例において、ウェル252の内部容積の一部は、混合要素230および240が占めている。
【0103】
随意に、混合ウェルの内径は20mm、随意に40mm、随意に60mm、随意に80mm、随意に100mm、またはこの前後、またはこの中間のサイズとすることができる。本発明の実施形態の一例において、混合ウェルの内径は40mm〜50mm、随意に約46mmとすることができる。
【0104】
随意に、混合ウェルの高さは、20mmとすることができるが、40mm、60mm、80mm、または100mm、もしくはこの前後、もしくはこの中間のサイズとすることもできる。本発明の実施形態の一例において、混合ウェルの高さは35〜45mm、随意に約40mmとすることができる。
【0105】
随意に、混合ウェルのアスペクト比(直径/高さ)は、0.7、0.9、1.1、または1.3、もしくはこの前後、もしくはこの中間値とすることができる。本発明の実施形態の一例において、混合ウェルのアスペクト比(直径/高さ)は1.1〜1.2であり、随意に約1.15とすることができる。
【0106】
本発明の実施形態の一例において、中央混合要素と遊星混合要素との間の距離(d1)(図4AのAからBとして示される)および/または遊星混合要素と混合ウェルの内壁との間の距離(d2)(図4AのCからDとして示される)は、1mm、2mm、3mm、4mm、または5mm、もしくはこの前後、もしくはこの中間の距離である。本発明の実施形態の一例において、d1はd2とほぼ等しい。
【0107】
典型的な椎骨治療では、1本の椎骨に注入される量は、約5mLである。一般的には、1本の椎骨に注入する場合はセメント約8mLを調整し、2本の椎骨に注入する場合はセメント約15mL、3本以上の椎骨に注入する場合は量を漸増させる。粉末ポリマー成分および液体モノマー成分を組み合わせると、ポリマーがモノマーで湿るため、混合物の合計量が減少する。例えば、40mL〜50mLのポリマー粉末を7mL〜9mLのモノマー液体と混合112すると、18mLの重合セメントが得られる。本発明の実施形態の一例において、ウェル252の容積は、はるかに少量のセメントを調整する場合であっても、初期状態では大きいカラムのモノマー粉末を収容できるように選択する。
【0108】
本発明の実施形態の一例において、移送要素900によって注入槽910へ移送した後もウェル242内に残留する、無駄になったセメントの量は、2mL、1mL、または0.5mL未満、もしくはこれ未満、もしくはこの中間値である。
【0109】
本発明の実施形態の一例において、中央混合要素230の直径および注入槽910の直径は、どちらもワイピング要素260の孔の直径に等しい。随意に、このように直径を画一的にすることによって、移送器具900の作動後、ウェル252に残る無駄なセメントの量を減らすことができる。随意に、これらの直径は約18mmとすることができる。
【0110】
本発明の他の実施形態(図示せず)において、ベース250の混合ウェル252は、注入器具に移送され、セメントを、ウェル252から対象物に直接注入することができる。随意に、この工程は、混合要素230および240を取り除いた後に行うことができる。
【0111】
〔材料の例〕
本発明の実施形態の一例において、混合器具の部品は、ポリアミド(例:ナイロン)および/またはポリプロピレンで製造する。
【0112】
随意に、器具の一部は、金属製、例えばステンレス鋼製とすることができる。本発明の実施形態の一例において、摩擦やトルクなどの大きな力を受ける部分は、金属製とする。随意に、ハンドル210、ギア(例:270)、歯(例:254)、駆動アーム(例:232)、および混合要素(例:230および/または240)のうち1つ以上を、金属製とすることができる。
【0113】
〔使用方法の例〕
本発明の実施形態の一例において、器具200は、使用説明書を備える。本発明の実施形態の一例において、説明書は、ウェル252に投入した混合物を完全に混合するための工程について説明する。
【0114】
随意に、これらの説明書は、完全な混合を確実にするために推奨される所要時間を示すことができる。本発明の実施形態の一例において、所要時間は、30秒〜90秒である。随意に30秒〜60秒、随意に約45秒、またはこの前後、またはこの中間の長さとすることができる。
【0115】
随意に、これらの説明書は、完全な混合を確実にするために推奨される回転数を示すことができる。本発明の実施形態の一例において、回転数は、20回〜100回、随意に40回〜60回、随意に約50回、またはこれより少なく、またはこの中間の回数とすることができる。
【0116】
随意に、これらの説明書は、混合の完了をユーザに知らせる信号について説明することができる。信号は、視覚信号(例:表示灯)、聴覚信号(例:ブザーまたはベル)、または触覚信号(例:望ましい粘性に到達したら、ギア270が歯254をスリップする)とすることができる。本発明の実施形態の一例において、信号は、閉フィードバックループによって発信される。ループは、例えば、粘性(例:トルク)、求心力、時間、器具200の一部(例:ハンドル210、ギア270、または混合要素230および/または240)の回転数、または混合物の量を間接的に計測することで、機能することができる。
【0117】
随意に、この器具は、事前に設定した時間帯および/または回転数の間だけハンドルを回転させる機構と組み合わせることができる。
【0118】
〔せん断力についての考察〕
ウェル252内の混合物にかかるせん断力は、主に、表面特性、表面間距離、および表面間の速度差の影響を受ける。
【0119】
混合要素230,240、およびウェル252内面の表面特性は、いずれも混合物500に加わるせん断力に影響する (図5)。表面を粗くする(例:鋸歯状または筋状にする)と摩擦力が増加するため、混合物500がこれらの表面でスリップすることを防止できる。表面が十分に粗い場合、境界層の、表面に対する相対速度はゼロとなる。随意に、このように相対速度をゼロにすることで、せん断力を増加することができる。
【0120】
表面間距離は、表面間を移動する混合物500に作用するせん断力に反比例する。本発明の実施形態の一例において、線A−Bおよび/または線C−D(図4B)によって定められる距離が長くなると、これらの線を通過する混合物500の一部に加わるせん断力は減少する。
【0121】
ミキサー200の部分間の相対速度の差も、混合物200に対するせん断力に影響する。 相対速度の差が大きくなると、要素の間を流れる混合物500に加わるせん断力は増加する。相対速度は、随意に、角速度および/または半径方向速度、および/または関係する要素の半径に影響されるようにすることができることは、既に詳述したとおりである。本発明の実施形態の一例において、相対速度の差は、異なる方向の角速度を混合要素240および230に与えることによって増幅する。
【0122】
〔総論〕
骨セメント混合物の成分には、吸引すると不快な臭気および/または毒性を発するものがあるため、本発明の実施形態のいくつかの例は、望ましくない蒸気への曝露を減じるための安全機能を含む。
【0123】
本発明の実施形態の一例において、ロック用リング224は、気密シール(例:ゴムまたはシリコン)を備え、ウェル252から蒸気が漏れることを防ぐ。
【0124】
代わりに、または追加的に、器具200は、真空源に接続可能な排気ポート(図示せず)を備えることができる。本発明の実施形態の一例において、真空源は、病院の手術室に設置される標準的な「壁掛け式吸引」ユニットであり、望ましくない蒸気は、骨セメント混合物のMMA成分から発生する。
【0125】
器具200が、混合する成分をウェル252内に収容した状態で与えられる場合は、望ましくない混合不足を防止するための方法を実施する場合がある。
【0126】
モノマー液体およびポリマー粉末の望ましくない混合不足を防止する方法の一例は、モノマー液体を密閉した袋またはカプセルに収容することであり、袋またはカプセルは、器具200の作動時に破裂する。カプセルは、混合物500の流れによって、線A−Bまたは線C−Dを通過するときに破裂する。本発明の実施形態の一例において、カプセルは、A−Bおよび/またはC−Dの長さを超える最短の長さであることを特徴として設計される。本発明の実施形態の一例において、袋またはカプセルは、生態適合材料で製造され、骨セメントと共に注入される。
【0127】
モノマー液体およびポリマー粉末の望ましくない混合不足を防止する方法の他の例は、モノマー液体を、中央混合要素230の中に収容することである。随意に、カバー220をベース250から一部取り除くと、モノマー液体が混合要素230から出てウェル252に入ることができる。随意に、ロック用リング224を締め付けると、混合要素230のシールが破れようにすることができる。シールが破れると、液体モノマーが粉末成分上に放出される。
【0128】
モノマー液体およびポリマー粉末の望ましくない混合不足を防止する方法の他の例は、モノマー液体を、混合ウェル252の壁の空隙中に収容することである。随意に、空隙内の内容物を、混合開始時に手動でまたは自動的にウェル252に投入することができる。
【0129】
本発明の実施形態を詳述することによって、本発明を説明した。これらの実施形態は、本発明の例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。特に、数値に関しては、前述した数値より高い場合および低い場合であっても、本発明の範囲に属する。記載された実施形態は、異なる特徴を備えるが、その全てが本発明のあらゆる実施形態に必須な特徴ではない。本発明の実施形態の中には、特徴の一部のみを利用するものもあれば、とり得る組み合わせを利用するものもある。代わりに、または追加的に、1つだけのユニットとして記載/図示された本発明の一部が、2つ以上の物理的に分離した個体として備わり、それらの個体が連携して記載/図示された機能を実行する場合もある。代わりに、または追加的に、2つ以上の物理的に分離した個体として記載/図示された本発明の一部が、物理的に単一の個体に統合され、記載/図示された機能を実行する場合もある。記載された本発明の実施形態の変形と、記載された実施形態において言及した特徴の異なる組み合わせを備える本発明の実施形態とを、あらゆるとり得る組み合わせによって組み合わせることが可能である。組み合わせは、ある実施形態の構成で記載された特徴を、あらゆる他の実施形態の構成で利用することを含むが、それに限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0130】
本願の明細書および特許請求の範囲において、動詞「備える」、「含む」、および「有する」は、これらの活用形と同様に、その目的語が、主語である部材、成分、要素、または部分を網羅するとは限らないことを示すために使用される。
【0131】
本願の中で引用される全ての文献および/または特許および/または製品についての記載は、各々が個別に参照によって本明細書に組み込まれたのと同程度に、全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0132】
〔実施の態様〕
(1)混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェルの内面上に位置する据え付け型の円周方向ギアを含む駆動機構と、
c)前記据え付け型の円周方向ギアと係合する混合要素ギアによって駆動される遊星混合要素と、
を備える、器具。
(2)実施態様1に記載の器具において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
(3)実施態様1に記載の器具において、
少なくとも500パスカル/秒の前記粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、器具。
(4)実施態様1に記載の器具において、
d)前記混合ウェルによって係合可能であり、前記混合ウェルを閉じるように構成されるカバーを備える、器具。
(5)実施態様4に記載の器具において、
前記カバーが、ロック用リングを含む、器具。
(6)実施態様1〜5のいずれか1つに記載の器具において、
前記混合ウェルの内面および前記遊星混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素を備える、器具。
(7)実施態様1〜5のいずれか1つに記載の器具において、
前記駆動機構が、手動操作されるように構成される、器具。
(8)実施態様1〜5のいずれか1つに記載の器具において、
前記混合ウェルのほぼ中心に配された中央混合要素を備える、器具。
(9)実施態様8に記載の器具において、
前記混合ウェルの内面、前記遊星混合要素、および前記中央混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素を備える、器具。
(10)実施態様8に記載の器具において、
前記中央混合要素が、前記中央混合要素の軸を中心に回転する、器具。
【0133】
(11)実施態様10に記載の器具において、
前記中央混合要素および前記遊星混合要素が、逆方向に回転する、器具。
(12)混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェル内に配された少なくとも1つの混合要素を作動させるように構成される駆動機構と、
c)前記混合ウェルの内面と係合するように構成されるワイピング要素であって、前記少なくとも1つの混合要素とほぼ適合する少なくとも1つのワイピング用の穴を含むワイピング要素と、
を備え、
前記ワイピング要素が、前記駆動機構の作動を妨げず、
前記少なくとも1つの混合要素を前記混合ウェルから除去することにより、前記少なくとも1つのワイピング用の穴が、前記混合物の少なくとも一部を前記少なくとも1つの混合要素から取り除く、器具。
(13)実施態様12に記載の器具において、
d)前記混合ウェルによって係合可能であり、前記混合ウェルを閉じるように構成されるカバーを備える、器具。
(14)実施態様12に記載の器具において、
前記ワイピング要素が、前記混合ウェルの内面と係合しながら前記混合ウェル内を回転する、器具。
(15)実施態様12に記載の器具において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
(16)実施態様13に記載の器具において、
前記カバーが、ロック用リングを含む、器具。
(17)実施態様12〜16のいずれか1つに記載の器具において、
前記少なくとも500パスカル/秒の粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、器具。
(18)実施態様12〜16のいずれか1つに記載の器具において、
前記ワイピング要素が、前記粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物の付着した部分を、前記少なくとも1つの混合要素から取り除くように構成される、器具。
(19)実施態様18に記載の器具において、
前記少なくとも1つの混合要素が、少なくとも2つの混合要素を含む、器具。
(20)実施態様12〜16のいずれか1つに記載の器具において、
前記駆動機構が、手動操作されるように構成される、器具。
【0134】
(21)混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェルのほぼ中央に配置される中央混合要素と、
c)前記中央混合要素の周りを回る少なくとも1つの遊星混合要素と、
を備え、
前記中央混合要素と前記遊星混合要素との間の第1の距離(d1)が、前記遊星混合要素と前記混合ウェルの内面との間の第2の距離(d2)とほぼ等しい、器具。
(22)実施態様21に記載の器具において、
前記遊星混合要素が、手動操作されるように構成される、器具。
(23)実施態様21または22に記載の器具において、
前記遊星混合要素および前記中央混合要素が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
(24)混合器具用の駆動機構において、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする容器の内周上に円形通路を定める歯のセットと、
b)軸を特徴とする歯車であって、前記歯のセットと係合し、かつ前記軸を中心に回転するように構成される、歯車と、
c)前記歯車を前記円形通路に沿って進ませる力を与えるように構成される作動装置と、
を含む、機構。
(25)実施態様24に記載の機構において、
d)前記歯車の前記軸と、前記円形通路のほぼ中心に配される第2の歯車との間を接続する、動力伝送要素を備える、機構。
(26)実施態様25に記載の機構において、
前記第2の歯車が、中央混合要素を駆動する、機構。
(27)実施態様25に記載の機構において、
前記作動装置を通して力を与えることにより、前記動力伝送要素が、前記円形通路の前記中心を通る軸を中心に、前記第2の歯車を回転させる、機構。
(28)実施態様24〜27のいずれか1つに記載の機構において、
前記歯車が、遊星混合要素を駆動する、機構。
(29)実施態様24〜27のいずれか1つに記載の機構において、
前記作動装置が、手動で動かされる、機構。
(30)実施態様24〜27のいずれか1つに記載の機構において、
粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成される、機構。
【0135】
(31)粘性混合物の成分を混合する方法において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル内に、前記成分を投入することと、
b)少なくとも1つの遊星混合要素および中央混合要素を前記混合ウェル内に配置することと、
c)手動駆動機構を作動させて、前記遊星混合要素を、その軸を中心に回転させ、かつ前記中央混合要素の周りを回るようにさせることにより、前記成分を混合して混合物を形成することと、
を含む、方法。
(32)実施態様31に記載の方法において、
d)ワイピング要素を前記混合要素の少なくとも1つと係合させることにより、前記混合要素を前記混合ウェルから除去することによって、前記ワイピング要素が、前記混合要素から混合物を拭き取るようにすることを含む、方法。
(33)実施態様31または32に記載の方法において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成される、方法。
(34)実施態様31または32に記載の方法において、
少なくとも500パスカル/秒の前記粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、方法。
(35)実施態様31または32に記載の方法において、
前記手動駆動機構が十分な力を与えることにより、前記遊星混合要素が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を通って移動する、方法。
(36)粘性材料を移送する器具において、
a)粘性材料を収容可能な第1の容器と、
b)移送ピストンであって、前記第1の容器に挿入可能であることにより、前記容器に対して円周状のシールを形成し、かつ、穴を含む、移送ピストンと、
c)第2の容器の孔を、前記移送ピストンの前記穴に取り付ける機構と、
を含み、
前記移送ピストンを前記第1の容器に挿入することにより、前記粘性材料が、前記孔を通って前記第2の容器へと移動する、器具。
(37)実施態様36に記載の器具において、
粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする粘性材料が前記第2の容器の前記孔を通って流れるために、十分な力を与えるように構成される、器具。
(38)実施態様37に記載の器具において、
前記第1の容器および前記移送ピストンを手動操作することにより、前記十分な力を生成するように構成される、器具。
(39)実施態様36〜38のいずれか1つに記載の器具において、
混合要素を前記第1の容器から取り除くと、前記移送ピストンが、前記粘性材料の少なくとも一部を前記混合要素から取り除くように構成される、器具。
(40)粘性混合物の成分を混合する方法において、
a)前記成分を、内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルに投入することと、
b)駆動機構を作動させ、前記粘性が少なくとも500パスカル/秒である間、前記内部容積内の材料を混合することと、
を含む、方法。
(41)実施態様40に記載の方法において、
遊星混合要素を、前記駆動機構によって駆動することを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の実施形態の例による、混合器具の使用において生じる一連の事項を例示した、簡易フロー図である。
【図2】混合器具の例の、混合要素を混合ウェルから取り除いた状態の斜視図である。
【図3】組立式ミキサーの部分的な断面図であり、例示的な駆動機構の一部分を示す図である。
【図4A】例示的な駆動機構の概略図である。
【図4B】例示的な駆動機構の回転方向および距離を示す技術的な投影図である。
【図5】本発明の実施形態の例による、遊星混合要素と中央混合要素との間に生じるせん断応力の勾配を示す図である。
【図6】混合器具の例と共に使用されるように構成された、例示的なワイピング要素を示す図である。
【図7】混合器具の例と共に使用されるように構成された、例示的なワイピング要素を示す図である。
【図8】混合器具の例と共に使用されるように構成された、例示的なワイピング要素を示す図である。
【図9】混合器具の例と共に使用されるように構成された、移送モジュールを示す図である。
【図10】混合器具の例と共に使用されるように構成された、移送モジュールを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェルの内面上に位置する据え付け型の円周方向ギアを含む駆動機構と、
c)前記据え付け型の円周方向ギアと係合する混合要素ギアによって駆動される遊星混合要素と、
を備える、器具。
【請求項2】
請求項1に記載の器具において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
【請求項3】
請求項1に記載の器具において、
少なくとも500パスカル/秒の前記粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、器具。
【請求項4】
請求項1に記載の器具において、
d)前記混合ウェルによって係合可能であり、前記混合ウェルを閉じるように構成されるカバーを備える、器具。
【請求項5】
請求項4に記載の器具において、
前記カバーが、ロック用リングを含む、器具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の器具において、
前記混合ウェルの内面および前記遊星混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素を備える、器具。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の器具において、
前記駆動機構が、手動操作されるように構成される、器具。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の器具において、
前記混合ウェルのほぼ中心に配された中央混合要素を備える、器具。
【請求項9】
請求項8に記載の器具において、
前記混合ウェルの内面、前記遊星混合要素、および前記中央混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素を備える、器具。
【請求項10】
請求項8に記載の器具において、
前記中央混合要素が、前記中央混合要素の軸を中心に回転する、器具。
【請求項11】
請求項10に記載の器具において、
前記中央混合要素および前記遊星混合要素が、逆方向に回転する、器具。
【請求項12】
混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェル内に配された少なくとも1つの混合要素を作動させるように構成される駆動機構と、
c)前記混合ウェルの内面と係合するように構成されるワイピング要素であって、前記少なくとも1つの混合要素とほぼ適合する少なくとも1つのワイピング用の穴を含むワイピング要素と、
を備え、
前記ワイピング要素が、前記駆動機構の作動を妨げず、
前記少なくとも1つの混合要素を前記混合ウェルから除去することにより、前記少なくとも1つのワイピング用の穴が、前記混合物の少なくとも一部を前記少なくとも1つの混合要素から取り除く、器具。
【請求項13】
請求項12に記載の器具において、
d)前記混合ウェルによって係合可能であり、前記混合ウェルを閉じるように構成されるカバーを備える、器具。
【請求項14】
請求項12に記載の器具において、
前記ワイピング要素が、前記混合ウェルの内面と係合しながら前記混合ウェル内を回転する、器具。
【請求項15】
請求項12に記載の器具において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
【請求項16】
請求項13に記載の器具において、
前記カバーが、ロック用リングを含む、器具。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の器具において、
前記少なくとも500パスカル/秒の粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、器具。
【請求項18】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の器具において、
前記ワイピング要素が、前記粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物の付着した部分を、前記少なくとも1つの混合要素から取り除くように構成される、器具。
【請求項19】
請求項18に記載の器具において、
前記少なくとも1つの混合要素が、少なくとも2つの混合要素を含む、器具。
【請求項20】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の器具において、
前記駆動機構が、手動操作されるように構成される、器具。
【請求項21】
混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェルのほぼ中央に配置される中央混合要素と、
c)前記中央混合要素の周りを回る少なくとも1つの遊星混合要素と、
を備え、
前記中央混合要素と前記遊星混合要素との間の第1の距離(d1)が、前記遊星混合要素と前記混合ウェルの内面との間の第2の距離(d2)とほぼ等しい、器具。
【請求項22】
請求項21に記載の器具において、
前記遊星混合要素が、手動操作されるように構成される、器具。
【請求項23】
請求項21または22に記載の器具において、
前記遊星混合要素および前記中央混合要素が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
【請求項24】
混合器具用の駆動機構において、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする容器の内周上に円形通路を定める歯のセットと、
b)軸を特徴とする歯車であって、前記歯のセットと係合し、かつ前記軸を中心に回転するように構成される、歯車と、
c)前記歯車を前記円形通路に沿って進ませる力を与えるように構成される作動装置と、
を含む、機構。
【請求項25】
請求項24に記載の機構において、
d)前記歯車の前記軸と、前記円形通路のほぼ中心に配される第2の歯車との間を接続する、動力伝送要素を備える、機構。
【請求項26】
請求項25に記載の機構において、
前記第2の歯車が、中央混合要素を駆動する、機構。
【請求項27】
請求項25に記載の機構において、
前記作動装置を通して力を与えることにより、前記動力伝送要素が、前記円形通路の前記中心を通る軸を中心に、前記第2の歯車を回転させる、機構。
【請求項28】
請求項24〜27のいずれか1項に記載の機構において、
前記歯車が、遊星混合要素を駆動する、機構。
【請求項29】
請求項24〜27のいずれか1項に記載の機構において、
前記作動装置が、手動で動かされる、機構。
【請求項30】
請求項24〜27のいずれか1項に記載の機構において、
粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成される、機構。
【請求項31】
粘性混合物の成分を混合する方法において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル内に、前記成分を投入することと、
b)少なくとも1つの遊星混合要素および中央混合要素を前記混合ウェル内に配置することと、
c)手動駆動機構を作動させて、前記遊星混合要素を、その軸を中心に回転させ、かつ前記中央混合要素の周りを回るようにさせることにより、前記成分を混合して混合物を形成することと、
を含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
d)ワイピング要素を前記混合要素の少なくとも1つと係合させることにより、前記混合要素を前記混合ウェルから除去することによって、前記ワイピング要素が、前記混合要素から混合物を拭き取るようにすることを含む、方法。
【請求項33】
請求項31または32に記載の方法において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成される、方法。
【請求項34】
請求項31または32に記載の方法において、
少なくとも500パスカル/秒の前記粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、方法。
【請求項35】
請求項31または32に記載の方法において、
前記手動駆動機構が十分な力を与えることにより、前記遊星混合要素が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を通って移動する、方法。
【請求項36】
粘性材料を移送する器具において、
a)粘性材料を収容可能な第1の容器と、
b)移送ピストンであって、前記第1の容器に挿入可能であることにより、前記容器に対して円周状のシールを形成し、かつ、穴を含む、移送ピストンと、
c)第2の容器の孔を、前記移送ピストンの前記穴に取り付ける機構と、
を含み、
前記移送ピストンを前記第1の容器に挿入することにより、前記粘性材料が、前記孔を通って前記第2の容器へと移動する、器具。
【請求項37】
請求項36に記載の器具において、
粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする粘性材料が前記第2の容器の前記孔を通って流れるために、十分な力を与えるように構成される、器具。
【請求項38】
請求項37に記載の器具において、
前記第1の容器および前記移送ピストンを手動操作することにより、前記十分な力を生成するように構成される、器具。
【請求項39】
請求項36〜38のいずれか1項に記載の器具において、
混合要素を前記第1の容器から取り除くと、前記移送ピストンが、前記粘性材料の少なくとも一部を前記混合要素から取り除くように構成される、器具。
【請求項40】
粘性混合物の成分を混合する方法において、
a)前記成分を、内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルに投入することと、
b)駆動機構を作動させ、前記粘性が少なくとも500パスカル/秒である間、前記内部容積内の材料を混合することと、
を含む、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、
遊星混合要素を、前記駆動機構によって駆動することを含む、方法。
【請求項1】
混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェルの内面上に位置する据え付け型の円周方向ギアを含む駆動機構と、
c)前記据え付け型の円周方向ギアと係合する混合要素ギアによって駆動される遊星混合要素と、
を備える、器具。
【請求項2】
請求項1に記載の器具において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
【請求項3】
請求項1に記載の器具において、
少なくとも500パスカル/秒の前記粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、器具。
【請求項4】
請求項1に記載の器具において、
d)前記混合ウェルによって係合可能であり、前記混合ウェルを閉じるように構成されるカバーを備える、器具。
【請求項5】
請求項4に記載の器具において、
前記カバーが、ロック用リングを含む、器具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の器具において、
前記混合ウェルの内面および前記遊星混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素を備える、器具。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の器具において、
前記駆動機構が、手動操作されるように構成される、器具。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の器具において、
前記混合ウェルのほぼ中心に配された中央混合要素を備える、器具。
【請求項9】
請求項8に記載の器具において、
前記混合ウェルの内面、前記遊星混合要素、および前記中央混合要素と同時に係合するように構成されるワイピング要素を備える、器具。
【請求項10】
請求項8に記載の器具において、
前記中央混合要素が、前記中央混合要素の軸を中心に回転する、器具。
【請求項11】
請求項10に記載の器具において、
前記中央混合要素および前記遊星混合要素が、逆方向に回転する、器具。
【請求項12】
混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェル内に配された少なくとも1つの混合要素を作動させるように構成される駆動機構と、
c)前記混合ウェルの内面と係合するように構成されるワイピング要素であって、前記少なくとも1つの混合要素とほぼ適合する少なくとも1つのワイピング用の穴を含むワイピング要素と、
を備え、
前記ワイピング要素が、前記駆動機構の作動を妨げず、
前記少なくとも1つの混合要素を前記混合ウェルから除去することにより、前記少なくとも1つのワイピング用の穴が、前記混合物の少なくとも一部を前記少なくとも1つの混合要素から取り除く、器具。
【請求項13】
請求項12に記載の器具において、
d)前記混合ウェルによって係合可能であり、前記混合ウェルを閉じるように構成されるカバーを備える、器具。
【請求項14】
請求項12に記載の器具において、
前記ワイピング要素が、前記混合ウェルの内面と係合しながら前記混合ウェル内を回転する、器具。
【請求項15】
請求項12に記載の器具において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
【請求項16】
請求項13に記載の器具において、
前記カバーが、ロック用リングを含む、器具。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の器具において、
前記少なくとも500パスカル/秒の粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、器具。
【請求項18】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の器具において、
前記ワイピング要素が、前記粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物の付着した部分を、前記少なくとも1つの混合要素から取り除くように構成される、器具。
【請求項19】
請求項18に記載の器具において、
前記少なくとも1つの混合要素が、少なくとも2つの混合要素を含む、器具。
【請求項20】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の器具において、
前記駆動機構が、手動操作されるように構成される、器具。
【請求項21】
混合器具において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルと、
b)前記混合ウェルのほぼ中央に配置される中央混合要素と、
c)前記中央混合要素の周りを回る少なくとも1つの遊星混合要素と、
を備え、
前記中央混合要素と前記遊星混合要素との間の第1の距離(d1)が、前記遊星混合要素と前記混合ウェルの内面との間の第2の距離(d2)とほぼ等しい、器具。
【請求項22】
請求項21に記載の器具において、
前記遊星混合要素が、手動操作されるように構成される、器具。
【請求項23】
請求項21または22に記載の器具において、
前記遊星混合要素および前記中央混合要素が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために十分なせん断力を与えるように構成される、器具。
【請求項24】
混合器具用の駆動機構において、
a)内部容量が100mLを超えないことを特徴とする容器の内周上に円形通路を定める歯のセットと、
b)軸を特徴とする歯車であって、前記歯のセットと係合し、かつ前記軸を中心に回転するように構成される、歯車と、
c)前記歯車を前記円形通路に沿って進ませる力を与えるように構成される作動装置と、
を含む、機構。
【請求項25】
請求項24に記載の機構において、
d)前記歯車の前記軸と、前記円形通路のほぼ中心に配される第2の歯車との間を接続する、動力伝送要素を備える、機構。
【請求項26】
請求項25に記載の機構において、
前記第2の歯車が、中央混合要素を駆動する、機構。
【請求項27】
請求項25に記載の機構において、
前記作動装置を通して力を与えることにより、前記動力伝送要素が、前記円形通路の前記中心を通る軸を中心に、前記第2の歯車を回転させる、機構。
【請求項28】
請求項24〜27のいずれか1項に記載の機構において、
前記歯車が、遊星混合要素を駆動する、機構。
【請求項29】
請求項24〜27のいずれか1項に記載の機構において、
前記作動装置が、手動で動かされる、機構。
【請求項30】
請求項24〜27のいずれか1項に記載の機構において、
粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成される、機構。
【請求項31】
粘性混合物の成分を混合する方法において、
a)内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェル内に、前記成分を投入することと、
b)少なくとも1つの遊星混合要素および中央混合要素を前記混合ウェル内に配置することと、
c)手動駆動機構を作動させて、前記遊星混合要素を、その軸を中心に回転させ、かつ前記中央混合要素の周りを回るようにさせることにより、前記成分を混合して混合物を形成することと、
を含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
d)ワイピング要素を前記混合要素の少なくとも1つと係合させることにより、前記混合要素を前記混合ウェルから除去することによって、前記ワイピング要素が、前記混合要素から混合物を拭き取るようにすることを含む、方法。
【請求項33】
請求項31または32に記載の方法において、
前記駆動機構が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を混合するために、十分なせん断力を与えるように構成される、方法。
【請求項34】
請求項31または32に記載の方法において、
少なくとも500パスカル/秒の前記粘性が、混合開始から90秒以内に達成される、方法。
【請求項35】
請求項31または32に記載の方法において、
前記手動駆動機構が十分な力を与えることにより、前記遊星混合要素が、粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする混合物を通って移動する、方法。
【請求項36】
粘性材料を移送する器具において、
a)粘性材料を収容可能な第1の容器と、
b)移送ピストンであって、前記第1の容器に挿入可能であることにより、前記容器に対して円周状のシールを形成し、かつ、穴を含む、移送ピストンと、
c)第2の容器の孔を、前記移送ピストンの前記穴に取り付ける機構と、
を含み、
前記移送ピストンを前記第1の容器に挿入することにより、前記粘性材料が、前記孔を通って前記第2の容器へと移動する、器具。
【請求項37】
請求項36に記載の器具において、
粘性が少なくとも500パスカル/秒であることを特徴とする粘性材料が前記第2の容器の前記孔を通って流れるために、十分な力を与えるように構成される、器具。
【請求項38】
請求項37に記載の器具において、
前記第1の容器および前記移送ピストンを手動操作することにより、前記十分な力を生成するように構成される、器具。
【請求項39】
請求項36〜38のいずれか1項に記載の器具において、
混合要素を前記第1の容器から取り除くと、前記移送ピストンが、前記粘性材料の少なくとも一部を前記混合要素から取り除くように構成される、器具。
【請求項40】
粘性混合物の成分を混合する方法において、
a)前記成分を、内部容積が100mLを超えないことを特徴とする混合ウェルに投入することと、
b)駆動機構を作動させ、前記粘性が少なくとも500パスカル/秒である間、前記内部容積内の材料を混合することと、
を含む、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、
遊星混合要素を、前記駆動機構によって駆動することを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−542427(P2009−542427A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517607(P2009−517607)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000833
【国際公開番号】WO2008/004229
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(504003396)デピュイ・スパイン・インコーポレイテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Spine,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,MA 02767,U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000833
【国際公開番号】WO2008/004229
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(504003396)デピュイ・スパイン・インコーポレイテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Spine,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,MA 02767,U.S.A.
【Fターム(参考)】
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