説明

混合培養による二次代謝産物のスクリーニング方法及び製造方法

【課題】スクリーニング菌株の新たな二次代謝産物生産能力を引き出し得る、新たな培養方法を用いた、二次代謝産物のスクリーニング方法及び製造方法、新たな培養方法を用いて得られる二次代謝産物を含有する新規な培養物の提供。
【解決手段】16SrRNA遺伝子の塩基配列が特定の配列からなり該配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の被検菌を混合培養し、培養液中に二次代謝産物が含まれているかを確認することを含む二次代謝産物のスクリーニング方法、培養液中に生産される二次代謝産物を採取する二次代謝産物の製造方法および培養液中に二次代謝産物を蓄積させた培養物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合培養による二次代謝産物のスクリーニング方法及び製造方法に関する。特に本発明は、ツカムレラ(Tsukamullera)属微生物またはツカムレラ(Tsukamullera)属に類する属の微生物との混合培養を用いる二次代謝産物、特に、抗菌性抗生物質、制癌性抗生物質、抗寄生虫物質または酵素阻害剤のスクリーニング方法及び製造方法に関する。さらに本発明は、前記混合培養を用いて得られる二次代謝産物を含有する培養物に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物培養において、純粋培養はコッホ以来の基本的概念とされている。抗生物質スクリーニングにおいても、純粋培養された菌株からこれまでに多くの有用物質が発見されている。
【0003】
自然環境下での微生物は、外部の様々な環境要因の影響を受けて生育するため、純粋培養状態で自然環境下と全く同一の生育を再現することは困難である。医薬品をはじめ、天然物からの抗生物質スクリーニングには、純粋分離された菌株を使用するのが一般的である。しかしながら、自然界に於いては、様々な環境要因が抗生物質の生産に影響を与えているため、純粋培養ではスクリーニング菌株の抗生物質生産能力を全て引き出すことは難しい。この点から抗生物質生産においても純粋培養が個々の菌株の物質生産能力を完全に引き出しているとは考え難く、培養法の工夫は重要である。(非特許文献1及び2)
【非特許文献1】Bibb M, The regulation of antibiotic production in Streptomyces coelicolorA3(2).Microbiology. 1996 142:1335-44
【非特許文献2】田中晴雄、土屋友房編、微生物薬品化学改訂第4版、P325-326 南江堂
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の目的は、スクリーニング菌株の新たな二次代謝産物生産能力を引き出し得る、新たな培養方法を用いた、二次代謝産物のスクリーニング方法及び製造方法を提供することにある。特に本発明は、新規な抗菌性抗生物質、制癌性抗生物質、抗寄生虫物質または酵素阻害剤等の新規な二次代謝産物のスクリーニング方法及び製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
さらに本発明は、前記新たな培養方法を用いて得られる二次代謝産物を含有する新規な培養物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らはツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis)またはその類縁菌と様々な放線菌との混合培養をすることにより、純粋培養では生産しない新規化合物を生産する現象を発見し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、以下の通りである。
[1]16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の被検菌を混合して培養し、培養液中に二次代謝産物が含まれているかを確認することを含む二次代謝産物のスクリーニング方法。
[2]コリネ型細菌に属する微生物が、共存する微生物の二次代謝産物産生を誘導する能力をもつ微生物である、[1]に記載のスクリーニング方法。
[3]コリネ型細菌に属する微生物が、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)の色素産生を誘導する能力をもつ微生物である、[1]に記載のスクリーニング方法。
[4]コリネ型細菌に属する微生物が、ツカムレラ (Tsukamullera)属 に属する微生物である、[1]〜[3]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[5]ツカムレラ(Tsukamullera)属に属する微生物が、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) に属する微生物である、[4]に記載のスクリーニング方法。
[6]ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) に属する微生物が、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) TP-B0596株である、[5]に記載のスクリーニング方法。
[7]被検菌が放線菌または糸状菌である[1]〜[6]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[8]放線菌が、クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)、ルブロバクター(Rubrobacter)、アクチノバチュラム(Actinobaculum)、アクチノマイセス(Actinomyces)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ゴルドニア(Gordonia)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ノカルディア(Nocardia)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ミクロスファエラ(Microsphaera)、クリプトスポランギウム(Cryptosporangium)、ミクロコッカス(Micrococcus)、アースロバクター(Arthrobacter)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、セルロモナス(Cellulomonas)、ミクロバクテリウム(Microbacterium)、アグロマイセス(Agromyces)、クリオバクテリウム(Cryobacterium)、ミクロモノスポラ(Micromonospora)、アクチノプラネス(Actinoplanes)、ダクチロスポランギウム(Dactylosporangium)、ノカルディオイデス(Nocardioides)、シュードノカルディア(Pseudonocardia)、アクチノビスポラ (Actinobispora)、アミコラトプシス(Amycolatopsis)、サッカロモノスポラ(Saccharomonospora)、アクチノシネマ(Actinosynnema)、アクチノキネオスポラ(Actinokineospora)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、キタサトスポラ(Kitasatospora)、ストレプトスポランギウム(Streptosporangium)、ミクロビスポラ(Microbispora)、ミクロテトラスポラ(Microtetraspora)、ノノムラエ(Nonomuraea)、ノカルディオプシス(Nocardiopsis)、アクチノマデュラ(Actinomadura)、キネオコッカス(Kineococcus)、キネオスポリア(Kineosporia)及びサーモビスポラ(Thermobispora)からなる群より選択されるいずれかの属に属する放線菌である[7]に記載のスクリーニング方法。
[9]糸状菌がアクレモニウム(Acremonium)、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ボーベリア(Beauveria)、ボトリティス(Botorytis)カララ(Chalara)、セルコスポラ(Cercospora)、セファロスフォリウム(Cephalosporium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コクシジオイデス(Coccidioides)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クルブラリア(Curvularia)、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)、シリンドロクラディウム(Cylindrocladium)、カニングハメラ(Cunninghamella)、ドレクスレラ(Drechslera)、エピコッカム(Epicoccum)、ユーペニシリウム(Eupenicillium)、フザリウム(Fusarium)、ジオトリカム(Geotrichum)、グリオクラディウム(Gliocladium)、グラフィウム(Graphium)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、ヒアロデンドロン(Hyalodendron)、イサリア(Isaria)、メタルヒジウム(Metarhizium)、モニリア(Monilia)、モルティレラ(Mortierella)、ムコール(Mucor)、ノデュリオスポリウム(Nodulisporium)、パエシロマイセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピリキュラリア(Pyricularia)、フィアロマイセス(Phialomyces)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、スポロスリクス(Sporopthrix)、トリコヒートン(Trichophyton)、トリコデルマ(Trichocderma)及びトリコセシウム(Trichothecium)からなる群より選択されるいずれかの属に属する糸状菌である[7]に記載のスクリーニング方法。
[10]二次代謝産物が抗菌性抗生物質、制癌性抗生物質、抗寄生虫物質または酵素阻害剤である[1]〜[9]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[11]前記コリネ型細菌及び被検菌株がいずれも生菌体として共存した状態で培養することを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[12]16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の放線菌または糸状菌を混合して培養し、培養液中に生産される二次代謝産物を採取することを特徴とする二次代謝産物の製造方法。
[13]コリネ型細菌に属する微生物が、共存する放線菌または糸状菌の二次代謝産物産生を誘導する能力をもつ微生物である、[12]に記載の二次代謝産物の製造方法。
[14]コリネ型細菌に属する微生物が、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)の色素産生を誘導する能力をもつ微生物である、[12]に記載の二次代謝産物の製造方法。
[15]コリネ型細菌に属する微生物が、ツカムレラ (Tsukamullera)属 に属する微生物である、[12]〜[14]のいずれかに記載の二次代謝産物の製造方法。
[16]ツカムレラ(Tsukamullera)属に属する微生物が、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) に属する微生物である、[15]に記載の二次代謝産物の製造方法。
[17]ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) に属する微生物が、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) TP-B0596株である、[16]に記載の二次代謝産物の製造方法。
[18]放線菌が、クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)、ルブロバクター(Rubrobacter)、アクチノバチュラム(Actinobaculum)、アクチノマイセス(Actinomyces)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ゴルドニア(Gordonia)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ノカルディア(Nocardia)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ミクロスファエラ(Microsphaera)、クリプトスポランギウム(Cryptosporangium)、ミクロコッカス(Micrococcus)、アースロバクター(Arthrobacter)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、セルロモナス(Cellulomonas)、ミクロバクテリウム(Microbacterium)、アグロマイセス(Agromyces)、クリオバクテリウム(Cryobacterium)、ミクロモノスポラ(Micromonospora)、アクチノプラネス(Actinoplanes)、ダクチロスポランギウム(Dactylosporangium)、ノカルディオイデス(Nocardioides)、シュードノカルディア(Pseudonocardia)、アクチノビスポラ (Actinobispora)、アミコラトプシス(Amycolatopsis)、サッカロモノスポラ(Saccharomonospora)、アクチノシネマ(Actinosynnema)、アクチノキネオスポラ(Actinokineospora)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、キタサトスポラ(Kitasatospora)、ストレプトスポランギウム(Streptosporangium)、ミクロビスポラ(Microbispora)、ミクロテトラスポラ(Microtetraspora)、ノノムラエ(Nonomuraea)、ノカルディオプシス(Nocardiopsis)、アクチノマデュラ(Actinomadura)、キネオコッカス(Kineococcus)、キネオスポリア(Kineosporia)及びサーモビスポラ(Thermobispora)からなる群より選択されるいずれかの属に属する放線菌である[12]〜[17]のいずれかに記載の二次代謝産物の製造方法。
[19]糸状菌がアクレモニウム(Acremonium)、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ボーベリア(Beauveria)、ボトリティス(Botorytis)カララ(Chalara)、セルコスポラ(Cercospora)、セファロスフォリウム(Cephalosporium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コクシジオイデス(Coccidioides)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クルブラリア(Curvularia)、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)、シリンドロクラディウム(Cylindrocladium)、カニングハメラ(Cunninghamella)、ドレクスレラ(Drechslera)、エピコッカム(Epicoccum)、ユーペニシリウム(Eupenicillium)、フザリウム(Fusarium)、ジオトリカム(Geotrichum)、グリオクラディウム(Gliocladium)、グラフィウム(Graphium)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、ヒアロデンドロン(Hyalodendron)、イサリア(Isaria)、メタルヒジウム(Metarhizium)、モニリア(Monilia)、モルティレラ(Mortierella)、ムコール(Mucor)、ノデュリオスポリウム(Nodulisporium)、パエシロマイセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピリキュラリア(Pyricularia)、フィアロマイセス(Phialomyces)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、スポロスリクス(Sporopthrix)、トリコヒートン(Trichophyton)、トリコデルマ(Trichocderma)及びトリコセシウム(Trichothecium)からなる群より選択されるいずれかの属に属する糸状菌である[12]〜[17]のいずれかに記載の二次代謝産物の製造方法。
[20]二次代謝産物が抗菌性抗生物質、制癌性抗生物質、抗寄生虫物質または酵素阻害剤である[12]〜[19]のいずれかに記載の二次代謝産物の製造方法。
[21]前記コリネ型細菌及び放線菌または糸状菌がいずれも生菌体として共存した状態で培養することを特徴とする[12]〜[20]のいずれかに記載の二次代謝産物の製造方法。
[22]16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の放線菌または糸状菌を混合して培養し、培養液中に二次代謝産物を蓄積させた培養物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、純粋培養では産生が確認されなかった、新規な抗生物質等の二次代謝産物をスクリーニングし、あるいは製造することができる。さらに、本発明によれば、新規な抗生物質等の二次代謝産物を含む培養物を提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[スクリーニング方法]
本発明の二次代謝産物のスクリーニング方法は、16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の被検菌を混合して培養し、培養液中に二次代謝産物が含まれているかを確認することを含む。
【0010】
配列表の配列番号1記載の塩基配列は、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) TP-B0596株の16SrRNA遺伝子の塩基配列である。この塩基配列の決定については後述する。TP-B0596株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部特許微生物寄託センターに2006年8月15日付で寄託され、NITE P-257の寄託番号が付与されている。
【0011】
本発明のスクリーニング方法では、16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物を用いる。16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌であれば、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) TP-B0596株と同等の効果が得られることは実施例において具体的に示す通りである。上記塩基配列の相同性は、好ましくは98%以上である。
【0012】
本発明のスクリーニング方法に用いられる16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する微生物は、共存する微生物の二次代謝産物産生を誘導する能力をもつ微生物である。
【0013】
さらに、本発明のスクリーニング方法に用いられる16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する微生物は、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)の色素産生を誘導する能力をもつ微生物であることができる。
【0014】
実施例において詳述するように、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) TP-B0596株はストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)の赤色色素生産を誘導する菌株として発見された。ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)と様々な属の菌との混合液体培養を行ったところ、顕著な赤色色素生産を誘導する組み合わせは、検討した範囲では、TP-B0596株だけであり、本菌株に特異的な性質であることが明らかになった。そこで、TP-B0596株と97株の放線菌との混合培養を行い、培養抽出物の抗菌アッセイを行ったところ、放線菌単独培養では検出できない抗菌物質を生産する例が10例、単独培養よりも抗菌物質生産が増大する例が3例見出された。この内ニラの茎から分離した放線菌S-522株との混合培養で生産が確認された抗生物質は新規構造を有しており、アルキベマイシン(Alchivemycin)と命名したという経緯がある。従って、本発明に用いられるコリネ型細菌に属する微生物は、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)の色素産生を誘導する能力をもつ微生物であることができる。
【0015】
コリネ型細菌は、アミノ酸生産などの分野で使用されるグラム陽性細菌であり、人体に無害で世界で最も広く使用されている工業的有用細菌である。本発明において用いられるコリネ型細菌は、典型的には、ツカムレラ(Tsukamullera)属に属する微生物、例えば、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) に属する微生物であることができる。しかし、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) に属する微生物以外のツカムレラ(Tsukamullera)属に属する微生物や、ツカムレラ(Tsukamullera)属以外に属する微生物であっても、16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌であれば使用できる。
【0016】
ツカムレラ(Tsukamullera)属に属する微生物と混合培養される被検菌は、二次代謝産物を産生することが期待される菌であれば、特に制限はない。被検菌としては、例えば、放線菌及び糸状菌を挙げることができる。
【0017】
放線菌としては、例えば、クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)、ルブロバクター(Rubrobacter)、アクチノバチュラム(Actinobaculum)、アクチノマイセス(Actinomyces)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ゴルドニア(Gordonia)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ノカルディア(Nocardia)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ミクロスファエラ(Microsphaera)、クリプトスポランギウム(Cryptosporangium)、ミクロコッカス(Micrococcus)、アースロバクター(Arthrobacter)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、セルロモナス(Cellulomonas)、ミクロバクテリウム(Microbacterium)、アグロマイセス(Agromyces)、クリオバクテリウム(Cryobacterium)、ミクロモノスポラ(Micromonospora)、アクチノプラネス(Actinoplanes)、ダクチロスポランギウム(Dactylosporangium)、ノカルディオイデス(Nocardioides)、シュードノカルディア(Pseudonocardia)、アクチノビスポラ (Actinobispora)、アミコラトプシス(Amycolatopsis)、サッカロモノスポラ(Saccharomonospora)、アクチノシネマ(Actinosynnema)、アクチノキネオスポラ(Actinokineospora)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、キタサトスポラ(Kitasatospora)、ストレプトスポランギウム(Streptosporangium)、ミクロビスポラ(Microbispora)、ミクロテトラスポラ(Microtetraspora)、ノノムラエ(Nonomuraea)、ノカルディオプシス(Nocardiopsis)、アクチノマデュラ(Actinomadura)、キネオコッカス(Kineococcus)、キネオスポリア(Kineosporia)及びサーモビスポラ(Thermobispora)からなる群より選択されるいずれかの属に属する放線菌を挙げることができる。
【0018】
糸状菌としては、例えば、アクレモニウム(Acremonium)、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ボーベリア(Beauveria)、ボトリティス(Botorytis)カララ(Chalara)、セルコスポラ(Cercospora)、セファロスフォリウム(Cephalosporium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コクシジオイデス(Coccidioides)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クルブラリア(Curvularia)、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)、シリンドロクラディウム(Cylindrocladium)、カニングハメラ(Cunninghamella)、ドレクスレラ(Drechslera)、エピコッカム(Epicoccum)、ユーペニシリウム(Eupenicillium)、フザリウム(Fusarium)、ジオトリカム(Geotrichum)、グリオクラディウム(Gliocladium)、グラフィウム(Graphium)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、ヒアロデンドロン(Hyalodendron)、イサリア(Isaria)、メタルヒジウム(Metarhizium)、モニリア(Monilia)、モルティレラ(Mortierella)、ムコール(Mucor)、ノデュリオスポリウム(Nodulisporium)、パエシロマイセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピリキュラリア(Pyricularia)、フィアロマイセス(Phialomyces)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、スポロスリクス(Sporopthrix)、トリコヒートン(Trichophyton)、トリコデルマ(Trichocderma)及びトリコセシウム(Trichothecium)からなる群より選択されるいずれかの属に属する糸状菌を挙げることができる。
【0019】
二次代謝産物は、例えば、抗菌性抗生物質、制癌性抗生物質、抗寄生虫物質または酵素阻害剤であることができる。
【0020】
混合培養は、前記コリネ型細菌に属する微生物と被検菌を混合して行う。コリネ型細菌に属する微生物及び被検菌は、いずれも単独であっても、あるいは2種以上であってもよい。混合培養の方法や条件は、コリネ型細菌に属する微生物及び被検菌の性質を考慮して適宜決定できる。温度、pH、培地栄養源、培養時間は、単独に被検菌を培養した場合と同様の条件で行うことができる。コリネ型細菌と被検菌との混合割合については、同量ずつであることが好ましいが、被検菌の生産能力を誘導する点を考慮すると被検菌の菌数を多くしてもよい。
【0021】
前記コリネ型細菌及び被検菌株は、いずれも生菌体として共存した状態で培養することが好ましい。いずれも生菌体として共存した状態で培養することで、被検菌による二次代謝産物の産生を容易に行わせることができる。いずれも生菌体として共存した状態で培養することをここでは混合培養と定義する。実施例に示した産生方法はいずれの場合も前記コリネ型細菌を生菌の状態で混合培養している。死菌体や菌体抽出物の添加など、生菌体ではない状態での接触や、透析膜などによって両生菌体の接触を物理的に制限すると、被検菌は二次代謝産物の産生を行わない場合があるため、生菌体同士を混合培養することが好ましい。尚、生菌体とは、培養終了後の混合培養液より菌株が平板分離できる菌体を意味する。
【0022】
培養液中に二次代謝産物が含まれているかの確認は、二次代謝産物の種類に応じて、公知の方法を用いて行うことができる。
【0023】
[製造方法]
本発明の二次代謝産物の製造方法は、16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の放線菌または糸状菌を混合して培養し、培養液中に産生される二次代謝産物を採取することを特徴とする。
【0024】
ここで使用されるコリネ型細菌に属する微生物及び放線菌または糸状菌は、上記スクリーニング方法で説明したものと同様である。但し、放線菌または糸状菌は、上記スクリーニング方法で二次代謝産物を生産することが確認された菌であることが適当である。
【0025】
培養方法及び条件も、上記スクリーニング方法で説明したものと同様であるが、所望の二次代謝産物の産生量が多くなるように最適化して行われることが好ましい。培養は、所定量の二次代謝産物が産生され、培養液に蓄積された時点で終了し、培養液から二次代謝産物を採取する。二次代謝産物の採取方法は、二次代謝産物の種類に応じて、公知の方法から適宜選択することができる。
【0026】
上記培養においては、コリネ型細菌及び放線菌または糸状菌は、いずれも生菌体として共存した状態で培養することが好ましい。いずれも生菌体として共存した状態で培養することで、コリネ型細菌が放線菌または糸状菌を刺激し、放線菌または糸状菌の二次代謝生産が開始される。コリネ型細菌が生菌体でなければ、放線菌または糸状菌の二次代謝生産誘導を示さない場合がある。尚、生菌体の定義は、前述の通りである。
【0027】
[培養物]
本発明は、16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の放線菌または糸状菌を混合して培養し、培養液中に二次代謝産物を蓄積させた培養物も包含する。この培養物は、上記本発明の製造方法において、所定量の二次代謝産物が産生され、培養液に蓄積された時点で培養を終了して得られる培養液であることができる。あるいは、この培養液をさらに処理や加工したものであることもできる。この培養物は、二次代謝産物を含有しており、そのままあるいはさらに処理や加工を施して、二次代謝産物含有物として利用することができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0029】
参考例
ツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis) TP-B0596株の分離と同定
ニュートリエントブロース軟寒天にストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans) TK23株の胞子約100万個を混ぜ、ベネットグルコース培地上に重層する。さらにその軟寒天の上に被検菌をエーゼで接種し、30℃で培養する。2〜3日後にストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)が一面に生育した際、被検菌を中心として、赤色色素が誘導されている菌株を得る。被検菌には自然環境より分離した82菌株を使用し、赤色色素を誘導したツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis) TP-B0596株を得た。
【0030】
図1に、上記で得られた赤色色素を誘導したツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis) TP-B0596株の電子顕微鏡写真(左)及びツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis) TP-B0596株を用いた場合(Tp菌入)と用いなかった場合(Tp菌無)の培養物の写真(右)を示す。
【0031】
ニュートリエントブロース軟寒天
0.8 % Nutrient Broth(Difco)、0.5 % 寒天末
【0032】
ベネットグルコース培地
0.1 % 酵母抽出物、0.1 % 肉エキス(エルリッヒ)、0.2 % NZ Amine TypeA、1 %グルコース、2 %寒天、pH 7.2
【0033】
上記で得られたTP-B0596株の菌学的性質を以下に示す。
培養温度30℃〜37℃
桿菌(0.8 x 2.0〜3.0 mm)
グラム陽性
胞子形成能無し
運動性無し
【0034】
TP-B0596株の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、以下のプライマーを用いて常法により決定し、その配列は、配列表の配列番号1に示す通りである。
・プライマーの配列(下記9種類のプライマーを使用)
9F 5'-GAGTTTGATCCTGGCTCAG (配列番号2)
339F 5'-CTCCTACGGGAGGCAGCAG (配列番号3)
515F 5'-GTGCCAGCAGCCGCGGT (配列番号4)
785F 5'-GGATTAGATACCCTGGTAGTC (配列番号5)
1099F 5'-GCAACGAGCGCAACCC (配列番号6)
1541R 5'-AAGGAGGTGATCCAGCC (配列番号7)
1115R 5'-AGGGTTGCGCTCGTTG (配列番号8)
802R 5'-TACCAGGGTATCTAATCC (配列番号9)
536R 5'-GTATTACCGCGGCTGCTG (配列番号10)
【0035】
TP-B0596株の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis)の標準株DSM 44142の配列と100%の相同性を有する。
【0036】
実施例1
混合培養を用いた抗生物質スクリーニング方法
自然環境から分離した放線菌をV-22液体培地で30℃3日間培養した。一方、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis) TP-B0596株をV-22液体培地で30℃、1日間培養した。培養液をそれぞれ3 %、1 %づつA-3M培地に植菌し、30℃で5〜10日間培養した。培養液を等量のブタノールで抽出し、抗菌アッセイ用サンプルとした。
【0037】
抗菌アッセイは被検菌として大腸菌(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の6菌株を用い、10 mmのペーパーディスクにサンプルを染みこませ、培地上に静置し、抗菌阻止円の大きさで抗菌活性を判定した。結果を表1に示す。
【0038】
V-22液体培地
0.1 % 澱粉、0.5 % グルコース、0.3 % NZ-case、0.2 % 酵母抽出物、0.5 % トリペプトン、0.1 % K2HPO4、0.5 % MgSO4・7H2O、0.3 % CaCO3、pH 7.0
A-3M培地
0.5 % グルコース、0.2 % グリセロール、0.2 % 澱粉、1.5 % ファーマメディア(Pharmamedia)、0.3 %酵母抽出物、0.1 % HP-20 (脱気したあとpH調整後に混合した)、pH 7.0
【0039】
【表1】

【0040】
数字は抗菌阻止円の直径をmm単位で表したものである。数字の大きい方が多量の抗菌物質を産生していることを意味する。上記表1中、Tp有無の欄の+はツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis) TP-B0596株との混合培養、-は単独培養を意味する。表1に示す結果から、単独の培養では、抗菌成分を産生しない菌体であっても、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis) TP-B0596株と混合培養することで、抗菌成分を産生することがあることが分かる。尚、表中、単独培養時よりも活性が上がった組み合わせ及び新しく活性が検出された組み合わせの数値を太字で表示する。
【0041】

実施例2
混合培養を用いた抗生物質スクリーニング方法(放線菌)
ツカムレラ・パウロメタボラ(Tsukamurella paurometabola) NBRC 16120をNo.702液体培地で30℃、2日間振とう培養した。また、ツカムレラ・ウラチスラビエンシス(Tsukamurella wratislaviensis )JCM 9689、ツカムレラ・ストランドジェルデイ(Tsukamurella strandjordii )JCM 11487、ツカムレラ・スプマエ(Tsukamurella spumae) JCM 12608及びツカムレラ・シュードスプマエ(Tsukamurella pseudospumae )JCM 13375を使用した場合、ISP-2液体培地で28℃、3日間振とう培養した。いずれかの培養液1%と凍結保存されている自然環境分離放線菌の培養液1%をC液体培地に植菌し、28℃で4日間振とう培養した。培養液をブタノールで抽出し、抗菌アッセイ用サンプルとした。
【0042】
抗菌アッセイは被検菌としてバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の2菌株を用い、8 mmのペーパーディスクにサンプルを染みこませ、培地上に静置し、抗菌阻止円の大きさで抗菌活性を判定した。結果を表3及び4に示す。
【0043】
No.702液体培地
1 % ポリペプトン、0.2 % 酵母抽出物、0.1 % MgSO4・7H2O、pH 7.0
ISP-2液体培地
0.4 % Bacto酵母抽出物、1 % Bacto 麦芽抽出物、0.4 % グルコース、pH 7.3
C液体培地
2 % グルコース、2 % 澱粉2 % Soy Pro、0.5%酵母抽出物、0.25 % NaCl、0.32 % CaCO3、0.4 % グルコース、0.2 % ミネラル溶液 (CuSO4 5H2O、1.25 g、ZnSO4 7H2O、1.25 g、MnCl2 4H2O、1.25 g/500 ml)、pH 7.4
【0044】
なお、上記ツカムレラ(Tsukamurella)属各菌株とTP-B0596株との16S rRNA遺伝子の塩基配列における相同性は以下の通りである(解析ソフトはclustalXを使用)。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
表3及び4に示す結果から、単独の培養(Tsukamurella無)では、抗菌成分を産生しない菌体であっても、ツカムレラ属の菌と混合培養することで、抗菌成分を産生することがあることが分かる。尚、表中、単独培養時よりも活性が上がった組み合わせ及び新しく活性が検出された組み合わせの数値を太字で表示する。
【0049】
実施例3
混合培養を用いた抗生物質スクリーニング方法(糸状菌)
自然環境分離糸状菌をF1液体培地で25℃、3日間培養した。一方、ツカムレラ・パウロメタボラ(Tsukamurella paurometabola) NBRC 16120をNo.702液体培地で30℃、2日間振とう培養した。また、ツカムレラ・ウラチスラビエンシス(Tsukamurella wratislaviensis )JCM 9689、ツカムレラ・ストランドジェルデイ(Tsukamurella strandjordii )JCM 11487、ツカムレラ・スプマエ(Tsukamurella spumae) JCM 12608及びツカムレラ・シュードスプマエ(Tsukamurella pseudospumae )JCM 13375を使用した場合、ISP-2液体培地で28℃、3日間振とう培養した。ツカムレラ(Tsukamurella)の培養液1%と自然環境分離糸状菌の培養液1%をF1液体培地に植菌し、25℃で4日間振とう培養する。培養液をブタノールで抽出し、抗菌アッセイ用サンプルとした。
【0050】
抗菌アッセイは被検菌としてバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の2菌株を用い、8 mmのペーパーディスクにサンプルを染みこませ、培地上に静置し、抗菌阻止円の大きさで抗菌活性を判定した。結果を表5及び6に示す。
【0051】
F1液体培地
1 % グルコース、2 % 澱粉、2 % Soy Pro、0.1 % KH2PO4、0.05 % MgSO4 7H2O、pH無調製
【0052】
【表5】

【0053】
【表6】

【0054】
表5及び6に示す結果から、単独の培養では、抗菌成分を産生しない菌体であっても、ツカムレラ属の菌と混合培養することで、抗菌成分を産生することがあることが分かる。尚、表中、単独培養時よりも活性が上がった組み合わせ及び新しく活性が検出された組み合わせの数値を太字で表示する。
【0055】
実施例4
ストレプトマイセス(Streptomyces) sp. S-501株が混合培養により生産するカイニンの単離・精製、構造決定
実施例1において(表1参照)、TP-B0596株との混合培養で抗菌成分(二次代謝産物)を産生することが確認されたストレプトマイセス(Streptomyces) sp. S-501株を用い、TP-B0596株との混合培養で抗菌成分(二次代謝産物)の製造を試みた。
【0056】
1)培養
V-22培地にS-501株を接種して、30℃で4日間回転振盪培養し(200rpm)、種母(1)を得た。
V-22培地にツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis)TP-B0596株を接種し30℃で1日、回転振盪培養し(200rpm)、種母(2)を得た。
A-3M培地100 mlを含む500 ml容K型フラスコ30本に上記の種母(1)を3 %(v/v) 、種母(2)を0.3%(v/v)加え、30℃で7日間回転振盪培養した(200rpm)。
【0057】
2)単離・精製
1)で得た培養液(10L)を遠心(8,000rpm、10分間)分離し、上清部分と菌体部分に分離した。得られた菌体に100%アセトン1.5Lを加え、1時間撹拌した。これを遠心(8,000rmp、10分間)分離し、菌体抽出液と菌体部分に分離した。さらに、この菌体部分に100%アセトン1.5Lを加え、1時間撹拌した。これを遠心(8,000rpm、10分間)分離し、菌体抽出液と菌体部分に分離した。
【0058】
この菌体抽出液中の有機溶媒を減圧下で留去し、得られた濃縮物を上清部分と混合し、吸着樹脂Diaion HP-20(三菱化成製、270×98 mm I.D.)カラムに吸着させ、蒸留水、20%含水アセトン、40%含水アセトン、60%含水アセトン、80%含水アセトン、100%アセトン(それぞれ2L)で溶出した。これらの溶出液のうち、60%含水アセトン、80%含水アセトン及び100%アセトンの溶出液中の有機溶媒を減圧下で留去した後、pH 7.0に調整し、この濃縮物の半量のn-ブタノールで抽出した。このn-ブタノール抽出液を減圧下で濃縮して粗抽出物(3.65g)を得た。
この粗抽出物100mgを分取し、30%含水メタノール 5mlで洗浄し、遠心(3,000rpm、5分間)分離した。その不溶分を減圧下で乾燥した。この操作を30回に分けて行い、S-501株生産物の精製物(2.09g)を得た。
【0059】
3)構造解析
S-501株生産物は、LC/MSにより分子量は610と推定された。1H-NMR、13C-NMR、各種二次元NMR解析により構造解析を行った。
【0060】
【表7】

【0061】
また、精製物の旋光度を測定し、カイニン(Chainin)の旋光度と比較したところ、精製物の旋光度 [α]23D= -114.9°(c=0.2, MeOH)で、カイニンの文献値 [α]25D= -112.2°(c=0.16, MeOH)に良い一致を示した。
【0062】
以上のことから、ストレプトマイセス(Streptomyces) sp.S-501株が混合培養により生産する抗真菌物質はポリエン系抗生物質でペンタエン化合物のカイニンと同定された。カイニンは1968年にGopalkrishnanらによって報告された物質である[Gopalkrishnan KS, Narasimhachari N, Joshi VB, Thirumalachar MJ. Chainin: a new methylpentaene antibiotic from a species of Chainia. Nature. 1968;218(141):597-598.]
【0063】
【化1】

【0064】
実施例5
ストレプトマイセス(Streptomyces)sp. S-522株が混合培養により生産するアルキベマイシン A(Alchivemycin A)の単離・精製、構造決定
実施例1において(表1参照)、TP-B0596株との混合培養で抗菌成分(二次代謝産物)を産生することが確認されたストレプトマイセス(Streptomyces) sp. S-522株を用い、TP-B0596株との混合培養で抗菌成分(二次代謝産物)の製造を試みた。
【0065】
1)培養
V-22培地にS-522株を接種して、30℃で4日間回転振盪培養し(200rpm)、種母(1)を得た。
V-22培地にツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis ) TP-B0596株を接種し30℃で1日間回転振盪培養し(200rpm)、種母(2)を得た。
A-3M培地100 mlを含む500 ml容K型フラスコ30本に上記の種母(1)を3 %(v/v) 、種母(2)を0.3%(v/v)加え、30℃で7日間回転振盪培養した(200rpm)。
【0066】
S-522株をツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis ) TP-B0596株とを混合培養して得られた培養物とS-522株を単独培養した場合の培養物の液体クロマトグラムを図2に示す。混合培養の場合のみ、後述するアルキベマイシンAのピークが見られる。
【0067】
2)単離・精製
1)で得た培養液(3.0L)に半量のn-ブタノールを加え1時間攪拌抽出し、n-ブタノール層を取り出した。得られたn-ブタノール層を減圧下で濃縮して粗抽出物(8g)を得た。粗抽出物をシリカゲルカラム(関東化学製、シリカゲル60N、63〜210 nm、220 x 40 mm I.D.)に吸着させ、クロロホルム/メタノール(20:1〜0:1)で溶出した。各溶出画分は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し、クロロホルム/メタノール(4:1)と(2:1)の画分を集め、これを減圧下で溶媒を留去し、さらに半量の酢酸エチルで抽出した。この酢酸エチル抽出液を減圧下で濃縮し、濃縮物を適量のDMSOに溶解して逆層型ODS結合シリカゲルカラム(YMC製、ODS-A、250×55 mm I.D.)に吸着させ、アセトニトリル/0.15%リン酸二水素カリウム液(pH 3.5)(8:2〜2:8)で溶出した。アセトニトリル/0.15%リン酸二水素カリウム液(pH 3.5) (8:2)の画分を集め、溶媒を減圧下で留去した後、半量の酢酸エチルで抽出した。この酢酸エチル抽出液を減圧下で濃縮し、さらに半量の酢酸エチルで抽出し、S-522株生産物の精製物 (25 mg)を得た。
【0068】
3)構造解析
S-522株生産物の高分解能FABMS解析を行い、found 648.3754 [M+H]+, calcd 648.3745 (for C35H54O10N)の値を得た。また1H-NMR、13C-NMR、各種二次元NMR解析により構造解析を行った。
【0069】
【表8】

【0070】
【表9】

【0071】
【化2】

【0072】
【化3】

【0073】
構造解析の結果、新規化合物であったために、アルキベマイシン Aと命名した。なお、アルキベマイシン Aは、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)に対してMIC 0.06μg/mlの非常に強い抗菌活性を有していた。
【0074】
実施例6
ストレプトマイセス(Streptomyces)sp. S-558株が混合培養により生産する抗生物質Antibiotic A 33853の単離・精製、構造決定
実施例1において(表1参照)、TP-B0596株との混合培養で抗菌成分(二次代謝産物)を産生することが確認されたストレプトマイセス(Streptomyces)sp. S-558株を用い、TP-B0596株との混合培養で抗菌成分(二次代謝産物)の製造を試みた。
【0075】
1)培養
V-22培地にS-558株を接種して、30℃で4日間回転振盪培養した(200rpm)、種母(1)を得た。
V-22培地にツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) TP-B0596株を接種し30℃で1日間回転振盪培養(200rpm)、種母(2)を得た。
A-3M培地100 mlを含む500 ml容K型フラスコ30本に上記の種母(1)を3 %(v/v) 、種母(2)を0.3%(v/v)加え、30℃で6日間回転振盪培養した(200rpm)。
【0076】
2)単離・精製
1)で得た培養液(30L)に半量のn-ブタノールを加え1時間攪拌抽出し、n-ブタノール層を取り出した。得られたn-ブタノール層を減圧下で濃縮して粗抽出物(42g)を得た。粗抽出物をシリカゲルカラム(関東化学製、シリカゲル60N、63〜210 nm、220 x 40 mm I.D.)に吸着させ、クロロホルム/メタノール(20:1〜0:1)で溶出した。クロロホルム/メタノール(4:1)の画分を集め、その溶媒を減圧下で留去し、さらに半量の酢酸エチルで抽出した。この酢酸エチル抽出液を減圧下で濃縮し、濃縮物を適量のDMSOに溶解して逆層型ODS結合シリカゲルカラム(YMC製、ODS-A、250×55 mm I.D.)に吸着させ、アセトニトリル/0.15%リン酸二水素カリウム液(pH 3.5)(8:2〜2:8)で溶出した。アセトニトリル/0.15%リン酸二水素カリウム液(pH 3.5)(6:4)の画分を集め、溶媒を減圧下で留去した後、半量の酢酸エチルで抽出した。この酢酸エチル抽出液を減圧下で濃縮して粗精製物を得た。得られた粗精製物をDMSOに溶解しHPLC( Nacalai tesque製、COSMOSIL、10×2 mm)を利用して分取した。各溶出画分の溶媒を減圧下で留去した後、半量の酢酸エチルで抽出し、薄い黄色粉末のS-558株生産物の精製物(2.9 mg)を得た。
【0077】
3)構造解析
S-558株生産物はLC/MSにより分子量は372と推定された。1H-NMR、13C-NMR、各種二次元NMR解析により構造解析を行い、ストレプトマイセス(Streptomyces) sp.S-558株が混合培養により生産する物質は、組成式がC20H13N3O6であるAntibiotic A 33853であると同定した。Antibiotic A 33853は1984年にK. H. Michelらによって報告された物質である。[Michel KH, Boeck LD, Hoehn MM, Jones ND, Chaney MO. The discovery, fermentation, isolation, and structure of antibiotic A33853 and its tetraacetyl derivative. J Antibiot (Tokyo). 1984 37(5):441-5.]
【0078】
この物質は、ストレプトマイセス(Streptomyces) sp. NRRL 12068株より単離され、サルモネラ・チフォサ(Salmonella typhosa)やその他の病原性細菌に抗菌活性があることが報告されている。
【0079】
【化4】

【0080】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、抗生物質等の生理活性物質のスクリーニングおよび製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】参考例で得られた赤色色素を誘導したツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis) TP-B0596株の電子顕微鏡写真(左)及びツカムレラ・プルモニス(Tsukamurella pulmonis) TP-B0596株を用いた場合(Tp菌入)と用いなかった場合(Tp菌無)の培養物の写真(右)を示す。
【図2】実施例5で得られた培養物の高速液体クロマトグラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の被検菌を混合して培養し、培養液中に二次代謝産物が含まれているかを確認することを含む二次代謝産物のスクリーニング方法。
【請求項2】
コリネ型細菌に属する微生物が、共存する微生物の二次代謝産物産生を誘導する能力をもつ微生物である、請求項1に記載のスクリーニング方法。
【請求項3】
コリネ型細菌に属する微生物が、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)の色素産生を誘導する能力をもつ微生物である、請求項1に記載のスクリーニング方法。
【請求項4】
コリネ型細菌に属する微生物が、ツカムレラ(Tsukamullera)属に属する微生物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
【請求項5】
ツカムレラ(Tsukamullera)属に属する微生物が、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis)に属する微生物である、請求項4に記載のスクリーニング方法。
【請求項6】
ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis)に属する微生物が、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis)TP-B0596株である、請求項5に記載のスクリーニング方法。
【請求項7】
被検菌が放線菌または糸状菌である請求項1〜6のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
【請求項8】
放線菌が、クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)、ルブロバクター(Rubrobacter)、アクチノバチュラム(Actinobaculum)、アクチノマイセス(Actinomyces)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ゴルドニア(Gordonia)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ノカルディア(Nocardia)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ミクロスファエラ(Microsphaera)、クリプトスポランギウム(Cryptosporangium)、ミクロコッカス(Micrococcus)、アースロバクター(Arthrobacter)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、セルロモナス(Cellulomonas)、ミクロバクテリウム(Microbacterium)、アグロマイセス(Agromyces)、クリオバクテリウム(Cryobacterium)、ミクロモノスポラ(Micromonospora)、アクチノプラネス(Actinoplanes)、ダクチロスポランギウム(Dactylosporangium)、ノカルディオイデス(Nocardioides)、シュードノカルディア(Pseudonocardia)、アクチノビスポラ (Actinobispora)、アミコラトプシス(Amycolatopsis)、サッカロモノスポラ(Saccharomonospora)、アクチノシネマ(Actinosynnema)、アクチノキネオスポラ(Actinokineospora)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、キタサトスポラ(Kitasatospora)、ストレプトスポランギウム(Streptosporangium)、ミクロビスポラ(Microbispora)、ミクロテトラスポラ(Microtetraspora)、ノノムラエ(Nonomuraea)、ノカルディオプシス(Nocardiopsis)、アクチノマデュラ(Actinomadura)、キネオコッカス(Kineococcus)、キネオスポリア(Kineosporia)及びサーモビスポラ(Thermobispora)からなる群より選択されるいずれかの属に属する放線菌である請求項7に記載のスクリーニング方法。
【請求項9】
糸状菌がアクレモニウム(Acremonium)、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ボーベリア(Beauveria)、ボトリティス(Botorytis)カララ(Chalara)、セルコスポラ(Cercospora)、セファロスフォリウム(Cephalosporium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コクシジオイデス(Coccidioides)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クルブラリア(Curvularia)、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)、シリンドロクラディウム(Cylindrocladium)、カニングハメラ(Cunninghamella)、ドレクスレラ(Drechslera)、エピコッカム(Epicoccum)、ユーペニシリウム(Eupenicillium)、フザリウム(Fusarium)、ジオトリカム(Geotrichum)、グリオクラディウム(Gliocladium)、グラフィウム(Graphium)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、ヒアロデンドロン(Hyalodendron)、イサリア(Isaria)、メタルヒジウム(Metarhizium)、モニリア(Monilia)、モルティレラ(Mortierella)、ムコール(Mucor)、ノデュリオスポリウム(Nodulisporium)、パエシロマイセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピリキュラリア(Pyricularia)、フィアロマイセス(Phialomyces)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、スポロスリクス(Sporopthrix)、トリコヒートン(Trichophyton)、トリコデルマ(Trichocderma)及びトリコセシウム(Trichothecium)からなる群より選択されるいずれかの属に属する糸状菌である請求項7に記載のスクリーニング方法。
【請求項10】
二次代謝産物が抗菌性抗生物質、制癌性抗生物質、抗寄生虫物質または酵素阻害剤である請求項1〜9のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
【請求項11】
前記コリネ型細菌及び被検菌株がいずれも生菌体として共存した状態で培養することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のスクリーニング方法。
【請求項12】
16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の放線菌または糸状菌を混合して培養し、培養液中に生産される二次代謝産物を採取することを特徴とする二次代謝産物の製造方法。
【請求項13】
コリネ型細菌に属する微生物が、共存する放線菌または糸状菌の二次代謝産物産生を誘導する能力をもつ微生物である、請求項12に記載の二次代謝産物の製造方法。
【請求項14】
コリネ型細菌に属する微生物が、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)の色素産生を誘導する能力をもつ微生物である、請求項12に記載の二次代謝産物の製造方法。
【請求項15】
コリネ型細菌に属する微生物が、ツカムレラ(Tsukamullera)属に属する微生物である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の二次代謝産物の製造方法。
【請求項16】
ツカムレラ(Tsukamullera)属に属する微生物が、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis)に属する微生物である、請求項15に記載の二次代謝産物の製造方法。
【請求項17】
ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) に属する微生物が、ツカムレラ・プルモニス(Tsukamullera pulmonis) TP-B0596株である、請求項16に記載の二次代謝産物の製造方法。
【請求項18】
放線菌が、クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)、ルブロバクター(Rubrobacter)、アクチノバチュラム(Actinobaculum)、アクチノマイセス(Actinomyces)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ゴルドニア(Gordonia)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ノカルディア(Nocardia)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ミクロスファエラ(Microsphaera)、クリプトスポランギウム(Cryptosporangium)、ミクロコッカス(Micrococcus)、アースロバクター(Arthrobacter)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、セルロモナス(Cellulomonas)、ミクロバクテリウム(Microbacterium)、アグロマイセス(Agromyces)、クリオバクテリウム(Cryobacterium)、ミクロモノスポラ(Micromonospora)、アクチノプラネス(Actinoplanes)、ダクチロスポランギウム(Dactylosporangium)、ノカルディオイデス(Nocardioides)、シュードノカルディア(Pseudonocardia)、アクチノビスポラ (Actinobispora)、アミコラトプシス(Amycolatopsis)、サッカロモノスポラ(Saccharomonospora)、アクチノシネマ(Actinosynnema)、アクチノキネオスポラ(Actinokineospora)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、キタサトスポラ(Kitasatospora)、ストレプトスポランギウム(Streptosporangium)、ミクロビスポラ(Microbispora)、ミクロテトラスポラ(Microtetraspora)、ノノムラエ(Nonomuraea)、ノカルディオプシス(Nocardiopsis)、アクチノマデュラ(Actinomadura)、キネオコッカス(Kineococcus)、キネオスポリア(Kineosporia)及びサーモビスポラ(Thermobispora)からなる群より選択されるいずれかの属に属する放線菌である請求項12〜17のいずれか1項に記載の二次代謝産物の製造方法。
【請求項19】
糸状菌がアクレモニウム(Acremonium)、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ボーベリア(Beauveria)、ボトリティス(Botorytis)カララ(Chalara)、セルコスポラ(Cercospora)、セファロスフォリウム(Cephalosporium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コクシジオイデス(Coccidioides)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クルブラリア(Curvularia)、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)、シリンドロクラディウム(Cylindrocladium)、カニングハメラ(Cunninghamella)、ドレクスレラ(Drechslera)、エピコッカム(Epicoccum)、ユーペニシリウム(Eupenicillium)、フザリウム(Fusarium)、ジオトリカム(Geotrichum)、グリオクラディウム(Gliocladium)、グラフィウム(Graphium)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、ヒアロデンドロン(Hyalodendron)、イサリア(Isaria)、メタルヒジウム(Metarhizium)、モニリア(Monilia)、モルティレラ(Mortierella)、ムコール(Mucor)、ノデュリオスポリウム(Nodulisporium)、パエシロマイセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピリキュラリア(Pyricularia)、フィアロマイセス(Phialomyces)、リゾクトニア(Rhizoctonia)、スポロスリクス(Sporopthrix)、トリコヒートン(Trichophyton)、トリコデルマ(Trichocderma)及びトリコセシウム(Trichothecium)からなる群より選択されるいずれかの属に属する糸状菌である請求項12〜17のいずれか1項に記載の二次代謝産物の製造方法。
【請求項20】
二次代謝産物が抗菌性抗生物質、制癌性抗生物質、抗寄生虫物質または酵素阻害剤である請求項12〜19のいずれか1項に記載の二次代謝産物の製造方法。
【請求項21】
前記コリネ型細菌及び放線菌または糸状菌がいずれも生菌体として共存した状態で培養することを特徴とする請求項12〜20のいずれか1項に記載の二次代謝産物の製造方法。
【請求項22】
16SrRNA遺伝子の塩基配列が配列番号1記載の塩基配列と95%以上の相同性を示すコリネ型細菌に属する少なくとも1種の微生物及び少なくとも1種の放線菌または糸状菌を混合して培養し、培養液中に二次代謝産物を蓄積させた培養物。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−54637(P2008−54637A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238547(P2006−238547)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年3月27日 社団法人日本農芸化学会主催の「2006年度(平成18年度)大会」において文書をもって発表
【出願人】(506300280)
【Fターム(参考)】