説明

混合根固め液採取装置

【課題】掘削穴内に築造された未固結の混合根固め液を採取でききる混合根固め液採取装置を提供する。
【解決手段】スクリュ軸107の軸端側に連結され、収納空間KS、及び前記混合根固め液を貯留する貯留空間CSを区画する本体筒体11と、本体筒体の内外周に開口され、掘削穴及び前記貯留空間を連通する液導入口36と、本体筒体の内周に沿って配置され、液導入口を本体筒体の内側から開閉する導入開閉体37と、貯留空間内に開口され、貯留空間の混合根固め液を排出する液排出口55と、液排出口を開閉する排出開閉体と、収納空間内に配置され、本体筒体の軸方向Tに移動自在に支持される移動体57と、本体筒部材の収納空間内に配置され、移動体を収納空間内に付勢する付勢部材58を含んで構成され、移動体は、作動圧の作用で付勢部材の付勢力に抗して貯留空間側に移動する混合根固め液採取装置Xである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削穴の砂礫及び根固め液を撹拌混合して掘削穴内に混合根固め液を築造する工法において、掘削穴内に築造した未固結の混合根固め液を採取する混合根固め液採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、土木建築の基礎工等においては、セメントミルク工法を利用して、基礎杭を地盤に埋設(施工)している。
セメントミルク工法として、特許文献1に開示する技術は、地盤中に掘削穴を掘削形成し、セメントミルクを掘削穴に注入する。掘削穴に注入されるセメントミルクは、固定液及び充填液で構成され、掘削穴内の底側に固定液を注入する。固定液の注入によって、掘削された砂礫及固定液の混合する混合根固め液が築造される。
特許文献1に開示する技術では、セメントミルクの注入後、基礎杭を掘削穴内に進入して、未固結のセメントミルク(混合根固め液、充填液)に浸漬させる。セメントミルクに浸漬された基礎杭は、混合根固め液及び充填液の乾燥、固化によって地盤に定着、埋設される。
【0003】
しかし、特許文献1に開示する技術では、掘削穴内に混合根固め液を築造した直後から乾燥、固化が始まるため、混合根固め液を採取して、混合根固め液の組成分析や、混合根固め液の乾燥、固化する時間を正確に判断できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−2168666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、掘削穴内に築造された未固結の混合根固め液を採取でき、混合根固め液の組成分析や乾燥、固化の時間を正確に判断できる混合根固め液採取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る請求項1は、地盤に進退され、前記地盤中に掘削穴を形成するオーガヘッド、及び前記オーガヘッドに連結され、前記掘削穴に進退されるスクリュ軸を備え、前記スクリュ軸内の流体通路を通して前記オーガヘッドから根固め液を前記掘削穴内に注入し、前記スクリュ軸の回転で前記掘削穴の砂礫及び前記根固め液を撹拌混合して前記掘削穴内に混合根固め液を築造する施工設備において、前記オーガヘッドを取外した前記スクリュ軸の軸端側に連結され、前記掘削穴の前記混合根固め液に浸漬されて未固結の前記混合根固め液を採取する混合根固め液採取装置であって、前記スクリュ軸の軸端側に連結され、前記スクリュ軸の軸方向に収納空間、及び前記混合根固め液を貯留する貯留空間を区画する本体筒体と、前記本体筒体の内外周に開口され、前記掘削穴及び前記貯留空間を連通する液導入口と、前記本体筒体の内周に沿って配置され、前記液導入口を前記本体筒体の内側から開閉する導入開閉体と、前記本体筒体の前記貯留空間内に開口され、前記貯留空間の前記混合根固め液を排出する液排出口と、前記液排出口を開閉する排出開閉体と、前記本体筒体の前記収納空間内に配置され、前記本体筒体の軸方向に移動自在に支持される移動体と、前記本体筒部材の前記収納空間内に配置され、前記移動体を前記収納空間内に付勢する付勢部材を含んで構成され、前記導入開閉筒体は、前記本体筒体の軸方向において、前記液導入口を閉塞する閉塞位置、及び前記液導入口を開放する開放位置の間で移動され、(1)前記移動体は、前記本体筒体の前記貯留空間内で前記導入開閉筒体に連結され、前記スクリュ軸の前記流体通路に接続され、前記流体通路から導入される作動圧に基づいて、前記付勢部材の付勢力に抗して前記貯留空間側に移動し、前記導入開閉筒体は、前記移動体の前記貯留空間側への移動に伴って、前記閉塞位置から前記開放位置に移動され、(2)移動体は、前記流体通路の前記作動圧の開放に基づいて、前記付勢部材の付勢力で前記収納空間側に移動し、前記導入開閉筒体は、前記移動体の前記収納空間側への移動に基づいて、前記開放位置から前記閉塞位置に移動されることを特徴とする混合根固め液採取装置である。
【0007】
本発明に係る請求項2は、前記本体筒体は、前記スクリュ軸の軸端側から前記収納空間及び前記貯留空間を区画する仕切部材と、前記仕切部材に配置されるシール部材を備え、前記移動体は、前記収納空間内から前記仕切部材を挿通して前記貯留空間に延設されて、貯留空間内で前記導入開閉筒体に連結され、前記シール部材は、前記移動体に当接して前記収納空間を前記貯留空間から密封することを特徴とする請求項1に記載の混合根固め液採取装置である。
【0008】
本発明に係る請求項3は、地盤中に形成される掘削穴内に根固め液を注入し、前記掘削穴の砂礫及び前記根固め液を撹拌混合して前記掘削穴内に混合根固め液を築造する工法において、前記掘削穴の前記混合根固め液に浸漬され、未固結の前記混合根固め液を採取する混合根固め液採集装置であって、前記掘削穴に進退自在にされ、収納空間、及び前記混合根固め液を貯留する貯留空間を区画する本体ユニットと、前記貯留空間に開口され、前記掘削穴及び前記貯留空間を連通する液導入口手段と、前記貯留空間内に配置され、前記液導入口手段を前記本体ユニット内から開閉する導入開閉手段と、前記貯留空間に開口され、前記貯留空間の前記混合根固め液を排出する液排出口手段と、前記液排出口手段を開閉する排出開閉手段と、前記収納空間内に配置され、前記導入開閉手段に連結されるアクチュエータ手段を含んで構成され、前記導入開閉手段は、前記液導入口手段を閉塞する閉塞位置、及び前記液導入口手段を開放する開放位置の間で移動され、前記アクチュエータ手段は、前記導入開閉手段を、前記閉塞位置から前記開放位置へ、又は前記開放位置から前記閉塞位置へ移動させることを特徴とする混合根固め液採取装置である。
【0009】
本発明に係る請求項1、2において、既存の施工設備において、根固め粉末及び掘削水を撹拌混合して前記根固め液を生成する撹拌混合機と、前記作動圧に使用する水を貯留する水貯留機と、前記撹拌混合機及び前記水貯留機に接続される切換弁装置と、前記スクリュ軸内の流体通路及び前記切換弁装置に接続される液圧ポンプ機を備え、前記切換弁装置は、前記流体流路と前記撹拌混合機、前記流体通路と前水貯留機、又は前記流体通路と大気に切換接続し、前記液圧ポンプは、撹拌混合機の前記根固め液を前記流体通路に吐出し、又は前記移動体を移動する作動圧水を前記流体通路に吐出する構成を採用できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る請求項1によれば、付勢部材の付勢力で移動体を収納空間側に移動し、導入開閉体を閉塞位置にする。本体筒体をスクリュ軸の軸端側に連結し、スクリュ軸を掘削穴内に進入させることで、混合根固め液採取装置を未固結の混合根固め液に浸漬する。続いて、流体通路から移動体に作動圧を導入して、移動体を貯留空間側に移動し、導入開閉体を閉塞位置から開放位置に移動させる。これにより、未固結の混合根固め液は、液導入口から貯留空間内に流入し、本体筒体の貯留空間に貯留される。
混合根固め液を本体筒体の貯留空間に貯留すると、流体通路の作動圧を開放することで、移動体を付勢部材の付勢力で収納空間側に移動し、導入開閉体を開放位置から閉塞位置まで移動させる。続いて、スクリュ軸を掘削穴内から退避することで、混合根固め液採取装置を掘削穴内から退避させる。排出開閉体によって液排出口を開くことで、貯留空間の未固結の混合根固め液を排出し、混合根固め液の組成成分又は乾燥、固化の時間を確認する。
このように、既存の施工設備を使用(利用)して、掘削穴内に築造される未固結の混合根固め液を採取でき、混合根固め液採取装置を掘削穴に進退するための設備を別途配置する必要がない。
混合根固め液採取装置において、本体筒体に収納空間及び貯留空間を区画して、収納空間内に移動体及び付勢部材を配置したので、貯留空間に混合根固め液を貯留しても、混合根固め液が収納空間内に流入して移動体及び付勢部材に影響を与えることを抑制でき、混合根固め液で移動体及び付勢部材が腐蝕等することを防止できる。
【0011】
本発明に係る請求項2によれば、請求項1の効果に加えて、シール部材及び仕切部材によって収納空間を貯留空間から確実に密封できる。
【0012】
本発明に係る請求項3によれば、アクチュエータ手段で導入開閉手段を閉塞位置にすることで、液導入口手段を閉塞する。本体ユニットを掘削穴内に進入して、掘削穴の混合根固め液に浸漬させる。続いて、アクチュエータ手段で導入開閉手段を開放位置にすることで、液導入口手段を開いて、掘削穴内及び本体ユニットの貯留空間を連通する。これにより、掘削穴の未固結の混合根固め液は、液導入口手段から貯留空間内に流入して、貯留空間に貯留される。
混合根固め液を貯留空間に貯留すると、アクチュエータ手段で液導入開閉手段を閉塞位置まで移動させた後、本体ユニットを掘削穴内から退避させる。続いて、排出開閉手段によって液排出口手段を開くことで、貯留空間の未固結の混合根固め液を排出し、混合根固め液の組成成分又は乾燥、固化の時間を確認する。
このように、掘削穴に混合根固め液を築造した後、混合根固め液採取装置を直ちに、掘削穴の混合根固め液に浸漬でき、乾燥、固化する前に未固結の混合根固め液(N)を採取できる。
また、本体ユニットに収納空間及び貯留空間を区画して、収納空間内にアクチュエータ手段を配置したので、貯留空間に混合根固め液を貯留しても、アクチュエータ手段は、混合根固め液の影響を受けることなく、混合根固め液で腐蝕等することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】混合根固め液採取装置を示す側面図である。
【図2】図1のA−A断面図であって、導入開閉手段の閉塞位置、及び排出開閉手段の閉位置を示す図である。
【図3】図2において、仕切部材、シール部材及び移動体を示す部分拡大断面図である。
【図4】図1のC−C拡大断面図である。
【図5】図1のD−D拡大断面図であって、導入開閉手段の閉塞位置を示す図である。
【図6】図1のE−E拡大断面図であって、排出開閉手段の閉位置を示す図である。
【図7】図1のF−F拡大矢視図である。
【図8】図1のA−A断面図であって、掘削穴内において、導入開閉手段の開放位置、及び排出開閉手段の閉位置を示す図である。
【図9】図1のA−A断面図であって、掘削穴内において、導入開閉手段の閉塞位置、及び排出開閉手段の閉位置を示す図である。
【図10】混合根固め液採取装置を示す一部側面図であって、蓋開閉手段を開いた状態、及び排出開閉手段の閉位置を示す図である。
【図11】混合根固め液採取装置を示す一部側面図であって、蓋開閉手段を開いた状態、及び排出開閉手段の開位置を示す図である。
【図12】図1のE−E拡大断面図であって、排出開閉手段の開位置を示す図である。
【図13】混合根固め液採取装置を示す側面図であって、本体筒体の連絡筒部材を開いた状態を示す図である。
【図14】杭施工設備の杭施工機を示す側面図である。
【図15】杭施工設備による掘削から混合根固め液採集装置による混合根固め液の採取までの手順を示す要部拡大図である。
【図16】杭施工設備の構成を示す模式図である。
【図17】杭施工機において、杭施工機のスクリュ軸の継手軸体を示す拡大縦断面図である。
【図18】杭施工機において、杭施工機のスクリュ軸の継手軸体を示す拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る混合根固め液採取装置について、図1乃至図18を参照して説明する。
【0015】
図14乃至図16において、混合根固め液採集装置(X)は、地盤(G)中の掘削穴(H)に築造される未固結の混合根固め液(N)を採取する。
混合根固め液採取装置(X)は、既存の杭施工設備(Y)に連結され、杭施工設備(Y)を使用(利用)して掘削穴(H)内から未固結の混合根固め液(N)を採取する。
【0016】
以下、説明の便宜上、先ず、混合根固め液(N)の採取に使用(利用)される、杭施工設備(Y)の構成について、図14乃至図18を参照して説明する。
【0017】
<杭施工設備(Y)の構成>
図13乃至図16において、杭施工設備(Y)は、地盤(G)中に掘削穴(H)を掘削形成し、掘削穴(H)内に充填液(M)及び根固め液(K)を注入し、掘削穴(H)の砂礫(K)及び根固め液(L)を撹拌混合して混合根固め液(N)を築造する工法を実行する。
充填液(M)及び根固め液(L)は、セメント粉末及び水等を撹拌混合して生成されるセメントミルクである。掘削穴(H)の混合根固め液(N)は、掘削された砂礫(K)及び根固め液(K)を掘削穴(H)内で撹拌混合して、掘削穴(H)の底側[拡大掘削穴(H1)]に築造される混合セメントミルクである。砂礫(K)は、砂、礫又は泥等の粘土を意味する。
【0018】
杭施工設備(Y)は、図14乃至図16に示すように、杭施工機(A)、撹拌混合機(B)、水貯留機(C)、液圧ポンプ機(D)及び切換弁装置(E)を含んで構成される。
【0019】
杭施工機(A)は、図14及び図15に示すように、地盤(G)中に掘削穴(H)を掘削形成し、掘削穴(H)内に充填液(M)及び根固め液(L)を注入し、更に掘削穴(H)の砂礫(K)及び根固め液(L)を撹拌混合して掘削穴(H)の底側である拡大掘削穴(H1)内に混合根固め液(N)を築造する。
杭施工機(A)は、掘削穴(H)内に混合根固め液(N)を築造した後、基礎杭(図示しない)を掘削穴(H)内に進入させて、掘削穴(H)の混合根固め液(N)、充填液(M)に浸漬し、混合根固め液(N)及び充填液(M)の乾燥、固化で基礎杭を地盤(G)中に定着、埋設する。
【0020】
杭施工機(A)は、図14に示すように、杭施工機本体(101)に設置されるオーガ駆動装置(102)、及び地盤(G)中に掘削穴(H)を掘削形成するスクリュオーガ(103)を含んで構成される。
【0021】
オーガ駆動装置(102)は、図14に示すように、昇降機構(104)及び駆動モータ(105)を備え、昇降機構(104)は駆動モータ(105)を昇降自在として支持する。
【0022】
スクリュオーガ(103)は、図14及び図15に示すように、オーガヘッド(106)、スクリュ軸(107)及び継手軸体(108)を備え、オーガヘッド(106)は地盤(G)中に掘削穴(H)を掘削形成する。オーガヘッド(106)は、掘削水(O)、充填液(M)又は根固め液(L)を掘削穴(H)内に注入する噴出口(図示しない)を有している。
【0023】
スクリュ軸(107)は、図14及び図15に示すように、スクリュ羽根(109)を備え、スクリュ羽根(109)はスクリュ軸(107)の軸方向(T)に螺旋状に延設されている。
スクリュ軸(107)は、鋼管等で構成され、内部に流体通路(R)を形成している。スクリュ軸(107)の上軸端は、オーガ駆動装置(102)の駆動モータ(105)に連結され、スクリュ軸(107)の下軸端は、オーガヘッド(106)に取外自在として連結されている。スクリュ軸(107)の流体通路(R)は、オーガヘッド(106)の噴出口(図示しな)に接続される。
【0024】
継手軸体(108)は、図14、図15、図17及び図18に示すように、スクリュ軸(107)の下軸端側に形成され、スクリュ軸(107)の下軸端側を構成している。
継手軸体(108)は、図17及び図18に示すように、継手取付穴(110)、複数の継手側連結溝(111)、(111)、及び複数の継手側連結穴(112)、(112)を有し、継手取付穴(110)は、流体通路(R)に連続して継手軸体(108)の軸方向(T)に延設されている。継手取付穴(110)は、多角形、例えば六角形の内周形状に形成され、流体通路(R)及び継手軸体(108)の下軸端に開口している。
【0025】
複数の継手側連結溝(111)、(111)は、図17及び図18に示すように、継手取付穴(110)内周に形成され、軸方向(T)に直交する幅方向(U)に間隔を隔てて配置される。各継手側連結溝(111)、(111)は、軸方向(T)及び幅方向(U)に直交する前後方向(V)に延設されている。
【0026】
複数の継手側連結穴(112)、(112)は、図17及び図18に示すように、各継手側連結溝(111)、(111)に連続して形成され、継手軸体(108)を前後方向(V)に貫通している。各継手側連結穴(112)、(112)は、継手取付穴(110)及び継手軸体(108)外周に開口している。
【0027】
上記構成の杭施工機(A)は、昇降機構(104)で駆動モータ(105)及びスクリュオーガ(103)を地盤(G)側に下降し、駆動モータ(105)でスクリュオーガ(103)を回転することで、オーガヘッド(106)及びスクリュ軸(107)で地盤(G)中に掘削穴(H)を掘削形成する(図15(a)参照)。
杭施工機(A)は、スクリュ軸(107)内の流体通路(R)を通してオーガベッド(106)から充填液(M)及び根固め液(L)を掘削穴(H)内に注入し、駆動モータ(105)でスクリュオーガ(103)を回転することで、スクリュ軸(107)のスクリュ羽根(109)で掘削穴(H)の砂礫(K)及び根固め液(L)を撹拌混合して掘削穴(H)の底側である拡大掘削穴(H1)内に混合根固め液(N)を構築する(図15(b)参照)。
杭施工機(A)は、昇降機構(104)でスクリュオーガ(103)を昇降することで、オーガヘッド(106)を地盤(G)に進退し、スクリュ軸(107)を掘削穴(H)に進退する。
【0028】
撹拌混合機(B)は、図16に示すように、セメント粉末及び水等を撹拌混合して充填液(M)及び根固め液(L)を生成する。撹拌混合機(B)は、セメントサイロ、注入ポンプ及びミキサ等で構成(図示しない)され、配管(113)を通して杭施工機(A)の流体通路(R)に接続されている。
【0029】
水貯留機(C)は、図16に示すように、水源(F)に接続され、水源(F)から供給される水を貯留する。水貯留機(C)は、配管(114)を通して撹拌混合機(B)に接続され、配管(113)から分岐する配管(115)及び配管(113)を通して杭施工機(A)の流体通路(R)に接続されている。
水貯留機(C)の貯留水は、撹拌混合機(B)において、充填液(M)及び根固め液(L)の生成に使用され、杭施工機(A)において、掘削水(O)及び混合根固め液採取装置(X)の作動圧水(P:作動圧)として使用される。
【0030】
液圧ポンプ機(D)は、図16に示すように、配管(113)の分岐点(a)より杭施工機(A)側に配置され、配管(113)を通して杭施工機(A)及び撹拌混合機(B)に接続されている。液圧ポンプ機(D)は、配管(113)及び配管(115)を通して水貯留機(C)に接続されている。
液圧ポンプ(D)は、撹拌混合機(B)から配管(113)を通して充填液(M)又は根固め液(L)を吸引し、一定圧力の充填液(M)又は根固め液(L)を杭施工機(A)側の配管(113)に吐出する。充填液(M)、根固め液(L)は、杭施工機(A)において、スクリュ軸(107)内の流体通路(R)に導入される。
液圧ポンプ機(D)は、水貯留機(C)から配管(115)、(113)を通して貯留水を吸引し、一定圧力の掘削水(O)、作動圧水(P)を杭施工機(A)側の配管(113)に吐出する。掘削水(O)、作動圧水(P)は、杭施工機(A)において、スクリュ軸(107)内の流体通路(R)に導入される。
【0031】
切換弁装置(E)は、図16に示すように、配管(113)の分岐点(a)に配置されている。切換弁装置(E)は、3方向切換弁で構成され、液圧ポンプ機(D)と撹拌混合機(B)、液圧ポンプ機(D)と水貯留機(C)又は液圧ポンプ機(D)と大気に切換接続する。杭施工機(A)の流体通路(R)は、切換弁装置(E)の切換操作に基づいて、撹拌混合機(B)、水貯留機(C)又は大気に接続される。
【0032】
<混合根固め液採取装置(X)の構成>
次に、混合根固め液採取装置(X)の構成について、図1乃至図16を参照して説明する。
【0033】
混合根固め液採取装置(X)は、図14及び図15に示すように、スクリュ軸(107)の継手軸体(108:下軸端側)に取外自在として連結され、オーガ駆動装置(102)で掘削穴(H)の混合根固め液(N)に浸漬されて、掘削穴(H)から未固結の混合根固め液(N)を採取する。
【0034】
図1乃至図7において、混合根固め液採取装置(X)は、本体ユニット(1)、潤滑導入手段(2)、液導入口手段(3)、導入開閉手段(5)、排出開閉手段(6)、液排出口手段(7)、アクチュエータ手段(8)、蓋開閉手段(9)及び圧抜き弁手段(10)を含んで構成される。
混合根固め液採取装置(X)において、本体ユニット(1)及び蓋開閉体(9)は、図1及び図2に示すように、軸方向(T)に連続して配置され、蓋開閉部材(9)は混合根固め液採取装置(X)の下軸端側を構成している。
【0035】
本体ユニット(1)は、図1乃至図4に示すように、スクリュ軸(107)の継手軸体(108)に取外自在として連結され、スクリュ軸(107)の軸方向(T)に収納空間(KS)及び未固結の混合根固め液(N)を貯留する貯留空間(CS)を区画する。
本体ユニット(1)は、本体筒体(11)及び連結軸体(12)を備え、本体筒体(11)は、本体筒部材(14)、複数の閉鎖部材(15)、(16)、仕切部材(17)、シール部材(18)及び連絡筒部材(19)を含んで構成される。
【0036】
本体筒部材(14)は、例えば両軸端開口の円筒状に形成されている。
【0037】
閉鎖部材(15)は、円板状に形成され、本体筒部材(14)の上軸端を閉鎖して、本体筒部材(14)に固定されている。閉鎖部材(15)には、第1挿通穴(20)が形成されている。第1挿通穴(20)は本体筒体(11)の軸方向(T)に延設されて、本体筒部材(14)内外に開口している。
【0038】
閉鎖部材(16)は、円板状に形成され、本体筒部材(14)の下軸端を閉鎖して、本体筒部材(14)に固定されている。閉鎖部材(16)には、第1排出穴(21)が形成されている。第1排出穴(21)は、本体筒体(11)の軸方向(T)に延設されて、本体筒部材(14)内外に開口している。
【0039】
仕切部材(17)は、図2及び図3に示すように、本体筒部材(14)内に配置され、本体筒体(11)の軸方向(T)に収納空間(KS)及び貯留空間(CS)を区画している。仕切部材(17)は、円板状に形成され、本体筒部材(14)内周に沿って固定され、収納空間(KS)を貯留空間(CS)から密封区画している。仕切部材(17)には、第2挿通穴(22)が形成されている。第2挿通穴(22)は、本体筒体(11)の軸方向(T)に延設され、収納空間(KS)及び貯留空間(CS)に開口している。
【0040】
シール部材(18)は、図2及び図3に示すように、樹脂製又は合成ゴム製のオーリンクで構成され、仕切部材(17)に配置されている。シール部材(18)は、仕切部材(17)の第2挿通穴(22)内周に沿って取付け固定され、第2挿通穴(22)内に突出している。
【0041】
連絡筒部材(19)は、図2に示すように、例えば両軸端開口の円筒状に形成され、本体筒部材(14)の下軸端に配置されている。連絡筒部材(19)は、本体筒部材(14)に蝶番部材(23)で回転自在に取付られ、閉鎖部材(16)の第1排出穴(21)及び貯留空間(CS)を開閉する。
連絡筒部材(19)は、図1に示すように、貯留空間(CS)を閉鎖した状態において、固定開放機構(24)で本体筒部材(14)に回転不能として固定され、固定開放機構(24)の開放で回転自在にされる(図13参照)。
連絡筒部材(19)は、図1及び図2に示すように、合成ゴム製のパッキン(PK1)を有し、パッキン(PK1)は連絡筒部材(19)の上軸端に取付けられて、本体筒部材(14)の下軸端に当接される。
【0042】
連結軸体(12)は、図1、図2及び図4に示すように、連結軸部材(25)及び連結フランジ部材(26)を備え、連結軸部材(25)は、多角形、例えば六角形の外周形状に形成されている。連結軸部材(25)は、複数の本体側連結溝(27)、(27)及び摺動穴(28)を有している。複数の本体側連結溝(27)、(27)は、連結軸部材(25)外周に形成され、幅方向(U)に間隔を隔てて配置されている。各本体側連結溝(27)、(27)は、前後方向(V)に延設されて、連結軸部材(25)を貫通している。摺動穴(28)は、連結軸体(12)の軸方向(T)に延設され、連結軸部材(25)の両軸端側に開口している。
【0043】
連結フランジ部材(26)は、連結軸部材(15)の下軸端側に一体形成され、連結軸部材(25)外周から突出している。
【0044】
本体ユニット(1)は、図1及び図2に示すように、本体筒体(11)及び連結軸体(12)を連結して構成される。本体筒体(11)及び連結軸体(12)の連結は、閉鎖部材(15)及び連結フランジ部材(26)を複数のボルト(29)で締結する。これにより、連結軸体(12)の摺動穴(28)は、閉鎖部材(15)の第1挿通穴(20)を通して収納空間(KS)に連通される。
本体ユニット(1)は、図1、図2及び図4に示すように、スクリュ軸(107)の継手軸体(108:下軸端側)に取外自在として連結される。本体ユニット(1)の連結は、連結軸体(12)の連結軸部材(25)を継手軸体(108)の継手取付穴(110)内に挿入し、各継手側連結溝(111)、(111)及び本体側連結溝(27)、(27)で複数の連結溝穴(30)、(30)を形成する。続いて、複数の固定軸部材(31)、(31)を用意し、各固定軸部材(31)、(31)を継手軸体(108)の各継手側連結穴(112)、(112)及び各連結溝穴(30)、(30)に挿通することで、本体ユニット(1)を継手軸体(108)に連結して固定する。これにより、本体ユニット(1)の摺動穴(28)は、図2に示すように、流体通路(R)に連通され、本体ユニット(1)には、軸方向(T)において、スクリュ軸(108)の下軸端側から収納空間(KS)及び貯留空間(CS)が区画される。
【0045】
潤滑導入手段(2)は、図2に示すように、収納空間(KS)内に潤滑剤(潤滑油、グリース等)を導入する。
潤滑導入手段(2)は、潤滑導入軸部材(32)及びグリースニップル(33)を備え、潤滑導入軸部材(32)は、本体筒体(11)の収納空間(KS)に配置される。潤滑導入軸部材(32)は、仕切部材(17)に固定され、軸方向(T)において、閉鎖部材(15)側まで延設されている。
潤滑導入軸部材(32)は、第3挿通穴(34)及び潤滑通路(35)を有し、第3挿通穴(35)は、第1、第2挿通穴(20)、(22)及び摺動穴(28)と同軸心として本体筒体(11)の軸方向(T)に延設されている。第3挿通穴(34)は、潤滑導入軸部材(32)の上軸端に開口され、閉鎖部材(15)の第1挿通穴(20)を通して摺動穴(28)に連通している。第3挿通穴(34)は、潤滑導入軸部材(32)の下軸端に開口され、仕切部材(17)の第2挿通穴(22)を通して貯留空間(CS)に連通している。
【0046】
潤滑通路(35)は、潤滑導入軸部材(32)の第3挿通穴(34)及び本体筒部材(14)外周に開口され、第3挿通穴(34)内を本体筒部材(14)外側に連通している。
【0047】
グリースニップル(33)は、本体筒部材(14)外周側に位置して、潤滑通路(35)内に圧入されている。
【0048】
潤滑導入手段(2)において、グリースガン(図示しない)をグリースニップル(33)に装着し、グリースガン内の潤滑剤をグリースニップル(33)から潤滑通路(35)内に注入する。潤滑剤は、潤滑通路(35)から収納空間(KS)の第3挿通穴(34)内に充填される。
【0049】
液導入口手段(3)は、掘削穴(H)から混合根固め液(N)を貯留空間(CS)内に導入(流入)させる。
液導入口手段(3)は、図1、図2及び図5に示すように、複数の液導入口(36)、(36)を備え、各液導入口(36)、(36)は、本体筒部材(14)に形成されている。各液導入口(36)、(36)は、本体筒部材(14)の仕切部材(17)側に配置され、本体筒部材(14)の内外周に開口して掘削穴[H:拡大掘削穴(H1)]及貯留空間(CS)を連通する。複数の液導入口(36)、(36)は、図5に示すように、本体筒部材(14)の周方向において、180度の角度を隔てて形成されている。
【0050】
導入開閉手段(5)は、貯留空間(CS)内に配置され、液導入口手段(3)の各液導入口(36)、(36)を本体筒部材(14)の内側から開閉する。
導入開閉手段(5)は、図1、図2及び図5に示すように、導入開閉体(37)、及び複数のシール部材(38)、(38)を含んで構成され、導入開閉体(37)は、導入開閉筒部材(39)、開閉連結軸部材(40)及び複数の開閉連結部材(41)、(41)・・・を備えている。
【0051】
導入開閉筒部材(39)は、例えば両軸端開口の円筒状に形成され、本体筒体(11)の貯留空間(CS)内に配置されている。
導入開閉筒部材(39)の外径寸法は、本体筒部材(14)の内径寸法より小径に設定されている。
また、導入開閉筒部材(39)は、導入開閉筒部材(39)の軸心を本体筒部材(14)の軸心に一致させて本体筒部材(14)の内周に沿って配置されて、本体筒体(11)の軸方向(T)に摺動自在(移動自在)にされている。
導入開閉筒部材(39)の摺動範囲(移動範囲)は、貯留空間(KS)において、閉鎖部材(16)及び仕切部材(17)間に設定され、導入開閉筒部材(39)は、軸方向(T)において、各液導入口(36)、(36)を閉塞する閉塞位置(Q1:図1及び図2参照)、及び各液導入口(36)、(36)を開放する開放位置(Q2:図8参照)の間で摺動(移動)される。
閉塞位置(Q1)において、導入開閉筒部材(39)の上軸端は仕切部材(17)に当接して、軸方向(T)の上方側への摺動(移動)を規制し、各液導入口(36)、(36)を閉塞する。
開放位置(Q2)において、導入開閉筒部材(39)の下軸端は閉塞部材(16)に当接して、軸方向(T)の下方側への摺動(移動)を規制し、各液導入口(36)、(36)を開放する。
【0052】
開閉連結軸部材(40)は、図2及び図5に示すように、導入開閉筒部材(39)内に位置して、開閉連結軸部材(40)の軸心を導入開閉筒部材(39)の軸心に一致させて配置されている。
【0053】
複数の開閉連結部材(41)、(41)・・・は、導入開閉筒部材(39)内に配置されている。各開閉連結部材(41)、(41)・・・の各端側は、導入開閉筒部材(39)内周及び開閉連結軸部材(40)外周に固定されている。各開閉連結部材(41)、(41)・・・は、図5に示すように、導入開閉筒部材(39)の周方向に、90度の均等角度を隔てて配置され、各開閉連結部材(41)、(41)・・・の間に液流通口(43)、(43)・・・を形成している。
各開閉連結部材(41)、(41)・・・は、液流通穴(44)を有し、液流通穴(44)は本体筒体(11)の軸方向(T)に貫通されている。
【0054】
複数のシール部材(38)、(38)は、超高分子樹脂製又は合成ゴム製のリングに構成され、図2及び図5に示すように、本体筒部材(14)内周及び導入開閉筒部材(39)外周の間に配置されている。各シール部材(38)、(38)は、各液導入口(36)、(36)を囲繞して配置され、本体筒部材(14)内周に取付け固定されている。
【0055】
導入開閉手段(5)において、導入開閉筒部材(39)の軸方向(T)の寸法は、各シール部材(38)、(38)の軸方向(T)の寸法、及び各液導入口(36)、(36)の軸方向(T)の寸法より大きく設定されている。これにより、導入開閉筒体(37)の導入開閉筒部材(39)は、各シール部材(38)、(38)に摺接しながら本体筒体(11)の軸方向(T)に移動される。
また、閉塞位置(Q1)において、各シール部材(38)、(38)全周は、導入開閉筒部材(39)外周に当接して、導入開閉筒部材(39)と協働で各液導入口(36)、(36)を閉塞している(図1及び図2参照)。
更に、開放位置(Q2)において、各シール部材(38)、(38)の下端側は、導入開閉筒部材(39)の外周に当接して、各液導入口(36)、(36)を開放している(図8参照)。
【0056】
排出開閉手段(7)は、液排出口手段(8)を開閉する。
排出開閉手段(7)は、図1、図2及び図6、図7に示すように、本体筒体(11)の連絡筒部材(19)内に配置され、排出開閉体(42)を備えている。
排出開閉体(42)は、排出開閉筒部材(45)、複数の閉鎖部材(46)、(47)、排出開閉軸部材(48)、支持軸部材(49)及び操作部材(50)を含んで構成される。
【0057】
排出開閉筒部材(45)は、図2及び図6に示すように、例えば両軸端開口の円筒状に形成され、連絡筒部材(19)内に配置されている。排出開閉筒部材(45)は、本体筒体(11)の軸方向(T)に延設され、排出開閉筒部材(45)の下軸端側は連結筒部材(19)内から突出している。
排出開閉筒部材(45)は、図2及び図6に示すように、液取出口(51)を有し、液取出口(51)は、排出開閉筒部材(45)の下軸端側に位置して、排出開閉筒部材(45)内外周に開口している。
【0058】
閉鎖部材(46)は、図2に示すように、連絡筒部材(19)内に配置され、連絡筒部材(19)の上軸端及び排出開閉筒部材(45)の上軸端を閉鎖している。閉鎖部材(46)及び排出開閉筒部材(45)は、複数のボルト(52)、(52)で連絡筒部材(19)に締結、固定されている。閉鎖部材(46)は、第2排出穴(53)を有し、第2排出穴(53)は閉鎖部材(16)の第1排出穴(21)を通して貯留空間内(CS)に連通している。
【0059】
閉鎖部材(47)は、排出開閉筒部材(45)の下軸端を閉鎖して、排出開閉筒部材(45)に固定されている。閉鎖部材(47)は、図7に示すように、案内穴(54)を有し、案内穴(54)は、排出開閉筒部材(45)の軸心に位置して、本体筒体(11)の軸方向(T)に延設されている。案内穴(54)は、排出開閉筒部材(45)の内外を連通している。
【0060】
排出開閉軸部材(48)は、図2に示すように、排出開閉筒部材(45)内に配置され、本体筒体(11)の軸方向(T)において、各閉鎖部材(46)、(47)間に延設されている。排出開閉軸部材(48)の軸心は、排出開閉筒部材(45)の軸心に一致にされ、排出開閉軸部材(48)は、軸心を中心として回転自在にされている。
【0061】
支持軸部材(49)は、図2及び図6に示すように、支持軸部材(49)の軸心を排出開閉軸部材(48)の軸心に一致させて、排出開閉軸部材(48)に固定されている。支持軸部材(49)は、本体筒体(11)の軸方向(T)に延設され、閉鎖部材(47)の案内穴(54)を通して排出開閉筒部材(45)外側に突出している。
【0062】
操作部材(50)は、図1、図2及び図7に示すように、排出開閉筒部材(45)外側において、支持軸部材(49)に固定されている。操作部材(50)は、本体筒体(11)の軸方向(T)に直交する前後方向(V)に延設されている。
【0063】
液排出口手段(8)は、貯留空間(CS)の混合根固め液(N)を排出する。
液排出口手段(8)は、図1、図2及び図6に示すように、液排出口(55)、及び液排出通路(56)を含んで構成され、液排出口(55)は排出開閉軸部材(48)に形成されている。液排出口(55)は、排出開閉軸部材(48)の下軸端側に位置して、液排出開閉軸部材(48)外周に開口している。液排出口(55)は、排出開閉筒部材(45)の液取出口(51)に連通する位置に配置される。
【0064】
液排出通路(56)は、排出開閉軸部材(48)に形成され、液排出口(55)に連通されている。液排出通路(56)は、本体筒体(11)の軸方向(T)に延設され、各閉鎖部材(16)、(46)の第1、第2排出穴(21)、(53)を通して貯留空間(CS)内に連通されている。
【0065】
排出開閉手段(6)及び液排出口手段(7)において、操作部材(50)を回転することで、排出開閉軸部材(48)は、排出開閉筒部材(45)で液排出口を閉塞する閉位置(S1:図1、図6及び図10参照)、及び排出開閉筒部材(45)の液取出穴(51)に液排出口(55)を連通する開位置(S2:図11及び図12参照)の間で回転される。これにより、排出開閉手段(6)は、液排出口手段(7)の液排出口(55)を開閉する。
【0066】
アクチュエータ手段(8)は、本体ユニット(1)の収納空間(KS)内に配置され、導入開閉手段(5)を閉塞位置(Q1)及び開放位置(Q2)間で摺動(移動)させる。
アクチュエータ手段(8)は、杭施工機(A)の流体通路(R)に導入される作動圧水(P)を使用(利用)して、導入開閉手段(5)の導入開閉筒部材(37)を摺動(移動)させる。
【0067】
アクチュエータ手段(8)は、図2に示すように、移動体(57)、付勢部材(58)及び複数のシール部材(59)、(59)を含んで構成され、移動体(57)は、連結軸体(12)内及び収納空間(KS)内に配置されている。移動体(57)は、摺動ピストン部材(60)及び連結ピストン部材(61)で構成されている。
【0068】
摺動ピストン軸部材(60)は、本体ユニット(1)の軸方向(T)に摺動自在(移動自在)として摺動穴(28)内に配置され、閉鎖部材(15)の第1挿通穴(20)を通して第3挿通穴(34)内に延設されている。
【0069】
連結ピストン軸部材(61)は、収納空間(KS)の第3挿通穴(34)内において、摺動ピストン軸部材(60)の下軸端から縮径して形成されている。連結ピストン軸部材(61)は、軸方向(T)において、仕切部材(17)の第2挿通穴(22)を通して貯留空間(CS)内に延設されている。
連結ピストン軸部材(61)は、図2及び図3に示すように、仕切部材(17)の第2挿通穴(22)内において、シール部材(18)に摺動自在として当接されている。
これにより、仕切部材(17)の第2挿通穴(22)は、連結ピストン部材(61)及びシール部材(18)で閉鎖され、シール部材(18)は、移動体(57)の連結ピストン部材(61)に当接して、収納空間(KS)を貯留空間(CS)から密封する。
【0070】
連結ピストン部材(61)は、図2及び図4に示すように、連結ピストン軸部材(61)の軸心を導入開閉手段の開閉連結軸部材(40)の軸心に一致させて、開閉連結軸部材(40)に連結されている。
これにより、連結ピストン軸部材(61)は、開閉連結軸部材(40)、及び複数の開閉連結部材(41)、(41)・・・で導入開閉筒部材(39)に連結される。
【0071】
付勢部材(58)は、例えばコイルバネで構成され、収納空間(CS)の第3挿通穴(34)内で移動体(57)と同軸心として連結ピストン部材(61)外周に配置されている。付勢部材(58)は、摺動ピストン軸部材(60)の下軸端及び仕切部材(17)に当接され、移動体(57)を収納空間(KS)内に付勢している。
【0072】
複数のシール部材(59)、(59)は、樹脂製又は合成ゴム製のオーリングで構成され、軸方向(T)に間隔を隔てて摺動ピストン軸部材(60)外周に取付け固定されている。各シール部材(59)、(59)は、連結軸体(12)の摺動穴(28)に当接され、摺動穴(28)及び収納空間(CS)を流体通路(R)から密封している。
【0073】
アクチュエータ手段(8)において、移動体(57)は、作動圧水(P)の作用に基づいて、付勢部材(58)の付勢力に抗して貯留空間(CS)側に移動する。導入開閉筒体(37)の導入開閉筒部材(39)は、移動体(57)の貯留空間(CS)側への移動に伴って、開放位置(Q2)側に移動される。このとき、導入開閉筒部材(39)は、開閉連結軸部材(49)の軸心に連結ピストン軸部材(61)を連結し、導入開閉筒部材(39)周方向に均等角度を隔てる複数の開閉連結部材(41)、(41)・・・を介して連結ピストン軸部材(61)に連結されるので、傾斜することなく、本体筒体(11)の軸方向(T)に移動される。
移動体(57)は、作動圧水(P)の大気への開放に基づいて、付勢部材(58)の付勢力で収納空間(KS)側に移動し、導入開閉筒部材(39)は、移動体(57)の収納空間(KS)側の移動に伴って、閉塞位置(Q1)側に移動される。
【0074】
蓋開閉手段(9)は、排出開閉手段(6)の排出開閉筒部材(45)及び操作部材(50)を被覆収納し、又は排出開閉筒部材(45)等を外部に露出する。
蓋開閉手段(9)は、図1及び図2に示すように、蓋部材(62)を備え、蓋部材(62)は、本体筒体(11)の軸方向(T)に突出する半球状に形成されている。
蓋部材(62)は、開口端を連絡筒部材(19)の下軸端に対峙させて配置されている。蓋部材(62)は、連絡筒部材(19)に蝶番部材(63)で回転自在として取付けられ、連絡筒部材(19)の下軸端を開閉する。これにより、混合根固め液採取装置(X)の下軸側は、蓋部材(61)で半球状に形成されている。
蓋部材(62)は、合成ゴム製のパッキン(PK2)を有し、パッキン(PK2)は、蓋部材(62)の開口端に取付けられ、連絡筒部材(19)の下軸端に当接される。
蓋部材(62)は、図1に示すように、連絡部材(19)の下軸端を閉鎖した状態において、内部に排出開閉筒部材(45)を被覆収納し、固定開放機構(64)で連結筒部材(19)に回転不能として固定され、固定開放機構(64)の開放で回転自在にされる(図10参照)。
【0075】
圧抜き弁手段(10)は、図1に示すように、本体筒体(11)に配置され、貯留空間(CS)内を大気中に開放して、貯留空間(CS)内の圧力を大気圧する弁構造である。
圧抜き弁手段(10)において、混合根固め液採取装置(X)を掘削穴(H)内に進入して混合根固め液(N)に浸漬すると、掘削穴(H)内外で圧力差を生じる。
掘削穴(H)外より圧力の高い拡大掘削穴(H1)内において、混合根固め液(N)を本体筒体(11)の貯留空間(N)内に貯留し、混合根固め液採取装置(X)を掘削穴(H)内から退避させた後、排出開閉手段(9)で液排出口手段(7)の液排出口(55)を開放すると、圧力差に基づいて、貯留空間(CS)に貯留した混合根固め液(N)が液排出口(55)から勢い良く噴出し、本体筒体(11)外部に撒き散る虞がある。
このため、圧抜き弁手段(10)で貯留空間(CS)内を大気に開放することで、貯留空間(CS)内を大気圧にする。これにより、圧抜き弁手段(10)は、混合根固め液(N)が本体筒体(11)外部に撒き散ること防止し、確実に混合根固め液(N)を採取できる。
【0076】
<混合根固め液(N)の採取手順>
未固結の混合根固め液(N)の採取手順について、図1乃至図16を参照して説明する。
【0077】
<A>掘削穴(H)の掘削形成〜混合根固め液(N)の築造
杭施工設備(Y)において、杭施工機(A)は、図14及び図15に示すように、スクリュ軸(107)の下端側(継手軸体:108)にオーガヘッド(106)を連結している。切換弁装置(E)を切換操作して、図16に示すように、液圧ポンプ機(D)及び水貯留機(C)を接続する。
杭施工機(A)は、図14に示すように、オーガ駆動装置(102)の昇降機構(104)及び駆動モータ(105)を駆動し、スクリュオーガ(103)を回転させつつ地盤(G)側に下降させる。スクリュオーガ(103)の回転・下降に伴って、液圧ポンプ機(D)を駆動して、掘削水(O)をスクリュ軸(107)内に流体通路(R)に導入する。
【0078】
杭施工機(A)のスクリュオーガ(103)は、図15(a)に示すように、オーガヘッド(106)から掘削水(O)を注入しつつ地盤(G)中に掘削穴(H)を掘削形成する。このとき、オーガヘッド(106)は、地盤(G)中に進入され、スクリュ軸(107)は掘削穴(H)内に進入され、スクリュ羽根(109)によって掘削された砂礫(K)の一部を掘削穴(H)外側に排出する。
【0079】
続いて、杭施工設備(Y)において、図16に示すように、切換弁装置(E)を切換操作して、液圧ポンプ(D)及び撹拌混合機(B)を接続して、充填液(M)を杭施工機(A)の流体通路(R)に導入する。
杭施工機(A)は、充填液(M)の導入に伴って、昇降機構(104)でスクリュオーガ(103)を回転しつつ昇降し、掘削穴(H)の底側に拡大掘削穴(H1)を掘削形成する。
拡大掘削穴(H1)の掘削形成と同時に、オーガヘッド(106)から充填液(M)を掘削穴(H)内に注入し、スクリュオーガ(103)の回転で掘削穴(H)の砂礫(K)及び充填液(M)を撹拌混合する。充填液(M)の注入は、図15(b)に示すように、掘削穴(H)の開口側まで充填される。
【0080】
続いて、液圧ポンプ機(D)は、図16に示すように、撹拌混合機(B)から根固め液(N)を吸引し、根固め液(N)を杭施工機(A)の流体通路(R)に導入する。
杭施工機(A)は、根固め液(N)の導入に伴って、オーガヘッド(106)から根固め液(N)を拡大掘削穴[H1:掘削穴(H)の底側]に注入し、スクリュオーガ(103)の回転で拡大掘削穴(H1)の砂礫(K)及び根固め液(N)を撹拌混合して混合根固め液(N)を築造する(図15(b)参照)。
液圧ポンプ機(D)を停止し、切換弁装置(E)を切換操作して、液圧ポンプ機(D)及び大気を切換接続する。これにより、杭施工機(A)の流体通路(R)は、大気に開放される。
【0081】
<B>混合根固め液(N)の採取
掘削穴(H)内に混合根固め液(N)を築造すると、杭施工機(A)は、昇降機構(104)でスクリュオーガ(103)を上昇して、オーガヘッド(106)及びスクリュ軸(107)を掘削穴(H)内から退避させる。
続いて、杭施工機(A)のスクリュ軸(107)からオーガベッド(106)を取外し、混合根固め液採取装置(X)をスクリュ軸(107)の継手軸体(108)に取外自在として連結、固定する(図1、図2及び図4参照)。
なお、混合根固め液採取装置(X)は、図1及び図2に示すように、排出開閉軸部材(48)を閉位置(S1)に位置させ、蓋部材(62)で排出開閉筒部材(45)を被覆収納している。混合根固め液採取装置(X)において、本体筒体(11)の本体筒部材(14)及び連絡筒部材(19)は、合成ゴム製のパッキン(PK1)で密封され、連絡筒部材(19)及び蓋部材(62)は、合成ゴム製のパッキン(PK2)で密封されて、掘削穴(H)の充填液(M)及び混合根固め液(N)の本体筒体(11)内への流入を防止している。
【0082】
杭施工機(A)の流体通路(R)は、図16に示すように、配管(113)、液圧ポンプ機(D)及び切換弁装置(E)を通して大気に開放されているので、混合根固め液採取装置(X)は、図1及び図2に示すように、付勢部材(58)の付勢力で移動体(57)を収納空間(KS)内に付勢する。
これにより、導入開閉手段(5)の導入開閉筒部材(39)は、各液導入口(36)、(36)を閉塞する閉塞位置(Q1)に位置される。
【0083】
混合根固め液採取装置(X)を連結すると、杭施工機(A)において、昇降機構(104)でスクリュ軸(107)及び混合根固め液採取装置(X)を掘削穴(X)内に進入させて、図15(c)に示すように、混合根固め液採取装置(X)を掘削穴(H)の底側である拡大掘削穴(H1)の混合根固め液(N)に浸漬させる。
混合根固め液採取装置(X)は、半球状の蓋部材(62)側から掘削穴(H)内に進入されるので、掘削穴(H)内の充填液(M)による抵抗を分散抑制しつつ混合根固め液(N)に浸漬され、蓋部材(62)の半球状で充填液(M)が激しく流動して混合根固め液(N)に混合するのを抑制する。
【0084】
混合根固め液採取装置(X)を混合根固め液(N)に浸漬すると、杭施工設備(Y)において、図16に示すように、切換弁装置(E)を切換操作して、液圧ポンプ機(D)及び水貯留機(C)を接続する。
続いて、液圧ポンプ機(D)を駆動して、一定圧力の作動圧水(P:作動圧)を杭施工機(A)の流体通路(R)に導入する。作動圧水(P)の水圧(P1)は、付勢部材(18:コイルバネ)の付勢力(F1:バネ力)との関係において、P1>F1にする。
【0085】
作動圧水(P)は、図8に示すように、流体通路(R)を通して摺動穴(28)に導入され、移動体(57)の摺動ピストン軸部材(60)の上軸端に作用する。
移動体(57)の各ピストン軸部材(60)、(61)は、作動圧水(P)の作用を受けると、付勢部材(58)の付勢力に抗して貯留空間(CS)側に摺動(移動)し、導入開閉筒体(37)の導入開閉筒部材(39)は、移動体(57)の貯留空間(CS)側への摺動(移動)に伴って、軸方向(T)の閉鎖部材(16)に向けて閉塞位置(Q1:図2参照)から開放位置(Q2:図8参照)に移動される。
導入開閉筒部材(39)及び移動体(57)の移動は、開放位置(Q2:図8参照)において、導入開閉筒部材(39)の下軸端が閉鎖部材(16)に当接することで規制される。
【0086】
導入開閉筒部材(39)を開放位置(Q2)に移動すると、液導入口手段(3)の各液導入口(36)、(36)は、図8に示すように、開かれて拡大掘削穴(H1)及び貯留空間(CS)を連通するので、拡大掘削穴(H1)の混合根固め液(N1)は、各液導入口(36)、(36)から貯留空間(CS)内に流入し、貯留空間(CS)に貯留される。
貯留空間(CS)に流入した混合根固め液(N1)は、導入開閉筒部材(39)の各液流通口(43)及び各液流路穴(44)を通して導入開閉筒部材(39)内に流入し、更に第1、第2排出穴(21)、(53)を通して液排出流路(56)内に流入する。
このとき、液排出流路(56)に連通する液排出口(55)は、排出開閉筒部材(45)内周で閉塞されているので、混合根固め液(N)は、液排出口(55)から蓋部材(62)に排出されない。
また、収納空間(KS)は、仕切部材(17)及びシール部材(18)で貯留空間(CS)から密封区画されているので、貯留空間(CS)に流入した混合根固め液(N)は、収納空間(KS)内に流入しない。これにより、収納空間(KS)内に配置される摺動ピストン軸部材(60)及び付勢部材(58)は、混合根固め液(N)で腐蝕等することなく、また、移動体(57)は、混合根固め液(N)の砂礫、セメントの影響を受けることなく、滑らかに摺動する。
なお、収納空間(KS)の第3挿通穴(34)内には、潤滑剤(潤滑油、グリース等)が充填されているので、付勢部材(58)は潤滑剤で被覆され耐蝕性に優れた状態にされ、移動体(57)は、耐蝕性に優れ、潤滑剤に基づいて滑らかに摺動する。
【0087】
混合根固め液(N)を貯留空間(CS)に貯留すると、図16に示すように、液圧ポンプ機(D)を停止し、切換弁装置(E)を切換操作して、液圧ポンプ機(D)を大気に接続する。
これにより、杭施工機(A)の流体通路(R)は、配管(113)、液圧ポンプ機(D)及び切換弁装置(E)を通して大気に接続され、流体通路(R)に導入された作動圧水(P)は大気に開放される。
【0088】
流体通路(R)内の作動圧水(P)を大気に開放すると、移動体(57)の各ピストン軸部材(60)、(61)は、図2に示すように、付勢部材(58)の付勢力で収納空間(KS)側に移動し、導入開閉筒部材(39)は、移動体(57)の収納空間(KS)側への移動に伴って、軸方向(T)の仕切部材(17)に向けて開放位置(Q2:図8参照)から閉塞位置(Q1:図1及び図2参照)に移動される。
導入開閉体(37)は、開放位置(Q2:図8参照)から閉塞位置(Q1:図9参照)に移動される際、貯留空間(CS)内に貯留した混合根固め液(N)の抵抗を受ける。貯留空間(CS)において、混合根固め液(N)は、図5及び図9に示すように、導入開閉筒部材(37)内の各液流通口(43)内及び各開閉連結部材(41)の液流通穴(44)内を流通するので、混合根固め液(N)の抵抗は低減され、導入開閉筒部材(39)は付勢部材(58)の付勢力で移動される。
また、導入開閉体(37)の各開閉連結部材(41)は、導入開閉筒部材(39)の周方向に均等角度(90度)で配置されているので、導入開閉筒部材(39)の移動において、混合根固め液(N)の抵抗は、導入開閉部材(39)の周方向に均等配分されることになる。これにより、導入開閉筒部材(39)は、混合根固め液(N)の抵抗を受けても、傾斜することなく、直線的に移動される。
閉塞位置(Q1)において、導入開閉筒部材(39)の上軸端は、仕切部材(17)に当接し、導入開閉筒部材(39)及び移動体(57)の摺動、移動を規制する。
閉塞位置(Q1)において、各シール部材(38)、(38)全周は、導入開閉筒部材(39)外周に当接し、各シール部材(38)、(38)及び導入開閉筒部材(39)の協働で各液導入口(36)、(36)を閉塞する。これにより、貯留空間(CS)は、掘削穴(H)の底側である拡大掘削穴(H1)から密封される(図1及び図2参照)。
【0089】
杭施工機(A)において、図14に示すように、オーガ駆動装置(102)の昇降機構(104)でスクリュ軸(107)及び混合根固め液採取装置(X)を上昇して、掘削穴(H)内から退避させる。
混合根固め液採取装置(X)は、導入開閉筒部材(39)及び各シール部材(38)、(38)の協働で各液導入口(36)、(36)を閉塞しているので、掘削穴(H)から退避させる過程において、掘削穴(H)の充填液(M)は貯留空間(CS)に流入しない。
【0090】
混合根固め液採取装置(X)において、図1及び図10に示すように、圧抜き弁手段(10)は貯留空間(CS)内を大気に開放し、貯留空間(CS)内の圧力を大気圧にする。
混合根固め液採取装置(X)において、図10に示すように、固定開放機構(64)を操作し、蓋開閉手段(9)の蓋部材(62)を回転することで、排出開閉手段(6)の排出開閉筒部材(45)及び操作部材(50)を蓋部材(62)内から露出させる。
続いて、図6、図10乃至図12に示すように、操作部材(50)を回転操作することで、排出開閉軸部材(48)を閉位置(S1:図6及び図10参照)から開位置(S2:図11及び図12参照)に回転させる。
これにより、排出開閉軸部材(48)の液排出口(55)は、図11及び図12に示すように、排出開閉筒部材(45)の液取出口(51)に連通され、貯留空間(CS)は液排出通路(56)及び液排出口(51)、液取出口(55)を通して混合根固め液採取装置(X)外部に連通される。
貯留空間(CS)に貯留された混合根固め液(N)は、液排出口(51)、液取出口(55)から混合根固め液採取装置(X)外部に取出され、混合根固め液(N)の組成分析及び乾燥、固化の時間を確認するための試料に供される。
【0091】
<C>混合根固め液採取装置(X)の清掃等
混合根固め液採集装置(X)において、図13に示すように、連絡筒部材(19)を回転することで、本体筒部材(14)の下軸端を開放できる。
これにより、本体筒部材(14)の貯留空間(CS)は、混合根固め液採取装置(X)外部に連通され、洗浄水等を直接、貯留空間(CS)内に導入でき、本体筒部材(14)の貯留空間(N)を洗浄できるので、種類の異なる混合根固め液(N)を採取する際に、別の混合根固め液(N)と混合することなく、各種の混合根固め液(N)を採取できる。
また、図13に示すように、連絡筒部材(19)を回転して貯留空間(CS)を開放し、更に図11及び図12に示すように、蓋部材(62)を回転して排出開閉筒部材(45)を露出すると共に、排出開閉軸部材(48)を開位置(S2)にすることで、排出開閉連結軸(56)の上軸端から液排出通路(56)内に洗浄水等を導入でき、更に液排出口(51)、液取出口(55)から液排出通路(56)内に洗浄水を導入できる。
更に、図13に示すように、連結筒部材(19)を回転して、本体筒部材(14)の下軸端を開放することで、貯留空間(CS)に貯留した混合根固め液(N)を直接、混合根固め液採取装置(X)から排出でき、特に、混合根固め液(N)の乾燥、固化が進んで、半流動状になっても、貯留空間(CS)内から混合根固め液(N)を排出でき、排出開閉手段の機能を兼ね備えている。
【0092】
上記構成の混合根固め液採取装置(X)によれば、既存の杭施工設備(Y)を使用(利用)して、掘削穴(H)内に築造される未固結の混合根固め液(N)を採取でき、混合根固め液採取装置(X)を掘削穴(H)に進退するための設備を別途配置する必要がない。
混合根固め液採取装置(X)において、本体筒体(11)に収納空間(KS)及び貯留空間(CS)を区画して、収納空間(KS)内に移動体(57)及び付勢部材(58)を配置したので、貯留空間(CS)に混合根固め液(N)を貯留しても、移動体(57)及び付勢部材(58)は、混合根固め液(N)の影響を受けることなく、混合根固め液(N)で腐蝕等することを防止できる。
【0093】
混合根固め液採取装置(X)では、既存の杭施工設備(Y)を使用(利用)することなく、掘削穴(H)の混合根固め液(N)を採取しても良い。このとき、杭施工設備(Y)の杭施工機(A)に加えて、混合根固め液採取装置(X)を掘削穴(H)に進退する専用昇降装置を用意し、更に本体筒体(11)に接続され、摺動穴(28)に作動圧水(P)を導入する専用配管、専用液圧ポンプ機等を用意することで実現できる。これにより、杭施工設備(Y)で掘削穴(H)に混合根固め液(N)を築造した後、混合根固め液採取装置及びオーガヘッドの取換作業を要することなく、直ちに、混合根固め液採取装置(X)を掘削穴(H)の混合根固め液(N)に浸漬でき、迅速に未固結の混合根固め液(N)を採取できる。
【0094】
混合根固め液採取装置(X)において、アクチュエータ手段(8)の移動体(57)に作用する作動圧は、作動圧油、又は作動圧空気等を採用できる。
混合根固め液採取装置(X)において、アクチュエータ手段(8)は、作動圧で摺動する移動体(57)及び付勢部材(58)の構成に限定されず、例えば、電動モータ及びボールネジ等の構成を採用できる。電動モータを収納空間内に配置し、ボールネジを電動モータに連結し、更にボールネジの移動部材を排出開閉筒部材に連結することで、排出開閉筒部材を閉塞位置及び開放位置の間で移動できる。
【0095】
混合根固め液採取装置(X)において、排出開閉手段(6)は、排出開閉軸部材(48)を回転自在として、液排出口(55)を排出開閉筒部材(45)で開閉する構成を説明したが、これに限定されるものでなく、例えば、排出開閉筒部材(45)を排出開閉軸部材(48)に対して回転自在としても良く、排出開閉軸部材(48)は連絡筒部材(19)に固定する。
【0096】
混合根固め液採取装置(X)において、液導入口(36)の開口数は、1又は3以上であっても良い。3以上の液導入口(36)は、本体筒部材(14)の周方向に均等角度を隔てて形成する。
【0097】
杭施工設備(Y)のオーガヘッド(106)において、本体ユニット(1)の連結軸体(12)と同一構成を形成して、スクリュ軸(107)の継手軸体(108)に取外自在として連結することが好ましい。
【0098】
混合根固め液採取装置(X)においては、図9に示すように、混合根固め液(N)を貯留空間(CS)内に貯留した後、付勢部材(58)の付勢力で移動体(57)及び導入開閉筒部材(39)を開放位置(Q2)から閉塞位置(Q1)に移動させることで、液導入口(36)、(36)を閉じている。このとき、杭施工機(A)において、スクリュ軸(107)の流体通路(R)内には、導入開閉筒部材(39)を閉塞位置(Q1)から開放位置(Q2)に移動するために使用された作動水が溜まっている。従って、導入開閉筒部材(39)を開放位置(Q2)から閉塞位置(Q1)に移動させるためには、付勢部材(58)の付勢力(F1:バネ力)と流体通路(R)内に溜まった作動水重量(W)の関係は、F1>Wの関係にすることが好ましい。
そして、混合根固め液採取装置(X)において、流体通路(R)内に溜まった作動水を排出するため、スクリュ軸(107)の継手軸体(108)又は連結軸体(12)等に切換弁(図示しない)を配置し、切換弁の操作に基づいて、スクリュ軸(107)の流体通路(R)を大気側又は移動体(57)側に切換接続可能にする構成を採用できる。これにより、スクリュ軸(107)の流体通路(R)を、上記切換弁の操作で大気側に接続することで、流体通路(R)内に溜まった作動水を排出でき、付勢部材(58)の付勢力(F1)は、流体通路(R)内に溜まった作動水重量(W)を考慮することなく、移動体(57)及び導入開閉筒部材(39)を開放位置(Q2)から閉塞位置(Q1)まで移動できる付勢力にすれば良いことになる。特に、掘削穴(H)を深くするに連れて、スクリュ軸(107)の長手方向(T)の寸法も長くなることから、スクリュ軸(107)の流体通路(R)内に溜まる作動水重量(W)も多く重くなる。上記切換弁の操作で流体通路(R)を大気側に接続して、流体通路(R)内に溜まった作動水を大気側に排出すると、掘削穴(H)が深くなっても、付勢部材(58)の付勢力(F1)のみで導入開閉筒部材(39)を開放位置(Q2)から閉塞位置(Q1)に移動できる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、掘削穴内に築造される混合根固め液を採取するのに好適である
【符号の説明】
【0100】
X 混合根固め液採取装置
Y 杭施工設備(施工設備)
G 地盤
H 掘削穴
L 根固め液
N 混合根固め液
R 流体通路
T 軸方向
KS 収納空間
CS 貯留空間
Q1 閉塞位置
Q2 開放位置
11 本体筒体
36 液導入口
37 導入開閉体
42 排出開閉体
55 液排出口
57 移動体
58 付勢部材
106 オーガヘッド
107 スクリュ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に進退され、前記地盤中に掘削穴を形成するオーガヘッド、及び前記オーガヘッドに連結され、前記掘削穴に進退されるスクリュ軸を備え、前記スクリュ軸内の流体通路を通して前記オーガヘッドから根固め液を前記掘削穴内に注入し、前記スクリュ軸の回転で前記掘削穴の砂礫及び前記根固め液を撹拌混合して前記掘削穴内に混合根固め液を築造する施工設備において、
前記オーガヘッドを取外した前記スクリュ軸の軸端側に連結され、前記掘削穴の前記混合根固め液に浸漬されて未固結の前記混合根固め液を採取する混合根固め液採取装置であって、
前記スクリュ軸の軸端側に連結され、前記スクリュ軸の軸方向に収納空間、及び前記混合根固め液を貯留する貯留空間を区画する本体筒体と、
前記本体筒体の内外周に開口され、前記掘削穴及び前記貯留空間を連通する液導入口と、 前記本体筒体の内周に沿って配置され、前記液導入口を前記本体筒体の内側から開閉する導入開閉体と、
前記本体筒体の前記貯留空間内に開口され、前記貯留空間の前記混合根固め液を排出する液排出口と、
前記液排出口を開閉する排出開閉体と、
前記本体筒体の前記収納空間内に配置され、前記本体筒体の軸方向に移動自在に支持される移動体と、
前記本体筒部材の前記収納空間内に配置され、前記移動体を前記収納空間内に付勢する付勢部材を含んで構成され、
前記導入開閉筒体は、前記本体筒体の軸方向において、前記液導入口を閉塞する閉塞位置、及び前記液導入口を開放する開放位置の間で移動され、
(1)前記移動体は、前記本体筒体の前記貯留空間内で前記導入開閉筒体に連結され、前記スクリュ軸の前記流体通路に接続され、前記流体通路から導入される作動圧に基づいて、前記付勢部材の付勢力に抗して前記貯留空間側に移動し、
前記導入開閉筒体は、前記移動体の前記貯留空間側への移動に伴って、前記閉塞位置から前記開放位置に移動され、
(2)移動体は、前記流体通路の前記作動圧の開放に基づいて、前記付勢部材の付勢力で前記収納空間側に移動し、
前記導入開閉筒体は、前記移動体の前記収納空間側への移動に基づいて、前記開放位置から前記閉塞位置に移動されることを特徴とする混合根固め液採取装置。
【請求項2】
前記本体筒体は、
前記スクリュ軸の軸端側から前記収納空間及び前記貯留空間を区画する仕切部材と、
前記仕切部材に配置されるシール部材を備え、
前記移動体は、
前記収納空間内から前記仕切部材を挿通して前記貯留空間に延設されて、前記貯留空間内で前記導入開閉筒体に連結され、
前記シール部材は、前記移動体に当接して前記収納空間を前記貯留空間から密封する、ことを特徴とする請求項1に記載の混合根固め液採取装置。
【請求項3】
地盤中に形成される掘削穴内に根固め液を注入し、前記掘削穴の砂礫及び前記根固め液を撹拌混合して前記掘削穴内に混合根固め液を築造する工法において、
前記掘削穴の前記混合根固め液に浸漬され、未固結の前記混合根固め液を採取する混合根固め液採集装置であって、
前記掘削穴に進退自在にされ、収納空間、及び前記混合根固め液を貯留する貯留空間を区画する本体ユニットと、
前記貯留空間に開口され、前記掘削穴及び前記貯留空間を連通する液導入口手段と、
前記貯留空間内に配置され、前記液導入口手段を前記本体ユニット内から開閉する導入開閉手段と、
前記貯留空間に開口され、前記貯留空間の前記混合根固め液を排出する液排出口手段と、 前記液排出口手段を開閉する排出開閉手段と、
前記収納空間内に配置され、前記導入開閉手段に連結されるアクチュエータ手段を含んで構成され、
前記導入開閉手段は、
前記液導入口手段を閉塞する閉塞位置、及び前記液導入口手段を開放する開放位置の間で移動され、
前記アクチュエータ手段は、
前記導入開閉手段を、前記閉塞位置から前記開放位置へ、又は前記開放位置から前記閉塞位置へ移動させることを特徴とする混合根固め液採取装置。

【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−2096(P2013−2096A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132859(P2011−132859)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000228660)日本コンクリート工業株式会社 (50)
【出願人】(506315893)ホクコンマテリアル株式会社 (2)
【出願人】(500489152)日進機材株式会社 (3)
【Fターム(参考)】