説明

混合気体の精密流量及び発熱量測定方法及び装置

【課題】精密流量制御装置を用いて混合気体用質量流量計を校正し、高精度の補正係数を求め、またガス組成分析装置を精密に校正して燃料電池の発電効率を精密に測定する。
【解決手段】ガスA、B、Cの質量流量を秤で精密に計測し、その計測データにより各ガスの供給管に設けた流量計の計測データを実時間校正して精密流量制御装置1、2、3とする。混合器7で混合した各精密流量制御装置からの混合ガスを熱式等の質量流量計9で計測し、その計測データを各精密流量制御装置から供給した各ガスの流量を加算器15で加算したデータで校正することにより混合気体の精密流量測定装置とする。またそれによりバルブ14を制御して精密流量制御装置とする。更に、その校正データにより質量流量計の補正係数CFを得て、精密な混合ガスの質量流量計として現場等で用いる。各ガスの精密流量制御装置1〜3を用いてガス組成分析装置の校正も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃料電池等のように発電のための混合気体を用いる装置において、混合気体の流量を精密に測定し、また混合気体の組成を正確に測定してその混合気体の熱量を精密に測定することにより、発電効率を高精度で求めることができるようにした混合気体の精密流量及び熱量測定方法及びその方法を実施する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の分野において種々の成分からなる混合気体を利用することが多い。例えば燃料電池においては、図7に固体電解質燃料電池(SOFC)システムの基本構成を示すように、図中のタンク81の天然ガス、メタノール、石炭ガス、都市ガス等の燃料を改質装置82によって水素を主成分とするガスに改質し、これを固体電解質を備えた燃料電池本体83に供給して、水素と酸素の反応により電気を発生させるものであるが、このような燃料電池を高効率にする研究において、実際にどの程度効率が向上したかを知るためには、特に、改質装置82において改質した後に、燃料電池本体83に対してアノードガスとして供給されるガスの成分、及びその供給量を実時間で正確に知る必要がある。
【0003】
即ち、燃料電池の効率を測定するに際して、改質後の燃料によって作動する燃料電池本体の効率については、供給したガスの燃焼熱に対する発電電力を求めて、効率を計算することとなるが、供給したガスの燃焼熱を求めるには供給しているガスの組成及び供給量を実時間で計測して燃焼熱を演算する必要がある。
【0004】
しかしながら、例えばガスの成分を測定するガス分析を上記のような改質後のガスに対して行うに際して、従来のガスクロマトグラフィーによる測定では、燃料電池ラインからガスをサンプリングして測定するためバッジ処理となり、電池の過渡応答特性等を観測モニターすることができない等、種々の問題がある。また、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)や4重極形質量分析計(QMS)によって測定することもできるが、改質によって加えられた水蒸気の凝縮防止対策が必要となるほか、各分析装置特有の種々の問題もあり、これらの分析計を組み合わせて使用してより精度の高い計測を行うことも考えられるが、複雑な作業を必要とし、且ついずれにしても各分析計の標準ガスによる校正は必ず必要とされる。
【0005】
したがって燃料電池の効率測定に際しては、時々刻々変化するガスの組成を正確に測定することは極めて困難であるため、その対策として例えば改質後に燃料電池本体に供給するガスの標準組成を予め設定し、その標準組成になるようにガスの種類を選択し、各ガスの混合割合を調整して燃料電池本体に供給することが考えられる。このような標準組成のガスが供給される燃料電池において、燃料電池本体を所定の雰囲気で所定の負荷により作動すると、前記のようなガス分析を行う必要が無く正確な効率測定を行うことができる。ここで供給する標準ガスは、各種燃料電池が種々の燃料で使用されることを考慮し、種々の組成のガスを予め決めておくことが望ましい。
【0006】
上記のような燃料電池の正確な効率測定は、燃料電池の研究開発分野において常に必要となるほか、特に各研究部門で研究開発された燃料電池が、実験条件を統一した基準の状態で、実際にどのような値を示すかを公的機関等で検査する必要がある。その際には特に燃料電池本体に供給されるガスの組成が統一されていることが必要であり、前記のような標準ガスを作って供給することが一つの重要な手法となる。
【0007】
このように、燃料電池開発に際し、開発した燃料電池の発電効率を測定し評価を行うことは、自社内及び他社製品との性能比較を行うために重要である。この発電効率は、JISにおいて次のような式により求めなければならない、と規定されている。
η=((P×3600)/(F×K))×100(%)
:送電端出力 kW、
F:1時間あたりの原燃料使用量 mN/h、L/h、またはkg/h、
K:燃料発熱量 kJ/mN、kJ/LまたはkJ/kg
【0008】
発電出力%の1ptの違いを見分けるには正確さを±0.5%以上にする必要がある。これには上式の3つの項が関係し、その正確さは、次式のようにそれぞれの平方和にて表される。
=SP+S+S
したがって、3項の正確さは、±0.3%以上にする必要がある。同様に、発電出力%の0.1ptの違いを見分けるには、3項の正確さは、±0.03%以上にする必要がある。
【0009】
電力の測定については、市販の精密電力計では±0.3%以上の正確さが可能と考えられる。流量については、従来の湿式ガスメータを用いた方式では、温度、圧力などに影響され易いので燃料電池の設置現場では数%のオーダーが限界である。また、燃料発熱量は、ユンカース熱量計が基準であるが、これは環境条件が整えられた分析室以外では使用困難であり、現在は、ガスクロマトグラフィーでガス成分を精密測定して、純ガスの発熱量の推奨値(JIS K2301−1992)から、混合ガスである燃料ガスの発熱量を計算により求めており、JIS K2301−1992ではガスクロマトグラフィーのガス成分分析には±2%の誤差が許容されている。
【0010】
一方、気温、気圧変化などに左右されず、外乱等に強い気体流量の測定を実時間で可能とし、且つ流量計の校正を容易に行うことができるようにする技術として、下記特許文献1に記載しているような精密流量測定方法を本発明者等によって提案している。この技術は例えば図6に示すように、ガス供給系統61のガスボンベ62からパイプ63を介して外部のガス利用機器69に供給されるガスの流量を流量計64によって計測し、演算装置65にその計測結果を出力し、演算装置65ではその計測データの他、秤66の計測データにより所定の流量が供給されるようにバルブ68の開度調整を行うようにする。この秤66はガスボンベ62の全重量を計測し、所定時間間隔で重量変化を求めるものであり、ガスボンベ62からガスが消費された量としてのガス質量流量を求めて比較器67に入力している。演算装置65に入力する秤66からの精密な流量値によって流量計64を校正して流量計校正データ70を得る。また秤66と流量計64の流量計測データを統計処理してバルブ68の開度を制御する。
【0011】
なお、燃料電池発電システムにおけるガスチャンネルのような高温ガス流路においても、任意の位置で正確なガス流速を測定するための手法として特許文献2のような技術が提案されており、トレーサガスを用いて配管内を流れる気体の流量を測定する場合、配管内のトレーサガスと気体との混合ガスの採集の際における濃度変動に由来した測定誤差を抑える技術は特許文献3に記載されている。
【特許文献1】特開2005−134138号公報
【特許文献1】特開平5−5748号公報
【特許文献1】特開昭61−41922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一方、近年半導体製造プロセスなどで流量制御に広く使用つつある、熱式の質量流量制御器(MFC)は、従来の湿式ガスメータなどの体積流量計に比べて温度、圧力などに影響されにくく、しかも、JIS K2301−1992で使用される各種ガスの圧縮係数を使用せずに直接質量流量を求めることができる。このため、ガス流量計測の誤差が大幅に改善される。しかし、熱式のMFCは混合ガスの組成をあらかじめ知り、混合ガスに対する流量計の補正係数CFを求める必要がある。
【0013】
したがって本発明は、本発明者等が先に提案した精密流量測定装置を用いる混合気体供給装置により、被測定ガスと正確に同じ組成で総質量流量が正確に与えられたガスを供給して質量流量制御器を校正し、質量流量計の補正係数CFを高精度で求めることによって、より精密な混合気体の質量流量測定装置を得ることができるようにする。更に、前記精密流量測定装置を用いる混合気体供給装置を用いて、ガスクロマトグラフィーなどのガス組成分析装置を精密に校正してガス組成分析をより正確に行い、また、前記の混合気体用の質量流量測定装置で測定する混合ガスの流量の精度を向上する。また、ガス組成分析装置を精密に校正してガス組成分析をより正確に行い、燃料ガスの発熱量を正確に計算することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る混合気体の精密流量測定方法は上記課題を解決するため、供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより気体供給管のバルブを制御する精密流量制御装置を複数の気体毎に用い、前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合してなる混合気体の流量を質量流量計で計測し、該混合気体の流量を計測する質量流量計のデータを、前記複数の気体毎の精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の流量データにより校正して、混合気体の精密な質量流量データを得ることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る他の混合気体の精密流量測定方法は、供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより気体供給管のバルブを制御する精密流量制御装置を複数の気体毎に用い、前記複数の気体毎の精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の質量流量データを求め、前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合してなる混合気体の流量を混合気体用質量流量計で計測したデータと比較して、混合気体用質量流量計の補正係数を得ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る他の混合気体の精密流量測定方法は、前記混合気体の精密流量測定方法において、前記混合気体の精密流量測定方法により得られた混合気体の精密な流量データにより、混合気体の流量を制御することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るガス組成分析装置の校正方法は、供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより気体供給管のバルブを制御する精密流量制御装置を複数の気体毎に用い、前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合してなる混合気体の組成をガス組成分析装置で分析し、前記ガス組成分析装置で分析した気体の組成データを、前記精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量のデータにより校正して、混合気体の精密な組成データを得ることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る他の混合気体の精密流量測定方法は、供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して校正済質量流量計を得て、複数の気体の供給管路に前記校正済質量流量計を各々設けてバルブを制御し、前記複数の気体毎の前記校正済質量流量計で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の質量流量データを求め、前記校正済質量流量計からの複数の気体を混合してなる混合気体の流量を混合気体用質量流量計で計測したデータと比較して、混合気体用質量流量計の補正係数を得ることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る他のガス組成分析装置の校正方法は、供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して校正済質量流量計を得て、複数の気体の供給管路に前記校正済質量流量計を各々設けてバルブを制御し、前記校正済質量流量計からの複数の気体を混合してなる混合気体の組成をガス組成分析装置で分析し、前記ガス組成分析装置で分析した気体の組成データを、前記校正済質量流量計から供給される各気体の質量流量のデータにより校正して、混合気体の精密な組成データを得ることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る混合気体の発熱量測定方法は、前記ガス組成分析装置の校正方法で校正されたガス組成分析装置の分析データと、各気体の発熱量とにより混合気体の発熱量を求めることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る燃料電池の発電効率演算方法は、前記混合気体の精密流量測定方法において、前記混合気体の質量流量測定方法により得られた混合気体の質量流量(F)と、前記混合気体の質量流量測定方法で用いる気体毎の精密流量制御装置により得られた混合気体の組成データ、または前記校正されたガス組成分析装置により得られた混合気体の組成データに基づく混合気体の発熱量(K)と、燃料電池の送電端出力(P)とにより燃料電池の発電効率を演算することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る他の混合気体の精密流量測定装置は、供給される気体の精密な質量流量を、気体容器の重量変化で検出する質量流量計と、供給される気体の流量を測定する他の流量計と、供給される気体の供給管に設けたバルブとを備え、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記他の流量計を実時間で校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより前記バルブを制御する演算手段を備えた精密流量制御装置を複数の気体毎に備え、前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合する混合器と、前記混合器からの混合気体の流量を計測する混合気体用質量流量計と、前記混合気体用質量流量計のデータを、前記複数の気体毎の精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の流量データにより校正して、混合気体の精密な流量データを得る演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る他の混合気体の精密流量測定装置は、供給される気体の精密な質量流量を、気体容器の重量変化で検出する質量流量計と、供給される気体の流量を測定する他の流量計と、供給される気体の供給管に設けたバルブとを備え、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記他の流量計を実時間で校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより前記バルブを制御する演算手段を備えた精密流量制御装置を複数の気体毎に備え、前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合する混合器と、前記混合器からの混合気体の流量を計測する混合気体用質量流量計と、前記複数の気体毎の精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の質量流量データにより、前記混合気体用質量計の補正係数を得る演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る他の混合気体の精密流量測定装置は、前記混合気体の精密流量測定装置において、前記混合気体の供給管に混合気体用バルブを設け、請求項9記載の混合気体の精密流量測定装置により得られた混合気体の精密な流量データにより、前記混合気体用バルブを制御する流量制御手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る他の混合気体の精密流量測定装置または精密流量制御装置は、前記混合気体の精密流量測定装置または精密流量制御装置において、前記混合気体用質量流量計は、熱式流量計であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係るガス組成分析装置用校正装置は、供給される気体の精密な質量流量を気体容器の重量変化で検出する質量流量計と、供給される気体の流量を測定する他の流量計と、供給される気体の供給管に設けたバルブとを備え、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記他の流量計を実時間で校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより前記バルブを制御する演算手段を備えた精密流量制御装置を複数の気体毎に備え、前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合する混合器と、前記混合器からの混合気体の組成を分析するガス組成分析装置と、前記ガス組成分析装置で分析した気体の組成データを、前記精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量のデータにより校正して校正データを得る演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る他の混合気体の精密流量測定装置、混合気体の精密流量制御装置、ガス組成分析装置は、それらの各ガスの精密流量測定装置を共通の装置としたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る他の混合気体の精密流量測定装置は、供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して得た校正済質量流量計を、複数の気体の供給管路毎に設けて各供給管路のバルブを制御し、前記校正済質量流量計からの複数の気体を混合する混合器と、前記混合器からの混合気体の流量を計測する混合気体用質量流量計と、前記複数の気体毎の校正済質量流量計で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の質量流量データにより、前記混合気体用質量計の補正係数を得る演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る他のガス組成分析装置用校正装置は、供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して得た校正済質量流量計を、複数の気体の供給管路毎に設けて各供給管路のバルブを制御し、
前記校正済質量流量計からの複数の気体を混合する混合器と、前記混合器からの混合気体の組成を分析するガス組成分析装置と、前記ガス組成分析装置で分析した気体の組成データを、前記校正済質量流量計で得られた各気体の質量流量のデータにより校正して校正データを得る演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る混合気体の発熱量測定装置は、前記ガス組成分析装置用校正装置で校正されたガス組成分析装置の分析データと、各気体の発熱量とにより混合気体の発熱量を求める演算手段を備えたことを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係る燃料電池の発電効率演算装置は、前記混合気体の質量流量測定装置により得られた混合気体の質量流量(F)と、前記混合気体の質量流量測定装置で用いる気体毎の流量制御装置により得られた混合気体の組成データ、または請求項13或いは請求項16記載のガス組成分析装置用校正装置により校正されたガス組成分析装置の組成データに基づく混合気体の発熱量(K)と、燃料電池の送電端出力(P)とにより燃料電池の発電効率を演算する演算手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明は上記のように構成したので、測定ガスと正確に同じ組成で総質量流量が正確に与えられたガスを供給して熱式等の質量流量制御器を校正して、熱式等の質量流量計の補正係数CFを高精度で求ことができる。また、ガス組成分析がより正確になり、また、上述の熱式の質量流量制御器で混合ガスの流量を測定する精度が向上する。更に、燃料ガスの発熱量を計算する際の正確さが向上する。また、これらの測定や制御及び校正に用いる機器の主要部を共通化することにより、精密な校正装置を2重投資することを避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は主として測定ガスと正確に同じ組成で総質量流量が正確に与えられたガスを供給して熱式の質量流量制御器を校正して熱式の質量流量計の補正係数CFを高精度で求めるという課題を解決するため、供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより気体供給管のバルブを制御する精密流量制御装置を複数の気体毎に用い、前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合してなる混合気体の流量を質量流量計で計測し、該混合気体の流量を計測する質量流量計のデータを、前記複数の気体毎の精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の流量データにより校正して、混合気体の精密な質量流量データを得ることができるようにしたものである。
【実施例1】
【0034】
図1には本発明による混合ガスの質量流量を計測する質量流量計の精密な校正と、その流量計の補正係数CFを高精度で求める実施例を示しており、図1に示す例においては、前記本発明者等による前記図5に示した精密流量測定装置を3セット用い、ガスAの精密流量測定装置を用いた精密流量制御装置1、ガスBの精密流量測定装置を用いた精密流量制御装置2、ガスCの精密流量測定装置を用いた精密流量制御装置3において、それぞれ流量制御目標指示部4からの流量目標値になるように、前記図5に示した手法と同様の手法により精密な流量制御を行う。なお、図示の例においては、3種類のガスを混合する混合ガスの供給のために3セットの精密流量制御装置を用いた例を示したが、同様の構成により2種類、4種類、5種類・・・等の混合ガスの供給が可能となる。
【0035】
流量制御目標指示部4は、予め利用者により設定したガスA、ガスB、ガスCの混合割合を混合割合指示部5で指示し、混合気体の合計流量を供給流量指示部6で指示を行うことにより、流量制御指示部4からは、各ガスの精密流量制御装置の演算装置に対して、各ガス毎の目標流量の指示を行う例を示している。したがって各ガスの精密流量制御装置においては、前記のように指示された目標流量と、校正された流量計の値が一致するように制御を行う。
【0036】
混合器7で上記のようにして精密に制御されて供給される各ガスA、B、Cを混合し、その混合ガスの質量流量を質量流量制御器8で精密に測定しつつ流量制御を行う。図示の例においては前記のように比較的取り扱いが容易で、正確な流量の測定が可能な熱式質量流量計を用いた質量流量計9によって供給された混合ガスの質量流量を連続的に測定する。その結果と、各ガスの精密流量制御装置における演算装置で得られた、校正された流量計の流量データを加算器15で加算し、混合器7から質量流量計9に送られる混合ガスの流量を得て、その精密な流量値と質量流量計9による計測値とを比較器11で比較し、その差から校正データ12を得て、質量流量計9による計測データを校正する。この校正データは質量流量計9の補正係数CFとしても用いられる。この際、質量流量計9の計測値と比較する精密な流量データとしては、前記のような各ガスの精密流量制御装置の演算装置における校正された流量計のデータに代えて、各ガスの重量変化の計測データを加算機15で加算した値を用いることもできる。
【0037】
このようにして校正された質量流量計9の流量データにより、バルブ14の開度制御を行い、極めて精密な混合気体の質量流量制御器として機能させることができ、被測定ガスと正確に同じ組成で総質量流量が正確に与えられたガスを供給することができる。また、このようにして校正データ12が得られ、また高精度の補正係数13が得られることにより、この質量流量計9はこれらのデータと共に用いることにより、現場等における精密な混合気体の質量流量計として使用することができる。
【0038】
前記のように熱式質量流量計は、従来の湿式ガスメータなどの体積流量計に比べて温度、圧力などに影響されにくく、しかも圧縮係数等を使用せずに直接質量流量を求めることができるため、ガス流量計測の誤差が大幅に改善される。このような熱式質量流量計は混合ガスの組成を予め知り、混合ガスに対する流量計の補正係数CFを求める必要があるが、前記のような本発明により、混合ガスの組成を精密に特定でき、且つ混合ガスに対する流量計の補正係数CFを高精度で得ることができるので、本発明は前記のような手法により各種の質量流量計に適用されるものの、特に熱式質量流量計の混合ガス流量測定装置、或いは流量制御装置として最適に利用することができる。
【0039】
上記のような混合ガスの精密質量流量制御器は、その混合ガス供給装置をほぼそのまま用いて、例えば図2に示すガスクロマトグラフィーのような、ガス組成分析装置17を精密に校正するガス組成分析装置用校正装置16として利用することができる。図2に示したガス組成分析装置16においては、図1と同様にガスAの精密流量測定装置を用いた精密流量制御装置1、ガスBの精密流量測定装置を用いた精密流量制御装置2、ガスCの精密流量測定装置を用いた精密流量制御装置3において、それぞれ流量制御目標指示部4からの流量目標値になるように、前記の手法と同様の手法により精密な流量制御を行う。なお、同様の構成により2種類、4種類、5種類・・・等の混合ガスの供給が可能となることは前記と同様である。
【0040】
また、図1と同様に流量制御目標指示部4は、予め利用者により設定したガスA、ガスB、ガスCの混合割合を混合割合指示部5で指示し、混合気体の合計流量を供給流量指示部6で指示を行うことにより、流量制御指示部4からは、各ガスの精密流量制御装置の演算装置に対して、各ガス毎の目標流量の指示を行う。したがって各ガスの精密流量制御装置においては、前記のように指示された目標流量と、校正された流量計の値が一致するように制御を行う。
【0041】
上記のようにして精密に制御されて供給される各ガスA、B、Cを混合器7で混合し、その混合ガスのガス組成をガス組成分析装置17で分析する。ガス組成分析装置17として比較的精密に測定を行うことができるガスクロマトグラフィーにおいては、前記のように±2%の誤差が許容されるが、これでは燃料電池の発電効率を正確に計測するために、±0.3%、更には±0.03%以上の正確さが要求されるため、実際にガス組成分析装置17に供給されている混合ガスの成分とガス組成分析装置の分析成分とを演算装置18の比較器19で比較し、校正データ21を得る。
【0042】
比較器19においてガス成分分析装置17の分析結果と比較するデータとしては、例えば各ガスの精密流量制御装置1〜3の演算装置で校正された流量計のデータを、供給ガス成分20とし、そのデータを本来の精密なガス組成のデータとして比較器19で比較する。そのほか、各ガスの精密流量制御装置1〜3の演算装置に対して入力されるガスの重量の測定データを供給ガス成分20として比較器19で比較してもよいのも前記と同様である。
【0043】
このように、ガス組成分析装置17は本来出力すべきデータと実際の分析データとを比較することによりそのガス組成分析装置17の校正データ21を得ることができ、このようにして正確な校正データを得たガス組成分析装置17は、別途現場等で燃料電池の発電効率の測定に際して、精密なガス組成分析装置として使用することができる。さらに、上記の精密流量測定装置を用いる混合気体供給装置を用いて、ガスクロマトグラフィーなどのガス組成分析装置を精密に校正することにより、ガス組成分析がより正確になり、上述の熱式の質量流量制御器で混合ガスの流量を測定する精度が向上する。
【0044】
前記各実施例においては、天秤を用いた精密流量測定装置、更にはその装置を用いた精密流量制御装置を用いて精密な組成と流量の混合ガスを供給する例を示したが、その他例えば図3に示すように、流量制御目標指示部43の指示に従って制御が行われる、前記図1等に示した各純粋ガスについて校正された校正済質量流量計25、26、27、28を用いて、ガスA、B、C、Dの精密な混合組成と精密な流量からなる混合ガスを供給できるようにし、その混合ガスを質量流量計用校正装置30またはガス組成分析装置用校正装置31に切替弁47で選択的に切り替えて供給することができるようにして、各々校正データを求めて校正された質量流量計32とガス組成分析装置38を得ることもできる。
【0045】
即ち、図3に示す例においては、ガスA〜Dの4種類のガスを所定割合で混合する例を示しており、その混合割合及び供給流量は前記実施例と同様に、流量制御目標指示部43の混合割合指示部45及び供給流量指示部44の指示値にしたがって、前記図1等に示した各純粋ガスについて校正を行うことによって補正係数CFを得た校正済質量流量計を用い、各々演算装置によるバルブ制御によって各々精密な流量のガスを供給してこれらを混合し、精密なガス組成と質量流量からなる混合ガスを供給することができるようにしており、それにより前記各実施例のような天秤を用いた精密流量測定装置を用いないようにしている。
【0046】
この混合ガスは、図3に示す例においては、切替弁47によって質量流量計用校正装置30の混合ガス用質量流量計32と、ガス組成分析装置用校正装置31のガス組成分析装置39のいずれかに選択的に切り替えて供給することができるようにしている。なお、これらの質量流量計用校正装置30及びガス組成分析装置用校正装置31は、混合器からの混合ガス供給管路に順に直列に接続する等、種々の接続手法を採用することができる。
【0047】
図3の例においては、質量流量計用校正装置30の演算装置33においては、前記図1の演算装置10と同様に、各純粋ガスについての校正済質量流量制御器25〜28における演算装置から供給している質量流量のデータを加算器46で加算し、混合ガスの精密質量流量を求め、比較器34でこれと混合ガス質量流量計32の計測値と比較し、それによりバルブ37を制御すると共に校正データ35及び補正係数CF36を得る。このようにして補正係数CFを得た質量流量計32は2次の校正済混合ガス質量流量計として、現場等で使用することができる。
【0048】
また、ガス組成分析装置用校正装置31の使用に際しては、前記混合ガスをガス組成分析装置38に供給し、演算装置39では各純粋ガス供給用の校正済質量流量制御器27の演算装置から各純粋ガスの質量流量データを得て計供給ガス成分42とし、比較器でこの供給ガス成分とガス組成分析装置38で分析したガス組成データとを比較し、校正データ41を得る。それによりこのガス組成分析装置38は、校正データ41と用いることにより精密な校正済ガス組成分析装置として、現場等で用いることができるようになる。
【0049】
図1に示したような精密流量制御装置1、2、3と質量流量制御器8を用いることにより、例えば図4に示すようにして燃料電池25の発電効率を精密に求めることができる。図3に示す例においては燃料電池25の発電効率演算に際し、ガス燃料発熱量演算部26ではガスA用の精密流量制御装置1、ガスB用の精密流量制御装置2、ガスC用の精密流量制御装置3で測定した所定成分のガスの流量計測値と、予め知られている各ガス毎の発熱量により、燃料電池25に供給されるガスの精密な単位発熱量(K)を演算する。また原燃料使用量出力部27では、前記のように各ガスの精密流量測定装置により校正される質量流量計9の流量測定値に基づき、燃料電池25に供給される基準燃料の精密な原燃料使用量(F)を出力する。
【0050】
燃料電池発電効率演算部28では、燃料電池25の送電端出力(P)と、前記のようにして得られるガス燃料の発熱量(K)と、原燃料使用量(F)とにより、燃料電池発電効率(η)を前記の式
η=((P×3600)/(F×K))×100(%)
により求める。なお、上記送電端出力 (P)としては、燃料電池の発電効率をより精密に求めるため、単に燃料電池から出力される電力ではなく、燃料電池で使用される補機、更には必要に応じて制御器の使用電力等の燃料電池駆動のための各種補助電力を差し引いた値を用いることが好ましい。上記のようなシステムを用いることにより、全てのメーカーで開発された燃料電池について、精密な発電効率の測定を行い、公正な燃料電池の発電効率データとすることができる。
【0051】
一方、例えば図5に示すように、燃料電池開発メーカー等の現場において、図1に示すようなシステムで校正された質量流量計9と補正係数(CF)13をセットとして用い、演算装置31によって精密な質量流量の制御を行うことができる校正済質量流量制御器30を用いることができる。この校正済質量流量制御器30の演算装置31で得られるデータにより、燃料電池25に供給される原燃料供給装置32からの原燃料使用量(F)が得られ、原燃料使用量出力部33から出力することができる。
【0052】
図4に示す実施例においては、ガス燃料発熱量演算部26で用いる混合ガスのガス成分を、各気体毎の精密流量制御装置から供給される流量データに基づいて演算を行う例を示したが、それ以外に前記図2に示したようなガス組成分析装置用校正装置16で得られた校正データ21を備えているガス組成分析装置17を混合ガス用質量流量計9の例えば後流にに設けて、その分析データを用いることができる。更には、ガス組成分析装置用校正装置16をほぼそのまま混合ガス用質量流量計9の例えば後流に設けて、実時間で校正される分析データを用いてガス燃料発熱量を演算するように構成しても良い。
【0053】
また、図2に示すようなシステムで校正されたガス組成分析装置17と校正データ21をセットとして用い、演算装置35によって精密なガス組成を分析する校正済ガス組成分析装置34とすることができる。したがってこの校正済ガス組成分析装置34の演算装置35で得られるデータと各ガスの発熱量データにより、燃料電池25に供給される原燃料の発熱量(K)を原燃料発熱量演算部36で演算することができる。
【0054】
燃料電池発電効率演算部37では前記図4に示すものと同様に、燃料電池25の送電端出力(P)と、前記のようにして得られる原燃料の発熱量(K)と、原燃料使用量(F)とにより、燃料電池発電効率(η)を前記の式のよって求める。なお、上記送電端出力 (P)としては、燃料電池の発電効率をより精密に求めるため、燃料電池で使用される補機、更には必要に応じて制御器の使用電力等の燃料電池駆動のための各種補助電力を差し引いた値を用いることが好ましいのは前記と同様である。上記のようなシステムを用いることにより、全ての燃料電池メーカー及び燃料電池用部品メーカー等において、校正された機器を用いて共通の手法で精密な発電効率の測定を行いながら製品開発をすることができるようになる。
【0055】
上記のような本発明の精密流量測定装置を用いる混合気体供給装置の直線性は、直線回帰の相関係数R≧0.99999であり、24時間の安定性は変動の分散が3でも0.02%FS以下であった。これより、精度0.1%未満で混合気体の精密流量および熱量測定が可能であるとことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は各種の混合気体の精密流量測定、精密流量制御に用いることができ、より具体的にはこれらの技術を利用する燃料電池発電効率の精密測定のほか、ガスエンジン等の混合気体を使用するエネルギー機器の効率の精密測定等に利用することができる。このほか、従来、混合ガスは精密測定が困難であるとされてきた熱式流量計の測定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明による混合気体の質量流量測定装置、及び混合気体の質量流量制御装置のシステム構成図である。
【図2】本発明による混合気体のガス組成分析装置用校正装置のシステム構成図である。
【図3】本発明により校正された校正済質量流量計を用いて、更に他の質量流量計及びガス組成分析装置を2次校正する例を示すシステム校正図である。
【図4】本発明による燃料電池の発電効率測定手法のシステム構成図である。
【図5】本発明により得られた補正係数CF付の混合ガス用質量流量計と、校正済ガス組成分析装置を用いて燃料電池の発電効率を測定するシステムの構成図である。
【図6】本発明者等が先に提案した精密流量制御装置のシステム構成図である。
【図7】燃料電池システムの基本構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ガスA用精密流量制御装置
2 ガスB用精密流量制御装置
3 ガスC用精密流量制御装置
4 流量制御目標指示部
5 混合割合指示部
6 供給流量指示部
7 混合器
8 質量流量制御器
9 質量流量計
10 演算装置
11 比較器
12 校正データ
13 補正係数CF
14 バルブ
15 加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより気体供給管のバルブを制御する精密流量制御装置を複数の気体毎に用い、
前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合してなる混合気体の流量を質量流量計で計測し、該混合気体の流量を計測する質量流量計のデータを、前記複数の気体毎の精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の流量データにより校正して、混合気体の精密な質量流量データを得ることを特徴とする混合気体の精密流量測定方法。
【請求項2】
供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより気体供給管のバルブを制御する精密流量制御装置を複数の気体毎に用い、
前記複数の気体毎の精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の質量流量データを求め、前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合してなる混合気体の流量を混合気体用質量流量計で計測したデータと比較して、混合気体用質量流量計の補正係数を得ることを特徴とする混合気体の精密流量測定方法。
【請求項3】
請求項1記載の混合気体の精密流量測定方法により得られた混合気体の精密な流量データにより、混合気体の流量を制御することを特徴とする混合気体の精密流量制御方法。
【請求項4】
供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより気体供給管のバルブを制御する精密流量制御装置を複数の気体毎に用い、
前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合してなる混合気体の組成をガス組成分析装置で分析し、
前記ガス組成分析装置で分析した気体の組成データを、前記精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量のデータにより校正して、混合気体の精密な組成データを得ることを特徴とするガス組成分析装置の校正方法。
【請求項5】
供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して校正済質量流量計を得て、
複数の気体の供給管路に前記校正済質量流量計を各々設けてバルブを制御し、
前記複数の気体毎の前記校正済質量流量計で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の質量流量データを求め、前記校正済質量流量計からの複数の気体を混合してなる混合気体の流量を混合気体用質量流量計で計測したデータと比較して、混合気体用質量流量計の補正係数を得ることを特徴とする混合気体の精密流量測定方法。
【請求項6】
供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して校正済質量流量計を得て、
複数の気体の供給管路に前記校正済質量流量計を各々設けてバルブを制御し、
前記校正済質量流量計からの複数の気体を混合してなる混合気体の組成をガス組成分析装置で分析し、
前記ガス組成分析装置で分析した気体の組成データを、前記校正済質量流量計から供給される各気体の質量流量のデータにより校正して、混合気体の精密な組成データを得ることを特徴とするガス組成分析装置の校正方法。
【請求項7】
請求項4または請求項6記載のガス組成分析装置の校正方法で校正されたガス組成分析装置の分析データと、各気体の発熱量とにより混合気体の発熱量を求めることを特徴とする混合気体の発熱量測定方法。
【請求項8】
請求項1、請求項2または請求項5記載の混合気体の質量流量測定方法により得られた混合気体の質量流量(F)と、前記混合気体の質量流量測定方法で用いる気体毎の精密流量制御装置により得られた混合気体の組成データ、または請求項4或いは請求項6記載の校正されたガス組成分析装置により得られた混合気体の組成データに基づく混合気体の発熱量(K)と、燃料電池の送電端出力(P)とにより燃料電池の発電効率を演算することを特徴とする燃料電池の発電効率演算方法。
【請求項9】
供給される気体の精密な質量流量を、気体容器の重量変化で検出する質量流量計と、供給される気体の流量を測定する他の流量計と、供給される気体の供給管に設けたバルブとを備え、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記他の流量計を実時間で校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより前記バルブを制御する演算手段を備えた精密流量制御装置を複数の気体毎に備え、
前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合する混合器と、
前記混合器からの混合気体の流量を計測する混合気体用質量流量計と、
前記混合気体用質量流量計のデータを、前記複数の気体毎の精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の流量データにより校正して、混合気体の精密な流量データを得る演算手段とを備えたことを特徴とする混合気体の精密流量測定装置。
【請求項10】
供給される気体の精密な質量流量を、気体容器の重量変化で検出する質量流量計と、供給される気体の流量を測定する他の流量計と、供給される気体の供給管に設けたバルブとを備え、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記他の流量計を実時間で校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより前記バルブを制御する演算手段を備えた精密流量制御装置を複数の気体毎に備え、
前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合する混合器と、
前記混合器からの混合気体の流量を計測する混合気体用質量流量計と、
前記複数の気体毎の精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の質量流量データにより、前記混合気体用質量計の補正係数を得る演算手段とを備えたことを特徴とする混合気体の精密流量測定装置。
【請求項11】
前記混合気体の供給管に混合気体用バルブを設け、請求項9記載の混合気体の精密流量測定装置により得られた混合気体の精密な流量データにより、前記混合気体用バルブを制御する流量制御手段を備えたことを特徴とする混合気体の精密流量制御装置。
【請求項12】
前記混合気体用質量流量計は、熱式流量計であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一つに記載の混合気体の精密流量測定装置または精密流量制御装置。
【請求項13】
供給される気体の精密な質量流量を気体容器の重量変化で検出する質量流量計と、供給される気体の流量を測定する他の流量計と、供給される気体の供給管に設けたバルブとを備え、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記他の流量計を実時間で校正して精密流量計とし、前記両流量計の流量計測データにより前記バルブを制御する演算手段を備えた精密流量制御装置を複数の気体毎に備え、
前記精密流量制御装置からの複数の気体を混合する混合器と、
前記混合器からの混合気体の組成を分析するガス組成分析装置と、
前記ガス組成分析装置で分析した気体の組成データを、前記精密流量制御装置で得られた各気体の質量流量のデータにより校正して校正データを得る演算手段とを備えたことを特徴とするガス組成分析装置用校正装置。
【請求項14】
請求項9乃至請求項12の何れかに記載の各ガスの精密流量測定装置と、請求項13に記載の各ガスの精密流量測定装置を共通の装置としたことを特徴とする混合気体の精密流量測定装置または混合気体の精密流量制御装置及びガス組成分析装置用校正装置。
【請求項15】
供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して得た校正済質量流量計を、複数の気体の供給管路毎に設けて各供給管路のバルブを制御し、
前記校正済質量流量計からの複数の気体を混合する混合器と、
前記混合器からの混合気体の流量を計測する混合気体用質量流量計と、
前記複数の気体毎の校正済質量流量計で得られた各気体の質量流量を加算してなる混合気体の質量流量データにより、前記混合気体用質量計の補正係数を得る演算手段とを備えたことを特徴とする混合気体の精密流量測定装置。
【請求項16】
供給される気体の質量流量を、気体容器の重量変化を検出する質量流量計によって精密に計測し、前記重量変化を検出する質量流量計のデータにより前記気体の流量を測定する他の流量計を実時間校正して得た校正済質量流量計を、複数の気体の供給管路毎に設けて各供給管路のバルブを制御し、
前記校正済質量流量計からの複数の気体を混合する混合器と、
前記混合器からの混合気体の組成を分析するガス組成分析装置と、
前記ガス組成分析装置で分析した気体の組成データを、前記校正済質量流量計で得られた各気体の質量流量のデータにより校正して校正データを得る演算手段とを備えたことを特徴とするガス組成分析装置用校正装置。
【請求項17】
請求項13または請求項16記載のガス組成分析装置用校正装置で校正されたガス組成分析装置の分析データと、各気体の発熱量とにより混合気体の発熱量を求める演算手段を備えたことを特徴とする混合気体の発熱量測定装置。
【請求項18】
請求項9、請求項10または請求項15に記載の混合気体の質量流量測定装置により得られた混合気体の質量流量(F)と、前記混合気体の質量流量測定装置で用いる気体毎の流量制御装置により得られた混合気体の組成データ、または請求項13或いは請求項16記載のガス組成分析装置用校正装置により校正されたガス組成分析装置の組成データに基づく混合気体の発熱量(K)と、燃料電池の送電端出力(P)とにより燃料電池の発電効率を演算する演算手段を備えたことを特徴とする燃料電池の発電効率演算装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−24511(P2007−24511A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202597(P2005−202597)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】