説明

混合流体の濃度検出方法および検出装置

【課題】3種以上の成分で構成される混合流体の濃度を正確に検出することのできる、混合流体の濃度検出方法および検出装置を提供する。
【解決手段】N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出方法であって、(N−1)点の異なる温度で前記混合流体の誘電率を測定し、前記(N−1)点の各温度における既知の各成分の誘電率と、前記(N−1)点の各温度で測定された前記混合流体の誘電率とから、前記各成分の濃度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3種以上の成分で構成される混合流体の濃度を検出する、混合流体の濃度検出方法および検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリンの代替燃料としてアルコール類が注目され、例えばガソリンとエタノールを主成分とするバイオ混合ガソリンや、軽油と脂肪酸メチルエステルを主成分とするバイオ混合軽油のような混合燃料が普及し始めてきている。この種の混合燃料を用いて内燃機関の作動状態に適合した燃料量を燃焼室へ噴射できるようにするためには、ガソリンとアルコールの濃度を適宜検出して、アルコール含有量を絶えず把握する必要がある。このためのガソリンとアルコールの濃度検出装置が、例えば、特開平5−87764号公報(特許文献1)と特開2008−268169号公報(特許文献2)に開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたアルコール含有量の検出装置は、ケーシング内に配置された一対の電極間に測定対象のガソリンとアルコールからなる混合燃料(混合流体)を導入し、混合燃料の静電容量(誘電率)を測定して、アルコールの濃度を測定する装置である。また、特許文献2に開示された液体性状センサは、半導体基板に設けられた櫛歯状電極をガソリン等の液体燃料の中に浸漬させて静電容量(誘電率)を測定し、ガソリンに含まれるアルコールの混合比率を検出するセンサである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−87764号公報
【特許文献2】特開2008−268169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記混合燃料にあっては、主成分であるガソリンとエタノール以外に、例えば水が混入することが知られている。詳しくは、精製段階においてエタノールに水が混入したり、混合燃料が大気に触れることで大気に含まれる水が混合燃料に溶け込んだり、混合燃料を運搬する際に人為的に水が混入したりすることが知られている。このように混合燃料に水が混入すると、混合燃料の静電容量(誘電率)は、ガソリン、エタノールおよび水の3成分の濃度(存在割合)に依存して変化することになる。しかしながら、上記従来技術においては、混合燃料がガソリンとアルコールで構成されているとみなされており、2成分の濃度しか測定できないため、水の混入により測定誤差が生じてしまう。
【0006】
そこで本発明は、3種以上の成分で構成される混合流体の濃度を正確に検出することのできる、混合流体の濃度検出方法および検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出方法であって、(N−1)点の異なる温度で前記混合流体の誘電率を測定し、前記(N−1)点の各温度における既知の各成分の誘電率と、前記(N−1)点の各温度で測定された前記混合流体の誘電率とから、前記各成分の濃度を算出することを特徴としている。
【0008】
上記混合流体の濃度検出方法は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を、それぞれの誘電率と温度特性が異なることを利用して検出するものである。各成分の濃度(存在割合)をa,a,・・・,aとすると、一つの等式a+a+・・・+a=1が成り立つ。また、上記混合流体の濃度検出方法においては、(N−1)点の異なる温度で混合流体の誘電率を測定しており、(N−1)個の混合流体の誘電率ε,ε,・・・,εN−1が得られる。測定した各温度での誘電率ε,ε,・・・,εN−1は、それぞれ、予め把握しておいた同温度における単一の各成分の誘電率と濃度の積を各成分について足し合わせたものに等しい。従って、これより(N−1)個の等式が成り立つ。このように、上記混合流体の濃度検出方法によれば、濃度a,a,・・・,aのN個の未知数に対して、上記した全部でN個の等式からなる連立方程式を立てることができ、該連立方程式を解くことで、濃度a,a,・・・,aを正確に決定することができる。
【0009】
以上のようにして、上記混合流体の濃度検出方法は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出方法であって、3種以上の成分で構成される混合流体の濃度を正確に検出することのできる混合流体の濃度検出方法とすることができる。
【0010】
上記混合流体の濃度検出方法において、例えば請求項2に記載のように、前記Nが、3である場合には、前記各成分の濃度をそれぞれa,b,cとし、前記2点の異なる温度をそれぞれT,Tとし、前記温度Tにおける各成分の誘電率をそれぞれεa1,εb1,εc1とし、前記温度Tにおける各成分の誘電率をそれぞれεa2,εb2,εc2とし、前記温度Tと温度Tにおける混合流体の誘電率をそれぞれε,εとしたとき、
(数1) a+b+c=1
(数2) ε=εa1・a+εb1・b+εc1・c
(数3) ε=εa2・a+εb2・b+εc2・c
から、前記各成分の濃度を算出することができる。
【0011】
上記混合流体の濃度検出方法は、水が混入する可能性がある内燃機関の混合燃料の濃度検出にも適用することができ、例えば請求項3に記載のように、前記成分が、エタノール、ガソリンおよび水である場合に好適である。尚、ガソリンは数百種類の成分で構成されるが、いずれの成分も誘電率は略同一であり、ガソリンを1種類の成分として取り扱うことが可能である。また、請求項4に記載のように、前記成分が、脂肪酸メチルエステル、軽油および水であってもよい。
【0012】
上記混合流体の濃度検出方法においては、請求項5に記載のように、前記混合流体の各温度における誘電率の測定において、直列接続された2個の容量検出素子を所定電圧の逆の搬送波で駆動し、前記2個の容量検出素子の接続点からの出力を帰還容量が付加されたC/V変換器に入力し、該C/V変換器の出力電圧から前記混合流体の各温度における誘電率を測定することが好ましい。
【0013】
これによれば、配線による寄生容量の影響をキャンセルできるため、1個の容量検出素子を用いる場合に較べてより高精度な誘電率測定が可能であり、各成分の濃度もより高精度に検出することができる。
【0014】
請求項6〜17に記載の発明は、上記した記混合流体の濃度検出方法を実施するための、混合流体の濃度検出装置に関する発明である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出装置であって、前記混合流体の温度を異なる(N−1)点で測定可能な温度測定部と、前記(N−1)点の異なる温度で前記混合流体の誘電率を測定可能な誘電率測定部と、メモリに保存された前記(N−1)点の各温度における既知の各成分の誘電率と、前記(N−1)点の異なる温度で測定された前記混合流体の誘電率とから、前記各成分の濃度を算出する濃度演算部とを有してなることを特徴している。
【0016】
これによって、請求項1に記載した混合流体の濃度検出方法を実施することができる。
【0017】
上記混合流体の濃度検出装置においては、請求項7に記載のように、前記濃度検出装置が、前記混合流体の前記(N−1)点の異なる温度を形成するためのヒータ部を有してなることが好ましい。
【0018】
(N−1)点の異なる温度で混合流体の誘電率を測定する場合、混合流体の温度が時間的に変化するのを待って測定することも可能である。しかしながら、上記ヒータ部を有する構成とすることで、混合流体の温度を、適宜、異なる(N−1)点の温度に変化させることができる。従って、これによれば、混合流体の各成分の濃度を適宜検出することが可能である。
【0019】
上記混合流体の濃度検出装置においては、請求項8に記載のように、前記温度測定部の構成要素である温度検出素子および前記誘電率測定部の構成要素である容量検出素子が、一つのチップに形成されてなることが好ましい。これによれば、例えば混合流体を流す配管に温度検出素子と容量検出素子をそれぞれ別部品として組み込む場合に較べて、小型化とコストダウンを図ることができる。
【0020】
さらに、上記したヒータ部を有する構成とする場合には、請求項9に記載のように、前記温度測定部の構成要素である温度検出素子、前記誘電率測定部の構成要素である容量検出素子および前記ヒータ部の構成要素であるヒータ素子が、一つのチップに形成されてなることが、小型化とコストダウンのために好ましい。
【0021】
尚、この場合には、請求項10に記載のように、前記チップにおいて、前記ヒータ素子と前記温度検出素子および前記容量検出素子を熱的に分離するように、溝部が形成されてなることが好ましい。これによれば、ヒータ素子から温度検出素子および容量検出素子へのチップを介した熱伝導を抑制できるため、上記溝部が形成されていない場合に較べて、混合流体の温度と誘電率をより正確に測定することができ、各成分の濃度をより正確に検出することができる。
【0022】
チップに容量検出素子を形成する場合には、請求項11に記載のように、前記容量検出素子が、一対の櫛歯状電極からなることが好ましい。これによれば、チップ上に形成された該一対の櫛歯状電極間に混合流体を容易に導くことができると共に、櫛歯密度を高めて検出容量値を増大し、誘電率の測定精度を高めることができる。
【0023】
また、上記したヒータ部を有する構成とする場合には、請求項12に記載のように、前記混合流体の上流側に配置された前記ヒータ部の構成要素であるヒータ素子と、前記混合流体の下流側に配置された前記温度測定部の構成要素である温度検出素子および前記誘電率測定部の構成要素である容量検出素子との間に、前記混合流体の攪拌手段が設けられてなる構成とすることが好ましい。
【0024】
これによれば、例えばフィン、メッシュ、フィルタ等の前記攪拌手段により、ヒータ素子を用いた加熱による混合流体の温度ムラを解消して、混合流体の温度と誘電率をより正確に測定することができる。従って、混合流体の各成分の濃度を、より正確に検出することができる。特に、電極寸法の大きな容量検出素子の場合には、電極間の混合流体の体積が大きいことから、前記攪拌手段を用いて電極間の混合流体の温度を均一にする必要がある。
【0025】
上記混合流体の濃度検出装置においては、請求項13に記載のように、前記誘電率測定部の構成要素である容量検出素子が、一対の電極からなり、該電極の一方が、前記温度測定部の構成要素である温度検出素子を兼ねる構成とすることもできる。これによれば、さらなる小型化とコストダウンが可能である。
【0026】
上記混合流体の濃度検出装置においては、請求項14に記載のように、前記誘電率測定部が、直列接続された2個の容量検出素子と帰還容量が付加されたC/V変換器とを有してなり、前記混合流体の各温度における誘電率の測定において、前記2個の容量検出素子を所定電圧の逆の搬送波で駆動し、前記2個の容量検出素子の接続点からの出力を前記C/V変換器に入力し、該C/V変換器の出力電圧から前記混合流体の各温度における誘電率を測定することが好ましい。
【0027】
該誘電率測定部によれば、前述したように、配線による寄生容量の影響をキャンセルできるため、1個の容量検出素子を用いる場合に較べてより高精度な誘電率測定が可能であり、各成分の濃度もより高精度に検出することができる。
【0028】
上記混合流体の濃度検出装置において、例えば請求項14に記載のように、前記Nが、3である場合には、前記濃度演算部が、前記各成分の濃度をそれぞれa,b,cとし、前記2点の異なる温度をそれぞれT,Tとし、前記温度Tにおける各成分の誘電率をそれぞれεa1,εb1,εc1とし、前記温度Tにおける各成分の誘電率をそれぞれεa2,εb2,εc2とし、前記温度Tと温度Tにおける混合流体の誘電率をそれぞれε,εとしたとき、
(数1) a+b+c=1
(数2) ε=εa1・a+εb1・b+εc1・c
(数3) ε=εa2・a+εb2・b+εc2・c
から、前記各成分の濃度を算出する。
【0029】
上記混合流体の濃度検出装置は、前述したように水が混入する可能性がある内燃機関の混合燃料の濃度検出に好適であり、例えば請求項16に記載のように、前記成分が、エタノール、ガソリンおよび水である場合、あるいは請求項17に記載のように、前記成分が、脂肪酸メチルエステル、軽油および水である場合に好適である。
【0030】
以上のようにして、上記混合流体の濃度検出方法および検出装置は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出方法および検出装置であって、3種以上の成分で構成される混合流体の濃度を正確に検出することのできる混合流体の濃度検出方法および検出装置となっている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】エタノール、ガソリンおよび水の各成分について、比誘電率の温度特性を示した図である。
【図2】混合流体の濃度検出装置の一例を示した図である。(a)は、濃度検出装置100の概略構成を示した図であり、(b)は、(a)の濃度検出装置100におけるセンサ部の構成の一例で、センサチップ50を模式的に示した上面図である。また、(c)は、(b)の容量検出素子21の一例である、容量検出素子21aを模式的に示した上面図である。
【図3】図2(a)の濃度検出装置100におけるセンサ部の別の構成例で、(a)は、センサチップ51を模式的に示した上面図である。また、(b)は、混合流体の流れ方向に沿ってセンサチップ51の温度分布を示した図であり、(c)は、混合流体の流れ方向に沿ってセンサチップ51の断面を模式的に示した図である。
【図4】別のセンサチップ52を模式的に示した上面図である。
【図5】図2(a)の濃度検出装置100における誘電率測定部20の好ましい構成例を示す図で、誘電率測定部24の各部構成を示した回路ブロック図である。
【図6】図5に示す2個の容量検出素子Cs1,Cs2の構成例を示した図で、容量検出素子24bを模式的に示した上面図である。
【図7】(a),(b)は、図2(a)の濃度検出装置100におけるセンサ部の別の構成例で、それぞれ、センサ部品61,62を模式的に示した断面図である。
【図8】図7(a),(b)に示すセンサ部品61,62のように、電極寸法の大きな容量検出素子を用いる場合に好適な構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、3種以上の成分で構成される混合流体の濃度を検出する、混合流体の濃度検出方法および検出装置に関する。
【0033】
本発明に係る混合流体の濃度検出方法は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出方法であって、(N−1)点の異なる温度で混合流体の誘電率を測定し、前記(N−1)点の各温度における既知の各成分の誘電率と、前記(N−1)点の各温度で測定された混合流体の誘電率とから、各成分の濃度を算出する。
【0034】
上記混合流体の濃度検出方法は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を、それぞれの誘電率と温度特性が異なることを利用して検出するものである。各成分の濃度(存在割合)をa,a,・・・,aとすると、一つの等式a+a+・・・+a=1が成り立つ。また、上記混合流体の濃度検出方法においては、(N−1)点の異なる温度で混合流体の誘電率を測定しており、(N−1)個の混合流体の誘電率ε,ε,・・・,εN−1が得られる。測定した各温度での誘電率ε,ε,・・・,εN−1は、それぞれ、予め把握しておいた同温度における単一の各成分の誘電率と濃度の積を各成分について足し合わせたものに等しい。従って、これより(N−1)個の等式が成り立つ。このように、上記混合流体の濃度検出方法によれば、濃度a,a,・・・,aのN個の未知数に対して、上記した全部でN個の等式からなる連立方程式を立てることができ、該連立方程式を解くことで、濃度a,a,・・・,aを正確に決定することができる。
【0035】
以上のようにして、上記混合流体の濃度検出方法は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出方法であって、3種以上の成分で構成される混合流体の濃度を正確に検出することのできる混合流体の濃度検出方法となっている。
【0036】
例えば、上記混合流体の濃度検出方法において、Nが3である場合、すなわち3種類の成分A,B,Cがある場合を想定する。例えば、主に2種類の成分A,Bから構成される混合流体に、不純物として成分Cが混入している場合である。成分A,B,Cは化学反応などを起こさず、均一に混ざり合っているものとする。
【0037】
上記混合流体の濃度検出方法では、以下に示す手順で、各成分の濃度を検出する。3種類の成分A,B,Cがある場合には、2点の異なる温度を設定し、各温度における単一の各成分A,B,Cの誘電率を、予め把握しておく。次に、各温度における混合流体の誘電率を測定する。
【0038】
ここで、各成分A,B,Cの濃度をそれぞれa,b,cとし、上記2点の異なる温度をそれぞれT,Tとし、温度Tにおける上記単一の各成分A,B,Cの誘電率をそれぞれεa1,εb1,εc1とし、温度Tにおける上記単一の各成分A,B,Cの誘電率をそれぞれεa2,εb2,εc2とし、温度T,Tにおける上記混合流体の誘電率をそれぞれε,εとしたとき、
(数1) a+b+c=1
(数2) ε=εa1・a+εb1・b+εc1・c
(数3) ε=εa2・a+εb2・b+εc2・c
が成立する。該数式1〜3の連立方程式を解くことにより、各成分A,B,Cの濃度a,b,cを算出することができる。
【0039】
上記混合流体の濃度検出方法は、水が混入する可能性がある内燃機関の混合燃料の濃度検出に好適である。例えば、ガソリンとエタノールを主成分とするバイオ混合ガソリンの場合には、前記成分が、エタノール、ガソリンおよび水である。尚、ガソリンは数百種類の成分で構成されるが、いずれの成分も誘電率は略同一であり、ガソリンを1種類の成分として取り扱うことが可能である。また、軽油と脂肪酸メチルエステルを主成分とするバイオ混合軽油の場合には、前記成分が、脂肪酸メチルエステル、軽油および水である。
【0040】
次に、上記混合流体の濃度検出方法について、図に基づいて具体的に説明する。
【0041】
図1は、エタノール、ガソリンおよび水の各成分について、比誘電率の温度特性を示した図である。
【0042】
バイオ混合ガソリンのように主成分(ガソリン、エタノール)と混入する不純物(水)が既知の成分である場合において、図1に示すように、各成分の誘電率の温度依存性を予め把握しておく。これによって、エタノール、ガソリンおよび水の各成分について、例えば図中に示した温度Tにおける誘電率εa1,εb1,εc1と、温度Tにおける誘電率εa2,εb2,εc2を予め把握しておく。尚、混合流体の誘電率測定に設定する温度T,Tについては、図1のデータに示す各成分の測定温度と必ずしも一致させる必要はない。図1の各測定点のデータを後述するメモリに保管しておき、任意の設定温度T,Tにについて線形補間することにより、数式1〜3の演算に用いればよい。
【0043】
図2は、上記した混合流体の濃度検出方法を実施するための、混合流体の濃度検出装置の一例を示した図である。図2(a)は、濃度検出装置100の概略構成を示した図であり、図2(b)は、図2(a)の濃度検出装置100におけるセンサ部の構成の一例で、センサチップ50を模式的に示した上面図である。また、図2(c)は、図2(b)の容量検出素子21の一例である、容量検出素子21aを模式的に示した上面図である。
【0044】
図2(a)に示す濃度検出装置100は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する、混合流体の濃度検出装置である。濃度検出装置100は、混合流体の温度を異なる(N−1)点で測定可能な温度測定部10と、前記(N−1)点の異なる温度で混合流体の誘電率を測定可能な誘電率測定部20と、メモリ(図示省略)に保存された前記(N−1)点の各温度における既知の各成分の誘電率と、前記(N−1)点の異なる温度で測定された混合流体の誘電率とから、各成分の濃度を算出する濃度演算部30とを有している。
【0045】
また、図2(a)に示す濃度検出装置100は、混合流体の前記(N−1)点の異なる温度を形成するためのヒータ部40を有している。(N−1)点の異なる温度で混合流体の誘電率を測定する場合、混合流体の温度が時間的に変化するのを待って測定することも可能である。しかしながら、濃度検出装置100のようにヒータ部を有する構成とすることで、混合流体の温度を、短時間で、適宜、異なる(N−1)点の温度に変化させることができる。従って、濃度検出装置100においては、混合流体の各成分の濃度を適宜検出することが可能である。
【0046】
尚、図2(a)の濃度検出装置100はヒータ部40を有しており、加熱することによって異なる(N−1)点の温度を得るようにしているが、逆に、冷却することによって異なる(N−1)点の温度を得るようにしてもよい。加熱、冷却は、測定対象が不可逆的に変化しない範囲で、直接的もしくは間接的に実施できる。その際、加熱の手段として、抵抗体ヒータ加熱、誘導加熱、電磁波加熱、輻射加熱、ペルチェ素子のほか、膨張弁なども利用できる。冷却には冷媒冷却、強制対流冷却、ペルチェ素子、圧縮弁などが利用できる。
【0047】
図2(b)に示すセンサチップ50は、半導体基板からなり、図2(a)に示した温度測定部10の構成要素である温度検出素子11、誘電率測定部20の構成要素である容量検出素子21、およびヒータ部40の構成要素であるヒータ素子41が形成されている。該センサチップ50を混合流体中に浸漬し、混合流体の誘電率を(N−1)点の異なる温度で測定する。センサチップ50のように、温度検出素子11、容量検出素子21およびヒータ素子41を一つのチップに形成することで、例えば後述する混合流体を流す配管に温度検出素子と容量検出素子をそれぞれ別部品として組み込む場合に較べて、小型化とコストダウンを図ることができる。半導体基板からなるセンサチップ50の場合には、マイクロメートルオーダの配線を形成することができ、数ミリメートル角の大きさに小型化することができる。
【0048】
尚、図2(b)のセンサチップ50は半導体基板からなるが、これに限らず、例えばセラミック基板に温度検出素子11、容量検出素子21およびヒータ素子41を形成するようにしてもよい。また、図2(b)のセンサチップ50の構成に限らず、例えばヒータ素子41を別部品(別チップ)としてもよいし、温度検出素子11と容量検出素子21を別チップに形成するようにしてもよい。
【0049】
チップに容量検出素子を形成する場合には、図2(c)に示す容量検出素子21aのように、一対の櫛歯状電極2a,2bからなることが好ましい。これによれば、図2(b)のセンサチップ50上に形成された該一対の櫛歯状電極2a,2b間に混合流体を容易に導くことができると共に、櫛歯密度を高めて検出容量値を増大し、誘電率の測定精度を高めることができる。
【0050】
図3は、図2(a)の濃度検出装置100におけるセンサ部の別の構成例で、図3(a)は、センサチップ51を模式的に示した上面図である。また、図3(b)は、混合流体の流れ方向に沿ってセンサチップ51の温度分布を示した図であり、図3(c)は、混合流体の流れ方向に沿ってセンサチップ51の断面を模式的に示した図である。
【0051】
図3(a)に示すセンサチップ51では、混合流体の流れ方向において、中央にヒータ素子42が配置され、上流側に温度検出素子12aと容量検出素子22aが、下流側に温度検出素子12bと容量検出素子22bが、それぞれ配置されている。センサチップ51の場合には、図3(b)の温度分布図に示すように、ヒータ素子42の加熱によって、異なる温度T,Tでの誘電率測定を同時に実施することができる。
【0052】
尚、センサチップ上にヒータを設ける場合には、図3(c)のセンサチップ51に示すように、ヒータ素子42と温度検出素子12a,12bおよび容量検出素子22a,22bを熱的に分離するように、溝部5a,5bが形成されていることが好ましい。これによれば、ヒータ素子42から温度検出素子12a,12bおよび容量検出素子22a,22bへの、チップを介した熱伝導を抑制できる。このため、溝部5a,5bが形成されていない場合に較べて、混合流体の温度と誘電率をより正確に測定することができ、従って各成分の濃度をより正確に検出することができる。溝部5a,5bは、半導体基板からなるセンサチップ51においては、エッチング等により容易に形成可能である。
【0053】
図4は、別のセンサチップ52を模式的に示した上面図である。
【0054】
図4に示すセンサチップ52では、ヒータ素子43a、温度検出素子13aおよび容量検出素子23aからなる破線で囲った温度Tでの検出素子部52aと、ヒータ素子43b、温度検出素子13bおよび容量検出素子23bからなる破線で囲った温度Tでの検出素子部52bとが、混合流体の流れ方向における同じ位置に並んで配置されている。尚、図4のセンサチップ52において、ヒータ素子43aとヒータ素子43bのいずれか一方だけを形成するようにしてもよい。また、センサチップ52において、検出素子部52aと検出素子部52bは、それぞれ、基板の表側と裏側に形成するようにしてもよい。
【0055】
図5は、図2(a)の濃度検出装置100における誘電率測定部20の好ましい構成例を示す図で、誘電率測定部24の各部構成を示した回路ブロック図である。
【0056】
図5に示す誘電率測定部24は、直列接続された2個の容量検出素子Cs1,Cs2と帰還容量Cfが付加されたC/V変換器24aとを有している。そして、上記した混合流体の各温度における誘電率の測定においては、2個の容量検出素子Cs1,Cs2をそれぞれ図中に示した所定電圧Vの逆の搬送波FE1,FE2で駆動し、2個の容量検出素子Cs1,Cs2の接続点からの出力をC/V変換器24aに入力する。この時、C/V変換器24aの出力電圧Vsは、
(数4) Vs=V(Cs1−Cs2)/Cf
となり、2個の容量検出素子Cs1,Cs2の差分が、C/V変換される。この数式4の出力電圧Vsから、混合流体の各温度における誘電率を測定することができる。図5の誘電率測定部24を用いた誘電率測定によれば、配線による寄生容量Ceの影響をキャンセルできるため、1個の容量検出素子を用いる場合に較べてより高精度な誘電率測定が可能であり、各成分の濃度もより高精度に検出することができる。
【0057】
図6は、図5に示す2個の容量検出素子Cs1,Cs2の構成例を示した図で、容量検出素子24bを模式的に示した上面図である。
【0058】
図6に示す容量検出素子24bは、パッド4aを有する櫛歯状の電極3a、パッド4bを有する櫛歯状の電極3b、およびパッド4c,4dを有する櫛歯状の電極3cで構成されている。図6の容量検出素子24bでは、電極3aと電極3cが対をなしており、図5の容量検出素子Cs1に相当して、パッド4aに搬送波FE1が入力される。また、電極3bと電極3cが対をなしており、図5の容量検出素子Cs2に相当して、パッド4bに搬送波FE2が入力される。図6の容量検出素子24bでは、パッド4cまたはパッド4dから取り出される出力が、図5の出力C/V変換器24aに入力される。
【0059】
尚、図6の容量検出素子24bにおいては、パッド4c,4dを有する電極3cを測温抵抗体で構成し、電極3cが温度検出素子を兼ねるようにしてもよい。このように、誘電率測定部の構成要素である容量検出素子が、一対の電極からなる場合には、該電極の一方が、温度測定部の構成要素である温度検出素子を兼ねる構成とすることで、さらなる小型化とコストダウンが可能である。
【0060】
図7(a),(b)は、図2(a)の濃度検出装置100におけるセンサ部の別の構成例で、それぞれ、センサ部品61,62を模式的に示した断面図である。
【0061】
前述した図2(a)の濃度検出装置100におけるセンサ部の構成例は、センサチップ50〜52で、混合流体に浸漬して使用するものであった。一方、図7(a),(b)に示すセンサ部品61,62は、配管70に取り付けて使用する。図7(a)に示すセンサ部品61は、対をなす平板状の電極6a,6bと、温度検出素子である熱電対6cを備えている。また、図7(b)に示すセンサ部品62は、対をなす円筒状の電極7a,7bと、温度検出素子である熱電対7cを備えている。
【0062】
尚、車両の燃料の誘電率測定を行う場合、配管70の外側もしくは内側にヒータを設置して、配管70内を通る燃料の温度を変えることができる。ヒータによる加熱部の直下、加熱部より流れの上流側、もしくは加熱部より流れの下流側のうちいずれか2箇所に、図7(a),(b)に示すようなセンサ部品61,62を設置することで、図3に示したようにヒータの温度設定を変化させることなく、各成分の濃度測定が可能となる。
【0063】
図8は、図7(a),(b)に示すセンサ部品61,62のように、電極寸法の大きな容量検出素子を用いる場合に好適な構成例を示す図である。
【0064】
図8に示す構成では、混合流体の上流側に配置されたヒータ素子44と、混合流体の下流側に配置された温度検出素子14および容量検出素子25との間に、混合流体の攪拌手段80が設けられている。これによれば、例えばフィン、メッシュ、フィルタ等の攪拌手段80により、ヒータ素子44を用いた加熱による混合流体の温度ムラを解消して、混合流体の温度と誘電率をより正確に測定することができる。従って、図8に示す構成では、混合流体の各成分の濃度を、より正確に検出することができる。特に、図7(a),(b)に示すセンサ部品61,62のように、電極寸法の大きな容量検出素子の場合には、電極間の混合流体の体積が大きいことから、攪拌手段80を用いて電極間の混合流体の温度を均一にする必要がある。
【0065】
以上に示したようなセンサ部を用いて、例えば3種類の成分A,B,Cからなる混合流体の誘電率を2点の異なる温度で測定し、図2(a)に示した濃度演算部30で数式1〜3に示した連立方程式を解くことにより、各成分A,B,Cの濃度a,b,cを算出することができる。尚、N(≧3の整数)種の成分からなる混合流体の場合も、(N−1)点の異なる温度で混合流体の誘電率を測定し、数式1〜3を前述したように一般化して、各成分の濃度(存在割合)をa,a,・・・,aを算出することができる。
【0066】
以上のようにして、上記した混合流体の濃度検出方法および検出装置は、N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出方法および検出装置であって、3種以上の成分で構成される混合流体の濃度を正確に検出することのできる混合流体の濃度検出方法および検出装置となっている。
【0067】
従って、上記した混合流体の濃度検出方法および濃度検出装置は、水が混入する可能性がある内燃機関の混合燃料の濃度検出に好適であり、例えば前記成分が、エタノール、ガソリンおよび水である場合、あるいは前記成分が、脂肪酸メチルエステル、軽油および水である場合に好適である。
【符号の説明】
【0068】
100 濃度検出装置
10 温度測定部
11,12a,12b,13a,13b 温度検出素子
20,24 誘電率測定部
21,21a,22a,22b,23a,23b 容量検出素子
30 濃度演算部
40 ヒータ部
41,42,43a,43b ヒータ素子
50〜52 センサチップ
61,62 センサ部品
70 配管
80 攪拌手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出方法であって、
(N−1)点の異なる温度で前記混合流体の誘電率を測定し、
前記(N−1)点の各温度における既知の各成分の誘電率と、前記(N−1)点の各温度で測定された前記混合流体の誘電率とから、前記各成分の濃度を算出することを特徴とする混合流体の濃度検出方法。
【請求項2】
前記Nが、3であり、
前記各成分の濃度をそれぞれa,b,cとし、前記2点の異なる温度をそれぞれT,Tとし、前記温度Tにおける各成分の誘電率をそれぞれεa1,εb1,εc1とし、前記温度Tにおける各成分の誘電率をそれぞれεa2,εb2,εc2とし、前記温度Tと温度Tにおける混合流体の誘電率をそれぞれε,εとしたとき、
(数1) a+b+c=1
(数2) ε=εa1・a+εb1・b+εc1・c
(数3) ε=εa2・a+εb2・b+εc2・c
から、前記各成分の濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載の混合流体の濃度検出方法。
【請求項3】
前記成分が、エタノール、ガソリンおよび水であることを特徴とする請求項2に記載の混合流体の濃度検出方法。
【請求項4】
前記成分が、脂肪酸メチルエステル、軽油および水であることを特徴とする請求項2に記載の混合流体の濃度検出方法。
【請求項5】
前記混合流体の各温度における誘電率の測定において、
直列接続された2個の容量検出素子を所定電圧の逆の搬送波で駆動し、前記2個の容量検出素子の接続点からの出力を帰還容量が付加されたC/V変換器に入力し、該C/V変換器の出力電圧から前記混合流体の各温度における誘電率を測定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の混合流体の濃度検出方法。
【請求項6】
N(≧3の整数)種の既知の成分で構成される混合流体の各成分の濃度を検出する混合流体の濃度検出装置であって、
前記混合流体の温度を異なる(N−1)点で測定可能な温度測定部と、
前記(N−1)点の異なる温度で前記混合流体の誘電率を測定可能な誘電率測定部と、
メモリに保存された前記(N−1)点の各温度における既知の各成分の誘電率と、前記(N−1)点の異なる温度で測定された前記混合流体の誘電率とから、前記各成分の濃度を算出する濃度演算部とを有してなることを特徴とする混合流体の濃度検出装置。
【請求項7】
前記濃度検出装置が、
前記混合流体の前記(N−1)点の異なる温度を形成するためのヒータ部を有してなることを特徴とする請求項6に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項8】
前記温度測定部の構成要素である温度検出素子および前記誘電率測定部の構成要素である容量検出素子が、一つのチップに形成されてなることを特徴とする請求項6または7に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項9】
前記温度測定部の構成要素である温度検出素子、前記誘電率測定部の構成要素である容量検出素子および前記ヒータ部の構成要素であるヒータ素子が、一つのチップに形成されてなることを特徴とする請求項7に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項10】
前記チップにおいて、
前記ヒータ素子と前記温度検出素子および前記容量検出素子を熱的に分離するように、溝部が形成されてなることを特徴とする請求項9に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項11】
前記容量検出素子が、一対の櫛歯状電極からなることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項12】
前記混合流体の上流側に配置された前記ヒータ部の構成要素であるヒータ素子と、前記混合流体の下流側に配置された前記温度測定部の構成要素である温度検出素子および前記誘電率測定部の構成要素である容量検出素子との間に、
前記混合流体の攪拌手段が設けられてなることを特徴とする請求項7に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項13】
前記誘電率測定部の構成要素である容量検出素子が、一対の電極からなり、
該電極の一方が、前記温度測定部の構成要素である温度検出素子を兼ねることを特徴とする請求項6乃至12のいずれか一項に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項14】
前記誘電率測定部が、
直列接続された2個の容量検出素子と帰還容量が付加されたC/V変換器とを有してなり、
前記混合流体の各温度における誘電率の測定において、
前記2個の容量検出素子を所定電圧の逆の搬送波で駆動し、前記2個の容量検出素子の接続点からの出力を前記C/V変換器に入力し、該C/V変換器の出力電圧から前記混合流体の各温度における誘電率を測定することを特徴とする請求項6乃至13のいずれか一項に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項15】
前記Nが、3であり、
前記濃度演算部が、
前記各成分の濃度をそれぞれa,b,cとし、前記2点の異なる温度をそれぞれT,Tとし、前記温度Tにおける各成分の誘電率をそれぞれεa1,εb1,εc1とし、前記温度Tにおける各成分の誘電率をそれぞれεa2,εb2,εc2とし、前記温度Tと温度Tにおける混合流体の誘電率をそれぞれε,εとしたとき、
(数1) a+b+c=1
(数2) ε=εa1・a+εb1・b+εc1・c
(数3) ε=εa2・a+εb2・b+εc2・c
から、前記各成分の濃度を算出することを特徴とする請求項6乃至14のいずれか一項に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項16】
前記成分が、エタノール、ガソリンおよび水であることを特徴とする請求項15に記載の混合流体の濃度検出装置。
【請求項17】
前記成分が、脂肪酸メチルエステル、軽油および水であることを特徴とする請求項15に記載の混合流体の濃度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−210285(P2010−210285A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54056(P2009−54056)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】