説明

混合物の調合監視システム

【課題】定量添加において、添加剤の添加状況を監視し、調合時間内に添加剤の添加が終了しないと予測した場合に、オペレータに異常を通知できるようにした混合物の調合監視システムを提供する。
【解決手段】添加剤の調合終了予定時刻T2が、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた、警告表示設定時刻TMを超える場合に、警告表示を行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分以上の混合物の調合監視システムに関し、例えば、石油製品や潤滑油などの製造に際して、石油製品基材や潤滑油基材に対して、添加剤を添加することにより、基材と添加剤を調合する添加剤の添加量監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、LPGや、ガソリン、灯油、軽油などの燃料油などからなる石油製品や、エンジン油、ギヤ油などの潤滑油には、その性能を維持するために、または、その性能を向上させるために、または、製品規格に応じて、種々の添加剤を添加して、石油製品や潤滑油が製造されている。
【0003】
この場合、基材であるLPGに対して、添加される添加剤としては、例えば、着臭剤や氷結防止剤などがあり、基材であるガソリンに対して、添加される添加剤としては、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、含酸素化合物、着色剤などがある。
また、基材である灯油に対して、添加される添加剤としては、例えば、軽油識別剤などがあり、基材である軽油に対して、添加される添加剤としては、例えば、低温流動性向上剤、潤滑性向上剤などがある。
さらに、基材であるエンジン油やギヤ油に対して、添加される添加剤としては、例えば、摩耗防止剤、極圧添加剤、摩擦調整剤などがある。
【0004】
そして、石油製品や潤滑油を製造する際には、通常、石油製品基材や潤滑油基材に対して、製油所において、上述したような各種の添加剤を、製品規格、顧客の仕様などに応じて、添加剤の種類、添加量、添加比率などを決定して添加している。
【0005】
ところで、製油所においては、多種類の石油製品、潤滑油を製造するために、基材のタンク、添加剤のタンク、調合用のタンクが、多数配置されており、これらのタンクの間は、配管で連結されている。
【0006】
例えば、図8に示した調合設備100に示したように、製油所においては、例えば、ガソリン用の基材Aが収容されている基材タンク102と、軽油用の基材Bが収容されている基材タンク104とが配置されている。
【0007】
一方、このガソリン用の基材Aに添加される、例えば、着色剤などの添加剤Cが収容されている添加剤タンク106と、軽油用の基材Bに添加される、例えば、低温流動性向上材などの添加剤Dが収容されている添加剤タンク108とが配置されている。
【0008】
そして、基材タンク104は、配管110を介して、調合用タンク112に接続されている。また、この配管110には、ポンプ114、流量計116が備えられ、メイン配管120を介して、調合用タンク112に接続されている。
また、基材タンク102は、配管118を介して、メイン配管120に合流するように接続されており、この配管118には、ポンプ122、流量計124が備えられている。
【0009】
さらに、添加剤タンク106は、配管126を介して、メイン配管120に合流するように接続されており、この配管126には、ポンプ128、流量計130が備えられている。
また、添加剤タンク108は、配管132を介して、メイン配管120に合流するように接続されており、この配管132には、ポンプ134、流量計136が備えられている

【0010】
ところで、このような基材に対して、添加剤を添加する方法としては、いわゆる「定量添加」と「比率添加」がある。
すなわち、比率添加は、図9に示したように、製品である、石油製品、潤滑油などの仕上がり量と、石油製品、潤滑油などの基材と添加剤の比率を、流量制御コンピュータ150に入力している。
【0011】
そして、各配管110、118、126、132にそれぞれ配置された、流量計116、124、130、136からの流量データと、上記の仕上がり量データ、基材と添加剤の比率データを、流量制御コンピュータ150において、比較演算することによって、フローコントロールバルブ138、140、142、144を制御することによって、調合作業を実施する方法である。
【0012】
例えば、ガソリンを調合する際には、基材タンク102の配管118に設けられたフローコントロールバルブ140を開けるとともに、ポンプ122を作動させて、基材タンク102に収容されているガソリン用の基材Aを、配管118を介して、メイン配管120に合流させ、調合用タンク112に移送させる。
【0013】
一方、添加剤タンク106の配管126に設けられたフローコントロールバルブ142を開けるとともに、ポンプ128を作動させて、添加剤タンク106に収容されているガソリン用の基材Aに添加される添加剤Cを、配管126を介して、メイン配管120に合流させ、調合用タンク112に移送させる。
【0014】
そして、基材タンク102の配管118に設けられた流量計124からのガソリン用の基材Aの流量データと、添加剤タンク106の配管126に設けられた流量計130からの添加剤Cの流量データと、ガソリンの仕上がり量データ、ガソリン用の基材Aと添加剤Cの比率データを、流量制御コンピュータ150において、比較演算する。
【0015】
この比較演算結果に基づいて、基材タンク102の配管118に設けられたフローコントロールバルブ140、添加剤タンク106の配管126に設けられたフローコントロールバルブ142を制御することによって、調合作業を実施する方法である。
【0016】
しかしながら、この比率添加では、添加量、添加速度をコンピュータで制御するため、添加剤の添加不足は発生しないが、基材、添加剤の比率を制御するために、フローコントロールバルブ138、140、142、144、比率計器が必要となるため、全体の設備投資に費やすコストが高くつくという問題がある。
また、添加剤の添加比率が極めて小さく、添加比率が設備の適用範囲から外れる場合は、比率添加を実施することができず、定量添加を実施しなければならないことになる。
【0017】
一方、定量添加は、図10に示したように、基材を調合槽に移送している間の任意の時刻に(図10では、基材を調合槽に移送開始と同じ時刻に)添加剤を規定量添加する方法である。
【0018】
この定量添加では、上述した比率添加のように、フローコントロールバルブ138、140、142、144、比率計器が不要となるため、既存の設備をそのまま使用でき、比率添加に比べて全体の設備投資に費やすコストが低減できるという利点がある。
【0019】
この場合、添加剤の流量制御は、比率添加のような流量制御コンピュータ150でなく、現場で操作するものであり、計器室(コントロール室)のコンピュータの制御画面に表示される添加量を目視で確認し、基材の残り数量、添加速度、ならびに、添加剤の残り数量、添加速度などのデータから、オペレータが予測監視を行うものである。
【0020】
このような定量添加としては、例えば、特許文献1(特開2004−277016号公報)に開示されているように、製油所などにおいてタンクローリへ燃料油を充填する際に、燃料油充填手段および添加剤添加手段によって、燃料油に規定量の添加剤を添加するようになっている。
【特許文献1】特開2004−277016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、特許文献1などによる定量添加では、現場のコンピュータの制御画面に表示される添加量を目視で確認し、基材の残り数量、添加速度、ならびに、添加剤の残り数量、添加速度などのデータから、オペレータが予測監視を行うので、図11に示したように、基材の流速が早くなって、添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生すると、添加剤が不足する可能性がある。
【0022】
本発明は、このような現状に鑑み、2成分以上の混合物を調合する際に、この混合物のうち少量成分の調合時間を監視することにより、混合物の調合終了予定時刻までに、少量成分の調合が終了しないと予測した場合に、オペレータに異常を通知できるようにした混合物の調合監視システムを提供することを目的とする。
【0023】
また、本発明は、特に、定量添加において、添加剤の添加状況を監視し、調合時間内に添加剤の添加が終了しないと予測した場合に、オペレータに異常を通知できるようにした混合物の調合監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の混合物の調合監視システムは、
2成分以上の混合物の調合監視システムであって、
少量成分の調合時間を監視することを特徴とする。
【0025】
このように構成することにより、2成分以上の混合物を調合する際に、この混合物のうち少量成分の調合時間を監視することによって、混合物の調合終了予定時刻までに、少量成分の調合が終了するか否かを、オペレータに通知することができる。
【0026】
従って、他の成分の流速が早くなって、少量成分を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、事前にオペレータに通知することができ、少量成分が不足する可能性を回避することができる。
【0027】
また、本発明の混合物の調合監視システムは、
前記混合物の調合監視システムが、基材に対して、添加剤を添加することにより、基材と添加剤を調合する添加剤の添加量監視システムであり、
前記少量成分である添加剤を基材に添加する際に、添加剤の調合時間を監視することを特徴とする。
【0028】
このように構成することによって、基材に対して、添加剤を添加する際に、少量成分である添加剤の調合時間を監視するので、混合物の調合終了予定時刻までに、少量成分の調
合が終了するか否かを、オペレータに通知することができる。
【0029】
従って、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、事前にオペレータに通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を、事前に回避することができる。
【0030】
しかも、定量添加に適用することが可能であるので、上述した比率添加のように、フローコントロールバルブ、比率計器が不要となるため、既存の設備をそのまま使用でき、比率制御設備に改造する必要がなく、新規設備投資を不要にすることができ、比率添加に比べて、全体の設備投資に費やすコストが低減できる。
【0031】
また、本発明の混合物の調合監視システムは、前記基材と添加剤を調合する際に、基材の調合終了予定時刻T1よりも前に、添加剤の調合が終了するように、添加剤の調合終了予定時刻T2を設定して、添加剤の調合時間を監視することを特徴とする。
【0032】
このように構成することにより、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、すなわち、添加剤の調合終了予定時刻T2が、基材の調合終了予定時刻T1を超える場合に、事前にオペレータに通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を事前に回避することができる。
【0033】
これにより、例えば、基材と添加剤とを同一の配管内に移送して調合する際に、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留するのを防止できる。このため、引き続き同一の基材と、直前の調合で使用した添加剤と異なる添加剤を次のバッチ処理に使用する場合にも、添加剤の混入を防止することができるとともに、配管内に残留する添加剤を配管内から除去するパージ作業が不要となる。
【0034】
また、本発明の混合物の調合監視システムは、前記添加剤の調合終了予定時刻T2に余裕時間Xを加算した、添加剤の調合終了余裕時刻T3に基づいて、添加剤の調合時間を監視することを特徴とする。
【0035】
このように構成することにより、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、すなわち、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、基材の調合終了予定時刻T1を超える場合に、事前にオペレータに通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を事前に回避することができる。
【0036】
これにより、例えば、基材と添加剤とを同一の配管内に移送して調合する際に、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留するのを防止できる。このため、引き続き同一の基材と、直前の調合で使用した添加剤と異なる添加剤を次のバッチ処理に使用する場合にも、添加剤の混入を防止することができるとともに、配管内に残留する添加剤を配管内から除去するパージ作業が不要となる。
【0037】
しかも、この場合、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、添加剤の調合終了予定時刻T2に余裕時間Xを加算した時刻であるので、添加剤の調合終了予定時刻T2の誤差を補償することができるので、少量成分である添加剤が不足する可能性、調合が終了した後に、配
管内に添加剤が残留する可能性を、確実に防止することができる。
【0038】
また、本発明の混合物の調合監視システムは、添加剤の調合終了予定時刻T2が、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた、警告表示設定時刻TMを超える場合に、警告表示を行うように構成されていることを特徴とする。
【0039】
このように構成することにより、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、すなわち、添加剤の調合終了予定時刻T2が、警告表示設定時刻TMを超える場合に、事前にオペレータに警告表示で通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を事前に回避することができる。
【0040】
これにより、例えば、基材と添加剤とを同一の配管内に移送して調合する際に、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留するのを防止できる。このため、引き続き同一の基材と、直前の調合で使用した添加剤と異なる添加剤を次のバッチ処理に使用する場合にも、添加剤の混入を防止することができるとともに、配管内に残留する添加剤を配管内から除去するパージ作業が不要となる。
【0041】
しかも、この場合、警告表示設定時刻TMが、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた時刻であるので、基材の調合終了予定時刻T1の誤差を補償することができるので、少量成分である添加剤が不足する可能性、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留する可能性を、確実に防止することができる。
【0042】
また、本発明の混合物の調合監視システムは、前記添加剤の調合終了余裕時刻T3が、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた、警告表示設定時刻TMを超える場合に、警告表示を行うように構成されていることを特徴とする。
【0043】
このように構成することにより、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、すなわち、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、警告表示設定時刻TMを超える場合に、事前にオペレータに警告表示で通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を事前に回避することができる。
【0044】
これにより、例えば、基材と添加剤とを同一の配管内に移送して調合する際に、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留するのを防止できる。このため、引き続き同一の基材と、直前の調合で使用した添加剤と異なる添加剤を次のバッチ処理に使用する場合にも、添加剤の混入を防止することができるとともに、配管内に残留する添加剤を配管内から除去するパージ作業が不要となる。
【0045】
しかも、この場合、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、添加剤の調合終了予定時刻T2に余裕時間Xを加算した時刻であるとともに、警告表示設定時刻TMが、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた時刻であるので、添加剤の調合終了予定時刻T2の誤差、基材の調合終了予定時刻T1の誤差を補償することができるので、少量成分である添加剤が不足する可能性、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留する可能性を、さらに確実に防止することができる。
【0046】
また、本発明の混合物の調合監視システムは、前記警告表示が、アラームの発報であることを特徴とする。
このように構成することにより、添加剤の調合終了予定時刻T2、または、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、警告表示設定時刻TMを超えた場合には、それをオペレータにアラームにより確実に伝えることができる。
【0047】
また、本発明に係る混合物の調合監視システムは、基材に添加剤を調合した混合物が石油製品であることを特徴とする。
このように構成することにより、性能、信頼性の高い、例えば、LPGや、ガソリン、灯油、軽油などの燃料油などからなる石油製品を調合することができる。
【0048】
また、本発明に係る混合物の調合監視システムは、基材に添加剤を調合した混合物が潤滑油であることを特徴とする。
このように構成することにより、性能、信頼性の高い、例えば、エンジン油、ギヤ油などの潤滑油を調合することができる。
【0049】
また、本発明に係る混合物の調合監視システムは、前記2成分以上の混合物を同一の配管内に移送して調合するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、2成分以上の混合物を定量添加によって、調合する際に、この混合物のうち少量成分の調合時間を監視することによって、混合物の調合終了予定時刻までに、少量成分の調合が終了するか否かを、オペレータに通知することができる。
【0050】
従って、他の成分の流速が早くなって、少量成分を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、事前にオペレータに通知することができ、少量成分が不足する可能性を回避することができる。
【0051】
しかも、定量添加に適用することが可能であるので、上述した比率添加のように、フローコントロールバルブ、比率計器が不要となるため、既存の設備をそのまま使用でき、比率制御設備に改造する必要がなく、新規設備投資を不要にすることができ、比率添加に比べて、全体の設備投資に費やすコストが低減できる。
【0052】
さらに、同一の配管内に移送して調合する際に、調合が終了した後に、配管内に少量成分が残留するのを防止できる。このため、異なる2成分以上の混合物を定量添加によって、調合する際に、次のバッチ処理において行う場合にも、少量成分の混入を防止することができるとともに、配管内に残留する少量成分を配管内から除去するパージ作業が不要となる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、2成分以上の混合物を調合する際に、この混合物のうち少量成分の調合時間を監視することによって、混合物の調合終了予定時刻までに、少量成分の調合が終了するか否かを、オペレータに通知することができる。
【0054】
従って、他の成分の流速が早くなって、少量成分を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、事前にオペレータに通知することができ、少量成分が不足する可能性を回避することができる。
【0055】
また、本発明によれば、基材に対して、添加剤を添加する際に、少量成分である添加剤の調合時間を監視するので、混合物の調合終了予定時刻までに、少量成分の調合が終了するか否かを、オペレータに通知することができる。
【0056】
従って、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、事前にオペレータに通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を、事前に回避することができる。
【0057】
しかも、定量添加に適用することが可能であるので、上述した比率添加のように、フローコントロールバルブ、比率計器が不要となるため、既存の設備をそのまま使用でき、比率制御設備に改造する必要がなく、新規設備投資を不要にすることができ、比率添加に比べて、全体の設備投資に費やすコストが低減できる。
【0058】
さらに、メイン配管に添加剤が残留しなくなり、メイン配管から添加剤を除去するためのパージ作業を不要にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【0060】
図1は、本発明の本発明の混合物の調合システムを適用する混合物の調合設備を示した概略図、図2は、本発明の混合物の調合システムの実施例を説明する概略図、図3は、本発明の混合物の調合システムの実施例の概略構成図、図4は、本発明の混合物の調合システムの実施例の作動を示すフローチャートである。
【0061】
図1において、符号10は、全体で、本発明の混合物の調合システムを適用する混合物の調合設備を示している。
【0062】
図1に示したように、調合設備10は、製油所においては、例えば、ガソリン用の基材Aが収容されている基材タンク12と、軽油用の基材Bが収容されている基材タンク14とが配置されている。
【0063】
一方、このガソリン用の基材Aに添加される、例えば、着色剤などの添加剤Cが収容される添加剤タンク16と、軽油用の基材Bに添加される、例えば、低温流動性向上材などの添加剤Dが収容される添加剤タンク18とが配置されている。
【0064】
そして、基材タンク14は、配管20を介して、調合用タンク22に接続されている。また、この配管20には、ポンプ24、流量計26が備えられ、メイン配管30を介して、調合用タンク22に接続されている。
【0065】
また、基材タンク12は、配管28を介して、メイン配管30に合流するように接続されており、この配管28には、ポンプ32、流量計34が備えられている。
さらに、添加剤タンク16は、配管36を介して、メイン配管30に合流するように接続されており、この配管36には、ポンプ38、流量計40が備えられている。
【0066】
また、添加剤タンク18は、配管42を介して、メイン配管30に合流するように接続されており、この配管42には、ポンプ44、流量計46が備えられている。
そして、例えば、ガソリンを調合する際には、ガソリン用の基材Aが収容されている基材タンク12の配管28に設けられたバルブ(図示せず)を開けるとともに、ポンプ32を作動させて、基材タンク12に収容されているガソリン用の基材Aを、配管28を介して、メイン配管30に合流させ、調合用タンク22に移送させる。
【0067】
一方、ガソリン用の基材Aに添加される添加剤Cを収容した、添加剤タンク16の配管36に設けられたバルブ(図示せず)を開けるとともに、ポンプ38を作動させて、添加剤タンク16に収容されているガソリン用の基材Aに添加される添加剤Cを、配管36を介して、メイン配管30に合流させ、調合用タンク22に移送させる。
【0068】
これにより、メイン配管30内に、これらのガソリン用の基材Aと添加剤Cを移送して調合し、調合用タンク22に蓄えるようになっている。
なお、この際には、軽油用の基材Bが収容されている基材タンク14の配管20に設けられたバルブ(図示せず)と、軽油用の基材Bに添加される添加剤Dが収容されている添加剤タンク18の配管42に設けられたバルブ(図示せず)が閉止され、配管20のポンプ24、配管42のポンプ44は、停止されるようになっている。
【0069】
一方、例えば、軽油を調合する際には、軽油用の基材Bが収容されている基材タンク14の配管20に設けられたバルブ(図示せず)を開けるとともに、ポンプ24を作動させて、基材タンク14に収容されている軽油用の基材Bを、配管20を介して、メイン配管30に合流させ、調合用タンク22に移送させる。
【0070】
一方、軽油用の基材Bに添加される添加剤Dを収容した、添加剤タンク18の配管42に設けられたバルブ(図示せず)を開けるとともに、ポンプ44を作動させて、添加剤タンク18に収容されている軽油用の基材Bに添加される添加剤Dを、配管42を介して、メイン配管30に合流させ、調合用タンク22に移送させる。
【0071】
これにより、メイン配管30内に、これらの軽油用の基材Bと添加剤Dを移送して調合し、調合用タンク22に蓄えるようになっている。
なお、この際には、ガソリン用の基材Aが収容されている基材タンク12の配管28に設けられたバルブ(図示せず)と、ガソリン用の基材Aに添加される添加剤Cが収容されている添加剤タンク16の配管36に設けられたバルブ(図示せず)が閉止され、配管28のポンプ32、配管36のポンプ38は、停止されるようになっている。
【0072】
次に、このように構成される混合物の調合設備10に適用される本発明の混合物の調合システムについて説明する。
【0073】
この実施例の本発明の混合物の調合システムでは、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた、警告表示設定時刻TMを超える場合に、警告表示を行うように構成されている
【0074】
すなわち、図4のフローチャートのステップS1に示したように、基材と添加剤の移送を開始する。
【0075】
すなわち、図1に示したように、例えば、ガソリンを調合する際には、ガソリン用の基材Aが収容されている基材タンク12の配管28に設けられたバルブ(図示せず)を開けるとともに、ポンプ32を作動させて、基材タンク12に収容されているガソリン用の基材Aを、配管28を介して、メイン配管30に合流させ、調合用タンク22への移送を開始する。
【0076】
そして、このガソリン用の基材Aの移送開始と同時に、ガソリン用の基材Aに添加される添加剤Cを収容した、添加剤タンク16の配管36に設けられたバルブ(図示せず)を開けるとともに、ポンプ38を作動させて、添加剤タンク16に収容されているガソリン用の基材Aに添加される添加剤Cを、配管36を介して、メイン配管30に合流させ、調合用タンク22への移送を開始させる。
【0077】
この状態で、図4のフローチャートのステップS2、図3に示したように、現場に配置された流量計のデータ、すなわち、ガソリン用の基材Aが収容されている基材タンク12の配管28に設けられた流量計34の流量データと、ガソリン用の基材Aに添加される添加剤Cを収容した、添加剤タンク16の配管36に設けられた流量計40の流量データが、現場に配置された機器専用入出力装置50に、入力されている。
【0078】
また、図4のフローチャートのステップS3、図3に示したように、この機器専用入出力装置50からの流量データが、所定時間毎に、例えば、1秒毎に流量パルス信号(例えば、1ml/1パルス)として、DCS(Distribution Control System)装置52に入
力され、データ収集される。
【0079】
このDCS装置52では、流量パルスをカウンターとして用いて、自動加算することによって、流量計のカウンターとして用いている。そして、流量計のカウンターが、予定の数量に達した時点で、ポンプ停止、バルブ閉止を、機器専用入出力装置50に自動指令するように構成されている。
【0080】
そして、図4のフローチャートのステップS4、図3に示したように、このDCS装置52に蓄積された流量パルスデータを、所定時間毎に、例えば、1分毎に、プロセスコンピュータ54に入力され、データ収集される。
【0081】
このプロセスコンピュータ54では、所定時間経過して移送量が安定した時点で(例えば、5kl移送が完了した時点で)、所定時間毎に、例えば、5分間間隔で、下記のような計算を実行するようになっている。
【0082】
すなわち、図4のフローチャートのステップS5、図2に示したように、基材Aの流量計34からの流量計カウンターを用いて、基材Aの流速(分速)Vを、下記の式から計算するようになっている。
V=(現在の移送量−5分前の移送量)/(現在時刻−5分前の更新時刻)
なお、この場合、Vは、そのまま使用しても良いが、例えば、ポンプなどの特性上短時間の差分の変動が大きい場合には、Vの移動平均値、例えば、5分間のVの移動平均値を使用するようにしても良い。
【0083】
また、図4のフローチャートのステップS6、図2に示したように、
基材Aの調合終了予定時刻T1を、下記の式から、計算するようになっている。
T1=現在時刻+(基材予定調合量−現在の基材調合量)/基材流速V
【0084】
また、図4のフローチャートのステップS7、図2に示したように、この基材Aの調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた、警告表示設定時刻TMを、下記の式から、計算するようになっている。
TM=基材の調合終了予定時刻T1−警告表示設定時間m
【0085】
なお、この場合、警告表示設定時間mは、調合終了時にメイン配管30に添加剤Cが残留しないように、配管36と合流する位置から調合用タンク22までのメイン配管30の滞油量をパージするのに要する時間以上に設定する。
この実施例では、警告表示設定時間mは、例えば、5分に設定しており、基材、添加剤毎に変更可能である。
【0086】
さらに、図4のフローチャートのステップS8、図2に示したように、添加剤Cの流量計40からの流量計カウンターを用いて、添加剤Cの流速(分速)vを、下記の式から計
算するようになっている。
v=(現在の添加量−5分前の添加量)/(現在時刻−5分前の更新時刻
なお、この場合、vは、そのまま使用しても良いが、例えば、ポンプなどの特性上短時間の差分の変動が大きい場合には、vの移動平均値、例えば、5分間のvの移動平均値をするようにしても良い。
【0087】
また、図4のフローチャートのステップS9、図2に示したように、
添加剤Cの調合終了予定時刻T2を、下記の式から、計算するようになっている。
T2=現在時刻+(添加予定量−現在量)/添加流速v
【0088】
また、図4のフローチャートのステップS10、図2に示したように、添加剤の調合終了予定時刻T2に余裕時間Xを加算した、添加剤の調合終了余裕時刻T3を計算するようになっている。
T3=添加剤の調合終了予定時刻T2+余裕時間X
【0089】
なお、この場合、余裕時間Xは、添加剤流速の振れ幅の実績から設定する。
この実施例では、余裕時間Xは、例えば、5分に設定しており、基材、添加剤毎に変更可能である。
【0090】
そして、図4のフローチャートのステップS11、図2に示したように、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた、警告表示設定時刻TMを超えるか否か、すなわち、
添加剤の調合終了余裕時刻T3>警告表示設定時刻TM
であるか否かが判断される。
【0091】
そして、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、警告表示設定時刻TMを超える場合、すなわち、
添加剤の調合終了余裕時刻T3>警告表示設定時刻TM
である場合には、図4のフローチャートのステップS12に示したように、例えば、アラームの発報、メッセージなどの警告表示を行うようになっている。
【0092】
一方、ステップS11において、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、警告表示設定時刻TMを超えない場合、すなわち、
添加剤の調合終了余裕時刻T3<警告表示設定時刻TM
である場合には、ステップS5〜S11のステップが定周期で繰り返される。
【0093】
そして、この図4のフローチャートのステップS12において、一度警告表示を行った後は、ステップS5〜S11のステップが繰り返される。
【0094】
この場合、ステップS11において、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、警告表示設定時刻TMを超える場合には、一度警告表示を行った後は、再び警告表示を行わないように設定されている。
【0095】
なお、もちろん、警告表示を行い続けるように設定することも可能である。
さらに、ステップS13に示したように、ステップS5〜S11のステップが繰り返され、ステップS11において、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、警告表示設定時刻TMを超えない場合、すなわち、
添加剤の調合終了余裕時刻T3<警告表示設定時刻TM
である場合には、図4のフローチャートのステップS14に示したように、例えば、復旧チャイムの発報、復旧メッセージなどの復旧表示を行うようになっている。
【0096】
具体的には、例えば、現在時刻を13時とし、基材予定調合量を60klとし、現在の基材調合量を40klとし、基材の流速Vを10kl/hとすると、
基材の調合終了予定時刻T1は、
T1=13時+(60kl−40kl)/10kl/h
で計算され、15時となる。
【0097】
この場合、警告表示設定時刻TMは、警告表示設定時間mを5分とすると、
TM=15時−5分
で計算され、14時55分となる。
【0098】
また、添加剤の調合終了予定時刻T2は、添加剤予定添加量を5lとし、現在の添加剤添加量を3.5lとし、添加剤流速Vを1l/hとすると、現在時刻が13時なので、
T2=13時+(5l−3.5l)/1l/h
で計算され、14時30分となる。
【0099】
また、余裕時間Xを5分とすると、添加剤の調合終了余裕時刻T3は、
T3=14時30分+5分
で計算され、14時35分となる。
【0100】
この場合、添加剤の調合終了余裕時刻T3(14時35分)が、警告表示設定時刻TM(14時55分)を超えていないので、この場合は、アラームの発報がない。
【0101】
一方、現在の添加剤予定添加量を7lとし、現在の添加剤添加量を5lとし、添加剤流速を1l/hとすると、現在時刻が13時なので、
T2=13時+(7l−5l)/1l/h
で計算され、15時となる。
【0102】
また、余裕時間Xを5分とすると、添加剤の調合終了余裕時刻T3は、
T3=15時+5分
で計算され、15時5分となる。
【0103】
この場合には、添加剤の調合終了余裕時刻T3(15時5分)が、警告表示設定時刻TM(14時55分)を超えているので、この場合は、アラームを発報する。
【0104】
なお、上記の実施例では、例えば、ガソリンを調合する際について説明したが、軽油を調合する際についても同様に実施することができる。
【0105】
また、この実施例では、図4のフローチャートのステップS1に示したように、基材と添加剤の移送を同時に開始したが、添加剤の移送を基材の移送よりも遅らせることももちろん可能である。
【0106】
このように構成することにより、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、すなわち、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、警告表示設定時刻TMを超える場合に、事前にオペレータに警告表示で通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を事前に回避することができる。
【0107】
これにより、例えば、基材と添加剤とを同一の配管内に移送して調合する際に、調合が
終了した後に、配管内に添加剤が残留するのを防止できる。このため、引き続き同一の基材と、直前の調合で使用した添加剤と異なる添加剤を次のバッチ処理に使用する場合にも、添加剤の混入を防止することができるとともに、配管内に残留する添加剤を配管内から除去するパージ作業が不要となる。
【0108】
しかも、この場合、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、添加剤の調合終了予定時刻T2に余裕時間Xを加算した時刻であるとともに、警告表示設定時刻TMが、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた時刻であるので、添加剤の調合終了予定時刻T2の誤差、基材の調合終了予定時刻T1の誤差を補償することができるので、少量成分である添加剤が不足する可能性、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留する可能性を、確実に防止することができる。
【0109】
図5は、本発明の混合物の調合システムの別の実施例の図2と同様な概略図である。
【0110】
この実施例の調合システムは、図2に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0111】
この本発明の混合物の調合システムでは、図5に示したように、基材の調合終了予定時刻T1よりも前に、添加剤の調合が終了するように、添加剤の調合終了予定時刻T2を設定して、添加剤の調合時間を監視するものである。
この場合、警告表示設定時刻TMは、上記の実施例とは相違して、警告表示設定時間mが存在しないので、次式により設定する。
警告表示設定時刻TM=調合終了予定時刻T1
【0112】
換言すれば、警告表示設定時刻TMが、基材の調合終了予定時刻T1を超える場合、すなわち、
添加剤の調合終了予定時刻T2>警告表示設定時刻TM
の場合に、図4のフローチャートのステップS12に示したように、例えば、アラームの発報、メッセージなどの警告表示を行うようになっている。
【0113】
このように構成することにより、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、すなわち、添加剤の調合終了予定時刻T2が、基材の調合終了予定時刻T1を超える場合に、事前にオペレータに通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を事前に回避することができる。
【0114】
これにより、例えば、基材と添加剤とを同一の配管内に移送して調合する際に、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留するのを防止できる。このため、引き続き同一の基材と、直前の調合で使用した添加剤と異なる添加剤を次のバッチ処理に使用する場合にも、配管内に残留する添加剤を配管内から除去するパージ作業が不要となる。
【0115】
図6は、本発明の混合物の調合システムの別の実施例の図2と同様な概略図である。
【0116】
この実施例調合システムは、図2に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0117】
この本発明の混合物の調合システムでは、図6に示したように、添加剤の調合終了予定時刻T2に余裕時間Xを加算した、添加剤の調合終了余裕時刻T3に基づいて、添加剤の調合時間を監視するものである。
この場合、警告表示設定時刻TMは、上記の実施例とは相違して、警告表示設定時間mが存在しないので、次式により設定する。
警告表示設定時刻TM=調合終了予定時刻T1
【0118】
換言すれば、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、警告表示設定時刻TMを超える場合、すなわち、
添加剤の調合終了余裕時刻T3>警告表示設定時刻TM
の場合に、図4のフローチャートのステップS12に示したように、例えば、アラームの発報、メッセージなどの警告表示を行うようになっている。
【0119】
このように構成することにより、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、すなわち、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、基材の調合終了予定時刻T1を超える場合に、事前にオペレータに通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を事前に回避することができる。
【0120】
これにより、例えば、基材と添加剤とを同一の配管内に移送して調合する際に、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留するのを防止できる。このため、引き続き同一の基材と、直前の調合で使用した添加剤と異なる添加剤を次のバッチ処理に使用する場合にも、添加剤の混入を防止することができるとともに、配管内に残留する添加剤を配管内から除去するパージ作業が不要となる。
【0121】
しかも、この場合、添加剤の調合終了余裕時刻T3が、添加剤の調合終了予定時刻T2に余裕時間Xを加算した時刻であるので、添加剤の調合終了予定時刻T2の誤差を補償することができるので、少量成分である添加剤が不足する可能性、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留する可能性を、確実に防止することができる。
【0122】
図7は、本発明の混合物の調合システムの別の実施例の図2と同様な概略図である。
【0123】
この実施例の調合システムは、図2に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0124】
この本発明の混合物の調合システムでは、図7に示したように、添加剤の調合終了予定時刻T2が、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた、警告表示設定時刻TMを超える場合に、警告表示を行うように構成されているものである。
【0125】
換言すれば、添加剤の調合終了予定時刻T2が、警告表示設定時刻TMを超える場合、すなわち、
添加剤の調合終了余裕時刻T3>警告表示設定時刻TM
の場合に、図4のフローチャートのステップS12に示したように、例えば、アラームの発報、メッセージなどの警告表示を行うようになっている。
【0126】
このように構成することにより、基材の流速が早くなって、少量成分である添加剤を規定量添加する前に、調合が終了するような場合や、配管の詰まりやポンプの不具合などによって、少量成分である添加剤の流速が設定値に達しない場合などが発生した場合に、すなわち、添加剤の調合終了予定時刻T2が、警告表示設定時刻TMを超える場合に、事前にオペレータに警告表示で通知することができ、少量成分である添加剤が不足する可能性を事前に回避することができる。
【0127】
これにより、例えば、基材と添加剤とを同一の配管内に移送して調合する際に、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留するのを防止できる。このため、引き続き同一の基材と、直前の調合で使用した添加剤と異なる添加剤を次のバッチ処理に使用する場合にも、添加剤の混入を防止することができるとともに、配管内に残留する添加剤を配管内から除去するパージ作業が不要となる。
【0128】
しかも、この場合、警告表示設定時刻TMが、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた時刻であるので、基材の調合終了予定時刻T1の誤差を補償することができるので、少量成分である添加剤が不足する可能性、調合が終了した後に、配管内に添加剤が残留する可能性を、確実に防止することができる。
【0129】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、基材に添加剤を調合した混合物として燃料油であるガソリン、軽油の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、LPGや灯油などの石油製品でもよく、エンジン油、ギヤ油などの潤滑油でもよく、さらにはコンクリートなどでもよい。
【0130】
また、上記実施例では、基材を1種類、基材に添加する添加剤を1種類としたが、本発明はこれに限らず、それぞれ2種類以上でもよい。
なお、基材をn種類(nは2以上の整数)用いる場合は、各基材の調合終了予定時刻を算出し、そのうち最も遅い調合終了予定時刻を、調合終了予定時刻T1に用いればよい。
【0131】
さらに、上記実施例では、基材に添加剤を添加して調合する場合を説明したが、2成分以上の混合物を調合する際に、この混合物のうち少量成分の調合時間を監視することによって、混合物の調合終了予定時刻までに、少量成分の調合が終了するか否かを、オペレータに通知するようにすることも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、本発明の本発明の混合物の調合システムを適用する混合物の調合設備を示した概略図である。
【図2】図2は、本発明の混合物の調合システムの実施例を説明する概略図である。
【図3】図3は、本発明の混合物の調合システムの実施例の概略構成図である。
【図4】図4は、本発明の混合物の調合システムの実施例の作動を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の混合物の調合システムの別の実施例の図2と同様な概略図である。
【図6】図6は、本発明の混合物の調合システムの別の実施例の図2と同様な概略図である。
【図7】図7は、本発明の混合物の調合システムの別の実施例の図2と同様な概略図である。
【図8】図8は、製油所における混合物の調合設備を示した概略図である。
【図9】図9は、従来の混合物の比率添加の調合設備を示した概略図である。
【図10】図10は、従来の混合物の定量添加を説明する概略図である。
【図11】図11は、従来の混合物の定量添加を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0133】
10 調合設備
12 基材タンク
14 基材タンク
16 添加剤タンク
18 添加剤タンク
20 配管
22 調合用タンク
24 ポンプ
26 流量計
28 配管
30 メイン配管
32 ポンプ
34 流量計
36 配管
38 ポンプ
40 流量計
42 配管
44 ポンプ
46 流量計
50 機器専用入出力装置
52 DCS装置
54 プロセスコンピュータ
100 調合設備
102 基材タンク
104 基材タンク
106 添加剤タンク
108 添加剤タンク
110 配管
112 調合用タンク
114 ポンプ
116 流量計
118 配管
120 メイン配管
122 ポンプ
124 流量計
126 配管
128 ポンプ
130 流量計
132 配管
134 ポンプ
136 流量計
138 フローコントロールバルブ
140 フローコントロールバルブ
142 フローコントロールバルブ
144 フローコントロールバルブ
150 流量制御コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2成分以上の混合物の調合監視システムであって、
少量成分の調合時間を監視することを特徴とする混合物の調合監視システム。
【請求項2】
前記混合物の調合監視システムが、基材に対して、添加剤を添加することにより、基材と添加剤を調合する添加剤の添加量監視システムであり、
前記少量成分である添加剤を基材に添加する際に、添加剤の調合時間を監視することを特徴とする請求項1に記載の混合物の調合監視システム。
【請求項3】
前記基材と添加剤を調合する際に、基材の調合終了予定時刻T1よりも前に、添加剤の調合が終了するように、添加剤の調合終了予定時刻T2を設定して、添加剤の調合時間を監視することを特徴とする請求項2に記載の混合物の調合監視システム。
【請求項4】
前記添加剤の調合終了予定時刻T2に余裕時間Xを加算した、添加剤の調合終了余裕時刻T3に基づいて、添加剤の調合時間を監視することを特徴とする請求項3に記載の混合物の調合監視システム。
【請求項5】
前記添加剤の調合終了予定時刻T2が、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた、警告表示設定時刻TMを超える場合に、警告表示を行うように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の混合物の調合監視システム。
【請求項6】
前記添加剤の調合終了余裕時刻T3が、基材の調合終了予定時刻T1から警告表示設定時間mを差し引いた、警告表示設定時刻TMを超える場合に、警告表示を行うように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の混合物の調合監視システム。
【請求項7】
前記警告表示が、アラームの発報であることを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の混合物の調合監視システム。
【請求項8】
前記基材に添加剤を調合した混合物が、石油製品であることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の混合物の調合監視システム。
【請求項9】
前記基材に添加剤を調合した混合物が、潤滑油であることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の混合物の調合監視システム。
【請求項10】
前記2成分以上の混合物を同一の配管内に移送して調合するように構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の混合物の調合監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−79072(P2009−79072A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247148(P2007−247148)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【Fターム(参考)】