説明

混合生薬材を用いた肥満抑制用組成物

【課題】
肥満およびそれに関連する疾患を効率よく予防および抑制できる生薬組成物の提供。
【解決手段】
本発明は、混合生薬材を用いた肥満抑制用組成物に関し、さらに詳しくは、麻黄、黄ごんおよび蒲黄の混合抽出物、またはこれに石菖、杏仁、荷葉および遠志からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに混合した混合抽出物からなる肥満およびこれによる各種の成人病を抑制および予防できる組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合生薬材を用いた肥満抑制用組成物に関し、さらに詳しくは、麻黄、黄ごんおよび蒲黄の混合抽出物、またはこれに石菖、杏仁、荷葉および遠志からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに混合した混合抽出物からなる肥満およびこれによる各種の成人病を抑制および予防できる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
国民の経済が発展するに伴い、エネルギー含量の高い加工食品を多量摂取し、運動量が少なくなるにつれて肥満症が国民の健康を脅かす要因となっている。肥満症は、美しくない姿によって人々によくない印象を与え、活動にも不便をもたらすだけでなく、肥満人は正常人に比べて糖尿病、動脈硬化症、高血圧症、心臓病、肝臓病、胆石症、通風、腎臓病などの発生率と手術時の危険性が高いため、大体短命すると報告されている。したがって、肥満症は中年を過ぎた人には生命に関する問題であり、若い女性には美容上の理由で深刻な問題として考慮されている。
【0003】
近来、肥満症のような成人病の予防および治療法として適切な運動とともに長い間安全性と効能が検証された種々の素材の利用に対する関心が高まっている。現在、肥満人のための健康食品として食餌繊維、生薬剤および種々の食品素材を含有する製品が開発されているが、その効能が僅かであり、食餌量を減らしてこの製品を摂取する場合、種々の栄養素の不足による副作用によって正常な生活が困難であり、服用を中断すると速い速度で再度肥満となると知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意研究した結果、麻黄、黄ごんおよび蒲黄の混合抽出物、またはこれに石菖、杏仁、荷葉および遠志からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに混合した混合抽出物からなる肥満およびこれによる各種の成人病を抑制および予防できる生薬組成物を開発することによって本発明を完成するに至った。
【0005】
したがって、本発明は、肥満およびそれに関連する疾患を効率よく予防および抑制できる生薬組成物を提供することにその目的がある。
【0006】
また、本発明は、前記組成物を含有する肥満治療剤を提供することに他の目的がある。
【0007】
さらに、本発明は、前記組成物を含有する健康食品を提供することにまた他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、麻黄、黄ごんおよび蒲黄の混合抽出物、またはこれに石菖、杏仁、荷葉および遠志からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに混合した混合抽出物からなる肥満抑制用組成物をその特徴とする。
【0009】
また、前記組成物を含有する肥満治療剤および健康食品を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明による組成物は、体重と脂肪組織の減少および中性脂肪を減少させる作用があるため、肥満の抑制に優れた効果を示すことによって、肥満関連疾患と体重減少の改善に対する治療剤および健康食品の用途に非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0012】
本発明は、麻黄、黄ごんおよび蒲黄の混合抽出物、またはこれに石菖、杏仁、荷葉および遠志からなる群より選ばれた少なくとも1種を混合した混合抽出物からなる肥満症およびこれによる各種の成人病を抑制および予防できる生薬組成物に関する。
【0013】
前記本発明の目的は、乾燥重量比で麻黄、黄ごんおよび蒲黄をそれぞれ30〜60重量部含む組成物によって達成される。
【0014】
また、前記本発明の目的は、前記組成物に石菖30〜60重量部、杏仁30〜60重量部、荷葉15〜45重量部および遠志15〜45重量部からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む組成物によって達成される。
【0015】
本発明の組成物を構成する成分の生薬は、大部分一次的な主治として熱と湿を除去するものである。大部分の肥満患者が漢方医学的に熱と湿によって多くの疾患が発病するので、湿熱を除去することこそ肥満患者の問題を解決する方法である。
【0016】
以下、本発明の組成物の各構成成分について詳しく説明する。
【0017】
麻黄(マオウ)は、汗を出して体の悪い熱を除去し、体の悪寒や発熱を除去する。蜂蜜とともに焼いて使用すると肺を頑丈にして咳を止め、痰を除去する作用をする。エフェドリンの薬理効果は、アドレナリンと類似するが、柔らかくて長期間徐々に作用し、気管支平滑筋の弛緩および心臓の興奮、血管の収縮、血圧の上昇によって中枢神経系統に著しい興奮作用がある。麻黄は骨格筋に対して抗疲労作用がある。また、麻黄に含有されている成分はインフルエンザウイルスに対して抑制作用がある。本発明の組成物において麻黄は30〜60重量部の量で用いられる。この際、麻黄を30重量部未満使用すると、肥満抑制効果に劣るという問題があり、60重量部を超えると容量の増加による活性増大効果がないため好ましくない。
【0018】
黄ごん(オウゴン)はシソ科コガネバナの根である。血中の脂質に影響を及ぼし、抗炎症、抗アレルギー作用があり、抗微生物作用、解熱作用、利尿作用、血圧降下作用がある。黄ごんは体に熱毒が蓄積して生じる症状を除去する。悪寒と骨中からの発熱を治療し、熱による渇きを止め、黄疸、赤痢、下痢、胃熱などに効果がある。痰を除去し、気をよく循環させる作用をする。熱毒によって生じた扁桃腺炎と乳癰、背中の腫れ物、悪瘡のような化膿性疾患に有効である。本発明の組成物において黄ごんは30〜60重量部の量で用いられる。この際、黄ごんを30重量部未満使用すると肥満抑制効果に劣るという問題があり、60重量部を超えると容量の増加による活性増大効果がないため好ましくない。
【0019】
蒲黄(ホオウ)はガマ科多年生草本であるガマ科コガマの花粉である。血を浄化させ、止血効果があるため、発熱を伴う出血に効果がある。鼻中の炎症による突然な鼻出血に蒲黄粉を振りかけて食べる。血を吐くこと、痰に血が混じって出ること、腫れ物による出血、腸出血、痔による出血などに効果がある。さらに、大便および利尿を円滑にする効果があるため、泌尿器官の急性出血、腎結核の血尿にも効果がある。産後子宮に対する収縮作用があるため、子宮収縮と止血効果を同時に示す。本発明の組成物において蒲黄は30〜60重量部の量で用いられる。この際、蒲黄を30重量部未満使用すると肥満抑制効果に劣るという問題があり、60重量部を超えると容量の増加による活性増大効果がないため好ましくない。
【0020】
石菖(セキショウ)は、サトイモ科植物である石菖の根茎である。去痰作用があるため気と血の運行を促進し、湿を除去する効能がある。体における水分の渋滞を除去する効能によって、脳に作用して健忘症、無意味な言葉、精神不安定に効果が大きく、湿によって生じる痺れる症状にも有効である。本発明の組成物において石菖は30〜60重量部の量で任意に加えられる。
【0021】
杏仁(キョウニン)は、バラ科アンズの成熟した種子である。漢方では主に肺の気運を助けて咳を止め、大便をよく通す薬として用いられる。杏仁のアミグダリンの加水分解産物は呼吸中枢を抑制して呼吸運動を安定させて咳を止める効果がある。本発明の組成物において杏仁は30〜60重量部の量で任意に加えられる。
【0022】
荷葉(カヨウ)は睡蓮科植物であるハスの葉である。荷葉は陽気を上げて体に悪い血を解す。したがって、血を吐くか、痰に血が混じって出ること、産後・血が体に固まること、打撲傷による痛みなどに用いられる。また、湿を排出させて浮腫を治療すると知られている。本発明の組成物において荷葉は15〜45重量部の量で任意に加えられる。
【0023】
遠志(エンシ)は、遠志科に属する遠志の根を乾燥したものである。精神を安定させ、頭を浄化させ、うつを癒す効果がある。漢方医学では神は精神を意味するが、遠志は神の作用に多く関与すると知られている。去痰作用、子宮に対する興奮作用および気を緩和させる作用があるとよく知られている。本発明の組成物において遠志は15〜45重量部の量で任意に加えられる。
【0024】
前記組成物は、乾燥した原材料を前記それぞれの重量比で配合した後、全原料に対して5〜15倍量の精製水またはアルコール水溶液を加えて抽出するか、それぞれの生薬を抽出後混合して前記重量部になるように混合することが好ましい。抽出物はろ過して減圧濃縮した後、−40℃以下で急速凍結し、0.2Torr以下の圧力下で凍結乾燥して粉末に製造するか、前記減圧濃縮したろ液を、水飽和低級アルコールを用いて層分離した後、低級アルコール層を減圧濃縮して残っている溶媒を完全に除去した後、同様な方法で凍結乾燥して粉末に製造することが服用に簡便である。
【0025】
医薬品に製造時、本発明の前記組成物は臨床投与時に経口または非経口投与が可能であり、一般の医薬品製剤の形態で提供され得る。
【0026】
本発明の前記組成物は実際の臨床投与時に経口または非経口の種々の剤形に投与され得るが、製剤化する場合は、通常用いられる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を用いて製造される。
【0027】
経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤はリグナンとラクトン化合物およびその誘導体に少なくとも一つ以上の賦形剤、たとえば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを混合して製造できる。さらに、単純な賦形剤の他にステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使用され得る。経口投与のための液状製剤としては懸濁剤、内部投与用溶液剤、乳剤、シロップ剤などがあるが、通常用いられる単純希釈剤である水、液体パラフィンの他に種々の賦形剤、たとえば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。
【0028】
非経口投与のための製剤には滅菌水溶液、非水溶性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤、座薬が含まれる。非水溶性剤、懸濁溶剤としてはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用され得る。座薬の基剤としてはウィテプソル、マクロゴール、ツイーン61、カカオ脂肪、ラウリン脂肪およびグリセロールゼラチンなどが使用され得る。
【0029】
本発明による有効成分の製剤中含有量は体内における活性成分の吸収度、不活性化率、排泄速度、使用者の年齢、性別および状態などによって適宜選択できる。本発明の前記組成物の場合、10〜200mg/kgであり、好ましくは20〜100mg/kgであり、一日1〜3回投与できる。
【0030】
また、本発明は、前記組成物を有効成分とする肥満治療用健康食品を含む。
【0031】
健康食品とは、前記組成物を一般の食品に添加するか、カプセル化、粉末化、懸濁液などに製造した食品であり、これを摂取する場合、健康上特定な効果をもたらすことを意味するが、一般の薬品とは異なり、食品を原料とするため、薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという長所がある。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を下記実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、これらは本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を制限しない。
【0033】
(実施例1)
麻黄、黄ごん、蒲黄をそれぞれ45gずつ混合した総135gの原生薬に、10倍重量の精製水を入れて3時間100℃で抽出した。抽出物をフィルターでろ過したろ液を−70℃で24時間凍結し、−50℃で5mTorrの気圧で凍結乾燥して27.0g(抽出収率20.0%)の粉末を得た。
【0034】
この製造工程を図1に示す。
【0035】
(実施例2)
前記実施例1と同様な方法で抽出し、フィルターでろ過したろ液を減圧濃縮してその体積が原生薬の重量に対して約5倍量(v/w)になるようにした後、同量の水飽和ノルマル・ブチルアルコールを混合して分離装置(Seperation funnel)に入れ、攪拌後静置して上層のノルマル・ブチルアルコール層のみを分離した。2〜3回さらに分画し、ノルマル・ブチルアルコール層を減圧濃縮して残っている溶媒を完全に除去した後、前記実施例1と同様な方法で凍結乾燥して3.5g(抽出収率2.6%)の粉末を得た。この製造工程を図2に示す。
【0036】
(実施例3)
麻黄、黄ごん、蒲黄、石菖、杏仁をそれぞれ45gずつ混合した総225gの原生薬に、10倍重量の精製水を入れて3時間100℃で抽出した。抽出物をフィルターでろ過したろ液を−70℃で24時間凍結し、−50℃で5mTorrの気圧で凍結乾燥して40.8g(抽出収率18.1%)の粉末を得た。この製造工程を図3に示す。
【0037】
(実施例4)
前記実施例3と同様な方法で抽出し、フィルターでろ過したろ液を減圧濃縮してその体積が原生薬の重量に対して約5倍量(v/w)になるようにした後、同量の水飽和ノルマル・ブチルアルコールを混合して分離装置(Seperation funnel)に入れ、攪拌後静置して上層のノルマル・ブチルアルコール層のみを分離した。2〜3回さらに分画し、ノルマル・ブチルアルコール層を減圧濃縮して残っている溶媒を完全に除去した後、前記実施例3と同様な方法で凍結乾燥して5.0g(抽出収率2.2%)の粉末を得た。この製造工程を図4に示す。
【0038】
(実施例5)
麻黄、黄ごん、蒲黄、石菖、杏仁をそれぞれ45gずつ、および、荷葉、遠志をそれぞれ30gずつ混合した総285gの原生薬に、10倍重量の精製水を入れて3時間100℃で抽出した。抽出物をフィルターでろ過したろ液を−70℃で24時間凍結し、−50℃で5mTorrの気圧で凍結乾燥して52.7g(抽出収率18.5%)の粉末を得た。この製造工程を図5に示す。
【0039】
(実施例6)
前記実施例5と同様な方法で抽出し、フィルターでろ過したろ液を減圧濃縮してその体積が原生薬の重量に対して約5倍量(v/w)になるようにした後、同量の水飽和ノルマル・ブチルアルコールを混合して分離装置(Seperation funnel)に入れ、攪拌後静置して上層のノルマル・ブチルアルコール層のみを分離した。2〜3回さらに分画し、ノルマル・ブチルアルコール層を減圧濃縮して残っている溶媒を完全に除去した後、前記実施例5と同様な方法で凍結乾燥して8.6g(抽出収率3.0%)の粉末を得た。この製造工程を図6に示す。
【0040】
(実施例7)
麻黄、黄ごん、蒲黄、石菖、杏仁をそれぞれ45gずつ、および、荷葉、遠志をそれぞれ30gずつ混合した総285gの原生薬に、7倍量の30%エタノール水溶液を入れて4時間80℃で2回還流抽出した。抽出物をフィルターでろ過したろ液を減圧濃縮してエタノールを完全に除去し、生薬重量に対して約5倍量(v/w)になるように蒸留水を用いて懸濁した後、同量の水飽和ノルマル・ブチルアルコールを混合して分離装置(Seperation funnel)に入れ、攪拌後静置して上層のノルマル・ブチルアルコール層のみを分離した。2〜3回さらに分画し、ノルマル・ブチルアルコール層を減圧濃縮して残っている溶媒を完全に除去した後、−70℃で24時間凍結し、−50℃で5mTorrの気圧で凍結乾燥して14g(抽出収率4.9%)の粉末を得た。この製造工程を図7に示す。
【0041】
(実験例1)体重低減に対する効果(動物実験)
実験動物としては4週齢の雄性C57BL/6マウスを用い、総8週間の実験期間中に全熱量のうち脂肪から約30%を得るようにした後、表1のように構成した飼料を給与した。飼料の組成はAIN−93Gに基づいており、次の通りである。
【0042】
8個の実験群に分けて実験し、対照群(control)は蒸留水、前記実施例1〜7の組成物は500mg/Kg/day、65mg/Kg/day、500mg/Kg/day、60mg/Kg/day、500mg/Kg/day、80mg/Kg/day、87mg/Kg/dayの容量で8週間1日1回経口投与した。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
8週間薬物を投与した後、C57BL/6マウスの体重を測定した。その結果を下記表3および図8に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
8週間の薬物投与後の体重において、本発明の実施例1〜7の組成物を投与した群は対照群に比べて平均的に2.01g(6.1%)、2.47g(7.4%)、2.25g(6.8%)、2.58g(7.8%)、2.77g(8.3%)、3.07g(9.2%)、3.16g(9.5%)減少した結果を示した。
【0048】
(実験例2)腹腔内脂肪組織量の変化に対する影響
前記実験例1のマウスから血液試料を採取し、解剖して腹腔内の副睾丸と周りの腎臓部位に分布する白色脂肪組織を分離した後、体重を測定し、直ちにドライアイスで凍結して−70℃で保管した。腹腔内の脂肪組織は大きく副睾丸部位の脂肪組織と腎臓部位の脂肪組織とに分けて摘出して体重を測定した。その結果を下記表4および図9および図10に示す。
【0049】
【表4】

【0050】
8週間の薬物投与後の副睾丸脂肪組織において、本発明の実施例1〜7の組成物投与群は対照群に比べて平均的に0.214g(10.2%)、0.298g(14.2%)、0.3g(14.3%)、0.308g(14.7%)、0.317g(15.1%)、0.333g(15.8%)、0.337g(16.0%)減少した結果を示した。
【0051】
腎後性脂肪組織の場合は、実施例1〜7の組成物投与群が対照群に比べて平均的に0.067g(8.6%)、0.073g(9.3%)、0.079g(10.1%)、0.084g(10.7%)、0.095g(12.1%)、0.101g(12.9%)、0.103g(13.2%)減少した結果を示した。
【0052】
(実験例3)血中脂質変化
前記実験例1のマウスを16時間以上窒息させた後、心臓から採血して血漿を分離した後、中性脂肪の濃度を測定し、分析時に使用した試薬は酵素法の原理を用いた分析用キット(アサン製薬(韓国))を用いた。その結果を下記表5および図11に示す。
【0053】
【表5】

【0054】
8週間の薬物投与後血清中の中性脂肪(トリグリセリド)は、実施例1〜7の組成物投与群が対照群に比べて平均的に33.74mg/dl(25.4%)、44.93mg/dl(33.8%)、45.85mg/dl(34.5%)、50.67mg/dl(38.1%)、53.16mg/dl(39.9%)、57.6mg/dl(43.3%)、57.66mg/dl(43.3%)減少した結果を示した。
【0055】
(実験例4)体重変化
Harlan実験室から供給された6週齢の雄性ob/obマウスを、飼料と水を自由に摂取させ、実験室内の動物室で一週間純化させた。その後、体重を測定し(0day)、各群の平均体重が一定となるように動物を分配した。9個の実験群に分けて対照群(control)は賦形剤を、陽性対照群であるリダクティル(reductil)は7.5mg/kg、前記実施例1〜7の組成物投与群は前記実験例1と同様な容量で4週間1日1回経口投与した。
【0056】
4週間投与しながら体重の変化を測定し、投与0dayの体重から薬物が示す体重増加抑制を対照群の体重と比較することによって薬効を評価した。その結果を下記表6および図12に示す。
【0057】
【表6】

【0058】
4週間の薬物投与後の体重は、対照群の平均が63.22gであるのに対し、陽性対照薬物であるリダクティル投与群の場合、57.69gであって5.53g(8.7%)の体重減少を示し、実施例1〜7の組成物投与群は平均的に58.21g、57.91g、57.31g、57.1g、57.13g、56.41gであって5.01g(7.9%)、5.31g(8.4%)、5.91g(9.3%)、6.12g(9.7%)、6.09g(9.7%)、6.4g(10.1%)、6.81g(10.8%)減少した結果を示した。
【0059】
(製造例1)粉末およびカプセル剤の製造
前記実施例1、3および5の場合、抽出物200mg、実施例2、4、6および7の場合、分画物100mg、ラクトース14.8mg、結晶性セルロース3mg、ステアリン酸マグネシウム0.2mgとともに混合した。混合物を適当な装置を用いてNo.5ゼラチンカプセルに充填した。
【0060】
前記粉末およびカプセル剤の構成成分は次の通りである。
有効成分 200mg(実施例1、3、5)
100mg(実施例2、4、6、7)
ラクトース 14.8mg
結晶性セルロース 3mg
ステアリン酸マグネシウム 0.2mg
(製造例2)注射剤の製造
前記実施例1、3および5の場合、抽出物100mg、実施例2、4、6および7の場合、分画物50mg、マンニトール180mg、Na2HPO4・12H2O 26mgおよび蒸留水2974mgを混合して注射剤を製造した。前記溶液を瓶に入れ、20℃で30分間加熱して滅菌処理した。
有効成分 100mg(実施例1、3、5)
50mg(実施例2、4、6、7)
マンニトール 180mg
Na2HPO4・12H2O 26mg
蒸留水 2974mg
(製造例3)健康食品の製造
1日服用基準で前記実施例1、3および5の場合、抽出物400mg、実施例2、4、6および7の場合、分画物200mg、粉末ビタミンE、乳酸鉄、酸化亜鉛、ニコチン酸アミド、ビタミンA、ビタミンB1およびビタミンB2を混合して製造した。
【0061】
前記健康食品の構成成分は次の通りである(ヒト1日服用量基準)。
有効成分 400mg(実施例1、3、5)
200mg(実施例2、4、6、7)
ビタミンC 100mg
粉末ビタミンE 120mg
乳酸鉄 2mg
酸化亜鉛 2mg
ニコチン酸アミド 20mg
ビタミンA 5mg
ビタミンB1 2mg
ビタミンB2 2mg
トウモロコシ澱粉 200mg
ステアリン酸マグネシウム 20mg
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1の組成物の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施例2の組成物の製造工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例3の組成物の製造工程を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例4の組成物の製造工程を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例5の組成物の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例6の組成物の製造工程を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例7の組成物の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】本発明の組成物がC57BL/6マウスの体重変化に及ぼす影響(実験例1)を示すグラフである。
【図9】本発明の組成物がC57BL/6マウスの副睾丸の脂肪組織に及ぼす影響(実験例2)を示すグラフである。
【図10】本発明の組成物がC57BL/6マウスの腎後性脂肪組織に及ぼす影響(実験例2)を示すグラフである。
【図11】本発明の組成物がC57BL/6マウスの中性脂肪に及ぼす影響(実験例3)を示すグラフである。
【図12】本発明の組成物がob/obマウスの体重変化に及ぼす影響(実験例4)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥重量比で麻黄、黄ごんおよび蒲黄をそれぞれ30〜60重量部含むことを特徴とする肥満抑制用組成物。
【請求項2】
石菖30〜60重量部、杏仁30〜60重量部、荷葉15〜45重量部および遠志15〜45重量部からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の肥満抑制用組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の組成物を有効成分として含有することを特徴とする肥満治療剤。
【請求項4】
請求項1または2記載の組成物を含有することを特徴とする健康食品。
【請求項5】
乾燥重量比で麻黄、黄ごんおよび蒲黄をそれぞれ30〜60重量部づつ混合した混合物を熱水抽出する工程と、
前記抽出液を減圧濃縮すると共に、同量の低級アルコールまたは非極性溶媒で層分離して減圧濃縮する工程と、
前記濃縮工程で得られた抽出物を水で共沸濃縮する工程と、
凍結乾燥して粉末抽出物を得る工程と、
を有することを特徴とする肥満抑制用組成物の製造方法。
【請求項6】
前記混合物は、乾燥重量比で石菖30〜60重量部、杏仁30〜60重量部、荷葉15〜45重量部および遠志15〜45重量部からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の肥満抑制用組成物の製造方法。
【請求項7】
乾燥重量比で麻黄、黄ごんおよび蒲黄をそれぞれ30〜60重量部づつ混合した混合物をアルコール性水溶液で還流抽出する工程と、
前記抽出液を減圧してアルコールを除去することにより濃縮すると共に、同量の低級アルコールまたは非極性溶媒で層分離する工程と、
その濃縮結果物を水で共沸濃縮する工程と、
粉末抽出物を得るために凍結乾燥する工程と、
を有することを特徴とする肥満抑制用組成物の製造方法。
【請求項8】
前記混合物は、石菖30〜60重量部、杏仁30〜60重量部、荷葉15〜45重量部および遠志15〜45重量部からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の肥満抑制用組成物の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥重量比で麻黄、黄ごんおよび蒲黄をそれぞれ30〜60重量部含むことを特徴とする肥満抑制用組成物。
【請求項2】
石菖30〜60重量部、杏仁30〜60重量部、荷葉15〜45重量部および遠志15〜45重量部からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の肥満抑制用組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の組成物を有効成分として含有することを特徴とする肥満治療剤。
【請求項4】
請求項1または2記載の組成物を含有することを特徴とする食品。
【請求項5】
乾燥重量比で麻黄、黄ごんおよび蒲黄をそれぞれ30〜60重量部づつ混合した混合物を熱水抽出する工程と、
前記抽出液を減圧濃縮すると共に、同量の低級アルコールまたは非極性溶媒で層分離して減圧濃縮する工程と、
前記濃縮工程で得られた抽出物を水で共沸濃縮する工程と、
凍結乾燥して粉末抽出物を得る工程と、
を有することを特徴とする肥満抑制用組成物の製造方法。
【請求項6】
前記混合物は、乾燥重量比で石菖30〜60重量部、杏仁30〜60重量部、荷葉15〜45重量部および遠志15〜45重量部からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の肥満抑制用組成物の製造方法。
【請求項7】
乾燥重量比で麻黄、黄ごんおよび蒲黄をそれぞれ30〜60重量部づつ混合した混合物をアルコール性水溶液で還流抽出する工程と、
前記抽出液を減圧してアルコールを除去することにより濃縮すると共に、同量の低級アルコールまたは非極性溶媒で層分離する工程と、
その濃縮結果物を水で共沸濃縮する工程と、
粉末抽出物を得るために凍結乾燥する工程と、
を有することを特徴とする肥満抑制用組成物の製造方法。
【請求項8】
前記混合物は、石菖30〜60重量部、杏仁30〜60重量部、荷葉15〜45重量部および遠志15〜45重量部からなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の肥満抑制用組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−514041(P2006−514041A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563018(P2004−563018)
【出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002852
【国際公開番号】WO2004/058284
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(505243386)コレア インスティテュート オブ オリエンタル メディスン (2)
【出願人】(505053947)エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド (16)
【Fターム(参考)】