説明

混合装置およびスラリー化装置

上部開口から下部開口に近づくにつれて径が小さくなるサイクロン型筒状体10を用い、この筒状体10の内部で液体を旋回させながら落下させることにより加速し、渦流を発生させる。渦流の中心に粉体を投入し、渦流で包み込ませることにより、両者を混合する。これにより、粉体が筒状体の内壁に接触しないため、筒状体には詰まりが生じない。また、渦流の中心付近が陰圧になり粉体が吸い込まれるため、粉塵もほとんど発生しない。小型で、メンテナンスの費用をかけずに、粉体をスラリー化することのできる混合装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、粉体と液体とを混合する混合装置に関するものである。
【背景技術】
生石灰や消石灰と水とを混合して得られる石灰スラリーは、酸性ガスの除去、排水の中和等工業的に広く使用されている。また、水酸化マグネシウムや酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の粉体を水と混合してスラリー化したものを、排煙脱硫吸着剤や排水中和剤等として用いることが知られている。また、消石灰スラリーを原料として、紙コーティング材として優れた物性を示す所望の結晶系の炭酸カルシウムを製造する方法が特公昭55−51852号公報、特許第2706384号公報に記載されている。
通常、生石灰や消石灰等の粉体と、水等の液体とを混合してスラリーを製造する際には、水等の液体を蓄えた溶解槽に上部から粉体を直接投入する方法が用いられる。この方法は、溶解槽に粉体を投入する際に粉体が舞い上がり、粉塵となって周囲に著しく広がる。このため、通常は、溶解槽を密閉するとともに、溶解槽の上部に大型の集塵フィルタ装置を備え、粉塵を吸引してフィルタで集めるようにしている。
このように直接粉体を投入する方法は、生じる粉塵量が多いため、集塵フィルタ装置は大型なものが必要であるとともに、フィルタが目詰まりしやすく、頻繁に洗浄または交換する等のメンテナンスを行う必要がある。また、溶解槽の側壁に粉体の塊が接触して、溶け切れないまま張り付き、いわゆるスケールが生じやすいという問題もある。スラリー中に溶け切れない粉体の固まりが混入し、ダマとなる現象も生じやすい。
特公平5−35013号公報には、粉体を水に投入する際の発塵を防止する素ラリー化装置が開示されている。このスラリー化装置は、スラリー貯蔵タンクと、その脇に連結された、水を蓄えたスラリー化タンクとを有する。スラリー化タンク内には、粉体供給パイプが水面から挿入され、その先端は底部近傍まで達している。粉体は、粉体供給パイプにより圧力をかけて搬送され、先端から水中に噴出される。これにより粉体は、スラリー化タンクの底部近傍で水と混合され、スラリー化される。このように、水の底部で粉体と水とを混合することにより、発塵を抑制することができるというものである。
【発明の開示】
上述のように、溶解槽に直接粉体を投入する方法は、大型の集塵フィルタ装置が必要であり、装置が大型になる。また、集塵フィルタ装置のメンテナンスが必要であるため、メンテナンスのコストがかかる。また、粉体が溶け残り、スケールやダマが生じやすいという問題もある。
一方、上述の特公平5−35013号公報に記載されているスラリー化装置は、スラリー貯蔵タンクとは別に、スラリー化タンクを設置する必要があるため、装置が大型で設置コストがかかるという問題がある。また、スラリー化タンクを稼動後、停止させた場合には、粉体供給パイプの先端や内部に残った粉体が水と接触するため、これらの部分でスケールが生じやすく、次に稼動させる際に問題を引き起こす可能性がある。
本発明の目的は、小型で、メンテナンスの費用をかけずに、粉体をスラリー化することのできる混合装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、上部開口から下部開口に近づくにつれて径が小さくなる部分を含むサイクロン型筒状体を用い、この筒状体の内部で液体を旋回させながら落下させることにより加速し、渦流を発生させる。渦流の中心に粉体を投入し、渦流で包み込ませることにより、両者を混合する。これにより、粉体が筒状体の内壁に接触しないため、筒状体には詰まりが生じない。また、渦流の中心付近が陰圧になり粉体が吸い込まれるため、粉塵もほとんど発生しない。
具体的には、例えば、筒状体の上部側面に、内壁の周方向に液体を注入する液体供給口を備えた構成とすることができる。液体供給口から供給された液体は、筒状体の内壁に沿って旋回しながら落下する。筒状体の上部には、粉体投入口を備える構成とする。粉体は、粉体投入口から筒状体の軸方向に沿って投入される。
また、例えば、筒状体の上部開口に粉体投入管を配置し、筒状体の上部側面に液体供給管を挿入した構成の混合装置にすることができる。粉体投入管の軸方向は、筒状体の軸方向に略平行に設定され、液体供給管の軸方向は、筒状体の接線方向に略平行に設定される。
この場合、粉体投入管の軸方向は、筒状体の軸方向に完全に平行でなくともよく、筒状体の内壁に粉体が接触しないように、筒状体の中心部に粉体を投下することができればよい。液体供給管の軸方向は、筒状体の接線方向に完全に平行ではなくともよく、筒状体の内壁に沿って液体が旋回するように液体を供給できればよい。
上記混合装置において、筒状体の下部開口に分散管を連結した構成にすることも可能である。分散管の内部には、粉体を液体に分散させる分散手段が配置される。
上記分散手段としては、例えば、板状部材を十字型に組み合わせた分散板を含む構成にすることができる。
上記分散手段の下部には、混合した粉体と液体とを貯蔵するタンクを配置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施の形態の混合装置100の全体構成を示す側面図である。
図2は、図1の混合装置100の断面図である。
図3は、図2の混合装置100のA−A’断面図である。
図4は、本実施の形態の混合装置100内の粉体と液体の軌跡を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の一実施の形態の混合装置について図面を用いて説明する。
本実施の形態の混合装置100は、粉体を液体と混合してスラリー化する装置である。混合装置100は、図1のようにサイクロン型筒状部10と、筒状部10の下部に連結された分散管11とを有する。サイクロン型筒状部10は、液体により渦流を発生させ、渦流で粉体を巻き込み混合する部分である。分散管11は、サイクロン型筒状部10によって混合された粉体と液体とをさらに混合および分散するための部分である。サイクロン型筒状部10と分散管11は、スラリーを貯蔵するスラリータンク30の上部に、枠台20により支持されている。分散管11の下部開口は、スラリータンク30の上部開口に挿入されている。
サイクロン型筒状部10の上部には、粉体投入管13が備えられている。この粉体投入管13には、粉体搬送ホース42が連結具43により接続されている。粉体搬送ホース42は、粉体搬送パイプ44を介して粉体搬入車40のタンク41に連結されている。粉体搬送車40に搭載された粉体は、粉体搬送パイプ44および粉体搬送ホース42によって搬送され、粉体投入管13からサイクロン型筒状部10内へ投入される。
サイクロン型筒状部10の側面には、液体供給管12が備えられ、液体供給ホース(不図示)が連結されている。この液体供給管12からサイクロン型筒状部10内へ液体が供給される。
投入された粉体と液体は、サイクロン型筒状部10と分散管11とを通過する間に、粉体が液体に分散されることによりスラリーとなり、スラリーは、スラリータンク30内に落下し貯蔵される。
サイクロン型筒状部10の構造を図2の断面図を用いて具体的に説明する。サイクロン型筒状部10は、円筒部10aと、円筒部10aの下部に接続された円錐部10bとを有する。円錐部10bの先端には、分散管11と直径が等しい下部開口17が設けられ、連結部18によって分散管11の上部開口と連結されている。また、円筒部10aの上部開口には、蓋部15が取り付けられている。蓋部15の中心には、上述の粉体投入管13が挿入され固定されている。このとき、粉体投入管13の中心軸は、サイクロン型筒状部10の中心軸と一致するように位置合わせされている。
また、上述の液体供給管12は、図2および図2のA−A’断面図である図3に示したように、サイクロン型筒状部10の円筒部10aの外周面上部に取り付けられている。液体供給管12の軸方向は、円筒部10aの内周面の接線方向と平行になるように設定されている。液体供給管12の先端の形状は、円筒部10aの内周面の曲面形状に一致するように加工されている。
一方、分散管11の内部には、図2および図3に示したように、剛性のある板状部材を十字型に固定した分散板19a、19bが、分散管11の中心軸に沿って複数段(図2では合わせて6段)固定されている。分散板19bは、板状部材の十字型の向きが分散板19aの十字型の向きに対して45度ずらして固定されている。分散板19aと分散板19bとは交互に配置されている。
上述のような構成であるため、図4に示したように、液体供給管12から供給された液体は、円筒部10aの内周面の周方向に沿って流れ込み、内壁に沿って旋回しながら落下し、渦流となる(図4中の符号A)。そして、円錐部10bで径が細くなるに連れて渦流の旋回速度が加速される(図4中の符号B)。一方、粉体は、サイクロン型筒状部10の中心部に落下することにより、渦流の中心に巻き込まれ、混合される。サイクロン型筒状部10で混合された液体と粉体との混合物の流れは、分散管11の最上段の分散板19aに激突する(図4中の符号C)。これにより、混合物の流れは分散板19aによって分割され、十字型に区切られた4つの領域をそれぞれ通り抜けることにより、混合物の液体と粉体とがさらに混合される(図4中の符号D)。順次、2段目の分散板19bから6段目の分散板19bによって分割され、これを通り抜けることにより、繰り返し分割、混合される。6段目の分散板19bを通過した時点では、粉体は液体中に完全に分散され、スラリー化されている。
なお、サイクロン型筒状部の円筒部10aと円錐部10bとの連結部分には、図2、図3のように外周にツバ16が備えられている。このツバ16は、枠体20にサイクロン型筒状部10を固定するために用いられる。また、サイクロン型筒状部10の外周面上部には、図1に示したように内部を点検するための点検口14が設けられている。点検口14には、開閉可能な蓋が取り付けられている。
つぎに、本実施の形態の混合装置100の各部の作用について、消石灰(水酸化カルシウム)を水と混合して水酸化カルシウムスラリーにする場合を例に具体的に説明する。
まず、図1のように粉体投入管13に粉体搬送ホース42を連結具43により連結する。粉体搬送車40は、タンク41に搭載された消石灰に圧力を加え、粉体搬送パイプ44に送り出す。消石灰は、粉体搬送パイプ44および粉体搬送ホース42によって粉体投入管13まで搬送される。搬送された消石灰は、粉体投入管13の先端から図4に示したような軌跡で、サイクロン型筒状部10の中心軸に沿って落下する。
一方、液体供給管12には図示していない水供給ホースを接続して、水(乳化水)を供給する。供給された水は、液体供給管12からサイクロン型筒状部10の内周面に沿って周方向に注入されるため、図4に示したように内周面に沿って旋回しながら落下していく。水の旋回速度は、サイクロン型筒状部10の円錐部10bで径が細くなるにつれて加速され、下部開口17付近で渦流となる。この加速により、サイクロン型筒状部10の内部は、円錐部10bの中心部が陰圧となるため、中心軸に沿って落下する消石灰は、渦流の中心に吸い込まれるよう落下し、渦流に包み込まれて混合される。また、液体供給管12から供給する水量が多い場合には、渦流の中心部の水面が、下部開口17より高い位置にくるため、消石灰が開口部17に到達する前に渦流に包み込まれて混合される。
このように、渦流と混合された消石灰は、渦流の流速で、下部開口17から分散管11に突入し、最上段の分散板19aと激突する。この激突により、消石灰と水とがさらに混合される。また、激突した渦流と消石灰は、十字型の分散板により4つの流れに分割され、十字型の分散板で分けられた4つの領域をそれぞれ通過することによりさらに混合される。1段目の分散板19aを通過した水と消石灰は、2段目の分散板19bに到達し、1段目の分散板10aとは異なる角度に分割されて2段目の分散板19bを通過することにより、さらに混合される。以下、3段目から6段目の分散板19a〜19bを通過するたびに、分割され混合される。これにより、消石灰は水に完全に分散され、スラリーとなる。スラリーは、分散管11の下部開口から放出され、スラリータンク30へ落下し貯蔵される。
本実施の形態の混合装置100は、遠心力分離装置として用いられるサイクロンを模した形状のサイクロン型筒状部10を用い、水流(液体流)をサイクロン型筒状部10の内壁に沿って旋回させながら、中心部に消石灰(粉体)を落下させ、開口部17付近に形成された渦流の中心部に消石灰を巻き込まれる構造としている。よって、消石灰がサイクロン型筒状部10の内壁に直接触れないため、内壁に消石灰の固まりが張り付くことがなく、詰まりを生じることなくスラリー化することができる。
また、サイクロン型筒状部10の内壁を旋回する水流は、円錐部10bの先端に向かって加速するため、サイクロン型筒状部10内の圧力は、下部開口17付近が陰圧になる。よって、粉体投入管13から投入される粉体は、陰圧になっている下部開口17に向かって吸い込まれるため、粉塵がほとんど舞い上がらない。これにより、従来の粉塵を除去するための集塵フィルタ装置は、本実施の形態の混合装置には不要であり、集塵フィルタ装置のメンテナンスも不要である。
また、本実施の形態の混合装置100は、図1、図2から明らかなように、筒状の単純な構造であるため、容易に、低コストに製造することができる。また、混合装置100は、小型であるため、スラリータンク30上に搭載することができ、設置のために場所をスラリータンク30の脇に別途用意する必要がない。しかも、混合装置100をスラリータンク30から取り外すことも容易である。よって、スラリー化のための装置が必要なスラリータンク30に、混合装置100を低コストで容易に設置し、必要に応じて取り外すことができる。また、混合装置100は、上述のように粉体が内壁に接触しない構造であるため、内壁に粉体がこびり付くことがなく、メンテナンスも容易である。
なお、上述の実施の形態の混合装置100において、液体供給管12から供給する水量が多い場合には、渦流の流速も大きくなり、サイクロン型筒状部10内で粉体と完全に混合され、スラリー化される。このような条件で混合する場合には、混合装置100から分散管11を取り外し、サイクロン型筒状部10のみで使用することが可能である。
分散管11内に配置する分散板19a,19bの形状および配置は、本実施の形態の十字型の形状および配置に限定されるものではなく、所望の形状にすることが可能である。また、分散板19a,19bの数を本実施の形態では6段としているが、スラリー化の状態に合わせて増減することが可能である。
また、上述の実施の形態では、粉体として消石灰(水酸化カルシウム)を、液体として水(乳化水)を用い、水酸化カルシウムスラリーを製造する例について説明したが、本実施の形態の混合装置は、消石灰と水のスラリー化のみに用いられるものではなく、あらゆる粉体と液体とを混合してスラリー化するために用いることができる。例えば、セメント、生石灰、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、粘土性鉱物等の粉体を水等の液体と混合してスラリー化するのに用いることが可能である。
なお、上述の実施の形態では、粉体投入管13の軸方向をサイクロン型筒状部10の軸方向に平行に設定しているが、完全に平行でなくともよく、筒状部10の内壁に粉体が接触しないように、筒状部10の中心部に粉体を投下することができればよい。また、液体供給管12の軸方向は、筒状部10の接線方向に完全に平行でなくともよく、筒状部10の内壁に沿って液体が旋回するように液体を供給できればよい。
また、上述してきた実施の形態では、粉体投入管13からサイクロン型筒状部10に粉体を投入しているが、粉体投入管13を備えず、蓋部15の中心に開口のみを設け、この開口から粉体を投入する構成にすることも可能である。この場合、蓋部の開口に、粉体搬送車41に連結された粉体搬送ホース42を直接挿入し、粉体を投入することができる。
以下、実施例について説明する。
【実施例1】
実施例として、上記実施の形態の図1、図2に示した構造の混合装置100を用いて、消石灰粉と乳化水とを混合しスラリー化した。本実施例で用いた混合装置100の大きさは、サイクロン型筒状部10の円筒部10aが内径300mm、長さ600mmであり、円錐部10bは、下端の内径150mm、長さ400mmである。液体供給管12は、円筒部10aの上端から300mmの位置に接続されている。液体供給管12の内径は80mmである。また、粉体投入管13の内径は100mmである。一方、分散管11は、内径150mm、長さ800mmであり、図2に示したように6段の分散板19a、19bを備えている。
粉体投入管13から消石灰粉を10〜40t/hで供給しながら、液体供給管12から水温1〜85℃の乳化水(工業用水)を25〜75m/hで噴射したところ、消石灰粉は、混合装置100によって乳化水と混合され、溶解濃度20%以下の水酸化カルシウムスラリーを製造できた。製造されたスラリーは、スラリータンク30に落下し、貯蔵された。
混合装置100およびスラリータンク30からの発塵は認められなかった。また、スラリータンク30内のスラリーを確認したところ、混合不良による粉体の塊は認められなかった。
【実施例2】
実施例1と同様の混合装置100を使用し、生石灰粉を1t/hで粉体投入管13から投入しながら、消化水(工業用水)を17m/hで液体供給管12から供給した。
生石灰粉は、混合装置100によって消化水と混合され、懸濁液(スラリー)となってスラリータンク30に落下した。混合装置100およびスラリータンク30からの発塵は認められなかった。スラリータンク30内の懸濁液(スラリー)についても、混合不良による粉体の塊、ならびに未消化物は認められなかった。
【実施例3】
実施例1と同様の装置を使用し、セメント粉を10〜80t/hで粉体投入管13から投入しながら、水温1〜85℃の溶解水(工業用水)を25〜75m/hで液体供給管12から供給した。セメント粉は、混合装置100によって溶解水と混合され、スラリーとなってスラリータンク30に落下した。これにより、溶解濃度50%以下のスラリーを製造することができた。混合装置100およびスラリータンク30からの発塵は認められなかった。スラリータンク30内の懸濁液(スラリー)についても、混合不良による粉体の塊は認められなかった。
【実施例4】
本実施例4では、粉体貯蔵サイロに貯蔵された粉体(炭酸カルシウム)をスクリュウコンベアによって搬送し、混合装置100に投入する構造とした。混合装置100は、実施例1と同様の構成のものを用いた。スクリュウコンベアは、粉体貯蔵サイロから炭酸カルシウム粉を切り出し、混合装置100の粉体投入管13の上部まで搬送して投入する。ここでは、炭酸カルシウム粉を2t/hで混合装置100に供給するようにスクリュウコンベアを駆動した。また、混合装置100の液体供給管12には、乳化水(工業用水)を10m/hで供給した。
炭酸カルシウム粉は、混合装置100によって乳化水と混合され、懸濁液(スラリー)となってスラリータンク30に落下した。スラリータンク30には、発塵防止用の集塵機が設置してあるが、それを停止し、スラリータンク30の上部点検口を開放しても発塵は認められなかった。また、スラリータンク30の懸濁液(スラリー)についても、混合不良による粉体の塊は認められなかった。
(比較例1)
実施例4で使用した粉体溶解設備から、実施例1の混合装置100を取り外し、スクリュウコンベアからスラリータンク30に直接炭酸カルシウム粉を投入するとともに、乳化水を直接溶解槽に供給する構成としたところ、発塵が著しく、溶解槽に取り付けられた集塵機の稼動が必要であった。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体と液体とを混合する混合装置であって、
上部および下部に開口を備え、該上部開口から下部開口に近づくにつれて内径が小さくなる部分を含むサイクロン型筒状体を有し、
該筒状体の内壁に沿って前記液体を旋回させながら落下させるために、該筒状体の上部側面には、前記液体を前記内壁面の周方向に注入する液体供給口が備えられ、
前記筒状体の前記上部開口は、前記粉体を前記下部開口に向かって投下する投入口として用いられることを特徴とする混合装置。
【請求項2】
粉体を投入する粉体投入管と、液体を供給する液体供給管と、前記粉体投入管から投入された粉体および前記液体供給管から供給された液体を混合する筒状体とを有し、
前記筒状体は、上部および下部に開口を備え、該上部開口から下部開口に近づくにつれて内径が小さくなる部分を含み、
前記粉体投入管は、前記筒状体の上部開口に備えられ、軸方向が前記筒状体の軸方向に略平行であり、
前記液体供給管は、前記筒状体の上部側面に設けられた液体供給口に接続され、その軸方向が前記筒状体の内周面の接線方向に略平行であることを特徴とする混合装置。
【請求項3】
粉体を投入する粉体投入口と、液体を供給する液体供給管と、前記粉体投入口から投入された粉体および前記液体供給管から供給された液体を混合する筒状体とを有し、
前記筒状体は、上部および下部に開口を備え、該上部開口から下部開口に近づくにつれて内径が小さくなる部分を含み、
前記粉体投入口は、前記筒状体の上部開口であり、
前記液体供給管は、前記筒状体の上部側面に設けられた液体供給口に接続され、その軸方向が前記筒状体の接線方向に略平行であることを特徴とする混合装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の混合装置において、前記筒状体は、前記上部開口の近傍は軸方向に内径が一定の円筒であり、前記液体供給口は、前記円筒の側面に設けられていることを特徴とする混合装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の混合装置において、前記筒状体の前記下部開口には、分散管が連結され、前記分散管の内部には、前記粉体を前記液体に分散させる分散手段が配置されていることを特徴とする混合装置。
【請求項6】
請求項5に記載の混合装置において、前記分散手段は、板状部材を十字型に組み合わせた分散板を含むことを特徴とする混合装置。
【請求項7】
請求項2に記載の混合装置において、前記筒状体の上部開口は、蓋部により覆われ、前記粉体投入管は、前記蓋部の中心に挿入されていることを特徴とする混合装置。
【請求項8】
粉体と液体とを混合してスラリー化し、これを貯蔵するスラリー化装置であって、
スラリー貯蔵タンクと、前記スラリー貯蔵タンクの上部に備えられた混合装置とを有し、
前記混合装置は、上記請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のものであることを特徴とするスラリー化装置。
【請求項9】
請求項8に記載のスラリー化装置において、前記筒状体の下部開口には、内部に分散手段を備えた分散管が連結され、該分散管の下部開口は、前記スラリー貯蔵タンクに備えられた開口に挿入されていることを特徴とするスラリー化装置。
【請求項10】
粉体と液体とを混合する混合方法であって、
上部及び下部に開口を有し、上部開口から下部開口に近づくにつれて内径が小さくなるサイクロン型筒状体の、前記上部開口から粉体を投下するとともに、上部開口近傍において前記筒状体の周方向に液体を噴射し、前記液体を前記筒状体の内壁に沿って旋回させながら落下させて、粉体と液体とを混合する方法。
【請求項11】
水酸化カルシウム液体を乳化水と混合して水酸化カルシウムスラリーを製造する方法であって、上部及び下部に開口を有し、上部開口から下部開口に近づくにつれて径が小さくなるサイクロン型筒状体の、前記上部開口から水酸化カルシウム粉体を投下するとともに、上部開口近傍において前記筒状体の周方向に乳化水を噴射し、前記筒状体の内壁に沿って乳化水を旋回させながら落下させて、粉体と液体とを混合し、水酸化カルシウムスラリーを製造する方法。

【国際公開番号】WO2004/076042
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502925(P2005−502925)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002270
【国際出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【出願人】(390020167)奥多摩工業株式会社 (26)
【Fターム(参考)】